JP2019022344A - アクティブフィルタシステム、空気調和装置 - Google Patents

アクティブフィルタシステム、空気調和装置 Download PDF

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Abstract

【課題】複数台のアクティブフィルタ装置を備えたアクティブフィルタシステムにおける効率の向上を図る。【解決手段】高調波発生負荷器(2)に出力が接続され、該高調波発生負荷器(2)の高調波電流の低減及び基本波力率の改善の少なくとも一方を行うための補償電流を出力可能な第1及び第2アクティブフィルタ装置(41,42)を設ける。第2アクティブフィルタ装置(42)は、第1アクティブフィルタ装置(41)の出力が上限に達し、且つ補償電流の供給が更に必要な場合に稼働させる。【選択図】図3

Description

本発明は、アクティブフィルタシステム、空気調和装置に関するものである。
工場・ビル等には、例えば電動機の電源として大型電力変換装置(大型のインバータ装置等)が多数設置されている。これらの大型電力変換装置は、高調波電流を発生させるので、ビル等には、高調波電流が電力系統に及ぼす悪影響を抑制するために、アクティブフィルタ装置が設置される例がある(例えば特許文献1を参照)。この文献の例では、複数台のアクティブフィルタ装置によって、負荷電流の逆位相の高調波電流を電力系統へ流すことにより、その電力系統における高調波電流を低減させている。
特開平7−135736号公報
しかしながら、例えば、複数台のアクティブフィルタ装置で出力を均等に分担したのでは、各アクティブフィルタ装置を効率よく動作させるのは困難である。それは、アクティブフィルタ装置に用いられる電力変換用のスイッチング素子は、許容される最大電流を流した場合に効率が最もよくなるように設計されるのが一般的であり、複数台のアクティブフィルタ装置で単に均等に出力を分担したのでは、効率のよくない動作点で各アクティブフィルタ装置が動作することになるからである。
本発明は前記の問題に着目してなされたものであり、複数台のアクティブフィルタ装置を備えたアクティブフィルタシステムにおける効率の向上を図ることを目的としている。
前記の課題を解決するため、第1の態様は、
高調波発生負荷器(2)に出力が接続され、該高調波発生負荷器(2)の高調波電流の低減及び基本波力率の改善の少なくとも一方を行うための補償電流を出力可能な第1及び第2アクティブフィルタ装置(41,42)を備え、
前記第2アクティブフィルタ装置(42)は、前記第1アクティブフィルタ装置(41)の出力が上限に達し、且つ前記補償電流の供給が更に必要な場合に稼働することを特徴とするアクティブフィルタシステムである。
この構成では、第1アクティブフィルタ装置(41)が第2アクティブフィルタ装置(42)よりも優先的に稼働する。
また、第2の態様は、第1の態様において、
前記第1アクティブフィルタ装置(41)と前記第2アクティブフィルタ装置(42)とは容量が同じであることを特徴とするアクティブフィルタシステムである。
この構成では、同容量のアクティブフィルタ装置(41,42)によって、補償電流が生成される。
また、第3の態様は、第1又は第2の態様において、
前記高調波発生負荷器(2)は、電力変換装置であることを特徴とするアクティブフィルタシステムである。
また、第4の態様は、第1から第3の態様の何れかにおいて、
前記補償電流を出力可能で且つ前記第1アクティブフィルタ装置(41)と容量が同じである、別のアクティブフィルタ装置(43)を更に1又は2台以上備え、
前記別のアクティブフィルタ装置(43)は、前記第2アクティブフィルタ装置(42)の出力が所定値を超えた場合に稼働することを特徴とするアクティブフィルタシステムである。
この構成では、3台以上のアクティブフィルタ装置において、第1アクティブフィルタ装置(41)が他のアクティブフィルタ装置(42,43)よりも優先的に稼働する。
また、第5の態様は、第1から第4の態様の何れかにおいて、
全アクティブフィルタ装置の中から、前記第1アクティブフィルタ装置(41)として機能するものを順次ローテーションさせて選択することを特徴とするアクティブフィルタシステムである。
この構成では、第1アクティブフィルタ装置(41)として機能するものを順次ローテーションさせて選択することで、各アクティブフィルタ装置の稼働時間が均等化される。
また、第6の態様は、第1から第5の態様の何れかのアクティブフィルタシステムを備えたことを特徴とする空気調和装置である。
また、第7の態様は、第6の態様において、
前記第1及び第2アクティブフィルタ装置(41,42)は、共通の放熱器(72,73)で冷却されることを特徴とする空気調和装置である。
この構成では、放熱器(72,73)の共通化により、アクティブフィルタシステム(4)が簡略化される。
また、第8の態様は、第7の態様において、
前記放熱器(72,73)は、第1及び第2アクティブフィルタ装置(41,42)の熱を、流動する熱媒体と熱交換させるように構成されており、
前記第1アクティブフィルタ装置(41)は、前記第2アクティブフィルタ装置(42)よりも前記熱媒体の下流側において放熱するように、前記放熱器(72,73)が取り付けられていることを特徴とする空気調和装置である。
この構成では、稼働率がより大きな第1アクティブフィルタ装置(41)がより温度か低い熱媒体で冷却される。
また、第9の態様は、第8の態様において、
前記熱媒体は、該空気調和装置の冷媒であることを特徴とする空気調和装置である。
この構成では、各アクティブフィルタ装置(41,42)が冷媒によって冷却される。
第1や第2の態様によれば、一方の第1アクティブフィルタ装置を優先的に稼働させており、効率のよい状態でアクティブフィルタシステムを運用することが可能になる。
また、第3の態様によれば、電力変換装置に接続されたアクティブフィルタシステムにおいて、上記効果を得ることが可能になる。
また、第4の態様によれば、3台以上のアクティブフィルタ装置を備えたアクティブフィルタシステムにおいて、上記効果を得ることが可能になる。
また、第5の態様によれば、各アクティブフィルタ装置の稼働時間が均等化されるので、各アクティブフィルタ装置の劣化度合いが均一化される。
また、第6の態様によれば、空気調和装置に用いられるアクティブフィルタシステムにおいて、上記効果を得ることか可能になる。
また、第7の態様によれば、アクティブフィルタシステムの簡略化により、コストの低減が可能になる。
また、第8の態様によれば、第1及び第2アクティブフィルタ装置を効率的に冷却することが可能になる。それにより、放熱器の小型化を期待できる。
図1は、本発明の実施形態1の空気調和装置を示すブロック図である。 図2は、第1制御器の構成例を示すブロック図である。 図3は、第2制御器の構成例を示すブロック図である。 図4は、空気調和装置の冷媒回路に流れる冷媒によって第1及び第2電流源を冷却する例を示す。 図5は、第1アクティブフィルタ装置と第2アクティブフィルタ装置とを別個の基板上に構成した場合における冷却構造を例示する。 図6は、第1及び第2電流源を共通の空冷装置で冷却する空冷構造を例示する。 図7は、実施形態2の空気調和装置の構成を示すブロック図である。 図8は、実施形態2の第2制御器の構成を示すブロック図である。 図9は、実施形態3の空気調和装置の構成例を示すブロック図である。 図10は、実施形態4の空気調和装置の構成を示すブロック図である。 図11は、実施形態4の第1制御器の構成例を示す。 図12は、実施形態4の第2制御器の構成例を示す。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1の空気調和装置(5)を示すブロック図である。空気調和装置(5)は、マンション、工場、ビルや戸建て住宅等(以下、ビル等)に設置され、室内の空気調和(冷房や暖房)を行う。空気調和装置(5)が設置されるビル等には、交流電源(1)を含む電力系統から電力が供給されている。この例では、交流電源(1)は、三相の交流電源(例えば三相の商用電源)である。
〈空気調和装置(5)〉
空気調和装置(5)は、圧縮機を有した冷媒回路(図示を省略)、電力変換装置(2)、及びアクティブフィルタシステム(4)を備えている。電力変換装置(2)は、交流電源(1)に接続され、交流電力が供給されている。この電力変換装置(2)は、コンバータ回路とインバータ回路とを有している(何れも図示を省略)。電力変換装置(2)に供給された交流電力は、電力変換装置(2)内のインバータ回路等によって、所望周波数及び所望電圧を有した交流電力に変換され、圧縮機(より詳しくは圧縮機が備える電動機)に供給されている。それにより、圧縮機が稼働して冷媒回路が機能し、その結果、室内の空気調和が行われる。
空気調和装置(5)において電力変換装置(2)や圧縮機の電動機が稼働すると、高調波電流が発生する場合がある。例えば、電力変換装置(2)が備えるインバータ回路では、スイッチング素子によってスイッチング動作が行われ、その際に高調電流波が発生する。すなわち、電力変換装置(2)は、本発明の高調波発生負荷器の一例である。この高調波電流は、交流電源(1)から空気調和装置(5)へ電力を供給する受電経路を介して、交流電源(1)に流出する可能性がある。このような高調波電流は、一般的には、交流電源(1)側への流出レベルが規制されているので、空気調和装置(5)ではアクティブフィルタシステム(4)によって、流出する高調波電流の低減を図っている。また、設備容量や省エネルギーの観点などから、配電・受電端の基本波力率の改善が求められるところ、本実施形態のアクティブフィルタシステム(4)は、基本波力率の改善機能も備えている。以下では、アクティブフィルタシステム(4)の構成について説明する。
〈アクティブフィルタシステム(4)〉
アクティブフィルタシステム(4)は、第1アクティブフィルタ装置(41)と第2アクティブフィルタ装置(42)とを備え、空気調和装置(5)に組み込まれている。第1及び第2アクティブフィルタ装置(41,42)は、共通のケーシングに収容されている。これらのアクティブフィルタ装置(41,42)は、電力変換装置(2)に起因して前記受電経路に現れる高調波電流を打ち消すための電流を出力する機能を有する。すなわち、これらのアクティブフィルタ装置(41,42)は、交流電源(1)と電力変換装置(2)とを結ぶ受電経路における電流が正弦波に近づくように電流(以下、補償電流と呼ぶ)を流す。より具体的に、これらのアクティブフィルタ装置(41,42)は、交流電源(1)と空気調和装置(5)を結ぶ受電経路に現れている高調波電流を検出し、検出した高調波電流とは逆位相の補償電流を生成して空気調和装置(5)の受電経路に供給する。なお、後に詳述するように、アクティブフィルタシステム(4)の稼働中は、第1アクティブフィルタ装置(41)は常に稼働(ここでは補償電流の出力の意)し、第2アクティブフィルタ装置(42)は、必要な場合にのみ稼働(ここでは補償電流の出力の意)するように構成されている。
空気調和装置(5)において発生する高調波電流が最も大きくなるのは、空気調和装置(5)の負荷がもっとも大きな場合(例えば冷房運転における最大出力時)と考えられる。そのため、これらのアクティブフィルタ装置(41,42)は、空気調和装置(5)の負荷最大時における高調波電流を想定して容量(出力可能な電力の大きさ)が設定されている。
本実施形態の空気調和装置(5)では、これらのアクティブフィルタ装置(41,42)の容量は互いに同じであり、2台のアクティブフィルタ装置(41,42)を最大出力の状態に制御した場合に、空気調和装置(5)の負荷最大時における高調波電流を打ち消すことができるように容量が設定されている。また、これらのアクティブフィルタ装置(41,42)は、基本波力率改善の機能を有する。具体的には、基本波の無効成分も補償する補償電流を流すようにアクティブフィルタ装置(41,42)を構成することで、基本波の力率改善を行っている。
アクティブフィルタ装置(41,42)におけるこれらの機能を実現するため、第1アクティブフィルタ装置(41)は、図1に示すように、第1電流源(411)、第1制御器(412)、電圧検出器(414)、2つの電流検出器(413a,413b)を備えている。また、第2アクティブフィルタ装置(42)は、第2電流源(421)、第2制御器(422)、電圧検出器(424)、2つの電流検出器(423a,423b)を備えている。
電圧検出器(414,424)は、それぞれ,交流電源(1)の電圧(電源電圧(Vrs))を検出する。2つの電流検出器(413a,413b)は、第1アクティブフィルタ装置(41)へ入力される電流(Ir1a,It1a)を検出する。また、2つの電流検出器(423a,423b)は、第2アクティブフィルタ装置(42)へ入力される電流(Ir2a,It2a)を検出する。なお、図1では、アクティブフィルタ装置(41,42)のそれぞれには、電流検出器(413a,413b,423a,423b)を2相分だけ設けた例を記載しているが、3相にそれぞれに電流検出器を設置して、3相の電流を検出する構成でも問題ない。
空気調和装置(5)には、電流検出器(3a,3b)も設けられている。具体的に、電流検出器(3a,3b)は、高調波発生負荷器である電力変換装置(2)と交流電源(1)とを結ぶ受電経路に設けられて、電力変換装置(2)に流れる電流の値(以下、負荷電流(Irf,Itf))を検出する。電流検出器(3a,3b)の構成には、特に限定はないが、例えばカレントトランスを採用することなどが考えられる。これらの電流検出器(3a,3b)による検出値は、第1制御器(412)及び第2制御器(422)の双方に送信されている。なお、これらの電流検出器(3a,3b)は、各制御器(412,422)に対して、有線方式で検出値を送信するように構成してもよいし、無線方式で検出値を送信するように構成してもよい。
電流検出器(3a,3b)の検出値を無線方式で各制御器(412,422)に送信するように構成した場合には、有線の工事が削減できる。また、電流検出器(3a,3b)に流れる電流により電流検出器を貫く磁束が時間に対して変化する現象を電磁誘導と言うが、無線方式を採用した場合には、その電磁誘導によって生じる起電力である誘導起電力を、電流検出器を駆動させる電源として利用しても良い。そのことにより、電流検出器(3a,3b)は,無線及び無電源で構成でき、工事の手間などを削減できる効果がある。
−電流源(411,421)−
第1及び第2電流源(411,421)は、それぞれ、具体的にはインバータ回路で構成されている。第1及び第2電流源(411,421)は、高調波電流の低減、及び基本波力率改善を行うための電流(すなわち補償電流)を生成する。第1電流源(411)における補償電流の生成を制御するために、第1電流源(411)には、後述するスイッチング指令値(G)が第1制御器(412)から入力されている。同様に、第2電流源(421)には、スイッチング指令値(G)が第2制御器(422)から入力されている。各電流源(411,421)では、スイッチング指令値(G)に応じて、インバータ回路が有するスイッチング素子がスイッチング動作を行って補償電流を生成する。それぞれの電流源(411,421)の出力端子は、電力変換装置(2)の受電経路に接続されており、生成された補償電流は受電経路に出力される。
−第1制御器(412)−
図2は、第1制御器(412)の構成例を示すブロック図である。第1制御器(412)は、第1電流源(411)の出力電流を制御する。この例では、第1制御器(412)は、ゲートパルス発生器(4121)、電流指令演算部(4122)、第1電流演算部(4123)、第2電流演算部(4124)、及び位相検出部(4125)を備えている。第1制御器(412)は、例えば、マイクロコンピュータと、それを動作させるためのプログラムを格納したメモリディバイスを用いて構成することができる。
位相検出部(4125)は、受電経路における電源電圧(Vrs)の位相を検出する。位相検出部(4125)は、求めた電源位相を第1電流演算部(4123)及び第2電流演算部(4124)に送信する。
第1電流演算部(4123)は、電流検出器(3a,3b)によって検出された負荷電流(Irf,Itf)を入力としている。第1電流演算部(4123)は、負荷電流(Irf,Itf)と、位相検出部(4125)によって検出された電源位相とに基づいて、交流電源(1)と電力変換装置(2)を結ぶ受電経路における高調波電流の補償(高調波電流の低減)と、基本波の無効成分の補償(基本波の力率改善)との双方を行うために必要な電流(第1の電流値(i1)とする)を求め、第1の電流値(i1)を電流指令演算部(4122)に出力する。
第2電流演算部(4124)は、電流検出器(413a,413b)によって検出された電流(Ir1a,It1a)を入力としている。電流(Ir1a,It1a)は、第1アクティブフィルタ装置(41)に入力される電流である。第2電流演算部(4124)は、電流(Ir1a,It1a)と、位相検出部(4125)で検出された電源位相とに基づいて、第2の電流値(i2)を演算する。この第2の電流値(i2)は、現時点において、高調波電流の補償(高調波電流の低減)と、基本波の無効成分の補償(基本波の力率改善)の双方を行う場合に、第1アクティブフィルタ装置(41)に流れ込む電流である。第2電流演算部(4124)では、第2の電流値(i2)を相毎に演算しており、第2電流演算部(4124)は、第2の電流値(i2)を相毎にゲートパルス発生器(4121)に出力する。
電流指令演算部(4122)は、第1の電流値(i1)の逆位相の電流を演算して、その値を電流指令値(Iref1)としてゲートパルス発生器(4121)に出力する。
ゲートパルス発生器(4121)では、第1電流源(411)が出力する電流値(第2の電流値(i2))と電流指令値(Iref1)とが一致するようにスイッチング指令値(G)を生成して第1電流源(411)に出力する。スイッチング指令値(G)は、第1電流源(411)を構成するインバータ回路におけるスイッチングを指示するものである。本実施形態では、ゲートパルス発生器(4121)は、第1電流源(411)の出力電流値(第2の電流値(i2))と電流指令値(Iref1)との偏差に基づいてスイッチング指令値(G)を生成する動作を繰り返すフィードバック制御を行う。それにより、第1電流源(411)からは、電流指令値(Iref1)に相当する電流(補償電流)が受電経路に供給される。
−第2制御器(422)−
図3は、第2制御器(422)の構成例を示すブロック図である。第2制御器(422)は、第2電流源(421)の出力電流を制御する。この例では、第2制御器(422)は、ゲートパルス発生器(4221)、電流指令演算部(4222)、第1電流演算部(4223)、第2電流演算部(4224)、位相検出部(4225)、及び動作開始判断部(4226)を備えている。第2制御器(422)も、例えば、マイクロコンピュータと、それを動作させるためのプログラムを格納したメモリディバイスを用いて構成することができる。
位相検出部(4225)は、受電経路における電源電圧(Vrs)の位相を検出する。位相検出部(4225)は、この電源位相を第1電流演算部(4223)及び第2電流演算部(4224)に送信する。
第1電流演算部(4223)は、電流検出器(3a,3b)によって検出された負荷電流(Irf,Itf)を入力としている。第1電流演算部(4223)は、負荷電流(Irf,Itf)と、位相検出部(4225)によって検出された電源位相とに基づいて、交流電源(1)と電力変換装置(2)とを結ぶ受電経路における高調波電流の補償(高調波電流の低減)と、基本波の無効成分の補償(基本波の力率改善)との双方を行うために必要な電流(第3の電流値(i3)とする)を求め、第3の電流値(i3)を電流指令演算部(4222)、及び動作開始判断部(4226)に出力する。
第2電流演算部(4224)は、電流検出器(423a,423b)によって検出された電流(Ir2a,It2a)を入力としている。電流(Ir2a,It2a)は、第1アクティブフィルタ装置(41)に入力される電流である。第2電流演算部(4224)は、電流(Ir2a,It2a)と、位相検出部(4125)で検出された電源位相とに基づいて、第4の電流値(i4)を演算する。この第4の電流値(i4)は、現時点において、高調波電流の補償(高調波電流の低減)と、基本波の無効成分の補償(基本波の力率改善)の双方を行う場合に、第2アクティブフィルタ装置(42)に流れ込む電流である。第2電流演算部(4224)では、第4の電流値(i4)を相毎に演算しており、第2電流演算部(4224)は、第4の電流値(i4)を相毎にゲートパルス発生器(4121)に出力する。
電流指令演算部(4222)は、第3の電流値(i3)の逆位相の電流を演算して、その値を電流指令値(Iref2)としてゲートパルス発生器(4221)に出力する。
動作開始判断部(4226)は、動作開始電流設定部(4227)と比較器(4228)とを備えている。動作開始判断部(4226)では、第3の電流値(i3)に基づいて、第2電流源(421)を動作させるか否かを決める。この例では、動作開始判断部(4226)は、第3の電流値(i3)が所定の閾値(Thi)を超えた場合に第2電流源(421)の動作を許可する動作開始信号(S)をゲートパルス発生器(4221)に出力するように構成されている。本実施形態では、閾値(Thi)は、空気調和の最大負荷における負荷電流(Irf,Itf)の半分よりもやや小さな値である。閾値(Thi)は、動作開始電流設定部(4227)に設定されている。動作開始判断部(4226)では、閾値(Thi)と、第3の電流値(i3)とが比較器(4228)において比較される。第3の電流値(i3)の値が閾値(Thi)を超えると、比較器(4228)からゲートパルス発生器(4221)に、動作開始信号(S)が出力される。
ゲートパルス発生器(4221)では、動作開始判断部(4226)から動作開始信号(S)が入力されている場合に、第2アクティブフィルタ装置(42)に入力される各相の第4の電流値(i4)が電流指令値(Iref2)に一致するようにスイッチング指令値(G)を生成して第2電流源(421)に出力する。スイッチング指令値(G)は、第2電流源(421)を構成するインバータ回路におけるスイッチングを指示するものである。本実施形態では、ゲートパルス発生器(4221)は、第2電流源(421)の出力電流値(第4の電流値(i4))と電流指令値(Iref2)との偏差に基づいてスイッチング指令値(G)を生成する動作を繰り返すフィードバック制御を行う。それにより、第2電流源(421)からは、電流指令値(Iref2)に相当する電流(補償電流)が受電経路に供給される。
〈空気調和装置(5)の動作〉
空気調和装置(5)が起動すると、各アクティブフィルタ装置(41,42)の制御器(412,422)も動作を開始する。それにより、第1アクティブフィルタ装置(41)では、第1電流演算部(4123)が第1の電流値(i1)を算出し、第2電流演算部(4124)が第2の電流値(i2)を算出する。第2の電流値(i2)が求められると、第1アクティブフィルタ装置(41)の第1電流源(411)からは、補償電流が出力される。
このとき、例えば、空気調和装置(5)における負荷が最大負荷の1/2よりも十分に小さい場合には、負荷電流(Irf,Itf)が小さく、第2制御器(422)の第1電流演算部(4223)が算出する第3の電流値(i3)の値は閾値(Thi)よりも小さい。そのため、第2アクティブフィルタ装置(42)では、動作開始判断部(4226)からは動作開始信号(S)が出力されない。したがって、第2アクティブフィルタ装置(42)の第2電流源(421)からは補償電流が出力されない。つまり、第2アクティブフィルタ装置(42)は、休止状態である。
また、空気調和装置(5)の負荷が最大負荷の1/2以上になると、第1アクティブフィルタ装置(41)は、最大出力状態となる。このとき、第2アクティブフィルタ装置(42)では、第2制御器(422)の第1電流演算部(4223)が算出する第3の電流値(i3)の値が閾値(Thi)よりも大きくなる。そのため、動作開始判断部(4226)から動作開始信号(S)が出力されて、第2アクティブフィルタ装置(42)の第2電流源(421)から補償電流が出力される。
このように、アクティブフィルタシステム(4)が動作することで、適切な補償電流が出力され、空気調和装置(5)では、電力変換装置(2)に流れる電流に含まれている高調波成分と補償電流とが相殺される。したがって、交流電源(1)から流れる電流は高調波電流が除去された正弦波となり、力率も改善される。
以上の通り、本実施形態では、空気調和装置(5)において、複数台(この例では2台)のアクティブフィルタ装置(41,42)を用いるとともに、ひとつのアクティブフィルタ装置(41)を他よりも優先的に稼働(補償電流を出力)させている。一般的に空気調和装置(5)は、最大負荷の状態で使用されることよりも中間の負荷で使用されることが多い。すなわち、アクティブフィルタシステム(4)としては、能力(容量)が余剰となる期間が多いと考えられる。そのため、アクティブフィルタシステム(4)を空気調和装置(5)に組み合わせて使用する場合には、ひとつのアクティブフィルタ装置(41)を他に優先して稼働させることが可能になる。
〈本実施形態における効果〉
補償電流を流す場合に、例えば、同容量の2台のアクティブフィルタ装置をそれぞれ50%の出力で動作せせるよりも、これらの2台のうちの1台のアクティブフィルタ装置に100%の出力をさせた方が効率はよい。それは、電流源を構成するスイッチング素子は、許容される最大電流を流した場合に効率が最もよくなるように設計されるのが一般的だからである。本実施形態では、第1アクティブフィルタ装置(41)を優先的に稼働させており、第1アクティブフィルタ装置(41)が最大電流乃至はそれに近い大きさの電流で利用される可能性が高い。これにより、本実施形態では、効率のよい状態でアクティブフィルタシステム(4)を運用することが可能になる。
また、本実施形態では、第2電流源(421)は、常に動作する必要がないため、第1電流源(411)と第2電流源(421)とで共通の放熱器を利用するように構成できる。そのため、冷却構造をを簡略化できる効果がある。例えば、図4は、空気調和装置(5)の冷媒回路に流れる冷媒(流動する熱媒体)によって第1及び第2電流源(411,421)を冷却する例である。この例では、空気調和装置(5)の冷媒回路において冷媒を循環させるために用いられている冷媒配管を利用している。図4の例では、第1及び第2アクティブフィルタ装置(41,42)を一枚の基板(6)に構成して、冷媒配管(71)と、該冷媒配管(71)が通った冷媒冷却用ヒートシンク(72)で第1及び第2電流源(411,421)を冷却する構成としている。冷媒冷却用ヒートシンク(72)は、本発明の放熱器の一例である。この構成は、常に動作する第1電流源(411)を、より冷たい冷媒が通る側に配置することが特徴である。
また、図5には、第1アクティブフィルタ装置(41)と第2アクティブフィルタ装置(42)とを別個の基板(61,62)上に構成した場合における冷却構造を例示する。この例でも、冷媒配管(71)、該冷媒配管(71)が通った冷媒冷却用ヒートシンク(72)で第1及び第2電流源(411,421)を冷却する構成としている。この構成でも、常に動作する第1電流源(411)を、より冷たい冷媒が通る側に構成することが特徴である。
また、図6は、第1及び第2電流源(411,421)を共通の空冷装置(73)で冷却する空冷構造を例示している。この空冷装置(73)は、本発明の放熱器の一例である。空冷装置(73)は、冷却用ファン(8)と空冷用ヒートシンク(9)とを備えている。この空冷装置(73)では、図6に示すように、第1電流源(411)と第2電流源(421)とで空冷用ヒートシンク(9)を共用し、空冷用ヒートシンク(9)に1台の冷却用ファン(8)で冷却用空気(流動する熱媒体)を送風している。この例では、冷却用ファン(8)は、図6に示すように、常に動作する第1電流源(411)を、より強い冷たい風が通る側に配置して、第2電流源(421)は、第1電流源(411)よりも冷却用ファン(8)から遠い位置に配置したことを特徴としている。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2では、第2アクティブフィルタ装置(42)の稼働(補償電流の出力)の要否を電力(P)に基づいて判断する例を説明する。図7に、本発明の実施形態2の空気調和装置(5)の構成をブロック図で示す。本実施形態でも、第1アクティブフィルタ装置(41)の容量と、第2アクティブフィルタ装置(42)の容量は同じである。なお、以下では、実施形態1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。
本実施形態では、第2アクティブフィルタ装置(42)の構成が実施形態1と異なっている。図7に示すように、本実施形態の第2アクティブフィルタ装置(42)は、実施形態1の第2アクティブフィルタ装置(42)が備える第2制御器(422)を、第2制御器(432)に置き換えたものである。図8は、本実施形態の第2制御器(432)の構成を示すブロック図である。この第2制御器(432)では、実施形態1の第2制御器(422)が備える動作開始判断部(4226)に代えて、動作開始判断部(4321)が設けられている。
動作開始判断部(4321)は、電力変換装置(2)に供給される電力(P)に基づいて第2電流源(421)の動作可否を判断する。具体的には、動作開始判断部(4321)は、掛け算器(4322)、比較器(4323)、及び動作開始電力設定部(4324)を備えている。この掛け算器(4322)は、電源電圧(Vrs)と負荷電流(Irf,Itf)とを掛けることにより電力変換装置(2)の電力(P)を演算する。動作開始判断部(4321)では、閾値(Thp)と、電力(P)の値とが比較器(4323)において比較される。閾値(Thp)は、動作開始電力設定部(4324)に設定されている。この構成によって、動作開始判断部(4321)では、電力(P)の値が閾値(Thp)を超えると、比較器(4323)から動作開始信号(S)がゲートパルス発生器(4221)に出力される。つまり、動作開始判断部(4321)では、電力変換装置(2)の電力(P)に応じて、第2電流源(421)の動作の要否を決めている。
〈空気調和装置(5)の動作〉
以上の構成でも、第1アクティブフィルタ装置(41)からは、補償電流が出力され、その際、電力(P)の値が閾値(Thp)よりも小さい場合には、第2アクティブフィルタ装置(42)からは補償電流は出力されない。すなわち、第2アクティブフィルタ装置(42)は、休止状態である。また、電力(P)の値が閾値(Thp)よりも大きい場合には、第1及び第2アクティブフィルタ装置(41,42)の双方から補償電流が出力される。
〈本実施形態における効果〉
本実施形態でも、ひとつのアクティブフィルタ装置(41)を他よりも優先的に稼働させており、効率のよい状態でアクティブフィルタシステム(4)を運用することが可能になる。すなわち、本実施形態でも、実施形態1と同様の効果を得ることが可能になる。
また、本実施形態は、交流電源(1)の電圧低下が懸念される場合に有用である。例えば、交流電源(1)の電圧が低下した場合に、電力変換装置(2)が電圧低下前と同じ電力(P)を発生しているとすれば、電力変換装置(2)では、電圧低下分の電流が増加することになる。そのため、電流値で第2アクティブフィルタ装置(42)の動作要否を判断すると、第1アクティブフィルタ装置(41)のみで補償電流を賄える場合に、第2アクティブフィルタ装置(42)が稼働する可能性がある。それに対して本実施形態では、電力変換装置(2)の電力(P)の大きさで第2電流源(421)の動作要否を判断するので、電力変換装置(2)の電流値が変動する場合においても、確実に、第2アクティブフィルタ装置(42)の動作要否を判断することが可能になる。
《発明の実施形態3》
図9は、本発明の実施形態3の空気調和装置(5)の構成例を示すブロック図である。この空気調和装置(5)も、圧縮機を有した冷媒回路(図示を省略)、電力変換装置(2)、及びアクティブフィルタシステム(4)を備えている。以下では、実施形態1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。
本実施形態のアクティブフィルタシステム(4)では、第1アクティブフィルタ装置(41)、第2アクティブフィルタ装置(42)、及び第3アクティブフィルタ装置(43)の3台が並列接続されている。第3アクティブフィルタ装置(43)は、第2アクティブフィルタ装置(42)と同様の構成要素を備えている。本実施形態でも第1、第2、及び第3アクティブフィルタ装置(41,42,43)の容量は、同容量である。より詳しくは、3台のアクティブフィルタ装置(41,42,43)の全てを最大出力の状態に制御した場合に、空気調和装置(5)の負荷最大時における高調波電流を打ち消すことができるように容量が設定されている。
そして、第2アクティブフィルタ装置(42)と第3アクティブフィルタ装置(43)は、ともに第2制御器(422)を備えている。ただし、動作開始電流設定部(4227)に設定される閾値(Thi)は、第2アクティブフィルタ装置(42)の閾値(Thi)≦第3アクティブフィルタ装置(43)の閾値(Thi)となるように設定されている。この例では、第2アクティブフィルタ装置(42)の閾値(Thi)は、空気調和の最大負荷における負荷電流(Irf,Itf)の1/3よりもやや小さな値である。また、第3アクティブフィルタ装置(43)の閾値(Thi)は、空気調和の最大負荷における負荷電流(Irf,Itf)の2/3よりもやや小さな値である。
この閾値(Thi)の設定により、第1アクティブフィルタ装置(41)のみで補償電流を賄えなくなる少し前の段階では第2アクティブフィルタ装置(42)が稼働し、第3アクティブフィルタ装置(43)は休止する。そして、第1及び第2アクティブフィルタ装置(41,42)の両方でも補償電流を賄えなくなる少し前の段階で第3アクティブフィルタ装置(43)が稼働するように制御される。
〈本実施形態における効果〉
本実施形態の第1、第2、及び第3アクティブフィルタ装置(41,42,43)は、同容量に構成されている。そして、第1アクティブフィルタ装置(41)を第2、及び第3アクティブフィルタ装置(42,43)よりも優先的に稼働させている。また、第2アクティブフィルタ装置(42)は、第3アクティブフィルタ装置(43)よりも優先的に稼働する。そのため、本実施形態でも、効率のよい状態でアクティブフィルタシステム(4)を運用することが可能になる。したがって、本実施形態でも、実施形態1と同様の効果を得ることが可能になる。
《発明の実施形態4》
本発明の実施形態4では、第2アクティブフィルタ装置(42)の稼働(補償電流の出力)の要否を力率(Pf)に基づいて判断する例を説明する。図10に、実施形態4の空気調和装置(5)の構成をブロック図で示す。この空気調和装置(5)も、圧縮機を有した冷媒回路(図示を省略)、電力変換装置(2)、及びアクティブフィルタシステム(4)を備えている。以下では、実施形態1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。
本実施形態のアクティブフィルタシステム(4)も基本波力率改善の機能を有する。この例では、アクティブフィルタシステム(4)は、第1アクティブフィルタ装置(51)と第2アクティブフィルタ装置(52)を備えている。アクティブフィルタシステム(4)では、第1及び第2アクティブフィルタ装置(51,52)が、基本波の無効成分も補償する補償電流を流すことで、高調波電流の補償(高調波電流の低減)とともに、基本波の力率改善が行われるように構成されている。
この力率改善等を実現するため、第1アクティブフィルタ装置(51)は、図10に示すように、第1電流源(511)、第1制御器(512)、電圧検出器(514)、及び電流検出器(513a,513b)を備えている。また、第2アクティブフィルタ装置(52)は、第2電流源(521)、第2制御器(522)、電圧検出器(524)、及び電流検出器(523a,523b)を備えている。
電圧検出器(514,524)は、それぞれ電源電圧(Vrs)を検出する。2つの電流検出器(513a,513b)は、第1アクティブフィルタ装置(51)へ入力される電流の値(電流(Ir1a,It1a))を検出する。また、2つの電流検出器(523a,523b)は、第2アクティブフィルタ装置(52)へ入力される電流の値(電流(Ir2a,It2a))を検出する。なお、図10では、第1及び第2アクティブフィルタ装置(51,52)のそれぞれには、電流検出器(513a,513b,523a,523b)を2相分だけ設けた例を記載しているが、電流検出器を3相にそれぞれ設置して、3相の電流を検出する構成でも問題ない。また、各電流検出器(513a,513b,523a,523b)の構成は、特に限定はないが、例えばカレントトランスを採用することなどが考えられる。なお、各電流検出器(513a,513b,523a,523b)と制御器(512,522)との間の信号の伝送は、有線方式で構成してもよいし、無線方式で構成してもよい。
空気調和装置(5)には、電流検出器(6a,6b)も設けられている。具体的に、電流検出器(6a,6b)は、アクティブフィルタ装置(51,52)と交流電源(1)とを接続する受電経路に設けられ、交流電源(1)に流れる電流の値(電源電流(Irs,Its))を検出する。電流検出器(6a,6b)の構成には、特に限定はないが、例えばカレントトランスを採用することなどが考えられる。これらの電流検出器(6a,6b)による検出値は、第1制御器(512)及び第2制御器(522)にそれぞれ送信される。これらの電流検出器(6a,6b)は、各制御器(512,522)に対して、有線方式で検出値を送信するように構成してもよいし、無線方式で検出値を送信するように構成してもよい。
電流検出器(6a,6b)の検出値を無線方式で各制御器(512,522)に送信するように構成した場合には、有線の工事が削減できる。また、電流検出器(6a,6b)に流れる電流により電流検出器を貫く磁束が時間に対して変化する現象を電磁誘導と言うが、無線方式を採用した場合には、その電磁誘導によって生じる起電力である誘導起電力を、電流検出器を駆動させる電源として利用しても良い。そのことにより、電流検出器(6a,6b)は,無線及び無電源で構成でき、工事の手間などを削減できる効果がある。
−電流源(511,521)−
第1及び第2電流源(511,521)は、それぞれ、具体的にはインバータ回路で構成されている。第1及び第2電流源(511,521)は、高調波電流の低減、及び基本波力率改善を行うための電流(すなわち補償電流)を生成する。第1電流源(511)における補償電流の生成を制御するために、第1電流源(511)には、後述するスイッチング指令値(G)が第1制御器(512)から入力されている。同様に、第2電流源(521)には、スイッチング指令値(G)が第2制御器(522)から入力されている。各電流源(511,521)では、スイッチング指令値(G)に応じて、インバータ回路が有するスイッチング素子がスイッチング動作を行って補償電流を生成する。それぞれの電流源(511,521)の出力端子は、電力変換装置(2)の受電経路に接続されており、生成された補償電流は受電経路に出力される。
−第1制御器(512)−
図11に、実施形態4の第1制御器(512)の構成例を示す。第1制御器(512)は、第1電流源(511)の出力電流を制御する。この例では、第1制御器(512)は、ゲートパルス発生器(5121)、電流指令演算部(5122)、第1電流演算部(5123)、第2電流演算部(5124)、位相検出部(5125)、及び負荷電流演算部(5126)を備えている。第1制御器(512)は、例えば、マイクロコンピュータと、それを動作させるためのプログラムを格納したメモリディバイスを用いて構成することができる。第1制御器(512)は、電流検出器(6a,6b)が検出した電源電流(Irs,Its)を入力としている。また、第1制御器(512)は、電流検出器(513a,513b)によって検出された電流(Ir1a,It1a)、すなわち、第1アクティブフィルタ装置(51)に入力される電流値を入力としている。
位相検出部(5125)は、前記受電経路における電源電圧(Vrs)の位相を検出し、これを第1電流演算部(5123)及び第2電流演算部(5124)に送信する。
第1電流演算部(5123)は、位相検出部(5125)によって検出された位相と電流検出器(6a,6b)によって検出された電源電流(Irs,Its)とに基づいて、交流電源(1)に繋がる受電経路における高調波電流の補償(高調波電流の低減)と、基本波の無効成分の補償(基本波の力率改善)の双方を行うために必要な電流の大きさを示す値(第1の電流値(i1)とする)を求め、第1の電流値(i1)を負荷電流演算部(5126)に出力する。
第2電流演算部(5124)は、位相検出部(5125)によって検出された位相と電流検出器(513a,513b)によって検出された電流(Ir1a,It1a)とに基づいて、第2の電流値(i2)を演算する。第2の電流値(i2)は、現時点において、高調波電流の補償(高調波電流の低減)と、基本波の無効成分の補償(基本波の力率改善)の双方を行う場合に第1アクティブフィルタ装置(51)に流れ込む電流である。第2電流演算部(5124)は、第2の電流値(i2)を負荷電流演算部(5126)に出力する。
負荷電流演算部(5126)は,電力変換装置(2)に流れる電流値を演算して電流指令演算部(5122)に出力する。電力変換装置(2)に流れる電流値は、交流電源(1)に流れる各相の電流(Irs,Iss,Its)から第1アクティブフィルタ装置(51)に入力される各相の電流(Ir1a,Is1a,It1a)を減算することにより求めることができる。電流指令演算部(5122)は、負荷電流演算部(5126)で演算された電流の逆位相の電流を演算して、その値を電流指令値(Iref1)としてゲートパルス発生器(5121)に出力する。
−第2制御器(522)−
図12に、実施形態4の第2制御器(522)の構成例を示す。第2制御器(522)は、第2電流源(521)の出力電流を制御する。第2制御器(522)は、ゲートパルス発生器(5221)、電流指令演算部(5222)、第1電流演算部(5223)、第2電流演算部(5224)、位相検出部(5225)、負荷電流演算部(5226)、及び動作開始判断部(5227)を備えている。第2制御器(522)は、例えば、マイクロコンピュータと、それを動作させるためのプログラムを格納したメモリディバイスを用いて構成することができる。第2制御器(522)は、電流検出器(6a,6b)が検出した電源電流(Irs,Its)を入力としている。また、第2制御器(522)は、電流検出器(523a,523b)によって検出された電流(Ir2a,It2a)、すなわち、第2アクティブフィルタ装置(52)に入力される電流値を入力としている。
第2制御器(522)を構成する位相検出部(5225)、第1電流演算部(5223)、電流指令演算部(5222)、第2電流演算部(5224)、負荷電流演算部(5226)、ゲートパルス発生器(5221)は、第1アクティブフィルタ装置(51)の第1電流源(511)が備える、位相検出部(5125)、第1電流演算部(5123)、電流指令演算部(5122)、第2電流演算部(5124)、負荷電流演算部(5126)、及びゲートパルス発生器(5121)とそれぞれ同様の構成である。なお、ここでは、第1電流演算部(5223)が算出した電流値を第3の電流値(i3)、第2電流演算部(5224)が算出した電流値を第4の電流値(i4)とそれぞれ命名する。また、電流指令演算部(5222)が求めた電流指令値を電流指令値(Iref2)と命名する。
本実施形態の第2制御器(522)は、動作開始判断部(5227)に特徴がある。動作開始判断部(5227)は、交流電源(1)の受電経路における力率(Pf)が所定の閾値(Thpf)を下回った場合に、第2電流源(521)の動作を許可する動作開始信号(S)をゲートパルス発生器(5221)に出力するように構成されている。具体的に、動作開始判断部(5227)は、力率計算部(5228)、動作開始力率設定部(5229)、及び比較器(5230)を備えている。
力率計算部(5228)には、電圧検出器(524)が検出した電源電圧(Vrs)と、電流検出器(6a)が検出した電源電流(Irs)の値が入力されている。力率計算部(5228)は、電源電圧(Vrs)と電源電流(Irs)とから交流電源(1)の受電経路における力率(Pf)を計算する。この力率(Pf)は、比較器(5230)において閾値(Thpf)と比較される。閾値(Thpf)は、動作開始力率設定部(5229)に設定されている。力率(Pf)が閾値(Thpf)を下回ると、比較器(5230)からは、動作開始信号(S)がゲートパルス発生器(5221)に出力される。
ゲートパルス発生器(5221)では、動作開始判断部(5227)から動作開始信号(S)が入力されている場合に、第2アクティブフィルタ装置(52)に入力される各相の第4の電流値(i4)が電流指令値(Iref2)に一致するようにスイッチング指令値(G)を生成して第2電流源(421)に出力する。スイッチング指令値(G)は、第2電流源(421)を構成するインバータ回路におけるスイッチングを指示するものである。本実施形態では、ゲートパルス発生器(5221)は、第2電流源(521)の出力電流値(第4の電流値(i4))と電流指令値(Iref2)との偏差に基づいてスイッチング指令値(G)を生成する動作を繰り返すフィードバック制御を行う。それにより、第2電流源(521)からは、電流指令値(Iref2)に相当する電流(補償電流)が受電経路に供給される。
〈空気調和装置(5)の動作〉
以上の構成でも、第1アクティブフィルタ装置(51)からは、補償電流が出力され、その際、力率(Pf)が閾値(Thpf)以上の場合には、第2アクティブフィルタ装置(52)からは補償電流は出力されない。すなわち、第2アクティブフィルタ装置(42)は、休止状態である。また、力率(Pf)が閾値(Thpf)を下回った場合には、第1及び第2アクティブフィルタ装置(51,52)の双方から補償電流が出力される。このように補償電流が出力されると、空気調和装置(5)では、電力変換装置(2)に流れる電流に含まれている高調波成分と補償電流とが相殺される。したがって、交流電源(1)から流れる電流は高調波電流が除去された正弦波となり、力率も改善される。
〈本実施形態における効果〉
本実施形態でも、ひとつのアクティブフィルタ装置(41)を他よりも優先的に稼働させており、効率のよい状態でアクティブフィルタシステム(4)を運用することが可能になる。すなわち、本実施形態でも、実施形態1と同様の効果を得ることが可能になる。
《その他の実施形態》
なお、優先的に動作させるアクティブフィルタ装置は、ローテーションさせてもよい。例えば、定期的に、第1アクティブフィルタ装置(41)として動作するものと、第2アクティブフィルタ装置(42)として動作するものを入れ替えることが考えられる。このようなローテーションを行うには、それぞれのアクティブフィルタ装置に動作開始判断部を設けておくとよい。こうすることで、各アクティブフィルタ装置の稼働時間が均等化される。すなわち、各アクティブフィルタ装置の劣化度合いが均一化される。
また、アクティブフィルタシステムを構成するアクティブフィルタ装置の台数は例示である。例えば、4台以上のアクティブフィルタ装置を用いてアクティブフィルタシステムを構成してもよい。
また、各アクティブフィルタ装置(41,42,43)は、同容量でなくてもよい。
また、アクティブフィルタシステムの用途は、空気調和装置には限定されない。
また、各アクティブフィルタ装置は、基本波力率改善機能を必ずしも備える必要はない。すなわち、アクティブフィルタ装置は、高調波電流の低減機能のみを有する構成でもよい。また、アクティブフィルタ装置は、基本波力率改善機能のみを有する構成とすることも可能である。
また、ビル等には、電力の使用量等の情報を電力会社などに送信する、いわゆるスマートメータが用いられる場合がある。そのような場合には、電流検出器(6a,6b)としてスマートメータを利用してもよい。
本発明は、アクティブフィルタシステム、空気調和装置として有用である。
2 高調波発生負荷器
4 アクティブフィルタシステム
41 第1アクティブフィルタ装置
42 第2アクティブフィルタ装置
43 第3アクティブフィルタ装置
72 冷媒冷却用ヒートシンク(放熱器)
73 空冷装置(放熱器)

Claims (9)

  1. 高調波発生負荷器(2)に出力が接続され、該高調波発生負荷器(2)の高調波電流の低減及び基本波力率の改善の少なくとも一方を行うための補償電流を出力可能な第1及び第2アクティブフィルタ装置(41,42)を備え、
    前記第2アクティブフィルタ装置(42)は、前記第1アクティブフィルタ装置(41)の出力が上限に達し、且つ前記補償電流の供給が更に必要な場合に稼働することを特徴とするアクティブフィルタシステム。
  2. 請求項1において、
    前記第1アクティブフィルタ装置(41)と前記第2アクティブフィルタ装置(42)とは容量が同じであることを特徴とするアクティブフィルタシステム。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記高調波発生負荷器(2)は、電力変換装置であることを特徴とするアクティブフィルタシステム。
  4. 請求項1から請求項3の何れかにおいて、
    前記補償電流を出力可能で且つ前記第1アクティブフィルタ装置(41)と容量が同じである、別のアクティブフィルタ装置(43)を更に1又は2台以上備え、
    前記別のアクティブフィルタ装置(43)は、前記第2アクティブフィルタ装置(42)の出力が所定値を超えた場合に稼働することを特徴とするアクティブフィルタシステム。
  5. 請求項1から請求項4の何れかにおいて、
    全アクティブフィルタ装置の中から、前記第1アクティブフィルタ装置(41)として機能するものを順次ローテーションさせて選択することを特徴とするアクティブフィルタシステム。
  6. 請求項1から請求項5の何れかのアクティブフィルタシステムを備えたことを特徴とする空気調和装置。
  7. 請求項6において、
    前記第1及び第2アクティブフィルタ装置(41,42)は、共通の放熱器(72,73)で冷却されることを特徴とする空気調和装置。
  8. 請求項7において、
    前記放熱器(72,73)は、第1及び第2アクティブフィルタ装置(41,42)の熱を、流動する熱媒体と熱交換させるように構成されており、
    前記第1アクティブフィルタ装置(41)は、前記第2アクティブフィルタ装置(42)よりも前記熱媒体の下流側において放熱するように、前記放熱器(72,73)が取り付けられていることを特徴とする空気調和装置。
  9. 請求項8において、
    前記熱媒体は、該空気調和装置の冷媒であることを特徴とする空気調和装置。
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