JP2006041985A - 磁性部材およびこれを用いたアンテナ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】無線通信媒体処理装置やICタグなどの無線通信媒体に用いられるアンテナが、周囲の金属の影響を回避して通信距離を拡大できるアンテナと共に用いられる、磁気特性に優れた磁性部材であって、更に耐衝撃性や耐久性に優れた磁性部材を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、セラミクス系磁性粉体を用い、未焼成の磁性部材であって、アンテナに当接もしくは近接させて用いられる構成とすることで、耐衝撃性と耐久性に優れると共に使用されるアンテナの磁性特性を向上させることを実現する。
【選択図】図3
【解決手段】本発明は、セラミクス系磁性粉体を用い、未焼成の磁性部材であって、アンテナに当接もしくは近接させて用いられる構成とすることで、耐衝撃性と耐久性に優れると共に使用されるアンテナの磁性特性を向上させることを実現する。
【選択図】図3
Description
本発明は、RF−ID、即ちICカードやICタグなどの無線通信媒体との通信を行う無線通信倍処理装置に用いるアンテナ、あるいは無線通信媒体そのものに搭載されるアンテナなどにおいて、磁界の閉回路を形成して磁界強度を向上させると共に、破損に強い磁性部材、およびこれを用いたアンテナ装置に関するものである。
従来、電磁誘導方式による無線通信媒体との通信を行う無線通信処理装置や、無線通信媒体そのものに用いられるアンテナは、周囲にある金属の影響を受け、磁界が弱くなり、通信に必要な相互インダクタンスが不十分となって、通信距離が短くなったり、通信ができなくなるという障害があった。そこで、金属の影響を受けないように、アンテナと金属とをスペーサー等により離隔させたり、あるいは、フェライトなどによる磁性部材をアンテナに近接、あるいは当接させて設置し、アンテナの発する磁界を強化するなどの工夫がなされていた。
ここで、スペーサー等を使用する場合は、設置時の調整や、その調整にまつわる作業性等が煩雑になるなど問題があった。また、磁性部材は焼結された硬度のあるフェライトのバルク材料などが用いられていたが、落下時の割れや加工性が劣る問題があった。
このように、磁界を強化することを実現しつつ、破損への耐久性を持たせるために、たとえば、フレキシブル状の磁性体をアンテナの底面や、側面に設置するものが提案されている。(例えば特許文献1参照)
特開2002−298095号公報
しかしながら、(特許文献1)に示されるフレキシブル状の磁性体は、金属系磁性粉末のセンダストや、パーマロイ等を使用するために、十分な形状とできる加工性を確保するためには、十分な量の有機材料を混合させる必要があり、このような有機材料が多く含まれたフレキシブル磁性体では、アンテナ近傍に配置しても、磁界強化が不十分であり、近年求められている無線通信媒体処理装置の通信距離拡張には不十分である問題があった。
また、金属系磁性粉末と有機材料とから構成されるフレキシブル磁性体では、焼結させたフェライトほどではないが、加工性が悪く、コスト高になり、また破損への耐久性も未だ不十分である問題があった。
更に、加工性の悪さに加えて、絶縁抵抗が低くなるために、漏れ電流や外界からの電界の影響を受けやすく、アンテナや無線通信媒体処理装置の誤動作の原因となったりする問題もあった。
加えて、絶縁抵抗が低いために、磁性体上に導電部材を回路パターンとして形成できず、アンテナと処理装置を接続するための、整合回路などの種々の回路などを組み込むことができず、装置の小型化などの点で不十分であるといった問題もあった。
本発明は、上記の問題に鑑み、磁界を用いて通信を行うアンテナにおいて、その周囲の金属の影響を排除して、磁界強化を実現しつつ、やわらかさをもって耐久性の高い磁性部材を提供することを目的とする。
本発明は、セラミクス系磁性粉体を用い、未焼成の磁性部材であって、アンテナに当接もしくは近接させて用いられる構成とする。
本発明は、セラミクス系磁性粉体を使った磁性部材で、磁性粉体の充填率が高く、しかも緻密質な磁性部材とすることで磁気特性が安定し、磁界強化が充分となり、金属に流れる渦電流を抑制できるので、アンテナのQ値が向上し、通信距離が拡張することになる効果がある。
また、セラミクス系磁性粉体と、ブチラール樹脂、フタル酸系可塑材を用いることにより、磁性部材が柔軟性を有する、即ち柔らかさを有する磁性部材を形成できるので、破損しにくく、特にアンテナに近接、当接させて用いた場合に、製造時や使用時、あるいは運搬時における耐衝撃性、耐久性を向上させることが可能となる。加えて、加工性がよくなり、加工時の負荷も少なくなるので、低コストも実現できるものである。
また、セラミクス系磁性粉体を使った磁性部材により、絶縁抵抗が高くなるので、漏れ電流や外界からの電界の影響を受けにくく、アンテナや無線通信媒体処理装置の通信を確実にすることができる。
また、セラミクス系磁性粉体を使った磁性部材により、絶縁抵抗が高くなるので、磁性部材上にアンテナと処理装置を接続するための、整合回路などの種々の回路などを組み込むことができ、装置の小型化ができる効果がある。
また、この磁性部材は、水分には不溶であるが、有機溶剤には溶解しやすく、溶解面は、接着性を有するようになるので、貼り付け用のテープ等が不要になり、接着できるという効果がある。
更に、この磁性部材は、ブチラール樹脂、フタル酸系可塑材により柔軟性を有するので、金型プレスによる打ちぬき成形加工が容易にできるという効果がある。
本発明の請求項1に記載の発明は、セラミクス系磁性粉体を用い、未焼成の磁性部材であって、アンテナに当接もしくは近接させて用いられることを特徴とする磁性部材であって、磁性粉体の充填率が高く、しかも緻密質な磁性部材とすることで磁気特性が安定し、磁界強化が充分となり、金属に流れる渦電流を抑制できるので、アンテナのQ値が向上し、通信距離を拡張することができる。
本発明の請求項2に記載の発明は、アンテナが磁界を用いて通信を行うアンテナであることを特徴とする請求項1に記載の磁性部材であって、周囲にある金属の影響を受けず、通信距離を拡張することができる。
本発明の請求項3に記載の発明は、アンテナが、無線通信媒体処理装置用アンテナ、もしくは無線通信媒体に格納されたアンテナであることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の磁性部材であって、箱や棚などに無線通信媒体処理装置が存在する場合に、精度と確実性の高い通信が可能にできる。
本発明の請求項4に記載の発明は、無線通信媒体処理装置が、RF−ID用リーダーライターであり、無線通信媒体がICカード、もしくはICタグ、もしくはIDカード、も
しくはIDタグのいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の磁性部材であって、無線通信媒体の位置、向きに関わらず通信が可能であり、認識率を高くできる。
しくはIDタグのいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の磁性部材であって、無線通信媒体の位置、向きに関わらず通信が可能であり、認識率を高くできる。
本発明の請求項5に記載の発明は、アンテナが、開口部を有するループアンテナであることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の磁性部材であって、無線通信媒体の位置、向きに関わらず、磁界を及ぼすことができる。
本発明の請求項6に記載の発明は、磁性部材が、アンテナの背面、もしくは側面、もしくは底面、もしくは上面の少なくともいずれかに配置されて用いられることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の磁性部材であって、棚や、箱などに格納された無線通信媒体処理装置に用いる最適なアンテナとすることができる。
本発明の請求項7に記載の発明は、セラミクス系磁性粉体が、Ni−Zn系フェライトまたは、Mn−Zn系フェライトを含むことを特徴とする請求項1〜6いずれか1に記載の磁性部材であって、安定した磁気特性が得られる。
本発明の請求項8に記載の発明は、セラミクス系磁性粉体がFe2O3、ZnO、NiO、CuO、または、Fe2O3、ZnO、MnO、CuOからなることを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載の磁性部材であって、さらに安定した磁気特性が得られ、アンテナのQ値を向上させることができ、通信距離を拡張することができる。
本発明の請求項9に記載の発明は、セラミクス系磁性粉体が、平均粒径が、0.1μm以上8.0μm以下であることを特徴とする請求項1〜8いずれかに記載の磁性部材であって、磁性粉体の充填率を向上させることができる。
本発明の請求項10に記載の発明は、磁性部材が、セラミクス系磁性粉体とブチラール樹脂とフタル酸系可塑材を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の磁性部材であって、磁性部材が適度な柔軟性を保つことができる。
本発明の請求項11に記載の発明は、磁性部材が、セラミクス系磁性粉体に対して4〜15重量%のブチラール樹脂が含有されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の磁性部材であって、磁性部材の保形性を高めることができる。
本発明の請求項12に記載の発明は、磁性部材が、セラミクス系磁性粉体に対して3〜12重量%のフタル酸系可塑材が含有されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の磁性部材であって、安定した柔軟性を保つことができる。
本発明の請求項13に記載の発明は、磁性部材の表面抵抗率が1×108Ω以上であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の磁性部材であって、磁性部材上に整合回路などの種々の回路などを組み込むことができ、装置の小型化ができる。
本発明の請求項14に記載の発明は、磁性部材のかさ密度が、2.3g/cm3以上であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の磁性部材であって、磁気特性を安定、向上させることができる。
本発明の請求項15に記載の発明は、磁性部材は、表面粗さが10μm以下であることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の磁性部材であって、整合回路などの種々の回路などを精度良く組み込むことができる。
本発明の請求項16に記載の発明は、磁性部材が、加工成形時の圧縮率が10〜40%
であることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の磁性部材であって、緻密質な、磁性部材を形成することが可能になる。
であることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の磁性部材であって、緻密質な、磁性部材を形成することが可能になる。
本発明の請求項17に記載の発明は、磁性部材が、容易に有機溶剤に溶解分散し、溶解分散部に接着性を有することを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の磁性部材であって、ループアンテナ等に接着シート等が必要なく、低コストで、接着加工することが可能になる。
本発明の請求項18に記載の発明は、磁性部材のその表面または、内部に導電性部材を形成できることを特徴とする請求項1〜17いずれかに記載の磁性部材であって、コンパクトな整合回路や、種々の回路を作成することが可能になる。
本発明の請求項19に記載の発明は、磁性部材の導電性部材が、メッキ転写方法または、スクリーン印刷法で形成されることを特徴とする請求項18に記載の磁性部材であって、低コストで、精度良く回路を形成することが可能となる。
本発明の請求項20に記載の発明は、磁性部材が、未焼成である、シート状、もしくは板状、もしくは箱状のいずれかであることを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の磁性部材であって、種々形状のアンテナに対応できる。
本発明の請求項21に記載の発明は、磁性部材が、グリーンシートであることを特徴とする請求項20に記載の磁性部材であって、低コストで精度良く製造することができる。
本発明の請求項22に記載の発明は、磁性部材が、未焼成磁性シートを積層して形成されることを特徴とする請求項1〜21のいずれかに記載の磁性部材であって、薄形形状から厚形形状まで容易に加工できる。
本発明の請求項23に記載の発明は、積層される未焼成磁性シートが、セラミクス系磁性粉体とブチラール樹脂とフタル酸系可塑材の重量配合比率がそれぞれの未焼成磁性シートで異なることを特徴とする請求項22に記載の磁性部材であって、無線通信媒体処理装置の通信距離の調整が容易となりユーザー仕様に的確に対応することができる。
本発明の請求項24に記載の発明は、請求項1〜23いずれかに記載の磁性部材と、無線通信媒体と磁界を介して通信を行うアンテナを有し、磁性部材が、アンテナの側面、もしくは底面、もしくは上面、もしくは背面の少なくともいずれかの位置に近接、もしくは当接して配置されたことを特徴とするアンテナ装置であって、商品棚や、商品箱などに、容易に格納できる。
本発明の請求項25に記載の発明は、請求項1〜23いずれか1記載の磁性部材と、無線通信媒体と磁界を介して通信を行うアンテナと、無線通信媒体との間で、データの書き、もしくは読み、もしくは読み書きを行う読み書き部を有し、磁性部材が、アンテナの側面、もしくは底面、もしくは上面、もしくは背面の少なくともいずれかの位置に近接、もしくは当接して配置されたことを特徴とする無線通信媒体処理装置であって、商品管理や、棚卸しなどの効率が向上する。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
なお、本発明での磁性部材は、フェライト系材料に対して、所定の焼成を行ってから粉体としその後有機溶剤などを混合させてシート状、あるいは板状、あるいは膜状に整形されたものであり最終的に磁性部材となる形状に整形される際もしくは整形後に焼成や焼結
などの熱処理がなされず柔らかさを保ったものである。
などの熱処理がなされず柔らかさを保ったものである。
図1は、本発明の実施の形態における磁性シート構造の断面図である。11は磁性粉体、12は磁性粉体をそれぞれ結合させる皮膜である。まず、セラミクス系磁性粉体11について説明する。
磁性粉体11はNi−Zn系フェライトまたは、Mn−Zn系フェライトからなるものであり、Ni−Zn系フェライトでは、具体的には、Fe2O3を48.5mol%、ZnOを20.55mol%、NiOを20.55mol%、CuOを10.40mol%の組成比率であり、この磁性粉体は、平均粒径が、1.5μmから2.0μmである。
ここで磁性粉体の平均粒径は、0.1から8.0μmが望ましい。0.1μm以下では、微粉砕するのに時間がかかり、また、後述する磁性部材のグリーンシートを作成するときに使用する有機溶剤が大量に必要になり、不経済となるので好ましくない。
また、8.0μ以上では、磁性部材の表面粗さが粗くなり、好ましくない。
次に皮膜12について説明する。皮膜12は、磁性粉体11の表面に形成され、磁性粉体11をそれぞれ結合させるものである。皮膜12を形成する皮膜は、ブチラール樹脂とフタル酸系可塑材から形成されていることが好ましい。ブチラール樹脂とフタル酸系可塑材は、取り扱いが容易で、環境負荷物質等が含まれておらず環境汚染防止として有効な素材である。
ここで、ブチラール樹脂は、磁性粉体に対して4〜15重量%が望ましい。4重量%以下では、保形性が充分確保できないので好ましくない。また、15重量%以上では、磁性部材の磁気特性が悪くなるので好ましくない。
ここで、フタル酸系可塑材は、磁性粉体に対して3〜12重量%が望ましい。3重量%以下では、磁性部材に充分に柔軟性を持たすことができず好ましくない。また、12重量%以上では、磁性部材からのフタル酸系可塑材の揮発分が多くなり、経時変化が大きくなり、好ましくない。
以上の構成の磁性部材からなるグリーンシートは、次のようにして作成される。
まず、上記組成の磁性粉体55重量%と、酢酸ブチルと2ブトキシエタノールの混合溶液20重量%、ブチラール樹脂8重量%とフタル酸系可塑材6.5重量%が酢酸ブチルと2ブトキシエタノールの混合溶液に溶解しているビークル25重量%をボールミルにて24時間混合して、磁性粉体のスラリー溶液を作成する。このスラリー溶液を真空脱泡して、スラリー液中の気泡を除去後、ドクターブレード法をもちいてPETフィルム上にスラリーを連続的に塗工して、85℃から95℃の温度にて乾燥しながら厚さ0.1mmのシートを作成する。
次に、このシートを所定の寸法に切断後、PETフィルムをはがして、シートのみを40枚重ね合わせる。その後、40℃に加温したプレス機にて1平方cmあたり150kgの圧力にて、加圧成形して厚さ3.2mmの磁性シートを作成した。
そこでまず、この磁性シートのQ値をHP製4191ARFインピーダンスアナライザーにて測定した。Q値は、磁性シートを直径2.5cm、内径1.3cmの円板状に加工して、直径0.5mmの導線を円板に通して測定した。測定結果を(表1)に示す。
この結果から、周波数13.56MHzでのQ値が5と比較例よりも優れていることがわかる。比較例は、磁性粉体の組成のみ変更して他条件は、同一にした。粉体組成比率はFe2O3を48mol%、NiOを42mol%、CuOを10mol%とした。
つぎに、このグリーンシートの表面抵抗率、かさ密度、表面粗さを測定すると8×1011Ω、3.3g/cm3、0.3μmであった。これらの値から、グリーンシート上に整合回路や回路パターン等を組み込むことができることがわかる。
そこで、このグリーンシート上に回路パターンを形成した。
まず、0.1mmのシートを3枚重ね合わせる。つぎに、このシート上にメッキ転写法にて、長さ100mm、幅3mm、厚み0.04mmの銀導体パターンを転写した。つぎに、導体を転写したシート上に、さらに0.1mmのシートを3枚重ね合わせた。そして、40℃に加温したプレス機にて1平方cmあたり150kgの圧力にて、加圧成形して厚さ0.48mmの銀導体が内部に構成されているグリーンシートを作成した。そして、この磁性シート内の銀導電体の抵抗値を測定すると0.03Ωと低抵抗値を示し、これからも、整合回路や、回路パターンを組み込むことができることがわかった。
ここで、グリーンシートの表面抵抗率が1×108Ω以下の場合は、回路パターンの線間が狭い場合などでは、短絡するという問題があり好ましくない。
また、グリーンシートは、かさ密度が、2.3g/cm3以上が好ましい。かさ密度が2.3g/cm3以下では、磁気特性が安定せず、また、グリーンシート自体が、吸湿しやすくなり、回路パターンを内部に形成した場合など、パターン間で短絡するという問題が生じ、好ましくない。
また、グリーンシートは、表面粗さが10μm以下であることが望ましい。表面粗さが、10μm以上では、導体が断線したり、グリーンシートと導体間に空隙が生じ、精度良く回路パターンを形成できないので好ましくない。
また、本実施の形態では、複数枚の比較的薄い同じ種類のグリーンシートを重ね合わせたが、目的によっては、磁性粉体とブチラール樹脂とフタル酸系可塑材の重量配合比率が
異なる数種類の磁性部材を重ね合わせてグリーンシートとしても良い。
異なる数種類の磁性部材を重ね合わせてグリーンシートとしても良い。
図2に本発明の実施の形態における数種の配合比率の異なるシートを積層加圧した磁性シートの断面図を示す。
21は、磁性部材である。22は、グリーンシートであり、磁性部材はセラミクス系磁性粉体とブチラール樹脂からなる。
まず、上記した本実施の形態の厚み0.1mmのグリーンシートを3枚重ね合わせ、つぎに、磁性粉体とブチラール樹脂のみからなる厚み0.5mmの磁性部材を1枚重ねる。つぎに本実施の形態の厚み0.1mmのグリーンシートを3枚重ね合わせ、40℃に加温したプレス機にて1平方cmあたり150kgの圧力にて、加圧成形して0.8mmのグリーンシートを作成した。
このようにして作成したグリーンシートは、可塑材の含有量が全体的に少ないので、重量変化、および、形状の経時変化が起こりにくいという効果がある。
また、本実施の形態では、重ね合わせたシートを1平方cmあたり150kgの比較的低い圧力にて加圧成形しているが、これは、本シートが圧縮加工成形性に優れているからである。最適な磁性粉体の粒子径の選択、および、ブチラール樹脂とフタル酸系可塑材の最適な配合比率により、加圧成形での10%から40%の圧縮率が得られ、その結果、緻密質なグリーンシートの作成が可能になる。シートの圧縮率が10%以下では、充填率の悪い緻密化が不十分なグリーンシートとなるので好ましくない。40%以上の圧縮率では、厚みの変化率が大きくなりすぎ、寸法精度が悪くなったり、シート材料が多く必要になり不経済となる。
また、本実施の形態で作成したグリーンシートは、適度な柔軟性を有しているので、パンチング等により、容易に打ち抜き成形加工ができるので、複雑な形状の加工も低コストで、しかも大量に成形できるという特徴も有する。
さらに、本実施の形態で作成したグリーンシートは、容易に有機溶剤に溶解分散し、溶解分散部に接着性を有する。このグリーンシートは、水には不溶であるが、有機溶剤には溶解しやすく、溶解面は、接着性を有するようになるので、グリーンシートを貼り付ける、貼り付け用のテープ等が不要になるので、低コストかつ、厚みが薄くできるという効果もある。
次に無線通信媒体処理用アンテナ装置を用いて、本実施の形態の磁性部材、さらにセンダストや、パーマロイ等の金属系磁性体粉末を有機結合材で練り固めた磁性部材の比較を行った。
図3に本発明の実施の形態における無線通信媒体処理用アンテナ装置のアンテナユニットの断面図、図4に本発明の実施の形態における無線通信媒体処理用アンテナ装置のアンテナユニットの斜視図を示す。31は樹脂ケース、32はアンテナパターン、33はアンテナ基板、34はGNDパターン、35は整合回路他、36は磁性部材、37は樹脂スペーサーであり、41はアンテナユニット、42はケーブル、43はリーダーライター装置、44はRFユニットである。ここで磁性部材36の形状は、180mm×210mm×3mmとして、また、アンテナパターン32は、厚み2mmのアルミニウム製ループアンテナで、上記磁性部材の上に基板を介して設置した。
ここでアンテナユニットからの実際の磁束の発生、さらにアンテナユニットの底部に金
属が存在する場合の磁性部材の効果について説明する。
属が存在する場合の磁性部材の効果について説明する。
図5に本発明の実施の形態における無線通信媒体処理用アンテナ装置の磁性部材の有無での磁束の発生図を示す。51は磁束、52は金属材である。アンテナユニット41に信号を入力するとアンテナ近傍に磁束51が発生する。この場合、ユニット内に磁性部材36が設置されていると金属材52の影響を受けることなく磁束51が拡張し、通信距離が伸びる。しかし、ユニット内に磁性部材36が無いと、金属内を通過する磁束51の周りに渦電流が発生し、熱に変換されるので、磁束が縮小して、通信距離が伸びなくなる。よって、アンテナユニット内に磁性部材を設置することは、非常に重要となり、磁性部材の磁気特性が通信距離の拡張を左右する。
そこで、このアンテナユニット41の出力2.5Wとして、無線通信媒体の例としてのICタグを用いて、上記磁性部材での通信距離を測定した。測定結果を(表2)に示す。
この表から、本実施の形態の磁性部材では、35cmまで通信距離が拡張しており、比較例に比べ優れていることがわかる。これはセラミクス系磁性粉体の充填性が良く、緻密質な磁性部材で形成されているためである。
以上より、無線通信媒体処理用アンテナ装置を、商品棚や、商品籠として利用した場合に、適切に商品管理を行うことが可能となる。
例えば、商品が医薬品などの場合には、これらの商品に付するICタグなどに、予めその名称、有効期限、納入日などを設定しておき、箱状体30を医薬品収納棚として利用する場合には、医薬品の在庫管理が容易になり、例えば有効期限直前の薬をあらかじめ廃棄し、どの薬がどの程度残っているかを収納しているだけで確認できるようになる。同様に、商品を書籍や食料品などとした場合であっても同じである。このため、棚卸などの効率が非常に向上するメリットがある。
以上のように、セラミクス系の磁性粉体を用いた未焼成の磁性部材を、板状やシート状などに加工して、ICタグなどを始めとする無線通信媒体に組み込まれるアンテナや、この無線通信媒体との通信を行うアンテナの背面や底面、側面などの位置に近接、又は当接させた形態とすることで、従来の金属系磁性粉体を用いた磁性部材よりも、周囲の金属の影響を回避して、その磁界強度を強めることができ、通信距離を伸ばすことが可能となる。更にその上、フェライトや金属系磁性粉体を用いた場合に比べて、柔軟性の高い磁性部
材とすることができるため、製造時や運搬時、あるいは使用時に損傷などが生じにくく、耐久性の高いアンテナユニットを形成することができる。これにより、無線通信媒体、および無線通信媒体処理装置の性能と耐久性の同時向上を実現することが可能となるものである。
材とすることができるため、製造時や運搬時、あるいは使用時に損傷などが生じにくく、耐久性の高いアンテナユニットを形成することができる。これにより、無線通信媒体、および無線通信媒体処理装置の性能と耐久性の同時向上を実現することが可能となるものである。
本発明にかかる磁性部材は、セラミクス系磁性粉体をブチラール樹脂、フタル酸系可塑材を用い、シート状に成形するので、磁性粉体の充填性がよく、さらに成形したシートは、圧縮加工性に優れているので、積層して加圧成型すると緻密質な、しかも柔軟性を有する磁性部材となり、RF−IDのリーダー/ライターや、タグ用のループ状アンテナ背面や側面に配置して用いられ、アンテナ部の背面の磁界の影響物体(渦電流発生)に対し影響を遮断するための用途に適用できる。
11 磁性粉体
12 皮膜
21 磁性部材
22 グリーンシート
31 樹脂ケース
32 アンテナパターン
33 アンテナ基板
34 GNDパターン
35 整合回路他
36 磁性部材
37 樹脂スペーサー
41 アンテナユニット
42 ケーブル
43 リーダーライター装置
44 RFユニット
51 磁束
52 金属材
12 皮膜
21 磁性部材
22 グリーンシート
31 樹脂ケース
32 アンテナパターン
33 アンテナ基板
34 GNDパターン
35 整合回路他
36 磁性部材
37 樹脂スペーサー
41 アンテナユニット
42 ケーブル
43 リーダーライター装置
44 RFユニット
51 磁束
52 金属材
Claims (26)
- セラミクス系磁性粉体を用い、柔軟性を有する磁性部材であって、アンテナに当接もしくは近接させて用いられることを特徴とする磁性部材。
- 前記アンテナが磁界を用いて通信を行うアンテナであることを特徴とする請求項1に記載の磁性部材。
- 前記アンテナが、無線通信媒体処理装置用アンテナ、もしくは無線通信媒体に格納されたアンテナであることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の磁性部材。
- 前記無線通信媒体処理装置が、RF−ID用リーダーライターであり、前記無線通信媒体がICカード、もしくはICタグ、もしくはIDカード、もしくはIDタグのいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の磁性部材。
- 前記アンテナが、開口部を有するループアンテナであることを特徴とする請求項1〜4いずれか1に記載の磁性部材。
- 前記磁性部材が、前記アンテナの背面、もしくは側面、もしくは底面、もしくは上面の少なくともいずれかに配置されて用いられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の磁性部材。
- 前記セラミクス系磁性粉体は、Ni−Zn系フェライトまたは、Mn−Zn系フェライトを含むことを特徴とする請求項1〜6いずれか1に記載の磁性部材。
- 前記セラミクス系磁性粉体はFe2O3、ZnO、NiO、CuO、または、Fe2O3、ZnO、MnO、CuOからなることを特徴とする請求項1〜7いずれか1に記載の磁性部材。
- 前記セラミクス系磁性粉体は、平均粒径が、0.1μm以上8.0μm以下であることを特徴とする請求項1〜8いずれか1に記載の磁性部材。
- 前記磁性部材は、前記セラミクス系磁性粉体とブチラール樹脂とフタル酸系可塑材を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1に記載の磁性部材。
- 前記磁性部材は、前記セラミクス系磁性粉体に対して4〜15重量%のブチラール樹脂が含有されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1に記載の磁性部材。
- 前記磁性部材は、前記セラミクス系磁性粉体に対して3〜12重量%のフタル酸系可塑材が含有されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1に記載の磁性部材。
- 前記磁性部材の表面抵抗率が1×108Ω以上であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1に記載の磁性部材。
- 前記磁性部材のかさ密度が、2.3g/cm3以上であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1に記載の磁性部材。
- 前記磁性部材は、表面粗さが10μm以下であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1に記載の磁性部材。
- 前記磁性部材は、加工成形時の圧縮率が10〜40%であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1に記載の磁性部材。
- 前記磁性部材は、容易に有機溶剤に溶解分散し、溶解分散部に接着性を有することを特徴とする請求項1〜16のいずれか1に記載の磁性部材。
- 前記磁性部材は、その表面または、内部に導電性部材を形成できることを特徴とする請求項1〜17いずれか1に記載の磁性部材。
- 前記磁性部材の導電性部材は、メッキ転写方法または、スクリーン印刷法であることを特徴とする請求項18に記載の磁性部材。
- 前記磁性部材は、未焼成である、シート状、もしくは板状、もしくは箱状のいずれかであることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1に記載の磁性部材。
- 前記磁性部材が、グリーンシートであることを特徴とする請求項20に記載の磁性部材。
- 前記磁性部材は、未焼成磁性シートを積層して形成されることを特徴とする請求項1〜21のいずれか1に記載の磁性部材。
- 前記積層される未焼成磁性シートが、セラミクス系磁性粉体とブチラール樹脂とフタル酸系可塑材の重量配合比率がそれぞれの未焼成磁性シートで異なることを特徴とする請求項22に記載の磁性部材。
- 請求項1〜23いずれか1記載の磁性部材と、
無線通信媒体と磁界を介して通信を行うアンテナを有し、
前記磁性部材が、前記アンテナの側面、もしくは底面、もしくは上面、もしくは背面の少なくともいずれかの位置に近接、もしくは当接して配置されたことを特徴とするアンテナ装置。 - 請求項1〜23いずれか1記載の磁性部材と、
無線通信媒体と磁界を介して通信を行うアンテナと、
前記無線通信媒体との間で、データの書き、もしくは読み、もしくは読み書きを行う読み書き部を有し、
前記磁性部材が、前記アンテナの側面、もしくは底面、もしくは上面、もしくは背面の少なくともいずれかの位置に近接、もしくは当接して配置されたことを特徴とする無線通信媒体処理装置。 - 前記磁性部材が柔軟性を有するとは、前記磁性部材がシート状もしくは板状、もしくは膜状に整形される際、もしくは整形された後で、焼成もしくは焼結されないことであることを特徴とする請求項1に記載の磁性部材。
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