JPWO2016152763A1 - 核酸の回収方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、水溶性の中性ポリマーが表面に吸着した酸化アルミニウムの担体用いた核酸の回収方法、当該方法に用いる水溶性の中性ポリマーが表面に吸着した酸化アルミニウムの核酸回収用担体及び、核酸回収用キットを提供する。

Description

本発明は、核酸を回収する方法、水溶性の中性ポリマーが表面に吸着した酸化アルミニウムの担体、及び核酸回収用のキットに関する。
核酸を用いた実験技術の発展により新規遺伝子探索やその解析が可能となった。がんなどの疾患を特定するためにヒトのゲノムが解析され、病原体の感染を特定するためにそれらのゲノムが解析されるなど、医療現場においても遺伝子解析を利用したスクリーニング検査や臨床検査などが行われている。
また、遺伝子解析の標的としては、ゲノムのような長鎖核酸ばかりではなく、短鎖核酸も注目されている。近年発見されたmiRNAは18塩基以上25塩基以下の1本鎖RNAであり、60塩基以上90塩基以下のpre-miRNAから生合成される。これらは、タンパク質の合成や遺伝子の発現を調節する機能を持っていることから疾患と関連があるとされ、遺伝子解析の標的として注目されている。また、メタゲノミック診断法のように、臨床検体中の病原体由来の数百塩基対の核酸断片を次世代シーケンサーで網羅的に解析する方法もあり、新規な遺伝子解析法として注目されている。現在の遺伝子解析の標的は、遺伝子探索が進むにつれて多様化していると言える。従って、遺伝子解析の標的の多様化に合わせて、核酸の回収方法も、miRNAのような数十塩基の核酸からゲノムのような長鎖の核酸まで回収できる方法が求められている。
遺伝子解析をする上でまず必要となるのは、生物学的試料から核酸を回収する工程である。核酸を高純度、高収率に回収できれば、その後の検出反応において高感度な遺伝子検出が可能となる。核酸の回収方法としては、フェノール・クロロホルム抽出、エタノール沈殿及びシリカへの核酸吸着などが代表的なものとして挙げられる。
中でも最も汎用的な方法は、特許文献1に記載されている、シリカを含む金属酸化物へ核酸を吸着、溶出させて回収するBoom法である。この方法は、遠心操作により核酸の吸着したシリカから核酸を回収すると同時に核酸の濃縮ができる特徴がある。しかしながら、Boom法は核酸の吸着過程においてアルコールなどの有機溶媒の使用が不可欠であり、回収操作の煩雑化や溶媒廃棄のなどの問題がある。加えて、単離した核酸にこれら有機溶媒が混入し、その後の検出反応へ影響する問題もある。
また、特許文献2には、300塩基対以上1000塩基対以下の長さを持つ核酸のシリカに対する吸着性は、それより長い長さを有する核酸の吸着性に劣ることが記載されており、さらに短いpre-miRNAやmiRNAを回収することは困難であることが予想される。遺伝子解析は医療現場においても利用されていることから、煩雑な操作や有機溶媒を使用せずに、核酸を回収できる方法が好ましい。
Boom法以外の核酸の回収方法としては、特許文献3及び4に、有機溶媒を利用しない核酸の回収方法が記載されている。特許文献3には、アルファ酸化アルミニウム粒子、ジルコニア粒子、チタニア粒子などに、核酸を吸着させ、効率的に回収する方法が記載されている。また、特許文献4には、イオン交換クロマトグラフィーの原理を用いて、核酸を吸着させ、回収する方法が記載されており、陰イオン交換材料として酸化アルミニウムが利用できると示されている。
一方、特許文献5には、核酸を溶解させる溶液に依存して、アルファ酸化アルミニウム、及びガンマ酸化アルミニウムに核酸を強固に結合させたり、逆に結合を阻止させたりすることができると記載されている。また、結合した核酸は、繰り返し洗浄しても、ほとんど溶出されないと記載されている。
米国特許第5234809号明細書 特表2011−522529号公報 国際公開第92/18514号 特表2013−505719号公報 特表2005−505269号公報
上記のように、特許文献3または4には、酸化アルミニウムを用いて核酸を効率的に回収できることが示されているが、特許文献5には、結合した核酸が溶出されないと記載されている。そこで、発明者らは、特許文献3に記載されている酸化アルミニウムを用いた核酸の回収方法を検討した。
後述する比較例1では、特許文献3の実施例4の組成にできるだけ近い酸化アルミニウムを用意し、特許文献3の条件を参考に核酸を吸着させ、その後、吸着させた核酸を溶出させて回収できるかを検討した。しかし、核酸は酸化アルミニウムに吸着するが、核酸の溶出率が低く、核酸を高収率に回収することができなかった。
本発明者らは、これらの結果から、酸化アルミニウムに結合した核酸の溶出率を向上させることができれば、有機溶媒を使用しない簡便な方法で核酸を効率的に回収できると考えた。
本発明者らは、酸化アルミニウムの表面に水溶性の中性ポリマーを吸着させることで、核酸の吸着率を低下させることなく、核酸の溶出率を改善させることができることを見出した。
さらに、本発明を用いることで、miRNAのような非常に短い核酸も効率よく回収できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の通りである。
(1)生物学的試料から核酸を回収する方法であって、以下の工程:
工程a)水溶性の中性ポリマーが表面に吸着した酸化アルミニウムの担体と核酸を含む溶液を混合し、担体に核酸を吸着させる工程、
工程b)工程a)において混合した溶液から、前記核酸が吸着した担体を分離する工程、
工程c)工程b)において分離した前記核酸が吸着した担体に溶出液を加えて核酸を回収する工程、
を含むことを特徴とする核酸の回収方法。
(2)前記水溶性の中性ポリマーが、pH7の溶液中で−10mV以上+10mV以下のゼータ電位を有するポリマーであることを特徴とする(1)に記載の核酸の回収方法。
(3)前記ポリマーが、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)又はヒドロキシプロピルメチルセルロースであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の核酸の回収方法。
(4)前記溶出液が緩衝液であることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の核酸の回収方法。
(5)前記生物学的試料が、血液、尿、唾液、粘膜、汗、培養細胞、培養細胞の培養液、組織試料又は標本であることを特徴とする(1)から(4)のいずれかに記載の核酸の回収方法。
(6)酸化アルミニウムの担体の表面に水溶性の中性ポリマーが吸着した核酸回収用の担体。
(7)前記水溶性の中性ポリマーが、pH7の溶液中で−10mV以上+10mV以下のゼータ電位を有するポリマーであることを特徴とする(6)に記載の担体。
(8)前記水溶性の中性ポリマーがポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)又はヒドロキシプロピルメチルセルロースであることを特徴とする(6)または(7)に記載の担体。
(9)前記水溶性の中性ポリマーが、酸化アルミニウムの担体の表面のうち7%以上を被覆するよう吸着していることを特徴とする(6)から(8)のいずれかに記載の担体。
(10)(6)から(9)のいずれかに記載の担体と緩衝液を備えることを特徴とする核酸回収用のキット。
本発明により、酸化アルミニウムを担体として用いても、有機溶媒を使用せず、簡便な方法で核酸を高収率に回収すること、さらにこれまで効率的に回収することが難しかったpre-miRNAやmiRNAなどの非常に短い核酸も高収率で回収することが可能になる。
本発明で用いる生物学的試料は、核酸を含む任意の試料を使用できる。核酸には、例えば、RNA、DNA、RNA/DNA(キメラ)及び人工核酸などが挙げられる。DNAには、cDNA、ゲノムDNA、及び合成DNAなどが挙げられる。また、RNAには、total RNA、mRNA、rRNA、miRNA、siRNA、snoRNA、snRNAもしくはnon-coding RNA、それらの前駆体又は合成RNAなどが挙げられる。合成DNA及び合成RNAは、所定の塩基配列(天然型配列又は非天然型配列のいずれでもよい)に基づいて、例えば自動核酸合成機を用いて、人工的に作製できる。
生物学的試料としては、例えば、培養細胞、培養細胞の培養液、組織試料や標本などの細胞由来試料、細菌やウイルスなどの微生物由来試料、体液や便などのヒトを含む動物由来試料、核酸の他に、タンパク質、糖や脂質などの生物学的機能を有する化合物を含む溶液などを利用することができ、これらに限定されない。上記生物学的試料は、好ましくは、培養細胞や体液であり、更に好ましくは血液である。血液には全血、血漿、血清、血球などが含まれる。
これらの生物学的試料が体液等の液体試料である場合には、採取後そのまま本発明を適用してもよいし、採取後に溶液を加えて希釈してもよい。生物学的試料が細胞ペレットや組織片等の固体試料である場合には、採取後に水や緩衝液で希釈してから本発明に用いてもよい。
生物学的試料は、必要に応じて、以下のような処理をしてもよい。これは、核酸が生物学的試料において細胞膜、細胞壁、小胞、リポソーム、ミセル、リボソーム、ヒストン、核膜、ミトコンドリア、ウイルスのキャプシド、エンベロープ、エンドソームまたはエキソソームのような化合物に内包されていたり、これらが相互作用していたりすることが多いためである。より収率よく核酸を回収するために、これらから遊離させることを目的とした処理を行ってもよい。
具体的には、大腸菌が含まれている生物学的試料から核酸の回収効率を高めるために、以下のような処理を行うことができる。例えば、大腸菌が含まれる生物学的試料に対して0.2Mの水酸化ナトリウムと1%のSDSの混合液を加えることができ(アルカリ変性法)、また、10%のサルコシル溶液を加えることもできる(サルコシルによる非変性法)。また、これらの溶液にリゾチームを添加しておいてもよい。また、プロテイナーゼKにより37℃で1時間処理を行うこともできる。他の方法として超音波処理を行うこともできる。
生物学的試料に対して、酵母が含まれている生物学的試料から核酸の回収効率を高めるために、以下のような処理を行うことができる。例えば、生化学工業株式会社から市販されているザイモリエースで処理した後に10%のSDSを加えることもできる。
生物学的試料に対して、細胞が含まれている生物学的試料から核酸の回収効率を高めるために、以下のような処理を行うことができる。例えば、1%のSDSを加えることができる。他の方法として、4M以上の塩化グアニジニウム、グアニジンチオシアン酸塩、及び尿素などを加えることができる。この溶液に対して、サルコシルを0.5%以上になるよう加えてもよい。また、メルカプトエタノールを50mM以上の濃度になるよう加えてもよい。
上記の操作において、生物学的試料に含まれる核酸の分解を抑制するために、核酸の分解酵素の阻害剤を添加してもよい。DNA分解酵素の阻害剤として、EDTAを1mM以下の濃度で添加することができる。また、RNA分解酵素の阻害剤として市販されているRNasin Plus Ribonuclease Inhibitor(プロメガ株式会社)、Ribonuclease Inhibitor(タカラバイオ株式会社)、RNase inhibitor(東洋紡株式会社)などを使用することができる。
生物学的試料にDNAとRNAが混在している場合には、フェノール・クロロホルム抽出によって分離することもできる。例えば、フェノール・クロロホルム抽出を酸性条件で行えばRNAは水層、DNAはクロロホルム層に分離され、中性条件で行えばRNAとDNAは水相に分配される。この性質を利用して、取得したい核酸の種類に応じて条件を選択できる。上記のクロロホルムはp-ブロモアニソールに置換することもできる。
フェノール・クロロホルム抽出は、市販試薬であるISOGEN(登録商標:株式会社ニッポンジーン)、TRIzol(登録商標:ライフテクノロジーズジャパン株式会社)、RNAiso(タカラバイオ株式会社)、3D-Gene(登録商標) RNA extraction reagent from liquid sample kit(東レ株式会社)を利用することもできる。以上の処理は、その一工程のみを行ってもよく、他の操作における工程と組み合わせることもできる。また、それに用いる溶液の濃度は、必要に応じて変えることもできる。
本発明において核酸を含む溶液としては、核酸、人工核酸、色素やリン酸基等の修飾が施された核酸を溶解させた溶液や、生体試料を用いる場合には、体液等の液体試料やその希釈液、細胞ペレットや組織片等の固体試料の希釈液を用いることができる。また、液体試料や固体試料を含む生物学的試料に対し、上記のいずれかの処理を行った後に得られる溶液をそのまま用いてもよいし、必要に応じて希釈してもよい。希釈する溶液は特に限定されないが、水やTris-塩酸緩衝液などの核酸を含む溶液に汎用される溶液を使用することが好ましい。核酸を含む溶液は、例えば、4M以上の塩化グアニジニウム、グアニジンチオシアン酸塩や尿素を加えた生物学的試料が好ましい。
本発明において、回収する核酸の長さは特に限定されないが、1000塩基対以下であることが好ましい。また、本発明は、従来技術では難しかった300塩基対以下の核酸も高収率で回収することができ、100塩基対以下のpre-miRNAやmiRNAも高収率で回収することができる。
本発明は、水溶性の中性ポリマーが表面に吸着した酸化アルミニウムの担体を用いることで、高収率な核酸の回収が達成される。本発明の担体は、水溶性の中性ポリマーが表面に吸着した酸化アルミニウムの担体である。以降、本発明の担体と記載する。
本発明の担体に吸着した核酸の吸着率は、以下のとおり求めることができる。はじめに核酸を含む溶液中の核酸量を算出する。次に本発明の担体と核酸を含む溶液とを混合し、本発明の担体に核酸が吸着した後の混合液中の核酸量を算出して、核酸を含む溶液中の核酸量からの差を求める。得られた値を本発明の担体に吸着した核酸量とし、本発明の担体に吸着した核酸量を、核酸を含む溶液中の核酸量で割ることで核酸の吸着率が算出できる。
本発明の核酸の溶出率は、以下のとおり求めることができる。核酸が吸着した本発明の担体に対して溶出液を加え、溶出した後の溶液中の核酸量を算出し、核酸の溶出量を算出する。この核酸の溶出量を上記で算出した本発明の担体に吸着した核酸量で割り、溶出率を算出できる。
本発明における核酸の回収率は、上記の方法により算出された吸着率と溶出率の積で算出する。
核酸量の定量の方法としては、吸光度測定、蛍光測定、発光測定、電気泳動、PCR、RT-PCR、マイクロアレイを使用した解析、シーケンサーを使った解析などが挙げられる。非修飾の核酸であれば、260nmにおける吸光度を測定することで核酸量を定量することができる。また、蛍光色素が修飾された核酸であれば、その蛍光色素に由来する蛍光強度を、濃度既知の溶液における蛍光強度と比較することで核酸量を定量できる。その他、電気泳動により行うことができる。電気泳動による回収率の算出方法は、濃度既知のサンプルと同時に回収操作を行ったサンプルを泳動し、ゲルを染色してバンドの濃度を画像解析により比較することで決定することができる。
本発明においてポリマーは、基本単位である単量体やモノマーと呼ばれる繰り返し単位が多数繋がった化合物の総称である。本発明の担体に用いるポリマーは、1種類の単量体からなるホモポリマーと2種類以上の単量体からなるコポリマーのいずれもが含まれ、任意の重合度のポリマーも含まれる。また、天然ポリマーと合成ポリマーのいずれもが含まれる。
本発明の担体に用いる水溶性の中性ポリマーは、水に対して溶解可能な性質を有し、水に対する溶解度が、少なくとも0.0001wt%以上であり、好ましくは、0.001wt%以上、より好ましくは0.01wt%以上、さらに好ましくは0.1wt%以上のポリマーである。
本発明の担体に用いる水溶性の中性ポリマーは、好ましくは、pH7の溶液中でゼータ電位が-10mV以上+10mV以下のポリマーである。より好ましくは-8mV以上+8mV以下であり、さらに好ましくは-6mV以上+6mV以下、特に好ましくは-4.0mV以上+1.1mV以下のポリマーである。
ゼータ電位とは、溶液中におけるコロイドの界面の電気的性質を表す値の1つである。荷電したコロイドが溶液に分散していると、コロイドの表面ではコロイドの表面荷電に対する対イオンにより電気二重層が形成されている。このときのコロイド表面の電位を表面電位と呼ぶ。電気二重層は、コロイドの表面電荷の静電相互作用により形成されているため、コロイド側ほどイオンが強く固定されている。電気二重層の中でも静電相互作用により対イオンがコロイド表面に強く固定されている層を固定層、固定層の電位を固定電位と呼ぶ。溶液に対してコロイドを移動させると固定層はコロイドと共に移動する。このとき、コロイドから見て固定層よりも外側に、溶液が持つ粘性のためにコロイドと共に移動する境界面がある。これを、すべり面、または、ずり面と呼ぶ。コロイドから充分に離れた地点の電位をゼロ点としたときの、このすべり面の電位はゼータ電位と定義されている。このように、ゼータ電位はコロイドの表面電荷に依存して変化し、表面電荷はpHに依存するプロトンの着脱によって変化するため、本発明ではpH7の溶液中での値を基準とする。また、一般にコロイドのサイズと比べてすべり面までの距離は小さいので、コロイドの表面をすべり面と近似的に表現することもできる。本発明で用いる水溶性の中性ポリマーの場合も同様に、溶液中に分散したコロイドの表面電位をゼータ電位とみなすことができる。
ゼータ電位は、電気泳動、電気浸透、逆流電位、沈殿電位などの界面動電現象を利用して求めることができ、顕微鏡電気泳動法、回転回折格子法による電気泳動法、レーザー・ドップラー電気泳動法、超音波振動電位法、動電音響法などの方法により測定できる。これらの測定は、ゼータ電位測定装置を使用することで行うことができる。ゼータ電位測定装置は、大塚電子株式会社、Malvern Instruments Ltd.、Ranku Brother Ltd.、PenKem Inc.などから市販されている。
上記のいずれの装置を用いても、ゼータ電位を測定することができるが、レーザー・ドップラー電気泳動法が一般的である。レーザー・ドップラー電気泳動法は、光や音波が電気泳動により運動している物体に当たり、散乱あるいは反射するとその周波数が変化するドップラー効果を利用した測定方法である。
ポリマーのゼータ電位を測定する場合には、コロイド分散溶液としてポリマー溶液を調製し、ゼータ電位を測定することができる。ポリマーを例えば、リン酸緩衝液や、塩化ナトリウム溶液、クエン酸緩衝液などの電解質に溶解させてポリマー溶液を調製し、溶液中に分散したポリマーの散乱光や、反射光を検出して測定を行う。コロイドのサイズが大きいほど、低い濃度で散乱光や反射光を検出することが可能となる。
ポリマーのゼータ電位をレーザー・ドップラー法で測定する具体的な条件は特に限定されないが、例えば、ポリマーの濃度を1wt%以上10wt%以下となるようにリン酸緩衝液(10mM, pH7)に溶解し、この溶液を測定用セルに入れて、レーザー・ドップラー電気泳動法を原理とするゼータ電位測定装置に設置して室温で測定することができる。ゼータ電位測定装置は例えば、大塚電子株式会社のELS-Z等が利用できる。
本発明の担体に用いる水溶性の中性ポリマーとしては、具体的には、以下のものが挙げられる。例えば、ポリビニルアルコール又はポリビニルピロリドンなどのポリビニル系ポリマー、ポリアクリルアミド、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)又はポリ(N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミドなどのポリアクリルアミド系ポリマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのポリアルキレングリコール系のポリマー、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、(ヒドロキシプロピル)メチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、2−ヒドロキシエチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース等を用いることができる。また、上記のポリマーが含まれる共重合体も用いることができる。
また、フィコール、アガロース、キチン及びデキストランなどのポリサッカライド又はポリサッカライド類縁体並びにアルブミンなどのタンパク質やペプチドも本発明の担体に用いる水溶性の中性ポリマーに含まれる。
水溶性の中性ポリマーの官能基の一部をイオン化させたり、陽性や陰性を示す官能基に置換したり、側鎖にアセチル基など水溶性を発現する官能基を導入してもよい。
水溶性の中性ポリマーの分子量としては、例えば、0.4kD以上のポリマーを好ましく用いることができ、より好ましくは6kD以上である。
本発明の担体に用いる酸化アルミニウムは、Al2O3の組成式で表される両性酸化物であり、アルミナとも呼ばれる。
酸化アルミニウムは、天然に産出するものを用いてもよいし、工業的に作製したものを用いてもよい。酸化アルミニウムを作製する方法としては、例えば、ギブサイトを出発原料とするバイヤー法や、ベーマイト形態の水酸化物を経由するアルコキシド法(ゾルーゲル法とも呼ばれる)・中和法・オイルドロップレット法、アルミニウム塩熱分解法や陽極酸化法などが挙げられる。
工業的に作製した酸化アルミニウムは、試薬メーカーや、触媒化学メーカー、一般社団法人触媒学会の参照触媒部会などから入手することができる。
酸化アルミニウムは、それらが持つ結晶構造によって、アルファ酸化アルミニウム、ロー酸化アルミニウム、カイ酸化アルミニウム、カッパ酸化アルミニウム、イータ酸化アルミニウム、ガンマ酸化アルミニウム、デルタ酸化アルミニウム、シータ酸化アルミニウムなどに分類される。本発明では、高比表面積を持つガンマ酸化アルミニウムが好ましい。
酸化アルミニウムは、作製時の焼成温度に応じて、酸点(Al、Al−OH )と塩基点(Al−O)が変化する。酸化アルミニウムはこの酸点と塩基点の数に応じて、酸点が多ければ酸性アルミナ、塩基点が多ければ塩基性アルミナ、酸点と塩基点が同程度の中性アルミナと分類される。この特性の違いは、pH指示薬であるBTB溶液を添加することで確認できる。BTB溶液を加えて、酸化アルミニウムが黄色に呈色すれば酸性アルミナ、緑色に呈色すれば中性アルミナ、青色に呈色すれば塩基性アルミナであることが確認できる。このような特性上の違いがあるが、本発明においては、いずれの酸化アルミニウムも使用することができる。
酸化アルミニウムは粒状のものがよい。粒径はそろっていても、異なる粒径を混合して利用してもよい。粒径は、例えば、212μm未満の酸化アルミニウムを好ましく用いることができ、より好ましくは100μm未満の酸化アルミニウムを用いることができる。
粒径は、本発明では日本工業規格に規格するJIS Z-8801-1:2006に基づいたふるい目開きの寸法で定義する。例えば、上記JIS標準による目開きにして40μmのふるいを通過し、32μmのふるいを通過できない粒子は、32μm以上40μm未満の粒径となる。
本発明で用いる溶出液は、本発明の担体に吸着した核酸を溶出させることができれば、特に限定されないが、緩衝液が好ましく、緩衝液にはキレート剤が含まれていてもよい。具体的には、クエン酸とクエン酸ナトリウムを含むクエン酸緩衝液、リン酸とリン酸ナトリウムを含むリン酸緩衝液や、トリスヒドロキシアミノメタンと塩酸を含むTris-塩酸緩衝液にEDTAを添加したTris-EDTA緩衝液などが挙げられる。
緩衝液のpHはpH4以上pH9以下が好ましく、より好ましくはpH5以上pH8以下である。
本発明で用いる緩衝液は、以下のように調製できる。例えば、0.5Mのリン酸緩衝液(pH7)の調製は以下のとおりである。0.5Mのリン酸水素二ナトリウム水溶液と0.5Mのリン酸二水素ナトリウムを調製する。0.5Mのリン酸水素二ナトリウム水溶液に対し、pHを測定しながらリン酸二水素ナトリウム溶液を添加し、pH7となったところで添加を止める。同様の方法で、他のpHの緩衝液も調製することができる。
緩衝液に含まれるキレート剤は、複数の配位座を持つ配位子を持っており、金属イオンへ結合し、錯体を形成する物質を用いることができる。
具体的なキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(EGTA)、ポリリン酸、メタリン酸及び/又は及びそれらの塩などが挙げられる。キレート剤の終濃度は特に限定されないが、50mM以上であればよく、好ましくは100mM以上、さらに好ましくは500mM以上である。
また、上記以外のキレート剤となる化合物として、陰イオン性のポリマーを挙げることができる。カルボン酸を側鎖に持つポリマーは金属イオンを配位するため、これらが緩衝液に含まれていてもよい。このような機能を有するポリマーとして、ポリビニルスルホン酸及び/又はそれらの塩が挙げられる。その終濃度は特に限定されないが、1wt%以上であればよく、好ましくは10wt%以上である。
本発明は、生物学的試料から核酸を回収する方法であって、工程a)水溶性の中性ポリマーが表面に吸着した酸化アルミニウムの担体と核酸を含む溶液を混合し、担体に核酸を吸着させる工程、工程b)工程a)において混合した溶液から、前記核酸が吸着した担体を分離する工程、工程c)工程b)において前記核酸が吸着した担体に溶出液を加えて核酸を回収する工程を含む。以下、それぞれの工程について詳細に説明する。
本発明の担体は、酸化アルミニウムの表面に水溶性の中性ポリマーを吸着させることにより作製する。ポリマーによる表面の被覆率は、7%以上が好ましく、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは20%以上、特に好ましくは30%以上、最も好ましくは40%以上である。また、水溶性の中性ポリマーは均一の厚さで吸着していなくてもよい。
本発明において、ポリマーによるアルミナの被覆率は、表面電位顕微鏡(別名ケルビンプローブフォース顕微鏡;KFM)によって取得した電位分布図を解析することで算出する。表面電位顕微鏡は例えば、Bruker AXS社のDigital Instruments製のNanoScope Iva AFM Dimension 3100 ステージAFMシステム等が利用できる。
表面電位顕微鏡から表面被覆率を算出するにあたり、測定の視野スケールは、0.5μm×1μmの範囲で行う。表面被覆率の算出方法は、まず酸化アルミニウムの表面電位画像を取得し視野内の平均電位を求める。次に水溶性の中性ポリマーの表面電位画像を取得し視野内の平均電位を求める。そして、水溶性の中性ポリマーが吸着した酸化アルミニウムの表面電位画像を取得し視野内の平均電位を求める。酸化アルミニウムのみの被覆率を0%、水溶性の中性ポリマーのみの被覆率を100%とし、水溶性の中性ポリマーが吸着した酸化アルミニウムの平均電位と水溶性の中性ポリマーの平均電位の比をとることで、水溶性の中性ポリマーが吸着した酸化アルミニウムの表面被覆率を算出する。表面被覆率を求めるにあたり、使用する視野内の平均電位は、本発明の単体の粒子をランダムに3つ選んで、それぞれの測定値の平均値を使用する。
また、本発明では、表面被覆率を算出する際の画像解析ソフトとして、Adobe社のPhotoshopを使用できる。この場合、画像解析にあたって、酸化アルミニウムの表面電位の平均値をスケール下端、水溶性の中性ポリマーの表面電位の平均値をスケール上端とし、下端の色を黒(8bit、RGB値0)、上端の色を赤(R値255)、または緑(G値255)、または青(B値255)などに設定する。設定したスケールで水溶性の中性ポリマーが吸着した酸化アルミニウムの表面電位画像を表示し、R値、またはG値、またはB値のいずれかの値を255で割り、その比を表面被覆率とする。
水溶性の中性ポリマーを表面に吸着させる前段階として、予め酸化アルミニウムを水やエタノールなどの溶液で洗浄し、表面に吸着している不純物を除いておいてもよく、本洗浄操作を省略してもよい。
水溶性の中性ポリマーを酸化アルミニウムの表面に吸着させる方法は、例えば、水溶性の中性ポリマーを溶解させて水溶性の中性ポリマー溶液を調製し、酸化アルミニウムに接触させる方法が挙げられる。具体的には、水溶性の中性ポリマー溶液に酸化アルミニウムを浸漬させたり、水溶性の中性ポリマー溶液を酸化アルミニウムに滴下したり、水溶性の中性ポリマー溶液を酸化アルミニウムに塗布したり、水溶性の中性ポリマー溶液を霧状にして酸化アルミニウムに吹き付けたりすることができる。
水溶性の中性ポリマー溶液に、酸化アルミニウムを浸漬させる方法は特に限定されない。例えば、ピペッティング、転倒混合、スターラー、ミキサー、ボルテックス、ミル等の分散機や超音波処理装置などで撹拌してもよい。
水溶性の中性ポリマー濃度は特に限定されないが、0.01wt%以上が好ましく、より好ましくは、0.1wt%以上である。
攪拌する際の混合時間は、水溶性の中性ポリマーと酸化アルミニウムが均一に混合されれば、特に混合時間は限定されないが、ボルテックスの場合1分以上、好ましくは5分以上撹拌することが好ましい。
また、ふるいや、ざる等を用いて水溶性の中性ポリマーを酸化アルミニウムにディップコートすることもできる。溶液に浸す際の混合時間は、0.1wt%以上のポリマー濃度であれば5分以上であればよく、30分以上であることが好ましい。
水溶性の中性ポリマー溶液を滴下する場合には、スポイト、滴下漏斗、などを用いることができる。ポリマー溶液を滴下する際には、酸化アルミニウムを振動させたり、回転させたりしてもよく、スピンコーターなどを用いてもよい。
水溶性の中性ポリマー溶液を塗布する場合には、刷毛、ローラー、ワイヤーバーを用いることができる。
水溶性の中性ポリマー溶液を霧状にして吹き付ける場合には、エアースプレーやエアブラシなどを用いることができる。
上記に例示した方法で、酸化アルミニウムに水溶性の中性ポリマーを吸着させた後は、遠心分離操作を行って、上清となるポリマー溶液を取り除いてもよいし、遠心分離操作を行わずにそのまま核酸の回収に用いてもよい。また、ポリマー溶液を溶媒に溶解させている場合、酸化アルミニウムに水溶性の中性ポリマーを吸着させ、溶媒を取り除いた後、乾燥させてもよいし、乾燥させずに、核酸の回収に用いてもよい。
得られた本発明の担体は、作製して保存しておいたものを使用してもよく、用時調製して使用してもよい。
水溶性の中性ポリマー溶液は、入手した水溶性の中性ポリマーが固体であれば水や有機溶媒に溶解することで調製でき、溶液であれば希釈することで調製できる。ポリマーが溶解しにくい場合や、溶液の粘度が高く混合しにくい場合、加熱処理や超音波処理を行ってもよい。有機溶媒は、例えば、エタノール、アセトニトリル、メタノール、プロパノール、tert-ブタノール、DMF、DMSO、アセトン、エチレングリコール、グリセロールなど、水と双溶性のあるものを使用することが好ましい。また、水に溶解しにくい場合には、上記の有機溶媒を添加してもよい。
酸化アルミニウムと水溶性の中性ポリマーを、リンカー分子などによって共有結合させて作製した担体は、本発明の担体に該当しない。具体的なリンカー分子には、シランカップリング剤などが挙げられる。
工程a)は、上記の作製方法によって作製した本発明の担体と、核酸を含む溶液を混合し、本発明の担体に核酸を吸着させる工程である。本発明の担体と核酸を含む溶液の混合方法は特に限定されないが、例えばピペッティングや転倒混合により行ってもよく、ミキサー、ボルテックスなどの装置を使用してもよい。混合時間は、特に限定されないが5分程度であればよく、それ以上の時間混合してもよい。また、本発明の担体をカラムに充填し、核酸を含む溶液を通過させてもよい。
工程b)は、工程a)において混合した混合物から、前記核酸が吸着した担体を分離する工程である。分離の方法としては、工程a)で得られる混合物を遠心分離し、核酸が吸着した担体を沈殿させ、上清を除く方法が挙げられる。核酸が吸着した担体の比重は水より重いため、遠心操作により容易に沈殿させることができる。遠心分離の条件は、6000Gで1分間処理すればよく、10000Gで1分間処理することがより好ましい。他の分離方法としては、限外ろ過膜を用いる方法が挙げられる。核酸が吸着した担体の粒径より小さな孔径を持つ限外ろ過膜に対し、工程a)で得られた混合物を通過させ、核酸が吸着した担体を分離する。このような限外ろ過膜はキット化されており、メルク株式会社のウルトラフリー(商標登録)やPall Corporationのナノセップ(商標登録)に代表される遠心ろ過キットを入手して利用することができる。
また、工程b)の操作の後に、必要に応じて以下のような処理をしてもよい。これは、工程a)の後に、本発明の担体の表面に目的となる核酸以外の生物学的試料由来物が吸着している可能性があるためである。例えば、より高純度に核酸を単離するため、洗浄や分解の処理を行うことができる。具体的には、非特異的に吸着した化合物を除去するために水で洗浄する、非特異的に吸着したタンパク質を除去するために界面活性剤で洗浄する、イオンや低分子化合物を除去するために界面活性剤を含む溶液で洗浄する、非特異的に吸着した疎水性化合物を除去するために有機溶媒で洗浄する、非特異的に吸着したタンパク質を分解するためにタンパク質分解酵素を添加する、DNAのみを単離するためにRNA分解酵素を添加する及びRNAのみを単離するためにDNA分解酵素を添加する、などの様々な処理をすることができる。
工程c)は、工程b)において分離した前記核酸が吸着した本発明の担体に溶出液を加えて核酸を回収する工程である。
上記溶出液を加えて核酸を回収するにあたって、本発明の担体と、核酸を溶出させた溶液を分離したい場合には、工程c)において、核酸が吸着した担体に溶出液を加えて得られた混合物を遠心分離し、本発明の担体を沈殿させ、核酸が溶出している上清を取得する方法が挙げられる。本発明の担体の比重は水より重いため、遠心操作により容易に沈殿させることができる。遠心分離の条件は、6000Gで1分間処理すればよく、10000Gで1分間処理することが好ましい。
他の分離方法としては、限外ろ過膜を用いる方法が挙げられる。本発明の担体の粒径より小さな孔径を持つ限外ろ過膜に対し、工程c)において得られた混合物を通過させ、本発明の担体を分離する。このような限外ろ過膜はキット化されており、メルク株式会社のウルトラフリー(商標登録)やPall Corporationのナノセップ(商標登録)に代表される遠心ろ過キットを入手して利用することができる。
回収された核酸は、必要に応じて、化学修飾を行うことができる。化学修飾には、核酸の末端に対する蛍光色素修飾、消光剤修飾、ビオチン修飾、アミノ化、カルボキシル化、マレインイミド化、スクシンイミド化、リン酸化及び脱リン酸化などが挙げられ、他にはインターカレーターによる染色が挙げられる。これらの修飾は化学反応により導入されてもよく、酵素反応により導入されてもよい。上記定量の前にこれらの修飾基を導入し、回収された核酸自身を定量するのではなく、化学修飾を経て導入された修飾基を定量することで、間接的に核酸を定量することができる。本発明により核酸が回収され、特に短鎖核酸においては高収率に回収されるため、上記定量において高感度に定量することが可能となる。
本発明の核酸回収用のキットは、生物学的試料から、核酸を効率的に回収するために利用することができる。本発明の核酸回収用のキットは、その構成成分として、本発明の担体、及び緩衝液が含まれる。キットには、これらの他に説明書などが含まれていてもよい。
本発明の核酸回収用のキットに含まれる、本発明の担体は、乾燥させた状態であってもよいし、水溶性の中性ポリマーの溶液中に浸漬された状態であってもよい。
本発明の核酸回収用のキットに含まれる緩衝液には、上記工程c)の溶出液に用いることができる緩衝液が利用できる。
本発明を以下の実施例によってさらに具体的に説明する。
<材料と方法>
ポリエチレングリコールはメルク株式会社より、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)はAlfa Aesar, A Johnson Matthey Companyより、塩基性のガンマ酸化アルミニウム(N613N)は日揮触媒化成株式会社より、アルファ酸化アルミニウム(CAS.No1344-28-1, Cat.013-23115)、酸性のガンマ酸化アルミニウム(CAS.No1344-28-1, Cat.590-13685)、中性のガンマ酸化アルミニウム(CAS.No1344-28-1, Cat.013-590-13715)は和光純薬株式会社より購入した。実施例中で用いたポリマー水溶液は、それぞれの濃度に水で溶解した。また、実施例中で特に断らない限り、ガンマ酸化アルミニウムは塩基性のものを用いた。また、特に断らない限り、酸化アルミニウムは、ふるい分けなどせずに購入したまま実験に用いた。
また、100bp DNA ladder(Fragment; 200bp, 300bp, 1000bp)はタカラバイオ株式会社より、臭化エチジウムはナカライテスク株式会社より購入した。また、let7aの配列として知られる22塩基の核酸をDNA配列に変換して合成したものとRNA配列として合成したものをユーロフィンジェノミクス株式会社より購入した。以降RNA配列の合成核酸についてはRNA22、DNA配列の合成核酸についてはDNA22と記載する。これらの核酸は、特に精製することなくそのまま用いた。
その他の試薬については、和光純薬株式会社、東京化成株式会社、シグマーアルドリッチジャパン合同会社から購入し、特に精製することなくそのまま用いた。
ミキサーは東京理化器械株式会社のCUTE MIXER CM-1000を、蛍光計はThermo Fisher Scientific株式会社のNanodrop3300と株式会社堀場製作所のFLUOROMAX-3を、ゼータ電位の測定には大塚電子株式会社のELS-Zを、電気泳動は株式会社アドバンスのMupid-eXUを用いた。ふるいはアズワン株式会社のMVS−1を用いた。染色したアガロースゲルはGEヘルスケア・ジャパン株式会社のTyphoon9410を用いて解析した。アガロースゲルの画像解析は、Molecular Dynamics社のImageQuant(商標登録)を用いた。表面電位顕微鏡は、Bruker AXS社のDigital Instruments製のNanoScope Iva AFM Dimension 3100 ステージAFMシステムを用いた。
また、表面被覆率を算出する際の画像解析ソフトとして、Adobe社のPhotoshopを使用した。画像解析にあたって、酸化アルミニウムの表面電位の平均値をスケール下端、水溶性の中性ポリマーの表面電位の平均値をスケール上端とし、下端の色を黒(8bit、RGB値0)、上端の色を赤(R値255)、または緑(G値255)、または青(B値255)に設定した。設定したスケールで水溶性の中性ポリマーが吸着した酸化アルミニウムの表面電位画像を表示し、R値、またはG値、またはB値のいずれかの値を255で割り、その比を表面被覆率とした。
表面電位顕微鏡から表面被覆率を算出するにあたり、測定の視野スケールは、0.5μm×1μmの範囲で行う。表面被覆率の算出方法は、まず酸化アルミニウムの表面電位画像を取得し視野内の平均電位を求めた。次に水溶性の中性ポリマーの表面電位画像を取得し視野内の平均電位を求めた。そして、水溶性の中性ポリマーが吸着した酸化アルミニウムの表面電位画像を取得し視野内の平均電位を求める。酸化アルミニウムのみの被覆率を0%、水溶性の中性ポリマーのみの被覆率を100%とし、水溶性の中性ポリマーが吸着した酸化アルミニウムの平均電位と水溶性の中性ポリマーの平均電位の比をとることで、水溶性の中性ポリマーが吸着した酸化アルミニウムの表面被覆率を算出した。表面被覆率を求めるにあたり、使用する視野内の平均電位は、本発明の単体の粒子をランダムに3つ選んで、それぞれの測定値の平均値を使用した。
<比較例1>水溶性の中性ポリマーが表面に吸着していない担体を用いた核酸回収
特許文献3(実施例4,Table2)に記載の酸化アルミニウムAと組成の近い塩基性のガンマ酸化アルミニウム(N613N, 日揮触媒化成株式会社)、酸化アルミニウムDと組成の近い、アルファ酸化アルミニウム(和光純薬株式会社)を用いて、核酸を効率的に回収することができるかを検討した。酸化アルミニウムに吸着させた核酸を溶出させる溶出液として、特許文献3、4に、リン酸緩衝液、又はTris-EDTA緩衝液を溶出液として利用できることが記載されおり、特許文献5には、リン酸溶液が核酸と酸化アルミニウムとの結合を阻害する旨が記載されていたことから、リン酸緩衝液(0.5M, pH8)又はTris-EDTA緩衝液(0.5M Tris, 0.5M EDTA, pH8)を溶出液として、以下の実験を行った。
最初に1.5mlチューブに、0.5mgのアルファ酸化アルミニウム、又はガンマ酸化アルミニウムを量り取った。それぞれに200μlのエタノールを加え、ボルテックスした後、遠心機で1分間遠心して上清を除いた。この操作を更に2回行って洗浄した。
続いて、これらに対し、100pmolのDNA22が溶解した6Mグアニジンチオシアン酸塩水溶液100μlを加え、5分間ミキサーで攪拌した。遠心(10000G, 1min)して上清を捨て、0.05% Tween水を100μl加え、ボルテックスした。この操作を更に2回行った。その後、50μlのリン酸緩衝液(0.5M, pH8)又はTris-EDTA緩衝液(0.5M Tris, 0.5M EDTA, pH8)を加えて5分間ミキサーで攪拌した。遠心機で遠心(10000G, 1min)して、核酸溶液を回収した。
吸着率はCy3の蛍光測定により以下のように算出した。はじめに、アルファ酸化アルミニウムとガンマ酸化アルミニウムを加える前の100pmolのDNA22が溶解した6Mグアニジンチオシアン酸塩水溶液100μlの蛍光強度を測定し、次にアルファ酸化アルミニウムとガンマ酸化アルミニウムを加えて混合した後の蛍光強度を測定した。酸化アルミニウムを加えた後の蛍光強度を加える前の蛍光強度で割り、加える前の核酸量(100pmol)の積をとって溶液中の核酸量を算出した。加える前の核酸量(100pmol)から、この値の差をとり、吸着した核酸量を算出した。吸着した核酸量を、酸化アルミニウムを加える前の核酸量(100pmol)で割り、吸着率を算出した。
溶出率はCy3の蛍光測定により以下のように算出した。核酸が吸着した酸化アルミニウムに対して50μlのリン酸緩衝液又はTris-EDTA緩衝液をそれぞれ加え、溶出した後の溶出液に対して蛍光測定を行った。次に、100pmolのDNA22が溶解した50μlのリン酸緩衝液、及びTris-EDTA緩衝液を調製し、この溶液に対してそれぞれ蛍光測定を行った。溶出液の蛍光強度をこの溶液の蛍光強度で割り、溶出した核酸量を算出した。溶出した核酸量を、吸着した核酸量で割り、溶出率を算出した。回収率は、算出された吸着率と溶出率の積をとって算出した。結果を表1に示した。
これらの結果から、ポリマーが表面に吸着していないガンマ酸化アルミニウム、又はアルファ酸化アルミニウムを担体として用いた核酸の回収方法は、溶出率が低く、核酸の回収率が低いことが分かった。
Figure 2016152763
<比較例2>水溶性の中性ポリマー以外の水溶性のポリマーが表面に吸着した酸化アルミニウムの担体の作製
1.5mlチューブに、0.5mgずつガンマ酸化アルミニウムを量り取った。これにポリマー溶液として、ポリアクリル酸(PAcA, 5.1kD, 10wt%)、デキストラン硫酸(DS, 4kD, 10wt%)、ポリビニルスルホン酸(PVSA, 10wt%)、ポリアリルアミン(PAA, 17kD, 10wt%)、ポリ-L-リシン(PLL, 150kD, 1wt%)をそれぞれ50μlずつ加えて10分間ミキサーで攪拌した。遠心機で遠心(10000G, 1min)して上清を除き、それぞれのポリマーが表面に吸着したガンマ酸化アルミニウム得た。
<比較例3>水溶性の中性ポリマー以外の水溶性の各ポリマーが表面に吸着した酸化アルミニウムを担体として用いた核酸回収
1.5mlのチューブに比較例2で作製した水溶性の中性ポリマー以外の水溶性のポリマーとして、ポリアクリル酸(PAcA, 5.1kD, 10wt%)、デキストラン硫酸(DS, 4kD, 10wt%)、ポリビニルスルホン酸(PVSA, 10wt%)、ポリアリルアミン(PAA, 17kD, 10wt%)、ポリ-L-リシン(PLL, 150kD, 1wt%)が表面に吸着したガンマ酸化アルミニウムを0.5mgずつ量り取り担体として用いた。溶出液はTris-EDTA緩衝液(0.5M Tris, 0.5M EDTA, pH8)とし、その他の条件、操作は比較例1と同様に行い核酸の吸着率、溶出率、回収率を算出した。結果を表2に示した。
これらの結果から、ポリアクリル酸、ポリビニルスルホン酸、及びデキストラン硫酸が表面に吸着したガンマ酸化アルミニウムを担体に用いた場合には、核酸の吸着率も溶出率も低く、核酸の回収率も低いことがわかった。また、ポリアリルアミン、及びポリ-L-リシンが表面に吸着したガンマ酸化アルミニウムを担体として用いた場合には、核酸の吸着率は高く保たれたが、溶出率が低下し、回収率も低い結果となった。
<実施例1>水溶性の中性ポリマーが表面に吸着した酸化アルミニウムの担体の作製
1.5mlチューブに、0.5mgずつガンマ酸化アルミニウムを量り取った。これに、ポリマー水溶液として、水溶性の中性ポリマーであるポリビニルアルコール(11%アセチル化, PVA, 18kD, 10wt%)、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)(PEOz, 5kD, 10wt%)、ポリエチレングリコール(PEG, 10kD, 10wt%)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)(HPMC, 10kD, 10wt%)、ポリビニルピロリドン(PVP, 10kD, 10wt%)をそれぞれに50μlずつ加えた。その他の条件、操作は比較例2と同様に行い、それぞれのポリマーが表面に吸着したガンマ酸化アルミニウムの担体を得た。
<実施例2>水溶性の中性ポリマーが表面に吸着したガンマ酸化アルミニウムを担体として用いた核酸回収
1.5mlのチューブに実施例1で作製した各水溶性の中性ポリマーとして、ポリビニルアルコール(11%アセチル化, PVA, 18kD, 10wt%)、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)(PEOz, 5kD, 10wt%)、ポリエチレングリコール(PEG, 10kD, 10wt%)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)(HPMC, 10kD, 10wt%)、ポリビニルピロリドン(PVP, 10kD, 10wt%)が表面に吸着したガンマ酸化アルミニウムを0.5mgずつ量り取り担体として用いた。その他の条件、操作は比較例3と同様に行い、核酸の吸着率、溶出率、回収率を算出した。結果を表2に示した。
これらの結果から、比較例3に比べ、水溶性の中性ポリマーが表面に吸着したガンマ酸化アルミニウムを担体として用いた場合、核酸の吸着率は高く保たれたまま、溶出率及び回収率が向上することがわかった。
Figure 2016152763
<比較例4>水溶性の中性ポリマー以外の水溶性のポリマーのゼータ電位の測定
比較例3で用いた水溶性の中性ポリマー以外の水溶性のポリマーであるポリアクリル酸(PAcA, 5.1kD)、デキストラン硫酸(DS, 4kD)、ポリビニルスルホン酸(PVSA)、ポリアリルアミン(PAA, 17kD)、ポリーL−リシン(PLL, 150kD))を終濃度が1wt%以上10wt%以下となるようにリン酸緩衝液(10mM, pH7)に溶解し、大塚電子株式会社のELS-Zを用いてゼータ電位を測定した。結果を表3に示す。表3は、本測定によって得られたゼータ電位と、それぞれのポリマーが表面に吸着したガンマ酸化アルミニウムを担体として使ったDNA22の回収率(比較例3の結果)の相関を取り、ゼータ電位の値の低い順に並べたものである。
これらの結果から、比較例3で用いた水溶性の中性ポリマー以外の水溶性ポリマーのゼータ電位は-17mV以下、又は+11mV以上であることがわかった。
<実施例3>水溶性の中性ポリマーのゼータ電位測定
終濃度が1wt%以上10wt%以下となるよう、実施例2で用いた水溶性の中性ポリマーであるポリビニルアルコール(11%アセチル化, PVA, 18kD)、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)(PEOz, 5kD)、ポリエチレングリコール(PEG, 10kD)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC, 10kD)、ポリビニルピロリドン(PVP, 10kD)をリン酸緩衝液(10mM, pH7)に溶解し、比較例4と同様の方法でゼータ電位を測定した。
表3は、本測定によって得られたゼータ電位と、それぞれのポリマーが表面に吸着したガンマ酸化アルミニウムを担体として使ったDNA22の回収率(実施例2の結果)の相関を取り、ゼータ電位の値の低い順に並べたものである。
これらの結果から、実施例2で核酸の回収率が向上した水溶性の中性ポリマーのゼータ電位は、pH7の溶液中で-4mV以上+1.1mV以下であり、-17mV以下及び+11mV以上のゼータ電位を持つ水溶性のポリマーと比べて、回収率が向上することがわかった。
Figure 2016152763
<実施例4>水溶性の中性ポリマーが表面に吸着したガンマ酸化アルミニウムの担体に吸着した核酸の溶出
実施例1に従ってポリエチレングリコールが表面に吸着したガンマ酸化アルミニウムを作製し、1.5mlチューブに0.5mgずつ量り取った。溶出液として0.5Mクエン酸緩衝液(pH 5, 6)、0.5M リン酸緩衝液(pH6, 7, 8)、0.5M Tris-EDTA緩衝液(pH8)、10wt%の終濃度となるようPVSAを添加した0.5M Tris緩衝液(pH8) をそれぞれ用いた。その他の条件、操作は比較例1と同様に行い、核酸の吸着率、溶出率、回収率を算出した。結果を表4に示した。
これらの結果から、いずれの緩衝液を溶出液として用いても、核酸を高収率に回収できることが分かった。
Figure 2016152763
<実施例5>水溶性の中性ポリマーが表面に吸着したガンマ酸化アルミニウムを担体として用いた核酸の回収率と核酸の長さの関係
実施例1に従ってポリエチレングリコールが表面に吸着したガンマ酸化アルミニウムを作製し、1.5mlチューブに0.5mgずつ量り取った。核酸を含む溶液として、7.5μgの100bp DNA ladderの200bp、300bp、1000bpがそれぞれ溶解した6Mグアニジンチオシアン酸塩水溶液を100μl用いた。その他の条件、操作は比較例3と同様に行い核酸の回収率を算出した。結果を表5に示した。
これらの結果から、水溶性の中性ポリマーであるポリエチレングリコールが表面に吸着したガンマ酸化アルミニウムを使うことで、いずれの長さを有する核酸も効率的に回収できることが分かった。
Figure 2016152763
<実施例6>ウシ胎児血清からの核酸回収
実施例1に従ってポリエチレングリコールが表面に吸着したガンマ酸化アルミニウムを作製し、1.5mlチューブに1.5mgずつ量り取った。核酸を含む溶液として100pmolのDNA22が溶解した6Mグアニジンチオシアン酸塩水溶液100μlと30mg/mlのタンパク質濃度を有するウシ胎児血清100μlの混合溶液を用いた。その他の条件、操作は比較例3と同様に行い核酸の吸着率、溶出率、回収率を算出した。同様の実験をRNA22に対しても行った。結果を表6に示した。なお、回収液中のタンパク質濃度は、Bradford試験の検出限界以下(0.25mg/ml以下)であった。
これらの結果から、ポリエチレングリコールが表面に吸着した酸化アルミニウムを担体として使うことで、血清からもDNA22、RNA22のいずれも効率よく回収できることが分かった。
Figure 2016152763
<実施例7>核酸回収における酸化アルミニウムの粒径の効果
日本工業規格に規格するJIS Z-8801-1:2006に基づくふるいを使って、ガンマ酸化アルミニウムを粒径ごとに分画(100μm以上212μm未満、40μm以上100μm未満、32μm以上40μm未満、20μm以上32μm未満)した。担体は、実施例1と同様にして、各粒径ごとのポリエチレングリコールが表面に吸着したガンマ酸化アルミニウムを調製してこれを用いた。その他の条件、操作は比較例3と同様に行い核酸の回収率を算出した。結果を表7に示した。
これらの結果から、粒径が212μm未満のいずれの分画においても、核酸を回収できることがわかった。
Figure 2016152763
<実施例8>核酸回収におけるガンマ酸化アルミニウムの特性の違い
酸性のガンマ酸化アルミニウム、中性のガンマ酸化アルミニウム、塩基性のガンマ酸化アルミニウムを用いた。担体は、実施例1と同様にして、ポリエチレングリコールが表面に吸着したそれぞれの酸化アルミニウムを調製してこれを用いた。その他の条件、操作は比較例3と同様に行い核酸の吸着率、溶出率、回収率を算出した。結果を表8に示した。
これらの結果から、酸性アルミナ、中性アルミナ、塩基性アルミナのいずれを用いた場合でも核酸を高収率に回収できることがわかった。
Figure 2016152763
<実施例9>酸化アルミニウムに表面に吸着させるポリマーの分子量の効果
分子量が 6kD、 10kD、500kDのポリエチレングリコールと、分子量が18kD、40kD、 150kD(いずれも11%アセチル化)のポリビニルアルコールをそれぞれ10wt%になるよう調製しポリマー溶液として用いた。担体は、実施例1と同様にして、各分子量のポリエチレングリコールが表面に吸着したガンマ酸化アルミニウムを調製してこれを用いた。その他の条件、操作は比較例3と同様に行い、核酸の吸着率、溶出率、回収率を算出した。結果を表9に示した。
これらの結果から、いずれの分子量を持つポリマーであっても、核酸を回収できることが分かった。
Figure 2016152763
<実施例10>本発明の担体の作製方法における水溶性の中性ポリマーの濃度と撹拌時間の関係
1.5mlチューブに、0.5mgずつ酸化アルミニウムを量り取った。これに、ポリマー水溶液として、水溶性の中性ポリマーであるポリエチレングリコール(PEG, 10kD)を0.1wt%、1wt%、10wt%の濃度でそれぞれに50μlずつ加えた。各濃度に対してミキサーでそれぞれ1分間、5分間、30分間攪拌した。遠心機で遠心(10000G, 1min)して上清を除き、酸化アルミニウムの表面にポリエチレングリコールが吸着した担体を得た。また、比較例3と同様に行い、核酸の回収率を算出した。結果を表10に示した。
これらの結果から、いずれの条件で作製された担体も、効率的に核酸を回収できることがわかった。
Figure 2016152763
<実施例11>本発明の担体の作製方法における水溶性の中性ポリマーの濃度と浸漬時間の関係
1.5mlチューブに、0.5mgずつ酸化アルミニウムを量り取った。これに、ポリマー水溶液として、水溶性の中性ポリマーであるポリエチレングリコール(PEG, 10kD)を0.1wt%、1wt%、10wt%の濃度でそれぞれに50μlずつ加えてそれぞれ5分間、30分間静置した。遠心機で遠心(10000G, 1min)して上清を除き、酸化アルミニウムの表面にポリエチレングリコールが吸着した担体を得た。また、比較例3と同様に行い、核酸の回収率を算出した。結果を表11に示した。
これらの結果から、いずれの条件で作製された担体も、効率的に核酸を回収できることがわかった。
Figure 2016152763
<実施例12>本発明の担体の作製における遠心分離操作の有無と核酸の回収率の関係
1.5mlチューブに、0.5mgずつ酸化アルミニウムを量り取った。これに、ポリマー水溶液として、水溶性の中性ポリマーであるポリエチレングリコール(PEG, 10kD)を10wt%の濃度で50μl加えてミキサーで10分間攪拌した。この後の操作として、実施例2では、遠心機による遠心分離操作及び上清を除く操作を行ったが、実施例12ではこれらの操作を行わなかった。このようにして作製した担体を用いた以外は、比較例3と同様に行い、核酸の吸着率、溶出率、回収率を算出し、結果を表12に示した。
これらの結果から、実施例1で作製した担体を用いて核酸の回収を行った実施例2の結果のうち、水溶性の中性ポリマーとして、ポリエチレングリコールを用いた場合の核酸の回収率の結果と比較すると、どちらの方法で本発明の担体を作製しても、効率的に核酸を回収できることがわかった。
Figure 2016152763
<実施例13>本発明の担体の作製方法における水溶性の中性ポリマーの水洗による除去と回収率の関係
実施例1にしたがってポリエチレングリコールが表面に吸着した酸化アルミニウムを作製した。この後の操作として、この担体に水200μl加えてミキサーで1分間攪拌し、遠心機で遠心(10000G, 1min)して上清を除いた。この水洗操作を1回、3回行ったものをそれぞれ調製した。上記のようにして作製した担体を用いた以外は、比較例3と同様に行い、核酸の吸着率、溶出率、回収率を算出し、結果を表13に示した。
これらの結果から、実施例1で作製した担体を用いて核酸の回収を行った実施例2の結果のうち、水溶性の中性ポリマーとして、ポリエチレングリコールを用いた場合の核酸の回収率の結果と比較すると、どちらの方法で本発明の担体を作製しても、効率的に核酸を回収できることがわかった。
Figure 2016152763
<実施例14>本発明の担体におけるポリマーによる酸化アルミニウムの表面被覆率と回収率の関係
実施例13で作製した担体、実施例2で作製したポリエチレングリコールが表面に吸着した酸化アルミニウム(水洗なし)、ポリマーが吸着していない酸化アルミニウム、ポリエチレングリコールを表面電位顕微鏡により分析し、電位分布図を取得して平均電位を算出した。測定にあたり、担体試料をカーボンテープに散布し、CoCrコートシリコンカンチレバーを探針に用い、ノンコンタクトモードで、0.5μm×1μmの視野範囲で、室温、大気中で測定した。測定値には、ポリエチレングリコールが表面に吸着した担体の粒子をランダムに3粒選んで想定した値の平均値を用いた。ポリマーが吸着していない酸化アルミニウムのみの被覆率を0%、ポリエチレングリコールのみの被覆率を100%とし、ポリエチレングリコールが吸着した酸化アルミニウムの平均電位とポリエチレングリコールの平均電位の比をとることで表面被覆率を算出した。表面被覆率と各担体を用いたときの核酸の回収率との関係を表14に示した。
これらの結果から、表面被覆率が7%以上の担体を用いると、効率的に核酸を回収できることがわかった。
Figure 2016152763
本発明により、生物学的試料から、有機溶媒を使用することなく、簡便な方法でpre-miRNAやmiRNAのような非常に短い核酸から、1000塩基以上の長い核酸まで効率よく回収することが可能となる。

Claims (10)

  1. 生物学的試料から核酸を回収する方法であって、以下の工程:
    工程a)水溶性の中性ポリマーが表面に吸着した酸化アルミニウムの担体と核酸を含む溶液を混合し、担体に核酸を吸着させる工程、
    工程b)工程a)において混合した溶液から、前記核酸が吸着した担体を分離する工程、
    工程c)工程b)において分離した前記核酸が吸着した担体に溶出液を加えて核酸を回収する工程、
    を含むことを特徴とする核酸の回収方法。
  2. 前記水溶性の中性ポリマーが、pH7の溶液中で−10mV以上+10mV以下のゼータ電位を有するポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の核酸の回収方法。
  3. 前記ポリマーが、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)又はヒドロキシプロピルメチルセルロースであることを特徴とする請求項1又は2に記載の核酸の回収方法。
  4. 前記溶出液が緩衝液であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の核酸の回収方法。
  5. 前記生物学的試料が、血液、尿、唾液、粘膜、汗、培養細胞、培養細胞の培養液、組織試料又は標本であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の核酸の回収方法。
  6. 酸化アルミニウムの表面に水溶性の中性ポリマーが吸着した核酸回収用の担体。
  7. 前記水溶性の中性ポリマーが、pH7の溶液中で−10mV以上+10mV以下のゼータ電位を有するポリマーであることを特徴とする請求項6に記載の担体。
  8. 前記水溶性の中性ポリマーがポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)又はヒドロキシプロピルメチルセルロースであることを特徴とする請求項6または7に記載の担体。
  9. 前記水溶性の中性ポリマーが、酸化アルミニウムの担体の表面のうち7%以上を被覆するよう吸着していることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の担体。
  10. 請求項6から9のいずれかに記載の担体と緩衝液を備えることを特徴とする核酸回収用のキット。
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