JPWO2016136624A1 - 免疫調節剤及びその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、日常の食生活で継続的に経口摂取可能であり、副作用の心配のない、免疫調節剤及びその用途を提供することを課題とする。【解決手段】 下記(A)乃至(C)の特徴を有する分岐α−グルカン混合物を有効成分として含有する免疫調節剤を提供することによって上記課題を解決する:(A)グルコースを構成糖とし、(B)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、(C)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを生成する。【選択図】 なし

Description

本発明は免疫調節剤及びその用途に関するものであり、詳細には、分岐α−グルカン混合物を有効成分として含有する免疫調節剤及びその用途に関するものである。
ヒトをはじめとする高等生物は、細菌、ウイルス、寄生虫などの病原体の感染から防護するために免疫機能を備えており、各種の抗体やサイトカインの産生が生体内において適正に調節されている。特に、抗体は、イムノグロブリンA(以下「IgA」という。)、イムノグロブリンE(以下「IgE」という。)、イムノグロブリンG(以下「IgG」という。)などが知られ、免疫系における極めて重要な因子である。近年、生活環境が清潔になるにつれ、食中毒などの経口感染症は減少傾向にある。しかしながら、逆に清潔な生活環境は、抗原刺激の機会を少なくするため、常在的なIgAのレベルを低下させ、経口感染症に対する抵抗力を弱め、また、アレルゲンや自己抗原に対して過度に反応して、抗原特異的IgEや自己抗体を産生しやすくする。よって、結果的に、現代人は、経口感染症や、花粉症や食物アレルギーなどのアレルギー症、自己免疫疾患に罹患しやすい体質になっていると考えられる。
糖類の摂取が免疫に及ぼす作用として、特許文献1には、トレハロースが小腸に点在する免疫器官であるパイエル板の細胞に作用して、IgAやインターフェロン−γの産生量を調節することが開示されている。また、特許文献2には、ニゲロオリゴ糖が栄養障害による免疫機能低下を防止することが開示されている。さらに、特許文献3には、アレルギー症の予防又は治療に、非還元末端にα−1,6結合で結合したガラクトース残基を有するオリゴ糖を利用する方法が開示されている。
また、非特許文献1には、フラクトオリゴ糖(以下、「FOS」という。)の摂取によりIgA産生が活性化されることが開示されている。当該IgA産生の活性化は、腸内細菌叢を構成する細菌の一つであるバクテロイデス(Bacteroides)属細菌がFOSを資化することで腸内で増殖するとともに、増殖したバクテロイデス属細菌がパイエル板細胞によるIgA産生を活性化するためであると報告されている。
上記のオリゴ糖は副作用の心配がなく免疫調節剤として使用可能であるものの、一般にオリゴ糖は甘みを有するため食材に多量に配合すると、味質が変わってしまうという不都合が生じる。オリゴ糖と異なり甘みを有しない素材であれば色々な食品に比較的多量に配合することができ、日常の食生活で継続的に摂取可能であることから、オリゴ糖以外の糖類からなる免疫調節剤が求められている。
国際公開WO02/038146号パンフレット 特開2002−325555号公報 特開2003−40779号公報
細野朗、腸内細菌学雑誌、第27巻、第203頁−209頁(2013年)
斯かる状況に鑑み、本発明は、日常の食生活で継続的に摂取可能であり、副作用の心配のない免疫調節剤及びその用途を提供することを課題とする。
本発明者らは、免疫調節剤における上記課題を解決すべく鋭意研究を行う過程において、意外にも、本願と同じ出願人が国際公開第WO2008/136331号パンフレットにおいて開示した製造方法等により得られる分岐α−グルカン混合物、具体的には、グルコースを構成糖とし、α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、イソマルトデキストラナーゼ消化によりイソマルトースを生成する分岐α−グルカン混合物を、マウスに経口摂取させると、腸内におけるIgAの分泌が促進されるという新規な知見を得た。また、当該分岐α−グルカン混合物を、アレルゲンと抗体産生を増強させる目的で用いられる補助剤であるアラムアジュバントと共に免疫することによってIgEの産生を増強させたマウスに経口摂取させると、IgEの産生が抑制されることを見出した。さらに、当該分岐α−グルカン混合物をマウスに経口摂取させると、接触性皮膚炎(かぶれ)の症状が軽減されることも確認し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記(A)乃至(C)の特徴を有する分岐α−グルカン混合物を有効成分として含有する免疫調節剤を提供することによって上記の課題を解決するものである。
(A)グルコースを構成糖とし、
(B)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(C)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを生成する。
本発明の免疫調節剤は、日常の食生活で継続的に摂取可能であり、かつ、副作用の心配がないものであり、経口摂取により経口感染症、アレルギー症、自己免疫疾患などの緩和に効果的である。
本発明は、下記(A)乃至(C)の特徴を有する分岐α−グルカン混合物を有効成分として含有する免疫調節剤に係る発明である。
(A)グルコースを構成糖とし、
(B)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(C)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを生成する。
すなわち、本発明の免疫調節剤は、有効成分として前記分岐α−グルカン混合物(以下、「本分岐α−グルカン混合物」という。)を含有してなるものである。原料である澱粉に種々の酵素を作用させて得られる本分岐α−グルカン混合物は、通常、様々な分岐構造並びにグルコース重合度(分子量)を有する多数の分岐α−グルカンの混合物の形態にあり、現行の技術では、一つ一つの分岐α−グルカンの単離や定量を行うことは不可能である。個々の分岐α−グルカンの構造、すなわち、構成単位であるグルコース残基の結合様式及び結合順序は決定することはできないものの、本分岐α−グルカン混合物は、斯界で一般に用いられる種々の物理的手法、化学的手法又は酵素的手法により、混合物全体として特徴付けることができる。
本発明の免疫調節剤の有効成分として用いられる本分岐α−グルカン混合物は、グルコースを唯一の構成糖とするグルカン(特徴(A))であり、α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有している(特徴(B))。なお、「非還元末端グルコース残基」とは、α−1,4結合を介して連結したグルカン鎖のうち、還元性を示さない末端に位置するグルコース残基を意味し、「α−1,4結合以外の結合」とは、文字どおりα−1,4結合以外の結合であり、α−1,2結合、α−1,3結合、及びα−1,6結合が挙げられる。また、本分岐α−グルカン混合物は、イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを生成するという特徴を備えている(特徴(C))。
本明細書でいうイソマルトデキストラナーゼ消化とは、本分岐α−グルカン混合物にイソマルトデキストラナーゼを作用させ、加水分解することを意味する。イソマルトデキストラナーゼは、酵素番号(EC)3.2.1.94が付与される酵素であり、α−グルカンにおけるイソマルトース構造の還元末端側に隣接するα−1,2、α−1,3、α−1,4、及びα−1,6結合のいずれの結合様式であっても加水分解する特徴を有する酵素である。好適には、アルスロバクター・グロビホルミス由来のイソマルトデキストラナーゼ(例えば、サワイ(Sawai)ら、アグリカルチャラル・アンド・バイオロジカル・ケミストリー(Agricultural and Biological Chemistry)、第52巻、第2号、第495頁−501頁(1988)参照)が用いられる。
イソマルトデキストラナーゼ消化により生成するイソマルトースの、消化物の固形物当たりの割合は、本分岐α−グルカンの構造におけるイソマルトデキストラナーゼで加水分解され得るイソマルトース構造の割合を示すものであり、本分岐α−グルカン混合物を、混合物全体として、酵素的手法により構造を特徴付ける指標の一つとして用いることができる。
本発明の免疫調節剤の有効成分として用いる本分岐α−グルカン混合物は、イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを生成するものであり、このことは、本分岐α−グルカン混合物が通常の澱粉には存在しない分岐構造を有することを如実に表している。この分岐構造は動物の消化酵素によりほとんど分解されないことから、本分岐α−グルカン混合物は摂取した際にその大部分が腸管に達し免疫調節作用を発揮する。したがって、このような分岐構造が多い分岐α−グルカン混合物ほど免疫調節効果に優れていると考えられ、イソマルトデキストラナーゼ消化における消化物の固形物当たりのイソマルトースとして、通常、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上生成するものがより好適に用いられる。なお、発明の目的からすれば上限値はないものの、反応の条件により分岐α−グルカン混合物におけるイソマルトース構造の割合が変化するため、本分岐α−グルカン混合物の生産効率の観点からは、イソマルトデキストラナーゼ消化により生成するイソマルトースの割合は、消化物の固形物当たり、通常、70質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下がより好適に用いられる。
また、本分岐α−グルカン混合物のより好適な一態様としては、下記の特徴(D)を有する分岐α−グルカン混合物が挙げられる。
(D)高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)により求めた水溶性食物繊維含量が40質量%以上である。
本分岐α−グルカン混合物における水溶性食物繊維含量を求める「高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)」(以下、単に「酵素−HPLC法」という。)とは、平成8年5月厚生省告示第146号の栄養表示基準、「栄養成分等の分析方法等(栄養表示基準別表第1の第3欄に掲げる方法)」における第8項、「食物繊維」に記載されている方法であり、その概略を説明すると以下のとおりである。すなわち、試料を熱安定α−アミラーゼ、プロテアーゼ及びアミログルコシダーゼ(グルコアミラーゼ)による一連の酵素処理により分解処理し、イオン交換樹脂により処理液から蛋白質、有機酸、無機塩類を除去することによりゲル濾過クロマトグラフィー用の試料溶液を調製する。次いで、ゲル濾過クロマトグラフィーに供し、クロマトグラムにおける、未消化グルカンとグルコースのピーク面積を求め、それぞれのピーク面積と、別途、常法により、グルコース・オキシダーゼ法により求めておいた試料溶液中のグルコース量を用いて、試料の水溶性食物繊維含量を算出する。なお、本明細書を通じて「水溶性食物繊維含量」とは、特に説明がない限り、前記「酵素−HPLC法」で求めた水溶性食物繊維含量を意味する。
本発明の免疫調節剤の有効成分として用いる本分岐α−グルカン混合物は、上述したように通常の澱粉には存在しない分岐構造を有するため、動物の消化酵素ではほとんど分解されない。そのため水溶性食物繊維含量として、通常、40質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは75乃至85質量%であるものがより好適に用いられる。
さらに、本分岐α−グルカン混合物のより好適な一態様としては、下記特徴(E)及び(F)を有する分岐α−グルカン混合物が挙げられる。
(E)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:0.6乃至1:4の範囲にあり、
(F)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の55%以上を占める。
当該特徴は分岐α−グルカン混合物をメチル化分析に供することによって確認することができる。
ここで、メチル化分析とは、周知のとおり、多糖またはオリゴ糖において、これを構成する単糖の結合様式を決定する方法として一般的に汎用されている方法である(シューカヌ(Ciucanu)ら、カーボハイドレート・リサーチ(Carbohydrate Research)、第131巻、第2号、第209−217頁(1984))。メチル化分析をグルカンにおけるグルコースの結合様式の分析に適用する場合、まず、グルカンを構成するグルコース残基における全ての遊離の水酸基をメチル化し、次いで、完全メチル化したグルカンを加水分解する。次いで、加水分解により得られたメチル化グルコースを還元してアノマー型を消去したメチル化グルシトールとし、更に、このメチル化グルシトールにおける遊離の水酸基をアセチル化することにより部分メチル化グルシトールアセテート(なお、「部分メチル化グルシトールアセテート」におけるアセチル化された部位と「グルシトールアセテート」の表記を省略して、「部分メチル化物」と略称する場合がある。)を得る。得られる部分メチル化物を、ガスクロマトグラフィーで分析することにより、グルカンにおいて結合様式がそれぞれ異なるグルコース残基に由来する各種部分メチル化物は、ガスクロマトグラムにおける全ての部分メチル化物のピーク面積に占めるピーク面積の百分率(%)で表すことができる。そして、このピーク面積%から当該グルカンにおける結合様式の異なるグルコース残基の存在比、すなわち、各グルコシド結合の存在比率を決定することができる。部分メチル化物についての「比」は、メチル化分析のガスクロマトグラムにおけるピーク面積の「比」を意味し、部分メチル化物についての「%」はメチル化分析のガスクロマトグラムにおける「面積%」を意味するものとする。
メチル化分析により得られる、α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比率、及び、α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の全グルコース残基に対する割合は、本分岐α−グルカン混合物を、混合物全体として、化学的手法により構造を特徴付ける指標の一つとして用いることができる。
上記(E)及び(F)における「α−1,4結合したグルコース残基」とは、1位及び4位の炭素原子に結合した水酸基のみを介して他のグルコース残基に結合したグルコース残基であり、メチル化分析において、2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールとして検出される。また、上記(E)及び(F)における「α−1,6結合したグルコース残基」とは、1位及び6位の炭素原子に結合した水酸基のみを介して他のグルコース残基に結合したグルコース残基であり、メチル化分析において、2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールとして検出される。
上記(E)が規定する「α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:0.6乃至1:4の範囲にある」という要件は、本分岐α−グルカン混合物が、メチル化分析において、2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールと2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールの比が1:0.6乃至1:4の範囲にあることに基づく。また、上記(F)が規定する「α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の55%以上を占める」という要件は、本分岐α−グルカン混合物が、メチル化分析において、2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールと2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールとの合計が部分メチル化グルシトールアセテートの55%以上を占めることに基づく。通常、澱粉は1位と6位でのみ結合したグルコース残基を有しておらず、かつα−1,4結合したグルコース残基が全グルコース残基中の大半を占めていることから、上記(E)及び(F)の要件は本分岐α−グルカン混合物が澱粉とは全く異なる構造を有することを意味するものである。
本分岐α−グルカン混合物は、平均グルコース重合度、及び、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した値(Mw/Mn)によっても特徴づけることができる。重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー等を用いて求めることができ、本明細書でいう平均グルコース重合度は、重量平均分子量(Mw)から18を減じ、162で除して求めることができる。なお、本分岐α−グルカン混合物は、平均グルコース重合度が大きいほど粘度が増し、平均グルコース重合度が小さいほど甘味度が増す点で、通常のグルカンと同様の性質を示す。そのため、本発明の免疫調節剤の実施態様に応じ、要求される粘度及び甘味度に適合するものを適宜選択して用いることができる。また、Mw/Mnは、1に近いものほど構成する分子のグルコース重合度のばらつきが小さいことを意味し、通常、20以下であれば実用上問題なく使用できるが、特定のグルコース重合度の分岐α−グルカン混合物の提供が求められる場合には、Mw/Mnが低い値を示すものほど好ましい。本分岐α−グルカン混合物の平均グルコース重合度は、通常、10乃至500であり、Mw/Mnは、通常、20以下であり、粘度及び甘味度ともに低く、幅広い分野、態様で利用できる。
本分岐α−グルカン混合物は、上記(A)乃至(C)の特徴を有する限り、如何なる方法で製造されたものであっても良い。例えば、α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの非還元末端グルコース残基にα−1,6結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を導入する作用を有する酵素を澱粉質に作用させて得られる分岐α−グルカン混合物は、本発明の実施において好適に利用することができ、より好適な一例としては、国際公開第WO2008/136331号パンフレットにおいて開示されているα−グルコシル転移酵素を澱粉質に作用させて得られる分岐α−グルカン混合物が挙げられる。また、前記α−グルコシル転移酵素に加え、マルトテトラオース生成アミラーゼ(EC 3.2.1.60)などのアミラーゼや、イソアミラーゼ(EC 3.2.1.68)などの澱粉枝切り酵素、さらには、シクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ(EC 2.4.1.19)や、澱粉枝作り酵素(EC 2.4.1.18)、特開2014−054221号公報に開示されているような重合度2以上のα−1,4グルカンを澱粉質の内部のグルコース残基にα−1,6転移する活性を有する酵素を併用することも随意である。かくして得られる分岐α−グルカン混合物に、さらに、グルコアミラーゼ等の糖質加水分解酵素やグリコシルトレハロース生成酵素(EC 5.4.99.15)を作用させてもよく、水素添加等による還元処理やサイズ排除クロマトグラフィー等による分画を行っても良い。
本発明の免疫調節剤は、有効成分として本分岐α−グルカン混合物を、ヒトを含む動物に摂取せしめて免疫調節作用が発揮される量含有しておればよく、本発明の免疫調節剤における分岐α−グルカン混合物の含量としては、通常、固形物当たり、1乃至100質量%、好ましくは10乃至100質量%、さらに好ましくは20乃至100質量%である。なお、本分岐α−グルカン混合物は目的に応じて粉末状、粒状、顆粒状、液状、ペースト状、クリーム状、タブレット状、カプセル状、カプレット状、ソフトカプセル状、錠剤状、棒状、板状、ブロック状、丸薬状、固形状、ゲル状、ゼリー状、グミ状、ウエハース状、ビスケット状、飴状、チュアブル状、シロップ状、スティック状などの適宜の形態とすることができる。
本明細書でいう免疫調節作用とは、免疫力を上げる作用、及び、免疫バランスを整える作用を意味する。具体的には、IgAの分泌を促進することによって腸管免疫を増強する作用、抗原特異的なIgEの分泌を抑制する作用、及び、特異抗原に対する過剰な免疫応答を抑制する作用などを意味するものである。
上記腸管免疫とは、大腸や小腸等の腸管の上皮細胞を通して侵入してくる細菌やウイルスを防御する免疫を意味する。当該上皮細胞の表面には粘液があり、粘液は上皮細胞に付着する抗原を常に洗い流している。粘液中にはいくつかの殺菌物質やウイルス不活化物質が含まれており体内侵入の防御に役立っている。特に重要なのは粘液中に分泌されるIgAである。この分泌型抗体は、侵入しようとする細菌やウイルスに結合し、体内への侵入を阻止するため、その分泌量は多い方が好ましい。また、上記抗原特異的なIgEとは、抗原に対して特異的に作用する抗体を意味し、この抗体が多量に産生されると即時型のアレルギー反応を生じて過剰な免疫応答(気道、鼻、皮膚等の炎症)を引き起こすためその産生量は少ない方が好ましい。
因みに、免疫作用には腸内細菌が関与することが種々報告されている。例えば、指原紀宏、腸内細菌学雑誌、第27巻、第197頁−202頁、(2013年)には、卵白アルブミン(OVA)感作させたアレルギーモデルマウスに腸内細菌の一種であるラクトバチルス(Lactobacillus)属細菌を経口投与することよりIgE産生が抑制されることが報告されている。また、前述のとおり非特許文献1には、同じく腸内細菌の一種であるバクテロイデス属細菌は、小腸パイエル板細胞に対するIgA産生を活性化させると報告されている。さらに、本田賢也、腸内細菌学雑誌、第27巻、第187頁−196頁、(2013年)、及び、本田賢也、実験医学、第32巻、第15号、第2366頁−2371頁、(2014年)には、腸内細菌の一種であるクロストリジウムクラスター(Clostridium cluster)14aの増加が接触性皮膚炎等の炎症抑制に関わるサイトカインの産生量を亢進させることが報告されている。実験の項で後述するように、本発明の免疫調節剤は、その摂取により、ラクトバチルス属細菌、バクテロイデス属細菌及びクロストリジウムクラスター14aのいずれの腸内細菌も増加させる作用効果を奏する。したがって、本発明の免疫調節剤は、ラクトバチルス属細菌、バクテロイデス属細菌及び/又はクロストリジウムクラスター14aの増加剤としても使用できる。
本発明の免疫調節剤は目的に応じて粉末状、粒状、顆粒状、液状、ペースト状、クリーム状、タブレット状、カプセル状、カプレット状、ソフトカプセル状、錠剤状、棒状、板状、ブロック状、丸薬状、固形状、ゲル状、ゼリー状、グミ状、ウエハース状、ビスケット状、飴状、チュアブル状、シロップ状、スティック状などの適宜の形態とすることができる。また、本発明の免疫調節剤は、有効成分である分岐α−グルカン混合物単独であってもよいが、分岐α−グルカン混合物を含む、飲食物、医薬品、医薬部外品、健康食品、飼料又は餌料などの形態の組成物とすることもできる。分岐α−グルカン混合物を含む組成物には、上記それぞれの形態において許容される成分、例えば、水、アルコール、澱粉、蛋白質、食物繊維、糖質、脂質、ビタミン、ミネラル、着香料、着色料、甘味料、調味料、香辛料、安定剤、酸化防止剤、防腐剤などを配合することができる。例えば、ラクトフェリン、カゼイン、コラーゲン、大豆蛋白質などの蛋白質またはその分解物、ルチン、ヘスペリジン、ケルセチン、イソフラボンなどのフラボノイド又はそれらの配糖体、乳酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウムなどのカルシウム塩、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンEなどのビタミン類またはその誘導体、ショ糖(スクロース)、マルトース、トレハロース、マルトシルトレハロース、ニゲロース、イソマルトース、ニゲロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、環状四糖、サイクロデキストリンなどの糖類、グルコサミン、ガラクトサミン、マンノサミンなどのアミノ糖、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸などのグリコサミノグリカン、ソルビトール、マルチトールなどの糖アルコール、カルシトニン、エストロゲン、蛋白質同化ホルモンなどのホルモン類、感光素101号、感光素201号、感光素301号、感光素401号などの感光色素、藍、シソ、中国パセリ、パフィア、鹿角霊芝、アガリクス、メシマコブ、コタラヒム、プロポリス、ローヤルゼリーなどの植物、菌類又はそれらの抽出物、さらには、ビフィズス菌増殖糖質、粉末ミルク、貝殻粉末、珊瑚粉末、蜂蜜、L−アスコルビン酸2−グルコシドなどを配合することができる。
本発明の免疫調節剤を配合できる飲食物の具体例としては、炭酸飲料、乳飲料、ゼリー飲料、スポーツドリンク、酢飲料、豆乳飲料、鉄含有飲料、乳酸菌飲料、緑茶、紅茶、ココア、コーヒーなどの飲料、米飯、粥、パン、麺類、スープ、味噌汁、ヨーグルトなどの食品、せんべい、あられ、おこし、求肥、餅類、わらび餅、まんじゅう、ういろう、餡類、羊羹、水羊羹、錦玉、ゼリー、ペクチンゼリー、カステラ、ビスケット、クラッカー、パイ、更には、醤油、粉末醤油、味噌、粉末味噌、もろみ、ひしお、ふりかけ、マヨネーズ、ドレッシング、食酢、三杯酢、粉末すし酢、中華の素、天つゆ、麺つゆ、ソース、トマトソース、ケチャップ、焼き肉のタレ、焼き鳥のタレ、から揚げ粉、天ぷら粉、カレールウ、シチューの素、スープの素、ダシの素、複合調味料、みりん、新みりん、テーブルシュガー、コーヒーシュガーなどの各種調味料や調理加工品があげられる。
本発明の免疫調節剤を配合できる医薬品、医薬部外品及び健康食品の具体例としては、インターフェロン−α、−β、−γ、ツモア・ネクロシス・ファクター−α、−β、マクロファージ遊走阻止因子、コロニー刺激因子、トランスファーファクター、インターロイキンIIなどのリンホカイン含有液、インシュリン、成長ホルモン、プロラクチン、エリトロポエチン、卵細胞刺激ホルモンなどのホルモン含有液、BCGワクチン、日本脳炎ワクチン、はしかワクチン、ポリオ生ワクチン、痘苗、破傷風トキソイド、ハブ抗毒素、ヒト免疫グロブリンなどの生物製剤含有液、ペニシリン、エリスロマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、ストレプトマイシン、硫酸カナマイシンなどの抗生物質含有液、チアミン、リボフラビン、L−アスコルビン酸、肝油、カロチノイド、エルゴステロール、トコフェロールなどのビタミン含有液、EPA、DHA、アラキドン酸、などの高度不飽和脂肪酸又はそのエステル誘導体、リパーゼ、エステラーゼ、ウロキナーゼ、プロテアーゼ、β−アミラーゼ、イソアミラーゼ、グルカナーゼ、ラクターゼなどの酵素含有液、薬用人参エキス、スッポンエキス、クロレラエキス、アロエエキス、プロポリスエキスなどのエキス類、ウイルス、乳酸菌、酵母などの生菌ペースト、ローヤルゼリーなどの各種生理活性物質含有液があげられる。
本発明の免疫調節剤を配合できる飼料又は餌料の具体例としては、肉牛用飼料、乳牛用飼料、子豚用人工乳、肥育豚用飼料、育雛用飼料、産卵鶏用飼料、ブロイラー用飼料などがあげられる。
本発明の免疫調節剤は、上記のとおりIgAの分泌を促進して腸管免疫を強化することから、経口感染性の疾患の緩和作用を発揮するので、例えばウイルス性や細菌性の下痢症状の緩和に有利に用いられる。さらには、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、ロタウイルスなどのウイルス、コレラ菌、赤痢菌、腸チフス菌、サルモネラ菌、キャンピロバクター、類鼻疽菌、腸炎ビブリオ菌、ブルセラ菌、大腸菌O−157などの細菌、広節裂頭条虫、横川吸虫、肝吸虫、棘口吸虫、肺吸虫、アニサキス、顎口虫、広東住血線虫、赤痢アメーバ、クリプトスポリジウム、マラリア、ミクロフィラリアなどの寄生虫などが原因となる疾患の緩和にも有利に用いられる。また、本発明の免疫調節剤は、抗原特異的なIgEの分泌を抑制したり、特異抗原に対する過剰な免疫応答を抑制することから、アレルギー性の疾患の緩和作用を発揮するので、例えば、卵、乳、小麦、そば、落花生、あわび、いか、いくら、えび、オレンジ、かに、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチンなどによる食物アレルギー、例えば、スギ花粉、ヒノキ花粉、カモガヤ花粉、オオアワガエリ花粉、ハンノキ花粉、ホソムギ花粉、シラカバ花粉、ブタクサ花粉、オオブタクサ花粉、ヨモギ花粉、カナムグラ花粉、セイダカアワダチソウ花粉、前記以外のイネ科植物の花粉などによる花粉症、例えば、ハウスダスト、金属、化学物質などによるアレルギー、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性胃腸炎、喘息、蕁麻疹などのアレルギー症の緩和、さらには、これらの疾患に伴う臨床症状やそれに伴う日常生活の支障の緩和などにも有利に用いられる。
本発明の免疫調節剤の投与又は摂取方法としては、腸内に有効成分である分岐α−グルカン混合物を到達させることができるのならばいかなる方法でもよく、通常、経口又は経管経路が選択される。投与又は摂取量としては、投与方法又は摂取方法、適用する動物の種類などを考慮して適宜決定すればよく、有効成分としての分岐α−グルカン混合物を、1日当たり通常0.001乃至20g/kg体重、好ましくは0.01乃至15g/kg体重、さらに好ましくは0.02乃至10g/kg体重の範囲内で投与又は摂取すればよい。0.001g/kg体重未満だと、所期の効果が十分に発揮されず、20g/kg体重を超えても量の割に効果が十分に発揮されない可能性がある。
本発明の免疫調節剤は、通常、ヒトに適用されるものであるが、ヒトと同様の免疫系を有する脊椎動物全般に適用することができる。例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジなどの家畜、イヌ、ネコ、サルなどのペット、ニワトリ、アヒル、七面鳥などの家禽、タイ、ブリなどの魚類があげられ、それらの飼育用の飼料や餌料に配合することができる。分岐α−グルカン混合物を含有する飼料や餌料は、高温、低温などの環境ストレスにより免疫力が低下した家畜や家禽がウイルスや細菌等の感染症に罹患しにくくすることができるし、アレルギー症状を緩和することができるので、家畜や家禽の体力消耗を防止し、効率よく生育させることができる。また、例えば、乳牛に対しては搾乳量の低下を防止し、ニワトリに対しては産卵率の低下を防止するという効果も発揮する。
なお、本発明の免疫調節剤は、腸内細菌叢の構成比率を変える効果をも奏する。ヒトの主要な腸内細菌はファーミキューテス門(Firmicutes)細菌とバクテロイデス門(Bacteroidetes)細菌の二つに大別される。これまでの研究により、ヒトにおいて肥満時にはバクテロイデス門細菌の構成比率が低く、ファーミキューテス門細菌の構成比率が高い状態になっており、体重減少に伴い、バクテロイデス門細菌の構成比率が高まり、逆にファーミキューテス門細菌の構成比率が低下することが明らかにされている。加えて、痩せているヒトは太っているヒトと比較して、バクテロイデス門細菌の構成比率が高く、ファーミキューテス門細菌の構成比率が低いことが報告されている(例えば、リー(Ley)ら、ネイチャー(Nature)、第444巻、第1022頁−1023頁、(2006年)参照)。さらに、腸内細菌のいない2群のマウスに肥満マウスの腸内細菌叢と通常マウスの腸内細菌叢をそれぞれ移植したところ、肥満マウスの腸内細菌叢を移植された群の体重が通常マウスの腸内細菌叢を移植された群の体重を有意に上回っていたことも報告されている(例えば、ターンバウ(Turnbaugh)ら、ネイチャー(Nature)、第444巻、第1027頁−1031頁、(2006年)参照)。そして、バクテロイデス門細菌に対するファーミキューテス門細菌の比(以下、「F/B」という。)を低下させることで、肥満を抑制できる可能性があることから、F/Bを指標に肥満を抑制する物質を探索する研究も行われている(例えば、国際公開WO2010/123037号パンフレット参照)。実験の項で後述するように、本発明の免疫調節剤は、腸内細菌叢のファーミキューテス門細菌を減少させ、バクテロイデス門細菌を増加させることにより、F/Bを低下させることから、腸内細菌叢の改善剤として、より具体的にはF/B低下剤としても使用することができる。
以下、この発明の実施の形態につき、実験に基づいて説明する。
以下の実験では、国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例5に開示された方法に従い製造した分岐α−グルカン混合物を使用した。すなわち、前記実施例5に開示された方法に順じて、27.1質量%トウモロコシ澱粉液化液(加水分解率3.6%)に、最終濃度0.3質量%となるように亜硫酸水素ナトリウムを、また最終濃度1mMとなるように塩化カルシウムを加えた後、50℃に冷却し、これに、国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例1に開示された方法で調製したバチルス・サーキュランス PP710(FERM BP−10771)由来のα−グルコシル転移酵素の濃縮粗酵素液を固形物1グラム当たり11.1単位加え、さらに、50℃、pH6.0で68時間作用させた。その反応液を80℃で60分間保った後、冷却し、濾過して得られる濾液を常法に従って、活性炭で脱色し、H型及びOH型イオン樹脂により脱塩して精製し、更に濃縮、噴霧乾燥して分岐α−グルカン混合物粉末を製造し以下の実験に使用した。なお、得られた分岐α−グルカン混合物粉末を、国際公開第WO2008/136331号パンフレットの段落0079、0080に記載されたイソマルトデキストラナーゼ消化試験法、α−グルコシダーゼ及びグルコアミラーゼ消化試験法、段落0076乃至0078に記載されたメチル化分析法により分析したところ、以下の(a)乃至(c)の特徴を有していた。
(a)グルコースを構成糖とし、
(b)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(c)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり35質量%生成した。
また、得られた分岐α−グルカン混合物粉末を国際公開第WO2008/136331号パンフレットの段落0069乃至0075に記載された水溶性食物繊維含量を求める高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)により分析したところ、前記分岐α−グルカン混合物粉末は、上記特徴に加えて、下記(d)の特徴を有しており、さらには、上記メチル化分析法による分析結果から、下記(e)及び(f)の特徴を有することが判明した。(d)水溶性食物繊維含量が83.2質量%であり、
(e)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:2.2であり、
(f)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の72.9%であった。
上記のとおり、前記分岐α−グルカン混合物は、グルコースを構成糖とし、α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、イソマルトデキストラナーゼ消化によりイソマルトースを生成するという特徴を有するものであって、イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり5質量%以上70質量%以下生成し、水溶性食物繊維含量が40質量%以上であり、及び、α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:0.6乃至1:4の範囲にあり、α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の55%以上を占めるという本分岐α−グルカン混合物として好適な数値範囲を満たすものであった。
<実験1:分岐α−グルカン混合物摂取によるIgA産生増強作用>
分岐α−グルカン混合物の摂取により腸管免疫が増強されるか否かを、マウスに分岐α−グルカン混合物を摂取させ、糞中のIgA量を測定することにより調べた。飼料には、米国国立栄養研究所から1993年に発表されたマウス・ラットを用いた栄養研究のための標準精製飼料(繁殖用)であるAIN−93G(コーンスターチ40質量%、カゼイン20質量%、αコーンスターチ13.2質量%、スクロース10質量%、大豆油7質量%、セルロース5質量%、ミネラル混合物3.5質量%、ビタミン混合物1質量%、L−シスチン0.3質量%、ヒドロキノン0.0014質量%)を使用した。6週齢雌性BALB/cマウスにAIN−93G飼料を2週間与えて予備飼育した後、新鮮な糞を採取し、採取した糞便50mgをエッペンドルフチューブに入れ、抽出バッファー(PBS+50mM−EDTA+0.1mg/ml−トリプシンインヒビター)を0.8ml加えて撹拌して糞便中のIgAを抽出し、遠心分離(10,000rpm、4℃、10分)して上清を得た。この上清中のIgA量を、抗IgA抗体を用いるELISA法(マウスIgA ELISA Kit、BD−BIOSCIENCES社製)で測定した。そして各個体の糞中のIgA量の測定値に基づき、各試験群の糞中のIgA量が群間で差がないように、マウスを5匹ずつ3群に群分けした。
次いで、各試験群に飲料として水(以下、「対照群」という。)、分岐α−グルカン混合物2%(w/v)水溶液(以下、「分岐α−グルカン混合物2%群」という。)、又は分岐α−グルカン混合物5%(w/v)水溶液(以下、「分岐α−グルカン混合物5%群」という。)を給水瓶を用いて摂取させるとともに、飼料としてAIN−93Gを自由摂食させた。分岐α−グルカン混合物液の投与の開始時、1週間後、2週間後、3週間後及び4週間後に、マウスをそれぞれ代謝ケージに16時間入れて糞を採取した。糞50mgをエッペンドルフチューブに入れて前記と同様に抽出処理し、前記した方法によりIgA量を測定した。IgA量は糞の湿質量1グラム当たりのミリグラムで表し、同一群に属する5匹のマウスの平均値を求めた。その結果を表1に示す。なお、表中の括弧内のパーセント数値はそれぞれの週における対照群に対する相対値を示す。
表1に見られるとおり、対照群では、飼育期間中に糞中のIgA量はあまり変動しなかった。一方、分岐α−グルカン混合物5%群では、その糞中のIgA量が、摂取3及び4週間後で対照群との対比においてそれぞれ147%及び194%と有意に増加した。また、分岐α−グルカン混合物2%群も同様の傾向を示した。このことから、分岐α−グルカン混合物がIgAの分泌を増強する作用を有していることが判明した。マウスを用いた上記結果から、分岐α−グルカン混合物の摂取によりヒトにおいても同様な作用を発揮するものと考えられる。
<実験2:腸管粘膜におけるIgA量及び盲腸内容物>
さらに、腸管粘膜におけるIgA量を測定することにより腸管免疫の増強作用を調べた。実験1において、水あるいは分岐α−グルカン混合物水溶液を4週間飲水摂取したマウスから小腸、盲腸及び結腸を摘出した。小腸については中心部分の約10cmを、結腸についてはその全部を用い、生理食塩液で内部を洗浄した後、腸管内部の粘膜組織をカバーガラスで採取し、重量測定した。また盲腸については盲腸内容物を取り出し、その重量を測定した。IgA量については、抗IgA抗体を用いるEIA法(マウスIgA EIA Kit、BD−BIOSCIENCES社製)にて測定し、粘膜重量1グラム当たりの量に換算した。結果を表2に示した。なお、表中の括弧内のパーセント数値は対照群に対する相対値を示す。
表2に示すとおり、対照群の小腸粘膜及び結腸粘膜におけるIgA量は粘膜重量1グラム当たりそれぞれ0.472±0.128(mg/g)及び0.163±0.035(mg/g)であった。一方、分岐α−グルカン混合物の摂取により、小腸粘膜及び結腸粘膜におけるIgA量がいずれも増加し、分岐α−グルカン混合物5%群では、対照群との対比においてそれぞれ147%(0.694±0.168(mg/g))及び183%(0.298±0.117(mg/g))といずれも対照群に比べ有意に高かった。また、分岐α−グルカン混合物2%群も同様の傾向を示した。さらに、分岐α−グルカン混合物5%群の盲腸内容物の重量は分岐α−グルカン混合物の摂取により有意に増加したことから、盲腸で腸内細菌数が増加していると推測された。マウスを用いた上記結果から、分岐α−グルカン混合物の摂取によりヒトにおいても同様な作用を発揮するものと考えられる。
<実験3:血清中の抗体産生>
分岐α−グルカン混合物の摂取が、アレルギー反応に影響を与えるか否かを、抗体の血清レベルを測定することにより調べた。6週齢雌性BALB/cマウスに通常飼料のCE−2(日本クレア)を与えて1週間予備飼育した後、試験群間で体重に差がないように1群5匹ずつ3群に群分けし、実験1で用いた標準精製飼料(AIN−93G)を与えた。また飲料は実験1と同様に水、分岐α−グルカン混合物2%(w/v)水溶液、又は分岐α−グルカン混合物5%(w/v)水溶液を給水瓶を用いて与えた。試験飲料を与え始めてから7日後に抗原として20μgの卵白アルブミン(OVA)(シグマ社販売、グレードV)を、免疫アジュバントとして4.5mgのアラム(登録商標『Imject』、ピアス社製)を腹腔内投与することで抗原感作し、その14日後に再度同様に抗原感作した。2回目の感作から2週間後に、麻酔下でマウスの腹部大静脈より全採血し、遠心分離により血清を分離して分析まで冷凍保存(−80℃)し、OVAに対するIgE量(以下、「抗OVA−IgE量」という。)、OVAに対するIgG1抗体量(以下、「抗OVA−IgG1量」という。)及び総IgE抗体量をEIA法で測定した。なお、IgE抗体量はキャプチャーEIA法により、IgG1抗体量はインダイレクトEIA法により測定した。標準血清には、抗OVAマウス血清(IgE:1,760U/ml、IgG1:3,071,000U/ml)を使用し、作成した検量線により検体の各抗体量を算出した。また、総IgE量はサンドイッチEIA法により測定した。2回目の抗原感作から2週後の血清中の抗OVA−IgE量、抗OVA−IgG1量、及び総IgE抗体量を表3に示す。なお、表中の括弧内のパーセント数値は対照群に対する相対値を示す。
表3に見られるとおり、2回目の感作から2週間後の血清における抗OVA−IgE量は、対照群が153.1±47.5(U/ml)であったのに対し分岐α−グルカン混合物5%群は、対照群との対比において47%(71.8±28.0(U/ml))であったことから、分岐α−グルカン混合物の摂取により、血清における抗OVA−IgE量は有意に低下することが判明した。また、分岐α−グルカン混合物2%群も同様の傾向を示した。さらに、抗OVA−IgG1量、総IgE量についても対照群と比べ分岐α−グルカン混合物2%及び5%群の方が低下傾向を示したことから、分岐α−グルカン混合物はアラムアジュバントで免疫した抗原(OVA)に対する宿主の免疫応答を抑制する作用を有しており、血清における抗OVA−IgE量を低下させたものと推測される。したがって、分岐α−グルカン混合物は、その摂取により、IgE抗体が関与する花粉症や食物アレルギーなどの過剰な免疫応答を緩和する作用を発揮するものと考えられる。マウスを用いた上記結果から、分岐α−グルカン混合物の摂取によりヒトにおいても同様な作用を発揮するものと考えられる。
<実験4:接触性皮膚炎の抑制>
分岐α−グルカン混合物の摂取がアレルギー性皮膚炎にどのような影響を及ぼすかを、接触性皮膚炎モデルマウスを用いて調べた。
6週齢雌性BALB/cマウスに通常飼料のCE−2(日本クレア)を与えて1週間予備飼育した後、試験群間で体重に差がないように1群5匹ずつ3群に群分けし、実験1で用いた標準精製飼料(AIN−93G)を与えた。また飲料は実験1と同様に水、分岐α−グルカン混合物2%(w/v)水溶液、又は分岐α−グルカン混合物5%(w/v)水溶液を給水瓶を用いて与えた。試験飲料を与え始めてから14日後にバリカンを使用して麻酔下で、マウスの腹部を剃毛し、0.5%ジニトロフルオロベンゼン(DNFB、東京化成製)溶液を25μl腹部に塗布して感作した。なおDNFBはアセトンとオリーブ油(4:1,v/v)の混合液に溶解して用いた。腹部感作5日後に耳介厚を測定(0時間)し、そして無麻酔下で0.25%DNFB溶液8μlを右耳に塗布して皮膚炎を惹起した。塗布後、24,48,72,96時間後に皮膚炎による耳の腫れの程度をダイアルシックネスゲージ、G−1A型(尾崎製作所製)を用いて測定することにより評価し、アレルギー性皮膚炎の指標とした。測定した耳介厚より次式により耳介肥厚を計算し、表4に示した。なお、表中の括弧内のパーセント数値はそれぞれの時間における対照群に対する相対値を示す。
表4に見られるとおり、各試験群とも耳介肥厚は、DNFB塗布48時間後に最も高い値を示しその後減少した。対照群のDNFB塗布24時間後、及び48時間後の耳介肥厚がそれぞれ111±34(μm)及び225±14(μm)であったのに対し、分岐α−グルカン混合物2%群の耳介肥厚は、DNFB塗布24時間後、及び48時間後で対照群との対比においてそれぞれ53%(59±36(μm))及び40%(91±26(μm))、分岐α−グルカン混合物5%群の耳介肥厚は、それぞれ55%(61±31(μm))及び49%(110±33(μm))と有意に低い値を示した。この耳介肥厚は接触性皮膚炎反応の指標として用いたものであり、皮膚アレルギー反応モデルであるため、分岐α−グルカン混合物は、その摂取により、接触性皮膚炎やアトピー性皮膚炎などの皮膚アレルギー反応を緩和する作用を発揮するものと考えられる。マウスを用いた上記結果から、分岐α−グルカン混合物の摂取によりヒトにおいても同様な作用を発揮するものと考えられる。
<実験5:分岐α−グルカン混合物の摂取が腸内細菌叢に及ぼす影響>
本実験では、文献により免疫への関与が示唆されている、ラクトバチルス属細菌、バクテロイデス属細菌、及びクロストリジウムクラスター14aの3種類の菌群をターゲットとして、分岐α−グルカン混合物の摂取が、腸内におけるこれら菌種・菌群の菌数に及ぼす影響をマウスを用いて調べた。また、分岐α−グルカン混合物の摂取が、ファーミキューテス門細菌及びバクテロイデス門細菌の2種類の菌数、並びに、バクテロイデス門細菌に対するファーミキューテス門細菌の比(F/B)に及ぼす影響についても調べた。
実験1において、水あるいは分岐α−グルカン混合物水溶液を4週間飲水摂取させたマウスから採取した盲腸内容物よりDNA抽出を行った。抽出したDNAを鋳型として、菌種・菌群のrRNA遺伝子に含まれる特異的な配列部分を標的とするプライマーを用いてPCRを行った後、その増幅産物を検出する定量的PCR法(例えば、マツイ(Matsui)ら、アプライド・アンド・エンバイロメンタル・マイクロバイオロジー(Applied and Enviromental Microbiology)、第68巻、第11号、第5445頁−5451頁(2002年)参照)によりそれぞれの細菌数を測定した。飲料として水を摂取させた対照群における上記5種類のそれぞれについての菌数を100%とした時の、分岐α−グルカン混合物2%群及び分岐α−グルカン混合物5%群におけるそれぞれの相対菌数(%)を算出し、表5及び6に示した。また、表6には、各群のそれぞれについてファーミキューテス門細菌(F)の細菌数をバクテロイデス門細菌(B)の細菌数で除することにより算出したF/Bの値も併せて示した。
表5に見られるとおり、分岐α−グルカン混合物2%群では、対照群と比較して、ラクトバチルス属細菌が2.7倍、バクテロイデス属細菌が9.9倍、及びクロストリジウムクラスター14aが18.1倍菌数が増加していた。また、分岐α−グルカン混合物5%群では、対照群と比較して、ラクトバチルス属細菌が2.6倍、バクテロイデス属細菌が14.4倍、及びクロストリジウムクラスター14aが28.5倍菌数が増加していた。
表5において分岐α−グルカン混合物を摂取したマウスの腸内のラクトバチルス属細菌、バクテロイデス属細菌、及びクロストリジウムクラスター14aの菌数が増加していたことから、実験1及び2の分岐−グルカン混合物の摂取によるIgA産生量の増加効果、実験3における分岐α−グルカン混合物の摂取によるIgE産生量の抑制効果、並びに、実験4における接触性皮膚炎の抑制効果は、分岐α−グルカン混合物の摂取によるマウスの腸内でのラクトバチルス属細菌、バクテロイデス属細菌、及びクロストリジウムクラスター14aの菌数の増加に起因する可能性があることが示唆された。マウスを用いた上記結果から、分岐α−グルカン混合物の摂取によりヒトにおいても同様な作用を発揮するものと考えられる。
また、表6に見られるとおり、分岐α−グルカン混合物2%群では、対照群と比較して、ファーミキューテス門細菌が5分の2に減少し、バクテロイデス門細菌が1.7倍に増加した。分岐α−グルカン混合物5%群では、対照群と比較して、ファーミキューテス門細菌が2分の1に減少し、バクテロイデス門細菌が2.4倍に増加した。一方、F/Bは、対照群が2.02±0.46であったのに対し、分岐α−グルカン混合物2%群、及び分岐α−グルカン混合物5%群はそれぞれ0.42±0.14、及び0.40±0.10であった。
この結果は、分岐α−グルカン混合物を摂取すると、腸内細菌叢のファーミキューテス門細菌が減少し、バクテロイデス門細菌が増加することにより、F/Bが低下することを示すものであり、分岐α−グルカン混合物が、腸内細菌叢の改善剤として使用できることを物語っている。また、前記のとおり、F/Bを低下させることで、肥満を抑制できる可能性があるという報告があることから、分岐α−グルカン混合物は、肥満を抑制する目的で使用できる蓋然性が高い。マウスを用いた上記結果から、分岐α−グルカン混合物の摂取によりヒトにおいても同様な作用を発揮するものと考えられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は何ら実施例の記載により限定されるものではない。
<免疫調節剤>
国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例5に開示された方法に従い、分岐α−グルカン混合物粉末を調製した。なお、得られた分岐α−グルカン混合物粉末は、以下の(a)乃至(g)の特徴を有していた。
(a)グルコースを構成糖とし、
(b)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(c)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり35質量%生成し、
(d)水溶性食物繊維含量が83.2質量%であり、
(e)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:2.2であり、
(f)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の72.9%であり、
(g)平均グルコース重合度が31であり、Mw/Mnが2.0である。
本品は、免疫調節剤として利用できる。また、本品は、室温下でも吸湿、変色することなく、1年以上に亘って安定である。
<免疫調節剤>
国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実験2−2に開示された方法に従い、固形分濃度30質量%の分岐α−グルカン混合物を調製し、その後、常法に従って噴霧乾燥して分岐α−グルカン混合物粉末を得た。なお、得られた分岐α−グルカン混合物粉末は、以下の(a)乃至(g)の特徴を有していた。
(a)グルコースを構成糖とし、
(b)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(c)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり27.2質量%生成し、
(d)水溶性食物繊維含量が41.8質量%であり、
(e)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:0.6であり、
(f)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の83.0%であり、
(g)平均グルコース重合度が405であり、Mw/Mnが16.2である。
本品は免疫調節剤として利用できる。また、本品は、室温下でも吸湿、変色することなく、1年以上に亘って安定である。
<免疫調節剤>
国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例6に開示された方法に従い、分岐α−グルカン混合物粉末を調製した。なお、得られた分岐α−グルカン混合物粉末は、以下の(a)乃至(g)の特徴を有していた。
(a)グルコースを構成糖とし、
(b)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(c)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり40.6質量%生成し、
(d)水溶性食物繊維含量が77.0質量%であり、
(e)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:4であり、
(f)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の67.9%であり、
(g)平均グルコース重合度が18であり、Mw/Mnが2.0である。
本品は、免疫調節剤として利用できる。また、本品は、室温下でも吸湿、変色することなく、1年以上に亘って安定である。
<免疫調節剤>
トウモロコシ澱粉液化液に、さらにマルトテトラオース生成アミラーゼを固形物1グラム当たり2単位添加した以外は、国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例5に開示された方法に従い、分岐α−グルカン混合物粉末を調製した。なお、得られた分岐α−グルカン混合物粉末は、以下の(a)乃至(g)の特徴を有していた。
(a)グルコースを構成糖とし、
(b)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(c)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり41.9質量%生成し、
(d)水溶性食物繊維含量が69.1質量%であり、
(e)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:2.4であり、
(f)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の64.2%であり、
(g)平均グルコース重合度が13であり、Mw/Mnが2.0である。
本品は、免疫調節剤として利用できる。また、本品は、室温下でも吸湿、変色することなく、1年以上に亘って安定である。
<免疫調節剤>
実施例1に開示された方法で得られた分岐α−グルカン混合物粉末にアミログルコシダーゼ(グルコアミラーゼ)を作用させ、分解されなかった成分をゲル濾過クロマトグラフィーを用いて分取した。その後、常法に従って精製及び噴霧乾燥して分岐α−グルカン混合物粉末を調製した。なお、得られた分岐α−グルカン混合物粉末は、以下の(a)乃至(g)の特徴を有していた。
(a)グルコースを構成糖とし、
(b)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(c)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり21質量%生成し、
(d)水溶性食物繊維含量が94.4質量%であり、
(e)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:1.9であり、
(f)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の64%であり、
(g)平均グルコース重合度が22であり、Mw/Mnが1.7である。
本品は、免疫調節剤として利用できる。また、本品は、室温下でも吸湿、変色することなく、1年以上に亘って安定である。
<経口流動食>
下記の成分を配合し、経口流動食を得た。
(配合)
実施例1の方法で得た 2質量部
分岐α−グルカン混合物粉末
脱脂粉乳 43質量部
全粉乳 12質量部
水飴 41質量部
グルコース 3質量部
ビタミンA 適量
ビタミンD 適量
塩酸チアミン 適量
リボフラビン 適量
塩酸ピリドキシン 適量
シアノコバラミン 適量
酒石酸水素コリン 適量
ニコチン酸アミド 適量
パントテン酸カルシウム 適量
L−アスコルビン酸 適量
酢酸トコフェロール 適量
硫酸鉄 適量
リン酸水素カルシウム 適量
アラビアゴム 適量
本品を適量の水に溶解し、経口摂取すれば、通常の食事の摂取ができない患者の栄養補給が可能な上に、免疫機能が調節され、患者の良好な回復が期待できる。
<健康食品>
下記の成分を均一に混合した後、直径6mmの杵を装着した打錠機により打錠して、1錠が約200mgの錠剤を得た。本品は風味良好であり、摂取すれば免疫機能を調節するので、健康を維持、増進する健康食品として有用である。
(配合)
実施例2の方法で得た 40質量部
分岐α−グルカン混合物粉末
天然珊瑚粉末 20質量部
乳酸カルシウム 10質量部
粉末ヨーグルト 10質量部
グアーガム 12質量部
アスコルビン酸2−グルコシド 3質量部
(商品名『アスコフレッシュ』、株式会社林原)
糖転移ヘスペリジン 0.5質量部
(商品名『林原ヘスペリジンS』、株式会社林原)
<健康食品>
下記の材料を配合し、常法にしたがってチーズクラッカーを製造した。
(配合)
小麦粉 100質量部
油脂 9質量部
麦芽エキス 1.3質量部
重曹 0.6質量部
チーズパウダー 13質量部
実施例3の方法で得た 2質量部
分岐α−グルカン混合物粉末
砂糖 2質量部
食塩 1質量部
炭酸アンモニウム 0.6質量部
スパイス 適量
水 33質量部
本品は、風味良好であり、経口摂取すれば免疫機能を調節するので、健康を維持、増進する健康食品として有用である。
<健康食品>
ヨーグルト100質量部、実施例4の方法で得た分岐α−グルカン混合物粉末50質量部、トレハロース10質量部、ヨーグルトフレーバー0.25質量部及びレモンエッセンス0.1質量部に水を加えて全体を1,000質量部とする配合で、常法に従って、ヨーグルト飲料を製造した。本品は、風味が豊かで、かつ、腸内の菌叢を整える整腸機能に優れたヨーグルトであり、免疫機能を調節できるので、健康を維持・増進する健康食品として有用である。
<産卵鶏用飼料>
下記成分の市販の産卵鶏用飼料に、実施例5の方法で得た分岐α−グルカン混合物粉末を、飼料中のα−グルカン混合物含量が0.5%(w/w)になるように混合して、α−グルカン混合物含有鶏用飼料を製造した。
(配合)
トウモロコシ 54.8質量部
大豆粕 12.6質量部
菜種粕 3.2質量部
マイロ 7.0質量部
炭酸カルシウム 8.5質量部
グルテンミール 3.5質量部
グルテンフィード 2.0質量部
魚粕 2.5質量部
動物性油脂、食塩、ビタミン、ミネラル類など 5.9質量部
本品は、ニワトリ用の飼料として有用であり、特に、高温、低温などの環境ストレスにより免疫力の低下したニワトリに対して腸管免疫を増強させるので、夏期、冬期を問わず、ウイルスや細菌等の感染症を予防し、ニワトリの健康を維持・増進することができる。したがって、ニワトリの体力消耗を防止し、産卵率の低下を防止することができる。
<求肥>
もち粉36重量部、実施例1の方法で得た分岐α−グルカン混合物粉末4重量部を水60重量部で溶いて木枠に濡れ布巾を敷いたものに流し込み、これを100℃で20分間蒸した後、これに水飴60重量部及び砂糖20重量部を加えて充分に捏ねた後に成形し、求肥を得た。本品は、風味良好であり、α−グルカン混合物を含んでいるため免疫機能を調節できるので、健康を維持・増進する食品として有用である。
<米飯>
市販の無洗米(きらら397)2合(300g)を手早く洗米し、十分量の水で室温にて30分浸漬した。得られた米の水分をザルで切り、実施例2の方法で得た分岐α−グルカン混合物粉末を15g添加混合して加水し、総重量を810gとして、家庭用の電気炊飯器を用いて炊飯米を得た。本品は、風味良好であり、α−グルカン混合物を含んでいるため免疫機能を調節できるので、健康を維持・増進する食品として有用である。
上述のとおり、本発明の免疫調節剤は、副作用がなく、日常的に経口摂取することによって、免疫機能を調節するので、食中毒などの感染症、アレルギー症、自己免疫疾患などの緩和に効果的である。また、ラクトバチルス属細菌、バクテロイデス属細菌、及びクロストリジウムクラスター14aなどの有用な腸内細菌を増加させ、腸内環境を改善するので、健康の維持、増進に適している。

Claims (10)

  1. 下記(A)乃至(C)の特徴を有する分岐α−グルカン混合物を有効成分として含有する免疫調節剤:
    (A)グルコースを構成糖とし、
    (B)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
    (C)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを生成する。
  2. 前記分岐α−グルカン混合物が、イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり5質量%以上70質量%以下生成する分岐α−グルカン混合物であることを特徴とする請求項1記載の免疫調節剤。
  3. 前記分岐α−グルカン混合物が、下記(D)の特徴を有する分岐α−グルカン混合物である請求項1又は2記載の免疫調節剤:
    (D)高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)により求めた水溶性食物繊維含量が40質量%以上である。
  4. 前記分岐α−グルカン混合物が、下記(E)及び(F)の特徴を有する分岐α−グルカン混合物である請求項1乃至3のいずれかに記載の免疫調節剤:
    (E)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:0.6乃至1:4の範囲にある;及び
    (F)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の55%以上を占める。
  5. 腸管免疫を増強することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の免疫調節剤。
  6. 腸管免疫の増強が、腸管内におけるイムノグロブリンAの分泌量の増加に起因することを特徴とする請求項5記載の免疫調節剤。
  7. アレルギー症を緩和することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の免疫調節剤。
  8. アレルギー症が花粉症、食物アレルギー、接触皮膚炎又はアトピー性皮膚炎であることを特徴とする請求項7記載の免疫調節剤。
  9. アレルギー症の緩和が、イムノグロブリンEの産生量の抑制に起因することを特徴とする請求項7記載の免疫調節剤。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載の免疫調節剤を含有せしめた飲食品、医薬品、飼料又は餌料。
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