JPWO2016157872A1 - 樹脂組成物、成形体、配管機械部品 - Google Patents
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Abstract
Description
〔1〕ポリフェニレンエーテル系樹脂(a−1)と、アタクチックホモポリスチレン(a−2)とを含有する樹脂混合物(a)を、(a−1)成分と(a−2)成分との合計で50質量%超94質量%未満、
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBと、を含むブロック共重合体の少なくとも一部が水素添加されてなる水素添加ブロック共重合体(b)を、1質量%以上20質量%以下、
カルボキシル基及びカルボキシル基から誘導される基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する官能基含有化合物(c)を、0.01質量%以上0.5質量%以下、
表面処理された無機フィラー(d)を、5質量%以上30質量%未満、
含有する樹脂組成物であり、
共役ジエン化合物部分の水素添加率が98%未満である重合体を実質的に含有せず、
前記(a−1)成分の重量平均分子量(Mw)が70,000未満であり、
前記(b)成分の数平均分子量(Mn)が150,000以上300,000以下である、
ことを特徴とする、樹脂組成物。
前記ガラス繊維における、繊維の平均長さ(L)の繊維の平均直径(D)に対する割合(L/D)が24〜50である、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の樹脂組成物。
前記ガラス繊維表面について拡散型反射装置を用いて測定したFT−IRスペクトルにおける3570cm-1のピーク面積が、フッ化カルシウムの粉体をブランクとした場合に、9以下である、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の樹脂組成物。
前記ガラス繊維表面の窒素原子の含有量が、前記ガラス繊維の質量に対して、1質量ppm以上500質量ppm以下である、〔1〕〜〔7〕のいずれかにに記載の樹脂組成物。
前記ガラス繊維表面の窒素原子の含有量が、前記ガラス繊維の質量に対して、10質量ppm以上80質量ppm以下である、〔8〕に記載の樹脂組成物。
本実施形態の樹脂組成物は、
(a)ポリフェニレンエーテル系樹脂(a−1)と、アタクチックホモポリスチレン(a−2)とを含有する樹脂混合物、
(b)ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBと、を含むブロック共重合体の少なくとも一部が水素添加されてなる水素添加ブロック共重合体(b)、
(c)カルボキシル基及びカルボキシル基から誘導される基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する官能基含有化合物、及び
(d)表面処理された無機フィラー
を含有し、任意選択的に、その他の成分を更に含有するものである。
本実施形態の樹脂組成物は、ここで、(a−1)成分の重量平均分子量(Mw)が70,000未満であり、(b)成分の数平均分子量(Mn)が150,000以上300,000以下であり、重合体ブロックBを構成する共役ジエン化合物部分に対する水素添加率が98%以上である、ことを特徴とする。
本実施形態で用いられる樹脂混合物(a)は、ポリフェニレンエーテル系樹脂(a−1)と、アタクチックホモポリスチレン(a−2)とを含有する。
本実施形態で用いられるポリフェニレンエーテル系樹脂(a−1)(以下、単に(a−1)成分ともいう。)は、特に限定されることなく、例えば、下記式(1)で表される繰り返し単位構造からなる単独重合体及び/又は下記式(1)で表される繰り返し単位構造を有する共重合体が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル系樹脂としては、特に、入手のし易さの観点、及び樹脂組成物としたときの機械的物性の観点から、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が特に好ましい。
上記ポリフェニレンエーテル系樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
なお、還元粘度は、ウベローデ粘度計を用いて、クロロホルム溶媒、30℃、0.5g/dl溶液で測定することができる。
なお、本願明細書において、「融点を有するポリフェニレンエーテル系樹脂」とは、示差熱走査型熱量計(DSC)の測定(昇温条件:20℃/分)により得られる温度−熱流量グラフにおいて、ピークが観測されるポリフェニレンエーテル系樹脂を指すものとする。そして、このピークのトップにおける温度を、ポリフェニレンエーテル系樹脂の融点とするものとする。なお、ピークのトップにおける温度が複数ある場合には、それらのうちの最高の温度を融点とするものとする。
ここで、このパウダー状のポリフェニレンエーテル系樹脂を、単独で又は他の樹脂等と混ぜ合わせた状態で、溶融させた場合、溶融後の樹脂は融点を示さなくなる。この知見を踏まえると、融点を有するポリフェニレンエーテル系樹脂は、これに限定されないが、通常、パウダー状のポリフェニレンエーテル系樹脂である。一方、上記の融点を有するポリフェニレンエーテル系樹脂を、溶融させることなく、高圧条件下で固化させたもの、溶剤に溶解させて適宜成形した後に溶剤を除去することによって得られるフィルム状のものや塊状のものは融点を有する。
これらの知見を踏まえ、融点を有するポリフェニレンエーテル系樹脂は、パウダー状のポリフェニレンエーテル系樹脂であり、且つ未溶融のものであることが好ましい。
ポリフェニレンエーテル系樹脂の製造方法としては、特に限定されることなく、例えば、Hayによる米国特許第3306874号明細書に記載の第一銅塩とアミンとの混合物を触媒として用い、2,6−キシレノールを酸化重合する方法や、米国特許第3306875号明細書、米国特許第3257357号明細書、米国特許第3257358号明細書、特公昭52−17880号公報、特開昭50−51197号公報、及び特開昭63−152628号公報等に記載されるその他の方法等が挙げられる。
なお、重量平均分子量(Mw)は、GPC(移動層:クロロホルム、標準物質:ポリスチレン)を用いて、従来公知の方法により求めることができる。
本実施形態で用いられるアタクチックホモポリスチレン(a−2)(以下、単に(a−2)成分ともいう。)は、特に限定されることなく、例えば、アタクチックなミクロ構造(立体規則性)を備える、スチレン系化合物の単独重合体(ホモポリスチレン)や2種以上のスチレン系化合物の共重合体が、代表例として挙げられる。
アタクチックホモポリスチレンは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
またここで、本実施形態の樹脂組成物では、(a−1)成分として、ポリフェニレンエーテル系樹脂とその他の樹脂との溶融物を用いてもよい。この場合、該溶融物は、融点を示さなくなったポリフェニレンエーテル系樹脂を含むこととなる。
上記のような、融点を有しないポリフェニレンエーテル系樹脂を含む場合も、本発明の効果が得られる限り、本発明の樹脂組成物に含まれる。
本実施形態で用いられる水素添加ブロック共重合体(b)(以下、単に(b)成分ともいう。)は、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBと、を含むブロック共重合体の少なくとも一部が水素添加されたものである。(b)成分は、本実施形態の樹脂組成物において耐衝撃性付与剤として作用する。
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAとしては、特に限定されることなく、例えば、ビニル芳香族化合物の単独重合体ブロック、又はビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体ブロックが挙げられる。
なお、重合体ブロックAにおいて「ビニル芳香族化合物を主体とする」とは、水素添加前の重合体ブロックAにおけるビニル芳香族化合物部分の含有量が、50質量%超であることを指し、該含有量は、70質量%以上であることが好ましく、また、100質量%以下としてよい。
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとしては、特に限定されることなく、例えば、共役ジエン化合物の単独重合体ブロック、又は共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物との共重合体ブロックが挙げられる。
なお、重合体ブロックBにおいて「共役ジエン化合物を主体とする」とは、水素添加前の重合体ブロックBにおける共役ジエン化合物部分の含有量が、50質量%超であることを指し、該含有量は、70質量%以上であることが好ましく、また、100質量%以下としてよい。
なお、1,2−ビニル結合量及び3,4−ビニル結合量の合計(全ビニル結合量)とは、水素添加前の重合体ブロックBにおける、1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量との合計の、1,2−ビニル結合量と、3,4−ビニル結合量と、1,4−共役結合量との合計に対する割合を指す。全ビニル結合量は、赤外分光光度計や核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定・算出することができる。
ブロック共重合体に含まれる重合体ブロックAにおける分子鎖中のビニル芳香族化合物、及び重合体ブロックBにおける分子鎖中の共役ジエン化合物の分布としては、特に限定されることなく、例えば、ランダム、テーパード(分子鎖に沿って単量体部分が増加又は減少するもの)、一部ブロック状、又はこれらの組み合わせ挙げられる。
ブロック共重合体中に重合体ブロックA又は重合体ブロックBのいずれかが複数個以上含まれる場合には、複数の重合体ブロックA又は複数の重合体ブロックB同士は、それぞれ同一構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。
なお、ビニル芳香族化合物の含有量は、紫外線分光光度計を用いて測定することができる。
なお、数平均分子量(Mn)は、GPC(移動層:クロロホルム、標準物質:ポリスチレン)を用いて、従来公知の方法により求めることができる。
なお、分子量分布(Mw/Mn)は、GPC(移動層:クロロホルム、標準物質:ポリスチレン)を用いて、従来公知の方法により求めた重量平均分子量(Mw)を、前述の数平均分子量(Mn)で除することによって算出することができる。
水素添加ブロック共重合体中の共役ジエン化合物部分に対する水素添加率は、特に限定されることなく、樹脂組成物の耐衝撃性及び溶融流動性を高める観点から、共役ジエン化合物に由来する二重結合の総量に対して、98%以上であることが好ましく、99%以上であることが更に好ましく、99.5%以上であることが特に好ましい。特に、水素添加ブロック共重合体がブタジエン部分を含む場合、水素添加率を上記範囲とすれば、ブタジエン部分の分解や架橋の発生を抑制することが可能となる。
なお、水素添加率は、赤外分光光度計や核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定・算出することができる。
なお、「実質的に含有しない」とは、本実施形態の樹脂組成物を100質量%とした場合、0.3質量%以下であることを指す。
またなお、共役ジエン化合物とは、ブタジエン、イソプレン等の重合体ブロックBを構成する共役ジエン化合物として挙げたものを指し、共役ジエン化合物部分とは、これらの単独重合体又は共重合体における共役ジエン化合物由来の部分を指す。
本実施形態で用いられる官能基含有化合物(c)(以下、単に(c)成分ともいう。)は、カルボキシル基及びカルボキシル基から誘導される基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する化合物である。
カルボキシル基を有する化合物としては、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸、アコニット酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、クロロマレイン酸、シス−4−シクロヘキセン−1、2−ジカルボン酸等が挙げられ、特に、α,β−不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、アコニット酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸、フマル酸、メサコン酸等)、飽和トリカルボン酸(クエン酸等)が好ましい。
カルボキシル基から誘導される基としては、酸無水物基、エステル基等が挙げられる。
酸無水物基を有する化合物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、アコニット酸1,3−無水物、シトラコン酸無水物、クロロマレイン酸無水物、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物等が挙げられる。
エステル基を有する化合物としては、前記カルボキシル基を有する化合物とエタノールなどのアルコール類との化合物等が挙げられる。なお、エステル基を有する化合物は、樹脂組成物の加工温度において、エステル基が分解してカルボキシル基に変化するため、実質的にカルボキシル基を有する化合物として、本実施形態の樹脂組成物に使用することが可能である。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態で用いられる表面処理された無機フィラー(d)(以下、単に(d)成分ともいう。)としては、特に限定されることなく、公知のものを使用することができ、繊維状フィラー、板状フィラーが好ましい。
繊維状フィラーとしては、これらに限定されないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカー等のウィスカー類、ケイ酸カルシウム(ワラストナイト)等が挙げられる。
板状フィラーとしては、これらに限定されないが、例えば、ガラスフレーク、マイカ、タルク等が挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
無機フィラーに対する表面処理の方法としては、例えば、無機フィラーがガラス繊維である場合、繊維状の無機フィラーを紡糸して収束する際に、表面にサイジング剤とともにシランカップリング剤を塗布し、その後乾燥させる方法が挙げられる。無機フィラーが短繊維状や粉末状である場合、これらのフィラーをシランカップリング剤溶液に含浸し、その後乾燥させる方法等が挙げられる。ここで、乾燥時の温度としては、100℃以上が好ましい。
樹脂と繊維との分散性を向上させるために、高い混練条件で混練させた場合、平均繊維長は短くなる。逆に低い混練条件で混練させた場合、平均繊維長は長くなるが、樹脂の繊維長の分散性は低下する。良好な靱性を発現するためには、樹脂と繊維とが均一に混合されていることと、繊維長が長いこととの両立が求められ、かかる観点からは、上記割合(L/D)が24以上であることが好ましい。しかしながら、繊維長が極端に長い場合、良好な靱性が得られるが、外観が著しく低下し、かかる観点からは、上記割合(L/D)が50以下であることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、前述の(a)成分〜(d)成分以外に、本実施形態の樹脂組成物の溶融流動性、振動疲労特性等を損なわない範囲で、必要に応じてその他の成分(以下、単に成分(e)ともいう。)を含んでいてよい。
その他の成分としては、これらに限定されないが、例えば、酸化防止剤、金属不活性化剤、難燃剤(有機リン酸エステル系化合物、縮合有機リン酸エステル系化合物、ポリリン酸アンモニウム系化合物、シリコーン系難燃剤等)、可塑剤(低分子量ポリエチレン、エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)、耐候(光)性改良剤、スリップ剤、無機又は有機の充填材や強化材(ポリアクリロニトリル繊維、アラミド繊維等)、各種着色剤、離型剤等が挙げられる。
ここで、1,3−ブタジエンの含有量の測定方法としては、実施例に記載の方法が挙げられる。
この強度改良の効果を高めるためには、樹脂とガラス繊維とを化学結合で結びつけることが望ましい。
しかしながら、ガラス繊維の表面は極めて化学反応性が低いため、ガラス繊維そのままではかかる化学反応を生じさせることが困難な可能性がある。
しかしながら、Si−OH基とシラン系化合物との縮合反応による生成物は水存在下で分解しやすく、(a−1)成分、(a−2)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分、他の添加成分を含む樹脂を押出機内で溶融混練する際、加水分解反応によりガラス繊維の表面からシラン系化合物が脱離することがある。そして、この場合、上述の樹脂とガラス繊維との化学結合が得られにくいこととなる。
そこで、本実施形態の樹脂組成物では、少なくとも(a−1)成分、(a−2)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分が溶融混練された後に、ガラス繊維の表面のSi−OH基の多くがシラン系化合物と反応した状態にあり、未反応のSi−OH基の量が所定程度以下であることが望ましい。
具体的には、拡散型反射装置を用いて測定したFT−IRスペクトルにおける3570cm-1のピーク面積が、ブランクを対照として、9以下であることが望ましく、更に好ましくは8以下である。対照としてのブランクとしては、例えば、フッ化カルシウムの粉体が挙げられる。
なおここで、上記3570cm-1のピークとは、3570cm-1付近のピークをも含み、3565〜3585cm-1にピークトップを有するピークも含んでよい。
3570cm-1のピーク面積が9より大きい場合は、Si−OH基はシラン系化合物と化学結合していないか、化学結合したものが加水分解にて離脱したと判断され、強度改良を担う(a−1)成分とガラス繊維との化学結合が不足して、組成物の強度が十分には改善されないおそれがある。
ガラス繊維の表面とアミノシランとが化学結合している状態とは、ガラス繊維のSi−OH基とアミノシランの−NH2基との間に化学的な結合が形成されている状態をいい、単に両物質が混合されて存在している状態を意味しない。
この化学結合している状態と化学結合している状態ではない混合状態とを区分して、化学結合している状態を定量化する方法としては、溶融混練後の樹脂組成物をクロロホルム溶媒に、例えば室温で、溶解させて、不溶分であるガラス繊維を取り出し、ガラス繊維に含まれる窒素量を測定する方法が挙げられ、より具体的には、実施例に記載の方法が挙げられる。
ガラス繊維の表面に検出される窒素原子の含有量が1質量ppm未満の場合は、ガラス繊維の表面のSi−OH基にアミノシランが結合していないので、(a−1)成分とガラス繊維の化学結合が十分ではなく、樹脂組成物の強度が改善されないおそれがある。また、ガラス繊維の表面に検出される窒素原子の含有量が300質量ppmより多い場合は、ガラス繊維の表面に過剰なアミノシランが縮合により結合して存在している。この場合は、アミノシランの層の強度が低くため、樹脂組成物に応力がかかった場合、(a−1)樹脂とガラス繊維との界面でアミノシランの部分が破壊して、樹脂組成物の強度が低下するおそれがある。
本実施形態の樹脂組成物は、前述の、ポリフェニレンエーテル系樹脂(好適には、融点を有するポリフェニレンエーテル系樹脂)(a−1)と、アタクチックホモポリスチレン(a−2)とを含有する樹脂混合物(a)、水素添加ブロック共重合体(b)、カルボキシル基及びカルボキシル基から誘導される基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する官能基含有化合物(c)、表面処理された無機フィラー(d)、任意選択的にその他の成分(e)を溶融混練することにより製造することができる。
ここで、従来の樹脂組成物の製造方法としては、
(1)(a)成分及び(c)成分を同時に溶融混練し、次いで、(b)成分及び(d)成分をこの順で添加して更に溶融混練する製造方法、
(2)(a)成分及び(b)成分を同時に溶融混練し、次いで、(c)成分及び(d)成分をこの順で添加して更に溶融混練する製造方法、
(3)(a)成分〜(d)成分の全てを同時に溶融混練する製造方法。
(4)(a)成分〜(c)成分を同時に溶融混練してペレットを得て、その後、そのペレットを再度溶融混練し、次いで、(d)成分を添加して更に溶融混練を行う製造方法、
等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物の好適な製造方法の一例により得られる樹脂組成物では、上記(1)〜(4)の製造方法により得られる樹脂組成物と比較して、樹脂組成物に含まれる(a)成分〜(d)成分それぞれの樹脂組成物中での均一分散性を優れたものとすることができる。
このとき、(a)成分〜(c)成分の溶融混練において、(d)成分の一部が存在することによって、(a)成分〜(c)成分の混合を十分に行うことができ、また、十分に混合された(a)成分〜(c)成分に(d)成分の残りを添加して溶融混練することによって、(d)成分(表面処理された無機フィラー)の樹脂組成物中での分散性を高めつつ、(d)成分の樹脂との密着性を高めることができ、ひいては、溶融流動性、耐衝撃性、振動疲労特性を兼ね備える樹脂組成物を製造することができる。
本実施形態の樹脂組成物の好適な製造方法では、(a)成分〜(c)成分を第1原料供給口から供給し、次いで、繊維状やパウダー状の(d)成分を第2原料供給口から添加してよい。
また、本実施形態の樹脂組成物の更に好適な製造方法では、(a)成分〜(c)成分、及び(d)成分の一部を第1原料供給口から供給し、次いで、(d)成分の残りを第2原料供給口や第3原料供給口から添加してよい。
多軸押出機は、熱劣化防止、無機フィラーの破砕防止、揮発分の除去の観点から、原料が流れる方向について上流側に第1原料供給口、該第1原料供給口よりも下流に第1真空ベント、該第1真空ベントよりも下流に第2原料供給口以降の供給口、これらの原料供給口よりも下流に第2真空ベントを備えるものとすることが好ましい。
また、多軸押出機は、第1原料供給口と第1真空ベントとの間、第1真空ベントと第2原料供給口の間、第2原料供給口以降の供給口と第2真空ベントの間に、ニーディングセクションを更に備えることが好ましい。
粉体の原材料を添加する場合、樹脂の熱履歴による架橋物や炭化物の発生を低減する観点から、サイド開放口から強制サイドフィーダーを用いて添加する方法が好ましい。
液状の原材料を添加する場合、上部開放口から、プランジャーポンプ、ギアポンプ等を用いて添加する方法が好ましい。
多軸押出機の各原料供給口の上部開放口は、原材料と共に搬送される空気を抜くために、開放とすることもできる。
上記経路における各ラインの酸素濃度を1.0体積%未満に維持することによって、ポリフェニレンエーテル系樹脂(特に、融点を有するポリフェニレンエーテル系樹脂)(a−1)と、アタクチックホモポリスチレン(a−2)とを含有する樹脂混合物(a)を溶融混練する際に、多軸押出機のスクリューに付着する原材料を劇的に低減する効果が得られる。また、前述の好適な実施形態に従って製造される樹脂組成物について、黒点異物や炭化物等の発生を低減する効果が得られる。
また、原料の水分を前述の脱離反応が発生する前に除去するため、真空ベント又はオープンベント等の手法で、水蒸気を含み得る押出機内部の気体を放出することが好ましい。
多軸押出機内部での組成物の水分量の測定はできないが、用いた原料たる(a−1)成分、(a−2)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分の水分量が1000質量ppmを超えている場合や、ガラス繊維の表面と接触する前に真空ベント又はオープンベントによる水分の脱気がない場合には、樹脂が含有する水分によりSi−OH基とシラン系化合物との反応生成物からの脱離反応が進むことがある。
具体的は、製造工程において、樹脂とガラス繊維とを混合したときの滞留時間を、3秒以上10秒以内として、真空ベント又は解放ベントにて脱離物を混合物から除去することが好ましい。
前述の本実施形態の樹脂組成物を成形することによって本実施形態の樹脂組成物からなる成形品を得ることができる。
本実施形態の樹脂組成物からなる成形品は、各種成形品、例えば、光学機器機構部品;光源ランプ周り部品;金属フィルム積層基板用シート又はフィルム;ハードディスク内部部品;光ファイバー用コネクタフェルール;プリンター部品;コピー機部品;自動車ラジエタータンク部品等の自動車エンジンルーム内部品;自動車ランプ部品;ポンプケーシング(ポンプ筐体)、バルブ、配管ブロック、フランジ、フィルター等の液体(特に、飲料水)接触部品・配管機械部品;等として、有利に広く使用することができる。
−ポリフェニレンエーテル系樹脂(a−1)−
(a−1)成分としては、パウダー状のポリフェニレンエーテル系樹脂を用いた。
なお、下記の融点とは、示差熱走査型熱量計(DSC)を用い、20℃/分で昇温するときに得られる温度−熱流量グラフのピークトップ温度を言う。
(a−1−1)2,6−キシレノールを酸化重合して得た、重量平均分子量(Mw):52,000、還元粘度:0.54dl/g、融点:250℃である、ポリフェニレンエーテルパウダー。
(a−1−2)2,6−キシレノールを酸化重合して得た、重量平均分子量(Mw):37,000、還元粘度:0.44dl/g、融点:247℃である、ポリフェニレンエーテルパウダー。
(a−1−3)2,6−キシレノールを酸化重合して得た、重量平均分子量(Mw):56,000、還元粘度:0.57dl/g、融点:250℃である、ポリフェニレンエーテルパウダー。
(a−1−4)前記(a−1−1)のポリフェニレンエーテルパウダーを二軸押出機(商品名:ZSK−40、WERNER&PFLEIDERER社製)を用いて、シリンダ温度:300℃、スクリュー回転数:300rpm、吐出量:40kg/時間の混練条件で、溶融混練することによって得た、融点を示さなくなったポリフェニレンエーテルペレット。
(a−2−1)アタクチックホモポリスチレン(商品名:ポリスチレン685、PSジャパン社製)。
(a−2−x1)ハイインパクトポリスチレン(商品名:ポリスチレンH9405、PSジャパン社製)。
(a−2−x2)ハイシスブタジエンゴムを8質量%含有し、メルトフローレート(MFR):3.2g/10分のハイインパクトポリスチレン
(b−1)ブロック構造:ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレン、水素添加前のブロック重合体の1,2−ビニル結合量:33%、スチレン含有量:33%、数平均分子量(Mn):246,000、分子量分布:1.07、ポリブタジエン部分に対する水素添加率:99.8%である、水素添加ブロック共重合体。
(b−2)ブロック構造:ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレン、水素添加前のブロック重合体の1,2−ビニル結合量:34%、スチレン含有量:34%、数平均分子量(Mn):154,000、分子量分布:1.09、ポリブタジエン部分に対する水素添加率:99.9%である、水素添加ブロック共重合体。
(b−x1)ブロック構造:ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレン、水素添加前のブロック重合体の1,2−ビニル結合量:35%、スチレン含有量:33%、数平均分子量(Mn):139,500、分子量分布:1.12、ポリブタジエン部分に対する水素添加率:99.9%である、水素添加ブロック共重合体。
(b−x2)ブロック構造:ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレン、水素添加前のブロック重合体の1,2−ビニル結合量:35%、スチレン含有量:33%、数平均分子量(Mn):249,300、分子量分布:1.15、ポリブタジエン部分に対する水素添加率:96.1%である、水素添加ブロック共重合体。
(c−1)無水マレイン酸(商品名:クリスタルMAN、日本油脂製品(株)製)。
(c−2)クエン酸(試薬特級)(和光純薬工業(株)製)。
(d−1)平均長さ:3mm、平均直径:10μm、アミノシラン系カップリング剤で表面処理した、ガラス繊維。
(d−2)平均長さ:3mm、平均直径:6μm、アミノシラン系カップリング剤で表面処理した、ガラス繊維。
(d−3)平均長さ:3mm、平均直径:13μm、アミノシラン系カップリング剤で表面処理した、ガラス繊維。
(d−x)平均長さ:3mm、平均直径:10μm、表面処理を施していない、ガラス繊維。
後述する実施例及び比較例の樹脂組成物のペレットを用いて、ASTM−D1238に準拠して、温度:300℃、荷重:49Nの条件で、メルトフローレート(MFR)(g/10分)を測定した。
評価基準としては、測定値が高い値であるほど、溶融流動性が良好であると判定した。
後述する実施例及び比較例の樹脂組成物のペレットを、220〜320℃に設定したスクリューインライン型射出成形機(商品名:IS−80EPN、東芝機械株式会社製)に供給し、金型温度:90℃の条件で、JIS K7152−1及びK7313−2に準拠して、JIS K7139タイプA試験片を作製した。この試験片を切削して、振動疲労特性測定用試験片を作製した。
上記振動疲労特性測定用試験片に、JIS K7118に準拠して、油圧サーボ疲労試験機(商品名:EHF−50−10−3、株式会社鷺宮製作所製)を用いて、温度:23℃、周波数:30Hzの正弦波、引張り荷重:50MPaの条件で、試験片が破断したときの振動回数(回)を求めた。
評価基準としては、破断までの振動回数が多いほど、耐振動疲労特性に優れていると判定した。
(2)において作製したJIS K7139タイプA試験片を切削して、荷重撓み温度測定用試験片を作製した。
上記荷重撓み温度測定用試験片について、JIS K7191−1に準拠して、1.81MPa荷重の条件で、該試験片の荷重たわみ温度(℃)を測定した。
評価基準としては、測定値が高い値であるほど、耐熱性が優れていると判定した。
(2)において作製したJIS K7139タイプA試験片を切削して、シャルピー衝撃強度測定用試験片を作製した。
上記シャルピー衝撃強度測定用試験片について、JIS K7111−1/1eAに準拠して、該試験片のシャルピー衝撃強度(KJ/m2)を測定した。
評価基準としては、測定値が高い値であるほど、耐衝撃性に優れていると判定した。
後述する実施例及び比較例の樹脂組成物のペレットを、320℃に設定したスクリューインライン型射出成形機(商品名:IS−80EPN、東芝機械株式会社製)に供給し、10分間の滞留の後、金型温度:90℃の条件で、ピンゲート平板(縦:150mm×横:150mm×厚さ:2mm)を射出成形した。そして、このピンゲート平板表面におけるシルバーストリークスが発生した面積の割合を目視にて評価した。
評価基準は、以下の通りである;A:ほぼ0%、B:0%超25%以下、C:25%超50%以下、D:50%超75%以下、E:75%以上100%以下。
後述する実施例及び比較例の樹脂組成物のペレットを、220〜320℃に設定したスクリューインライン型射出成形機(商品名:IS−80EPN、東芝機械株式会社製)に供給し、金型温度:90℃の条件で、JIS K7152−1及びK7313−2に準拠して、JIS K7139タイプA試験片を作製した。この試験片の表面を観察して、フィラーが流動方向に配向して凹凸を形成している状態を目視にて評価した。
評価基準は、以下の通りである;A:フィラーの配向及びそれによる凹凸が外観からは観測されない。B:フィラーの配向及びそれによる凹凸が表面面積の30%以下に観測される。C:フィラーの配向及びそれによる凹凸が30%以上に観測される。
後述する実施例及び比較例の樹脂組成物からクロロホルム溶媒にて樹脂分を溶かし、ガラス繊維分を沈殿させて、分離した。組成物5gに対して100gのクロロホルムを加え、静置して無機フィラーを沈殿させた。溶解した樹脂溶液を、投入したクロロホルム量の95%以上の分だけ、上部からスポイトで分取した。沈殿して残ったガラス繊維に対して、再度クロロホルムを投入して静置・沈殿・分取を計5回繰り返した。5回目の沈殿物にアセトンを100g投入して、静置・沈殿・分取を行い、クロロホルムからアセトンへの溶媒置換を行った。この沈殿物をアルミ皿に移して、真空乾燥機にて90℃で4時間乾燥してアセトンを完全に取り除いた。
得られた粉体について、セイシン工業株式会社製のPITA−03を用いて、個々の粉体の画像を1000個分析して、繊維径(μm)と繊維長(μm)とを算出した。1000個の画像の結果から、繊維の平均直径(D)及び繊維の平均長さ(L)の平均を算出した。また、繊維長の繊維径に対する割合(L/D)も算出した。
後述する実施例及び比較例の樹脂組成物からクロロホルム溶媒にて樹脂分を溶かし、ガラス繊維分を沈殿させて、分離した。組成物5gに対して100gのクロロホルムを加え、静置して無機フィラーを沈殿させた。溶解した樹脂溶液を、投入したクロロホルム量の95%以上の分だけ、上部からスポイトで分取した。沈殿して残ったガラス繊維に対して、再度クロロホルムを投入して静置・沈殿・分取を計5回繰り返した。5回目の沈殿物にアセトンを100g投入して、静置・沈殿・分取を行い、クロロホルムからアセトンへの溶媒置換を行った。この沈殿物をアルミ皿に移して、真空乾燥機にて90℃で4時間乾燥してアセトンを完全に取り除いた。
得られた粉体について、三菱化学社製の窒素分析装置TN−110を用いて、粉体中の窒素原子の含有量(質量ppm)を測定した。サンプル量は約10mgとした。N数は5回として、その平均値を測定値とした。
後述する実施例及び比較例の樹脂組成物からクロロホルム溶媒にて樹脂分を溶かし、ガラス繊維分を沈殿させて、分離した。組成物5gに対して100gのクロロホルムを加え、静置して無機フィラーを沈殿させた。溶解した樹脂溶液を、投入したクロロホルム量の95%以上の分だけ、上部からスポイトで分取した。沈殿して残ったガラス繊維に対して、再度クロロホルムを投入して静置・沈殿・分取を計5回繰り返した。5回目の沈殿物にアセトンを100g投入して、静置・沈殿・分取を行い、クロロホルムからアセトンへの溶媒置換を行った。この沈殿物をアルミ皿に移して、真空乾燥機にて90℃で4時間乾燥してアセトンを完全に取り除いた。
得られた粉末について、日本分光社製のFT−IR−6600及び真空加熱拡散反射測定装置DR−650Aiを用いて、測定した。ブランクには、フッ化カルシウムの粉体を用いた。測定条件は、分解能4cm-1、積算回数256回とした。3570cm-1部分の吸収ピークについて、スペクトルのフィッティング計算による分離を行い、ピーク面積を算出して、シラノール基の残存量を求めた。
後述する実施例及び比較例の樹脂組成物に含まれる遊離ブタジエンの濃度を、長さ27.5m、内径0.32mm、膜厚10μmのCHROMPACKキャピラリカラムCP−PoraPLOT Q−HTを備えたヘッドスペースガスクロマトグラフを用いたガスクロマトグラフィーにより、注入量25μLの条件で、求めた。
1,3−ブタジエンのストック溶液を調製するために、25mLバイアル瓶用の隔壁を中空針で2度穿孔し、中空針は1つの穿孔内に残した。隔壁とねじ蓋とを備えたバイアル瓶を秤量した。N,N−ジメチルアセトアミド20mLをピペットでバイアル瓶に採取した。バイアル瓶を再度秤量した。中空針と第2の穿孔を含むバイアル瓶をねじ蓋で閉じた。換気フード内で作業して、1,3−ブタジエン約0.3gを細いチューブ経由で第2の穿孔からバイアル瓶に導入した。ねじ蓋と中空針とを備えたバイアル瓶を再秤量した。バイアル瓶中の1,3−ブタジエンの濃度を、溶液1g当たりの1,3−ブタジエンのmg量として求めた。
1,3−ブタジエンの標準溶液を調製するために、隔壁と蓋とを備えたサンプルバイアル瓶を4個秤量した。N,N−ジメチルアセトアミド20mLをピペットで各バイアル瓶に採取した。0.1mL、0.5mL、1.0mL、2.0mLの1,3−ブタジエンストック溶液を、それぞれ、ピペットで4つのバイアル瓶に採取した。バイアル瓶を再秤量した。各バイアル瓶中の1,3−ブタジエンの濃度を、溶液1g当たりの1,3−ブタジエンのmg量として求めた。
N,N−ジメチルアセトアミド20mLをピペットで25mLバイアル瓶に採取して蓋をし、シリンジ経由でn‐ペンタン40μLを添加して、内部標準溶液を調製した。
分析用サンプルを以下の方法で調製した。空の25mLサンプルバイアル瓶を精製窒素でパージした。隔壁と蓋とを含むヘッドスペースバイアル瓶を秤量した。約1.00g評量し、質量を正確に記録した固体サンプルをバイアル瓶に導入した。N,N−ジメチルアセトアミド5mLをピペットでバイアル瓶に採取し、蓋をした。
内部標準溶液20μLをシリンジ経由で隔壁からバイアル瓶に添加した。この手順を繰り返して、バイアル瓶サンプルを作成した。
1,3−ブタジエン標準溶液A、B、C、Dと分析用サンプルのそれぞれ20μLをバイアル瓶に導入した。
これらのバイアル瓶をシェーカーに入れて一晩振動させた。各サンプルのヘッドスペースの1μL容積をガスクロマトグラフィーで分析し、n‐ペンタン内部標準と1,3−ブタジエンとのピーク面積を記録した。
各サンプルについて、1,3−ブタジエンの濃度を、1,3−ブタジエンのピーク面積とn‐ペンタンのピーク面積との比として求めた。
ピーク面積と添加した1,3−ブタジエン濃度との比をプロットし、方程式y=ax+b(y:1,3−ブタジエンとn‐ペンタンとのピーク面積比、a:回帰の勾配(kg/mg)、x:固体中の1,3−ブタジエンの濃度(mg/kg)、b:は回帰線の切片)に適合させた。
固体中のブタジエンの濃度をb/a(a:回帰線の勾配(kg/mg)、b:回帰線の切片)として求めた。
結果は、樹脂組成物1kg当たりの1,3−ブタジエンをmg単位で表した、固体中の1,3−ブタジエンの濃度(すなわち、1,3−ブタジエンの質量ppm)である。分析の検出限界は0.03質量ppmであった。
得られた樹脂組成物のペレット、及び(2)において作製したJIS K7139タイプA試験片について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(商品名:System21、昭和電工(株)製)を、標準物質:ポリスチレン、溶媒:クロロホルム、溶媒流量:1.0mL/分、カラム温度:40℃、検出部のUV波長:ポリフェニレンエーテル系樹脂について283nm、標準ポリスチレンについて254nm、の条件で用いて、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)の測定を行った。
溶融混練機として、二軸押出機(商品名:ZSK−40、COPERION社製)を用いた。
原料の流れ方向について上流側に第1原料供給口、該第1原料供給口よりも下流に第1真空ベント、該第1真空ベントよりも下流に第2原料供給口、第3原料供給口、該第3原料供給口よりも下流に第2真空ベントを設けた。
第2原料供給口から上流側には、送り方向のニーディングディスクを押出機のL/D換算で60mm長分設置している。また、第2原料供給口から下流側には60mm長分送りスクリューを設置した後、60mm長分の送り方向のニーディングディスクを設置している。
また、第2原料供給口及び第3原料供給口における原材料の供給は、サイド開放口から強制サイドフィーダーを用いて行った。
そして、(a−1)成分と(a−2)成分とを含有する樹脂混合物(a)、水素添加ブロック共重合体(b)、官能基含有化合物(c)、表面処理された無機フィラー(d)を、上記の通り設定された二軸押出機を用いて、下記表1に示す組成で溶融混練して、ペレット体の樹脂組成物を製造した。混練条件は、押出温度:250〜320℃、スクリュー回転数:300rpm、吐出量:80kg/時間とした。
溶融混練機として、二軸押出機(商品名:ZSK−40、COPERION社製)を用いた。
実施例1〜9と同様の位置に、第1原料供給口、第2原料供給口、第3原料供給口を設けた。実施例1〜9で用いた真空ベントにはすべて盲栓を設置した。
また、第2原料供給口及び第3原料供給口における原材料の供給は、サイド開放口から強制サイドフィーダーを用いて行った。
第2原料供給口から上流側には、送り方向のニーディングディスクを押出機のL/D換算で20mm長分設置している。また、第2原料供給口から下流側には20mm長分送りスクリューを設置した後、80mm長分の送り方向のニーディングディスクを設置している。
原料の投入位置は表1に示す通りとした。混練条件は、実施例1〜9と同様とした。
溶融混練機として、二軸押出機(商品名:ZSK−40、COPERION社製)を用いた。
実施例1〜9と同様の位置に、第1原料供給口、第2原料供給口、第3原料供給口を設けた。実施例1〜9で用いた真空ベントはすべて盲栓を設置した。
また、第2原料供給口及び第3原料供給口における原材料の供給は、サイド開放口から強制サイドフィーダーを用いて行った。
第2原料供給口から上流側には、送り方向のニーディングディスクを押出機のL/D換算で80mm長分設置している。また、第2原料供給口から下流側は60mm長分送りスクリューを設置した後、20mm長分の送り方向のニーディングディスクを設置している。
原料の投入位置は表1に示す通りとした。混練条件は、実施例1〜9と同様とした。
特に、実施例13については、二軸押出機(商品名:ZSK−40、WERNER&PFLEIDERER社製)を用いて、下記表1に示す通り、第1原料供給口から投入した、成分(a―1−1)、成分(a−2)、成分(b−1)、成分(c−1)を、一旦溶融混練して、ペレット体の組成物を調製した。混練条件は、押出温度:300℃、スクリュー回転数:300rpm、吐出量:80kg/時間とした。こうして、融点を示さなくなった成分(a―1−1)を含む組成物を調製した。
その後、調製したペレット体の組成物と、第2原料供給口から投入した、成分(d−1)とを、更に溶融混練した。
本発明の樹脂組成物は、コンパクトディスク・リードオンリーメモリ(CD−ROM)、デジタルバーサタイルディスク・リードオンリーメモリ(DVD−ROM)、コンパクトディスク・レコーダブル(CD−R)、デジタルバーサタイルディスク・レコーダブル・−R規格(DVD−R)、デジタルバーサタイルディスク・レコーダブル・+R規格(DVD+R)、コンパクトディスク・リライタブル(CD−RW)、デジタルバーサタイルディスク・リライタブル・−R規格(DVD−RW)、デジタルバーサタイルディスク・リライタブル・+R規格(DVD+RW)、デジタルバーサタイルディスク・ランダムアクセスメモリ(DVD−RAM)等のシャーシーやキャビネット、光ピックアップスライドベース等の光学機器機構部品;光源ランプ周り部品;金属フィルム積層基板用シート又はフィルム;ハードディスク内部部品;光ファイバー用コネクタフェルール;レーザービームプリンター内部部品;インクジェットプリンター内部部品等のプリンター部品;コピー機部品;自動車ラジエータータンク部品等の自動車エンジンルーム内部品;自動車ランプ部品;ポンプケーシング(ポンプ筐体)、バルブ、配管ブロック、フランジ等の液体接触部品等の原料として、産業上の利用可能性を有している。
Claims (12)
- ポリフェニレンエーテル系樹脂(a−1)と、アタクチックホモポリスチレン(a−2)とを含有する樹脂混合物(a)を、(a−1)成分と(a−2)成分との合計で50質量%超94質量%未満、
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBと、を含むブロック共重合体の少なくとも一部が水素添加されてなる水素添加ブロック共重合体(b)を、1質量%以上20質量%以下、
カルボキシル基及びカルボキシル基から誘導される基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する官能基含有化合物(c)を、0.01質量%以上0.5質量%以下、
表面処理された無機フィラー(d)を、5質量%以上30質量%未満、
含有する樹脂組成物であり、
共役ジエン化合物部分の水素添加率が98%未満である重合体を実質的に含有せず、
前記(a−1)成分の重量平均分子量(Mw)が70,000未満であり、
前記(b)成分の数平均分子量(Mn)が150,000以上300,000以下である、
ことを特徴とする、樹脂組成物。 - 前記(a−1)成分が融点を有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記(a−1)成分と前記(a−2)成分との合計100質量部に対して、前記(a−2)成分が0.1質量部以上95質量部以下である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 前記(c)成分が、フマル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸、コハク酸、クエン酸、アコニット酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記(d)成分が、アミノシラン又はエポキシシランで表面処理されている無機フィラーである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記(d)成分が表面処理されたガラス繊維であり、
前記ガラス繊維における、繊維の平均長さ(L)の繊維の平均直径(D)に対する割合(L/D)が24〜50である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。 - 前記(d)成分が表面処理されたガラス繊維であり、
前記ガラス繊維表面について拡散型反射装置を用いて測定したFT−IRスペクトルにおける3570cm-1のピーク面積が、フッ化カルシウムの粉体をブランクとした場合に、9以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂組成物。 - 前記(d)成分が表面処理されたガラス繊維であり、
前記ガラス繊維表面の窒素原子の含有量が、前記ガラス繊維の質量に対して、1質量ppm以上500質量ppm以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂組成物。 - 前記(d)成分が表面処理されたガラス繊維であり、
前記ガラス繊維表面の窒素原子の含有量が、前記ガラス繊維の質量に対して、10質量ppm以上80質量ppm以下である、請求項8に記載の樹脂組成物。 - 請求項1〜9のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含むことを特徴とする、成形体。
- 請求項10に記載の成形体からなることを特徴とする、配管機械部品。
- 飲料水に接触させて用いることを特徴とする、請求項11に記載の配管機械部品。
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