<イベント等の入場のチェックの例>
図1は、イベント等の入場ゲートの例を示す図である。
スタジアムやホールを使い、大勢の人を集めて行われるイベントでは、一般に、ユーザは、有料の(入場)チケットを購入し、そのチケットを提示して、イベントを行うイベント会場に入場する。
図1は、紙のチケットで、入場のチェック(確認)が行われる入場ゲートの例を示している。
イベント会場の入り口には、入場ゲートが設置され、入場者としてのユーザの流れを制限しつつ、ユーザが持参する紙のチケットを1つずつ確認して、チケットの一部を切り取る作業(いわゆる「もぎり」)が行われる。
イベントを運営する団体が決まっている常設のテーマパークや、遊園地等では、入場ゲートを構成するゲート構造物が常設される。これに対して、多目的のホール等を用いるイベントでは、イベントの規模や、種類、主催団体の規模等に応じた規模の入場ゲートが、イベントごとに仮設される。例えば、図1に示すように、柵や、ロープの類いで、入場ゲートに向かう通路(レーン)が作成され、入場ゲートには、チケットの確認やパンフレットの配布に使う机が設置されるとともに、ゲート係員が配置される、そして、ゲート係員が、入場者の誘導、及び、チケットの確認を行う。
図2は、チケットのチェックの方法の例を示す図である。
図2のAは、紙のチケットのチェックの例を示している。
紙のチケットについては、ユーザが、紙のチケットを持参し、入場ゲートのゲート係員に提示する。ゲート係員は、ユーザが持参した紙のチケットを1つずつ目視で確認し、入場の証しとして半券を切り取るもぎり作業を行う。
図2のB及びCは、電子チケットのチェックの例を示している。
近年、チケットの電子化が進行し、イベントのチケットは、電子的なチケット(電子チケット)として、インターネットで購入することができる。ユーザは、イベント主催者やチケット販売代理店等のサイトで購入した電子チケット(データ化されたチケット)を、スマートフォンその他の携帯端末等に保存し、入場ゲートで、電子チケットを、ゲート係員に提示するか、又は、リーダに読み込ませるかして認証してもらう。
図2のBは、QRコード(登録商標)を利用した電子チケットの読み取りの例を示している。
QRコードを利用した電子チケットの読み取りを行う場合には、電子チケットにQRコードが付加されており、入場ゲートにおいて、携帯端末に記憶(保存)された電子チケットに付加されたQRコードが、QRコードのリーダによって読み取られる。そして、QRコードのリーダによってQRコードが読み取られた電子チケットのチェックとしての認証が行われる。
図2のCは、NFC(Near Field Communication)を利用した電子チケットの読み取りの例を示している。
NFCを利用した電子チケットの読み取りを行う場合には、携帯端末のNFCカード機能を利用して、携帯端末に記憶された電子チケットが、NFCのリーダによって読み取られる。そして、NFCのリーダによって読み取られた電子チケットのチェックとしての認証が行われる。
図3は、tixeeと呼ばれる電子チケットのチェックの方法を説明する図である。
ユーザは、オンラインで電子チケットの購入が可能な携帯端末用のアプリケーションを用いて、電子チケットを購入して保存する。
電子チケットのチェックは、図2で説明したように、QRコードのリーダやNFCのリーダを用いて行うことができるが、tixeeでは、ユーザは、所定のアプリケーションを用いて、携帯端末のディスプレイに、電子チケットを表示させ、携帯端末を、入場ゲートのゲート係員に渡す。ゲート係員は、携帯端末に表示された電子チケットを確認し、その電子チケットの半券を仮想的に切り取るもぎり作業を行う。
図3のAは、携帯端末での、電子チケットの表示例を示しており、図3のBは、ユーザが、電子チケットが表された携帯端末を、ゲート係員に渡す様子を示している。図3のCは、ゲート係員が、ユーザの携帯端末に表示された電子チケットを、スワイプ操作することで、その電子チケットの半券を仮想的に切り取っている様子を示している。
図4は、ColorSyncと呼ばれる電子チケットのチェックの方法を説明する図である。
ゲート係員が、ゲート係員用の携帯端末で、ColorSyncの受付画面を起動させるとともに、ユーザが、そのユーザの携帯端末で、ColorSyncのチケット画面を起動させると、ColorSync(の処理)がスタートする。
ColorSyncでは、ゲート係員の受付画面と、ユーザのチケット画面とに、色が表示される。受付画面及びチケット画面に表示される色は、1秒単位で同期しながら変化する。色の変化が一致していれば、ユーザの電子チケットは有効であり、ユーザは自動でチェックイン(受付)される。ゲート係員は、チケット画面を目視することで、電子チケットの(有効性の)確認を行うことができる。
図4のAは、受付画面及びチケット画面の色の変化が一致している様子を示しており、図4のBは、受付画面及びチケット画面の色の変化が一致していない様子を示している。図4のCは、ゲート係員が、ユーザの携帯端末に表示されたチケット画面を確認している様子、すなわち、受付画面及びチケット画面の色の変化が一致しているかどうかを確認している様子を示している。
なお、ColorSyncにおいて、ユーザのチケット画面の色が変化するには、ユーザがイベント会場でチケット画面を起動していること、及び、ゲート係員が受付画面を起動していることが必要である。また、携帯端末に、イベント会場の住所が正しく設定されていない場合や、受付画面が起動されていない場合等には、チケット画面の色は変化しない。
図5は、顔認証と組み合わせたチケットのチェックの方法を説明する図である。
例えば、テーマパークにおいて、チケットとしての年間パスを購入したユーザの初回の入場時に、そのユーザの顔画像が、認証システムに登録される。そして、2回目以降の入場時には、初回の入場時に登録された顔画像を用いた顔認証による本人確認が行われる。
図5のAは、テーマパークの入場ゲートの様子を示している。入場ゲートには、顔認証用の撮影機能付きのモニタが設置されている。
年間パスには、例えば、QRコードが付加されており、年間パスを購入したユーザは、初回の入場時に、QRコードのリーダに、年間パスのQRコードを読み取らせる。さらに、ユーザは、顔認証用の撮影機能付きのモニタに、顔を向けて、顔画像を撮影させる。
リーダで読み取られたQRコードの情報と、モニタで撮影されたユーザの顔画像とは、対応付けて、テーマパークの認証システムに登録される。
2回目以上の入場時には、初回の入場時と同様にして、モニタでユーザの顔画像が撮影される。そして、モニタで撮影された顔画像と、テーマパークの認証システムに登録された顔画像とを用いた顔認証による本人確認が行われる。
図5のBは、モニタに、顔を向けて、顔画像を撮影している様子を示しており、図5のCは、顔認証が行われているときのモニタの表示画面を示している。
ここで、イベント等の入場については、様々な要請がある。
すなわち、イベント等の入場については、第1の要請として、多人数を同時に入場させる(入場ゲートを通過させる)ことができることが要請されている。
イベントの規模はさまざまであるが、大規模なものでは、1日あたりの入場者数が数万になる大規模なイベントがある。そのような大規模なイベントでは、大勢の人が入場ゲートに殺到して大渋滞となることが多く、入場者の誘導作業は、イベント運営側の負担になっている。かかる負担を軽減するために、ボトルネックとなる入場ゲートの流量を大きくすることが要請されている。
図2、図3、及び、図5で説明したチケットのチェックの方法では、一人ずつのユーザについて、チケットの読み取りや確認の作業が必要であり、その作業を迅速に行ったとしても、一人あたりに数秒以上を要する。
図4のColorSyncでは、ゲート係員が、複数のユーザについて、チケットの確認を行うことができるので、図2、図3、及び、図5で説明したチケットのチェックの方法に比較して、チケットの確認の作業の時間を短縮することができる。しかしながら、ColorSyncでは、ゲート係員が、チケット画面の1秒ごとの色の変化を、目視で確認する必要がある。そのため、ユーザには、ある程度の時間、入場ゲートで立ち止まってもらう必要があり、図2、図3、及び、図5の場合ほどではないが、それでも、チケットの確認に、時間を要する。
また、イベント等の入場については、第2の要請として、クラスの異なるレーンが隣接している場合に混乱がないことが要請されている。
例えば、イベントによっては、例えば、一般席や特別席等の座席のクラスの違いで、チケットの価格が異なることがあり、その場合、クラスごとに入場ゲートを設置したいことがある。そして、クラスごとに入場ゲートを設置する場合には、会場の構造の都合で、異なるクラスの入場ゲートのレーンが隣接することがある。
異なるクラスの入場ゲートのレーンが隣接する場合、隣接するレーンの相互でクラスを誤ることなく、チケットのチェックを行うことが要請される。
紙のチケットを用いる場合や、レーンごとに、電子チケットのリーダを設ける場合には、ゲート係員のミスがない限り、隣接レーンの相互でクラスを誤ることはない。
しかしながら、ユーザの位置を特定し、そのユーザの位置に基づいて、ユーザが、適切なレーンに並んでいるかどうかをチェックする方法を採用する場合において、ユーザの位置の特定に、無線や、GPS(Global Positioning System)、インターネット通信等を利用するときには、ユーザが位置するレーンを識別する精度を期待することは困難である。
また、イベント等の入場については、第3の要請として、再入場の禁止や制限に対応することが要請されている。
イベントによっては、一度使われたチケットでの再入場が禁止されることがあり、チケットでの再入場を禁止することへの対応が要請されている。
電子チケットでの再入場を禁止するためには、電子チケットが、(一度)使われたチケットであるのかどうかを識別することができる認証技術が必要である。
また、チケットでの(再)入場を、複数回数であるN回までに制限することへの対応が要請されている。
例えば、紙のチケットによれば、ゲート係員が、チケットからちぎった半券を、ユーザに渡し、ユーザが、半券を、ゲート係員に返却したときに再入場を許可することで、再入場に対応することができる。但し、半券の返却によって、再入場を許可するのでは、再入場の回数を制限することは困難である。
また、電子チケットを、リーダで読み込んで、電子チケットのチェックを行う方法では、ユーザが、入場ゲートを通過したことを、電子チケットの読み込み時に、管理サーバに蓄積しておくことで、電子チケットを、再度、リーダで読み込んだときに、再入場であるかどうかを判定することができる。
図4のColorSyncにおいて、例えば、ゲート係員の受付画面と、ユーザのチケット画面との色の変化が一致しているかどうかの電子チケットの認証の結果を、管理サーバに蓄積する場合には、その管理サーバに蓄積した認証の結果を用いて、再入場であるかどうかを判定することができる。
但し、この場合、イベント会場において、ゲート係員の受付画面と、ユーザのチケット画面とが起動されていれば、電子チケットの認証が行われ、ユーザが、実際に入場ゲートを通過したかどうかに関わらず、認証の結果が、管理サーバに蓄積される。したがって、認証が行われたことと、電子チケットの認証が行われたこととは、厳密には関連しない。
イベント等の入場については、第4の要請として、チケットの使い回しの禁止に対応することが要請されている。
イベントによっては、再入場は許可するが、チケットの使い回しは禁止したいことがある。チケットの使い回しを禁止するには、チケットを使用するユーザが同一人物であるかどうかを識別する必要がある。
紙のチケットや、単にQRコードで電子チケットの正当性をチェックする方法では、チケットを使用するユーザが同一人物であるかどうかを識別することが困難である。
図5で説明した、顔認証と組み合わせたチケットのチェックの方法は、チケットの使い回しを禁止することができ、テーマパークの年間パスに実用されている。
イベント等の入場については、第5の要請として、入場ゲートの設置コストか安価で、仮設が可能であることが要請される。
イベントは、汎用のホールやスタジアムのような施設で開催されることがある。かかる施設には、テーマパークや遊園地等のような入場ゲートは常設されていないため、イベントごとに、そのイベント限りの仮設の入場ゲートを設置する必要がある。
そのため、入場ゲートは、できるだけ高額でない汎用の機材を用いて簡易に組み立てと撤去とが可能であることが望まれる。
例えば、図5で説明した、顔認証と組み合わせたチケットのチェックの方法には、入場ゲートごとに、顔認証用の専用のモニタが必要であるとともに、そのモニタを管理するサーバ等が必要であり、入場ゲートが常設のテーマパークでは適用可能であるが、仮設の入場ゲートへの適用は困難である。
以下、第1ないし第5の要請のうちの1以上の要請に応える入場ゲートシステムについて説明する。
<本技術を適用した入場ゲートシステムの第1実施の形態>
図6は、本技術を適用した入場ゲートシステムの第1実施の形態の構成例を示す図である。
図6の入場ゲートシステムでは、同一構成の3個の入場ゲート11が並列に設置され、さらに、柵が設置されることにより、第1レーン、第2レーン、及び、第3レーンの3レーンが構成されている。レーンは、電子チケットのクラス(特別席や一般席等)で分けることもできるし、すべて同一クラスのレーンとすることもできる。
入場ゲート11は、2本の支柱11Aと、その2本の支柱11Aの上端部分に取り付けられた梁11Bとで構成され、門の構造になっている。また、入場ゲート11の幅は、複数のユーザが、同時に、入場ゲート11を通過することができる幅になっている。
図6では、入場ゲート11に向かって、入場者としてのユーザが、レーンごとに列をなしている。
入場ゲート11の梁11Bには、ゲート表示装置20が設置されている。ゲート表示装置20は、種々の画像を表示する表示部21を有し、その表示部21が、入場ゲート11に並ぶユーザからよく見えるように、入場ゲート11に設置されている。表示部21は、例えば、液晶ディスプレイ等で構成される。
ここで、図6では、上述のように、入場ゲート11は、門の構造になっているが、入場ゲート11の構造は、ゲート表示装置20の表示部21を、ユーザからよく見えるように、ゲート表示装置20を設置することができる構造であれば、門の構造である必要はない。
入場ゲート11には、1個の入場ゲート11ごとに、1人のゲート係員が配置されている。後述するように、ユーザは、電子チケットを記憶した携帯端末30(図7)を所持し、携帯端末30を掲げるようにして、入場ゲート11を通過する(入場する)が、ゲート係員は、ユーザが掲げる携帯端末30がよく見える位置に立っている。
図7は、ユーザが所持する携帯端末30の構成例を示す平面図である。
携帯端末30は、例えば、スマートフォンやタブレット等であり、正面の広い範囲に、操作入力と、画像の表示とが可能なタッチパネル31が設けられている。さらに、携帯端末30のタッチパネル31と同一の面には、カメラ32が設けられている。
<チケット認証の手順の例>
図8は、図6の入場ゲートシステムでのチケット認証の手順の例を説明する図である。
ユーザは、電子チケットのチケット認証を行うためのチケットアプリケーションをダウンロードし、携帯端末30にインストールしておく。また、ユーザは、電子チケットを、インターネット等のサイトから購入し、携帯端末30に保存しておく(記憶させておく)。
そして、ユーザは、電子チケットを保存した携帯端末30を携行して、電子チケットのクラスに対するレーン等の適切なレーンに並び、入場ゲート11に近づいたら、携帯端末30のチケットアプリケーションを起動する。
チケットアプリケーションでは、携帯端末30に保存されている電子チケットの一覧が、携帯端末30のタッチパネル31に表示される。ユーザは、タッチパネル31に表示されたチケットの一覧から、適切な電子チケット、すなわち、入場ゲート11に並んでいるイベントのチケットを、タッチパネル31を操作することにより選択する。
ユーザが電子チケットを選択すると、タッチパネル31には、認証待ちの画像(認証待ち画像)が表示される。ここで、以下、ユーザが選択した電子チケットを、注目チケットともいう。
タッチパネル31に認証待ち画像が表示されると、チケットアプリケーションは、カメラ32を起動する。
カメラ32が起動された後、ステップS1として、ユーザは、カメラ32を、ユーザが並んでいるレーンの入場ゲート11に設置されたゲート表示装置20(の表示部21)に向けて、入場ゲート11に向かって歩いて行く。
このとき、ステップS2として、携帯端末30のカメラ32では、ゲート表示装置20の表示部21に表示された画像が撮影される。
ゲート表示装置20では、電子チケットでの入場の可否の判定に用いられるID(Identification)情報を所定の画像に重畳した重畳画像が、表示部21に表示されている。
ここで、ID情報は、所定の画像に、人の視覚では知覚できない時間的輝度変化として重畳されている。
また、図8では、入場ゲート11の情報をユーザに分かりやすく伝えるための所定のテキストとしての、入場ゲート11を識別する文字列「入場ゲート S−5」、及び、携帯端末30のカメラ32を、ゲート表示装置20に向けるように促すメッセージ「チケットを向けてください」が、無模様一色の背景画像に表示された画像が、ID情報を重畳する所定の画像として採用されている。
ゲート表示装置20は、以上のように、重畳画像を、表示部21に表示して、ユーザに提供するので、重畳画像を提供する提供装置として機能する。
携帯端末30のチケットアプリケーションは、カメラ32で、ゲート表示装置20の表示部21に表示された重畳画像を撮影した撮影画像から、ID情報を抽出する。
さらに、チケットアプリケーションは、注目チケットと、ID情報とを用いて、注目チケットの認証を行うことにより、その注目チケットでの入場の可否を判定する入場可否判定を行う。
そして、チケットアプリケーションは、入場可否判定の判定結果を表す結果画像を、携帯端末30のタッチパネル31に表示する。
結果画像としては、入場を許可することを表すOK画像と、入場を許可しないことを表すNG画像とがある。
ID情報と注目チケットとが合致する場合、入場可否判定において、入場を許可する旨の判定が行われ、タッチパネル31に、OK画像が表示される。
一方、ID情報と注目チケットとが合致しない場合、入場可否判定において、入場を許可しない旨の判定が行われ、タッチパネル31に、NG画像が表示される。
ステップS3として、ユーザは、結果画像としてのOK画像又はNG画像がタッチパネル31に表示された携帯端末30を掲げたまま、入場ゲート11に向かって歩き、その結果画像を、ゲート係員に提示する。
図7に示したように、携帯端末30において、結果画像が表示されるタッチパネル31と、ゲート表示装置20の表示部21に表示された重畳画像を撮影するカメラ32とは、同一の面に設けられている。したがって、ユーザは、重畳画像を撮影した携帯端末30を持ち替えることなく、タッチパネル31に表示された結果画像を、入場ゲート11に配置されたゲート係員に提示することができる。
以上のように、ユーザは、結果画像を、ゲート係員に提示することで、注目チケットの認証の結果、ひいては、入場の可否を、ゲート係員に確認してもらう。
ゲート係員は、結果画像を確認し、結果画像がOK画像である場合、入場ゲート11を通過しようとして歩いてくるユーザを、そのまま通過させる。
また、結果画像が、OK画像以外のNG画像等である場合、ゲート係員は、ユーザを、一旦引き留めて、適切な誘導を行う。
入場ゲート11を通過したユーザについては、携帯端末30において、重畳画像の撮影、ひいては、その重畳画像に重畳されているID情報の抽出を行うことができなくなる。
チケットアプリケーションは、結果画像を表示した後、ID情報を抽出することができなくなった場合、ID情報を抽出することができなくなってから、所定の時間が経過した後に、タッチパネル31に表示された結果画像を消去する。
ユーザは、ステップS4として、入場ゲート11を通過した後に、チケットアプリケーションを終了させる。
図9は、認証待ち画像、及び、結果画像の表示例を示す図である。
図9のAは、認証待ち画像の例を示す図である。
認証待ち画像は、例えば、上述したように、ユーザが注目チケットとしての電子チケットを選択すると、タッチパネル31に表示される。
図9のBは、OK画像の例を示す図であり、図9のCは、NG画像の例を示す図である。
上述したように、OK画像は、撮影画像から抽出されたID情報と注目チケットとが合致する場合(認証が成功した場合)に表示され、NG画像は、ID情報と注目チケットとが合致しない場合(認証に失敗した場合)に表示される。
なお、認証待ち画像や結果画像としては、静止画や動画(アニメーション)、テキスト等の任意の画像を採用することができる。
<ゲート表示装置20のハードウェアの構成例>
図10は、ゲート表示装置20のハードウェアの構成例を示すブロック図である。
ゲート表示装置20は、例えば、コンピュータと同様に構成される。
すなわち、ゲート表示装置20は、例えば、表示部21、CPU(Central Processing Unit)41、メモリ42、ハードディスク43、通信部44、外部I/F(Interface)45、操作部46、及び、スピーカ47が、バスを介して相互に接続されて構成される。
CPU41は、ハードディスク43にインストールされたプログラムを実行することにより、ゲート表示装置20を構成する各ブロックの制御、その他各種の処理を行う。
メモリ42は、例えば、RAM(Random Access Memory)であり、CPU41の動作上必要なデータ(プログラムを含む)を一時記憶する。
ハードディスク43は、CPU41が実行するプログラムや、必要なデータを記憶する。
なお、ハードディスク43には、少なくとも、ゲートアプリケーション(プログラム)がインストールされている。CPU41が、ハードディスク43にインストールされたゲートアプリケーションを実行することで、ゲート表示装置20としてのコンピュータは、ゲート表示装置20として機能する。
通信部44は、インターネット等のネットワークとの間の無線又は有線による通信を制御する。
外部I/F45は、図示せぬ外部機器や、メモリカード等のリムーバブルメディア45Aとの間のインターフェースとして機能する。
操作部46は、ゲート表示装置20を管理するオペレータ等によって操作され、その操作に対応する操作信号を、バス上に出力する。
スピーカ47は、バスから供給される音響データに対応する音響を出力する。
以上のように構成されるゲート表示装置20は、CPU41が、ハードディスク43にインストールされたゲートアプリケーションを実行することで、ゲート表示装置20として機能する。
ゲートアプリケーションは、ハードディスク43にあらかじめインストールしておく他、リムーバブルメディア45Aに格納(記録)し、そのリムーバブルメディア45Aから、外部I/F45を介して、ゲート表示装置20にインストールすることができる。
また、ゲートアプリケーションは、通信網や放送網から、通信部44を介してダウンロードし、ゲート表示装置20にインストールすることができる。
ゲートアプリケーションのアップデートも、ゲートアプリケーションのインストールと同様に行うことができる。
<携帯端末30のハードウェアの構成例>
図11は、携帯端末30のハードウェアの構成例を示すブロック図である。
携帯端末30は、例えば、コンピュータと同様に構成される。
すなわち、携帯端末30は、例えば、カメラ32及び33、CPU51、メモリ52、ストレージ53、通信部54、外部I/F55、マイク56、スピーカ57、並びに、タッチパネル31としての表示部58及び位置検出機構59が、バスを介して相互に接続されて構成される。
カメラ32及び33は、画像を撮影し、その撮影によって得られる撮影画像(の画像データ)を、バス上に出力する。
ここで、カメラ32は、図7で説明したように、タッチパネル31と同一の面である、携帯端末30の正面(表面)に設けられている。カメラ33は、タッチパネル31の反対側の面である携帯端末30の背面(裏面)に設けられている。
CPU51は、ストレージ53にインストールされたプログラムを実行することにより、携帯端末30を構成する各ブロックの制御、その他各種の処理を行う。
メモリ42は、例えば、RAMであり、CPU51の動作上必要なデータ(プログラムを含む)を一時記憶する。
ストレージ53は、例えば、不揮発性のメモリであり、CPU51が実行するプログラムや、必要なデータを記憶する。
なお、ストレージ53には、少なくとも、チケットアプリケーション(プログラム)がインストールされている。CPU51が、ストレージ53にインストールされたチケットアプリケーションを実行することで、携帯端末30としてのコンピュータは、電子チケットに関する各種の処理(電子チケット処理)を行う。
通信部54は、インターネット等のネットワークとの間の無線又は有線による通信を制御する。
外部I/F55は、図示せぬ外部機器や、メモリカード等のリムーバブルメメディア55Aとの間のインターフェースとして機能する。
マイク56は、ユーザが発する音声その他の音響を、電気信号である音響データに変換し、バス上に出力する。
スピーカ57は、バスから供給される音響データに対応する音響を出力する。
表示部58は、例えば、液晶ディスプレイ等で構成され、バスから供給される画像データに対応する画像を表示する。
位置検出機構59は、表示部58と一体的に構成され、タッチパネル31を構成している。位置検出機構59は、ユーザの指等によるタッチパネル31上のタッチ位置を検出し、バス上に出力する。
以上のように構成される携帯端末30は、CPU51が、ストレージ53にインストールされたチケットアプリケーションを実行することで、電子チケット処理を行う。
チケットアプリケーションは、ストレージ53にあらかじめインストールしておく他、リムーバブルメメディア55Aに格納し、そのリムーバブルメメディア55Aから、外部I/F55を介して、携帯端末30にインストールすることができる。
また、チケットアプリケーションは、通信網や放送網から、通信部54を介してダウンロードし、携帯端末30にインストールすることができる。
チケットアプリケーションのアップデートも、チケットアプリケーションのインストールと同様に行うことができる。
<ゲート表示装置20及び携帯端末30の機能的構成例>
図12は、ゲート表示装置20及び携帯端末30の機能的構成例を示すブロック図である。
図12のゲート表示装置20の機能的構成例は、図10のCPU41がゲートアプリケーションを実行することにより(仮想的に)実現される。同様に、図12の携帯端末30の機能的構成例は、図11のCPU51が、チケットアプリケーションを実行することにより実現される。
図12において、ゲート表示装置20は、表示部21、ID記憶部71、符号化部72、及び、制御部73を有する。
表示部21は、例えば、上述したように、液晶ディスプレイで構成され、液晶パネル21Aとバックライト21Bとを有する。
液晶パネル21Aには、例えば、図8で説明した、所定のテキストが無模様一色の背景画像に表示された所定の画像としての元画像が供給され、液晶パネル21Aは、その画像に従って駆動される。
バックライト21Bは、光を発光し、その光を、液晶パネル21Aに照射する。これにより、液晶パネル21Aとバックライト21Bとで構成される表示部21では、元画像が表示される。
ID情報記憶部71、符号化部72、及び、制御部73は、ゲートアプリケーションを構成する(ゲートアプリケーションによって(仮想的に)実現される)。
ID情報記憶部71は、入場ゲート11に固有に割り当てられたID情報を記憶している。
符号化部72は、ID情報記憶部71に記憶されたID情報を変調することにより符号化する。
すなわち、符号化部72は、例えば、正弦波を、ID情報に従って位相変調することにより、ID情報を符号化する。
符号化部72は、符号化により得られる符号化情報を、制御部73に供給する。
制御部73は、バックライト21Bに制御信号を供給することにより、符号化部72からの符号化情報に従って、バックライト21Bが発光する光の輝度を制御することで、ID情報(符号化されたID情報である符号化情報)を、時間的輝度変化として、元画像に重畳する。
すなわち、制御部73は、符号化情報に従って、バックライト21Bの輝度を、人の視覚で知覚することができない速さで変化させる(変調する)ことで、ID情報を、時間的輝度変化として、元画像に重畳する。これにより、表示部21には、ID情報が時間的輝度変化として重畳された重畳画像が表示される。
表示部21に表示される重畳画像は、可視光であり、したがって、重畳画像に重畳されたID情報(を符号化した符号化情報)は、いわば、可視光通信により情報伝達される。
図12において、携帯端末30は、タッチパネル31(の表示部58)、カメラ32、カメラドライバ81、抽出部82、復号部83、入場可否判定部84、電子チケット記憶部85、ディスプレイドライバ86、及び、コントローラ87を有する。
カメラドライバ81ないしコントローラ87は、チケットアプリケーションを構成する(チケットアプリケーションによって(仮想的に)実現される)。
カメラドライバ81は、カメラ32による撮影を制御する撮影制御部であり、カメラ32が表示部21に表示された重畳画像を撮影した撮影画像を、抽出部82に供給する。
抽出部82は、カメラドライバ81からの撮影画像から、その撮影画像に重畳された符号化情報(ID情報)を抽出し、復号部83に供給する。
また、抽出部82は、撮影画像からの符号化情報の抽出の成否を、コントローラ87に供給する。
復号部83は、抽出部82からの符号化情報をID情報に復号(復調)し、入場可否判定部84に供給する。
入場可否判定部84は、復号部83から供給されるID情報と、電子チケット記憶部85に記憶された電子チケットのうちの、ユーザによって選択された注目チケットとを用いて、注目チケットの認証を行うことにより、注目チケットでの入場の可否を判定する入場可否判定を行う。
入場可否判定部84は、入場可否判定の判定結果を、コントローラ87に供給する。
なお、入場可否判定部84は、入場可否判定の判定結果が、入場を許可する旨を表す場合、電子チケット記憶部85に記憶された注目チケットに対応付けられている使用回数を1だけインクリメントする。
電子チケット記憶部85は、ユーザがサイト等からオンライン等で購入した電子チケットを記憶する。
ここで、電子チケット記憶部85において、電子チケットは、その電子チケットの使用回数と対応付けて記憶することができる。さらに、電子チケットは、例えば、後述するように、ユーザの生体情報、その他の必要な情報と対応付けて記憶することができる。
また、電子チケットは、属性情報とチケット画像とを含む。
属性情報は、ID情報に対応する対応情報を含み、電子チケットの認証では、対応情報と、撮影画像から抽出されたID情報とが合致するかどうかが判定される。対応情報としては、例えば、単純には、ID情報と同一の情報を採用することができ、この場合、電子チケットの認証では、対応情報とID情報とが一致するかどうかが判定される。
チケット画像は、図8及び図9で説明した認証待ち画像、並びに、結果画像としてのOK画像及びNG画像を含む。
チケット画像、特に、結果画像については、ゲート係員が入場の可否を判断しやすい画像を、イベントの主催者が指定することができる。
結果画像、特に、OK画像については、その場で簡単に複製することができないパターンを含む画像を採用することにより、OK画像が不正に複製され、不正な入場が行われることを防止することができる。
ディスプレイドライバ86は、タッチパネル31を構成する表示部58の表示を制御する表示制御部であり、電子チケット記憶部85に記憶されたチケット画像、すなわち、認証待ち画像や、結果画像としてのOK画像又はNG画像を、タッチパネル31(表示部58)に表示させる。
コントローラ87は、タッチパネル31に対するユーザの操作や、抽出部82から供給される、ID情報(の符号化情報)の抽出の成否、入場可否判定部84から供給される、入場可否判定の判定結果等に応じて、チケットアプリケーションを構成する各ブロックを制御する。
なお、コントローラ87が、チケットアプリケーションを構成する各ブロックを制御するための制御線の図示は、図が煩雑になるのを避けるため、省略してある。
<ゲート表示装置20及び携帯端末30の処理>
図13は、図12のゲート表示装置20及び携帯端末30の処理の例を説明するフローチャートである。
ゲート表示装置20では、ステップS21において、符号化部72は、ID情報記憶部71に記憶されたID情報を変調することにより符号化し、その結果得られる符号化情報を、制御部73に供給して、処理は、ステップS22に進む。
ステップS22では、制御部73は、符号化部72からの符号化情報に従って、バックライト21Bが発光する光の輝度を制御することで、ID情報(符号化情報)を、液晶パネル21Aに表示させる元画像に重畳する。
これにより、ゲート表示装置20では、ID情報が時間的輝度変化として重畳された重畳画像が、表示部21に表示され、入場ゲート11に並ぶ(多数の)ユーザに提供される。
一方、ユーザは、サイト等から購入した電子チケットが電子チケット記憶部85に記憶された携帯端末30を携行する。そして、ゲート表示装置20(の表示部21)に表示された重畳画像を見て、適切な入場ゲート11(購入した電子チケットのクラスに対する入場ゲート11)のレーンに並び、入場ゲート11に向かって歩いて行く。
ユーザは、入場ゲート11に近づいたら、携帯端末30のタッチパネル31を操作して、チケットアプリケーションを起動する。
チケットアプリケーションが起動すると、コントローラ87は、ディスプレイドライバ86を制御することにより、電子チケット記憶部85に記憶された電子チケットの一覧を、タッチパネル31に表示させる。
その後、ユーザが、タッチパネル31を操作して、タッチパネル31に表示された電子チケットの一覧の中から、入場ゲート11からの入場に必要な電子チケットを選択すると、ステップS31において、コントローラ87は、ユーザが選択した電子チケットを、注目チケットとして選択する。
そして、処理は、ステップS31からステップS32に進み、以下、注目チケットの認証を行うチケット認証処理(ステップS32ないしS41)が行われる。
すなわち、チケット認証処理では、ステップS32において、コントローラ87は、ディスプレイドライバ86を制御することにより、認証待ち画像を、タッチパネル31に表示させ、処理は、ステップS33に進む。
ステップS33では、コントローラ87は、カメラドライバ81を制御することにより、タッチパネル31と同一の正面に設けられたカメラ32による画像の撮影を開始させる。
以上のように、カメラ32による画像の撮影が開始され、ユーザが、ゲート表示装置20に表示された重畳画像におけるテキストを見て、カメラ32を、ゲート表示装置20に向けると、カメラ32では、ゲート表示装置20に表示された重畳画像が撮影される。カメラ32での撮影の結果得られる撮影画像は、カメラドライバ81を介して、抽出部82に供給される。
以上により、携帯端末30において、ID情報が、撮影画像として(撮影画像に重畳された形で)取得される。
その後、ステップS34において、抽出部82は、カメラドライバ81を介して供給される撮影画像から符号化情報(符号化されたID情報)を抽出し、その抽出の成否を表す成否情報を、コントローラ87に供給して、処理は、ステップS35に進む。
ステップS35では、コントローラ87は、抽出部82からの成否情報に基づいて、符号化情報(ID情報)の抽出の成否を判定する。
ステップS35において、符号化情報の抽出に成功していないと判定された場合、処理は、ステップS33に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS35において、符号化情報の抽出に成功したと判定された場合、コントローラ87は、抽出部82から復号部83に、符号化情報を供給させる。
復号部83は、抽出部82からの符号化情報を、ID情報に復号し、入場可否判定部84に供給して、処理は、ステップS35からステップS36に進む。
ステップS36では、入場可否判定部84は、復号部83から供給されるID情報と、電子チケット記憶部85に記憶された電子チケットのうちの注目チケットとを用いて、注目チケットの認証、すなわち、注目チケットが、復号部83からのID情報に対して正当であるかどうかを判定する。
ステップS36において、注目チケットがID情報に対して正当であると判定された場合、すなわち、注目チケットの認証に成功した場合、処理は、ステップS37に進む。
ステップS37では、入場可否判定部84は、電子チケット記憶部85に記憶された、注目チケットに対応付けられている使用回数を1だけインクリメントし、処理は、ステップS38に進む。
ステップS38では、入場可否判定部84は、電子チケット記憶部85に記憶された、注目チケットに対応付けられている使用回数が、使用回数の上限値を超えているかどうかを判定する。
ここで、注目チケットの使用回数の上限値は、例えば、注目チケットの属性情報に含まれている。
ステップS38において、注目チケットに対応付けられている使用回数が上限値を超えていないと判定された場合、入場可否判定部84は、入場可否判定として、注目チケットでの入場を許可する旨の判定を行う。そして、入場可否判定部84は、注目チケットでの入場を許可する旨の判定結果を、コントローラ87に供給し、処理は、ステップS39に進む。
ステップS39では、コントローラ87は、入場可否判定部84からの注目チケットでの入場を許可する旨の判定結果に応じて、ディスプレイドライバ86を制御することにより、電子チケット記憶部85に記憶された注目チケットのチケット画像に含まれるOK画像を、タッチパネル31に表示させる。
ユーザは、入場ゲート11に向かって歩き続け、ゲート係員に、タッチパネル31に表示されたOK画像を提示して確認してもらう。
ゲート係員は、入場ゲート11の近くに位置し、ゲート表示装置20に表示された重畳画像を撮影するカメラ32は、ゲート係員に提示するOK画像が表示されたタッチパネル31と同一の正面に設けられているので、ユーザは、携帯端末30を持ち替えることなく、タッチパネル31に表示されたOK画像を、ゲート係員に提示することができる。
ゲート係員は、ユーザが所持する携帯端末30(のタッチパネル31)に表示されたOK画像を確認した場合、入場ゲート11を通過させる。
ユーザが入場ゲート11を通過することにより、携帯端末30(のカメラ32)で重畳画像を撮影することができなくなると、抽出部82は、符号化情報を抽出することができなくなり、符号化情報の抽出に成功しなかった旨の成否情報を、コントローラ87に供給する。
コントローラ87は、タッチパネル31にOK画像が表示された後、抽出部82から、符号化情報の抽出に成功しなかった旨の成否情報が供給されると、符号化情報を抽出することができなくなったことを認識(検知)する。そして、コントローラ87は、符号化情報を抽出することができなくなったことを認識してから、所定の時間が経過すると、ステップS41において、ディスプレイドライバ86を制御することにより、タッチパネル31に表示されたOK画像を消去させる。
一方、ステップS36において、注目チケットがID情報に対して正当でないと判定された場合、すなわち、注目チケットの認証に失敗した場合、入場可否判定部84は、入場可否判定として、注目チケットでの入場を許可しない旨の判定を行う。そして、入場可否判定部84は、注目チケットでの入場を許可しない旨の判定結果を、コントローラ87に供給し、処理は、ステップS40に進む。
また、ステップS38において、注目チケットに対応付けられている使用回数が上限値を超えていると判定された場合も、入場可否判定部84は、入場可否判定として、注目チケットでの入場を許可しない旨の判定を行う。そして、入場可否判定部84は、注目チケットでの入場を許可しない旨の判定結果を、コントローラ87に供給し、処理は、ステップS40に進む。
ステップS40では、コントローラ87は、入場可否判定部84からの注目チケットでの入場を許可しない旨の判定結果に応じて、ディスプレイドライバ86を制御することにより、電子チケット記憶部85に記憶された注目チケットのチケット画像に含まれるNG画像を、タッチパネル31に表示させる。
ゲート係員は、ユーザが所持する携帯端末30(のタッチパネル31)に表示されたNG画像を確認した場合、ユーザを一旦引き留めて、適切な誘導を行う。
ユーザは、ゲート係員に引き留められると、カメラ32を、ゲート表示装置20に向けることを止める。その結果、抽出部82は、符号化情報を抽出することができなくなり、符号化情報の抽出に成功しなかった旨の成否情報を、コントローラ87に供給する。
コントローラ87は、タッチパネル31にNG画像が表示された後、抽出部82から、符号化情報の抽出に成功しなかった旨の成否情報が供給されると、符号化情報を抽出することができなくなったことを認識する。そして、コントローラ87は、符号化情報を抽出することができなくなったことを認識してから、所定の時間が経過すると、ステップS41において、ディスプレイドライバ86を制御することにより、タッチパネル31に表示されたNG画像を消去させる。
ステップS41でのOK画像又はNG画像の消去後、ユーザは、チケットアプリケーションを終了させる。
<ユーザの行動及び携帯端末30の処理>
図14は、ユーザの行動及び携帯端末30の処理の例を説明するシーケンス図である。
ステップS51において、ユーザは、チケットアプリケーションを起動する。
チケットアプリケーションは、起動後、ステップS61において、電子チケット記憶部85に、電子チケットの一覧であるチケットリストを要求して受信する。
さらに、チケットアプリケーションは、ステップS62において、チケットリストから注目チケットを選択するためのチケットリスト選択画面の表示を、タッチパネル31の表示部58(を制御するディスプレイドライバ86)に要求する。表示部58は、チケットアプリケーションからの要求に応じて、チケットリスト選択画面を表示する。
ユーザは、ステップS52において、表示部58に表示されたチケットリスト選択画面を見て、電子チケットを選択し、チケットアプリケーションは、ユーザが選択した電子チケットを、注目チケットに選択する。
そして、チケットアプリケーションは、ステップS63において、認証待ち画像の表示を、表示部58に要求する。表示部58は、ステップS91において、チケットアプリケーションからの要求に応じて、認証待ち画像を表示する。
また、チケットアプリケーションは、ステップS64において、カメラ32を起動させる(カメラ32の起動を、カメラドライバ81に要求する)。
カメラ32の起動後、表示部58に表示された認証待ち画像を確認したユーザは、ステップS53において、カメラ32を、ゲート表示装置20に向ける。
ゲート表示装置20に向けられたカメラ32は、ゲート表示装置20に表示された重畳画像の撮影を開始し、ステップS81において、重畳画像の撮影により得られる撮影画像(の画像データ)を、チケットアプリケーションに供給する。
チケットアプリケーションは、ステップS65において、カメラ32からの撮影画像から符号化情報(ID情報)を抽出し、その抽出の成否を判定する。
チケットアプリケーションは、撮影画像からの符号化情報の抽出に成功すると、ステップS66において、その符号化情報をID情報に復号する。
そして、チケットアプリケーションは、ステップS67において、電子チケット記憶部85に、注目チケットの属性情報と使用回数とを要求して受信する。
チケットアプリケーションは、ステップS68において、注目チケットの使用回数をインクリメントし、そのインクリメント後の使用回数、注目チケットの属性情報、及び、撮影画像から抽出されたID情報を用いて、入場可否判定を行う。
すなわち、チケットアプリケーションは、ID情報と、注目チケットの属性情報とを用いて、注目チケットの認証(チケット認証)を行うとともに、使用回数が、属性情報に含まれる上限値を超えているかどうかを判定する。
チケット認証に成功し、使用回数が上限値を超えていない場合、入場可否判定として、注目チケットでの入場を許可する旨の判定が行われる。
一方、チケット認証に失敗するか、又は、使用回数が上限値を超えている場合、入場可否判定として、注目チケットでの入場を許可しない旨の判定が行われる。
その後、ステップS69において、チケットアプリケーションは、カメラ32での重畳画像の撮影を終了させる。
さらに、チケットアプリケーションは、ステップS70において、入場可否判定の判定結果に応じて、OK画像又はNG画像(以下、入場可否画像ともいう)を、電子チケット記憶部85に要求して取得する。
そして、チケットアプリケーションは、ステップS71において、入場可否画像の表示を、表示部58に要求する。表示部58は、ステップS92において、チケットアプリケーションからの要求に応じて、入場可否画像を表示する。
ユーザは、ステップS54において、表示部58に表示された入場可否画像を、ゲート係員に確認してもらう。
入場可否画像がOK画像である場合、ステップS55において、ユーザは、入場ゲート11を通過する。
そして、ステップS56において、ユーザは、入場可否画像の表示を終了するように、タッチパネル31を操作する。
チケットアプリケーションは、ステップS72において、ユーザの操作に応じて、表示部58での入場可否画像の表示を終了させる。
なお、入場可否画像がNG画像である場合、ユーザは、ゲート係員に引き留められる。
また、図14では、ユーザの操作に応じて、入場可否画像の表示を終了させる(入場可否画像を消去する)こととしたが、入場可否画像(OK画像又はNG画像)は、図13で説明したように、入場可否画像の表示後、符号化情報を抽出することができなくなってから、所定の時間が経過した場合に消去することができる。
<ID情報の情報伝達の仕組み>
図15は、ゲート表示装置20から携帯端末30へのID情報の情報伝達の仕組みを説明する図である。
図12で説明したように、ゲート表示装置20に表示される重畳画像は、可視光であり、ID情報は、その可視光である重畳画像に重畳された形で、いわば、可視光通信により、携帯端末30に情報伝達される。
可視光である重畳画像による情報伝達(の仕組み)は、ディスプレイモデル(Display Model)とカメラモデル(Camera Model)とで説明することができる。
ディスプレイモデルは、ゲート表示装置20のように、重畳画像を表示する側のモデルであり、カメラモデルは、携帯端末30のように、重畳画像を撮影する側のモデルである。
ディスプレイモデルは、画像を表示するディスプレイ、例えば、液晶ディスプレイを有する。液晶ディスプレイは、画像の空間的なテクスチャ(Spatial Texture)を決める液晶パネルと、画像(全体)の輝度を決めるバックライトとを有する。
ディスプレイモデルにおいて、ID情報は、正弦波をベースとする符号化情報に符号化される。符号化情報は、例えば、正弦波を、ID情報に従って位相変調した変調信号f(t)である。
さらに、ディスプレイモデルでは、変調信号である符号化情報f(t)に従って、バックライトの輝度が変調(制御)される。
また、液晶パネルは、元画像に従って駆動される。
液晶ディスプレイでは、バックライトが発する光が、液晶パネルを透過することにより画像が表示される。
上述したように、バックライト(が発する光)の輝度は、符号化情報f(t)に従って変調されるため、液晶ディスプレイに表示される画像は、液晶パネルを駆動する元画像に、バックライトの輝度を変調する符号化情報f(t)(ひいては、ID情報)が時間的輝度変化として重畳された重畳画像になる。
変調信号f(t)となる正弦波として、輝度の変化が人の視覚で知覚することができない、高い周波数の正弦波を用いることで、ID情報(符号化情報f(f))は、人の視覚で知覚することができないように、元画像に重畳される。
カメラモデルは、ディスプレイモデルの液晶ディスプレイに表示される重畳画像が、ピンホールカメラで撮影される様子を表している。
ピンホールカメラで撮影される画像は、ピンホールを通過する光線が、ピンホールより前に位置する仮想的な撮像面を通過するときの断面として表すことができる。
撮像面を、ディスプレイモデルの液晶ディスプレイに正対するように配置した場合、撮像面上の画像は、液晶ディスプレイの表示画面上の画像に相似する画像になる。
ディスプレイモデルにおいて、バックライトは、液晶ディスプレイの表示画面全体の輝度を同時に変化させる。そのため、カメラモデルの撮像面上の画像、すなわち、ピンホールカメラで撮影される撮影画像の輝度は、位置に関係なく同様に時間的に変化する。そして、その撮影画像の輝度変化は、図15に"Time Variation of Sensor Radiance"として示すように、符号化情報f(t)(ひいては、ID情報)に比例する。
ここで、図15において、R(x1,y1,t)は、位置(x1,y1)の輝度の時間(t)変化を表す。同様に、G(x2,y2,t)は、位置(x2,y2)の輝度の時間変化を表し、B(x3,y3,t)は、位置(x3,y3)の輝度の時間変化を表す。以下の図でも、同様である。
ディスプレイモデルの液晶ディスプレイに表示される重畳画像の輝度は、バックライトの輝度変化に応じて変化するが、その変化の速度を、人の眼の時間応答速度よりも速く設定することで、重畳画像の輝度変化は、人が見たときに積分されて、知覚されない。
なお、ディスプレイモデルにおいて、ID情報は、輝度変化として元画像に重畳する他、色変化として、元画像に重畳することができる。
例えば、バックライトとして、RGB等の多色のLED(Light Emitting Diode)が用いられている場合、ID情報(を符号化した符号化情報f(t))に従って、多色のLEDの強度バランスを変調することにより、ID情報を、色の変化として、元画像に重畳した重畳画像を得ることができる。
ID情報を、色変化として、元画像に重畳する場合も、輝度変化として、元画像に重畳する場合と同様に、色変化の速度を、人の眼の時間応答速度よりも速く設定することで、重畳画像の色変化は、人が見たときに積分されて、知覚されない。
図16は、図12の抽出部82で行われる、撮影画像からのID情報(を符号化した符号化情報)の抽出の方法の例を説明する図である。
いま、携帯端末30のカメラ32として、例えば、フォーカルプレーンシャッタ(ローリングシャッタ)方式のイメージセンサを有するカメラが採用されていることとする。
フォーカルプレーンシャッタ方式のイメージセンサとしては、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサがある。
図16のAは、フォーカルプレーンシャッタ方式の(イメージセンサを有する)カメラ32のシャッタタイミングを示している。
図16のAにおいて、横軸は時間を表し、縦軸は画素の垂直方向の位置を表している。
フォーカルプレーンシャッタ方式のカメラ32では、ライン(水平ライン)ごとに、少しずつタイミングをずらして、露光、及び、画素値の読み出しが行われる。
そのため、カメラ32で撮影される撮影画像のフレームの上部のラインの画素(以下、上部の画素ともいう)px#1の露光期間pd#1、フレームの垂直方向の中央付近のラインの画素(以下、中部の画素ともいう)px#2の露光期間pd#2、及び、フレームの下部のラインの画素(以下、下部の画素ともいう)px#3の露光期間pd#3のタイミングは、互いに異なる。
フレームの下部のラインの画素ほど、露光期間は、遅い(遅れた)タイミングの期間になる。なお、露光期間pd#1,pd#2,pd#3の長さ(時間)は、同一である。
図16のBは、カメラ32(が有するイメージセンサ)の上部の画素px#1、中部の画素px#2、及び、下部の画素px#3の画素値の時間変化の例を示している。
なお、上部の画素px#1は、位置(x1,y1)の画素で、その画素px#1の輝度は、R(x1,y1,t)で表される。中部の画素px#2は、位置(x2,y2)の画素で、その画素px#2の輝度は、G(x2,y2,t)で表される。下部の画素px#3は、位置(x3,y3)の画素で、その画素px#3の輝度は、B(x3,y3,t)で表される。
カメラ32で撮影される重畳画像の輝度は、その重畳画像に重畳されたID情報(正確には、ID情報の符号化情報)f(t)に従って、面均一に変化するので、カメラ32の上部の画素px#1の位置(x1,y1)、中部の画素px#2の位置(x2,y2)、及び、下部の画素px#3の位置(x3,y3)への入射光量は、いわば同期した形で変化する。
但し、フォーカルプレーンシャッタ方式のカメラ32では、上部の画素px#1の露光期間pd#1、中部の画素px#2の露光期間pd#2、及び、下部の画素px#3の露光期間pd#3(のタイミング)は、図16のBに示すようにずれる。
そのため、カメラ32で撮影される重畳画像の輝度は、その重畳画像に重畳されたID情報f(t)に従って、面均一に時間変化するのにもかかわらず、カメラ32での重畳画像の撮影の結果得られる撮影画像は、垂直方向の位置によって輝度が異なる画像となる。
図16のCは、輝度が、ID情報f(t)に従って面均一に時間変化する重畳画像を、フォーカルプレーンシャッタ方式のカメラ32で撮影することにより得られる撮影画像v(x,y)の例を示している。
撮影画像v(x,y)は、上述したように、垂直方向の位置によって輝度が異なる画像となる。すなわち、重畳画像には、ID情報f(t)が時間的輝度変化として重畳されているが、撮影画像v(x,y)には、その時間的輝度変化が、空間的輝度変化である横縞の輝度パターンvg(y)として現れる。
フォーカルプレーンシャッタ方式のカメラ32で得られる撮影画像v(x,y)に現れる、上述のような横縞の輝度パターンvg(y)は、フリッカと呼ばれる。
フリッカは、フォーカルプレーンシャッタ方式に起因して生じるため、重畳画像の時間的輝度変化は、その重畳画像を表示するゲート表示装置20と、重畳画像を撮影する携帯端末30との間の相対的位置関係に関係なく、撮影画像v(x,y)に、常に、横縞として現れる。
すなわち、ID情報f(t)が時間的輝度変化として重畳された重畳画像を、フォーカルプレーンシャッタ方式のカメラ32で撮影することにより得られる撮影画像v(x,y)は、フリッカのない元画像vtex(x,y)に、ID情報f(t)に対応する空間的輝度変化としての横縞の輝度パターンvg(y)が重畳された画像になる。
図16のDは、図16のCの撮影画像v(x,y)を構成する元画像vtex(x,y)の例を示しており、図16のEは、図16のCの撮影画像v(x,y)を構成する横縞の輝度パターンvg(y)を示している。
以上のように、重畳画像を、フォーカルプレーンシャッタ方式のカメラ32で撮影することにより、重畳画像に、時間的輝度変化として重畳されているID情報f(t)は、撮影画像において、空間的輝度変化として現れる。したがって、携帯端末30では、その空間的輝度変化に基づいて、ID情報(の符号化情報)f(t)を抽出することができる。
図17は、ゲート表示装置20で表示される重畳画像の例を示す図である。
図17の重畳画像では、入場ゲート11の情報をユーザに分かりやすく伝えるための所定のテキストが、無模様一色の背景画像に表示された元画像に、ID情報(の符号化情報)が重畳されている。
図17において、所定のテキストとしては、入場ゲート11を識別する文字列「入場ゲート S−5」、及び、携帯端末30のカメラ32を、ゲート表示装置20に向けるように促すメッセージ「チケットを向けてください」が表示されている。
図18は、図12の抽出部82の構成例を示すブロック図である。
なお、ここでは、説明を簡単にするため、例えば、図17に示したような、所定のテキストが、無模様一色の背景画像に表示されている元画像にID情報が重畳された重畳画像を撮影した撮影画像を対象として、ID情報(の符号化情報)f(t)を抽出することとする。
また、撮影画像(重畳画像)を構成する元画像における背景画像の色(背景色)は、既知であることとする。
図18において、抽出部82は、背景判定部101、積分部102、積分値記憶部103、偏差算出部104、分離部105、エラー訂正部106、及び、情報記憶部107を有する。
背景判定部101には、カメラドライバ81(図12)から、図17に示したような所定のテキストが無模様一色の背景画像に表示されている元画像にID情報が重畳された重畳画像を撮影した撮影画像が、フレーム単位で供給される。
背景判定部101は、カメラドライバ81からの撮影画像の各画素について、その画素が、背景画像の画素(背景画像の色の画素)(以下、背景画素ともいう)であるかどうかを判定し、その判定結果を表す画素情報とともに、撮影画像を、積分部102に供給する。
積分部102は、背景判定部101からの画素情報に基づき、同じく背景判定部101からの撮影画像の画素のうちの背景画素のみを対象として、画素値の積分を、ラインごとに行う。そして、積分部102は、各ラインの背景画素の画素値の積分値を、ライン積分値として、積分値記憶部103に供給する。
積分値記憶部103は、積分部102から供給されるライン積分値を、1フレーム単位で記憶する。
偏差算出部104は、積分値記憶部103に記憶された1フレームの撮影画像のライン積分値すべての平均値を、積分平均値として求める。さらに、偏差算出部104は、積分値記憶部103に記憶された1フレームの撮影画像のライン積分値の平均値に対する偏差、すなわち、例えば、対数偏差(比率)を求め、分離部105に供給する。
分離部105は、撮影画像を撮影したフォーカルプレーンシャッタ方式のカメラ32のシャッタの特性を表すシャッタ関数を用いて、偏差算出部104からのライン積分値の偏差のデコンボリューションを行うことで、撮影画像に重畳されたID情報f(t)を分離する。
ここで、シャッタ関数をs(t)と、第yライン(上からy番目の水平ライン)のライン積分値の偏差をu(y)と、無模様一色の背景画像の色をubgと、ID情報(の符号化情報)をf(t)と、それぞれ、表すこととすると、ライン積分値の偏差u(y)は、式(1)で表すことができる。
u(y)=(s(t)*f(t))ubg
・・・(1)
なお、*は、コンボリューションを表す。
いま、第yラインの時刻tのシャッタ関数s(t)の関数値をy行t列のコンポーネントとする正方行列を、Sと表すこととする。また、時刻tのID情報f(t)を、t行のコンポーネントとする列ベクトルを、Fと表すとともに、第yラインのライン積分値の偏差u(y)を、y行のコンポーネントとする列ベクトルを、Uと表すこととする。
この場合、式(1)は、正方行列S、並びに、列ベクトルF及びUを用いて、式(2)で表される。
U=SFubg
・・・(2)
正方行列Sの擬似逆行列を、S^と表すこととすると、式(2)のID情報(F)は、シャッタ関数(S)を用いたライン積分値の偏差(U)のデコンボリューションを行う式(3)に従って求めることができる。
F=(1/ubg)S^U
・・・(3)
分離部105は、式(3)に従って、ID情報f(t)(をコンポーネントとする列ベクトルF)を求める。
分離部105は、式(3)に従って求めたID情報(f(t))を、エラー訂正部106に供給する。
エラー訂正部106は、カメラ32で重畳画像が撮影されている間に、分離部105から供給されるID情報を、情報記憶部107に供給して記憶させる。
さらに、エラー訂正部106は、情報記憶部107に記憶された複数のID情報を対象とした多数決により、正しい(と推定される)ID情報(の符号化情報)を求め、復号部83(図12)に供給する。
以上のように構成される抽出部82では、背景判定部101は、カメラドライバ81からの1フレームの撮影画像の各画素について、その画素が背景画素であるかどうかを判定し、その判定結果を表す画素情報とともに、撮影画像を、積分部102に供給する。
積分部102は、背景判定部101からの画素情報に基づき、背景判定部101からの撮影画像の画素のうちの背景画素のみを対象として、画素値の積分を、ラインごとに行うことにより、ライン積分値を求め、積分値記憶部103に供給して記憶させる。
偏差算出部104は、積分値記憶部103にライン積分値が記憶された1フレームの撮影画像について、ライン積分値の偏差を求め、分離部105に供給する。
分離部105は、カメラ32のシャッタの特性を表すシャッタ関数s(t)を用いて、偏差算出部104からのライン積分値の偏差u(t)のデコンボリューションを、式(3)に従って行うことで、撮影画像に重畳されたID情報f(t)を分離し、エラー訂正部106に供給する。
エラー訂正部106は、分離部105から供給されるID情報を、情報記憶部107に供給して記憶させる。
背景判定部101ないしエラー訂正部106では、例えば、カメラ32で所定の期間に撮影された複数フレームの撮影画像について、同様の処理が繰り返され、これにより、情報記憶部107には、複数のID情報が記憶される。
エラー訂正部106は、情報記憶部107に記憶された複数のID情報を対象とした多数決を行い、最多のID情報が、所定数以上存在する場合、撮影画像からのID情報の抽出に成功したこととして、その最多のID情報(の符号化情報)を、復号部83(図12)に供給する。
図19は、任意の画像を背景画像とする元画像に重畳されたID情報を、撮影画像から抽出する方法を説明する図である。
上述の場合には、元画像として、例えば、図17に説明したような、入場ゲート11の情報等を表す所定のテキストが、無模様一色の背景画像に表示されている画像を採用したが、元画像には、無模様一色の背景画像以外の背景画像の使用が要請されることがある。
すなわち、イベントでは、例えば、ユーザインターフェース、デザイン、広告等の観点から、任意の画像を、元画像の背景画像に使用したい場合がある。
フォーカルプレーンシャッタ方式のCMOSイメージセンサの中には、ラインごと又は画素ごとに、露光時間(露光期間の長さ)を変えて撮影を行う機構を有するCMOSイメージセンサがあるが、そのようなCMOSイメージセンサを、カメラ32に用いることによって、任意の画像を、元画像の背景画像として使用した場合であっても、撮影画像から、ID情報(の符号化情報)を抽出することができる。
図19のAは、ラインごと又は画素ごとに、露光時間を変えて撮影を行う機構を有するフォーカルプレーンシャッタ方式の(CMOSイメージセンサを有する)カメラ32のシャッタタイミングの例を示している。
図19のAにおいて、横軸は時間を表し、縦軸は画素の垂直方向の位置を表している。
図19のAでは、カメラ32のラインごとの露光時間として、異なる2つの露光時間である第1の露光時間E1及び第2の露光時間E2があり、第1の露光時間E1の方が、第2の露光時間E2よりも長くなっている。
また、カメラ32において、第1の露光時間E1のラインと、第2の露光時間E2のラインとは、互いに近傍にあり、図19のAでは、第1の露光時間E1のラインと、第2の露光時間E2のラインとが、交互に配置されている。
第1の露光時間E1と、第2の露光時間E2とでは、露光時間が異なるため、カメラ32で重畳画像が撮影されるときの、その重畳画像に重畳されているID情報(の符号化情報)f(t)の時間変化の時間積分のされ方も異なる。
その結果、第1の露光時間E1のラインを集めて構成される画像u1(x,y)と、第2の露光時間E2のラインを集めて構成される画像u2(x,y)とでは、画像u1(x,y)とu2(x,y)とに現れるID情報f(t)に対応する空間的輝度変化としての横縞の輝度パターンが、異なる。
図19のBは、画像u1(x,y)とu2(x,y)から、任意の画像である元画像ubg(x,y)と、その元画像ubg(x,y)に重畳されたID情報f(t)とを分離する様子を示す図である。
いま、画像u1(x,y)の画素値のラインごとの積分値のうちの第yラインのライン積分値を、u1(y)と表すとともに、画像u2(x,y)の画素値のラインごとの積分値のうちの第yラインのライン積分値を、u2(y)と表すこととする。さらに、元画像ubg(x,y)の画素値のラインごとの積分値のうちの第yラインのライン積分値を、ubg(y)と表すこととする。また、第1の露光時間E1のラインのシャッタ関数を、s1(t)と表すとともに、第2の露光時間E2のラインのシャッタ関数を、s2(t)と表すこととする。
この場合、ライン積分値u1(y)及びu2(y)は、式(4)及び式(5)で表すことができる。
u1(y)=(s1(t)*f(t))ubg(y)
・・・(4)
u2(y)=(s2(t)*f(t))ubg(y)
・・・(5)
いま、例えば、第1の露光時間E1が、ID情報f(t)の輝度変化の周期の整数倍になっているとすると、その第1の露光時間E1で撮影された画像u1(x,y)のライン積分値u1(y)では、第1の露光時間E1での積分によって、ID情報f(t)の輝度変化が相殺される。したがって、式(4)のライン積分値u1(y)は、kを定数として、式(6)で表される。
u1(y)=k・ubg(y)
・・・(6)
式(6)を、式(5)に代入することにより、ライン積分値u2(y)は、式(7)で表される。
u2(y)=(s2(t)*f(t))u1(y)/k
・・・(7)
式(7)は、未知の定数(スケーリング係数)kがあることを除いて、式(1)と同一の形になっているので、図18で説明したように、ID情報f(t)を求めることができる。
したがって、第1の露光時間E1を、ID情報f(t)の輝度変化の周期の整数倍に設定することにより、元画像(の背景画像)として、無模様一色の画像以外の任意の画像を使用した場合であっても、式(7)に従って、撮影画像から、ID情報(の符号化情報)f(t)を抽出することができる。
以上のように、抽出部82では、重畳画像を、ラインごとに異なる露光時間で撮影することにより得られる撮影画像の、第1の露光時間E1で撮影された画素の画素値の積分を、ラインごとに行うことにより、ライン積分値u1(y)を求めるとともに、第2の露光時間E2で撮影された画素の画素値の積分を、ラインごとに行うことにより、ライン積分値u2(y)を求め、式(7)に示すように、ライン積分値u2(y)が、ID情報f(t)と第2の露光時間E2を表すシャッタ関数s2(t)とのコンボリューションと、ライン積分値u1(y)との積に比例することを利用して、撮影画像に重畳されたID情報f(t)を分離することができる。
<チケット認証の手順の他の例>
図20は、図6の入場ゲートシステムでのチケット認証の手順の他の例を説明する図である。
図8では、認証として、注目チケットのチケット認証だけが行われるが、図20では、注目チケットのチケット認証の他、生体認証によるユーザの認証(ユーザ認証)が行われる。
ここで、図20では、携帯端末30は、ユーザの生体情報を取得する(センシングする)、後述する生体センサ121(図21)を有することとする。
図8の場合と同様に、ユーザは、レーンに並び、入場ゲート11に近づいたら、携帯端末30のチケットアプリケーションを起動する。
チケットアプリケーションでは、携帯端末30に保存されている電子チケットの一覧が、携帯端末30のタッチパネル31に表示される。ユーザは、タッチパネル31に表示されたチケットの一覧から、注目チケットを選択する。
チケットアプリケーションは、注目チケットが選択されると、ステップS101として、ユーザの生体情報を取得する(センシングする)、後述する生体センサ121を起動する。
ステップS102として、ユーザは、入場ゲート11に向かって歩きつつ、生体センサ121に、ユーザの生体情報を取得させる。
ここで、生体情報としては、例えば、図20に示すように、顔全体の画像や、顔のうちの眼の部分の画像、指紋等を採用することができる。
生体情報として、顔全体の画像を採用する場合、生体認証としては、その顔全体の画像を用いた顔認証を行うことができる。また、生体情報として、眼の部分の画像を採用する場合には、生体認証としては、その眼の部分を用いた虹彩認証を行うことができる。さらに、生体情報として、指紋を採用する場合には、生体認証としては、その指紋を用いた指紋認証を行うことができる。
チケットアプリケーションは、注目チケットに対応付けられている生体情報(以下、登録生体情報ともいう)の有無を確認する。そして、登録生体情報がない場合には、チケットアプリケーションは、生体センサ121で取得された生体情報(以下、取得生体情報ともいう)を、登録生体情報として、注目チケットに対応付ける。
すなわち、生体センサ121で取得生体情報が取得されたユーザを、注目チケットの正当な使用者として扱うことができるように、チケットアプリケーションは、取得生体情報を、登録生体情報として、注目チケットに対応付ける。
その後、チケットアプリケーションは、タッチパネル31に、認証待ち画像を表示させる。
一方、注目チケットに対応付けられている登録生体情報がある場合には、チケットアプリケーションは、取得生体情報と登録生体情報とを比較することで、生体認証を行い、ユーザが、注目チケットの正当な使用者であるかどうかを認証するユーザ認証を行う。
取得生体情報と登録生体情報とが合致せず、生体認証、ひいては、ユーザ認証に失敗した場合、チケットアプリケーションは、タッチパネル31に、NG画像を表示する。
また、取得生体情報と登録生体情報とが合致し、生体認証、ひいては、ユーザ認証に成功した場合、チケットアプリケーションは、タッチパネル31に、認証待ち画像を表示させる。
タッチパネル31に認証待ち画面が表示されると、チケットアプリケーションは、カメラ32を起動する。
カメラ32の起動後、ユーザは、カメラ32を、ユーザが並んでいるレーンの入場ゲート11に設置されたゲート表示装置20に向けて、入場ゲート11に向かって、さらに歩いて行く。
その後は、ステップS103,S104、及び、S105として、注目チケットのチケット認証が行われる図8のステップS2,S3、及び、S4と同様の手順が実行される。
なお、図20では、生体認証によるユーザ認証を行い、その後、注目チケットのチケット認証を行うこととしたが、ユーザ認証と、注目チケットのチケット認証とは、ユーザが、入場ゲート11を通過する前に完了していれば良い。すなわち、ユーザ認証と、チケット認証とは、並列に行っても良いし、チケット認証を行い、その後、ユーザ認証を行っても良い。
また、上述の場合には、注目チケットの購入後、その注目チケットの最初の使用時に、取得生体情報が、登録生体情報として、注目チケットに対応付けられるが、登録生体情報は、注目チケットが(最初に)使用される前に、注目チケットに対応付けることができる。
すなわち、ユーザは、例えば、注目チケットの購入直後等の、注目チケットを使用する前の任意のタイミングにおいて、携帯端末30で生体情報を取得し、その取得された生体情報(取得生体情報)を、登録生体情報として、注目チケットに対応付けることができる。
<ゲート表示装置20及び携帯端末30の機能的構成例>
図21は、ユーザ認証及びチケット認証を行う場合の、ゲート表示装置20及び携帯端末30の機能的構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図12の場合と対応する部分には、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図21において、ゲート表示装置20は、図12と同様に構成される。
また、図21において、携帯端末30は、生体センサ121、生体センサドライバ122、及び、生体認証部123が新たに設けられている点で、図12の場合と相違する。
生体センサ121ないし生体認証部123のうちの、生体センサドライバ122及び生体認証部123は、チケットアプリケーションによって(仮想的に)実現され、生体センサ121は、携帯端末30に、ハードウェアとして設けられる。
生体センサ121は、ユーザの生体情報をセンシングすることにより取得し、生体センサドライバ122に供給する。
ここで、生体情報として、顔の画像を採用し、生体認証として、その顔の画像を用いて、顔認証や虹彩認証を行う場合には、生体センサ121としては、例えば、重畳画像を撮影するカメラ32の背面に設けられたカメラ33(図11)を採用することができる。
この場合、ユーザは、入場ゲート11において、携帯端末30の正面のカメラ32で、ゲート表示装置20に表示された重畳画像を撮影しながら、携帯端末30の背面のカメラ33で、ユーザの顔の画像を撮影することができる。
生体情報として、指紋を採用し、生体認証として、その指紋を用いて、指紋認証を行う場合には、生体センサ121としては、指紋をセンシングする指紋センサを採用することができる。この場合、携帯端末30には、生体センサ121としての指紋センサを設ける必要がある。
生体センサドライバ122は、生体センサ121を制御する。
すなわち、生体センサドライバ122は、チケットアプリケーションが起動されると、コントローラ87の制御に従って、生体センサ121を起動し、生体センサ121に、ユーザの生体情報を取得させる。そして、センサドライバ122は、生体センサ121が取得した生体情報を、取得生体情報として、生体認証部123に供給する。
生体認証部123は、生体センサドライバ122から取得生体情報が供給されると、電子チケット記憶部85に記憶された注目チケットに対応付けられた登録生体情報を読み出し、取得生体情報と登録生体情報とが合致するかどうかの生体認証を行う。
取得生体情報と登録生体情報とが合致しない場合、生体認証部123は、生体認証によるユーザ認証に失敗したとして、その旨の認証結果を、コントローラ87に供給する。
また、取得生体情報と登録生体情報とが合致する場合、生体認証部123は、生体認証によるユーザ認証に成功したとして、その旨の認証結果を、コントローラ87に供給する。
コントローラ87は、生体認証部123から、ユーザ認証に成功した旨の認証結果が供給された場合、ユーザが注目チケットの正当な使用者であると認識し、ディスプレイドライバ86を制御して、認証待ち画像を、タッチパネル31に表示させる。
また、コントローラ87は、生体認証部123から、ユーザ認証に失敗した旨の認証結果が供給された場合、ユーザが注目チケットの正当な使用者ではなく、注目チケットでの入場を許可しない旨の入場可否判定を行う。
コントローラ87は、注目チケットでの入場を許可しない旨の入場可否判定を行った場合、ディスプレイドライバ86を制御して、NG画像を、タッチパネル31に表示させる。
なお、電子チケット記憶部85において、注目チケットに対応付けて、登録認証情報が登録(記憶)されていない場合、生体認証部123は、生体センサドライバ122からの取得生体情報を、登録生体情報として、注目チケットに対応付けて、電子チケット記憶部85に登録する。
<ゲート表示装置20及び携帯端末30の処理>
図22は、図21のゲート表示装置20及び携帯端末30の処理の例を説明するフローチャートである。
なお、図21のゲート表示装置20の処理は、図13の場合と同様であるため、図示及び説明を省略する。
ユーザは、サイト等から購入した電子チケットが電子チケット記憶部85に記憶された携帯端末30を携行する。そして、ゲート表示装置20(の表示部21)に表示された重畳画像を見て、適切な入場ゲート11のレーンに並び、入場ゲート11に向かって歩いて行く。
ユーザは、入場ゲート11に近づいたら、携帯端末30のタッチパネル31を操作して、チケットアプリケーションを起動する。
チケットアプリケーションが起動すると、コントローラ87は、ディスプレイドライバ86を制御することにより、電子チケット記憶部85に記憶された電子チケットの一覧(チケットリスト選択画面)を、タッチパネル31に表示させる。
その後、ユーザが、タッチパネル31を操作して、タッチパネル31に表示された電子チケットの一覧の中から、入場ゲート11からの入場に必要な電子チケットを選択すると、ステップS121において、コントローラ87は、ユーザが選択した電子チケットを、注目チケットとして選択する。
そして、処理は、ステップS121からステップS122に進み、以下、注目チケットを使用するユーザが、正当な使用者であるかどうかを確認するユーザ認証が、生体認証により行われる。
すなわち、ステップS122において、コントローラ87は、生体センサドライバ122を制御することにより、生体センサ121に、携帯端末30を所持するユーザの生体情報を取得させる。
生体センサ121は、生体センサドライバ122の制御に従い、例えば、ユーザの顔の画像や指紋等の生体情報を取得し、取得生体情報として、生体センサドライバ122に供給する。生体センサドライバ122は、生体センサ121からの取得生体情報を、生体認証部123に供給する。
その後、処理は、ステップS122からステップS123に進み、生体認証部123は、生体センサ121で生体情報が取得されたかどうか、すなわち、生体センサドライバ122から取得生体情報が供給されたかどうかを判定する。
ステップS123において、取得生体情報が供給されていないと判定された場合、処理は、ステップS122に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS123において、取得生体情報が供給されたと判定された場合、処理は、ステップS124に進み、生体認証部123は、電子チケット記憶部85に、注目チケットに対応付けられた登録生体情報が登録されているかどうかを判定する。
ステップS124において、登録生体情報が登録されていないと判定された場合、処理は、ステップS125に進み、生体認証部123は、取得生体情報を、注目チケットに対応付けて、電子チケット記憶部85に登録し、処理は、ステップS126に進む。
ステップS126では、図13のステップS32ないしS41と同様の、注目チケットのチケット認証を行うチケット認証処理が行われる。
一方、ステップS124において、登録生体情報が登録されていると判定された場合、処理は、ステップS127に進み、生体認証部123は、電子チケット記憶部85に登録された注目チケットに対応付けられた登録生体情報を読み出し、取得生体情報と登録生体情報とが合致するかどうかの生体認証を行うことにより、ユーザ認証を行う。
すなわち、ステップS127において、生体認証部123は、取得生体情報が、登録生体情報と合致するかどうかを判定する。
ステップS127において、取得生体情報が、登録生体情報と合致すると判定された場合、生体認証部123は、生体認証によるユーザ認証に成功したとして、その旨の認証結果を、コントローラ87に供給する。
コントローラ87は、生体認証部123から、ユーザ認証に成功した旨の認証結果が供給された場合、ユーザが注目チケットの正当な使用者であると認識する。この場合、処理は、ステップS127からステップS126に進み、図13のステップS32ないしS41と同様の、注目チケットのチケット認証を行うチケット認証処理が行われる。
一方、ステップS127において、取得生体情報が、登録生体情報と合致しないと判定された場合、生体認証部123は、生体認証によるユーザ認証に失敗したとして、その旨の認証結果を、コントローラ87に供給する。
コントローラ87は、生体認証部123から、ユーザ認証に失敗した旨の認証結果が供給された場合、ユーザが注目チケットの正当な使用者ではなく、注目チケットでの入場を許可しない旨の入場可否判定を行う。
コントローラ87が、注目チケットでの入場を許可しない旨の入場可否判定を行った場合、処理は、ステップS127からステップS128に進む。
ステップS128では、コントローラ87は、ディスプレイドライバ86を制御して、電子チケット記憶部85に記憶された注目チケットのチケット画像に含まれるNG画像を、タッチパネル31に表示させる。
ゲート係員は、ユーザが所持する携帯端末30(のタッチパネル31)に表示されたNG画像を確認した場合、ユーザを一旦引き留めて、適切な誘導を行う。
その後、処理は、ステップS128からステップS129に進み、コントローラ87は、ディスプレイドライバ86を制御することにより、タッチパネル31に表示されたNG画像を消去させる。
なお、図22では、図20と同様に、生体認証によるユーザ認証を行い、その後、チケット認証を行うこととしたが、ユーザ認証と、チケット認証とは、並列に行っても良いし、チケット認証を行い、その後、ユーザ認証を行っても良い。
<ユーザの行動及び携帯端末30の処理>
図23は、ユーザ認証とチケット認証の両方を行う場合の、ユーザの行動及び携帯端末30の処理の例を説明するシーケンス図である。
ステップS151において、ユーザは、チケットアプリケーションを起動する。
チケットアプリケーションは、起動後、ステップS161において、電子チケット記憶部85に、電子チケットの一覧であるチケットリストを要求して受信する。
さらに、チケットアプリケーションは、ステップS162において、チケットリストから注目チケットを選択するためのチケットリスト選択画面の表示を、タッチパネル31の表示部58(を制御するディスプレイドライバ86)に要求する。表示部58は、チケットアプリケーションからの要求に応じて、チケットリスト選択画面を表示する。
ユーザは、ステップS152において、表示部58に表示されたチケットリスト選択画面を見て、電子チケットを選択し、チケットアプリケーションは、ユーザが選択した電子チケットを、注目チケットに選択する。
さらに、チケットアプリケーションは、ステップS163において、生体センサ121を起動させる(生体センサ121の起動を、生体センサドライバ122に要求する)。
また、チケットアプリケーションは、ステップS164において、カメラ32を起動させる(カメラ32の起動を、カメラドライバ81に要求する)。
そして、チケットアプリケーションは、ステップS165において、認証待ち画像の表示を、表示部58に要求する。表示部58は、ステップS221において、チケットアプリケーションからの要求に応じて、認証待ち画像を表示する。
カメラ32の起動後、表示部58に表示された認証待ち画像を確認したユーザは、ステップS153において、カメラ32を、ゲート表示装置20に向ける。
また、チケットアプリケーションによって起動された生体センサ121は、ユーザの生体情報を取得し、ステップS191において、その生体情報を、取得生体情報として、チケットアプリケーションに供給する。
チケットアプリケーションは、生体センサ121からの取得生体情報を受信し、ステップS166において、電子チケット記憶部85に、注目チケットに対応付けられている登録生体情報を要求して取得する。
さらに、チケットアプリケーションは、ステップS167において、取得生体情報と登録生体情報とを用いて、それらが合致するかどうかの生体認証を行うことにより、ユーザ認証を行う。
なお、注目チケットに、登録生体情報が対応付けられていない場合、チケットアプリケーションは、ステップS167において、取得生体情報を、登録生体情報として、注目チケットに対応付けて、電子チケット記憶部85に登録する。
その後、チケットアプリケーションは、ステップS168において、生体センサ121による生体情報の取得を終了させる。
一方、ゲート表示装置20に向けられたカメラ32は、ゲート表示装置20に表示された重畳画像の撮影を開始し、ステップS211において、重畳画像の撮影により得られる撮影画像(の画像データ)を、チケットアプリケーションに供給する。
チケットアプリケーションは、ステップS169において、カメラ32からの撮影画像から符号化情報(ID情報)を抽出し、その抽出の成否を判定する。
チケットアプリケーションは、撮影画像からの符号化情報の抽出に成功すると、ステップS170において、その符号化情報をID情報に復号する。
そして、チケットアプリケーションは、ステップS171において、電子チケット記憶部85に、注目チケットの属性情報と使用回数とを要求して受信する。
チケットアプリケーションは、ステップS172において、注目チケットの使用回数をインクリメントし、そのインクリメント後の使用回数、注目チケットの属性情報、及び、撮影画像から抽出されたID情報を用いて、チケット認証を行い、さらに、入場可否判定を行う。
すなわち、チケットアプリケーションは、ID情報と、注目チケットの属性情報とを用いて、注目チケットのチケット認証を行うとともに、使用回数が、属性情報に含まれる上限値を超えているかどうかを判定する。
ステップS167でのユーザ認証に成功し、かつ、チケット認証に成功した場合、使用回数が上限値を超えていないときには、入場可否判定として、注目チケットでの入場を許可する旨の判定が行われる。
一方、ステップS167でのユーザ認証に失敗するか、若しくは、チケット認証に失敗した場合、又は、ユーザ認証及びチケット認証に成功したが、使用回数が上限値を超えている場合、入場可否判定として、注目チケットでの入場を許可しない旨の判定が行われる。
その後、ステップS173において、チケットアプリケーションは、カメラ32での重畳画像の撮影を終了させる。
さらに、チケットアプリケーションは、ステップS174において、入場可否判定の判定結果に応じて、入場可否画像、すなわち、OK画像又はNG画像を、電子チケット記憶部85に要求して取得する。
そして、チケットアプリケーションは、ステップS175において、入場可否画像の表示を、表示部58に要求する。表示部58は、ステップS222において、チケットアプリケーションからの要求に応じて、入場可否画像を表示する。
ユーザは、ステップS154において、表示部58に表示された入場可否画像を、ゲート係員に確認してもらう。
入場可否画像がOK画像である場合、ステップS155において、ユーザは、入場ゲート11を通過する。
そして、ステップS156において、ユーザは、入場可否画像の表示を終了するように、タッチパネル31を操作する。
チケットアプリケーションは、ステップS176において、ユーザの操作に応じて、表示部58での入場可否画像の表示を終了させる。
なお、入場可否画像がNG画像である場合、ユーザは、ゲート係員に引き留められる。
また、図23では、図14と同様に、ユーザの操作に応じて、入場可否画像の表示を終了させる(入場可否画像を消去する)こととしたが、入場可否画像は、図13で説明したように、符号化情報を抽出することができなくなってから、所定の時間が経過した場合に消去することができる。
さらに、図23では、ユーザ認証が行われる前に、ステップS221において、表示部58に、認証待ち画像を表示することとしたが、認証待ち画像は、図21及び図22で説明したように、ユーザ認証の成功後に表示することができる。
<本技術を適用した入場ゲートシステムの第2実施の形態>
図24は、本技術を適用した入場ゲートシステムの第2実施の形態の構成例を示す図である。
図24において、入場ゲートシステムは、1以上のゲート表示装置20と、ユーザが所持する携帯端末30とで構成される。
ゲート表示装置20は、図12の場合と同様に構成され、携帯端末30は、図12又は図21の場合と同様に構成される。
図19で説明したように、携帯端末30の抽出部85では、任意の画像を、元画像(の背景画像)として使用した場合であっても、撮影画像から、ID情報を抽出することができる。
一方、イベントでは、例えば、ユーザの気分を高揚するために、様々なビデオを上映することがある。例えば、コンサートイベントでは、上演者のプロモーションビデオを会場内で上映することがあり、映画館では、予告編のビデオを上映することがある。
携帯端末30では、そのようなビデオにID情報を重畳した重畳画像を撮影した撮影画像から、ID情報を抽出することができるので、ゲート表示装置20では、そのような重畳画像を表示することができる。
図24では、図示せぬ入場ゲートのレーンに沿って、プロモーションビデオにID情報を重畳した重畳画像を表示するゲート表示装置20が、フロアに、複数配置されている。
複数のゲート表示装置20では、それぞれ、様々なシーンのプロモーションビデオにID情報を重畳した重畳画像が表示されている。
ユーザは、複数のゲート表示装置20が配置されたレーンを、入場ゲートに向かって歩いて行き、その複数のゲート表示装置20に重畳画像として表示されたプロモーションビデオを楽しみながら、携帯端末30を、ゲート表示装置20にかざす。これにより、携帯端末30では、上述した場合と同様に、チケット認証(及びユーザ認証)を行うことができる。
<本技術を適用した入場ゲートシステムの第3実施の形態>
図25は、本技術を適用した入場ゲートシステムの第3実施の形態の構成例を示す図である。
図25において、入場ゲートシステムは、1以上のゲート表示装置210と、ユーザが所持する携帯端末30とで構成される。
図25において、ゲート表示装置210は、印刷物としてのポスタ211と、照明装置212とを有する。
印刷物としてのポスタ211には、例えば、イベントを宣伝する所定の画像(写真)が印刷されている。
照明装置212は、ポスタ211の上部に設置されている、例えば、スポットライトである。照明装置212は、照明としての光を発光し、ポスタ211を照明する。
図25の入場ゲートシステムでは、ユーザの気分を高揚させる目的で、イベント会場の入場ゲートのレーンに沿って、ポスタ211が掲げられている。
照明装置212は、ID情報に従って、照明の輝度を、人の視覚で知覚することができない程度の速さで変化させる。その結果、ポスタ211からの反射光による画像は、ポスタ211に印刷された画像に、ID情報が時間的輝度変化として重畳された重畳画像となる。
ユーザは、ポスタ211に、携帯端末30を向けて、ポスタ211からの反射光による重畳画像を撮影する。これにより、携帯端末30では、上述した場合と同様に、チケット認証(及びユーザ認証)を行うことができる。
<ゲート表示装置210及び携帯端末30の機能的構成例>
図26は、図25のゲート表示装置210及び携帯端末30の機能的構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図12の場合と対応する部分には、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図26において、携帯端末30は、図12と同様に構成される。
また、図26において、ゲート表示装置210は、表示部21に代えて、ポスタ211及び照明装置212が設けられている点で、図12のゲート表示装置20と相違する。
図26では、制御部73は、照明装置212に制御信号を供給することにより、符号化部72からの符号化情報に従って、照明装置212が発光する光の輝度を制御することで、ID情報(符号化されたID情報である符号化情報)を、ポスタ211に印刷された画像(元画像)に重畳する。
すなわち、制御部73は、符号化情報に従って、照明装置212の輝度を、人の視覚で知覚することができない速さで変化させる(変調する)ことで、ID情報を、時間的輝度変化として、ポスタ211に印刷された画像に重畳する。これにより、ポスタ211からの反射光による画像は、ID情報が、時間的輝度変化として、ポスタ211に印刷された画像に重畳された重畳画像になる。
携帯端末30では、ポスタ211からの反射光による画像(重畳画像)が撮影される。そして、携帯端末30では、その撮影により得られる撮影画像からID情報が抽出され、そのID情報を用いて、チケット認証が行われる。
なお、ID情報は、上述のように、ポスタ211に印刷された画像に重畳する他、例えば、プロジェクタにおいて、所定の画像に、時間的輝度変化として重畳することができる。この場合、携帯端末30では、プロジェクタがスクリーンに投影する画像を撮影し、その撮影により得られる画像から、ID情報を抽出することができる。
また、図26において、携帯端末30は、図21に示した場合と同様に構成することができる。
<本技術を適用した入場ゲートシステムの第4実施の形態>
図27は、本技術を適用した入場ゲートシステムの第4実施の形態の構成例を示す図である。
図27において、入場ゲートシステムは、1以上のゲート表示装置300と、ユーザが所持する携帯端末30とで構成される。
図27において、ゲート表示装置300は、ゲート表示装置20と同様に、表示部21を有し、元画像に、ID情報とともに、クーポン(電子的なクーポンの情報)を重畳した重畳画像を表示する。
ここで、イベントでは、ユーザへの特典授与として、例えば、1ドリンクの無料提供サービス等のクーポンを、入場のときにもらえることがある。
図27の入場ゲートシステムでは、ゲート表示装置300において、元画像に、ID情報とともに、クーポンを、時間的輝度変化として重畳した重畳画像を表示することで、ユーザに、クーポンを提供する。
すなわち、図27の入場ゲートシステムでは、ユーザが、携帯端末30で重畳画像を撮影することにより、チケット認証を行うとともに、ユーザにクーポンを提供することができる。
図27では、図示せぬ入場ゲートのレーンに沿って、複数のゲート表示装置300が、フロアに配置されている。
複数のゲート表示装置300では、それぞれ、入場ゲートへの案内のためのテキストと、イベント会場で購入することができる商品とが表示された元画像に、ID情報及びクーポンを重畳した重畳画像が表示されている。
重畳画像に表示された商品は、例えば、ゲート表示装置300ごとに異なっており、重畳画像に重畳されたクーポンは、その重畳画像に表示された商品の割引クーポンになっている。
ユーザは、複数のゲート表示装置300が配置されたレーンを、入場ゲートに向かって歩いて行き、所望の商品の重畳画像が表示されたゲート表示装置300に、携帯端末30をかざす。これにより、携帯端末30では、上述した場合と同様に、チケット認証(及びユーザ認証)が行われる。さらに、携帯端末30では、ユーザが所望する商品のクーポンが取得される。
<ゲート表示装置300及び携帯端末30の機能的構成例>
図28は、図27のゲート表示装置300及び携帯端末30の機能的構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図12の場合と対応する部分には、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図28において、ゲート表示装置300は、クーポン記憶部74が新たに設けられている点で、図12の場合と相違する。
クーポン記憶部74は、元画像に表示される商品のクーポンを記憶している。
図28では、符号化部72は、クーポン記憶部74に記憶されたクーポンを、例えば、ID情報に続けて、ID情報と同様に符号化し、その結果得られる符号化情報を、制御部73に供給する。
ここで、図28では、元画像は、図27で説明したように、入場ゲートへの案内のためのテキストと、イベント会場で購入することができる商品とが表示された画像になっている。
したがって、図28では、制御部73が、符号化部72からの符号化情報に従って、バックライト21Bが発光する光の輝度を制御することで、入場ゲートへの案内のためのテキストと、イベント会場で購入することができる商品とが表示された元画像に、その商品のクーポンとID情報とが重畳された重畳画像が、表示部21に表示される。
携帯端末30において、表示部21に表示された重畳画像が撮影されると、その撮影により得られる撮影画像から、ID情報が抽出され、そのID情報を用いて、チケット認証が行われる。
さらに、図28では、携帯端末30において、撮影画像から、クーポンが、ID情報と同様に抽出される。
すなわち、携帯端末30では、抽出部82において、撮影画像から、クーポンの符号化情報が抽出され、復号部83において、その符号化情報がクーポンに復号される。
復号部83で復号されたクーポンは、電子チケット記憶部85に供給され、注目チケットに対応付けて登録される。
電子チケット記憶部85に、注目チケットと対応付けて登録されたクーポンは、ユーザが、携帯端末30を操作することで、タッチパネル31に表示される。ユーザは、タッチパネル31に表示されたクーポンを、イベント会場で提示することで、所望の商品に対するサービスを受けることができる。
なお、図28において、携帯端末30では、図21の場合と同様に、生体認証によるユーザ認証を行うようにすることができる。
以上のような本技術を適用した入場ゲートシステムによれば、上述したイベント等の入場についての第1ないし第5の要請に応えることができる。
すなわち、イベント等の入場については、第1の要請として、多人数を同時に入場させる(入場ゲートを通過させる)ことができることが要請されているが、本技術を適用した入場ゲートシステムによれば、第1の要請に応えることができる。
例えば、本技術の入場ゲートシステムでは、入場ゲート11のゲート表示装置20において(ゲート表示装置210及び300でも同様)、ID情報を重畳した重畳画像を表示し、その重畳画像を、携帯端末30で撮影することで、チケット認証が行われる。
したがって、本技術を適用した入場ゲートシステムでは、チケット認証が、個々の携帯端末30で実行されるので、チケット認証の処理を、多数のユーザについて、完全に並列処理で行うことができる。
また、本技術を適用した入場ゲートシステムによれば、ゲート表示装置20で表示する重畳画像を十分大きくすることで、ゲート表示装置20から少々離れた位置からでも、チケット認証を開始することができる。
さらに、本技術を適用した入場ゲートシステムによれば、チケット認証にあたって、認証サーバとの通信がないので、チケット認証の速度が、イベント会場の通信帯域で律速されない。
その結果、ユーザは、入場ゲート11に向かって歩く歩調をゆるめることなく通過することができる。
また、本技術を適用した入場ゲートシステムでは、ゲート表示装置20において、元画像にID情報を時間的輝度変化として重畳し、その重畳により得られる重畳画像を表示する。そして、携帯端末30において、重畳画像を撮影し、その撮影により得られる撮影画像から、ID情報を抽出する。
携帯端末30において、撮影画像から、ID情報を抽出する抽出技術としては、フォーカルプレーンシャッタ方式のイメージセンサを有するカメラ32で重畳画像を撮影することで、重畳画像の時間的輝度変化として重畳されたID情報を、撮影画像の空間的輝度変化に変換する技術を採用する。
フォーカルプレーションシャッタ方式のイメージセンサとしては、例えば、CMOSイメージセンサがあり、スマートフォン等の携帯端末に広く採用されている。したがって、撮影画像からのID情報の抽出にあたり、ユーザに、特殊なデバイスの準備を要求する必要がない。
また、本技術を適用した入場ゲートシステムでは、チケット認証等による入場可否判定の判定結果が、結果画像として、携帯端末30に表示されるので、ゲート係員は、その結果画像を見るだけで、電子チケットのチェックを、容易に行うことができる。
さらに、結果画像は、電子チケットに含めて、ユーザに提供することができる。この場合、イベントの主催者が、例えば、確認が容易で、その場での複製が困難な画像を、結果画像として用意することができる。
また、本技術を適用した入場ゲートシステムでは、携帯端末30のタッチパネル31と同一の正面に設けられたカメラ32で、ゲート表示装置20に表示された重畳画像を撮影することができる。したがって、ユーザは、携帯端末30で、重畳画像を撮影しつつ、その撮影により得られる撮影画像から抽出されるID情報を用いたチケット認証等による入場可否判定の判定結果としての結果画像を、ゲート係員に提示する体勢をとることができる。その結果、ユーザが入場ゲート11を通過する通過速度を速くすることができる。
さらに、本技術を適用した入場ゲートシステムでは、携帯端末30において、ID情報を抽出することができなくなってから、所定の時間の経過後に、結果画像を消去することができる。この場合、ユーザが入場ゲート11の通過した後、それほど間をおかずに、結果画像が消去されるので、結果画像を、その場で、第三者が不正に複製することを困難にすることができる。
また、イベント等の入場については、第2の要請として、クラスの異なるレーンが隣接している場合に混乱がないことが要請されているが、本技術を適用した入場ゲートシステムによれば、第2の要請に応えることができる。
例えば、本技術を適用した入場ゲートシステムでは、ID情報が、重畳画像に重畳された形の可視光で、ゲート表示装置20から携帯端末30に情報伝達される。可視光の指向性によれば、携帯端末30のカメラ32を、隣のレーンのゲート表示装置20に向けない限り、隣のレーンとの間でのID情報の混信をすることはない。
その結果、隣のレーンとの間でのID情報が混信することによる、チケット認証のエラーを防止し、ひいては、クラスの異なるレーンが隣接している場合に混乱が生じることを防止することができる。
また、イベント等の入場については、第3の要請として、再入場の禁止や制限に対応することが要請されているが、本技術を適用した入場ゲートシステムによれば、第3の要請に応えることができる。
例えば、認証に用いるQRコード等をリーダで読み取って、認証を行う場合には、認証は、QRコード等を読み取る側で行われる。
これに対して、本技術を適用した入場ゲートシステムでは、チケット認証が、ゲート表示装置20ではなく、携帯端末30で行われる。そのため、携帯端末30において、電子チケットの使用回数を記憶することができる。
そして、携帯端末30に記憶された電子チケットの使用回数を用いることにより、電子チケットでの再入場を禁止することや、電子チケットでの(再)入場を、複数回数であるN回までに制限することに対応することができる。
なお、携帯端末30に記憶された電子チケットの使用回数を用いて、再入場を禁止することや、入場をN回までに制限することとしても、そのために、ゲート表示装置20と携帯端末30との間の通信は発生しない。したがって、使用回数を用いて、再入場を禁止することや、入場をN回までに制限することとしても、ユーザが入場ゲート11を通過する通過速度を低下させる要因にはならない。
イベント等の入場については、第4の要請として、チケットの使い回しの禁止に対応することが要請されているが、本技術を適用した入場ゲートシステムによれば、第4の要請に応えることができる。
例えば、本技術を適用した入場ゲートシステムでは、チケット認証と、生体認証によるユーザ認証とを行い、そのチケット認証及びユーザ認証の結果に応じて、入場可否判定を行うことができる。生体認証によるユーザ認証によれば、例えば、2回目以降の入場時において、初回の入場時のユーザと異なるユーザが、電子チケットを使用していないかどうかを確認することができる。
また、本技術を適用した入場ゲートシステムでは、生体認証に用いるユーザの生体情報は、携帯端末30の外部に出力されることがなく、個人情報の保護に資することができ、ユーザは、生体認証を安心して利用することができる。
電子チケットにユーザの生体情報を対応付ける対応付け方法としては、図20で説明したように、電子チケットの最初の使用時に、取得生体情報を、登録生体情報として、電子チケットに対応付ける第1の対応付け方法がある。さらに、対応付け方法としては、図20で説明したように、電子チケットの購入直後等の、電子チケットを使用する前の任意のタイミングにおいて、取得生体情報を、登録生体情報として、電子チケットに対応付ける第2の対応付け方法がある。
電子チケットを使用する使用者が、携帯端末30を所有する所有者と異なる場合には、電子チケットに使用者の生体情報を対応付ける対応付け方法として、第1の対応付け方法を採用することができる。
すなわち、例えば、ユーザが、携帯端末30を、イベント会場でレンタルし、必要に応じて、電子チケットを購入して、その電子チケットを、イベント会場への入場や商品の購入等に使用する場合には、第1の対応付け方法によって、電子チケットの使用者としてのユーザの生体情報を、電子チケットに対応付けることができる。
また、例えば、電子チケットを購入した購入者のみが、その電子チケットを使用することができるイベントについては、購入者の生体情報を電子チケットに対応付ける対応付け方法として、第2の対応付け方法を採用し、例えば、電子チケットの購入時(直後)に、購入者の生体情報を、電子チケットに対応付けることができる。
生体情報としては、図20で説明したように、顔全体の画像や、眼の部分の画像、指紋等を採用することができる。
生体情報として、顔全体の画像や眼の部分の画像を採用する場合には、その顔全体の画像や眼の部分の画像の撮影に、携帯端末30の正面のカメラ32の反対側に設けられたカメラ33を使用することができる。
顔全体の画像や眼の部分の画像の撮影に、カメラ33を使用することにより、携帯端末30の正面のカメラ32を、ゲート表示装置20に向けるとともに、携帯端末30の背面のカメラ33を、ユーザに向けて、重畳画像の撮影と、顔の画像の撮影とを同時に行うことができる。さらに、この場合、ユーザは、重畳画像を撮影した撮影画像に重畳されたID情報を用いたチケット認証と、顔の画像を用いた生体認証によるユーザ認証との認証結果に応じて、携帯端末30の正面のタッチパネル31に表示される結果画像を、ゲート係員に提示する動作も、同時に行うことができる。
イベント等の入場については、第5の要請として、入場ゲートの設置コストか安価で、仮設が可能であることが要請されるが、本技術を適用した入場ゲートシステムによれば、第5の要請に応えることができる。
本技術を適用した入場ゲートシステムでは、入場ゲート11、又は、入場ゲート11の付近に、ゲート表示装置20を設置するだけで、認証を行う認証サーバを用意することなく、チケット認証(及びユーザ認証)を行うことができる。
ここで、本明細書において、コンピュータ(CPU41,51)がプログラムに従って行う処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に行われる必要はない。すなわち、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含む。
また、プログラムは、1のコンピュータ(プロセッサ)により処理されるものであっても良いし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであっても良い。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであっても良い。
さらに、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
なお、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
例えば、本技術は、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
なお、本技術は、以下のような構成をとることができる。
<1>
電子チケットでの入場の可否の判定に用いられるID情報を所定の画像に重畳した重畳画像を撮影した撮影画像から、前記ID情報を抽出する抽出部と、
記憶部に記憶された前記電子チケットと、前記ID情報とを用いて、前記電子チケットでの入場の可否を判定する入場可否判定部と
を備える情報処理装置。
<2>
前記重畳画像を提供する提供装置は、前記ID情報を、時間的輝度変化として、前記所定の画像に重畳し、
前記撮影画像は、前記重畳画像をフォーカルプレーンシャッタ方式のカメラで撮影した画像であり、
前記抽出部は、前記撮影画像の空間的輝度変化に基づいて、前記ID情報を抽出する
<1>に記載の情報処理装置。
<3>
前記提供装置は、
バックライトを有し、画像を表示する表示部を備え、
前記ID情報に従って、前記バックライトの輝度を制御することにより、前記所定の画像に、前記ID情報を重畳する
<2>に記載の情報処理装置。
<4>
前記提供装置は、
前記所定の画像が印刷された印刷物を照明する照明装置を備え、
前記ID情報に従って、前記照明装置による照明の輝度を制御することにより、前記所定の画像に、前記ID情報を重畳する
<2>に記載の情報処理装置。
<5>
前記抽出部は、
前記撮影画像の画素のうちの、背景画素のみを対象として、画素値の積分を、ラインごとに行うことにより、ライン積分値を求め、
前記撮影画像のラインすべての前記ライン積分値の平均値に対する前記ライン積分値の偏差を求め、
前記カメラのシャッタの特性を表すシャッタ関数を用いて、前記ライン積分値の偏差のデコンボリューションを行うことで、前記撮影画像に重畳された前記ID情報を分離する
<2>ないし<4>のいずれかに記載の情報処理装置。
<6>
前記カメラは、ラインごとに異なる露光時間である第1の露光時間及び第2の露光時間で、前記重畳画像を撮影し、
前記第1の露光時間は、前記撮影画像の輝度が変化する周期の整数倍の時間であり、
前記抽出部は、
前記重畳画像を、ラインごとに異なる露光時間で撮影することにより得られる前記撮影画像の、前記第1の露光時間で撮影された画素の画素値の積分を、ラインごとに行うことにより、第1の積分値を求めるとともに、前記第2の露光時間で撮影された画素の画素値の積分を、ラインごとに行うことにより、第2の積分値を求め、
前記第2の積分値が、前記ID情報と前記第2の露光時間を表すシャッタ関数とのコンボリューションと、前記第1の積分値との積に比例することを利用して、前記撮影画像に重畳された前記ID情報を分離する
<2>ないし<4>のいずれかに記載の情報処理装置。
<7>
前記電子チケットでの入場の可否の判定結果を表す結果画像を表示する結果表示部をさらに備える
<1>ないし<6>のいずれかに記載の情報処理装置。
<8>
前記結果画像は、前記電子チケットに対応付けられている
<7>に記載の情報処理装置。
<9>
前記重畳画像を撮影して、前記撮影画像を取得するカメラをさらに備え、
前記カメラ、及び、前記結果表示部は、同一の面に設けられている
<7>又は<8>に記載の情報処理装置。
<10>
前記結果表示部が前記結果画像を表示した後、前記抽出部が前記ID情報を抽出することができなくなった場合、前記ID情報を抽出することができなくなってから、所定の時間が経過した後に、前記結果表示部に表示された前記結果画像を消去する
<7>ないし<9>のいずれかに記載の情報処理装置。
<11>
前記記憶部は、前記電子チケットの使用回数を記憶し、
前記入場可否判定部は、前記使用回数が上限値を超えている場合、前記電子チケットでの入場が不可であると判定する
<1>ないし<10>のいずれかに記載の情報処理装置。
<12>
ユーザの生体情報を取得する生体センサと、
前記生体情報を用いて、認証を行う認証部と
をさらに備え、
前記生体情報を用いた認証の結果によっても、前記電子チケットでの入場の可否を判定する
<1>ないし<11>のいずれかに記載の情報処理装置。
<13>
前記生体センサで取得された生体情報である取得生体情報を、前記電子チケットの最初の使用時に、登録生体情報として、前記電子チケットに対応付けて記憶し、
前記認証部は、前記取得生体情報と前記登録生体情報とを比較することにより、認証を行う
<12>に記載の情報処理装置。
<14>
前記生体センサで取得された生体情報である取得生体情報を、前記電子チケットが使用される前に、登録生体情報として、前記電子チケットに対応付けて記憶し、
前記認証部は、前記取得生体情報と前記登録生体情報とを比較することにより、認証を行う
<12>に記載の情報処理装置。
<15>
前記生体センサは、画像を撮影するカメラであり、
前記認証部は、前記生体センサとしてのカメラで撮影された前記生体情報としての顔の画像を用いて、顔画像認証、又は、虹彩認証を行う
<12>ないし<14>のいずれかに記載の情報処理装置。
<16>
前記生体センサは、指紋を取得する指紋センサであり、
前記認証部は、前記指紋センサで取得された指紋を用いて、指紋認証を行う
<12>ないし<14>のいずれかに記載の情報処理装置。
<17>
前記重畳画像を撮影して、前記撮影画像を取得する第1のカメラと、
前記第1のカメラの背面側に設けられた第2のカメラと
をさらに備え、
前記生体センサは、前記第2のカメラである
<12>ないし<15>のいずれかに記載の情報処理装置。
<18>
電子チケットでの入場の可否の判定に用いられるID情報を所定の画像に重畳した重畳画像を撮影した撮影画像から、前記ID情報を抽出し、
記憶部に記憶された前記電子チケットと、前記ID情報とを用いて、前記電子チケットでの入場の可否を判定する
ステップを含む情報処理方法。
<19>
電子チケットでの入場の可否の判定に用いられるID情報を所定の画像に重畳した重畳画像を撮影した撮影画像から、前記ID情報を抽出する抽出部と、
記憶部に記憶された前記電子チケットと、前記ID情報とを用いて、前記電子チケットでの入場の可否を判定する入場可否判定部と
して、コンピュータを機能させるためのプログラム。
<20>
電子チケットでの入場の可否の判定に用いられるID情報を所定の画像に重畳した重畳画像を提示する提示装置と、
前記提示装置が提示する前記重畳画像を撮影した撮影画像から、前記ID情報を抽出する抽出部と、
記憶部に記憶された前記電子チケットと、前記ID情報とを用いて、前記電子チケットでの入場の可否を判定する入場可否判定部と
を有する情報処理装置と
を備える情報処理システム。