JPWO2017033746A1 - 長繊維強化複合材料および成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
強化繊維からなる織物、編み物、及び引き揃え糸シート状物からなる群より選択された少なくとも1つの形態を有する布帛に対して、熱可塑性樹脂からなる繊維で構成された不織布を重ね合わせてなる強化繊維基材であって、以下の条件を全て満たすことを特徴とする強化繊維基材。
(1)前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度が100℃以上である。
(2)前記熱可塑性樹脂のメルトフローレート(MFR)が、結晶性樹脂の場合には結晶融解温度より30℃高い温度において20〜80g/10分であり、非晶性樹脂の場合にはガラス転移温度より120℃高い温度において20〜80g/10分である。
本発明はかかる課題を解決することを目的としたものであって、ポリアミド樹脂が長繊維に含浸している長繊維強化複合材料であって、耐溶剤性に優れた長繊維強化複合材料およびその成形品を提供することを目的とする。
<1>ポリアミド樹脂が長繊維に含浸しており、前記ポリアミド樹脂は、ジアミン由来の構成単位とカルボン酸由来の構成単位から構成され、ジアミン由来の構成単位の50モル%以上が、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンに由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の30モル%以上が、イソフタル酸に由来する長繊維強化複合材料。
<2>ジカルボン酸由来の構成単位の30〜80モル%が、イソフタル酸に由来し、70〜20モル%が、炭素数4〜12のα,ω−直鎖ジカルボン酸に由来する、<1>に記載の長繊維強化複合材料。
<3>炭素数4〜12のα,ω−直鎖ジカルボン酸が、アジピン酸およびセバシン酸の少なくとも一方である、<2>に記載の長繊維強化複合材料。
<4>炭素数4〜12のα,ω−直鎖ジカルボン酸が、セバシン酸である、<2>に記載の長繊維強化複合材料。
<5>ジアミン由来の構成単位の70モル%以上が、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンに由来する、<1>〜<4>のいずれかに記載の長繊維強化複合材料。
<6>前記ポリアミド樹脂が非晶性である、<1>〜<5>のいずれかに記載の長繊維強化複合材料。
<7>反応したジカルボン酸に対する反応したジアミンのモル比(反応したジアミンのモル数/反応したジカルボン酸のモル数)が、1.0未満である、<1>〜<6>のいずれかに記載の長繊維強化複合材料。
<8>前記ポリアミド樹脂のガラス転移温度が100℃以上である、<1>〜<7>のいずれかに記載の長繊維強化複合材料。
<9>前記長繊維は、炭素繊維およびガラス繊維の少なくとも一方である、<1>〜<8>のいずれかに記載の長繊維強化複合材料。
<10>前記長繊維がシート状である、<1>〜<9>のいずれかに記載の長繊維強化複合材料。
<11><1>〜<10>のいずれかに記載の長繊維強化複合材料を成形してなる成形品。
以下、本発明の詳細について、説明する。
本発明で用いるポリアミド樹脂は、ジアミン由来の構成単位とカルボン酸由来の構成単位から構成され、ジアミン由来の構成単位の50モル%以上は、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンに由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の30モル%以上は、イソフタル酸に由来する。
1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン以外のジアミンとしては、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、パラフェニレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等が例示される。これらの他のジアミンは、1種のみでも2種以上であってもよい。
本発明において、ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位として、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン以外のジアミン由来の構成単位を含む場合、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを含むことが好ましい。すなわち、本発明で用いるポリアミド樹脂の好ましい実施形態として、ジアミン由来の構成単位の50〜100モル%(好ましくは、60〜100モル%、より好ましくは70〜100モル%)が、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンに由来し、0〜50モル%(好ましくは、0〜40モル%、より好ましくは、0〜30モル%)が1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンに由来するポリアミド樹脂が例示される。また、前記実施形態において、ジアミン由来の構成単位の90モル%以上(好ましくは95モル%以上)が、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンまたは1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンに由来する構成単位である態様が例示される。
ポリアミド樹脂の原料ジアミンである1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンは、シス体とトランス体があるが、本発明において、異性体モル比(シス/トランス)は、好ましくは100/0〜50/50であり、より好ましくは90/10〜60/40であり、さらに好ましくは80/20〜70/30である。
ポリアミド樹脂の原料ジアミンである1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンは、シス体とトランス体があるが、本発明において、異性体モル比(シス/トランス)は、好ましくは100/0〜60/40であり、より好ましくは90/10〜70/30である。
また、本発明では、テレフタル酸に由来する構成単位を実質的に含まない態様とすることもできる。このような構成とすることにより、透過率が高く、耐熱老化性に優れたポリアミド樹脂とすることができる。さらに、溶融粘度が低く、ガラス転移温度(Tg)がより高いポリアミド樹脂とすることができる。ここでテレフタル酸に由来する構成単位を実質的に含まないとは、例えば、ジカルボン酸由来の構成単位を構成する全ジカルボン酸のうち、テレフタル酸が10モル%以下であることをいい、5モル%以下が好ましく、3モル%以下がより好ましく、1モル%以下がさらに好ましい。下限値としては、0モル%であってもよい。
前記ジカルボン酸由来の構成単位を構成する全ジカルボン酸のうち、炭素数4〜12のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸由来の構成単位の割合の下限値は、20モル%以上がより好ましく、25モル%以上がさらに好ましく、30モル%以上が一層好ましく、32モル%以上がより一層好ましく、上限値は、70モル%以下が好ましく、65モル%以下がより好ましく、60モル%以下がさらに好ましく、55モル%以下が一層好ましい。このような範囲とすることにより、ポリアミド樹脂の透明性がより向上する傾向にあり好ましい。
ポリアミド樹脂の溶融粘度は、キャピログラフを用い、ダイとして直径1mm×10mm長さのものを用い、見かけのせん断速度122sec-1、測定温度280℃、保持時間6分、サンプル水分1000ppm以下の条件で測定することができる。
ガラス転移温度を上記下限値以上とすることにより、高温条件下でも物性低下しづらいというメリットがある。また、ガラス転移温度を上記上限値以下とすることにより、長繊維強化複合材料にした際の賦形加工が容易となる。ガラス転移温度の測定方法は、後述する実施例で記載する方法に従う。
反応性官能基濃度とは、ポリアミド樹脂の末端ならびに主鎖又は側鎖上に存在する反応性の基の濃度(μeq/g)をいい、反応性の基とは、代表的には、アミノ基およびカルボキシル基である。原料モノマーの構成を鑑み、理論的にポリマー末端にのみ反応性官能基が存在する場合は、末端の反応性官能基濃度がポリマー全体の反応性官能基濃度と実質的に等しくなる場合があり、本発明ではこのような態様が好ましい。反応性官能基濃度は、好ましくは100〜150μeq/gであり、より好ましくは105〜140μeq/gであり、さらに好ましくは、120〜145μeq/gである。本発明では、特に、ポリアミド樹脂中における末端アミノ基および末端カルボキシル基の合計濃度が上記反応性官能基濃度の範囲内となることが好ましい。
r=(1−cN−b(C−N))/(1−cC+a(C−N))
式中、
a:M1/2
b:M2/2
c:18.015 (水の分子量(g/mol))
M1:ジアミンの分子量(g/mol)
M2:ジカルボン酸の分子量(g/mol)
N:アミノ基濃度(eq/g)
C:カルボキシル基濃度(eq/g)
他のポリアミド樹脂としては、具体的には、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド6/66(ポリアミド6成分およびポリアミド66成分からなる共重合体)、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12が例示される。これらの他のポリアミド樹脂は、それぞれ、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル樹脂を例示できる。これらのポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂は、それぞれ、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明で用いる長繊維は、その形態等特に定めるものではなく、ポリアミド樹脂が含浸可能なものであればよい。長繊維とは、長さが0.5cm以上、好ましくは1m〜10000mの繊維をいう。
本発明では、長繊維強化複合材料のうち、30体積%以上が長繊維であることが好ましく、35〜60体積%が長繊維であることがさらに好ましい。また、重量比としては、長繊維強化複合材料のうち、38重量%以上が長繊維であることが好ましく、43〜72重量%が長繊維であることがさらに好ましい。
また、本発明で用いる長繊維は、表面処理剤または集束剤で処理されていてもよい。
表面処理剤としては、例えば、エポキシ系化合物、アクリル系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物等の官能性化合物からなるものが挙げられ、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等であり、シラン系カップリング剤が好ましい。
シラン系カップリング剤としては、アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、グリシジルプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のトリアルコキシまたはトリアリロキシシラン化合物、ウレイドシラン、スルフィドシラン、ビニルシラン、イミダゾールシラン等が挙げられる。
集束剤としては、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、1分子中にアクリル基またはメタクリル基を有するエポキシアクリレート樹脂であって、ビスフェノールA型のビニルエステル樹脂、ノボラック型のビニルエステル樹脂、臭素化ビニルエステル樹脂等のビニルエステル系樹脂が好ましく挙げられる。また、エポキシ系樹脂やビニルエステル系樹脂のウレタン変性樹脂であってもよい。
シート状の長繊維の一例として、ロービング状の長繊維を開繊したものが挙げられる。本発明におけるロービング状の長繊維は、ロービング状の長繊維を開繊したものを同一方向に複数並列して引き揃えたものであり、等間隔に隙間なく配列していることが好ましい。用いられる長繊維の繊度は、そのフィラメント数3000〜60000であることが好ましく、6000〜50000であることがより好ましく、12000〜24000であることがさらに好ましい。
また、シート状の長繊維の他の一例として、長繊維が一方向または二方向以上に分散・配列等してシートを形成しているものが挙げられる。具体的には、長繊維がシート面内で、不織布のようにランダムに分散しているものや、織物や編み物のように規則的に配列しているものが例示される。
織物や編み物のように規則的に配列しているシート状の長繊維は、その目付が10〜1000g/m2であることが好ましく、50〜500g/m2であることがより好ましく、80〜400g/m2であることがさらに好ましい。また、長繊維は、単層であってもよいし、積層構造であってもよい。さらに、長繊維が二方向以上に配列しているシートの場合、前記二方向以上のうち、少なくとも一方向の繊維が長繊維であればよく、他は長繊維でなくてもよい。具体的には、織物の場合、経糸と緯糸の一方が長繊維であればよく、他方は長繊維でなくてもよい。
シート状の長繊維の厚さは、0.1mm〜5mmとすることが好ましく、0.1〜3mmがより好ましい。
本発明の長繊維強化複合材料では、ポリアミド樹脂は、長繊維に少なくともその一部が含浸している。本発明の長繊維強化複合材料の含浸率は、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。上限値は100%が好ましい。本発明における含浸率は、後述する実施例に記載の方法に従う。
長繊維強化複合材料の形状は特に定めるものではないが、テープ状、フィルム状が好ましい。これらの形状にすることにより、強化繊維を切断することなく製品加工が可能で強化繊維の性能を最大限引き出し、強化繊維が切断された長繊維ペレットよりも、非常に高い機械物性の製品を得ることができる。本発明の長繊維強化複合材料は、プリプレグとして好適である。
本発明の長繊維強化複合材料がテープ状、フィルム状であるとき、その厚さは、100μm〜10mm程度が好ましい。
本発明の長繊維強化複合材料の製造方法は特に定めるものではなく公知の方法を採用できる。具体的には、本発明で用いるポリアミド樹脂、または、本発明で用いるポリアミド樹脂を含む組成物であって溶融したものを長繊維に含浸して製造する。
ここで、本発明で用いるポリアミド樹脂を含む組成物とは、本発明で用いるポリアミド樹脂と、上述したポリアミド樹脂に配合しても良い他の成分等を配合した組成物をいう。
含浸に際しては、組成物を溶融したものを用いる。ここで、組成物を溶融してから、長繊維に含浸させてもよいし、組成物を溶融しつつ、長繊維に含浸してもよい。
溶融の温度は、本発明で用いるポリアミド樹脂のTg〜Tg+200℃が好ましい。
含浸の際には、圧力をかけてもよく、圧力をかけることが好ましい。例えば、1〜5MPaの圧力を付与することができる。含浸の時間は、成形する長繊維強化複合材料の厚さ等にもより、長くても良いが、短いほど好ましい。
含浸させた後に冷却することが好ましい。
その他、本発明の長繊維強化複合材料の製造は、特開2015−93984号公報の段落0055〜0058の記載、特開2015−039842号公報の記載などを参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
上記製造方法で得られた長繊維強化複合材料は、ロール等に巻き取って、巻取体として保存することもできる。
本発明は、本発明の長繊維強化複合材料を成形してなる成形品についても開示する。本発明の成形品は、必要な機械的強度を維持しつつ、耐溶剤性に優れたものとすることができる。さらに、吸水率が低い成形品とすることができる。
成形品は、本発明の長繊維強化複合材料を一枚または、複数枚積層し、加熱加工することが好ましい。本発明では、プレス加工により任意形状の成形品を得ることができる。例えば、凹凸のある金型中でプレス加工すれば、凹凸のある成形品が得られる。
本発明の成形品としては、フィルム、シート、薄肉成形品、中空成形品等を含む各種成形品に用いることができる。かかる成形品の利用分野としては、自動車等輸送機部品、一般機械部品、精密機械部品、電子・電気機器部品、OA機器部品、建材・住設関連部品、医療装置、レジャースポーツ用品、遊戯具、医療品、食品包装用フィルム等の日用品、防衛および航空宇宙製品等が挙げられる。
<1,3−BAC10I−1の合成>
撹拌機、分縮器、全縮器、圧力調整器、温度計、滴下槽及びポンプ、アスピレーター、窒素導入管、底排弁、ストランドダイを備えた内容積50Lの耐圧反応容器に、精怦したセバシン酸(下記表において、「SA」と示す、伊藤精油製)7000g(34.61mol)、イソフタル酸(下記表において、「I」と示す、エイ・ジイ・インタナショナル・ケミカル製)5750g(34.61mol)、次亜リン酸カルシウム(関東化学製)3.3g(0.019mol)、酢酸ナトリウム(関東化学製)1.4g(0.018mol)を入れ、十分に窒素置換した後、反応容器内を密閉し、容器内を0.4MPaに保ちながら撹拌下200℃まで昇温した。200℃に到達後、反応容器内の原料へ滴下槽に貯めた1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3−BAC、異性体モル比:シス/トランス=75/25)(三菱ガス化学製)9847g(69.22mol)の滴下を開始し、容器内を0.4MPaに保ちながら生成する縮合水を系外へ除きながら反応槽内を295℃まで昇温した。1,3−BACの滴下終了後、反応容器内を徐々に常圧に戻し、次いでアスピレーターを用いて反応槽内を80kPaに減圧して縮合水を除いた。減圧中に撹拌機の撹拌トルクを観察し、所定のトルクに達した時点で撹拌を止め、反応槽内を窒素で加圧し、底排弁を開け、ストランドダイからポリマーを抜き出してストランド化したのち、冷却してペレタイザーによりペレット化することにより、ポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂を、「1,3−BAC10I−1」という。
上記で得られたポリアミド樹脂0.3gを、フェノール/エタノール=4/1容量溶液に25℃で撹拌溶解させ、完全に溶解した後、撹拌しつつ、メタノール5mLで容器内壁を洗い流し、0.01mol/L塩酸水溶液で中和滴定して末端アミノ基濃度〔NH2〕を求めた。また、ポリアミド樹脂0.3gを、ベンジルアルコールに窒素気流下170℃で撹拌溶解させ、完全に溶解した後、窒素気流下80℃以下まで冷却し、撹拌しつつメタノール10mLで容器内壁を洗い流し、0.01mol/L水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定して末端カルボキシル基濃度〔COOH〕を求めた。これらの末端基濃度の単位は、μeq/gで示した。
数平均分子量および重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)測定により測定した。具体的には、装置として東ソー社製「HLC−8320GPC」、カラムとして、東ソー社製「TSK gel Super HM−H」2本を使用し、溶離液トリフルオロ酢酸ナトリウム濃度10mmol/Lのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、樹脂濃度0.02重量%、カラム温度40℃、流速0.3ml/分、屈折率検出器(RI)の条件で測定し、標準ポリメチルメタクリレート換算の値として求めた。また、検量線は6水準のポリメチルメタクリレート(PMMA)をHFIPに溶解させて測定し作成した。
ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、窒素気流中、室温から250℃まで昇温速度10℃/分で加熱したのち、ただちに室温以下まで冷却し、再び室温から250℃まで昇温速度10℃/分で加熱した際のガラス転移温度を測定した。本実施例では、示差走査熱量計として、(株)島津製作所製DSC−60を用いた。単位は℃で示した。
また、JIS K7121に準じて、昇温過程におけるポリアミド樹脂の結晶融解エンタルピーΔHm(X)を測定した。結晶融解エンタルピーΔHmが5J/g未満のものを非晶性樹脂と認定した。
前記した次式により求めた。
r=(1−cN−b(C−N))/(1−cC+a(C−N))
式中、a:M1/2
b:M2/2
c:18.015
M1:ジアミンの分子量(g/mol)
M2:ジカルボン酸の分子量(g/mol)
N:アミノ基濃度(eq/g)
C:カルボキシル基濃度(eq/g)
真空乾燥機により乾燥したポリアミド樹脂を直径30mmのスクリューを有する単軸押出機にて溶融押出しし、500mm幅のTダイを介して押出成形し、表面に凹凸状シボを設けたステンレス製の対ロールにより、ロール温度70℃、ロール圧0.4MPaで加圧し、フィルム表面にシボを有するフィルムを成形した。
得られたポリアミド樹脂(1)フィルムの平均厚さは100μmであった。
上記ポリアミド樹脂フィルム(1)と炭素長繊維(三菱レイヨン製、TR3110M、目付200g/m2、1枚当たりの厚さ1mm)とを前記順に合計17枚交互に積層し、200mmの長さにカットし、プレス成形機(大竹機械工業製、380角65トンプレス成形機)の、下金型(サイズ:200×200(mm))に設置した。上金型をはめて、圧力3MPa、280℃、20分間加熱プレスしたのちに加圧のまま100℃以下まで冷却し、長繊維強化複合材料を得た。
得られた長繊維強化複合材料の厚さは、2mmであった。長繊維強化複合材料中の長繊維の体積率は50%だった。
上記で得られた長繊維強化複合材料をエポキシ樹脂で包埋し、前記包埋したFPRの長手方向の断面を研磨し、断面図を超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9500(コントローラー部)/VK−9510(測定部)(キーエンス製)を使用して撮影した。得られた断面写真に対し、長繊維のポリアミド樹脂が溶融し含浸した領域を、画像解析ソフトImageJを用いて選択し、その面積を測定した。含浸率は、(撮影断面におけるポリアミド樹脂が長繊維に含浸している領域)/(撮影断面積)×100(単位%)として示した。
上記で得られた長繊維強化複合材料を試験片とし、23℃の水に30日間浸漬し、吸水率を測定した。吸水率は、試験片の水浸漬前と後の重量比から算出した。以下の通り評価した。
評価A:1.5%未満(実用レベル)
評価B:1.5%以上4.0%未満(実用レベル)
評価C:4.0%以上(実用レベル外)
上記で得られた長繊維強化複合材料を試験片とし、JIS K7171に従い、曲げ弾性率を測定した。単位は、GPaである。
上記で得られた長繊維強化複合材料を試験片とし、60℃のトルエンに浸漬し、以下の通り評価した。
評価A:60℃、1日浸漬後に変化なし(実用レベル)
評価B:60℃、12時間浸漬後以降に表面の少なくとも一部がめくれた(実用レベル外)
評価C:60℃、12時間未満の浸漬で表面の少なくとも一部がめくれた(実用レベル外)
上記で得られた長繊維強化複合材料を10枚積層し、280℃、4MPaの圧力で、5分間プレスした。厚さ20mmのブロック状成形品を得た。
<1,3−BAC10I−2の合成>
実施例1において、セバシン酸とイソフタル酸のモル比率を、36:64とし、他は同様に行って、ポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂を、「1,3−BAC10I−2」という。
<各種性能評価>
実施例1において、ポリアミド樹脂を1,3−BAC10I−2に変更し、他は同様に行った。
<各種性能評価>
実施例1において、炭素繊維をガラス長繊維(日東紡績製、KS1210 1080S−935N 90g/m2、1枚当たりの厚さ0.08mm)に変更し、他は同様に行った。
<1,3−BAC6Iの合成>
実施例1において、セバシン酸の代わりに等モル量のアジピン酸(下記表において、「AA」と示す、Rohdia製を使用し、最高到達温度を280℃にした他は同様に行って、ポリアミド樹脂を得た。
得られたポリアミド樹脂を、「1,3−BAC6I」という。
<各種性能評価>
実施例1において、ポリアミド樹脂を1,3−BAC6Iに変更し、他は同様に行った。
<1,3−BAC/1,4−BAC10Iの合成>
実施例1において、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを、1,3−BACと1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,4−BAC、シス/トランス比=60/40)(三菱ガス化学製)の混合物であってモル比が70:30である混合物に変更し、他は同様に行って、ポリアミド樹脂を得た。
得られたポリアミド樹脂を、「1,3−BAC/1,4−BAC10I」という。
<各種性能評価>
実施例1において、ポリアミド樹脂を1,3−BAC/1,4−BAC10Iに変更し、他は同様に行った。
<各種性能評価>
実施例1において、ポリアミド樹脂をグリルアミド(エムス製、TR−55)に変更し、他は同様に行った。
グリルアミドは、ポリアミド12、MACM(3,3′-dimethyl-4,4′-diaminocyclohexylmethane)およびイソフタル酸からなるポリアミド樹脂である。
これに対し、ポリアミド樹脂としてグリルアミドを用いた比較例1では、含浸率が80%未満となり、また、耐溶剤性が著しく劣っていた。
Claims (11)
- ポリアミド樹脂が長繊維に含浸しており、
前記ポリアミド樹脂は、ジアミン由来の構成単位とカルボン酸由来の構成単位から構成され、ジアミン由来の構成単位の50モル%以上が、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンに由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の30モル%以上が、イソフタル酸に由来する長繊維強化複合材料。 - ジカルボン酸由来の構成単位の30〜80モル%が、イソフタル酸に由来し、70〜20モル%が、炭素数4〜12のα,ω−直鎖ジカルボン酸に由来する、請求項1に記載の長繊維強化複合材料。
- 炭素数4〜12のα,ω−直鎖ジカルボン酸が、アジピン酸およびセバシン酸の少なくとも一方である、請求項2に記載の長繊維強化複合材料。
- 炭素数4〜12のα,ω−直鎖ジカルボン酸が、セバシン酸である、請求項2に記載の長繊維強化複合材料。
- ジアミン由来の構成単位の70モル%以上が、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンに由来する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の長繊維強化複合材料。
- 前記ポリアミド樹脂が非晶性である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の長繊維強化複合材料。
- 反応したジカルボン酸に対する反応したジアミンのモル比(反応したジアミンのモル数/反応したジカルボン酸のモル数)が、1.0未満である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の長繊維強化複合材料。
- 前記ポリアミド樹脂のガラス転移温度が100℃以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の長繊維強化複合材料。
- 前記長繊維は、炭素繊維およびガラス繊維の少なくとも一方である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の長繊維強化複合材料。
- 前記長繊維がシート状である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の長繊維強化複合材料。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の長繊維強化複合材料を成形してなる成形品。
Applications Claiming Priority (3)
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