以下図面により本発明の実施の形態を詳述する。
[各実施形態の特徴]
第1の実施形態の特徴は本発明の基本的な構成であり、比較的弱い衝撃によってステップモータのロータの回転が180度以下である場合に対応したロックパルス発生回路を備えた構成である。第2の実施形態の特徴は、強い衝撃によってステップモータのロータの回転が180度以上である場合に対応したロックパルス発生回路を備えた構成である。
[第1の実施形態]
[第1の実施形態の2コイルステップモータ用駆動回路の構成説明:図1]
第1の実施形態の2コイルステップモータ用駆動回路の概略構成を図1を用いて説明する。図1において、符号1は第1の実施形態の2コイルステップモータ用駆動回路(以下、駆動回路1と略す)である。
駆動回路1は、水晶振動子(図示せず)によって所定の基準信号P1を出力する発振回路2、基準信号P1を入力して各回路を制御する制御信号CN1〜CN4を出力する制御回路3、駆動パルス発生回路4、ロックパルス発生回路10、検出パルス発生回路6、パルス選択回路7、ドライバ回路20、検出回路30を有している。
符号40は2コイルステップモータ(以下、ステップモータ40と略す)であり、第1のコイルとしてコイルA、第2のコイルとしてコイルBを有している。なお、ステップモータ40の詳細は後述する。
駆動パルス発生回路4は、制御信号CN1を入力して、ステップモータ40を駆動する駆動パルスSPをパルス選択回路7に出力する。
ロックパルス発生回路10は、LP1発生回路11とLP2発生回路12とを有し、制御信号CN2を入力して、ロックパルスLPをパルス選択回路7に出力する。ロックパルス発生回路10の動作は後述するが、ステップモータ40のロータ41の静止位置に応じて、LP1発生回路11からロックパルスLP1が発生し、また、LP2発生回路12からロックパルスLP2が発生する。なお、ロックパルスLP1とLP2をまとめてロックパルスLPと称する。
検出パルス発生回路6は、制御信号CN3を入力して所定の周期の検出パルスCPをドライバ回路20と検出回路30に出力する。この検出パルスCPが、ステップモータ40のコイルA、コイルBに出力されることで、二つのコイルA、コイルBは、衝撃を検出する検出コイルとして機能する。
パルス選択回路7は、駆動パルスSPとロックパルスLPとを入力し、駆動パルスSPとロックパルスLPとを選択してドライバ制御パルスDPとしてドライバ回路20に出力する。
ドライバ回路20は、ドライバ制御パルスDPと検出パルスCP、及び制御信号CN4を入力し、各パルス信号に基づいた駆動波形O1、O2、O3、O4をステップモータ40のコイルA、コイルBに供給し、ステップモータ40を駆動する。
検出回路30は、制御回路3からの制御信号CN4、検出パルスCP、及び駆動波形O1〜O4に発生する検出信号CSを入力し、ステップモータ40からの逆起電流によってロータの動き(回転)を検出し、衝撃信号CKを制御回路3に出力する。なお、ドライバ回路20と検出回路30の詳細構成は後述する。
[ステップモータの概略構成の説明:図2]
次に、ステップモータ40の概略構成を図2を用いて説明する。図2において、ステップモータ40は、ロータ41、ステータ42、二つのコイルA、コイルBなどによって構成される。ロータ41は2極磁化された円盤状の回転体であり、径方向にN極、S極に着磁されている。
ステータ42は、軟磁性材によって成り、ロータ41が挿入されるロータ穴42dが設けられ、このロータ穴42dにロータ41が配置されている。ステータ42は、ロータ41に略対向して第1のステータ磁極部42a(以下、第1磁極部42aと略す)と第2のステータ磁極部42b(以下、第2磁極部42bと略す)が設けられており、また、第1磁極部42aと第2磁極部42bの間にあってロータ41に向き合う位置に第3のステータ磁極部42c(以下、第3磁極部42cと略す)が設けられている。
また、第1磁極部42aと第3磁極部42cに磁気的に結合するコイルAと、第2磁極部42bと第3磁極部42cに磁気的に結合するコイルBが設けられている。
コイルAは絶縁基板上にコイル端子O1、O2を有しており、コイルAの巻線の両端が接続されている。また、コイルBは絶縁基板上にコイル端子O3、O4を有しており、コイルBの巻線の両端が接続されている。この各コイル端子O1〜O4に、前述したドライバ回路20から出力される駆動波形O1〜O4が供給される。なお、説明をわかりやすくするために、各コイル端子と各駆動波形の符号を共通にしている。
また、図2で示すロータ41は静止状態であり、図面の上方を0度と規定し、そこから反時計回りに90度、180度、270度と規定する。そして、ロータ41は、N極が0度に位置するときと180度に位置するときが、静止位置(静的安定点)である。よって、図2で示すロータ41は、N極が静止位置0度にある。なお、ここで示すロータ41の回転角度の規定は、後述するロータ41のすべてに適用される。
[ステップモータの基本動作の説明:図3、図4]
次に、コイルを二つ有する2コイルステップモータの駆動動作は公知であるが、本発明を理解する上で必要であるので、ステップモータ40を駆動する駆動波形の一例とロータ41の回転動作の概要を図3と図4を用いて説明する。
図3(a)は、ステップモータ40のロータ41のN極が静止位置0度から正転(反時計回り)するための駆動パルスSP1の駆動波形であり、図3(b)は、ロータ41のN極が静止位置0度である状態を示し、図3(c)〜図3(e)は、駆動パルスSP1によるロータ41の回転状態を示している。なお、図3(b)〜図3(e)及び後述する図4(b)〜図4(e)に示すステップモータ40は、ロータ41付近のみを図示している。
まず、ロータ41のN極が静止位置0度から正転(反時計回り)するときの駆動パルスSP1とロータ41の回転動作を図3を用いて説明する。図3(a)において、ロータ41のN極が0度のとき、駆動パルスSP1は、ロータ41を1ステップ(180度)正転させるために三つの小駆動パルスSP11、SP12、SP13で構成される。小駆動パルスSP11、SP12、SP13の電位は、0V(VDD)と−V(たとえば−1.5V)で構成される。
この小駆動パルスSP11〜SP13をステップモータ40のコイルA、コイルBに順次供給する。まず、小駆動パルスSP11を供給すると、コイルAのコイル端子O1は−V、コイル端子O2は0V、コイルBのコイル端子O3、O4は共に0Vとなる。これにより、コイルAのO2からO1に駆動電流が流れ、コイルBには駆動電流が流れない。
その結果、図3(c)に示すように、コイルAに磁束が発生して、第1磁極部42aがS極、第3磁極部42cがN極に磁化される。また、コイルBには磁束が発生しないので、第2磁極部42bは、第3磁極部42cと同じN極となる。それにより、ロータ41のN極と第1磁極部41aのS極が引き合って、ロータ41は反時計回りに約60度回転する。
次に、ステップモータ40に小駆動パルスSP12を供給すると、コイルAのコイル端子O1、O2は共に0Vになり、コイルBのコイル端子O3は−V、O4は0Vとなる。これにより、コイルAには駆動電流が流れず、コイルBのO4からO3に駆動電流が流れる。
その結果、図3(d)に示すように、コイルBに磁束が発生して、第2磁極部42bがN極、第3磁極部42cがS極に磁化される。また、コイルAには磁束が発生しないので、第1磁極部42aは、第3磁極部42cと同じS極となる。それにより、ロータ41のN極と第1磁極部41a、第3磁極部41cのS極が引き合って、ロータ41は反時計回りにさらに約60度回転する。
次に、ステップモータ40に小駆動パルスSP13を供給すると、コイルAのコイル端子O1は0V、コイル端子O2は−Vになり、コイルBのコイル端子O3は−V、O4は0Vとなる。これにより、コイルAのO1からO2に駆動電流が流れ、コイルBのO4からO3に駆動電流が流れる。
その結果、図3(e)に示すように、コイルAとコイルBの両方に同じ向きの磁束が発生して、第1磁極部41aと第2磁極部42bがN極、第3磁極部42cがS極に磁化される。それにより、ロータ41のN極と第3磁極部41cのS極が引き合って、ロータ41は反時計回りにさらに約60度回転し、ロータ41は、静止位置0度(図3(b)参照)から180度(1ステップ)回転し、ロータ41のN極は静止位置180度になる。
次に、ロータ41のN極が静止位置180度から更に正転(反時計回り)するときの駆動パルスSP2とロータ41の回転の様子を図4を用いて説明する。図4(a)は、ステップモータ40のロータ41のN極が静止位置180度から正転(反時計回り)するための駆動パルスSP2の駆動波形であり、図4(b)は、ロータ41のN極が静止位置180度である状態を示し、図4(c)〜図4(e)は、駆動波形SP2によるロータ41の回転状態を示している。
図4(a)において、ロータ41のN極が180度のとき、駆動パルスSP2は、ロータ41を1ステップ(180度)正転させるために三つの小駆動パルスSP21、SP22、SP23で構成される。小駆動パルスSP21、SP22、SP23の電位は、0V(VDD)と−V(たとえば−1.5V)で構成される。
この小駆動パルスSP21〜SP23をステップモータ40のコイルA、コイルBに順次供給する。まず、小駆動パルスSP21を供給すると、コイルAのコイル端子O1は0V、コイル端子O2は−V、コイルBのコイル端子O3、O4は共に0Vとなる。これにより、コイルAのO1からO2に駆動電流が流れ、コイルBには駆動電流が流れない。
その結果、図4(c)に示すように、コイルAに磁束が発生して、第1磁極部42aがN極、第3磁極部42cがS極に磁化される。また、コイルBには磁束が発生しないので、第2磁極部42bは、第3磁極部42cと同じS極となる。それにより、ロータ41のS極と第1磁極部41aのN極が引き合って、ロータ41は反時計回りに約60度回転する。
次に、ステップモータ40に小駆動パルスSP22を供給すると、コイルAのコイル端子O1、O2は共に0Vになり、コイルBのコイル端子O3は0V、O4は−Vとなる。これにより、コイルAには駆動電流が流れず、コイルBのO3からO4に駆動電流が流れる。
その結果、図4(d)に示すように、コイルBに磁束が発生して、第2磁極部42bがS極、第3磁極部42cがN極に磁化される。また、コイルAには磁束が発生しないので、第1磁極部42aは、第3磁極部42cと同じN極となる。それにより、ロータ41のS極と第1磁極部41a、第3磁極部41cのN極が引き合って、ロータ41は反時計回りにさらに約60度回転する。
次に、ステップモータ40に小駆動パルスSP23を供給すると、コイルAのコイル端子O1は−V、コイル端子O2は0Vになり、コイルBのコイル端子O3は0V、O4は−Vとなる。これにより、コイルAのO2からO1に駆動電流が流れ、コイルBのO3からO4に駆動電流が流れる。
その結果、図4(e)に示すように、コイルAとコイルBの両方に同じ向きの磁束が発生して、第1磁極部41aと第2磁極部42bがS極、第3磁極部42cがN極に磁化される。それにより、ロータ41のS極と第3磁極部41cのN極が引き合って、ロータ41は反時計回りにさらに約60度回転し、ロータ41は、静止位置180度(図4(b)参照)から180度(1ステップ)回転し、ロータ41のN極は元の静止位置0度になる。
なお、ステップモータ40の逆転駆動(時計回り)は、駆動パルスSP1とSP2の各小駆動パルスの駆動電流の方向を変えることで実現できるが、よく知られているので説明は省略する。このように、2コイルステップモータは、三つの小駆動パルスによって、正転駆動と逆転駆動が可能であり、正転と逆転の駆動が同一タイミングの駆動波形であるので、正転と逆転の駆動スピードが等しく正逆高速ステップモータを実現できる。
[ドライバ回路と検出回路の回路構成の説明:図5]
次に、ステップモータ40を駆動するドライバ回路20と、ロータ41の動きを検出する検出回路30の回路構成の一例を図5を用いて説明する。図5において、ドライバ回路20は、合計4つのバッファ回路によって構成される。すなわち、低ON抵抗のPチャンネルMOSトランジスタであるトランジスタP1と、低ON抵抗のNチャンネルMOSトランジスタであるトランジスタN1と、のコンプリメンタリ接続でなるバッファ回路は、駆動波形O1を出力してコイルAのコイル端子O1に接続される。
また同様に、低ON抵抗のトランジスタP2とトランジスタN2とでなるバッファ回路は、駆動波形O2を出力してコイルAのコイル端子O2に接続される。
また同様に、低ON抵抗のトランジスタP3とトランジスタN3とでなるバッファ回路は、駆動波形O4を出力してコイルBのコイル端子O4に接続される。
また同様に、低ON抵抗のトランジスタP4とトランジスタN4とでなるバッファ回路は、駆動波形O3を出力してコイルBのコイル端子O3に接続される。
各トランジスタP1〜P4、N1〜N4のゲート端子Gは、図示しないが、パルス選択回路7からのドライバ制御パルスDPを入力し、駆動パルスSPに基づいてON/OFF制御され、コイルA、コイルBに駆動波形O1〜O4を供給する。たとえば、前述した小駆動パルスPS13(図3(a)参照)でコイルAのコイル端子O1からコイル端子O2へ駆動電流を流す場合は、トランジスタP1とトランジスタN2をON、トランジスタP2とトランジスタN1をOFFすればよい。
次に、検出回路30は、4組のPチャンネルMOSトランジスタTP1〜TP4(以下、トランジスタTP1〜TP4と略す)と検出抵抗R1〜R4、及び、検出抵抗R1〜R4の端子電圧をそれぞれ入力する衝撃判定回路31とを有している。ここで、トランジスタTP1のソース端子SはVDDに接続され、トランジスタTP1のドレイン端子Dは検出抵抗R1の一方の端子に接続され、検出抵抗R1の他方の端子は、コイルAのコイル端子O1に接続される。
また、トランジスタTP2のソース端子SはVDDに接続され、トランジスタTP2のドレイン端子Dは検出抵抗R2の一方の端子に接続され、検出抵抗R2の他方の端子は、コイルAのコイル端子O2に接続される。また、トランジスタTP3のソース端子SはVDDに接続され、トランジスタTP3のドレイン端子Dは検出抵抗R3の一方の端子に接続され、検出抵抗R3の他方の端子は、コイルBのコイル端子O4に接続される。
また、トランジスタTP4のソース端子SはVDDに接続され、トランジスタTP4のドレイン端子Dは検出抵抗R4の一方の端子に接続され、検出抵抗R4の他方の端子は、コイルBのコイル端子O3に接続される。
また、衝撃判定回路31は、検出抵抗R1〜R4の他方の端子、すなわち、コイルAのコイル端子O1、O2、コイルBのコイル端子O3、O4を入力し、コイルA、Bに発生する逆起電流による電圧(検出信号CS)が閾値Vthを超えたか否かを判定して、その結果を衝撃信号CKとして出力する。
この衝撃判定回路31は、たとえば、電源電圧の約1/2が閾値VthとなるC−MOSのインバータ回路でもよい。また、この閾値Vthを可変にして、検出信号CSに対する検出感度を調節できる回路を採用してもよい。なお、閾値Vthは、電源VDD(OV)に対してマイナスの電圧である。
ドライバ回路20と検出回路30の各トランジスタは、図示しないが、検出パルスCPと制御回路3からの制御信号CN4によって各ゲート端子Gが制御され、衝撃によってコイルAとコイルBに発生する逆起電流の検出方向を切り替える切替手段として機能する。なお、検出回路30の詳細な動作説明は後述する。
[衝撃によるロータの回転と逆起電流の説明:図6〜図9]
次に、ステップモータ40のロータ41が、外部からの衝撃によって動いた(回転した)場合の逆起電流の発生状態を図6〜図9を用いて説明する。まず、ステップモータ40のロータ41のN極が静止位置0度にあるとき、外部からの衝撃によって、ロータ41が時計回りに回転した場合にコイルA、Bに発生する逆起電流を図6を用いて説明する。
図6(a)において、ステップモータ40のロータ41のN極は静止位置0度にあり、ステップモータ40は非駆動状態である。このとき、ロータ41のN極から出た磁束は、第1磁極部42a→コイルA→第3磁極部42cの磁気回路を通るものと、第2磁極部42b→コイルB→第3磁極部42cの磁気回路を通るものとがあり、ロータ41のN極から出た磁束量をφとすると、コイルAを通過する磁束量はφ/2、コイルBを通過する磁束量もφ/2となる。
なお、磁束量φの極性は、コイル端子側(図面上の下方側)に向かう磁束を正と規定する。このロータ41による磁束量φの極性の規定は、後述するステップモータ40のすべてに適用する。
ここで、図6(b)に示すように、ロータ41が時計回転方向に回されるような衝撃が外部から加わり、ロータ41のN極が−90度(270度)の位置まで動かされたとすると、ロータ41の磁束φは第2磁極部42bからコイルBを通過し、コイルAに入り、第1磁極部42aという磁気回路を通過する。
このときの磁束の変化は、コイルAの磁束は+1/2φから−φに変化するため、変化量は−3/2φとなって磁束量変化は大きい。一方、コイルBの磁束は+1/2φから+φに変化するため、変化量は+1/2φであり、磁束量変化は少ないことが理解できる。そして、コイルAとコイルBには、この磁束の変化量に応じた電磁誘導による逆起電流が発生する。
図6(c)は、コイルAを通過する磁束量が変化することによりコイルAに誘起される逆起電流の一例を示した模式的な波形図であり、X軸は時間tであり、Y軸はコイルAによる逆起電流−Iaである。また、時間t0は衝撃が加えられた時間である。図6(c)において、衝撃が加えられた時間t0の直後にロータ41が回転し、それによって、コイルAを通過する磁束は+1/2φから−φに変化するため、磁束量変化は大きく、コイルAのコイル端子O2からO1に向かって大きな逆起電流−Iaが流れる(マイナス方向の電流として示す)。
一方、図6(d)は、コイルBを通過する磁束量が変化することによりコイルBに誘起される逆起電流Ibの一例を示した波形図である。図6(d)において、コイルBの磁束は+1/2φから+φに変化するため、磁束量変化は小さく、コイルBのコイル端子O4からO3に向かって小さな逆起電流+Ibが流れる(プラス方向の電流として示す)。
このように、ロータ41のN極が静止位置0度にあり、ロータ41が時計回転方向に回されるような衝撃が外部から加わった場合、コイルAのコイル端子O2からO1に向かって大きな逆起電流−Iaが流れるので、この電流を検出できれば、ステップモータ40に衝撃が加えられたことと、衝撃による回転方向も知ることができる。
次に、ステップモータ40のロータ41のN極が静止位置0度にあるとき、外部からの衝撃によって、ロータ41が反時計回りに回転した場合にコイルA、Bに発生する逆起電流を図7を用いて説明する。図7(a)は、ロータ41のN極が静止位置0度にあるときの磁束量であり、前述した図6(a)と同様であるので、説明は省略する。
次に図7(b)に示すように、ロータ41が反時計回転方向に回されるような衝撃が外部から加わり、ロータ41が+90度の位置まで動かされたとすると、ロータ41の磁束φは第1磁極部42aからコイルAを通過し、コイルBに入り、第2磁極部42bという磁気回路を通過する。
このときの磁束の変化は、コイルAの磁束は+1/2φから+φに変化するため、変化量は+1/2φとなって磁束量変化は小さい。一方、コイルBの磁束は+1/2φから−φに変化するため、変化量は−3/2φであり、磁束量変化は大きい。そして、コイルAとコイルBには、この磁束の変化量に応じた逆起電流が発生する。
図7(c)は、コイルAを通過する磁束量が変化することによりコイルAに誘起される逆起電流の一例を示した模式的な波形図であり、図6と同様にX軸は時間tであり、Y軸は逆起電流+Iaであり、また、時間t0は衝撃が加えられた時間である。図7(c)において、コイルAの磁束は+1/2φから+φに変化するため、磁束量変化は小さく、コイルAのコイル端子O1からO2に向かって小さな逆起電流+Iaが流れる。一方、図7(d)は、コイルBを通過する磁束量が変化することによりコイルBに誘起される逆起電流の一例を示した波形図である。図7(d)において、コイルBの磁束は+1/2φから−φに変化するため、磁束量変化は大きく、コイルBのコイル端子O3からO4に向かって大きな逆起電流−Ibが流れる。
このように、ロータ41のN極が静止位置0度にあり、ロータ41が反時計回転方向に回されるような衝撃が外部から加わった場合、コイルBのコイル端子O3からO4に向かって大きな逆起電流−Ibが流れるので、この電流を検出できれば、ステップモータ40に衝撃が加えられたことと、衝撃による回転方向も知ることができる。
次に、ステップモータ40のロータ41のN極が静止位置180度にあるとき、外部からの衝撃によって、ロータ41が時計回りに回転した場合にコイルA、Bに発生する逆起電流を図8を用いて説明する。
図8(a)において、ステップモータ40のロータ41のN極が静止位置180度にあり、ステップモータ40は非駆動状態である。このとき、ロータ41のN極から出た磁束は、第3磁極部42c→コイルA→第1磁極部42aの磁気回路を通るものと、第3磁極部42c→コイルB→第2磁極部42bの磁気回路を通るものとがあり、ロータ41のN極から出た磁束量をφとすると、コイルAを通過する磁束量は−φ/2、コイルBを通過する磁束量も−φ/2となる。
次に図8(b)に示すように、ロータ41が時計回転方向に回されるような衝撃が外部から加わり、ロータ41が+90度の位置まで動かされたとすると、ロータ41の磁束φは第1磁極部42aからコイルAを通過し、コイルBに入り、第2磁極部42bという磁気回路を通過する。
このときの磁束の変化は、コイルAの磁束は−1/2φから+φに変化するため、変化量は+3/2φとなって磁束量変化は大きい。一方、コイルBの磁束は−1/2φから−φに変化するため、変化量は−1/2φであり、磁束量変化は小さい。そして、コイルAとコイルBには、この磁束の変化量に応じた逆起電流が発生する。
図8(c)は、コイルAを通過する磁束量が変化することによりコイルAに誘起される逆起電流の一例を示した模式的な波形図であり、図6と同様にX軸は時間tであり、Y軸は逆起電流+Iaであり、また、時間t0は衝撃が加えられた時間である。図8(c)において、コイルAの磁束は−1/2φから+φに変化するため、磁束量変化は大きく、コイルAのコイル端子O1からO2に向かって大きな逆起電流+Iaが流れる。一方、図8(d)は、コイルBを通過する磁束量が変化することによりコイルBに誘起される逆起電流Ibの一例を示した波形図である。図8(d)において、コイルBの磁束は−1/2φから−φに変化するため、磁束量変化は小さく、コイルBのコイル端子O3からO4に向かって小さな逆起電流−Ibが流れる。
このように、ロータ41のN極が静止位置180度にあり、ロータ41が時計回転方向に回されるような衝撃が外部から加わった場合、コイルAのコイル端子O1からO2に向かって大きな逆起電流+Iaが流れるので、この電流を検出できれば、ステップモータ40に衝撃が加えられたことと、衝撃による回転方向も知ることができる。
次に、ステップモータ40のロータ41のN極が静止位置180度にあるとき、外部からの衝撃によって、ロータ41が反時計回りに回転した場合にコイルA、Bに発生する逆起電流を図9を用いて説明する。図9(a)は、ロータ41のN極が静止位置180度にあるときの磁束量であり、前述した図8(a)と同様であるので、説明は省略する。
次に図9(b)に示すように、ロータ41が反時計回転方向に回されるような衝撃が外部から加わり、ロータ41が−90度(270度)の位置まで動かされたとすると、ロータ41の磁束φは第2磁極部42bからコイルBを通過し、コイルAに入り、第1磁極部42aという磁気回路を通過する。
このときの磁束の変化は、コイルAの磁束は−1/2φから−φに変化するため、変化量は−1/2φとなって磁束量変化は小さい。一方、コイルBの磁束は−1/2φから+φに変化するため、変化量は+3/2φであり、磁束量変化は大きい。そして、コイルAとコイルBには、この磁束の変化量に応じた逆起電流が発生する。
図9(c)は、コイルAを通過する磁束量が変化することによりコイルAに誘起される逆起電流の一例を示した模式的な波形図であり、図6と同様にX軸は時間tであり、Y軸は逆起電流−Iaであり、また、時間t0は衝撃が加えられた時間である。図9(c)において、コイルAの磁束は−1/2φから−φに変化するため、磁束量変化は小さく、コイルAのコイル端子O2からO1に向かって小さな逆起電流−Iaが流れる。
一方、図9(d)は、コイルBを通過する磁束量が変化することによりコイルBに誘起される逆起電流の一例を示した波形図である。図9(d)において、コイルBの磁束は−1/2φから+φに変化するため、磁束量変化は大きく、コイルBのコイル端子O4からO3に向かって大きな逆起電流+Ibが流れる。
このように、ロータ41のN極が静止位置180度にあり、ロータ41が反時計回転方向に回されるような衝撃が外部から加わった場合、コイルBのコイル端子O4からO3に向かって大きな逆起電流+Ibが流れるので、この電流を検出できれば、ステップモータ40に衝撃が加えられたことと、衝撃による回転方向も知ることができる。
以上のように、衝撃によってステップモータ40の二つのコイルAとコイルBに誘起される逆起電流をまとめると次のようになる。ロータ41のN極が静止位置0度にあるときは、衝撃によってロータ41が時計回りに回転すると(図6参照)、コイルAにコイル端子O2からO1に向かって大きな逆起電流−Iaが流れ、衝撃によってロータ41が反時計回りに回転すると(図7参照)、コイルBにコイル端子O3からO4に向かって大きな逆起電流−Ibが流れる。
また、ロータ41のN極が静止位置180度にあるときは、衝撃によってロータ41が時計回りに回転すると(図8参照)、コイルAにコイル端子O1からO2に向かって大きな逆起電流+Iaが流れ、衝撃によってロータ41が反時計回りに回転すると(図9参照)、コイルBにコイル端子O4からO3に向かって大きな逆起電流+Ibが流れる。
すなわち、ロータ41の静止位置が反転すると、衝撃によってコイルA、コイルBに発生する逆起電流の向きが反転するのである。従って、駆動パルスSPによる駆動後のロータ41の静止位置(0度または180度)を把握した上で、コイルAとコイルBに流れるプラス方向またはマイナス方向の逆起電流を検出すれば、衝撃によってロータ41が時計回りに回転しても反時計回りに回転しても、外部からの衝撃を確実に検出することができるのである。
[逆起電流を検出する検出回路の動作説明:図1、図5、図10、図11]
次に、図6〜図9で示したステップモータから発生する逆起電流を検出回路30がどのように検出するかを図10、図11を用いて説明する。図10は図5で示したドライバ回路20と検出回路30の各トランジスタの動作図であり、図11は検出回路30の動作を説明するタイミングチャートである。なお、必要に応じて構成図の図1と回路図の図5及び図6〜図9を参照する。
図10において、SW状態1とは、ロータ41のN極が静止位置0度にあるときの検出パルスCPの到来による各トランジスタの動作(ON/OFF)であり、SW状態2とは、ロータ41のN極が静止位置180度にあるときの検出パルスCPの到来による各トランジスタの動作(ON/OFF)である。すなわち、ドライバ回路20と検出回路30は、ロータ41の静止位置(0度または180度)に応じて、各トランジスタをSW状態1とSW状態2に切り替える機能を有している。
ここで、ロータ41のN極が駆動パルスSPによる駆動後、静止位置0度であるとき、ドライバ回路20と検出回路30はSW状態1となり、検出パルスCPが到来すると、コイルA側の各トランジスタは、ドライバ回路20のトランジスタP2がON、トランジスタN1、N2、P1がOFF、また、検出回路30のトランジスタTP1がON、トランジスタTP2がOFFとなる。なお、各トランジスタのON/OFF制御は、検出パルスCPと制御回路3からの制御信号CN4によって実施される。
また、SW状態1で検出パルスCPが到来すると、コイルB側の各トランジスタは、ドライバ回路20のトランジスタP4がON、トランジスタN3、N4、P3がOFF、また、検出回路30のトランジスタTP3がON、トランジスタTP4がOFFとなる。
上記のSW状態1での各トランジスタのON/OFF動作によって、コイルA側では、コイル端子O2がトランジスタP2によって電源VDDに接続され、コイル端子O1がトランジスタTP1によって検出抵抗R1を介して電源VDDに接続される(図5参照)。また、SW状態1でのコイルB側では、コイル端子O3がトランジスタP4によって電源VDDに接続され、コイル端子O4がトランジスタTP3によって検出抵抗R3を介して電源VDDに接続される(図5参照)。
すなわち、本実施形態では、検出パルス発生回路6により出力された検出パルスCPは、コイルAへの検出パルスと、コイルBへの検出パルスとして、それぞれ独立して且つ同時に加えられることになる。なお、ここで言う「独立して」とは、コイルAに出力された検出パルスによる検出結果と、コイルBに出力された検出パルスによる検出結果とが別々に得られることを意味している。
このSW状態1での検出区間に衝撃が発生し、ロータ41がたとえば時計回りに回転したとすると、コイルAのコイル端子O2からO1に向かって大きなマイナス方向の逆起電流−Iaが流れ、また、コイルBのコイル端子O4からO3に向かって小さなプラス方向の逆起電流+Ibが流れる(図6参照)。
これらの逆起電流−Ia、+Ibによって検出信号CSが発生し、この検出信号CSが検出回路30の衝撃判定回路31に入力され、衝撃判定回路31が閾値Vthを超えたか否かを判定して衝撃信号CKを出力する。
図11は、このSW状態1での検出回路30の検出動作の一例を示しており、ステップモータ40が駆動パルスSPによって駆動された後、ロータ41のN極が静止位置0度にあるとき、コイルA、コイルBに発生する逆起電流を検出パルスCPによってサンプリングして検出する様子を示している。なお、一例として検出パルスCPの周期は約0.5mS、パルス幅は約16μSである。
図11において、SW状態1での検出区間に検出パルスCPが所定の周期でNo1〜No9まで出力されたとすると、ドライバ回路20と検出回路30のSW状態1のON/OFF動作(図10参照)によって、コイルAとコイルBに対して、同時に検出パルスCPが出力され、コイルAのコイル端子O1とコイルBのコイル端子O4に、逆起電流による電圧(検出信号CS)が発生する。
ここで、まずSW状態1でのコイルA側の検出動作を説明する。図11に示すように時間t0のタイミングで衝撃が発生し、ロータ41が衝撃によって時計回りに回転すると、コイルAに大きな逆起電流−Iaが発生する(図6も参照)。その結果、コイル端子O1に検出パルスCPのタイミングで検出抵抗R1による電圧降下によって逆起電流−Iaの大きさに応じた電源VDD(0V)に対してマイナス方向でパルス状の検出信号CSが発生する。
このとき、逆起電流−Iaのピークに近い検出パルスCPのNo3とNo4のタイミングで、コイル端子O1の検出信号CSの波高値が衝撃判定回路31の閾値Vthを超えたことを示している(No3とNo4のタイミングでの検出信号CSに丸印)。
衝撃判定回路31はコイル端子O1からの検出信号CSを入力し、検出パルスCPのNo3のタイミングでコイル端子O1の検出信号CSが閾値Vthを超えたと判定すると、図示するように、ただちに衝撃信号CKを制御回路3に対して出力し、制御回路3は、ステップモータ40を制動するためにロックパルス発生回路10を制御してロックパルスLPを出力する(図1参照)。なお、ロックパルスLPによる動作の詳細は後述する。
次に、SW状態1でのコイルB側の検出動作を説明する。図11に示すように時間t0のタイミングで衝撃が発生し、ロータ41が衝撃によって時計回りに回転すると、コイルBに小さな逆起電流+Ibが発生する(図6も参照)。その結果、コイル端子O4に検出パルスCPのタイミングで逆起電流+Ibによる電源VDD(0V)に対してプラス方向の小さな検出信号CSが発生する。しかし、衝撃判定回路31の閾値Vthは、前述したように電源VDDに対してマイナス電圧であるので、検出信号CSは検出されず、コイルBによる衝撃信号CKは出力されない。
このように、ロータ41のN極が静止位置0度であってドライバ回路20と検出回路30がSW状態1であるとき、ロータ41が衝撃によって時計回りに回転した場合は、コイルAから発生する逆起電流−Iaによって、衝撃を検出することができる。
なお、図11において、衝撃が検出されて衝撃信号CKが出力されると、ここでは図示しないがロータ41を制動するロックパルスLPがただちに出力され、このロックパルスLPの出力中は、実際には検出パルスCPは出力されない。しかし、検出パルスCPによる衝撃検出をわかりやすく説明するために、実際とは異なるが検出パルスCPが連続して出力しているように記載する。
次に図示はしないが、ロータ41のN極が静止位置0度であってSW状態1であるとき、ロータ41が衝撃によって反時計回りに回転する場合の検出動作を説明する。ここで、ロータ41が反時計回りに回転すると、コイルAのコイル端子O1からO2に向かって小さなプラス方向の逆起電流+Iaが発生し、また、コイルBのコイル端子O3からO4に向かって大きな逆起電流−Ibが発生する(図7参照)。
その結果、検出パルスCPのタイミングで、大きな逆起電流−Ibが流れる検出抵抗R3による電圧降下によってコイル端子O4に電源VDD(0V)に対してマイナス方向でパルス状の検出信号CSが発生する。このコイル端子O4からの検出信号CSを衝撃判定回路31が前述のコイルA側での動作と同様に入力し、コイル端子O4の検出信号CSが閾値Vthを超えたと判定すると、ただちに衝撃信号CKを制御回路3に対して出力する。
このように、ロータ41のN極が静止位置0度であってドライバ回路20と検出回路30がSW状態1であるとき、ロータ41が衝撃によって反時計回りに回転した場合は、コイルBから発生する逆起電流−Ibによって、衝撃を検出することができる。
次に、ロータ41のN極が静止位置180度であるとき、すなわち、ドライバ回路20と検出回路30がSW状態2であるときの検出動作を説明する。ここで、図10の動作図に示すように、コイルA側の各トランジスタは、SW状態2で検出パルスCPが到来すると、ドライバ回路20のトランジスタP1がON、トランジスタN1、N2、P2がOFF、また、検出回路30のトランジスタTP2がON、トランジスタTP1がOFFとなる。
また同様に、コイルB側の各トランジスタは、SW状態2で検出パルスCPが到来すると、ドライバ回路20のトランジスタP3がON、トランジスタN3、N4、P4がOFF、また、検出回路30のトランジスタTP4がON、トランジスタTP3がOFFとなる。
上記のSW状態2での各トランジスタのON/OFF動作によって、コイルAでは、コイル端子O1がトランジスタP1によって電源VDDに接続され、コイル端子O2がトランジスタTP2によって検出抵抗R2を介して電源VDDに接続される(図5参照)。また、SW状態2でのコイルB側では、コイル端子O4がトランジスタP3によって電源VDDに接続され、コイル端子O3がトランジスタTP4によって検出抵抗R4を介して電源VDDに接続される(図5参照)。
このSW状態2での検出区間に衝撃が発生し、ロータ41が時計回りに回転したとすると、コイルAのコイル端子O1からO2に向かって大きなプラス方向の逆起電流+Iaが流れ、また、コイルBのコイル端子O3からO4に向かって小さなマイナス方向の逆起電流−Ibが流れる(図8参照)。
その結果、検出パルスCPのタイミングで、大きな逆起電流+Iaが流れる検出抵抗R2による電圧降下によってコイル端子O2に電源VDDに対してマイナス方向でパルス状の検出信号CSが発生する。このコイル端子O2に発生した検出信号CSを衝撃判定回路31が入力し、閾値Vthを超えたか否かを判定して衝撃信号CKを出力する。
なお、SW状態2でのコイルAによる検出動作のタイミングチャートは、SW状態1でのコイルAによる検出動作のタイミングチャート(図11)に対して、コイルAの逆起電流の方向が逆である以外、タイミング関係は同じであるので図示は省略する。
このように、ロータ41のN極が静止位置180度であってドライバ回路20と検出回路30がSW状態2であるとき、ロータ41が衝撃によって時計回りに回転した場合は、コイルAから発生する逆起電流+Iaによって、衝撃を検出することができる。
次に、SW状態2でロータ41が反時計回りに回転した場合のコイルBによる検出動作を説明する。SW状態2での検出区間に衝撃が発生し、ロータ41が反時計回りに回転したとすると、コイルAのコイル端子O2からO1に向かって小さなマイナス方向の逆起電流−Iaが流れ、また、コイルBのコイル端子O4からO3に向かって大きなプラス方向の逆起電流+Ibが流れる(図9参照)。
その結果、検出パルスCPのタイミングで、大きな逆起電流+Ibが流れる検出抵抗R4による電圧降下によってコイル端子O3に電源VDDに対してマイナス方向でパルス状の検出信号CSが発生する。このコイル端子O3に発生する検出信号CSを衝撃判定回路31が入力し、閾値Vthを超えたか否かを判定して衝撃信号CKを出力する。
なお、SW状態2でのコイルBによる検出動作のタイミングチャートは、SW状態1でのコイルAによる検出動作のタイミングチャート(図11)に対して、コイルBのプラス方向の逆起電流+Ibによって検出信号CSが発生して検出される以外、タイミング関係は同じであるので図示は省略する。
このように、ロータ41のN極が静止位置180度であってドライバ回路20と検出回路30がSW状態2であるとき、ロータ41が衝撃によって反時計回りに回転した場合は、コイルBから発生する逆起電流+Ibによって、衝撃を検出することができる。
以上のように、ドライバ回路20と検出回路30は、ステップモータ40のロータ41の静止位置(0度または180度)に応じて各トランジスタをSW状態1とSW状態2に切り替える切替手段を備えている。この切替手段によって、コイルAまたはコイルBに発生する逆起電流の検出方向を切り替えることができるので、ロータ41の静止位置が駆動ステップ毎に0度/180度と切り替わっても、常に衝撃による逆起電流を検出でき、検出ミスのない正確な衝撃検出を行うことができる。
すなわち、ロータ41の静止位置が反転すると、図6〜図9で前述したように、衝撃によってコイルA、コイルBに発生する逆起電流の向きが反転するが、ドライバ回路20と検出回路30による切替手段によって、逆起電流の向きに応じた衝撃検出が可能となるのである。
また、コイルAに発生する逆起電流とコイルBに発生する逆起電流を、一つの検出パルスCPによって同時にサンプリングして検出するので、コイルA、コイルBのどちらのコイルから逆起電流が検出されたとしても、すなわち、ロータ41が衝撃によって時計回りに回転しても反時計回りに回転しても、同一タイミングで検出でき、ただちに衝撃信号CKを出力して、後述するロックパルスLPをステップモータ40に供給し、ステップモータ40を制動できる。
また、上記実施例ではコイルA、コイルBに発生する検出信号CSの検出タイミングが同時に行なわれているが、コイルA、コイルBの検出を別々に実施しても良い。具体的にはSW状態1の場合、コイルAの検出信号CSの検出時はP2〜P4、TP1をON状態とし、N1〜N4、P1、TP2,TP3、TP4をOFF、コイルBの検出信号CSの検出時はP1、P2、P4、TP3をON状態とし、N1〜N4、P3、TP1、TP2、TP4をOFFとし、コイルA、コイルBの検出信号CSを交互に検出しても良い。
また、SW状態2の場合はコイルAの検出信号CSの検出時はP1、P3、P4、TP2をON状態とし、N1〜N4、P1、TP1、TP3、TP4をOFF、コイルBの検出信号CSの検出時はP1、P2、P3、TP4をON状態とし、N1〜N4、P4、TP1、TP2、TP3をOFFとし、コイルA、コイルBの検出信号CSを交互に検出しても良い。なお、コイルA、コイルBに発生する検出信号CSを同時に行なったほうが計測間隔を短く出来るのでロータ41の回転状態をより正確に把握することができる。
また、衝撃検出の感度を高くしたい場合は、検出回路20のトランジスタTP1〜TP4を常にOFFしてもよい。これにより、検出抵抗R1〜R4の見かけ上の抵抗値が大きくなり、その結果、検出信号CSの波高値が高くなって検出感度が向上する。また、ステップモータ40が非駆動状態で、検出パルスCPが到来していないときの各トランジスタは、トランジスタP1〜P4がON、他のすべてのトランジスタがOFFで、コイルA、Bのコイル端子O1〜O4は、電源VDDに接続された状態がよい。
[第1の実施形態の動作説明:図12、図13]
次に、第1の実施形態の駆動回路の動作を図12のフローチャートと図13のタイミングチャートを用いて説明する。図13のタイミングチャートは、ステップモータ40の各コイル端子(駆動波形)O1、O2、O3、O4での駆動パルスSPと検出パルスCP、及びロックパルスLPを示している。なお、駆動回路の構成は図1を参照する。
図12において、駆動回路1の制御回路3は、発振回路2からの基準信号P1を入力して計時動作を実施し、ステップモータ40を駆動する運針タイミングが来たか否かを判定する(ステップS1)。ここで肯定判定(運針タイミングが来た)であれば、ステップS2へ進んで運針動作を実施し、否定判定(運針タイミングではない)であれば、次のステップS3へ進む。
ステップS2の運針動作では、制御回路3が駆動パルス発生回路4を制御して駆動パルスSPを出力し、ドライバ回路20から、ステップモータ40のコイルA、コイルBに駆動パルスSP1またはSP2(図3、図4参照)を供給し、ステップモータ40を1ステップずつ駆動する。
次に、ステップS1で否定判定の場合、または、ステップS2での運針動作が終了したのち、制御回路3が検出パルス発生回路6を制御して所定の周期の検出パルスCPを出力し、ドライバ回路20と検出回路30は、この検出パルスCPのタイミングで、図10で示したようにロータ41の静止位置に応じて各トランジスタをSW状態1またはSW状態2に切り替え、コイルA、コイルBに発生する逆起電流を同時に検出する(ステップS3)。
すなわち、駆動パルスSPによってステップモータ40が駆動された後、検出パルス発生回路6からの検出パルスCPによって、ロータ41の動き(回転)に伴う逆起電流を検出するのである。
次に、制御回路3が検出回路30からの衝撃信号CKを入力し、検出回路30が衝撃を検出したか否かを判定する(ステップS4)。ここで、肯定判定(衝撃あり)であれば、次のステップS5に進み、否定判定(衝撃なし)であれば、ステップS1に戻って、ステップS1〜ステップS4の動作を繰り返す。
図13(a)のタイミングチャートは、ステップS1からステップS4のフローを繰り返している動作例である。図13(a)において、ステップモータ40のロータ41のN極が静止位置0度であるとして、運針タイミングでステップモータ40に駆動パルスSP1が供給されると、ロータ41のN極は0度→180度に回転し静止する。
駆動パルスSP1の終了後、ロータ41のN極が静止位置180度になったので、制御回路3はドライバ回路20と検出回路30をSW状態2(図10参照)に切り替え、検出パルスCPによるサンプリング動作でコイルA、コイルBに発生する逆起電流を検出する(SW状態2による衝撃検出区間)。なお、SW状態2では、衝撃によるロータ41の回転方向に応じてコイル端子O2またはO3のどちらかに検出信号CSが発生する。
次に所定の時間経過後、次の運針タイミングが来ると、ステップモータ40に駆動パルスSP2が供給され、ロータ41のN極は180度→360度(0度)に回転し静止する。
駆動パルスSP2の終了後、ロータ41のN極が静止位置0度になったので、制御回路3はドライバ回路20と検出回路30をSW状態1(図10参照)に切り替え、検出パルスCPによるサンプリング動作でコイルA、コイルBに発生する逆起電流を検出する(SW状態1による衝撃検出区間)。なお、SW状態1では、衝撃によるロータ41の回転方向に応じてコイル端子O1またはO4のどちらかに検出信号CSが発生する。
このように、ステップモータ40には、運針のための駆動パルスSPが周期的(たとえば1秒毎)に供給されるが、駆動パルスSPによる駆動終了後、すなわち、ステップモータ40が静止している期間に、ロータ41の動き(回転)を検出する衝撃検出区間が設けられる。従って、衝撃が検出されない限り、図13(a)で示す動作が繰り返され,ステップモータ40は、たとえば、1秒毎の通常運針が継続される。
次に、図12のフローチャートにおいて、ステップS5以降の動作を説明する。ステップS4で肯定判定(衝撃あり)であれば、制御回路3は、ロータ41のN極が静止位置0度であるかを判定する(ステップS5)。
ここで、肯定判定(N極は0度)であれば、制御回路3はロックパルス発生回路10のLP1発生回路11を起動させてロックパルスLP1を出力し(ステップS6)、ステップモータ40のロータ41を制動して衝撃によって回転したロータ41を静止位置0度に戻し、処理をステップS1に戻してステップS1からの動作フローを繰り返す。
また、否定判定(N極は180度)であれば、制御回路3はロックパルス発生回路10のLP2発生回路12を起動させてロックパルスLP2を出力し(ステップS7)、ステップモータ40のロータ41を制動して衝撃によって回転したロータ41を静止位置180度に戻し、処理をステップS1に戻してステップS1からの動作フローを繰り返す。
図13(b)のタイミングチャートは、ロータ41のN極が静止位置0度のとき、衝撃が検出されてロックパルスLP1が出力された動作例である。図13(b)において、駆動パルスSP1によってロータ41のN極が180度になり、その後、SW状態2による衝撃検出区間が実施される。
次に、駆動パルスSP2によってロータ41のN極が360度(0度)に進み、その後、SW状態1による衝撃検出区間が実施される。このSW状態1の衝撃検出区間でコイル端子O1に検出信号CS(丸印で示す)が検出された。すなわち、コイル端子O1に発生した検出信号CSが、衝撃判定回路31の閾値Vthを超えたのである(図11参照)。それにより、衝撃判定回路31から衝撃信号CKが出力し(図示せず)、制御回路3は、ただちにロックパルスLP1を出力してステップモータ40を制動し、ロータ41のN極は0度に戻る。
また、図13(c)のタイミングチャートは、ロータ41のN極が静止位置180度のとき、衝撃が検出されてロックパルスLP2が出力された動作例である。図13(c)において、駆動パルスSP1によってロータ41N極が180度になり、その後、SW状態2による衝撃検出区間が実施される。
このSW状態2の衝撃検出区間でコイル端子O2に検出信号CS(丸印で示す)が検出された。すなわち、コイル端子O2に発生した検出信号CSが、衝撃判定回路31の閾値Vthを超えたのである。それにより、衝撃判定回路31から衝撃信号CKが出力し(図示せず)、制御回路3は、ただちにロックパルスLP2を出力してステップモータ40を制動し、ロータ41のN極は180度に戻る。
その後は、SW状態2の衝撃検出区間が継続し、次に、駆動パルスSP2によってロータ41のN極が360度(0度)に進み、その後、SW状態1による衝撃検出区間が実施される。
なお、SW状態1またはSW状態2での衝撃検出区間は、検出パルスCPによるサンプリングによって動作するが、衝撃検出はサンプリング動作に限定されず、たとえば、衝撃検出区間中、図10で示す動作図に従って各トランジスタが常にON又はOFFでもよい。これにより、検出パルスCPのサンプリング周期に係わらず、衝撃によるロータ41の回転と同時に検出信号CSが発生するので、遅延なしに直ちにロックパルスLPを出力してステップモータ40を制動することが可能となる。
[ロックパルスLP1の説明:図14]
次に、ロータ41のN極が静止位置0度のときに、衝撃によって回転したロータを制動するロックパルスLP1の波形と動作を図14を用いて説明する。図14(a)は、ロックパルスLP1の駆動波形の一例を示している。図14(a)において、ロックパルスLP1の電位は、駆動パルスSPと同様に、0V(VDD)と−V(たとえば−1.5V)で構成される。
ロックパルスLP1が出力されると、コイルAのコイル端子O1は−V、コイル端子O2は0V、コイルBのコイル端子O3は0V、コイル端子O4は−Vとなる。ロックパルスLP1の出力期間はロータ41の制動に必要な期間に設定され、たとえば、約16mSである。また、ロックパルスLP1の後半の期間は、図示するように、チョッパー状の出力でもよい。これは、ロックパルスLP1の後半をチョッパー出力にすることで、後半の駆動電流を減らして、ロータ41が静止位置に戻った後の振動を早く収束するためである。
次に、ロックパルスLP1によって、衝撃で回転したロータをどのように制動し、回転を戻すことができるかを図14(b)〜図14(e)を用いて説明する。図14(b)は、ロータ41のN極が静止位置0度にある状態を示している。
図14(c)は、図14(b)で示したロータ41の静止状態において、ステップモータ40に外部から衝撃が加えられ、ロータ41が時計回りに約90度回転し、N極が約270度の位置に移動した状態を示している。この場合、図6を用いて前述したように、コイルAにマイナス方向の逆起電流−Iaが発生し、コイル端子O1から検出信号CSが検出される(図13(b)参照)。
図14(d)は、図14(b)で示したロータ41の静止状態において、ステップモータ40に外部から衝撃が加えられ、ロータ41が反時計回りに約90度回転し、N極が約90度の位置に移動した状態を示している。この場合、図7を用いて前述したように、コイルBにマイナス方向の逆起電流−Ibが発生し、コイル端子O4から検出信号CSが検出される。
図14(e)は、ステップモータ40に衝撃が加わり、図14(c)、図14(d)で示したようにロータ41が約270度または約90度回転した場合に、図14(a)で示したロックパルスLP1によって、ロータ41がどのように制動されるかを示している。
ここで、ロックパルスLP1がステップモータ40に供給されると、コイルAのコイル端子O2からO1へ駆動電流が流れて、コイルAに図面上の下向きに磁束Φが発生する。また同様に、コイルBのコイル端子O3からO4へ駆動電流が流れて、コイルBに図面上の下向きに磁束Φが発生する。
これにより、第1磁極部42aと第2磁極部42bがS極、第3磁極部42cがN極に磁化される。その結果、ロータ41のS極と第3磁極部42cのN極が引き合い、ロータ41がどちらの方向に回転していても、ロータ41のN極が静止位置0度に戻るように制動される。
すなわち、ロータ41が衝撃によって時計回りに回転した場合は(図14(c)参照)、ロックパルスLP1によってロータ41は反時計回りに制動されて、N極が0度の位置で静止する。また、ロータ41が衝撃によって反時計回りに回転した場合は(図14(d)参照)、ロックパルスLP1によってロータ41は時計回りに制動されて、N極が0度の位置で静止する。
ここで、ロックパルスLP1の構成は、ロータ41のN極を静止位置180度から360度(0度)に回転させる駆動パルスSP2内で最後に出力される小駆動パルスSP23(図4参照)と同仕様である。これは、小駆動パルスSP23が、第1磁極部42aと第2磁極部42bをS極、第3磁極部42cをN極に磁化して、ロータ41のN極を0度の位置に回転させる動作と、ロックパルスLP1の動作が同一だからである。これにより、衝撃によって回転したロータ41を元の静止位置0度に確実に戻すことができる。
[ロックパルスLP2の説明:図15]
次に、ロータのN極が静止位置180度のときに、衝撃によって回転したロータを制動するロックパルスLP2の波形と動作を図15を用いて説明する。図15(a)は、ロックパルスLP2の駆動波形の一例を示している。図15(a)において、ロックパルスLP2の電位は、駆動パルスSPと同様に、0V(VDD)と−V(たとえば−1.5V)で構成される。
ロックパルスLP2が出力されると、コイルAのコイル端子O1は0V、コイル端子O2は−V、コイルBのコイル端子O3は−V、コイル端子O4は0Vとなる。ロックパルスLP2の出力期間はロックパルスLP1と同様である。また、後半の期間は、ロックパルスLP1と同様にチョッパー状の出力でもよい。
次に、ロックパルスLP2によって、衝撃で回転したロータをどのように制動し、回転を戻すことができるかを図15(b)〜図15(e)を用いて説明する。図15(b)は、ロータ41のN極が静止位置180度にある状態を示している。
図15(c)は、図15(b)で示したロータ41の静止状態において、ステップモータ40に外部から衝撃が加えられ、ロータ41が時計回りに約90度回転し、N極が約90度の位置に移動した状態を示している。この場合、図8を用いて前述したように、コイルAにプラス方向の逆起電流+Iaが発生し、コイル端子O2から検出信号CSが検出される(図13(c)参照)。
図15(d)は、図15(b)で示したロータ41の静止状態において、ステップモータ40に外部から衝撃が加えられ、ロータ41が反時計回りに約90度回転し、N極が約270度の位置に移動した状態を示している。この場合、図9を用いて前述したように、コイルBにプラス方向の逆起電流+Ibが発生し、コイル端子O3から検出信号CSが検出される。
図15(e)は、ステップモータ40に衝撃が加わり、図15(c)、図15(d)で示したようにロータ41が約90度または約270度回転した場合に、図15(a)で示したロックパルスLP2によって、ロータ41がどのように制動されるかを示している。
ここで、ロックパルスLP2がステップモータ40に供給されると、コイルAのコイル端子O1からO2へ駆動電流が流れて、コイルAに図面上の上向きに磁束Φが発生する。また同様に、コイルBのコイル端子O4からO3へ駆動電流が流れて、コイルBに図面上の上向きに磁束Φが発生する。
これにより、第1磁極部42aと第2磁極部42bがN極、第3磁極部42cがS極に磁化される。その結果、ロータ41のN極と第3磁極部42cがS極が引き合い、ロータ41がどちらの方向に回転していても、ロータ41のN極が静止位置180度に戻るように制動される。
すなわち、ロータ41が衝撃によって時計回りに回転した場合は(図15(c)参照)、ロックパルスLP2によってロータ41は反時計回りに制動されて、N極が180度の位置で静止する。また、ロータ41が衝撃によって反時計回りに回転した場合は(図15(d)参照)、ロックパルスLP2によってロータ41は時計回りに制動されて、N極が180度の位置で静止する。
ここで、ロックパルスLP2の構成は、ロータ41のN極を0度の位置から180度に回転させる駆動パルスSP1内で最後に出力される小駆動パルスSP13(図3参照)と同仕様である。これは、小駆動パルスSP13が、第1磁極部42aと第2磁極部42bをN極、第3磁極部42cをS極に磁化して、ロータ41のN極を180度の位置に回転させる動作と、ロックパルスLP2の動作が同一だからである。これにより、衝撃によって回転したロータ41を元の静止位置180度に確実に戻すことができる。
なお、ロックパルスLP1とLP2は、衝撃によってロータが180度以内で回転した場合に有効であり、強い衝撃によってロータが180度以上回転した場合は、後述する第2の実施形態で示すロックパルスが有効である。
このように本実施形態は、二つのコイルA、Bを検出コイルとして同時に用いて衝撃検出を実施し、衝撃が検出されたならば、ロックパルスLPによって二つのコイルA、Bを同時に励磁することでステップモータを確実に制動することができる。
以上のように第1の実施形態の2コイルステップモータ用駆動回路によれば、ステップモータの二つのコイルA、コイルBを共に検出コイルとして同時に用い、且つ、ドライバ回路と検出回路とによってコイルAとコイルBに発生する逆起電流の検出方向をロータの静止位置に応じて切り替えることで、ロータの静止位置に係わらず、また、衝撃によるロータの回転方向に係わらず、ロータの動きを高精度に把握し、ステップモータに加えられた衝撃を確実に検出する2コイルステップモータ用駆動回路を提供できる。
また、第1の実施形態の駆動回路によるロックパルスは、ロータを駆動した駆動パルス内の最後の小駆動パルスと同仕様のパルスを供給しロータを制動している。これにより、ロータの静止位置に応じてロータを制動できるので、ロータが静止位置0度から衝撃によって回転しても、静止位置180度から衝撃によって回転しても、常に元の静止位置に戻すことができ、衝撃による駆動の狂いを確実に防止できる。これにより、本発明をアナログ表示式電子時計に応用した場合、耐衝撃性に優れ、アナログ表示の視認性に優れた電子時計を提供できる。
また、第1の実施形態のロックパルスは、駆動パルス内の小駆動パルスひとつ分のパルスで構成されるので、少ない駆動電力でロータを制動できるメリットがある。
[第2の実施形態]
[第2の実施形態の駆動回路の構成説明:図16]
次に第2の実施形態の駆動回路の概略構成を図16を用いて説明する。第2の実施形態は、強い衝撃を受けてステップモータのロータが180度以上回転した場合に対応する駆動回路である。なお、第2の実施形態の駆動回路は、第1の実施形態と比較してロックパルス発生回路のみ構成が異なり、他の構成要素は同一であるので、ロックパルス発生回路を中心に説明し、重複する構成要素は同一番号を付して説明を省略する。
図16において、符号100は第2の実施形態の2コイルステップモータ用駆動回路(以下、駆動回路100と略す)である。駆動回路100は、水晶振動子(図示せず)によって所定の基準信号P1を出力する発振回路2、制御信号CN1〜CN4を出力する制御回路3、パルス発生回路4、ロックパルス発生回路50、検出パルス発生回路6、パルス選択回路7、ドライバ回路20、検出回路30、及びステップモータ40を有している。
ロックパルス発生回路50は、LP11発生回路51、LP12発生回路52、LP13発生回路53、LP14発生回路54を有し、制御信号CN2を入力して、ロックパルスLP10をパルス選択回路7に出力する。ロックパルス発生回路50の動作は後述するが、ステップモータ40のロータ41の静止位置と衝撃による回転方向に応じて、ロックパルスLP11〜LP14を選択出力する。なお、ロックパルスLP11〜LP14をまとめてロックパルスLP10と称する。
[衝撃によるロータの回転と逆起電流の説明:図17、図18]
次に、ステップモータ40が、外部からの衝撃によって回転した場合の逆起電流の発生状態を図17、図18を用いて説明する。ここで、第2の実施形態が想定する衝撃は、第1の実施形態の衝撃より強く、衝撃によってロータ41が静止位置から180度以上回転することを想定して説明する。
図17は、ステップモータ40のロータ41のN極が静止位置0度にあるとき、外部からの強い衝撃によって、ロータ41が時計回りに180度以上回転した場合にコイルA、Bに発生する逆起電流を例示している。
図17(a)において、ステップモータ40のロータ41のN極は静止位置0度にあり、ステップモータ40は非駆動状態である。このとき、ロータ41のN極から出た磁束は、第1磁極部42a→コイルA→第3磁極部42cの磁気回路を通るものと、第2磁極部42b→コイルB→第3磁極部42cの磁気回路を通るものとがあり、ロータ41のN極から出た磁束量をφとすると、コイルAを通過する磁束量はφ/2、コイルBを通過する磁束量もφ/2となる。
ここで、図17(b)に示すように、ロータ41が時計回転方向に180度以上回転する強い衝撃が外部から加わり、ロータ41がたとえば約150度の位置まで動かされたとすると、ロータ41のS極が第1磁極部42aを通過し、ロータ41のN極が第2磁極部42bを通過する時点で、ロータ41の磁束φは、図示するように第2磁極部42bからコイルBを通過し、コイルAに入り、第1磁極部42aという磁気回路を通過する。
このときの磁束の変化は、第1の実施形態の場合(図6参照)と同様に、コイルAの磁束は+1/2φから−φに変化するため、変化量は−3/2φとなって磁束量変化は大きい。一方、コイルBの磁束は+1/2φから+φに変化するため、変化量は+1/2φであり、磁束量変化は少ない。
また、第2の実施形態の場合は、前述したように衝撃が強いので、衝撃によるロータ41の回転速度が速くなり、その結果、磁束変化の速さが第1の実施形態と比較して、第2の実施形態の方が速いことが理解できる。このため、コイルAとコイルBに発生する逆起電流は、第1の実施形態の逆起電流より絶対値が大きくなる。
図17(c)は、コイルAを通過する磁束量が変化することによりコイルAに誘起される逆起電流の一例を示した模式的な波形図であり、X軸は時間tであり、Y軸はコイルAによる逆起電流−Iaである。また、時間t0は衝撃が加えられた時間である。図17(c)において、衝撃が加えられた時間t0の直後にロータ41が回転し、それによって、コイルAを通過する磁束は+1/2φから−φに変化するため、磁束量変化は大きく、コイルAのコイル端子O2からO1に向かって大きな逆起電流−Iaが流れる(マイナス方向の電流として示す)。一方、図17(d)は、コイルBを通過する磁束量が変化することによりコイルBに誘起される逆起電流の一例を示した波形図である。図17(d)において、コイルBの磁束は+1/2φから+φに変化するため、磁束量変化は小さく、コイルBのコイル端子O4からO3に向かって小さな逆起電流+Ibが流れる(プラス方向の電流として示す)。
このように、ロータ41のN極が静止位置0度にあり、ロータ41が時計回転方向に回されるような衝撃が外部から加わった場合、コイルAのコイル端子O2からO1に向かって大きな逆起電流−Iaが流れるので、この逆起電流を検出することで、ステップモータ40に衝撃が加えられたことと、衝撃による回転方向も知ることができる。
また、前述したように、強い衝撃が加わると、ロータ41の回転速度が速くなるので、コイルA、コイルBに発生する逆起電流は大きくなる。このため、強い衝撃が加わったときは、大きな逆起電流による検出信号CSを検出してロータ41を制動し、また、弱い衝撃が加わったときは、小さな逆起電流による検出信号CSを検出せずにロータ41の制動を行わないように制御することが可能である。このような衝撃の強弱に応じた制御は、前述した衝撃判定回路31の閾値Vthを調整することで実現できる。
なお、ロータ41のN極が静止位置0度にあるとき、外部からの強い衝撃によって、ロータ41が反時計回りに180度以上回転した場合にコイルA、Bに発生する逆起電流は、第1の実施形態で示した図7に対して逆起電流の絶対値が大きいだけで、逆起電流の方向は同一であるので、ここでの説明は省略する。
次に図18は、ステップモータ40のロータ41のN極が静止位置180度にあるとき、外部からの強い衝撃によって、ロータ41が時計回りに180度以上回転した場合にコイルA、Bに発生する逆起電流を例示している。
図18(a)において、ロータ41のN極は静止位置180度にあり、ステップモータ40は非駆動状態である。このとき、ロータ41のN極から出た磁束は、第3磁極部42c→コイルA→第1磁極部42aの磁気回路を通るものと、第3磁極部42c→コイルB→第2磁極部42bの磁気回路を通るものとがあり、ロータ41のN極から出た磁束量をφとすると、コイルAを通過する磁束量は−φ/2、コイルBを通過する磁束量も−φ/2となる。
ここで、図18(b)に示すように、ロータ41が時計回転方向に180度以上回転するような強い衝撃が外部から加わり、ロータ41がたとえば約330度(−30度)の位置まで動かされたとすると、ロータ41のN極が第1磁極部42aを通過し、ロータ41のS極が第2磁極部42bを通過する時点で、ロータ41の磁束φは第1磁極部42aからコイルAを通過し、コイルBに入り、第2磁極部42bという磁気回路を通過する。
このときの磁束の変化は、第1の実施形態の場合(図8参照)と同様に、コイルAの磁束は−1/2φから+φに変化するため、変化量は+3/2φとなって磁束量変化は大きい。一方、コイルBの磁束は−1/2φから−φに変化するため、変化量は−1/2φであり、磁束量変化は少ない。
また、第2の実施形態の場合は、前述したように衝撃が強いので、衝撃によるロータ41の回転速度が速くなり、その結果、磁束変化の速さが第1の実施形態と比較して、第2の実施形態の方が速い。このため、コイルAとコイルBに発生する逆起電流は、第1の実施形態の逆起電流より絶対値が大きくなる。
図18(c)は、コイルAを通過する磁束量が変化することによりコイルAに誘起される逆起電流の一例を示した模式的な波形図であり、X軸、Y軸、時間t0は図17と同様である。図18(c)において、衝撃が加えられた時間t0の直後にロータ41が回転し、それによって、コイルAの磁束は−1/2φから+φに変化するため、磁束量変化は大きく、コイルAのコイル端子O1からO2に向かって大きな逆起電流+Iaが流れる。一方、図18(d)は、コイルBを通過する磁束量が変化することによりコイルBに誘起される逆起電流の一例を示した波形図である。図18(d)において、コイルBの磁束は−1/2φから−φに変化するため、磁束量変化は小さく、コイルBのコイル端子O3からO4に向かって小さな逆起電流が−Ibが流れる。
このように、ロータ41のN極が静止位置180度にあり、ロータ41が時計回転方向に回されるような衝撃が外部から加わった場合、コイルAのコイル端子O1からO2に向かって大きな逆起電流+Iaが流れるので、この逆起電流を検出することで、ステップモータ40に衝撃が加えられたことと、衝撃による回転方向も知ることができる。
また、前述したように、強い衝撃が加わると、ロータ41の回転速度が速くなるので、コイルA、コイルBに発生する逆起電流は大きくなる。
なお、ロータ41のN極が静止位置180度にあるとき、外部からの強い衝撃によって、ロータ41が反時計回りに180度以上回転した場合にコイルA、Bに発生する逆起電流は、第1の実施形態で示した図9に対して逆起電流の絶対値が大きいだけで、逆起電流の方向は同一であるので、ここでの説明は省略する。
以上のように、外部からの衝撃が強く、ロータ41の回転が180度以上の場合でも、第1の実施形態と同様に、ロータ41の静止位置とロータ41の回転方向によって、コイルA、Bに発生する逆起電流の大きさと電流方向が決まるので、静止位置に応じて逆起電流を検出することで、衝撃の有無と衝撃によるロータ41の回転方向を知ることができる。
[第2の実施形態の動作説明:図19〜図21]
次に、第2の実施形態の駆動回路100の動作を図19のフローチャートと図20、図21のタイミングチャートを用いて説明する。図20、図21のタイミングチャートは、ステップモータ40の各コイル端子(駆動波形)O1、O2、O3、O4での駆動パルスSPと検出パルスCP、及びロックパルスLP11〜LP14を示している。なお、駆動回路100の構成は図16を参照し、第1の実施形態と重複する説明は省略する。また、ドライバ回路20と検出回路30のSW状態1とSW状態2の切り替え動作は、第1の実施形態の図10で示した動作図と同様であり、検出回路30の検出動作も図11で示したタイミングチャートと同様である。
図19のフローチャートにおいて、ステップS1〜ステップS4までの動作フローは、第1の実施形態の動作フロー(図12参照)と同様であるので説明は省略する。図19のステップS5において、肯定判定(N極は0度)であれば、ステップS10に進み、否定判定(N極は180度)であれば、ステップS13に進む。
ステップS10において、制御回路3は、衝撃信号CKの情報から衝撃はコイルAによって検出されたか否かを判定する。ここで、肯定判定(衝撃はコイルAで検出された:図17参照)であれば、ロータ41は時計回りに回転したので、制御回路3はロックパルス発生回路50のLP11発生回路51を起動させてロックパルスLP11を出力し(ステップS11)、ステップモータ40のロータ41を制動して衝撃によって回転したロータ41を静止位置0度に戻し、処理をステップS1に戻してステップS1からの動作フローを繰り返す。
また、ステップS10において否定判定(衝撃はコイルBで検出された)であれば、ロータ41は反時計回りに回転したので、制御回路3はロックパルス発生回路50のLP12発生回路52を起動させてロックパルスLP12を出力し(ステップS12)、ステップモータ40のロータ41を制動して衝撃によって回転したロータ41を静止位置0度に戻し、処理をステップS1に戻してステップS1からの動作フローを繰り返す。
また、ステップS5で否定判定の場合に進むステップS13において、制御回路3は、衝撃信号CKの情報から衝撃はコイルAによって検出されたか否かを判定する。ここで、肯定判定(衝撃はコイルAで検出された:図18参照)であれば、ロータ41は時計回りに回転したので、制御回路3はロックパルス発生回路50のLP13発生回路53を起動させてロックパルスLP13を出力し(ステップS14)、ステップモータ40のロータ41を制動して衝撃によって回転したロータ41を静止位置180度に戻し、処理をステップS1に戻してステップS1からの動作フローを繰り返す。
また、ステップS13において否定判定(衝撃はコイルBで検出された)であれば、ロータ41は反時計回りに回転したので、制御回路3はロックパルス発生回路50のLP14発生回路54を起動させてロックパルスLP14を出力し(ステップS15)、ステップモータ40のロータ41を制動して衝撃によって回転したロータ41を静止位置180度に戻し、処理をステップS1に戻してステップS1からの動作フローを繰り返す。
次に、図20と図21のタイミングチャートを用いて、第2の実施形態の動作の詳細を説明する。図20(a)は、動作フローステップS1〜S4までの衝撃が検出されない通常運針の動作を示しており、第1の実施形態の図13(a)と同様であるので、説明は省略する。
図20(b)のタイミングチャートは、ロータ41のN極が静止位置0度のとき、衝撃がコイルAで検出されてロックパルスLP11が出力された動作例である(ステップS11の動作)。図20(b)において、駆動パルスSP1によってロータ41のN極が180度になり、その後、SW状態2による衝撃検出区間が実施される。
次に、駆動パルスSP2によってロータ41のN極が360度(0度)に進み、その後、SW状態1による衝撃検出区間が実施される。このSW状態1の衝撃検出区間でコイルAのコイル端子O1に検出信号CS(丸印で示す)が検出された。すなわち、コイル端子O1に発生した検出信号CSが、衝撃判定回路31の閾値Vthを超えたのである。それにより、衝撃判定回路31から衝撃信号CKが出力し(図示せず)、制御回路3は、ただちにロックパルスLP11を出力してステップモータ40を制動し、ロータ41のN極は0度に戻る。
図20(c)のタイミングチャートは、ロータ41のN極が静止位置0度のとき、衝撃がコイルBで検出されてロックパルスLP12が出力された動作例である(ステップS12の動作)。図20(c)において、駆動パルスSP1によってロータ41のN極が180度になり、その後、SW状態2による衝撃検出区間が実施される。
次に、駆動パルスSP2によってロータ41のN極が360度(0度)に進み、その後、SW状態1による衝撃検出区間が実施される。このSW状態1の衝撃検出区間でコイルBのコイル端子O4に検出信号CS(丸印で示す)が検出された。すなわち、コイル端子O4に発生した検出信号CSが、衝撃判定回路31の閾値Vthを超えたのである。それにより、衝撃判定回路31から衝撃信号CKが出力し(図示せず)、制御回路3は、ただちにロックパルスLP12を出力してステップモータ40を制動し、ロータ41のN極は0度に戻る。
図21(a)のタイミングチャートは、ロータ41のN極が静止位置180度のとき、衝撃がコイルAで検出されてロックパルスLP13が出力された動作例である(ステップS14の動作)。図21(a)において、駆動パルスSP1によってロータ41のN極が180度になり、その後、SW状態2による衝撃検出区間が実施される。
このSW状態2の衝撃検出区間でコイルAのコイル端子O2に検出信号CS(丸印で示す)が検出された。すなわち、コイル端子O2に発生した検出信号CSが、衝撃判定回路31の閾値Vthを超えたのである。それにより、衝撃判定回路31から衝撃信号CKが出力し(図示せず)、制御回路3は、ただちにロックパルスLP13を出力してステップモータ40を制動し、ロータ41のN極は180度に戻る。
その後は、SW状態2の衝撃検出区間が継続し、次に、駆動パルスSP2によってロータ41のN極が360度(0度)に進み、その後、SW状態1による衝撃検出区間が実施される。
図21(b)のタイミングチャートは、ロータ41のN極が静止位置180度のとき、衝撃がコイルBで検出されてロックパルスLP14が出力された動作例である(ステップS15の動作)。図21(b)において、駆動パルスSP1によってロータ41のN極が180度になり、その後、SW状態2による衝撃検出区間が実施される。
このSW状態2の衝撃検出区間でコイルBのコイル端子O3に検出信号CS(丸印で示す)が検出された。すなわち、コイル端子O3に発生した検出信号CSが、衝撃判定回路31の閾値Vthを超えたのである。それにより、衝撃判定回路31から衝撃信号CKが出力し(図示せず)、制御回路3は、ただちにロックパルスLP14を出力してステップモータ40を制動し、ロータ41のN極は180度に戻る。
その後は、SW状態2の衝撃検出区間が継続し、次に、駆動パルスSP2によってロータ41のN極が360度(0度)に進み、その後、SW状態1による衝撃検出区間が実施される。
[第2の実施形態のロックパルスLP11の説明:図22]
次に、ロータ41のN極が静止位置0度のときに、衝撃によって時計回りに180度以上回転したロータ41を制動するロックパルスLP11の波形と動作を図22を用いて説明する。図22(a)は、ロックパルスLP11の駆動波形の一例を示している。図22(a)において、ロックパルスLP11の電位は、駆動パルスSPと同様に、0V(VDD)と−V(たとえば−1.5V)で構成される。なお、後述するロックパルスLP12〜LP14の電位も同様である。
ロックパルスLP11は、第1のロックパルスLP11aと第2のロックパルスLP11bによって構成される。第1のロックパルスLP11aは、コイルAのコイル端子O1が0V、コイル端子O2が−V、コイルBのコイル端子O3が0V、コイル端子O4が−Vとなる。第2のロックパルスLP11bは、コイルAのコイル端子O1が−V、コイル端子O2が0V、コイルBのコイル端子O3が0V、コイル端子O4が−Vとなる。
ロックパルスLP11の出力期間はロータ41の制動に必要な期間に設定する。また、第1、第2ロックパルスLP11a、LP11bのそれぞれの後半の期間は、第1の実施形態のロックパルスLP1、LP2のように、必要に応じてチョッパー状の出力でもよい。なお、後述するロックパルスLP12、LP13、LP14の出力期間と後半のチョッパー状の出力も同様である。
次にロックパルスLP11によって、衝撃で回転したロータ41をどのように制動し、回転を戻すことができるかを図22(b)〜図22(e)を用いて説明する。図22(b)は、ステップモータ40のロータ41のN極が静止位置0度にある状態を示している。
図22(c)は、図22(b)で示したロータ41の静止状態において、ステップモータ40に外部から強い衝撃が加えられ、ロータ41が時計回りに180度以上回転し、N極がたとえば約150度の位置に移動した状態を示している。この場合、図17を用いて前述したように、コイルAにマイナス方向の逆起電流−Iaが発生し、コイル端子O1から検出信号CSが検出される(図20(b)参照)。
図22(d)は、ステップモータ40に衝撃が加わり、図22(c)のロータ41の位置で、ステップモータ40にロックパルスLP11の第1のロックパルスLP11aが供給されたとき、ロータ41がどのように制動されるかを示している。
ここで、ロックパルスLP11aがステップモータ40に供給されると、コイルAのコイル端子O1からO2へ駆動電流が流れて、コイルAに図面上の上向きに磁束Φが発生する。また同様に、コイルBのコイル端子O3からO4へ駆動電流が流れて、コイルBに図面上の下向きに磁束Φが発生する。
これにより、第1磁極部42aがN極、第2磁極部42bがS極に磁化される。その結果、ロータ41のN極が第2磁極部42bのS極と引き合い、ロータ41のS極が第1磁極部42aのN極と引き合い、ロータ41のN極は約270度の位置に戻るように制動される。
次に図22(e)は、図22(d)のロータ41の位置(約270度)で、ステップモータ40にロックパルスLP11の第2のロックパルスLP11bが供給されたとき、ロータ41がどのように制動されるかを示している。
ここで、ロックパルスLP11bがステップモータ40に供給されると、コイルAに流れる駆動電流の極性が反転し、コイル端子O2からO1に駆動電流が流れて、コイルAに図面上の下向きに磁束Φが発生する。また、コイルBに流れる駆動電流の方向は変わらないので、コイルBには図面上の下向きに磁束Φが継続して発生する。
これにより、第1磁極部42aと第2磁極部42bがS極に、第3磁極部42cがN極に磁化される。その結果、ロータ41のS極が第3磁極部42cのN極と引き合い、ロータ41のN極は元の静止位置0度に戻るように制動される。
[第2の実施形態のロックパルスLP12の説明:図23]
次に、ロータ41のN極が静止位置0度のときに、衝撃によって反時計回りに180度以上回転したロータ41を制動するロックパルスLP12の波形と動作を図23を用いて説明する。図23(a)は、ロックパルスLP12の駆動波形の一例を示している。
図23(a)において、ロックパルスLP12は、第1のロックパルスLP12aと第2のロックパルスLP12bによって構成され、第1のロックパルスLP12aは、コイルAのコイル端子O1が−V、コイル端子O2が0V、コイルBのコイル端子O3が−V、コイル端子O4が0Vとなる。第2のロックパルスLP12bは、コイルAのコイル端子O1が−V、コイル端子O2が0V、コイルBのコイル端子O3が0V、コイル端子O4が−Vとなる。
次にロックパルスLP12によって、衝撃で回転したロータ41をどのように制動し、回転を戻すことができるかを図23(b)〜図23(e)を用いて説明する。図23(b)は、ステップモータ40のロータ41のN極が静止位置0度にある状態を示している。
図23(c)は、図23(b)で示したロータ41の静止状態において、ステップモータ40に外部から強い衝撃が加えられ、ロータ41が反時計回りに180度以上回転し、N極がたとえば約210度の位置に移動した状態を示している。この場合、コイルBにマイナス方向の逆起電流−Ibが発生し、コイル端子O4から検出信号CSが検出される(図20(c)参照)。
図23(d)は、ステップモータ40に衝撃が加わり、図23(c)のロータ41の位置で、ステップモータ40にロックパルスLP12の第1のロックパルスLP12aが供給されたとき、ロータ41がどのように制動されるかを示している。
ここで、ロックパルスLP12aがステップモータ40に供給されると、コイルAのコイル端子O2からO1へ駆動電流が流れて、コイルAに図面上の下向きに磁束Φが発生する。また同様に、コイルBのコイル端子O4からO3へ駆動電流が流れて、コイルBに図面上の上向きに磁束Φが発生する。
これにより、第1磁極部42aがS極、第2磁極部42bがN極に磁化される。その結果、ロータ41のN極が第1磁極部42aのS極と引き合い、ロータ41のS極が第2磁極部42bのN極と引き合い、ロータ41のN極は約90度の位置に戻るように制動される。
次に図23(e)は、図23(d)のロータ41の位置(約90度)で、ステップモータ40にロックパルスLP12の第2のロックパルスLP12bが供給されたとき、ロータ41がどのように制動されるかを示している。
ここで、ロックパルスLP12bがステップモータ40に供給されると、コイルAに流れる駆動電流の方向は変わらないので、コイルAには図面上の下向きに磁束Φが継続して発生する。また、コイルBに流れる駆動電流は極性が反転し、コイル端子O3からO4に駆動電流が流れて、コイルBに図面上の下向きに磁束Φが発生する。
これにより、第1磁極部42aと第2磁極部42bがS極に、第3磁極部42cがN極に磁化される。その結果、ロータ41のS極が第3磁極部42cのN極と引き合い、ロータ41のN極は元の静止位置0度に戻るように制動される。
[第2の実施形態のロックパルスLP13の説明:図24]
次に、ロータ41のN極が静止位置180度のときに、衝撃によって時計回りに180度以上回転したロータ41を制動するロックパルスLP13の波形と動作を図24を用いて説明する。図24(a)は、ロックパルスLP13の駆動波形の一例を示している。
図24(a)において、ロックパルスLP13は、第1のロックパルスLP13aと第2のロックパルスLP13bによって構成される。第1のロックパルスLP13aは、コイルAのコイル端子O1が−V、コイル端子O2が0V、コイルBのコイル端子O3が−V、コイル端子O4が0Vとなる。第2のロックパルスLP13bは、コイルAのコイル端子O1が0V、コイル端子O2が−V、コイルBのコイル端子O3が−V、コイル端子O4が0Vとなる。
次にロックパルスLP13によって、衝撃で回転したロータ41をどのように制動し、回転を戻すことができるかを図24(b)〜図24(e)を用いて説明する。図24(b)は、ステップモータ40のロータ41のN極が静止位置180度にある状態を示している。
図24(c)は、図24(b)で示したロータ41の静止状態において、ステップモータ40に外部から強い衝撃が加えられ、ロータ41が時計回りに180度以上回転し、N極がたとえば約330度(−30度)の位置に移動した状態を示している。この場合、図18を用いて前述したように、コイルAにプラス方向の逆起電流+Iaが発生し、コイル端子O2から検出信号CSが検出される(図21(a)参照)。
図24(d)は、ステップモータ40に衝撃が加わり、図24(c)のロータ41の位置で、ステップモータ40にロックパルスLP13の第1のロックパルスLP13aが供給されたとき、ロータ41がどのように制動されるかを示している。
ここで、ロックパルスLP13aがステップモータ40に供給されると、コイルAのコイル端子O2からO1へ駆動電流が流れて、コイルAに図面上の下向きに磁束Φが発生する。また同様に、コイルBのコイル端子O4からO3へ駆動電流が流れて、コイルBに図面上の上向きに磁束Φが発生する。
これにより、第1磁極部42aがS極、第2磁極部42bがN極に磁化される。その結果、ロータ41のN極が第1磁極部42aのS極と引き合い、ロータ41のS極が第2磁極部42bのN極と引き合い、ロータ41のN極は約90度の位置に戻るように制動される。
次に図24(e)は、図24(d)のロータ41の位置(約90度)で、ステップモータ40にロックパルスLP13の第2のロックパルスLP13bが供給されたとき、ロータ41がどのように制動されるかを示している。
ここで、ロックパルスLP13bがステップモータ40に供給されると、コイルAに流れる駆動電流の極性は反転し、コイル端子O1からO2に駆動電流が流れて、コイルAに図面上の上向きに磁束Φが発生する。また、コイルBに流れる駆動電流の方向は変わらないので、コイルBには図面上の上向きに磁束Φが継続して発生する。
これにより、第1磁極部42aと第2磁極部42bがN極に、第3磁極部42cがS極に磁化される。その結果、ロータ41のN極が第3磁極部42cのS極と引き合い、ロータ41のN極は元の静止位置180度に戻るように制動される。
[第2の実施形態のロックパルスLP14の説明:図25]
次に、ロータ41のN極が静止位置180度のときに、衝撃によって反時計回りに180度以上回転したロータ41を制動するロックパルスLP14の波形と動作を図25を用いて説明する。図25(a)は、ロックパルスLP14の駆動波形の一例を示している。
図25(a)において、ロックパルスLP14は、第1のロックパルスLP14aと第2のロックパルスLP14bによって構成される。第1のロックパルスLP14aは、コイルAのコイル端子O1が0V、コイル端子O2が−V、コイルBのコイル端子O3が0V、コイル端子O4が−Vとなる。第2のロックパルスLP14bは、コイルAのコイル端子O1が0V、コイル端子O2が−V、コイルBのコイル端子O3が−V、コイル端子O4が0Vとなる。
次にロックパルスLP14によって、衝撃で回転したロータ41をどのように制動し、回転を戻すことができるかを図25(b)〜図25(e)を用いて説明する。図25(b)は、ステップモータ40のロータ41のN極が静止位置180度にある状態を示している。
図25(c)は、図25(b)で示したロータ41の静止状態において、ステップモータ40に外部から強い衝撃が加えられ、ロータ41が反時計回りに180度以上回転し、N極がたとえば約30度の位置に移動した状態を示している。この場合、コイルBにプラス方向の逆起電流が発生し、コイル端子O3から検出信号CSが検出される(図21(b)参照)。
図25(d)は、ステップモータ40に衝撃が加わり、図25(c)のロータ41の位置で、ステップモータ40にロックパルスLP14の第1のロックパルスLP14aが供給されたとき、ロータ41がどのように制動されるかを示している。
ここで、ロックパルスLP14aがステップモータ40に供給されると、コイルAのコイル端子O1からO2へ駆動電流が流れて、コイルAに図面上の上向きに磁束Φが発生する。また同様に、コイルBのコイル端子O3からO4へ駆動電流が流れて、コイルBに図面上の下向きに磁束Φが発生する。
これにより、第1磁極部42aがN極、第2磁極部42bがS極に磁化される。その結果、ロータ41のN極が第2磁極部42bのS極と引き合い、ロータ41のS極が第1磁極部42aのN極と引き合い、ロータ41のN極は約270度の位置に戻るように制動される。
次に図25(e)は、図25(d)のロータ41の位置(約270度)で、ステップモータ40にロックパルスLP14の第2のロックパルスLP14bが供給されたとき、ロータ41がどのように制動されるかを示している。
ここで、ロックパルスLP14bがステップモータ40に供給されると、コイルAに流れる駆動電流の方向は変わらないので、コイルAには図面上の上向きに磁束Φが継続して発生する。また、コイルBに流れる駆動電流の極性は反転し、コイル端子O4からO3に駆動電流が流れて、コイルBに図面上の上向きに磁束Φが発生する。
これにより、第1磁極部42aと第2磁極部42bがN極に、第3磁極部42cがS極に磁化される。その結果、ロータ41のN極が第3磁極部42cのS極と引き合い、ロータ41のN極は元の静止位置180度に戻るように制動される。
このように本実施形態は、二つのコイルA、Bを検出コイルとして同時に用いて衝撃検出を実施し、衝撃が検出されたならば、ロータ41の静止位置と衝撃によるロータ41の回転方向に応じたロックパルスLP11〜LP14を選択出力し、二つのコイルA、Bを同時に励磁することでステップモータ40を確実に制動することができる。
なお、ロックパルスLP11〜LP14の各第2のロックパルスLP11b〜LP14bは、駆動パルスSP内で最後に出力された小駆動パルスと同仕様である(図20、図21参照)。それにより、駆動パルスSPによる駆動後のロータ41の静止位置に応じた第2のロックパルスをステップモータ40に供給してロータ41を制動するので、衝撃によって180度以上回転したロータ41を元の静止位置(駆動パルスSPで駆動された直後の静止位置)に確実に戻すことができる。
以上のように第2の実施形態の2コイルステップモータ用駆動回路によれば、ステップモータの二つのコイルA、コイルBを共に検出コイルとして同時に用いることで、強い衝撃によってロータが180度以上回転した場合でも、衝撃の有無と衝撃によるロータの回転方向をただちに把握できる。それにより、ロータの静止位置と衝撃による回転方向に応じたロックパルスを選択出力し、ステップモータを正確に制動する2コイルステップモータ用駆動回路を提供できる。
また、第2の実施形態のロックパルスは、第1のロックパルスと第2のロックパルスで構成され、コイルAとコイルBのどちらか一方において、第1のロックパルスと第2のロックパルスで、コイル内に流れる駆動電流の極性が反転し異なるように構成される。
これにより、ロータが強い衝撃によって180度以上回転した場合でも、第1のロックパルスと第2のロックパルスで構成されるロックパルスをステップモータに供給することで、ステップモータのステータの各磁極部の磁化を2段階で切り替え、180度以上回転したロータを元の静止位置に確実に戻すことができる。
また、第2の実施形態は、ロータが180度以上回転した場合でも元の静止位置に戻すことができるので、本発明をアナログ表示式電子時計に応用した場合、衝撃の影響を受けやすい比較的大きな指針を用いることが可能となり、アナログ表示の視認性と耐衝撃性に優れた電子時計を提供できる。
また、第2の実施形態の駆動回路によるロックパルスは、衝撃が比較的弱くロータの回転が180度以下の場合でも確実にロータを制動できるので、衝撃の強弱に係わらず、ロータを制動できる2コイルステップモータ用駆動回路を提供できる。
[第3の実施形態]
[第3の実施形態のドライバ回路と検出回路の回路構成の説明:図26]
次に第3の実施形態のドライバ回路20と検出回路30の回路構成を図26を用いて説明する。第3の実施形態は、ロータ41の動きを検出する検出回路30の回路構成が第1の実施形態と異なっており、具体的には、コイルB側の検出回路、すなわち、図5に示すトランジスタTP3及びTP4、検出抵抗R3及びR4並びにこれらをコイルB及び衝撃判定回路31に接続する配線が設けられていない。トランジスタTP1及びTP2のソース端子Sがそれぞれ電源VDDに接続され、ドレイン端子Dがそれぞれ検出抵抗R1およびR2の一方の端子に接続され、さらに検出抵抗R1及びR2の他方の端子が、コイルAのコイル端子O1及びO2にそれぞれ接続される点は第1の実施形態と同様である。また、他の構成要素については第1の実施形態と同一であるので、重複する構成要素は同一番号を付して説明を省略する。
本実施形態において、ステップモータ40の基本動作及び、衝撃によるロータの回転とそれによる逆起電流の発生状態は、第1の実施形態において、図3,図4及び図6〜図9を参照して先に説明した場合と同様であるから、本実施形態において第1の実施形態と異なる点、すなわち、ロータ41の動きを検出する構成及び動作を中心に以下説明する。
[逆起電流を検出する検出回路の動作説明:図27〜29]
次に、図6〜図9で示したステップモータから発生する逆起電流を本実施形態の検出回路30がどのように検出するかを図27〜29を用いて説明する。図27は図26で示したドライバ回路20と検出回路30の各トランジスタの動作図であり、図28、図29は検出回路30の動作を説明するタイミングチャートである。
図27において、ロータ41のN極が静止位置0度にあるときの検出パルスCPの到来による各トランジスタの動作(ON/OFF)は、SW状態1に、ロータ41のN極が静止位置180度にあるときの検出パルスCPの到来による各トランジスタの動作(ON/OFF)は、SW状態2に示されている。ドライバ回路20と検出回路30が、ロータ41の静止位置(0度または180度)に応じて、各トランジスタをSW状態1とSW状態2に切り替える点は、第1の実施形態と同様である。
SW状態1において、検出パルスCPが到来すると、コイルA側の各トランジスタは、ドライバ回路20のトランジスタN1,N2,P1及びP2が全てOFF、検出回路30のトランジスタTP1及びTP2がともにONとなる。また、コイルB側の各トランジスタは、ドライバ回路20のトランジスタN3,N4,P3及びP4が全てOFFとなる。コイルB側には、検出回路30のトランジスタは設けられていない。
このSW状態1での各トランジスタのON/OFF動作によって、コイルA側では、コイル端子O1がトランジスタTP1によって検出抵抗R1を介して電源VDDに接続され、コイル端子O2がトランジスタTP2によって検出抵抗R2を介して電源VDDに接続される。コイルB側では、コイル端子O3及びO4はともに浮遊状態となる。
このSW1状態での検出区間に衝撃が発生し、ロータ41が時計回りに回転したとすると、図6で示したように、コイルAのコイル端子O2からO1に向かって大きなマイナス方向の逆起電流−Iaが流れ、コイルBのコイル端子O4からO3に向かって小さなプラス方向の逆起電流+Ibが流れる。
図28は、このSW状態1での検出回路の検出動作の一例を示している。本図の表示は、図11に倣っており、ステップモータ40が駆動パルスSPにより駆動された後、ロータ41のN極が静止位置0度にあるときの、コイルAに発生する逆起電流を検出パルスCPによってサンプリングして検出する様子を示している。検出パルスCPの周期は図11同様に、約0.5mSであり、パルス幅は約16μSである。そして、本実施形態では、コイルBに発生する逆起電流は検出されないため、図示は省略する。
本実施形態においても、SW状態1での検出区間において所定の周期で出力される検出パルスにより、コイルAのコイル端子O1に、逆起電流による電圧(検出信号CS)が発生する。
ここで時間t0のタイミングで衝撃が発生したとし、上述の例のように、ロータ41が衝撃によって時計回りに回転すると、コイルAに大きな逆起電流−Iaが発生する。これによって、コイル端子O1に検出パルスCPのタイミングで、検出抵抗R1による電圧降下により、逆起電流−Iaの大きさに応じたマイナス方向のパルス状の検出信号CSが発生する。
この時、検出閾値Vth1を適切な値に設定しておくことにより、衝撃判定回路31は、逆起電流−Iaのピークに近い検出パルスCPのNo3とNo4のタイミングで、コイル端子O1の検出信号CSが検出閾値Vth1を超えたことを検出できる。したがって、コイル端子O1からの検出信号CSを入力された衝撃判定回路31は、コイル端子O1からの検出信号CSが閾値Vth1を超えたと判定できる、検出パルスCPのNo3のタイミングでただちに衝撃信号CKを制御回路3に対して出力し、ロータ41が時計回りに回転したことを通知する。これ以降の制御回路3の動作及びロックパルス発生回路10により出力されるロックパルスLPによる動作は、上述の第1の実施形態及び第2の実施形態と同様である。
続いて、SW状態1での検出区間に衝撃が発生し、ロータ41が反時計回りに回転した場合を考える。この場合は、図7で示したように、コイルAのコイル端子O2からO1に向かって小さなプラス方向の逆起電流+Iaが流れ、コイルBのコイル端子O4からO3に向かって大きなマイナス方向の逆起電流−Ibが流れる。
図29は、図28同様に、このSW1状態での検出回路の検出動作の一例を示している。同じく時間t0のタイミングで衝撃が発生したとし、この場合では、ロータ41が衝撃によって反時計回りに回転すると、コイルAに小さな逆起電流+Iaが発生する。これによって、コイル端子O1に検出パルスCPのタイミングで、逆起電流+Iaの大きさに応じたプラス方向のパルス状の検出信号CSが発生する。
この小さな逆起電流+Iaにより発生するプラス方向のパルス状の検出信号CSの絶対値は、先ほどのロータ41が時計回りに回転した場合のマイナス方向のパルス状の検出信号CSの絶対値に比して小さい。したがって、このプラス方向のパルス状の検出信号CSを検出するために、検出閾値Vth2を適切な値に設定しておく。例えば、検出閾値Vth2の絶対値を、検出閾値Vth1より小さいものとする。これにより、衝撃判定回路31は、逆起電流+Iaのピークに近い検出パルスCPのNo3とNo4のタイミングで、コイル端子O1の検出信号CSが検出閾値Vth2を超えたことを検出できる。
コイル端子O1からの検出信号CSを入力された衝撃判定回路31は、コイル端子O1からの検出信号CSが閾値Vth2を超えたと判定できる、検出パルスCPのNo3のタイミングでただちに衝撃信号CKを制御回路3に対して出力し、ロータ41が反時計回りに回転したことを通知する。これ以降の制御回路3の動作及びロックパルス発生回路10により出力されるロックパルスLPによる動作は、上述の第1の実施形態及び第2の実施形態と同様である。なお、衝撃判定回路31は、衝撃によるロータ41の回転方向を制御回路に通知している。この通知はどのような方法によってもよいが、回転方向に応じて異なる衝撃信号(例えば、CK1、CK2の2つを用意する)を制御回路3に出力したり、衝撃信号CKとは別に、ロータ41の回転方向を示す信号を制御回路3に出力してよい。
このように、本実施形態では、ロータ41のN極が静止位置0度であってドライバ回路20と検出回路30がSW状態1であるとき、ロータ41が衝撃によって時計回りに回転した場合には、コイルAのコイル端子O1によりコイルAから発生する逆起電流−Iaにより衝撃を検出することができ、また、ロータ41が衝撃によって反時計回りに回転した場合には、コイルAのコイル端子O1によりコイルAから発生する逆起電流+Iaにより衝撃を検出することができる。
さらに、SW状態2、すなわち、ロータ41のN極が静止位置180度の場合の検出動作を説明する。この時、本実施形態では、図27に示すように、SW状態2において検出パルスCPが到来した際の、各トランジスタの状態は、SW状態1の場合とまったく同一であり、ドライバ回路20のトランジスタN1,N2,P1,P2,N3,N4,P3及びP4が全てOFF、検出回路30のトランジスタTP1及びTP2がともにONとなる。したがって、コイルAのコイル端子O1及びコイル端子O2における接続状態もSW状態1の場合と同じである。
このSW状態2での検出区間に衝撃が発生し、ロータ41が時計回りに回転したとすると、図8に示したように、コイルAのコイル端子O1からO2に向かって大きなプラス方向の逆起電流+Iaが流れ、コイルBのコイル端子O3からO4に向かって小さなマイナス方向の逆起電流−Ibが流れる。
この結果、検出パルスCSのタイミングで、コイル端子O2に検出抵抗R2による電圧降下により、逆起電流+Iaの大きさに応じたマイナス方向のパルス状の検出信号CSが発生する。したがって、このコイル端子O2に発生した検出信号を衝撃判定回路31が入力し、閾値Vth1を超えたか否かを判定して衝撃信号CKを出力する。このSW状態2におけるタイミングチャートは、図28に示したSW状態1におけるタイミングチャートに対し、コイルAの逆起電力の向きが逆であり、検出信号CSとしてコイル端子O2に発生した信号を用いる点のみが異なり、タイミング関係は同じであるので図示は省略する。
さらに、SW状態2でロータ41が反時計回りに回転した場合を考える。この場合は、図9に示したように、コイルAのコイル端子O2からO1に向かって小さなマイナス方向の逆起電流−Iaが流れ、コイルBのコイル端子O4からO3に向かって小さなプラス方向の逆起電流+Ibが流れる。
この結果、検出パルスCSのタイミングで、コイル端子O2に検出抵抗R2による電圧降下により、逆起電流−Iaの大きさに応じたプラス方向のパルス状の検出信号CSが発生する。したがって、このコイル端子O2に発生した検出信号を衝撃判定回路31が入力し、閾値Vth2を超えたか否かを判定して衝撃信号CKを出力する。このSW状態2におけるタイミングチャートは、図29に示したSW状態1におけるタイミングチャートに対し、コイルAの逆起電力の向きが逆であり、検出信号CSとしてコイル端子O2に発生した信号を用いる点のみが異なり、タイミング関係は同じであるので図示は省略する。
このように、本実施形態では、ロータ41のN極が静止位置180度であってドライバ回路20と検出回路30がSW状態2であるとき、ロータ41が衝撃によって時計回りに回転した場合には、コイルAのコイル端子O2によりコイルAから発生する逆起電流+Iaにより衝撃を検出することができ、また、ロータ41が衝撃によって反時計回りに回転した場合には、コイルAのコイル端子O1によりコイルAから発生する逆起電流−Iaにより衝撃を検出することができる。
以上のように、本実施形態では、検出回路30はコイルA側にのみ検出回路を有しており、コイルB側の検出回路は不要である。ここで、上述したように、検出回路30は弱いプラス方向のパルス状の検出信号CSを検出するため、検出の感度は第1の実施形態に比して見劣りするものの、必要となるトランジスタ及び検出抵抗の数が少なく、検出回路30を小規模なものとできるメリットがある。
本実施形態の動作は、図12及び図13を参照して第1の実施形態について説明したものと同様であるから、その説明は省略する。
なお、本実施形態では、検出回路30はコイルA側にのみ検出回路を有しており、コイルB側の検出回路は持たないものとして説明したが、これを逆として、コイルB側にのみ検出回路を有し、コイルA側に検出回路を持たないものとしても差し支えない。すなわち、本実施形態では、検出パルス発生回路6は、コイルA及びコイルBのいずれか1つに検出パルスCPを出力するものとすればよい。
[第4の実施形態]
[第4の実施形態のドライバ回路と検出回路の回路構成の説明:図30]
次に第4の実施形態のドライバ回路20と検出回路30の回路構成を図30を用いて説明する。第4の実施形態もまた、ロータ41の動きを検出する検出回路30の回路構成が第1の実施形態及び第3の実施形態と異なっており、具体的には、コイルAのコイル端子O1とコイルBのコイル端子O4の短絡及び切断を切り替えるアナログスイッチSW1が設けられる。また、トランジスタTP1のソース端子Sが電源VDDに接続され、ドレイン端子Dが検出抵抗R1の一方の端子に接続され、検出抵抗R1の他方の端子が、コイルAのコイル端子O2に接続される。同様に、トランジスタTP4のソース端子Sが電源VDDに接続され、ドレイン端子Dが検出抵抗R4の一方の端子に接続され、検出抵抗R4の他方の端子が、コイルBのコイル端子O3に接続される。第1の実施形態における、トランジスタTP2,TP3及び検出抵抗R2,R3は特に必要ではない。他の構成要素については第1の実施形態と同一であるので、重複する構成要素は同一番号を付して説明を省略する。
アナログスイッチSW1は、コイル端子O1とコイル端子O4の短絡及び接続を切り替えることができるものであればその形式は特に限定されないが、例えば、MOSFETである。アナログスイッチSW1もまた、トランジスタTP1,TP4と同様に、制御回路3からの制御信号CN4によりそのON/OFFが制御される。
本実施形態においても、ステップモータ40の基本動作及び、衝撃によるロータの回転とそれによる逆起電流の発生状態は、第1の実施形態において、図3,図4及び図6〜図9を参照して先に説明した場合と同様であり、ロータ41の動きを検出する構成及び動作の点が異なっているから、この点について以下説明する。なお、ステップモータ40の基本動作中、すなわち、ロータ41の駆動中のドライバ回路20の状態は第1の実施形態において説明した状態と等価となるため、アナログスイッチSW1はOFFとされる。
[逆起電流を検出する検出回路の動作説明:図31〜34]
本実施形態では、図6〜図9で示したステップモータから発生する逆起電流を逆起電圧の形で検出する。そして、かかる逆起電圧を本実施形態の検出回路30がどのように検出するかを図31〜34を用いて説明する。図31は図30で示したドライバ回路20と検出回路30の各トランジスタ及びアナログスイッチの動作図であり、図32〜34は検出回路30の動作を説明するタイミングチャートである。
図31において、ロータ41のN極が静止位置0度にあるときの検出パルスCPの到来による各トランジスタの動作(ON/OFF)は、SW状態1に、ロータ41のN極が静止位置180度にあるときの検出パルスCPの到来による各トランジスタの動作(ON/OFF)は、SW状態2に示されている。ドライバ回路20と検出回路30が、ロータ41の静止位置(0度または180度)に応じて、各トランジスタをSW状態1とSW状態2に切り替える点は、第1の実施形態と同様である。
SW状態1において、検出パルスCPが到来すると、コイルA側の各トランジスタは、ドライバ回路20のトランジスタN1,N2,P1,P2,N3,N4,P3及びP4が全てOFF、検出回路30のトランジスタTP1及びTP4がともにONとなる。また、アナログスイッチSW1はONとなる。
このSW状態1での各トランジスタ及びアナログスイッチのON/OFF動作によって、コイルA側では、コイル端子O2がトランジスタTP1によって検出抵抗R1を介して電源VDDに接続され、コイルB側では、コイル端子O3がトランジスタTP4によって検出抵抗R4を介して電源VDDに接続される。さらに、コイルAのコイル端子O1とコイルBのコイル端子O4とがアナログスイッチSW1により短絡される。
この状態は、コイルAとコイルBとをコイル端子O1及びコイル端子O4にて直列した状態に他ならず、検出パルスCPは、直列接続されたコイルA及びコイルBの両端に対して出力されることになる。
ここで、これまでの説明より明らかなように、コイルAの巻線方向は、コイル端子O2からコイル端子O1に対し電流を流した時に正の磁束φが発生する向きに設けられている。また、コイルBの巻線方向は、コイル端子O3からコイル端子O4に対し電流を流した時に正の磁束φが発生する向きに設けられている。
すなわち、アナログスイッチSW1によりコイル端子O1とコイル端子O4を短絡するということは、コイルA及びコイルBを、両端となるコイル端子O2及びコイル端子O3間に電流を流した際に、コイルAにより発生する磁束φとコイルBにより発生する磁束φとが互いに逆向きとなるように直列接続することに他ならない。また、この直列接続は、図2を参照すれば明らかなように、直列接続されたコイルA及びコイルBに直列に流れる電流により発生する磁束φが、2コイルステップモータ40のステータ42の第1磁極部42a及び第2磁極部42bを通過する閉ループを形成する向きである。
なお、同様の直列接続は、コイルAのコイル端子O2とコイルBのコイル端子O3をアナログスイッチSW1により短絡することによっても得られる。その場合には、図30に示した検出抵抗R1のトランジスタTP1と反対側の端子をコイル端子O1側に、検出抵抗R4のトランジスタTP4と反対側の端子をコイル端子O4側に接続するようにするとよい。
このSW1状態での検出区間に衝撃が発生し、ロータ41が時計回りに回転したとすると、図6で示したように、コイルAを通過する磁束は+1/2φから−φに変化するため、−3/2φの磁束量変化が生じる。また、コイルBを通過する磁束は+1/2φから+φに変化するため、+1/2φの磁束量変化が生じる。そして、コイルAとコイルBにはこの磁束の変化量に応じた電磁誘導による逆起電圧が生じる。
図32は、このSW状態1での検出回路の検出動作の一例を示している。本図の表示もまた図11に倣っているが、ここでは、ステップモータ40が駆動パルスSPにより駆動された後、ロータ41のN極が静止位置0度にあるときの、コイルAのコイル端子O2(直列接続されたコイルA及びコイルBの、コイルA側の端となる端子)にて検出される逆起電圧を検出パルスCPによってサンプリングして検出する様子が示されている。検出パルスCPの周期は図11同様に、約0.5mSであり、パルス幅は約16μSである。
ここで時間t0のタイミングで衝撃が発生したとし、上述の例のように、ロータ41が衝撃によって時計回りに回転したとする。このとき、コイルAには大きな逆起電圧−Vaが発生する。また、コイルBには小さな逆起電圧+Vbが発生するが、コイルBのコイル端子O4がコイルAのコイル端子O1と短絡されることにより、コイル端子O2で検出される電圧はその向きが逆となり、−Vbとなる。そして、コイル端子O2には、このコイルAにおける逆起電圧−VaとコイルBにおける逆起電圧の逆電圧−Vbの和である、−V=−(Va+Vb)が生じる。これによって、コイル端子O1に検出パルスCPのタイミングで、逆起電圧−Vの大きさに応じたマイナス方向のパルス状の検出信号CSが発生する。
この時もまた、検出閾値Vth1を負の適切な値に設定しておくことにより、衝撃判定回路31は、逆起電圧−Vのピークに近い検出パルスCPのNo3とNo4のタイミングで、コイル端子O2からの検出信号CSが検出閾値Vth1を超えたことを検出できる。したがって、コイル端子O2からの検出信号CSを入力された衝撃判定回路31は、コイル端子O2からの検出信号CSが検出閾値Vth1を超えたと判定できる、検出パルスCPのNo3のタイミングでただちに衝撃信号CKを制御回路3に対して出力し、ロータ41が時計回りに回転したことを通知する。これ以降の制御回路3の動作及びロックパルス発生回路10により出力されるロックパルスLPによる動作は、上述の第1の実施形態及び第2の実施形態と同様である。
衝撃判定回路31は、検出閾値Vth1とは別に、検出閾値Vth1と符号が逆で、絶対値がおおむね等しい検出閾値Vth2も設定している。これは、SW状態1での検出区間に衝撃が発生し、ロータ41が反時計回りに回転した場合の回転検出を行うためである。このときには、図7で示したように、コイルAを通過する磁束は+1/2φから+φに変化するため、+1/2φの磁束量変化が生じる。また、コイルBを通過する磁束は+1/2φから−φに変化するため、−3/2φの磁束量変化が生じる。そして、コイルAとコイルBにはこの磁束の変化量に応じた電磁誘導による逆起電圧が生じる。
図33は、このSW状態1での検出回路の検出動作の一例であり、図32と同じくコイルAのコイル端子O2にて検出される逆起電圧を検出パルスCPによってサンプリングして検出する様子を示している。そして、時間t0のタイミングで衝撃が発生したとし、ロータ41が衝撃によって反時計回りに回転したとする。このとき、コイルAには小さな逆起電圧+Vaが発生し、コイルBには大きな逆起電圧−Vbが発生し、コイル端子O2ではコイルBに生じた逆起電圧は符号が反転して検知されるから、結局、コイル端子O2には、このコイルAにおける逆起電圧+VaとコイルBにおける逆起電圧の逆電圧+Vbの和である、+V=+(Va+Vb)が生じる。これによって、コイル端子O1に検出パルスCPのタイミングで、逆起電圧+Vの大きさに応じたマイナス方向のパルス状の検出信号CSが発生する。
したがって、検出閾値Vth2を正の適切な値とすることで、図32の場合と同様、衝撃判定回路31は、コイル端子O2からの検出信号CSが検出閾値Vth1を超えたと判定できる、検出パルスCPのNo3のタイミングでただちに衝撃信号CKを制御回路3に対して出力し、ロータ41が時計回りに回転したことを通知する。ロータ41の回転方向は、検出信号CSが検出閾値Vth1及び検出閾値Vth2のいずれを超えたかにより判定できる。
さらに、SW状態2、すなわち、ロータ41のN極が静止位置180度の場合の検出動作について説明する。この時、本実施形態では、図31に示すように、SW状態2において検出パルスCPが到来した際の、各トランジスタの状態は、SW状態1の場合とまったく同一であり、ドライバ回路20のトランジスタN1,N2,P1,P2,N3,N4,P3及びP4が全てOFF、検出回路30のトランジスタTP1及びTP4がともにON、アナログスイッチSW1がONとなる。したがって、コイルAとコイルBが直列接続される接続状態もSW状態1の場合と同じである。
このSW状態2での検出区間に衝撃が発生し、ロータ41が時計回りに回転した場合のコイルA及びコイルBに生じる磁束量変化はそれぞれ+3/2φ、−1/2φであり、それによってコイルAには大きい+Vaの逆起電圧が、コイルBには小さい−Vbの逆起電圧が生じる。
これによってコイルAのコイル端子O2で検出される電圧は、+V=+(Va+Vb)となり、その波形は図33に示したものとおおむね同一となる。したがって、このSW状態2では、コイル端子O2からの検出信号CSを入力された衝撃判定回路31は、コイル端子O2からの検出信号CSが閾値Vth2を超えたと判定した場合に、衝撃信号CKを制御回路3に対して出力し、それによりロータ41が時計回りに回転したことを通知する。
さらに、このSW状態2での検出区間に衝撃が発生し、ロータ41が反時計回りに回転した場合のコイルA及びコイルBに生じる磁束量変化はそれぞれ−1/2φ、+3/2φであり、それによってコイルAには小さい−Vaの逆起電圧が、コイルBには大きい+Vbの逆起電圧が生じる。
これによってコイルAのコイル端子O2で検出される電圧は、−V=−(Va+Vb)となり、その波形は図32に示したものとおおむね同一となる。したがって、このSW状態2では、コイル端子O2からの検出信号CSを入力された衝撃判定回路31は、コイル端子O2からの検出信号CSが閾値Vth1を超えたと判定した場合に、衝撃信号CKを制御回路3に対して出力し、それによりロータ41が反時計回りに回転したことを通知する。
そして、以上説明した第4の実施形態では、コイルAとコイルBとを、直列接続されたコイルA及びコイルBに直列に流れる電流により発生する磁束φが、2コイルステップモータ40のステータ42の第1磁極部42a及び第2磁極部42bを通過する閉ループを形成する向きとなるように直列接続した。これにより、直列接続したコイルAとコイルBの端となる端子、この例ではコイル端子O2では、コイルA及びコイルBに生じた逆起電圧を同符号のものとして加算して検出することができる。これにより、検出すべき逆起電圧の絶対値が大きくなるため、検出感度を高めることができる。なお、コイルAのコイル端子O2に換えて、コイルBのコイル端子O4により検出信号CSを検出するようにしても同様である。
ただし、コイルAとコイルBとを、直列接続されたコイルA及びコイルBに流れる電流により発生する磁束φが、2コイルステップモータ40のステータ42の第1磁極部42a及び第2磁極部42bを通過する閉ループを形成しない向きとなるように直列接続しても、回転の検出は可能である。この接続は、本実施形態に即して具体的にいえば、コイルAのコイル端子O1とコイルBのコイル端子O3の短絡、又は、コイルAのコイル端子O2とコイルBのコイル端子O4の短絡による直列接続が当たる。
この場合のSW状態1、すなわち、ロータ41の静止位置が0度であって、時間t0のタイミングで発生した衝撃により、ロータ41が時計回りに回転した場合を考える。この場合の検出回路の検出動作の一例が図34に示されており、ここでは、コイルAのコイル端子O1とコイルBのコイル端子O3をアナログスイッチSW1により短絡し、コイルAのコイル端子O2より検出信号CSを検出するものとしている。
このとき、コイルA及びコイルBにおける磁束量変化は、先に説明したとおり、それぞれ、−3/2φ及び+1/2φである。そして、コイルAとコイルBにはこの磁束の変化量に応じ、コイルAに大きい−Vaの逆起電圧と、コイルBに小さい+Vbの逆起電圧が生じる。
そして、コイル端子O2にて検出される逆起電圧は、コイルAに生じた逆起電圧と、コイルBに生じた逆起電圧の和であり、−V=−(Va−Vb)となる。そのため、コイル端子O2において検出される検出信号CSの絶対値は、コイルAに生じた逆起電圧−Vaを単独で検出する場合よりも小さいものとなる。そのため、衝撃判定回路31がロータ41の回転を判別するに当たっては、検出閾値Vth1を絶対値が小さい負の適切な値に設定しておかなければならない。コイル41の反時計回りの回転を検出するための検出閾値Vth2についても同様に、絶対値が小さい正の適切な値に設定しておかなければならない。
このことから、コイルAとコイルBとを、直列接続されたコイルA及びコイルBに直列に流れる電流により発生する磁束φが、2コイルステップモータ40のステータ42の第1磁極部42a及び第2磁極部42bを通過する閉ループを形成しない向きとなるように直列接続すると、直列接続されたコイルAとコイルBの端となる端子にて検出すべき検出信号の絶対値が小さくなり、検出感度が劣ることとなる。しかしながら、かかる直列接続をしたとしても、ロータ41の回転検出そのものができなくなるわけではない。
また、本実施形態の動作は、図12及び図13を参照して第1の実施形態について説明したものと同様であるから、その説明は省略する。
[第5の実施形態]
[第5の実施形態のドライバ回路と検出回路の回路構成の説明:図35]
次に第5の実施形態のドライバ回路20と検出回路30の回路構成を図35を用いて説明する。第5の実施形態もまた、ロータ41の動きを検出する検出回路30の回路構成が第1の実施形態、第3の実施形態及び第4の実施形態と異なっており、具体的には、コイルAのコイル端子O2とコイルBのコイル端子O4の短絡及び切断を切り替えるアナログスイッチSW2及び、コイルAのコイルの端子O1とコイルBのコイル端子O3の短絡及び切断を切り替えるアナログスイッチSW3が設けられる。また、トランジスタTP1のソース端子Sが電源VDDに接続され、ドレイン端子Dが検出抵抗R1の一方の端子に接続され、検出抵抗R1の他方の端子が、コイルAのコイル端子O1に接続される。同様に、トランジスタTP2のソース端子Sが電源VDDに接続され、ドレイン端子Dが検出抵抗R2の一方の端子に接続され、検出抵抗R2の他方の端子が、コイルAのコイル端子O2に接続される。第1の実施形態における、トランジスタTP3,TP4及び検出抵抗R3,R4は特に必要ではない。他の構成要素については第1の実施形態と同一であるので、重複する構成要素は同一番号を付して説明を省略する。
アナログスイッチSW2,3もまた、コイル端子O2とコイル端子O4及びコイル端子O1とコイル端子O3の短絡及び接続を切り替えることができるものであればその形式は特に限定されず、例えば、MOSFETである。アナログスイッチSW2,3もまた、トランジスタTP1,TP2と同様に、制御回路3からの制御信号CN4によりそのON/OFFが制御される。
本実施形態においても、ステップモータ40の基本動作及び、衝撃によるロータの回転とそれによる逆起電流の発生状態は、第1の実施形態において、図3,図4及び図6〜図9を参照して先に説明した場合と同様であり、ロータ41の動きを検出する構成及び動作の点が異なっているから、この点について以下説明する。なお、ステップモータ40の基本動作中、すなわち、ロータ41の駆動中のドライバ回路20の状態は第1の実施形態において説明した状態と等価となるため、アナログスイッチSW2及びSW3はともにOFFとされる。
[逆起電流を検出する検出回路の動作説明:図31〜34]
本実施形態の検出回路30が図6〜図9で示したステップモータから発生する逆起電流をどのように検出するかを図36〜39を用いて説明する。図36は図35で示したドライバ回路20と検出回路30の各トランジスタ及びアナログスイッチの動作図であり、図37〜39は検出回路30の動作を説明するタイミングチャートである。
図36においてもまた、ロータ41のN極が静止位置0度にあるときの検出パルスCPの到来による各トランジスタの動作(ON/OFF)は、SW状態1に、ロータ41のN極が静止位置180度にあるときの検出パルスCPの到来による各トランジスタの動作(ON/OFF)は、SW状態2に示されている。ドライバ回路20と検出回路30が、ロータ41の静止位置(0度または180度)に応じて、各トランジスタをSW状態1とSW状態2に切り替える点は、第1の実施形態と同様である。
SW状態1において、検出パルスCPが到来すると、コイルA側の各トランジスタは、ドライバ回路20のトランジスタN1,N2,P1,P2,N3,N4,P3及びP4が全てOFF、検出回路30のトランジスタTP1及びTP2がともにONとなる。また、アナログスイッチSW2,3はONとなる。
このSW状態1での各トランジスタ及びアナログスイッチのON/OFF動作によって、コイルAのコイル端子O2とコイルBのコイル端子O4がアナログスイッチSW1により短絡され、また、コイルAのコイル端子O1とコイルBのコイル端子O3がアナログスイッチSW2により短絡される。さらに、コイル端子O1及びO3は、トランジスタTP1によって検出抵抗R1を介して電源VDDに接続され、コイル端子O2及びO4は、トランジスタTP2によって検出抵抗R2を介して電源VDDに接続される。
この状態は、コイルAとコイルBとを並列接続した状態に他ならず、検出パルスCPは、直列接続されたコイルA及びコイルBの両端に対して出力されることになる。
ここで、コイルA及びコイルBを並列接続する接続の向きには2通りあるが、ここで示したように、アナログスイッチSW1によりコイルAのコイル端子O2とコイルBのコイル端子O4を短絡し、アナログスイッチSW2によりコイルAのコイル端子O1とコイルBのコイル端子O3を短絡するということは、コイルA及びコイルBを、両端となるコイル端子O1(コイル端子O3と短絡されている)及びコイル端子O2(コイル端子O4と短絡されている)間に電流を流した際に、コイルAにより発生する磁束φとコイルBにより発生する磁束φとが互いに逆向きとなるように並列接続することに他ならない。また、この並列接続は、図2を参照すれば明らかなように、並列接続されたコイルA及びコイルBに並列に流れる電流により発生する磁束φが、2コイルステップモータ40のステータ42の第1磁極部42a及び第2磁極部42bを通過する閉ループを形成する向きである。
このSW1状態での検出区間に衝撃が発生し、ロータ41が時計回りに回転したとすると、図6で示したように、コイルAを通過する磁束は+1/2φから−φに変化するため、−3/2φの磁束量変化が生じる。また、コイルBを通過する磁束は+1/2φから+φに変化するため、+1/2φの磁束量変化が生じる。そして、コイルAとコイルBにはこの磁束の変化量に応じた電磁誘導による逆起電流が生じる。
図37は、このSW状態1での検出回路の検出動作の一例を示している。本図の表示もまた図11に倣っており、ステップモータ40が駆動パルスSPにより駆動された後、ロータ41のN極が静止位置0度にあるときの、コイルAのコイル端子O1(並列接続されたコイルA及びコイルBの一方の端となる端子)にて検出される逆起電流を検出パルスCPによってサンプリングして検出する様子が示されている。検出パルスCPの周期は図11同様に、約0.5mSであり、パルス幅は約16μSである。
ここで時間t0のタイミングで衝撃が発生したとし、上述の例のように、ロータ41が衝撃によって時計回りに回転したとする。このとき、コイルAには大きな逆起電流−Iaが流れる。また、コイルBには小さな逆起電流+Ibが流れるが、コイルBのコイル端子O3がコイルAのコイル端子O1と短絡され、コイルBのコイル端子O4がコイルAのコイル端子O2と短絡されることにより、コイル端子O1でコイルBについて検出される電流はその向きが逆となり、−Ibとなる。そして、コイル端子O1には、このコイルAにおける逆起電流−IaとコイルBにおける逆起電流の逆電流−Ibの和である、−I=−(Ia+Ib)が流れる。これによって、コイル端子O1に検出パルスCPのタイミングで、逆起電流−Iが流れる検出抵抗R1による電圧降下によって、逆起電流−Iの大きさに応じたマイナス方向のパルス状の検出信号CSが発生する。
そして、検出閾値Vth1を負の適切な値に設定しておくことにより、衝撃判定回路31は、逆起電流−Iのピークに近い検出パルスCPのNo3とNo4のタイミングで、コイル端子O1からの検出信号CSが検出閾値Vth1を超えたことを検出できる。したがって、コイル端子O1からの検出信号CSを入力された衝撃判定回路31は、コイル端子O1からの検出信号CSが検出閾値Vth1を超えたと判定できる、検出パルスCPのNo3のタイミングでただちに衝撃信号CKを制御回路3に対して出力し、ロータ41が時計回りに回転したことを通知する。これ以降の制御回路3の動作及びロックパルス発生回路10により出力されるロックパルスLPによる動作は、上述の第1の実施形態及び第2の実施形態と同様である。
また、第4の実施形態と同様に、衝撃判定回路31は、検出閾値Vth1とは別に、検出閾値Vth1と符号が逆で、絶対値がおおむね等しい検出閾値Vth2も設定している。これもまた、SW状態1での検出区間に衝撃が発生し、ロータ41が反時計回りに回転した場合の回転検出を行うためである。このときには、図7で示したように、コイルAを通過する磁束は+1/2φから+φに変化するため、+1/2φの磁束量変化が生じる。また、コイルBを通過する磁束は+1/2φから−φに変化するため、−3/2φの磁束量変化が生じる。そして、コイルAとコイルBにはこの磁束の変化量に応じた電磁誘導による逆起電流が生じる。
図38は、このSW状態1での検出回路の検出動作の一例であり、図37と同じくコイルAのコイル端子O1にて検出される逆起電圧を検出パルスCPによってサンプリングして検出する様子を示している。そして、時間t0のタイミングで衝撃が発生したとし、ロータ41が衝撃によって反時計回りに回転したとする。このとき、コイルAには小さな逆起電流+Iaが発生し、コイルBには大きな逆起電流−Ibが発生し、コイル端子O1ではコイルBに生じた逆起電流は符号が反転して入力されるから、結局、コイル端子O1には、このコイルAにおける逆起電流+IaとコイルBにおける逆起電流の逆電流+Ibの和である、+I=+(Ia+Ib)が生じる。これによって、コイル端子O1に検出パルスCPのタイミングで、逆起電流+Iの大きさに応じたマイナス方向のパルス状の検出信号CSが発生する。
したがって、検出閾値Vth2を正の適切な値とすることで、図37の場合と同様、衝撃判定回路31は、コイル端子O1からの検出信号CSが検出閾値Vth1を超えたと判定できる、検出パルスCPのNo3のタイミングでただちに衝撃信号CKを制御回路3に対して出力し、ロータ41が時計回りに回転したことを通知する。ロータ41の回転方向は、検出信号CSが検出閾値Vth1及び検出閾値Vth2のいずれを超えたかにより判定できる。
さらに、SW状態2、すなわち、ロータ41のN極が静止位置180度の場合の検出動作について説明する。この時、本実施形態では、図36に示すように、SW状態2において検出パルスCPが到来した際の、各トランジスタの状態は、SW状態1の場合とまったく同一であり、ドライバ回路20のトランジスタN1,N2,P1,P2,N3,N4,P3及びP4が全てOFF、検出回路30のトランジスタTP1及びTP2がともにON、アナログスイッチSW2,3がともにONとなる。したがって、コイルAとコイルBが並列接続される接続状態もSW状態1の場合と同じである。
このSW状態2での検出区間に衝撃が発生し、ロータ41が時計回りに回転した場合のコイルA及びコイルBに生じる磁束量変化はそれぞれ+3/2φ、−1/2φであり、それによってコイルAには大きい+Iaの逆起電流が、コイルBには小さい−Ibの逆起電流が生じる。
これによってコイルAのコイル端子O1で検出される電流は、+I=+(Ia+Ib)となり、その波形は図37に示したものとおおむね同一となる。したがって、このSW状態2では、コイル端子O1からの検出信号CSを入力された衝撃判定回路31は、コイル端子O1からの検出信号CSが閾値Vth2を超えたと判定した場合に、衝撃信号CKを制御回路3に対して出力し、それによりロータ41が時計回りに回転したことを通知する。
さらに、このSW状態2での検出区間に衝撃が発生し、ロータ41が反時計回りに回転した場合のコイルA及びコイルBに生じる磁束量変化はそれぞれ−1/2φ、+3/2φであり、それによってコイルAには小さい−Iaの逆起電流が、コイルBには大きい+Ibの逆起電流が生じる。
これによってコイルAのコイル端子O1で検出される電流は、−I=−(Ia+Ib)となり、その波形は図38に示したものとおおむね同一となる。したがって、このSW状態2では、コイル端子O1からの検出信号CSを入力された衝撃判定回路31は、コイル端子O1からの検出信号CSが閾値Vth1を超えたと判定した場合に、衝撃信号CKを制御回路3に対して出力し、それによりロータ41が反時計回りに回転したことを通知する。
そして、以上説明した第5の実施形態では、コイルAとコイルBとを、並列接続されたコイルA及びコイルBに並列に流れる電流により発生する磁束φが、2コイルステップモータ40のステータ42の第1磁極部42a及び第2磁極部42bを通過する閉ループを形成する向きとなるように並列接続した。これにより、並列接続したコイルAとコイルBの端となる端子、この例ではコイル端子O1では、コイルA及びコイルBに生じた逆起電流を同符号のものとして加算して検出することができる。これにより、検出すべき逆起電流の絶対値が大きくなるため、検出感度を高めることができる。なお、コイルAのコイル端子O1に換えて、コイルAのコイル端子O2により検出信号CSを検出するようにしてもよい。コイルB側のコイル端子O3,O4,を用いて検出信号CSを検出することもできる。さらに、トランジスタTP1,TP2及び検出抵抗R1,R2をコイルA側に設けず、コイルB側に設けてもよい。
ただし、コイルAとコイルBとを、並列接続されたコイルA及びコイルBに並列に流れる電流により発生する磁束φが、2コイルステップモータ40のステータ42の第1磁極部42a及び第2磁極部42bを通過する閉ループを形成しない向きとなるように並列接続しても、回転の検出は可能である。この接続は、本実施形態に即して具体的にいえば、コイルAのコイル端子O1とコイルBのコイル端子O4を短絡し、コイルAのコイル端子O2とコイルBのコイル端子O3を短絡する並列接続が当たる。
この場合のSW状態1、すなわち、ロータ41の静止位置が0度であって、時間t0のタイミングで発生した衝撃により、ロータ41が時計回りに回転した場合を考える。この場合の検出回路の検出動作の一例が図39に示されており、ここでは、コイルAのコイル端子O1とコイルBのコイル端子O4をアナログスイッチSW2により短絡し、コイルAのコイル端子O2とコイルBのコイル端子O3をアナログスイッチSW2により短絡して、コイルAのコイル端子O1より検出信号CSを検出するものとしている。
このとき、コイルA及びコイルBにおける磁束量変化は、先に説明したとおり、それぞれ、−3/2φ及び+1/2φである。そして、コイルAとコイルBにはこの磁束の変化量に応じ、コイルAに大きい−Iaの逆起電流と、コイルBに小さい+Ibの逆起電流が生じる。
そして、コイル端子O1にて検出される逆起電流は、コイルAに生じた逆起電流と、コイルBに生じた逆起電流の和であり、−I=−(Ia−Ib)となる。そのため、コイル端子O1において検出される検出信号CSの絶対値は、コイルAに生じた逆起電流−Iaを単独で検出する場合よりも小さいものとなる。そのため、衝撃判定回路31がロータ41の回転を判別するに当たっては、検出閾値Vth1を絶対値が小さい負の適切な値に設定しておかなければならない。コイル41の反時計回りの回転を検出するための検出閾値Vth2についても同様に、絶対値が小さい正の適切な値に設定しておかなければならない。
このことから、コイルAとコイルBとを、並列接続されたコイルA及びコイルBに並列に流れる電流により発生する磁束φが、2コイルステップモータ40のステータ42の第1磁極部42a及び第2磁極部42bを通過する閉ループを形成しない向きとなるように並列接続すると、並列接続されたコイルAとコイルBの端となる端子にて検出すべき検出信号の絶対値が小さくなり、検出感度が劣ることとなる。しかしながら、かかる並列接続をしたとしても、ロータ41の回転検出そのものができなくなるわけではない。
また、本実施形態の動作は、図12及び図13を参照して第1の実施形態について説明したものと同様であるから、その説明は省略する。
なお、本発明の各実施形態で示した駆動回路の構成図、ステップモータの構成、フローチャート、タイミングチャート等は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を満たすものであれば、任意に変更することができる。また、本発明の2コイルステップモータ用駆動回路は、電子時計に限定されず、衝撃を受けやすいステップモータを備えた機器のための駆動回路として幅広く利用することができる。