JPWO2016158549A1 - 重水素低減水の製造方法、重水と軽水の分離方法、および重水素濃縮水の製造方法 - Google Patents

重水素低減水の製造方法、重水と軽水の分離方法、および重水素濃縮水の製造方法

Info

Publication number
JPWO2016158549A1
JPWO2016158549A1 JP2017509817A JP2017509817A JPWO2016158549A1 JP WO2016158549 A1 JPWO2016158549 A1 JP WO2016158549A1 JP 2017509817 A JP2017509817 A JP 2017509817A JP 2017509817 A JP2017509817 A JP 2017509817A JP WO2016158549 A1 JPWO2016158549 A1 JP WO2016158549A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
adsorbent
heavy
water vapor
semi
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017509817A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6659668B2 (ja
Inventor
金子 克美
克美 金子
高城 壽雄
壽雄 高城
村田 克之
克之 村田
竜祐 二村
竜祐 二村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shinshu University NUC
Kotobuki Tsushou Co Ltd
Original Assignee
Shinshu University NUC
Kotobuki Tsushou Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shinshu University NUC, Kotobuki Tsushou Co Ltd filed Critical Shinshu University NUC
Publication of JPWO2016158549A1 publication Critical patent/JPWO2016158549A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6659668B2 publication Critical patent/JP6659668B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D59/00Separation of different isotopes of the same chemical element
    • B01D59/22Separation by extracting
    • B01D59/26Separation by extracting by sorption, i.e. absorption, adsorption, persorption
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D53/00Separation of gases or vapours; Recovering vapours of volatile solvents from gases; Chemical or biological purification of waste gases, e.g. engine exhaust gases, smoke, fumes, flue gases, aerosols
    • B01D53/02Separation of gases or vapours; Recovering vapours of volatile solvents from gases; Chemical or biological purification of waste gases, e.g. engine exhaust gases, smoke, fumes, flue gases, aerosols by adsorption, e.g. preparative gas chromatography
    • B01D53/04Separation of gases or vapours; Recovering vapours of volatile solvents from gases; Chemical or biological purification of waste gases, e.g. engine exhaust gases, smoke, fumes, flue gases, aerosols by adsorption, e.g. preparative gas chromatography with stationary adsorbents
    • B01D53/047Pressure swing adsorption
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B5/00Water
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B5/00Water
    • C01B5/02Heavy water; Preparation by chemical reaction of hydrogen isotopes or their compounds, e.g. 4ND3 + 7O2 ---> 4NO2 + 6D2O, 2D2 + O2 ---> 2D2O
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D2253/00Adsorbents used in seperation treatment of gases and vapours
    • B01D2253/10Inorganic adsorbents
    • B01D2253/102Carbon
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D2253/00Adsorbents used in seperation treatment of gases and vapours
    • B01D2253/10Inorganic adsorbents
    • B01D2253/106Silica or silicates
    • B01D2253/108Zeolites
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D2257/00Components to be removed
    • B01D2257/80Water

Abstract

所定の吸着材に対して軽水が重水および半重水よりも初期の脱離速度が速いことを利用し、重水や半重水の濃度を低下させた重水素低減水を短時間で容易に製造する。水から重水および半重水を除去し、重水素低減水を製造する方法であって、水蒸気を吸着させた所定の吸着材の周囲の相対圧を低下させ、軽水の脱離速度>重水および半重水の脱離速度である時間帯の間、上記吸着材から脱離した水蒸気を回収する脱離工程を有することを特徴とする重水素低減水の製造方法。

Description

本発明は、一般的な水から重水または半重水の量を低減させた重水素低減水を製造する方法に関する。
また、本発明は、軽水から重水および半重水を分離する方法、および重水や半重水を多く含む重水素濃縮水を製造する方法に関する。
一般的な水には、HO(軽水)と、水素原子の同位体である重水素原子を含んだ水分子である、DO(重水)やDHO(半重水)とが混在している。自然界にある水に含まれる重水および半重水の濃度は、採取される場所によって差があるが、平地では約150ppm程度であり、そのほとんどは半重水である。
人体に含まれる重水および半重水の量は、例えば体重60kgの成人であれば体重の95ppmと微量である。
しかし、重水や半重水は、物質の溶解度、電気伝導度、電離度などの物性や反応速度が軽水とは異なるため、大量に摂取すると生体内反応に失調をきたし、また、純粋な重水中では生物は死滅する。そのため、飲用水等の重水素濃度が低いほど人体の健康にとって望ましいと言われ、検証が進められている。
重水や半重水をほとんど含まない重水素低減水は、日本では厚生労働省からは認可されていないものの、ハンガリーでは動物用の抗がん剤として認可されており、ガン患者等が飲用することも多い。
一般的な水から重水素低減水を製造する方法として、従来の技術では、水素と重水素とのごくわずかな物理的性質の差を利用し、蒸留を繰り返す方法(特許文献1)や水電解法による方法(特許文献2)で重水素低減水を製造していた。
しかし、重水素低減水を製造する従来の方法では、大型の設備や複雑な作業の繰り返しが必要であり、その製造コストは高かった。そのため、ガン患者や、各種効能を期待して飲用を望む者にとって、大きな経済負担となっていた。
特表2008−512338号公報 特開2012−158499号公報
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、重水素低減水を短時間で容易に製造することを課題とする。
また、本発明は、重水や半重水を多く含む重水素濃縮水を容易かつ低コストで製造することを課題とする。
本発明において、上記課題が解決される手段は以下の通りである。
第1の発明は、水から重水および半重水を除去し、重水素低減水を製造する方法であって、水蒸気を吸着させた所定の吸着材の周囲の水蒸気の相対圧を低下させ、軽水の脱離速度>重水および半重水の脱離速度である時間帯の間、上記吸着材から脱離した水蒸気を回収する脱離工程を有することを特徴とする。
なお、重水または半重水を多く含有する水を回収し利用する場合にも、上記方法を用いることができる。
第2の発明は、水から重水および半重水を除去し、重水素低減水を製造する方法であって、水蒸気を吸着させた所定の吸着材の周囲の水蒸気の相対圧を低下させ、軽水の脱離速度>重水および半重水の脱離速度である時間帯の間のみ、上記吸着材から脱離した水蒸気を回収する脱離工程を有することを特徴とする。
第3の発明は、水から重水および半重水を除去し、重水素低減水を製造する方法であって、予め2つ以上の所定の吸着材を直列に並べ、水蒸気を吸着させた上流側の上記吸着材の周囲の水蒸気の相対圧を低下させ、軽水の脱離速度>重水および半重水の脱離速度である時間帯の間、上流側の上記吸着材から脱離した水蒸気を回収する上流側脱離工程と、この回収した水蒸気を下流側の上記吸着材に吸着させた後、下流側の上記吸着材の周囲の水蒸気の相対圧を低下させ、軽水の脱離速度>重水および半重水の脱離速度である時間帯の間、下流側の上記吸着材から脱離した水蒸気を回収する下流側脱離工程とを有することを特徴とする。
なお、上流側脱離工程おいて水蒸気を回収する工程と、下流側脱離工程においてこの回収した水蒸気を下流側の上記吸着材に吸着させる工程とは、同時並行して行われてもよい。
また、重水または半重水を多く含有する水を回収し利用する場合にも、上記方法を用いることができる。
第4の発明は、水から重水および半重水を除去し、重水素低減水を製造する方法であって、所定の吸着材に水蒸気を供給し、軽水の吸着速度>重水および半重水の吸着速度である時間帯の間、上記吸着材に水蒸気を吸着させ、上記吸着材から水蒸気を回収する吸着工程を有することを特徴とする。
なお、重水または半重水を多く含有する水を回収し利用する場合にも、上記方法を用いることができる。
第5の発明は、水を、軽水と重水および半重水とに分離する方法であって、水蒸気を吸着させた所定の吸着材の周囲の水蒸気の相対圧を低下させ、軽水の脱離速度>重水および半重水の脱離速度である時間帯の間、上記吸着材から水蒸気を脱離させることを特徴とする。
第6の発明は、水を、軽水と重水および半重水とに分離する方法であって、所定の吸着材に水蒸気を供給し、軽水の吸着速度>重水および半重水の吸着速度である時間帯の間、上記吸着材に水蒸気を吸着させることを特徴とする。
第7の発明は、水から軽水を除去し、重水素濃縮水を製造する方法であって、水蒸気を吸着させた所定の吸着材の周囲の水蒸気の相対圧を低下させ、軽水の脱離速度>重水および半重水の脱離速度である時間帯の間上記吸着材から水蒸気を脱離させる脱離工程の後、上記吸着材に残存する水を回収することを特徴とする。
第8の発明は、水から軽水を除去し、重水素濃縮水を製造する方法であって、所定の吸着材に水蒸気を供給し、軽水の吸着速度>重水および半重水の吸着速度である時間帯の間、上記吸着材に水蒸気を吸着させる吸着工程の後、上記吸着材に吸着しない水蒸気を回収することを特徴とする。
第1の発明によれば、水から重水および半重水を除去し、重水素低減水を製造する方法であって、水蒸気を吸着させた所定の吸着材の周囲の水蒸気の相対圧を低下させ、軽水の脱離速度>重水および半重水の脱離速度である時間帯の間、上記吸着材から脱離した水蒸気を回収する脱離工程を有することにより、従来に比べて簡素な装置で、短時間で容易に重水素低減水を製造することができる。
また、吸着材に残留した水には、重水や半重水が濃縮されて多量に含まれているため、これを利用することもできる。
第2の発明によれば、水から重水および半重水を除去し、重水素低減水を製造する方法であって、水蒸気を吸着させた所定の吸着材の周囲の水蒸気の相対圧を低下させ、軽水の脱離速度>重水および半重水の脱離速度である時間帯の間のみ、上記吸着材から脱離した水蒸気を回収する脱離工程を有することにより、さらに低濃度の重水素低減水を製造することができる。
また、吸着材に残留した水には、重水や半重水が濃縮されて多量に含まれているため、これを利用することもできる。
第3の発明によれば、水から重水および半重水を除去し、重水素低減水を製造する方法であって、予め2つ以上の所定の吸着材を直列に並べ、水蒸気を吸着させた上流側の上記吸着材の周囲の水蒸気の相対圧を低下させ、軽水の脱離速度>重水および半重水の脱離速度である時間帯の間、上流側の上記吸着材から脱離した水蒸気を回収する上流側脱離工程と、この回収した水蒸気を下流側の上記吸着材に吸着させた後、下流側の上記吸着材の周囲の水蒸気の相対圧を低下させ、軽水の脱離速度>重水および半重水の脱離速度である時間帯の間、下流側の上記吸着材から脱離した水蒸気を回収する下流側脱離工程とを有することにより、重水素濃度をより低下させた重水素低減水を、短時間で容易に製造することができる。
また、吸着材に残留した水には、重水や半重水が濃縮されて多量に含まれているため、これを利用することもできる。
第4の発明によれば、水から重水および半重水を除去し、重水素低減水を製造する方法であって、所定の吸着材に水蒸気を供給し、軽水の吸着速度>重水および半重水の吸着速度である時間帯の間、上記吸着材に水蒸気を吸着させ、上記吸着材から水蒸気を回収する吸着工程を有することにより、従来に比べて簡素な装置で、短時間で容易に重水素低減水を製造することができる。
第5の発明によれば、水蒸気を吸着させた所定の吸着材の周囲の水蒸気の相対圧を低下させ、軽水の脱離速度>重水および半重水の脱離速度である時間帯の間、上記吸着材から水蒸気を脱離させることにより、従来に比べて簡素な装置で、低コストかつ容易に軽水から重水および半重水を分離することができる。
第6の発明によれば、所定の吸着材に水蒸気を供給し、軽水の吸着速度>重水および半重水の吸着速度である時間帯の間、上記吸着材に水蒸気を吸着させることにより、従来に比べて簡素な装置で、低コストかつ容易に軽水から重水および半重水を分離することができる。
第7の発明によれば、水蒸気を吸着させた所定の吸着材の周囲の水蒸気の相対圧を低下させ、軽水の脱離速度>重水および半重水の脱離速度である時間帯の間上記吸着材から水蒸気を脱離させる脱離工程の後、上記吸着材に残存する水を回収することにより、従来に比べて簡素な装置で、低コストかつ容易に重水素濃縮水を製造することができる。
第8の発明によれば、所定の吸着材に水蒸気を供給し、軽水の吸着速度>重水および半重水の吸着速度である時間帯の間、上記吸着材に水蒸気を吸着させる吸着工程の後、上記吸着材に吸着しない水蒸気を回収することにより、従来に比べて簡素な装置で、低コストかつ容易に重水素濃縮水を製造することができる。
吸着材に対する軽水および重水の吸着速度および脱離速度を測定する測定装置を示す図である。 吸着材に対する軽水および重水の吸着速度を示すグラフである。 吸着材に対する軽水および重水の脱離速度を示すグラフである。 本発明の第一実施形態に使用する吸着塔を示す図である。 同第二実施形態の結果を示す表である。 同第三実施形態に使用する装置を示す図である。 同第三実施形態の結果を示す表である。 同第四実施形態に使用する装置を示す図である。 同第六実施形態の結果を示す表である。 同第七実施形態の結果を示す表である。
以下、本発明の実施形態に係る重水素低減水の製造方法について説明する。
本発明は、所定の吸着材に対して軽水が重水および半重水よりも初期の吸着速度および脱離速度が速いことを利用したものである。
<吸着速度および脱離速度の測定>
吸着材に対する軽水、重水および半重水の吸着速度および脱離速度を、図1に示す測定装置を用いて測定した。
この測定装置1では、ヘリウムガスを水蒸気のキャリアーとして用いる。なお、本実施形態ではヘリウムガスを用いているが、水蒸気のキャリアーとして用いることが可能な気体であれば、キャリアーの種類は限定されない。
まず、ヘリウムガスを水2中に放出して浮き上がってきたガスを回収する。次いで、このヘリウムガスに空の試験管3を通過させて、余分な水滴を落とし、再度ガスを回収する。
これにより、水蒸気を含んだヘリウムガスを得ることができる。
このヘリウムガスに、別系統から供給される乾燥窒素ガスを混合することにより、混合ガスの湿度(水蒸気の相対圧)をコントロールすることができる。
35.5mgの吸着材4が配置された管に、この混合ガスを通して、混合ガスの湿度を変更することにより、吸着材に対する軽水および重水の吸着速度および脱離速度を測定する。混合ガスの供給速度は、水蒸気を含んだヘリウムガスと乾燥窒素ガスとの合計が50ml/minとなるようにする。また、測定装置1の全体を15℃に保つようにする。
吸着材4には、活性炭、活性炭素繊維、カーボンナノチューブなどの炭素系の吸着材や、シリカゲル、ゼオライトなどの無機多孔体などが例示できる。
この中では、AQSOA(登録商標)やALPO−5などのAlPO系ゼオライトの材料が吸着性能に優れ、活性炭が低コストである。
以下では、吸着材として活性炭(株式会社アドール製活性炭素繊維「A−20」)を使用した例に基づいて説明する。
まず、吸着速度を測定するには、混合ガスの混合割合を調整して、湿度40%の混合ガスを吸着材4へ一定時間供給する。次いで、湿度90%の混合ガスを吸着材4へ供給して、吸着材の下流で回収される混合ガスにおける軽水および重水の量の変化から、それぞれの吸着速度を測定した。
図2のグラフは、その結果を示している。
図2に示すように、湿度90%の混合ガスの供給開始(0分)から約10分の間、軽水の吸着速度は非常に速く、かつ、重水の吸着速度を大きく上回っている。
40分から220分までの間は、軽水の吸着速度は中程度であり、重水の吸着速度を上回っている。
220分以降は、軽水の吸着速度は急激に低下し、重水の吸着速度を下回る。
軽水はおよそ230分で平衡状態に達し、重水はおよそ290分で平衡状態に達する。
なお、半重水の吸着速度は、軽水と重水とを平均した値になると考えられる。
脱離速度を測定するには、混合ガスの混合割合を調整して、湿度90%の混合ガスを吸着材4へ一定時間供給し、吸着材4に水蒸気を吸着させる。次いで、湿度40%の混合ガスを吸着材4へ供給して、吸着材の下流で回収される混合ガスにおける軽水および重水の量の変化から、それぞれの脱離速度を測定した。
図3のグラフは、その結果を示している。なお、図3のグラフにおいても縦軸は吸脱着速度であるため、縦軸のマイナスの値が大きいほど脱離速度が大きいことを表している。
図3に示すように、湿度40%の混合ガスの供給開始(0分)から約10分の間、軽水の脱離速度は非常に速く、かつ、重水の脱離速度を大きく上回っている。
10分から200分までの間は、軽水の脱離速度は中程度であり、重水の脱離速度を上回っているが、その差はわずかである。
200分以降は、軽水の脱離速度は急激に低下し、重水の脱離速度を下回る。
軽水はおよそ220分で平衡状態に達し、重水はおよそ250分で平衡状態に達する。
なお、半重水の脱離速度も、軽水と重水とを平均した値になると考えられる。
<第一実施形態>
第一実施形態では、脱離速度の速い最初の10分を利用して、重水低減水を得ることを特徴とする。
図4に示すように、第一実施形態に用いる吸着塔5の内部には、図示しない活性炭からなる吸着材が配置されている。また、吸着塔5には、水蒸気や乾燥空気の導入口6、重水素低減水のベント口7、回収口8が形成されている。導入口6、ベント口7、回収口8には、それぞれバルブV1,V2,V3が配設されている。
第一実施形態では、まず、バルブV3を閉じたままバルブV1およびバルブV2を開放し、導入口6から水蒸気を吸着塔5に流して、吸着材4に水蒸気を飽和するまで吸着させる。
次いで、吸着材4から水蒸気を脱離させる。
吸着材4から水蒸気を脱離させるためには、吸着材の周囲の水蒸気の相対圧(吸着平衡圧/飽和水蒸気圧)を低下させる。相対圧を低下させる方法としては、減圧する、乾燥した気体を流す、または気温を上昇させるなどの方法が考えられる。例えば、図1に示される実施形態においては、乾燥窒素ガスのみを供給すること等が考えられるが、水蒸気の相対圧を低下させる方法はそれに限られない。
次いで、バルブV2を閉じるとともにバルブV1,V3を開放して、導入口6から湿度0%の乾燥空気を10分間供給して、回収口8から水蒸気を回収する。
なお、本実施形態では、吸着工程で吸着塔に供給される水蒸気の相対圧(吸着平衡圧/飽和水蒸気圧)は0.9、脱離工程で供給される乾燥空気の相対圧は0.4であった。ただし、各工程での相対圧の数値等の条件は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、吸着材の種類などのその他条件によって変動しうるものである。
脱離開始から10分間では、軽水の平均脱離速度が0.53mmol/min、半重水の平均脱離速度が計算値で0.47mmol/min、重水の平均脱離速度が0.42mmol/minとなる。
第一実施形態では、吸着材に吸着させた水蒸気1gあたり、74mgの水蒸気を回収口8から回収することができる。また、吸着塔に供給する一般的な水蒸気の重水素濃度(重水および半重水の濃度)は150ppmであるが、回収口8から回収された水蒸気の重水素濃度は135ppmに低下した。
その後、バルブV3を閉じるとともにバルブV1,V2を開放して、乾燥空気を供給することで、吸着塔内に残った水蒸気をベント口7から除去することができる。
このように、第一実施形態では、重水素濃度を低減させた重水素低減水(水蒸気)を、短時間で効率的に製造することができる。
<第二実施形態>
第二実施形態は、第一実施形態を1サイクルとし、複数回繰り返すことを特徴とする。
まず、第一実施形態の工程を行い、回収口8から水蒸気を回収し、吸着塔5内に残った水蒸気をベント口7から除去する(1サイクル目)。
次いで、この回収した水蒸気を導入口6から再度導入して飽和するまで吸着材に吸着させ、その後乾燥空気を10分間供給して回収口8から水蒸気を回収する。その後、吸着塔5に残った水蒸気をベント口7から除去する(2サイクル目)。
これらの工程を、5サイクル目まで繰り返す。
図5左欄は、各サイクルにおいて、回収口8から回収できる水蒸気の重水素濃度と、1サイクル目において供給する水蒸気1gあたりの回収できる水蒸気の量を示したものである。
5サイクル目では、回収口8から回収される水蒸気の重水素濃度は88ppmになった。また、5サイクル目では、1サイクル目において供給する水蒸気1gあたり、2.2μgの水蒸気を回収口8から回収することができる。
また、図5右欄では、各サイクルにおいて、ベント口7から廃棄した水蒸気の重水素濃度と、1サイクル目において供給する水蒸気1gあたりの廃棄される水蒸気の量も示している。
第二実施形態では、重水素濃度をより低減させた重水素低減水(水蒸気)を、短時間で効率的に製造することができる。
<第三実施形態>
第三実施形態では、吸着材を内蔵した吸着塔を、直列に5つ接続した装置を用いる。
図6に示すように、この装置は、第1塔11から第5塔15までの5つの吸着塔を接続管で直列に接続してなる。
第1塔11には導入口16とベント口17が形成されている。また、第5塔15には回収口18が形成されている。
導入口16、ベント口17、それぞれの吸着塔を接続する接続管、および回収口18には、バルブV4,V5,V6,V7,V8,V9,V10が設けられている。
必要に応じて、各吸着塔に、それぞれ導入口およびベント口を設けてもよい。
この装置では、予め、重水素濃度150ppmの水蒸気を第1塔11の吸着材に、同135ppmの水蒸気を第2塔12の吸着材に、同121ppmの水蒸気を第3塔13の吸着材に、同109ppmの水蒸気を第4塔14の吸着材に、同98ppmの水蒸気を第5塔15の吸着材に、それぞれ相対圧0.9で飽和するまで吸着させておく。
第三実施形態では、まず、回収口18のバルブV10のみを開放するとともに第5塔15の相対圧を0.4に減圧して、吸着材から脱離した水蒸気を10分間回収した後、バルブV10を閉じる。
次いで、バルブV9を開放して第4塔14の相対圧を0.4に減圧して、吸着材から脱離した水蒸気を第5塔15へ10分間移動させ、バルブV9を閉じる。
その後、バルブV8を開放して第3塔13の相対圧を0.4に減圧して、吸着材から脱離した水蒸気を第4塔14へ10分間移動させ、バルブV8を閉じる。
次いで、バルブV7を開放して第2塔12の相対圧を0.4に減圧して、吸着材から脱離した水蒸気を第3塔13へ10分間移動させ、バルブV7を閉じる。
その後、バルブV6を開放して第1塔11の相対圧を0.4に減圧して、吸着材から脱離した水蒸気を第2塔12へ10分間移動させ、バルブV6を閉じる。
次いで、バルブV5を開放し、第1塔11の内部の残った水蒸気をベント口17から除去した後、バルブV4を開放して導入口16から150ppmの水蒸気を導入して相対圧0.9で吸着材に飽和吸着させ、バルブV4,V5を閉じる。
ここまでの工程を1サイクルとして、複数サイクル繰り返す。
図7の表には、1サイクル目、2サイクル目、3サイクル目、15サイクル目において、各吸着塔の吸着材から脱離した水蒸気の重水素濃度を示している。また、12サイクル目において、各吸着塔の吸着材に残った水蒸気の重水素濃度も示している。
第三実施形態では、15サイクル目まで繰り返すことにより、重水素濃度が100ppm以下の水蒸気を、短時間で多量に得ることができる。
また、第5塔15から水蒸気を回収する工程と、第3塔13から第4塔14に水蒸気を移動させる工程と、第1塔11から第2塔12に水蒸気を移動させる工程とを同時に行い、次いで、第4塔14から第5塔15に水蒸気を移動させる工程と、第2塔12から第3塔13に水蒸気を移動させる工程と、第1塔11の水蒸気を入れ換える工程とを同時に行うことにより、1サイクルにかかる時間を2工程分に短縮することもできる。
また、12サイクル目を終えた際に、第1塔11の内部に残った水蒸気をベント口17から除去し、第2塔12の内部に残った水蒸気を第1塔11に移動させ、第3塔13の内部に残った水蒸気を第2塔12に移動させ、第4塔14の内部に残った水蒸気を第3塔13に移動させ、第5塔15の内部に残った水蒸気を第4塔14に移動させ、重水素濃度が98ppmの水蒸気を第5塔に供給することにより、各吸着塔の水蒸気の重水素濃度を、1サイクル目の開始前とほぼ同様に戻すことができる。
したがって、1サイクル目から12サイクル目までを効率的に繰り返すことができる。
第三実施形態では、重水素濃度をより低減させた重水素低減水(水蒸気)を、より短時間で効率的に製造することができる。
また、第1塔11に導入した水蒸気とほぼ同量の重水素低減水(水蒸気)を第5塔15から得ることができるので、生産性を向上させることができる。
さらに、各吸着塔に残った水蒸気を再利用して、サイクルを繰り返すことができるので、生産性をさらに向上させることができる。
<第四実施形態>
第四実施形態では、吸着材を内蔵した吸着塔を、直列かつ環状に5つ接続した装置を用いる。
図8に示すように、この装置は、吸着塔Aから吸着塔Eまでの5つの吸着塔を接続管で直列かつ環状に接続してなる。
また、吸着塔A,B,C,D,Eには、導入口(図示せず)、ベント口(図示せず)および回収口(図示せず)がそれぞれ形成されている。
導入口、ベント口、それぞれの吸着塔を接続する接続管、および回収口には、それぞれバルブが設けられている。
第四実施形態では、まず、吸着塔Aを第三実施形態の第1塔11、吸着塔Bを同第2塔12、吸着塔Cを同第3塔13、吸着塔Dを同第4塔14、吸着塔Eを同第5塔15として、第三実施形態の1サイクル目から12サイクル目までを行う。
次いで、第1塔11にあたる吸着塔Aの内部に残った水蒸気をベント口から除去し、98ppmの水蒸気を導入口から供給して吸着材に飽和吸着させる。
その後、吸着塔Bを第三実施形態の第1塔11、吸着塔Cを同第2塔12、吸着塔Dを同第3塔13、吸着塔Eを同第4塔14、吸着塔Aを同第5塔15として、第三実施形態の1サイクル目から12サイクル目までを行う。
このように、吸着塔Aの役割を第1塔11、第5塔15、第4塔14、第3塔13、第2塔12、第1塔11…となるように12サイクルごとに順番に変更し、他の吸着塔B〜Eの役割もこれに対応させる。
第四実施形態では、第三実施形態に比べて、各吸着塔に残った水蒸気を移動させることなく再利用することができるので、水蒸気の移動に要する時間および動力が節約できて、より短時間かつ低コストで重水素低減水を製造することができる。
<第五実施形態>
第五実施形態は、図3のグラフにおいて、脱離開始10分後から200分までの、軽水の脱離速度が中程度であり、重水の脱離速度を上回っている時間帯も利用することを特徴とする。
すなわち、第一実施形態において、回収口8から水蒸気を回収する時間を、乾燥空気を導入し吸着材から水蒸気を脱離させ始めてから100分間に変更したことを特徴とする。
第五実施形態では、図4の吸着塔5において、まず、バルブV3を閉じたままバルブV1,V2を開放し、導入口6から水蒸気を吸着塔5に流して、吸着材に水蒸気を飽和するまで吸着させる。
次いで、バルブV2を閉じるとともにバルブV1,V3を開放して、導入口6から湿度0%の乾燥空気を100分間供給して、回収口8から水蒸気を回収する。
なお、吸着塔5に供給される水蒸気の相対圧および乾燥空気の相対圧は第一実施形態と同様であった。
脱離開始から100分間では、軽水の平均脱離速度が0.21mmol/min、半重水の平均脱離速度は計算値で0.19mmol/min、重水の平均脱離速度が0.17mmol/minとなる。
第五実施形態では、吸着塔5に吸着させた水蒸気1gあたり、333mgの水蒸気を回収口8から回収することができる。また、吸着塔5に供給する一般的な水蒸気の重水素濃度(重水および半重水の濃度)は150ppmであるが、回収口8から回収された水蒸気の重水素濃度は136ppmに低下した。
その後、バルブV3を閉じるとともにバルブV1,V2を開放して、乾燥空気を供給することで、吸着塔5の内部に残った水蒸気を除去することができる。
このように、第五実施形態でも、重水素濃度を低減させた重水素低減水(水蒸気)を、短時間で効率的に製造することができる。
<第六実施形態>
第六実施形態は、第二実施形態において、回収口8から水蒸気を回収する時間を、乾燥空気を導入し吸着材から水蒸気を脱離させ始めてから100分間に変更したことを特徴とする。
まず、第五実施形態の工程を行い、回収口8から水蒸気を回収し、吸着塔5内に残った水蒸気をベント口から除去する(1サイクル目)。
次いで、この回収した水蒸気を導入口6から導入して飽和するまで吸着材に吸着させ、その後乾燥空気を100分間供給して回収口8から水蒸気を回収する。その後、吸着塔5に残った水蒸気をベント口7から除去する(2サイクル目)。
これらの工程を、5サイクル目まで繰り返す。
図9左欄は、各サイクルにおいて、回収口8から回収できる水蒸気の重水素濃度と、1サイクル目において供給する水蒸気1gあたりの回収できる水蒸気の量を示したものである。
5サイクル目では、回収口8から回収される水蒸気の重水素濃度は91ppmになった。また、5サイクル目では、1サイクル目において供給する水蒸気1gあたり、4.1mgの水蒸気を回収口8から回収することができる。
また、図9右欄には、各サイクルにおいて、ベント口7から廃棄した水蒸気の重水素濃度と、1サイクル目において供給する水蒸気1gあたりの廃棄される水蒸気の量も示している。
第六実施形態では、重水素濃度をより低減させた重水素低減水(水蒸気)を、短時間で効率的に製造することができる。
<第七実施形態>
第七実施形態は、第三実施形態において、回収口18から水蒸気を回収する時間を、乾燥空気を導入し吸着材から水蒸気を脱離させ始めてから100分間に変更したことを特徴とする。
第七実施形態では、図6の装置において、予め、重水素濃度150ppmの水蒸気を第1塔11の吸着材に、同136ppmの水蒸気を第2塔12の吸着材に、同123ppmの水蒸気を第3塔13の吸着材に、同111ppmの水蒸気を第4塔14の吸着材に、同101ppmの水蒸気を第5塔15の吸着材に、それぞれ相対圧0.9で飽和するまで吸着させておく。
第七実施形態では、まず、回収口18のバルブV10のみを開放するとともに第5塔15の相対圧を0.4に減圧して、吸着材から脱離した水蒸気を100分間回収した後、バルブV10を閉じる。
次いで、バルブV9を開放して第4塔14の相対圧を0.4に減圧して、吸着材から脱離した水蒸気を第5塔15へ100分間移動させ、バルブV9を閉じる。
その後、バルブV8を開放して第3塔13の相対圧を0.4に減圧して、吸着材から脱離した水蒸気を第4塔14へ100分間移動させ、バルブV8を閉じる。
次いで、バルブV7を開放して第2塔12の相対圧を0.4に減圧して、吸着材から脱離した水蒸気を第3塔13へ100分間移動させ、バルブV7を閉じる。
その後、バルブV6を開放して第1塔11の相対圧を0.4に減圧して、吸着材から脱離した水蒸気を第2塔12へ100分間移動させ、バルブV6を閉じる。
次いで、バルブV5を開放し、第1塔11の内部の残った水蒸気をベント口17から除去した後、バルブV4を開放して導入口16から150ppmの水蒸気を導入して相対圧0.9で吸着材に飽和吸着させ、バルブV4,V5を閉じる。
ここまでの工程を1サイクルとして、複数サイクル繰り返す。
図10の表には、1サイクル目、2サイクル目、3サイクル目において、各吸着塔の吸着材から脱離した水蒸気の重水素濃度を示している。また、3サイクル目において、各吸着塔の吸着材に残った水蒸気の重水素濃度も示している。
第七実施形態では、3サイクル目まで繰り返すことにより、平均して重水素濃度が100ppm以下の水蒸気を、短時間で多量に得ることができる。
また、第5塔15から水蒸気を回収する工程と、第3塔13から第4塔14に水蒸気を移動させる工程と、第1塔11から第2塔12に水蒸気を移動させる工程とを同時に行い、次いで、第4塔14から第5塔15に水蒸気を移動させる工程と、第2塔12から第3塔13に水蒸気を移動させる工程と、第1塔11の水蒸気を入れ換える工程とを同時に行うことにより、1サイクルにかかる時間を2工程分に短縮することもできる。
また、2サイクル目を終えた際に、第1塔11の内部に残った水蒸気をベント口17から除去し、第2塔12の内部に残った水蒸気を第1塔11に移動させ、第3塔13の内部に残った水蒸気を第2塔12に移動させ、第4塔14の内部に残った水蒸気を第3塔13に移動させ、第5塔15の内部に残った水蒸気を第4塔14に移動させ、重水素濃度が101ppmの水蒸気を第5塔に供給することにより、各吸着塔の水蒸気の重水素濃度を、1サイクル目の開始前とほぼ同様に戻すことができる。
したがって、1サイクル目から2サイクル目までを効率的に繰り返すことができる。
第七実施形態では、重水素濃度をより低減させた重水素低減水(水蒸気)を、より短時間で効率的に製造することができる。
また、第1塔に導入した水蒸気とほぼ同量の重水素低減水(水蒸気)を第5塔から得ることができるので、生産性を向上させることができる。
さらに、各吸着塔に残った水蒸気を再利用して、サイクルを繰り返すことができるので、生産性をさらに向上させることができる。
<第八実施形態>
第八実施形態は、第四実施形態において、回収口から水蒸気を回収する時間を、乾燥空気を導入し吸着材から水蒸気を脱離させ始めてから100分間に変更したことを特徴とする。
第八実施形態では、図8の装置において、まず、吸着塔Aを第七実施形態の第1塔11、吸着塔Bを同第2塔12、吸着塔Cを同第3塔13、吸着塔Dを同第4塔14、吸着塔Eを同第5塔15として、第七実施形態の1サイクル目から3サイクル目までを行う。
次いで、第1塔11にあたる吸着塔Aの内部に残った水蒸気をベント口から除去し、101ppmの水蒸気を導入口から供給して吸着材に付着させる。
その後、吸着塔Bを第七実施形態の第1塔11、吸着塔Cを同第2塔12、吸着塔Dを同第3塔13、吸着塔Eを同第4塔14、吸着塔Aを同第5塔15として、第七実施形態の1サイクル目から3サイクル目までを行う。
このように、吸着塔Aの役割を第1塔11、第5塔15、第4塔14、第3塔13、第2塔12、第1塔11…となるように3サイクルごとに順番に変更し、他の吸着塔B〜Eの役割もこれに対応させる。
第八実施形態では、第七実施形態に比べて、各吸着塔に残った水蒸気を移動させることなく再利用することができるので、水蒸気の移動に要する時間および動力が節約できて、より短時間かつ低コストで重水素低減水を製造することができる。
<第九実施形態>
第九実施形態は、吸着速度の速い最初の10分を利用して、重水低減水を得ることを特徴とする。
第九実施形態でも、第一実施形態に用いた吸着塔5を使用する。
第九実施形態では、まず、バルブV3を閉じたままバルブV1,V2を開放し、導入口6から相対圧0.4の乾燥空気を吸着塔5に流して、吸着材を乾燥状態に保つ。
次いで、導入口6から相対圧0.9の水蒸気を吸着塔5に流して、10分間、吸着材に水蒸気を吸着させる。
その後、吸着材の表面をカバー等で覆うなどして、吸着材に吸着した水蒸気と空気中の水蒸気とを遮断した後、ベント口7から空気中の水蒸気を除去する。
次いで、吸着材からカバー等を外し、バルブV2を閉じるとともにバルブV1,V3を開放して、導入口6から乾燥空気を流し、吸着材に吸着した水蒸気を回収口8から回収する。
このように、第九実施形態でも、重水素濃度を低減させた重水素低減水(水蒸気)を、短時間で効率的に製造することができる。
第九実施形態のように吸着速度の差を利用する場合にも、吸着材に水蒸気を吸着させる時間を50分や100分に変更してもよい。
また、第九実施形態の工程を複数回繰り返して、水蒸気の重水素濃度をさらに低下させてもよい。
さらに、第三実施形態のように吸着塔を直列に接続した装置や、第四実施形態のように直列かつ環状に接続した装置を用いて、重水素低減水を製造してもよい。
なお、第一実施形態から第九実施形態において用いた各「バルブ」は、必要に応じて、「ポンプ」または「バルブおよびポンプ」で代用してもよい。
バルブを用いると水蒸気や乾燥空気の逆流を防止することができ、ポンプを用いると水蒸気や乾燥空気の移動を速めることができるため、バルブおよびポンプを併用するのが最も好ましい。
第一実施形態から第八実施形態においては、軽水の脱離速度>重水および半重水の脱離速度である時間帯の間のみ、吸着材から水蒸気を脱離させて回収しているが、脱離開始からの合計が軽水の脱離速度>重水および半重水の脱離速度となるのであれば、脱離工程の一部に軽水の脱離速度≦重水および半重水の脱離速度となる時間帯を含んでいてもよい。
また、第九実施形態においては、軽水の吸着速度>重水および半重水の吸着速度である時間帯の間のみ、吸着材に水蒸気を吸着させて回収しているが、吸着開始からの合計が軽水の吸着速度>重水および半重水の吸着速度となるのであれば、吸着工程の一部に軽水の吸着速度≦重水および半重水の吸着速度となる時間帯を含んでいてもよい。
これらの変形例でも、一般的な水よりも重水素の濃度を低減させた水を製造することができる。
なお、第一実施形態から第九実施形態では、重水素濃度が150ppmを超える水蒸気を廃棄しているが、この重水素濃縮水を回収して、重水や半重水が必要とされる用途に用いることもできる。
また、上記に例示した吸着材以外の吸着材であっても、上述した方法によって水蒸気の吸着速度および脱離速度を測定し、これに基づいて第一実施形態および第九実施形態の重水素低減水製造方法を適用してよい。
1 測定装置
2 水
3 試験管
4 吸着材
5,A,B,C,D,E 吸着塔
6,16 導入口
7,17 ベント口
8,18 回収口
11 第1塔
12 第2塔
13 第3塔
14 第4塔
15 第5塔
V1,V2,…,V10 バルブ

Claims (8)

  1. 水から重水および半重水を除去し、重水素低減水を製造する方法であって、
    水蒸気を吸着させた所定の吸着材の周囲の水蒸気の相対圧を低下させ、軽水の脱離速度>重水および半重水の脱離速度である時間帯の間、上記吸着材から脱離した水蒸気を回収する脱離工程を有することを特徴とする重水素低減水の製造方法。
  2. 水から重水および半重水を除去し、重水素低減水を製造する方法であって、
    水蒸気を吸着させた所定の吸着材の周囲の水蒸気の相対圧を低下させ、軽水の脱離速度>重水および半重水の脱離速度である時間帯の間のみ、上記吸着材から脱離した水蒸気を回収する脱離工程を有することを特徴とする重水素低減水の製造方法。
  3. 水から重水および半重水を除去し、重水素低減水を製造する方法であって、
    予め2つ以上の所定の吸着材を直列に並べ、
    水蒸気を吸着させた上流側の上記吸着材の周囲の水蒸気の相対圧を低下させ、軽水の脱離速度>重水および半重水の脱離速度である時間帯の間、上流側の上記吸着材から脱離した水蒸気を回収する上流側脱離工程と、
    この回収した水蒸気を下流側の上記吸着材に吸着させた後、下流側の上記吸着材の周囲の水蒸気の相対圧を低下させ、軽水の脱離速度>重水および半重水の脱離速度である時間帯の間、下流側の上記吸着材から脱離した水蒸気を回収する下流側脱離工程とを有することを特徴とする請求項1に記載の重水素低減水の製造方法。
  4. 水から重水および半重水を除去し、重水素低減水を製造する方法であって、
    所定の吸着材に水蒸気を供給し、軽水の吸着速度>重水および半重水の吸着速度である時間帯の間、上記吸着材に水蒸気を吸着させ、上記吸着材から水蒸気を回収する吸着工程を有することを特徴とする重水素低減水の製造方法。
  5. 水を、軽水と重水および半重水とに分離する方法であって、
    水蒸気を吸着させた所定の吸着材の周囲の水蒸気の相対圧を低下させ、軽水の脱離速度>重水および半重水の脱離速度である時間帯の間、上記吸着材から水蒸気を脱離させることを特徴とする重水と軽水の分離方法。
  6. 水を、軽水と重水および半重水とに分離する方法であって、
    所定の吸着材に水蒸気を供給し、軽水の吸着速度>重水および半重水の吸着速度である時間帯の間、上記吸着材に水蒸気を吸着させることを特徴とする重水と軽水の分離方法。
  7. 水から軽水を除去し、重水素濃縮水を製造する方法であって、
    水蒸気を吸着させた所定の吸着材の周囲の水蒸気の相対圧を低下させ、軽水の脱離速度>重水および半重水の脱離速度である時間帯の間上記吸着材から水蒸気を脱離させる脱離工程の後、上記吸着材に残存する水を回収することを特徴とする重水素濃縮水の製造方法。
  8. 水から軽水を除去し、重水素濃縮水を製造する方法であって、
    所定の吸着材に水蒸気を供給し、軽水の吸着速度>重水および半重水の吸着速度である時間帯の間、上記吸着材に水蒸気を吸着させる吸着工程の後、上記吸着材に吸着しない水蒸気を回収することを特徴とする重水素濃縮水の製造方法。
JP2017509817A 2015-03-31 2016-03-22 重水素低減水の製造方法、重水と軽水の分離方法、および重水素濃縮水の製造方法 Active JP6659668B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015072289 2015-03-31
JP2015072289 2015-03-31
PCT/JP2016/058911 WO2016158549A1 (ja) 2015-03-31 2016-03-22 重水素低減水の製造方法、重水と軽水の分離方法、および重水素濃縮水の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2016158549A1 true JPWO2016158549A1 (ja) 2018-02-01
JP6659668B2 JP6659668B2 (ja) 2020-03-04

Family

ID=57004634

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017509817A Active JP6659668B2 (ja) 2015-03-31 2016-03-22 重水素低減水の製造方法、重水と軽水の分離方法、および重水素濃縮水の製造方法

Country Status (8)

Country Link
US (1) US10471389B2 (ja)
EP (1) EP3278864B1 (ja)
JP (1) JP6659668B2 (ja)
CN (1) CN107530627B (ja)
AU (1) AU2016242172B2 (ja)
CA (1) CA2979806A1 (ja)
TW (1) TWI682902B (ja)
WO (1) WO2016158549A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI653086B (zh) 2014-08-29 2019-03-11 國立大學法人信州大學 重氫低減之水的製造方法、重水與輕水的分離方法以及重氫濃縮水的製造方法
TWI682902B (zh) 2015-03-31 2020-01-21 國立大學法人信州大學 氘耗乏水之製造方法、重水與輕水之分離方法及氘濃縮水之製造方法
TWI712561B (zh) * 2016-06-02 2020-12-11 國立大學法人信州大學 氘低減水之製造方法,以及氘濃縮水之製造方法
CA3065745A1 (en) * 2017-05-29 2018-12-06 Kinki University Method and apparatus for reducing hto concentration in hto-containing aqueous solution
TWI745599B (zh) * 2017-06-30 2021-11-11 國立大學法人信州大學 氘低減水之製造方法以及氘濃縮水之製造方法

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5334098A (en) * 1976-09-10 1978-03-30 Toshiba Corp Separation method of hydrogen isotope
JPS6268530A (ja) * 1985-09-19 1987-03-28 Toshiba Corp トリチウム水除去装置
US4915929A (en) * 1988-01-25 1990-04-10 Iowa State University Research Foundation, Inc. Isotopic separation of D2 O from H2 O using ruthenium adsorbent
JPH05155601A (ja) * 1991-03-26 1993-06-22 Matsushita Electric Ind Co Ltd 水素同位体分離用合金およびそれを用いた水素分離方法
JPH10128072A (ja) * 1996-10-29 1998-05-19 Mitsubishi Heavy Ind Ltd トリチウム水、重水のゼオライトを用いた分離方法
JP2012005920A (ja) * 2010-06-22 2012-01-12 Jfe Steel Corp 圧力スイング吸着法によるガス分離方法
JP2012158499A (ja) * 2011-02-01 2012-08-23 Fc Kaihatsu Kk 重水素低減水製造方法および装置

Family Cites Families (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3399967A (en) * 1963-12-13 1968-09-03 British American Oil Company L Method for production of deuterated methanes and heavy water
US3700417A (en) * 1968-11-04 1972-10-24 Universal Oil Prod Co Dual temperature fixed carbon bed heavy water concentration process
FR2044673A1 (ja) * 1969-05-22 1971-02-26 Commissariat Energie Atomique
US4178350A (en) 1973-08-27 1979-12-11 Engelhard Minerals & Chemicals Corp. Removal of tritium and tritium-containing compounds from a gaseous stream
US5441715A (en) * 1991-03-26 1995-08-15 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Method for the separation of hydrogen isotopes using a hydrogen absorbing alloy
JP2960992B2 (ja) * 1991-07-26 1999-10-12 三菱重工業株式会社 水素同位体の分離方法
US8090071B2 (en) * 2001-08-08 2012-01-03 James Robert DeLuze Apparatus for hot fusion of fusion-reactive gases
DE102004044592A1 (de) 2004-09-13 2006-03-30 Basf Ag Verfahren zur Trennung von Chlorwasserstoff und Phosgen
CN1834002A (zh) * 2005-03-15 2006-09-20 大连世纪欣科高新技术开发有限公司 以重水为原料制取超高纯氘气的生产方法
US7815890B2 (en) * 2005-10-11 2010-10-19 Special Separations Application, Inc. Process for tritium removal from water by transfer of tritium from water to an elemental hydrogen stream, followed by membrane diffusion tritium stripping and enrichment, and final tritium enrichment by thermal diffusion
KR100736020B1 (ko) 2006-06-08 2007-07-06 한국원자력연구원 순도가 향상된 저등급 중수증기의 회수방법
JP5031331B2 (ja) 2006-11-15 2012-09-19 本田技研工業株式会社 収納装置
CN100558632C (zh) * 2007-07-17 2009-11-11 丛峰松 一种超轻水的制备方法及应用
CN201493052U (zh) * 2009-08-13 2010-06-02 上海化工研究院 一种间歇生产超轻水的同位素分离装置
US8597471B2 (en) * 2010-08-19 2013-12-03 Industrial Idea Partners, Inc. Heat driven concentrator with alternate condensers
CN103803494A (zh) * 2012-11-15 2014-05-21 魏捷 利用太阳能生产重水的方法及装置
CA2953905C (en) * 2014-07-01 2021-12-28 Global Clean Technology Inc. Method for separating tritiated water from light water
TWI682902B (zh) * 2015-03-31 2020-01-21 國立大學法人信州大學 氘耗乏水之製造方法、重水與輕水之分離方法及氘濃縮水之製造方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5334098A (en) * 1976-09-10 1978-03-30 Toshiba Corp Separation method of hydrogen isotope
JPS6268530A (ja) * 1985-09-19 1987-03-28 Toshiba Corp トリチウム水除去装置
US4915929A (en) * 1988-01-25 1990-04-10 Iowa State University Research Foundation, Inc. Isotopic separation of D2 O from H2 O using ruthenium adsorbent
JPH05155601A (ja) * 1991-03-26 1993-06-22 Matsushita Electric Ind Co Ltd 水素同位体分離用合金およびそれを用いた水素分離方法
JPH10128072A (ja) * 1996-10-29 1998-05-19 Mitsubishi Heavy Ind Ltd トリチウム水、重水のゼオライトを用いた分離方法
JP2012005920A (ja) * 2010-06-22 2012-01-12 Jfe Steel Corp 圧力スイング吸着法によるガス分離方法
JP2012158499A (ja) * 2011-02-01 2012-08-23 Fc Kaihatsu Kk 重水素低減水製造方法および装置

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
IWAI YASUNORI: "Application of Pressure Swing Adsorption to Water Detritiation Process", JOURNAL OF NUCLEAR SCIENCE AND TECHNOLOGY, vol. 42, no. 6, JPN6016021873, 25 June 2005 (2005-06-25), JP, pages 566 - 572, XP055318872, ISSN: 0004204176, DOI: 10.1080/18811248.2004.9726423 *

Also Published As

Publication number Publication date
EP3278864A4 (en) 2018-11-14
CA2979806A1 (en) 2016-10-06
WO2016158549A1 (ja) 2016-10-06
CN107530627A (zh) 2018-01-02
JP6659668B2 (ja) 2020-03-04
US10471389B2 (en) 2019-11-12
TWI682902B (zh) 2020-01-21
AU2016242172B2 (en) 2020-07-23
US20180111090A1 (en) 2018-04-26
EP3278864B1 (en) 2019-12-04
TW201638018A (zh) 2016-11-01
CN107530627B (zh) 2019-07-09
AU2016242172A1 (en) 2017-10-12
EP3278864A1 (en) 2018-02-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2016158549A1 (ja) 重水素低減水の製造方法、重水と軽水の分離方法、および重水素濃縮水の製造方法
AU2015309833B2 (en) Method for producing deuterium-depleted water, method for separating heavy water and light water, and method for producing deuterium-enriched water
TWI745599B (zh) 氘低減水之製造方法以及氘濃縮水之製造方法
CN201988309U (zh) 一种甲醇驰放气处理系统
CN102924225B (zh) 一种选择吸附分离混合二氯甲苯的方法
CN109195687B (zh) 氘减少水的制造方法以及氘浓缩水的制造方法
JP2012130861A (ja) 生命維持ガス浄化装置
JPS6011202A (ja) 水素ガスの選択的濃縮方法
JP2007330852A (ja) 圧力スイング吸着法を利用する同位体ガスの分離方法

Legal Events

Date Code Title Description
A529 Written submission of copy of amendment under article 34 pct

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A5211

Effective date: 20170926

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20181024

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190123

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200204

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200206

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6659668

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250