JP2014103108A - 透明電極、電子デバイス及び有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電性層1bと、導電性層1bに隣接して設けられる中間層1aと、を備える透明電極1であって、透明電極1は、波長550nmでの光透過率が50%以上で、かつ、シート抵抗値が20Ω/□以下であり、中間層1aは、分子内に銀と共有結合し得る共有結合部位と、銀と配位結合し得る配位結合部位の両方を有する有機化合物を含有し、導電性層1bは、銀を主成分として含有している。
【選択図】図1
Description
しかしながら、銀とMgの合金を用いて薄膜を構成する技術にあっては、得られる薄膜の抵抗値が100Ω/□程度と不十分であり、しかもMgが酸化されやすいため経時劣化が著しいという問題があった。また、ZnやSnを原料として薄膜を構成する技術にあっては、十分な抵抗値が得られない、Znを含有したZnO系の薄膜は水と反応して性能が変動しやすい、Snを含有したSnO2系の薄膜はエッチングが困難である、等の問題があった。
しかしながら、上記特許文献5の場合、銀からなる蒸着膜の膜厚が厚いため、光透過性(透明度)が低いという問題があった。一方で、銀からなる蒸着膜の膜厚をさらに薄くした場合、充分な導電膜が形成されないためにシート抵抗値が高くなり、またマイグレーションしやすいために、高温・高湿保存下において、シート抵抗値変化が大きくなってしまい、電極特性を維持することができない。このような電極を使用したOLEDは、駆動電圧が高く、定電流下での電圧変化が大きくなってしまうという問題があった。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
前記透明電極は、波長550nmでの光透過率が50%以上で、かつ、シート抵抗値が20Ω/□以下であり、
前記中間層は、分子内に銀と共有結合し得る共有結合部位と、銀と配位結合し得る配位結合部位の両方を有する有機化合物を含有し、
前記導電性層は、銀を主成分として含有していることを特徴とする透明電極。
一般式(1):−S−H
一般式(2):−S−S−R
〔上記一般式(2)において、Rは置換基を表す。〕
前記導電性層を前記中間層及び前記第2の中間層で挟持した構成であることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の透明電極。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
すなわち、本発明の透明電極は、中間層の上部に、銀を主成分として含有している導電性層が設けられており、かつ、当該中間層には、銀原子と親和性のある原子を有する化合物である「分子内に、銀と共有結合し得る共有結合部位(以下、単に共有結合部位という)と、銀と配位結合し得る配位結合部位(以下、単に配位結合部位という)の両方を備えた有機化合物」が含有されているという構成である。
これにより、中間層の上部に導電性層を形成する際には、導電性層を構成する銀原子が、中間層に含有されている「前記共有結合部位と前記配位結合部位の両方を備えた有機化合物」と相互作用し、当該中間層表面上での銀原子の拡散距離が減少し、特異箇所での銀の凝集が抑えられる。
すなわち、銀原子は、まず銀原子と親和性のある「前記共有結合部位と前記配位結合部位の両方を備えた有機化合物」を含有する中間層表面上で2次元的な核を形成し、それを中心に2次元の単結晶層を形成するという単層成長型(Frank−van der Merwe:FM型)の成長によって形成されるようになる。
なお、一般的には、中間層表面において付着した銀原子が表面を拡散しながら結合し3次元的な核を形成し、3次元的な島状に成長するという島状成長型(Volumer−Weber:VW型)での成長により島状に形成しやすいと考えられるが、本発明では、中間層に含有されている「前記共有結合部位と前記配位結合部位の両方を備えた有機化合物」により、このような様式の島状成長が抑制され、単層成長が促進されると推察される。
したがって、薄い層厚でありながらも、均一な厚さの導電性層が得られるようになる。この結果、より薄い層厚として光透過率を保ちつつも、シート抵抗値が低く、かつ、高温・高湿保存下でのシート抵抗値変化を抑制することのできる透明電極とすることができる。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記配位結合部位が、芳香族複素環に含まれる窒素原子であって、芳香族性に関与しない窒素原子であることが、光透過性の向上、シート抵抗値の低減及び高温・高湿保存下における長寿命化の点から好ましい。
一般式(1):−S−H
一般式(2):−S−S−R
〔上記一般式(2)において、Rは置換基を表す。〕
図1は、実施形態の透明電極の構成の一例を示す概略断面図である。
なお、本発明の透明電極1でいう透明とは、波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいう。また、本発明の透明電極1は、シート抵抗値が20Ω/□以下である。ここで、シート抵抗値とは、抵抗率計(三菱化学社製MCP−T610)を用い、4端子4探針法定電流印加方式によって測定した値である。
また、本願において、「導電性層の主成分」とは、導電性層を構成する成分のうち、構成比率が最も高い成分をいう。本発明に係る導電性層は、銀を主成分とし、その構成比率は、60質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは98質量%以上である。
本発明の透明電極1が形成される基材11は、例えば、ガラス、プラスチック等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、基材11は、透明であっても不透明であってもよい。本発明の透明電極1が、基材11側から光を取り出す電子デバイスに用いられる場合には、基材11は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な基材11としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。
また、さらには、JIS−K−7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m2・24時間・atm)以下、水蒸気透過度が1×10−5g/(m2・24時間)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
さらに、当該バリア性フィルムの脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層(有機層)の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
中間層1aは、分子内に銀と共有結合し得る共有結合部位と、銀と配位結合し得る配位結合部位の両方を備えた有機化合物が含有されて構成されている層である。
このような中間層1aが基材11上に形成されたものである場合、その形成方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法(エレクトロンビーム法)など)、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスを用いる方法などが挙げられる。中でも蒸着法が好ましく適用される。
厚さが100nmより薄いと層の吸収成分が少なくなり、透明電極の透過率が向上するため好ましい。また、厚さが5nmより厚いと均一で連続的な中間層が形成されるため好ましい。
本発明の透明電極1において、中間層1aには、分子内に前記共有結合部位と前記配位結合部位の両方を備えた有機化合物が含有されている。
前記配位結合部位が、芳香族複素環に含まれる窒素原子であって、芳香族性に関与しない窒素原子であることが好ましい。
以下、詳細に説明する。
したがって、例えば、アミノ基(−NR1R2)、アミド基(−C(=O)NR1R2−)、ニトロ基(−NO2)、シアノ基(−CN)、ジアゾ基(−N=N−)、アジド基(−N3)、ウレア結合(−NR1C=ONR2−)、イソチオシアネート基(−N=C=S)、チオアミド基(−C(=S)NR1R2)などが挙げられ、これらは本発明の「芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子」に該当する。
窒素原子は芳香環を構成することのできるヘテロ原子として一般的であり、芳香族性の発現に寄与することができる。この「含窒素芳香環」としては、例えばピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、などが挙げられる。
ピリジン環の場合、六員環状に並んだ共役(共鳴)不飽和環構造において、非局在化したπ電子の数が6個であるため、4n+2(n=0又は自然数)のヒュッケル則を満たす。六員環内の窒素原子は、−CH=を置換したものであるため1個の不対電子を6π電子系に動員するのみで、非共有電子対は芳香族性発現のために必須のものとして関与していない。
したがって、ピリジン環の窒素原子は本発明の「芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子」に該当する。
ピロール環の場合、窒素原子を一つ有する五員の複素環構造であるが、やはりπ電子の数は6個であり、ヒュッケル則を満たした含窒素芳香環である。ピロール環の窒素原子は水素原子とも結合しているため、3個の電子がσ結合に利用されており、残る2個の電子、つまり非共有電子対がπ結合に利用されることで、6π電子系となっている。したがってピロール環の窒素原子は非共有電子対を有するものの、芳香族性発現のために必須のものとして利用されてしまっているため、本発明の「芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子」には該当しない。
イミダゾール環は、五員環上に二つの窒素原子を1、3位に含む複素環構造をしており、やはりπ電子数が6個の含窒素芳香環である。
窒素原子N1は、1個の不対電子のみを6π電子系に動員し、非共有電子対を芳香族性発現のために利用していないピリジン環型の窒素原子である。つまり、窒素原子N1においては、本発明の要件を満たしており、したがって、イミダゾール環の窒素原子N1は本発明の「芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子」に該当する。
一方、窒素原子N2は、非共有電子対を6π電子系に動員しているピロール環型の窒素原子である。つまり、窒素原子N2においては、本発明の要件を満たしておらず、したがって、イミダゾール環の窒素原子N2は本発明の「芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子」に該当しない。
一般式(1):−S−H
一般式(2):−S−S−R
〔上記一般式(2)において、Rは置換基を表す。〕
一般式(2)において、Rで表される置換基としては、水素原子、直鎖状の脂肪族炭化水素基、枝状の脂肪族炭化水素基、直鎖状の不飽和脂肪族炭化水素基、枝状の不飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基などが挙げられる。
一般式(2)の具体例としては、アルカンジスルフィド、アルケンジスルフィド、アルキンジスルフィド、芳香族炭化水素環ジスルフィド、芳香族複素環ジスルフィドなどが挙げられる。
以下に、本発明に係る中間層1aに含有することができる、分子内に前記共有結合部位と前記配位結合部位の両方を備えた有機化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
本発明に係る導電性層1bは、銀を主成分として含有している層であって、中間層1a上に形成された層である。このような導電性層1bの形成方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスを用いる方法などが挙げられる。中でも蒸着法が好ましく適用される。
また、導電性層1bは、中間層1a上に形成されることにより、導電性層形成後の高温アニール処理(例えば、150℃以上の加熱プロセス)等がなくても十分に導電性を有することを特徴とするが、必要に応じて、形成後に高温アニール処理等を行ったものであっても良い。
なお、銀の含有量は、50%以上であることを要し、90%以上であることが好ましい。
また、中間層1aの下部、すなわち中間層1aと基材11との間にも、必要に応じた層を設けた構成としても良い。
以上説明したように、本発明に係る透明電極1は、分子内に前記共有結合部位と前記配位結合部位の両方を有する有機化合物を用いて構成された中間層1a上に、銀を主成分として含有している導電性層1bを設けた構成である。これにより、中間層1aの上部に導電性層1bを形成する際には、導電性層1bを構成する銀原子が中間層1aを構成する分子内に前記共有結合部位と前記配位結合部位の両方を有する有機化合物と相互作用し、銀原子の中間層1a表面における拡散距離が減少し、銀の凝集の生成を抑制することができる。
したがって、上述のように、銀を主成分として含有している導電性層1bが、より薄い厚さで導電性が確保されたものとなることにより、透明電極1の光透過性の向上、シート抵抗値の低減及び高温・高湿保存下における長寿命化を図ることが可能になるのである。
この第2の中間層1cとしては、第1の中間層1aと同様の、非共有電子対を有する硫黄原子を含む有機化合物を用いて構成された層である。このように第1の中間層1a及び第2の中間層1cで導電性層1bを挟み込む構造とすることによって、導電性層1bを構成する銀原子が第1の中間層1a及び第2の中間層1cを構成する「分子内に前記共有結合部位と前記配位結合部位の両方を備えた有機化合物」と相互作用し、銀原子の第1の中間層1a及び第2の中間層1c表面における拡散距離が減少し、銀の凝集の生成をより確実に抑制することができる。その結果、十分な導電性が確保され、光透過性の向上、シート抵抗値の低減及び高温・高湿保存下における長寿命化を図ることのできる透明電極とすることができる。
上記構成かるなる本発明の透明電極1は、各種電子デバイスに用いることができる。電子デバイスの例としては、有機EL素子、LED(light Emitting Diode)、液晶素子、太陽電池、タッチパネル等が挙げられ、これらの電子デバイスにおいて、光透過性を必要とされる電極部材として、本発明の透明電極1を用いることができる。
〔有機EL素子100の構成〕
図3は、本発明の電子デバイスの一例として、本発明の透明電極1を具備した有機EL素子の第1例を示す断面構成図である。以下、図2に基づいて有機EL素子の構成を説明する。
正孔注入層3a及び正孔輸送層3bは、正孔輸送・注入層として設けられていても良い。
電子輸送層3d及び電子注入層3eは、電子輸送・注入層として設けられていても良い。
また、これらの発光機能層3のうち、例えば、電子注入層3eは、無機材料で構成されているものとしても良い。
中間層は、正孔阻止層、電子阻止層として機能しても良い。さらに、カソードである対向電極5aも、必要に応じた積層構造であっても良い。このような構成においては、透明電極1と対向電極5aとで発光機能層3が挟持された部分のみが、有機EL素子100における発光領域となる。
この封止材17は、接着剤19を介して透明基板13側に固定されている。ただし、透明電極1及び対向電極5aの端子部分は、透明基板13上において発光機能層3によって互いに絶縁性を保った状態で封止材17から露出させた状態で設けられていることとする。
透明基板13は、先に説明した本発明の透明電極1が設けられる基材11であり、先に説明した基材11のうち、光透過性を有する透明な基材11が用いられる。
透明電極1(アノード:陽極)は、先に説明した本発明の透明電極1であり、透明基板13側から順に中間層1a及び導電性層1bを順に形成した構成である。ここでは特に、透明電極1はアノード(陽極)として機能するものであり、導電性層1bが実質的なアノードとなる。
対向電極5a(カソード:陰極)は、発光機能層3に電子を供給するカソード(陰極)として機能する電極膜であり、例えば、金属、合金、有機若しくは無機の導電性化合物、又はこれらの混合物等から構成されている。
具体的には、アルミニウム、銀、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属、ITO、ZnO、TiO2、SnO2等の酸化物半導体などが挙げられる。
本発明に用いられる発光層3cは、発光材料が含有されているが、その中でも、発光材料としてリン光発光化合物が含有されていることが好ましい。
発光層3cに含有されるホスト化合物としては、室温(25℃)におけるリン光発光のリン光量子収率が0.1未満の化合物が好ましい。さらに好ましくは、リン光量子収率が0.01未満である。また、ホスト化合物は、発光層3cに含有される化合物の中で、その層中での体積比が50%以上であることが好ましい。
ここでいうガラス転移温度(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS−K−7121に準拠した方法により求められる値である。
本発明で用いることのできる発光材料(発光ドーパント化合物、あるいはドーパント化合物)としては、リン光発光性化合物(リン光性化合物、リン光発光材料ともいう)が挙げられる。
溶液中でのリン光量子収率は、種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明においてリン光発光性化合物を用いる場合、任意の溶媒のいずれかにおいて、上記リン光量子収率として0.01以上が達成されればよい。
もう一つの方法は、リン光発光性化合物がキャリアトラップとなり、リン光発光性化合物上でキャリアの再結合が生じ、リン光発光性化合物からの発光が得られるというキャリアトラップ型である。
いずれの場合においても、リン光発光性化合物の励起状態のエネルギーは、ホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件となる。
本発明に係る発光層3cにおいては、リン光発光性化合物として、下記一般式(A)で表される化合物を含有することが好ましい。
A2は、Q−Nとともに芳香族複素環を形成する原子群を表す。
P1−L1−P2は、2座の配位子を表し、P1、P2は、各々独立に炭素原子、窒素原子又は酸素原子を表す。
L1は、P1、P2とともに2座の配位子を形成する原子群を表す。
j1は、1〜3の整数を表し、j2は、0〜2の整数を表すが、j1+j2は2又は3である。
M1は、元素周期表における8〜10族の遷移金属元素を表す。
L1は、P1、P2とともに2座の配位子を形成する原子群を表す。
上記説明した一般式(A)で表される化合物の中でも、下記一般式(B)で表される化合物であることが、さらに好ましい。
A3は、−C(R01)=C(R02)−、−N=C(R02)−、−C(R01)=N−又は−N=N−を表し、R01、R02は、各々水素原子又は置換基を表す。
P1−L1−P2は、2座の配位子を表し、P1、P2は、各々独立に炭素原子、窒素原子、又は酸素原子を表す。
L1は、P1、P2とともに2座の配位子を形成する原子群を表す。
j1は、1〜3の整数を表し、j2は、0〜2の整数を表すが、j1+j2は、2又は3である。
M1は、元素周期表における8〜10族の遷移金属元素を表す。
非芳香族複素環基としては、例えば、エポキシ環、アジリジン環、チイラン環、オキセタン環、アゼチジン環、チエタン環、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環、ピロリジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、オキサゾリジン環、テトラヒドロチオフェン環、スルホラン環、チアゾリジン環、ε−カプロラクトン環、ε−カプロラクタム環、ピペリジン環、ヘキサヒドロピリダジン環、ヘキサヒドロピリミジン環、ピペラジン環、モルホリン環、テトラヒドロピラン環、1,3−ジオキサン環、1,4−ジオキサン環、トリオキサン環、テトラヒドロチオピラン環、チオモルホリン環、チオモルホリン−1,1−ジオキシド環、ピラノース環、ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン環等から導出される基を挙げられる。
本発明においては、上記一般式(B)で表される化合物の好ましい態様の一つとして、下記一般式(C)で表される化合物が挙げられる。
n01は、1〜4の整数を表す。
R05は、水素原子又は置換基を表し、複数のR05は、互いに結合して環を形成してもよい。n02は、1〜2の整数を表す。
R06は、水素原子又は置換基を表し、互いに結合して環を形成してもよい。
n03は、1〜4の整数を表す。
Z1は、C−Cとともに6員の芳香族炭化水素環若しくは、5員又は6員の芳香族複素環を形成するのに必要な原子群を表す。
Z2は、炭化水素環基又は複素環基を形成するのに必要な原子群を表す。
P1−L1−P2は、2座の配位子を表し、P1、P2は各々独立に炭素原子、窒素原子又は酸素原子を表す。
L1は、P1、P2とともに2座の配位子を形成する原子群を表す。
j1は、1〜3の整数を表し、j2は、0〜2の整数を表すが、j1+j2は、2又は3である。
M1は、元素周期表における8〜10族の遷移金属元素を表す。
R03とR06、R04とR06及びR05とR06は、互いに結合して環を形成していてもよい。
非芳香族炭化水素環基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらの基は、無置換でも良いし、置換基を有していても良く、そのような置換基としては、一般式(A)においてA1で表される環が有していても良い置換基と同様のものが挙げられる。
非芳香族複素環基としては、例えば、エポキシ環、アジリジン環、チイラン環、オキセタン環、アゼチジン環、チエタン環、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環、ピロリジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、オキサゾリジン環、テトラヒドロチオフェン環、スルホラン環、チアゾリジン環、ε−カプロラクトン環、ε−カプロラクタム環、ピペリジン環、ヘキサヒドロピリダジン環、ヘキサヒドロピリミジン環、ピペラジン環、モルホリン環、テトラヒドロピラン環、1,3−ジオキサン環、1,4−ジオキサン環、トリオキサン環、テトラヒドロチオピラン環、チオモルホリン環、チオモルホリン−1,1−ジオキシド環、ピラノース環、ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン環等から導出される基を挙げることができる。これらの基は無置換でも良いし、置換基を有していても良く、そのような置換基としては、一般式(A)においてA1で表される環が有していても良い置換基と同様のものが挙げられる。
蛍光発光材料としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
注入層(正孔注入層3a、電子注入層3e)とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と発光層3cの間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層3aと電子注入層3eとがある。
正孔輸送層3bは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層3a、電子阻止層も正孔輸送層3bに含まれる。正孔輸送層3bは単層又は複数層設けることができる。
正孔輸送層3bの厚さについては特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲内、好ましくは5〜200nmの範囲内である。この正孔輸送層3bは、上記材料の1種又は2種以上からなる1層構造であってもよい。
電子輸送層3dは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層3e、正孔阻止層(図示せず)も電子輸送層3dに含まれる。電子輸送層3dは単層構造又は複数層の積層構造として設けることができる。
このような材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン、アントロン誘導体及びオキサジアゾール誘導体等が挙げられる。
さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送層3dの材料として用いることができる。
さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、発光層3cの材料としても例示されるジスチリルピラジン誘導体も電子輸送層3dの材料として用いることができるし、正孔注入層3a、正孔輸送層3bと同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送層3dの材料として用いることができる。
電子輸送層3dの厚さについては特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmの範囲内である。電子輸送層3dは上記材料の1種又は2種以上からなる1層構造であってもよい。
さらに、電子輸送層3dには、カリウムやカリウム化合物などを含有させることが好ましい。カリウム化合物としては、例えば、フッ化カリウム等を用いることができる。このように電子輸送層3dのn性を高くすると、より低消費電力の有機EL素子を作製することができる。
阻止層(正孔阻止層、電子阻止層)は、上記のように有機化合物薄膜の基本構成層の他に、必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
また、後述する正孔輸送層3bの構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。
本発明に適用する正孔阻止層の厚さとしては、好ましくは3〜100nmの範囲内であり、さらに好ましくは5〜30nmの範囲内である。
補助電極15は、透明電極1の抵抗を下げる目的で設けられるものであって、透明電極1の導電性層1bに接して設けられる。補助電極15を形成する材料は、金、白金、銀、銅、アルミニウム等の抵抗が低い金属が好ましい。これらの金属は光透過性が低いため、光取り出し面13aからの発光光hの取り出しの影響のない範囲でパターン形成される。
このような補助電極15の形成方法としては、蒸着法、スパッタリング法、印刷法、インクジェット法、エアロゾルジェット法などが挙げられる。
補助電極15の線幅は、光を取り出す開口率の観点から、50μm以下であることが好ましく、補助電極15の厚さは、導電性の観点から、1μm以上であることが好ましい。
封止材17は、有機EL素子100を覆うものであって、板状(フィルム状)の封止部材であって、接着剤19によって透明基板13側に固定されるものであっても良く、封止膜であっても良い。
このような封止材17は、有機EL素子100における透明電極1及び対向電極5aの端子部分を露出させる状態で、少なくとも発光機能層3を覆う状態で設けられている。また、封止材17に電極を設け、有機EL素子100の透明電極1及び対向電極5aの端子部分と、この電極とを導通させるように構成されていても良い。
ガラス基板としては、特に、ソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。
また、ポリマー基板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。
金属基板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブデン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる1種以上の金属又は合金からなるものが挙げられる。
このような接着剤19は、具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。
さらに、封止膜の脆弱性を改良するために、これら無機材料からなる膜とともに、有機材料からなる膜を用いて積層構造としても良い。
先に例示した図ではその記載を省略したが、透明基板13との間に有機EL素子100及び封止材17を挟んで保護膜若しくは保護板を設けても良い。この保護膜若しくは保護板は、有機EL素子100を機械的に保護するためのものであり、特に封止材17が封止膜である場合には、有機EL素子100に対する機械的な保護が十分ではないため、このような保護膜若しくは保護板を設けることが好ましい。
ここでは一例として、図2に示す有機EL素子100の製造方法について説明する。
次に、銀(又は銀を主成分とした合金)からなる導電性層1bを、5〜20nmの範囲内、好ましくは5〜8nmの範囲内の層厚になるように、蒸着法等の方法を適宜選択して中間層1a上に形成し、アノードとなる透明電極1を作製する。
これらの各層の形成に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃の範囲内、真空度1×10−6〜1×10−2Paの範囲内、蒸着速度0.01〜50nm/秒の範囲内、基板温度−50〜300℃の範囲内、層厚0.1〜5μmの範囲内で、各条件を適宜選択することが望ましい。
またその後には、有機EL素子100における透明電極1及び対向電極5aの端子部分を露出させた状態で、少なくとも発光機能層3を覆う封止材17を設ける。
以上説明した有機EL素子100は、導電性と光透過性とを兼ね備えた本発明の透明電極1をアノードとして用い、この上部に発光機能層3とカソードとなる対向電極5aとを設けた構成である。このため、透明電極1と対向電極5aとの間に十分な電圧を印加して有機EL素子100での高輝度発光を実現しつつ、透明電極1側からの発光光hの取り出し効率が向上することにより、高輝度化を図ることが可能である。さらに、所望の輝度を得るため、駆動電圧の低減による発光寿命の向上を図ることも可能になる。
〔有機EL素子の構成〕
図4は、本発明の電子デバイスの一例として、上述した透明電極を用いた有機EL素子の第2例を示す断面構成図である。
図4に示す第2例の有機EL素子200が、図3に示した第1例の有機EL素子100と異なるところは、透明電極1をカソードとして用いるところにある。以下、第1例と同様の構成要素についての重複する詳細な説明は省略し、第2例の有機EL素子200の特徴的な構成について、以下に説明する。
また、対向電極5bとしてのシート抵抗値は、数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常5nm〜5μmの範囲内、好ましくは5〜200nmの範囲内で選ばれる。
以上説明した図4で示す有機EL素子200は、導電性と光透過性とを兼ね備えた本発明の透明電極1をカソードとして用い、この上部に発光機能層3とアノードとなる対向電極5bとを設けた構成である。このため、第1例と同様に、透明電極1と対向電極5bとの間に十分な電圧を印加して有機EL素子200での高輝度発光を実現しつつ、透明電極1側からの発光光hの取り出し効率が向上することによる高輝度化を図ることが可能である。さらに、所定輝度を得るための駆動電圧の低減による発光寿命の向上を図ることも可能になる。
〔有機EL素子の構成〕
図5は、本発明の電子デバイスの一例として、上述した透明電極を用いた有機EL素子の第3例を示す断面構成図である。
図5に示す第3例の有機EL素子300が、図3を用いて説明した第1例の有機EL素子100と異なるところは、基板131側に対向電極5cを設け、この上部に発光機能層3と透明電極1とをこの順に積層したところにある。以下、第1例と同様の構成要素についての重複する詳細な説明は省略し、第3例の有機EL素子300の特徴的な構成を説明する。
また、対向電極5cとしてのシート抵抗値は、数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常5nm〜5μm、好ましくは5〜200nmの範囲で選ばれる。
以上説明した第3例で示す有機EL素子300は、発光機能層3の最上部を構成する電子注入性を有する電子輸送層3dを中間層1aとし、この上部に導電性層1bを設けることにより、中間層1aとこの上部の導電性層1bとからなる透明電極1をカソードとして設けた構成である。このため、第1例及び第2例と同様に、透明電極1と対向電極5cとの間に十分な電圧を印加して有機EL素子300での高輝度発光を実現しつつ、透明電極1側からの発光光hの取り出し効率が向上することによる高輝度化を図ることが可能である。さらに、所定輝度を得るための駆動電圧の低減による発光寿命の向上を図ることも可能になる。また、対向電極5cが光透過性を有する電極材料で構成されている場合には、対向電極5cからも発光光hを取り出すことができる。
上記図を交えて説明した各構成からなる有機EL素子は、上述したように面発光体であるため、各種の発光光源として適用することができる。例えば、家庭用照明や車内照明などの照明装置、時計や液晶表示装置用のバックライト、看板広告用照明、信号機の光源、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これに限定するものではなく、特に、カラーフィルターと組み合わせた液晶表示装置のバックライト、照明用光源の用途として有効に用いることができる。
本発明に係る照明装置では、本発明の有機EL素子を具備することができる。
図6には、上記各構成の有機EL素子を複数用いて発光面を大面積化した照明装置の断面構成図を示す。
図6で示す照明装置21は、例えば、透明基板13上に有機EL素子100を設けた複数の発光パネル22を、支持基板23上に複数配列する(すなわちタイリングする)ことによって発光面を大面積化した構成である。支持基板23は、封止材を兼ねるものであっても良く、この支持基板23と、発光パネル22の透明基板13との間に有機EL素子100を挟持する状態で、各発光パネル22をタイリングする。支持基板23と透明基板13との間には接着剤19を充填し、これによって有機EL素子100を封止しても良い。
なお、発光パネル21の周囲には、アノードである透明電極1及びカソードである対向電極5aの端部を露出させておく。ただし、図面においては対向電極5aの露出部分のみを図示した。
また、図6では、有機EL素子100を構成する発光機能層3としては、透明電極1上に、正孔注入層3a/正孔輸送層3b/発光層3c/電子輸送層3d/電子注入層3eを順次積層した構成を一例として示してある。
《透明電極の作製》
以下に示す方法に従って、透明電極1〜20を、導電性領域の面積が5cm×5cmとなるように作製した。透明電極1〜4は、単層構造の透明電極として作製し、透明電極5〜20は、中間層と導電性層との積層構造からなる透明電極を作製した。
下記に示す方法に従って、単層構造からなる比較例の透明電極1を作製した。
上記透明電極1の作製において、導電性層の厚さを、それぞれ8nm、10nm及び15nmに変更した以外は同様にして、透明電極2〜4を作製した。
透明な無アルカリガラス製の基材上に、下記に構造を示すAlq3をスパッタ法により厚さ25nmの中間層として形成し、この上部に、透明電極1の作製において、導電性層の形成に用いたのと同様の方法(真空蒸着法)で、厚さが8nmの銀(Ag)からなる導電性層を蒸着形成して透明電極5を作製した。
透明な無アルカリガラス製の基材を市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、下記に示す構造のET−1をタンタル製抵抗加熱ボートに充填し、これらの基板ホルダーと加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、第2真空槽内に取り付けた。
透明電極6の作製において、中間層の形成材料の種類をET−1から下記に示す構造のET−2及びET−3にそれぞれ変更した以外は同様にして、透明電極7及び8を作製した。
上記透明電極6の作製において、中間層の形成材料の種類(上記化合物(1)〜化合物(38))及び導電性層における銀層の厚さを、それぞれ表1〜表3に記載の条件に変更した以外は同様にして、透明電極9〜49を作製した。
上記透明電極31及び32の作製において、基材の種類を無アルカリガラスからPET(ポリエチレンテレフタレート)に変更した以外は同様にして、透明電極50及び51を作製した。
透明な無アルカリガラス製の基材を市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、化合物(6)をタンタル製抵抗加熱ボートに充填し、これらの基板ホルダーと加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、第2真空槽内に取り付けた。
化合物(6)からなる中間層1aの上部に銀からなる導電性層1bを積層し、さらにこの上部に化合物(6)からなる中間層1cを積層した透明電極52を得た。
透明電極52の作製において、中間層1a、1cの形成材料を表3に記載の化合物にそれぞれ変更した以外は同様にして、透明電極53〜63を作製した。
上記作製した透明電極1〜63について、下記の方法に従って、光透過率、シート抵抗値及び高温・高湿保存性(高温・高湿保存下における電極寿命)の測定を行った。
上記作製した各透明電極について、分光光度計(日立製作所製U−3300)を用い、各透明電極の作製に用いた基材をリファレンスとして、波長550nmにおける光透過率(%)を測定した。
上記作製した各透明電極について、抵抗率計(三菱化学社製MCP−T610)を用い、4端子4探針法定電流印加方式でシート抵抗値(Ω/□)の測定を行った。
上記作製した各透明電極について、高温・高湿環境(温度60℃、湿度90%)下に保存し、経時におけるシート抵抗値を測定して絶縁するまでの時間を記録し、この値を高温・高湿保存性とした。高温・高湿保存性は、透明電極8(中間層1aの材料ET−3を使用したときのもの)を100としたときの相対値で表した。
これは、中間層を分子内に銀と共有結合部位と配位結合部位の両方を備えた有機化合物を用いて形成することにより、その上に形成する銀膜の凝集やモトルの発生を抑制することができ、ある程度の厚さを有する銀膜を形成しても、銀の凝集が抑制され、高い光透過性、シート抵抗値の低減及び高温・高湿保存下における長寿命化の両立を果たすことができた。
さらに、導電性層を2層の中間層で狭持した構成とした透明電極52〜63においても、より好ましい結果を得ることができることを確認することができた。
また、中間層としてAlq3、ET−1〜ET−3を用いた透明電極5〜8でも、光透過率が低く、かつシート抵抗値が所望の条件まで低下させることができなかった。さらに、高温・高湿保存性は100以下と低かった。
《発光パネルの作製》
〔発光パネル1の作製〕
実施例1で作製した透明電極1をアノードとして用い、図7に記載の構成(ただし、中間層1aは有していない)の両面発光型の発光パネル1を、下記の手順に従って作製した。
上記発光パネル1の作製において、透明電極1に代えて、実施例1で作製した透明電極2〜63をそれぞれ用いた以外は同様にして、発光パネル2〜63を作製した。
上記作製した発光パネル1〜63について、下記の方法に従って、光透過率及び駆動電圧の測定を行った。
上記作製した各発光パネルについて、分光光度計(日立製作所製U−3300)を用い、各透明電極の作製に用いた基材をリファレンスとして、波長550nmにおける光透過率(%)を測定した。
上記作製した各発光パネルの透明電極1側(すなわち透明基板13側)と、対向電極5a側(すなわち封止材17側)との両側での正面輝度を測定し、その和が1000cd/m2となるときの電圧を駆動電圧(V)として測定した。なお、輝度の測定には、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタ社製)を用いた。得られた駆動電圧の数値が小さいほど、好ましい結果であることを表す。
上記作製した各発光パネルの透明電極1側(すなわち透明基板13側)について、整流比を測定した。ここでは、順方向に+2.5Vの駆動電圧を印加した場合の電流値と、逆方向に−2.5V駆動電圧を印加した場合の電流値を測定し、[電流値(+2.5V)/電流値(−2.5V)]を、整流比として算出した。
これに対して、比較例の透明電極を有機EL素子のアノードに用いた発光パネル1〜8は、光透過率がいずれも48%未満であり、しかも、電圧を印加しても発光しないか、又は発光しても駆動電圧が5.0Vと高いものがあった。さらに、定電流下における整流比変化は非常に大きかった。
1a 中間層
1b 導電性層
3 発光機能層
3a 正孔注入層
3b 正孔輸送層
3c 発光層
3d 電子輸送層
3e 電子注入層
5a、5b、5c 対向電極
11 基材
13 透明基板(基材)
13a 光取り出し面
15 補助電極
17 封止剤
19 接着剤
22 発光パネル
23 支持基板
100、200、300、400 有機EL素子
131 基板
131a 光取り出し面
A 発光領域
B 非発光領域
h 発光光
Claims (7)
- 導電性層と、前記導電性層に隣接して設けられる中間層と、を備える透明電極であって、
前記透明電極は、波長550nmでの光透過率が50%以上で、かつ、シート抵抗値が20Ω/□以下であり、
前記中間層は、分子内に銀と共有結合し得る共有結合部位と、銀と配位結合し得る配位結合部位の両方を有する有機化合物を含有し、
前記導電性層は、銀を主成分として含有していることを特徴とする透明電極。 - 前記配位結合部位が、芳香族複素環に含まれる窒素原子であって、芳香族性に関与しない窒素原子であることを特徴とする請求項1に記載の透明電極。
- 前記共有結合部位が、下記一般式(1)又は下記一般式(2)で表されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の透明電極。
一般式(1):−S−H
一般式(2):−S−S−R
〔上記一般式(2)において、Rは置換基を表す。〕 - 前記分子内の前記配位結合部位の数は、前記共有結合部位の数よりも多いことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の透明電極。
- 前記導電性層に隣接し、かつ、前記中間層に対向する第2の中間層を更に有し、
前記導電性層を前記中間層及び前記第2の中間層で挟持した構成であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の透明電極。 - 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の透明電極が具備されていることを特徴とする電子デバイス。
- 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の透明電極が具備されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
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