JPWO2016171254A1 - 2−[3−シアノ−4−(2−メチルプロポキシ)フェニル]−4−メチルチアゾール−5−カルボン酸の結晶、その製造方法、及びそれらの利用 - Google Patents
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Abstract
Description
なお、同公報において錠剤の製造に用いているA晶は、衝撃式粉砕機であるサンプルミル又はインパクトミルを用いた粉砕物である (特許文献6の表7の粒子2及び3、並びに表3)。
また、有効成分としてフェブキソスタットのC晶を含む、安定で溶出にばらつきのない製剤についての報告はない。
また、実質的に残留有機溶媒がないフェブキソスタットのC晶を調製したとの報告もない。
さらに、これでに、A晶、B晶、C晶、D晶及びG晶以外の結晶は単離されていない。さらにまた、非晶質体の定量方法についてもこれまでに報告はない。
なお、一般に、非晶質体は結晶に比べて不安定であり、他の結晶形への転移も生じやすいことから、一般に非晶質体より結晶の方が製剤化に好ましいと考えられている。
本発明の一つの課題は、有機溶媒を実質的に含まず、且つ実質的にフェブキソスタットのC晶からなるフェブキソスタットを提供することである。
本発明の一つの課題は、有機溶媒を用いることなく簡便な方法で、製剤又は試料中のフェブキソスタットの非晶質体の含量を低下させる方法を提供することである。
本発明の一つの課題は、溶出性の優れたフェブキソスタットのC晶の製剤を提供することである。
本発明の一つの課題は、加熱、加湿下において安定なフェブキソスタットC晶を含む製剤又は試料を提供することである。
本発明の一つの課題は、吸湿性のないフェブキソスタットの新規結晶多形、その製造方法、その検出、定量方法を提供することである。
本発明の一つの課題は、感度の良い、フェブキソスタットの非晶質体の検出、定量方法を提供することである。
さらに、本発明のフェブキソスタットのC晶を含む製剤または試料が加熱、加湿下において十分な安定性を有することを見出した。
また、フェブキソスタットの非晶質体を約200℃に加熱し、徐々に温度を下げることにより、吸湿性のないフェブキソスタットの新規結晶多形(以下、X晶と呼ぶが、「X形結晶」などと呼ばれる場合もある)を製造できることを見出した。
そして、フェブキソスタットの非晶質体の示差走査熱量測定で観察される約211℃の吸熱ピークが、X晶の示差走査熱量測定で観察される吸熱ピークと同じであることから、フェブキソスタットの非晶質体が最終的にX晶に転移すること、この転移を利用して、示差走査熱量測定で観察される約211℃の吸熱ピークを指標にフェブキソスタットの非晶質体の検出、定量ができることを見出した。
有機溶媒を用いない方法で、フェブキソスタットの非晶質体をC晶に転移させることができるので、本発明により、火災、爆発、麻酔の懸念がなく、安全な方法でフェブキソスタットのC晶を提供することができる。
さらに、本発明により、吸湿性のないフェブキソスタットの新規結晶多形(X晶)を製造でき、その検出、定量ができる。
またさらに、本発明により、感度の良い、フェブキソスタットの非晶質体の検出又は定量方法が提供できる。
なお、本発明で使用され得るフェブキソスタットのC晶は、段落[0006]又は段落[0007]の公知の方法に基づき製造されたC晶を用いることができる。さらにフェブキソスタットの小型化結晶及びその微粉化物であり得る。フェブキソスタットの小型化結晶及びその微粉化物は、高い安定性と高い溶出性を兼ね備える。また、本発明で使用され得るフェブキソスタットの小型化結晶及びその微粉化物は、高い嵩密度及び/またはタップ密度を有し、小さい粒子サイズで狭い範囲に分布する良好な粒度分布を有する。さらにまた、本発明で使用され得るフェブキソスタットの小型化結晶及びその微粉化物は、小さな安息角及び/又は優れたハンドリング性を有する。
本発明により、痛風、高尿酸血症、慢性腎臓病の予防及び又は治療のための、安定性及び溶出性に優れ、かつ溶出特性のばらつきが少ない固形製剤を提供することができる。
本発明により、フェブキソスタットの非晶質体及びフェブキソスタットのC晶の混合物を常温より高い温度に加熱する工程を含む、フェブキソスタットの非晶質体からフェブキソスタットのC晶を製造する方法が提供される。
本発明により、製剤又は試料中のフェブキソスタットの非晶質体の含量を低下させる方法であって、フェブキソスタットの非晶質体及びフェブキソスタットのC晶を含む製剤又は試料を常温より高い温度に加熱する工程を含む方法が提供される。
本発明により、実質的に有機溶媒を含まないフェブキソスタット(つまり、2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸)のC晶が提供される。
本発明により、フェブキソスタットのC晶を含む製剤又は試料であって、製剤又は試料を常温より高い温度に加熱し、さらに加湿した状態であっても安定である製剤及び試料が提供される。
加熱時間は、フェブキソスタットのC晶と非晶質体の混合物中、実質的にC晶のみとなった段階で終了することができるが、例えば30分間〜72時間、1時間〜48時間、10時間〜24時間加熱すればよく、好ましくは1時間〜48時間、10時間〜24時間、より好ましくは10時間〜24時間加熱すればよい。
一つの実施態様では、フェブキソスタットのC晶及びC晶を含有する製剤又は試料中のフェブキソスタットの非晶質体の含量を低下させることができる。その結果、本発明のフェブキソスタットのC晶及びC晶を含有する製剤又は試料は、常温より高い温度に加熱し、さらに加湿、例えば45%RH以上85%以下、45%RH以上80%RH以下、50%RH以上80%RH以下、55%RH以上80%RH以下、60%RH以上80%RH以下、60%RH以上75%RH以下、65%RH以上75%RH以下の湿度に加湿した状態でも安定に存在することができる。ここでいう安定性とは、前記の加熱、加湿の状態において、次の期間、例えば、1日、3日、5日、7日、15日、1か月、2か月、3か月、6か月及び1年間、好ましくは、1か月、2か月、3か月、6か月及び1年の期間、本発明のC晶が他の結晶形に転移、あるいは分解しないことをいう。また、フェブキソスタットのC晶及びC晶を含有する製剤又は試料の加熱及び加湿は、開放系又は密閉系のどちらで行われてもよい。
なお、医薬品の承認を得る上実施される加速試験とは、通常40℃/75%RHの条件で6か月の期間の安定性試験であって、当該試験結果から3年間の安定性が推測できることから、医薬品の開発においてこれらの安定性を有することは極めて重要である。
(1)フェブキソスタット試料を示差走査熱量測定する工程、
(2)150℃以下の領域に現れる発熱ピークの発熱ピーク量(J/g)を定量する工程、
(3)次式:y = 6.0675x のxに前記工程(2)で得られた値を代入してフェブキソスタット試料中の非晶質体の含有率yを算出する工程、
ただし、ここで、式中、xは示差走査熱量測定における150℃以下の発熱ピーク量(J/g)を表し、yは非晶質体の含有率(質量%)を表す。
上記フェブキソスタット試料中の非晶質体の含有率を測定する方法で用いられる式における定数は、測定条件及び定量方法によって適宜変更して用いることができる。
本製造においては、この混合物を反応容器あるいは乾燥機器等の容器に加えた後、30分間〜72時間、常温より高い温度に加熱することにより行うことができる。
また、混合物への加熱は常圧下又は減圧下行うことができ、減圧条件は加熱温度を考慮して適宜決めることができるが、数mmHg〜25mmHgの範囲の減圧下で行うことができる。
本発明のフェブキソスタットの非晶質体及びフェブキソスタットのC晶の混合物を加熱する方法において用いるフェブキソスタットの非晶質体及びフェブキソスタットのC晶の混合物は、フェブキソスタットの非晶質体及びフェブキソスタットのC晶をそれぞれ調製し配合するか、あるいはフェブキソスタットのC晶の粉砕等によりフェブキソスタットのC晶の一部が非晶質体に変換したもの等を用いることができる。例えば、ボールミルあるいは乳鉢によりC晶を粉砕した場合には、粉砕時の条件によるが、継時的に非晶質体が生成するためC晶と非晶質体の混合物となることから、本発明において使用することができる。また、フェブキソスタットのC晶をジェットミルで粉砕した場合は非晶質体の発生は抑制されるが、長時間粉砕をかけた場合など条件によっては非晶質体が発生することがありうるので、ジェットミル粉砕物も使用することができる。ただし、本発明に用いるフェブキソスタットの非晶質体及びフェブキソスタットのC晶の混合物については、これらに限定されるものではない。
本発明において使用する、フェブキソスタットの非晶質体とフェブキソスタットのC晶の混合物中の、フェブキソスタットの非晶質体の重量は、フェブキソスタットのC晶の重量の0.0001%以上99%以下、0.0001%以上10%以下、0.0001%以上1%以下、0.0001%以上0.1%以下、0.0001%以上0.01%以下、0.0001%以上0.001%以下、0.001%以上99%以下、0.001%以上10%以下、0.001%以上1%以下、0.001%以上0.1%以下、0.001%以上0.01%以下、0.01%以上99%以下、0.01%以上10%以下、0.01%以上1%以下、0.01%以上0.1%以下、0.1%以上99%以下、0.1%以上10%以下、又は0.1%以上1%以下であり得る。
本発明により得られたフェブキソスタットのC晶は実質的に非晶質体を含まない。実質的に非晶質体を含まないフェブキソスタットのC晶は、示差走査熱量計により約211℃の吸熱ピークが観察されないフェブキソスタットのC晶であり得、例えば、C晶中の非晶質体の含量は、0.001〜0.1%、0.001〜0.03%、0.001〜0.01%であり得る。
本発明により得られたフェブキソスタットのC晶は実質的に純粋なフェブキソスタットC晶である。よって、得られたフェブキソスタットのC晶は、実質的にフェブキソスタットC晶のみからなる。実質的に純粋なフェブキソスタットのC晶とは、例えば、純度が、重量%で80%以上、90%以上、93%以上、96%以上、98%以上、99.0%以上、99.3%以上、99.6%以上、99.9%以上、99.99%以上、又は99.999%以上であるフェブキソスタットのC晶である。また、実質的にフェブキソスタットのC晶のみからなるという状態とは、例えば、重量%でフェブキソスタットの98%以上、例えば、99.0%以上、99.3%以上、99.6%以上、99.9%以上、99.99%以上、又は99.999%以上がフェブキソスタットのC晶であるという状態である。
また、本発明のフェブキソスタットのC晶は実質的に有機溶媒を含まない。有機溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、アセトニトリル、プロパノール又はアセトン等である。実質的に残留有機溶媒がないとは、残留有機溶媒の量が、例えば、500ppm以下、400ppm以下、300ppm以下 200ppm以下、100ppm以下、50ppm以下、30ppm以下、10ppm以下、3ppm以下、1ppm以下、0.3ppm以下、0.1ppm以下又は0.01ppm以下である。
また、回折角2θは照射する放射光の波長λによって変わるが、放射光の波長λと回折角2θの間には、ブラッグの式(nλ=2dsin(θ))の関係が成立する。なお、ここで、d は結晶面の間隔、θ は結晶面とX線が成す角度、λ はX線の波長、n は整数である。従って、放射光の波長λと回折角2θは一対一に対応し、相互に一意に変換可能である。すなわち、ある放射光の波長λ1を照射したときにA1の回折角が観察されるのであれば、異なる波長の波長λ2を照射したときに観察されるべき回折角A2を計算で求めることができる。
また、あるいは、フェブキソスタットのC晶は、固体15N-NMRにおいて、210ppm及び282ppmに鋭いシングルピークを有する結晶形として、または、固体13C-NMRにおいて、約20ppmにほぼ等価なトリプレットピークを有する結晶形として当業者が容易に特定可能な物質である(特許文献3の参考例3を参照)。
このようにして得たフェブキソスタットの小型化C晶又はその微粉化物を固形成分の有効成分として用いることにより、長期にわたり安定で、かつ溶出速度が顕著に改善し、溶出特性にばらつきを生じない製剤(例えば、固形製剤)を提供することができる。
フェブキソスタットのX晶は、1.54オングストロームの波長のCuKα放射線(放射光)を用いた粉末X線回折において、7.7°(例えば7.71°)の回析角にピークを有する結晶として特定され得、好ましくは、7.7°(例えば7.71°)、12.8°(例えば、12.82°)及び13.7°(例えば13.72°)のうち少なくとも1つの回析角にピークを有する結晶として特定され得、より好ましくは、3.3°(例えば、3.33°)、6.7°(例えば、6.74°)、7.7°(例えば、7.70°)、12.8°(例えば、12.82°)、13.4°(例えば、13.40°)、13.7°(例えば、13.72°)、16.3°(例えば、16.29°)、16.8°(例えば、16.80°)、18.2°(例えば、18.21°)、19.1°(例えば、19.12°)、20.0°(例えば、20.04°)、21.1°(例えば、21.11°)、21.8°(例えば、21.79°)、23.8°(例えば、23.82°)、24. 5°(例えば、24.50°)、25.8°(例えば、25.80°)、26.6°(例えば、26.58°)、27.2°(例えば、27.24°)、28.0°(例えば、28.01°)及び30.5°(例えば、30.49°)の回折角から選択される5個以上(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個)の回析角にピークを有する結晶として特定され得る。好ましくは、6.7°(例えば、6.74°)、7.7°(例えば、7.70°)、12.8°(例えば、12.82°)、13.4°(例えば、13.40°)及び13.7°(例えば、13.72°)の回析角にピークを有する結晶として特定され得る。
フェブキソスタットのX晶は、赤外吸収スペクトルにおいて、約820cm-1(例えば、819〜821 cm-1)、約1281cm-1(例えば、1280〜1282 cm-1)、約1423cm-1(例えば、1422〜1424cm-1)、約1518cm-1(例えば、1517〜1519cm-1)及び約2542cm-1(例えば、2541〜2543cm-1)のピークを有する。
さらに、フェブキソスタットのX晶は、示差走査熱量測定で約211℃(例えば、210℃〜212℃、好ましくは、211℃〜212℃)に単一のピークを有する。
よって、本発明により、フェブキソスタットのX晶の検出又は定量方法であって、フェブキソスタットを含む試料を示差走査熱量測定する工程、及び約211℃に現れる吸熱ピーク量(J/g)を測定する工程、を含む方法が提供される。
また、上記のようにフェブキソスタットの非晶質体の示差走査熱量を測定すると、約211℃(例えば、210℃〜212℃、好ましくは、211℃〜212℃)にピークが出現する。この現象は、フェブキソスタットの非晶質体が最終的にX晶に転移し、、X晶の吸熱ピークが観察されていると考えられる。
よって、本発明により、フェブキソスタットの非晶質体の検出又は定量方法であって、フェブキソスタットを含む試料を示差走査熱量測定する工程、及び約211℃に現れる吸熱ピーク量(J/g)を測定する工程、を含む方法が提供される。実施例に記載のように、本発明の方法は、感度良く非晶質体を検出でき、C晶に0.005%の非晶質体が含まれていても検出することができる。
X晶は、非晶質体を170℃以上(例えば、170℃以上210℃以下、180℃以上200℃以下)に加熱し、乾燥条件下で徐々に室温まで温度を下げることにより調製できる。例えば、非晶質体を2〜4時間、180℃以上200℃以下に加熱し、シリカゲルのあるデシケーター内で室温まで放冷することにより調製できる。本明細書において、室温は、1〜30℃である。
よって、本発明により、フェブキソスタットのX晶の製造方法であって、非晶質体を170℃以上210℃以下に加熱する工程、及び得られた試料を乾燥条件下で徐々に温度を室温まで下げる工程を含む方法を提供する。
2−[3−ホルミル−4−(2−メチルプロポキシ)フェニル]−4−メチルチアゾール−5−カルボン酸エチル(10.0 g, 28.8 mmol)を90%ギ酸(70 ml)に懸濁後、塩酸ヒドロキシルアミン(2.41 g, 34.7 mmol)及びギ酸ナトリウム(3.14 g, 46.2 mmol)を加え、4時間加熱還流した。水を加え、析出した結晶をろ取後、水で洗浄し、表題化合物の粗結晶(ウェット状態)を得た。この粗結晶をメタノールに懸濁させ、室温で撹拌後、結晶をろ取し、メタノールで洗浄した。更に得られた結晶をジクロロメタンに溶出し、不溶物をろ過後、メタノールを加え撹拌した。析出した結晶をろ取し、メタノールで洗浄後、室温で減圧乾燥して表題化合物(8.31 g, 収率83.9%)を白色結晶性粉末として得た。
検出器:紫外線吸光光度計(測定波長:320 nm)
カラム:L-column ODS 4.6×250 mm
移動相:50 mM KH2PO4/アセトニトリル=1/3
流量:1 ml/min
カラム温度:40℃
例1で得たフェブキソスタットエチルエステル(8.00 g, 23.2 mmol)をエタノール(32 ml)及びテトラヒドロフラン(32 ml)の混合溶液に懸濁後、水酸化カリウム(1.84 g, 27.9 mmol)の水(1.84 ml)/エタノール(16 ml)溶液を加え、50 ℃で3.5時間加熱撹拌した。水を加え、不溶物をろ過後、ろ液に1 mol/L塩酸を加えた。析出した結晶をろ取し、水で洗浄後、40℃で一晩減圧乾燥した。表題化合物の湿結晶7.90 g(理論収量7.77g)を得た。粉末X線回折スペクトルを測定して、この結晶がG晶であることを確認した(図1)。
上述のG晶の一部を採取して、これにC晶の種晶(Journal of Chemical Engineering of Japan, 35, pp.1116-1122, 2002の「2.3. Crystallization」の項に記載された結晶化方法により製造して粉末X線回折スペクトル及び赤外吸収スペクトルにより同定したもの、19.5 mg)を添加し、アセトニトリル(117 ml)を加え、更にC晶の種晶(19.5 mg)を追加した。室温で一晩撹拌後、結晶をろ取し、アセトニトリルで洗浄した。得られた結晶を一晩風乾後、80℃で48時間減圧乾燥して表題化合物のC晶(6.69 g, 収率91%)を白色結晶性粉末として得た(このC晶を「アセトニトリルC晶」と呼ぶ)。
得られた白色結晶性粉末に含まれる不純物は上記例1のHPLC条件のピーク面積比において個々の不純物の最大で0.1以下、総量で0.5%以下であり、白色結晶性粉末のピーク面積比は99.8%であった。
フェブキソスタットのG晶(20.0 g)をメタノール/水(1050 ml / 450 ml)に懸濁後、フェブキソスタットのC晶の種晶(50 mg)を加え、50℃で12時間加熱撹拌した。室温まで放冷後、析出物を濾過し、80℃で16時間減圧乾燥した。得られた粉末は粉末X線回折スペクトル、赤外分光スペクトルよりフェブキソスタットのC晶であることを確認した(このC晶を「メタノール水C晶」と呼ぶ)。
例3で得たアセトニトリルC晶(190 g)をジェットミル(100型/パウレック社製)で粉砕した。粉砕圧力1kgf・供給圧力2kgf、粉砕圧力2kgf・供給圧力3kgf及び粉砕圧力3kgf・供給圧力4kgfのいずれの条件でも良好に微粉化された。
例3で得た未粉砕のアセトニトリルC晶のアセトニトリル残留量は200ppmであった。また、例5で得たアセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物中のアセトニトリル残留量はいずれも約100 ppmであった。なお、1998年に厚生省から通知された「医薬品の残留溶媒ガイドラインについて」におけるアセトニトリル残留量の許容濃度は410ppmであるので、いずれの場合においても、許容濃度以下の値を示したが、特にジェットミル粉砕物は許容濃度の4分の1の濃度であるので、許容限度を超えるリスクがかなり低くなる点で、大きなメリットがある。
バイアル内平衡温度:80℃
バイアル内平衡時間:10分
注入ライン温度:150℃
キャリヤーガス:ヘリウム
加圧時間:2分
試料注入量:0.5mL
検出器:水素炎イオン化検出器
カラム:内径0.53mm、長さ30mのフューズドシリカ管の内面にガスクロマトグラフ用6%シアノプロピルフェニル−94%ジメチルシリコーンポリマーを厚さ3.0μmで被覆した市販のカラムを用いた。
カラム温度:40℃を5分間、その後、毎分8℃で160℃まで昇温し、160℃で5分間保持する。
検出器温度:250℃
キャリヤーガス:ヘリウム
流量:エタノールの保持時間が3〜4分になるように調整する。
SHIMADZU社製ガスクロマトグラフ装置:GC-4000
TELEDYNE-TEKMAR社製ヘッドスペースオートサンプラー:HT-3
試料約100 mgを標準的試料ホルダーに緩く詰め込み、スライドガラスで平滑にし、ブルカーエイエックスエス(Bruker AXS)卓上型X線回折装置D2 PHASER(CuKα放射線)を用いて回折パターンを測定した。回折パターンを管電圧=30kV、管電流=10mA、ロックドカップル走査(locked-couple scan)、スリット0.6mm、スキャッター0.5mm、2θ範囲=4から40°、ステップサイズ=0.02°、及びステップ時間=0.5秒として収集した。DIFFRAC.SUITE version2 2.2.59.0及びDUFFRAC.EVA version 2.1の各ソフトウェアをデータ収集及び分析のために用いた。
粉末X線回折スペクトルを測定した結果を図1〜4に示す。例2で得たG晶の粉末X線回折スペクトルを図1に、例4で得た未粉砕のメタノール水C晶の粉末X線回折スペクトルを図2に、例3で得た未粉砕のアセトニトリルC晶の粉末X線回折スペクトルを図3に、例5で得たアセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(粉砕圧力3kgf、供給圧力4kgf)の粉末X線回折スペクトルを図4に夫々示す。未粉砕のアセトニトリルC晶(図3)及びアセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(図4)は、いずれも、6.62°、13.36°、15.52°の回折角にピークを有するC晶に特徴的な粉末X線回折スペクトルを示し、他の結晶形や非晶質体の混入は認められなかった。なお、例4で得た未粉砕のメタノール水C晶についても、同様に、6.62°、13.36°、15.52°の回折角にピークを有するC晶の粉末X線回折スペクトルを示し、他の結晶形の混入は認められなかった。
試料約2 mgを試料容器(アルミニウム製、φ5×2.5mm、50μL)に充てんし、リガク(Rigaku)Therm plus EVOシリーズ高感度示差走査熱量計DSC8230を用いて、加熱速度10℃/分、大気圧下で示差走査熱量(DSC)を測定した。Rigaku Thermo plus EVO version 1.006-6ソフトウェアをデータ収集及び分析のために用いた。
示差走査熱量スペクトルを測定した結果を図5、図6及び図7に示す。例4で得た未粉砕のメタノール水C晶(図5)、例3で得た未粉砕のアセトニトリルC晶(図6)、例5で得たジェットミル粉砕(粉砕圧力3kgf、供給圧力4kgf)後のアセトニトリルC晶(図7)のいずれも、約201℃〜約202℃に単一ピークを示したことから、他の結晶形や非晶質体の混入は認められなかった。例4で得た未粉砕のメタノール水C晶についても同様に、約201℃〜約202℃に単一ピークを示し、他の結晶形や非晶質体の混入は認められなかった。
試料約2 mgを0.2% Aerosol OTを含むn-ヘキサンに添加し、30秒間超音波を照射して分散した。この分散液を用いて、島津(Shimadzu)レーザ回折式粒子径分布測定装置SALD‐2200により粒度分布(D50及びD90)を測定した。Shimadzu WingSALD-2200 version 1.02ソフトウェアをデータ収集及び分析のために用いた。
図8は、未粉砕のメタノール水C晶の粒度分布を示す図およびデータである。未粉砕のアセトニトリルC晶のD50は36.819μm、D90は133.348μmであった。
図9は、未粉砕のアセトニトリルC晶の粒度分布を示す図およびデータである。未粉砕のアセトニトリルC晶のD50は20.483μm、D90は73.755μmであった。
図10は、アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(粉砕圧力3kgf・供給圧力4kgf)の粒度分布を示す図およびデータである。粉砕圧力3kgf・供給圧力4kgfでジェットミル粉砕したアセトニトリルC晶のD50は3.637μm、D90は7.346μmであった。これらの結果から、未粉砕のアセトニトリルC晶に比べて5分の1以下のD50、及び、10分の1以下のD90を示すこと、並びに、1μm〜10μmの粒子径の間に90%以上の粒子が分布するより均一な粒度分布を示すことがわかった。
例3で得られたアセトニトリルC晶の未粉砕物(5 g)を磁製乳鉢(直径13 cm)、磁製乳棒(長さ15 cm、重量154 g)で強く粉砕し、経時的に粉砕物のサンプリングを行い、示差走査熱量測定および粒度分布を測定した(表3)。
示差走査熱量測定の結果、乳鉢で粉砕すると、10分後には約210℃に吸熱ピークが現れることから、C晶以外の結晶形への転移が認められた。また、30分後には、150℃以下に発熱ピークが現れたことから、非晶質体の混入も確認された。さらに、30分間にわたって乳鉢粉砕したアセトニトリルC晶の粒度は、10分間にわたって乳鉢粉砕したアセトニトリルC晶の粒度に比べて、明らかに粒子径が増大していた。メノウ乳鉢およびメノウ乳棒によって粉砕を行っても同様の結果が得られた。
例3で得られたアセトニトリルC晶の未粉砕物(15 g)を遊星ボールミル(PM100/Retsch社製 :125 ml容器/20 mmボール6個/回転数400 rpm)で粉砕し、経時的に粉砕物のサンプリングを行い、示差走査熱量測定および粒度分布を測定した(表4)。
示差走査熱量測定の結果、ボールミル粉砕すると約210℃の吸熱ピークは30分後〜60分後で最大になったこと、及び、150℃以下に現れる発熱ピークは60分間の間、ボールミルによる粉砕時間に依存して増え続けたこと、及び、60分後にはC晶に特徴的な約201℃〜約202℃付近に現れる吸熱ピークが消失することから、ボールミル粉砕によって、C晶が消失して非晶質体化したことが確認できた。さらに、粒度分布もボールミルによる粉砕時間に依存して増大し続けたことがわかった。なお、60分間ボールミルで粉砕したアセトニトリルC晶を「アセトニトリルC晶のボールミル粉砕物」ということにする。
アセトニトリルC晶のボールミル粉砕物の示差走査熱量測定スペクトル(表4、図13)では、C晶に特徴的な約201℃〜約203℃の吸熱ピークが消失しているとともに、84.5℃付近に発熱ピークがあることから、C晶が消失していること及び非晶質が生じていることがわかった。また、粉末X線回折スペクトル(図11)は明らかに平坦化した非晶質体に特徴的なスペクトルを示していた。これらの結果から、アセトニトリルC晶を60分間ボールミル粉砕した粉砕物の粉末は、実質的に非晶質体のみからなると考えられた。
例3で得られたC晶(15 g)を、ハンマーの高速回転による衝撃で粉砕を行うサンプルミル(SM-1/アズワン社製)で粉砕し、経時的に粉砕物のサンプリングを行い、示差走査熱量測定および粒度分布を測定した(表5)。
示差走査熱量測定の結果、サンプルミル粉砕によって150℃以下の発熱ピークは生じなかったものの、アセトニトリルC晶が有さない約210℃の吸熱ピークは粉砕時間に依存して増大し続け240分後には-44.106 J/gに達したことから、サンプルミル粉砕によって、他の結晶形への転移が進行したことがわかった。さらに、粒度分布も、未粉砕のアセトニトリルC晶のD50(20.483μm)及びD90(73.755μm)に比べて細かくはなったものの、サンプルミル粉砕を240分間行った後の粒度分布は、D50で11.281μm、D90で29.768μmに過ぎず、D50が60分後、120分後、240分後でほぼ同じであったことから、サンプルミル粉砕による微粉化の程度には限界があることがわかった。
非晶質体の定量法の確立のためのフェブキソスタットの非晶質体の標品として、例10でアセトニトリルC晶をボールミルで60分間粉砕して得られたものを用いた。
アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(粉砕圧力3kgf・供給圧力4kgf)に、1、2.5、5、10、25、及び50%相当量の非晶質体(C晶を遊星ボールミルで60分間粉砕して調製したもの)を添加して総量約200 mgとし、袋混合した調製物について示差走査熱量測定における挙動変化を測定した。
日立製の電子顕微鏡(TM3000 Miniscope/HITACHI)を用いて例3、例4、例5で得た各結晶の走査電子顕微鏡写真を撮影した。
例4で得たメタノール水C晶(未粉砕)の走査電子顕微鏡写真を撮影したところ、柱状晶であり、柱の柱径は約20μm前後、柱の長さは1000μmを超えることが確認できた。一部の結晶は、より細い柱状晶が寄り添っているように観察されることから、裂けやすい柱状晶であることが窺える。
未粉砕のアセトニトリルC晶、アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(粉砕圧力3kgf・供給圧力4kgf)の夫々について、走査電子顕微鏡写真に写っている結晶の長さを測定した。未粉砕のアセトニトリルC晶は柱状晶であるので、柱の長さを測定した。一方、アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物は粒状であるので、長径の長さを測定した。測定した結晶の数は、各群430個である。その結果を表7に示す。未粉砕のアセトニトリルC晶の長径の長さの平均値は17.32μmであるのに対して、アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物の長径の平均値は2.96μmであり、未粉砕のアセトニトリルC晶の長径の長さの平均値の約17%の長さになっていた。なお、粉砕していないメタノール水C晶の長径の長さについては、統計解析可能な個数の結晶の長さを測定してはいないものの、電子顕微鏡写真には1mmを超える長さの柱状晶が多数観察されることから、少なくとも、未粉砕のアセトニトリルC晶の長さの5倍以上、おそらくは10倍以上の平均長を有することは明らかと考えられた。
例3で得た未粉砕のアセトニトリルC晶、例4で得たメタノール水C晶、例5で得たアセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(粉砕圧力3kgf・供給圧力4kgf)、市販のA晶(D50 19μm;北京連本医薬化学技術有限公司/Beijing Lianben Pharm-chemicals Tech.Co., Ltd.から購入したもの)、前記の市販のA晶を例11と同様にハンマーミル(大徳薬機製、DF-15)で粉砕した試料の夫々について、定容量法によって、かさ密度及びタップ密度を測定した。かさ密度及びタップ密度は以下の方法で求めた。
定容量法による嵩密度は、次式により計算した。
定容量法による嵩密度(g/ml)=(MT1−M0)/V
ここで、式の右辺の変数は、次のとおりである。
MT1: タップ前の粉体と測定用容器の合計質量(g)
M0: 測定用容器の質量(g)
V: 測定用容器の容量(ml)
定容量法によるタップ密度は、次式により計算した。
定容量法によるタップ密度(g/ml)=(MT2−M0)/V
ここで、式の右辺の変数は、次のとおりである。
MT2: タップ後の粉体と測定用容器の合計質量(g)
M0: 測定用容器の質量(g)
V: 測定用容器の容量(ml)
かさ比重測定器(容量25 ml、JIS Z 2504/筒井理化学器械)の重量(M0)を測定後、測定器の上部から、測定器内にあふれるまで結晶を入れ、測定器内が結晶で十分に満たされたのを確認後、測定器上部に堆積した過剰量の結晶をスパーテルで擦りきり、全体の重量(MT1)を量った。
この測定器を手で30回程度タッピングし、再び測定器上部からあふれるまで結晶を入れる。この工程を数回繰り返し、測定器内が結晶で十分に満たされたのを確認後、スパーテルで擦りきり、全体の質量(MT2)を量った。
これらの変数を上記の式に与えて定容量法による嵩密度及び定容量法によるタップ密度を算出した(表8)。
例3で得た未粉砕のアセトニトリルC晶のタップ密度は、例4で得た未粉砕のメタノール水C晶のタップ密度と比べて3.1倍高かった。また、例3で得た未粉砕のアセトニトリルC晶のタップ密度は、市販のA晶のタップ密度と比べて2.4倍高かった。
例5で得たアセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(粉砕圧力3kgf・供給圧力4kgf)の溶解速度を例3で得た未粉砕のアセトニトリルC晶及び市販のA晶(D50=19μm;Beijing Lianben Pharm-chemicals Tech.Co., Ltd. /北京連本医薬化学技術有限公司より購入)と比較した。なお、例3で得た未粉砕のアセトニトリルC晶は、目開き16メッシュの篩過品を用いた。試料100mg及びマグネット撹拌子(スターラーバー)を200 mlのコニカルビーカーに入れ、溶出試験第1液(pH1.2)、pH5.5 のMcllvaine緩衝液、溶出試験第2液(pH6.8)、及び水をそれぞれ100 mlを加え、ヤマト科学(Yamato)製マグミキサーM-41を用い、毎分500回転で撹拌した。経時的に試験液の一部を採取し、フィルターでろ過して試料溶液とし、標準溶液に対して吸光度測定法(測定波長317nm)により試験した。
これらの結果から、溶出試験第1液(pH1.2)、pH5.5 のMcIlvaine緩衝液、溶出試験第2液(pH6.8)、及び水のいずれに対しても、アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物は、市販のA晶と同等か市販のA晶以上の溶解速度を示す優れた原薬であることがわかった。
例5で得たアセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物 (粉砕圧力3kgf・供給圧力4kgf)を用いて特許4084309号明細書の実施例1の処方に従って錠剤を製造した。例3で得た未粉砕C晶(目開き16メッシュの篩過品)又はA晶(D50=19μm,Beijing Lianben Pharm-chemicals Tech.Co., Ltd./北京連本医薬化学技術有限公司より購入)を用いて同様に錠剤を製造して溶出プロファイルを比較した。各結晶50.0 g、乳糖水和物(SuperTab 11SD、DFE Pharma 製) 183.8 g、部分アルファー化デンプン(PC-10、旭化成ケミカルズ製) 37.5 g、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-SL、日本曹達製) 7.5 g、クロスカルメロースナトリウム(ND-200、旭化成ケミカルズ製) 31.3 gを乳鉢を使用して混合した。精製水93 gを混合末に加えて練合した。得られた湿潤顆粒を8号メッシュで整粒した後、50℃で通風乾燥させ、顆粒を得た。得られた顆粒を22号メッシュで整粒した後、篩過顆粒290 gにステアリン酸マグネシウム(太平化学産業製) 9.4 gをポリ袋にて混合し、打錠用顆粒を得た。この打錠用顆粒をロータリー式打錠機(VELA5、菊水製作所製、打錠圧2500kgf/cm2)で打錠し7 mm径の錠剤を得た。
例5で得たアセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(粉砕圧力3kgf、供給圧力4kgf)を褐色ガラス瓶(蓋はポリエチレンの中蓋が付いたポリプロピレン製。)または厚さ0.04mmのポリエチレン袋に入れて密封し、長期保存試験(25℃±2℃/60%RH±5%)、および、加速試験(40℃±2℃/75%RH±5%)の各条件下での安定性を検討した。 安定性の測定は、乾燥減量、HPLCによる純度試験および粉末X線回折を測定することにより行った。
乾燥減量とは、文字通り、乾燥による重量変化の試験である。乾燥減量の測定は、アセトニトリルC晶1グラムを長期保存試験条件で3ヶ月保存した場合と、加速試験条件で1ヶ月および3ヶ月保存した場合の夫々について、その乾燥減量測定した。測定は、乾燥機(IKEDA RIKA AUTOMATIC OVEN DEK)を用いて105℃で2時間乾燥させたときの質量を天秤にて測定することにより行った。
表9に示すように、3ヶ月までの加速試験と長期保存試験において、問題となるレベルの乾燥減量は観察されなかった。
HPLCによる純度試験は、長期保存試験条件で3ヶ月および6ヶ月保存した場合と、加速試験条件で1ヶ月、3ヶ月および6ヶ月保存した場合について測定した。
まず、測定試料10mgを移動相25mLに溶かし、試料溶液とした。この試料溶液を1mL分取し、移動相を加えて200mLとし、標準溶液とした。試料溶液及び標準溶液、10μLずつを正確とり、次の条件で液体クロマトグラフィーにより試験を行った。試料溶液中のフェブキソスタットのピーク面積と、類縁物質のピーク面積の比により純度を算出した。長期保存条件下においても(図16)、加速条件下においても(図17)、6ヶ月の保存期間中、不純物の総量はフェブキソスタットの約0.05%で一定しており、不純物の総量の変化は見られなかった。同様に、個々の不純物の中で最もピーク面積の大きな不純物(保持時間2.6min)は、長期保存条件下においても、加速条件下においても、6ヶ月の保存期間中、約0.035%で一定しており、最も多く含まれる不純物の量に変化は見られなかった。このように、長期保存条件および加速条件の夫々において、アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物中に不純物の増加は認められなかった。
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:320nm)
カラム:内径4.6mm、長さ15cmのステンレス管に粒子径5μmのオクタデシルシリル化シリカゲルが充填された市販のカラムを用いた。
カラム温度:40℃
移動相:アセトニトリル/pH2.0の0.1mol/Lリン酸二水素カリウム液を2倍に希釈した液=13/7
流量:フェブキソスタットの保持時間が約5分になるように調整する(約1mL/min)。
面積測定範囲:フェブキソスタットの保持時間の約6倍の範囲
SHIMADZU 高速液体クロマトグラフ装置
ポンプ :LC-20AD
オートサンプラー :SIL-20ACHT
UV検出器 :SPD-M20A
カラムオーブン :CTO-20AC
デガッサ :DGU-20A3R
粉末X線回折は、アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物をポリエチレン袋中に密封した試料、および、同じ試料を褐色ガラス瓶に入れた試料の夫々について、長期保存試験条件と加速試験条件の夫々について3ヶ月保存したサンプルを測定した。測定方法は、例6と同様であった。
図18に示すように、ポリエチレン袋中に密封して加速条件下で3ヶ月保存した場合、褐色ガラス瓶に入れて加速条件下で3ヶ月保存した場合、ポリエチレン袋中に密封して長期保存下で3ヶ月保存した場合、褐色ガラス瓶に入れて長期保存条件下で3ヶ月保存した場合、のいずれも、粉末X線回折チャートにおけるピークの位置及び強度に変化はないことから、保存期間中に結晶形に変化はなかったことが確認できた。
例5で得たアセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(粉砕圧力3kgf、供給圧力4kgf)を用いて20mgのフェブキソスタットを含有する素錠(以下、「試作素錠(MeCN粉砕)」という。)とフィルムコーティング錠(以下、「試作FC錠(MeCN粉砕)」という。)を作製し、夫々について、加速試験(40℃±2℃/75%RH±5%)、および、苛酷試験(60℃±2℃/湿度コントロールなし)の各条件下での安定性を検討した。測定項目としては、硬度、重量、溶出性及び純度を測定した。なお、比較のため、FC錠(フィルムコーティング錠)である市販のF錠(10mg錠:ロット番号5051及び5049、20mg錠:ロット番号6062及び6056、40mg錠:ロット番号8016)についても同じ測定を行った。
試作素錠(MeCN粉砕)(20mg錠)、試作FC錠(MeCN粉砕)(20mg錠)、F錠(10mg錠、20mg錠、40mg錠)の夫々について、長期保存条件(3ヶ月、6ヶ月)、加速条件(1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月)及び苛酷条件(1ヶ月、3ヶ月)で保存した後の硬度をOKADA SEIKO PC-30を用いて測定し、測定開始時の硬度と比較した(表10)。ただし、表中、「-」と表示されている条件での測定は行っていない。試作素錠(MeCN粉砕)も、試作FC錠(MeCN粉砕)も、F錠に対して遜色ない十分な硬度を有し、保存による硬度の低下は見られなかった。
試作素錠(MeCN粉砕)(20mg錠)、試作FC錠(MeCN粉砕)(20mg錠)、F錠(10mg錠、20mg錠、40mg錠)の夫々について、長期保存条件(3ヶ月、6ヶ月)、加速条件(1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月)及び苛酷条件(1ヶ月、3ヶ月)で保存した後の重量の変化を測定し、測定開始時の重量と比較した(表11)。ただし、表中、「-」と表示されている条件での測定は行っていない。試作素錠(MeCN粉砕)も、試作FC錠(MeCN粉砕)も、F錠と同様に、重量の変化は3%未満であり、保存期間中を通じて問題となるレベルの重量変化は認められなかった。
試作素錠(MeCN粉砕)(20mg錠)、試作FC錠(MeCN粉砕)(20mg錠)、F錠(10mg錠、20mg錠、40mg錠)の夫々について、長期保存条件(3ヶ月、6ヶ月)、加速条件(1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月)及び苛酷条件(1ヶ月、3ヶ月)で保存した後に、日本薬局方の溶出試験第2液(pH6.8)中でパドル速度50rpmで30分間撹拌した後の溶出率を、紫外可視分光光度計を用いて測定し、測定開始時の溶出率と比較した(表12)。ただし、表中、「-」と表示されている条件での測定は行っていない。試作素錠(MeCN粉砕)も、試作FC錠(MeCN粉砕)も、F錠と同様に、94%以上の溶出率が保たれており、保存期間中を通じて問題となるレベルの溶出率の変化は認められなかった。
試作素錠(MeCN粉砕)(20mg錠)、試作FC錠(MeCN粉砕)(20mg錠)、F錠(10mg錠、20mg錠、40mg錠)の夫々について、加速条件(1ヶ月、3ヶ月)及び苛酷条件(1ヶ月、3ヶ月)で保存した後に、例18の純度試験と同様の方法で不純物の量を経時的に測定した(図19、図20)。ただし、F錠(10mg錠、20mg錠、40mg錠)については、加速条件下でのみ6ヶ月まで測定した。なお、錠剤からの抽出は、1錠を取り原薬10mgに対して移動相25mL相当量に溶解分散し、試料溶液とした。この試料溶液を1mL分取し、移動相を加えて200mLとし、標準溶液とした.加速条件下においても(図19)、苛酷条件下においても(図20)、試作素錠(MeCN粉砕)、試作FC錠(MeCN粉砕)ともに、F錠と同様に、3ヶ月の保存期間中、不純物の総量はフェブキソスタットの総量の0.1%以下であり、不純物の総量の変化は見られなかった。同様に、個々の不純物の中で最もピーク面積の大きな不純物(保持時間2.6min)は、加速条件下においても、苛酷条件下においても、3ヶ月の保存期間中、0.040%未満の水準で一定しており、最も多く含まれる不純物の量に変化は見られなかった。このように、加速条件および苛酷条件の夫々において、試作素錠(MeCN粉砕)(20mg錠)及び試作FC錠(MeCN粉砕)(20mg錠)に含まれる不純物の増加は認められなかった。
例19で作製した試作FC錠(MeCN粉砕)(20mg錠)について、日本薬局方の溶出試験第1液(pH1.2)、McIlvain緩衝液(pH5.0)、溶出試験第2液(pH6.8)、精製水に対する溶出試験を行って、F錠(20mg錠)の溶出特性と対比した(図21)。なお、溶出試験方法は例17と同様の方法で行った。
いずれの条件においても、アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物を用いて作製した試作FC錠(MeCN粉砕)(20mg錠)の試験液への溶出率は、F錠(20mg錠)の溶出率とほぼ同じか若干上回っており、良好な溶出特性を示した(図21)。
これらの結果から、本発明のC晶を用いることにより、特許文献6において得ることができなかった、溶出プロファイルにばらつきのないC晶の製剤を得ることができた。
例3で得た未粉砕のアセトニトリルC晶、例4で得たメタノール水C晶、例5で得たアセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(粉砕圧力3kgf・供給圧力4kgf)、例11で調製したA晶のハンマーミル粉砕物の夫々について、BET多点法を用いて比表面積を測定した。BET法は、低温において窒素やクリプトンなどの気体を固体の表面に単分子層で吸着させ、その吸着気体量を測定して夫々の分子の占める面積から固体の表面積を求める方法である。
測定機器: 4連式比表面積・細孔分布測定装置 NOVA-4200e型(Quantachrome社製)
使用ガス: 窒素ガス
冷媒(温度): 液体窒素(77.35K)
前処理条件: 110℃、6Hr以上真空脱気
測定相対圧力: 0.05<P/P0<0.3
そして、さらにこれをジェットミル粉砕することにより、表面積は9.001 m2/gに増加し、未粉砕のアセトニトリルC晶の表面積の1.6倍に表面積が増加した。未粉砕のメタノール水C晶とアセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物の表面積を対比すると、表面積は実に52.3倍に表面積が増加していた。アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物の表面積は、市販のA晶をハンマーミルで粉砕した試料の表面積の約1.2倍あることからわかるように、大きな表面積を有することが確認できた。アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物は未粉砕のメタノール水C晶の52.3倍も大きな表面積を有するので、とても溶出性に優れることが容易に理解できる。
例3で得た未粉砕のアセトニトリルC晶、例4で得たメタノール水C晶、例5で得たアセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(粉砕圧力3kgf・供給圧力4kgf)、アセトニトリルC晶のボールミル粉砕物、未粉砕のA晶(例11および例15を参照)の夫々について、安息角の測定を試みたが、安息角が測定できないほどに流動性の悪い粉体であった。
そこで、安息角を測定する代わりに、各試料を肉眼視したときの外観を撮影した。
未粉砕のアセトニトリルC晶(図23)は、ややや嵩高い塊を形成する傾向があるが、未粉砕のA晶よりも小さく、かつ、未粉砕のA晶よりも密度の高い塊であった。未粉砕のアセトニトリルC晶の塊の周囲を良く目を凝らして見ると、小さな針状晶らしきものが確認できた。
アセトニトリルC晶のボールミル粉砕物(図26)も、塊を形成する傾向があったが、針状晶らしき構造は見えず、アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物と同様にプラスチックスプーンで均すと、容易に平らになり、崩れやすいきめ細かな微粒子が寄り集まっていることがわかった。
アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物(図24)とアセトニトリルC晶のボールミル粉砕物(図26)は、写真では塊を形成してはいるが、とても崩れやすい塊であり、スパーテルで掬い取った際の粉の動きはコーンスターチ(図27)や片栗粉(図28)の粉の動きにとてもよく似ていた。アセトニトリルC晶のジェットミル粉砕物は、優れたハンドリング性を有することが確認できた。
錠剤中のフェブキソスタットのC晶の結晶形、形態及び大きさをラマン顕微鏡を用いて観察した。
事前に、Renishaw社のinVia Reflex/StreamLineを用いて、フェブキソスタットのA晶及び試作錠(MeCN)の製造に用いた各成分のラマンスペクトルを確認した。その結果、C晶は約1695 shift/cm-1のピークによって、A晶及び各添加剤と区別できることがわかった(図29及び図30)。また、A晶は、約1450 shift/cm-1、約1330 shift/cm-1のピークによって、C晶及び各添加剤と区別できることがわかった(図29及び図30)。
ラマン顕微鏡はRenishaw社の顕微レーザーラマン分光装置inVia Reflex/StreamLineを用い、ラマンイメージングを測定した。
測定条件は、下記のとおりであった。
励起波長 785nm STline
レーザー出力 50%(45mW/line)
露光時間 0.88sec/line
グレーティング 1200l/mm
マッピングエリア 1000×1000um(1.2umstep)
取得スペクトル 695556(5h45m)
対物レンズ X50
例20で作製した試作FC錠(MeCN粉砕)(20mg錠)の表面を切削し観察した。
例3で得られたC晶に、例10で得られた非晶質体を質量比で0.005〜10%添加した混合物を調製し、XRD(X線回析)及びDSC(示差走査熱量)を測定した。XRDでは非晶質の割合の増加に基づく変化はほとんどなかった。一方、DSCにおいては、非晶質体の割合の増加に伴い、約201℃の吸熱ピークの吸熱量は低下し、約211℃の吸熱ピークの吸熱量は増加したが、その変化量はいずれも非晶質体の割合とは非直線的な変化であった。
混合物の機器データとしてXRDを図33、DSCを図34、又DSCにおける吸熱ピークの推移を図35及び表14に示した。
この結果、示差走査熱量を測定し、約211℃の吸熱ピークの吸熱量を測定することにより、C晶との混合物中の非晶質体の検出、定量が可能であることが示された。
例3で得られたC形結晶に例10で得られた非晶質体を質量比で0.005〜10%添加した混合物を開放容器に入れ、100℃で7日間保管した。XRDの変化はなかった。DSCにおいては、非晶質体のいずれの割合においても、約211℃の吸熱ピークの吸熱量は低下した。
混合物のXRDを図36、DSCを図37、又DSCにおける吸熱量の推移を表15に示した。
例3で得られたC晶15gを125mLの試料容器に入れ、遊星ボールミルRetsch PM100を用い、XRD及びDSCがそれぞれ図38、図39になるようにフェブキソスタットの非晶質体と微量のC晶を含む混合物を調製した。
例25に記載した非晶質体と微量のC晶の混合物を開放容器に入れ、100℃で7日間保管した。その結果、XRDでC形結晶に特徴的な回折角を有する回折ピークが観測され、混合物中の非晶質体が徐々にC形結晶へと転移していることが観察された。
開始時及び保管後の試料のXRDを図40(開始時)及び図41(保管後)に示した。
微量の非晶質体を含むドライバースト粉砕したC型結晶を気密容器に入れ,60℃で一か月間、開放容器に入れ、40℃/75%RHで一か月間保管した。DSCにおいて、いずれも約211℃の吸熱ピークは消失し、C形結晶へと結晶化したことが示唆された。
開始時及び保管後の試料について、DSCを図42(開始時)、図43(60℃、1か月保管後)及び図44(40℃/75%RH保管後)に示した。
例10で得られた非晶質体1gを秤量瓶(開栓)に入れ、東京硝子器械定温乾燥器FO-30Wを用い、190℃で180分間加熱後、デシケーター(シリカゲル)で室温まで放冷し、結晶を調製した。同調製物の結晶形のXRD、DSC及びIRを測定した。その結果、既存の結晶形とは異なる新規結晶形(X晶)であることを確認した(XRDを図45、DSCを図46、IRを図47に示す)。XRDの2θ値のピークは、3.33、6.74、7.71、12.82、13.40、13.72、16.29、16.80、18.21、19.12、20.04、21.11、21.79、23.82、24.45、25.80、26.58、27.24、28.01及び30.49に認められた(図45)。IRのピークを表16に示す。
また、フェブキソスタットの非晶質体の示差走査熱量を測定して観察される約211℃の吸熱ピークは、測定中に非晶質体が最終的にX晶に転移した結果出現するX晶の吸熱ピークであることが示された。
Claims (75)
- 2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸のC晶及び2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の非晶質体を含む混合物を常温より高い温度に加熱して得られる2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸のC晶。
- C晶の純度が80%以上である、請求項1に記載のC晶。
- 2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸のC晶及び2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の非晶質体を含む混合物を常温より高い温度に加熱して得られ、混合物中の2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の非晶質体の重量が、2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸のC晶の重量の0.001%以上99%以下である、請求項1又は請求項2に記載のC晶。
- 2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸のC晶及び2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の非晶質体を含む混合物を常温より高い温度に加熱して得られ、混合物中の2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の非晶質体の重量が、2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸のC晶の重量の0.001%以上10%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のC晶。
- 2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸のC晶及び2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の非晶質体を含む混合物を常温より高い温度に加熱して得られ、混合物中の2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の非晶質体の重量が、2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸のC晶の重量の0.001%以上1%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のC晶。
- 2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸のC晶及び2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の非晶質体を含む混合物を常温より高い温度に加熱して得られ、混合物中の2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の非晶質体の重量が、2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸のC晶の重量の0.001%以上0.1%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のC晶。
- 2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸のC晶が、長径の長さが実質的に約200μm以下の結晶のみからなる2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の小型化C晶である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のC晶。
- 2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸のC晶が、長径の長さが実質的に約100μm以下の結晶のみからなる2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸のC晶の微粉化物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のC晶。
- C晶の微粉化物のD50が約25μm以下である、請求項8に記載のC晶。
- C晶の微粉化物のD90が約50μm以下である、請求項8又は請求項9に記載のC晶。
- 残留有機溶媒が実質的にない、請求項1〜10いずれか1項に記載のC晶。
- C晶の微粉化物の嵩密度が約0.20g/ml以上で請求項8〜11のいずれか1項に記載のC晶。
- C晶の微粉化物のタップ密度が約0.30g/ml以上である、請求項8〜12のいずれか1項に記載のC晶。
- C晶の微粉化物の日本薬局方第2液に対する溶解速度が約0.5mg/ml/min以上であるか、又は、pH5.5のMcIlvaine緩衝液に対する溶解速度が約13μg/ml/min以上である、請求項8〜13のいずれか1項に記載のC晶。
- 流体式粉砕又は湿式粉砕により得られたC晶の微粉化物である、請求項8〜14のいずれか1項に記載のC晶。
- 流体式粉砕がジェットミル粉砕又はドライバースト粉砕である、請求項15に記載のC晶。
- C晶の微粉化物が有機溶媒から晶出させたC晶を微粉化したものである、請求項8〜16のいずれか1項に記載のC晶。
- 加熱及び加湿した状態で安定である、請求項1〜17のいずれか1項に記載のC晶。
- 常温より高い温度及び45%RH以上80%RH以下に加湿した状態で安定である、請求項1〜18のいずれか1項に記載のC晶。
- 1日から1年間加熱する、請求項18〜19のいずれか1項に記載のC晶。
- 常温より高い温度が25℃を超え199℃以下である、請求項1〜20のいずれか1項に記載のC晶。
- 加熱が開放系又は密閉系で行われる、請求項1〜21のいずれか1項に記載のC晶。
- 請求項1〜22のいずれかに記載のC晶を有効成分として含む、固形製剤。
- 錠剤の形態である、請求項23に記載の固形製剤。
- 痛風治療剤又は高尿酸血症治療剤である、請求項23又は請求項24に記載の固形製剤。
- 2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の非晶質体から2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸のC晶を製造する方法であって、
2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸のC晶及び2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の非晶質体を含む混合物を常温より高い温度に加熱する工程を含む方法。 - 製造されたC晶の純度が80%以上である、請求項26に記載のC晶の製造方法。
- 混合物中の2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の非晶質体の重量が、2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸のC晶の重量の0.001%以上99%以下である、請求項26又は請求項27に記載のC晶の製造方法。
- 混合物中の2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の非晶質体の重量が、2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸のC晶の重量の0.001%以上10%以下である、請求項26〜28のいずれか1項に記載のC晶の製造方法。
- 混合物中の2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の非晶質体の重量が、2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸のC晶の重量の0.001%以上1%以下である、請求項26〜29のいずれか1項に記載のC晶の製造方法。
- 混合物中の2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の非晶質体の重量が、2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸のC晶の重量の0.001%以上0.1%以下である、請求項26〜30のいずれか1項に記載のC晶の製造方法。
- 2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸のC晶が、長径の長さが実質的に約200μm以下の結晶のみからなる2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の小型化C晶である、請求項26〜31のいずれか1項に記載のC晶の製造方法。
- 2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸のC晶が、長径の長さが実質的に約100μm以下の結晶のみからなる2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸のC晶の微粉化物である、請求項26〜32のいずれか1項に記載のC晶の製造方法。
- C晶の微粉化物のD50が約25μm以下である、請求項33に記載のC晶の製造方法。
- C晶の微粉化物のD90が約50μm以下である、請求項33又は請求項34に記載のC晶の製造方法。
- 製造されたC晶に残留溶媒が実質的にないC晶を製造する、請求項26〜35に記載のC晶の製造方法。
- C晶の微粉化物の嵩密度が約0.20g/ml以上で請求項33〜35のいずれか1項に記載のC晶の製造方法。
- C晶の微粉化物のタップ密度が約0.30g/ml以上である、請求項33〜37のいずれか1項に記載のC晶の製造方法。
- C晶の微粉化物の日本薬局方第2液に対する溶解速度が約0.5mg/ml/min以上であるか、又は、pH5.5のMcIlvaine緩衝液に対する溶解速度が約13μg/ml/min以上である、請求項33〜38のいずれか1項に記載のC晶の製造方法。
- 流体式粉砕又は湿式粉砕により得られたC晶の微粉化物である、請求項33〜39のいずれか1項に記載のC晶の製造方法。
- 流体式粉砕がジェットミル粉砕又はドライバースト粉砕である、請求項40に記載のC晶の製造方法。
- C晶の微粉化物が有機溶媒から晶出させたC晶を微粉化したものである、請求項33〜41のいずれか1項に記載のC晶の製造方法。
- 常温より高い温度が25℃を超え199℃以下である、請求項26〜42のいずれか1項に記載のC晶の製造方法。
- 加熱が開放系又は密閉系で行われる、請求項26〜43のいずれか1項に記載のC晶の製造方法。
- 請求項26〜44のいずれかに記載の方法で製造されたC晶を有効成分として含む、固形製剤。
- 錠剤の形態である、請求項45に記載の固形製剤。
- 痛風治療剤又は高尿酸血症治療剤である、請求項45又は請求項46に記載の固形製剤。
- 2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸のC晶及び2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の非晶質体を含む製剤又は試料中の2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の非晶質体の含量を低下させる方法であって、製剤又は試料を常温より高い温度に加熱する工程を含む方法。
- 加熱後の製剤又は試料のC晶の純度が80%以上である、請求項48に記載の方法。
- 加熱前の製剤又は試料中の2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の非晶質体の重量が、2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸のC晶の重量の0.001%以上99%以下である、請求項48又は49に記載の方法。
- 加熱前の製剤又は試料中の2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の非晶質体の重量が、2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸のC晶の重量の0.001%以上10%以下である、請求項48〜50のいずれか1項に記載の方法。
- 加熱前の製剤又は試料中の2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の非晶質体の重量が、2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸のC晶の重量の0.001%以上1%以下である、請求項48〜51のいずれか1項に記載の方法。
- 加熱前の製剤又は試料中の2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の非晶質体の重量が、2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸のC晶の重量の0.001%以上0.1%以下である、請求項48〜52のいずれか1項に記載の方法。
- 製剤又は試料中の2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸のC晶が、長径の長さが実質的に約200μm以下の結晶のみからなる2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の小型化C晶である、請求項48〜53のいずれか1項に記載の方法。
- 製剤又は試料中の2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸のC晶が、長径の長さが実質的に約100μm以下の結晶のみからなる2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸のC晶の微粉化物である、請求項48〜54のいずれか1項に記載の方法。
- C晶の微粉化物のD50が約25μm以下である、請求項55に記載の方法。
- C晶の微粉化物のD90が約50μm以下である、請求項55又は請求項56に記載の方法。
- 加熱後の製剤又は試料に残留溶媒が実質的にない、請求項48〜57に記載の方法。
- C晶の微粉化物の嵩密度が約0.20g/ml以上で請求項55〜58のいずれか1項に記載の方法。
- C晶の微粉化物のタップ密度が約0.30g/ml以上である、請求項55〜59のいずれか1項に記載の方法。
- C晶の微粉化物の日本薬局方第2液に対する溶解速度が約0.5mg/ml/min以上であるか、又は、pH5.5のMcIlvaine緩衝液に対する溶解速度が約13μg/ml/min以上である、請求項55〜60のいずれか1項に記載の方法。
- 流体式粉砕又は湿式粉砕により得られたC晶の微粉化物である、請求項55〜61のいずれか1項に記載の方法。
- 流体式粉砕がジェットミル粉砕又はドライバースト粉砕である、請求項62に記載のC晶の製造方法。
- C晶の微粉化物が有機溶媒から晶出させたC晶を微粉化したものである、請求項55〜63のいずれか1項に記載のC晶の製造方法。
- 常温より高い温度が25℃を超え199℃以下である、請求項48〜64のいずれか1項に記載のC晶の製造方法。
- 加熱が開放系又は密閉系で行われる、請求項48〜65のいずれか1項に記載のC晶の製造方法。
- 3.3°、6.7°、7.7°、12.8°、13.4°、13.7°、16.3°、16.8°、18.2°、19.1°、20.0°、21.1°、21.8°、23.8°、24. 5°、25.8°、26.6°、27.2°、28.0°及び30.5°の回折角から選択される5個以上の回析角にピークを有する、2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の結晶。
- 6.7°、7.7°、12.8°、13.4°及び13.7°の回析角にピークを有する、2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の結晶。
- 3.3°、6.7°、7.7°、12.8°、13.4°、13.7°、16.3°、16.8°、18.2°、19.1°、20.0°、21.1°、21.8°、23.8°、24. 5°、25.8°、26.6°、27.2°、28.0°及び30.5°の回折角にピークを有する、2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の結晶。
- 約211℃に単一の示差走査熱量の吸熱ピークを有する、2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の結晶。
- 約820cm-1、約1281cm-1、約1423cm-1、約1518cm-1及び約2542cm-1の赤外吸収スペクトルのピークを有する、2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の結晶。
- 請求項67〜71のいずれかに記載の結晶の製造方法であって、2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の非晶質体を170℃以上で加熱する工程、及び得られた試料を乾燥条件下で徐々に温度を室温まで下げる工程を含む方法。
- 請求項67〜72のいずれかに記載の結晶の製造方法であって、非晶質体を170℃以上210℃以下に加熱する工程、及び得られた試料を乾燥条件下で徐々に温度を室温まで下げる工程を含む方法。
- 2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の非晶質体を検出又は定量する方法であって、
2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸試料を示差走査熱量測定する工程;及び
約211℃に現れる吸熱ピーク量(J/g)を測定する工程
を含む方法。 - 請求項67〜71のいずれかに記載の2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸の結晶を検出又は定量する方法であって、
2-[3-シアノ-4-(2-メチルプロポキシ)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸試料を示差走査熱量測定する工程;及び
約211℃に現れる吸熱ピーク量(J/g)を測定する工程
を含む方法。
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