JPWO2016136397A1 - 透明電極及び電子デバイス - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、優れた光透過性と高い導電性を兼ね備えた透明電極と、この透明電極を具備した低駆動電圧で、色変化安定性に優れた電子デバイスを提供することである。本発明の透明電極は、基板上に、少なくとも銀を主成分とする導電性層を有する透明電極であって、前記基板と導電性層の間に、少なくとも下記一般式(1)で表される構造を有する第1の有機化合物と、当該第1の有機化合物とは構造の異なる第2の有機化合物とを含有する有機機能層を有することを特徴とする。【化1】

Description

本発明は、透明電極及び電子デバイスに関する。より詳しくは、光透過性と導電性を兼ね備えた透明電極と、当該透明電極を具備した電子デバイスに関する。
液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロクロミックディスプレイ、太陽電池、タッチパネル、電子ペーパー等には、一般に透明電極が用いられている。
例えば、有機化合物のエレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:以下、「EL」と略記する。)を利用した有機EL素子(有機電界発光素子ともいう。)では、対向する2枚の電極間に有機化合物を含有する発光層を配置した構成であり、発光層で生じた発光光は電極を透過して外部に取り出される。このため、2枚の電極のうちの少なくとも一方は、透明電極により構成されている。
透明電極としては、酸化インジウムスズ(SnO−In:Indium Tin Oxide:略称=ITO)等の酸化物半導体系の材料が一般的に用いられているが、ITO等により構成されている透明電極は、通常、スパッタ方式による成膜であり、スパッタ成膜法のみにより形成された透明電極では、面抵抗が大きく、給電点からの電圧降下が顕著である。
また、面抵抗を減少させるため、ITO層と銀層とを積層して低抵抗化を狙った検討もなされている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
特許文献1では,ITO膜と銀膜とを積層した構成からなる透明電極が開示され、特許文献2では、ITO膜で銀膜を挟持した構成の透明電極が開示されている。しかしながら、適用する銀膜を、透過率の損失が生じない程度に薄膜化すると、抵抗値が十分に低下しないため、ITO等の金属酸化物との併用が必要であった。しかしながら、ITOは、レアメタルのインジウムを使用しているため材料コストが高い。また、抵抗値を下げるために成膜後に、例えば、300℃程度の温度条件でアニール処理をする必要があり、そのような温度環境では樹脂基板などの適用が困難であった。また、銀を適用した場合、高い電気伝導性を得ることができる反面、上記のように抵抗特性と透過率とのトレードオフを有する問題を抱えているのが現状である。
また、特許文献3では、ITO等の金属酸化物に代わる材料として、電気伝導率の高い銀等の金属材料を薄膜化した構成や、銀にアルミニウムを混ぜることにより銀単独よりも薄い膜厚で導電性を確保する構成も提案されている。しかしながら、電気伝導率の高い銀及びアルミニウムを用いて構成された透明電極であっても、面抵抗特性としてはやや不十分であった。金属薄膜は、通常、面抵抗を小さくしようとすると膜厚を厚くせざるを得ず、透明性を損なうものとなり、上記と同様に、抵抗特性と透過率はトレードオフの関係であり、十分な導電性と光透過性との両立を図ることは困難であった。加えて、銀−アルミニウム合金では、アルミニウムが酸化されやすい特性を有し、酸化により抵抗値が上昇するという問題も抱えており、抵抗特性(導電性)と透過性との両立を達成することのできる透明電極の実現が望まれている。
特開2002−015623号公報 特開2006−164961号公報 特開2009−151963号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、優れた光透過性と高い導電性とを兼ね備えた透明電極と、この透明電極を具備し、低駆動電圧で、色変化安定性に優れた電子デバイスを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、基板と銀を主成分とする導電性層との間に、特定の構造を有する2種の有機化合物を含有する有機機能層を有する透明電極により、優れた光透過性と高い導電性を兼ね備えた透明電極を実現することができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の上記課題は、下記の手段により解決される。
1.基板上に、少なくとも銀を主成分とする導電性層を有する透明電極であって、
前記基板と前記導電性層の間に、少なくとも下記一般式(1)で表される構造を有する第1の有機化合物と、当該第1の有機化合物とは構造の異なる第2の有機化合物とを含有する有機機能層を有することを特徴とする透明電極。
Figure 2016136397
〔式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基(−SO)、スルフィニル基(−SOR)、スルホンアミド基(−SONR)、スルホナート基(−SO)、トリフルオロメチル基、エステル基(−COOR)、アミド基(−CONHR又は−CONR)、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、芳香族炭化水素環基、アリールアミノ基、非芳香族複素環基、芳香族複素環基又はアラルキルアミノ基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜60のアルキル基、アリール基又は5〜7員の複素環基を表す。〕
2.前記有機機能層が含有する前記第2の有機化合物が、下記一般式(2)又は一般式(3)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする第1項に記載の透明電極。
Figure 2016136397
〔式中、E101〜E108は、各々C(R12)又は窒素原子を表し、E101〜E108のうち少なくとも一つは窒素原子である。また、R11及びR12は、各々水素原子又は置換基を表す。〕
Figure 2016136397
〔式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。Lは、窒素原子と結合している芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表す。〕
3.前記第1の有機化合物が、前記一般式(1)におけるR〜Rが全てシアノ基である化合物であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の透明電極。
4.前記基板と前記有機機能層との間に、金属酸化物又は金属硫化物を含む光学調整層を有することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の透明電極。
5.第1項から第4項までのいずれか一項に記載の透明電極を具備していることを特徴とする電子デバイス。
6.有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする第5項に記載の電子デバイス。
本発明によれば、優れた光透過性と高い導電性を兼ね備えた透明電極と、この透明電極を具備した低駆動電圧で、色変化安定性に優れた電子デバイスを提供することができる。
本発明の効果の発現機構、作用機構については明確にはなっていないが、以下のように推察される。
通常、銀を主成分とする導電性層により、十分な導電性と光透過性とを備えた透明電極を作製するには、該導電性層が電極として作用する均一な薄層の形成が求められるため、凝集等による不均一な薄層の形成が起こらない条件の設定が必要である。
ところが、銀原子は通常では核成長型(Volumer−Weber:VW型)で薄膜成長するため、該銀原子は島状に孤立し易く、膜厚が薄いときは導電性を得ることが困難であり、シート抵抗値が高くなりやすい。したがって、導電性を確保するには膜厚を厚くする必要があり、膜厚を厚くすると光透過率が下がるため、導電性と光透過性を両立した透明電極を得ることが困難であった。
本発明者らは、基板上、あるいは必要に応じて基板上に設けた金属酸化物等を含む光学調整層上に、前記一般式(1)で表される第1の有機化合物と、当該第1の有機化合物とは構造の異なる第2の有機化合物とを含有する有機機能層を形成することにより、その上に形成する銀を主成分とする導電性層が、高い連続性を備えた膜を形成することができることを見出した。
すなわち、本発明においては、本来、銀との親和性が高い一般式(1)で表される第1の有機化合物と共に、第2の有機化合物を併用して用いることにより、形成する有機機能層中において、各成分がランダムな配列、すなわち、層内で局在化することなく、均一な分布状態で存在する配列となることにより、その上に形成する導電性層において、銀の連続造膜性を得ることができる。すなわち、一般式(1)で表される第1の有機化合物と、第2の有機化合物とを含有する有機機能層を設けることにより、銀原子が、まず銀原子と親和性のある原子を有する銀親和性化合物を含有する有機機能層表面上で2次元的な核を形成し、それを中心に2次元の単結晶層を形成するという層状成長型(Frank−van der Merwe:FM型)の膜成長によって成膜されるようになる。
あるいは、一般式(1)で表される構造を有する第1の有機化合物の規則配列により、第2の有機化合物がある程度、規則配列することにより、銀と親和性がある部位を効率的に表面に形成することができると推測している。
本発明の透明電極の構成の一例を示す概略断面図 本発明の透明電極の構成の他の一例を示す概略断面図 本発明の透明電極の構成の他の一例を示す概略断面図 本発明の透明電極を用いた電子デバイスである有機EL素子の構成の一例(実施態様1)を示す概略断面図 本発明の透明電極を用いた電子デバイスである有機EL素子の構成の他の一例(実施態様2)を示す概略断面図
本発明の透明電極は、基板上に、少なくとも銀を主成分とする導電性層を有する透明電極であって、前記基板と前記導電性層の間に、少なくとも下記一般式(1)で表される第1の有機化合物と、当該第1の有機化合物とは構造の異なる第2の有機化合物とを含有する有機機能層を有することを特徴とする。この特徴は、請求項1から6までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の目的とする効果をより発現できる観点から、前記有機機能層が含有する前記第2の有機化合物が、前記一般式(2)又は一般式(3)で表される化合物であることが、一般式(1)で表される第1の有機化合物と併用することにより、より高い連続性を備え、透過性がより向上した導電性層を形成することができる観点で好ましい。
また、第1の有機化合物が、一般式(1)におけるR〜Rが全てシアノ基である化合物(以下、HAT−CNと略する場合がある。)であることが、より均一性に優れた銀を主成分とする導電性層を形成でき、抵抗特性に優れた透明電極を得ることができ、好ましい。
また、基板と有機機能層との間に、金属酸化物又は金属硫化物を含む光学調整層を有することが、導電性層の反射率や透過率等の光学特性を調整でき、透明電極として、更に光透過性を向上させることができる観点から好ましい態様である。
本発明の透明電極は、電子デバイス、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子用の透明電極として適用することにより、十分な光透過性と導電性とを兼ね備え、電子デバイスを低電圧で駆動することができ、かつ発光時の色変動を抑制することができる。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本発明において示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《透明電極》
[透明電極の基本的な構成]
本発明の透明電極の基本的な構成について、図1、図2A及び図2Bを交えて説明する。なお、各構成要素のあとの括弧内に記載の数字は、各図に記載した構成要素の符号を表す。
図1は、本発明の透明電極の構成の一例(実施態様1)を示す概略断面図である。
図1に示すように、本発明の透明電極(10)は、基板(13)上に、銀を主成分とする導電性層(12)を有し、基板(13)と導電性層(12)との間に、前記一般式(1)で表される第1の有機化合物と、当該第1の有機化合物とは構造の異なる第2の有機化合物とを含有する有機機能層(11)を有する構成である。
図2A及び図2Bは、本発明の透明電極の構成の他の一例(実施態様2)を示す概略断面図である。
図2Aで示す透明電極(10)は、図1で説明した構成に対し、更に、基板(13)と有機機能層(11)との間に、金属酸化物又は金属硫化物を含む光学調整層(14)を設けた構成であり、図2Bで示す透明電極(10)は、図2Aで説明した上記構成に対し、更に、導電性層(12)の上面の最表面部に、第2の光学調整層(14B)を設けた構成である。
本発明に係る導電性層(12)でいう「主成分」とは、導電性層(12)を構成する成分のうち、構成比率が最も高い成分を「主成分」と称し、導電性層(12)における「銀を主成分とする」とは、銀の構成比率が51質量%以上であることをいい、60質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、98質量%以上であることが特に好ましい。
また、本発明の透明電極(10)でいう「透明」とは、測定光波長550nmにおける光透過率が50%以上であることをいう。
また、透明電極(10)としての面抵抗値は、8Ω/□未満であることが好ましく、導電性層(12)の層厚は、通常5〜20nmの範囲内であり、好ましくは5〜12nmの範囲内で設定される。
[透明電極の主要構成]
次に、本発明の透明電極(10)を構成する基板(13)、有機機能層(11)、導電性層(12)、光学調整層(14)について、その構成の詳細を説明する。
〔基板〕
本発明の透明電極(10)を構成する基板(13)としては、例えば、ガラス、プラスチック等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、本発明に係る基板(13)は、本発明の透明電極(10)が、基板(13)側から光を取り出す電子デバイス、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子に用いられる場合には、基板(13)は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な基板(13)としては、ガラス、石英又は透明樹脂フィルムを挙げることができる。
ガラスとしては、薄膜ガラスを適用することが好ましく、薄膜ガラスとしては、各種成形法によって成形されたものを使用することができる。例えばロールアウト法、リドロー法、ダウンドロー法、フロート法等によって成形された薄膜ガラスを使用できる。
薄膜ガラスの平均厚さは、5〜200μmであることが好ましく、5〜100μmであることがより好ましい。薄膜ガラスは、多成分系酸化物ガラスであれば特に限定はない。例えば、シリカガラス、ソーダ石灰シリカガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。これらのガラス材料の表面には、有機機能層(11)、あるいは光学調整層(14)との密着性、耐久性、平滑性の観点から、必要に応じて、研磨等の物理的処理が施されていてもよいし、無機物又は有機物からなる被膜や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜が形成されていてもよい。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名、JSR社製)あるいはアペル(商品名、三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等の樹脂成分により形成されたフィルムが挙げられる。
上記した樹脂フィルムの表面には、無機物又は有機物からなる被膜や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜が形成されていてもよい。このような被膜及びハイブリッド被膜は、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度90±2%RH)が0.01g/m・24h以下のガスバリアー性フィルム(ガスバリアー膜等ともいう。)であることが好ましい。さらには、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/m・24h・atm以下、及び水蒸気透過度が1×10−5g/m・24h以下の高ガスバリアー性フィルムであることが好ましい。
以上のようなガスバリアー性フィルムを形成する材料としては、水分や酸素等の電子デバイスや有機EL素子の劣化をもたらす要因の侵入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。さらに、ガスバリアー性フィルムの脆弱性を改良する観点から、これら無機材料からなる層(無機層)と有機化合物からなる層(有機層)の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層との積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
ガスバリアー性フィルムの作製方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を適宜選択して用いることができる。
〔有機機能層〕
本発明に係る有機機能層は、基板と、銀を主成分として形成される導電性層との間に設けられ、導電性層における金属原子配列を均一にし、光透過性と抵抗特性の両立を達成するための層であり、少なくともその詳細を後述する一般式(1)で表される第1の有機化合物と、当該第1の有機化合物とは構造の異なる第2の有機化合物とを含有することを特徴とし、更には、第2の有機化合物が、後述する一般式(2)又は一般式(3)で表される化合物であることが好ましい態様である。
(一般式(1)で表される構造を有する化合物)
はじめに、第1の有機化合物である下記一般式(1)で表される構造を有する化合物(以下、「一般式(1)で表される化合物」という。)について説明する。
Figure 2016136397
上記一般式(1)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基(−SO)、スルフィニル基(−SOR)、スルホンアミド基(−SONR)、スルホナート基(−SO)、トリフルオロメチル基、エステル基(−COOR)、アミド基(−CONHR又は−CONR)、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、芳香族炭化水素環基、アリールアミノ基、非芳香族複素環基、芳香族複素環基又はアラルキルアミノ基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜60のアルキル基、アリール基又は5〜7員の複素環基を表す。
一般式(1)におけるR〜Rはそれぞれ置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素環基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいう。例えば、ベンゼン環、ビフェニル、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−ターフェニル環、m−ターフェニル環、p−ターフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、インデン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環、テトラリン等から導出される基等)、芳香族複素環基(例えば、フラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、ジベンゾチオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の一つが更に窒素原子で置換されている環等から導出される基等。
また、カルボリン環とジアザカルバゾール環を合わせて「アザカルバゾール環」と呼ぶ場合もある。)、非芳香族炭化水素環基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、非芳香族複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)等。
また、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、チオール基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、重水素原子等が挙げられる。
以下に、一般式(1)で表される化合物の代表例を示すが、本発明は、これら例示する化合物に限定されるものではない。
Figure 2016136397
本発明においては、上記例示した一般式(1)で表される化合物の中でも、R〜Rの全てがシアノ基である例示化合物1−1が特に好ましい。この例示化合物1−1は、HAT−CNという略称で呼ばれている。
一般式(1)で表される化合物は、従来公知の合成法に従って、容易に合成して得ることができる。
(第2の有機化合物)
本発明に係る有機機能層では、上記説明した一般式(1)で表される第1の有機化合物と共に、第2の有機化合物を併用することを特徴とするが、第2の有機化合物のが、下記一般式(2)で表される化合物又は一般式(3)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。
〈一般式(2)で表される構造を有する化合物〉
本発明に係る第2の有機化合物が、下記一般式(2)で表される構造を有する化合物(以下、「一般式(2)で表される化合物」という。)であることが好ましい。
Figure 2016136397
上記一般式(2)において、E101〜E108は、各々C(R12)又は窒素原子を表し、E101〜E108のうち少なくとも一つは窒素原子である。また、R11及びR12は、各々水素原子又は置換基を表す。
11及びR12で表される置換基の例としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基、ピペリジル基(ピペリジニル基ともいう)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、リン酸エステル基(例えば、ジヘキシルホスホリル基等)、亜リン酸エステル基(例えばジフェニルホスフィニル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。
これらの置換基の一部は、上記の置換基によってさらに置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
以下に、本発明に係る一般式(2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明は、これら例示する化合物に限定されるものではない。
Figure 2016136397
Figure 2016136397
Figure 2016136397
上記一般式(2)で表される例示化合物の中でも、例示化合物2−1〜2−3、2−12が好ましい。
一般式(2)で表される化合物は、従来公知の合成法に従って、容易に合成して得ることができる。
〈一般式(3)で表される構造を有する化合物〉
本発明に係る第2の有機化合物が、下記一般式(3)で表される構造を有する化合物(以下、「一般式(3)で表される化合物」という。)であることが好ましい。
Figure 2016136397
上記一般式(3)において、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。Lは、窒素原子と結合している芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表す。
一般式(3)において、R、R及びRで表される置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基、ピペリジル基(ピペリジニル基ともいう)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、リン酸エステル基(例えば、ジヘキシルホスホリル基等)、亜リン酸エステル基(例えばジフェニルホスフィニル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。
一般式(3)において、Lは、芳香族六員環骨格を有することが好ましい。芳香族六員環骨格としては、例えば、芳香族炭化水素基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)等、あるいは芳香族複素環基(ヘテロアリール基ともいい、例えば、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基等)を有するものが好ましく、特に、Lは、ベンゼン環骨格又はトリアジン環骨格を有することが好ましい。ここで、芳香族六員環骨格、ベンゼン環骨格及びトリアジン環骨格とは、前述のピリジン環骨格と同様に、それぞれの部分構造を含んでいることを表している。
以下に、本発明に係る一般式(3)で表される化合物の具体例を示すが、本発明は、これら例示する化合物に限定されるものではない。
Figure 2016136397
Figure 2016136397
Figure 2016136397
Figure 2016136397
一般式(2)で表される化合物は、従来公知の合成法に従って、容易に合成して得ることができる。
(一般式(1)で表される化合物と、一般式(2)又は(3)で表される化合物の使用比率)
本発明に係る有機機能層においては、前記一般式(1)で表される第1の有機化合物と、第1の有機化合物とは構造の異なる第2の有機化合物とを同時に含有することを特徴とし、さらには、第1の有機化合物として前記一般式(1)で表される化合物と、第2の有機化合物として前記一般式(2)又は一般式(3)で表される化合物を併用することが好ましい。
本発明において、前記一般式(1)で表される化合物と、前記一般式(2)又は一般式(3)で表される化合物の使用比率としては、特に制限はないが、前記一般式(2)又は一般式(3)で表される化合物を100質量%とした時、一般式(1)で表される化合物の使用比率は、5.0〜60質量%の範囲内であることが好ましく、更には、10〜50質量%の範囲内であることが好ましい。
(有機機能層の形成方法)
本発明に係る有機機能層の形成には、様々な薄膜形成方法を適用することができるが、その中でも、蒸着法又はスパッタ法により形成することが好ましい。本発明に適用可能な蒸着法としては、抵抗加熱蒸着法、電子線蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法等が含まれる。蒸着装置としては、例えば、シンクロン社製のBMC−800T蒸着機等を用いることができ、2つの加熱用ボートを用い、一方の加熱用ボートに一般式(1)で表される化合物を充填し、他方の加熱用ボードに一般式(2)又は一般式(3)で表される化合物を充填し、所望の比率となるように加熱条件を制御して、共蒸着により有機機能層を形成する方法を挙げることができる。
本発明に係る有機機能層の形成に用いるスパッタ法とは、真空チャンバー内に薄膜の形成に用いる金属をターゲットとして設置し、高電圧をかけてイオン化させた希ガス元素(通常はアルゴン)や窒素(通常は空気由来)をターゲットに衝突させ、ターゲット表面の原子をはじき飛ばして、基板に高密度に金属を成膜する方法である。また、上記希ガスとともに、反応性ガス(OやN)を導入することで、金属酸化物や金属窒化物を成膜することもできる。
本発明に適用可能なスパッタ法としては、2極スパッタ法、マグネトロンスパッタ法、DCスパッタ法、DCパルススパッタ法、RF(高周波)スパッタ法、デュアルマグネトロンスパッタ法、反応性スパッタ法、イオンビームスパッタ法、バイアススパッタ法、及び対向ターゲットスパッタ法などの、公知のスパッタ法を適宜用いることができる。具体的な市販のスパッタ装置としては、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置、ウルバック社の各種スパッタ装置(例えば、マルチチャンバ型スパッタリング装置ENTRONTM−EX W300)やアネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置等を挙げることができる。
〔導電性層〕
本発明に係る導電性層(12)は、銀を主成分として含有している。また、導電性層(12)は、上記説明した有機機能層(11)上に成膜される層である。
導電性層(12)は、銀を主成分として構成されている層であるが、必要に応じて、複数の層に分けて積層された構成であってもよい。
導電性層(12)は、層厚が5〜20nmの範囲内であることが好ましく、5〜12nmの範囲内であることがより好ましい。
層厚が20nmより薄い場合には、層の吸収成分又は反射成分が少なくなり、透明電極(10)の光透過率が向上するため好ましい。また、層厚が5nmより厚い場合には、導電性層としての導電性が十分になるため好ましい。
以上説明した有機機能層(11)と、この上部に成膜された導電性層(12)とからなる積層構造の透明電極(10)は、導電性層(12)の上部が保護膜で覆われていてもよいし、別の導電性層が積層されていてもよい。この場合、透明電極(10)の光透過性を損なうことのないように、保護膜及び別の導電性層が光透過性を有することが好ましい。また、本発明の透明電極(10)においては、有機機能層(11)の下部、すなわち有機機能層(11)と基板(13)との間にも、必要に応じ、前記説明した図2A及び図2Bで示すような光学調整層(14)を設けた構成としてもよい。
導電性層(12)は、銀(Ag)を主成分として含有する合金から構成されていてもよく、そのような合金としては、例えば、銀−マグネシウム(Ag−Mg)、銀−銅(Ag−Cu)、銀−パラジウム(Ag−Pd)、銀−パラジウム−銅(Ag−Pd−Cu)、銀−インジウム(Ag−In)等が挙げられる。
導電性層(12)の成膜方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法等のウェットプロセスを用いる方法や、前記有機機能層の形成に用いる蒸着法又はスパッタ法を適用して形成することができるが、その中でも、本発明においては蒸着法を適用することが好ましい。本発明に適用可能な蒸着法としては、抵抗加熱蒸着法、電子線蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法等が含まれる。蒸着装置としては、例えば、シンクロン社製のBMC−800T蒸着機等を用いることができる。
本発明に係る導電性層(12)は、特定の化合物を含む有機機能層(11)上に成膜されることにより、導電性層(12)を成膜した後、高温アニール処理(例えば、150℃以上の加熱プロセス)等がなくても十分な導電性を有することができるが、必要に応じて、成膜後に高温アニール処理等を行ったものであってもよい。この時は、透明電極を構成している基材のガラス転移温度(Tg)を加味して設定することが肝要である。
以上のような構成の本発明に係る透明電極(10)では、一般式(1)で表される第1の有機化合物と、第2の有機化合物とを含有する有機機能層(11)上に、銀を主成分として構成されている導電性層(12)を設けている。これにより、有機機能層(11)の上部に導電性層(12)を成膜する際には、導電性層(12)に含有される銀原子が有機機能層(11)に含有される一般式(1)で表される第1の有機化合物と、第2の有機化合物と相互作用し、銀原子の有機機能層(11)表面での拡散距離が減少し、銀の凝集が抑えられる。
ここで、一般的に銀を主成分として構成されている導電性層の成膜においては、島状成長型(VW型)で薄膜成長するため、銀粒子が島状に孤立しやすく、膜厚が薄いときは導電性を得ることが困難であり、シート抵抗値が高くなる。
したがって、導電性を確保するには膜厚を厚くする必要があるが、膜厚を厚くすると光透過率が下がるため、透明電極としては不適であった。
しかしながら、本発明構成の透明電極(10)によれば、上述したように有機機能層(11)上において銀の凝集が抑えられるため、銀を主成分として構成されている導電性層(12)の成膜においては、層状成長型(FM型)で薄膜成長するようになる。
〔光学調整層〕
本発明の透明電極においては、図2A及び図2Bで示したように、基板(13)と有機機能層(11)との間に、金属酸化物又は金属硫化物を含む光学調整層(14)を有することが好ましい。
光学調整層(14)とは、導電性層(12)の反射率や透過率等の光学特性を調整することを目的とする層である。このような光学調整層(14)は、基板(13)よりも屈折率の高い層、すなわち高屈折率層であることが好ましい。
高屈折率層の屈折率は、1.8以上であることが好ましく、より好ましくは2.1〜2.5の範囲内である。高屈折率層の屈折率が1.8より高いと、導電性層(12)の光透過性が高まりやすい。また、高屈折率層の屈折率は、基板(13)の屈折率よりも、+0.1〜+1.1の範囲で高いことが好ましく、+0.4〜+1.0の範囲で高いことがより好ましい。本発明でいう高屈折率層の屈折率は、波長510nmの光に対する屈折率であり、エリプソメーターで測定される。高屈折率層の屈折率は、高屈折率層を構成する材料や、高屈折率層中の材料の密度等によって調整することができる。
高屈折率層は、誘電性材料又は酸化物半導体材料を含んで構成されていることが好ましい。また、高屈折率層を構成する材料は、金属酸化物又は金属硫化物であることが好ましい。金属酸化物又は金属硫化物の例には、酸化チタン(TiO:n=2.1〜2.4)、酸化インジウムスズ(略称ITO:n=1.9〜2.2)、酸化亜鉛(ZnO:n=1.9〜2.0)、硫化亜鉛(ZnS:n=2.0〜2.2)、酸化ニオブ(Nb:n=2.2〜2.4)、酸化ジルコニウム(ZrO:n=2.0.〜2.1)、酸化セリウム(CeO:n=1.9〜2.2)、五酸化タンタル(Ta:n=1.9〜2.2)、酸化錫(SnO:n=1.8〜2.0)、酸化インジウム亜鉛(略称IZO:1.9〜2.4)、酸化亜鉛(ZnO:1.9〜2.0)、硫化亜鉛(ZnS、2.2〜2.4)等が含まれ、屈折率や生産性の観点からTiO、Nb、ITO、ZnO、ZnSであることが好ましい。高屈折率層には、誘電性材料または酸化物半導体材料が1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。なお、括弧内のnで表す数値は、屈折率を表す。
高屈折率層の層厚は、10〜100nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは20〜50nmの範囲内である。ここで、高屈折率層の層厚が10nm以上であれば、導電性層(12)の光透過性を十分に高めることができる。一方、高屈折率層の層厚が100nm以下であれば、導電性層(12)の透明性(反射防止性)を高めることができる。高屈折率層の層厚は、エリプソメーターで測定される。
なお、光学調整層(14)は、基板(13)よりも屈折率の低い層(低屈折率層)であってもよい。また、上述した高屈折率層に加えてさらに低屈折率層を設けてもよいし、高屈折率層と低屈折率層とを複数積層した構成とすることも可能である。このような低屈折率層を高屈折率層に隣接して形成することにより、透明電極(10)の光透過性がさらに向上する。
また、図2Bで示したように、基板(13)と有機機能層(11)との間に第1の光学調整層(14A)を設け、更に、導電性層(12)上に、第2の光学調整層(14B)を設ける構成であってもよい。このような構成において、第1の光学調整層(14A)と、第2の光学調整層(14B)は、同一構成であっても、異なる構成であってもよい。
上記説明した光学調整層(14)を、基板(11)上に成膜方法としては、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)またはスパッタ法が挙げられる。蒸着法を適用するか、スパッタ法を適用するかは、使用する金属酸化物または金属硫化物の種類により適宜選択することが好ましい。例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO)、硫化亜鉛(ZnS)を用いた光学調整層の成膜であれば蒸着法が好ましく適用される。また、酸化インジウム(In)、酸化インジウムスズ(ITO)、又は酸化ニオブ(Nb)を用いた光学調整層の成膜であればスパッタ法が好ましく適用される。
《透明電極の用途》
本発明の透明電極は、各種電子デバイスに用いることができる。電子デバイスの例としては、有機EL素子、LED(Light Emitting Diode)、液晶素子、太陽電池、タッチパネル等が挙げられ、これらの電子デバイスにおいて光透過性を必要とされる電極部材として、本発明の透明電極を適用することができる。
《有機EL素子への適用》
以下、電子デバイス用途の一例として、本発明の透明電極を用いた有機EL素子の実施の形態を説明する。
[有機EL素子の実施態様1]
〔有機EL素子の構成〕
図3は、本発明の電子デバイスの一例として、本発明の透明電極(10)を用いた有機EL素子(100)の1例を示す概略断面図である。
以下に、図3に基づいて有機EL素子の構成を説明する。
図3に示すとおり、有機EL素子(100)は、透明基板(13、以下、基板ともいう)上に設けられており、透明基板(13)上には、前記図2Aに示す透明電極(10)が配置されている。透明電極の基板(13)である透明基板上に、光学調整層(14)、有機機能層(11)及び導電性層(12)が積層して構成され、その上に、有機発光層ユニット(3)及び対向電極(5a)が積層されている。
この有機EL素子(100)においては、透明電極(10)として、本発明で規定する構成からなる透明電極を用いている。このため、有機EL素子(100)は、発光点(h)より発生させた発光光(L)を、少なくとも透明基板(13)の光取出し面(13a)側から取り出すように構成されている。
また、有機EL素子(100)の層構造の一例を以下に説明するが、ここで例示する構成に限定されることはなく、一般的な層構造であってもよい。図3においては、透明電極(10)がアノード(すなわち陽極)として機能し、対向電極(5a)がカソード(すなわち陰極)として機能する構成を示してある。
例えば、図3で示す構成では、有機発光層ユニット(3)は、アノードである透明電極(10)側から順に正孔注入層(3a)/正孔輸送層(3b)/発光層(3c)/電子輸送層(3d)/電子注入層(3e)を積層した構成を例示しているが、このうち少なくとも有機化合物を用いて構成された発光層(3c)を有することが必須である。正孔注入層(3a)及び正孔輸送層(3b)は、正孔輸送注入層として設けられていてもよい。電子輸送層(3d)及び電子注入層(3e)は、電子輸送注入層として設けられていてもよい。また、これらの有機発光層ユニット(3)のうち、例えば、電子注入層(3e)は無機材料で構成されているものであってもよい。
また、有機発光層ユニット(3)は、これらの層の他に正孔阻止層や電子阻止層等が必要に応じて必要箇所に積層されていてもよい。さらに、発光層(3c)は、各波長領域の発光光を発生させる各色発光層を有し、これらの各色発光層を非発光性の補助層を介して積層させた構造としてもよい。補助層は、正孔阻止層、電子阻止層として機能してもよい。さらに、カソードである対向電極(5a)も、必要に応じた積層構造であってもよい。このような構成においては、透明電極(10)と対向電極(5a)とで有機発光層ユニット(3)が挟持された部分のみが、有機EL素子(100)における発光領域となる。
また、図3に示すような層構成においては、透明電極(10)の低抵抗化を図ることを目的とし、透明電極(10)の導電性層(12)に接して補助電極(15)が設けられていてもよい。
図3で示す構成の有機EL素子(100)は、有機化合物等を用いて構成された有機発光層ユニット(3)の劣化を防止することを目的として、透明基板(13)上において、後述する封止材(17)で封止されている。この封止材(17)は、接着剤(19)を介して透明基板(13)側に固定されている。ただし、透明電極(10)及び対向電極(5a)の端子部分は、透明基板(13)上において有機発光層ユニット(3)によって互いに絶縁性を保った状態で封止材(17)から露出させた状態で設けられていることとする。
以下、上述した有機EL素子(100)を構成するための主要各層の詳細を、透明基板(13)、透明電極(10)、対向電極(5a)、有機発光層ユニット(3)の発光層(3c)、有機発光層ユニット(3)の他の層、補助電極(15)、及び封止材(17)の順に説明する。
(透明基板)
透明基板(13)は、先に図1、図2A及び図2Bで説明した本発明の透明電極(10)を構成している基板(13)であり、先に説明した基板(13)のうち、光透過性を有する透明な基板(13)が用いられる。
(透明電極(アノード))
透明電極(10)は、先に説明した本発明の透明電極(10)であり、透明基板(13)側から順に光学調整層(14)、有機機能層(11)及び導電性層(12)を順に成膜した構成である。ここでは特に、透明電極(10)はアノードとして機能するものであり、導電性層(12)が実質的なアノードとなる。
(対向電極(カソード))
対向電極(5a)は、有機発光層ユニット(3)に電子を供給するカソードとして機能する電極膜であり、金属、合金、有機若しくは無機の導電性化合物、又はこれらの混合物等から構成されている。具体的には、アルミニウム、銀、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属、ITO、ZnO、TiO、SnO等の酸化物半導体等が挙げられる。
対向電極(5a)は、これらの導電性材料を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより作製することができる。
また、対向電極(5a)のシート抵抗値は、数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常5nm〜5μm、好ましくは5〜200nmの範囲内で選ばれる。
なお、この有機EL素子(100)が、対向電極(5a)側からも発光光(L)を取り出す方式を取る場合には、上述した導電性材料のうちから選択される光透過性の良好な導電性材料により対向電極(5a)が構成されていればよい。
(発光層)
発光層(3c)には、発光材料が含有されているが、中でも発光材料としてリン光発光ドーパント(リン光発光材料、リン光発光化合物、又はリン光性化合物ともいう。)が含有されていることが好ましい。
この発光層(3c)は、電極又は電子輸送層(3d)から注入された電子と、正孔輸送層(3b)から注入された正孔とが再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層(3c)の層内であっても発光層(3c)と隣接する層との界面であってもよい。
このような発光層(3c)としては、含まれる発光材料が発光要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。また、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。この場合、各発光層(3c)間には非発光性の補助層(図示せず)を有していることが好ましい。
発光層(3c)の層厚の総和は、好ましくは、1〜100nmの範囲内であり、更に好ましくは、より低い駆動電圧を得ることができることから1〜30nmの範囲内である。なお、発光層(3c)の層厚の総和とは、発光層(3c)間に非発光性の補助層が存在する場合には、当該補助層も含む層厚である。
複数層を積層した構成の発光層(3c)の場合、個々の発光層(3c)の層厚としては、1〜50nmの範囲内に調整することが好ましく、1〜20nmの範囲内に調整することがより好ましい。積層された複数の発光層(3c)が、青、緑、赤のそれぞれの発光色に対応する場合、青、緑、赤の各発光層(3c)の層厚の関係については、特に制限はない。
以上のように構成されている発光層(3c)は、後述する発光材料やホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜形成方法により成膜して形成することができる。
また発光層(3c)は、複数の発光材料が混合されて構成されていてもよく、またリン光発光ドーパント(リン光発光性化合物)と蛍光ドーパント(蛍光発光材料、蛍光性化合物)とが混合されて構成されていてもよい。
発光層(3c)は、ホスト化合物(発光ホスト)と発光材料(発光ドーパント)を含有し、発光材料をより発光させることが好ましい。
(ホスト化合物)
発光層(3c)に含有されるホスト化合物としては、室温(25℃)におけるリン光発光のリン光量子収率が0.1未満の化合物が好ましい。さらに好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。また、発光層3cに含有される化合物の中で、その層中での体積比が50%以上であることが好ましい。
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、又は複数種用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、後述する発光材料を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
用いられるホスト化合物としては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもよい。
公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、発光の長波長化を防ぎ、かつ高Tg(ガラス転移温度)の化合物が好ましい。
ここでいうガラス転移温度とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS K 7121−2012に準拠した方法により求められる値である。
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物を用いることもできる。例えば、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報を挙げることができる。
また、米国特許出願公開第2003/0175553号明細書、米国特許出願公開第2006/0280965号明細書、米国特許出願公開第2005/0112407号明細書、米国特許出願公開第2009/0017330号明細書、米国特許出願公開第2009/0030202号明細書、米国特許出願公開第2005/0238919号明細書、国際公開第2001/039234号明細書、国際公開第2009/021126号、国際公開第2008/056746号、国際公開第2004/093207号、国際公開第2005/089025号、国際公開第2007/063796号、国際公開第2007/063754号、国際公開第2004/107822号、国際公開第2005/030900号、国際公開第2006/114966号、国際公開第2009/086028号、国際公開第2009/003898号、国際公開第2012/023947号、特開2008−074939号公報、特開2007−254297号公報、欧州特許第2034538号明細書等に記載されている化合物を用いることもできる。。
(発光材料)
(1)リン光発光ドーパント
本発明で用いることのできる発光材料としては、リン光発光ドーパントが挙げられる。
リン光発光ドーパントとは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明においてリン光発光ドーパントを用いる場合、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
リン光発光ドーパントの発光の原理としては2種挙げられる。
一つは、キャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光発光ドーパントに移動させることでリン光発光ドーパントからの発光を得るというエネルギー移動型である。
もう一つは、リン光発光ドーパントがキャリアトラップとなり、リン光発光ドーパント上でキャリアの再結合が起こりリン光発光ドーパントからの発光が得られるというキャリアトラップ型である。いずれの場合においても、リン光発光ドーパントの励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件となる。
リン光発光ドーパントは、一般的な有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、又は白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
本発明においては、少なくとも一つの発光層3cに2種以上のリン光発光ドーパントが含有されていてもよく、発光層3cにおけるリン光発光ドーパントの濃度比が発光層3cの厚さ方向で変化していてもよい。
リン光発光ドーパントは、好ましくは発光層3cの総量に対し0.1体積%以上、30体積%未満である。
本発明に使用できる公知のリン光ドーパントの具体例としては、以下の各文献に記載されている化合物等が挙げられる。
Nature 395,151(1998)、Appl.Phys.Lett.78,1622(2001)、Adv.Mater.19,739(2007)、Chem.Mater.17,3532(2005)、Adv.Mater.17,1059(2005)、国際公開第2009/100991号、国際公開第2008/101842号、国際公開第2003/040257号、米国特許出願公開第2006/835469号明細書、米国特許出願公開第2006/0202194号明細書、米国特許出願公開第2007/0087321号明細書、米国特許出願公開第2005/0244673号明細書、Inorg. Chem.40,1704(2001)、Chem.Mater.16,2480(2004)、Adv.Mater.16,2003(2004)、Angew.Chem.lnt.Ed.2006,45,7800、Appl.Phys.Lett.86,153505(2005)、Chem.Lett.34,592(2005)、Chem.Commun.2906(2005)、Inorg.Chem.42,1248(2003)等に記載のリン光ドーパントを挙げることができる。
また、国際公開第2009/050290号、国際公開第2002/015645号、国際公開第2009/000673号、米国特許出願公開第2002/0034656号明細書、米国特許第7332232号明細書、米国特許出願公開第2009/0108737号明細書、米国特許出願公開第2009/0039776号明細書、米国特許第6921915号明細書、米国特許第6687266号明細書、米国特許出願公開第2007/0190359号明細書、米国特許出願公開第2006/0008670号明細書、米国特許出願公開第2009/0165846号明細書、米国特許出願公開第2008/0015355号明細書、米国特許第7250226号明細書、米国特許第7396598号明細書、米国特許出願公開第2006/0263635号明細書、米国特許出願公開第2003/0138657号明細書、米国特許出願公開第2003/0152802号明細書、米国特許第7090928号明細書等に記載のリン光ドーパントを挙げることができる。
また、Angew.Chem.lnt.Ed.47,1(2008)、Chem.Mater.18,5119(2006)、Inorg.Chem.46,4308(2007)、Organometallics23,3745(2004)、Appl.Phys.Lett.74,1361(1999)、国際公開第2002/002714号、国際公開第2006/009024号、国際公開第2006/056418号、国際公開第2005/019373号、国際公開第2005/123873号、国際公開第2005/123873号、国際公開第2007/004380号、国際公開第2006/082742号、米国特許出願公開第2006/0251923号明細書、米国特許出願公開第2005/0260441号明細書、米国特許第7393599号明細書、米国特許第7534505号明細書、米国特許第7445855号明細書、米国特許出願公開第2007/0190359号明細書、米国特許出願公開第2008/0297033号明細書、米国特許第7338722号明細書、米国特許出願公開第2002/0134984号明細書、米国特許第7279704号明細書、米国特許出願公開第2006/098120号明細書、米国特許出願公開第2006/103874号明細書、国際公開第2005/076380号、国際公開第2010/032663号、国際公開第2008/140115号、国際公開第2007/052431号、国際公開第2011/134013号、国際公開第2011/157339号、国際公開第2010/086089号、国際公開第2009/113646号、国際公開第2012/020327号、国際公開第2011/051404号、国際公開第2011/004639号、国際公開第2011/073149号、米国特許出願公開第2012/228583号明細書、米国特許出願公開第2012/212126号明細書、特開2012−069737号公報、特開2011−181303号公報、特開2009−114086号公報、特開2003−81988号公報、特開2002−302671号公報、特開2002−363552号公報等に記載のリン光ドーパントを挙げることができる。
中でも、好ましいリン光ドーパントとしては、Irを中心金属に有する有機金属錯体が挙げられる。さらに好ましくは、金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合のうち少なくとも1つの配位様式を含む錯体が好ましい。
(2)蛍光ドーパント
本発明に係る蛍光発光性ドーパント(以下、「蛍光ドーパント」ともいう。)について説明する。
本発明に係る蛍光ドーパントは、励起一重項からの発光が可能な化合物であり、励起一重項からの発光が観測される限り特に限定されない。
本発明に係る蛍光ドーパントとしては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
また、近年では遅延蛍光を利用した発光ドーパントも開発されており、これらを用いてもよい。
遅延蛍光を利用した発光ドーパントの具体例としては、例えば、国際公開第2011/156793号、特開2011−213643号公報、特開2010−93181号公報等に記載の化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
(注入層:正孔注入層、電子注入層)
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と発光層3cの間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(3a)と電子注入層(3e)とがある。
注入層は、必要に応じて設けることができる。正孔注入層(3a)であれば、アノードと、発光層(3c)又は正孔輸送層(3b)との間、電子注入層(3e)であれば、カソードと、発光層(3c)又は電子輸送層(3d)との間に存在させてもよい。
正孔注入層(3a)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン層、酸化バナジウムに代表される酸化物層、アモルファスカーボン層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子層等が挙げられる。
電子注入層(3e)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属層、フッ化カリウムに代表されるアルカリ金属ハライド層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物層、酸化モリブデンに代表される酸化物層等が挙げられる。電子注入層3eはごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその層厚は1nm〜10μmの範囲内が好ましい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層(3b)は、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層(3a)、電子阻止層も正孔輸送層(3b)に含まれる。正孔輸送層(3b)は、単層又は複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(略称:TPD)、2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、N,N,N−トリ(p−トリル)アミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン、4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン、N−フェニルカルバゾール、更には米国特許第5061569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(略称:NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3個スターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(略称:MTDATA)等が挙げられる。
さらに、これらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.,Applied Physics Letters,80(2002),p.139に記載されているような、いわゆるp型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層(3b)は、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層(3b)の層厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmの範囲内である。この正孔輸送層(3b)は、上記材料の1種又は2種以上からなる1層構造であってもよい。
また、正孔輸送層(3b)の材料に不純物をドープしてp性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
このように、正孔輸送層(3b)のp性を高くすると、より低消費電力の有機EL素子を作製することができるため好ましい。
(電子輸送層)
電子輸送層(3d)は、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層(3e)、正孔阻止層も電子輸送層(3d)に含まれる。電子輸送層(3d)は、単層構造又は複数層の積層構造として設けることができる。
単層構造の電子輸送層(3d)の電子輸送材料、及び積層構造の電子輸送層(3d)において、発光層(3c)に隣接する層部分を構成する電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、カソードより注入された電子を発光層(3c)に伝達する機能を有していればよい。このような材料としては、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン、アントロン誘導体及びオキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送層(3d)の材料として用いることができる。さらに、これらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(略称:Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送層(3d)の材料として用いることができる。
その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送層(3d)の材料として好ましく用いることができる。また、発光層(3c)の材料としても用いられるジスチリルピラジン誘導体も電子輸送層(3d)の材料として用いることができるし、正孔注入層(3a)、正孔輸送層(3b)と同様に、n型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送層(3d)の材料として用いることができる。
電子輸送層(3d)は、上記材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層(3d)の層厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmの範囲内である。電子輸送層(3d)は、上記材料の1種又は2種以上からなる1層構造であってもよい。
また、電子輸送層(3d)に不純物をドープし、n性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。さらに、電子輸送層(3d)には、カリウムやカリウム化合物等を含有させることが好ましい。カリウム化合物としては、例えば、フッ化カリウム等を用いることができる。このように電子輸送層(3d)のn性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができる。
また、電子輸送層(3d)の材料(電子輸送性化合物)として、上述した本発明に係る有機機能層(11)を構成する材料と同様のものを用いてもよい。これは、電子注入層(3e)を兼ねた電子輸送層(3d)であっても同様である。
(阻止層:正孔阻止層、電子阻止層)
阻止層は、上記した有機発光層ユニット(3)の基本構成層の他に、必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは、広い意味では、電子輸送層(3d)の機能を有する。正孔阻止層は、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、上記の電子輸送層(3d)の構成を、必要に応じて、正孔阻止層として用いることができる。正孔阻止層は、発光層(3c)に隣接して設けられていることが好ましい。
一方、電子阻止層とは、広い意味では、正孔輸送層(3b)の機能を有する。電子阻止層は、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、上記の正孔輸送層(3b)の構成を、必要に応じて、電子阻止層として用いることができる。
正孔阻止層の層厚としては、好ましくは3〜100nmの範囲内であり、更に好ましくは5〜30nmの範囲内である。
(補助電極)
補助電極(15)は、透明電極(10)の抵抗を下げる目的で設けられるものであって、透明電極(10)の導電性層(12)に接して設けられる。補助電極(15)を形成する材料としては、金、白金、銀、銅、アルミニウム等の抵抗が低い金属が好ましい。これらの金属は光透過性が低いため、光取り出し面(13a)からの発光光(h)の取り出しの影響のない範囲でパターン形成される。このような補助電極(15)の作製方法としては、蒸着法、スパッタリング法、印刷法、インクジェット法、エアロゾルジェット法等が挙げられる。補助電極15の線幅は、光を取り出す開口率の観点から50μm以下であることが好ましく、補助電極15の厚さは、導電性の観点から1μm以上であることが好ましい。
(封止材)
封止材(17)は、有機EL素子(100)を覆うものであって、板状(フィルム状)の封止部材であって接着剤(19)によって透明基板(13)側に固定されるものであってもよく、封止膜であってもよい。このような封止材(17)は、有機EL素子(100)における透明電極(10)、特に導電性層(12)及び対向電極(5a)の端子部分を露出させる状態で、少なくとも有機発光層ユニット(3)を覆う状態で設けられている。また、封止材(17)に電極を設け、有機EL素子(100)の透明電極(10)及び対向電極(5a)の端子部分と、この電極とを導通させるように構成されていてもよい。
板状(フィルム状)の封止材(17)としては、具体的には、ガラス基板、ポリマー基板、金属基板等が挙げられ、これらの基板材料を更に薄型のフィルム状にして用いてもよい。ガラス基板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー基板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属基板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブデン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる1種以上の金属又は合金からなるものが挙げられる。
中でも、有機EL素子を薄膜化できるということから、封止材としてポリマー基板や金属基板を薄型のフィルム状にしたものを好ましく使用することができる。
さらには、フィルム状としたポリマー基板は、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/m・24h・atm以下、及びJIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/m・24h以下のものであることが好ましい。
また以上のような基板材料は、凹板状に加工して封止材(17)として用いてもよい。この場合、上述した基板材料に対してサンドブラスト加工、化学エッチング加工等の加工が施され、凹状が形成される。
また、このような板状の封止材(17)を透明基板(13)側に固定するための接着剤(19)は、封止材(17)と透明基板(13)との間に挟持された有機EL素子(100)を封止するためのシール剤として用いられる。このような接着剤(19)は、具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。
また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることもできる。
なお、有機EL素子(100)を構成する有機化合物は、熱処理により劣化する場合がある。このため、接着剤(19)は、室温(25℃)から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、接着剤(19)中に乾燥剤を分散させておいてもよい。
封止材(17)と透明基板(13)との接着部分への接着剤(19)の塗布は、市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また、板状の封止材(17)と透明基板(13)と接着剤(19)との間に隙間が形成される場合、この間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、ヨウ化バリウム、ヨウ化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
一方、封止材(17)として封止膜を用いる場合、有機EL素子(100)における有機発光層ユニット(3)を完全に覆い、かつ有機EL素子(100)における透明電極(10)及び対向電極(5a)の端子部分を露出させる状態で、透明基板(13)上に封止膜が設けられる。
このような封止膜は、無機材料や有機化合物を用いて構成される。特に、水分や酸素等、有機EL素子(100)における有機発光層ユニット(3)の劣化をもたらす物質の浸入を抑制する機能を有する材料で構成されることとする。このような材料として、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等の無機材料が用いられる。さらに、封止膜の脆弱性を改良するために、これら無機材料からなる膜とともに、有機化合物からなる膜を用いて積層構造としてもよい。
これらの膜の作製方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
(保護膜、保護板)
透明基板(13)とともに、有機EL素子(100)及び封止材(17)を挟むようにして保護膜又は保護板を設けてもよい。この保護膜又は保護板は、有機EL素子(100)を機械的に保護するためのものであり、特に、封止材(17)が封止膜である場合には、有機EL素子(100)に対する機械的な保護が十分ではないため、このような保護膜若しくは保護板を設けることが好ましい。
以上のような保護膜若しくは保護板としては、ガラス板、ポリマー板、これよりも薄型のポリマーフィルム、金属板、これよりも薄型の金属フィルム、又はポリマー材料膜や金属材料膜が適用される。特に、軽量かつ薄膜化ということから、ポリマーフィルムを用いることが好ましい。
〔有機EL素子の製造方法〕
ここでは、一例として図3に示す構成の有機EL素子(100)の製造方法について説明する。
まず、透明基板(13)上に、金属酸化物又は金属硫化物を含む光学調整層(14)を真空蒸着法又はスパッタ法で、10〜100nmの層厚で形成し、その上に、一般式(1)で表される第1の有機化合物と、第2の有機化合物を含有する有機機能層(11)を、好ましくは10〜100nmの層厚になるように蒸着法等の方法により形成する。次に、銀(又は銀を含有する合金)を主成分とする導電性層(12)を5〜20nmの範囲内、好ましくは8〜12nmの範囲内の層厚になるように蒸着法等の方法により有機機能層(11)上に形成し、アノードとなる透明電極(10)のユニットを作製する。
次に、この上に正孔注入層(3a)、正孔輸送層(3b)、発光層(3c)、電子輸送層(3d)、電子注入層(3e)の順に成膜し、有機発光層ユニット(3)を形成する。これらの各層の成膜には、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、印刷法等を適用することができるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法又はスピンコート法が特に好ましい。さらに、形成する層ごとに異なる成膜法を適用してもよい。これらの各層の成膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度として50〜450℃の範囲内で、真空度として1×10−6〜1×10−2Paの範囲内で、蒸着速度として0.01〜50nm/秒の範囲内で、基板温度として−50〜300℃の範囲内で、層厚として0.1〜5μmの範囲内で、各条件を適宜選択することが望ましい。
以上のようにして有機発光層ユニット(3)を形成した後、この上部にカソードとなる対向電極(5a)を、蒸着法やスパッタ法等の適宜の成膜法によって形成する。この際、対向電極(5a)は、有機発光層ユニット(3)によって透明電極(10)に対して絶縁状態を保ちつつ、有機機能層3の上方から透明基板(13)の周縁に端子部分を引き出した形状にパターン形成する。これにより、有機EL素子(100)が得られる。その後には、有機EL素子(100)における透明電極(10)及び対向電極(5a)の端子部分を露出させた状態で、少なくとも有機発光層ユニット(3)を覆う封止材(17)を設ける。
以上により、透明基板(13)上に所望の有機EL素子を形成することができる。このような有機EL素子(100)の作製においては、一回の真空引きで一貫して有機発光層ユニット(3)から対向電極(5a)まで作製するのが好ましいが、途中で真空雰囲気から透明基板(13)を取り出して異なる成膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
このようにして得られた有機EL素子(100)に直流電圧を印加する場合には、アノードである透明電極1を+の極性とし、カソードである対向電極5aを−の極性として、電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また、交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
〔有機EL素子の効果〕
以上説明した実施態様1で説明した有機EL素子(100)は、本発明の光透過性と導電性とを兼ね備えた透明電極(10)をアノードとして用い、この上部に有機発光層ユニット(3)とカソードとなる対向電極(5a)とを設けた構成である。このため、透明電極(10)と対向電極(5a)との間に十分な電圧を印加して有機EL素子(100)での高輝度発光を実現しつつ、透明電極1側からの発光光(L)の取り出し効率が向上することによる高輝度化を図ることが可能である。さらに、所定の輝度を得るための駆動電圧の低減による発光寿命の向上を図ることも可能になる。
[有機EL素子の実施態様2]
〔有機EL素子の構成〕
図4は、本発明の電子デバイスの一例として、上述した透明電極(10)を用いた有機EL素子の実施態様2を示す概略断面図である。図4に示す実施態様2の有機EL素子(200)が、図3に示した実施態様1の有機EL素子(100)と異なるところは、透明電極(10)をカソードとして用いる点である。
以下、上記説明した実施態様1と同様の構成要素で重複する詳細な説明は省略し、実施態様2の有機EL素子(200)の特徴的な構成を説明する。
図4に示すとおり、有機EL素子(200)は、透明基板(13)上に設けられており、実施態様1と同様に、透明基板(13)上の透明電極(10)として先に説明した本発明の透明電極(10)を用いている。このため有機EL素子(200)は、少なくとも透明基板(13)側から発光光(L)を取り出せるように構成されている。ただし、この透明電極(10)は、カソード(陰極)として用いられる。このため、対向電極(5b)は、アノードとして用いられることになる。
このように構成される有機EL素子(200)の層構造は、以下に説明する例に限定されることはなく、一般的な層構造であってもよいことは、実施態様1と同様である。
実施態様2の場合の一例としては、カソードとして機能する透明電極(10)の上部に、電子注入層(3e)/電子輸送層(3d)/発光層(3c)/正孔輸送層(3b)/正孔注入層(3a)をこの順に積層した有機発光層ユニット(3)の構成が例示される。ただし、このうち少なくとも有機化合物で構成された発光層(3c)を有することが必須である。
なお、有機発光層ユニット(3)は、これらの層の他にも、実施態様1で説明したのと同様に、必要に応じたさまざまな構成が採用される。このような構成において、透明電極(10)と対向電極(5b)とで有機発光層ユニット(3)が挟持された部分のみが、有機EL素子(200)における発光領域となることも実施態様1と同様である。
また、以上のような層構成においては、透明電極(10)の低抵抗化を図ることを目的として、透明電極(10)の導電性層(12)に接して補助電極(15)が設けられていてもよいことも、実施態様1と同様である。
ここで、アノードとして用いられる対向電極(5b)は、金属、合金、有機若しくは無機の導電性化合物、又はこれらの混合物等から構成されている。具体的には、金(Au)等の金属、ヨウ化銅(CuI)、ITO、ZnO、TiO、SnO等の酸化物半導体等が挙げられる。
以上のように構成されている対向電極(5b)は、これらの導電性材料を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより作製することができる。
また、対向電極5bとしてのシート抵抗値は、数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常5nm〜5μm、好ましくは5〜200nmの範囲内で選ばれる。
なお、この有機EL素子(200)が、対向電極(5b)側からも発光光(L)を取り出せるように構成されている場合、対向電極(5b)を構成する材料としては、上述した導電性材料のうち光透過性の良好な導電性材料が選択されて用いられる。
以上のような構成の有機EL素子(200)は、有機発光層ユニット(3)の劣化を防止することを目的として、実施態様1と同様に封止材(17)で封止されている。
以上説明した有機EL素子(200)を構成する主要各層のうち、アノードとして用いられる対向電極(5b)以外の構成要素の詳細な構成、及び有機EL素子(200)の製造方法は、実施態様1と同様である。このため、詳細な説明は省略する。
〔有機EL素子の効果〕
以上説明した有機EL素子(200)は、本発明の光透過性と導電性とを兼ね備えた透明電極(10)をカソードとして用い、この上部に有機発光層ユニット(3)とアノードとなる対向電極(5b)とを設けた構成である。このため、実施態様1と同様に、透明電極(10)と対向電極(5b)との間に十分な電圧を印加して有機EL素子(200)での高輝度発光を実現しつつ、透明電極(10)側からの発光光(h)の取り出し効率が向上することによる高輝度化を図ることが可能である。さらに、所定輝度を得るための駆動電圧の低減による発光寿命の向上を図ることも可能になる。
《有機EL素子の用途》
上述した電子デバイスの一例である有機EL素子は、面発光体であるため各種の発光光源として用いることができる。例えば、家庭用照明や車内照明等の照明装置、時計や液晶用のバックライト、看板広告用照明、信号機の光源、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられる。特に、カラーフィルターと組み合わせた液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
また、有機EL素子は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。この場合、近年の照明装置及びディスプレイの大型化にともない、有機EL素子を設けた発光パネル同士を平面的に接合する、いわゆるタイリングによって発光面を大面積化してもよい。
動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。また、異なる発光色を有する本発明の有機EL素子を2種以上使用することにより、カラー又はフルカラー表示装置を作製することが可能である。
以下では、用途の一例として照明装置について説明する。
〔有機EL素子の照明装置への適用〕
本発明に係る照明装置は、上記有機EL素子を具備することができる。
本発明に係る照明装置に用いる有機EL素子は、上述した構成の各有機EL素子に共振器構造を持たせた設計としてもよい。共振器構造を有するように構成された有機EL素子の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより上記用途に使用してもよい。
なお、本発明の有機EL素子に用いられる材料は、実質的に白色の発光を生じる有機EL素子(白色有機EL素子)に適用できる。例えば、複数の発光材料により複数の発光色を同時に発光させて、混色により白色発光を得ることもできる。複数の発光色の組み合わせとしては、赤色、緑色、青色の三原色の三つの発光極大波長を含有させたものでもよいし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した二つの発光極大波長を含有したものでもよい。
また、複数の発光色を得るための発光材料の組み合わせは、複数のリン光又は蛍光で発光する材料を複数組み合わせたもの、蛍光又はリン光で発光する発光材料と、発光材料からの光を励起光として発光する色素材料との組み合わせたもののいずれでもよいが、白色有機EL素子においては、発光ドーパントを複数組み合わせて混合したものでもよい。
このような白色有機EL素子は、各色発光の有機EL素子をアレー状に個別に並列配置して白色発光を得る構成と異なり、有機EL素子自体が白色を発光する。このため、素子を構成するほとんどの層の成膜にマスクを必要とせず、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で成膜することができ、生産性も向上する。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
実施例1
《透明電極の作製》
以下に説明するように、透明電極101〜121を、導電性領域の面積が5cm×5cmとなるように作製した。
〔透明電極1の作製〕
透明な無アルカリガラス製の基板(厚さ:0.5μm、表1、2には、単にガラスと記載)を、真空蒸着装置であるシンクロン社製のBMC−800T蒸着装置内に固定し、真空蒸着装置の真空槽に取り付けた。次いで、タングステン製抵抗加熱ボートに銀(Ag)を充填し、これを当該真空槽内に取り付けた。次に、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲内で、基板上に、層厚が10nmの銀からなる導電性層1を成膜し、単層構造の透明電極1を作製した。
〔透明電極2の作製〕
上記透明電極1の作製において、基板を無アルカリガラスに代えて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:100μm、表1には、PETと記載)を用いた以外は同様にして、単層構造の透明電極2を作製した。
〔透明電極3の作製〕
上記透明電極1の作製において、基板を無アルカリガラスに代えて、ポリエチレンナフタレートフィルム(厚さ:100μm、表1には、PENと記載)を用いた以外は同様にして、単層構造の透明電極3を作製した。
〔透明電極4の作製〕
上記透明電極1の作製において、基板と導電性層1の間に、下記の真空蒸着法に従って、光学調整層1を形成した以外は同様にして、透明電極4を作製した。
(光学調整層1の形成)
真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、タングステン製抵抗加熱ボートにTiOを装填し、真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートに通電加熱し、抵抗加熱ボートの通電加熱条件を調整して、形成速度2.0nm/秒の条件で蒸着して、層厚30nmのTiOから構成される光学調整層1を形成した。
〔透明電極5の作製〕
上記透明電極1の作製において、基板と導電性層1の間に、下記のスパッタ法に従って、光学調整層2を形成した以外は同様にして、透明電極5を作製した。
(光学調整層2の形成)
アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar:20sccm、O:5sccm、スパッタ圧:0.25Pa、室温(25℃)下、形成速度:0.74Å/秒で、層厚が30nmとなるようNbをRCスパッタし、光学調整層2を形成した。ターゲット−基板間距離は、86mmであった。
〔透明電極6の作製〕
上記透明電極5の作製において、光学調整層の形成材料を、Nbに代えて、ITO(インジウム・スズ酸化物)を用い、スパッタ法により層厚が30nmの光学調整層3を形成した以外は同様にして、透明電極6を作製した。
〔透明電極7の作製〕
上記透明電極5の作製において、光学調整層の形成材料を、Nbに代えて、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)を用い、スパッタ法により層厚が30nmの光学調整層4を形成した以外は同様にして、透明電極7を作製した。
〔透明電極8の作製〕
上記透明電極4の作製において、光学調整層の形成材料を、TiOに代えて、ZnOを用い、真空蒸着法により層厚が30nmの光学調整層5を形成した以外は同様にして、透明電極8を作製した。
〔透明電極9の作製〕
上記透明電極4の作製において、光学調整層の形成材料を、TiOに代えて、ZnSを用い、真空蒸着法により層厚が30nmの光学調整層6を形成した以外は同様にして、透明電極9を作製した。
〔透明電極10の作製〕
上記透明電極1の作製において、基板と導電性層1の間に、下記の真空蒸着法に従って、層厚が15nmの有機機能層1を形成した以外は同様にして、透明電極10を作製した。
(有機機能層1の形成)
真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、タングステン製抵抗加熱ボートに一般式(1)で表される化合物である例示化合物(1−1)を装填し、真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートに通電加熱し、抵抗加熱ボートの通電加熱条件を調整して、形成速度0.1nm/秒の条件で蒸着して、層厚が15nmの例示化合物(1−1)から構成される有機機能層1を形成した。
〔透明電極11〜15の作製〕
上記透明電極10の作製において、有機機能層の形成材料を、例示化合物(1−1)に代えて、表1に記載の各例示化合物に変更した以外は同様にして、真空蒸着法により層厚が15nmの光学調整層2〜6を形成して、透明電極11〜15を作製した。
〔透明電極16の作製〕
上記透明電極10の作製において、有機機能層の形成方法を、下記の共蒸着法により層厚が15nmの有機機能層7を形成した以外は同様にして、透明電極16を作製した。
(有機機能層7の形成)
真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、タングステン製抵抗加熱ボートを2基配置し、一方のタングステン製抵抗加熱ボートには、一般式(1)で表される化合物である例示化合物(1−1)を装填し、他方のタングステン製抵抗加熱ボートには、一般式(2)で表される化合物である例示化合物(2−2)を装填した。
次いで、真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、それぞれの抵抗加熱ボートを独立に通電加熱した。この時、蒸着速度が、例示化合物(1−1):例示化合物(2−2)=15:100となるように、抵抗加熱ボートの通電加熱条件を調整し、層厚が15nmの有機機能層7を形成した。
〔透明電極17〜20の作製〕
上記透明電極16の作製において、有機機能層の形成材料を、表1に記載の組み合わせに変更した以外は同様にして、共真空蒸着法により層厚が15nmの有機機能層8〜11を形成して、透明電極17〜20を作製した。
〔透明電極21及び22の作製〕
上記透明電極16の作製において、基板を、ガラスから、それぞれPET及びPENに変更した以外は同様にして、透明電極21及び22を作製した。
〔透明電極23及び24の作製〕
上記透明電極19の作製において、基板を、ガラスから、それぞれPET及びPENに変更した以外は同様にして、透明電極23及び24を作製した。
〔透明電極25〜39の作製〕
上記透明電極16の作製において、有機機能層の形成材料を、表1及び表2に記載の組み合わせに変更した以外は同様にして、共真空蒸着法により層厚が15nmの有機機能層14〜28を形成して、透明電極25〜39を作製した。
〔透明電極40〜45の作製〕
前記透明電極4〜9の作製において、それぞれ光学調整層1〜6と、導電性層1との間に、前記有機機能層7を設けた以外は同様にして、透明電極40〜45を作製した。
〔透明電極46〜51の作製〕
前記透明電極4〜9の作製において、それぞれ光学調整層1〜6と、導電性層1との間に、前記有機機能層10を設けた以外は同様にして、透明電極46〜51を作製した。
〔透明電極52の作製〕
前記透明電極41の作製において、導電性層1に代えて、下記導電性層2を形成した以外は同様にして、透明電極52を作製した。
(導電性層2の形成)
真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、タングステン製抵抗加熱ボートを2基配置し、一方のタングステン製抵抗加熱ボートには、Agを装填し、他方のタングステン製抵抗加熱ボートには、Pdを装填した。
次いで、真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、それぞれの抵抗加熱ボートを独立に通電加熱した。この時、蒸着速度が、Ag:Pd=90:10となるように、抵抗加熱ボートの通電加熱条件を調整し、層厚が10nmの導電性層2を形成した。
〔透明電極53の作製〕
前記透明電極41の作製において、導電性層1に代えて、下記導電性層3を形成した以外は同様にして、透明電極53を作製した。
(導電性層3の形成)
真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、タングステン製抵抗加熱ボートを2基配置し、一方のタングステン製抵抗加熱ボートには、Agを装填し、他方のタングステン製抵抗加熱ボートには、Auを装填した。
次いで、真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、それぞれの抵抗加熱ボートを独立に通電加熱した。この時、蒸着速度が、Ag:Au=90:10となるように、抵抗加熱ボートの通電加熱条件を調整し、層厚が10nmの導電性層3を形成した。
〔透明電極54の作製〕
前記透明電極41の作製において、導電性層1に代えて、下記導電性層4を形成した以外は同様にして、透明電極54を作製した。
(導電性層4の形成)
真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、タングステン製抵抗加熱ボートを2基配置し、一方のタングステン製抵抗加熱ボートには、Agを装填し、他方のタングステン製抵抗加熱ボートには、Cuを装填した。
次いで、真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、それぞれの抵抗加熱ボートを独立に通電加熱した。この時、蒸着速度が、Ag:Cu=90:10となるように、抵抗加熱ボートの通電加熱条件を調整し、層厚が10nmの導電性層4を形成した。
〔透明電極55〜59の作製〕
前記透明電極41の作製において、導電性層の形成において、例示化合物(1−1)と例示化合物(2−2)との構成比率を、表2に記載の比率に変更した以外は同様にして、透明電極55〜59を作製した。
《透明電極の評価》
〔透過率の測定〕
上記作製した各透明電極について、分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製 U−3300)を用い、各透明電極の基板をリファレンスとして、測定光波長550nmにおける光透過率(%)を測定した。
〔面抵抗値の測定〕
上記作製した各透明電極について、抵抗率計(三菱化学アナリテック社製MCP−T610)を用い、4探針法定電流印加方式で、面抵抗値(Ω/□)を測定した。
上記により得られた結果を、表1及び表2に示す。
Figure 2016136397
Figure 2016136397
表1及び表2に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する構成からなる透明電極は、比較例に対し、光透過性と抵抗特性がいずれも優れた特性を有し、両立を果たしていることが分かる。
実施例2
《有機ELデバイスの作製》
〔有機ELデバイス1の作製〕
実施例1で作製した透明電極1をアノードとして用い、下記の方法に従って、有機ELデバイス1を作製した。
実施例1で作製した透明電極1を、市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、透明電極10の形成面側に蒸着マスクを対向配置した。また、真空蒸着装置内の加熱ボートの各々に、有機発光層ユニット(3)を構成する各材料を、それぞれの層の成膜に最適な量で充填した。なお、加熱ボートは、タングステン製抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
次いで、真空蒸着装置の蒸着室内を真空度4×10−4Paまで減圧し、各材料が入った加熱ボートを順次通電して加熱することにより、以下のように各層を成膜した。
まず、正孔輸送注入材料としてα−NPD(4,4′−Bis[phenyl(1−naphthyl)amino]−1,1′−biphenyl)が入った加熱ボートに通電して加熱し、α−NPDよりなる正孔注入層と正孔輸送層とを兼ねた正孔輸送注入層を、透明電極1を構成する導電性層(12)上に成膜した。この際、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒、層厚20nmとした。
次いで、ホスト材料H4の入った加熱ボートと、リン光発光ドーパントIr−4の入った加熱ボートとを、それぞれ独立に通電し、ホスト材料H4とリン光発光ドーパントIr−4を含有する発光層(3c)を、正孔輸送注入層上に成膜した。この際、蒸着速度がホスト材料H4:リン光発光ドーパントIr−4=100:6となるように、加熱ボートの通電を調節した。また、層厚は30nmとした。
次いで、正孔阻止材料としてBAlq([Bis(2−methyl−8−quinolinolate)−4−(phenylphenolato)aluminium])が入った加熱ボートに通電して加熱し、BAlqよりなる正孔阻止層を、発光層(3c)上に成膜した。この際、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒、層厚10nmとした。
その後、電子輸送材料として下記に示すET−6の入った加熱ボートと、フッ化カリウムの入った加熱ボートとを、それぞれ独立に通電し、ET−6とフッ化カリウムを含有する電子輸送層(3d)を、正孔阻止層上に成膜した。この際、蒸着速度がET−6:フッ化カリウム=75:25になるように、加熱ボートの通電を調節した。また、層厚30nmとした。
Figure 2016136397
次に、電子注入材料としてフッ化カリウムの入った加熱ボートに通電して加熱し、フッ化カリウムよりなる電子注入層(3e)を、電子輸送層(3d)上に成膜した。この際、蒸着速度0.01〜0.02nm/秒、層厚1nmとした。
その後、電子注入層(3e)まで成膜した透明基板1を、真空蒸着装置の蒸着室から、対向電極材料としてITOのターゲットが取り付けられたスパッタ装置の処理室内に、真空状態を保持したまま移送した。次いで、処理室内において、成膜速度0.3〜0.5nm/秒で、膜厚150nmのITOからなる光透過性の対向電極(5a)をカソードとして成膜した。以上により、透明基板(13)上に有機EL素子(100)を形成した。
その後、有機EL素子を、厚さ300μmのガラス基板からなる封止材(17)で覆い、有機EL素子(100)を囲む状態で、封止材(17)と透明基板(13)との間に接着剤(19、シール材)を充填した。接着剤(19)としては、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を用いた。封止材(17)と透明基板(13)との間に充填した接着剤(19)に対して、ガラス基板(封止材17)側からUV光を照射し、接着剤(19)を硬化させて有機EL素子(100)を封止した。
以上のようにして、透明基板(13)上に有機EL素子(100)を設け、これを封止材(17)と接着剤(19)とで封止した有機ELパネル1を作製した。
〔有機ELデバイス2〜59の作製〕
上記有機ELデバイス1の作製において、透明電極1に代えて、実施例1で作製した透明電極2〜59を用いた以外は同様にして、有機ELデバイス2〜59を作製した。
《有機ELデバイスの評価》
上記作製した有機ELデバイスについて、下記の方法に従って、駆動電圧の測定及び白変化の測定を行った。
〔駆動電圧の測定〕
駆動電圧の測定は、各有機ELデバイスの透明基板(13)側での正面輝度が1000cd/mとなるときの電圧(V)を駆動電圧(V)として測定した。なお、輝度の測定には、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタ社製)を用いた。得られた駆動電圧(V)の数値が小さいほど、好ましい結果であることを表す。
〔色変化の測定〕
色変化の測定は、各有機ELデバイスの有機EL素子(100)に2.5mA/cmの電流を加え、角度の異なる位置からCIE1931表色系における色度を測定した。この際、透明基板(13)側の発光面に対する法線方向となる0°の位置と、垂直水平(上下左右)方向にそれぞれ45°の各位置とで色度を測定した。角度の異なる位置において測定した色度の差を、色変化(Δxy)として求めた。色変化は、色度の視野角特性を表し、数値が小さいほど好ましい結果となる。
以上により得られた結果を、表3及び表4に示す。
Figure 2016136397
Figure 2016136397
表3及び表4に記載の結果より明らかなように、本発明の透明電極を具備した本発明の有機ELデバイスは、比較例に対し、低電圧で駆動が可能で、かつ色変化が小さいことが分かる。
本発明の透明電極は、優れた光透過性と高い導電性とを兼ね備え、低駆動電圧で、色変化安定性に優れた電子デバイスの他に、家庭用照明や車内照明等の照明装置、時計や液晶用のバックライト、看板広告用照明、信号機の光源、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等の用途に有効に用いることができる。
3 有機発光層ユニット
3a 正孔注入層
3b 正孔輸送層
3c 発光層
3d 電子輸送層
3e 電子注入層
5a 対向電極
10 透明電極
11 有機機能層
12 導電性層
13 基板(透明基板)
14、14A、14B 光学調整層
13a 光取り出し面
15 補助電極
17 封止材
19 接着剤
100、200 有機EL素子
h 発光光

Claims (6)

  1. 基板上に、少なくとも銀を主成分とする導電性層を有する透明電極であって、
    前記基板と前記導電性層の間に、少なくとも下記一般式(1)で表される構造を有する第1の有機化合物と、当該第1の有機化合物とは構造の異なる第2の有機化合物とを含有する有機機能層を有することを特徴とする透明電極。
    Figure 2016136397
    〔式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基(−SO)、スルフィニル基(−SOR)、スルホンアミド基(−SONR)、スルホナート基(−SO)、トリフルオロメチル基、エステル基(−COOR)、アミド基(−CONHR又は−CONR)、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、芳香族炭化水素環基、アリールアミノ基、非芳香族複素環基、芳香族複素環基又はアラルキルアミノ基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜60のアルキル基、アリール基又は5〜7員の複素環基を表す。〕
  2. 前記有機機能層が含有する前記第2の有機化合物が、下記一般式(2)又は一般式(3)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の透明電極。
    Figure 2016136397
    〔式中、E101〜E108は、各々C(R12)又は窒素原子を表し、E101〜E108のうち少なくとも一つは窒素原子である。また、R11及びR12は、各々水素原子又は置換基を表す。〕
    Figure 2016136397
    〔式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。Lは、窒素原子と結合している芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表す。〕
  3. 前記第1の有機化合物が、前記一般式(1)におけるR〜Rが全てシアノ基である化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の透明電極。
  4. 前記基板と前記有機機能層との間に、金属酸化物又は金属硫化物を含む光学調整層を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の透明電極。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の透明電極を具備していることを特徴とする電子デバイス。
  6. 有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項5に記載の電子デバイス。
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