実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気調和システム10の構成を示す概略図である。図2は、空気調和システム10が内包する空気調和機の内部構成を例示する概略図である。図1に示すように、空気調和システム10は、室外機30及び室内機40を有する空気調和機20と、波形演算部61及び補償処理部62を有する高調波抑制装置60と、を備えている。また、空気調和システム10は、室外機30の入力側に設けられ、室外機30に流入する第一負荷電流Iaを検知する第一電流センサ51と、室内機40の入力側に設けられ、室内機40に流入する第二負荷電流Ibを検知する第二電流センサ52とを有している。
空気調和機20は、圧縮機(図示せず)を含む室外機30と、室内ファン(図示せず)を含む室内機40と、を備えるセパレート形空気調和機である。
室外機30は、高調波の発生要因となる室外機負荷31と、室外機30を統括制御する室外機制御部32とを有している。室外機30は、図2に示すように、室外機負荷31として、室外機電源装置31Aと、圧縮機モータ31Bと、を含んでいる。
室外機電源装置31Aは、商用電源等である外部電源400から供給される交流電圧を整流する室外整流回路と、例えば平滑コンデンサを含んで構成され、室外整流回路で整流された電圧を平滑化する室外平滑回路と、室外平滑回路で平滑化された直流電圧から、複数のスイッチング素子のオンオフ動作により交流電圧を生成する室外インバータ回路と、を有している(何れも図示せず)。圧縮機モータ31Bは、室外インバータ回路から供給される交流電圧によって駆動し、室外機30に設けられた圧縮機を運転させるものである。
また、室外機制御部32は、CPU等からなり、各種の演算処理等を実行する中央処理装置32Aと、不揮発性メモリ等からなる記憶装置32Bと、伝送線101を通じて室内機制御部42との通信を行う第一通信回路32Cと、伝送線102を通じて高調波抑制装置60との通信を行う第二通信回路32Dと、を有している。
中央処理装置32Aは、室外機負荷31の動作状態を監視し、室外機負荷31の動作状態を示す室外機動作情報を記憶装置32Bに記憶させるものである。室外機動作情報は、例えば、室外機負荷31としての圧縮機モータ31Bが運転しているか停止しているかといった動作状態を示す情報、及び圧縮機の運転周波数を示す情報等を含むものである。また、中央処理装置32Aは、第二通信回路32Dを介して、室外機動作情報を波形演算部61へ送信する機能を有している。さらに、中央処理装置32Aは、室外機電源装置31A内の室外インバータ回路の動作を制御する機能を有している。
室内機40は、高調波の発生要因となる室内機負荷41と、室内機40を統括制御する室内機制御部42とを有している。室内機40は、図2に示すように、室内機負荷41として、室内機電源装置41Aと、ファンモータ41Bと、を含んでいる。
室内機電源装置41Aは、外部電源400から供給される交流電圧を整流する室内整流回路と、例えば平滑コンデンサを含んで構成され、室内整流回路で整流された電圧を平滑化する室内平滑回路と、室内平滑回路で平滑化された直流電圧から、複数のスイッチング素子のオンオフ動作により交流電圧を生成する室内インバータ回路と、を有している(何れも図示せず)。ファンモータ41Bは、室内インバータ回路から供給される交流電圧によって駆動し、室内機40に設けられた熱交換器(図示せず)に送風する室内ファンを回転させるものである。
また、室内機制御部42は、CPU等からなり、各種の演算処理等を実行する中央処理装置42Aと、不揮発性メモリ等からなる記憶装置42Bと、伝送線101を通じて室外機制御部32との通信を行う通信回路42Cと、を有している。
中央処理装置42Aは、室内機負荷41の動作状態を監視し、室内機負荷41が動作状態を示す室内機動作情報を記憶装置42Bに記憶させるものである。室内機動作情報は、例えば、室内機負荷41としてのファンモータ41Bが運転しているか停止しているかといった動作状態を示す情報、及びファンモータ41Bの回転数を示す情報等を含むものである。また、中央処理装置42Aは、室外機30を介して、室内機動作情報を波形演算部61へ送信する機能を有している。さらに、中央処理装置42Aは、室内機電源装置41A内の室内インバータ回路の動作を制御する機能を有している。
第一通信回路32Cは、伝送線101を介して通信回路42Cに接続されている。また、第二通信回路32Dは、伝送線102を介して波形演算部61に接続されている。すなわち、室外機30と室内機40とは、伝送線101を通じて情報通信を行い、室外機30と高調波抑制装置60とは、伝送線102を通じて情報通信を行うように構成されている。
より具体的に、室内機制御部42は、室外機制御部32へ室内機動作情報を送信するものである。また、室外機制御部32は、空気調和機20の動作情報として、室外機動作情報及び室内機動作情報を波形演算部61へ送信するものである。このように、空気調和システム10では、室外機30、室内機40、及び高調波抑制装置60が、空気調和機20の動作情報を共有しており、高調波抑制装置60は、室外機30から取得する空気調和機20の動作情報に応じて、高調波抑制処理を実行し又は停止するように構成されている。
波形演算部61は、室外機負荷31及び室内機負荷41の双方が運転している場合に、第一負荷電流Iaと第二負荷電流Ibとを合成して電流波形を演算するものである。また、波形演算部61は、室外機負荷31及び室内機負荷41のうちの一方が停止状態にある場合であっても、運転している室外機負荷31に流入する第一負荷電流Ia又は運転している室内機負荷41に流入する第二負荷電流Ibの電流波形を演算するように構成されている。そして、波形演算部61は、演算して求めた電流波形を補償処理部62に出力するものである。
補償処理部62は、波形演算部61から出力される電流波形から高調波成分を抽出し、抽出した高調波成分を打ち消す補償電流ICを生成するものである。すなわち、補償処理部62は、波形演算部61から出力される電流波形から抽出した高調波成分と大きさが等しく且つ逆位相である電流を補償電流ICとして生成するものである。そして、補償処理部62は、生成した補償電流ICを、外部電源400から供給される交流電流に合流させることにより、空気調和機20へ供給される電流が正弦波電流となるように調整するものである。
高調波抑制装置60は、室外機負荷31で発生する高調波及び室内機負荷41で発生する高調波を抑制するだけの容量を備えている。すなわち、補償処理部62は、第一負荷電流Ia及び第二負荷電流Ibに含まれる全高調波成分を打ち消す電流を補償電流ICとして生成する能力を有している。したがって、高調波抑制装置60は、空気調和機20が最大負荷の状態、すなわち、圧縮機の運転周波数が最大で、かつファンモータ41Bの回転数が最大であるような状態においても、空気調和機20で発生する高調波を抑制することができる。
ところで、圧縮機モータ31Bに取り付けられた圧縮機保護用のサーモスタット(図示せず)がOFF状態のときは、室外機30の圧縮機が停止していても、室内機40の室内ファンは運転している。このため、高調波抑制装置60は、圧縮機保護用のサーモスタットがOFF状態の場合にも高調波抑制処理を継続し、室内機40に流れる第二負荷電流Ibに含まれる高調波成分を抑制する。なお、圧縮機保護用のサーモスタットは、通常時はON状態であり、圧縮機モータ31Bのコイル温度が異常高温になったときにOFF状態となるものである。
なお、波形演算部61及び補償処理部62は、これらの機能を実現する回路デバイスなどのハードウェアにより実現することもできるし、例えばDSP等のマイコン又はCPU等の演算装置上で実行されるソフトウェアとして実現することもできる。
図3は、空気調和システム10において、室外機30に流れる第一負荷電流Iaと室内機40に流れる第二負荷電流Ibとの合成波を説明するための模式図である。本実施の形態1における空気調和システム10は、三相交流電源である外部電源400からの給電により動作するものである。このため、図3には、三相を構成するR相、N相、及びT相のうちのR相の電流波形を例示する。図3の(a)は、第一負荷電流Iaの電流波形である。図3の(b)は、第二負荷電流Ibの電流波形である。図3の(c)は、第一負荷電流Iaと第二負荷電流Ibとを合成した電流波形である。
図3に示すように、第一負荷電流Iaの電流波形のピーク値は「a」であり、第二負荷電流Ibの電流波形のピーク値は「b」である。そして、第一負荷電流Iaと第二負荷電流Ibとを合成した電流波形のピーク値は「a+b」となっている。
上述したように、波形演算部61は、室外機負荷31及び室内機負荷41の双方が運転している場合に、第一負荷電流Iaと第二負荷電流Ibとを合成し、図3の(c)に示すような電流波形を演算して補償処理部62に出力する。また、波形演算部61は、室内機負荷41が停止しており、かつ室外機負荷31が運転している場合、運転している室外機負荷31に流入する第一負荷電流Iaの電流波形を演算して補償処理部62に出力する。さらに、波形演算部61は、室外機負荷31が停止しており、かつ室内機負荷41が運転している場合、運転している室内機負荷41に流入する第二負荷電流Ibの電流波形を演算して補償処理部62に出力する。
図4は、空気調和システム10による高調波抑制処理に関する動作を示すフローチャートである。図4に沿って、高調波抑制装置60による高調波抑制処理の流れを説明する。
波形演算部61は、空気調和機20の動作情報を、伝送線102を通じて室外機30から取得し、空気調和機20の動作状態を確認する。そして、波形演算部61は、空気調和機20が停止状態にあるか否かを判定する(図4:ステップS101)。
波形演算部61は、空気調和機20が停止状態にあれば(図4:ステップS101/YES)、空気調和機20の監視を継続し、空気調和機20が運転を開始するまで待機する。一方、波形演算部61は、空気調和機20が運転状態にあれば(図4:ステップS101/NO)、第一電流センサ51と第二電流センサ52とから、それぞれ、第一負荷電流Iaと第二負荷電流Ibとを取得する(図4:ステップS102)。
次いで、波形演算部61は、室外機負荷31及び室内機負荷41のそれぞれの運転状態を確認し、室外機負荷31及び室内機負荷41のうちの一方が停止しているか否かを判定する(図4:ステップS103)。
室外機負荷31及び室内機負荷41が双方ともに運転している場合(図4:ステップS103/NO)、波形演算部61は、第一負荷電流Iaと第二負荷電流Ibとを合成して電流波形を演算する(図4:ステップS104)。
一方、室外機負荷31及び室内機負荷41のうちの一方が停止している場合(図4:ステップS103/YES)、運転している室外機負荷31へ流れる第一負荷電流Ia又は運転している室内機負荷41へ流れる第二負荷電流Ibの電流波形を演算する(図4:ステップS105)。
続いて、補償処理部62は、波形演算部61において演算された電流波形をもとに、空気調和機20で発生する高調波を抑制するための補償電流ICを発生させる。すなわち、補償処理部62は、波形演算部61において演算された電流波形から高調波成分を抽出し、抽出した高調波成分を打ち消す補償電流ICを生成する。そして、補償処理部62は、生成した補償電流ICを外部電源400から供給される交流電流に合流させる(図4:ステップS106)。
なお、上記ステップS101では、波形演算部61が、空気調和機20の動作情報をもとに、空気調和機20が停止状態にあるか否かを判定する場合を例示したが、これに限定されず、例えば、波形演算部61は、第一電流センサ51から送信される第一負荷電流Ia及び第二電流センサ52から送信される第二負荷電流Ibをもとに、空気調和機20が停止状態にあるか否かを判定するようにしてもよい。
以上のように、本実施の形態1の空気調和システム10は、高調波抑制装置60が、空気調和機20の運転状態に応じて、第一負荷電流Ia及び第二負荷電流Ibに含まれる高調波成分を打ち消す補償電流ICを生成する。そして、高調波抑制装置60は、外部電源400から供給される交流電流に補償電流ICを合流させることで、外部電源400と同期した正弦波状の入力電流を空気調和機20へ供給する。このため、空気調和システム10によれば、空気調和機20に発生する電流の高調波成分を精度よく抑制することができる。
また、従来のように、室内機及び室外機のそれぞれに一台ずつ高調波抑制装置を設ける場合は、増設用のスペースが必要となり、かつ室外機の負荷及び室内機の負荷のそれぞれに見合った容量及び制御構成を有する高調波抑制装置を開発する必要があるため、高コストとなる。さらに、複数台の室内機が設けられた空気調和システムにおいて、各室内機のそれぞれに高調波抑制装置を設ける場合は、必要となる設置面積及びコストがさらに増加する。
この点、空気調和システム10は、共通の外部電源400より給電される室外機30及び室内機40の双方において発生する高調波を、一台の高調波抑制装置60によって抑制することから、高調波抑制装置の設置台数を減らすことができるため、設置スペース及びコストの軽減を図ると共に、設置条件の自由度を増加することができる。
そして、空気調和システム10は、室外機負荷31及び室内機負荷41のうちの少なくとも一方が運転していれば、高調波抑制装置60が高調波抑制処理を実行するため、例えば圧縮機が停止している場合でも、室内ファンを制御する機器により発生する高調波を抑制することができる。
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2に係る空気調和システム110の構成を示す概略図である。図6は、空気調和システム110による高調波抑制処理に関する動作を示すフローチャートである。空気調和システム110は、一台の高調波抑制装置60が、一方の電流センサによる検出結果を直接取得し、他方の電流センサによる検出結果を、室外機130及び室内機140を介して取得するという点に特徴がある。図5及び図6に基づき、前述した実施の形態1とは異なる構成及び動作を説明する。実施の形態1と同等の構成部材については同一の符号を用いて説明を省略する。
空気調和システム110において、空気調和機120は、室外機130及び室内機140を有している。図5では、室外機130側に高調波抑制装置60が設置された場合を例示している。すなわち、高調波抑制装置60は、室内機140よりも室外機130に近い位置に設けられている。
室内機140に備わる室内機制御部142は、第二電流センサ52において検知された第二負荷電流Ibを取得するように構成されている。また、室内機制御部142は、第二電流センサ52から取得した第二負荷電流Ibを、伝送線101を通じて室外機130に備わる室外機制御部132へ送信するように構成されている。室外機制御部132は、室内機制御部142から送信された第二負荷電流Ibを、伝送線102を通じて波形演算部61へ送信するように構成されている。
より具体的に、室内機制御部142は、第二電流センサ52から取得した第二負荷電流Ibを通信用の電流波形情報に変換し、変換後の電流波形情報を、伝送線101を通じて室外機制御部132へ送信するものである。また、室外機制御部132は、室内機制御部142から送信された電流波形情報を波形演算部61へ送信するものである。
また、室内機制御部142は、室外機制御部132へ室内機動作情報を送信するものであり、室外機制御部132は、空気調和機120の動作情報として、室外機動作情報及び室内機動作情報を波形演算部61へ送信するものである。そして、高調波抑制装置60は、室外機130から取得する空気調和機120の動作情報に応じて、高調波抑制処理を実行し又は停止するように構成されている。
上記の通り、本実施の形態2において、波形演算部61は、第二電流センサ52において検知された第二負荷電流Ibを、室内機140及び室外機130を介して取得するように構成されている。なお、室外機制御部132及び室内機制御部142における他の構成内容は、それぞれ、実施の形態1の室外機制御部32及び室内機制御部42と同様である。
続いて、図6に沿って、高調波抑制装置60による高調波抑制処理の流れを説明する。図6では、実施の形態1における図4に示す工程と同一の工程に対して同一の符号を付している。
波形演算部61は、第二電流センサ52において検知された第二負荷電流Ibを、室内機制御部142を介して室外機制御部132から取得する(図6:ステップS201)。
次いで、波形演算部61は、空気調和機120の動作情報を室外機制御部32から取得し、空気調和機120が停止状態にあるか否かを判定する(図6:ステップS101)。波形演算部61は、空気調和機120が停止状態にあれば(図6:ステップS101/YES)、空気調和機120の監視を継続し、空気調和機120が運転を開始するまで待機する。一方、波形演算部61は、空気調和機120が運転状態にあれば(図6:ステップS101/NO)、第一電流センサ51から第一負荷電流Iaを取得する(図6:ステップS202)。
次に、波形演算部61は、室外機負荷31及び室内機負荷41のうちの一方が停止しているか否かを判定する(図6:ステップS103)。波形演算部61は、室外機負荷31及び室内機負荷41が双方ともに運転している場合(図6:ステップS103/NO)、第一負荷電流Iaと第二負荷電流Ibとを合成して電流波形を演算する(図6:ステップS104)。一方、波形演算部61は、室外機負荷31及び室内機負荷41のうちの一方が停止している場合(図6:ステップS103/YES)、運転している室外機負荷31へ流れる第一負荷電流Ia又は運転している室内機負荷41へ流れる第二負荷電流Ibの電流波形を演算する(図6:ステップS105)。続いて、補償処理部62は、波形演算部61において演算された電流波形をもとに、空気調和機120において発生する高調波を抑制する補償電流ICを発生させる(図6:ステップS106)。
以上のように、本実施の形態2の空気調和システム110は、一台の高調波抑制装置60が、空気調和機120の運転状態に応じて、第一負荷電流Ia及び第二負荷電流Ibの高調波成分を打ち消す補償電流ICを生成する。そして、高調波抑制装置60は、外部電源400から供給される交流電流に補償電流ICを合流させることで、外部電源400と同期した正弦波状の入力電流を空気調和機120へ供給する。このため、空気調和システム10によれば、空気調和機120に発生する電流の高調波成分を精度よく抑制することができる。
また、空気調和システム110によれば、従来のように、室内機及び室外機のそれぞれに一台ずつ高調波抑制装置を設ける必要がないため、設置スペース及びコストの軽減を図ると共に、設置条件の自由度を増加することができる。
ところで、例えば室外機130及び室内機140の設置状況により、高調波抑制装置60と第二電流センサ52との距離が離れるような場合に、波形演算部61が、第二電流センサ52から直接第二負荷電流Ibを取得するように構成すれば、高調波抑制装置60と第二電流センサ52とを接続する配線の長さが増加する。
この点、空気調和システム110は、高調波抑制装置60と第二電流センサ52との距離が離れていても、高調波抑制装置60が、第二電流センサ52による検出結果を、室内機制御部142及び室外機制御部132との通信により取得することから、高調波抑制装置60と第二電流センサ52とを接続する配線の長さを短縮することができる。このため、空気調和システム110によれば、コストの低減及び情報通信の安定性の向上を図ることができる。
もっとも、高調波抑制装置60は、室内機140側に設けられていてもよく、空気調和機120の動作情報を室内機40が高調波抑制装置60へ送信するようにしてもよい。すなわち、高調波抑制装置60が、室内機140よりも室外機130に近い位置に設けられている場合、波形演算部61が、第一電流センサ51において検知された第一負荷電流Iaを、室外機30及び室内機40を介して取得するようにしてもよい。より具体的には、室外機制御部132が、第一電流センサ51から取得した第一負荷電流Iaを、通信用の電流波形情報に変換して室内機制御部142へ送信するようにしてもよい。そして、室内機制御部142が、室外機制御部132から受信した電流波形情報を波形演算部61へ送信するようにしてもよい。このようにしても、高調波抑制装置60と第一電流センサ51との距離が離れていても、高調波抑制装置60と第一電流センサ51とを接続する配線の長さを短縮することができるため、コストの低減及び情報通信の安定性の向上を図ることができる。
実施の形態3.
図7は、本発明の実施の形態3に係る空気調和システム210の構成を示す概略図である。図8及び図9は、空気調和システム210による高調波抑制処理に関する動作を示すフローチャートである。図7〜図9に基づき、本実施の形態3のうち、上述した実施の形態1及び2とは異なる構成及び動作を説明する。実施の形態1及び2と同等の構成部材については同一の符号を用いて説明は省略する。
図7に示すように、空気調和システム210に備わる空気調和機220は、室外機負荷31及び室外機制御部232を含む室外機230と、室内機負荷41及び室内機制御部242を含む室内機240と、を有している。また、空気調和システム210は、空気調和機220で発生する高調波を抑制する高調波抑制装置として、室外機230に接続され、第一波形演算部261及び第一補償処理部262を備えた第一高調波抑制装置260と、室内機240に接続され、第二波形演算部271及び第二補償処理部272を備えた第二高調波抑制装置270と、を有している。
空気調和システム210は、第一高調波抑制装置260及び第二高調波抑制装置270の二台の合計容量が、室外機負荷31で発生する高調波及び室内機負荷41で発生する高調波を抑制可能な容量となっている。すなわち、空気調和システム210は、第一高調波抑制装置260及び第二高調波抑制装置270の二台の合計容量により、第一負荷電流Ia及び第二負荷電流Ibに含まれる全高調波成分を打ち消すために必要な電流を生成する能力を有している。したがって、空気調和システム210によれば、空気調和機220が最大負荷の状態、すなわち、圧縮機の運転周波数が最大で、かつ室内ファンの回転数が最大であるような状態であっても、空気調和機220で発生する高調波を抑制することができる。
室外機230に備わる室外機制御部232は、室外機負荷31を監視し、室外機動作情報を室内機制御部242へ送信するものである。室内機240に備わる室内機制御部242は、室内機負荷41を監視し、室内機動作情報を室外機制御部232へ送信するものである。また、室外機制御部232は、空気調和機220の動作情報である室外機動作情報及び室内機動作情報を第一波形演算部261へ送信するものである。室内機制御部242は、空気調和機220の動作情報を第二波形演算部271へ送信するものである。室外機制御部232及び室内機制御部242の他の構成内容については、実施の形態1における室外機制御部32及び室内機制御部42と同様である。
そして、第一高調波抑制装置260は、室外機230から取得する空気調和機220の動作情報に応じて、高調波抑制処理を実行し又は停止するように構成されている。また、第二高調波抑制装置270は、室内機240から取得する空気調和機220の動作情報に応じて、高調波抑制処理を実行し又は停止するように構成されている。
第一波形演算部261は、第一電流センサ51において検知された第一負荷電流Iaを取得するものである。そして、第一波形演算部261は、第一負荷電流Iaをもとに、第一高調波抑制装置260の容量に応じた電流波形を演算するものである。第一補償処理部262は、第一波形演算部261において演算された電流波形から高調波成分を抽出し、抽出した高調波成分を打ち消す第一補償電流IAを生成するものである。
第二波形演算部271は、第二電流センサ52において検知された第二負荷電流Ibを取得するものである。そして、第二波形演算部271は、第二負荷電流Ibをもとに、第二高調波抑制装置270の容量に応じた電流波形を演算するものである。第二補償処理部272は、第二波形演算部271において演算された電流波形から高調波成分を抽出し、抽出した高調波成分を打ち消す第二補償電流IBを生成するものである。
本実施の形態3における空気調和システム210は、第一補償処理部262が生成する第一補償電流IAと、第二補償処理部272が生成する第二補償電流IBとにより、第一負荷電流Ia及び第二負荷電流Ibに含まれる全高調波成分を打ち消すものである。すなわち、本実施の形態3における第一補償電流IAと第二補償電流IBとの和は、実施の形態1及び2における補償電流ICに相当する。
このため、以降では、第一負荷電流Ia及び第二負荷電流Ibに含まれる全高調波成分を打ち消すために必要な電流を補償電流ICともいう。
ところで、空気調和システム210の運転状態によっては、第一高調波抑制装置260の容量が補償電流ICを補償可能な場合、すなわち、第一補償処理部262が補償電流IC以上の電流を生成する能力を有する場合がある。こうした場合に、本実施の形態3では、第一高調波抑制装置260が補償電流ICの全てを生成するように構成されている。
また、第一高調波抑制装置260は、第一補償処理部262によって補償電流ICの全てを生成する場合に、第二高調波抑制装置270が運転状態にあれば、第二高調波抑制装置270を停止させる機能を有している。これにより、高調波抑制装置の稼働率を低減することができるため、無駄な運転によるコストアップを抑制し、高調波抑制装置の消耗を抑えることができる。
もっとも、第二高調波抑制装置270の容量が補償電流ICを補償可能な場合、すなわち、第二補償処理部272が補償電流IC以上の電流を生成する能力を有する場合には、第二高調波抑制装置270が補償電流ICの全てを生成するようにしてもよい。併せて、第一高調波抑制装置260が運転状態にあれば、第二高調波抑制装置270が第一高調波抑制装置260を停止させるようにするとよい。
また、第一高調波抑制装置260又は第二高調波抑制装置270の何れか一方のみでは、空気調和機220で発生する高調波の全てを抑制することができない場合、第一高調波抑制装置260及び第二高調波抑制装置270の双方が高調波抑制処理を行うように構成されている。すなわち、この場合、第一高調波抑制装置260が、補償電流ICの一部として第一補償電流IAを生成し、第二高調波抑制装置270が、補償電流ICの残部として第二補償電流IBを生成する。
さらに、第一高調波抑制装置260の容量が不足している場合、すなわち、第一高調波抑制装置260が第一負荷電流Iaの全高調波成分を打ち消す電流を生成する能力を有しない場合に、空気調和システム210は、第二高調波抑制装置270の余っている容量によって、第一高調波抑制装置260の容量不足分を補うように構成されている。なお、第一高調波抑制装置260の容量が不足している状況としては、例えば、室外機230に備わる圧縮機の運転周波数が一定量を超えている場合等が想定される。
より具体的に、第一波形演算部261は、第一補償処理部262によって生成可能な最大電流が、第一負荷電流Iaの全高調波成分を打ち消す電流に満たない場合に、第一負荷電流Iaと第一補償処理部262によって生成される第一補償電流IAとの合成電流を予測演算して予測電流Iαを求める。そして、第一波形演算部261は、伝送線102を通じて予測電流Iαを室外機制御部232へ送信する。
かかる場合において、第一補償処理部262は、第一負荷電流Iaの高調波成分の一部を打ち消す第一補償電流IAを、補償電流ICの一部として生成する。そして、第一補償処理部262は、生成した第一補償電流IAを、外部電源400から供給される交流電流に合流させる。
室外機制御部232は、第一波形演算部261から送信される予測電流Iαを、伝送線101を通じて室内機制御部242へ送信する。室内機制御部242は、伝送線103を通じて予測電流Iαを第二波形演算部271へ送信する。
そして、第二波形演算部271は、予測電流Iαと第二負荷電流Ibとを合成して電流波形を演算し、第二補償処理部272は、第二波形演算部271において演算された電流波形から高調波成分を抽出して、当該高調波成分を打ち消す第二補償電流IBを補償電流ICの残部として生成する。
すなわち、第一高調波抑制装置260は、第一負荷電流Iaの全高調波成分を打ち消す電流を生成する能力を有しない場合、第一補償電流IAを補償電流ICの一部として生成し、かつ第一負荷電流Iaと第一補償電流IAとの合成波形を予測演算して予測電流Iαを求めるものである。また、この場合、第二高調波抑制装置270は、第二負荷電流Ibと予測電流Iαとを合成した電流から高調波成分を抽出して、当該高調波成分を打ち消す第二補償電流IBを補償電流ICの残部として生成するものである。
一方、第二高調波抑制装置270の容量が不足している場合、空気調和システム210は、第一高調波抑制装置260の余っている容量によって、第二高調波抑制装置270の容量不足分を補うように構成してもよい。
すなわち、第二高調波抑制装置270は、第二負荷電流Ibの全高調波成分を打ち消す電流を生成する能力を有しない場合、第二補償電流IBを補償電流の一部として生成し、かつ第二負荷電流Ibと第二補償電流IBとの合成波形を予測演算して予測電流Iαを求めるものである。また、この場合、第一高調波抑制装置260は、第一負荷電流Iaと予測電流Iαとを合成した電流から高調波成分を抽出して、当該高調波成分を打ち消す第一補償電流IAを補償電流ICの残部として生成するものである。
続いて、図8に沿って、第一高調波抑制装置260及び第二高調波抑制装置270による高調波抑制処理の流れを説明する。
第一波形演算部261及び第二波形演算部271は、空気調和機220の動作状態を確認し、空気調和機220が停止状態にあるか否かを判定する(図8:ステップS301)。第一波形演算部261及び第二波形演算部271は、空気調和機220が停止状態にあれば(図8:ステップS301/YES)、空気調和機220の監視を継続し、空気調和機220が運転を開始するまで待機する。
一方、空気調和機220が運転状態にあれば(図8:ステップS301/NO)、第一波形演算部261が、第一電流センサ51において検知された第一負荷電流Iaを取得し、第二波形演算部271が、第二電流センサ52において検知された第二負荷電流Ibを取得する(図8:ステップS302)。
第一高調波抑制装置260及び第二高調波抑制装置270は、上記ステップS301及びステップS302の処理を、常時又は一定周期ごとに実行する。
次いで、第一波形演算部261は、第一負荷電流Iaの電流波形を演算し、第二波形演算部271は、第二負荷電流Ibの電流波形を演算する(図8:ステップS303)。
続いて、第一補償処理部262は第一補償電流IAを発生させ、第二補償処理部272は第二補償電流IBを発生させる。すなわち、第一補償処理部262は、第一波形演算部261において演算された電流波形から高調波成分を抽出し、抽出した高調波成分を打ち消す第一補償電流IAを生成する。そして、第一補償処理部262は、第一補償電流IAを外部電源400から供給される交流電流に合流させる。また、第二補償処理部272は、第二波形演算部271において演算された電流波形から高調波成分を抽出し、抽出した高調波成分を打ち消す第二補償電流IBを生成する。そして、第二補償処理部272は、第二補償電流IBを外部電源400から供給される交流電流に合流させる(図8:ステップS304)。
次に、第一波形演算部261は、室外機制御部232から空気調和機220の動作情報を取得し、第二波形演算部271は、室内機制御部242から空気調和機220の動作情報を取得する(図8:ステップS305)。
次いで、第一波形演算部261は、第一高調波抑制装置260の容量に余力があるか否かを判定する(図8:ステップS306)。第一波形演算部261は、第一高調波抑制装置260の容量に余力があると判定した場合(図8:ステップS306/YES)、図9のステップS307へ移行する。すなわち、第一波形演算部261は、第一高調波抑制装置260の一台によって、空気調和機220で発生する全高調波を抑制することができるか否かを判定する(図9:ステップS307)。
第一波形演算部261は、第一高調波抑制装置260の一台によって全高調波を抑制できると判定した場合(図9:ステップS307/YES)、室外機230と室内機240とを経由して、第二高調波抑制装置270が高調波抑制処理を停止しているか否かを判定する(図9:ステップS308)。
第一波形演算部261は、第二高調波抑制装置270が高調波抑制処理を実行している場合(図9:ステップS308/NO)、室外機230及び室内機240を介して、第二波形演算部271に停止指令を送信し、第二高調波抑制装置270の高調波抑制処理を停止させる(図9:ステップS309)。
第二高調波抑制装置270が高調波抑制処理を停止している場合(図9:ステップS308/YES)又は上記ステップS309を経由して、第二波形演算部271は、室内機制御部242を介して室外機制御部232に第二負荷電流Ibを送信する。そして、室外機制御部232が第一波形演算部261へ第二負荷電流Ibを送信することにより、第一波形演算部261は第二負荷電流Ibを取得する(図9:ステップS310)。
次いで、第一波形演算部261は、第一負荷電流Iaと第二負荷電流Ibとを合成して電流波形を演算する(図9:ステップS311)。第一補償処理部262は、第一波形演算部261において演算された電流波形をもとに、第一補償電流IAを発生させる。すなわち、第一補償処理部262は、第一波形演算部261において演算された電流波形から高調波成分を抽出し、抽出した高調波成分を打ち消す第一補償電流IAを生成する。なお、ここで第一補償処理部262が生成する第一補償電流IAは、補償電流ICに相当する。そして、第一補償処理部262は、第一補償電流IAを外部電源400から供給される交流電流に合流させる(図9:ステップS312)。
その後、図8のステップS305へ移行する。
また、図8のステップS307において、第一波形演算部261は、第一高調波抑制装置260の一台のみでは全高調波を抑制できないと判定した場合(図9:ステップS307/NO)、室外機230と室内機240とを経由して、第二高調波抑制装置270が高調波抑制処理を実行しているか否かを判定する(図9:ステップS313)。
第一波形演算部261は、第二高調波抑制装置270が高調波抑制処理を停止している場合、室外機230及び室内機240を介して、第二波形演算部271に運転指令を送信し、第二高調波抑制装置270に高調波抑制処理を開始させる(図9:ステップS314)。
第二高調波抑制装置270が高調波抑制処理を実行している場合(図9:ステップS313/YES)又は上記ステップS314を経由して、第一波形演算部261は、自身が第一負荷電流Iaのみをもとに電流波形を演算しているか否かを確認する(図9:ステップS315)。
第一波形演算部261は、第一負荷電流Iaのみをもとに電流波形を演算していない場合(図9:ステップS315/NO)、すなわち、第一負荷電流Iaと第二負荷電流Ibの全部又は一部とを合成して電流波形を演算している場合、第一負荷電流Iaの電流波形を再演算する。
次いで、第一波形演算部261が第一負荷電流Iaのみをもとに電流波形を演算している場合(図9:ステップS315/YES)又はステップS316を経て、第二波形演算部271は、第二負荷電流Ibの電流波形を演算する(図9:ステップS317)。
そして、図8のステップS304へ移行する。
また、図8のステップS306において、第一高調波抑制装置260の容量に余力がないと判定した場合(図8:ステップS306/NO)、第一波形演算部261は、第一高調波抑制装置260の容量が不足しているか否かを判定する(図8:ステップS318)。
第一波形演算部261は、第一高調波抑制装置260の容量が不足していないと判定した場合(図8:ステップS318/NO)、ステップS305へ移行する。
一方、第一波形演算部261は、第一高調波抑制装置260の容量が不足していると判定した場合(図8:ステップS318/YES)、第一高調波抑制装置260の容量をもとに、第一負荷電流Iaと第一補償電流IAとの合成電流を予測演算して予測電流Iαを求める(図8:ステップS319)。
次いで、第一波形演算部261は、室外機制御部232を介して、予測電流Iαを室内機制御部242へ送信する。そして、室内機制御部242が第二波形演算部271へ予測電流Iαを送信することにより、第二波形演算部271は予測電流Iαを取得する(図8:ステップS320)。第二波形演算部271は、第二負荷電流Ibと予測電流Iαとを合成して電流波形を演算する(図8:ステップS321)。
第二補償処理部272は、第二波形演算部271において演算された電流波形をもとに、第二補償電流IBを発生させる。すなわち、第二補償処理部272は、第二波形演算部271において演算された電流波形から高調波成分を抽出し、抽出した全ての高調波成分を打ち消す第二補償電流IBを生成する。そして、第二補償処理部272は、第二補償電流IBを外部電源400から供給される交流電流に合流させる(図8:ステップS322)。
その後、ステップS305へ移行する。
なお、図8及び図9を参照しての上記動作説明では、第一高調波抑制装置260の容量が過剰又は不足である場合の高調波抑制処理を説明したが、空気調和システム210は、第二高調波抑制装置270の容量が過剰又は不足である場合の高調波抑制処理を、上記同様に実行してもよい。
すなわち、第二高調波抑制装置270が補償電流IC以上の電流を生成する能力を有する場合、第二高調波抑制装置270が補償電流ICの全てを生成するようにしてもよい。
また、第二高調波抑制装置270の容量が不足している場合、第二波形演算部271が、第二高調波抑制装置270の容量をもとに、第二負荷電流Ibと第二補償電流IBとの合成電流を予測演算して予測電流Iαを求めるようにしてもよい。
そして、第一高調波抑制装置260は、第一負荷電流Iaと予測電流Iαとを合成した電流から高調波成分を抽出して、当該高調波成分を打ち消す第一補償電流IAを生成するようにしてもよい。
<変形例>
図10は、本実施の形態3の変形例に係る空気調和システム210Aの構成を示す概略図である。図10に示すように、空気調和システム210Aの空気調和機220Aでは、一台の室外機230に対し、複数台の室内機240a及び室内機240bが接続されている。
室内機240aの室内機制御部242aは、伝送線103を介して、第二高調波抑制装置270との情報通信を行う。また、室内機制御部242aは、伝送線101aを介して、室外機制御部232との情報通信を行う。室内機240bの室内機制御部242bは、伝送線101bを介して、室内機制御部242aとの情報通信を行う。
室外機制御部232は、第一波形演算部261において求められた予測電流Iαを、伝送線102を通じて受信すると共に、伝送線101aを通じて室内機制御部242aへ送信する。室内機制御部242aは、室外機制御部232から受信した予測電流Iαを、伝送線103を通じて第二波形演算部271へ送信する。
また、室内機制御部242aは、室内機負荷41aを監視し、室内機負荷41aの動作状態を示す第一動作情報を有しており、室内機制御部242bは、室内機負荷41bを監視し、室内機負荷41bの動作状態を示す第二動作情報を有している。すなわち、室外機230、室内機240a、室内機240b、第一高調波抑制装置260、及び第二高調波抑制装置270は、空気調和機220Aの動作状態として、室外機動作情報、第一動作情報、及び第二動作情報を共有している。
他の構成及び動作については、前述して空気調和システム210と同様である。図10では、空気調和機220Aが、二台の室内機240a及び室内機240bを有する場合を例示したが、これに限定されず、空気調和機220Aは、室外機230に接続された3台以上の室外機を有していてもよい。
以上のように、本実施の形態3の空気調和システム210又は210Aは、第一高調波抑制装置260及び第二高調波抑制装置270が、空気調和機220又は220Aの運転状態に応じて、第一負荷電流Ia及び第二負荷電流Ibの高調波成分を打ち消す第一補償電流IA及び第二補償電流IBを生成する。そして、第一高調波抑制装置260及び第二高調波抑制装置270は、第一補償電流IA及び第二補償電流IBを外部電源400から供給される交流電流に合流させることで、外部電源400と同期した正弦波状の入力電流を空気調和機220又は220Aへ供給する。すなわち、空気調和システム210又は210Aによれば、空気調和機220又は220Aで発生する電流の高調波成分を精度よく抑制することができる。
そして、空気調和システム210は、室外機負荷31及び室内機負荷41のうちの少なくとも一つが運転していれば、第一高調波抑制装置260及び第二高調波抑制装置270のうちの少なくとも一台が高調波抑制処理を実行する。また、空気調和システム210Aは、室外機負荷31、室内機負荷41a、及び室内機負荷41bのうちの少なくとも一つが運転していれば、第一高調波抑制装置260及び第二高調波抑制装置270のうちの少なくとも一台が高調波抑制処理を実行する。このため、空気調和システム210及び210Aによれば、例えば、圧縮機が停止している場合であっても、空気調和機220に備わるファンを制御する機器により発生する高調波を抑制することができる。
ところで、室外機230、室内機240、室内機240a、及び室内機240bは、常に最大負荷で運転しているわけではない。例えば、日本における春及び秋のように、比較的気候が穏やかな中間期には、サーモスタットがOFF状態となり、圧縮機が停止していることが多くなる。つまり、特に中間期には、空気調和システム210又は210Aがファンのみを運転するといった状況が増加するため、室外機230、室内機240、室内機240a、及び室内機240bの最大負荷に合わせて高調波抑制装置を選定した場合には、高調波抑制装置の容量が過剰となってしまう。
この点、空気調和システム210及び210Aは、例えば、第一高調波抑制装置260が空気調和機220又は220Aの全高調波を抑制する能力を有する場合に、第二高調波抑制装置270を停止させる。また、第二高調波抑制装置270が空気調和機220又は220Aの全高調波を抑制する能力を有する場合は、第一高調波抑制装置260を停止させてもよい。したがって、空気調和システム210及び210Aによれば、高調波抑制装置の稼働率の低減を図ることができる。すなわち、空気調和システム210及び210Aによれば、第一高調波抑制装置260及び第二高調波抑制装置270の容量を過不足なく有効利用することができるため、高調波抑制装置の過剰運転によるコストアップ及び寿命の短縮を抑制することができる。
上述した実施の形態は、空調システムにおける好適な具体例であり、本発明の技術的範囲は、これらの態様に限定されるものではない。例えば、図1及び図2又は図5では、高調波抑制装置60が室外機30又は130に接続され、室外機30又は130が空気調和機20又は120の動作情報を高調波抑制装置60へ送信する場合を例示したが、これに限定されず、高調波抑制装置60が、室内機40又は140に接続され、室内機40又は140が空気調和機20又は120の動作情報を高調波抑制装置60へ送信するようにしてもよい。
また、図1及び図2又は図5では、空気調和機20又は120が、一台の室外機30又は130及び一台の室内機40又は140を有する場合を例示したが、室外機30又は130及び室内機40又は140の台数は適宜変更してもよい。すなわち、例えば、空気調和機20又は120に複数台の室内機40又は140を設け、高調波抑制装置60が、室外機30又は130及び各室内機40又は140との情報通信を行うことにより、空気調和機20又は120において発生する高調波を抑制するようにしてもよい。
さらに、高調波抑制装置60は、室外機30、130の内部に設けられていてもよく、室内機40、140の内部に設けられていてもよい。同様に、第一高調波抑制装置260は、室外機230の内部に設けられていてもよく、第二高調波抑制装置270は、室内機240又は240aの内部に設けられていてもよい。加えて、第一電流センサ51は、室外機30、130、又は230の内部に設けられていてもよく、第二電流センサ52は、室内機40、140、240、又は240aの内部に設けられていてもよい。
また、室外機30、130、及び230は、室外機負荷31として、室外ファンを回転させる室外ファンモータを有していてもよく、室外機電源装置31Aが、室外ファンモータを駆動するインバータ回路等を有していてもよい。かかる構成を採った場合、圧縮機モータ31B又は室外ファンモータの何れか一方が停止していても、高調波抑制装置60は、室外機負荷31が運転していると認識し、第一負荷電流Iaに含まれる高調波成分を抑制するように制御動作を実行する。
さらに、上記各実施の形態では、圧縮機が室外機30、130、及び230に設けられている例を示したが、圧縮機は、室内機40、140、240、240a、又は240bに設けられていてもよい。また、上記各実施の形態では、外部電源400が三相交流電源である場合を例示したが、これに限定されず、外部電源400は、単相交流電源であってもよい。