JPWO2017006914A1 - 摩擦プーリ - Google Patents

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聡祐 伊東
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Abstract

高いトルクを伝達可能な摩擦プーリを提供する。摩擦プーリ(1)は、外周に内周側に凹む溝(11)を有している軸線(x)について回転可能な回転輪(10)と、回転輪(10)の溝(11)内に収容可能に形成されたゴム製の環状のゴム環(20)とを備えている。溝(11)は、断面矩形の形状を有しており、ゴム環(20)は、回転輪(10)の溝(11)に収容されていない自由状態において、回転輪(10)の溝(11)に対応して、矩形の断面形状を有している。ゴム環(20)が回転輪(10)の溝(11)に収容された取付状態において、ゴム環(20)は溝(11)によって軸線(x)方向において圧縮されており、ゴム環(20)の摩擦面(22)は、対向する溝(11)の側面(12)に対して押圧されている。

Description

本発明は、摩擦プーリに関し、特に、車両や産業機械において動力の伝達のために用いられる摩擦プーリに関する。
車両の内燃機関において、クランクシャフトの動力をウォータポンプ等の補機に伝達するための動力伝達機構には、プーリやベルトが用いられている。従来の動力伝達機構は、クランクシャフトと全ての補機がベルト及びプーリによって連結されており、クランクシャフトから全ての補機に動力が伝達される構成となっている。このため、このような動力伝達機構を備えた内燃機関においては、発生したエネルギーの損失が大きくなっていた。これに対して、近年、クランクシャフトと補機との間の連結及び切断を選択可能にする構成を有する動力伝達機構が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
特許文献1においては、クランクシャフトに取り付けられたベルトが巻き掛けられたプーリと、ウォータポンプに取り付けられた支持ディスクとこの支持ディスクの外周に設置されたエラストマー材料からなる摩擦輪とを有する摩擦プーリと、これらプーリ及び摩擦プーリ間を連結及び分離可能にするアイドラプーリを有する動力伝達機構が開示されている。この従来の動力伝達機構においては、アイドラプーリが、クランクシャフト及びウォータポンプの各プーリに接触して、クランクシャフトとウォータポンプとが連結され、また、各プーリから離間して、クランクシャフトとウォータポンプとの間の連結が切断され、動力伝達路の選択が可能になっている。
国際公開第2006/051094号 国際公開第2014/038554号
しかしながら、上述の動力伝達路の選択が可能な従来の動力伝達機構における摩擦プーリにおいては、円柱状の支持ディスクの外周に摩擦輪が設置されており、摩擦輪と支持ディスクとの間の接合強度が高くなく、高いトルクが伝達される場合に、摩擦輪と支持ディスクとの間の接合が壊れて、摩擦輪と支持ディスクとが分離されてしまう場合があった。摩擦輪と支持ディスクとが分離されると、摩擦輪と支持ディスクとの間を結合する力がなくなり、摩擦輪がトルク伝達部分の後方において支持ディスクから分離してたわみ、摩擦輪が支持ディスクから脱落してしまうおそれがあった。このため、80〜100Nmの高いトルクの伝達が必要となる内燃機関の始動に用いられるモータ等には上記摩擦プーリを用いることができなかった。このため、従来から、高いトルクを伝達可能な摩擦プーリの構造が求められていた。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高いトルクを伝達可能な摩擦プーリを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る摩擦プーリは、回転する回転部材に外周において圧接されて動力を伝達する摩擦プーリであって、外周に内周側に凹む溝を有する軸線について回転可能な回転輪と、前記回転輪の溝内に収容可能に形成されたゴム製の環状のゴム環とを備え、前記溝は、前記軸線方向において対向する内周側から外周側に延びる環状の一対の側面を有しており、前記ゴム環は、前記溝内に収容されており、外周に動力伝達のために前記回転部材に圧接される接触面と、前記溝の一対の側面に対応する一対の面である摩擦面とを備え、前記ゴム環は、少なくとも、前記接触面が動力伝達のために前記回転部材に圧接されている動力伝達状態において、前記摩擦面が前記溝の側面に押し付けられていることを特徴とする。
本発明の一態様に係る摩擦プーリにおいて、前記ゴム環は、前記接触面が前記回転部材に圧接されていない非動力伝達状態においても、前記摩擦面が前記溝の側面に押し付けられて前記溝内に収容されている。
本発明の一態様に係る摩擦プーリにおいて、前記ゴム環の前記摩擦面の間の間隔は、前記ゴム環が前記溝に収容されていない状態において、対応する前記溝の前記側面の間の間隔よりも少なくとも部分的に大きくなっており、前記ゴム環は前記溝の前記側面に押圧された状態で前記溝内に収容されている。
本発明の一態様に係る摩擦プーリにおいて、前記溝は、内周側において前記側面の間に延びる底面を有しており、前記側面の間の間隔は一定であり、前記ゴム環は、内周側において前記摩擦面の間に延びる面である底面を有しており、前記摩擦面の間の間隔は前記ゴム環が前記溝に収容されていない状態において一定であり、前記ゴム環の底面は前記溝の底面に当接している。
本発明の一態様に係る摩擦プーリにおいて、前記溝は、内周側において前記側面の間に延びる底面を有しており、前記一対の側面の間の間隔は内周側から外周側に向かって広がっており、前記ゴム環は、内周側において前記摩擦面の間に延びる面である底面を有しており、前記摩擦面の間の間隔は前記ゴム環が前記溝に収容されていない状態において内周側から外周側に向かうに連れて広がっており、前記ゴム環の底面は前記溝の底面に当接している。
本発明の一態様に係る摩擦プーリにおいて、前記溝は、内周側において前記側面の間に延びる底面を有しており、前記一対の側面の間の間隔は内周側から外周側に向かって広がっており、前記ゴム環は、内周側において前記摩擦面の間に延びる面である底面を有しており、前記摩擦面の間の間隔は前記ゴム環が前記溝に収容されていない状態において内周側から外周側に向かうに連れて広がっており、前記接触面が前記回転部材に圧接されていない非動力伝達状態において、前記ゴム環の底面と前記溝の底面と間には空間が形成されている。
本発明の一態様に係る摩擦プーリにおいて、前記摩擦面及び前記側面は円錐面である。
本発明の一態様に係る摩擦プーリは、前記ゴム環を複数有しており、前記回転輪は前記ゴム環と同数の前記溝を有しており、前記複数のゴム環の各々は対応する前記複数の溝の各々に夫々収容されている。
本発明の一態様に係る摩擦プーリにおいて、前記回転輪は、前記軸線から外周に向かって広がる複数の円盤状の分割体から形成されており、前記溝は、前記分割体を前記軸線方向において重ね合わせることにより形成されている。
また、上記目的を達成するために、本発明に係る摩擦プーリは、軸線に対して外周方向に広がる第1基体部と前記軸線に対して外周方向に広がる第2基体部とを有する基体と、前記基体の外周側の部分に取り付けられた、環状の外周面を有するゴム製の環状のゴム環とを備え、前記第1基体部は、環状の外周面を有しており、前記軸線方向における一方の側の側面に、前記外周面に沿って延びる環状の段部を備え、前記第2基体部は、環状の外周面を有しており、前記軸線方向における一方の側の側面に、前記外周面に沿って延びる環状の段部を備え、前記基体において、前記第1基体部と前記第2基体部とは、各々の前記一方の側の側面において互いに対向しており、前記基体の外周側において、前記第1基体部の前記段部と前記第2基体部の前記段部とは互いに対向して環状の溝を形成しており、前記基体の前記溝の前記軸線方向における幅は、前記ゴム環の前記軸線方向における幅よりも小さく、前記ゴム環は、該ゴム環の外周面が前記第1基体部の外周面及び前記第2基体部の外周面よりも外周側に位置して、前記基体の溝に圧縮されて挟持されていることを特徴とする。
本発明の一態様に係る摩擦プーリにおいて、前記第1基体部の前記段部は環状の傾斜する面である傾斜面を有しており、該傾斜面は前記軸線方向において前記一方の側から他方の側に向かうに連れて拡径する円錐面状に形成されており、前記第2基体部の前記段部は環状の傾斜する面である傾斜面を有しており、該傾斜面は前記軸線方向において前記一方の側から他方の側に向かうに連れて拡径する円錐面状に形成されており、前記基体において、前記第1基体部の前記傾斜面は、前記第2基体部の前記傾斜面に対向している。
本発明の一態様に係る摩擦プーリにおいて、前記ゴム環は、前記第1基体部側に円錐面状の第1側面を有しており、前記第2基体部側に円錐面状の第2側面を有しており、前記第1側面と前記第2側面とは内周側に向かうに連れて互いに近づくように形成されており、前記ゴム環の第1側面及び第2側面は、前記第1基体部の前記傾斜面及び前記第2基体部の前記傾斜面に夫々圧接されている。
本発明の一態様に係る摩擦プーリにおいて、前記ゴム環の前記第1側面は前記第1基体部の前記傾斜面に平行であり、前記ゴム環の前記第2側面は前記第2基体部の前記傾斜面に平行である。
本発明の一態様に係る摩擦プーリにおいて、前記第1基体部の前記外周面は前記軸線を中心とする円柱面であり、前記第2基体部の前記外周面は前記軸線を中心とする円柱面であり、前記ゴム環の前記外周面は前記軸線を中心とする円柱面である。
本発明の一態様に係る摩擦プーリにおいて、前記基体は、前記基体において前記第1基体部及び前記第2基体部を前記軸線方向において不動に固定する固定手段を有する。
本発明に係る摩擦プーリによれば、高いトルクを伝達可能にすることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る摩擦プーリの概略構成を示すための図であり、図1(a)は、摩擦プーリの側面図であり、図1(b)は、摩擦プーリの軸線xに沿う断面における断面図である。 図1に示す摩擦プーリの断面の部分拡大図である。 図1に示す摩擦プーリにおけるゴム環の回転輪の溝に収容されていない自由状態での軸線に沿う断面における断面図である。 動力伝達状態における図1に示す摩擦プーリの断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る摩擦プーリの概略構成を示すための図であり、摩擦プーリの軸線に沿う断面における断面図である。 図5に示す摩擦プーリにおけるゴム環の回転輪の溝に収容されていない自由状態での軸線に沿う断面における断面図である。 動力伝達状態における図5に示す摩擦プーリの断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る摩擦プーリの概略構成を示すための図であり、摩擦プーリの軸線に沿う断面における断面図である。 図8に示す摩擦プーリの変形例の概略構成を示すための断面図である。 本発明の第4の実施の形態に係る摩擦プーリの概略構成を示すための軸線に沿う断面における摩擦プーリの断面図である。 本発明の第4の実施の形態に係る摩擦プーリの各構成が分離された状態で示された軸線に沿う断面における摩擦プーリの分解断面図である。 本発明の第5の実施の形態に係る摩擦プーリの概略構成を示すための図であり、摩擦プーリの軸線に沿う断面における断面図である。 図12に示す本発明の第5の実施の形態に係る摩擦プーリの変形例の概略構成を示すための図であり、摩擦プーリの軸線に沿う断面における断面図である。 図12に示す本発明の第5の実施の形態に係る摩擦プーリの他の変形例の概略構成を示すための図であり、摩擦プーリの軸線に沿う断面における断面図である。 ゴム環の変形例を概略的に示すためのゴム環の自由状態での軸線に沿う断面における断面図であり、図15(a)は、図6に示すゴム環の変形例を示すための断面図であり、図15(b)は、図11に示すゴム環の変形例を示すための断面図である。 ゴム環の変形例を概略的に示すためのゴム環の自由状態での軸線に沿う断面における断面図であり、図16(a)は、図11に示すゴム環の変形例を示すための断面図であり、図16(b)は、図11に示すゴム環の他の変形例を示すための断面図であり、図16(c)は、図3に示すゴム環の変形例を示すための断面図であり、図16(d)は、図6に示すゴム環の変形例を示すための断面図である。 図16(a)に示すゴム環を備える本発明の第4の実施の形態に係る摩擦プーリの変形例の軸線に沿う断面における部分断面図であり、図17(a)は、摩擦プーリの各構成が分離された状態で示された分解部分断面図であり、図17(b)は、動力伝達状態における摩擦プーリの部分断面図である。
以下、本発明に実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る摩擦プーリ1の概略構成を示すための図であり、図1(a)は、摩擦プーリ1の側面図であり、図1(b)は、摩擦プーリ1の軸線xに沿う断面における断面図である。本発明の第1の実施の形態に係る摩擦プーリ1は、その外周において、回転する回転部材に圧接されて動力を伝達するために用いられる。摩擦プーリ1は、例えば車両の内燃機関において、クランクシャフトに取り付けられた回転部材としてのプーリに直接又はこのプーリに巻き掛けられた回転部材としてのタイミングベルトに外周において圧接されてモータの動力をクランクシャフトに伝達し、内燃機関を始動するために用いられる。摩擦プーリ1は、クランクシャフトの動力をウォータポンプ等の補機に伝達するために、または、補機と補機との間の動力の伝達のために用いられてもよい。また、摩擦プーリ1は、回転部材に圧接されて動力を伝達可能な位置にある動力伝達状態と、回転部材に圧接されていない動力を伝達しない位置にある非動力伝達状態とに、駆動装置やバネ等の付勢部材を用いて選択移動可能に取り付けられていてもよい。
図1(a),(b)に示すように、摩擦プーリ1は、外周に内周側(図1(b)の矢印a方向)に凹む溝である溝11を有している、軸線xについて回転可能な回転輪10と、回転輪10の溝11内に収容可能に形成されたゴム製の環状のゴム環20とを備えている。溝11は、軸線x方向において対向する、内周側から外周側に延びる環状の一対の側面12を有しており、摩擦プーリ1において、ゴム環20は溝11内に収容されている。
ゴム環20は、外周に動力伝達のために回転部材Rに圧接される部分である接触面21と、溝11の一対の側面12に対応する一対の面である摩擦面22とを有している。摩擦面22は、軸線x方向において互いに背向している。摩擦プーリ1は、動力を伝達するための使用状態において、接触面21が動力伝達のために回転部材Rに圧接される。ゴム環20は、少なくとも動力伝達状態において、摩擦面22が溝11の側面12に押し付けられている。
ゴム環20は、接触面21が回転部材Rに圧接されていない非動力伝達状態においても、摩擦面22が溝11の側面12に夫々押し付けられて溝11内に収容されていてもよい。この場合、ゴム環20が溝11に収容されていない外力が加えられていない状態(以下、「自由状態」という。)におけるゴム環20の摩擦面22の間の間隔d0は(図1(b)、図3参照)、溝11の側面12の間の間隔d1よりも大きくなっており、ゴム環20は摩擦面22が溝11の側面12に押圧された状態で溝11内に収容されている。
また、溝11は、内周側において側面12の間に延びている面である底面13を有しており、側面12の間の間隔d1は一定となっている。ゴム環20は、内周側において摩擦面22の間に延びる面である底面23を有しており、自由状態において摩擦面22の間の間隔d0は一定となっている(図3参照)。摩擦プーリ1においてゴム環20の底面23は溝11の底面13に当接している。
具体的には、回転輪10は、軸線x方向に所定の幅を有している軸線xを中心とする円盤状の又は円柱状の部材であり、外周に、内周側に凹む環状の溝11を有している。溝11は、図1(b)に示すように、軸線xに沿う断面(以下、単に「断面」ともいう。)において矩形の形状を有しており、側面12は、内周側から外周側(図1(b)の矢印b方向)に軸線xに直交して延びる円環状の平面となっている。溝11の一対の側面12は、軸線x方向において互いに対向して平行に延びており、一対の側面12の間の間隔d1は、内周側から外周側に亘って一定となっている。また、溝11の底面13は、軸線xを中心とする円柱面となっている。
また、摩擦プーリ1の断面の部分拡大図である図2に示すように、回転輪10において、回転輪10の外周側の端面である円柱面状の外周面14の各々と側面12の各々とを接続する面である移行面15は曲面となっている。移行面15は、例えば、側面12と外周面14との接続部分を丸面取りすることにより形成される。
また、回転輪10は、図1(a),(b)に示すように、溝11よりも内周側に軸線x方向に延びる貫通孔16を有しており、軸線xを中心とする円柱面である内周面17を有している。この貫通孔16には、図示しないモータの軸やこの軸に取り付けられた部材が圧入されて嵌合され若しくは固定される。摩擦プーリ1の使用方法に応じて、回転輪10の貫通孔16には、摩擦プーリ1が用いられる内燃機関の補機等の装置や構成等の取り付け用の部材等(軸等)が圧入されて嵌合され若しくは固定される。固定はボルトやナット等の図示しない公知の手段によって行われる。摩擦プーリ1がアイドラプーリとして用いられる場合は、回転輪10の貫通孔16に回転軸が挿通され、または、ベアリングが取り付けられる。また、貫通孔16が回転輪10の回転支持のために用いられるのではなく、固定用の孔として用いられる場合は、貫通孔16は、軸線xを中心として形成されていなくてもよく、また、複数設けられていてもよい。貫通孔16は、摩擦プーリ1が取り付けられる対象に応じた形状を有している。また、回転輪10は貫通孔16を有していない中実部材であってもよい。
ゴム環20は、回転輪10の溝11に収容されていない自由状態において、図3に示すように、回転輪10の溝11に対応して、矩形の断面形状を有しており、摩擦面22は、溝11の側面12に対応しており、内周側から外周側に軸線xに直交して延びる円環状の平面となっている。一対の摩擦面22は、軸線x方向において互いに背向して平行に延びており、一対の摩擦面22の間の間隔d0は、内周側から外周側に亘って一定となっている。接触面21は、外周側において一対の摩擦面22の間に延びており、軸線xを中心とする円柱面となっている。また、摩擦面22の底面23も、軸線xを中心とする円柱面となっている。
自由状態におけるゴム環20の摩擦面22の間の間隔d0は、溝11の側面12の間の間隔d1よりも大きくなっており(d0>d1)、図1(b)に示すように、ゴム環20が回転輪10の溝11に収容された取付状態において、ゴム環20は溝11によって軸線x方向において圧縮されており、ゴム環20の摩擦面22は、対向する溝11の側面12に対して押圧されている。ゴム環20は、取付状態において、摩擦面22の間の間隔が間隔d0から間隔d2になるまで圧縮されている。このように、非動力伝達状態における摩擦プーリ1において、回転輪10の溝11に収容されたゴム環20は、摩擦面22が溝11の側面12に対して押し付けられている。また、取付状態において、ゴム環20の底面23は溝11の底面13に接触している。ゴム環20の底面23は、溝11の底面13を緊迫する締め付け力を持って溝11の底面13に接触していてもよい。
また、ゴム環20は、図1(a),(b)に示すように、接触面21が回転輪10の外周面14から外周側に飛び出している。
回転輪10は、金属又は樹脂から形成されており、また、ゴム環20のゴム材料としては種々のゴム材料を用いることができ、要求に応じた物性を有するゴム材料が選択される。ゴム環20のゴム材料は、例えば、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム(NR)やウレタンゴムである。ゴム環20の回転輪10への取り付けは、例えば、回転輪10の溝11に収容可能な大きさ(半径)に仮成形したゴム環2を回転輪10の溝11に収容し、二次加硫によってゴム環2を所望の大きさに収縮して成形することによってなされる。または、ゴム環20は、最終の形状に成形された後に、引っ張りによって弾性変形させられて回転輪10の溝11に収容されて取り付けられる。
次いで、上述の構成を有する摩擦プーリ1の作用について説明する。
摩擦プーリ1は、図1(a)に示すように、動力伝達状態において、回転部材Rに押し付けられている。具体的には、ゴム環20の外周面である接触面21が回転部材Rに押し付けられて圧接されて、回転部材Rに動力が伝達され、または、回転部材Rの動力が伝達される。このとき、図4に示すように、ゴム環20は、接触面21の回転部材Rとの接触部分において、押圧力fによって内周方向に押圧される。この押圧力fにより、ゴム環20は、溝11内において、内周方向に圧縮されて変形し、軸線x方向に広がる。この押圧力fによる軸線x方向の変形により、ゴム環20の摩擦面22は更に溝11の側面12に押し付けられ、摩擦面22に非動力伝達状態において発生している側面12への押付力に加えて新たな押付力pが発生する。このように、摩擦プーリ1の動力伝達状態においては、ゴム環20の摩擦面22には、ゴム環20の接触面21が押圧されていない非動力伝達状態において摩擦面22に発生している摩擦面22を溝11の側面12に対して押し付ける押付力よりも大きな押付力が発生している。このため、摩擦プーリ1の動力伝達状態においては、ゴム環20の摩擦面22と溝11の側面12との間に大きな摩擦力を発生させることができる。これにより、従来のような接着剤により得られる接着力よりも、ゴム環20と溝11との間に発生する摩擦力を大きくすることができる。このため、動力伝達状態において、ゴム環20が溝11を摺動することを抑制することができ、ゴム環20が溝11において外周方向にずれてゴム環20がたわむことを抑制することができる。たわみの抑制により、ゴム環20と回転輪10との間の摺動が抑制され、ゴム環20と回転輪10との間の発熱を抑制することができ、ゴム環20の耐久性を向上させることができる。
また、動力伝達状態において、ゴム環20の接触面21が押圧されると、図4に示すように、ゴム環20の溝11から突出した摩擦面22の外周側の部分(図4の部分s)が側方に変形して突出する。このとき、ゴム環20の突出部分sの付け根は、回転輪10の溝11の側面12と外周面14との間の移行面15に押し付けられる。ゴム環20の突出部分sの付け根が押し付けられる回転輪10の移行面15は、上述のように、曲面となっており(図2参照)、ゴム環20の突出部分sの付け根は、移行面15に沿って外側に逃げる(変形する)ことができる。このため、動力伝達状態におけるゴム環20の変形によって、ゴム環20が、移行面15に押し付けられるゴム環20の突出部分sの付け根において、大きな応力を有することが抑制されており、ゴム環20の亀裂や破損の防止を図ることができる。
また、ゴム環20の摩擦面22の間の間隔d0と溝11の側面12の間の間隔d1との関係を調整することにより、摩擦プーリ1においてゴム環20が回転輪10に対して滑り始める滑りトルクの大きさを容易に調整することができる。このため、摩擦プーリ1が取り付けられる装置に応じて、滑りトルクを設定することにより、この装置に過大なトルクが加わらないようにすることができ、摩擦プーリ1が取り付けられる装置の損傷の予防を図ることができる。
摩擦プーリ1においては、ゴム環20は回転輪10に接着剤によって接着されておらず、接着強度確保のためにゴム環20に使用できるゴム材料の種類が制限されることはなく、種々のゴム材料を用いてゴム環20を作製することができ、ゴム環20のゴム材料の選択肢を大きく広げることができる。
上述のように、本発明の第1の実施の形態に係る摩擦プーリ1によれば、高いトルクを伝達可能にすることができる。
なお、ゴム環20は、非動力伝達状態において、溝11内で軸線x方向に圧縮されていなくてもよい。つまり、自由状態におけるゴム環20の摩擦面22の間の間隔d0が溝11の側面12の間の間隔d1よりも小さく(d0<d1)、非動力伝達状態において、溝11内でゴム環20の摩擦面22が溝11の側面12に対して押し付けられていなくてもよい(d2=d0)(図1(b)、図3参照)。但し、この場合、動力伝達状態において、ゴム環20の接触面21への押圧力fによるゴム環20の変形によって、ゴム環20の摩擦面22が溝11の側面12に押し付けられて、摩擦面22に所望する押付力pが発生するように、側面12の間の間隔d1に対して摩擦面22の間の間隔d0が設定される。また、ゴム環20の接触面21の形状は平面に限らず曲面であってもよく、断面において、曲線の輪郭、例えば円弧の輪郭を有するものであってもよい。ゴム環20の底面23や溝11の底面13の形状も同様に、平面に限らず曲面であってもよい。
また、溝11の側面12の表面粗さや表面硬さ等の表面性状や寸法、側面12の形状は、回転輪10とゴム環20との間に所望の摩擦力が発生するように設定されていてもよい。また、溝11の底面13も、側面12と同様の表面性状に設定されていてもよい。溝11において、側面12及び底面13は、互いに同一の表面性状を有していてもよく、異なる表面性状を有していてもよい。例えば、溝11の側面12が粗い表面粗さを有しおり、溝11の底面13が鏡面のような滑らかな表面粗さを有していてもよい。
次いで、本発明の第2の実施の形態に係る摩擦プーリ2について説明する。図5は、本発明の第2の実施の形態に係る摩擦プーリ2の概略構成を示すための図であり、摩擦プーリ2の軸線に沿う断面における断面図である。以下、上述の本発明の第1の実施の形態に係る摩擦プーリ1に対して同一の又は類似する構成については同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
本実施の形態に係る摩擦プーリ2は、上述の第1の実施の形態に係る摩擦プーリ1の回転輪10の溝11及びゴム環20に対して、異なる断面形状の溝30及びゴム環40を有している。図5に示すように、回転輪10の溝30の断面形状は略V字状になっており、ゴム環40の断面形状は、溝30に対応して、略V字状の部分を有している。
具体的には、図5に示すように、回転輪10の溝30の一対の側面31は、上述の摩擦プーリ1の溝11の側面12とは異なり、一対の側面31の間の間隔d3が内周側から外周側に向かって広がっている。より具体的には、側面31は、軸線xを中心とする環状の円錐面状の面となっており、一対の側面31の間の軸線x方向における間隔d3は、内周側から外周側に向かうに連れて大きくなっており、且つ一定の割合で大きくなっている。
図6は、自由状態におけるゴム環40の軸線xに沿う断面図である。ゴム環40は、図6に示すように、一対の摩擦面41が、上述の摩擦プーリ1のゴム環20の摩擦面22とは異なり、溝30の側面31に対応して、摩擦面41の間の間隔d4が内周側から外周側に向かって広がっている。より具体的には、摩擦面41は、軸線xを中心とする環状の円錐面状の面となっており、一対の摩擦面41の間の軸線x方向における間隔d4は、内周側から外周側に向かうに連れて大きくなっており、且つ一定の割合で大きくなっている。
摩擦面41の挟角は、溝31の側面31の挟角と同じであってもよく、また、異なっていてもよい。本実施の形態においては、図5に示すように、摩擦面41の挟角は、溝30の側面31の挟角と同一になっている。また、ゴム環40が回転輪10の溝30内に収容された状態において、ゴム環40は、摩擦面41が溝30の側面31に接触して軸線x方向において圧縮されており、側面31に沿って一様に圧縮されている。ゴム環40の摩擦面41は、自由状態において、その間隔d4が対応する溝30の部分の側面31の間隔d3よりも広くなっており、非動力伝達状態における摩擦プーリ2において、回転輪10の溝30に収容されたゴム環40は、摩擦面41が溝30の側面31の全体に押し付けられている。
また、図6に示すように、ゴム環40は、各摩擦面41の外周側の端部と接触面21の軸線x方向における端部とを接続する面である突出面42を有している。突出面42は、図5に示すように、非動力伝達状態において、溝30の外周側に飛び出しており、摩擦プーリ2において回転輪10の外周面14よりも外周側に位置している。なお、非動力伝達状態において、摩擦面41の外周端部側の部分も溝30から外周側に飛び出していてもよく、摩擦面41は溝30から外周側に飛び出していなくてもよい。突出面42は、例えば、円盤面状の環状の面である。また、取付状態において、ゴム環40の底面23は溝30の底面13に接触している。ゴム環40の底面23は、溝30の底面13を緊迫する締め付け力を持って溝30の底面13に接触していてもよい。
次いで、上述の構成を有する摩擦プーリ2の作用について説明する。
摩擦プーリ2は、動力伝達状態において、図7に示すように、ゴム環40は、接触面21の回転部材Rとの接触部分において、押圧力fによって内周方向に押圧される。この押圧力fにより、ゴム環40は、溝30内において、内周方向に圧縮されて変形し、軸線x方向に広がる。この押圧力fによる軸線x方向の変形により、ゴム環40の摩擦面41は、更に溝30の側面31に押し付けられ、摩擦面41に非動力伝達状態において発生している側面31への押付力に加えて更なる押付力が発生する。このように、摩擦面41には、摩擦面41に非動力伝達状態において発生している側面31への押付力に加えて更なる押付力が発生する。
また、溝30の一対の側面31は、内周側に向かって互いの間隔d3が狭まるように斜めに延びており、押圧力fの押し付けによってゴム環40は、更に狭い溝30の部分に押し込まれ、ゴム環40が更に圧縮されて更なる押付力が摩擦面41に発生する。このように、摩擦プーリ2の動力伝達状態においては、ゴム環40の摩擦面41に、ゴム環40の接触面21が押圧されていない非動力伝達状態において摩擦面41に発生している摩擦面41を溝30の側面31に押し付ける押付力に加えて、押圧力fによって発生する上記摩擦プーリ1の摩擦面22に発生する押圧力pよりも大きな押付力p1が新たに発生している。このため、摩擦プーリ2は、摩擦プーリ1の摩擦面22に発生する側面12への押付力よりも大きな押付力を摩擦面41に発生させることができる。
また、溝30の側面31は、軸線xに直交する方向から傾斜しており、このため、径方向の深さが同じ場合の溝11と溝30とにおいて、溝30の側面31は、溝11の側面11よりも面積を大きくすることができる。
このように、摩擦プーリ2においては、上述の第1の実施の形態に係る摩擦プーリ1よりも、摩擦面41に発生する側面31に対する押付力を大きくすることができると共に、溝30の側面31の面積を大きくすることができる。このため、摩擦プーリ2の動力伝達状態においては、ゴム環40の摩擦面41と溝30の側面31との間に、摩擦プーリ1よりも大きな摩擦力を発生させることができる。これにより、動力伝達状態において、ゴム環40が溝30を摺動することをより抑制することができ、ゴム環40が溝30において外周方向にずれてゴム環40がたわむことをより抑制することができる。
また、動力伝達状態において、ゴム環40の接触面21が押圧されると、図7に示すように、ゴム環40の突出面42、又は突出面42と摩擦面41の外周側の部分が側方に変形して突出する。摩擦プーリ2においても摩擦プーリ1と同様に、回転輪10の側面31と外周面14との間の移行面15は、曲面となっており(図7参照)、動力伝達状態におけるゴム環40の変形によって、ゴム環40が、移行面15に押し付けられる部分において、大きな応力を有することが抑制されており、ゴム環40の亀裂や破損の防止を図ることができる。
上述のように、本発明の第2の実施の形態に係る摩擦プーリ2によれば、高いトルクを伝達可能にすることができる。
なお、ゴム環40の摩擦面41の挟角は、溝30の側面31の挟角よりも大きくてもよく、側面31の挟角よりも小さくてもよい。この場合、ゴム環40の摩擦面41は、非動力伝達状態において、溝30の側面31全体に接触していなくてもよく、側面31に内周側又は外周側の部分において部分的に接触して、摩擦面41に内周側又は外周側の部分において部分的に側面31への押付力が発生するようになっていてもよい。また、この場合、動力伝達状態において、ゴム環40が回転部材Rの押圧力によって圧縮され、摩擦面41が溝30の側面31の全体に押し付けられて、摩擦面41に所望する押付力p1が発生するように、側面31の間の間隔d3に対して摩擦面41の間の間隔d4が設定されている。
また、ゴム環40は、非動力伝達状態において、溝30内で軸線x方向に圧縮されていなくてもよい。つまり、自由状態におけるゴム環40の摩擦面41の間の間隔d4が対応する溝30の部分の側面31の間の間隔d3よりも小さく(d4<d3)、非動力伝達状態において、溝30内でゴム環40の摩擦面41が溝30の側面31に押し付けられていなくてもよい(図5,6参照)。但し、この場合、動力伝達状態において、ゴム環40の接触面21への押圧力fによるゴム環40の変形によって、ゴム環40の摩擦面41が溝30の側面31に押し付けられて、摩擦面41に所望する押付力p1が発生するように、側面31の間の間隔d3に対して摩擦面41の間の間隔d4が設定されている。
また、溝30の側面31及びゴム環40の摩擦面41は、上述のように円錐面状ではなく、曲面であってもよく、例えば、外側に向かって凹の、または、内側に向かって凸の曲面であってもよい。また、ゴム環40の接触面21の形状は平面に限らず曲面であってもよく、断面において、曲線の輪郭、例えば円弧の輪郭を有するものであってもよい。ゴム環40の底面23や溝30の底面13の形状も同様に、平面に限らず曲面であってもよい。
また、溝30の側面31及びゴム環40の摩擦面41は、外周側から内周側に向かって間隔d3,d4が漸次大きくなる形状であってもよい。この場合、上記効果と同様の効果を奏することができると共に、ゴム環40の形状によってゴム40が溝30から抜け難くすることができる。また、ゴム環40は、突出面42を有していなくてもよい。
次いで、本発明の第3の実施の形態に係る摩擦プーリ3について説明する。図8は、本発明の第3の実施の形態に係る摩擦プーリ3の概略構成を示すための図であり、摩擦プーリ3の軸線に沿う断面における断面図である。以下、上述の本発明の第2の実施の形態に係る摩擦プーリ2に対して同一の又は類似する構成については同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
本実施の形態に係る摩擦プーリ3は、上述の第2の実施の形態に係る摩擦プーリ2の回転輪10の溝30に対して、異なる溝35を有している。図8に示すように、非動力伝達状態において、回転輪10の溝35は、底面13においてゴム環40の底面23とは当接しておらず、溝35において、溝35の底面13とゴム環40の底面23との間には、環状の空間36が形成されている。
次いで、上述の構成を有する摩擦プーリ3の作用について説明する。
摩擦プーリ3は、動力伝達状態において、ゴム環40の接触面21が回転部材Rからの押圧力fによって内周方向に押圧されると(図7参照)、軸線x方向への変形に加えて、ゴム環40の下方に空間36が形成されているため、ゴム環40は圧縮されて空間36内に進入するように変形する。このため、摩擦プーリ2におけるゴム環40よりも、押圧力fの押圧によってゴム環40は、より狭い溝30の部分に押し込まれる。このため、摩擦プーリ3においては、上述の摩擦プーリ2において摩擦面41に発生する側面31に対する押付力よりも、より大きな押付力を摩擦面41に発生させることができる。
このように、摩擦プーリ3においては、摩擦プーリ2よりも、摩擦面41に発生する側面31に対する押付力を大きくすることができ、摩擦プーリ3の動力伝達状態において、ゴム環40の摩擦面41と溝35の側面31との間に、摩擦プーリ2よりも大きな摩擦力を発生させることができる。
上述のように、本発明の第3の実施の形態に係る摩擦プーリ3によれば、高いトルクを伝達可能にすることができる。
次いで、上述の本発明の第3の実施の形態に係る摩擦プーリ3の変形例について説明する。図9は、本発明の第3の実施の形態に係る摩擦プーリ3の変形例に係る摩擦プーリ3´の概略構成を示すための断面図である。図9に示すように、摩擦プーリ3´は、上述の摩擦プーリ3の溝35とは異なる溝37を有している。具体的には、摩擦プーリ3´の溝37は、摩擦プーリ3の溝35の空間36とは異なる形状の空間38が形成されるようになっている。
図9に示すように、溝37は、非動力伝達状態において、ゴム環40の底面23との間に空間38が画成されるように形成されている。空間38は、断面形状が矩形であり、溝37の空間38に対応する部分は、溝37の側面31の内周側の端部から軸線xに向かって延びる一対の対向する環状の面と、この一対の環状の面に内周側の端部で接続する面とによって画成されている。溝37において空間38に対応する部分を画成する面は、例えば、軸線xに直交して延びる一対の円環状の平面と、この一対の円環状の平面の内周側の端部に接続する軸線x方向に延びる円柱面状の曲面である。
本第3の実施の形態に係る摩擦プーリ3の変形例に係る摩擦プーリ3´によれば、動力伝達状態において、溝30の側面31を超えて内周側に押圧されたゴム環40の先端側の部分は、空間38に進入するため、このゴム環40の先端側の部分が上記摩擦プーリ3のように更に側面31によって圧縮されることはない。このため、ゴム環40の先端側の部分の摩擦面41に過度の押付力が発生することを防止することができ、動力伝達状態から非動力伝達状態に戻した際に、ゴム環40が溝30の中に押し込まれた状態のままとなってしまうことを防止することができる。
なお、摩擦プーリ3´においては、空間38は、摩擦プーリ3の有する空間36に続いて形成されていてもよい。また、空間38の形状は矩形に限るものではなく、一対の側面31の間の空間が内周側に向かうに連れて更に狭まっていくことをなくす形状であればよい。例えば、空間38は、湾曲する曲面によって画成される空間であってもよい。
次いで、本発明の第4の実施の形態に係る摩擦プーリ4について説明する。本発明の第4の実施の形態に係る摩擦プーリ4は、上記第1〜3の実施の形態係る摩擦プーリ1〜3に対して、回転輪が複数の分割体から形成されている点において異なる。回転輪は、軸線xから外周に向かって広がる複数の円盤状の分割体から形成されており、溝は、分割体を軸線x方向において重ね合わせることにより形成されている。以下、詳細に説明する。
図10は、本発明の第4の実施の形態に係る摩擦プーリ4の概略構成を示すための軸線に沿う断面における摩擦プーリ4の断面図であり、図11は、本発明の第4の実施の形態に係る摩擦プーリ4の各構成が分離された状態で示された軸線に沿う断面における摩擦プーリ4の分解断面図である。以下、説明の便宜上、軸線xから離れる方向(図10,11の矢印b参照)を外周側又は外周方向とし、軸線xに近づく方向(図10,11の矢印a参照)を内周側又は内周方向とする。また、図10,11において、軸線x方向における左側(図10,11の矢印c参照)を前側又は前方とし、軸線x方向における右側(図10,11の矢印d参照)を後側又は後方とする。
図10,11に示すように、摩擦プーリ4は、回転輪としての基体102と、基体102の外周側に取り付けられたゴム環103とを備えている。基体102は、環状の外周面を有しており、例えば後述するように軸線xを中心とする中空の円盤状又は円柱状の形状を呈している。ゴム環103は、ゴム製の環状の部材であり、環状の外周面を有している。基体102を形成するための材料には、種々の材料を用いることができ、例えば、基体102は、樹脂或いは金属から形成されている。ゴム環103のゴム材料としては種々のゴム材料を用いることができ、要求に応じた物性を有するゴム材料が選択される。ゴム環103のゴム材料は、例えば、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム(NR)やウレタンゴムである。
基体102は、軸線xに対して外周方向に広がる第1基体部(分割体)としての前方ディスク110と、軸線xに対して外周方向に広がる第2基体部(分割体)としての後方ディスク120とを有している。前方ディスク110は、環状の外周面を有しており、前方ディスク110において軸線x方向における一方の側(後側)の側面に、外周面に沿って延びる環状の段部である前方段部111を有している。また、後方ディスク120は、同様に、環状の外周面を有しており、後方ディスク120において軸線x方向における一方の側(前側)の側面に、外周面に沿って延びる環状の段部である後方段部121を有している。
基体102において、前方ディスク110と後方ディスク120とは、各々の一方の側の側面において対向しており、つまり、前方ディスク110の後側の側面と後方ディスク120の前側の側面とが互いに対向しており、基体102の外周側の部分において、前方ディスク110の前方段部111と後方ディスク120の後方段部121とは互いに対向して環状の溝104を形成している。溝104の軸線x方向における幅は、ゴム環103の軸線x方向の幅よりも小さく、ゴム環103は、ゴム環103の外周面が前方ディスク110の外周面及び後方ディスク120の外周面よりも外周側に位置して、基体102の溝104に圧縮されて挟持されている。
基体102において、前方ディスク110と後方ディスク120とは、軸線x方向において不動に、つまり軸線x方向において互いに相対運動不能に固定されている。また、前方ディスク110と後方ディスク120とは、軸線xについて互いに相対回動不能に固定されている。
前方ディスク110は、具体的には、図10,11に示すように、中空円盤状の形状を有しており、前方段部111と、外周面112と、内周面113と、前側側面114と、後側側面115とによって画定されている。外周面112は、軸線xを中心とする円柱面であり、内周面113は、同様に軸線xを中心とする円柱面であり、外周面112よりも内周側において延びており、また、外周面112よりも長く軸線x方向に延びている。前側側面114は、軸線x方向に交差する方向に、例えば軸線xに直交する方向(以下、径方向ともいう。)に延びる円盤面又は円環状の平面であり、外周面112と内周面113との間に広がっている。後側側面115は、軸線x方向に交差する方向に、例えば径方向に延びる円盤面又は円環状の平面であり、内周面113と前方段部111との間に広がっている。
前方段部111は、後側側面115の外周側の部分において、前方に凹んでおり、後側側面115の外周側端と外周面112の後側端との間に広がっている。具体的には、図10,11に示すように、前方ディスク110の前方段部111は、環状の傾斜する面である傾斜面としての前方傾斜面(側面)116を有しており、この前方傾斜面116は軸線x方向において後側から前側に向かうに連れて拡径する円錐面状に形成されている。また、前方段部111は、後側側面115と前方傾斜面116との間に延びる環状の面である段差面117と、前方傾斜面116と外周面112との間に延びる環状の面であるフランジ面118とを有している。段差面117は、具体的には、軸線xを中心とする円柱面であり、また、フランジ面118は、具体的には、軸線xを中心とする中空円盤面又は円環状の平面である。
後方ディスク120は、具体的には、図10,11に示すように、中空円盤状の形状を有しており、後方段部121と、外周面122と、内周面123と、前側側面124と、後側側面125とによって画定されている。外周面122は、軸線xを中心とする円柱面であり、内周面123は、同様に軸線xを中心とする円柱面であり、外周面122よりも内周側において延びており、また、外周面122よりも長く軸線x方向に延びている。前側側面124は、軸線x方向に交差する方向に、例えば径方向に延びる円盤面又は円環状の平面であり、内周面123と後方段部121との間に広がっている。後側側面125は、軸線x方向に交差する方向に、例えば径方向に延びる円盤面又は円環状の平面であり、外周面122と内周面123との間に広がっている。
後方段部121は、前側側面124の外周側の部分において、後方に凹んでおり、前側側面124の外周側端と外周面122の前側端との間に広がっている。具体的には、図10,11に示すように、後方ディスク120の後方段部121は、環状の傾斜する面である傾斜面としての後方傾斜面(側面)126を有しており、この後方傾斜面126は軸線x方向において前側から後側に向かうに連れて拡径する円錐面状に形成されている。また、後方段部121は、前側側面124と後方傾斜面126との間に延びる環状の面である段差面127と、後方傾斜面126と外周面122との間に延びる環状の面であるフランジ面128とを有している。段差面127は、具体的には、軸線xを中心とする円柱面であり、また、フランジ面128は、具体的には、軸線xを中心とする中空円盤面又は円環状の平面である。
基体102においては、図10に示すように、前方ディスク110の前方傾斜面116は、後方ディスク120の後方傾斜面126に対向しており、略V字形の溝104を形成している。具体的には、前方ディスク110の前方傾斜面116及びフランジ面118と後方ディスク120の後方傾斜面126及びフランジ面128とは、軸線x方向において互いに対向しており、略V字形の溝104の側面を形成している。また、前方ディスク110の段差面117と後方ディスク120の段差面127とは、軸線xに沿って互いに面一に接続しており、略V字形の溝104の内周側の底面を形成している。なお、前方ディスク110の前方段部111はフランジ面118を有していなくてもよく、後方ディスク120の後方段部121はフランジ面128を有していなくてもよい。
基体102において、溝104は、前方ディスク110側の部分と後方ディスク120側の部分とが、軸線xに直交する断面に関して面対称となっている。また、前方ディスク110と後方ディスク120とは、軸線x方向における相対位置が不動となるように固定されており、溝104の形状が不変となっている。また、前方ディスク110と後方ディスク120とは、軸線xに関して相対回動不能に固定されている。溝104の径方向における各点での軸線x方向における幅が夫々所定の値となるように、軸線x方向における前方ディスク110と後方ディスク120との間の相対位置が決められている。基体102は、前方ディスク110と後方ディスク120とを軸線x方向において相対位置不動とするための図示しない固定手段を有しており、固定手段としては、ボルトによる固定等、種々の手段を用いることができる。また、前方ディスク110と後方ディスク120とを軸線xに関して相対回動不能にするための固定には、ボルトによる固定やピン等による係止等、種々の手段を用いることができる。
溝104の軸線x方向の幅は、摩擦プーリ4において、ゴム環103が軸線x方向において所定の幅(圧縮しろ)が圧縮され、溝104とゴム環103との接触面との間に所定の圧力の接触面圧(押付力)が発生し、基体102とゴム環103との間に所望の摩擦力が発生するような値に設定されている。
本実施の形態においては、図10に示すように、前方ディスク110と後方ディスク120とは、前方ディスク110の後側側面115が後方ディスク120の前側側面124に接触した状態に保持されて固定されている。前方ディスク110と後方ディスク120とは、前方ディスク110の後側側面115と後方ディスク120の前側側面124とが軸線x方向に一定の間隔を空けた状態に保持されて固定されていてもよい。この場合、前方ディスク110の後側側面115と後方ディスク120の前側側面124との間の軸線x方向における間隔は、摩擦プーリ4においてゴム環103が上記圧縮しろを圧縮されるように、溝104の軸線x方向における幅が所定の幅となるような間隔になっている。
前方ディスク110の前方段部111の前方傾斜面116及びフランジ面118の表面粗さや表面硬さ等の表面性状や寸法、後方ディスク120の後方段部121の後方傾斜面126及びフランジ面128の表面粗さや表面硬さ等の表面性状や寸法、前方傾斜面116及び後方傾斜面126の傾斜角度や形状は、基体102とゴム環103との間に所望の摩擦力が発生するように設定されている。また、前方ディスク110の段差面117及び後方ディスク120の段差面127も、前方傾斜面116、後方傾斜面126、及びフランジ面118,128と同様の表面性状や形状に設定されていてもよい。前方ディスク110の前方段部111において、前方傾斜面116、段差面117、及びフランジ面118は、互いに同一の表面性状を有していてもよく、いずれか1つの面が異なる表面性状を有していてもよく、また、夫々異なる表面性状を有していてもよい。同様に、後方ディスク120の後方段部121において、後方傾斜面126、段差面127、及びフランジ面128は、互いに同一の表面性状を有していてもよく、いずれか1つの面が異なる表面性状を有していてもよく、また、夫々異なる表面性状を有していてもよい。例えば、溝104の側面である、前方傾斜面116、後方傾斜面126、及びフランジ面118,128が粗い表面粗さを有しおり、溝104の底面である、段差面117,127が鏡面のような滑らかな表面粗さを有していてもよい。
基体102において、図10に示すように、前方ディスク110の内周面113と後方ディスク120の内周面123とは、軸線xに沿って互いに面一に接続しており、軸線xを中心とする円柱面を形成している。基体102において、前方ディスク110の内周面113と後方ディスク120の内周面123とによって形成される円柱面が形成する貫通孔には、上記本発明の第1の実施の形態に係る摩擦プーリ1の貫通孔16と同様に、モータや補機の軸や軸に取り付けられた部材等の、摩擦プーリ4が用いられる装置や構成等の取り付け用の部材等が圧入若しくは固定される。固定はボルトやナット等の図示しない公知の手段によって行われる。前方ディスク110の内周面113と後方ディスク120の内周面123とは、摩擦プーリ4が取り付けられる対象に応じた形状を有しており、互いに異なる形状を有していてもよい。また、前方ディスク110の内周面113と後方ディスク120の内周面123とは、摩擦プーリ4が取り付けられる装置や構成の有する軸が取り付けられる若しくは挿通される軸孔を形成してもよい。また、前方ディスク110は内周面113を有していない、中実部材であってもよく、また、後方ディスク120は内周面123を有していない、中実部材であってもよい。
前方ディスク110と後方ディスク120とは同一の又は相似する形状に形成されていてもよく、異なった形状に形成されていてもよい。
ゴム環103は、図10,11に示すように、内周側に、基体102の溝104に対応した形状を有しており、前側の側面に円錐面状の第1側面としての前側傾斜面(摩擦面)131を有しており、後側の側面に円錐面状の第2側面としての後側傾斜面(摩擦面)132を有している。また、ゴム環103は、環状の外周面(接触面)133と、外周面133の前端及び後端から内周側に向かって夫々延びる前側側面134及び後側側面135と、外周面よりも内周側において延びている環状の内周面(底面)136とを有している。外周面133は、具体的には、軸線xを中心とする円柱面である。前側側面134は、外周面133の前端と前側傾斜面131の外周側端との間に延びており、具体的には、径方向に延びる円盤面又は円環状の平面である。後側側面135は、外周面133の後端と後側傾斜面132の外周側端との間に延びており、具体的には、径方向に延びる円盤面又は円環状の平面である。内周面136は、具体的には、軸線xを中心とする円柱面であり、前側傾斜面131の内周側端と後側傾斜面132の内周側端との間に延びている。このように、ゴム環103は、前側傾斜面131、後側傾斜面132、外周面133、前側側面134、後側側面135、及び内周面136によって画成されている。
上述のように、ゴム環103は、内周側に、基体102の溝104に対応した形状を有しており、前側傾斜面131及び前側側面134が、溝104の前側の側面である前方ディスク110の前方傾斜面116及びフランジ面118に夫々対応しており、後側傾斜面132及び後側側面135が、溝104の後側の側面である後方ディスク120の後方傾斜面126及びフランジ面128に夫々対応しており、内周面136が溝104の底面である段差面117,127に対応している。具体的には、図11に示すように、軸線xに基づいて、ゴム環103の前側傾斜面131は、前方ディスク110の前方傾斜面116に平行に延びており、また、ゴム環103の後側傾斜面132は、後方ディスク120の後方傾斜面126に平行に延びている。
ゴム環103は、前側傾斜面131及び後側傾斜面132の部分において、径方向における各点での軸線x方向における幅が、溝104に対して夫々一定の圧縮しろを有するように設定されている。
溝104の軸線x方向の幅は、摩擦プーリ4において、ゴム環103が前側傾斜面131及び後側傾斜面132に沿って一様に軸線x方向において所定の幅(圧縮しろ)を圧縮され、溝104とゴム環103との接触面との間に所定の圧力の接触面圧が発生し、基体102とゴム環103との間に所望の摩擦力が発生するような値に設定されている。
ゴム環103は、図10に示すように、摩擦プーリ4において、内周側の部分が基体102の溝104に挟持されて圧縮されており、前側傾斜面131が前方ディスク110の前方傾斜面116に押圧されて押し付けられて接触しており、後側傾斜面132が後方ディスク120の後方傾斜面126に押圧されて押し付けられて接触しており、内周面136は前方ディスク110及び後方ディスク120の段差面117,127に押圧されて押し付けられて接触している。
摩擦プーリ4の組み立ての際には、図11に示すように、前方ディスク110と後方ディスク120とを軸線x方向において互いに近づけていくと、前方ディスク110の前方傾斜面116がゴム環103の前側傾斜面131に接触し、後方ディスク120の後方傾斜面126がゴム環103の後側傾斜面132に接触し、ゴム環103が軸線x方向において圧縮されていく。そして、前方ディスク110と後方ディスク120とが、後側側面115と前側側面124とにおいて接触すると、ゴム環103が所望の幅の圧縮しろを圧縮されて、ゴム環103と基体102との間に所望の摩擦力が発生するようになる。摩擦力は、主として、前方ディスク110の前方傾斜面116とゴム環103の前側傾斜面131との間、後方ディスク120の後方傾斜面126とゴム環103の後側傾斜面132との間、および、溝104の底面(前方ディスク110及び後方ディスク120の段差面117,127)とゴム環103の内周面136との間に発生する。
図10に示すように、摩擦プーリ4において、ゴム環103の外周側の部分は基体102の外周面から外周側に突出しており、ゴム環103の外周面133は、基体102の外周面(前方ディスク110及び後方ディスク120の外周面112,122)よりも外周側に位置している。これにより、回転駆動されるベルトやプーリ等の回転部材R(図1(a)参照)の側面に、摩擦プーリ4のゴム環103の外周面133が当接可能になっており、摩擦プーリ4はゴム環103の外周面133が回転部材Rの側面に押圧され、外周面133と回転部材Rの側面との間の摩擦力により、摩擦プーリ4と回転部材Rとの間の動力伝達が可能になる。
上述のように、本発明の実施の形態に係る摩擦プーリ4においては、ゴム環103が前方ディスク110と後方ディスク120との間で圧縮された状態で、基体102の溝104内に挟持されている。従って、上述の本発明の第1〜3の実施の形態に係る摩擦プーリ1〜3の奏する効果と同様に、ゴム環103と溝104との間の接触面に摩擦力を発生させることができ、ゴム環103の圧縮しろを大きくすることにより、ゴム環103と溝104との間の接触面に発生する摩擦力を大きくすることができる。このため、ゴム環103が基体102に対して滑ることなく受けることができるゴム環103の外周面133に沿う方向の荷重を大きくすることができ、摩擦プーリ4が伝達可能なトルクを従来よりも増大させることができる。また、接着剤により得られる接着力よりも、ゴム環103と溝104との間の接触面に発生する摩擦力を大きくすることができる。
また、基体102とゴム環103とは、傾斜する前方傾斜面116及び後方傾斜面126と、傾斜する前側傾斜面131及び後側傾斜面132とが夫々接触して摩擦力を発生しているので、基体102とゴム環103との間の接触面を大きくすることができ、基体102とゴム環103との間の接触面に発生する摩擦力をより大きくすることができる。
また、ゴム環103を前方ディスク110と後方ディスク120との間に挟持させることにより、接着処理を行うことなく、また、二次加硫処理や引張工程を行うことなく、摩擦プーリ4を組み立てることができる。このため、ゴム環103のゴム材料がどのような硬度や伸び等の特性を有していたとしても、また、どのような形状を有していたとしても、ゴム環103に追加の処理をすることなく、前方ディスク110と後方ディスク120との間にゴム環103を挟持させるだけで容易に摩擦プーリ4を作製することができる。
また、ゴム環103の圧縮しろを容易に調整することができ、摩擦プーリ4においてゴム環103が基体102に対して滑り始める滑りトルクの大きさを容易に調整することができる。このため、摩擦プーリ4が取り付けられる装置に応じて、滑りトルクを設定することにより、この装置に過大なトルクが加わらないようにすることができ、摩擦プーリ4が取り付けられる装置の損傷の予防を図ることができる。上記本発明の第1〜3の実施の形態に係る摩擦プーリ1〜3,3´についても同様である。
摩擦プーリ4においては、ゴム環103は基体102に接着されておらず、接着強度確保のためにゴム環103に使用できるゴム材料の種類が制限されることはなく、種々のゴム材料を用いてゴム環103を作製することができ、ゴム環103のゴム材料の選択肢を大きく広げることができる。上記本発明の第1〜3の実施の形態に係る摩擦プーリ1〜3,3´についても同様である。
また、摩擦プーリ4においては、ゴム環103は基体102に接着されておらず、接着工程が不要であり、製造工程を簡易にすることができ、生産性を向上させることができる。上記本発明の第1〜3の実施の形態に係る摩擦プーリ1〜3,3´についても同様である。
また、摩擦プーリ4において、ゴム環103と基体102の溝104との間の摩擦力は、ゴム環103に使用されるゴム材料の物性や溝104の表面性状によって決まるため、予めゴム材料の物性や溝104の表面性状を検査しておくことにより、摩擦プーリ4の品質を摩擦プーリ4を破壊することなく検査することができる。ゴム環と基体とが接着剤によって接着されている摩擦プーリにおいては、接着不良がある場合に、この接着されていない部分からゴム環の亀裂が早い段階で発展していき、ゴム環の破損に至る。このため、ゴム環と基体との間に接着剤による接着が用いられている摩擦プーリにおいては、接着不良の検出が重要であるが、摩擦プーリを分割することなく検査をすることは困難であった。これに対し、本発明の実施の形態に係る摩擦プーリ4は、破壊することなしに検査でき、摩擦プーリ1の品質管理を容易にすることができる。上記本発明の第1〜3の実施の形態に係る摩擦プーリ1〜3,3´についても同様である。
なお、基体102の溝104の形状は上述の略V字形の形状に限定されるものではない。例えば、前方ディスク110の前方段部111の前方傾斜面116及び後方ディスク120の後方段部121の後方傾斜面126は、円錐面状ではなく、軸線xに沿う断面において、曲線の輪郭を有する形状であってもよい。また、同様に、ゴム環103の形状は、基体102の溝104に対応して略V字形の形状に限定されるものではない。例えば、ゴム環103の前側傾斜面131及び後側傾斜面132は、円錐面状ではなく、軸線xに沿う断面において、曲線の輪郭を有する形状であってもよい。また、基体102の溝104の断面形状は、U字状や矩形、円形であってもよく、同様に、ゴム環3の断面形状は、U字状や矩形、円形であってもよい。ゴム環103及び溝104の形態は夫々、上述の摩擦プーリ1〜3,3´が備えるゴム環20,40及び溝11,30,35,37の形態であってもよい。
また、前方ディスク110及び後方ディスク120は夫々、段差面117,127を有していなくてもよい。この場合、基体102において、前方ディスク110と後方ディスク120とを軸線x方向において所定の間隔を空けて固定することにより、ゴム環103が上記所定の圧縮しろを圧縮されて溝104に挟持される。これにより、ゴム環103の前側傾斜面131が前方ディスク110の前方傾斜面116に圧接され、ゴム環103の後側傾斜面132が後方ディスク120の後方傾斜面126に圧接され、基体102とゴム環103との間に所望とする摩擦力が発生する。
上述のように、本発明の第4の実施の形態に係る摩擦プーリ4によれば、高いトルクを伝達可能にすることができる。
次いで、本発明の第5の実施の形態に係る摩擦プーリ5ついて説明する。図12は、本発明の第5の実施の形態に係る摩擦プーリ5の概略構成を示すための図であり、摩擦プーリ5の軸線に沿う断面における断面図である。本発明の第5の実施の形態に係る摩擦プーリ5は、上述の本発明の第2の実施の形態に係る摩擦プーリ2に対して、回転輪10とは異なる回転輪140を有している。以下、上述の本発明の第2の実施の形態に係る摩擦プーリ2に対して同一の構成又は類似する構成については説明を省略し、異なる構成についてのみ説明する。
図12に示すように、摩擦プーリ5の回転輪140は、軸線x方向において並列に形成された2つの溝30を有しており、摩擦プーリ5は、2つの溝30の各々に夫々収容された2つのゴム環40を有している。
本発明の第5の実施の形態に係る摩擦プーリ5によれば、上述の本発明の第2の実施の形態に係る摩擦プーリ2の奏する効果に加えて、2つのゴム環40によってより大きな動力の伝達をすることができる。また、2つのゴム環40によって、摩擦プーリ5に加わる力を分散させることができ、各ゴム環40に加わる力を低減させることができ、各ゴム環40に発生する応力を低減させることができる。これにより、摩擦プーリ5の耐久性を向上させることができる。
なお、摩擦プーリ5の回転輪140は、軸線x方向において並列に形成された3つ以上の複数の溝30を有していてもよく、摩擦プーリ5は、複数の溝30の各々に夫々収容された同数の複数のゴム環40を有していてもよい。また、摩擦プーリ5の回転輪140は、溝30に変えて上記摩擦プーリ1,3,3´の溝11,35,37を有していてもよく、また、ゴム環40に変えて上記摩擦プーリ1のゴム環20を有していてもよい。
また、摩擦プーリ5の回転輪140は、上記摩擦プーリ4のように、分割体としての複数のディスクが重ね合わされて形成されるようにしてもよい。例えば、図13に示すように、摩擦プーリ5の変形例としての摩擦プーリ6の回転輪140は、3つの分割体としての側方ディクス141、中央ディスク142、側方ディスク143とが軸線x方向において上記図10の摩擦プーリ4のように重ね合わせされることにより形成されるものであってもよい。側方ディスク141と中央ディスク142との接合面144は、例えば、外周側において一方の側(図13において左側)の溝30の底面13を分割している。同様に、側方ディスク143と中央ディスク142との接合面145は、例えば、外周側において一方の側(図13において右側)の溝30の底面13を分割している。
摩擦プーリ6の回転輪140は、3つ以上の複数の溝30を有していてもよい。この場合、摩擦プーリ6は、溝30の数に対応して同数のゴム環40を有しており、また、溝30の数に対応した数のディクスを有している。互いに隣接するディスクは、各溝30の底面13を分割している。また、側方ディスク141と中央ディスク142とは、また、側方ディスク143と中央ディスク142とは、互いに重ね合わせられる段差を有していてもよい。この段差によって、側方ディスク141,143と中央ディスク142とを互いに容易に位置決めすることができる。
また、上述の摩擦プーリ5の変形例としての摩擦プーリ6は、上述のように溝30に変えて他の形態の溝を有していてもよい。例えば、図14に示すように、摩擦プーリ5の変形例としての摩擦プーリ7は、摩擦プーリ6と同様に、回転輪140が、3つの分割体としての側方ディクス141、中央ディスク142、側方ディスク143とが軸線x方向において重ね合わせされることにより形成されており、また、回転輪140は、2つの溝30に変えて上記本発明の第3の実施の形態に係る摩擦プーリ3の溝35(図8参照)を2つ有している。図14に示すように、摩擦プーリ7において、側方ディスク141と中央ディスク142との接合面144は、例えば、外周側において一方の側(図14において左側)の溝35の底面13を分割している。同様に、側方ディスク143と中央ディスク142との接合面145は、例えば、外周側において一方の側(図14において右側)の溝35の底面13を分割している。また、非動力伝達状態における各溝35において、ゴム環40の底面23は底面13に当接しておらず、溝35の底面13とゴム環40の底面23との間には、環状の空間36が形成されている。摩擦プーリ7の回転輪140は、上記摩擦プーリ6と同様に、3つ以上の複数の溝35を有していてもよく、また、側方ディスク141と中央ディスク142とは、また、側方ディスク143と中央ディスク142とは、互いに重ね合わせられる段差を有していてもよい。
上述の摩擦プーリ1,2,3,3´,4,5,6,7において、ゴム環20,40,103は、内部に環状の芯線が埋設されていてもよい。芯線は、例えば、金属や樹脂材料から形成された無端のワイヤである。芯線が埋め込まれることにより、ゴム環20,40,103が伸びることを抑制することができ、ゴム環20,40,103のたわみの発生を抑制することができる。また、ゴム環20,40,103においてその延び方向の引っ張りひずみが発生することを抑制することができ、ゴム環20,40,103の耐久性を向上させることができる。
また、上述の摩擦プーリにおいて、ゴム環40,103は、図15に示すように、夫々その底面23又は内周面136に内周側に向かって延びる環状のリブ60が形成されていてもよい。リブ60は、軸線x周りに環状の円環状の部分であり、例えば、軸線xを中心とした中空円盤状の部分である。リブ60は、摩擦プーリの回転輪の溝の形状に応じて、その形状やサイズが設定されている。若しくは、リブ60の形状やサイズに対応して、摩擦プーリの回転輪の溝の形状やサイズが設定されている。リブ60のサイズとしては、例えば、径方向の寸法があり、リブ60の内周側の端面(内周端面61)と回転輪の溝の底面との間に空間ができるように、若しくは、リブ60の内周端面61と回転輪の溝の底面とが接触するように、各寸法が設定されている。また、例えば、リブ60の軸線x方向の幅は均一若しくは略均一になっている。
例えば、図15(a)に示すように、ゴム環40の変形例としてのゴム環50は、底面23から内周側に突出するように、断面形状が矩形又は略矩形の、底面23と軸線x方向の幅が同じ又は略同じであるリブ60が形成されている。ゴム環50において、リブ60の軸線x方向の幅は、底面23の軸線x方向の幅よりも狭くてもよい。また、例えば、図15(b)に示すように、ゴム環103の変形例としてのゴム環51は、内周面136から内周側に突出するように、断面形状が矩形又は略矩形の、軸線x方向の幅が内周面136の幅と同じ又は略同じであるリブ60が形成されている。ゴム環51において、リブ60の軸線x方向の幅は、内周面136の軸線x方向の幅よりも狭くてもよい。
リブ60が形成されたゴム環50,51は、断面二次モーメントを大きくすることができ、曲げモーメントによって発生するゴム環50,51の曲げひずみの低減を図ることができる。このため、動力伝達状態において、ゴム環50,51にたわみが発生することを抑制することができる。これにより、ゴム環50,51の伸縮を又は繰り返しの変形を抑制することができ、または、ゴム環50,51の伸縮の際の変形量を又は繰り返しの変形の際の変形量を低減させることができ、動力伝達時のゴム環50,51の発熱を抑制することができる。また、リブ60は、底面23又は内周面136から延びており、ゴム環50,51の摩擦面41や前側傾斜面131、後側傾斜面132に影響を与えることなく、つまりゴム環50,51と回転輪10,140との間の力の伝達機能に影響を与えることなく、ゴム環40,103の補強を図ることができる。
ゴム環50,51は、ゴム環40,103の底面23又は内周面136との間に空間(空間36,38)が形成される溝形状(溝35,37)を有する回転輪10,102,140に用いられることが好ましい。なお、上述のゴム環50,51において、上述のゴム環40,103と同一の又は類似する機能を有する部分には同一の符号を付している。
また、上述の摩擦プーリにおいて、ゴム環20,40,103は、図16に示すように、その外周側の両隅部が切り欠かれて、回転輪の溝との間に隙間が形成されるように逃げ部が形成されていてもよい。逃げ部の形状は、隅部が角面取りされて形成された形状又は丸面取りされて形成された形状等がある。逃げ部を有するゴム環を供える摩擦プーリにおいては、動力伝達状態においてゴム環が内周側に押圧されて変形しても、図4,7に示すようにゴム環の外周側の両隅部が溝を超えて軸線方向に押し出されることはなく溝内にておいて変形し、ゴム環が溝の上側の端部に押し付けられてゴム環のこの部分に応力集中が発生することを防止することができる。
例えば、図16(a)に示すように、ゴム環103の変形例としてのゴム環52は、ゴム環103の外周面133と前側側面134及び後側側面135とが夫々形成する外周側の隅部の両方が切り欠かれて逃げ部53が形成されている。逃げ部53は、内周側において、前側傾斜面131及び後側傾斜面132に夫々交差するように形成されていてもよく、前側側面134及び後側側面135に夫々交差するように形成されていてもよい。図16(a)においては、前側傾斜面131及び後側傾斜面132に夫々交差するように形成された逃げ部53が図示されている。逃げ部53は、ゴム環52が回転輪としての基体102の溝104内に収容された状態において、逃げ部53と前側傾斜面131及び後側傾斜面132とが夫々交差する部分である交差部53aが径方向において溝104の前方傾斜面116及び後方傾斜面126が広がる位置に夫々位置するように形成されている。このため、図17(b)に示すように、動力伝達状態においてゴム環52が内周側に押圧されて変形しても、ゴム環52の外周側の隅部は溝104を超えて軸線x方向に押し出されることはなく溝104内にておいて変形し、ゴム環52が、外周面112とフランジ面118とが交差する溝104の外周側の端部、及び外周面122とフランジ面128とが交差する溝104の外周側の端部に夫々押し付けられてゴム環52のこの部分に応力集中が発生することを防止することができる。このため、ゴム環52の亀裂や破損の防止を図ることができる。動力伝達状態においてゴム環52が溝104内を超えて軸線x方向に押し出されることがなく溝104内において変形するのであれば、ゴム環52の交差部53aは、径方向においてフランジ面118,128が広がる範囲内に夫々位置するようにしてもよい。
逃げ部53は、例えば、図16(a)に示すように断面において直線状又は略直線状に延びる、軸線xを中心又は略中心とする円錐面状又は略円錐面状の形状を有している。逃げ部53の形状は、円錐面状又は略円錐面状の形状に限らず、断面において円弧状、弧状、又は他の曲線状に延びる、軸線xを中心又は略中心とする環状の面であってもよい。逃げ部53の断面における形状が曲線状である場合、逃げ部53の断面における形状は、丸面取りされた形状や、図16(b)に示すように円弧の曲率が徐々に滑らかに変化する徐変R形状等がある。
前方ディスク110及び後方ディスク120において、フランジ部118,128は、図17(a)に示すように、溝104の外側に向かって広がるテーパー面であってもよい。このテーパー面は、トランペット状の面等の曲面であっても円錐面又は略円錐面であってもよい。図17(b)に示すように、フランジ部118,128がテーパー面である方が、動力伝達状態の際にゴム環53の外周側の端部が溝104内において、軸線x方向に溝104の外側に向かって広がる空間を大きくすることができ好ましい。また、前側傾斜面131及び後側傾斜面132とフランジ部118,128との夫々の間は滑らかに接続されていることが好ましい。
また、例えば、図16(c)に示すように、ゴム環20の変形例としてのゴム環54は、ゴム環20の接触面21と摩擦面22とが形成する外周側の隅部の両方が切り欠かれて逃げ部55が形成されている。逃げ部55は、ゴム環54が回転輪10の溝11内に収容された状態において、逃げ部55と摩擦面22とが交差する部分である交差部55aが径方向において溝11の側面12が広がる位置に位置するように形成されている。このため、上記ゴム環52と同様に、動力伝達状態においてゴム環54が内周側に押圧されて変形しても、ゴム環54の外周側の両隅部は溝11を超えて軸線x方向に押し出されることはなく溝11内にておいて変形し、ゴム環54が移行部15に押し付けられてゴム環54のこの部分に応力集中が発生することを防止することができる。このように、移行部15の作用に加えて、逃げ部55の作用も加わり、ゴム環54の亀裂や破損の防止の効果をより高くすることができる。
逃げ部55は、上記ゴム環52の逃げ部53と同様に、例えば、軸線xを中心又は略中心とする円錐面状又は略円錐面状の形状を有している。また、逃げ部55の形状は、上記逃げ部53と同様に、丸面取りされた形状や徐変R形状等、断面において円弧状、弧状、又は他の曲線状に延びる、軸線xを中心又は略中心とする環状の面であってもよい。
また、例えば、図16(d)に示すように、ゴム環40の変形例としてのゴム環56は、ゴム環40の接触面21と摩擦面41とが形成する外周側の隅部の両方が切り欠かれて逃げ部57が形成されている。逃げ部57は、ゴム環56が回転輪10,140の溝30,35,37内に収容された状態において、逃げ部57と摩擦面41とが交差する部分である交差部57aが径方向において夫々溝30,35,37の側面31が広がる範囲内に位置するように形成されている。このため、動力伝達状態においてゴム環56が内周側に押圧されて変形しても、ゴム環56の外周側の両隅部は夫々溝30,35,37を超えて軸線x方向に押し出されることはなく夫々溝30,35,37内にておいて変形し、ゴム環56が移行部15に押し付けられてゴム環56のこの部分に応力集中が発生することを防止することができる。このように、移行部15の作用に加えて、逃げ部57の作用も加わり、ゴム環56の亀裂や破損の防止の効果をより高くすることができる。
逃げ部56は、上記ゴム環52の逃げ部53と同様に、例えば、軸線xを中心又は略中心とする円錐面状又は略円錐面状の形状を有している。また、逃げ部56の形状は、上記逃げ部53と同様に、丸面取りされた形状や徐変R形状等、断面において円弧状、弧状、又は他の曲線状に延びる、軸線xを中心又は略中心とする環状の面であってもよい。
なお、上述のゴム環52,54,56において、上述のゴム環103,20,40と同一又は類似する機能を有する部分には同一の符号を付している。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に係る摩擦プーリに限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
1,2,3,3´4,5,6,7 摩擦プーリ
10,140 回転輪
11,30,35,37,104 溝
12,31 側面
13 底面
14,112,122 外周面
15 移行面
16 貫通孔
17,113,123 内周面
20,40,50,51,52,54,56,103 ゴム環
21 接触面
22,41 摩擦面
23 底面
36,38 空間
42 突出面
53,55,57 逃げ部
53a,55a,57a 交差部
60 リブ
61 内周端面
102 基体
110 前方ディスク
111 前方段部
114,124 前側側面
115,125 後側側面
116 前方傾斜面
117,127 段差面
120 後方ディスク
121 後方段部
126 後方傾斜面
131 前側傾斜面
132 後側傾斜面
133 外周面
134 前側側面
135 後側側面
136 内周面
141,143 側方ディスク
142 中央ディスク
144,145 接合面
d0,d1,d2,d3,d4 間隔
f 押圧力
p,p1 押付力
x 軸線

Claims (9)

  1. 回転する回転部材に外周において圧接されて動力を伝達する摩擦プーリであって、
    外周に内周側に凹む溝を有する軸線について回転可能な回転輪と、
    前記回転輪の溝内に収容可能に形成されたゴム製の環状のゴム環とを備え、
    前記溝は、前記軸線方向において対向する内周側から外周側に延びる環状の一対の側面を有しており、
    前記ゴム環は、前記溝内に収容されており、外周に動力伝達のために前記回転部材に圧接される接触面と、前記溝の一対の側面に対応する一対の面である摩擦面とを備え、前記ゴム環は、少なくとも、前記接触面が動力伝達のために前記回転部材に圧接されている動力伝達状態において、前記摩擦面が前記溝の側面に押し付けられていることを特徴とする摩擦プーリ。
  2. 前記ゴム環は、前記接触面が前記回転部材に圧接されていない非動力伝達状態においても、前記摩擦面が前記溝の側面に押し付けられて前記溝内に収容されていることを特徴とする請求項1記載の摩擦プーリ。
  3. 前記ゴム環の前記摩擦面の間の間隔は、前記ゴム環が前記溝に収容されていない状態において、対応する前記溝の前記側面の間の間隔よりも少なくとも部分的に大きくなっており、前記ゴム環は前記溝の前記側面に押圧された状態で前記溝内に収容されていることを特徴とする請求項2記載の摩擦プーリ。
  4. 前記溝は、内周側において前記側面の間に延びる底面を有しており、前記側面の間の間隔は一定であり、
    前記ゴム環は、内周側において前記摩擦面の間に延びる面である底面を有しており、前記摩擦面の間の間隔は前記ゴム環が前記溝に収容されていない状態において一定であり、前記ゴム環の底面は前記溝の底面に当接していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の摩擦プーリ。
  5. 前記溝は、内周側において前記側面の間に延びる底面を有しており、前記一対の側面の間の間隔は内周側から外周側に向かって広がっており、
    前記ゴム環は、内周側において前記摩擦面の間に延びる面である底面を有しており、前記摩擦面の間の間隔は前記ゴム環が前記溝に収容されていない状態において内周側から外周側に向かうに連れて広がっており、前記ゴム環の底面は前記溝の底面に当接していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の摩擦プーリ。
  6. 前記溝は、内周側において前記側面の間に延びる底面を有しており、前記一対の側面の間の間隔は内周側から外周側に向かって広がっており、
    前記ゴム環は、内周側において前記摩擦面の間に延びる面である底面を有しており、前記摩擦面の間の間隔は前記ゴム環が前記溝に収容されていない状態において内周側から外周側に向かうに連れて広がっており、
    前記接触面が前記回転部材に圧接されていない非動力伝達状態において、前記ゴム環の底面と前記溝の底面と間には空間が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の摩擦プーリ。
  7. 前記摩擦面及び前記側面は円錐面であることを特徴とする請求項5又は6記載の摩擦プーリ。
  8. 前記ゴム環を複数有しており、
    前記回転輪は前記ゴム環と同数の前記溝を有しており、前記複数のゴム環の各々は対応する前記複数の溝の各々に夫々収容されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の摩擦プーリ。
  9. 前記回転輪は、前記軸線から外周に向かって広がる複数の円盤状の分割体から形成されており、前記溝は、前記分割体を前記軸線方向において重ね合わせることにより形成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の摩擦プーリ。
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