JPWO2016190047A1 - 表面処理層を有する物品の製造方法 - Google Patents

表面処理層を有する物品の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、基材と、該基材上に位置するケイ素酸化物層と、該ケイ素酸化物層上に形成された表面処理層とを有して成る物品の製造方法であって、化学気相成長法を用いて、ケイ素酸化物層を形成すること、および得られたケイ素酸化物層上に、含フッ素シラン化合物を含む表面処理剤を用いて、表面処理層を形成することを含む製造方法に関する。

Description

本発明は、表面処理層を有する物品、特に含フッ素シラン化合物を含む表面処理剤から得られる表面処理層を有する物品の製造方法に関する。
ある種の含フッ素化合物は、基材の表面処理に用いると、優れた撥水性、撥油性、防汚性などを提供し得ることが知られている。含フッ素シラン化合物を含む表面処理剤から得られる層(以下、「表面処理層」とも言う)は、いわゆる機能性薄膜として、例えばガラス、プラスチック、繊維、建築資材など種々多様な基材に施されている。
そのような含フッ素シラン化合物として、パーフルオロポリエーテル基を分子主鎖に有し、Si原子に結合した加水分解可能な基を分子末端または末端部に有するパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物が知られている。例えば、特許文献1には、Si原子に結合した加水分解可能な基を分子末端または末端部に有するパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物が記載されている。特許文献1では、基材の最表面に、SiO層を形成し、このSiO層上に含フッ素シラン化合物を含む表面処理剤を適用して、表面処理層を形成している。
特開2013−117012号公報
表面処理層には、所望の機能を基材に対して長期に亘って提供するべく、高い耐久性が求められる。パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含む表面処理剤から得られる層は、上記のような機能を薄膜でも発揮し得ることから、光透過性ないし透明性が求められるメガネやタッチパネルなどの光学部材に好適に利用されており、とりわけこれらの用途において、摩擦耐久性の一層の向上が要求されている。
特許文献1に記載のように、表面処理層を形成する際の前処理として、基材の最表面にSiO層を形成し、次いで、その上に表面処理剤を適用する方法が知られているが、本発明者らは、上記のSiO層が、物理気相成長法(PVD法:Physical Vapor Deposition)により形成されている場合、摩擦耐久性および汗耐久性が十分でない場合があることに気付いた。
従って、本発明は、より摩擦耐久性および汗耐久性(即ち、酸、アルカリ耐性)に優れた表面処理層を有する物品を製造することができる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、基材の最外層に形成されるケイ素酸化物層を、真空蒸着等のPVD法ではなく、化学気相成長法(CVD法:Chemical Vapor Deposition)を用いて形成することにより、より摩擦耐久性および汗耐久性に優れた表面処理層を有する物品を提供できることを見出した。
本発明の第1の要旨によれば、基材と、
該基材上に位置するケイ素酸化物層と、
該ケイ素酸化物層上に形成された表面処理層と
を有して成る物品の製造方法であって、
化学気相成長法を用いて、ケイ素酸化物層を形成すること、および
得られたケイ素酸化物層上に、含フッ素シラン化合物を含む表面処理剤を用いて、表面処理層を形成すること
を含む製造方法が提供される。
本発明の第2の要旨によれば、上記の製造方法により得られた物品が提供される。
本発明によれば、CVD法を利用して、ケイ素酸化物層を形成し、その上に表面処理層を形成することにより、撥水性、撥油性、防汚性を有し、かつ、優れた摩擦耐久性および汗耐久性を有する表面処理層を有して成る物品を製造することができる。
以下、本発明の製造方法について説明する。
本発明の製造方法により製造される物品は、基材と、該基材上に位置するケイ素酸化物層と、該ケイ素酸化物層上に形成された表面処理層とを有して成る。
まず、基材を準備する。本発明に使用可能な基材は、例えばガラス、サファイアガラス、樹脂(天然または合成樹脂、例えば一般的なプラスチック材料であってよく、板状、フィルム、その他の形態であってよい)、金属(アルミニウム、銅、鉄等の金属単体または合金等の複合体であってよい)、セラミックス、半導体(シリコン、ゲルマニウム等)、繊維(織物、不織布等)、毛皮、皮革、木材、陶磁器、石材等、建築部材等、任意の適切な材料で構成され得る。好ましくは、基材は、ガラスである。
上記ガラスとしては、ソーダライムガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、クリスタルガラス、石英ガラスが好ましく、化学強化したソーダライムガラス、化学強化したアルカリアルミノケイ酸塩ガラス、および化学結合したホウ珪酸ガラスが特に好ましい。
基材の形状は特に限定されない。また、ケイ素酸化物層および表面処理層を形成すべき基材の表面領域は、基材表面の少なくとも一部であればよく、製造すべき物品の用途および具体的仕様等に応じて適宜決定され得る。
基材の表面には何らかの層(または膜)、例えばハードコート層や反射防止層などが形成されていてもよい。反射防止層には、単層反射防止層および多層反射防止層のいずれを使用してもよい。反射防止層に使用可能な無機物の例としては、SiO、SiO、ZrO、TiO、TiO、Ti、Ti、Al、Ta、CeO、MgO、Y、SnO、MgF、WOなどが挙げられる。これらの無機物は、単独で、またはこれらの2種以上を組み合わせて(例えば混合物として)使用してもよい。製造すべき物品が、タッチパネル用の光学ガラス部品である場合、透明電極、例えば酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛などを用いた薄膜を、基材(ガラス)の表面の一部に有していてもよい。また、基材は、その具体的仕様等に応じて、絶縁層、粘着層、保護層、装飾枠層(I−CON)、霧化膜層、ハードコーティング膜層、偏光フィルム、相位差フィルム、および液晶表示モジュールなどを有していてもよい。
一の態様において、基材上にケイ素酸化物層を形成する前に、基材を前処理してもよい。前処理を行うことにより、基材とケイ素酸化物層との密着性が向上し、より高い摩擦耐久性を得ることができる。
前処理としては、特に限定されないが、H、HSO等の酸化剤溶液、またはエタノール等のアルコールでの洗浄が挙げられる。H/HSO/HO混合溶液(1〜5:1〜5:1〜20)またはエタノールでの洗浄が好ましく、H/HSO/HO混合溶液での洗浄がより好ましい。
次に、かかる基材の表面に、ケイ素酸化物(SiO)層を形成する。
ケイ素酸化物層は、CVD法により形成される。CVD法とは、原料となる物質を気体状態で供給し、これを基材表面で反応させて非揮発性膜を形成する方法である。CVD法の具体例としては、プラズマCVD、光学CVD、熱CVDおよび類似の方法が挙げられる。好ましくは、プラズマCVDが用いられる。
CVD法におけるケイ素源としては、ケイ素化合物が用いられる。ケイ素化合物の例としては、SiH、Si等のシラン化合物、トリエトキシシラン、テトラエトキシシラン等の有機ケイ素化合物などが挙げられる。好ましくは、SiHが用いられる。
CVD法における酸素源としては、好ましくは酸素ガスが用いられる。
CVD法におけるキャリアガスは、CVD法の種類に応じて適宜選択され、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガス、または水素ガス等が用いられる。
CVD法によるケイ素酸化物層の形成条件は、用いるCVD法の種類、ケイ素酸化物層の膜厚等に応じて、適宜設定される。例えば、ケイ素酸化物層をプラズマCVDにより形成する場合、下記条件で行うことが好ましい。
RF(Radio Frequency)パワー密度:0.5〜2.0W/cm、好ましくは0.7〜1.5W/cm、例えば1.0W/cm
基板温度:100〜400℃、好ましくは150〜300℃、例えば200℃;
プロセス圧力:50〜500Pa、好ましくは100〜300Pa、例えば150〜200Pa;
材料ガス流量比(体積比):
SiH:NO=1:10〜1:100、好ましくは1:20〜1:50、例えば1:25〜1:35;
SiH:H=1:50〜1:500、好ましくは1:80〜1:300、例えば1:100〜1:200。
上記CVD法により形成されるケイ素酸化物層の膜厚は、特に限定されないが、5〜100nmが好ましく、5〜70nmがより好ましく、10〜40nmがさらに好ましく、10〜20nmがさらにより好ましい。ケイ素酸化物層の膜厚を、上記の範囲とすることにより、ケイ素酸化物層上により高い摩擦耐久性を有する表面処理層を形成することができる。尚、本明細書において、ケイ素環化物層の膜厚は、エリプソメーター(Ellipsometer)により測定した値とする。
上記CVD法により形成されるケイ素酸化物層は、表面粗さ(Ra:中心線平均粗さ)が、好ましくは0.2nm以下であり、より好ましくは0.15nm以下であり得る。尚、上記Raは、JIS B0601:1982に規定されている。
上記CVD法により形成されるケイ素酸化物層は、好ましくは少なくとも一部、より好ましくはケイ素酸化物層全体の50%以上、さらに好ましくはケイ素酸化物層全体の80%以上がアモルファスである。ケイ素酸化物層中のアモルファスは、X線回折法(XRD:X-ray diffraction)より結晶起因の回折ピークの強度を測定することにより確認することができる。
上記CVD法により形成されるケイ素酸化物層は、好ましくは2.25g/cm〜2.60g/cmの密度を有し、より好ましくは2.30g/cm〜2.50g/cm、さらに好ましくは2.35g/cm〜2.45g/cmの密度、例えば2.38g/cm〜2.42g/cmの密度を有する。ケイ素酸化物層の密度は、X線反射率法(XRR:X-ray Reflectometry)により測定することができる。
上記CVD法により形成されるケイ素酸化物層は、膜中水素濃度が、好ましくは1at%以上、例えば2at%以上、3at%以上、4at%以上または5at%以上であり、好ましくは10at%以下、例えば9at%以下、8at%以下、7at%以下または6at%以下である。例えば、膜中水素濃度は、1〜10at%、2〜10at%、3〜10at%、4〜10at%または5〜10at%、あるいは1〜9at%、1〜8at%、1〜7at%または1〜6at%、あるいは2〜9at%、3〜8at%、4〜7at%、または5〜6at%であり得る。ケイ素酸化物層の膜中水素濃度は、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)により測定することができる。
上記CVD法により形成されるケイ素酸化物層におけるSi/O組成比(mol比)は、1.5以下であり得、好ましくは0.5より大きい。Si/O組成比は、好ましくは0.6〜1.5、より好ましくは0.7〜1.3、例えば0.7〜1.2、0.8〜1.3または0.8〜1.2であり得る。ケイ素酸化物層におけるSi/O組成比は、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)法により測定することができる。
一の態様において、得られたケイ素酸化物層上に表面処理層を形成する前に、ケイ素酸化物層を前処理してもよい。前処理を行うことにより、ケイ素酸化物層と表面処理層の密着性が向上し、より高い摩擦耐久性を得ることができる。
前処理としては、例えば、イオンクリーニングが挙げられる。イオンクリーニングとしては、特に限定されないが、酸素イオンクリーニングおよびアルゴンイオンクリーニングが好ましく、酸素イオンクリーニングがより好ましい。
イオンクリーニングの条件は、用いるガスの種類により変化し得るが、酸素イオンクリーニングの場合は、以下の条件下で行われる。ただし、イオンクリーニングは、ケイ素酸化物層上の不純物を除去できればよく、下記条件に限定されるものではない。
(酸素イオンクリーニング条件)
・加速電圧:500〜1500V、好ましくは800〜1200V、代表的には1000V
・加速電流:100〜1000mA、好ましくは300〜700mA、代表的には500mA
・ガス量:10〜100sccm、好ましくは30〜70sccm、代表的には50sccm
・圧力:1×10−3Pa〜1×10−1Pa、好ましくは1×10−2Pa〜5×10−2Pa、代表的には2×10−2Pa
次に、上記で得られたケイ素酸化物層上に、含フッ素シラン化合物を含む表面処理剤を用いて表面処理層を形成する。
上記含フッ素シラン化合物は、好ましくはパーフルオロポリエーテル基を含有し、例えば、下記一般式(A1)、(A2)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)、(D1)および(D2):
Figure 2016190047
[式中:
PFPEは、各出現においてそれぞれ独立して、式:
−(OC−(OC−(OC−(OCF
(式中、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して、0〜200の整数であって、a、b、cおよびdの和は少なくとも1であり、添字a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり;
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜22のアルキル基を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
11は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表し;
12は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
nは、(−SiR 3−n)単位毎に独立して、0〜3の整数であり;
ただし、式(A1)、(A2)、(B1)および(B2)において、少なくとも1つのRが存在し;
は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し;
tは、各出現においてそれぞれ独立して、1〜10の整数であり;
αは、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
α’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
βは、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
β’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
γは、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
γ’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、−Z−SiR71 72 73 を表し;
Zは、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表し;
71は、各出現においてそれぞれ独立して、Ra’を表し;
a’は、Rと同意義であり;
中、Z基を介して直鎖状に連結されるSiは最大で5個であり;
72は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
73は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
pは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
qは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
rは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
ただし、(Z−SiR71 72 73 )単位において、p、qおよびrの和は3であり、式(C1)および(C2)において、少なくとも1つのR72が存在し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
kは、各出現においてそれぞれ独立して、1〜3の整数であり;
lは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数であり;
mは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数であり;
ただし、γを付して括弧でくくられた単位において、k、lおよびmの和は3であり;
は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
δは、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
δ’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、−Z−CR81 p282 q283 r2を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表し;
81は、各出現においてそれぞれ独立して、Rd’を表し;
d’は、Rと同意義であり;
中、Z基を介して直鎖状に連結されるCは最大で5個であり;
82は、各出現においてそれぞれ独立して、−Y−SiR85 n286 3−n2を表し;
Yは、各出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基を表し;
85は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
86は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
n2は、(−Y−SiR85 n286 3−n2)単位毎に独立して、0〜3の整数を表し;
83は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、−Y−SiR85 n286 3−n2を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
ただし、式(D1)および(D2)において、少なくとも1つのR85が存在する。]
で表される1種またはそれ以上の化合物である。
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」とは、炭素および水素を含む基であって、炭化水素から1個の水素原子を脱離させた基を意味する。かかる炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、1つまたはそれ以上の置換基により置換されていてもよい、炭素数1〜20の炭化水素基、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。上記「脂肪族炭化水素基」は、直鎖状、分枝鎖状または環状のいずれであってもよく、飽和または不飽和のいずれであってもよい。また、炭化水素基は、1つまたはそれ以上の環構造を含んでいてもよい。尚、かかる炭化水素基は、その末端または分子鎖中に、1つまたはそれ以上のN、O、S、Si、アミド、スルホニル、シロキサン、カルボニル、カルボニルオキシ等を有していてもよい。
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」の置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子;1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−10シクロアルキル基、C3−10不飽和シクロアルキル基、5〜10員のヘテロシクリル基、5〜10員の不飽和ヘテロシクリル基、C6−10アリール基および5〜10員のヘテロアリール基から選択される1個またはそれ以上の基が挙げられる。
本明細書において用いられる場合、「2〜10価の有機基」とは、炭素を含有する2〜10価の基を意味する。かかる2〜10価の有機基としては、特に限定されないが、炭化水素基からさらに1〜9個の水素原子を脱離させた2〜10価の基が挙げられる。例えば、2価の有機基としては、特に限定されるものではないが、炭化水素基からさらに1個の水素原子を脱離させた2価の基が挙げられる。
以下、上記式(A1)、(A2)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)、(D1)および(D2)で表されるパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物について説明する。
式(A1)および(A2):
Figure 2016190047
上記式中、PFPEは、−(OC−(OC−(OC−(OCF−であり、パーフルオロポリエーテル基に該当する。ここに、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して0または1以上の整数であって、a、b、cおよびdの和は少なくとも1である。好ましくは、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して0以上200以下の整数、例えば1〜200の整数であり、より好ましくは、それぞれ独立して0以上100以下の整数である。また、好ましくは、a、b、cおよびdの和は5以上であり、より好ましくは10以上、例えば10以上100以下である。また、a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。これら繰り返し単位のうち、−(OC)−は、−(OCFCFCFCF)−、−(OCF(CF)CFCF)−、−(OCFCF(CF)CF)−、−(OCFCFCF(CF))−、−(OC(CFCF)−、−(OCFC(CF)−、−(OCF(CF)CF(CF))−、−(OCF(C)CF)−および−(OCFCF(C))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCFCFCFCF)−である。−(OC)−は、−(OCFCFCF)−、−(OCF(CF)CF)−および−(OCFCF(CF))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCFCFCF)−である。また、−(OC)−は、−(OCFCF)−および−(OCF(CF))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCFCF)−である。
一の態様において、PFPEは、−(OC−(式中、bは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)であり、好ましくは、−(OCFCFCF−(式中、bは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)または−(OCF(CF)CF−(式中、bは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)であり、より好ましくは−(OCFCFCF−(式中、bは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)である。
別の態様において、PFPEは、−(OC−(OC−(OC−(OCF−(式中、aおよびbは、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、cおよびdは、それぞれ独立して1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数であり、添字a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である)であり、好ましくは−(OCFCFCFCF−(OCFCFCF−(OCFCF−(OCF−である。一の態様において、PFPEは、−(OC−(OCF−(式中、cおよびdは、それぞれ独立して1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数であり、添字cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である)であってもよい。
さらに別の態様において、PFPEは、−(OC−R15n”−で表される基である。式中、R15は、OC、OCおよびOCから選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2または3つの基の組み合わせである。OC、OCおよびOCから独立して選択される2または3つの基の組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば−OCOC−、−OCOC−、−OCOC−、−OCOC−、−OCOC−、−OCOC−、−OCOC−、−OCOC−、−OCOCOC−、−OCOCOC−、−OCOCOC−、−OCOCOC−、−OCOCOC−、−OCOCOC−、−OCOCOC−、−OCOCOC−、および−OCOCOC−等が挙げられる。上記n”は、2〜100の整数、好ましくは2〜50の整数である。上記式中、OC、OCおよびOCは、直鎖または分枝鎖のいずれであってもよく、好ましくは直鎖である。この態様において、PFPEは、好ましくは、−(OC−OCn”−または−(OC−OCn”−である。
上記式中、Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表す。
上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基における「炭素数1〜16のアルキル基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖の炭素数1〜6、特に炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくは直鎖の炭素数1〜3のアルキル基である。
上記Rfは、好ましくは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されている炭素数1〜16のアルキル基であり、より好ましくはCFH−C1−15フルオロアルキレン基であり、さらに好ましくは炭素数1〜16のパーフルオロアルキル基である。
該炭素数1〜16のパーフルオロアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖の炭素数1〜6、特に炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であり、より好ましくは直鎖の炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、具体的には−CF、−CFCF、または−CFCFCFである。
上記式中、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜22のアルキル基、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を表す。
上記式中、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表す。
上記「加水分解可能な基」とは、本明細書において用いられる場合、加水分解反応により、化合物の主骨格から脱離し得る基を意味する。加水分解可能な基の例としては、−OR、−OCOR、−O−N=CR、−NR、−NHR、ハロゲン(これら式中、Rは、置換または非置換の炭素数1〜4のアルキル基を示す)などが挙げられ、好ましくは−OR(即ち、アルコキシ基)である。Rの例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が含まれる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。水酸基は、特に限定されないが、加水分解可能な基が加水分解して生じたものであってよい。
上記式中、R11は、各出現において、それぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子は、好ましくはヨウ素原子、塩素原子またはフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。
上記式中、R12は、各出現において、それぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。低級アルキル基は、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。
上記式中、nは、(−SiR 3−n)単位毎に独立して、0〜3の整数であり、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0である。ただし、式中、すべてのnが同時に0になることはない。換言すれば、式中、少なくとも1つはRが存在する。
上記式中、Xは、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表す。当該Xは、式(A1)および(A2)で表される化合物において、主に撥水性および表面滑り性等を提供するパーフルオロポリエーテル部(即ち、Rf−PFPE部または−PFPE−部)と、基材との結合能を提供するシラン部(即ち、αを付して括弧でくくられた基)とを連結するリンカーと解される。従って、当該Xは、式(A1)および(A2)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、いずれの有機基であってもよい。
上記式中、αは1〜9の整数であり、α’は1〜9の整数である。これらαおよびα’は、Xの価数に応じて変化し得る。式(A1)においては、αおよびα’の和は、Xの価数と同じである。例えば、Xが10価の有機基である場合、αおよびα’の和は10であり、例えばαが9かつα’が1、αが5かつα’が5、またはαが1かつα’が9となり得る。また、Xが2価の有機基である場合、αおよびα’は1である。式(A2)においては、αはXの価数から1を引いた値である。
上記Xは、好ましくは2〜7価であり、より好ましくは2〜4価であり、さらに好ましくは2価の有機基である。
一の態様において、Xは2〜4価の有機基であり、αは1〜3であり、α’は1である。
別の態様において、Xは2価の有機基であり、αは1であり、α’は1である。この場合、式(A1)および(A2)は、下記式(A1’)および(A2’)で表される。
Figure 2016190047
上記Xの例としては、特に限定するものではないが、例えば、下記式:
−(R31p’−(Xq’
[式中:
31は、単結合、−(CHs’−またはo−、m−もしくはp−フェニレン基を表し、好ましくは−(CHs’−であり、
s’は、1〜20の整数、好ましくは1〜6の整数、より好ましくは1〜3の整数、さらにより好ましくは1または2であり、
は、−(Xl’−を表し、
は、各出現においてそれぞれ独立して、−O−、−S−、o−、m−もしくはp−フェニレン基、−C(O)O−、−Si(R33−、−(Si(R33O)m’−Si(R33−、−CONR34−、−O−CONR34−、−NR34−および−(CHn’−からなる群から選択される基を表し、
33は、各出現においてそれぞれ独立して、フェニル基、C1−6アルキル基またはC1−6アルコキシ基を表し、好ましくはフェニル基またはC1−6アルキル基であり、より好ましくはメチル基であり、
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基またはC1−6アルキル基(好ましくはメチル基)を表し、
m’は、各出現において、それぞれ独立して、1〜100の整数、好ましくは1〜20の整数であり、
n’は、各出現において、それぞれ独立して、1〜20の整数、好ましくは1〜6の整数、より好ましくは1〜3の整数であり、
l’は、1〜10の整数、好ましくは1〜5の整数、より好ましくは1〜3の整数であり、
p’は、0または1であり、
q’は、0または1であり、
ここに、p’およびq’の少なくとも一方は1であり、p’またはq’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である]
で表される2価の基が挙げられる。ここに、R31およびX(典型的にはR31およびXの水素原子)は、フッ素原子、C1−3アルキル基およびC1−3フルオロアルキル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
好ましくは、上記Xは、−(R31p’−(Xq’−R32−である。R32は、単結合、−(CHt’−またはo−、m−もしくはp−フェニレン基を表し、好ましくは−(CHt’−である。t’は、1〜20の整数、好ましくは2〜6の整数、より好ましくは2〜3の整数である。ここに、R32(典型的にはR32の水素原子)は、フッ素原子、C1−3アルキル基およびC1−3フルオロアルキル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
好ましくは、上記Xは、
1−20アルキレン基、
−R31−X−R32−、または
−X−R32
[式中、R31およびR32は、上記と同意義である。]
であり得る。
より好ましくは、上記Xは、
1−20アルキレン基、
−(CHs’−X−、
−(CHs’−X−(CHt’
−X−、または
−X−(CHt’
[式中、s’およびt’は、上記と同意義である。]
である。
上記式中、Xは、
−O−、
−S−、
−C(O)O−、
−CONR34−、
−O−CONR34−、
−Si(R33−、
−(Si(R33O)m’−Si(R33−、
−O−(CHu’−(Si(R33O)m’−Si(R33−、
−O−(CHu’−Si(R33−O−Si(R33−CHCH−Si(R33−O−Si(R33−、
−O−(CHu’−Si(OCHOSi(OCH−、
−CONR34−(CHu’−(Si(R33O)m’−Si(R33−、
−CONR34−(CHu’−N(R34)−、または
−CONR34−(o−、m−またはp−フェニレン)−Si(R33
[式中、R33、R34およびm’は、上記と同意義であり、
u’は1〜20の整数、好ましくは2〜6の整数、より好ましくは2〜3の整数である。]を表す。Xは、好ましくは−O−である。
上記式中、Xは、
−S−、
−C(O)O−、
−CONR34−、
−CONR34−(CHu’−(Si(R33O)m’−Si(R33−、
−CONR34−(CHu’−N(R34)−、または
−CONR34−(o−、m−またはp−フェニレン)−Si(R33
[式中、各記号は、上記と同意義である。]
を表す。
より好ましくは、上記Xは、
1−20アルキレン基、
−(CHs’−X−(CHt’−、または
−X−(CHt’
[式中、各記号は、上記と同意義である。]
であり得る。
さらにより好ましくは、上記Xは、
1−20アルキレン基、
−(CHs’−O−(CHt’−、
−(CHs’−(Si(R33O)m’−Si(R33−(CHt’−、
−(CHs’−O−(CHu’−(Si(R33O)m’−Si(R33−(CHt’−、または
−(CHs’−O−(CHt’−Si(R33 −(CHu’−Si(R33−(Cv2v)−
[式中、R33、m’、s’、t’およびu’は、上記と同意義であり、vは1〜20の整数、好ましくは2〜6の整数、より好ましくは2〜3の整数である。]
である。
上記式中、−(Cv2v)−は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、例えば、−CHCH−、−CHCHCH−、−CH(CH)−、−CH(CH)CH−であり得る。
上記X基は、フッ素原子、C1−3アルキル基およびC1−3フルオロアルキル基(好ましくは、C1−3パーフルオロアルキル基)から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
一の態様において、X基は、−O−C1−6アルキレン基以外であり得る。
別の態様において、X基としては、例えば下記の基が挙げられる:
Figure 2016190047
Figure 2016190047
[式中、R41は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、炭素数1〜6のアルキル基、またはC1−6アルコキシ基、好ましくはメチル基であり;
Dは、
−CHO(CH−、
−CHO(CH−、
−CFO(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH4−、
−CONH−(CH−、
−CON(CH)−(CH−、
−CON(Ph)−(CH−(式中、Phはフェニルを意味する)、および
Figure 2016190047
(式中、R42は、それぞれ独立して、水素原子、C1−6のアルキル基またはC1−6のアルコキシ基、好ましくはメチル基またはメトキシ基、より好ましくはメチル基を表す。)
から選択される基であり、
Eは、−(CH−(nは2〜6の整数)であり、
Dは、分子主鎖のPFPEに結合し、Eは、PFPEと反対の基に結合する。]
上記Xの具体的な例としては、例えば:
−CHO(CH−、
−CHO(CH−、
−CHO(CH−、
−CHO(CHSi(CHOSi(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH−、
−CHOCFCHFOCF−、
−CHOCFCHFOCFCF−、
−CHOCFCHFOCFCFCF−、
−CHOCHCFCFOCF−、
−CHOCHCFCFOCFCF−、
−CHOCHCFCFOCFCFCF−、
−CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCF−、
−CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCF−、
−CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCF−、
−CHOCHCHFCFOCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCFCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCF−、
−CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCFCF
−CHOCH(CHCHSi(OCHOSi(OCH(CHSi(OCHOSi(OCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−CONH−(CH−、
−CON(CH)−(CH−、
−CON(Ph)−(CH−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CONH−(CH−、
−CON(CH)−(CH−、
−CON(Ph)−(CH−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CONH−(CHNH(CH−、
−CONH−(CHNH(CH−、
−CHO−CONH−(CH−、
−CHO−CONH−(CH−、
−S−(CH−、
−(CHS(CH−、
−CONH−(CHSi(CHOSi(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH
−C(O)O−(CH−、
−C(O)O−(CH−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−(CH−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−CH(CH)−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−(CH−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−CH(CH)−CH−、
−OCH−、
−O(CH−、
−OCFHCF−、
Figure 2016190047
などが挙げられる。
さらに別の態様において、Xは、式:−(R16−(CFR17−(CH−で表される基である。式中、x、yおよびzは、それぞれ独立して、0〜10の整数であり、x、yおよびzの和は1以上であり、括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。
上記式中、R16は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子、フェニレン、カルバゾリレン、−NR26−(式中、R26は、水素原子または有機基を表す)または2価の有機基である。好ましくは、R16は、酸素原子または2価の極性基である。
上記「2価の極性基」としては、特に限定されないが、−C(O)−、−C(=NR27)−、および−C(O)NR27−(これらの式中、R27は、水素原子または低級アルキル基を表す)が挙げられる。当該「低級アルキル基」は、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピルであり、これらは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい。
上記式中、R17は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または低級フルオロアルキル基であり、好ましくはフッ素原子である。当該「低級フルオロアルキル基」は、例えば、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3のフルオロアルキル基、好ましくは炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、より好ましくはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、さらに好ましくはトリフルオロメチル基である。
この態様において、Xは、好ましくは、式:−(O)−(CF−(CH−(式中、x、yおよびzは、上記と同意義であり、括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である)で表される基である。
上記式:−(O)−(CF−(CH−で表される基としては、例えば、−(O)x’−(CHz”−O−[(CHz’’’−O−]z””、および−(O)x’−(CFy”−(CHz”−O−[(CHz’’’−O−]z””(式中、x’は0または1であり、y”、z”およびz’’’は、それぞれ独立して、1〜10の整数であり、z””は、0または1である)で表される基が挙げられる。なお、これらの基は左端がPFPE側に結合する。
別の好ましい態様において、Xは、−O−CFR13−(CF−である。
上記R13は、それぞれ独立して、フッ素原子または低級フルオロアルキル基を表す。低級フルオロアルキル基は、例えば炭素数1〜3のフルオロアルキル基、好ましくは炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、より好ましくはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、更に好ましくはトリフルオロメチル基である。
上記eは、それぞれ独立して、0または1である。
一の具体例において、R13はフッ素原子であり、eは1である。
さらに別の態様において、X基の例として、下記の基が挙げられる:
Figure 2016190047
[式中、
41は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、炭素数1〜6のアルキル基、またはC1−6アルコキシ基好ましくはメチル基であり;
各X基において、Tのうち任意のいくつかは、分子主鎖のPFPEに結合する以下の基:
−CHO(CH−、
−CHO(CH−、
−CFO(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH4−、
−CONH−(CH−、
−CON(CH)−(CH−、
−CON(Ph)−(CH−(式中、Phはフェニルを意味する)、または
Figure 2016190047
[式中、R42は、それぞれ独立して、水素原子、C1−6のアルキル基またはC1−6のアルコキシ基、好ましくはメチル基またはメトキシ基、より好ましくはメチル基を表す。]
であり、別のTのいくつかは、分子主鎖のPFPEと反対の基(即ち、式(A1)、(A2)、(D1)および(D2)においては炭素原子、また、下記する式(B1)、(B2)、(C1)および(C2)においてはSi原子)に結合する−(CHn”−(n”は2〜6の整数)であり、存在する場合、残りは、それぞれ独立して、メチル基、フェニル基またはC1−6アルコキシ基である。
この態様において、X、X、XおよびXは、それぞれ独立して、3〜10価の有機基であり得る。
上記式中、tは、それぞれ独立して、1〜10の整数である。好ましい態様において、tは1〜6の整数である。別の好ましい態様において、tは2〜10の整数であり、好ましくは2〜6の整数である。
上記式中、Xは、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表す。Xは、好ましくは、炭素数1〜20のアルキレン基であり、より好ましくは、−(CH−(式中、uは、0〜2の整数である)である。
好ましい式(A1)および(A2)で示される化合物は、下記式(A1’)および(A2’):
Figure 2016190047
[式中:
PFPEは、それぞれ独立して、式:
−(OC−(OC−(OC−(OCF
(式中、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して、0〜200の整数であって、a、b、cおよびdの和は少なくとも1であり、添字a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり;
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜22のアルキル基を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
11は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表し;
12は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
nは、0〜2の整数であり、好ましくは0であり;
は、−O−CFR13−(CF−であり;
13は、フッ素原子または低級フルオロアルキル基であり;
eは、0または1であり;
は、−(CH−であり;
uは、0〜2の整数であり;
tは、1〜10の整数である。]
で表される化合物である。
上記式(A1)および(A2)で表される化合物は、例えば、Rf−PFPE−部分に対応するパーフルオロポリエーテル誘導体を原料として、末端にヨウ素を導入した後、−CHCR12(X−SiR 3−n)−に対応するビニルモノマーを反応させることにより得ることができる。
式(B1)および(B2):
Figure 2016190047
上記式(B1)および(B2)中、Rf、PFPE、R、Rおよびnは、上記式(A1)および(A2)に関する記載と同意義である。
上記式中、Xは、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表す。当該Xは、式(B1)および(B2)で表される化合物において、主に撥水性および表面滑り性等を提供するパーフルオロポリエーテル部(Rf−PFPE部または−PFPE−部)と、基材との結合能を提供するシラン部(具体的には、−SiR 3−n)とを連結するリンカーと解される。従って、当該Xは、式(B1)および(B2)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、いずれの有機基であってもよい。
上記式中のβは、1〜9の整数であり、β’は、1〜9の整数である。これらβおよびβ’は、Xの価数に応じて決定され、式(B1)において、βおよびβ’の和は、Xの価数と同じである。例えば、Xが10価の有機基である場合、βおよびβ’の和は10であり、例えばβが9かつβ’が1、βが5かつβ’が5、またはβが1かつβ’が9となり得る。また、Xが2価の有機基である場合、βおよびβ’は1である。式(B2)において、βはXの価数の値から1を引いた値である。
上記Xは、好ましくは2〜7価、より好ましくは2〜4価、さらに好ましくは2価の有機基である。
一の態様において、Xは2〜4価の有機基であり、βは1〜3であり、β’は1である。
別の態様において、Xは2価の有機基であり、βは1であり、β’は1である。この場合、式(B1)および(B2)は、下記式(B1’)および(B2’)で表される。
Figure 2016190047
上記Xの例としては、特に限定するものではないが、例えば、Xに関して記載したものと同様のものが挙げられる。
中でも、好ましい具体的なXは、
−CHO(CH−、
−CHO(CH−、
−CHO(CH−、
−CHO(CHSi(CHOSi(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH−、
−CHOCFCHFOCF−、
−CHOCFCHFOCFCF−、
−CHOCFCHFOCFCFCF−、
−CHOCHCFCFOCF−、
−CHOCHCFCFOCFCF−、
−CHOCHCFCFOCFCFCF−、
−CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCF−、
−CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCF−、
−CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCF−、
−CHOCHCHFCFOCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCFCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCF−、
−CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCFCF
−CHOCH(CHCHSi(OCHOSi(OCH(CHSi(OCHOSi(OCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−CONH−(CH−、
−CON(CH)−(CH−、
−CON(Ph)−(CH−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CONH−(CH−、
−CON(CH)−(CH−、
−CON(Ph)−(CH−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CONH−(CHNH(CH−、
−CONH−(CHNH(CH−、
−CHO−CONH−(CH−、
−CHO−CONH−(CH−、
−S−(CH−、
−(CHS(CH−、
−CONH−(CHSi(CHOSi(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH
−C(O)O−(CH−、
−C(O)O−(CH−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−(CH−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−CH(CH)−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−(CH−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−CH(CH)−CH−、
−OCH−、
−O(CH−、
−OCFHCF−、
Figure 2016190047
などが挙げられる。
好ましい式(B1)および(B2)で示される化合物は、下記式(B1’)および(B2’):
Figure 2016190047
[式中:
PFPEは、それぞれ独立して、式:
−(OC−(OC−(OC−(OCF
(式中、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して、0〜200の整数であって、a、b、cおよびdの和は少なくとも1であり、添字a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり;
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜22のアルキル基を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
nは、0〜2の整数であり、好ましくは0であり;
は、−CHO(CH−、−CHO(CH−または−CHO(CH−である]
で表される化合物である。
上記式(B1)および(B2)で表される化合物は、公知の方法、例えば特許文献1に記載の方法またはその改良方法により製造することができる。例えば、式(B1)および(B2)で表される化合物は、下記式(B1−4)または(B2−4):
Figure 2016190047
[式中:
PFPEは、それぞれ独立して、式:
−(OC−(OC−(OC−(OCF
(式中、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して、0〜200の整数であって、a、b、cおよびdの和は少なくとも1であり、添字a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり;
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し;
5’は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
βは、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
β’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
82は、単結合または2価の有機基である。]
で表される化合物を、HSiM(式中、Mは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、RまたはRであり、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜22のアルキル基であり、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基である)と反応させて、必要に応じて、上記ハロゲン原子を、RまたはRに変換して、式(B1”)または(B2”):
Figure 2016190047
[式中、PFPE、Rf、X5’、β、β’およびR82は、上記と同意義であり;
nは、0〜3の整数である。]
で表される化合物として得ることができる。
式(B1”)または(B2”)において、X5’からR82−CHCH−までの部分が、式(B1)または(B2)におけるXに対応する。
式(C1)および(C2):
Figure 2016190047
上記式(C1)および(C2)中、RfおよびPFPEは、上記式(A1)および(A2)に関する記載と同意義である。
上記式中、Xは、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表す。当該Xは、式(C1)および(C2)で表される化合物において、主に撥水性および表面滑り性等を提供するパーフルオロポリエーテル部(Rf−PFPE部または−PFPE−部)と、基材との結合能を提供するシラン部(具体的には、−SiR 基)とを連結するリンカーと解される。従って、当該Xは、式(C1)および(C2)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、いずれの有機基であってもよい。
上記式中のγは、1〜9の整数であり、γ’は、1〜9の整数である。これらγおよびγ’は、Xの価数に応じて決定され、式(C1)において、γおよびγ’の和は、Xの価数と同じである。例えば、Xが10価の有機基である場合、γおよびγ’の和は10であり、例えばγが9かつγ’が1、γが5かつγ’が5、またはγが1かつγ’が9となり得る。また、Xが2価の有機基である場合、γおよびγ’は1である。式(C1)において、γはXの価数の値から1を引いた値である。
上記Xは、好ましくは2〜7価、より好ましくは2〜4価、さらに好ましくは2価の有機基である。
一の態様において、Xは2〜4価の有機基であり、γは1〜3であり、γ’は1である。
別の態様において、Xは2価の有機基であり、γは1であり、γ’は1である。この場合、式(C1)および(C2)は、下記式(C1’)および(C2’)で表される。
Figure 2016190047
上記Xの例としては、特に限定するものではないが、例えば、Xに関して記載したものと同様のものが挙げられる。
中でも、好ましい具体的なXは、−CHO(CH−、
−CHO(CH−、
−CHO(CH−、
−CHO(CHSi(CHOSi(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH−、
−CHOCFCHFOCF−、
−CHOCFCHFOCFCF−、
−CHOCFCHFOCFCFCF−、
−CHOCHCFCFOCF−、
−CHOCHCFCFOCFCF−、
−CHOCHCFCFOCFCFCF−、
−CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCF−、
−CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCF−、
−CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCF−、
−CHOCHCHFCFOCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCFCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCF−、
−CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCFCF
−CHOCH(CHCHSi(OCHOSi(OCH(CHSi(OCHOSi(OCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−CONH−(CH−、
−CON(CH)−(CH−、
−CON(Ph)−(CH−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CONH−(CH−、
−CON(CH)−(CH−、
−CON(Ph)−(CH−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CONH−(CHNH(CH−、
−CONH−(CHNH(CH−、
−CHO−CONH−(CH−、
−CHO−CONH−(CH−、
−S−(CH−、
−(CHS(CH−、
−CONH−(CHSi(CHOSi(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH
−C(O)O−(CH−、
−C(O)O−(CH−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−(CH−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−CH(CH)−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−(CH−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−CH(CH)−CH−、
−OCH−、
−O(CH−、
−OCFHCF−、
Figure 2016190047
などが挙げられる。
上記式中、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、−Z−SiR71 72 73 を表す。
式中、Zは、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表す。
上記Zは、好ましくは、2価の有機基であり、式(C1)または式(C2)における分子主鎖の末端のSi原子(Rが結合しているSi原子)とシロキサン結合を形成するものを含まない。
上記Zは、好ましくは、C1−6アルキレン基、−(CH−O−(CH−(式中、gは、1〜6の整数であり、hは、1〜6の整数である)または、−フェニレン−(CH−(式中、iは、0〜6の整数である)であり、より好ましくはC1−3アルキレン基である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、およびC2−6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
式中、R71は、各出現においてそれぞれ独立して、Ra’を表す。Ra’は、Rと同意義である。
中、Z基を介して直鎖状に連結されるSiは最大で5個である。即ち、上記Rにおいて、R71が少なくとも1つ存在する場合、R中にZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子が2個以上存在するが、かかるZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数は最大で5個である。なお、「R中のZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数」とは、R中において直鎖状に連結される−Z−Si−の繰り返し数と等しくなる。
例えば、下記にR中においてZ基を介してSi原子が連結された一例を示す。
Figure 2016190047
上記式において、*は、主鎖のSiに結合する部位を意味し、…は、ZSi以外の所定の基が結合していること、即ち、Si原子の3本の結合手がすべて…である場合、ZSiの繰り返しの終了箇所を意味する。また、Siの右肩の数字は、*から数えたZ基を介して直鎖状に連結されたSiの出現数を意味する。即ち、SiでZSi繰り返しが終了している鎖は「R中のZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数」が2個であり、同様に、Si、SiおよびSiでZSi繰り返しが終了している鎖は、それぞれ、「R中のZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数」が3、4および5個である。なお、上記の式から明らかなように、R中には、ZSi鎖が複数存在するが、これらはすべて同じ長さである必要はなく、それぞれ任意の長さであってもよい。
好ましい態様において、下記に示すように、「R中のZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数」は、すべての鎖において、1個(左式)または2個(右式)である。
Figure 2016190047
一の態様において、R中のZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数は1個または2個、好ましくは1個である。
式中、R72は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表す。
上記「加水分解可能な基」とは、本明細書において用いられる場合、加水分解反応を受け得る基を意味する。加水分解可能な基の例としては、−OR、−OCOR、−O−N=C(R)、−N(R)、−NHR、ハロゲン(これら式中、Rは、置換または非置換の炭素数1〜4のアルキル基を示す)などが挙げられ、好ましくは−OR(アルコキシ基)である。Rの例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が含まれる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。水酸基は、特に限定されないが、加水分解可能な基が加水分解して生じたものであってよい。
好ましくは、R72は、−OR(式中、Rは、置換または非置換のC1−3アルキル基、より好ましくはメチル基を表す)である。
式中、R73は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
式中、pは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;qは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;rは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数である。ただし、p、qおよびrの和は3である。
好ましい態様において、R中の末端のR’(R’が存在しない場合、R)において、上記qは、好ましくは2以上、例えば2または3であり、より好ましくは3である。
上記式(C1)および(C2)においては、少なくとも1つのR72が存在する。
上記式中、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表す。
上記Rは、好ましくは、水酸基、−OR、−OCOR、−O−N=C(R)、−N(R)、−NHR、ハロゲン(これら式中、Rは、置換または非置換の炭素数1〜4のアルキル基を示す)であり、好ましくは−ORである。Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が含まれる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。水酸基は、特に限定されないが、加水分解可能な基が加水分解して生じたものであってよい。より好ましくは、Rは、−OR(式中、Rは、置換または非置換のC1−3アルキル基、より好ましくはメチル基を表す)である。
上記式中、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
式中、kは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;lは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;mは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数である。ただし、k、lおよびmの和は、3である。
上記式(C1)および(C2)で表される化合物は、例えば、Rf−PFPE−部分に対応するパーフルオロポリエーテル誘導体を原料として、末端に水酸基を導入した後、末端に不飽和結合を有する基を導入し、この不飽和結合を有する基とハロゲン原子を有するシリル誘導体とを反応させ、さらにこのシリル基に末端に水酸基を導入し、導入した不飽和結合を有する基とシリル誘導体とを反応させることにより得ることができる。例えば、以下のようにして得ることができる。
好ましい式(C1)および(C2)で示される化合物は、下記式(C1”)および(C2”):
Figure 2016190047
[式中:
PFPEは、それぞれ独立して、式:
−(OC−(OC−(OC−(OCF
(式中、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して、0〜200の整数であって、a、b、cおよびdの和は少なくとも1であり、添字a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり;
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し;
は、−CHO(CH−、−CHO(CH−または−CHO(CH−を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、−Z−SiR71 72 73 を表し;
Zは、C1−6アルキレン基を表し;
71は、各出現においてそれぞれ独立して、Ra’を表し;
a’は、Rと同意義であり;
中、Z基を介して直鎖状に連結されるSiは最大で5個であり;
72は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
73は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
pは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数であり;
qは、各出現においてそれぞれ独立して、1〜3の整数、好ましくは3であり;
rは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数であり;
ただし、一のRにおいて、p、qおよびrの和は3である。]
で表される化合物である。
上記式(C1)および(C2)で表される化合物は、例えば以下のようにして製造することができる。下記式(C1−4)または(C2−4):
Figure 2016190047
[式中:
PFPEは、それぞれ独立して、式:
−(OC−(OC−(OC−(OCF
(式中、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して、0〜200の整数であって、a、b、cおよびdの和は少なくとも1であり、添字a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり;
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し;
7’は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
γは、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
γ’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
82は、単結合または2価の有機基である。]
で表される化合物を、HSiR83 (式中、R83はハロゲン原子、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子、好ましくは塩素原子であり、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し、kは1〜3の整数であり、lおよびmは、それぞれ独立して、0〜2の整数であり、k、lおよびmの和は3である。)で表される化合物と反応させて、式(C1−5)または(C2−5):
Figure 2016190047
[式中、Rf、PFPE、R82、R83、R、R、γ、γ’、X7’、k、lおよびmは、上記と同意義である。]
で表される化合物を得る。
得られた式(C1−5)または(C2−5)で表される化合物を、Hal−J−R84−CH=CH(式中、Halはハロゲン原子(例えば、I、Br、Cl、F等)を表し、Jは、Mg、Cu、PdまたはZnを表し、R84は単結合または2価の有機基を表す。)で表される化合物と反応させて、式(C1−6)または(C2−6):
Figure 2016190047
[式中、Rf、PFPE、R82、R84、R、R、γ、γ’、X7’、k、lおよびmは、上記と同意義である。]
で表される化合物を得る。
得られた式(C1−6)または(C2−6)で表される化合物を、HSiM(式中、Mは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、R72またはR73であり、R72は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し、R73は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。)と反応させて、必要に応じて、上記ハロゲン原子を、R72またはR73に変換して、式(C1’’’)または(C2’’’):
Figure 2016190047
[式中、Rf、PFPE、R72、R73、R82、R84、R、R、γ、γ’、X7’、k、lおよびmは、上記と同意義であり;
qは、各出現においてそれぞれ独立して、1〜3の整数であり;
rは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数である。]
で表される化合物を得ることができる。
式(C1’’’)または(C2’’’)において、X7’からR82−CHCH−までの部分が、式(C1)または(C2)におけるXに対応し、−R84−CHCH−が式(C1)または(C2)におけるZに対応する。
式(D1)および(D2):
Figure 2016190047
上記式(D1)および(D2)中、RfおよびPFPEは、上記式(A1)および(A2)に関する記載と同意義である。
上記式中、Xは、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表す。当該Xは、式(D1)および(D2)で表される化合物において、主に撥水性および表面滑り性等を提供するパーフルオロポリエーテル部(即ち、Rf−PFPE部または−PFPE−部)と、基材との結合能を提供する部(即ち、δを付して括弧でくくられた基)とを連結するリンカーと解される。従って、当該Xは、式(D1)および(D2)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、いずれの有機基であってもよい。
上記式中、δは1〜9の整数であり、δ’は1〜9の整数である。これらδおよびδ’は、Xの価数に応じて変化し得る。式(D1)においては、δおよびδ’の和は、Xの価数と同じである。例えば、Xが10価の有機基である場合、δおよびδ’の和は10であり、例えばδが9かつδ’が1、δが5かつδ’が5、またはδが1かつδ’が9となり得る。また、Xが2価の有機基である場合、δおよびδ’は1である。式(D2)においては、δはXの価数から1を引いた値である。
上記Xは、好ましくは2〜7価であり、より好ましくは2〜4価であり、さらに好ましくは2価の有機基である。
一の態様において、Xは2〜4価の有機基であり、δは1〜3であり、δ’は1である。
別の態様において、Xは2価の有機基であり、δは1であり、δ’は1である。この場合、式(D1)および(D2)は、下記式(D1’)および(D2’)で表される。
Figure 2016190047
上記Xの例としては、特に限定するものではないが、例えば、Xに関して記載したものと同様のものが挙げられる。
中でも、好ましい具体的なXは、
−CHO(CH−、
−CHO(CH−、
−CHO(CH−、
−CHO(CHSi(CHOSi(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH−、
−CHOCFCHFOCF−、
−CHOCFCHFOCFCF−、
−CHOCFCHFOCFCFCF−、
−CHOCHCFCFOCF−、
−CHOCHCFCFOCFCF−、
−CHOCHCFCFOCFCFCF−、
−CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCF−、
−CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCF−、
−CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCF−、
−CHOCHCHFCFOCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCFCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCF−、
−CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCFCF
−CHOCH(CHCHSi(OCHOSi(OCH(CHSi(OCHOSi(OCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH−Si(CH−(CH
−CONH−(CH−、
−CON(CH)−(CH−、
−CON(Ph)−(CH−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CONH−(CH−、
−CON(CH)−(CH−、
−CON(Ph)−(CH−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CONH−(CHNH(CH−、
−CONH−(CHNH(CH−、
−CHO−CONH−(CH−、
−CHO−CONH−(CH−、
−S−(CH−、
−(CHS(CH−、
−CONH−(CHSi(CHOSi(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH
−C(O)O−(CH−、
−C(O)O−(CH−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−(CH−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−CH(CH)−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−(CH−、
−CH−O−(CH−Si(CH−(CH−Si(CH−CH(CH)−CH−、
−OCH−、
−O(CH−、
−OCFHCF−、
Figure 2016190047
などが挙げられる。
上記式中、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、−Z−CR81 p282 q283 r2を表す。
式中、Zは、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表す。
上記Zは、好ましくは、C1−6アルキレン基、−(CH−O−(CH−(式中、gは、0〜6の整数、例えば1〜6の整数であり、hは、0〜6の整数、例えば1〜6の整数である)または、−フェニレン−(CH−(式中、iは、0〜6の整数である)であり、より好ましくはC1−3アルキレン基である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、およびC2−6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
式中、R81は、各出現においてそれぞれ独立して、Rd’を表す。Rd’は、Rと同意義である。
中、Z基を介して直鎖状に連結されるCは最大で5個である。即ち、上記Rにおいて、R81が少なくとも1つ存在する場合、R中にZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子が2個以上存在するが、かかるZ基を介して直鎖状に連結されるC原子の数は最大で5個である。なお、「R中のZ基を介して直鎖状に連結されるC原子の数」とは、R中において直鎖状に連結される−Z−C−の繰り返し数と等しくなる。これは、式(C1)および(C2)におけるRに関する記載と同様である。
好ましい態様において、「R中のZ基を介して直鎖状に連結されるC原子の数」は、すべての鎖において、1個(左式)または2個(右式)である。
一の態様において、R中のZ基を介して直鎖状に連結されるC原子の数は1個または2個、好ましくは1個である。
式中、R82は、−Y−SiR85 n286 3−2nを表す。
Yは、各出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基を表す。
好ましい態様において、Yは、C1−6アルキレン基、−(CHg’−O−(CHh’−(式中、g’は、0〜6の整数、例えば1〜6の整数であり、h’は、0〜6の整数、例えば1〜6の整数である)、または−フェニレン−(CHi’−(式中、i’は、0〜6の整数である)である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、およびC2−6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
一の態様において、Yは、C1−6アルキレン基、−O−(CHh’−または−フェニレン−(CHi’−であり得る。Yが上記の基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
上記Rは、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表す。
上記「加水分解可能な基」とは、本明細書において用いられる場合、加水分解反応を受け得る基を意味する。加水分解可能な基の例としては、−OR、−OCOR、−O−N=C(R)、−N(R)、−NHR、ハロゲン(これら式中、Rは、置換または非置換の炭素数1〜4のアルキル基を示す)などが挙げられ、好ましくは−OR(アルコキシ基)である。Rの例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が含まれる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。水酸基は、特に限定されないが、加水分解可能な基が加水分解して生じたものであってよい。
好ましくは、R85は、−OR(式中、Rは、置換または非置換のC1−3アルキル基、より好ましくはエチル基またはメチル基、特にメチル基を表す)である。
上記R86は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
n2は、(−Y−SiR85 n286 3−n2)単位毎に独立して、0〜3の整数を表し、好ましくは1〜3の整数、より好ましくは2または3、さらにより好ましくは3である。
上記R83は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
式中、p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数である。ただし、p2、q2およびr2の和は3である。
好ましい態様において、R中の末端のR’(R’が存在しない場合、R)において、上記q2は、好ましくは2以上、例えば2または3であり、より好ましくは3である。
好ましい態様において、Rの末端部の少なくとも1つは、−C(−Y−SiR85 q286 r2または−C(−Y−SiR85 q286 r2、好ましくは−C(−Y−SiR85 q286 r2であり得る。式中、(−Y−SiR85 q286 r2)の単位は、好ましくは(−Y−SiR85 )である。さらに好ましい態様において、Rの末端部は、すべて−C(−Y−SiR85 q286 r2、好ましくは−C(−Y−SiR85 であり得る。
上記式中、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、−Y−SiR85 n286 3−n2を表す。ここに、Y、R85、R86およびn2は、上記R82における記載と同意義である。
上記式中、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
式中、k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数である。ただし、k2、l2およびm2の和は3である。
一の態様において、少なくとも1つのk2は2または3であり、好ましくは3である。
一の態様において、k2は2または3であり、好ましくは3である。
一の態様において、l2は2または3であり、好ましくは3である。
上記式(D1)および(D2)中、少なくとも1つのq2は1〜3の整数であるか、あるいは、少なくとも1つのlは1〜3の整数3である。即ち、少なくとも1つの−Y−SiR85 n286 3−n2基が存在する。好ましくは、少なくとも1つのq2は2または3であるか、あるいは、少なくとも1つのlは2または3である。即ち、式中、少なくとも2つの−Y−SiR85 n286 3−n2基が存在する。
また、上記式(D1)および(D2)中、少なくとも1つのn2が1〜3の整数である。即ち、少なくとも1つのR85が存在する。
式(D1)または式(D2)で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物は、公知の方法を組み合わせることにより製造することができる。例えば、Xが2価である式(D1’)で表される化合物は、限定するものではないが、以下のようにして製造することができる。
HO−X−C(YOH)(式中、XおよびYは、それぞれ独立して、2価の有機基である。)で表される多価アルコールに、二重結合を含有する基(好ましくはアリル)、およびハロゲン(好ましくはブロモ)を導入して、Hal−X−C(Y−O−R−CH=CH(式中、Halはハロゲン、例えばBrであり、Rは二価の有機基、例えばアルキレン基である。)で表される二重結合含有ハロゲン化物を得る。次いで、末端のハロゲンと、RPFPE−OH(式中、RPFPEは、パーフルオロポリエーテル基含有基である。)で表されるパーフルオロポリエーテル基含有アルコールとを反応させて、RPFPE−O−X−C(Y−O−R−CH=CHを得る。次いで、末端の−CH=CHと、HSiClおよびアルコールまたはHSiR85 と反応させて、RPFPE−O−X−C(Y−O−R−CH−CH−SiR85 を得ることができる。
本発明で用いられる表面処理剤に含まれるパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の数平均分子量は、好ましくは5,000以上、より好ましくは6,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは30,000以下、さらに好ましくは10,000以下である。
本発明で用いられる表面処理剤に含まれるパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物におけるPFPE部分の数平均分子量は、特に限定されるものではないが、好ましくは4,000〜30,000、より好ましくは5,000〜10,000であり得る。
本発明において、「数平均分子量」は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)分析により測定される。
本発明で用いられる表面処理剤は、溶媒で希釈されていてもよい。このような溶媒としては、特に限定するものではないが、例えば、パーフルオロヘキサン、CFCFCHCl、CFCHCFCH、CFCHFCHFC、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロオクタン、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン((ゼオローラH(商品名)等)、COCH、COC、CFCHOCFCHF、C13CH=CH、キシレンヘキサフルオリド、パーフルオロベンゼン、メチルペンタデカフルオロヘプチルケトン、トリフルオロエタノール、ペンタフルオロプロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、HCFCFCHOH、メチルトリフルオロメタンスルホネート、トリフルオロ酢酸およびCFO(CFCFO)(CFO)CFCF[式中、mおよびnは、それぞれ独立して0以上1000以下の整数であり、mまたはnを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、但しmおよびnの和は1以上である。]、1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン、1,2−ジクロロ−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン、1,1,2−トリクロロ―3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンからなる群から選択される溶媒が挙げられる。これらの溶媒は、単独で、または、2種以上の混合物として用いることができる。
本発明で用いられる表面処理剤は、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物に加え、他の成分を含んでいてもよい。かかる他の成分としては、特に限定されるものではないが、例えば、含フッ素オイルとして理解され得る(非反応性の)フルオロポリエーテル化合物、好ましくはパーフルオロポリエーテル化合物(以下、「含フッ素オイル」と言う)、シリコーンオイルとして理解され得る(非反応性の)シリコーン化合物(以下、「シリコーンオイル」と言う)、触媒などが挙げられる。
上記含フッ素オイルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、以下の一般式(3)で表される化合物(パーフルオロポリエーテル化合物)が挙げられる。
Rf−(OCa’−(OCb’−(OCc’−(OCFd’−Rf ・・・(3)
式中、Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1−16のアルキル基(好ましくは、C1―16のパーフルオロアルキル基)を表し、Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1−16のアルキル基(好ましくは、C1−16のパーフルオロアルキル基)、フッ素原子または水素原子を表し、RfおよびRfは、より好ましくは、それぞれ独立して、C1−3のパーフルオロアルキル基である。
a’、b’、c’およびd’は、ポリマーの主骨格を構成するパーフルオロポリエーテルの4種の繰り返し単位数をそれぞれ表し、互いに独立して0以上300以下の整数であって、a’、b’、c’およびd’の和は少なくとも1、好ましくは1〜300、より好ましくは20〜300である。添字a’、b’、c’またはd’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。これら繰り返し単位のうち、−(OC)−は、−(OCFCFCFCF)−、−(OCF(CF)CFCF)−、−(OCFCF(CF)CF)−、−(OCFCFCF(CF))−、−(OC(CFCF)−、−(OCFC(CF)−、−(OCF(CF)CF(CF))−、−(OCF(C)CF)−および−(OCFCF(C))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCFCFCFCF)−である。−(OC)−は、−(OCFCFCF)−、−(OCF(CF)CF)−および−(OCFCF(CF))−のいずれであってもよく、好ましくは−(OCFCFCF)−である。−(OC)−は、−(OCFCF)−および−(OCF(CF))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCFCF)−である。
上記一般式(3)で表されるパーフルオロポリエーテル化合物の例として、以下の一般式(3a)および(3b)のいずれかで示される化合物(1種または2種以上の混合物であってよい)が挙げられる。
Rf−(OCFCFCFb’’−Rf ・・・(3a)
Rf−(OCFCFCFCFa’’−(OCFCFCFb’’−(OCFCFc’’−(OCFd’’−Rf ・・・(3b)
これら式中、RfおよびRfは上記の通りであり;式(3a)において、b’’は1以上100以下の整数であり;式(3b)において、a’’およびb’’は、それぞれ独立して0以上30以下、例えば1以上30以下の整数であり、c’’およびd’’はそれぞれ独立して1以上300以下の整数である。添字a’’、b’’、c’’、d’’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。
上記含フッ素オイルは、1,000〜30,000の平均分子量を有していてよい。これにより、高い表面滑り性を得ることができる。
本発明で用いられる表面処理剤中、含フッ素オイルは、上記パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の合計100質量部(それぞれ、2種以上の場合にはこれらの合計、以下も同様)に対して、例えば0〜500質量部、好ましくは0〜400質量部、より好ましくは5〜300質量部で含まれ得る。
一般式(3a)で示される化合物および一般式(3b)で示される化合物は、それぞれ単独で用いても、組み合わせて用いてもよい。一般式(3a)で示される化合物よりも、一般式(3b)で示される化合物を用いるほうが、より高い表面滑り性が得られるので好ましい。これらを組み合わせて用いる場合、一般式(3a)で表される化合物と、一般式(3b)で表される化合物との質量比は、1:1〜1:30が好ましく、1:1〜1:10がより好ましい。かかる質量比によれば、表面滑り性と摩擦耐久性のバランスに優れた表面処理層を得ることができる。
一の態様において、含フッ素オイルは、一般式(3b)で表される1種またはそれ以上の化合物を含む。かかる態様において、表面処理剤中のパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の合計と、式(3b)で表される化合物との質量比は、10:1〜1:10が好ましく、4:1〜1:4がより好ましい。
一の態様において、式(3a)で表される化合物の平均分子量は、2,000〜8,000であることが好ましい。
一の態様において、式(3b)で表される化合物の平均分子量は、8,000〜30,000であることが好ましい。
別の態様において、式(3b)で表される化合物の平均分子量は、3,000〜8,000であることが好ましい。
好ましい態様において、真空蒸着法により表面処理層を形成する場合には、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の平均分子量よりも、含フッ素オイルの平均分子量を大きくしてもよい。このような平均分子量とすることにより、より優れた摩擦耐久性と表面滑り性を得ることができる。
また、別の観点から、含フッ素オイルは、一般式Rf−F(式中、RfはC5−16パーフルオロアルキル基である。)で表される化合物であってよい。また、クロロトリフルオロエチレンオリゴマーであってもよい。Rf−Fで表される化合物およびクロロトリフルオロエチレンオリゴマーは、末端がC1−16パーフルオロアルキル基である上記分子末端に炭素−炭素不飽和結合を有する含フッ素化合物で表される化合物と高い親和性が得られる点で好ましい。
含フッ素オイルは、表面処理層の表面滑り性を向上させるのに寄与する。
上記シリコーンオイルとしては、例えばシロキサン結合が2,000以下の直鎖状または環状のシリコーンオイルを用い得る。直鎖状のシリコーンオイルは、いわゆるストレートシリコーンオイルおよび変性シリコーンオイルであってよい。ストレートシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルが挙げられる。変性シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイルを、アルキル、アラルキル、ポリエーテル、高級脂肪酸エステル、フルオロアルキル、アミノ、エポキシ、カルボキシル、アルコールなどにより変性したものが挙げられる。環状のシリコーンオイルは、例えば環状ジメチルシロキサンオイルなどが挙げられる。
本発明で用いられる表面処理剤中、かかるシリコーンオイルは、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の合計100質量部(2種以上の場合にはこれらの合計、以下も同様)に対して、例えば0〜300質量部、好ましくは0〜200質量部で含まれ得る。
シリコーンオイルは、表面処理層の表面滑り性を向上させるのに寄与する。
上記触媒としては、酸(例えば酢酸、トリフルオロ酢酸等)、塩基(例えばアンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン等)、遷移金属(例えばTi、Ni、Sn等)等が挙げられる。
触媒は、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の加水分解および脱水縮合を促進し、表面処理層の形成を促進する。
表面処理層を形成する方法としては、例えば、ケイ素酸化物層の表面に、含フッ素シラン化合物を含む表面処理剤の膜を形成し、この膜を必要に応じて後処理し、これにより表面処理層を形成する方法が挙げられる。
上記表面処理剤の膜形成は、表面処理剤をケイ素酸化物層の表面に対して、該表面を被覆するように適用することによって実施できる。被覆方法は、特に限定されない。例えば、湿潤被覆法および乾燥被覆法を使用できる。
湿潤被覆法の例としては、浸漬コーティング、スピンコーティング、フローコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティングおよび類似の方法が挙げられる。
乾燥被覆法の例としては、PVD法、CVD法および類似の方法が挙げられる。PVD法とは、固体原料を真空中で加熱(真空蒸着)したり、高速の電子やイオンで照射したりして、物理的エネルギーを固体表面の原子に与えて気化させ、それを基材上にて再結合させて薄膜を形成する方法である。PVD法としては、特に限定されないが、例えば、蒸着法(通常、真空蒸着法)およびスパッタリング等が挙げられる。蒸着法(通常、真空蒸着法)の具体例としては、抵抗加熱、電子ビーム、マイクロ波等を用いた高周波加熱、イオンビームおよび類似の方法が挙げられる。CVD方法の具体例としては、プラズマ−CVD、光学CVD、熱CVDおよび類似の方法が挙げられる。中でも、PVD法が好ましく、特に蒸着法、例えば抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着が好ましく、電子ビーム蒸着がより好ましい。PVD法を用いることにより、より高い摩擦耐久性を有する表面処理層を得ることができる。
更に、常圧プラズマ法による被覆も可能である。
湿潤被覆法を使用する場合、本発明で用いられる表面処理剤は、溶媒で希釈されてから基材表面に適用され得る。本発明で用いられる表面処理剤の安定性および溶媒の揮発性の観点から、次の溶媒が好ましく使用される:C5−12のパーフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサンおよびパーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン);ポリフルオロ芳香族炭化水素(例えば、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン);ポリフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、C13CHCH(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AC−6000)、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(例えば、日本ゼオン株式会社製のゼオローラ(登録商標)H);ハイドロフルオロカーボン(HFC)(例えば、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc));ハイドロクロロフルオロカーボン(例えば、HCFC−225(アサヒクリン(登録商標)AK225));ヒドロフルオロエーテル(HFE)(例えば、パーフルオロプロピルメチルエーテル(COCH)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標名)7000)、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標名)7100)、パーフルオロブチルエチルエーテル(COC)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標名)7200)、パーフルオロヘキシルメチルエーテル(CCF(OCH)C)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標名)7300)などのアルキルパーフルオロアルキルエーテル(パーフルオロアルキル基およびアルキル基は直鎖または分枝状であってよい)、あるいはCFCHOCFCHF(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AE−3000))、1,2−ジクロロ−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(例えば、三井・デュポンフロロケミカル社製のバートレル(登録商標)サイオン)など。これらの溶媒は、単独で、または、2種以上を組み合わせて混合物として用いることができる。さらに、例えば、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の溶解性を調整する等のために、別の溶媒と混合することもできる。
乾燥被覆法を使用する場合、本発明で用いられる表面処理剤は、そのまま乾燥被覆法に付してもよく、または、上記した溶媒で希釈してから乾燥被覆法に付してもよい。
乾燥被覆法において用いる表面処理剤が溶媒を含む場合、前もって表面処理剤中の溶媒を除去してもよい。溶媒を除去することにより、より高い摩擦耐久性を有する表面処理層を得ることができる。
溶媒を除去する方法は、例えば、減圧留去が挙げられる。
減圧留去時の温度は、好ましくは0〜200℃であり、より好ましくは10〜80℃である。また、減圧留去時の圧力は、好ましくは1×10−4Pa〜1×10Paであり、より好ましくは1×10−2Pa〜1×10Paである。
例えば、溶媒を含む表面処理剤を用いてPVD処理を行う場合、先に別の装置等で溶媒を減圧留去し、その残渣であるパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(および存在する場合、含フッ素オイル、シリコーンオイル等の他の成分)をPVD装置内に供給し、真空蒸着を行うことができる。
膜形成は、膜中で表面処理剤が、加水分解および脱水縮合のための触媒と共に存在するように実施することが好ましい。簡便には、湿潤被覆法による場合、表面処理剤を溶媒で希釈した後、基材表面に適用する直前に、表面処理剤の希釈液に触媒を添加してよい。乾燥被覆法による場合には、触媒添加した表面処理剤をそのまま蒸着(通常、真空蒸着)処理するか、あるいは鉄や銅などの金属多孔体に、触媒添加した表面処理剤を含浸させたペレット状物質を用いて蒸着(通常、真空蒸着)処理をしてもよい。
触媒には、任意の適切な酸または塩基を使用できる。酸触媒としては、例えば、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸などを使用できる。また、塩基触媒としては、例えばアンモニア、有機アミン類などを使用できる。
次に、必要に応じて、膜を後処理する。この後処理は、特に限定されないが、例えば、水分供給および乾燥加熱を逐次的に実施するものであってよく、より詳細には、以下のようにして実施してよい。
上記のようにしてケイ素酸化物の表面に表面処理剤の膜を形成した後、この膜(以下、「前駆体膜」とも言う)に水分を供給する。水分の供給方法は、特に限定されず、例えば、前駆体膜(および基材)と周囲雰囲気との温度差による結露や、水蒸気(スチーム)の吹付けなどの方法を使用してよい。
前駆体膜に水分が供給されると、表面処理剤中のパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物のSiに結合した加水分解可能な基に水が作用し、当該化合物を速やかに加水分解させることができると考えられる。
水分の供給は、例えば0〜250℃、好ましくは60℃以上、さらに好ましくは100℃以上とし、好ましくは180℃以下、さらに好ましくは150℃以下の雰囲気下にて実施し得る。このような温度範囲において水分を供給することにより、加水分解を進行させることが可能である。このときの圧力は特に限定されないが、簡便には常圧とし得る。
次に、該前駆体膜を該基材の表面で、60℃を超える乾燥雰囲気下にて加熱する。乾燥加熱方法は、特に限定されず、前駆体膜を基材と共に、60℃を超え、好ましくは100℃を超える温度であって、例えば250℃以下、好ましくは180℃以下の温度で、かつ不飽和水蒸気圧の雰囲気下に配置すればよい。このときの圧力は特に限定されないが、簡便には常圧とし得る。
このような雰囲気下では、本発明のPFPE含有シラン化合物間では、加水分解後のSiに結合した基同士が速やかに脱水縮合する。また、かかる化合物と基材との間では、当該化合物の加水分解後のSiに結合した基と、基材表面に存在する反応性基との間で速やかに反応し、基材表面に存在する反応性基が水酸基である場合には脱水縮合する。その結果、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物と基材との間で結合が形成される。
上記の水分供給および乾燥加熱は、過熱水蒸気を用いることにより連続的に実施してもよい。
過熱水蒸気は、飽和水蒸気を沸点より高い温度に加熱して得られるガスであって、常圧下では、100℃を超え、一般的には500℃以下、例えば300℃以下の温度で、かつ、沸点を超える温度への加熱により不飽和水蒸気圧となったガスである。本発明では、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の分解を抑制する観点から、好ましくは、250℃以下、好ましくは180℃以下の過熱水蒸気が水分供給および乾燥加熱に用いられる。前駆体膜を形成した基材を過熱水蒸気に曝すと、まず、過熱水蒸気と、比較的低温の前駆体膜との間の温度差により、前駆体膜表面にて結露が生じ、これによって前駆体膜に水分が供給される。やがて、過熱水蒸気と前駆体膜との間の温度差が小さくなるにつれて、前駆体膜表面の水分は過熱水蒸気による乾燥雰囲気中で気化し、前駆体膜表面の水分量が次第に低下する。前駆体膜表面の水分量が低下している間、即ち、前駆体膜が乾燥雰囲気下にある間、基材の表面の前駆体膜は過熱水蒸気と接触することによって、この過熱水蒸気の温度(常圧下では100℃を超える温度)に加熱されることとなる。従って、過熱水蒸気を用いれば、前駆体膜を形成した基材を過熱水蒸気に曝すだけで、水分供給と乾燥加熱とを連続的に実施することができる。
以上のようにして後処理が実施され得る。かかる後処理は、摩擦耐久性を一層向上させるために実施され得るが、本発明の物品を製造するのに必須でないことに留意されたい。例えば、表面処理剤を基材表面に適用した後、そのまま静置しておくだけでもよい。
上記のようにして、基材の表面に、本発明の表面処理剤の膜に由来する表面処理層が形成され、本発明の物品が製造される。これにより得られる表面処理層は、高い摩擦耐久性を有する。また、この表面処理層は、高い摩擦耐久性に加えて、使用する表面処理剤の組成にもよるが、撥水性、撥油性、防汚性(例えば指紋等の汚れの付着を防止する)、防水性(電子部品等への水の浸入を防止する)、表面滑り性(または潤滑性、例えば指紋等の汚れの拭き取り性や、指に対する優れた触感)などを有し得、機能性薄膜として好適に利用され得る。
本発明によって得られる物品は、特に限定されるものではないが、光学部材であり得る。光学部材としては、例えば、下記の光学部材が挙げられる:例えば、陰極線管(CRT:例、TV、パソコンモニター)、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機薄膜ELドットマトリクスディスプレイ、背面投写型ディスプレイ、蛍光表示管(VFD)、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)などのディスプレイまたはそれらのディスプレイの前面保護板、反射防止板、偏光板、アンチグレア板、あるいはそれらの表面に反射防止膜処理を施したもの;眼鏡などのレンズ;携帯電話、携帯情報端末などの機器のタッチパネルシート;ブルーレイ(Blu−ray(登録商標))ディスク、DVDディスク、CD−R、MOなどの光ディスクのディスク面;光ファイバー;時計の表示面など。
本発明によって得られる物品は、さらに窯業製品、塗面、布製品、皮革製品、医療品およびプラスターなどを挙げることができる
また、本発明によって得られる物品は、医療機器または医療材料であってもよい。
表面処理層の厚さは、特に限定されない。光学部材の場合、表面処理層の厚さは、1〜50nm、好ましくは1〜30nm、より好ましくは1〜15nmの範囲であることが、光学性能、表面滑り性、摩擦耐久性および防汚性の点から好ましい。
上記した本発明の物品は、高い摩擦耐久性および高い酸アルカリ耐性を有し、使用する表面処理剤の組成にもよるが、撥水性、撥油性、防汚性(例えば指紋等の汚れの付着を防止する)、防水性(電子部品等への水の浸入を防止する)、表面滑り性(または潤滑性、例えば指紋等の汚れの拭き取り性や、指に対する優れた触感)を有し得る。
本発明の物品は、その上に表面処理層が形成されるケイ素酸化物層が、化学気相成長法により形成されていることを特徴とし、この特徴により優れた表面滑り性および酸アルカリ耐性を有する。ケイ素酸化物層をCVD法により形成することにより、特定のRaを有するケイ素酸化物層、アモルファス構造を有するケイ素酸化物層、特定の密度を有するケイ素酸化物層、または特定の膜中水素濃度を有するケイ素酸化物層を形成することができる。
従って、一の態様において、本発明は、基材と
該基材上に位置するケイ素酸化物層と、
該ケイ素酸化物層上に形成された表面処理層と
を有して成る物品であって、
ケイ素酸化物層の表面粗さ(Ra:中心線平均粗さ)が0.2nm以下であることを特徴とする物品を提供する。
好ましい態様において、Raは0.15nm以下であり得る。
別の態様において、本発明は、基材と
該基材上に位置するケイ素酸化物層と、
該ケイ素酸化物層上に形成された表面処理層と
を有して成る物品であって、
ケイ素酸化物層の少なくとも一部が、アモルファスであることを特徴とする物品を提供する。
好ましい態様において、ケイ素酸化物層は、ケイ素酸化物層全体の50%以上、さらに好ましくはケイ素酸化物層全体の80%以上がアモルファスであり得る。
別の態様において、本発明は、基材と
該基材上に位置するケイ素酸化物層と、
該ケイ素酸化物層上に形成された表面処理層と
を有して成る物品であって、
ケイ素酸化物層が2.25g/cm〜2.60g/cmの密度を有することを特徴とする物品を提供する。
好ましい態様において、ケイ素酸化物層の密度は、2.30g/cm〜2.50g/cmであり、好ましくは2.35g/cm〜2.45g/cmの密度、例えば2.38g/cm〜2.42g/cmであり得る。
別の態様において、本発明は、基材と
該基材上に位置するケイ素酸化物層と、
該ケイ素酸化物層上に形成された表面処理層と
を有して成る物品であって、
ケイ素酸化物層の膜中水素濃度が1〜10at%であることを特徴とする物品を提供する。
好ましい態様において、ケイ素酸化物層の膜中水素濃度は、2at%以上、3at%以上、4at%以上または5at%以上であり、9at%以下、8at%以下、7at%以下または6at%以下であり得る。例えば、ケイ素酸化物層の膜中水素濃度は、1〜10at%、2〜10at%、3〜10at%、4〜10at%または5〜10at%、あるいは1〜9at%、1〜8at%、1〜7at%または1〜6at%、あるいは2〜9at%、3〜8at%、4〜7at%、または5〜6at%であり得る。
別の態様において、本発明は、基材と
該基材上に位置するケイ素酸化物層と、
該ケイ素酸化物層上に形成された表面処理層と
を有して成る物品であって、
ケイ素酸化物層におけるSi/O組成比(mol比)が、0.6〜1.5であることを特徴とする物品を提供する。
好ましい態様において、ケイ素酸化物層におけるSi/O組成比は、1.5以下であり得、好ましくは0.5より大きい。Si/O組成比は、好ましくは0.6〜1.5、より好ましくは0.7〜1.3、例えば0.7〜1.2、0.8〜1.3または0.8〜1.2であり得る。
本発明の物品について、以下の実施例を通じてより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
・ケイ素酸化物層の形成
基材として、化学強化ガラス(コーニング社製、「ゴリラ」ガラス、厚さ0.7mm)を準備した。基材の表面を、HSO/H/HO(1:1:5)の混合溶液で洗浄し、ケイ素源としてSiHガスを、酸素源としてNOガスを用いて、東京エレクトロン製TriasCVD装置にて、プラズマCVDを行い、基材表面にケイ素酸化物(SiO)層を形成した。
(プラズマCVD成膜条件)
RFパワー密度:1.0W/cm
基板温度:200℃
プロセス圧力:150Pa
材料ガス流量比(体積比):SiH:NO:H=1:30:100
成膜速度:0.7nm/秒
処理時間:100秒
得られたケイ素酸化物層の膜厚を、エリプソメーター(Ellipsometer;HORIBA Jobin Yvon社製)により測定した。ケイ素酸化物層の膜厚は、70nmであった。
・表面処理材の調製
下記式(平均組成)で示される含フッ素化合物を、濃度20wt%になるようにハイドロフルオロエーテル(スリーエム社製、ノベックHFE7200)に溶解させて表面処理剤を調製した。
CFCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCHCHSi[CHCHCHSi(OCH
(m=21、Mn=3980)
*mの値は19F−NMRから測定された値であり、MnはGPCから測定された値である。
・表面処理層の形成
上記で得られたケイ素酸化物層を、加速電圧1000V、加速電流500mA、圧力2×10−2PaでOイオンクリーニングに付した。次いで、上記で調製した表面処理剤を、ケイ素酸化物層上に真空蒸着した。真空蒸着の処理条件は、圧力3.0×10−3Paとし、化学強化ガラス1枚(55mm×100mm)あたり、表面処理剤2mg(即ち、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を0.4mg含有)を蒸着させた。その後、蒸着膜付き化学強化ガラスを、温度20℃および湿度65%の雰囲気下で24時間静置し、基材上にケイ素酸化物と表面処理層を有する物品を得た。
実施例2
プラズマ膜条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、基材上にケイ素酸化物と表面処理層を有する物品を得た。尚、エリプソメーターにより測定したケイ素酸化物層の膜厚は、30nmであった。
(プラズマCVD成膜条件)
RFパワー密度:1.0W/cm
基板温度:200℃
プロセス圧力:150Pa
材料ガス流量比(体積比):SiH:NO:H=1:30:180
成膜速度:0.5nm/秒
処理時間:60秒
実施例3
CVDの処理時間を、30秒に変更した以外は、実施例2と同様にして、基材上にケイ素酸化物と表面処理層を有する物品を得た。尚、エリプソメーターにより測定したケイ素酸化物層の膜厚は、15nmであった。
比較例1
ケイ素酸化物層を、CVD法で形成する変わりに、PVD法(電子ビーム(EB)蒸着)により行ったこと以外は、実施例1と同様にして、基材上にケイ素酸化物と表面処理層を有する物品を得た。尚、エリプソメーターにより測定したケイ素酸化物層の膜厚は、70nmであった。
(EB蒸着条件)
・圧力:2×10−2Pa
・基板温度:室温(約25℃)
・原料:SiO結晶
・蒸着処理時間:230秒
比較例2
PVD法(電子ビーム(EB)蒸着)の蒸着処理時間を80秒に変更したこと以外は、比較例1と同様にして、基材上にケイ素酸化物と表面処理層を有する物品を得た。尚、エリプソメーターにより測定したケイ素酸化物層の膜厚は、30nmであった。
比較例3
PVD法(電子ビーム(EB)蒸着)の蒸着処理時間を50秒に変更したこと以外は、比較例1と同様にして、基材上にケイ素酸化物と表面処理層を有する物品を得た。尚、エリプソメーターにより測定したケイ素酸化物層の膜厚は、15nmであった。
上記で得られた基材の特徴を、下記表に示す。
Figure 2016190047
(評価)
・摩擦耐久性評価
上記の実施例1〜3および比較例1〜3の表面処理層について、水の静的接触角を測定した。水の静的接触角は、接触角測定装置(協和界面科学社製)を用いて、水1μLにて実施した。
まず、初期評価として、表面処理層形成後、その表面に未だ何も触れていない状態で、水の静的接触角を測定した(摩擦回数 ゼロ回)。
その後、摩擦耐久性評価として、スチールウール摩擦耐久性評価を実施した。具体的には、表面処理層を形成した基材を水平配置し、スチールウール(番手♯0000、寸法5mm×10mm×10mm)を表面処理層の露出上面に接触させ、その上に1,000gfの荷重を付与し、その後、荷重を加えた状態でスチールウールを往復させた(距離:120mm(往復)、速度:60rpm)。一定の往復回数毎に水の静的接触角(度)を測定した。接触角の測定値が100度未満となった時点で評価を中止した。結果を下記表に示す。
Figure 2016190047
実施例4
化学強化ガラス1枚(55mm×100mm)あたり、表面処理剤0.25mg(即ち、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を0.05mg含有)を蒸着させたこと以外は、実施例3と同様にして、基材上にケイ素酸化物と表面処理層を有する物品を得た。尚、エリプソメーターにより測定したケイ素酸化物層の膜厚は、15nmであった。
比較例4
化学強化ガラス1枚(55mm×100mm)あたり、表面処理剤0.25mg(即ち、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を0.05mg含有)を蒸着させたこと以外は、比較例3と同様にして、基材上にケイ素酸化物と表面処理層を有する物品を得た。尚、エリプソメーターにより測定したケイ素酸化物層の膜厚は、15nmであった。
・耐汗試験(酸、アルカリ耐久試験)
上記の実施例4および比較例4の表面処理層について、人工汗耐久性を評価した。
具体的には、実施例4および比較例4で得られた物品の表面に、下記の組成を有するpH8.7およびpH4.5の人工汗約50μLを静置させ、60℃・90RH%の加温加湿条件下で、所定の時間放置した。その後、表面の人工汗をふき取り、更に表面を蒸留水、エタノールで洗浄し、その後、水の静的接触角(度)を測定した。結果を下記表に示す。
・pH8.7の人工汗の組成
NaCl:10g、NaHPO・12HO:2.5g、(NHCO:4gに、純水を加えて、合計1000mlにする。
・pH4.5の人工汗の組成
NaCl:10g、NaHPO・12HO:2.5g、CHCH(OH)COOH:1gに純水を加えて、合計1000mlにする。
Figure 2016190047
上記の表2および表3の結果から、ケイ素酸化物層をCVD法を用いて形成した実施例1〜3は、PVD法を用いた比較例1〜3よりも摩擦耐久性に優れており、実施例4は比較例4よりもおよび酸、アルカリ耐久性に優れていることが確認された。即ち、CVD法により形成されたケイ素酸化物層上に表面処理層を形成することにより、より優れた摩擦耐久性を有し、さらにはより優れた酸、アルカリ耐性を有する表面処理層を形成できることが確認された。
本発明は、表面に高い摩擦耐久性および耐酸および耐アルカリ耐性を有する表面処理層を含んで成る物品を製造するために好適に利用され得る。

Claims (24)

  1. 基材と、
    該基材上に位置するケイ素酸化物層と、
    該ケイ素酸化物層上に形成された表面処理層と
    を有して成る物品の製造方法であって、
    化学気相成長法を用いて、ケイ素酸化物層を形成すること、および
    得られたケイ素酸化物層上に、含フッ素シラン化合物を含む表面処理剤を用いて、表面処理層を形成すること
    を含む製造方法。
  2. 化学気相成長法が、シランまたはジシランを含む反応ガスを用いて行われることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  3. ケイ素酸化物層の膜厚が、5〜100nmであることを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記ケイ素酸化物層の表面粗さRaが0.2nm以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. ケイ素酸化物層の形成後、表面処理層の形成前に、ケイ素酸化物層の表面を、イオンクリーニングすることを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 表面処理層が、物理気相成長法を用いて形成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 含フッ素シラン化合物が、下記一般式(A1)、(A2)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)、(D1)および(D2):
    Figure 2016190047
    [式中:
    PFPEは、各出現においてそれぞれ独立して、式:
    −(OC−(OC−(OC−(OCF
    (式中、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して、0〜200の整数であって、a、b、cおよびdの和は少なくとも1であり、添字a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
    で表される基であり;
    Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し;
    は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜22のアルキル基を表し;
    は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
    11は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表し;
    12は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
    nは、(−SiR 3−n)単位毎に独立して、0〜3の整数であり;
    ただし、式(A1)、(A2)、(B1)および(B2)において、少なくとも1つのRが存在し;
    は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
    は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し;
    tは、各出現においてそれぞれ独立して、1〜10の整数であり;
    αは、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
    α’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
    は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
    βは、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
    β’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
    は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
    γは、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
    γ’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
    は、各出現においてそれぞれ独立して、−Z−SiR71 72 73 を表し;
    Zは、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表し;
    71は、各出現においてそれぞれ独立して、Ra’を表し;
    a’は、Rと同意義であり;
    中、Z基を介して直鎖状に連結されるSiは最大で5個であり;
    72は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
    73は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
    pは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
    qは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
    rは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
    ただし、−Z−SiR71 72 73 毎において、p、qおよびrの和は3であり、式(C1)および(C2)において、少なくとも1つのR72が存在し;
    は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
    は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
    kは、各出現においてそれぞれ独立して、1〜3の整数であり;
    lは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数であり;
    mは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数であり;
    ただし、γを付して括弧でくくられた単位において、k、lおよびmの和は3であり;
    は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
    δは、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
    δ’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
    は、各出現においてそれぞれ独立して、−Z−CR81 p282 q283 r2を表し;
    は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表し;
    81は、各出現においてそれぞれ独立して、Rd’を表し;
    d’は、Rと同意義であり;
    中、Z基を介して直鎖状に連結されるCは最大で5個であり;
    82は、各出現においてそれぞれ独立して、−Y−SiR85 n286 3−n2を表し;
    Yは、各出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基を表し;
    85は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
    86は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
    n2は、(−Y−SiR85 n286 3−n2)単位毎に独立して、0〜3の整数を表し;
    83は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
    p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
    q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
    r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
    は、各出現においてそれぞれ独立して、−Y−SiR85 n286 3−n2を表し;
    は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
    k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
    l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
    m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
    ただし、式(D1)および(D2)において、少なくとも1つのR85が存在する。]
    で表される1種またはそれ以上の化合物であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. PFPEが、それぞれ独立して、下記式(a)〜(c):
    (a)−(OC
    [式(a)中、bは1以上200以下の整数である];
    (b)−(OC−(OC−(OC−(OCF
    [式(b)中、aおよびbは、それぞれ独立して、0以上30以下の整数であり、cおよびdは、それぞれ独立して、1以上200以下の整数であり、a、b、cおよびdの和は、10以上200以下の整数であり、添字a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]
    (c)−(OC−R15n”
    [式(c)中、R15は、それぞれ独立して、OC、OCおよびOCから選択される基であり、n”は、2以上100以下の整数である。]
    のいずれかであることを特徴とする、請求項7に記載の製造方法。
  9. PFPEにおいて:
    OCが、OCFCFCFCFであり、
    OCが、OCFCFCFであり、
    OCが、OCFCFである
    ことを特徴とする、請求項7または8に記載の製造方法。
  10. 表面処理剤が、含フッ素オイル、シリコーンオイル、および触媒から選択される1種またはそれ以上の他の成分をさらに含有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 含フッ素オイルが、式(3):
    Rf−(OCa’−(OCb’−(OCc’−(OCFd’−RF ・・・(3)
    [式中:
    Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し;
    Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基、フッ素原子または水素原子を表し;
    a’、b’、c’およびd’は、ポリマーの主骨格を構成するパーフルオロポリエーテルの4種の繰り返し単位数をそれぞれ表し、互いに独立して0以上300以下の整数であって、a’、b’、c’およびd’の和は少なくとも1であり、添字a’、b’、c’またはd’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]
    で表される1種またはそれ以上の化合物である、請求項10に記載の製造方法。
  12. 含フッ素オイルが、式(3a)または(3b):
    Rf−(OCFCFCFb’’−Rf ・・・(3a)
    Rf−(OCFCFCFCFa’’−(OCFCFCFb’’−(OCFCFc’’−(OCFd’’−Rf ・・・(3b)
    [式中:
    Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し;
    Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基、フッ素原子または水素原子を表し;
    式(3a)において、b’’は1以上100以下の整数であり;
    式(3b)において、a’’およびb’’は、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、c’’およびd’’は、それぞれ独立して1以上300以下の整数であり;
    添字a’’、b’’、c’’またはd’’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]
    で表される1種またはそれ以上の化合物である、請求項10または11に記載の製造方法。
  13. 基材を準備すること、
    基材上に化学気相成長法を用いてケイ素酸化物層を形成すること、および
    ケイ素酸化物層上に、含フッ素シラン化合物を含む表面処理剤を用いて表面処理層を形成すること
    を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の製造方法。
  14. 化学気相成長法が、ケイ素源として、SiH、Si、トリエトキシシランまたはテトラエトキシシランを用い、酸素源として酸素ガスを用いることにより行われることを特徴とする、請求項13に記載の製造方法。
  15. さらに、ケイ素酸化物層を形成する前に、基材表面を、酸化剤溶液洗浄またはアルコール洗浄により前処理することを特徴とする、請求項13または14に記載の製造方法。
  16. さらに、表面処理層を形成する前に、ケイ素酸化物層を、イオンクリーニングにより前処理することを特徴とする、請求項13〜15のいずれか1項に記載の製造方法。
  17. イオンクリーニングが、酸素イオンクリーニングまたはアルゴンイオンクリーニングであることを特徴とする、請求項16に記載の製造方法。
  18. 基材が、ガラス基材であることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載の製造方法。
  19. 物品が光学部材である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の製造方法。
  20. 請求項1〜19のいずれか1項に記載の製造方法により得られた物品。
  21. 基材と
    該基材上に位置するケイ素酸化物層と、
    該ケイ素酸化物層上に形成された表面処理層と
    を有して成る物品であって、
    ケイ素酸化物層の少なくとも一部が、アモルファスであることを特徴とする物品。
  22. 基材と
    該基材上に位置するケイ素酸化物層と、
    該ケイ素酸化物層上に形成された表面処理層と
    を有して成る物品であって、
    ケイ素酸化物層が、2.25g/cm〜2.60g/cmの密度を有することを特徴とする物品。
  23. 基材と
    該基材上に位置するケイ素酸化物層と、
    該ケイ素酸化物層上に形成された表面処理層と
    を有して成る物品であって、
    ケイ素酸化物層の膜中水素濃度が、1〜10at%であることを特徴とする物品。
  24. 基材と
    該基材上に位置するケイ素酸化物層と、
    該ケイ素酸化物層上に形成された表面処理層と
    を有して成る物品であって、
    ケイ素酸化物層におけるSi/O組成のモル比が、0.6〜1.5であることを特徴とする物品。
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