JPWO2016158493A1 - アルミニウム電解コンデンサ陽極用化成箔、アルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材及びその製造方法 - Google Patents

アルミニウム電解コンデンサ陽極用化成箔、アルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

基材に形成されている拡面部を切断する必要がなく、皮膜特性に優れるアルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材を製造するためのアルミニウム電解コンデンサ陽極用化成箔を提供する。本発明のアルミニウム電解コンデンサ陽極用化成箔Aは、アルミニウム又はアルミニウム合金の基材1上に拡面部2と切断予定部3が設けられている。拡面部2は、アルミニウム及びアルミニウム合金の少なくとも1種を含む粉末の焼結体で形成されている。切断予定部3には前記焼結体が形成されていない。拡面部2及び切断予定部3の表面には陽極酸化皮膜4が形成されている。

Description

本発明は、アルミニウム電解コンデンサ陽極用化成箔、アルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材及びその製造方法に関する。
アルミニウム電解コンデンサは、高い静電容量を有しており、小型で低価格であることから、エレクトロニクス関連分野やエネルギー分野で広く使用されている。一般にアルミニウム電解コンデンサ用の電極材は、次のような標準工程を経て製造できることが知られている。
<アルミニウム電解コンデンサ標準工程>
1)陽極箔の拡面処理(エッチング処理等)
2)陽極箔の化成(陽極酸化)
3)陽極箔(化成箔)、陰極箔及びセパレータの切断
4)電極箔(陽極、陰極)への端子の取り付け
5)素子に巻き取り
6)陽極箔の再化成
7)電解液の含浸
8)電解コンデンサの組み立て
9)エージング
上記1)及び2)の工程では、例えば、アルミニウム箔等の基材をエッチング処理して表面積を増大させ、この表面を無機酸又は有機酸で陽極酸化処理を施すことにより陽極酸化皮膜(誘電体皮膜)を形成することで化成箔が得られる。
また、上記エッチング処理が不要なアルミニウム電解コンデンサ用電極材の製造方法も知られている。この方法ではまず、アルミニウム粉末やアルミニウム合金粉末等の焼結体を多孔質体として基材上に形成させる。その後、上記同様に無機酸又は有機酸で陽極酸化処理を施すことにより陽極酸化皮膜(誘電体皮膜)を形成し、これにより化成箔が得られる。
いずれの製造方法にあっても、陽極酸化皮膜(誘電体皮膜)を形成して化成箔を形成した後、要求されるコンデンサの仕様にしたがって所定の大きさに基材を切断することにより、アルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材が得られる。捲回型(巻き型)のアルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材の場合は、まず短冊状に基材を切断し、別途切断しておいた陰極箔やセパレータと共に巻き取ることで、コイル状コンデンサとしている。また、積層型のアルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材の場合も、まず所定のサイズに打ち抜き加工を行い、次いで、打ち抜いた陰極箔やセパレータを交互に積み重ねて積層体とする。その後、この積層体をケース等に封入し、電解液を注入してコンデンサが製造される。
このような切断は上記3)の工程で実施されるものであり、この工程で化成箔を所望の形状に切断することができる。この切断工程では、その切断の仕方によって最終的に製造されるアルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材の性能が左右される。そのため、アルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材を製造する上でも重要な工程となる。例えば、特許文献1には、図2に示すように複数枚の電極箔予定部10どうしを金属箔からなる連結部Sで接続し、誘電体皮膜を形成した後に連結部Sのみを切断して電極材を製造する方法が開示されている。この方法では、1回目の化成処理によってすでに端面に陽極酸化皮膜が形成されるので、エージング処理に要する時間が従来の方法よりも短縮される。
特開2011−216709号公報
しかしながら、上記の切断方法では、一旦、ポンチ等による打ち抜き加工やレーザー等による加工によって上記連結部を形成する工程と、陽極酸化工程を経た後に連結部Sを切断する工程が必要となる。これにより、工程数が多くなり、生産効率が悪いという問題がある。
このような観点から、なるべく少ない工程数でアルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材を製造することが望ましいため、現状では、連結部を形成させずに直接拡面部を切断して電極材を製造しているのが一般的である。このように拡面部を切断して電極材を製造していたが、拡面部を切断した場合、アルミニウム電解コンデンサの耐電圧性が低くなってしまうことは知られている。これは、拡面部の切断面は、通常は酸化アルミニウムを含んでいるので非常に脆く、鋭利な刃物で切断するとワレや欠け、カエリなどの異常が発生することが原因であると考えられている。すなわち、拡面部を切断するということは、誘電体である酸化皮膜を機械的に切断するということであるため、健全な酸化皮膜が破壊されてしまうことが耐電圧性の低下や漏れ電流の増大の原因につながっていると考えられる。その結果、最終的に得られるコンデンサの品質にバラツキが発生しやすいものであった。この点、上記6)の工程で化成箔の切断面の化成処理をすることや、上記9)の工程のエージング工程で破壊された皮膜を修復することで、ある程度回復させることができるが、最初の陽極化成工程で得られた化成皮膜ほどの健全な皮膜レベルまでは補修できにくい。特に、拡面部が焼結体で構成されている場合には、エッチング箔の場合よりも切断によるダメージがはるかに大きいため、上記のように皮膜の修復を行ったとしても、耐電圧性の低下や漏れ電流の増大が起こる問題を改善しにくい。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、基材に形成されている拡面部を切断する必要がなく、皮膜特性に優れるアルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材を製造するためのアルミニウム電解コンデンサ陽極用化成箔を提供することを目的とする。また、上記アルミニウム電解コンデンサ陽極用化成箔を用いて得られ、皮膜特性に優れるアルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材及びその製造方法を提供することも目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、所定の形状の拡面部を設け、この拡面部の周囲の未拡面部(切断予定部)での切断や打ち抜きを可能にすることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記のアルミニウム電解コンデンサ陽極用化成箔、アルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材及びその製造方法に関する。
1.アルミニウム又はアルミニウム合金の基材上に拡面部と切断予定部が設けられており、
前記拡面部は、アルミニウム及びアルミニウム合金の少なくとも1種を含む粉末の焼結体で形成されており、
前記切断予定部には前記焼結体が形成されておらず、
前記拡面部及び前記切断予定部の表面には陽極酸化皮膜が形成されている、アルミニウム電解コンデンサ陽極用化成箔。
2.上記項1に記載のアルミニウム電解コンデンサ陽極用化成箔を用いて得られるアルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材であって、
前記切断予定部を切断することにより形成される、アルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材。
3.(1)アルミニウム又はアルミニウム合金の基材上の一部にアルミニウム及びアルミニウム合金の少なくとも1種の粉末を含む組成物を塗工して皮膜を形成すると共に、該皮膜が形成されていない部分を切断予定部として形成する第1工程、
(2)前記皮膜を焼結して焼結体を形成する第2工程、
(3)前記焼結体及び前記基材を陽極酸化して陽極酸化皮膜を形成する第3工程、及び、
(4)前記第3工程の後、前記切断予定部を切断することによりアルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材を得る第4工程、
を備えるアルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材の製造方法。
本発明に係るアルミニウム電解コンデンサ陽極用化成箔は、所定の形状に形成された拡面部と、拡面部以外の部分である切断予定部を有しており、切断予定部を切断することでアルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材を容易に得ることができる。特に、拡面部を切断せずにアルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材を得ることができることで、切断時に拡面部を損傷させるおそれが小さい。そのため、本発明に係るアルミニウム電解コンデンサ陽極用化成箔によれば、皮膜特性に優れるアルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材を製造するのに適しており、また、電解コンデンサ組み立て後のエージング工程を短縮することも可能となる。
本発明に係るアルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材は、アルミニウム電解コンデンサ陽極用化成箔の切断予定部を切断して製造されたものであるので、切断時に拡面部が損傷するおそれが小さい。そのため、上記アルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材は、皮膜特性に優れ、アルミニウム電解コンデンサ陽極として適している。
本発明に係るアルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材の製造方法によれば、拡面部と切断予定部とを有するアルミニウム電解コンデンサ陽極用化成箔を一旦製造し、その後、拡面部を切断せずにアルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材を得ることができる。そのため、切断時に拡面部を損傷させるおそれが小さく、アルミニウム電解コンデンサに適したアルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材を製造できる。
本発明のアルミニウム電解コンデンサ陽極用化成箔の実施形態の一例を示し、(a)はその平面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。 従来例を示し、連結部を備える化成箔の概略平面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
1.アルミニウム電解コンデンサ陽極用化成箔
図1には、本発明のアルミニウム電解コンデンサ陽極用化成箔の実施形態の一例を示している。図1(a)はアルミニウム電解コンデンサ陽極用化成箔の平面図、図1(b)はアルミニウム電解コンデンサ陽極用化成箔の断面図である。
なお、本明細書では、アルミニウム電解コンデンサ陽極用化成箔とは、化成処理(陽極酸化)により陽極酸化皮膜が形成されたものを示し、これを切断して得られたものをアルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材としている。
また、以下では「アルミニウム電解コンデンサ陽極用化成箔」を「化成箔」と略記し、「アルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材」を「電極材」と表記する。
図1に示す実施形態の化成箔Aは、基材1と、拡面部2と、切断予定部3とを備えて形成されている。拡面部2は、アルミニウム及びアルミニウム合金の少なくとも1種を含む粉末の焼結体で形成されており、切断予定部3には焼結体2が形成されていない。拡面部2及び切断予定部3の表面には、陽極酸化皮膜4が形成されている。
基材1は、拡面部2を支持するための部材である。基材1は、通常、板状に形成された部材である。
本発明では、基材1の材質はアルミニウム箔等のアルミニウム材料を好適に用いることができる。アルミニウム箔の種類は特に限定されず、例えば、純アルミニウム又はアルミニウム合金等で形成されていればよい。アルミニウム箔は、珪素(Si)、鉄(Fe)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ガリウム(Ga)、ニッケル(Ni)及びホウ素(B)の少なくとも1種の元素が必要範囲内において添加されたアルミニウム合金あるいは上記の不可避的不純物元素の含有量を限定したアルミニウムを構成成分として含んでもよい。
基材1の厚みは、特に限定されないが、5μm以上100μm以下とすることができ、10μm以上50μm以下の範囲内であることが好ましい。
基材1は、公知の方法で製造することができる。まず、所定の組成を有するアルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を調製し、これを鋳造して得られた鋳塊を適切に均質化処理する。その後、この鋳塊に熱間圧延と冷間圧延を施せば、アルミニウム箔を得ることができる。
なお、上記の冷間圧延工程の途中で、50℃以上500℃以下、特に150℃以上400℃以下の範囲内で中間焼鈍処理を施してもよい。また、上記の冷間圧延工程の後に、150℃以上650℃以下、特に350℃以上550℃以下の範囲内で焼鈍処理を施して軟質箔としてもよい。
拡面部2は、アルミニウム粉末及びアルミニウム合金粉末の少なくとも1種を含む粉末の焼結体で形成されている。
上記アルミニウム粉末は、アルミニウム純度が99.8重量%以上であることが好ましい。アルミニウム合金粉末としては、例えば、珪素(Si)、鉄(Fe)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ガリウム(Ga)、ニッケル(Ni)、ホウ素(B)及びジルコニウム(Zr)等の元素の1種又は2種以上を含む合金の粉末が好ましい。アルミニウム合金中のこれらの元素の含有量は、それぞれ100重量ppm以下、特に50重量ppm以下とすることができる。
粉末を構成している粒子の大きさは特に限定されないが、例えば、平均粒径D50で1〜80μmとすることができる。なお、本明細書の平均粒径D50は、粒度分布測定装置(日機装株式会社製「マイクロトラックMT3300EXII」)を用い、レーザー回折法により粒度分布を体積基準で測定した値である。
粉末を構成している粒子の形状は、特に限定されず、球状、不定形状、鱗片状、繊維状等のいずれであってもよく、球状粒子であればより好ましい。
粉末は、公知の方法によって製造されるものを適用することができる。例えば、アトマイズ法、メルトスピニング法、回転円盤法、回転電極法、急冷凝固法等で製造された粉末が挙げられるが、工業的生産にはアトマイズ法、特にガスアトマイズ法で製造された粉末が好ましい。すなわち、溶湯をアトマイズすることにより得られる粉末を用いることが望ましい。
焼結体は上記粉末を焼結することで形成されるが、この焼結体は1層構造であってもよいし、2層以上で構成されていてもよい。焼結体が2層以上で構成される場合は、各層は必ずしも同一の粉末で構成されていなくてもよい。例えば、各層を構成する粉末の粒子径や形状が異なっていてもよい。
焼結体は、前記粉末どうしが互いに空隙を維持しながら焼結することで形成されていることが好ましい。具体的には、各粉末どうしが空隙を維持しながら繋がり、三次元網目構造を有していていてもよい。このような焼結体を備える化成箔では、静電容量の高い電極材を形成することが可能となる。焼結体三次元網目構造を有する場合の気孔率は特に制限されず、例えば、30%以上とすることができる。
また、焼結後の前記粉末を構成していた粒子の平均粒径D50は、前記焼結体の断面を、走査型電子顕微鏡によって観察することによって測定する。例えば、焼結後の前記粒子は、一部が溶融又は粒子同士が繋がった状態となっているが、略円形状を有する部分は近似的に粒子とみなせる。そこで、上記断面観察において、略円形状を有する粒子のそれぞれの最大径(長径)をその粒子の粒径とし、任意の50個の粒子の粒径を測定し、これらの算術平均を焼結後の前記粉末の平均粒径とする。なお、上記で求められる焼結前の平均粒径D50と焼結後の平均粒径D50は変わらない。
焼結体は、基材1がアルミニウム箔であれば、基材1の片面にのみに形成されていてもよいし、基材1の両面に焼結体が形成されていてもよい。両面に焼結体が形成されている場合には、基材1を挟んで両側の焼結体が対称となるように形成されていることが好ましく、この場合、化成箔の切断を容易に行うことができる。
拡面部2の平均厚みは、5〜1000μmであることが好ましい。この範囲は、基材1の片面又は両面に形成するどちらの場合にも当てはまるが、両面に形成する場合には、片面の焼結体の厚さは全体厚み(基材厚みも含む)の1/3以上であることが好ましい。なお、上記焼結体の平均厚みは、焼結後も基材1の厚みは変わらないため、マイクロメーターで任意の7点の厚みを測定し、最大値と最小値を除いた5点の平均からアルミニウム箔の基材厚みを引いた値として求められる。あるいは、上記焼結体の平均厚みは、前記焼結体の断面を走査型電子顕微鏡によって観察することによっても測定できる。焼結体の断面が全て撮影範囲に収まる200倍程度の走査型電子顕微鏡断面写真(任意に撮影した3枚)において、焼結体と基材1の界面、及び、焼結体の最表面に目視判断により平行に直線を引いて焼結体の厚みを算出し、3枚分の算出値を平均することで計測できる。
拡面部2は、上記焼結体で形成されるが、平面視の形状は特に制限されず、略矩形状や他の多角形状としてもよいし、その他の形状であってもよい。
切断予定部3は、上述の拡面部2が形成されていない部分であり、化成箔Aを切断して電極材を得る際に切断される部分に該当する。
切断予定部3上には、後述する陽極酸化皮膜4以外は何も形成されていない。
切断予定部3は、例えば、基材1の一方の端部から他方の端部までの全長に沿って帯状に設けることができる。上記帯状の切断予定部3は、基材1上に複数設けることができる。例えば、切断予定部3は、拡面部2を介して所定の間隔をあけながら複数設けられていてもよい。この場合、各々の切断予定部3は、互いに略平行に設けられる。また、これら複数の切断予定部3と交差(略直交)する方向にも同様に切断予定部3が設けられ、全体として、化成箔Aは拡面部2と切断予定部3によって格子模様柄に形成されていてもよい。切断予定部3は必ずしも上記のように形成されている必要はなく、切断予定部3に沿って切断することが可能な形状である限りは、その形状は任意に設定することができる。
図1の実施形態の化成箔Aでは、平面視略矩形状の拡面部2が基材1の縦及び横方向のそれぞれに所定の間隔をおいて複数設けられており、これにより、基材1は拡面部2と切断予定部3によって格子模様柄に形成されている。格子模様柄以外であれば、例えば、帯状の拡面部2と帯状の切断予定部3とが交互に繰り返し設けられたストライプ模様柄が例示される。
陽極酸化皮膜4は、図1(b)に示すように、拡面部2及び切断予定部3の表面を被覆するように形成されている。
本実施形態の化成箔Aでは、基材1上に所定の形状に形成された拡面部2と、拡面部2を有していない切断予定部3を有している。これにより、切断予定部3を切断すれば電極材を容易に得ることができる。特に、本実施形態の化成箔Aでは、切断予定部3が設けられていることで拡面部2を切断せずに電極材を得ることができるので、切断時に拡面部2を損傷させるおそれが小さい。
仮に、拡面部2を切断してしまうと、拡面部2の切断面は非常に脆い酸化アルミニウムを含んでいるので、鋭利な刃物で切断すると拡面部2のワレや欠け、カエリなどの異常が発生しやすくなると考えられる。その結果、最終的に得られるコンデンサの品質にバラツキが発生しやすく、また、拡面部2の切断によって欠けた一部が製品に異物として混入した場合には、コンデンサ使用時の性能トラブルの原因となりやすい。
しかし、本実施形態の化成箔Aでは、拡面部2を切断せずに電極材を得ることができるので、上記問題が発生しにくく、化成箔Aを切断して形成される電極材の皮膜の性能を低下させにくい。従って、化成箔Aは、皮膜特性に優れる電極材を製造するのに適した部材であり、特に、漏れ電流が従来よりも抑制されたアルミニウム電解コンデンサを提供することが可能な部材となる。
また、化成箔Aを切断しても皮膜の性能を低下させにくいことから、電解コンデンサ組み立て後のエージング工程を短縮することも可能となる。
さらに、上述のストライプ模様柄のように焼結体(拡面部2)が形成されていれば、捲回タイプのコンデンサにも適用することが可能であり、積層型、捲回型のいずれのコンデンサに適用可能である。
2.アルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材
電極材は、上記した化成箔A(アルミニウム電解コンデンサ陽極用化成箔)を用いて得ることができる。具体的には、化成箔Aにおける切断予定部3を切断することにより電極材を形成することができる。
上記切断は、切断加工や打ち抜き加工等によって行うことができる。切断加工や打ち抜き加工の方法は、従来から行われている方法を採用することができる。例えば、切断加工であれば、刃物等により切断することができ、公知の切断機を使用してもよい。また、打ち抜き加工であれば、打ち抜き用の所定形状の金型を用いて化成箔Aを打ち抜くことで電極材を形成することができる。いずれの場合であっても、拡面部2を切断することなく化成箔Aを切断することが可能である。
上記電極材は、化成箔Aの切断予定部3を切断加工又は打ち抜き加工することにより形成されるので、拡面部2が切断されることなく製造される。そのため、拡面部2が損傷するおそれが小さいので、電極材に形成されている皮膜特性の低下が起こりにくく、アルミニウム電解コンデンサ陽極用の電極への適用に適している。
なお、化成箔Aにおいて複数の切断予定部3が形成されている場合は、必ずしもすべての切断予定部3を切断させる必要はない。つまり、一つの切断予定部3を切断して形成された電極材において、他の切断予定部3が残存していてもよい。
3.アルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材の製造方法
上記電極材は、下記の各工程を備える方法によって製造することができる。
(1)基材上の一部にアルミニウム及びアルミニウム合金の少なくとも1種の粉末を含む組成物を塗工して皮膜を形成すると共に、該皮膜が形成されていない部分を切断予定部として形成する第1工程、
(2)前記皮膜を焼結して焼結体を形成する第2工程、
(3)前記焼結体及び前記基材を陽極酸化して陽極酸化皮膜を形成する第3工程、及び、
(4)前記第3工程の後、前記切断予定部を切断することによりアルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材を得る第4工程。
第1工程では、基材上の一部にアルミニウム及びアルミニウム合金の少なくとも1種の粉末を含む組成物を塗工して皮膜を形成する。そして、前記皮膜が形成されていない部分が切断予定部となり得る。
第1工程で使用する組成物に含まれる粉末は、上述したアルミニウム粉末やアルミニウム合金を含む粉末であり、その種類は上記と同様である。
組成物は、必要に応じて樹脂バインダ、溶剤、焼結助剤、界面活性剤等の公知の添加剤が含まれていてもよい。添加剤は、市販品であってもよい。添加剤としては、樹脂バインダ及び溶剤を含んでいることが好ましい。このような添加剤を組成物に含有させることでペースト状の形態にすることができる。このようなペースト状の組成物を使用すれば、効率よく皮膜を形成することができる。
樹脂バインダは限定的でなく、例えば、カルボキシ変性ポリオレフィン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩酢ビ共重合樹脂、ビニルアルコール樹脂、ブチラール樹脂、フッ化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、アクリロニトリル樹脂、セルロース樹脂、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等の合成樹脂又はワックス、タール、にかわ、ウルシ、松脂、ミツロウ等が挙げられる。
また、溶媒は、例えば、水、エタノール、トルエン、ケトン類、エステル類等の有機溶剤を使用することができるが、その他の公知の溶媒であってもよい。
組成物は、例えば、上記各々の原料を所定の配合量で混合させることで得ることができる。この場合、公知の混合方法や分散方法で調製すればよい。
上記組成物を用いて、別途準備した基材1上の一部分に組成物の皮膜を形成させる。ここで使用する基材1は、上述と同様である。
組成物の塗工方法は特に制限されないが、例えば、スクリーン印刷や、シルクスクリーン印刷等の公知の印刷方法が挙げられる。このような印刷方法は、皮膜を所望の形状に形成しやすいので、結果として、化成箔Aの拡面部2の形状を制御しやすいという点で有利である。もちろん、塗工方法はその他の方法を採用することができ、例えば、ローラー、刷毛、スプレー、ディッピング等を用いて塗布することでペースト組成物の皮膜を形成してもよい。
皮膜の形状は、基材1上に皮膜が形成されない部分を残して形成させる限りは特に制限はないが、例えば、格子目状やストライプ状の模様柄に形成させることができる。もちろん、その他の模様柄になるように皮膜を形成することも可能である。
上記皮膜が形成されていない部分は、切断予定部3として形成される。
上記ペースト組成物の皮膜は、基材1の片面又は両面に形成することができる。両面に形成する場合には、基材を挟んで両側の皮膜を対称に形成させることが好ましい。
皮膜の平均厚みは、5〜1000μmであることが好ましい。この範囲は、基材1の片面又は両面に形成するどちらの場合にも当てはまるが、両面に形成する場合には、片面の皮膜の厚さは全体厚み(基材厚みも含む)の1/3以上であることが好ましい。
皮膜を形成した後は、必要に応じて、20℃以上300℃以下の範囲内の温度で乾燥させてもよい。
第2工程では、前記皮膜を焼結して焼結体を形成する。
焼結温度は特に制限されないが、例えば、400℃以上660℃以下とすることができる。焼結時間は、焼結温度等により異なるが、通常は5〜24時間程度の範囲内で適宜決定することができる。
焼結雰囲気は、特に制限されず、真空雰囲気、不活性ガス雰囲気、酸化性ガス雰囲気(大気)、還元性雰囲気等のいずれであっても良いが、特に真空雰囲気又は還元性雰囲気とすることが好ましい。また、圧力条件についても、常圧、減圧又は加圧のいずれでもよい。
上記のように焼結を行うことで皮膜の焼結体が形成されて、基材1上の一部に拡面部2が形成される。皮膜が形成されていない部分である切断予定部3には、焼結体である拡面部2が形成されていない。
上記第1工程の後、第2工程に先立って予め100℃以上から600℃以下の温度範囲で保持時間が5時間以上の加熱処理(脱脂処理)を行なうことも好ましい。加熱処理雰囲気は特に限定されず、例えば真空雰囲気、不活性ガス雰囲気又は酸化性ガス雰囲気中のいずれでもよい。また、圧力条件も、常圧、減圧又は加圧のいずれでもよい。
さらに、第2工程で前記焼結体を形成するに先立って、予めアルミニウム箔等の基材1の表面を粗面化してもよい。粗面化方法は、特に限定されず、洗浄、エッチング、ブラスト等の公知の技術を用いることができる。
第3工程では、上記のように形成された焼結体(拡面部2)及び基材1を陽極酸化して陽極酸化皮膜4を形成する。このように形成される陽極酸化皮膜4は誘電体となり、これにより、アルミニウム電解コンデンサ用の電極となり得る。
陽極酸化処理条件は特に限定されないが、例えば、濃度0.01モル以上5モル以下、温度30℃以上100℃以下のホウ酸溶液又はアジピン酸アンモニウム水溶液中で、10mA/cm以上400mA/cm程度の電流を5分以上印加して行うことができる。化成電圧は2〜700Vとすることができる。
上記の第1工程、第2工程及び第3工程を経ることで、上記した化成箔A(アルミニウム電解コンデンサ陽極用化成箔)を得ることができる。上述したように、化成箔Aでは、組成物の塗工によって皮膜の形状を任意に制御できるので、その形状に応じた拡面部2と切断予定部3とが基材1上に形成されている。なお、従来行われていたようなエッチング処理では、上記のような任意形状に形成される拡面部2を形成させることができない。
第4工程では、上記第3工程の後、切断予定部3で化成箔Aを切断する。これにより上記した電極材(アルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材)が得られる。
上記切断は、切断加工や打ち抜き加工等によって行うことができる。切断加工や打ち抜き加工の方法は、従来から行われている方法を採用することができる。例えば、切断加工であれば、刃物等により切断することができ、公知の切断機を使用してもよい。また、打ち抜き加工であれば、打ち抜き用の所定形状の金型を用いて化成箔Aを打ち抜くことで電極材を形成することができる。いずれの場合であっても、拡面部2を切断することなく化成箔Aを切断することが可能である。
上記のように第1工程から第4工程を含む製造方法では、化成箔Aの切断予定部3を切断加工又は打ち抜き加工することで電極材を製造することができ、拡面部2を切断する必要がない。そのため、切断時に拡面部2を損傷させるおそれが小さいので、電極材を形成後もその表面に形成されている皮膜特性の低下を起こしにくい。よって、上記製造方法は、アルミニウム電解コンデンサ陽極用の電極材の製造方法に適している。また、拡面部2の損傷が抑制されることで、従来、電極材の製造で切断後に実施されていた電解コンデンサ組み立て後のエージング工程を短縮することも可能となる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
(実施例1)
平均粒径3μmのアルミニウム粉末を分散したスラリーを調製し、このスラリーを厚みが20μmであるアルミニウム箔の基材の両面のそれぞれ一部分に、所定形状に印刷塗工して皮膜を形成させた。印刷はスクリーン印刷法により行った。塗工部分は両面共に49.5mm×19.5mmとし、少なくとも皮膜の外周辺全体には、皮膜が形成されていないアルミニウム箔の部分が存在するように印刷塗工を行った。また、両面の塗工により形成された皮膜が基材に対して対称となるようにした。
その後、脱脂を行い、焼結処理を行うことで、基材上に多孔質状の焼結体(拡面部)を形成させた。焼結後の厚み(両面の拡面部と基材の総合計の厚み)は220μm(片面の拡面部の厚みは100μm)であった。なお、厚みはマイクロメーターで測定した(以下の実施例、比較例でも同様)。
その後、90℃にて10%重量ホウ酸水溶液中、450Vで化成処理(陽極酸化処理)することで陽極酸化皮膜(誘電体皮膜)を形成し、化成箔を得た。この化成箔を50mm×20mmの金型にて打ち抜き加工することで切断し、電極材を得た。この切断にあたっては、焼結体、すなわち拡面部を切断させずに拡面部周辺に形成されている切断予定部を切断するようにした。得られた電極材の皮膜特性について評価した。
(比較例1)
上記スラリーをアルミニウム箔の全面に塗工したこと以外は実施例1と同様に化成箔を得た。この化成箔を50mm×20mmの金型にて打ち抜き加工することで切断し、電極材を得た。得られた電極材の皮膜特性について評価した。
Figure 2016158493
表1は、実施例1及び比較例1で得られた各々の電極材のTr、Vt及び静電容量を示している。
ここで、Trは立ち上がり時間を、Vtは皮膜耐電圧を表す。立ち上がり時間とは、皮膜耐電圧試験法の電流を流し始めてから電極材への印加電圧が定格皮膜耐電圧の90%の値に上昇到達するまでの時間のことであり、EIAJ規格に準拠して測定された値である。一方、皮膜耐電圧とは、皮膜耐電圧試験法の測定で得られる電極材の耐電圧であり、立ち上がり時間(Tr)から1分後の電圧値を示している。この皮膜耐電圧はEIAJ規格に準拠して測定した。また、実施例1に記載の静電容量の値は、比較例1を100%としたときの相対値である。
(実施例2)
焼結後の厚み(両面の拡面部と基材の総合計の厚み)が60μm(片面の拡面部の厚みは20μm)となるように焼結体を形成させたこと以外は、実施例1と同様に化成箔を得た。この化成箔を50mm×20mmの金型にて打ち抜き加工することで切断し、電極材を得た。この切断にあたっては、焼結体、すなわち拡面部を切断させずに拡面部周辺に形成されている切断予定部を切断するようにした。得られた電極材の皮膜特性について評価した。
(比較例2)
スラリーをアルミニウム箔の全面に塗工したこと以外は実施例2と同様に化成箔を得た。この化成箔を50mm×20mmの金型にて打ち抜き加工することで切断し、電極材を得た。得られた電極材の皮膜特性について評価した。
Figure 2016158493
表2は、実施例2及び比較例2で得られた各々の電極材のTr、Vt及び静電容量を示している。Tr及びVtは上記と同様であり、静電容量の値は、比較例2を100%としたときの相対値である。
(実施例3)
焼結後の厚み(両面の拡面部と基材の総合計の厚み)が820μm(片面の拡面部の厚みは400μm)となるように焼結体を形成させたこと以外は、実施例1と同様に化成箔を得た。この化成箔を50mm×20mmの金型にて打ち抜き加工することで切断し、電極材を得た。この切断にあたっては、焼結体、すなわち拡面部を切断させずに拡面部周辺に形成されている切断予定部を切断するようにした。得られた電極材の皮膜特性について評価した。
(比較例3)
スラリーをアルミニウム箔の全面に塗工したこと以外は実施例3と同様に化成箔を得た。この化成箔を50mm×20mmの金型にて打ち抜き加工することで切断し、電極材を得た。得られた電極材の皮膜特性について評価した。
Figure 2016158493
表3は、実施例3及び比較例3で得られた各々の電極材のTr、Vt及び静電容量を示している。Tr及びVtは上記と同様であり、静電容量の値は、比較例3を100%としたときの相対値である。
(実施例4)
化成処理の電圧を650Vに変更したこと以外は、実施例1と同様に化成箔を得た。この化成箔を50mm×20mmの金型にて打ち抜き加工することで切断し、電極材を得た。この切断にあたっては、焼結体、すなわち拡面部を切断させずに拡面部周辺に形成されている切断予定部を切断するようにした。得られた電極材の皮膜特性について評価した。
(比較例4)
スラリーをアルミニウム箔の全面に塗工したこと以外は実施例4と同様に化成箔を得た。この化成箔を50mm×20mmの金型にて打ち抜き加工することで切断し、電極材を得た。得られた電極材の皮膜特性について評価した。
Figure 2016158493
表4は、実施例4及び比較例4で得られた各々の電極材のTr、Vt及び静電容量を示している。Tr及びVtは上記と同様であり、静電容量の値は、比較例4を100%としたときの相対値である。
(実施例5)
化成処理の条件を、85℃にて15%重量アジピン酸水溶液中、電圧を5Vに変更したこと以外は、実施例1と同様に化成箔を得た。この化成箔を50mm×20mmの金型にて打ち抜き加工することで切断し、電極材を得た。この切断にあたっては、焼結体、すなわち拡面部を切断させずに拡面部周辺に形成されている切断予定部を切断するようにした。得られた電極材の皮膜特性について評価した。
(比較例5)
スラリーをアルミニウム箔の全面に塗工したこと以外は実施例5と同様に化成箔を得た。この化成箔を50mm×20mmの金型にて打ち抜き加工することで切断し、電極材を得た。得られた電極材の皮膜特性について評価した。
Figure 2016158493
表5は、実施例5及び比較例5で得られた各々の電極材のTr、Vt及び静電容量を示している。Tr及びVtは上記と同様であり、静電容量の値は、比較例5を100%としたときの相対値である。
(実施例6)
アルミニウム粉末の平均粒径を10μmに変更したこと以外は、実施例1と同様に化成箔を得た。この化成箔を50mm×20mmの金型にて打ち抜き加工することで切断し、電極材を得た。この切断にあたっては、焼結体、すなわち拡面部を切断させずに拡面部周辺に形成されている切断予定部を切断するようにした。得られた電極材の皮膜特性について評価した。
(比較例6)
スラリーをアルミニウム箔の全面に塗工したこと以外は実施例6と同様に化成箔を得た。この化成箔を50mm×20mmの金型にて打ち抜き加工することで切断し、電極材を得た。得られた電極材の皮膜特性について評価した。
Figure 2016158493
表6は、実施例6及び比較例6で得られた各々の電極材のTr、Vt及び静電容量を示している。Tr及びVtは上記と同様であり、静電容量の値は、比較例6を100%としたときの相対値である。
(実施例7)
焼結後の厚み(両面の拡面部と基材の総合計の厚み)が2020μm(片面の拡面部の厚みは1000μm)となるように焼結体を形成させたこと以外は、実施例1と同様に化成箔を得た。この化成箔を50mm×20mmの金型にて打ち抜き加工することで切断し、電極材を得た。この切断にあたっては、焼結体、すなわち拡面部を切断させずに拡面部周辺に形成されている切断予定部を切断するようにした。得られた電極材の皮膜特性について評価した。
(比較例7)
スラリーをアルミニウム箔の全面に塗工したこと以外は実施例7と同様に化成箔を得た。この化成箔を50mm×20mmの金型にて打ち抜き加工することで切断し、電極材を得た。得られた電極材の皮膜特性について評価した。
Figure 2016158493
表7は、実施例7及び比較例7で得られた各々の電極材のTr、Vt及び静電容量を示している。Tr及びVtは上記と同様であり、静電容量の値は、比較例7を100%としたときの相対値である。
(実施例8)
脱脂処理及び焼結処理の条件を調節して、比較例1と同等の静電容量になるようにするために焼結後の厚み(両面の拡面部と基材の総合計の厚み)を224μmに調整したこと以外は、実施例1と同様に化成箔を得た。この化成箔を50mm×20mmの金型にて打ち抜き加工することで切断し、電極材を得た。この切断にあたっては、焼結体、すなわち拡面部を切断させずに拡面部周辺に形成されている切断予定部を切断するようにした。得られた電極材の皮膜特性について評価した。
Figure 2016158493
表1〜表8から明らかなように、実施例のように拡面部を切断せず、切断予定部を切断して電極材を形成させると、立ち上がり時間Trが各々の比較対象(実施例1〜7の比較対象はそれぞれ比較例1〜7、実施例8の比較対象は比較例1)に比べて非常に短縮されていることがわかる。比較例では、拡面部が切断されて電極材が形成されているため、拡面部である焼結体が切断時に損傷したおそれがあり、これにより、立ち上がり時間Trが長くなっているものと考えられる。一方、皮膜耐電圧(Vt)も実施例の方が比較例よりも高い値となっていることがわかった。実施例の静電容量も比較例とほぼ同等であった。従って、拡面部を有していない切断予定部が静電容量に与える影響は小さいといえる。
以上のように、実施例のように切断予定部を切断して電極材を形成させると、立ち上がり時間Trが短く、皮膜耐電圧(Vt)も高くなることから、皮膜特性に優れる電極材が得られることが示された。特に、立ち上がり時間Trが短いことで、漏れ電流をより小さくすることができる作用があるといえ、アルミニウム電解コンデンサ用の電極として好適であることが実証された。
A アルミニウム電解コンデンサ陽極用化成箔
1 基材
2 拡面部
3 切断予定部
4 陽極酸化皮膜

Claims (3)

  1. アルミニウム又はアルミニウム合金の基材上に拡面部と切断予定部が設けられており、 前記拡面部は、アルミニウム及びアルミニウム合金の少なくとも1種を含む粉末の焼結体で形成されており、
    前記切断予定部には前記焼結体が形成されておらず、
    前記拡面部及び前記切断予定部の表面には陽極酸化皮膜が形成されている、アルミニウム電解コンデンサ陽極用化成箔。
  2. 請求項1に記載のアルミニウム電解コンデンサ陽極用化成箔を用いて得られるアルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材であって、
    前記切断予定部を切断することにより形成される、アルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材。
  3. (1)アルミニウム又はアルミニウム合金の基材上の一部にアルミニウム及びアルミニウム合金の少なくとも1種の粉末を含む組成物を塗工して皮膜を形成すると共に、該皮膜が形成されていない部分を切断予定部として形成する第1工程、
    (2)前記皮膜を焼結して焼結体を形成する第2工程、
    (3)前記焼結体及び前記基材を陽極酸化して陽極酸化皮膜を形成する第3工程、及び、
    (4)前記第3工程の後、前記切断予定部を切断することによりアルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材を得る第4工程、
    を備えるアルミニウム電解コンデンサ陽極用電極材の製造方法。
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