JP2018191375A - アクティブフィルタ装置、及びそれを用いた空気調和装置 - Google Patents

アクティブフィルタ装置、及びそれを用いた空気調和装置 Download PDF

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Abstract

【課題】新たな設備を追加せずに、ビル等における力率を改善する。【解決手段】力率を改善するための補償電流(Ic)を、高調波発生機器(10)が接続された電力系統に流す電流源(110)を設ける。電力系統から高調波発生機器(10)に流れる電流の負荷電流(ir1,it1)に、高調波発生機器(10)以外の機器(20,200)における無効電流に相当する設定値(iq2*)を上乗せして補償電流(Ic)の大きさを求める力率制御器(120)を設ける。【選択図】図1

Description

本発明は、アクティブフィルタ装置、及びそれを用いた空気調和装置に関するものである。
一般的に、ビル、工場、マンション等(以下、ビル等)は、商用電源に接続され、商用電源から供給された電力によって、種々の負荷(空気調和装置やエレベータなど)が稼働している。ビル等に設置される空気調和装置では、高調波電流が電力系統(例えば商用電源を含む電力系統)に流出するのを防止するために、アクティブフィルタ装置が設けられる場合がある(例えば特許文献1を参照)。
特開2016−116330号公報
空気調和装置が接続される電力系統には、該空気調和装置以外の負荷器(例えばインバータ回路などを有した機器。一例としてエレベータなど)も接続される場合があり、空気調和装置以外の負荷器が高調波電流の発生源となることがある。その場合には、空気調和装置の高調波電流の対策を行うのみでは不十分であり、他の機器を含めて高調波電流の対策が望まれる。また、設備容量の低減や省エネルギーの観点などから、基本波力率の改善が求められる。それに対しては、設備全体における電流を把握し、それに見合った電流をアクティブフィルタ装置で供給することが考える。しかしながら、設備全体における電流を把握するには、電流センサなどの追加の設備が必要になりコストがかかってしまう。
本発明は前記の問題に着目してなされたものであり、電流センサなどの新たな設備を追加せずに、ビル等における力率を改善することを目的としている。
前記の課題を解決するため、第1の態様は、
高調波発生機器(10)に接続されたアクティブフィルタ装置において、
力率を改善するための補償電流(Ic)を、前記高調波発生機器(10)が接続された電力系統に流す電流源(110)と、
前記電力系統から前記高調波発生機器(10)に流れる電流の負荷電流(ir1,it1)に、前記高調波発生機器(10)以外の機器(20,200)における無効電流に相当する設定値(iq2*)を上乗せして前記補償電流(Ic)の大きさを求める力率制御器(120)と、
を備えたことを特徴とするアクティブフィルタ装置である。
この構成では、高調波発生機器(10)以外の機器(20,200)における無効電流に相当する電流を含む補償電流(Ic)が流れる。
また、第2の態様は、第1の態様において、
前記設定値(iq2*)は、当該アクティブフィルタ装置が設置される設備全体における無効電流の1/3に相当する値に設定されていることを特徴とするアクティブフィルタ装置である。
また、第3の態様は、第1又は第2の態様において、
前記設定値(iq2*)は、日によって、又は時間帯によって変更されることを特徴とするアクティブフィルタ装置である。
また、第4の態様は、第1から第3の態様の何れかにおいて、
前記高調波発生機器(10)は、空気調和装置であることを特徴とするアクティブフィルタ装置である。
この構成では、空気調和装置による力率悪化の抑制とともに、その他の負荷の影響による力率悪化を抑制できる。
また、第5の態様は、第1から第4の態様の何れかのアクティブフィルタ装置(100)が組み込まれていることを特徴とする空気調和装置である。
また、第6の態様は、第1から第4の態様の何れかのアクティブフィルタ装置(100)を複数台備え、
それぞれのアクティブフィルタ装置(100)で前記補償電流(Ic)を分担して出力することを特徴とする空気調和装置である。
第1の態様や第2の態様によれば、電流センサなどの新たな設備を追加せずに力率を改善することが可能になる。
また、第3の態様によれば、負荷の変動(すなわち無効電流の変動)に柔軟に対応して力率改善を行うことが可能になる。
また、第4の態様によれば、空気調和装置を負荷器として含む電力系統において前記の効果を得ることが可能になる。
また、第5の態様によれば、空気調和装置が有するアクティブフィルタ装置によって前記の効果を得ることが可能になる。
また、第6の態様によれば、大型のアクティブフィルタ装置を用いずに前記の効果を得ることが可能になる。
図1は、本発明の実施形態1に係るアクティブフィルタ装置を示すブロック図である。 図2は、調相設備の構成を模式的に示す。 図3は、本発明の実施形態2に係るアクティブフィルタ装置を示すブロック図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係るアクティブフィルタ装置(100)を示すブロック図である。アクティブフィルタ装置(100)は、ビル、工場、マンション等に設置される。ビル等には、交流電源(30)を含む電力系統から電力が供給されている。この例では、交流電源(30)は、三相の交流電源(商用電源)である。なお、電力系統の送電網には、インピーダンスがある(図1では、交流電源(30)と分電盤(40)(後述)の間に、当該インピーダンスを示すためにコイルの記号を付与してある)。調相設備(200)の存在によって、交流電源(30)から分電盤(40)に電力が入る段階で、電流は進み位相となる傾向があり、当該インピーダンスの存在によって、分電盤(40)での受電電圧は、交流電源よりも高くなる。
また、ビル等には、交流電源(30)に接続されて交流電源(30)からの交流電力を受電する分電盤(40)が設けられている。分電盤(40)は、複数のブレーカを備えており、各ブレーカを介して、交流電源(30)からの交流電力を複数の機器に分配している。この例では、それらのブレーカの1つに空気調和装置(10)が接続されている。空気調和装置(10)は、分電盤(40)を介して供給された交流電力によって稼働する。
具体的に、空気調和装置(10)は、冷媒が循環して冷凍サイクル運転動作を行う冷媒回路(図示省略)を備え、ビル等において室内の冷房や暖房を行う。空気調和装置(10)の冷媒回路は、冷媒を圧縮する圧縮機を備えている。また、空気調和装置(10)は、図1に示すように、コンバータ回路(11)、リアクトル(12)、コンデンサ(13)、インバータ回路(14)、及びモータ(15)を備えている。
コンバータ回路(11)は、交流を直流に変換する回路である。例えばコンバータ回路(11)は、ダイオードブリッジ回路で構成される。コンデンサ(13)は、コンバータ回路(11)の出力を平滑化するものである。また、インバータ回路(14)は、コンデンサ(13)によって平滑化された直流を、所定周波数及び所定電圧を有した交流に変換する。インバータ回路(14)は、具体的には、ブリッジ接続された複数(ここでは6個)のスイッチング素子を備え、入力された直流をスイッチングすることで、直流を交流に変換する。
空気調和装置(10)のモータ(15)は、いわゆるIPMモータ(Interior Permanent Magnet Motor)である。モータ(15)は、前記圧縮機を駆動する。ここで、何らの手当も行わないとすれば、モータ(15)が稼働することにより、電力系統の電流(以下、系統電流(Is))に高調波電流が加わる。すなわち、空気調和装置(10)は、本発明の高調波発生機器の一例である。
また、ビル等には、空気調和装置(10)(高調波発生機器)以外の機器として、調相設備(200)が設けられている。図2に、調相設備(200)の構成を模式的に示す。図2に示すように、調相設備(200)は、直列接続された進相コンデンサ(201)とリアクトル(202)とから成る直列ユニットを3組(3相分)備えている。各直列ユニットは、図2に示すように、分電盤(40)の入力側に設けられている。詳しくは、各直列ユニットは、一端側が交流電源(30)の所定の一相に接続され、他端側が互いに接続されている。なお、以下では、調相設備(200)に流れる電流を進相コンデンサ電流(Isc)と命名する。
〈アクティブフィルタ装置の構成〉
図1に示すように、アクティブフィルタ装置(100)は、電流源(110)、力率制御器(120)、及びPWM制御器(140)を備えている。この例では、アクティブフィルタ装置(100)は、空気調和装置(10)に組み込まれている。アクティブフィルタ装置(100)は、後述の補償電流(Ic)を電源系統に流すことで、力率改善と空気調和装置(10)の高調波抑制とを行う。なお、ここでは、補償電流(Ic)は、一例として、アクティブフィルタ装置(100)から交流電源(30)に向かう方向を正とする。また、系統電流(Is)と補償電流(Ic)の和が、電源系統(交流電源(30))から空気調和装置(10)に流れる電流(負荷電流(I1))と調相設備(200)に流れる進相コンデンサ電流(Isc)との和に等しいものとする。
−電流源(110)−
電流源(110)は、インバータ回路(111)とコンデンサ(113)を備えている。コンデンサ(113)は、例えば電解コンデンサで構成される。インバータ回路(111)は、補償電流(Ic)を入出力することにより、コンデンサ(113)に充放電を行わせる。この例では、インバータ回路(111)は、交流電源(30)に三相のリアクトル(160)を介して接続されている。
本実施形態のインバータ回路(111)では、詳細な図示を省略するが、6つのスイッチング素子(112)がブリッジ接続されている。このインバータ回路(111)は、所定周波数のキャリア信号に同期して、複数のスイッチング素子(112)のスイッチング状態(オンオフ状態)をそれぞれ変化させて、補償電流(Ic)を入出力する。スイッチング素子(112)のオンオフの制御は、PWM制御器(140)が行う。なお、この例では、補償電流(Ic)のリプルを除去する目的で、ローパスフィルタ(150)が、リアクトル(160)と、ブレーカと空気調和装置(10)との接続点との間に設けられている。ローパスフィルタ(150)は、いわゆるLCフィルタである。
−力率制御器(120)−
力率制御器(120)は、電源位相検出器(121)、位相演算部(122)、2つの電流センサ(123,124)、2つのdq変換器(126,127)、ハイパスフィルタ(129)、2つの加算器(130,132)、3つの減算器(131,133,135)、電圧制御器(134)、及び2つの電流制御器(136,137)を備えている。力率制御器(120)の主要部は、具体的には、マイクロコンピュータと、それを動作させるためのソフトウエアが格納されたメモリディバイス等を用いて構成することができる。
電源位相検出器(121)は、交流電源(30)の所定の線間(r相,s相,t相の何れか2つ)に接続され、その線間電圧の位相を検出して位相演算部(122)に出力する。位相演算部(122)は、電源位相検出器(121)が出力した信号(ゼロクロス信号(S1)と呼ぶ)を用いて、電源位相検出器(121)が接続された線間の位相(ωt)を求める。位相演算部(122)は、求めた位相(ωt)をdq変換器(126)、及びdq変換器(127)に出力する。
電流センサ(123)は、負荷電流(I1)を検出する。負荷電流(I1)は三相であるが、電流センサ(123)は、三相のうちの二相分の負荷電流(ir1,it1)を検出している。また、電流センサ(124)は、補償電流(Ic)を検出する。補償電流(Ic)も三相であるが、電流センサ(124)は、三相のうちの二相分の負荷電流を検出している。
なお、負荷電流(I1)、及び補償電流(Ic)は、三相のうちの二相の電流値を検出しておけば、残りの一相の電流値は容易に算出することができるので、各電流センサ(123,124)は、二相分の電流を検出する構成でよい。また、これらの電流センサ(123,124)には種々の構成の電流センサを採用できる。これらの電流センサ(123,124)の一例としては、カレントトランスが挙げられる。
dq変換器(126)は、電流センサ(123)の検出値から求めた負荷電流(I1)(三相)に対して三相/二相変換(dq軸変換)を行う。ここで、d軸及びq軸は、位相演算部(122)で求められた位相(ωt)と同期して回転する回転座標系である。dq変換器(126)の変換結果として得られたd軸成分は、空気調和装置(10)における有効電流である。dq変換器(126)は、d軸成分をハイパスフィルタ(129)に出力する。また、dq変換器(126)の変換結果として得られたq軸成分(以下、q軸成分(iq1*))は、空気調和装置(10)における無効電流である。dq変換器(126)は、q軸成分(iq1*)を加算器(130)に出力する。
加算器(130)には、設定値(iq2*)も入力されている。加算器(130)は、この設定値(iq2*)とq軸成分(iq1*)とを加算した値(以下、q軸電流指令値(iq*))を生成する。q軸電流指令値(iq*)は、減算器(131)に出力されている。
加算器(130)に入力される設定値(iq2*)は、力率が最もよくなるように、チューニングされている。ここでは、設定値(iq2*)は、電力系統に設置されている調相設備(200)の容量に応じて決定された所定の遅れ位相成分である。具体的に、本実施形態では、設定値(iq2*)のチューニングに際して、まず、分電盤(40)よりも下流側に繋がる空気調和装置(10)等の負荷器の種々の運転状況における電流値(無効電流)や、進相コンデンサ電流(Isc)の大きさを実際に確認している。そして、確認の結果に基づいて、アクティブフィルタ装置(100)が設置されたビル等において想定される無効電流の値の1/3に相当する値に設定値(iq2*)を定めてある。なお、本実施形態では、設定値(iq2*)は、力率制御器(120)に繋がる操作盤を用いて、ユーザが入力できるようになっている。勿論、設定値(iq2*)の入力方法はこれに限定されるものではない。
dq変換器(127)は、電流センサ(124)の検出値から求めた補償電流(Ic)に対して三相/二相変換を行って、有効電流であるd軸成分(以下、d軸電流(id)と呼ぶ)と、無効電流であるq軸成分(以下、q軸電流(iq)と呼ぶ)とを求める。d軸電流(id)は、減算器(135)に出力される。また、q軸電流(iq)は、減算器(131)に出力される。
ハイパスフィルタ(129)は、dq変換器(126)が出力した負荷電流(I1)のd軸成分から直流成分を除去して、加算器(132)に出力する。dq変換器(126)の出力は、負荷電流(I1)に高調波成分が無ければ直流となる。これは、負荷電流(I1)のうちで交流電源(30)の位相と同期する成分が直流として現れるからである。すなわち、ハイパスフィルタ(129)は、負荷電流(I1)のd軸成分に含まれる高調波成分のみを加算器(132)に出力する。
補償電流(Ic)におけるd軸成分及びq軸成分のそれぞれが、負荷電流(I1)の高調波成分と一致するように、補償電流(Ic)を流したとすれば、負荷電流(I1)の高調波成分を打ち消すことができる(以下、このように、所定の成分が打ち消されるように電流を流すことを補償と呼ぶ)。すなわち、ハイパスフィルタ(129)の出力は、補償電流(Ic)のd軸成分(d軸電流(id))の指令値(d軸電流指令値(id*))の生成に用いることができる。
なお、この例では、d軸電流指令値(id*)として、ハイパスフィルタ(129)の出力をそのまま用いるのではなく、コンデンサ(113)の端子間電圧(以下、直流電圧(Vdc))の変動に対応するための修正が行われている。具体的に力率制御器(120)では、まず、減算器(133)によって、コンデンサ(113)の直流電圧(Vdc)とその指令値(Vdc*)との偏差が求められる。電圧制御器(134)は、減算器(133)によって求められた偏差に基づいて比例積分制御を行って修正値を求める。この修正値は、加算器(132)においてハイパスフィルタ(129)の出力と加算され、加算結果がd軸電流指令値(id*)として出力される。これにより、直流電圧(Vdc)の変動の影響が低減される。
減算器(135)は、d軸電流(id)をd軸電流指令値(id*)から差し引いた偏差(Δid)を求め、偏差(Δid)を電流制御器(136)に出力する。また、減算器(131)は、q軸電流指令値(iq*)からq軸電流(iq)を減算した値(以下、偏差(Δiq)と呼ぶ)を求め、偏差(Δiq)を電流制御器(137)に出力する。
電流制御器(136)は、偏差(Δid)に基づいてフィードバック制御(例えば、いわゆるPID制御)等のアルゴリズムを利用することによって、二相の電圧指令値のうちの1つであるd軸電圧指令値(Vid)を出力する。また、電流制御器(137)は、偏差(Δiq)に基づいてフィードバック制御(例えば、いわゆるPID制御)等のアルゴリズムを利用することによって、二相の電圧指令値のうちの1つであるq軸電圧指令値(Viq)を出力する。
−PWM制御器(140)−
PWM制御器(140)は、d軸電圧指令値(Vid)及びq軸電圧指令値(Viq)に基づいて電流源(110)を駆動する駆動信号(G)を生成する。具体的に、PWM制御器(140)は、いわゆるPWM(pulse width modulation)制御を行って、電流源(110)に補償電流(Ic)の入出力を行わせる。PWM制御器(140)は、マイクロコンピュータと、それを動作させるためのソフトウエアが格納されたメモリディバイスを用いて構成することができる。
〈アクティブフィルタ装置の動作〉
アクティブフィルタ装置(100)は、空気調和装置(10)に組み込まれているので、アクティブフィルタ装置(100)を稼働させるには、空気調和装置(10)に通電させる。そうすると、力率制御器(120)では、dq変換器(126)によってq軸成分(iq1*)が求められる。このq軸成分(iq1*)は、加算器(130)に出力される。加算器(130)では、設定値(iq2*)とq軸成分(iq1*)とが加算されて、q軸電流指令値(iq*)が生成される。このq軸電流指令値(iq*)は、減算器(131)に出力される。
一方、dq変換器(127)では、d軸電流(id)とq軸電流(iq)とが求められる。そして、減算器(131)によってq軸電流(iq)からq軸電流指令値(iq*)が減算されて、偏差(Δiq)が算出される。更に、力率制御器(120)では、dq変換器(126)等の動作によってd軸電流指令値(id*)が生成される。また、減算器(135)によって、d軸電流指令値(id*)から、dq変換器(127)が求めたd軸電流(id)が減算されて、偏差(Δid)が算出される。
偏差(Δid)が定まると、電流制御器(136)からd軸電圧指令値(Vid)が出力される。また、偏差(Δiq)が定まると、電流制御器(137)からq軸電圧指令値(Viq)が出力される。それにより、d軸電圧指令値(Vid)及びq軸電圧指令値(Viq)に見合った駆動信号(G)がPWM制御器(140)からインバータ回路(111)に出力される。
例えば、アクティブフィルタ装置(100)が負荷電流(I1)のみに基づいて補償電流(Ic)を決定したとすれば、調相設備(200)で想定していたよりも空気調和装置(10)の負荷が小さい場合や、調相設備(200)の能力選定が不適切な場合には、進相コンデンサ電流(Isc)によって系統電流(Is)が例えば進み位相となって力率が悪化する。しかしながら、本実施形態では、設定値(iq2*)によって、空気調和装置(10)以外の負荷器の電流を想定した補償電流(Ic)を生成することができる。その結果、本実施形態では、例えば、交流電源(30)に繋がる負荷が調相設備(200)の設計時に想定したものと違っていた場合などにも、受電した電力における基本波力率が改善される。
なお、空気調和装置(10)に関しては、負荷電流(I1)の高調波成分を補償するように、補償電流(Ic)のd軸成分が調整される。そのため、空気調和装置(10)に係る有効電流の高調波成分も補償される。すなわち、アクティブフィルタ装置(100)は、空気調和装置(10)の高調波電流の低減も可能である。
〈本実施形態における効果〉
以上のように、本実施形態では、補償電流(Ic)の生成に用いるq軸電流指令値(iq*)は、高調波発生機器(この例では空気調和装置(10))の力率改善等に必要な電流(q軸成分(iq1*))に、他の負荷器の無効電流を想定した設定値(iq2*)が上乗せされたものである。この構成により、電流センサなどの新たな設備を追加せずに、ビル等における力率を改善することが可能になる。
《発明の実施形態2》
図3は、本発明の実施形態2に係るアクティブフィルタ装置(100)を示すブロック図である。同図に示すように、アクティブフィルタ装置(100)の構成は、実施形態1と同じであるが、分電盤(40)には、高調波発生機器(空気調和装置(10))以外の機器として、電流に高調波成分を含まない誘導性のモータ(20)が接続されている。このモータ(20)が運転されると、モータに対する負荷に応じて電流(負荷電流(I2)と命名する)が流れる。この場合に、何らの手当も行わないとすれば、モータ(20)の影響によって、系統電流(Is)が遅れ位相となる可能性がある。
本実施形態でも設定値(iq2*)は、力率が最もよくなるように、チューニングされている。本実施形態の設定値(iq2*)は、電力系統に設置されている誘導性負荷(すなわちモータ(20))の容量に応じて決定された所定の進み位相成分である。具体的に、本実施形態では、設定値(iq2*)のチューニングに際して、アクティブフィルタ装置(100)が設置されたビル等において、交流電源(30)に繋がる空気調和装置(10)以外の負荷器(モータ(20))の運転状況を実際に確認して、力率が平均して最もよくなるように、チューニングされている。この例では、設定値(iq2*)は、モータ(20)の運転時(例えばモータ(20)の負荷が最も大きいとき)に想定される負荷電流(I2)のq軸成分(すなわち無効電流)の1/3に相当する値に設定している。
以上の構成により、本実施形態では、補償電流(Ic)の生成に用いるq軸電流指令値(iq*)は、高調波発生機器(この例では空気調和装置(10))の力率改善等に必要な電流(q軸成分(iq1*))に、モータ(20)の無効電流を想定した設定値(iq2*)が上乗せされて生成される。すなわち、本実施形態では、アクティブフィルタ装置(100)の運転中に負荷電流(I2)を計測していない。よって、本実施形態でも、実施形態1と同様の効果を得ることが可能になる。
《その他の実施形態》
なお、設定値(iq2*)は、固定値であってもよいし、適宜、変更してもよい。例えば、負荷の大きさ(分電盤(40)よりも下流側で消費される電力)の変動に応じて、日によって設定値(iq2*)を変えたり、時間帯によって設定値(iq2*)を変えたりすることが考えられる。また、季節毎に設定値(iq2*)を変える構成でもよい。
また、アクティブフィルタ装置(100)は、空気調和装置(10)に必ずしも組み込む必要はない。すなわち、空気調和装置(10)とは別個の設備としてビル等に設置してもよい。
また、アクティブフィルタ装置(100)は、複数台設けてもよい。その場合には、複数台のアクティブフィルタ装置(100)で分担して補償電流(Ic)を流せばよい。
また、空気調和装置(10)の構成は例示である。空気調和装置(10)は、上述の冷暖房を行う装置の他に、例えば冷蔵装置、冷凍装置、換気装置、或いは調湿装置であってもよい。
また、交流電源(30)に繋がる負荷器の種類(この例では空気調和装置(10))や台数は例示である。更に多数の負荷器が同じ電力系統に接続されていてもよい。
本発明は、アクティブフィルタ装置及びそれを用いた空気調和装置として有用である。
10 空気調和装置(高調波発生機器)
20 モータ(機器)
100 アクティブフィルタ装置
110 電流源
120 力率制御器
200 調相設備(機器)

Claims (6)

  1. 高調波発生機器(10)に接続されたアクティブフィルタ装置において、
    力率を改善するための補償電流(Ic)を、前記高調波発生機器(10)が接続された電力系統に流す電流源(110)と、
    前記電力系統から前記高調波発生機器(10)に流れる電流の負荷電流(ir1,it1)に、前記高調波発生機器(10)以外の機器(20,200)における無効電流に相当する設定値(iq2*)を上乗せして前記補償電流(Ic)の大きさを求める力率制御器(120)と、
    を備えたことを特徴とするアクティブフィルタ装置。
  2. 請求項1において、
    前記設定値(iq2*)は、当該アクティブフィルタ装置が設置される設備全体における無効電流の1/3に相当する値に設定されていることを特徴とするアクティブフィルタ装置。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記設定値(iq2*)は、日によって、又は時間帯によって変更されることを特徴とするアクティブフィルタ装置。
  4. 請求項1から請求項3の何れかにおいて、
    前記高調波発生機器(10)は、空気調和装置であることを特徴とするアクティブフィルタ装置。
  5. 請求項1から請求項4の何れかのアクティブフィルタ装置(100)が組み込まれていることを特徴とする空気調和装置。
  6. 請求項1から請求項4の何れかのアクティブフィルタ装置(100)を複数台備え、
    それぞれのアクティブフィルタ装置(100)で前記補償電流(Ic)を分担して出力することを特徴とする空気調和装置。
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