JPWO2016152822A1 - 導電性フィルム及び有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、低抵抗で導電性能の安定性が高い導電性フィルム及び発光性能の安定性が高く、色度の角度依存の少ない有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することである。本発明の導電性フィルムは、樹脂フィルム上に導電性ポリマー又は金属酸化物を含有する導電層を備える導電性フィルムであって、ケイ素含有ポリマーの改質処理物を含有するケイ素含有ポリマー改質層と、前記ケイ素含有ポリマー改質層上に位置し、遷移金属酸化物を含有する遷移金属酸化物層と、を備え、前記導電層が、前記遷移金属酸化物層上に位置することを特徴とする。

Description

本発明は、導電性フィルム及び有機エレクトロルミネッセンス素子に関し、詳細には、低抵抗で導電性能の安定性が高い導電性フィルム及び発光性能の安定性が高い有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
樹脂フィルム上に導電性物質を用いて形成された導電層を備える導電性フィルムは、ディスプレイや照明パネル等に用いられる有機エレクトロルミネッセンス(EL:Electro Luminescence)素子、太陽電池、電子ペーパー等の薄型の電子デバイスの電極として広く用いられている。
なかでも、大面積の電子デバイス、例えば照明用の有機EL素子や発電用の太陽電池等は、高い発光効率又は発電効率が求められるため、低抵抗の導電性フィルムが望まれていた。
そこで、導電性ポリマーを含有する導電層に、グラフェン等のカーボン材料及び銀ナノワイヤーを使用した、低抵抗な導電性フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、このような導電性フィルムは浸入したガスにより導電層が劣化しやすく、抵抗率が変化して導電性能の安定性が低かった。このような導電性フィルムを電極として有機EL素子に使用すると、高温高湿下での長期使用によって輝度が変化する等、発光性能の安定性を低下させていた。
高温高湿下での使用にも耐えられるように、導電層の下にガスバリアー性の高いケイ素化合物層を形成することもできる(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、導電性ポリマーを用いた導電層の下にケイ素化合物層が形成された導電性フィルムは抵抗が大きく、低抵抗と導電性能の安定性を両立することができなかった。
また、液晶ディスプレイの技術の進歩にともない、液晶ディスプレイのバックライトに使用する有機EL素子としては、色度の角度依存がより少ないものが望まれている。
特開2014−200926号公報 特開2014−186985号公報
本発明は上記問題及び状況に鑑みてなされ、その解決課題は、低抵抗で導電性能の安定性が高い導電性フィルム及び発光性能の安定性が高く、色度の角度依存の少ない有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、導電性ポリマー又は金属酸化物を含有する導電層の下に遷移金属酸化物層を備え、さらに遷移金属酸化物層の下にケイ素含有ポリマー改質層を備えると、導電層の導電性能を損なうことなく、非常に高いガスバリアー性が得られることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段によって解決される。
1.樹脂フィルム上に導電性ポリマー又は金属酸化物を含有する導電層を備える導電性フィルムであって、
ケイ素含有ポリマーの改質処理物を含有するケイ素含有ポリマー改質層と、
前記ケイ素含有ポリマー改質層上に位置し、遷移金属酸化物を含有する遷移金属酸化物層と、を備え、
前記導電層が、前記遷移金属酸化物層上に位置することを特徴とする導電性フィルム。
2.前記導電層が、前記導電性ポリマーを含有する導電層である場合、前記遷移金属酸化物層上に金属ナノ材料を含有する金属層を備えることを特徴とする第1項に記載の導電性フィルム。
3.前記導電層が、前記導電性ポリマーを含有する導電層である場合、前記遷移金属酸化物層上にカーボン材料を含有するカーボン層を備えることを特徴とする第1項又は第2項に記載の導電性フィルム。
4.前記導電層が、前記導電性ポリマーを含有する導電層である場合、前記導電性ポリマーを含有する導電層上に、金属酸化物を含有する導電層をさらに備えることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の導電性フィルム。
5.前記導電層が、前記金属酸化物を含有する導電層である場合、前記金属酸化物が、インジウム−亜鉛・酸化物であることを特徴とする第1項に記載の導電性フィルム。
6.前記導電層が、前記金属酸化物を含有する導電層である場合、前記導電層の下に光散乱層を備えることを特徴とする第1項又は第5項に記載の導電性フィルム。
7.前記遷移金属酸化物が、元素周期表における第5族の金属の酸化物であることを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の導電性フィルム。
8.前記遷移金属酸化物が、酸化ニオブであることを特徴とする第1項から第7項までのいずれか一項に記載の導電性フィルム。
9.前記導電層が、前記遷移金属酸化物層上にグリッドを備えることを特徴とする第1項から第8項までのいずれか一項に記載の導電性フィルム。
10.第1項から第9項までのいずれか一項に記載の導電性フィルムを、電極として備えることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
本発明の上記手段により、低抵抗で導電性能の安定性が高い導電性フィルム及び発光性能の安定性が高く、色度の角度依存の少ない有機エレクトロルミネッセンス素子を提供できる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構は明確になっていないが、以下のように推察される。
ガスバリアー性に優れたケイ素含有ポリマー改質層と、ケイ素含有ポリマー改質層の酸化を防ぐ遷移金属酸化物層とを組み合わせて導電層の下に配置し、ケイ素含有ポリマー改質層ではなく遷移金属酸化物層を導電層と隣接させることにより、導電層の導電性を損なうことなく、非常に高いガスバリアー性を得ることができたと推察される。理由は定かではないが、遷移金属のd電子が作用して遷移金属酸化物層上に成膜される導電層の膜質に影響を与え、その結果、導電層の膜質が均一になり導電性を損なわずに良好に維持できたのではないかと推察される。
本来の導電性を損なうことなく、樹脂フィルムから浸入するガスに対するガスバリアー性を高めることができたことから、高温高湿下においても導電層の劣化を効果的に防いで、導電性能の安定性を高めることができたと推察される。
導電性能の安定性が高い導電性フィルムを用いることにより、駆動電圧や輝度も安定化し、安定性が高く、色度の角度依存の少ない有機エレクトロルミネッセンス素子が得られたと推察される。
本発明の実施の形態の導電性フィルムの構成を示す断面図 真空紫外光照射装置の概要を示す正面図 ケイ素化合物層をさらに備える導電性フィルムの構成を示す断面図 ケイ素含有ポリマー改質層をさらに備える導電性フィルムの構成を示す断面図 導電性ポリマー層、カーボン層、金属層、グリッド及びメッキ層を備える導電層の拡大断面図 導電性ポリマーを含有する導電層上に、金属酸化物を含有する導電層をさらに備える導電性フィルムの構成を示す断面図 金属酸化物層、グリッド及びメッキ層を備える導電層の拡大断面図 光散乱層をさらに備える導電性フィルムの構成を示す断面図 本実施の形態の有機エレクトロルミネッセンス素子の構成を示す断面図
本発明の導電性フィルムは、樹脂フィルム上に導電性ポリマー又は金属酸化物を含有する導電層を備える導電性フィルムであって、ケイ素含有ポリマーの改質処理物を含有するケイ素含有ポリマー改質層と、前記ケイ素含有ポリマー改質層上に位置し、遷移金属酸化物を含有する遷移金属酸化物層と、を備え、前記導電層が、前記遷移金属酸化物層上に位置することを特徴とする。この特徴は各請求項に係る発明に共通の技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、低抵抗化し、導電性を高める観点から、前記導電層が、前記導電性ポリマーを含有する導電層である場合、前記遷移金属酸化物層上に金属ナノ材料を含有する金属層か、カーボン材料を含有するカーボン層を備えることが好ましい。
同様に導電性を高める観点から、前記導電層が、前記導電性ポリマーを含有する導電層である場合、前記導電性ポリマーを含有する導電層上に、金属酸化物を含有する導電層をさらに備えることが好ましい。
前記導電層が、前記金属酸化物を含有する導電層である場合、導電性を高める観点からは、前記金属酸化物が、インジウム−亜鉛・酸化物であることが好ましい。
また、前記導電層が、前記金属酸化物を含有する導電層である場合、前記導電層の下に光散乱層を備えることが好ましい。
光散乱層を備える導電性フィルムを電極として用いることにより、有機エレクトロルミネッセンス素子の光取り出し効率を高めることができる。
ガスバリアー性を高める観点から、前記遷移金属酸化物が、元素周期表における第5族の金属の酸化物であることが好ましい。
なかでも、酸化ニオブであることが、ガスバリアー性だけでなく、透過率の角度依存性がより小さい導電性フィルムが得られ、より好ましい。
導電性を高める観点からは、前記導電層が、前記遷移金属酸化物層上にグリッドを備えることが好ましい。
本発明の導電性フィルムは、有機エレクトロルミネッセンス素子の電極として好ましく使用できる。本発明の導電性フィルムの使用により、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光性能の安定性を向上させ、色度の角度依存性を減らすことができる。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態について詳細な説明をする。
なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
〔第1の実施の形態〕
〔導電性フィルム〕
本発明の第1の実施の形態の導電性フィルムは、樹脂フィルム上に導電性ポリマーを含有する導電層を備える導電性フィルムであって、ケイ素含有ポリマーの改質処理物を含有するケイ素含有ポリマー改質層と、当該ケイ素含有ポリマー改質層上に位置し、遷移金属酸化物を含有する遷移金属酸化物層と、を備え、上記導電層が、上記遷移金属酸化物層上に位置している。
図1は、本発明の実施の形態の導電性フィルム10aの構成を示している。
導電性フィルム10aは、図1に示すように、樹脂フィルム1上にケイ素含有ポリマー改質層2及び遷移金属酸化物層3をこの順に備え、遷移金属酸化物層3上に導電層4を備えている。
〔樹脂フィルム〕
樹脂フィルム1として使用できる樹脂としては特に制限はなく、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリスチレン樹脂、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリサルホン(PSF)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂等が挙げられる。これらの樹脂を単独で使用してもよいし、複数を併用してもよい。
また、樹脂フィルム1は、未延伸フィルムでもよいし、延伸フィルムでもよい。
樹脂フィルム1は透明性が高いと、電子デバイスにおいて透明電極として使用することができ、好ましい。透明性が高いとは、JIS K 7361−1:1997(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率が50%以上であることをいい、80%以上であるとより好ましい。
樹脂フィルム1は、樹脂フィルム1上に形成されるケイ素含有ポリマー改質層2等との密着性を高めるため、表面活性化処理が施されていてもよいし、下地層が設けられていてもよい。また、耐衝撃性を高めるため、ハードコート層が設けられていてもよい。
表面活性化処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等が挙げられる。
下地層及びハードコート層の材料としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体等が挙げられ、なかでも紫外線硬化型樹脂を好ましく使用できる。下地層は単層でもよいが、多層構造であると密着性がより向上する。
〔ケイ素含有ポリマー改質層〕
ケイ素含有ポリマー改質層2は、繰り返し構造中にケイ素と酸素(Si−O)、ケイ素と窒素(Si−N)等の結合を有するケイ素含有ポリマーの改質処理物を含有している。
ケイ素含有ポリマー改質層2の厚さは、目的に応じて適宜設定することができるが、一般的には、10nm〜10μmの範囲内とすることができる。
ケイ素含有ポリマーの具体例としては、繰り返し構造中に、Si−O結合を有するポリシロキサン(ポリシルセスキオキサンを含む)、Si−N結合を有するポリシラザン、Si−O結合とSi−N結合の両方を含むポリシロキサザン等が挙げられる。これらは2種以上を混合して使用することができる。また、異なる種類のケイ素含有ポリマーの層を積層することもできる。
ポリシロキサンは、繰り返し構造中に、−〔RaSiO1/2〕−、−〔RbSiO〕−、−〔RcSiO3/2〕−、−〔SiO〕−等を含む。Ra、Rb及びRcは、それぞれ独立に、水素原子、1〜20の炭素原子を含むアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、アリール基(例えばフェニル基、不飽和アルキル基)等の置換基を表す。
ポリシルセスキオキサンは、上記ポリシロキサンのなかでもシルセスキオキサンと同じ構造を繰り返し構造中に含む化合物である。シルセスキオキサンは、上記−[RcSiO3/2]−で表される構造を有する化合物である。
ポリシラザンの構造は、下記一般式(A)で表すことができる。
一般式(A)
−[Si(R)(R)−N(R)]−
〔上記一般式(A)において、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基を表す。〕
上記一般式(A)中のR、R及びRの全てが水素原子であるポリシラザンが、パーヒドロポリシラザンである。パーヒドロポリシラザンは、緻密な膜が得られる点で好ましい。
パーヒドロポリシラザンは、直鎖構造と、6員環及び8員環を中心とする環構造が存在した構造と推定されている。その分子量は、数平均分子量(Mn)で約600〜2000程度(ポリスチレン換算)で、液体又は固体の物質があり、その状態は分子量により異なる。
一方、上記一般式(A)において、Siと結合する水素原子の一部がアルキル基等で置換されたポリシランがオルガノポリシラザンである。オルガノポリシラザンは、メチル基等のアルキル基によって下層の樹脂フィルム1との密着性が向上し、かつ硬くてもろい特性を有するポリシラザンに靭性を付与することができるため、膜を厚くした場合でもクラックの発生が抑えられるという利点がある。したがって、用途に応じて適宜、パーヒドロポリシラザンとオルガノポリシラザンを選択するか、又は両者を混合して使用すればよい。
ポリシロキサザンは、繰り返し構造中に、−[(SiH(NH)]−と−[(SiHO]−で表される構造を含む。n、m及びrは、それぞれ独立に、1〜3を表す。
低温でセラミック化するポリシラザンの他の例としては、上記一般式(A)で表される単位からなる主骨格を有するポリシラザンに、ケイ素アルコキシドを反応させて得られるケイ素アルコキシド付加ポリシラザン(例えば、特開平5−238827号公報参照。)、グリシドールを反応させて得られるグリシドール付加ポリシラザン(例えば、特開平6−122852号公報参照。)、アルコールを反応させて得られるアルコール付加ポリシラザン(例えば、特開平6−240208号公報参照。)、金属カルボン酸塩を反応させて得られる金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(例えば、特開平6−299118号公報参照。)、金属を含むアセチルアセトナート錯体を反応させて得られるアセチルアセトナート錯体付加ポリシラザン(例えば、特開平6−306329号公報参照。)、金属微粒子を添加して得られる金属微粒子添加ポリシラザン(例えば、特開平7−196986号公報参照。)等が挙げられる。
ケイ素含有ポリマー改質層2は、上述したケイ素含有ポリマーを含有する塗布液を用いて塗膜を形成し、当該塗膜に改質処理を施すことにより形成することができる。
なお、改質処理によりケイ素含有ポリマーをシリカ等に転化させて改質処理物を得るが、ケイ素含有ポリマーの全てを改質する必要はなく、少なくとも一部、例えば紫外線照射面側が改質されていればよい。
塗膜の形成方法としては、ロールコート法、フローコート法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、バーコート法、流延成膜法、インクジェット法、グラビア印刷法等が挙げられる。
塗布液の調製には、ポリシラザンと容易に反応するアルコール系有機溶媒又は水分を含む有機溶媒の使用を避けることが好ましい。したがって、塗布液の調製に使用できる有機溶媒としては、例えば脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類等が挙げられる。具体的には、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターベン等の炭化水素類、塩化メチレン、トリクロロエタン等のハロゲン炭化水素類、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等が挙げられる。これらの有機溶媒は、ポリシラザンの溶解度や有機溶媒の蒸発速度等の特性に合わせて選択し、複数の有機溶媒を混合してもよい。
塗布液としては、ポリシラザンを有機溶媒中に溶解させた市販品を使用することができる。使用できる市販品としては、AZエレクトロニックマテリアルズ社製のアクアミカ NAX120−20、NN110、NN310、NN320、NL110A、NL120A、NL150A、NP110、NP140、SP140等が挙げられる。
塗布液は、改質処理を促進する観点から、触媒を含有することもできる。
触媒としては、塩基性触媒が好ましく、例えばN,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、3−モルホリノプロピルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン等のアミン触媒、Ptアセチルアセトナート等のPt化合物、プロピオン酸Pd等のPd化合物、Rhアセチルアセトナート等のRh化合物等の金属触媒、N−複素環式化合物等が挙げられる。
塗布液におけるケイ素含有ポリマーの含有量は、形成するケイ素含有ポリマー改質層2の厚さや塗布液のポットライフによっても異なるが、0.2〜35.0質量%の範囲内であることが好ましい。
形成した塗膜には、塗膜中の有機溶媒を除去する観点から、加熱による乾燥処理を施すことができる。
加熱時の温度は、50〜200℃の範囲内とすることができる。加熱時間は、樹脂フィルム1の変形等を防ぐため、短時間に設定することが好ましい。例えば、ガラス転移温度が70℃のポリエチレンテレフタレートの樹脂フィルム1の場合、乾燥処理時の温度は樹脂フィルムの変形を防止するため、150℃以下に設定することができる。
また、形成した塗膜に、塗膜中の水分を取り除く観点から、低湿度環境に維持して除湿する乾燥処理を施すこともできる。
低湿度環境における湿度は温度により変化するので、温度と湿度の関係は露点温度の規定により決定することができる。好ましい露点温度は4℃以下(温度25℃/湿度25%)で、より好ましい露点温度は−8℃(温度25℃/湿度10%)以下、さらに好ましい露点温度は−31℃(温度25℃/湿度1%)以下である。水分を取り除きやすくするため、減圧乾燥してもよい。減圧乾燥における圧力は常圧〜0.1MPaの範囲内で選ぶことができる。
塗膜の改質処理の方法としては、樹脂フィルム1へのダメージが少ない公知の方法を使用することができ、低温処理が可能なプラズマ処理、オゾン処理、紫外線又は真空紫外線の照射処理等を用いることができる。なかでも、真空紫外線の照射処理は、ケイ素含有ポリマー改質層2を形成してから遷移金属酸化物層3を形成するまでの間の環境の影響によってガスバリアー性が低下しにくいことから、好ましい。
真空紫外線照射処理は、ケイ素含有ポリマーを構成する原子間結合力より大きい100〜200nmの波長範囲にある真空紫外光の光エネルギーを用い、原子間の結合を光量子プロセスと呼ばれる、光子のみによる作用により直接切断するとともに、活性酸素やオゾンによる酸化反応を進行させることで、約200℃以下の比較的低温の環境下でシリカ等に転化させる処理である。
真空紫外光の光源としては、100〜200nmの波長の光を発生させるものであればよく、照射波長が、約172nmの希ガスエキシマランプ(例えば、エム・ディ・コム社製のXeエキシマランプ MODEL:MECL−M−1−200)、約185nmの低圧水銀蒸気ランプ、200nm以下の中圧及び高圧水銀蒸気ランプ等が挙げられる。
エキシマランプの特徴としては、単一波長の光を放射し、発光効率が極めて高いこと、放射する光が短波長で照射対象の温度を低温状態に保てること、瞬時の点灯及び点滅が可能であること等が挙げられ、熱の影響を受けやすい樹脂フィルム1にも適用しやすい光源である。
特に、Xeエキシマランプが放射する172nmという短い単一波長の真空紫外光は、酸素の吸収係数が大きく、微量な酸素から高濃度の活性酸素又はオゾンを発生させ、有機物の結合の解離能力が高いことから、短時間での改質処理を可能とする。
真空紫外線の照射条件は、ケイ素含有ポリマー改質層2より下の樹脂フィルム1等を劣化させない範囲内で設定すればよい。
例えば、紫外線の照射時間は、樹脂フィルム1や塗布液の組成、濃度等にもよるが、一般に0.1秒〜10分の範囲内であり、0.5秒〜3分の範囲内であることが好ましい。
なお、均一に紫外線を照射する観点から、光源からの紫外線を反射板で反射させた反射光をケイ素含有ポリマー改質層2の塗膜に照射することが好ましい。
真空紫外線の照度は、1mW/cm〜10W/cmの範囲内とすることができる。1mW/cm以上であれば、改質効率が向上し、10W/cm以下であれば、塗膜に生じ得るアブレーション、樹脂フィルム1のダメージ等を低減することができる。
真空紫外線の照射エネルギー量(照射量)は、0.1〜10.0J/cmでの範囲内にすることができる。この範囲であれば、過剰な改質によるクラックの発生、樹脂フィルム1の熱変形等を防止することができ、生産性も向上する。
真空紫外線照射処理は、バッチ処理でも連続処理でもよい。バッチの処理の場合、真空紫外線の光源を備える紫外線焼成炉(例えば、アイグラフィクス社製の紫外線焼成炉。)において処理することができる。連続処理の場合、樹脂フィルム1を搬送して真空紫外線の光源を備えるゾーン内で連続的に紫外線を照射すればよい。
真空紫外線照射時の反応には酸素が必要であるが、真空紫外線は酸素による吸収があり、改質効率が低下しやすいことから、できる限り酸素濃度及び水蒸気濃度の低い雰囲気内で真空紫外線の照射を行うことが好ましい。例えば、真空紫外線照射時の酸素濃度は、10〜20000体積ppm(0.001〜2体積%)の範囲内とすることができる。水蒸気濃度は、好ましくは1000〜4000体積ppmの範囲内である。
上記雰囲気の調整には、乾燥不活性ガス、特にコストの観点から乾燥窒素ガスを用いることが好ましい。酸素濃度の調整は、室内に導入する酸素ガス及び不活性ガスの流量比を調整することにより、行うことができる。
図2は、改質処理に使用できる真空紫外線照射装置の一例を示している。
図2に示すように、真空紫外線照射装置100は、ステージ104上に樹脂フィルム1を載せてチャンバー101内を搬送する。チャンバー101内は、排気によって水蒸気が除去され、不活性ガスの導入により酸素濃度が一定に調整されている。ステージ104はヒーターを内蔵し、樹脂フィルム1を加熱することが可能である。
チャンバー101内は、遮蔽板106によって樹脂フィルム1の搬送方向Vに三つのゾーンに分けられ、中央のゾーンには複数のXeエキシマランプ102が設置されている。Xeエキシマランプ102は、電源を内蔵するホルダー103によって支持され、点灯制御される。ケイ素含有ポリマーの塗膜が形成された樹脂フィルム1を、このXeエキシマランプ102が設置されたゾーン内を通過させることにより、真空紫外線を照射することができる。
〔ケイ素化合物層〕
ガスバリアー性をより高める観点から、ケイ素含有ポリマー改質層2の下に、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素、炭化ケイ素等のケイ素化合物を含有するケイ素化合物層をさらに配置することもできる。
図3は、ケイ素含有ポリマー改質層2の下にケイ素化合物層5を備える導電性フィルム10bの断面構成を示している。
遷移金属酸化物層3と隣接する層がケイ素含有ポリマー改質層2であれば、このケイ素含有ポリマー改質層2よりも下層を、ケイ素化合物層5とケイ素含有ポリマー改質層の多層構造とすることもできる。
図4は、ケイ素含有ポリマー改質層2、ケイ素化合物層5及びケイ素含有ポリマー改質層2の多層構造を有する場合の導電性フィルム10cの断面構成を示している。
多層構造によって、導電層4に浸入するガスに対するガスバリアー性をより高めることができ、導電性能の安定性をさらに高めることができる。
ケイ素化合物層5は、酸化ケイ素を原料とする真空蒸着法、ケイ素を含むターゲットを用いたマグネトロンスパッタ法、イオンプレーティング法の他、ポリシラザン等のケイ素含有ポリマー改質層2に用いられるケイ素含有ポリマー(例えば、ヘキサメチルジシロキサン、パーヒドロポリシラザン等)、二酸化ケイ素等を原料としてプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法等により形成することができる。
なお、ガスバリアー性をより高めるという観点からは、ガスバリアー性が高い層であれば、酸化アルミニウム等のケイ素以外の金属酸化物、金属窒化物等の層を備えてもよい。
〔遷移金属酸化物層〕
遷移金属酸化物層3は、ケイ素含有ポリマー改質層2上であって導電層4の下に位置し、遷移金属酸化物を含有している。遷移金属酸化物層3がケイ素含有ポリマー改質層2と隣接することによりケイ素含有ポリマー改質層2の酸化を抑制し、導電層4と隣接することにより導電層4の導電性を損なうことなく、ケイ素含有ポリマー改質層2とともに非常に高いガスバリアー性を発揮することができる。
遷移金属酸化物層3に使用される遷移金属酸化物は、元素周期表における第3族から第12族までの金属の酸化物であり、そのうちの1種を単独で使用してもよいし、複数種を併用してもよい。
より高い安定性を得る観点からは、遷移金属酸化物が、元素周期表における第5族の金属の酸化物であることが好ましい。
第5族の金属としては、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)等が挙げられる。
なかでも、遷移金属酸化物が、酸化ニオブであることが好ましい。酸化ニオブが用いられた遷移金属酸化物層3とケイ素含有ポリマー改質層2とを組み合わせた導電性フィルム10aは、導電性能の安定性が向上するだけでなく、入射光の透過率の角度依存性を減らすことができる。これは、低屈折率層と高屈折率層を積層させることで、光の多重干渉を生じさせ、反射率が低減すること、また屈折率差による光学的な挙動が変化していること等が要因と推察される。このような導電性フィルム10aを用いることにより、角度による発光色の色味の変化が少ない有機EL素子を得ることができ、発光性能の信頼性を向上させることができる。
遷移金属酸化物層3における遷移金属酸化物の含有量は、50〜100質量%の範囲内であることが好ましい。この範囲内であれば、遷移金属酸化物層3中の遷移金属がケイ素含有ポリマー改質層2と相互作用でき、十分なガスバリアー性を得ることができる。
遷移金属酸化物層3の形成方法としては、遷移金属と酸素との組成比の調整がしやすいことから、蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等の物理気相成長(PVD:Physical Vapor Deposition)法、プラズマCVD法等のCVD法、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法等が挙げられる。なかでも、下層へのダメージがなく、生産性が高いスパッタ法が好ましい。
スパッタ法としては、2極スパッタ法、マグネトロンスパッタ法、デュアルマグネトロン(DM;Dual Magnetron)スパッタ法、反応性スパッタ法、イオンビームスパッタ法、電子サイクロトロン共鳴(ECR:Electron Cyclotron Resonance)スパッタ法等を用いることができ、このうちの1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用しもよい。
ターゲットの印加方式はターゲット種に応じて適宜選択することができる。DC(直流)方式又はDM方式の場合には、そのターゲットに遷移金属を用い、酸素を原料ガスとして導入することにより、遷移金属酸化物の薄膜を形成することができる。RF(高周波)方式の場合は、遷移金属酸化物のターゲットを用いることができる。不活性ガスとしては、He、Ne、Ar、Kr、Xe等を用いることができ、なかでもArが好ましい。
遷移金属酸化物層3は、単層であってもよいし、2層以上の多層構造であってもよい。多層構造の場合、各層に用いられる遷移金属酸化物は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
遷移金属酸化物層3の厚さは、位置によらず均一なガスバリアー性を発揮する観点から、1〜200nmの範囲内にあることが好ましい。
〔導電性ポリマーを含有する導電層〕
導電層4は、抵抗率が1×10Ω/□より低い導電性ポリマーを含有している。抵抗率は、JIS K 7194−1994の導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法に準拠して測定されたシート抵抗をいう。
導電層4は、導電性フィルム10aを電極として使用する観点から、抵抗率が10000Ω/□以下であることが好ましく、2000Ω/□以下であることがより好ましい。
導電層4の厚さは、30〜2000nmの範囲内にすることができる。導電性を高める観点からは、厚さが100nm以上であることが好ましい。表面の平滑性を高める観点からは、厚さが200nm以上であることが好ましく、透明性を高める観点からは、厚さが1000nm以下であることがより好ましい。
導電性ポリマーとしては、ポリアニオンを含有するπ共役系導電性高分子を用いることができる。
使用できるπ共役系導電性高分子としては、例えばポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリインドール類、ポリカルバゾール類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリフラン類、ポリパラフェニレンビニレン類、ポリアズレン類、ポリパラフェニレン類、ポリパラフェニレンサルファイド類、ポリイソチアナフテン類、ポリチアジル類等が挙げられる。なかでも、導電性、透明性、安定性等を高める観点から、ポリチオフェン類又はポリアニリン類が好ましく、ポリエチレンジオキシチオフェンがより好ましい。
π共役系導電性高分子は、π共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを、酸化剤、酸化触媒及びポリアニオンの存在の下、化学酸化重合させることによって容易に製造できる。π共役系導電性高分子の形成に用いられる前駆体モノマーは、分子内にπ共役系を有し、酸化剤の作用によって高分子化した際にも主鎖にπ共役系を有する。そのような前駆体モノマーとしては、例えばピロール類、チオフェン類、アニリン類、これらの誘導体等が挙げられる。
前駆体モノマーの具体例としては、ピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−n−プロピルピロール、3−ブチルピロール、3−オクチルピロール、3−デシルピロール、3−ドデシルピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジブチルピロール、3−カルボキシルピロール、3−メチル−4−カルボキシルピロール、3−メチル−4−カルボキシエチルピロール、3−メチル−4−カルボキシブチルピロール、3−ヒドロキシピロール、3−メトキシピロール、3−エトキシピロール、3−ブトキシピロール、3−ヘキシルオキシピロール、3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール、チオフェン、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、3−プロピルチオフェン、3−ブチルチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−ヘプチルチオフェン、3−オクチルチオフェン、3−デシルチオフェン、3−ドデシルチオフェン、3−オクタデシルチオフェン、3−ブロモチオフェン、3−クロロチオフェン、3−ヨードチオフェン、3−シアノチオフェン、3−フェニルチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、3,4−ジブチルチオフェン、3−ヒドロキシチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−エトキシチオフェン、3−ブトキシチオフェン、3−ヘキシルオキシチオフェン、3−ヘプチルオキシチオフェン、3−オクチルオキシチオフェン、3−デシルオキシチオフェン、3−ドデシルオキシチオフェン、3−オクタデシルオキシチオフェン、3,4−ジヒドロキシチオフェン、3,4−ジメトキシチオフェン、3,4−ジエトキシチオフェン、3,4−ジプロポキシチオフェン、3,4−ジブトキシチオフェン、3,4−ジヘキシルオキシチオフェン、3,4−ジヘプチルオキシチオフェン、3,4−ジオクチルオキシチオフェン、3,4−ジデシルオキシチオフェン、3,4−ジドデシルオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−プロピレンジオキシチオフェン、3,4−ブテンジオキシチオフェン、3−メチル−4−メトキシチオフェン、3−メチル−4−エトキシチオフェン、3−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン、3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン、アニリン、2−メチルアニリン、3−イソブチルアニリン、2−アニリンスルホン酸、3−アニリンスルホン酸等が挙げられる。
ポリアニオンは、置換若しくは未置換のポリアルキレン、置換若しくは未置換のポリアルケニレン、置換若しくは未置換のポリイミド、置換若しくは未置換のポリアミド、置換若しくは未置換のポリエステル又はこれらの共重合体であって、アニオン基を有する構成単位とアニオン基を有さない構成単位とからなる化合物である。ポリアニオンは、π共役系導電性高分子を溶媒に可溶化又は分散させ、ポリアニオンのアニオン基はπ共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性と耐熱性を向上させる。
ポリアニオンのアニオン基としては、π共役系導電性高分子への化学酸化ドープが起こりうる官能基であればよいが、製造を容易とし、安定性を高める観点からは、一置換硫酸エステル基、一置換リン酸エステル基、リン酸基、カルボキシ基、スルホ基等が好ましい。なかでも、官能基のπ共役系導電性高分子へのドープ効果の観点から、スルホ基、一置換硫酸エステル基又はカルボキシ基がより好ましい。
ポリアニオンの具体例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。さらに、これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
また、分子内にさらにフッ素原子を有するフッ素化ポリアニオンも使用することができる。具体的には、パーフルオロスルホン酸基を含有するナフィオン(Dupont社製)、カルボン酸基を含有するパーフルオロ型ビニルエーテルからなるフレミオン(旭硝子社製)等が挙げられる。フッ素化ポリアニオンは、非フッ素化ポリアニオンと併用することにより、正孔注入機能を付加した透明電極を一体形成することができ、生産性が高まることから好ましい。
ポリアニオンの重合度は、モノマー単位が10〜100000個の範囲内にあることが好ましく、溶媒への溶解性及び導電性を高める点からは、50〜10000個の範囲内にあることがより好ましい。
導電性ポリマーにおけるπ共役系導電性高分子とポリアニオンの比率、すなわちπ共役系導電性高分子:ポリアニオンの質量比は、1:1〜20とすることができ、導電性及び分散性を高める観点からは、1:2〜10とすることが好ましい。
導電性ポリマーは市販品を使用してもよく、例えばポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸からなる導電性ポリマー(以下、PEDOT/PSSと略す)の市販品としては、Heraeus社のCleviosシリーズ、Aldrich社のPEDOT−PSSの483095、560596、Nagase Chemtex社のDenatronシリーズ等がある。また、ポリアニリンの市販品としては、日産化学工業社製のORMECONシリーズ等を使用できる。
(非導電性ポリマー)
導電層4は、透明性を高める観点から、導電性ポリマーとともに、非導電性ポリマーとを含有することが好ましく、さらに非導電性ポリマーが自己分散型ポリマー及びヒドロキシ基含有ポリマーの少なくとも一つを含有することがより好ましい。非電導性ポリマーを用いることにより、導電層4の導電性を損なうことなく、導電性ポリマーの含有量を減らすことができ、導電性フィルム10aを高い導電性と透明性の両方を備える透明電極として使用することができる。
導電性ポリマーと併用できる自己分散型ポリマーは、解離性基を有し、ミセル形成を補助する界面活性剤や乳化剤等がなくても、自己分散型ポリマーにより形成されるコロイド粒子が凝集することなく、自己分散型ポリマー単体で水系媒体中に分散することが可能な非導電性ポリマーである。自己分散型ポリマーは透明性が高いと、導電層4の透明性を高めることができ、好ましい。
自己分散型ポリマーの使用量は、導電性ポリマーに対して50〜1000質量%の範囲内とすることができる。
自己分散型ポリマーの主骨格としては、ポリエチレン、ポリエチレン−ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレン−ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン−ポリウレタン、ポリブタジエン、ポリブタジエン−ポリスチレン、ポリアミド(ナイロン)、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリアクリレート−ポリエステル、ポリアクリレート−ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン−ポリカーボネート、ポリウレタン−ポリエーテル、ポリウレタン−ポリエステル、ポリウレタン−ポリアクリレート、シリコーン、シリコーン−ポリウレタン、シリコーン−ポリアクリレート、ポリフッ化ビニリデン−ポリアクリレート、ポリフルオロオレフィン−ポリビニルエーテル等が挙げられる。また、これらの骨格をベースに、さらに他のモノマーを使用した共重合体でもよい。なかでも、エステル骨格を有するポリエステル樹脂エマルジョン、ポリエステル−アクリル樹脂エマルジョン、アクリル骨格を有するアクリル樹脂エマルジョン又はエチレン骨格を有するポリエチレン樹脂エマルジョンが好ましい。
自己分散型ポリマーの市販品としては、ヨドゾールAD−176、AD−137(アクリル樹脂:ヘンケルジャパン社製)、バイロナールMD−1200、MD−1245、MD−1500(ポリエステル樹脂:東洋紡社製)、プラスコートRZ570、プラスコートZ561、プラスコートZ565、プラスコートZ687、プラスコートZ690(ポリエステル樹脂:互応化学社製)等を用いることができる。上記水系媒体に分散可能な、解離性基を含有する自己分散型ポリマー分散液は、1種でも複数種でも使用することができる。
ヒドロキシ基含有ポリマーは、ヒドロキシ基を有する非導電性ポリマーである。
導電層4における導電性ポリマーとヒドロキシ基含有ポリマーの比率、すなわち導電性ポリマー:ヒドロキシ基含有ポリマーの質量比は、100:30〜900が好ましく、電流リークを防止し、透明性を高める観点からは、100:100〜900であることがより好ましい。
ヒドロキシ基含有ポリマーとしては、例えば下記一般式(1)で表される構造単位を含むポリマーが挙げられる。
Figure 2016152822
〔上記一般式(1)において、Rは、水素原子又はメチル基を表す。−Q−は、−C(=O)O−、−C(=O)NRd−を表し、Rdは、水素原子又はアルキル基を表す。Aは、置換或いは無置換のアルキレン基又は−(CHCHReO)CHCHRe−を表し、Reは、水素原子又はアルキル基を表す。xは、平均繰り返しユニット数を表す。〕
ヒドロキシ基含有ポリマーは、導電層4の形成工程において、塗膜の乾燥に赤外線を用いる場合、溶媒の除去が容易となることから、赤外線と同じ2.5〜3.0μmの波長範囲内に吸光度0.1以上の吸収を持つことが好ましい。ここでいう吸光度は、形成する導電層4の厚さの塗布膜における吸光度をいう。
また、樹脂フィルム1と異なる波長域での吸収を持つことにより、樹脂フィルム1へのダメージが少ない波長の赤外線を選択的に使用することができる。
導電層4は、導電性ポリマーを含有する塗布液を遷移金属酸化物層3上に塗布して塗膜を形成し、この塗膜に赤外線を照射して乾燥することにより、形成することができる。
塗膜の形成方法としては、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、インクジェット法等の塗布法を用いることができる。
赤外線の照射は、水分濃度が100ppm以下の乾燥処理槽で行うことが好ましい。乾燥処理槽の水分濃度は、乾燥処理を行う槽内における乾燥終点における水分濃度をいう。赤外線は、波長3.0μmの分光放射輝度に対する波長5.8μmの分光放射輝度の割合が5%以下である赤外線を照射することが好ましい。
導電性ポリマーを含有する導電層4は、抵抗をより小さくして導電性を高める観点から、遷移金属酸化物層3上に、金属ナノ材料を含有する金属層を備えるか、カーボン材料を含有するカーボン層を備えるか、又はその両方を備えることが好ましい。
同様の観点から、導電性ポリマーを含有する導電層4は、遷移金属酸化物層3上にグリッドを備えることが好ましい。
図5は、上記金属層及びカーボン層とともにグリッドを備える場合の導電層4の構成例を示す拡大断面図である。
図5に示すように、遷移金属酸化物層3上にカーボン層41、金属層42がこの順に位置するように形成され、金属層42上にグリッド43が位置するように形成されている。また、グリッド43上を被覆するように導電性ポリマー層451が形成されている。導電性ポリマー層451は、上述した導電性ポリマーを用いて形成される層である。遷移金属酸化物層3上であって導電性ポリマー層451の下に位置するのであれば、カーボン層41、金属層42及びグリッド43の配置順は、図5に示す順番に限定されない。
(カーボン層)
カーボン層41に用いられるカーボン材料としては、グラフェン、カーボンナノチューブ、フラーレン等が挙げられる。これらカーボン材料は、1種を単独で使用してもよいし、複数種を併用してもよい。また、カーボン層41は、単層であってもよいし、カーボン材料が同じ又は異なる複数の層からなる多層構造であってもよい。
カーボン層41の厚さは、10nm〜10μmの範囲内とすることができる。
グラフェンは、ハニカム構造状に結合した炭素原子のシートであり、このシートを遷移金属酸化物層3上に転写することにより、カーボン層41を形成することができる。
グラフェンの生成方法としては、例えば特開2011−241479号公報記載の酸化グラフェンを塗布して還元する方法、SiC基材上にエピタキシャル成長を用いる方法、CuやNi等を触媒金属として熱CVDによりグラフェンを生成する方法、サファイア等の非金属基材上にグラフェンを生成する方法等の公知の方法を適用して生成することができる。
カーボンナノチューブは、中空状のグラフェンからなるカーボンファイバーである。
カーボンナノチューブは、二酸化炭素の接触水素還元、アーク放電法、レーザー蒸発法、CVD法、一酸化炭素を高温高圧化で鉄触媒とともに反応させて気相で成長させるHiPco法等によって生成することができる。
フラーレンとしては、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC84、フラーレンC240、フラーレンC540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ等を用いることができる。
カーボンナノチューブ又はフラーレンを用いる場合は、これらを含有する塗布液を調製して遷移金属酸化物層3上に塗布することにより、カーボン層41を形成することができる。
(金属層)
金属層42に用いられる金属ナノ材料は、サイズがナノスケールの金属材料であり、形状によってナノチューブ、ナノワイヤー、ナノファイバー等とも呼ばれる。金属の種類としては、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、これらの合金等が挙げられる。なかでも、銀は低抵抗で導電性が高く、所望の形状に加工しやすいことから、好ましい。
金属層42は、金属ナノ材料を含有する塗布液を調製して遷移金属酸化物層3上に塗布することにより、形成することができる。
金属層42の厚さは、10nm〜10μmの範囲内とすることができる。
(グリッド)
グリッド43は、導電性の金属細線から構成されている。グリッド43の形状は、格子状に限らず、ストライプ状、ハニカム構造状、網目状等の様々な形状のグリッドを使用できる。位置によらず均一な導電性を得る観点からは、導電層4の全面に位置する周期的な形状のグリッド43が好ましい。
グリッド43を構成する金属細線の線幅dwは、10〜200μmの範囲内にあることが好ましい。線幅dwが10μm以上であれば十分な導電性が得られ、200μm以下であれば透明性の低下を抑制できる。
グリッド43を構成する金属細線の高さdhは、0.1〜10.0μmの範囲内にあることが好ましい。高さdhが0.1μm以上であれば十分な導電性が得られ、10.0μm以下であれば電子デバイスに用いたときに電流リークを防ぐことができる。
グリッド43の抵抗率は、100Ω/□以下であることが好ましく、大面積化するには20Ω/□以下であることがより好ましい。グリッド43の抵抗率は、上述したJIS K 7194−1994に準拠して測定することができる。
グリッド43の開口率は、透明性を高める観点から、80%以上であることが好ましい。開口率とは、導電層4の全面積のうち、グリッド43を形成する金属細線が配置されていない領域が占める面積の割合である。例えば、線幅が100μm、線間隔が1mmの金属細線が、ストライプ状又は格子状に形成されたグリッド43の開口率は、約90%である。
グリッド43の金属細線に使用できる導電性の金属材料としては、例えば金、銀、銅、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、これらの合金等が挙げられる。低抵抗という観点からは、銀又は銅が好ましく、より好ましくは銀である。
グリッド43は、上記金属材料を用いた金属ナノ粒子、金属錯体等を含有する塗布液を、凸版印刷法、凹版印刷法、孔版印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット法、インクジェット平行線描画法等により所望の形状に塗布することにより、形成することができる。インクジェット平行線描画法は、塗布液を線状に塗布したときに線の中央部から端部へと塗布液が流動して端部の固形化がすすむコーヒーステイン現象を利用して、1本の線から2本の平行線を形成する方法である。ランダムな網目形状を形成する場合は、特表2005−530005号公報に記載のように、金属微粒子を含有する塗布液を塗布した後、乾燥することにより、自発的に金属微粒子が無秩序な網目形状を形成する方法を利用できる。なかでも、形状の制御が容易なインクジェット法又は細線形成の精度が高いインクジェット平行線描画法が好ましい。
金属錯体を含有する塗布液は、錯体を形成する金属が溶媒中に分散又は溶解されていればよい。溶媒としては、ケトカルボン酸、ベヘン酸、ステアリン酸等を使用できる。また、特表2008−530001号公報には、銀化合物とアンモニウムカーボネート系化合物とを反応して誘導された銀錯体化合物も挙げられている。塗布液は、還元剤として、アミン系化合物を含有することもできる。
グリッド43の形成時、樹脂フィルム1にダメージを与えない範囲で加熱処理を施すことが好ましい。これにより、金属ナノ粒子や金属錯体等の金属材料の融着が進み、グリッド43の導電性が高まる。
加熱処理には、一般的なオーブンやホットプレートによる加熱方法等を用いることができる。また、フラッシュパルス光照射処理、マイクロ波処理、プラズマ処理、誘電加熱処理、エキシマ光照射処理、紫外線処理、赤外ヒーター処理、熱風ヒーター処理等により、局所的な加熱処理を施してもよく、上記オーブン等による加熱処理と併用してもよい。
(メッキ層)
グリッド43は、図5に示すように、グリッド43上を被覆するメッキ層44を備えることができる。グリッド43上をメッキ層44で被覆することにより、グリッド43を形成する金属ナノ粒子、金属錯体等の金属材料によるナノスケールの凹凸を平滑化することができる。
グリッド43の表面の平滑性としては、JIS B 0601−2013に準拠して測定される最大断面高さRt(p)が500nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましく、100nm以下がさらに好ましい。平滑性が高いほど、電極として用いたときの有機EL素子の歩留りや連続駆動性が向上する。
メッキ層44は、グリッド43上に、メッキ層44の塗布液を凹版印刷法、孔版印刷法、インクジェット法等により塗布してメッキ処理することにより形成することができる。メッキ処理としては、通電により塗布液中の金属を析出させて金属被膜を形成する電界メッキ処理、通電ではなく、還元剤の酸化作用によって塗布液中の金属を析出させる無電解メッキ処理がある。
メッキ層44の塗布液としては、例えば溶媒中にメッキ核となる導電性物質を含有する塗布液を使用することができる。導電性物質としては、遷移金属又はその化合物を使用することができる。なかでも、銅、銀、金、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト等のイオン性の遷移金属が好ましく、低抵抗で耐腐食性が高いメッキ層44を形成できることから、銀、金、銅等がより好ましい。
導電性物質は、1〜50nm程度の平均粒径を有する粒子状であることが好ましい。平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置により中心粒径(D50)を測定したときの平均値である。
塗布液における導電性物質の含有量は、10〜60質量%の範囲内にあることが好ましい。
電解メッキ処理の場合、メッキ核を含有する塗布液をグリッド43の形状で塗布した後、電解メッキ液に浸漬するか、又は電解メッキ液を塗布し、通電することで、電解メッキ液中の金属を負極に接続したグリッド43上に析出させ、金属被膜を形成することができる。塗布時の電解メッキ液の温度は、20〜98℃の範囲内とすることができる。
電解メッキ液としては、銅、ニッケル、クロム、コバルト、スズ等の導電性物質、硫酸、水系媒体等を含有するものを使用することができる。
無電解メッキ処理の場合、メッキ核を含有する塗布液をグリッド43の形状で塗布した後、還元剤を含有する無電解メッキ液をさらに塗布することで、無電解メッキ液中の金属を析出させ、金属被膜を形成することができる。塗布時の無電解メッキ液の温度は、20〜98℃程度の範囲内とすることができる。
無電解メッキ液としては、例えば銅、ニッケル、クロム、コバルト、スズ等の導電性物質、還元剤、水系媒体、溶媒等を含有するものを使用できる。還元剤としては、例えばジメチルアミノボラン、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、水素化ホウ素ナトリウム、フェノール類等を使用できる。
また、無電解メッキ液は、必要に応じて酢酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸等のカルボン酸、これらの可溶性塩、エチレンジアミン等のアミン類等の錯化剤を含有することができる。
〔金属酸化物を含有する導電層〕
導電性を高める観点からは、導電性ポリマーを含有する導電層4上に、金属酸化物を含有する導電層をさらに備えることが好ましい。
図6は、金属酸化物を含有する導電層6を備える導電性フィルム10dの構成例を示している。図6において、導電性フィルム10dと同じ各層には同じ符号を付している。
導電層6に使用できる金属酸化物としては、例えば透明性の高いインジウム−スズ・酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、インジウム−ガリウム−亜鉛・酸化物(IGZO:Indium Gallium Zinc Oxide)、IDIXO(In−ZnO)等が挙げられる。
〔第2の実施の形態〕
本発明の第2の実施の形態の導電性フィルムは、樹脂フィルム上に金属酸化物を含有する導電層を備える導電性フィルムであって、ケイ素含有ポリマーの改質処理物を含有するケイ素含有ポリマー改質層と、当該ケイ素含有ポリマー改質層上に位置し、遷移金属酸化物を含有する遷移金属酸化物層と、を備え、上記導電層が、上記遷移金属酸化物層上に位置している。
第2の実施の形態の導電性フィルムは、導電層が、導電性ポリマーではなく金属酸化物を含有する導電層であること以外は、第1の実施の形態の導電性フィルムと同様の層構成を有し、図1に示すように、樹脂フィルム1上にケイ素含有ポリマー改質層2及び遷移金属酸化物層3をこの順に備え、遷移金属酸化物層3上に導電層4を備えている。以下、材料が異なる導電層4についてのみ説明する。
〔金属酸化物を含有する導電層〕
第2の実施の形態において、導電層4は、抵抗率が1×10Ω/□より低い導電性の金属酸化物を含有している。抵抗率は、JIS K 7194−1994の導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法に準拠して測定されたシート抵抗をいう。
金属酸化物を含有する導電層4は、導電性フィルム10aを電極として使用する観点から、抵抗率が10000Ω/□以下であることが好ましく、2000Ω/□以下であることがより好ましい。
導電層4に使用できる金属酸化物としては、例えばインジウム−スズ・酸化物(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、インジウム−ガリウム−亜鉛・酸化物(IGZO)、IDIXO(In−ZnO)等が挙げられる。なかでも、インジウム−スズ・酸化物が、透明性が高く、好ましい。
金属酸化物を含有する導電層4の厚さは、10〜500nmの範囲内にすることができる。導電性を高める観点からは、厚さが100〜500nmの範囲内であることが好ましい。表面の平滑性を高める観点からは、厚さが50nm以上であることが好ましい。
金属酸化物を含有する導電層4は、抵抗をより小さくして導電性を高める観点から、遷移金属酸化物層3上にグリッドを備えることが好ましい。
図7は、グリッドを備える場合の導電層4の構成例を示す拡大断面図である。
図7に示すように、遷移金属酸化物層3上にグリッド43が位置するように形成されている。グリッド43上には、グリッド43を被覆するメッキ層44が形成されていてもよい。このメッキ層44を含むグリッド43上を被覆するように、金属酸化物層452が形成されている。金属酸化物層452は、上記ITO等の金属酸化物を含有する層である。グリッド43及びメッキ層44は、第1の実施の形態のグリッド43及びメッキ層44と同様の構成であるので、詳細な説明を省略する。
(光散乱層)
導電層4が金属酸化物を含有する導電層である場合、導電性フィルム10aは、導電層4より下に光散乱層を備えることもできる。これにより、有機EL素子に使用された場合に有機EL素子の光取り出し効率を向上させることができる。光散乱層は、ケイ素含有ポリマー改質層2と遷移金属酸化物層3を隣接させることができる位置であれば、導電層4と遷移金属酸化物層3の間に設けることもできるし、ケイ素含有ポリマー改質層2と樹脂フィルム1間に設けることもできる。
図8は、光散乱層7を下に備える導電層4の拡大断面図を示している。
光散乱層7は、光波長550nmで測定された屈折率が1.7以上2.5未満の範囲内にある高屈折率層であることが好ましい。なお、屈折率は、多波長アッベ屈折計、プリズムカメラ、ミケルソン干渉計、分光エリプソメーター等により測定することができる。
光散乱層7は、このような高い屈折率を有する単独の材料から構成されていてもよいし、2種以上の材料を混合して高い屈折率となるようにしてもよい。2種以上の材料を混合する場合、光散乱層7の屈折率として、各々の材料固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率を用いる。
2種以上の材料を混合する場合の光散乱層7は、ポリアクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のバインダーを層媒体として、層媒体より高い屈折率を示す光散乱粒子を含有し、それぞれの屈折率差を利用して入射光を散乱させることが好ましい。
光散乱粒子としては特に制限はなく、ポリメチルメタクリレートビーズ、アクリル−スチレン共重合体ビーズ等の有機微粒子であっても、ジルコニウム、チタン、インジウム、亜鉛等の酸化物からなる無機微粒子であってもよい。なかでも、高屈折率を有する無機微粒子が好ましい。
光散乱粒子の光散乱層7における含有量は、体積充填率で、1〜70%の範囲内であることが好ましく、5〜50%の範囲内であることがより好ましい。これにより、光散乱層7と平滑層22との界面に屈折率分布の粗密を作ることができ、光散乱量を増加させて光取り出し効率を向上させることができる。
光散乱層7が光散乱粒子を含有する場合、発光層からの光を散乱させて効率良く光を取り出す観点から、光散乱層7の厚さは100〜2000nmの範囲内であることが好ましい。なお、光散乱層7の厚さとは平均厚さをいう。
光散乱層7は、層形状が光を回折又は拡散させる凹凸構造に制御されることによって、屈折率が1.7以上2.5未満の範囲内にある高屈折率層とされていてもよい。
凹凸構造は、凹部と凸部が一定のピッチ(周期)で配列された構造であり、回折格子として作用する。
回折格子として作用する凹凸構造は、例えば、特開平11−283751号公報、特開2003−115377号公報等に記載されている。ストライプ状の回折格子は、ストライプに平行な方向に対しては回折効果がないため、2次元的にどの方向からも均一に回折格子として作用するものが好ましい。例えば、基板1の表面の法線方向から見た形状として、所定の形状を有する凹部と凸部とが規則的に所定の間隔で形成されているものが好ましい。
光散乱層7が凹凸構造を有する場合も、光散乱粒子を含有する場合と同様に、光散乱層7の厚さとしては、100〜2000nmの範囲内であることが好ましい。
〔有機エレクトロルミネッセンス素子〕
本発明の有機EL素子は、少なくとも有機機能層と、有機機能層を挟持する一対の電極を備えている。一対の電極は、有機機能層中の発光層に正孔を供給する陽極と、電子を供給する陰極であり、上述した本発明の導電性フィルムの導電層を、陽極又は陰極として用いることができる。導電性フィルムの透明性が高いと、光を取り出す側に配置される透明電極として使用することができる。
図9は、一例として、図1に示す導電性フィルム10aを陽極として用いた有機EL素子20の構成を示している。
図9に示すように、有機EL素子20は、樹脂フィルム1上にケイ素含有ポリマー改質層2、遷移金属酸化物層3及び導電層4がこの順に位置する導電性フィルム10aを備え、この導電性フィルム10a上に有機機能層25、陰極26及びガスバリアー層27を備えて構成されている。
また、有機EL素子20は、導電層4及び陰極26を電源等の外部装置にそれぞれ接続する二つの電極接続層24と、接着層29を介してガスバリアー層27上に貼り合わされた封止フィルム28と、を備えている。
二つの電極接続層24は、ケイ素含有ポリマー改質層2及びガスバリアー層27から露出するように形成されている。電極接続層24の材料としては、耐熱性及び耐湿性に優れた導電性の材料であれば特に限定されず、公知の材料を好適に使用できる。具体的には、アルミニウム、チタン、モリブデン、銅、タンタル等の金属、ITO、IGZO、酸化スズ、酸化亜鉛、ガリウム−亜鉛・酸化物(GZO:Gallium Zinc Oxide)等の透明性が高い金属酸化物、MAM電極(Mo/Al・Nd合金/Mo)等を使用できる。
有機機能層25は、少なくとも発光層を備え、必要に応じて発光層以外の有機層、例えば正孔注入層、正孔輸送層、阻止層、電子輸送層、電子注入層等を備えることができる。各有機層は、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/陰極の順に積層される。
発光性の有機化合物を含有する発光層においては、陽極側から注入される正孔と、陰極側から注入される電子とが、再結合して発光する。
発光性の有機化合物としては、公知のホスト化合物(発光ホストともいう。)と発光材料(発光ドーパントともいう。)を用いることができる。そのような有機化合物としては、例えばジベンゾフラン化合物等のカルバゾール誘導体、イリジウム錯体、オスミウム錯体、白金錯体及び希土類錯体等のリン光発光材料(リン光性化合物又はリン光発光性化合物とも呼ばれる)、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、希土類錯体系蛍光体等の蛍光発光材料等が挙げられる。
陰極26は、例えば金属(電子注入性金属)、合金、ITO、IGZO、GZO、酸化スズ、酸化亜鉛、アルミニウム酸化物等の金属酸化物等の導電性化合物、これらの混合物等を用いて形成することができる。
ガスバリアー層27は、ケイ素化合物、アルミニウム化合物等のガスバリアー性の高い無機材料を用いて、PVD法、CVD法等により形成することができる。
封止フィルム28は、可撓性を有することが好ましく、例えば薄膜ガラス、薄膜セラミック、樹脂フィルム、ガラス繊維又は炭素繊維を有する樹脂フィルム、SUS、インバー等のNi−Fe合金、アルミニウム、チタン等の金属フィルム等を用いることができる。
接着層29としては、エポキシ樹脂等の熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂等を用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示が用いられるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
なお、下記実施例I−I〜I−IVにおいて、導電性ポリマー層を含む導電層を第1導電層といい、金属酸化物層を含む導電層を第2導電層という。
〔実施例I−I〕
〔導電性フィルム101a〕
両面を表面活性化処理した、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す。)フィルム(東レ社製のルミラー(登録商標)U48)の一方の面に、厚さ0.5μmのクリアハードコート層を形成した。具体的には、紫外線硬化型樹脂であるUVコート剤Z731L(アイカ工業社製)を、乾燥後の厚さが0.5μmとなるようにPETフィルム上に塗布した。塗膜を80℃で乾燥した後、大気下で高圧水銀ランプを用いて照射エネルギー量が0.5J/cmの紫外線を照射する硬化処理を施した。
次に、PETフィルムのもう一方の面に厚さ2μmの下地層を形成した。具体的には、UV硬化型樹脂オプスター(登録商標)Z7527(JSR社製)を、乾燥後の厚さが2μmとなるように塗布した。塗膜を80℃で乾燥した後、大気下で高圧水銀ランプを用いて照射エネルギー量が0.5J/cmの紫外線を照射する硬化処理を施した。
下地層を形成したPETフィルムを150mm×150mmの大きさで切り出した。切り出したPETフィルムの下地層上に、市販のスパッタ装置により、厚さ300nmのケイ素化合物層を形成した。ケイ素化合物層の形成時、二酸化ケイ素(SiO)のターゲットを用いて、ガスの体積比がAr:O=95:5の環境下でスパッタを行った。
さらに、ケイ素化合物層上に下記組成の塗布液をダイコーターにより塗布した後、乾燥処理を施して、サイズ130mm×100mm、厚さ100nmの導電性ポリマー層のみからなる第1導電層を形成し、導電性フィルム101aを製造した。乾燥処理時、赤外線ヒーターを用いた輻射伝熱乾燥を5分間行った。
(塗布液)
Clevios PH1000(へレウス社製のPEDOT/PSS、固形分濃度1.2%):
70質量部
エチレングリコール: 15質量部
エチレングリコールモノブチルエーテル: 8質量部
純水: 7質量部
〔導電性フィルム101b〕
上記導電性フィルム101aの製造において、ケイ素化合物層に代えて厚さ300nmのケイ素含有ポリマー改質層を形成したこと以外は、導電性フィルム101aと同様にして導電性フィルム101bを製造した。
ケイ素含有ポリマー改質層は、次のようにして形成した。
無触媒のパーヒドロポリシラザンの20質量%ジブチルエーテル溶液(アクアミカNN120−20、AZエレクトロニックマテリアルズ社製)と、アミン触媒(N,N,N′,N′−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン)を固形分の5質量%含有するパーヒドロポリシラザンの20質量%ジブチルエーテル溶液(アクアミカNAX120−20、AZエレクトロニックマテリアルズ社製)とを、4:1の割合で混合し、さらに厚さの調整のためにジブチルエーテルで適宜希釈して、塗布液を調製した。
下地層上に調整した塗布液をダイコーターで乾燥後の厚さが300nmとなるように塗布し、80℃で2分間乾燥した。図2に示す真空紫外線照射装置に波長172nmのXeエキシマランプを用いて、この真空紫外線照射装置により、乾燥後の塗膜に、2.5mJ/cmの真空紫外線を照射する改質処理を施して、ケイ素含有ポリマー改質層を形成した。真空紫外線の照射時、酸素濃度が0.1体積%の雰囲気となるように、窒素による置換を行った。また、PETフィルムを設置するステージの温度を80℃とし、ステージの搬送速度を0.5m/minとした。
〔導電性フィルム102〕
上記導電性フィルム101bの製造において、ケイ素含有ポリマー層上に遷移金属酸化物層を形成したこと以外は、導電性フィルム101bと同様にして導電性フィルム102を製造した。
遷移金属酸化物層は、次のようにして形成した。
次に、酸素欠損型の酸化ニオブ(Nb)をターゲットとして用いて、RFスパッタ法により、ケイ素含有ポリマー改質層上に厚さ15nmの遷移金属酸化物層を形成した。形成時、膜組成がNbとなるようにArガスとOガスを供給し、ケイ素含有ポリマー改質層の全面に遷移金属酸化物層を形成した。この遷移金属酸化物層上に第1導電層を形成した。
〔導電性フィルム103及び104〕
上記導電性フィルム102の製造において、ターゲットに用いた酸化ニオブをそれぞれ酸化チタン(TiO)及び酸化タンタル(Ta)に変更して遷移金属酸化物層を形成したこと以外は、導電性フィルム102と同様にして、各導電性フィルム103及び104を製造した。
〔導電性フィルム105〜107〕
上記導電性フィルム102と同様にして、遷移金属酸化物層まで形成した後、遷移金属酸化物層上の130mm×100mmの範囲に銀ナノワイヤーの分散液を塗布して乾燥し、金属層を形成した。塗布は、銀ナノワイヤーの分布が0.25g/mとなるように、ダイコーターを用いて行った。
銀ナノワイヤーの分散液は、文献「Adv.Mater.,2002,14,833-837」に記載の方法を参考に調製した。還元剤としてエチレングリコール(関東化学社製)を使用し、形態制御剤及び保護コロイド剤としてポリビニルピロリドン(アルドリッチ社製、平均分子量130万)を使用して、銀の核形成と粒子形成の工程を分離して、銀ナノワイヤーを形成した。銀ナノワイヤーを形成した反応液に、分画分子量0.2μmの限外濾過膜を用いて脱塩水洗処理を施した後、溶媒をトルエンに置換して、銀ナノワイヤーのトルエン分散液を得た。
形成した金属層上に、上記導電性フィルム102と同様にして導電性ポリマー層を形成して、第1導電層が金属層と導電性ポリマー層からなる導電性フィルム105を得た。
上記導電性フィルム105の製造において、銀ナノワイヤーの分散液をグラフェンの分散液及びカーボンナノチューブの分散液にそれぞれ変更して、金属層の代わりにカーボン層を形成したこと以外は、上記導電性フィルム105と同様にして、各導電性フィルム106及び107を製造した。
グラフェンの分散液としては、グラフェンGradeC(XGサイエンス社製)をトルエンに分散した後、2μmのフィルターでろ過した分散液を用いた。
カーボンナノチューブの分散液としては、P3 SWCNT(Carbon Solutions社製)を用いた。
〔導電性フィルム108〜111〕
上記導電性フィルム102、105〜107の製造において、PETフィルムの下地層とケイ素含有ポリマー改質層との間に、厚さ200nmのケイ素化合物層をプラズマCVD法によりそれぞれ形成し、さらに遷移金属酸化物層の厚さを100nmに変更したこと以外は、各導電性フィルム102、105〜107と同様にして、各導電性フィルム108〜111を製造した。
ケイ素化合物層の成膜条件は次のとおりである。
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン:HMDSO)の供給量:50sccm
酸素ガス(O)の供給量:500sccm
真空チャンバー内の真空度:3Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:1.2kW
プラズマ発生用電源の周波数:80kHz
フィルムの搬送速度:0.5m/min
〔導電性フィルム112〜115〕
上記導電性フィルム108〜111の製造において、PETフィルムの下地層とケイ素化合物層の間に厚さ50nmのケイ素含有ポリマー改質層をさらに形成し、ケイ素化合物層の厚さを150nmに変更したこと以外は、各導電性フィルム108〜111と同様にして、各導電性フィルム112〜115を製造した。
下地層とケイ素化合物層の間のケイ素含有ポリマー改質層は、ケイ素化合物層と遷移金属酸化物層の間のケイ素含有ポリマー改質層と同様にして形成した。
〔導電性フィルム116〜119〕
上記導電性フィルム112〜115の製造において、第1導電層上にITOを含有する厚さ110nmの第2導電層をさらに形成したこと以外は、各導電性フィルム112〜115と同様にして、各導電性フィルム116〜119を製造した。
第2導電層は、市販のスパッタ装置により、ITOを用いて形成した。
〔導電性フィルム120〜123〕
上記導電性フィルム116〜119の製造において、第2導電層の形成に用いたITOをIZOに変更したこと以外は、各導電性フィルム116〜119と同様にして、各導電性フィルム120〜123を製造した。
〔評価〕
(抵抗の変化率)
各導電性フィルム101a、101b及び102〜123を高温高湿下においたときの導電性能の安定性として抵抗の変化率を次のようにして評価した。
導電性フィルムの第1導電層及び第2導電層を被覆するように、封止フィルムを貼り合わせて封止したサンプルを作製した。具体的には、厚さ0.7mmの無アルカリガラス基板に接着剤を塗布して、120℃で2分間乾燥し、厚さ20μmの接着層を形成した。この接着層に、剥離シートとして厚さ38μmの剥離処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離処理面を貼り合わせて、封止フィルムとした。この封止フィルムを、窒素雰囲気下に24時間以上放置した後、剥離シートを除去し、80℃に加熱した真空ラミネーターにより、導電性フィルムの第1導電層及び第2導電層を被覆するように貼り合わせた。さらに、120℃で30分間加熱して封止した。
貼り合わせには、下記組成をトルエンに溶解させた、固形分濃度約25質量%の接着剤を用いた。
オパノールB50(BASFジャパン社製のポリイソブチレン系樹脂、Mw34万):
100.0質量部
日石ポリブテン グレードHV−1900(新日本石油社製、Mw:1900):
30質量部
TINUVIN765(BASFジャパン社製の3級のヒンダードアミン基を有するヒンダードアミン系光安定剤): 0.5質量部
IRGANOX1010(BASFジャパン製、ヒンダードフェノール基のβ位が二つともtert−ブチル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤):
0.5質量部
Eastotac H−100L Resin(イーストマンケミカル社製の環状オレフィン系重合体): 50.0質量部
作製したサンプルの抵抗値を測定した後、温度60℃、湿度90℃RHの環境下に300時間保管し、再度サンプルの抵抗値を測定した。抵抗値は、抵抗率計(三菱化学アナリテック社製MCP−T610)を用い、JIS−K7194に準拠して4端子4探針法定電流印加方式で抵抗率を測定した。
この保管前後の抵抗値から、下記式により抵抗の変化率(%)を求めた。
抵抗の変化率(%)=(保管後の抵抗値/保管前の抵抗値)×100
(透過率の変化率)
各導電性フィルム101a、101b及び102〜123を高温高湿下においたときの透明性の安定性として透過率の変化率を次のようにして評価した。
封止していない導電性フィルムを30mm×30mmの大きさに切り出して、サンプルを作製した。このサンプルの全光線透過率を、日本電色工業株式会社製NDH7000を用いて、JIS K7361に準拠して測定した。
次に、サンプルを温度60℃、湿度90℃RHの環境下に300時間保管し、再度サンプルの全光線透過率を測定した。この保管前後の全光線透過率から、下記式により透過率の変化率(%)を求めた。
透過率の変化率(%)=(保管後の全光線透過率/保管前の全光線透過率)×100
(透過率の角度依存性)
封止していない導電性フィルムを30mm×30mmの大きさに切り出して、サンプルを作製した。このサンプルの400〜800nmの波長範囲の可視光線透過率(A)を、日立社製の分光光度計U−3310を用いて測定した。ベースラインは空気で測定し、リファレンスも空気とした。
次に、測定光の光軸に対するサンプルの角度が45度となるようにサンプルの配置位置を変えて、同様にして400〜800nmの波長範囲の可視光線透過率(B)を測定した。
測定で得られた可視光線透過率をそれぞれ最大値で規格化し、1nmの波長ごとに、規格化した可視光線透過率(B)/規格化した可視光線透過率(A)を求めて平均した値を、透過率の角度依存性(%)として求めた。
下記表1は、評価結果を示している。表中のNWはナノワイヤーを表し、NTはナノチューブを表す。また、PEDOTは、PEDOT/PSSを表す。
Figure 2016152822
上記表1に示すように、第1導電層の下にケイ素化合物層のみ又はケイ素含有ポリマー層のみを備える導電性フィルム101a又は101bに比較して、第1導電層の下にケイ素含有ポリマー改質層と遷移金属酸化物層を備える導電性フィルム102〜123は抵抗値の変化が少なく、導電性能の安定性に優れている。また、導電性フィルム102〜123は、全光線透過率の変化が少なく、導電性能だけでなく光透過性も安定していること、さらに透過率の角度依存性も低いことが分かる。特に、酸化ニオブの使用により導電性能の安定性がより向上し、透過率の角度依存性がより低下した。
〔実施例I−II〕
〔導電性フィルム201a及び201b〕
上記実施例I−Iの導電性フィルム101a及び101bの製造において、遷移金属酸化物層上にグリッドを形成し、形成したグリッド上に導電性ポリマー層からなる第1導電層を形成したこと以外は、導電性フィルム101a及び101bと同様にして各導電性フィルム201a及び201bを製造した。
グリッドは次のようにしてインクジェット法により形成した。
銀ナノ粒子を含有する塗布液として、インクジェット用ナノペーストNPS−JL(ハリマ化成製)を用い、金属細線をストライプ状に形成した。十分な高さが得られるように塗布液を重ねて塗布した。塗布には、コニカミノルタ社製のインクジェットヘッドKM512SHXを取り付けた卓上型ロボットSHOTMASTER300(武蔵エンジニアリング社製)を用い、これをインクジェット評価装置EB150(コニカミノルタ社製)により制御した。
塗布後、NovaCentrix社製のPulseForge1300を用いてキセノン光を照射して焼成を行い、グリッドを形成した。キセノン光は、500μs周期で、250μsのパルス発光により照射し、付与するエネルギーが1500mJ/cmとなるように照射量を調整した。
形成したグリッドの金属細線のサイズを、高輝度非接触3次元表面形状粗さ計WYKO NT9100(日本ビーコ社製)で位置を変えて複数回測定したところ、線幅の平均値は60μm、高さの平均値は1μm、間隔が1mmであった。
〔導電性フィルム202〜223〕
上記実施例I−Iの導電性フィルム102〜123の製造において、遷移金属酸化物層上にグリッドを形成し、形成したグリッド上に金属層、カーボン層又は導電性ポリマー層を形成したこと以外は、導電性フィルム102〜123と同様にして各導電性フィルム202〜223を製造した。グリッドは、上記導電性フィルム101aと同様にして形成した。
〔評価〕
各導電性フィルム201a、201b及び202〜223の導電性能及び光透過性の安定性と、透過率の角度依存性とを、実施例I−Iと同様にして評価した。
下記表2は、評価結果を示している。表中のNWはナノワイヤーを表し、NTはナノチューブを表す。また、PEDOTは、PEDOT/PSSを表す。
Figure 2016152822
上記表2が示すように、グリッドを備えることにより、より低い透過率の角度依存性が得られた。
〔実施例I−III〕
〔有機EL素子301a〕
実施例I−Iで製造した導電性フィルム101a上に、次のようにして有機機能層を形成した。なお、導電性フィルム101aは、露点−80℃以下、酸素濃度1ppm以下のグローブボックスにおいて乾燥させた後、グローブボックスから大気にさらすことなく有機機能層を形成する真空蒸着装置内に設置した。
真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を、各々素子作製に最適の量を充填した。蒸着用るつぼはモリブデン製又はタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
真空度1×10−4Paまで減圧した後、化合物M−2の入った蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で透明支持基板に蒸着し、厚さ40nmの正孔注入輸送層を形成した。
次いで、化合物BD−1及び化合物H−1を、化合物BD−1が体積比で5%の濃度になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、厚さ15nmの青色発光を呈する蛍光発光層を形成した。
次いで、化合物GD−1、RD−1及び化合物H−2を、化合物GD−1が体積比で17%、RD−1が体積比で0.8%の濃度になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、厚さ15nmの黄色を呈するリン光発光層を形成した。
その後、化合物E−1を蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、厚さ30nmの電子輸送層を形成した。
さらに、LiFを厚さ1.5nmにて形成した後に、アルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成した。
上記化合物M−2、BD−1、H−1、GD−1、RD−1、H−2及びE−1は、下記構造を有する化合物である。
Figure 2016152822
形成した陽極から陰極までを被覆するように封止フィルムを貼り合わせて封止し、有機EL素子301aを製造した。
封止は、厚さ100μmのアルミニウム箔を貼り合わせた、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートを封止フィルムとして用いたこと以外は、実施例I−Iにおいて抵抗の変化率を求めた時の導電性フィルムの封止方法と同様にして封止した。
〔有機EL素子301b〕
上記有機EL素子301aの製造において、導電性フィルム101aに代えて導電性フィルム101bを用いたこと以外は、有機EL素子301aと同様にして有機EL素子301bを製造した。
〔有機EL素子302〜323〕
上記有機EL素子301aの製造において、導電性フィルム101aに代えて導電性フィルム102〜123をそれぞれ用いたこと以外は、有機EL素子301aと同様にして各有機EL素子302〜323を製造した。
〔評価〕
(発光性能の安定性)
各有機EL素子301a、301b及び302〜323を高温高湿下においたときの駆動電圧の変化率と輝度の変化率を、各有機EL素子301a、301b及び302〜323の発光性能の安定性として次のようにして評価した。
有機EL素子を直流電圧・電流源6243(エーディーシー社製)に接続し、50A/mの電流を流して発光させて、発光時の駆動電圧を直流電圧・電流源6243により測定した。
次に、有機EL素子を温度60℃、湿度90℃RHの環境下に300時間保管し、再度駆動電圧の測定を行った。この保管前後に測定された駆動電圧値から、下記式により駆動電圧の変化率(%)を求めた。
駆動電圧の変化率(%)=(保管後の駆動電圧/保管前の駆動電圧)×100
上記保管前後の駆動電圧の測定時に、発光領域の中央部分の輝度を、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタ社製)を用いて測定した。測定は、輝度計の距離を調整し、測定範囲がφ3mmとなるようにして行った。測定された保管前後の輝度値から、下記式により輝度の変化率(%)を求めた。
輝度の変化率(%)=(保管後の輝度/保管前の輝度)×100
(色度の角度依存性)
各有機EL素子301a、301b及び302〜323の発光色の色度の角度依存性を、次のようにして評価した。
有機EL素子を直流電圧・電流源6243(エーディーシー社製)に接続し、25A/mの電流を流して発光させ、有機EL素子から放射される光の色度x及びyを、色度測定器CS−2000(コニカミノルタ社製)により測定した。最初に、測定光の光軸と有機EL素子の発光面が垂直となるように、すなわち測定光の光軸と発光面がなす角度が90度となるように、有機EL素子を配置して色度を測定した。その後、測定光の光軸と発光面がなす角度を0〜90度の範囲内で5度ずつ変更してそれぞれ色度x及びyの測定を行った。
測定した色度x及びyのうち、最も大きい色度をx(Max)及びy(Max)、最も小さい色度をx(min)及びy(min)として、x(min)/x(Max)×100及び(min)/y(Max)×100のうち、大きい方を色度の角度依存性(%)として求めた。
下記表3は、評価結果を示している。表中のNWはナノワイヤーを表し、NTはナノチューブを表す。また、PEDOTは、PEDOT/PSSを表す。
Figure 2016152822
上記表3に示すように、ケイ素含有ポリマー改質層と遷移金属酸化物上に第1導電層が形成された有機EL素子302〜323は、第1導電層の下がケイ素化合物層のみ又はケイ素含有ポリマー改質層のみの有機EL素子301a又は301bに比較して、駆動電圧及び輝度の変化が小さく、発光性能の安定性が高い。また、有機EL素子302〜323は、色度の角度依存性も小さく、観察位置によって発光色の変化が小さいことが分かる。これは、透過率の角度依存性が小さい導電性フィルム102〜123を用いているためと推定される。特に、酸化ニオブを用いた導電性フィルムの使用により発光性能の安定性がより向上し、色度の角度依存性がより低下した。
〔実施例I−IV〕
上記実施例I−IIIの有機EL素子301a、301b及び302〜323の製造において用いた各導電性フィルム101a、101b及び102〜123を、実施例I−IIで製造した各導電性フィルム201a、201b及び202〜223に変更したこと以外は、有機EL素子301a、301b及び302〜323と同様にして各有機EL素子401a、401b及び402〜423を製造した。
〔評価〕
実施例I−IIIと同様にして、各有機EL素子401a、401b及び402〜423の発光特性の安定性と発光の色度の角度依存性を評価した。
下記表4は、評価結果を示している。表中のNWはナノワイヤーを表し、NTはナノチューブを表す。また、PEDOTは、PEDOT/PSSを表す。
Figure 2016152822
上記表4が示すように、グリッドを備えることにより、より低い色度の角度依存性が得られた。
〔実施例II−I〕
〔導電性フィルム2101〕
両面を表面活性化処理した、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す。)フィルム(東レ社製のルミラー(登録商標)U48)の一方の面に、厚さ0.5μmのクリアハードコート層を形成した。具体的には、紫外線硬化型樹脂であるUVコート剤Z731L(アイカ工業社製)を、乾燥後の厚さが0.5μmとなるようにPETフィルム上に塗布した。塗膜を80℃で乾燥した後、大気下で高圧水銀ランプを用いて照射エネルギー量が0.5J/cmの紫外線を照射する硬化処理を施した。
次に、PETフィルムのもう一方の面に厚さ2μmの下地層を形成した。具体的には、UV硬化型樹脂オプスター(登録商標)Z7527(JSR社製)を、乾燥後の厚さが2μmとなるように塗布した。塗膜を80℃で乾燥した後、大気下で高圧水銀ランプを用いて照射エネルギー量が0.5J/cmの紫外線を照射する硬化処理を施した。
下地層を形成したPETフィルムを150mm×150mmの大きさで切り出した。切り出したPETフィルムの下地層上に、市販のスパッタ装置により、厚さ300nmのケイ素化合物層を形成した。ケイ素化合物層の形成時、二酸化ケイ素(SiO)のターゲットを用いて、ガスの体積比がAr:O=95:5の環境下でスパッタを行った。
さらに、ケイ素化合物層上に、市販のスパッタ装置により、ITOを用いてサイズ130mm×100mm、厚さ150nmの金属酸化物層を形成し、導電層が金属酸化物層のみからなる導電性フィルム2101を製造した。
〔導電性フィルム2102〕
上記導電性フィルム2101の製造において、ケイ素化合物層に代えて厚さ100nmのケイ素含有ポリマー改質層を形成したこと以外は、導電性フィルム2101と同様にして導電性フィルム2102を製造した。
ケイ素含有ポリマー改質層は、次のようにして形成した。
無触媒のパーヒドロポリシラザンの20質量%ジブチルエーテル溶液(アクアミカNN120−20、AZエレクトロニックマテリアルズ社製)と、アミン触媒(N,N,N′,N′−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン)を固形分の5質量%含有するパーヒドロポリシラザンの20質量%ジブチルエーテル溶液(アクアミカNAX120−20、AZエレクトロニックマテリアルズ社製)とを、4:1の割合で混合し、さらに厚さの調整のためにジブチルエーテルで適宜希釈して、塗布液を調製した。
下地層上に調整した塗布液をダイコーターで乾燥後の厚さが100nmとなるように塗布し、80℃で2分間乾燥した。図2に示す真空紫外線照射装置に波長172nmのXeエキシマランプを用いて、この真空紫外線照射装置により、乾燥後の塗膜に、2.5mJ/cmの真空紫外線を照射する改質処理を施して、ケイ素含有ポリマー改質層を形成した。真空紫外線の照射時、酸素濃度が0.1体積%の雰囲気となるように、窒素による置換を行った。また、PETフィルムを設置するステージの温度を80℃とし、ステージの搬送速度を0.5m/minとした。
〔導電性フィルム2103〕
上記導電性フィルム2101の製造において、PETフィルムの一方の面にハードコート層を形成し、他方の面に下地層を形成した。形成した下地層上に、厚さ200nmのケイ素化合物層を、下記成膜条件のプラズマCVD法により形成した。
(成膜条件)
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン:HMDSO)の供給量:50sccm
酸素ガス(O)の供給量:500sccm
真空チャンバー内の真空度:3Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:1.2kW
プラズマ発生用電源の周波数:80kHz
フィルムの搬送速度:0.5m/min
形成したケイ素化合物層上に、上記導電性フィルム2102において形成したケイ素ポリマー改質層と同様にして、厚さ100nmのケイ素含有ポリマー改質層を形成した。
次に、酸素欠損型の酸化ニオブ(Nb)をターゲットとして用いて、RFスパッタ法により、ケイ素含有ポリマー改質層上に厚さ15nmの遷移金属酸化物層を形成した。形成時、膜組成がNbとなるようにArガスとOガスを供給し、ケイ素含有ポリマー改質層の全面に遷移金属酸化物層を形成した。
さらに、遷移金属酸化物層上に、導電性フィルム2101と同様にして導電層を形成し、導電性フィルム2103を製造した。
〔導電性フィルム2104及び2105〕
上記導電性フィルム2103の製造において、導電層の形成に用いたITOをGZO及びZnOにそれぞれ変更したこと以外は、導電性フィルム2103と同様にして、各導電性フィルム2104及び2105を製造した。
〔導電性フィルム2106〜2108〕
上記導電性フィルム2103の製造において、ケイ素化合物層の厚さを150nmに変更し、導電層の形成にIZOを用いたこと以外は、導電性フィルム2103と同様にして、各導電性フィルム2106を製造した。
上記導電性フィルム2106の製造において、ターゲットに用いた酸化ニオブをそれぞれ酸化チタン(TiO)及び酸化タンタル(Ta)に変更して遷移金属酸化物層を形成したこと以外は、導電性フィルム2106と同様にして、各導電性フィルム2107及び2108を製造した。
〔導電性フィルム2109〜2112〕
上記導電性フィルム2103〜2106の製造において、PETフィルムの下地層とケイ素化合物層の間に厚さ50nmのケイ素含有ポリマー改質層をさらに形成したこと以外は、各導電性フィルム2103〜2106と同様にして、各導電性フィルム2109〜2112を製造した。
下地層とケイ素化合物層の間のケイ素含有ポリマー改質層は、ケイ素化合物層と遷移金属酸化物層の間のケイ素含有ポリマー改質層と同様にして形成した。
〔評価〕
(抵抗値)
各導電性フィルム2101〜2112の抵抗値を次のようにして測定した。
導電性フィルムの導電層を被覆するように、封止フィルムを貼り合わせて封止したサンプルを作製した。具体的には、厚さ0.7mmの無アルカリガラス基板に接着剤を塗布して、120℃で2分間乾燥し、厚さ20μmの接着層を形成した。この接着層に、剥離シートとして厚さ38μmの剥離処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離処理面を貼り合わせて、封止フィルムとした。この封止フィルムを、窒素雰囲気下に24時間以上放置した後、剥離シートを除去し、80℃に加熱した真空ラミネーターにより、導電性フィルムの導電層を被覆するように貼り合わせた。さらに、120℃で30分間加熱して封止した。
貼り合わせには、下記組成をトルエンに溶解させた、固形分濃度約25質量%の接着剤を用いた。
オパノールB50(BASFジャパン社製のポリイソブチレン系樹脂、Mw34万):
100.0質量部
日石ポリブテン グレードHV−1900(新日本石油社製、Mw:1900):
30質量部
TINUVIN765(BASFジャパン社製の3級のヒンダードアミン基を有するヒンダードアミン系光安定剤): 0.5質量部
IRGANOX1010(BASFジャパン製、ヒンダードフェノール基のβ位が二つともtert−ブチル基を有するヒンダードフェノール系酸化防止剤):
0.5質量部
Eastotac H−100L Resin(イーストマンケミカル社製の環状オレフィン系重合体): 50.0質量部
作製したサンプルの抵抗値を、抵抗率計(三菱化学アナリテック社製MCP−T610)を用い、JIS−K7194に準拠して4端子4探針法定電流印加方式で測定した。
(抵抗の変化率)
各導電性フィルム2101〜2112を高温高湿下においたときの導電性能の安定性を評価する指標として抵抗の変化率を次のようにして求めた。
上述のように、作製したサンプルの抵抗値を測定した後、温度60℃、湿度90℃RHの環境下に300時間保管し、再度サンプルの抵抗値を測定した。
この保管前後の抵抗値から、下記式により抵抗の変化率(%)を求めた。
抵抗の変化率(%)=(保管後の抵抗値/保管前の抵抗値)×100
(透過率)
各導電性フィルム2101〜2112の透過率を次のようにして測定した。
封止していない導電性フィルムを30mm×30mmの大きさに切り出して、サンプルを作製した。このサンプルの全光線透過率(%)を、日本電色工業株式会社製NDH7000を用いて、JIS K7361に準拠して測定した。
(透過率の角度依存性)
各導電性フィルム2101〜2112の透過率の角度依存性を、次のようにして求めた。
封止していない導電性フィルムを30mm×30mmの大きさに切り出して、サンプルを作製した。このサンプルの400〜800nmの波長範囲の可視光線透過率(A)を、日立社製の分光光度計U−3310を用いて測定した。ベースラインは空気で測定し、リファレンスも空気とした。
次に、測定光の光軸に対するサンプルの角度が45度となるようにサンプルの配置位置を変えて、同様にして400〜800nmの波長範囲の可視光線透過率(B)を測定した。
測定で得られた可視光線透過率をそれぞれ最大値で規格化し、1nmの波長ごとに、規格化した可視光線透過率(B)/規格化した可視光線透過率(A)を求めて平均した値を、透過率の角度依存性(%)として求めた。
下記表5は、評価結果を示している。
Figure 2016152822
上記表5に示すように、導電層の下にケイ素化合物層のみ又はケイ素含有ポリマー改質層のみを備える導電性フィルム2101又は2102に比較して、導電層の下にケイ素含有ポリマー改質層と遷移金属酸化物層を備える導電性フィルム2103〜2112は抵抗値の変化が少なく、導電性能の安定性に優れている。また、導電性フィルム2103〜2112は、透過率の変化も少なく、導電性能だけでなく光透過性も安定していること、さらに透過率の角度依存性も低いことが分かる。特に、酸化ニオブの使用により導電性能の安定性がより向上し、透過率の角度依存性がより低下した。
〔実施例II−II〕
〔導電性フィルム2201〜2203〕
上記実施例II−Iの導電性フィルム2101〜2103の製造において、遷移金属酸化物層上にグリッドを形成したこと以外は、各導電性フィルム2101〜2103と同様にして各導電性フィルム2201〜2203を製造した。
グリッドは次のようにしてインクジェット法により形成した。
銀ナノ粒子を含有する塗布液として、インクジェット用ナノペーストNPS−JL(ハリマ化成製)を用い、線幅が50μm、間隔が1mmの金属細線をストライプ状に形成した。十分な高さが得られるように塗布液を重ねて塗布した。塗布には、コニカミノルタ社製のインクジェットヘッドKM512SHXを取り付けた卓上型ロボット SHOTMASTER300(武蔵エンジニアリング社製)を用い、これをインクジェット評価装置EB150(コニカミノルタ社製)により制御した。
NovaCentrix社製のPulseForge1300を用いてキセノン光を照射して焼成を行い、グリッドを形成した。キセノン光は、500μs周期で、250μsのパルス発光により照射し、付与するエネルギーが1500mJ/cmとなるように照射量を調整した。
形成したグリッドの金属細線のサイズを、高輝度非接触3次元表面形状粗さ計WYKO NT9100(日本ビーコ社製)で位置を変えて複数回測定したところ、線幅の平均値は50μm、高さの平均値は1.0μmであった。
〔導電性フィルム2204〕
上記導電性フィルム2203の製造において、導電層の材料をIZOに変更したこと以外は、導電性フィルム2203と同様にして導電性フィルム2204を製造した。
〔導電性フィルム2205及び2206〕
上記導電性フィルム2204の製造において、ターゲットに用いた酸化ニオブをそれぞれ酸化チタン及び酸化タンタルに変更して遷移金属酸化物層を形成したこと以外は、導電性フィルム2204と同様にして導電性フィルム2205及び2206を製造した。
〔導電性フィルム2207〕
上記導電性フィルム2204の製造において、ケイ素化合物層の厚さを150nmに変更し、グリッド上にメッキ層を形成したこと以外は、導電性フィルム2204と同様にして導電性フィルム2207を製造した。
グリッドは、塗布を1回のみとしてグリッドの金属細線の高さを0.3μmに変更したこと以外は、上記導電性フィルム2204と同様にして形成した。
メッキ層は、グリッドの金属細線とメッキ層の厚さの合計が1μmとなるように、電解メッキ法により形成した。具体的には、シアン化銀、シアン化カリウム及び炭酸カリウムを含有する電解メッキ液をグリッドの金属細線上に塗布した後、グリッドの金属細線を給電用の電極として通電し、厚さ0.7μmの銀の被膜を金属細線上に形成した。
〔導電性フィルム2208及び2209〕
上記導電性フィルム2207の製造において、スクリーン印刷装置を用いてスクリーン印刷法によりグリッドを形成したこと以外は、導電性フィルム2207と同様にして各導電性フィルム2208を製造した。
上記導電性フィルム2207の製造において、凸版印刷法によりグリッドを形成したこと以外は、導電性フィルム2207と同様にして導電性フィルム2209を製造した。
具体的には、銀ナノ粒子を含有する塗布液を塗布したブランケット上に、形成するグリッドの形状と同じ凸形状を有する凸版を押圧し、ブランケット上にグリッドの形状で塗布液を転写した。次いで、ブランケットを遷移金属酸化物層上に接触させて、ブランケット上に転写させた銀ナノ粒子を遷移金属酸化物層に転写した。
〔導電性フィルム2210〕
上記導電性フィルム2207の製造において、メッキ層の形成に用いる電解メッキ液を硫酸銅及び硫酸を含有する電解メッキ液に変更して、銅の被膜をメッキ層として形成したこと以外は、導電性フィルム2207と同様にして導電性フィルム2210を製造した。
〔導電性フィルム2211〜2213〕
上記導電性フィルム2207の製造において、下地層とケイ素化合物層との間に厚さ50nmのケイ素含有ポリマー改質層を形成し、ケイ素化合物層の厚さを200nmに変更したこと以外は、導電性フィルム2207と同様にして導電性フィルム2211を製造した。
また、導電性フィルム2211の製造において、グリッドの形成方法をスクリーン印刷法及び凸版印刷法にそれぞれ変更したこと以外は、導電性フィルム2211と同様にして各導電性フィルム2212及び2213を製造した。
スクリーン印刷法及び凸版印刷法によるグリッドの形成方法は、上記導電性フィルム2208及び2209と同じである。
〔導電性フィルム2214〕
上記導電性フィルム2211の製造において、メッキ層の形成に用いる電解メッキ液を硫酸銅及び硫酸を含有する電解メッキ液に変更して、銅の被膜をメッキ層として形成したこと以外は、導電性フィルム2211と同様にして導電性フィルム2214を製造した。
〔導電性フィルム2215及び2216〕
上記導電性フィルム2214及び2211において、電解メッキ法を無電解メッキ法に変更して銅被膜のメッキ層を形成したこと以外は、各導電性フィルム2215及び2211と同様にして各導電性フィルム2215及び2216を形成した。
無電解メッキ法によるメッキ層の形成は、活性化剤エースクリーンA220(奥野製薬工業株式会社製)を金属細線上に塗布し、メッキ核の活性化処理を行った。
次いで、活性化処理の施された面に、無電解銅メッキ剤OPC−750無電解銅M(奥野製薬工業株式会社製)を塗布し、温度20℃で20分間の無電解メッキ処理を行った。
〔導電性フィルム2217及び2218〕
上記導電性フィルム2211の製造において、導電層の材料をGZOに変更したこと以外は、導電性フィルム2211と同様にして導電性フィルム2217を製造した。
また、上記導電性フィルム2211の製造において、ケイ素化合物層の厚さを150nmに変更し、導電層の材料をZnOに変更したこと以外は、導電性フィルム2211と同様にして導電性フィルム2218を製造した。
〔評価〕
実施例II−Iと同様にして、各導電性フィルム2201〜2218の抵抗値(Ω/□)、抵抗の変化率(%)、透過率(%)及び透過率の角度依存性(%)を評価した。
下記表6及び表7は、評価結果を示している。表中、IJはインクジェット法を表している。
Figure 2016152822
Figure 2016152822
上記表6及び表7に示すように、グリッドを備えることにより低抵抗化し、グリッド上にメッキ層を備えることでさらに低抵抗化した。また、より低い透過率の角度依存性も得られた。
〔実施例II−III〕
〔有機EL素子2301〕
実施例II−Iで製造した導電性フィルム2101上に、次のようにして有機機能層を形成した。なお、導電性フィルム2101は、露点−80℃以下、酸素濃度1ppm以下のグローブボックスにおいて乾燥させた後、グローブボックスから大気にさらすことなく有機機能層を形成する真空蒸着装置内に設置した。
真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を、各々素子作製に最適の量を充填した。蒸着用るつぼはモリブデン製又はタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
真空度1×10−4Paまで減圧した後、化合物M−2の入った蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で透明支持基板に蒸着し、厚さ40nmの正孔注入輸送層を形成した。
次いで、化合物BD−1及び化合物H−1を、化合物BD−1が体積比で5%の濃度になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、厚さ15nmの青色発光を呈する蛍光発光層を形成した。
次いで、化合物GD−1、RD−1及び化合物H−2を、化合物GD−1が体積比で17%、RD−1が体積比で0.8%の濃度になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、厚さ15nmの黄色を呈するリン光発光層を形成した。
その後、化合物E−1を蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、厚さ30nmの電子輸送層を形成した。
さらに、LiFを厚さ1.5nmにて形成した後に、アルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成した。
上記化合物M−2、BD−1、H−1、GD−1、RD−1、H−2及びE−1は、上記実施例I−IIIで用いたものと同じ構造を有する化合物である。
形成した陽極から陰極までを被覆するように封止フィルムを貼り合わせて封止し、有機EL素子2301を製造した。
封止は、厚さ100μmのアルミニウム箔を貼り合わせた、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートを封止フィルムとして用いたこと以外は、実施例II−Iにおいて抵抗値を求める時の導電性フィルムの封止方法と同様にして封止した。
〔有機EL素子2302〜2312〕
上記有機EL素子2301の製造において、導電性フィルム2101に代えて導電性フィルム2102〜2112をそれぞれ用いたこと以外は、有機EL素子2301と同様にして各有機EL素子2302〜2312を製造した。
〔有機EL素子2313〕
導電性フィルム2112の製造において、遷移金属酸化物層と導電層間に光散乱層を形成した。この光散乱層を有する導電性フィルム2112を用いたこと以外は、上記有機EL素子2312と同様にして有機EL素子2313を製造した。
光散乱層は、次のようにして形成した。
屈折率2.4、平均粒径0.25μmのTiO粒子JR600A(テイカ社製)と、有機無機ハイブリッド樹脂溶液ED230AL(APM社製)とを、それぞれの固形分比率(体積%)が70:30となり、塗布液の固形分濃度が15質量%となるように混合して、全量10mLの光散乱層の塗布液を調製した。塗布液中、ヘキシレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びイソプロピルアルコールを溶媒として用い、これらの塗布液中の溶媒比(質量比)を30:50:20とした。
具体的には、上記TiO粒子と上記溶媒とを混合し、常温で冷却しながら、超音波分散機UH−50(エスエムテー社製)により、マイクロチップステップMS−3 3mmφ(エスエムテー社製)の標準条件で10分間の分散を行って、TiO粒子の分散液を調製した。
この分散液を100rpmで撹拌しながら、上記有機無機ハイブリッド樹脂溶液を少量ずつ添加した。全てを添加し終えたら、撹拌速度を500rpmまで上げ、10分間混合し、疎水性PVDF 0.45μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過して、光散乱層の塗布液を得た。
得られた塗布液をインクジェット法により、遷移金属酸化物層上に塗布した。その後、温度80℃で2分間の簡易乾燥を行い、さらに温度120℃で6分間の焼成を行って光散乱層を形成した。光散乱層の厚さは500nmであった。
〔評価〕
各有機EL素子2301〜2313の発光性能の安定性と色度の角度依存性を次のようにして評価した。発光性能の安定性としては、駆動電圧の変化率と輝度の変化率を評価した。
(駆動電圧の変化率)
有機EL素子を直流電圧・電流源6243(エーディーシー社製)に接続し、50A/mの電流を流して発光させて、発光時の駆動電圧を直流電圧・電流源6243により測定した。
次に、有機EL素子を温度60℃、湿度90℃RHの環境下に300時間保管し、再度駆動電圧の測定を行った。この保管前後に測定された駆動電圧値から、下記式により駆動電圧の変化率(%)を求めた。
駆動電圧の変化率(%)=(保管後の駆動電圧/保管前の駆動電圧)×100
(輝度の変化率)
上記保管前後の駆動電圧の測定時に、発光領域の中央部分の輝度を、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタ社製)を用いて測定した。測定は、輝度計の距離を調整し、測定範囲がφ3mmとなるようにして行った。測定された保管前後の輝度値から、下記式により輝度の変化率(%)を求めた。
輝度の変化率(%)=(保管後の輝度/保管前の輝度)×100
(色度の角度依存性)
各有機EL素子2301〜2313の発光色の色度の角度依存性を、次のようにして評価した。
有機EL素子を直流電圧・電流源6243(エーディーシー社製)に接続し、25A/mの電流を流して発光させ、有機EL素子から放射される光の色度x及びyを、色度測定器CS−2000(コニカミノルタ社製)により測定した。最初に、測定光の光軸と有機EL素子の発光面が垂直となるように、すなわち測定光の光軸と発光面がなす角度が90度となるように、有機EL素子を配置して色度を測定した。その後、測定光の光軸と発光面がなす角度を0〜90度の範囲内で5度ずつ変更してそれぞれ色度x及びyの測定を行った。
測定した色度x及びyのうち、最も大きい色度をx(Max)及びy(Max)、最も小さい色度をx(min)及びy(min)として、x(min)/x(Max)×100及び(min)/y(Max)×100のうち、大きい方を色度の角度依存性(%)として求めた。
下記表8は、評価結果を示している。
Figure 2016152822
表8に示すように、ケイ素含有ポリマー改質層と遷移金属酸化物上に導電層が形成された有機EL素子2303〜2313は、導電層の下がケイ素化合物層のみ又はケイ素含有ポリマー層のみの有機EL素子2301又は2302に比較して、駆動電圧及び輝度の変化が小さく、発光性能の安定性が高い。また、有機EL素子2303〜2313は、色度の角度依存性も小さく、観察位置によって発光色の変化が小さいことが分かる。これは、透過率の角度依存性が小さい導電性フィルムを用いているためと推定される。特に、酸化ニオブを用いた導電性フィルムの使用により発光性能の安定性がより向上し、色度の角度依存性がより低下した。
〔実施例II−IV〕
〔有機EL素子2401〜2418〕
上記実施例II−IIIの有機EL素子2301の製造において、導電性フィルム2101に代えて実施例II−IIで製造した導電性フィルム2201〜2218をそれぞれ用いたこと以外は、有機EL素子2301と同様にして各有機EL素子2401〜2418を製造した。
〔評価〕
実施例II−IIIと同様にして、各有機EL素子2401〜2418の発光性能の安定性と発光の色度の角度依存性を評価した。
下記表9及び表10は、評価結果を示している。表中、IJはインクジェット法を表している。
Figure 2016152822
Figure 2016152822
上記表9及び表10に示すように、グリッド及びメッキ層を備えることにより、より低い色度の角度依存性が得られた。
本発明の導電性フィルムは、有機EL素子の電極等に使用することができる。また、本発明の有機EL素子は、ディスプレイ、照明装置等に使用することができる。
10a〜10d 導電性フィルム
1 樹脂フィルム
2 ケイ素含有ポリマー改質層
3 遷移金属酸化物層
4 導電層
41 カーボン層
42 金属層
43 グリッド
44 メッキ層
451 導電性ポリマー層
452 金属酸化物層
5 ケイ素化合物層
6 金属酸化物を含有する導電層
7 光散乱層
20 有機EL素子
24 電極接続層
25 有機機能層
26 陰極
27 ガスバリアー層
28 封止フィルム

Claims (10)

  1. 樹脂フィルム上に導電性ポリマー又は金属酸化物を含有する導電層を備える導電性フィルムであって、
    ケイ素含有ポリマーの改質処理物を含有するケイ素含有ポリマー改質層と、
    前記ケイ素含有ポリマー改質層上に位置し、遷移金属酸化物を含有する遷移金属酸化物層と、を備え、
    前記導電層が、前記遷移金属酸化物層上に位置することを特徴とする導電性フィルム。
  2. 前記導電層が、前記導電性ポリマーを含有する導電層である場合、前記遷移金属酸化物層上に金属ナノ材料を含有する金属層を備えることを特徴とする請求項1に記載の導電性フィルム。
  3. 前記導電層が、前記導電性ポリマーを含有する導電層である場合、前記遷移金属酸化物層上にカーボン材料を含有するカーボン層を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の導電性フィルム。
  4. 前記導電層が、前記導電性ポリマーを含有する導電層である場合、前記導電性ポリマーを含有する導電層上に、金属酸化物を含有する導電層をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の導電性フィルム。
  5. 前記導電層が、前記金属酸化物を含有する導電層である場合、前記金属酸化物が、インジウム−亜鉛・酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の導電性フィルム。
  6. 前記導電層が、前記金属酸化物を含有する導電層である場合、前記導電層の下に光散乱層を備えることを特徴とする請求項1又は請求項5に記載の導電性フィルム。
  7. 前記遷移金属酸化物が、元素周期表における第5族の金属の酸化物であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の導電性フィルム。
  8. 前記遷移金属酸化物が、酸化ニオブであることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の導電性フィルム。
  9. 前記導電層が、前記遷移金属酸化物層上にグリッドを備えることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の導電性フィルム。
  10. 請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の導電性フィルムを、電極として備えることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
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