JPWO2017006726A1 - 冷却デバイス - Google Patents
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Abstract
本発明は、第1封止フィルムと、第2封止フィルムと、熱を吸収するセラミック材料とを有して成る冷却デバイスであって、第1封止フィルムおよび第2封止フィルムが積層されており、熱を吸収するセラミック材料が、積層された第1封止フィルムおよび第2封止フィルムの間に充填され、封止されていることを特徴とする冷却デバイスに関する。
Description
本発明は、冷却デバイスに関する。
近年の電子機器の性能向上を背景に、熱源となるCPU(中央処理装置)、パワーアンプ、FET(電界効果トランジスタ)、IC(集積回路)、ボルテージレギュレータなどの電子部品の数が増加し、投入されるエネルギーの増加も重なって、発熱の問題が顕著化している。特に、スマートフォンやタブレット型端末のようなモバイル機器では、この熱により、電池の容量が劣化したり、構成する電子機器の信頼性に深刻な影響を与えたりする問題がある。従って、機器の内部の温度を、より高度に制御することが求められている。
上記のような熱源から生じた熱の制御は、既存の熱マネジメントソリューションである冷却ファン、ヒートパイプ、ヒートシンク、サーマルシート、ペルチェ素子などにより行われており、例えば、特許文献1には、ヒートシンクとファンまたはペルチェ素子を組み合わせた冷却装置が記載されている(特許文献1を参照)。
しかしながら、上記のようなヒートシンクとファンまたはペルチェ素子を組み合わせた冷却装置は、構造が比較的複雑であることに加え、機器が大きくなり、特にスマートフォンやタブレット型端末等の薄型の機器には使用しにくい。さらには、電力を消費するので、低消費電力(バッテリーの持ち時間)の観点からも不利である。
従って、スマートフォンやタブレット型端末等の薄型の機器では、現状、温度の制御は、筺体を介する放熱による手段しかなく、熱源と筺体をサーマルシートなどで熱結合し熱を逃がしている。
上記のような筺体を介する放熱は、筺体の表面積が限られていることから限界がある。従って、各熱源の温度を測定し、温度が所定の温度以上になった場合に、CPUなどのパフォーマンスを制限する(発熱自体を抑制する)ことで対応している。即ち、筺体の温度上昇が、CPU等のパフォーマンスの妨げになっていることがある。当然、このような筐体を介した放熱、換言すれば機器全体への伝熱による放熱においては、バッテリーにも熱が伝わることになり、電池容量の経時的な低下に繋がっているともいえる。
そこで、本発明者は、結晶構造相転移や磁気相転移等に伴い熱を吸収するセラミック材料である酸化バナジウム(具体的には二酸化バナジウム)を、電子機器の熱源付近に配置することにより、無電源で使用可能な冷却デバイスとすることを検討した。
しかしながら、本発明者の研究により、このようなセラミック材料、特に一般的な二酸化バナジウム(VO2)は、初期においては良好な吸熱効果を示すが、高湿度環境下では、吸熱効果が次第に低下することが明らかになった。
従って、本発明の目的は、無電源で使用可能で、小型化が可能であり、耐湿性に優れた冷却デバイスを提供することにある。
本発明者は、上記課題について検討した結果、高湿度環境下での吸熱特性の劣化は、セラミック材料が水分に曝されることにより酸化、水酸化されることが一因であることを見出した。そこで、本発明者は、耐湿性を改善するために、セラミック材料を外気から遮断することが効果的であると考え、これらをラミネート材により封止することにより、耐湿性が高い冷却デバイスを提供できることを見出した。
本発明の第1の要旨によれば、第1封止フィルムと、第2封止フィルムと、熱を吸収するセラミック材料とを有して成る冷却デバイスであって、第1封止フィルムおよび第2封止フィルムが積層されており、熱を吸収するセラミック材料が、積層された第1封止フィルムおよび第2封止フィルムの間に充填され、封止されていることを特徴とする冷却デバイスが提供される。
本発明の第2の要旨によれば、上記冷却デバイスを有して成る電子部品が提供される。
本発明の第3の要旨によれば、上記冷却デバイスまたは上記電子部品を有して成る電子機器が提供される。
本発明によれば、熱を吸収するセラミック材料を用い、これを封止フィルムにより封止することによって、無電源で使用可能で、小型化が可能であり、耐湿性に優れた冷却デバイスを提供することができる。
図1に模式的に示されるように、本発明の冷却デバイス1は、第1封止フィルム2および第2封止フィルム4と、潜熱により熱を吸収するセラミック材料6を有して成る。本発明の冷却デバイスにおいて、セラミック材料は、第1封止フィルムおよび第2封止フィルム間に挟まれた状態で封止されている。本発明の冷却デバイスは、潜熱により熱を吸収するセラミック材料が、第1封止フィルムおよび第2封止フィルムにより封止されているので、セラミック材料と水分との接触が抑制され、高湿度環境下においても、長期間その機能を維持することができる。
本発明の冷却デバイスは、特に限定されないが、シート状の形状を有し、その厚みは、好ましくは100μm以上10mm以下、より好ましくは1mm以上8mm以下、さらに好ましくは3mm以上5mm以下であり得る。
第1封止フィルムおよび第2封止フィルムは、単層フィルムであっても、積層フィルムであってもよい。
第1封止フィルムおよび第2封止フィルムは、その周縁部において互いに密着することにより、セラミック材料を封止する。両者を密着させる方法は、特に限定されず、溶着、接着剤等による接着が挙げられ、好ましくは溶着、例えばラミネート加工が挙げられる。
第1封止フィルムおよび第2封止フィルムの厚みは、水分(水蒸気)を実質的に透過させない厚みであれば特に限定されず、例えば、1μm以上、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、例えば100μm以上、500μm以上、または1mm以上であってもよい。一方、小型化、薄型化の観点からは、厚みは、好ましくは1mm以下、より好ましくは500μm以下、さらに好ましくは100μm以下、さらにより好ましくは50μm以下であり得る。
セラミック材料を封止するための第1封止フィルムと第2封止フィルムとの密着領域は、セラミック材料が存在する領域の端から、好ましくは少なくとも1mm以上まで、より好ましくは少なくとも3mm以上まで、さらに好ましくは少なくとも5mm以上までであり得る。この密着領域は、封入するセラミック材料の量、封止フィルムの材質等によって変化し得る。
第1封止フィルムおよび第2封止フィルムが、単層フィルムである場合、第1封止フィルムおよび第2封止フィルムを構成する材料は、好ましくは、ラミネート加工が可能な樹脂である。
ラミネート加工が可能な樹脂は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート、ナイロン等のポリオレフィンであり得る。
熱を吸収するセラミック材料は、絶縁性が不十分な場合があり、電流が流れ得る熱源付近や、回路基板上に用いた場合、回路をショートさせる可能性がある。ラミネート加工が可能な樹脂は絶縁性であるので、冷却デバイスによる電気回路のショートを防止することができる点でも有利である。
第1封止フィルムおよび第2封止フィルムが積層フィルムである場合、各層を構成する材料は特に限定されず、例えば、樹脂、ゴム、金属、合金、その他無機材料(グラファイト、ガラス)などであってもよい。
各層の厚みは、特に限定されず、例えば、1μm以上500μm以下、好ましくは5μm以上300μm以下、より好ましくは10μm以上200μm以下であり得る。
一の態様において、第1封止フィルムおよび第2封止フィルムの最外層は、それぞれ、絶縁材料から形成され得る。ここに、最外層とは、積層フィルムの層のうち、セラミック材料から最も遠い層を意味する。このように最外層を絶縁材料の層とすることにより、冷却デバイスによる電気回路のショートを防止することができる。
絶縁材料としては、特に限定されないが、樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート、ナイロン等のポリオレフィンが挙げられる。
絶縁材料から構成された最外層の厚みは、特に限定されないが、例えば1μm以上100μm以下、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上30μm以下であり得る。
第1封止フィルムおよび第2封止フィルムの最内層は、互いに密着することにより、セラミック材料を封止する。ここに、最内層とは、積層フィルムの層のうち、セラミック材料に最も近い層(即ち、セラミック材料に接する層)を意味する。
両者の最内層を密着させる方法は、特に限定されず、溶着、接着剤等による接着が挙げられ、好ましくは溶着、例えばラミネート加工が挙げられる。
一の態様において、封止フィルムの最内層を構成する材料は、ラミネート加工が可能な樹脂であり、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート、ナイロン等のポリオレフィンであり得る。
第1封止フィルムおよび第2封止フィルムの最内層の厚みは、特に限定されないが、例えば1μm以上100μm以下、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上30μm以下であり得る。
本発明の冷却デバイスは、第1封止フィルムおよび第2封止フィルムの間に、少なくとも1つの中間層を有していてもよい。
一の態様において、上記中間層は、高熱伝導性材料から形成された層であり得る。高熱伝導性材料から形成された層を用いることにより、封止フィルムを介する熱の放出を促進することができ、冷却デバイスの冷却効率が向上する。
上記高熱伝導性材料としては、特に限定されないが、金属(例えば、アルミニウム、銅)、合金(例えば、ステンレス)、グラファイト等が挙げられる。
高熱伝導性材料から形成された層の厚みは、特に限定されないが、例えば3μm以上200μm以下、好ましくは5μm以上100μm以下であり得る。高熱伝導性材料から形成された層の厚みを3μm以上とすることにより、封止フィルムを介する熱の放出をより促進することができる。一方、高熱伝導性材料から形成された層の厚みを200μm以下とすることにより、冷却デバイスの厚みを小さくすることができ、小型化に寄与する。
好ましい態様において、本発明の冷却デバイスは、第1封止フィルムおよび第2封止フィルムが、絶縁材料から形成された最外層と、樹脂材料、好ましくはラミネート加工が可能な樹脂から形成された最内層と、最外層と最内層の間に位置する高熱伝導性材料から形成された層とを有する。
本発明に用いられるセラミック材料は、潜熱により熱を吸収する。セラミック材料は、過剰な熱を潜熱により一時的に吸収し、温度が低下した際に吸収した熱を放出することにより、時間的な熱の平準化をすることで、高い冷却効果を得ることが可能になる。
本発明のセラミック材料は、好ましくは、酸化バナジウム、典型的には二酸化バナジウムを主成分とする。
上記「主成分」とは、セラミック材料中に60質量%以上含まれる成分を意味し、特に80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上、例えば98.0〜99.8質量%あるいは実質的に100%含まれる成分を意味する。
セラミック材料中の不純物としては、特に限定されないが、下記する酸化バナジウム以外の酸化バナジウム、例えばV2O3、V2O5等、他のセラミック材料、例えばガラス、ならびにNa、Al、Cr、Fe、Ni、Mo、Sb、Ca、Siおよびこれらの酸化物等が挙げられる。
一の態様において、上記酸化バナジウムは、バナジウムおよびM(ここに、Mは、W、Ta、MoおよびNbから選ばれる少なくとも一種である)を含み、バナジウムとMの合計を100モル部としたときのMの含有モル部が0モル部以上約5モル部以下である酸化バナジウムであってもよい。なお、Mは必須成分ではなく、Mの含有モル部は0であってもよい。
別の態様において、上記酸化バナジウムは、式:
V1−xMxO2
(式中、Mは、W、Ta、MoまたはNbであり、xは、0以上0.05以下である。)
で表される1種またはそれ以上の酸化バナジウムであってもよい。
V1−xMxO2
(式中、Mは、W、Ta、MoまたはNbであり、xは、0以上0.05以下である。)
で表される1種またはそれ以上の酸化バナジウムであってもよい。
好ましい態様において、上記酸化バナジウムは、式:
V1−xWxO2
(式中、xは、0以上0.01以下である。)
で表される1種またはそれ以上の酸化バナジウムであってもよい。
V1−xWxO2
(式中、xは、0以上0.01以下である。)
で表される1種またはそれ以上の酸化バナジウムであってもよい。
一の態様において、上記酸化バナジウムは、A(ここに、AはLiまたはNaである)およびバナジウムを含む複合酸化物であって、バナジウムを100モル部としたときのAの含有モル部が約50モル部以上約110モル部以下、好ましくは約70モル部以上約110モル部以下、より好ましくは約70モル部以上約98モル部以下である複合酸化物であってもよい。
さらに、上記酸化バナジウムは、A(ここに、AはLiまたはNaである)、バナジウムおよび遷移金属(例えば、チタン、コバルト、鉄およびニッケルから選択される少なくとも1種)を含む複合酸化物であって、
バナジウムと遷移金属のモル比が、995:5〜850:150の範囲にあり、
バナジウムおよび遷移金属の合計とAのモル比が、100:70〜100:110の範囲にある
ことを特徴とする複合酸化物であってもよい。
バナジウムと遷移金属のモル比が、995:5〜850:150の範囲にあり、
バナジウムおよび遷移金属の合計とAのモル比が、100:70〜100:110の範囲にある
ことを特徴とする複合酸化物であってもよい。
別の態様において、上記酸化バナジウムは、式:
AyV1−zMa zO2
(式中、AはLiまたはNaであり、Maは、遷移金属であり;yは、0.5以上1.1以下であり、好ましくはyは、0.7以上、1.1以下であり、zは、0以上0.15以下である。)
で表される1種またはそれ以上の酸化バナジウムであってもよい。
AyV1−zMa zO2
(式中、AはLiまたはNaであり、Maは、遷移金属であり;yは、0.5以上1.1以下であり、好ましくはyは、0.7以上、1.1以下であり、zは、0以上0.15以下である。)
で表される1種またはそれ以上の酸化バナジウムであってもよい。
上記式中、好ましくは、AはLiである。また、好ましくは、Maは、チタン、コバルト、鉄およびニッケルから選択される少なくとも1種の金属である。
好ましい態様において、上記式中、yおよびzは、下記(a)または(b)のいずれかを満たす。
(a)0.70≦y≦0.98、かつ、z=0、または
(b)0.70≦y≦1.1、かつ、0.005≦z≦0.15
(a)0.70≦y≦0.98、かつ、z=0、または
(b)0.70≦y≦1.1、かつ、0.005≦z≦0.15
一の態様において、上記酸化バナジウムは、Tiがドープされた酸化バナジウムまたはさらにW、Ta、MoおよびNbからなる群から選択される他の原子がドープされた酸化バナジウムであって、
他の原子がWである場合、バナジウム、Tiおよび他の原子の合計100モル部に対して、他の原子の含有モル部が、0モル部より大きく5モル部以下であり、
他の原子がTa、MoまたはNbである場合、バナジウム、Tiおよび他の原子の合計100モル部に対して、他の原子の含有モル部が、0モル部より大きく15モル部以下であり、
バナジウム、Tiおよび他の原子の合計100モル部に対して、チタンの含有モル部は、2モル部以上30モル部以下である。このような酸化バナジウムを用いることにより、セラミック材料の耐湿性が向上する。
他の原子がWである場合、バナジウム、Tiおよび他の原子の合計100モル部に対して、他の原子の含有モル部が、0モル部より大きく5モル部以下であり、
他の原子がTa、MoまたはNbである場合、バナジウム、Tiおよび他の原子の合計100モル部に対して、他の原子の含有モル部が、0モル部より大きく15モル部以下であり、
バナジウム、Tiおよび他の原子の合計100モル部に対して、チタンの含有モル部は、2モル部以上30モル部以下である。このような酸化バナジウムを用いることにより、セラミック材料の耐湿性が向上する。
好ましい態様において、上記のTiがドープされた酸化バナジウムは、Tiおよび他の原子の合計100モル部に対して、チタンの含有モル部が、5モル部以上10モル部以下であり得る。
本発明において、「Tiがドープされた二酸化バナジウム」とは、X線構造解析(典型的には、粉末X線回折法を用いる)により対応する結晶構造を示す酸化バナジウムを意味する。本明細書において、「さらに他の原子がドープされた二酸化バナジウム」とは、Tiに加え他の原子がドープされた二酸化バナジウムであり、X線構造解析により対応する結晶構造を示す酸化バナジウムを意味する。
別の態様において、上記酸化バナジウムは、
式:V1−x−yTixMyO2
[式中、Mは、W、Ta、MoまたはNbであり、
xは0.02以上0.30以下であり、
yは0以上であって、
MがWである場合、yは0.05以下であり、
MがTa、MoまたはNbである場合、yは0.15以下である。]
で表される酸化バナジウムである。このような酸化バナジウムを用いることにより、セラミック材料の耐湿性が向上する。
式:V1−x−yTixMyO2
[式中、Mは、W、Ta、MoまたはNbであり、
xは0.02以上0.30以下であり、
yは0以上であって、
MがWである場合、yは0.05以下であり、
MがTa、MoまたはNbである場合、yは0.15以下である。]
で表される酸化バナジウムである。このような酸化バナジウムを用いることにより、セラミック材料の耐湿性が向上する。
好ましくは、上記式中、xは、0.05以上0.10以下であり得る。
上記酸化バナジウムが相転移する温度は、冷却対象物、冷却目的などに応じて適宜選択され、例えば冷却対象物がCPUである場合、昇温時20〜100℃、好ましくは40〜60℃で相転移することが好ましい。上記酸化バナジウムが相転移する温度、即ち、上記酸化バナジウムが潜熱を示す温度は、他の原子を添加(ドープ)し、その原子の添加量を調節することにより調整することができる。
上記酸化バナジウムは、好ましくは35J/g以上、より好ましくは40J/g以上、さらに好ましくは43J/g以上の初期潜熱量を有する。より大きな潜熱量を有することにより、より小さな体積で大きな冷却効果を発揮できるので、小型化の点で有利である。ここに、「潜熱」とは、物質の相が変化するときに必要とされる熱エネルギーの総量であり、本明細書においては、固体−固体の相転移、例えば電気・磁気・構造相転移に伴う吸発熱量の事をいう。
上記酸化バナジウムは、粒子(粉末)状であることが好ましい。上記酸化バナジウムの平均粒径(D50:体積基準で粒度分布を求め、全体積を100%とした累積曲線において、累積値が50%となる点の粒径)は、特に限定されないが、例えば、0.1〜数百μm、具体的には0.1〜900μm、代表的には約0.2〜50μmであり、好ましくは、0.5〜50μmであり得る。かかる平均粒径は、レーザー回折・散乱式 粒子径・粒度分布測定装置または電子走査顕微鏡を用いて測定することができる。平均粒径は、取り扱いの容易性および耐湿性の観点から、0.2μm以上であることが好ましく、より緻密に成形できるという観点から、50μm以下であることが好ましい。
また、本発明は、本発明の冷却デバイスを有して成る電子部品、ならびに冷却デバイスまたは電子部品を有して成る電子機器をも提供する。
電子部品としては、特に限定するものではないが、例えば、中央処理装置(CPU)、パワーマネージメントIC(PMIC)、パワーアンプ(PA)、トランシーバーIC、ボルテージレギュレータ(VR)などの集積回路(IC)、発光ダイオード(LED)、白熱電球、半導体レーザーなどの発光素子、電界効果トランジスタ(FET)などの熱源となり得る部品、および、その他の部品、例えば、リチウムイオンバッテリー、基板、ヒートシンク、筐体等の電子機器に一般的に用いられる部品が挙げられる。
電子機器としては、特に限定するものではないが、例えば、携帯電話、スマートフォン、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレット型端末、ハードディスクドライブ等が挙げられる。
以上、本発明について説明したが、本発明は上記の態様に限定されるものではなく、種々の改変を行うことができる。
実施例
ラミネートフィルム(封止フィルム)として、下記の4つを準備した。
ラミネートフィルム(封止フィルム)として、下記の4つを準備した。
上記のラミネートフィルム1〜4のそれぞれについて、ラミネートフィルム(縦7cm×横7cm)の中央部に、二酸化バナジウム粉末(5g)を置き、その上から別のラミネートフィルム(縦7cm×横7cm)を重ね合わせ、ラミネート装置(富士インパルス社製)を用いてフィルムを貼り合わせ、図1に示すようにラミネートフィルム間に二酸化バナジウム粉末が封入された冷却デバイス1〜4を得た。
試験例
上記で得られた冷却デバイス1〜4を、85℃85%RHの雰囲気に曝し、1000時間後および2000時間後に吸熱量を測定した。また、対照として、ラミネートしていない酸化バナジウムについても、同様に試験した。結果を表2に示す。
上記で得られた冷却デバイス1〜4を、85℃85%RHの雰囲気に曝し、1000時間後および2000時間後に吸熱量を測定した。また、対照として、ラミネートしていない酸化バナジウムについても、同様に試験した。結果を表2に示す。
上記の結果から、本発明の冷却デバイスは、高い耐湿性を有し、長時間経過後も機能を維持できることが確認された。
本発明の冷却デバイスは、例えば、熱対策問題が顕著化している小型通信端末の冷却デバイスとして利用することができる。
1…冷却デバイス
2…第1封止フィルム
4…第2封止フィルム
6…セラミック材料
2…第1封止フィルム
4…第2封止フィルム
6…セラミック材料
Claims (18)
- 第1封止フィルムと、第2封止フィルムと、熱を吸収するセラミック材料とを有して成る冷却デバイスであって、第1封止フィルムおよび第2封止フィルムが積層されており、熱を吸収するセラミック材料が、積層された第1封止フィルムおよび第2封止フィルムの間に充填され、封止されていることを特徴とする冷却デバイス。
- 第1封止フィルムおよび第2封止フィルムの少なくとも一方が、積層フィルムであることを特徴とする、請求項1に記載の冷却デバイス。
- 第1封止フィルムおよび第2封止フィルムの最外層が、絶縁材料から形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の冷却デバイス。
- 第1封止フィルムおよび第2封止フィルムの最内層が、樹脂材料から形成されていることを特徴とする、請求項2または3に記載の冷却デバイス。
- 第1封止フィルムおよび第2封止フィルムの少なくとも一方が、高熱伝導性材料から形成された層を有することを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の冷却デバイス。
- 高熱伝導性材料が、金属またはグラファイトであることを特徴とする、請求項5に記載の冷却デバイス。
- 第1封止フィルムおよび第2封止フィルムが、絶縁材料から形成された最外層と、樹脂材料から形成された最内層と、最外層と最内層の間に位置する高熱伝導性材料から形成された層とを有することを特徴とする、請求項2〜6のいずれか1項に記載の冷却デバイス。
- セラミック材料が、酸化バナジウムであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の冷却デバイス。
- 酸化バナジウムが、VおよびM(ここに、Mは、W、Ta、MoおよびNbから選ばれる少なくとも一種である)を含む酸化物であって、VとMの合計を100モル部としたときのMの含有モル部が約0モル部以上約5モル部以下であることを特徴とする、請求項8に記載の冷却デバイス。
- 酸化バナジウムが、式:
V1−xMxO2
(式中、Mは、W、Ta、MoまたはNbであり、xは、0以上0.05以下である)
で表される酸化物であることを特徴とする、請求項8に記載の冷却デバイス。 - 酸化バナジウムが、A(ここに、AはLiまたはNaである)およびVを含む酸化物であって、Vを100モル部としたときのAの含有モル部が約50モル部以上約100モル部以下であることを特徴とする、請求項8に記載の冷却デバイス。
- 酸化バナジウムが、式:
AyVO2
(式中、Aは、LiまたはNaであり、yは、0.5以上1.0以下である)
で表される酸化物であることを特徴とする、請求項8に記載の冷却デバイス。 - 酸化バナジウムが、Tiがドープされた酸化バナジウムまたはさらにW、Ta、MoおよびNbからなる群から選択される他の原子がドープされた酸化バナジウムであって、
他の原子がWである場合、バナジウム、Tiおよび他の原子の合計100モル部に対して、他の原子の含有モル部が、0モル部より大きく5モル部以下であり、
他の原子がTa、MoまたはNbである場合、バナジウム、Tiおよび他の原子の合計100モル部に対して、他の原子の含有モル部が、0モル部より大きく15モル部以下であり、
バナジウム、Tiおよび他の原子の合計100モル部に対して、チタンの含有モル部は、2モル部以上30モル部以下であることを特徴とする、請求項8に記載の冷却デバイス。 - バナジウム、Tiおよび他の原子の合計100モル部に対して、チタンの含有モル部が、5モル部以上10モル部以下であることを特徴とする、請求項13に記載の冷却デバイス。
- 酸化バナジウムが、式:
V1−x−yTixMyO2
[式中、Mは、W、Ta、MoまたはNbであり、
xは0.02以上0.3以下であり、
yは0以上であって、
MがWである場合、yは0.05以下であり、
MがTa、MoまたはNbである場合、yは0.15以下である。]
で表される酸化バナジウムであることを特徴とする、請求項8に記載の冷却デバイス。 - xが0.05以上0.1以下であることを特徴とする、請求項15に記載の冷却デバイス。
- 請求項1〜16のいずれか1項に記載の冷却デバイスを有して成る電子部品。
- 請求項1〜16のいずれか1項に記載の冷却デバイスまたは請求項17に記載の電子部品を有して成る電子機器。
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