JPWO2016158509A1 - カチオン重合性レジスト下層膜形成組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体装置製造のリソグラフィープロセスにおいて、半導体基板上に形成されたフォトレジスト層への露光照射光の基板からの反射を軽減させる下層反射防止膜として使用可能であるだけでなく、特に凹凸のある半導体基板を平坦に埋め込むための平坦化膜として好適に使用できるリソグラフィー用レジスト下層膜を形成するための組成物を提供すること。【解決手段】(A)分子内に環状脂肪族骨格と1つ以上のエポキシ基並びに光吸収部位を有する脂環式エポキシ化合物、(B)熱酸発生剤、及び(C)溶剤を含むリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、露光時に反射防止膜として機能すると共に、液状エポキシ化合物を用いて半導体基板の凹部を平坦に埋め込むことができるカチオン重合性リソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物に関する。
例えば半導体素子の製造において、光源としてKrFエキシマレーザー又はArFエキシマレーザーを使用した露光工程を含むフォトリソグラフィー技術により、基板上に従来よりも微細なレジストパターンを形成することが知られている。レジストパターン形成前のレジスト膜へ入射したKrFエキシマレーザー又はArFエキシマレーザー(入射光)は、基板表面で反射することにより、当該レジスト膜中に定在波を発生させる。この定在波の影響によって、パターンエッジの形状が崩れ、所望の形状のレジストパターンを形成できず、すなわち定在波の存在がレジストパターンの寸法の変動やさらには解像不良の原因となることが知られている。
この定在波の発生を抑制するために、レジスト膜と基板との間に入射光を吸収する反射防止膜を設ける技術が種々提案されており、中でもかかる反射防止膜として、その製膜性の容易さなどから、吸光性物質と高分子化合物等とからなる有機反射防止膜に関する数多くの検討が行われている。例えば、架橋反応性基であるヒドロキシ基と吸光性基とを同一分子内に有するアクリル樹脂型反射防止膜や、架橋反応性基であるヒドロキシ基と吸光性基とを同一分子内に有するノボラック樹脂型反射防止膜が提案されている。
こうした有機反射防止膜に要求される特性としては、まずは光や放射線に対して大きな吸光度を有すること、そして上層のフォトレジスト層とのインターミキシングが起こらないこと(フォトレジスト溶剤に不溶であること)、加熱焼成時に反射防止膜から上層のフォトレジスト層への低分子物質の拡散が生じないこと、フォトレジストに比べて大きなドライエッチング速度を有すること等が挙げられる。
また近年、半導体装置のパターンルールの微細化の進行に伴い、半導体装置における配線遅延の問題を解決するために、半導体基板への配線形成方法としてデュアルダマシンプロセスの検討がなされている。該プロセスを採用した基板には通常ビアホールが形成され、この場合には、大きなアスペクト比を有する基板に対して反射防止膜を形成することになる。このように半導体素子の製造において表面に凹部を有する基板を用いる場合、反射防止膜には当該基板の凹部を埋め込むことができるギャップフィル材又は平坦化材としての特性を有することも必要とされる。
例えば下記特許文献1及び特許文献2には、表面に凹部を有する基板を平坦に埋め込むことができる組成物として、保護されたカルボキシル基を有する化合物とエポキシ基とを有する化合物を含むリソグラフィー用下層膜形成組成物が提案されている。
特許第4753046号(WO2006/077748) 特許第5077564号(特開2008−242492)
上述したように、半導体素子の微細化に伴い、反射防止膜には従来の要求特性に加え、凹部への高い埋め込み特性や高い平坦化特性も求められているが、これまでに提案された従来のアクリル樹脂型反射防止膜ではこれらの要求性能を満たすには必ずしも十分なものではなかった。
また、従来の反射防止膜は、その膜形成にあたり架橋剤を用いた架橋反応を利用したものが多く、これは硬化時の膜収縮や脱離成分の増大につながり、ひいては凹部への埋め込み特性や平坦化特性に悪影響を及ぼすことが懸念される。
こうした課題を鑑み、本発明は、半導体装置の製造に用いることのできるリソグラフィー用下層膜形成組成物を提供することにある。すなわち上層に塗布、形成されるフォトレジスト層とのインターミキシングを起こさず、フォトレジスト層に比較して大きなドライエッチング速度を有するリソグラフィー用下層膜及び該下層膜を形成するための下層膜形成組成物を提供することを目的とする。
特に本発明は、半導体装置製造のリソグラフィープロセスにおいて、半導体基板上に形成されたフォトレジスト層への露光照射光の基板からの反射を軽減させる下層反射防止膜として使用可能であるだけでなく、特に凹凸のある半導体基板を平坦に埋め込むための平坦化膜として好適に使用できるリソグラフィー用レジスト下層膜及び該下層膜を形成するための下層膜形成組成物を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、多官能エポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物を含むレジスト下層膜形成組成物において、分子内に環状脂肪族骨格と1つ以上のエポキシ基並びに光吸収部位を有する脂環式エポキシ化合物を下層膜形成組成物の一成分として採用することにより、粘度増加を抑制して高い流動性を確保することで埋め込み性を改善し、また架橋剤を使用することなく膜形成を可能とし、よって膜収縮や脱離成分の発生等を抑制し、平坦性に優れた硬化膜を形成できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、第1観点として、(A)分子内に環状脂肪族骨格と1つ以上のエポキシ基並びに光吸収部位を有する脂環式エポキシ化合物、
(B)熱酸発生剤、及び
(C)溶剤を含むリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物に関するものである。
第2観点として、さらに(D)分子内に環状脂肪族骨格と3つ以上のエポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物(但し、前記(A)脂環式エポキシ化合物に相当するものを除く。)を含む、第1観点に記載のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物に関する。
前記(A)脂環式エポキシ化合物は、例えば、環状脂肪族骨格と3つ以上のエポキシ基を有する少なくとも1種の化合物と、カルボキシ基、フェノール性ヒドロキシ基、酸無水物構造、アミノ基及びチオール基からなる群から選択される少なくとも1つの部位と光吸収部位とを有する少なくとも1種の化合物との反応生成物である。
前記(A)脂環式エポキシ化合物は、好ましくは、3つ以上のシクロアルケンオキサイド構造を有する少なくとも1種の化合物と、カルボキシ基、フェノール性ヒドロキシ基、酸無水物構造、アミノ基及びチオール基からなる群から選択される少なくとも1つの部位を有する、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、芳香族アゾ化合物、フェニル化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、アントラキノン化合物、トリアジン化合物、トリアジントリオン化合物、チアゾール化合物、チアジアゾール化合物及びキノリン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物との反応生成物である。前記シクロアルケンオキサイド構造は、エポキシシクロアルキル基と換言することができる。
前記(A)エポキシ化合物のエポキシ基は、例えば、シクロアルケンオキサイドタイプのエポキシ基である。
前記(A)エポキシ化合物の光吸収部位は、好ましくは、ベンジル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、トリアジニル基、シアヌル基、チアジアゾリル基又はチアゾリル基である。
前記(A)脂環式エポキシ化合物は、その残エポキシ価が、前記(D)脂環式エポキシ化合物が有する残エポキシ価の値よりもより低い値を有する。
また第3観点として、前記(A)脂環式エポキシ化合物は、下記式(X)
で表される基と、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、トリアジン環、シアヌル酸構造、チアジアゾール環又はチアゾール環とを有する化合物である、第1観点に記載のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物に関する。
第4観点として、前記(A)脂環式エポキシ化合物は下記式(X)で表される基と下記式(Y)で表される基とを有する化合物である、第3観点に記載のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物に関する。
(式(Y)中、Aはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、トリアジン環、シアヌル酸構造、チアジアゾール環又はチアゾール環を含む基を表す。)
第5観点として、前記(A)脂環式エポキシ化合物は、下記式(1)、式(2)及び式(3)で表される化合物のうち少なくとも一種を含む化合物である、第4観点に記載のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物に関する。
{上記式(1)、式(2)及び式(3)中、
a、b、c、dはそれぞれ独立して0乃至30の整数を表し、
Xは下記式(4)、式(5)、式(6)又は式(7)で表されるいずれかの基を表し、但し式(2)又は式(3)において、Xは同一の基又は異なる基であってもよい。
[上記式(4)乃至式(7)中、
乃至Rはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数3乃至6のアルケニル基、ベンジル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、トリアジニル基、シアヌル基、チアジアゾリル基、又はチアゾリル基を表し、
前記ベンジル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、トリアジニル基、シアヌル基、チアジアゾリル基又はチアゾリル基は、炭素原子数1乃至10のアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至10のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基及び炭素原子数1乃至10のアルキルチオ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基で置換されていてもよく、また
とRはそれらが結合する窒素原子と一緒になって炭素原子数3乃至6の環を形成していてもよい。]
但し、式(1)乃至式(3)のうち少なくとも1つの式中のXは、R乃至Rがベンジル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、トリアジニル基、シアヌル基、チアジアゾリル基又はチアゾリル基を表す基である。}
第6観点として、(F)界面活性剤をさらに含む、第1観点乃至第5観点のうちいずれか一つに記載のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物に関する。
本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物により、フォトレジストと比較して大きなドライエッチング速度を有し、更にフォトレジストとのインターミキシングが起きない、優れた下層膜を提供することができる。
また、本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物により、高さ/直径で示されるアスペクト比が1以上のホールを有する半導体基板の表面を平坦化することができる。
本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物は、従来のアクリル樹脂等を用いた樹脂型の膜形成組成物と比べて粘度が低いため、ボイド(隙間)を発生することなくホール内部の高い充填性を達成できる。また、ホールを有する基板の凹凸を埋めて平坦化することができるとともに、架橋剤を添加することなく下層膜を形成できることによる架橋剤の使用に伴う膜収縮の影響を抑制でき、その上に塗布、形成されるフォトレジスト等の膜厚の均一性を上げることができる。そのため、ホールを有する基板を用いたプロセスにおいても、良好なフォトレジストのパターン形状を形成することができる。
そして、本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物により、反射防止膜、平坦化膜として用いることができる下層膜を形成することができる。これにより、半導体装置製造のリソグラフィープロセスにおけるフォトレジストパターンの形成を、容易に、精度良く行なうことができるようになる。
実施例1のレジスト下層膜形成組成物から形成したレジスト下層膜でホール内部が充填された、SiOウエハーの断面SEM像である。 実施例2のレジスト下層膜形成組成物から形成したレジスト下層膜でホール内部が充填された、SiOウエハーの断面SEM像である。 レジスト下層膜によるホールの埋め込み性(充填性)試験で使用した、SiOウエハーの断面を表す模式図である。 平坦化性評価試験で使用したシリコンウエハー並びに該シリコンウエハー上に塗布したレジスト下層膜の断面を表す模式図である。 実施例1及び実施例2のレジスト下層膜形成組成物を用いて形成したレジスト下層膜の断面SEM像[(a)実施例1、(b)実施例2]である。 比較例2乃至比較例4のレジスト下層膜形成組成物を用いて形成したレジスト下層膜の断面SEM像[(a)比較例2、(b)比較例3、(c)比較例4]である。
本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物(以下、単にレジスト下層膜形成組成物とも称する)は、(A)分子内に環状脂肪族骨格と1つ以上のエポキシ基並びに光吸収部位を有する脂環式エポキシ化合物、(B)熱酸発生剤及び(C)溶剤を含む。
そして、本発明のレジスト下層膜形成組成物は、任意成分として(D)分子内に環状脂肪族骨格と3つ以上のエポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物(但し、前記(A)脂環式エポキシ化合物に相当するものを除く。)(F)界面活性剤を含み得、更に光酸発生剤、吸光性化合物等のその他の成分を含むことができる。
本発明のレジスト下層膜形成組成物における固形分の割合は、各成分が均一に溶解している限りは特に限定はないが、例えば0.1質量%乃至70質量%であり、または1質量%乃至50質量%であり、または3質量%乃至30質量%である。
ここで固形分とは、レジスト下層膜形成組成物の全成分から(C)溶剤成分を除いたもの、すなわち、(A)成分、(B)成分及び所望により(D)成分、(F)成分及びその他成分全体をいう。
また、固形分中の(A)成分の割合としては、70質量%以上100質量%未満であり、例えば80質量%以上100質量%未満であり、また、80質量%乃至99質量%であり、または90質量%乃至99質量%である。
[(A)分子内に環状脂肪族骨格と1つ以上のエポキシ基並びに光吸収部位を有する脂環式エポキシ化合物]
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、上記(A)成分として分子内に環状脂肪族骨格と1つ以上のエポキシ基並びに光吸収部位を有する脂環式エポキシ化合物を含有する。
上記脂環式エポキシ化合物に含まれるエポキシ基としては、シクロアルケンオキサイドタイプのエポキシ基(環状脂肪族骨格を構成する2つの炭素原子を含んで形成されたエポキシ基)や、環状脂肪族骨格に直接結合したエポキシ基が挙げられる。なお一般に脂環式エポキシ化合物に含まれるエポキシ基としてグリシジルエーテル基も挙げることができるが、グリシジルエーテルタイプの脂環式エポキシ化合物の使用は耐熱性の低下を招きやすいため、本発明での使用は注意を要する。
また、脂環式エポキシ化合物に含まれる光吸収部位としては、特に限定されないが、例えば、ベンジル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、トリアジニル基、シアヌル基、チアジアゾリル基又はチアゾリル基である。
上記(A)成分の化合物は、例えば、環状脂肪族骨格と3つ以上のエポキシ基を含む少なくとも1種の化合物(a)と、カルボキシ基、フェノール性ヒドロキシ基、酸無水物構造、アミノ基及びチオール基からなる群から選択される少なくとも1つの部位と光吸収部位とを有する少なくとも1種の化合物(b)との反応生成物として得られる。上記化合物(a)は、環状脂肪族骨格と3つ以上20以下のエポキシ基を含む化合物であることが好ましい。
上記(a)化合物は、中でも、3つ以上のシクロアルケンオキサイド構造を有する化合物であることが好ましく、特に3つ以上20以下のシクロアルケンオキサイド構造を有する化合物であることが好ましい。また該エポキシ基が環状脂肪族骨格に直接結合した化合物であってもよい。
上記(a)化合物としては、例えば以下の式で表される化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
上記式中、Rは、炭素原子数2乃至8のアルキル鎖を表し、該アルキル鎖は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、また環状骨格が含まれていてもよい。
またp、qは、それぞれ独立して、1乃至30の整数を表し、且つpとqの積が3以上の整数、好ましくはpとqの積が3以上20以下の整数を表し、r、s、t、u、v、wは、同一化合物内にあってはそれぞれ独立して、0乃至30の整数を表す。
上記(b)化合物は、中でも、カルボキシ基、フェノール性ヒドロキシ基、酸無水物構造、アミノ基及びチオール基からなる群から選択される少なくとも1つの部位を有する、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、芳香族アゾ化合物、フェニル化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、アントラキノン化合物、トリアジン化合物、トリアジントリオン化合物、チアゾール化合物、チアジアゾール化合物及びキノリン化合物からなる群から選択される化合物であることが好ましい。
このような(b)化合物として、例えば以下の式(4a)乃至式(7g)で表される吸光性化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
上記(a)化合物と(b)化合物の反応生成物として得られる(A)成分の化合物は、その残エポキシ価が、前記環状脂肪族骨格と3つ以上のエポキシ基を有する化合物(a)が有する残エポキシ価の値よりもより低い値を有するものを使用することが好ましい。
本発明の(A)分子内に環状脂肪族骨格と1つ以上のエポキシ基並びに光吸収部位を有する脂環式エポキシ化合物は、好ましくは下記式(X)で表される基とベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、トリアジン環、シアヌル酸構造、チアジアゾール環又はチアゾール環とを有する化合物であり、より特に下記式(X)で表される基と下記式(Y)で表される基とを有する化合物であることが好ましい。
(式(Y)中、Aはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、トリアジン環、シアヌル酸構造、チアジアゾール環又はチアゾール環を含む基を表す。)
中でも本発明の(A)成分の化合物として、下記式(1)、式(2)及び式(3)で表される化合物のうち少なくとも一種を含む化合物が挙げられる。
{上記式(1)、式(2)及び式(3)中、
a、b、c、dはそれぞれ独立して0乃至30の整数を表し、
Xは下記式(4)、式(5)、式(6)又は式(7)で表されるいずれかの基を表し、但し式(2)又は式(3)において、Xは同一の基又は異なる基であってもよい。
[上記式(4)乃至式(7)中、
乃至Rはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数3乃至6のアルケニル基、ベンジル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、トリアジニル基、シアヌル基、チアジアゾリル基、又はチアゾリル基を表し、
前記ベンジル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、トリアジニル基、シアヌル基、チアジアゾリル基又はチアゾリル基は、炭素原子数1乃至10のアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至10のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基及び炭素原子数1乃至10のアルキルチオ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基で置換されていてもよく、また
とRはそれらが結合する窒素原子と一緒になって炭素原子数3乃至6の環を形成していてもよい。]
但し、式(1)乃至式(3)のうち少なくとも1つの式中のXは、R乃至Rがベンジル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、トリアジニル基、シアヌル基、チアジアゾリル基又はチアゾリル基を表す基である。}
上記式(1)乃至式(3)中、Xは式(4)で表される基であることが好ましく、また式(1)乃至式(3)のうち少なくとも1つのXにおける式(4)中のRはフェニル基、ナフチル基又はアントラセニル基であることが好ましい。
さらに、上記式(1)乃至式(3)で表される化合物の中でも、特に式(1)及び式(2)で表される化合物が好ましく、特に式(2)で表される化合物が好ましい。
上記好適な式(1)乃至式(3)で表される化合物は、例えば下記式(8)で表される化合物と、安息香酸、ナフタレンカルボン酸或いはアントラセンカルボン酸を反応させて得られる。
(式中、a、b、c、dはそれぞれ独立して0乃至30の整数を表す。)
具体的には、上記式(8)で表される化合物と、安息香酸、ナフタレンカルボン酸或いはアントラセンカルボン酸とを、適当な溶媒中、適当な触媒下にて、モル比で90:10〜30:70の割合で、好ましくは80:20〜40:60の割合で反応させることにより得られる。
[(B)熱酸発生剤]
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、架橋反応を促進させるために(B)熱酸発生剤を含有する。
熱酸発生剤は、例えば2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサンジエノン、ベンゾイントシラート、2−ニトロベンジルトシラート、ピリジニウムp−トルエンスルホン酸、その他有機スルホン酸アルキルエステル及びそれらの塩等が挙げられ、市販品として、K−PURE〔登録商標〕CXC−1612、同CXC−1614、同CXC−1742、同CXC−1802、同TAG−2678、同TAG2681、同TAG2689、同TAG2690、同TAG2700(King Industries社製)、及びSI−45、SI−60、SI−80、SI−100、SI−110、SI−150(三新化学工業(株)製)が挙げられる。
これら熱酸発生剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。当該熱酸発生剤の含有量は、前記(A)成分のエポキシ化合物の総質量に対して、あるいは前記(D)成分が含まれる場合には(A)成分と(D)成分の両エポキシ化合物の総質量に対して、例えば0.01質量%乃至20質量%、好ましくは0.1質量%乃至10質量%である。
[(C)溶剤]
本発明のレジスト下層膜形成組成物は(C)溶剤を含有する。
(C)溶剤は、上記(A)成分、(B)成分、並びに後述する(D)成分、(F)界面活性剤及びその他成分を溶解できれば特に限定されず、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン等を用いることができる。
これらの溶剤は単独または2種以上の組合せで使用することができる。さらに、これらの溶剤に、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等の高沸点溶剤を混合して使用することもできる。
[(D)分子内に環状脂肪族骨格と3つ以上のエポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物]
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、任意成分として、(D)分子内に環状脂肪族骨格と3つ以上のエポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物(但し、(D)脂環式エポキシ化合物として、前記(A)脂環式エポキシ化合物に相当するものを除く。)を含有する。
上記脂環式エポキシ化合物に含まれるエポキシ基としては、上述の通り、シクロアルケンオキサイドタイプのエポキシ基や、環状脂肪族骨格に直接結合したエポキシ基、そしてグリシジルエーテル基を挙げることができるが、本発明においてはシクロアルケンオキサイドタイプのエポキシ基や、環状脂肪族骨格に直接結合したエポキシ基を有する化合物を使用することが好ましい。
本発明の(D)成分としては、分子内に環状脂肪族骨格と3つ以上のエポキシ基を有する化合物であれば特に限定されないが、好ましくは分子内に環状脂肪族骨格と3つ以上20以下のエポキシ基を有する化合物であり、中でも好適な例として以下の化合物を挙げることができる。
上記式中、Rは、炭素原子数2乃至8のアルキル鎖を表し、該アルキル鎖は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、また環状骨格が含まれていてもよい。
またp、qは、それぞれ独立して、1乃至30の整数を表し、且つpとqの積が3以上の整数、好ましくはpとqの積が3以上20以下の整数を表し、r、s、t、u、v、wは、同一化合物内にあってはそれぞれ独立して、0乃至30の整数を表す。
上記(D)成分が含まれる場合、固形分中の(D)成分の割合としては、30質量%未満であり、例えば0.01質量%以上30質量%未満、0.01質量%乃至20質量%、或いは0.01質量%乃至10質量%である。
[(F)界面活性剤]
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、任意成分として、基板に対する塗布性を向上させるために界面活性剤を含むことができる。前記界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤:エフトップ〔登録商標〕EF301、同EF303、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製、メガファック〔登録商標〕F171、同F173、同R−30、同R−30N、同R−40−LM(DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード〔登録商標〕AG710、サーフロン〔登録商標〕S−382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤:並びに、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)等を挙げることができる。
これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また2種以上の組合せで添加することもできる。
上記界面活性剤が使用される場合、当該界面活性剤の含有量は、前記(A)成分の総質量に対して、あるいは前記(D)成分が含まれる場合には(A)成分と(D)成分の合計総質量に対して、例えば0.01質量%乃至5質量%、好ましくは0.1質量%乃至3質量%である。
[その他成分]
本発明のレジスト下層膜形成組成物には、その他の任意成分として、リソグラフィー工程で上層に被覆されるフォトレジストと下層膜との酸性度を一致させる為に、光酸発生剤を添加することが出来る。光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、及びジスルホニルジアゾメタン化合物が挙げられる。
オニウム塩化合物としては、例えば、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−ノルマルブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−ノルマルオクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムカンファースルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムカンファースルホネート及びビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート等のヨードニウム塩化合物、及びトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−ノルマルブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート及びトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート等のスルホニウム塩化合物が挙げられる。
スルホンイミド化合物としては、例えば、N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(ノナフルオロ−ノルマルブタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド及びN−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタルイミド等が挙げられる。
ジスルホニルジアゾメタン化合物としては、例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、及びメチルスルホニル−p−トルエンスルホニルジアゾメタンが挙げられる。
これらの光酸発生剤は一種のみを使用することができ、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
光酸発生剤が使用される場合、その含有量としては、レジスト下層膜形成組成物の固形分の全質量に対して、例えば20質量%以下であり、0.01質量%乃至10質量%であり、または0.1質量%乃至5質量%であり、または0.5質量%乃至3質量%である。
また本発明は、任意成分として吸光性化合物をさらに含むことができる。
吸光性化合物としては、例えば、フェニル化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、アゾ化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、アントラキノン化合物、トリアジン化合物、トリアジントリオン化合物、キノリン化合物などを使用することができる。フェニル化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、トリアジン化合物、トリアジントリオン化合物が好ましく用いられる。
なかでも、少なくとも1つのヒドロキシ基、アミノ基又はカルボキシル基を有するフェニル化合物、少なくとも1つのヒドロキシ基、アミノ基又はカルボキシル基を有するナフタレン化合物、少なくとも1つのヒドロキシ基、アミノ基又はカルボキシル基を有するアントラセン化合物が好ましく使用される。
少なくとも1つのヒドロキシ基、アミノ基又はカルボキシル基を有するフェニル化合物としては、フェノール、ブロモフェノール、4,4’−スルホニルジフェノール、tert−ブチルフェノール、ビフェノール、安息香酸、サリチル酸、ヒドロキシイソフタル酸、フェニル酢酸、アニリン、ベンジルアミン、ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、フェニルアラニン、フェノキシプロパノール等を挙げることができる。
少なくとも1つのヒドロキシ基、アミノ基、又はカルボキシル基を有するナフタレン化合物としては、1−ナフタレンカルボン酸、2−ナフタレンカルボン酸、1−ナフトール、2−ナフトール、1−アミノナフタレン、ナフチル酢酸、1−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、3,7−ジヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、6−ブロモ−2−ヒドロキシナフタレン、2,6−ナフタレンジカルボン酸等を挙げることができる。
少なくとも1つのヒドロキシ基、アミノ基、又はカルボキシル基を有するアントラセン化合物としては、9−アントラセンカルボン酸、9−ヒドロキシメチルアントラセン、1−アミノアントラセン等を挙げることができる。
これら化合物の他、前述の(A)成分の製造において具体例として挙げた式(4a)乃至式(7g)で表される化合物を使用できる。
さらに本発明は、上記以外に必要に応じて、但し本発明の効果を損なわない限りにおいて、従来のレジスト下層膜形成組成物において添加された種々の添加剤、例えばレオロジー調整剤、接着補助剤等を添加することができる。
レオロジー調整剤は、主としてレジスト下層膜形成組成物の流動性を向上させ、特に焼成工程におけるホール内部への下層膜形成組成物の充填性を高める目的にて添加される。その具体例としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルイソデシルフタレート等のフタル酸誘導体、ジノルマルブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソオクチルアジペート、オクチルデシルアジペート等のアジピン酸誘導体、ジノルマルブチルマレート、ジエチルマレート、ジノニルマレート等のマレイン酸誘導体、メチルオレート、ブチルオレート、テトラヒドロフルフリルオレート等のオレイン酸誘導体、またはノルマルブチルステアレート、グリセリルステアレート等のステアリン酸誘導体を挙げることができる。これらのレオロジー調整剤は、レジスト下層膜形成組成物の固形分の全質量に対して、通常30質量%未満の割合で配合される。
また接着補助剤は、主に基板あるいはフォトレジストとレジスト下層膜形成組成物の密着性を向上させ、特に現像におけるフォトレジストの剥離を防止する目的で添加される。その具体例としては、トリメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン等のクロロシラン類、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ウレア、ジメチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール等のシラザン類、ビニルトリクロロシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γーグリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン類、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、イミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、ウラゾール、チオウラシル、メルカプトイミダゾール、メルカプトピリミジン等の複素環式化合物や、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア等の尿素、またはチオ尿素化合物を挙げることができる。これらの接着補助剤は、レジスト下層膜形成組成物の固形分の全質量に対して、通常5質量%未満、好ましくは2質量%未満の割合で配合される。
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、上述の各成分を(C)溶剤に溶解させることによって調製でき、均一な溶液状態で用いられる。調製した組成物は、孔径が例えば0.02μmのフィルタなどを用いてろ過した後、使用することが好ましい。本発明のレジスト下層膜形成組成物は、室温で長期間の貯蔵安定性にも優れる。
以下、本発明のレジスト下層膜形成組成物の使用について説明する。
本発明のレジスト下層膜形成組成物を、まず、所望の半導体基板(例えば、酸化珪素膜、窒化珪素膜又は酸化窒化珪素膜で被覆されていてもよい、シリコンウエハー、ゲルマニウムウエハー等の半導体基板)の上に、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により塗布し、その後、ホットプレート等の加熱手段を用いてベークすることによりレジスト下層膜を形成する。
ベーク条件としては、ベーク温度80℃乃至300℃、ベーク時間0.3分乃至10分間の中から適宜、選択される。好ましくは、ベーク温度120℃乃至250℃、ベーク時間0.5分乃至5分間である。ここで、形成されるレジスト下層膜の膜厚としては、0.005μm乃至3.0μm、例えば0.01μm乃至0.1μm、又は0.05μm乃至0.5μmである。
但し、ベーク時の温度が、上記範囲より低い場合には架橋が不十分となり、上層に形成されるレジスト膜とインターミキシングを起こすことがある。一方、ベーク時の温度が上記範囲より高い場合は架橋の切断により、当該レジスト膜とのインターミキシングを起こすことがある。
次いで前記レジスト下層膜の上に、レジスト膜を形成する。レジスト膜の形成は一般的な方法、すなわち、フォトレジスト溶液のレジスト下層膜上への塗布及びベークによって行なうことができる。
ここで前記レジスト膜の形成に使用するフォトレジスト溶液としては、露光に使用される光源に感光するものであれば特に限定はなく、ネガ型、ポジ型いずれも使用できる。
レジストパターンを形成する際、所定のパターンを形成するためのマスク(レチクル)を通して露光が行なわれる。露光には、例えば、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザーを使用することができる。露光後、必要に応じて露光後加熱(Post Exposure Bake)が行なわれる。露光後加熱の条件としては、加熱温度80℃乃至150℃、加熱時間0.3分乃至10分間の中から適宜、選択される。その後、アルカリ現像液で現像する工程を経て、レジストパターンが形成される。
前記アルカリ現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、コリンなどの水酸化四級アンモニウムの水溶液、エタノールアミン、プロピルアミン、エチレンジアミンなどのアミン水溶液のようなアルカリ性水溶液を挙げることができる。さらに、これらの現像液に界面活性剤などを加えることもできる。現像の条件としては、現像温度5℃乃至50℃、現像時間10秒乃至300秒から適宜選択される。
以下、本発明のレジスト下層膜形成組成物の具体例を、下記合成例及び実施例を用いて説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
下記合成例で得られた化合物の重量平均分子量の測定に用いた装置等を示す。
装置:東ソー(株)製HLC−8320GPC)
GPCカラム:Shodex〔登録商標〕・Asahipak〔登録商標〕(昭和電工(株))
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:0.6mL/分
標準試料:ポリスチレン(東ソー(株))
<合成例1>
ブタンテトラカルボン酸テトラ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)修飾ε−カプロラクトン((株)ダイセル製、製品名エポリードGT401)100.18g(30質量%PGMEA溶液)、9−アントラセンカルボン酸3.1287g、ベンジルテトラエチルアンモニウムクロライド0.0807g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)7.6687gを混合した溶液を140℃に加温し、窒素雰囲気下で24時間反応させ、下記式(A−1)で表される化合物を含む溶液を得た[固形分 23.3質量%]。得られた化合物を含む溶液のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は約1,100であった。
<合成例2>
ブタンテトラカルボン酸テトラ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)修飾ε−カプロラクトン((株)ダイセル製、製品名エポリードGT401)50.00g(30質量%PGMEA溶液)、9−アントラセンカルボン酸3.6028g、ベンジルテトラエチルアンモニウムクロライド0.0915g、PGMEA8.6164gを混合した溶液を140℃に加温し、窒素雰囲気下で24時間反応させ、下記式(A−1)乃至式(A−3)で表される化合物を含む溶液を得た[固形分 26.2質量%]。得られた化合物を含む溶液のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は約1,200であった。
<合成例3>
グリシジルメタクリレート3.00g、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート26.213g及びジメチル2,2−アゾビスイソブチレート1.753gをプロピレングリコールモノメチルエーテル30.966gに溶解させた後、加熱し90℃に保ったプロピレングリコールモノメチルエーテル77.416g中に添加し、24時間反応させ、グリシジルメタクリレートと2−ヒドロキシプロピルメタクリレートの共重合体の溶液を得た。
この共重合体24.00gを含む溶液120.00gに、9−アントラセンカルボン酸1.70g、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド0.046g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル0.4971gを添加し、加熱後120℃で24時間反応させ、下記式(9)で表される構造単位を有する共重合体を含む溶液を得た。得られた共重合体のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は7,000であった。
<合成例4>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート24.50gに、1−ブトキシエチルメタクリレート2.31g、グリシジルメタクリレート2.07g、メチルメタクリレート4.01g及び9−アントリルメチルメタクリレート1.61gを添加した溶液中に窒素を30分流した後、80℃に昇温した。その溶液を80℃に保ちながら、当該溶液に2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル0.50gを添加し、窒素雰囲気下、80℃で8時間撹拌後、下記式(10)で表される構造単位を有する共重合体を含む溶液を得た。得られた共重合体のGPC分析を行ったところ、重量平均分子量(標準ポリスチレン換算)は6,500であった。
<合成例5>
トリス−(2,3−エポキシプロピル)−イソシアヌレート(日産化学工業(株)製、商品名:TEPIC〔登録商標〕)2.50g、テトラブロモフタル酸無水物(東京化成工業(株))11.62g、及び触媒として第4級ホスホニウム塩であるトリフェニルモノエチルホスホニウムブロミド0.23gをプロピレングリコールモノメチルエーテル33.48gに溶解させた後、120℃に加温し、窒素雰囲気下で4時間撹拌した。プロピレングリコールモノメチルエーテル23.91gにて希釈したワニス溶液のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は1,491であった。この反応生成物は、下記式(11)で表される構造を有する。
<実施例1>
前記合成例1で得た式(A−1)で表される化合物 4.4gを含む溶液19.5g(溶剤は合成時に用いたPGMEA)に、熱酸発生剤としてTAG−2689(King Industries社製、トリフルオロメタンスルホン酸の第4級アンモニウム塩)0.035g、さらに溶媒としてPGMEA81.22gを混合し、4.4質量%溶液とした。その溶液を、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製ミクロフィルタを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
<実施例2>
前記合成例2で得た式(A−1)乃至式(A−3)で表される化合物 0.21gを含む溶液0.795g(溶剤は合成時に用いたPGMEA)に、熱酸発生剤としてTAG−2689(King Industries社製)0.016g、さらに溶媒としてPGMEA4.21gを混合し、4.2質量%溶液とした。その溶液を、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製ミクロフィルタを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
<比較例1>
ブタンテトラカルボン酸テトラ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)修飾ε−カプロラクトン((株)ダイセル製、製品名エポリードGT401)0.99gを含む溶液3.31g(溶剤はPGMEA)に、熱酸発生剤としてTAG−2689(King Industries社製)0.0079g、さらに溶媒としてPGMEA16.69gを混合し、5.0質量%溶液とした。その溶液を、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製ミクロフィルタを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
<比較例2>
前記合成例3で得た式(9)で表される構造単位を有する共重合体 3.19gを含む溶液16.88g(溶剤は合成時に用いたPGME)に、架橋剤としてテトラメトキシメチルグリコールウリル[POWDERLINK(登録商標)1174、日本サイテックインダストリーズ(株)製]0.4791g、熱酸発生剤としてTAG−2689(King Industries社製)0.02556g、さらに溶媒としてPGME53.25g、PGMEA28.89gを混合し、3.7質量%溶液とした。その溶液を、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製ミクロフィルタを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
<比較例3>
前記合成例4で得た式(10)で表される構造単位を有する共重合体 1.50gを含む溶液5.03g(溶剤は合成時に用いたPGMEA)に、溶媒としてPGMEA16.42g、乳酸エチル8.55gを混合し、5.0質量%溶液とした。その溶液を、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製ミクロフィルタを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
<比較例4>
前記合成例5で得た式(11)で表される構造を有する化合物 10.13gを含む溶液39.38g(溶剤は合成時に用いたPGME)に、架橋剤としてテトラメトキシメチルグリコールウリル[POWDERLINK(登録商標)1174、日本サイテックインダストリーズ(株)製]1.69g、酸触媒としてピリジニウムパラトルエンスルホン酸(東京化成工業(株))0.084g、さらに溶媒としてPGME9.85g、PGME110.67gを混合し、7.0質量%溶液とした。その溶液を、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製ミクロフィルタを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
〔エポキシ価〕
上記実施例1及び実施例2で使用した合成例1及び合成例2で調製した溶液に含まれる化合物、並びに比較例1で使用した化合物(GT−401)のエポキシ価を、以下の手順にてそれぞれ測定した。
合成例で得られた溶液0.25g、あるいは比較例1で用いた化合物0.25gを、それぞれ酢酸/アセトン/TEAB(テトラエチルアンモニウムブロミド)(750/750/105質量%)溶液50mLに溶解させた後、0.1質量%クリスタルバイオレット酢酸溶液0.2mLを加え、測定溶液とした。この測定溶液を、0.1規定過塩素酸で滴定し、指示色が青紫から青緑色に変化する点を終点(滴定量)とした。以下の計算式を用いて、これらのエポキシ価を算出した。結果を表1に示す。
測定装置:三菱化学(株)製、自動滴定装置 GT−1100
エポキシ価計算式:
測定溶液中のエポキシ価={滴定試薬濃度[mol/L]×(滴定量[mL]/1000)×N}/(測定試料の質量[g]/1000)
※N:測定溶液1L当たりの滴定試薬の当量数(グラム当量)
固形分のエポキシ価=測定溶液中のエポキシ価/(測定試料固形分[質量%]/100)
〔フォトレジスト溶剤への溶出試験〕
実施例1、実施例2、比較例1のレジスト下層膜形成組成物を、それぞれ、スピナーにより、シリコンウエハー上に塗布した。その後、ホットプレート上で205℃の温度で1分間ベークし、レジスト下層膜(膜厚0.1μm)を形成した。
これらのレジスト下層膜を形成したシリコンウエハーを、フォトレジスト溶液に通常使用される溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)及びPGMEAに浸漬した。
また同様に、各レジスト下層膜を形成したシリコンウエハーをフォトレジスト現像用のアルカリ現像液(2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液)に浸漬した。
各レジスト下層膜において、溶剤又はアルカリ現像液に対して不溶であったものを○、溶解したものを×として評価した。結果を表1に示す。
〔光学パラメーターの試験〕
実施例1、実施例2、比較例1のレジスト下層膜形成組成物を、スピナーにより、シリコンウエハー上に塗布した。その後、ホットプレート上で205℃の温度で1分間ベークし、レジスト下層膜(膜厚0.1μm)を形成した。
続いてこれらのレジスト下層膜を光エリプソメーター(J.A.Woollam社製、VUV−VASE VU−302)を用い、波長248nmでの屈折率(n値)及び減衰係数(k値)を測定した。得られた結果を下記表1に示す。
なお、上記レジスト下層膜が十分な反射防止機能を有するためには、波長248nmでのk値は0.1以上であることが望ましい。
〔ドライエッチング速度の測定〕
実施例1、実施例2、比較例1のレジスト下層膜形成組成物を用い、上記と同様の方法によって、シリコンウエハー上にレジスト下層膜を形成した。そして、これらのレジスト下層膜のドライエッチング速度を、サムコ(株)製RIEシステムを用い、ドライエッチングガスとしてNを使用した条件下で測定した。
また、フォトレジスト溶液(JSR(株)製、商品名:V146G)を、スピナーにより、シリコンウエハー上に塗布し、ホットプレート上で110℃の温度で1分間ベークし、フォトレジスト膜を形成した。このフォトレジスト膜のドライエッチング速度を、上記サムコ(株)製RIEシステムを用い、ドライエッチングガスとしてNを使用した条件下で同様に測定した。
前記フォトレジスト膜のドライエッチング速度を1.00としたときの、前記各レジスト下層膜のドライエッチング速度を算出した。得られた結果を下記表1に“選択比”として示す。
[硬化開始温度の測定]
実施例1、実施例2、比較例2乃至比較例4のレジスト下層膜形成組成物を、スピナーにより、シリコンウエハー上に塗布した。その後、ホットプレート上で80℃乃至170℃の範囲内で10℃きざみの温度で1分間ベークし、レジスト下層膜(膜厚0.1μm)を形成した。フォトレジスト塗布時に使用する溶剤であるOK73シンナー(東京応化工業(株)製、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの混合物)に1分間浸漬し、残膜が生じた温度を硬化開始温度とした。比較例3のレジスト下層膜形成組成物は、自己架橋性のポリマーであるため、下記粘度の測定において最低粘度を示した温度を硬化開始温度とした。
[粘度の測定]
上記実施例1及び実施例2で使用した合成例1及び合成例2で調製した溶液に含まれる化合物、並びに比較例2乃至比較例4で使用した合成例3乃至合成例5で調製した化合物の粘度を以下の手順にてそれぞれ測定した。
各合成例で調製した溶液3gを直径40mmの金属製カップにいれ、50℃で30分間ベーク後、100℃で60分間ベークし、更に120℃で60分間ベークして溶媒を蒸発させて除去し、各化合物の樹脂膜(膜状未硬化物)を形成した。その後、前記樹脂膜の硬化開始温度時の粘度を、レオメーター(アントンパール社製、MCR102)を用いて5℃/分で昇温させながら測定した。上記[硬化開始温度の測定]にて得られた硬化開始温度における、各化合物の樹脂膜の粘度の測定結果を表2に示す。
[ガラス転移点(Tg)の測定]
上記実施例1及び実施例2で使用した合成例1及び合成例2で調製した溶液に含まれる化合物、並びに比較例2乃至比較例4で使用した合成例3乃至合成例5で調製した化合物のガラス転移点を、示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン製、MDSC Q2000)を用いて10℃/分で昇温し、それぞれ測定した。得られた結果を表2に示す。
上記表1に示す通り、実施例1及び実施例2のレジスト下層膜形成組成物から形成したレジスト下層膜は、k値が0.1を超える値であり、十分な反射防止機能を備えていることを示す結果となった。
しかしながら、比較例1のレジスト下層膜形成組成物から形成したレジスト下層膜は、k値が0.00であり、反射防止機能を有していない結果となった。
また表2に示す通り、本発明のレジスト下層膜形成組成物に使用する重合性の化合物は室温で液状であり、また比較例のレジスト下層膜形成組成物に使用する化合物と比べて、硬化開始時のポリマー粘度が大幅に低下する結果となった。
〔埋め込み性(充填性)の試験〕
実施例1及び実施例2のレジスト下層膜形成組成物を、スピナーにより、ホール(直径0.12μm、深さ0.4μm)を複数有しSiO膜が表面に形成されたシリコンウエハー((株)アドバンテック製,以下、本明細書ではSiOウエハーと略称する。)上に塗布した。その後、ホットプレート上で205℃の温度で1分間ベークし、レジスト下層膜(膜厚0.1μm)を形成した。
なお図3に、本試験で使用したSiOウエハー3及び該ウエハーに対して形成した下層膜4の模式図を示す。当該ウエハー3は、ホールのDense(密)パターンを有し、このDenseパターンは、ホール中心から隣のホール中心までの間隔が、当該ホールの直径の1.5倍であるパターンである。図3に示すとおり、SiOウエハーdのホールの深さ1は0.4μmであり、ホールの直径2は0.12μmである。
上述の如く、実施例1及び実施例2のレジスト下層膜形成組成物をSiOウエハー上に塗布しベークしてレジスト下層膜を形成したSiOウエハーの断面形状を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察することにより、レジスト下層膜によるSiOウエハーのホールへの埋め込み性(充填性)を評価した。得られた結果を図1(実施例1)及び図2(実施例2)に示す。
図1及び図2から、ホール内部にボイド(隙間)は観察されず、レジスト下層膜でホール内部は充填され、ホール全体が完全に埋め込まれていることが観察された。
〔平坦化性評価〕
実施例1及び実施例2、並びに比較例2乃至比較例4のレジスト下層膜形成組成物を、スピナーにより、Step area(1)(幅2.65μm、高さ0.1μm)、Step area(2)(幅85μm、高さ0.1μm)、Open area等のパターンを複数有し、SiO膜が表面に形成されたシリコンウエハー(以下、本明細書ではSiOウエハー2と略称する。)上に塗布した(図4参照)。その後、ホットプレート上で205℃の温度で1分間ベークし、レジスト下層膜(膜厚0.11μm)を形成した。
上述の如く形成したレジスト下層膜の断面形状を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、図4に示すとおり、基板最底部からStep area(1)上の膜最上面までの高さ(a+100)とStep area(2)のステップパターン間の膜の高さbとの差を表すGap1と、基板最底部からStep area(1)上の膜最上面までの高さ(a+100)とOpen areaの膜最上面の高さcとの差を表すGap2とを、以下の式を用いて算出することにより、実施例1及び実施例2、並びに比較例2乃至比較例4のレジスト下層膜形成組成物によるレジスト下層膜の平坦化性について評価した。
Gap1=(a+100nm)−b
Gap2=(a+100nm)−c
得られた結果を表3に示す。
また図5に実施例1及び実施例2のレジスト下層膜形成組成物を用いて形成したレジスト下層膜の断面SEM像[(a)実施例1、(b)実施例2]を、図6に比較例2乃至比較例4のレジスト下層膜形成組成物を用いて形成したレジスト下層膜の断面SEM像[(a)比較例2、(b)比較例3、(c)比較例4]を、それぞれ示す。なお各図において画像外部から矢印(→)にて示す実線(図5)及び点線(図6)は基板最底部を示す。
表3に示すように、本発明のレジスト下層膜形成組成物はGap1及びGap2ともに小さく、平坦化性に極めて優れる結果となった。
1 SiOウエハーのホールの深さ
2 SiOウエハーのホールの直径
3 レジスト下層膜
4 SiOウエハー
a Step area(1)上の膜厚
b Step area(2)のステップパターン間の膜厚
c Open area上の膜厚

Claims (9)

  1. (A)分子内に環状脂肪族骨格と1つ以上のエポキシ基並びに光吸収部位を有する脂環式エポキシ化合物、
    (B)熱酸発生剤、及び
    (C)溶剤を含むリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物。
  2. さらに(D)分子内に環状脂肪族骨格と3つ以上のエポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物(但し、前記(A)脂環式エポキシ化合物に相当するものを除く。)を含む、請求項1に記載のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物。
  3. 前記エポキシ基は、シクロアルケンオキサイドタイプのエポキシ基である、請求項1又は請求項2に記載のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物。
  4. 前記光吸収部位は、ベンジル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、トリアジニル基、シアヌル基、チアジアゾリル基又はチアゾリル基である、請求項3に記載のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物。
  5. 前記(A)脂環式エポキシ化合物は、その残エポキシ価が、前記(D)脂環式エポキシ化合物が有する残エポキシ価の値よりもより低い値を有する、請求項2に記載のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物。
  6. 前記(A)脂環式エポキシ化合物は、下記式(X)
    で表される基と、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、トリアジン環、シアヌル酸構造、チアジアゾール環又はチアゾール環とを有する化合物である、請求項1に記載のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物。
  7. 前記(A)脂環式エポキシ化合物は下記式(X)で表される基と下記式(Y)で表される基とを有する化合物である、請求項6に記載のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物。
    (式(Y)中、Aはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、トリアジン環、シアヌル酸構造、チアジアゾール環又はチアゾール環を含む基を表す。)
  8. 前記(A)脂環式エポキシ化合物は、下記式(1)、式(2)及び式(3)で表される化合物のうち少なくとも一種を含む化合物である、請求項7に記載のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物。
    {上記式(1)、式(2)及び式(3)中、
    a、b、c、dはそれぞれ独立して0乃至30の整数を表し、
    Xは下記式(4)、式(5)、式(6)又は式(7)で表されるいずれかの基を表し、但し式(2)又は式(3)において、Xは同一の基又は異なる基であってもよい。
    [上記式(4)乃至式(7)中、
    乃至Rはそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数3乃至6のアルケニル基、ベンジル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、トリアジニル基、シアヌル基、チアジアゾリル基、又はチアゾリル基を表し、
    前記ベンジル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、トリアジニル基、シアヌル基、チアジアゾリル基又はチアゾリル基は、炭素原子数1乃至10のアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至10のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基及び炭素原子数1乃至10のアルキルチオ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基で置換されていてもよく、また
    とRはそれらが結合する窒素原子と一緒になって炭素原子数3乃至6の環を形成していてもよい。]
    但し、式(1)乃至式(3)のうち少なくとも1つの式中のXは、R乃至Rがベンジル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、トリアジニル基、シアヌル基、チアジアゾリル基又はチアゾリル基を表す基である。}
  9. (F)界面活性剤をさらに含む、請求項1乃至請求項8のうちいずれか一項に記載のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物。
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