JP5914338B2 - 陰イオン交換材料を使用した核酸の単離および分析のための組成物、方法およびキット - Google Patents
陰イオン交換材料を使用した核酸の単離および分析のための組成物、方法およびキット Download PDFInfo
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Description
本願は、米国特許仮出願第61/231,371号(2009年9月24日出願)、米国特許仮出願第61/295,269号(2010年1月15日出願)、および欧州特許出願番号EP 10 006 062(2010年6月11日出願)に基づく優先権を主張する。それらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。2010年8月5日に本願と同時に出願された「陰イオン交換材料を使用した核酸の単離および分析のための組成物、方法、およびキット(Compositions,Methods,and Kits for Isolating and Analyzing Nucleic Acids Using an Anion Exchange Material)」という名称の米国本出願も、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
本発明は、陰イオン交換材料を使用した核酸の単離、溶出、および分析のための方法、組成物、およびキットに関する。
イオン交換とは、分子の電荷特性に基づき、イオンおよび極性分子の分離を可能にする過程である。原理的に、イオン交換は、可逆的なイオン性相互作用に基づき、固定相に標的アナライト分子を保持することにより機能する。典型的には、イオン交換組成物は、捕獲分子を保持している固定相を含む。適切な緩衝条件およびイオン条件の下で、捕獲分子は正味の電荷を保持しており、標的分子は反対の正味の電荷を保持するが、夾雑物は正味の中性の電荷または捕獲分子と類似の正味の電荷を保持している。その結果として、標的分子はイオン交換組成物により保持されるが、夾雑物は除去される。次いで、(例えば、pHの改変により)捕獲分子もしくは標的分子の電荷を中和するか、または(例えば、高塩溶液による処理により)標的分子を置換する別の分子により組成物を処理することにより、標的分子を溶出させることができる。そのような過程は、単離される分子の正味の電荷に依って、陽イオン交換または陰イオン交換のいずれかとして大別される。複雑な生物学的溶液から核酸を精製するためには、陰イオン交換が一般的に使用される。核酸は、負の電荷のため、陰イオン交換樹脂に選択的に吸着され、次いで、溶出され得る。低分子量核酸のための溶出緩衝液は、典型的には、高濃度の塩を含む。単純な有機および無機の陰イオンは、核酸より低い選択係数を有するが、高濃度では、樹脂から核酸を置換することができる。高分子量核酸は、樹脂に対する非常に高い選択性のために、塩によって溶出し得ない。この場合には、樹脂の弱い陰イオン交換基が、高いpHでは電荷を失うため、溶出は、最もしばしば、pHを高めることにより実施される。
[本発明1001]
(a)核酸-陰イオン交換複合体を供給する工程;および
(b)陰イオン性化合物を含む溶液を、該核酸-陰イオン交換複合体に添加する工程であって、該陰イオン性化合物が少なくとも2個の陰イオン性基を含む工程
を含む、陰イオン交換材料から核酸を溶出させる方法であって、
該陰イオン性化合物が該核酸-陰イオン交換複合体を崩壊させる、方法。
[本発明1002]
(a)核酸を含む試料を供給する工程;ならびに
(b)陰イオン交換材料が該核酸と可逆的に複合体化するpH条件および塩条件の下で、該試料を該陰イオン交換材料に添加する工程
を含む方法により、前記核酸-陰イオン交換複合体を供給する、本発明1001の方法。
[本発明1003]
前記陰イオン交換材料が、
(a)式R 3 Nのアミン;
(b)式R 2 NHのアミン;
(c)式RNH 2 のアミン;および
(d)式X-(CH 2 ) n -Yのアミン
からなる群より選択される正にイオン化可能な捕獲成分を含み、
式中、
Xが、R 2 N、RNH、またはNH 2 であり、
Yが、R 2 N、RNH、またはNH 2 であり、
Rが互いに独立して、好ましくはO、N、S、およびPより選択される1個または複数個のヘテロ原子を含んでもよい、直鎖型、分岐型または環式のアルキル置換基、アルケニル置換基、アルキニル置換基またはアリール置換基であり、かつ
nが、0〜20の範囲の整数である、
本発明1001の方法。
[本発明1004]
前記陰イオン交換材料が、ポリエチレンイミン(PEI)で修飾された磁性シリカビーズを含む、本発明1001の方法。
[本発明1005]
少なくとも一つの前記陰イオン性化合物が、
(a)カルボン酸、重合可能または縮合可能な酸性モノマーのオリゴマー、有機スルホン酸、有機ホスホン酸、オルガノホスフェート、カーボネート、およびジアセチルアセトンからなる群より選択される、非ポリマー性化合物、ならびに
(b)重合した不飽和カルボン酸;不飽和カルボン酸と少なくとも一つの他のモノマーとのコポリマー;酸性アミノ酸のポリペプチド;酸性アミノ酸と少なくとも一つの他のアミノ酸とのコポリマー;カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、ホスフェート、およびカーボネートからなる群より選択される、共有結合したイオン化可能な基を保持しているポリカーボハイドレート;カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、ホスフェート、およびカーボネートからなる群より選択される、共有結合したイオン化可能な基を保持しているポリスチレン;第二の核酸;ならびに核酸類似体からなる群より選択される、多価陰イオン性化合物
からなる群より選択される、本発明1001の方法。
[本発明1006]
前記陰イオン性化合物が、少なくとも3個の陰イオン性基を含む、本発明1001の方法。
[本発明1007]
前記陰イオン性化合物が、2〜20個の炭素原子を含む非ポリマー性化合物である、本発明1001の方法。
[本発明1008]
前記陰イオン性化合物が、シュウ酸、メリト酸、ピロメリト酸、クエン酸、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル酸(PMA)、ポリグルタミン酸(PGA)、およびデキストラン硫酸(DS)からなる群より選択される、本発明1001の方法。
[本発明1009]
前記溶液が、前記陰イオン性化合物の非存在下では前記核酸-陰イオン交換複合体を崩壊させないようなpHを有する、本発明1001の方法。
[本発明1010]
前記溶液が、前記捕獲成分の正にイオン化可能な基のpKaを超えないpHを有する、本発明1001の方法。
[本発明1011]
前記溶液がpH 5〜13の範囲のpHを有する、本発明1001の方法。
[本発明1012]
前記溶液がpH 5〜8.5の範囲のpHを有する、本発明1001の方法。
[本発明1013]
前記溶液がおよそ1Mまたはそれ未満の全塩濃度を有する、本発明1001の方法。
[本発明1014]
前記溶液がおよそ0.5Mまたはそれ未満の全塩濃度を有する、本発明1001の方法。
[本発明1015]
前記溶液がpHを有する、本発明1001の方法。
[本発明1016]
前記溶液が、ポリメラーゼ活性を有する酵素、および任意でMg 2+ の供給源をさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1017]
前記溶液が、前記核酸-陰イオン交換複合体が形成されるpH条件および塩条件を超えないpHおよび塩濃度を有する、本発明1002の方法。
[本発明1018]
(a)核酸-陰イオン交換複合体を供給する工程;
(b)陰イオン性化合物を含む溶液を、該核酸-陰イオン交換複合体に添加する工程であって、該陰イオン性化合物が少なくとも2個の陰イオン性基を含む工程;ならびに
(c)該陰イオン性化合物および陰イオン交換材料の存在下で核酸を分析する工程
を含む、該陰イオン交換材料の存在下で該核酸を分析する方法。
[本発明1019]
前記核酸を分析する工程が該核酸を増幅することを含む、本発明1018の方法。
[本発明1020]
前記核酸を増幅することが、PCR、逆転写酵素(「RT」)反応、RT-PCR、定量的リアルタイムPCR、定量的リアルタイムRT-PCR、多重分析、融解曲線分析、高分解能融解曲線分析、tHDA、RT-tHDA、定量的リアルタイムtHDA、および定量的リアルタイムRT-tHDAからなる群より選択される手法を含む、本発明1018の方法。
[本発明1021]
(a)少なくとも2個の陰イオン性基を含み;かつ
(b)核酸-陰イオン交換複合体を崩壊させるのに十分な濃度で存在する
陰イオン性化合物を含み、かつ
該陰イオン性化合物の非存在下では該核酸-陰イオン交換複合体を崩壊させないようなpHを有する、
溶出組成物。
[本発明1022]
溶出緩衝液が、核酸増幅反応を実施するのに適しているpHおよび塩濃度を有する、本発明1021の溶出組成物。
[本発明1023]
ポリメラーゼ活性を有する酵素をさらに含み、かつ任意でMg 2+ またはその供給源を含む、本発明1021の溶出組成物。
[本発明1024]
(a)核酸;
(b)陰イオン交換材料;
(c)ポリメラーゼ活性を有する酵素;
(d)少なくとも2個の陰イオン性基を含む、陰イオン性化合物
を含み、かつ
(e)任意でMg 2+ またはその供給源を含む、
増幅組成物。
[本発明1025]
前記核酸のさらなる精製の必要なしに酵素反応において直接使用可能である、本発明1001〜1017のいずれかの方法に従って生成された溶出液。
[本発明1026]
前記酵素反応が、PCR、逆転写酵素(「RT」)反応、RT-PCR、定量的リアルタイムPCR、定量的リアルタイムRT-PCR、多重分析、融解曲線分析、高分解能融解曲線分析、好熱性ヘリカーゼ依存性増幅(「tHDA」)、RT-tHDA、定量的リアルタイムtHDA、および定量的リアルタイムRT-tHDAからなる群より選択される核酸増幅である、本発明1025の溶出液。
[本発明1027]
前記核酸がRNAである、本発明1025の溶出液。
[本発明1028]
(a)陰イオン交換材料;および
(b)少なくとも2個の陰イオン性基を含む、陰イオン性化合物
を含む、生物学的試料から核酸を単離するためのキット。
[本発明1029]
前記陰イオン性化合物が溶出組成物中に含まれる、本発明1028のキット。
[本発明1030]
(a)陰イオン交換材料;
(b)ポリメラーゼ活性を有する酵素;
(c)少なくとも2個の陰イオン性基を含む、陰イオン性化合物
を含み、かつ
(d)任意でMg 2+ またはその供給源をさらに含む、
核酸を分析するためのキット。
[本発明1031]
陰イオン性基を少なくとも2個含む陰イオン性化合物により引き起こされるPCR阻害を逆転させるためのMg 2+ の使用。
(図2)結合し溶出した核酸のゲル電気泳動分析を示す。プラスミドDNAを、ポリエチレンイミン磁性ビーズに結合させ、デキストラン硫酸、ポリアクリル酸、シュウ酸、メリト酸、またはゲノムDNAを使用して溶出させた。A:pH8.0での結合および溶出。B:pH8.5での結合および溶出。ゲルは以下の通りに負荷された。
(図3)結合し溶出した核酸のゲル電気泳動分析を示す。プラスミドDNAを、スペルミン磁性ビーズに結合させ、カルボキシメチルデキストラン、デキストラン硫酸、ポリアクリル酸、ポリ(4-スチレンスルホン酸マレイン酸)、酢酸、シュウ酸、クエン酸、ピロメリト酸、またはメリト酸を使用して溶出させた。ゲルは以下の通りに負荷された。
(図4)結合し溶出した核酸のゲル電気泳動分析を示す。プラスミドDNAを、スペルミン磁性ビーズまたはポリエチレンイミン磁性ビーズに結合させ、「無塩基」DNAを使用して溶出させた。ゲルは以下の通りに負荷された。
(図5)PCR阻害アッセイ法を示す。βアクチンPCRのct値に対する異なるカルボン酸の影響を試験した。
(図6)PCR阻害アッセイ法を示す。βアクチンPCRのct値に対する異なるクエン酸濃度の影響を試験した。
(図7)結合し溶出した核酸のゲル電気泳動分析を示す。100bp DNA断片を、スペルミン磁性ビーズに結合させ、500bpまたは1000bp DNA断片を使用して溶出させた。ゲルは以下の通りに負荷された。
(図8)結合し溶出した核酸のゲル電気泳動分析を示す。500bpまたは1000bp DNA断片を、スペルミン磁性ビーズに結合させ、200bp DNA断片を使用して溶出させた。ゲルは以下の通りに負荷された。
(図9)結合し溶出した核酸のゲル電気泳動分析を示す。500bp DNA断片を、スペルミン磁性ビーズに結合させ、RNAを使用して溶出させた。ゲルは以下の通りに負荷された。
(図10)結合し溶出した核酸のゲル電気泳動分析を示す。RNAを、スペルミン磁性ビーズに結合させ、500bp DNA断片を使用して溶出させた。ゲルは以下の通りに負荷された。
(図11)結合し溶出した核酸のゲル電気泳動分析を示す。ゲノムDNAを、スペルミン磁性ビーズに結合させ、プラスミドDNAを使用して溶出させた。ゲルは以下の通りに負荷された。
(図12)結合し溶出した核酸のゲル電気泳動分析を示す。プラスミドDNAを、スペルミン磁性ビーズに結合させ、ゲノムDNAを使用して溶出させた。ゲルは以下の通りに負荷された。
(図13)結合し溶出した核酸のゲル電気泳動分析を示す。siRNAを、ポリエチレンイミン磁性ビーズに結合させ、300bp DNA断片を使用して溶出させた。ゲルは以下の通りに負荷された。
(図14)PCRの増幅曲線が正常であり、PAAがPCRにおけるアーティファクト形成を促進しないことを示す。図14A〜14Bは、TaqMan(登録商標)-MGBプローブを使用して閾値サイクル(Ct)を検出した実験の結果を示す。図14Cは、PCRにおける産物同一性を確認するため融解曲線を記録した実験の結果を提供する。実施例15を参照のこと。
(図15)異なる溶出:AXpH(商標)ビーズ、アルカリ、またはPAAを比較している、様々な濃度の淋菌(Neisseria Gonorrhoeae)(NG) DNAのリアルタイムPCRの結果を提供する。
(図16)PCRに対する陰イオン交換材料の阻害効果を証明する。ビーズの非存在下(図16A)、または1:10(図16A)、1:100(図16B)、および1:1000(図16B)希釈のAXpH(商標)ビーズの存在下で、リアルタイムPCR増幅を3通り実施した。Brandis,Dye structure affects Taq DNA polymerase terminator selectivity,Nucl.Acids Res.1999 27(8):1912-1918に記載されたようなカルボキシフルオレセインの異性体である6-FAM(商標)(「FAM」)色素により標識されたレポータープローブを使用して、蛍光シグナルを生成した。阻害は、増幅曲線の直線相の右方シフトにより示される。
(図17)ウシ血清アルブミンが陰イオン交換材料の存在下でPCRを救済しないことを証明する。1:50希釈のAXpH(商標)ビーズ、ならびに0、1:1、および1:10希釈の1mg/mlストックウシ血清アルブミン(最終濃度0.1mg/mlおよび0.01mg/mlのBSA)の存在下で、リアルタイムPCR増幅を3通り実施した。FAM(上の曲線)または5'-テトラクロロ-フルオレセイン(「TET」)色素(下の曲線)のいずれかにより標識されたレポータープローブを使用して、蛍光シグナルを生成した。
(図18)担体DNAの添加が陰イオン交換ビーズキャリーオーバーによるPCR反応の阻害を逆転させることを証明する。1:50希釈のAXpH(商標)ビーズ、および0または100ng/mlの担体DNAの存在下で、リアルタイムPCR増幅を3通り実施した。FAM(上の曲線)またはTET(下の曲線)のいずれかにより標識されたレポータープローブを使用して、蛍光シグナルを生成した。見られるように、担体DNAは、FAMにより生成されるシグナルを消光させるようであった。しかしながら、TET色素の使用は、担体DNAがAXpH(商標)ビーズの存在の阻害効果を逆転させることを示した。
(図19)ポリアクリル酸(「PAA」)も陰イオン交換材料の存在下でPCRを救済することを証明する。25ng/ml PAAの存在下(「PAA+」)または非存在下(「PAA-」)で、1:200(図19A)、1:250(図19A)、1:400(図19B)、および1:500(図19B)希釈のAXpH(商標)ビーズの存在下で、リアルタイムPCR増幅を3通り実施した。FAM(上の曲線)またはTET(下の曲線)のいずれかにより標識されたレポータープローブを使用して、蛍光シグナルを生成した。
(図20)PAAの救済効果が、高い陰イオン交換濃度の存在下で、低い標的濃度についても維持されることを証明する。1:25希釈のAXpH(商標)ビーズ、および0または25ng/mL PAAの存在下で、10、103、および105コピーの標的核酸に対して、リアルタイムPCR増幅を3通り実施した。FAMまたは5'-テトラクロロ-フルオレセイン色素(「TET」)のいずれかにより標識されたレポータープローブを使用して、蛍光シグナルを生成した。見られるように、対照においては三つの区別される曲線が存在するが(図20A、上の曲線)、それらは、最高濃度の標的核酸を除き、AXpH(商標)ビーズの添加により消失した(図20A、下の曲線)。PAAの添加はこの効果を逆転させた(図20B)。
(図21)tHDAに対する陰イオン交換材料の阻害効果を証明し、増幅がPAAにより救済され得ることを示す。1:25希釈のAXpH(商標)ビーズ、および0または25ng/mL PAAの存在下で、10、103、および105コピーの標的核酸に対して、NG DNAのリアルタイム増幅を3通り実施した。標識されたレポータープローブを使用して、蛍光シグナルを生成した。図21Aは対照tHDA活性(PAAもビーズもなし)を証明し、図21Bはビーズの存在下でのtHDA活性を証明し、図21CはビーズおよびPAAの存在下でのtHDA活性を証明する。
(図22)高分子量PAA(PAA-H)、低分子量PAA(PAA-L)、またはポリメタクリル酸(「+PMA」)の存在が、AXpH(商標)ビーズの存在下での標的NG DNAの増幅を可能にすることを証明する。TET(上の曲線)またはFAM(下の曲線)のいずれかにより標識されたTaqMan(登録商標)プローブを使用して、全ての例について、標準的な3工程リアルタイムPCR反応を3通り実施した。全ての増幅を2.5mM MgCl2の存在下で実施した。図22A:1は、洗浄緩衝液(10mMトリス(pH8);0.1%NP-40 alternative)において標的核酸を利用した陽性増幅対照であり;2は、AXpH(商標)ビーズの存在下で洗浄緩衝液において標的核酸を利用したビーズ対照である。図22B:3は、洗浄緩衝液+PAA-H(0.25%)およびAXpH(商標)ビーズにおいて増幅された標的であり;4は、洗浄緩衝液+PAA-L(0.25%)およびAXpH(商標)ビーズにおいて増幅された標的である。図22C:5は、洗浄緩衝液+PMA(0.25%)およびAXpH(商標)ビーズにおいて増幅された標的である。
(図23)ポリグルタミン酸(「PGA」)の存在が、陰イオン交換材料の存在下でのPCR増幅を可能にすることを証明する。TaqMan(登録商標)プローブを使用して、全ての例について、NG DNAに対して、標準的な3工程リアルタイムPCR反応を3通り実施した。B7-9は、標的核酸およびAXpH(商標)ビーズの両方の非存在下で洗浄緩衝液(10mMトリス(pH8);0.1%NP-40 alternative)を使用した絶対陰性対照である。Aの曲線は、単独の洗浄緩衝液または洗浄緩衝液+1.25%PGA、1.25%ポリアデニル酸(「ポリA」)、または1.25%カルボキシメチルデキストラン(「CMD」)のいずれかに溶解させた標的核酸を使用した陽性増幅対照である。見られるように、多価陰イオン性化合物は、いずれも、標的の増幅に有意に影響を与えなかった。B4-6は、標的の増幅に対する陰イオン交換材料の効果を証明するためのビーズ対照である。E4-6は、1.25%CMDおよびAXpH(商標)ビーズの存在下での標的の増幅を示す。D4-6は、1.25%PGAおよびAXpH(商標)ビーズの存在下での標的の増幅を示す。左のプロットは微分曲線として表されたデータを示す。右のプロットは生データを示す。
(図24)PAAがPCRを阻害し、それが、Mg2+の濃度の増加により補正され得ることを証明する。標的NG DNAを、二つの型の陰イオン交換材料(それぞれBCDおよびEFG)、ならびに3、7、または11mM Mg2+の存在下で、0.05または0.1%いずれかのPAAの存在下で増幅した。図に見られるように、Mg2+の濃度の増加は、PAAの阻害効果を逆転させた。
核酸が、核酸骨格の負にイオン化されたホスフェートのため、ある種の正にイオン化された材料へ放出可能に吸着され得ることは、古くから公知である。この特性は、陰イオン交換と名付けられた手法を通して複雑な生物学的材料から核酸を精製するために頻繁に操作される。典型的なシナリオにおいては、固相を、「捕獲成分」によりコーティングして、陰イオン交換材料を形成させる。適切なイオン条件およびpH条件の下で、核酸のリン酸骨格は正味の負の電荷を保持し、捕獲成分は正味の正の電荷を保持する。従って、核酸は捕獲成分に結合するが、タンパク質のような中性または正の電荷を有する分子は結合しない。次いで、遠心分離または磁場の適用のような様々な手段により、核酸が結合している固相を残りから分離することができる。次いで、陰イオン交換材料を洗浄し、典型的なスキームにおいては、塩条件および/またはpH条件を改変することにより、核酸を溶液中に溶出させ、溶出液を形成させる。次いで、溶出液を陰イオン交換材料から分離し、その後の分析において使用することができる。多数のそのような方法が以前に記載されている。これらの方法は、清潔であり、実行が容易であり、比較的高い核酸収量をもたらし、かつ伝統的な化学的抽出精製法では必要とされる危険で高価な化学物質を必要としない。しかしながら、それらはいくつかの問題を提示する。
本開示に係る核酸は、限定されず、任意の核酸を含む。例えば、非限定的に、核酸は、ゲノムDNA、ミトコンドリアDNA、細菌DNA、ウイルスDNA、プラスミド、コスミド、直鎖状のオリゴデオキシヌクレオチドおよびポリデオキシヌクレオチド、cDNA、PCR断片、PCRアンプリコン、tHDAアンプリコン、LCRアンプリコン、ロングレンジ(long range)PCRアンプリコン、オリゴヌクレオチド、プライマー、プローブ、人工または合成のDNAを含むが、これらに限定されないDNA;mRNA、tRNA、rRNA、ウイルスRNA、siRNA、miRNA、RNAi、直鎖状オリゴヌクレオチド、直鎖状ポリヌクレオチド、プローブ、人工または合成のRNAを含むが、これらに限定されないRNA;PNAおよびLNAのような人工核酸、ならびにDNAおよびRNAの両方を含む核酸などのそれらの組み合わせ、ならびにRNA:DNAハイブリッドなどのそれらのハイブリッド;核酸と他の生物学的構成要素との複合体であり得る。核酸は、一本鎖であってもまたは二本鎖であってもよい。それは、天然修飾および人工修飾のような修飾を含有していてもよく、例えば、人工塩基、人工糖成分、および/または人工的なヌクレオチド間結合を含む、人工的なヌクレオチドを含有していてもよい。
核酸を含有している試料には、生物学的試料および環境的試料を含む、標本または培養物(例えば、細胞培養物、微生物学的培養物、およびウイルス培養物)が含まれるが、これらに限定されない。生物学的試料は、細胞培養物、細菌、ウイルス、ヒトを含む動物、液体、固体(例えば、大便)、または組織試料、ならびに液体または固体の食品および飼料、ならびに乳製品、野菜、肉および肉副産物、ならびに廃棄物などの要素などの任意の供給源に由来し得る。環境的試料には、例えば、表面材料、土壌、水、および工業的試料のような環境的材料が含まれ、食品および乳製品の加工用の機器、装置、設備、用具、使い捨ておよび非使い捨ての用品から入手された試料も含まれる。例示的な生物学的試料は、頚部上皮細胞(例えば、頚部拭き取り検体から入手された試料)、アデノイド細胞、肛門上皮細胞のような細胞試料、血液、血清、血漿、またはバフィーコートのような血液製剤、唾液、脳脊髄液、胸水、乳、リンパ液、痰、および精液を含むが、これらに限定されず、例えば、Preservcyt、Surepath、および/またはDigene Collection Medium(「DCM」)に収集され得る。試料は、デオキシリボ核酸(DNA)および/またはリボ核酸(RNA)を含み得る。
本開示は、陰イオン交換材料を有利に利用する。「陰イオン交換材料」、「陰イオン交換材料」、「陰イオン交換マトリックス」、および「陰イオン交換樹脂」という用語は、本明細書において同義に使用され、特に、化学的な意味で樹脂である材料に制限されない。本明細書において使用される場合、「陰イオン交換材料」という用語は、核酸のリン酸骨格と材料の正にイオン化可能な捕獲成分との間の複合体の形成を介して、溶液から核酸を選択的に除去するために使用され得る任意の材料をさすものとする。例えば、米国特許第6,914,137号、米国特許第5,990,301号、US20100009351A1、およびEP 0 268 946 B1(これらの開示は参照により本明細書に組み入れられる)に記載されたものを含む、多数の陰イオン交換材料が以前に記載されており、当業者により直ちに認識されるであろう。核酸の精製に適している任意の陰イオン交換材料が使用され得る。
式中、
Xは、R2N、RNH、またはNH2であり、
Yは、R2N、RNH、またはNH2であり、
Rは互いに独立して、好ましくはO、N、S、およびPより選択される1個または複数個のヘテロ原子を含んでもよい、直鎖型、分岐型または環式のアルキル置換基、アルケニル置換基、アルキニル置換基またはアリール置換基であり、かつ
nは、0〜20、好ましくは、0〜18の範囲の整数である。
当技術分野において公知のイオン交換過程は、通常、二つの主要な工程:(1)材料に正の電荷を与えるpHで、核酸を陰イオン交換材料に結合させる工程;および(2)塩濃度を増加させ、かつ/または捕獲成分のpKaより上にpHを増加させることにより(「pHシフト法」)、該材料から核酸を溶出させ、かつ/または置換する工程を含む。本開示において、少なくとも2個の陰イオン性基を含む少なくとも一つの化合物を含む溶液が、核酸を溶出させるため、陰イオン交換材料に適用される。
核酸を陰イオン交換材料に結合させた後、陰イオン性基を少なくとも2個含む陰イオン性化合物またはそのような陰イオン性化合物の混合物を含む溶液を添加することにより、結合した核酸を溶出させることができる。
陰イオン性化合物は、陰イオン交換材料から核酸を置換する。本発明の方法は、溶出を引き起こすためのpHの変化、特に、捕獲成分のpKaより上へのpHの変化を含む必要がなく、核酸が結合している陰イオン交換材料から核酸を溶出させるため、陰イオン性化合物に頼る。陰イオン性化合物は、それ自体の材料に対する高い選択性のため、比較的低い濃度で、陰イオン交換材料から核酸を置換することができる。
結合した核酸の陰イオン交換材料からの溶出は、本明細書において定義されるような少なくとも2個の陰イオン性基を含む、陰イオン性化合物を使用して、達成される。好ましくは、溶出は、陰イオン性化合物を含有している溶出緩衝液を使用して実施される。溶出緩衝液は、好ましくは、水性溶液であり、その水性溶液は、例えば、緩衝剤、例えば、結合溶液に関して上に記載されたような緩衝剤、有機構成要素、および/または塩をさらに含有していてもよい。一つの態様において、溶出のために使用されるpHは、好ましくは、約5〜約13、約5〜約9.5、または約5〜約8.5の範囲内にある。別の態様において、溶出液が、PCR、RT-PCR、または等温増幅反応のような増幅反応において直接使用されることが想定される場合には特に、pHは、約8.2〜約9.0の範囲内にある。
本明細書に開示された単離および溶出の方法の一つの利点は、pHスイッチ法または高塩法に訴えることなく、関心対象の核酸を含む溶出液が生成され得るという点である。従って、本明細書に記載された方法に従って生成された溶出液は、例えば、PCR、RT-PCR、ヘリカーゼ依存性増幅のような増幅法、ハイブリッド捕獲アッセイ法、配列決定、またはトランスフェクションを含む様々な分析法において直接使用され得る。溶出した核酸を増幅法において使用する場合、本明細書中で定義される、少なくとも2個の陰イオン性基を含む、任意の陰イオン性化合物が、使用され得る。しかしながら、その後の増幅反応、特に、PCRを含むある種の態様において、陰イオン性化合物はデキストラン硫酸ではない。
陰イオン交換材料は、核酸の分析に干渉することが公知である。溶出剤としての利用可能性とは別に、本明細書全体に記載されるような陰イオン性化合物は、陰イオン交換材料の存在下での核酸の分析を可能にするという予想外の特性も有する。従って、本開示は、陰イオン性化合物が分析工程中に添加される、陰イオン交換材料の存在下で核酸を分析するための材料および方法に関する。
本開示は、陰イオン交換材料、好ましくは、上記のような陰イオン交換材料と;上記のような、少なくとも2個の陰イオン性基を含む少なくとも一つの陰イオン性化合物を含む、溶出緩衝液とを含む、生物学的試料のような試料から核酸を単離するためのキットも提供する。キットは、洗浄緩衝液、負荷緩衝液、平衡化緩衝液、溶解緩衝液(例えば、細胞または組織試料などの試料の溶解用)、RNaseおよび/またはDNaseのようなヌクレアーゼ、RNaseまたはDNaseの阻害剤、ならびに使用説明書からなる群より選択される構成要素を一つまたは複数さらに含み得る。核酸を単離するためのキットは、単離された核酸を分析し、かつ/または増幅するのに適しているさらなる構成要素も含み得る。
本開示は、陰イオン交換材料に可逆的に結合した核酸を陰イオン交換材料から置換するための、少なくとも2個の陰イオン性基を含む、陰イオン性化合物、好ましくは、少なくとも2個の陰イオン性基を含む非ポリマー性化合物の使用も提供する。陰イオン性化合物、非ポリマー性化合物、核酸、および/または陰イオン交換材料は、好ましくは、上記の通りである。
(a)核酸に可逆的に結合する陰イオン交換材料と、試料を接触させる工程;
(b)任意で、未結合の試料構成要素を除去するために該陰イオン交換材料を洗浄する工程;および
(c)少なくとも2個の陰イオン性基を含む少なくとも一つの非ポリマー性化合物を添加することにより、結合した核酸を溶出させる工程であって、該化合物が、単離された核酸を入手するために、該結合した核酸を該陰イオン交換材料から置換する工程
を含む、核酸を含む該試料から核酸を単離する方法も提供される。
(a)式R3N、R2NH、RNH2、および/またはX-(CH2)n-Yを有する一級アミン、二級アミン、または三級アミンからなる群より選択され、
式中、
Xは、R2N、RNH、またはNH2であり、
Yは、R2N、RNH、またはNH2であり、
Rは互いに独立して、好ましくはO、N、S、およびPより選択される1個または複数個のヘテロ原子を含んでもよい、直鎖型、分岐型または環式のアルキル置換基、アルケニル置換基、アルキニル置換基、またはアリール置換基であり、かつ
nは、0〜20、好ましくは、0〜18の範囲の整数であり、
(b)アミノメチル、アミノエチル、ジエチルアミノエチル、トリメチルアミノ、トリエチルアミノエチル、スペルミン、スペルミジン、3-(プロピルアミノ)プロピルアミン、ポリアミドアミンデンドリマー、ポリエチレンイミン、N-モルホリノエチル、およびポリリジンからなる群より選択され、かつ/または
(c)スペルミン、スペルミジン、およびポリエチレンイミンからなる群より選択される。
(a)少なくとも2個の陰イオン性基、好ましくは、3〜6個の陰イオン性基を含み;
(b)有機化合物、好ましくは、2〜20個の炭素原子、より好ましくは、2〜12個の炭素原子を有する有機化合物であり;
(c)1個または複数個の置換基により置換されていてもよい、シュウ酸、フマル酸、グルタル酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、タルトロン酸、酒石酸、クエン酸、イソクエン酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、アコニット酸、プロパン-1,2,3-トリカルボン酸、アコニット酸、ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、トリエチル-1,1,2-エタントリカルボン酸、シクロプロパンジカルボン酸、シクロブタンジカルボン酸、シクロブタントリカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、シクロヘキサンヘキサカルボン酸、シクロオクタンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘミメリト酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メロファン酸、プレニト酸、ピロメリト酸、ベンゼンペンタカルボン酸、およびメリト酸、ジエリスリトールのヘキサカルボン酸、トリエリスリトールの八酢酸、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、αケトグルタル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、ジカルボキシマロン酸、(18-クラウン-6)-2,3,11,12-テトラカルボン酸、アクリル酸、メタクリル酸、またはビニル酢酸のような重合可能または縮合可能な酸性モノマー2〜10個、好ましくは、2〜6個のオリゴマーのようなカルボン酸であり;
(d)1個または複数個の置換基により置換されていてもよい、メチルジスルホン酸、エチルジスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、フェノールジスルホン酸、およびナフタレンジスルホン酸のような有機スルホン酸であり;
(e)ヒドロキシエタンジホスホン酸などの有機ホスホン酸であり;
(f)オルガノホスフェートであり;かつ/または
(g)カーボネートまたはジアセチルアセトンである。
(a)溶出中のpHは、捕獲成分の正にイオン化可能な基のpKaより上ではなく;
(b)溶出中のpHは、5〜13、好ましくは、5〜8.5の範囲内にあり;
(c)溶液中の全塩濃度は、1M、好ましくは、0,5Mを超えない。
方法は、単離された核酸を増幅する工程、好ましくは、中間の精製工程、緩衝工程、または脱塩工程を実施することなく、増幅する工程をさらに含み得る。
(a)核酸-陰イオン交換複合体を形成させるために、核酸を陰イオン交換材料と複合体化する工程;
(b)該核酸-陰イオン交換複合体を他の材料から分離する工程;および
(c)少なくとも2個の陰イオン性基を含む少なくとも一つの非ポリマー性化合物を含む、溶液において、該核酸を分析する、好ましくは該核酸を増幅する工程
を含む、該陰イオン交換材料の存在下で、該核酸を分析する、好ましくは、該核酸を増幅する方法も提供される。
(a)陰イオン交換材料;および
(b)少なくとも2個の陰イオン性基を含む少なくとも一つの非ポリマー性化合物を含む、溶出緩衝液。
1.磁性シリカゲルの陰イオン交換修飾
2口キャップ付きの100ml 1口フラスコに、脱イオン化水23ml、250mM NaPO4(pH6.0)3ml、3-グリシドキシプロピル-トリメトキシシラン100μl、およびジエチルアミノプロピル-トリエトキシシラン91.7μlを供給する。溶液を、2M NaOHによりpH5.50に調整する。添加前に、MagAttractビーズ「G」2gを、脱イオン水15mlを含むナルゲンフラスコに入れ、レベル5でシェーカー上で5分間振とうし、磁気的に分離し(3分)、上清水を排出する。懸濁物を全部で7gにまで補充し、反応フラスコに添加する。ナルゲンフラスコを、脱イオン水1mlにより1回洗浄する。次いで、フラスコを、KPGスターラーおよび還流冷却器に添加する。撹拌速度は500/分である。懸濁物の温度を、油浴(磁石なしのヒーター)を使用して、90℃にまで高める。90℃を4時間維持する。その後、油浴を除去し、懸濁物を冷却するため1時間撹拌する。フラスコ容量を60mlナルゲンフラスコに変換し、スターラーを少量の脱イオン水により洗浄する。ビーズの残りを変換するため、ナルゲンフラスコ内の懸濁物を、3分間磁気的に分離し、フラスコを液体により1回洗浄する。ビーズをボトルの口部の磁石により分離し、液体を排出する。洗浄のため、以下の量の液体をビーズに添加し;懸濁物をレベル5でシェーカーで5分間振とうし、次いで、ビーズをボトル口部の磁石により分離し、液体を排出する。洗浄は、トリス/NaCl緩衝液25mlにより2回、脱イオン水25mlにより1回、エタノール25により3回、行われた。その後、水へと変換するため、脱イオン水25mlによる3回の洗浄を実施した。
カバーガス下で、2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルクロロホスホラミダイト530mg(2.2mmol)を、ジクロロメタン15mlに溶解させ、平行して、100ml 3口フラスコにおいて、1,3-プロパンジオール146μl(154mg、2mmol)を無水ジクロロメタンに溶解させる。それらの溶液を3口フラスコで合わせ、3時間反応させる。次いで、「活性化溶液」(CH3CN中の0.25M 4,5-ジシアノイミダゾール)16mlを添加し、室温で1時間振とうし、次いで、「酸化溶液」(H2O/ピリジン/THF(2:21:77v/v/v)中の1Mヨウ素)4mlを添加し、一夜反応させる。退色後、黄色染料がもはや消失しなくなるまで、いくつかのヨウ素ボールを添加する。その後、フラスコを冷却装置に入れる。沈降物が示されない場合は、沈降物が現れていないため、ヘキサン50mlを再度添加し、次いで、凝縮する。次いで、残さを、ヘキサン40mlにより2回洗浄し、デカントし、RNase不含水50mlに再懸濁させる。透析チューブ(MWCO 5,000)を用いて、50mM NaH2PO4(pH7.0)5lに対して透析し、VE水5lに対して2回透析する。その後、溶媒を凍結乾燥により除去する。この実験の収量は40mgであった。
磁性粒子(Carboxyl-Adembeads、Ademtech、注文番号02111)500mgを50mM MES緩衝液(pH6.1)10mlに再懸濁させ、50mg/ml N-ヒドロキシスルホスクシンイミド溶液11.5mlを添加する。ミニシェーカーにより混合する。52μmol/l 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド溶液10mlを添加し、再び混合する。その後、回転式シェーカー上で30分間反応させる。次いで、上清を除去する。50mM MES緩衝液(pH6.1)50mlに再懸濁させ、その10mlアリコートを作成する。磁気分離の後、上清を除去する。次いで、50mM MES緩衝液(pH6.1)1mlに再懸濁させ、50mM MES中500mg/mlの濃度で8.5のpHでアミン2mlを添加し、よく混合する。10分間の超音波処理の後、回転式シェーカー上で1時間反応させる。その後、50mM MES緩衝液(pH6.1)10mlにより2回洗浄し、磁気的に分離し、上清を廃棄する。4.5〜7.0のpHを有するMES緩衝液2mlに粒子を再懸濁させる。
50mM MES緩衝液(pH6.1)10mlに磁性粒子(Estapor)500mgを再懸濁させ、50mg/ml 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド溶液11.5mlを添加し、再び混合する。その後、回転式シェーカー上で30分間反応させる。次いで、上清を除去する。50mM MES緩衝液(pH6.1)50mlに再懸濁させ、その10mlアリコートを作成する。磁気分離の後、上清を除去する。次いで、50mM MES緩衝液(pH6.1)1mlに再懸濁させ、50mM MES中500mg/mlの濃度および8.5のpHでポリエチレンイミン2mlを添加し、よく混合する。10分間の超音波処理の後、回転式シェーカー上で1時間反応させる。その後、200mM NaCl、50mM MES緩衝液(pH7.0)10mlにより2回洗浄し、50mM MES緩衝液(pH6.1)10mlにより4回洗浄する。磁気分離の後、上清を除去する。粒子を4.5〜7.0のpHを有するMES緩衝液2mlに再懸濁させる。
実施例1:第二の核酸および磁性陰イオン交換シリカ粒子を使用した核酸溶出
300bpのDNA断片1μgを、緩衝液(25mM MES(pH7.0))100μlに溶解させる。次いで、実施例I.1に従って調製された磁性シリカゲル1mgを添加し、RTおよび1,000rpmでインキュベートする。磁気分離の後、上清を廃棄する。次いで、サーマルシェーカー上での1,000rpmでの脱イオン水100μl中での5分間のインキュベーション、磁気分離、および上清の廃棄により、ビーズを2回洗浄する。500bp DNA断片1〜3μgを含有している溶出緩衝液50μlをビーズに添加し、サーマルシェーカー上での5分間のインキュベーションおよび磁気分離の後、上清を入手する。次いで、50mMトリス、50mM NaCl(pH8.5)を含有している溶出緩衝液50μlを使用して、溶出を繰り返す。
プラスミドDNA(pUC21)2μgを、25mM MES(pH8.0または8.5)に溶解させ、ポリエチレンイミンによりコーティングされた磁性粒子0.25mg(脱イオン水中50mg/ml)を添加する。分散物をRTおよび1,000rpmで5分間混合する。磁気分離の後、上清を除去する。次いで、サーマルシェーカー上でのRTおよび1,000rpmでの脱イオン水100μl中での5分間のインキュベーション、磁気分離、および上清の廃棄により、ビーズを2回洗浄する。デキストラン硫酸(Mw9,000〜25,000)、ポリアクリル酸、シュウ酸、またはメリト酸2,000ngを付加的に含有している溶出緩衝液(25mM MES(pH8.0または8.5))100μlを使用して、溶出を実施する。次いで、50mM MES、50mM NaCl(pH8.5)50μlを使用して、第二の溶出を実施する。
プラスミドDNA(pUC21)2μgを25mM MES(pH7.0)に溶解させ、スペルミンによりコーティングされた磁性粒子(脱イオン水中50mg/ml)0.125mgを添加する。次いで、分散物をRTおよび1,000rpmで5分間インキュベートする。磁気分離の後、上清を除去する。次いで、サーマルシェーカー上でのRTおよび1,000rpmでの脱イオン水100μl中での5分間のインキュベーション、磁気分離、および上清の廃棄により、ビーズを2回洗浄する。カルボキシメチルデキストラン、デキストラン硫酸(Mw6,500〜10,000)、デキストラン硫酸(Mw9,000〜25,000)、ポリアクリル酸、ポリ(4-スチレンスルホン酸マレイン酸)、酢酸、シュウ酸、クエン酸、ピロメリト酸、またはメリト酸2,000、5,000、または10,000ngを付加的に含有している溶出緩衝液(25mM MES(pH7.0))100μlを使用して、溶出を実施する。次いで、50mM MES、50mM NaCL(pH8.5)50μlを使用して、第二の溶出を実施する。
プラスミドDNA(pUC21)2μgを25mM MES(pH7.0)に溶解させ、スペルミン(pH7.0、7.5)またはポリエチレンイミン(pH8.0、8.5)によりそれぞれコーティングされた磁性粒子0.25mg(各々、脱イオン水中50mg/ml)を添加する。次いで、分散物をRTおよび1,000rpmで5分間混合する。磁気分離の後、上清を除去する。次いで、サーマルシェーカー上でのRTおよび1,000rpmでの脱イオン水100μl中での5分間のインキュベーション、磁気分離、および上清の除去により、ビーズを2回洗浄する。「無塩基」DNA 2,000、5,000、または10,000ngを付加的に含む溶出緩衝液(25mM MES(pH7.0、7.5、8.0、または8.5))100μlを用いて、溶出を実施する。次いで、50mM MES、50mM NaCl(pH8.5)50μlを使用して、第二の溶出を実施する。
βアクチンPCR反応混合物に、ゲノムDNA 5、10、または20ng、および酢酸、シュウ酸、クエン酸、ポリアクリル酸、またはメリト酸、各々20ngを添加する。平行して、対照としてのカルボン酸の添加なしのPCR結果およびブランク値を決定する。
βアクチンPCR反応混合物に、ゲノムDNA 5または10ng、およびクエン酸30、60、120、または240ngを添加する。平行して、対照としてのカルボン酸の添加なしのPCR結果およびブランク値を決定する。次いで、βアクチンPCRを実施し、Ct値を決定する。Ct値とは、作製された核酸の量が、(核酸産物のシグナルとバックグラウンドシグナルとを区別するために使用される)ある閾レベルを超えるまでのPCRの反応サイクルの数を表す。
DNA断片(100bp)1μgを、25mM MES緩衝液(pH7.0)100μlに溶解させ、スペルミンで修飾された磁性粒子の懸濁物(26.4mg/ml)15μlを添加し、懸濁物をRTおよび1,000rpmで5分間混合する。磁気分離の後、上清を除去する。次いで、RTおよび1,000rpmでの脱イオン水100μl中での5分間のインキュベーション、磁気分離、および上清の除去により、粒子を2回洗浄する。次いで、500bpまたは1000bpのDNA 1、2、または3μgを含有している溶出緩衝液(25mM MES(pH7.0))50μlを使用して、第一のDNAを溶出させる。溶出は、RTおよび1,000rpmでの溶出緩衝液中での5分間のインキュベーション、磁気分離、および上清の入手により実施される。次いで、結合、洗浄、および溶出の後の上清の試料を、アガロースゲル電気泳動により分離する。
500bpまたは1000bpのDNA断片1μgを、25mM MES緩衝液(pH7.0)100μlに溶解させる。スペルミンで修飾された磁性粒子の懸濁物(17mg/ml)15μlを添加し、懸濁物を、RTおよび1,000rpmで5分間混合し、スペルミンで修飾された磁性粒子に結合させる。磁気分離の後、上清を除去する。次いで、RTおよび1,000rpmでの脱イオン水100μl中での5分間のインキュベーション、磁気分離、および上清の除去により、粒子を2回洗浄する。次いで、200bpのDNA 1、2、または3μgを含有している溶出緩衝液(25mM MES(pH7.0))50μlを使用して、溶出を実施する。溶出は、RTおよび1,000rpmでの溶出緩衝液中での5分間のインキュベーション、磁気分離、および上清の入手により実施される。対照のため、50mMトリス、50mM NaCl(pH8.5)50μlを使用して、第二の溶出を実施する。次いで、結合、洗浄、第一の溶出、および第二の溶出の後の上清の試料を、アガロースゲル電気泳動により分離する。
スペルミンで修飾されたビーズ0.125mgを、25mM MES緩衝液(pH7.0)100μlに懸濁させ、500bpのDNA断片1μgを添加する。懸濁物を、RTおよび1,000rpmで5分間インキュベートし、磁気的に分離し、上清を除去する。次いで、脱イオン水100μl中での5分間のインキュベーション、磁気分離、および上清の除去により、ビーズを2回洗浄する。次いで、RNA 1、2、または3μgを含有している溶出緩衝液(25mM MES(pH7.0))50μlを使用して、溶出を実施する。溶出は、溶出緩衝液中での5分間のインキュベーション、磁気分離、および上清の入手により実施される。対照のため、50mMトリス、50mM NaCl(pH8.5)50μlを使用した第二の溶出を実施する。次いで、結合、洗浄、第一の溶出、および第二の溶出の後の上清の試料を、アガロースゲル電気泳動により分離する。
スペルミンで修飾されたビーズ0.125mgを、25mM MES緩衝液(pH7.0)100μlに懸濁させ、RNA 2μgを添加する。懸濁物を、RTおよび1,000rpmで5分間インキュベートし、磁気的に分離し、上清を除去する。次いで、脱イオン水100μl中での5分間のインキュベーション、磁気分離、および上清の除去により、ビーズを2回洗浄する。次いで、500bpのDNA 1、2、または3μgを含有している溶出緩衝液(25mM MES(pH7.0))50μlを使用して、溶出を実施する。溶出は、溶出緩衝液中での5分間のインキュベーション、磁気分離、および上清の入手により実施される。対照のため、50mMトリス、50mM NaCl(pH8.5)50μlを使用した第二の溶出を実施する。次いで、結合、洗浄、第一の溶出、および第二の溶出の後の上清の試料を、アガロースゲル電気泳動により分離する。
スペルミンで修飾されたビーズ0.125mgまたは0.25mgを、25mM MES緩衝液(pH7.0)100μlに懸濁させ、ゲノムDNA 1μgを添加する。懸濁物を、RTおよび1,000rpmで5分間インキュベートし、磁気的に分離し、上清を除去する。次いで、脱イオン水100μl中での5分間のインキュベーション、磁気分離、および上清の除去により、ビーズを2回洗浄する。次いで、プラスミドDNA 1、2、または3μgを含有している溶出緩衝液(12.5mM MES(pH7.0))50μlを使用して、溶出を実施する。溶出は、溶出緩衝液中での5分間のインキュベーション、磁気分離、および上清の入手により実施される。対照のため、50mMトリス、50mM NaCl(pH8.5)50μlを使用した第二の溶出を実施する。次いで、結合、洗浄、第一の溶出、および第二の溶出の後の上清の試料を、アガロースゲル電気泳動により分離する。
スペルミンで修飾されたビーズ0.25mgを、25mM MES緩衝液(pH7.0)100μlに懸濁させ、プラスミドDNA(pUC21)1μgを添加する。懸濁物を、RTおよび1,000rpmで5分間インキュベートし、磁気的に分離し、上清を除去する。次いで、脱イオン水100μl中での5分間のインキュベーション、磁気分離、および上清の除去により、ビーズを2回洗浄する。次いで、ゲノムDNA 1、2、または3μgを含有している溶出緩衝液(12.5mM MES(pH7.0))50μlを使用して、溶出を実施する。溶出は、溶出緩衝液中での5分間のインキュベーション、磁気分離、および上清の入手により実施される。対照のため、50mMトリス、50mM NaCl(pH8.5)50μlを使用した第二の溶出を実施する。次いで、結合、洗浄、第一の溶出、および第二の溶出の後の上清の試料を、アガロースゲル電気泳動により分離する。
実施例I.4に従い調製されたポリエチレンイミンで修飾されたビーズ0.125mgを、25mM MES緩衝液(pH8.0)100μlに懸濁させ、siRNA(Qiagen、注文番号SI00300650)1μgを添加する。懸濁物を、RTおよび1,000rpmで5分間インキュベートし、磁気的に分離し、上清を除去する。次いで、脱イオン水100μl中での5分間のインキュベーション、磁気分離、および上清の除去により、ビーズを2回洗浄する。次いで、300bpのDNA 2または3μgを含有している溶出緩衝液(25mM MES(pH8.0))50μlを使用して、溶出を実施する。溶出は、溶出緩衝液中での5分間のインキュベーション、磁気分離、および上清の入手により実施される。対照のため、50mMトリス、50mM NaCl(pH8.5)50μlを使用した第二の溶出を実施する。次いで、結合、洗浄、第一の溶出、および第二の溶出の後の上清の試料を、アガロースゲル電気泳動により分離する。
第一のDNAを使用したPCRに対する、溶出のために使用されるプラスミドDNAの影響を分析するため、異なる量のゲノムDNAおよび添加されたプラスミドDNAによるβアクチンPCRの連続アッセイ法を実施する。PCRのため、Applied Biosystems 7500 Real-Time PCRシステム(Applied Biosystems,Foster City,CA,USA)、TaqMan β-Actin Control Reagents(PE Applied Biosystems、注文番号401846)、QuantiTect Probe PCRMastermix(ヌクレオチド、ポリメラーゼ、および塩;Qiagen、注文番号127 137 815)、ならびに蛍光色素FAM(β-Actin Control Reagentsから)を使用する。ゲノムDNAは、キットQIAamp Blood(Qiagen、注文番号51106)を使用して、ヒト血液由来の核酸調製物から入手され、プラスミドDNA(pUC21)は、Qiagen Plasmid Mega Kit(Qiagen、注文番号12183)を使用して、大腸菌からのプラスミド単離により調製される。使用されたゲノムDNAおよびプラスミドDNAの量、ならびに記録されたCt値を表1に示す。
淋菌(NG)DNA 5×105コピーを含有しているDNA試料を、PreserCyt(登録商標)培地1mLに添加した。次いで、溶解緩衝液(100mMトリスHCl(pH7.0)中の2%トライトンX-100、0.2M EDTA、40mMクエン酸ナトリウム、40mMホウ酸)0.5mLを添加して、試料のpHを約7.8にした。次いで、試料をAXpH(商標)ビーズ懸濁物30μLと混合し、60℃で10分間インキュベートした。AXpH(商標)ビーズを磁気的に分離し、洗浄緩衝液(0.1mMトリス(pH8.0)中0.1%NP-40)500μlにより1回洗浄した。次いで、(a)洗浄緩衝液25μL、または(b)洗浄緩衝液中のPAA,Na塩(Fw>200,000;トリス塩基によりpH8.0に調整)の溶液のいずれかを添加することにより、溶出を実施した。次いで、各溶出液について3通りの25μL反応で実施されたリアルタイムPCRにおいて、溶出液(試料2.5μL)を、上記の手法に従って加工されていない同一溶出緩衝液中の等量の対照DNAと比較した。従って、対照のDNA希釈物は、ビーズからのDNAの100%の回収を模倣し、PAAがPCRに対して負の効果を有するか否かも明らかにするであろう。TaqMan-MGBプローブを使用して、閾値サイクル(Ct)を検出した(TETチャンネル、図14A〜14Cを参照のこと)。産物同一性を確認するため、PCR後融解曲線を記録するため、EvaGreen蛍光色素もPCRに添加した(図14C)。
以下の違いを除き、実施例15と本質的に同様に、実験を実施した。(a)3試料の各セットは、NG DNA 105、103、および10コピーを含有していたこと;(b)一つの試料セットは、0.5% PAA 25μLにより溶出させられたこと;(c)一つの試料セットはアルカリ性溶液(0.1M NaOH 15μLにより溶出させられた(その後、170mMトリスHCl(pH8.0)10μLにより中和)こと;および(d)NG DNAの対照セットは、洗浄緩衝液で適切な量のNG DNAを希釈することにより、AXpH(商標)ビーズからの試料の100%の回収をシミュレートするために調製されたこと。図15に示されるように、アルカリおよびPAAによる溶出についての結果は比較可能である。
この実験は、二つの異なるポリアクリル酸の試料(重PAA「PAAH」および軽PAA「PAAL」)ならびにポリメタクリル酸(PMA)により、DNAがAXpH(商標)ビーズから溶出するが、洗浄緩衝液によっては溶出しないことを証明した。各DNA試料は、PreserCyt(登録商標)培地1mL中に淋菌(NG)DNA 5×105コピーを含有していた。溶解緩衝液(100mMトリスHCl(pH7.0)中の2%トライトンX-100、0.2M EDTA、40mMクエン酸ナトリウム、40mMホウ酸)0.5mLを添加した後(試料の最終pHは約7.8であった)、試料をAXpH(商標)ビーズ懸濁物30μLと混合し、60℃で10分間インキュベートした。AXpH(商標)ビーズを、磁気的に分離し、洗浄緩衝液(0.1mMトリス(pH8.0)中0.1%NP-40)500μlにより1回洗浄した。次いで、(a)洗浄緩衝液25μL;(b)洗浄緩衝液中0.25%PAAH(ポリアクリル酸,Na塩、Fw>200,000);(c)洗浄緩衝液中0.1%PAAL(ポリアクリル酸,Na塩、Fw約5,100);(d)洗浄緩衝液中0.1%PMA(ポリメタクリル酸,Na塩、Fwおよそ483,000)のいずれかを添加することにより、溶出を実施した。次いで、各溶出液について3通りの25μL反応で実施されたリアルタイムPCRにおいて、溶出液(試料2μL)を、上記の手法に従って加工されていない等量の対照DNAと比較した。EvaGreen蛍光色素を使用して、閾値サイクル(Ct)を検出した。平均Ctは、それぞれ、27.2(PAAH)、24.4(PAAL)、26.1(PMA)、および23.5(対照DNA)であった。洗浄緩衝液による溶出液は増幅産物を与えなかった。これらの結果は、淋菌(NG)DNAの溶出が、「pHシフト」ではなく、PAAおよびPMAの存在により引き起こされたことを示す。
本実施例は、RNAもポリアクリル酸によりAXpH(商標)ビーズから溶出させられ得ることを証明する。本実施例において使用されたRNAは、クローニングされたHPV16配列の7,983nt転写物であった。PresevCyt培地1mL中のRNA溶液(7.5×104コピー/μL)25μLを、(実施例15に記載された通り)溶解緩衝液1mL中のQiagen AXpH(商標)ビーズの懸濁物60μLに添加し、60℃でインキュベートし、実施例15に記載されたように洗浄した。洗浄工程の後、ビーズを、洗浄緩衝液500μLに再懸濁させ、250μlに二等分した。ビーズの磁気分離の後、一方の部分を、60Cで10分間、0.1%NP-40を含有している0.5%PAA(>200,000)25μLにより溶出させ;ビーズの他方の部分を、同一条件下で0.1%NP-40を含有している2.5%PAAにより溶出させた。ビーズを分離した後、第一の部分からの溶出液を逆転写/PCRへ直接負荷し、第二の部分からの溶出液を水により5倍希釈した。いずれの場合にも、2.5μLの溶出液容量を、HPV16 6467-6590領域のためのプライマーおよびTaqMan(登録商標)プローブを含有している、Qiagen 1-Step QuantiTech Virus Kitを使用した一工程逆転写PCR反応25μLに添加した。RNA対照は、AXpH(商標)ビーズからのRNAの100%の溶出を模倣するため、適切に、対応する溶出緩衝液によりRNA溶液を希釈することにより調製された(即ち、0.5%および2.5%PAA溶出液について、それぞれ、7.5×104コピー/μL RNAストック溶液の10倍および50倍の希釈)。一工程RT/PCRを、製造業者のプロトコルに従って、各溶出液/対照について3通り実施した。結果は表4に示される。対照希釈物と溶出液との間のCtの得られた差は、実験誤差の範囲内であり、従って、RNA溶出が100%に近かったことが示唆される。
陰イオン交換材料が、精製された核酸の効果的な増幅に干渉する場合があることが、逸話的に観察されている。この効果を証明するため、AXpHビーズの非存在下で、または1:10,000、1:1,000、もしくは1:100希釈のAXpHビーズの存在下で、リアルタイムPCRを実施した。結果は図16に示される。阻害は、増幅曲線の直線相の右方シフトにより示される。
PCRは、最も一般的に使用されている核酸増幅法であるが、その他の方法も公知である。効果がPCRに特異的であるか否かを決定するため、ポリアクリル酸を用いて、またはポリアクリル酸を用いずに、陰イオン交換材料の存在下で、tHDA増幅を実施した。
陰イオン交換材料の阻害効果のため、核酸は、一般的には、分析の前に、陰イオン交換材料から溶出させられ分離される。しかしながら、ビーズから分離する必要なく、核酸を分析し得ることは有利であろう。従って、本明細書に開示される陰イオン性化合物が、陰イオン交換材料の存在下での核酸のリアルタイムPCR増幅を可能にするか否かを決定するために試験した。
PAAはPCRを阻害するが、それは、Mg2+の濃度を増加させることにより補正され得る。標的NG DNAを、二つの型の陰イオン交換材料および3、7、または11mM Mg2+の存在下で、0.05または0.1%いずれかのPAAの存在下で増幅した。図に見られるように、Mg2+の濃度の増加は、PAAの阻害効果を逆転させた。結果は図24に示される。
Claims (17)
- (a)核酸-陰イオン交換複合体を供給する工程;および
(b)該核酸-陰イオン交換複合体から核酸を溶出する工程であって、該溶出が、陰イオン性化合物を含む溶出緩衝液を、該核酸-陰イオン交換複合体に添加する工程を含み、ここで、該陰イオン性化合物が少なくとも2個の陰イオン性基を含む、工程
を含む、溶出液を形成するために陰イオン交換材料から核酸を溶出させる方法であって、
該陰イオン性化合物が該核酸-陰イオン交換複合体を崩壊させ、ここで、該核酸-陰イオン交換複合体が、
(i)核酸を含む試料を供給する工程;および
(ii)陰イオン交換材料が該核酸と可逆的に複合体化するpH条件および塩条件の下で、該試料を該陰イオン交換材料に添加する工程
を含む方法により供給され、
前記溶出緩衝液は、前記核酸-陰イオン交換複合体が形成されるpH条件および塩条件を超えないpHおよび塩濃度を有し、
前記核酸-陰イオン交換複合体は、7以上のpHで形成され、該核酸-陰イオン交換複合体は、工程(b)の溶出前に7未満のpHに曝されない、
方法。 - 前記陰イオン交換材料が、
(a)式R3Nのアミン;
(b)式R2NHのアミン;
(c)式RNH2のアミン;および
(d)式X-(CH2)n-Yのアミン
からなる群より選択される正にイオン化可能な捕獲成分を含み、
式中、
Xが、R2N、RNH、またはNH2であり、
Yが、R2N、RNH、またはNH2であり、
Rが互いに独立して、1個または複数個のヘテロ原子を含んでもよい、直鎖型、分岐型または環式のアルキル置換基、アルケニル置換基、アルキニル置換基またはアリール置換基であり、かつ
nが、0〜20の範囲の整数である、
請求項1記載の方法。 - 前記陰イオン交換材料が、ポリエチレンイミン(PEI)で修飾された磁性シリカビーズを含む、請求項1記載の方法。
- 少なくとも一つの前記陰イオン性化合物が、
(a)カルボン酸、重合可能または縮合可能な酸性モノマーのオリゴマー、有機スルホン酸、有機ホスホン酸、オルガノホスフェート、カーボネート、およびジアセチルアセトンからなる群より選択される、非ポリマー性化合物、ならびに
(b)重合した不飽和カルボン酸;不飽和カルボン酸と少なくとも一つの他のモノマーとのコポリマー;酸性アミノ酸のポリペプチド;酸性アミノ酸と少なくとも一つの他のアミノ酸とのコポリマー;カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、ホスフェート、およびカーボネートからなる群より選択される、共有結合したイオン化可能な基を保持しているポリカーボハイドレート;カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、ホスフェート、およびカーボネートからなる群より選択される、共有結合したイオン化可能な基を保持しているポリスチレン;第二の核酸;ならびに無塩基核酸からなる群より選択される、多価陰イオン性化合物
からなる群より選択される、請求項1記載の方法。 - 前記陰イオン性化合物が、少なくとも3個の陰イオン性基を含む、請求項1記載の方法。
- 前記陰イオン性化合物が、2〜20個の炭素原子を含む非ポリマー性化合物である、請求項1記載の方法。
- 前記陰イオン性化合物が、シュウ酸、メリト酸、ピロメリト酸、クエン酸、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル酸(PMA)、ポリグルタミン酸(PGA)、およびデキストラン硫酸(DS)からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
- 前記溶出緩衝液が、前記陰イオン性化合物の非存在下では前記核酸-陰イオン交換複合体を崩壊させないようなpHを有する、請求項1記載の方法。
- 前記溶出緩衝液が、前記捕獲成分の正にイオン化可能な基のpKaを超えないpHを有する、請求項2記載の方法。
- 前記溶出緩衝液がpH 5〜13の範囲のpHを有する、請求項1記載の方法。
- 前記溶出緩衝液がpH 5〜8.5の範囲のpHを有する、請求項1記載の方法。
- 前記溶出緩衝液がおよそ1Mまたはそれ未満の全塩濃度を有する、請求項1記載の方法。
- 前記溶出緩衝液がおよそ0.5Mまたはそれ未満の全塩濃度を有する、請求項1記載の方法。
- 前記溶出緩衝液が、ポリメラーゼ活性を有する酵素をさらに含む、請求項1記載の方法。
- 請求項1〜14のいずれか一項記載の方法を用いて溶出液を製造する方法であって、該溶出液が、前記核酸のさらなる精製の必要なしに酵素反応において直接使用可能である、方法。
- 前記酵素反応が、PCR、逆転写酵素(「RT」)反応、RT-PCR、定量的リアルタイムPCR、定量的リアルタイムRT-PCR、多重分析、融解曲線分析、高分解能融解曲線分析、好熱性ヘリカーゼ依存性増幅(「tHDA」)、RT-tHDA、定量的リアルタイムtHDA、および定量的リアルタイムRT-tHDAからなる群より選択される核酸増幅である、請求項15記載の方法。
- 前記核酸がRNAである、請求項15記載の方法。
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