JPWO2016093078A1 - 圧電アクチュエータ、圧電アクチュエータの製造方法、液滴吐出ヘッド、液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出装置および液滴吐出装置の製造方法 - Google Patents

圧電アクチュエータ、圧電アクチュエータの製造方法、液滴吐出ヘッド、液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出装置および液滴吐出装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

アクチュエータ(21a)は、基板(22)側から、下部電極(24)、圧電体層(25)および上部電極(26)をこの順で有する。圧電体層(25)は、ペロブスカイト構造をそれぞれ持ち、かつ、添加物の添加量が互いに異なる2つの圧電層を有している。積層される2つの圧電層のうち、添加物の添加量が相対的に多い圧電層を第1圧電層(25a)とし、添加物の添加量が相対的に少ない圧電層を第2圧電層(25b)としたとき、圧電体層(25)の厚み方向に垂直な面内において、第2圧電層(25b)の面積は、第1圧電層(25a)の面積よりも小さい。

Description

本発明は、基板側から、下部電極、圧電体層および上部電極をこの順で有する圧電アクチュエータおよびその製造方法、上記圧電アクチュエータを備えた液滴吐出ヘッドおよびその製造方法、上記液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置およびその製造方法に関するものである。
従来から、アクチュエータやセンサなどのデバイスに、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)をはじめとする種々の圧電体が用いられている。圧電体としては、バルク状の圧電体が知られているが、近年では、デバイスの小型化、薄型化のニーズに応えるべく、圧電体を小型化、薄膜化することが必要となってきている。特に、インクジェットヘッドのアクチュエータに圧電体を適用する場合には、印刷画像の高精細化のためにノズルを高密度に搭載する必要があるため、圧電体を小型、薄膜で形成することが重要である。
薄膜の圧電体は、それ単体で形成することはできず、基板上に、スパッタリング法やゾルゲル法など、各種の成膜プロセスを用いて成膜しなければならない。基板上に、下部電極、圧電体層、上部電極を順次積層していく場合、圧電体層は、基板を含む下地層の材料や応力、結晶構造、表面のラフネス等の影響を受ける。このため、圧電体を薄膜化することで、圧電材料そのものの特性を引き出せず、圧電定数と呼ばれる特性が、バルク状の圧電体と比べて小さくなってしまう。
特に、圧電体層をアクチュエータまたはセンサ等に適用する場合、圧電体層をd31モードで駆動することが多い。d31モードとは、圧電体層を厚さ方向において2つの電極で挟み、圧電体層の厚さ方向に垂直な面内方向の歪みを利用して圧電体層を駆動する方式である。この駆動方式を採用する場合、圧電体層の下地には、圧電体層を挟む2つの電極の一方、すなわち、下部電極が含まれる。圧電体層の特性を向上させる方法として、その下地となる下部電極の導電性を確保したまま、下部電極の配向性を制御したり、下部電極と圧電体層との間に配向制御層を設けるなどの様々な方法が用いられてはいるが、それでも、薄膜とバルク状とで、圧電体の圧電定数に大きな差がある。なお、下部電極が圧電体層の下地となる場合、下部電極には、圧電体層の駆動時にその下層(基板を含む)との間で剥離が生じないような密着性も要求される。
そのため、デバイス用の基板上に、圧電体層を含む各層を順次積層していく方法ではなく、ダミー基板上に圧電体層を成膜し、これをデバイス用の基板に貼り付ける、いわゆる「転写」という技術が研究されている。この転写による方法では、ダミー基板上に電極を形成する必要が無いため、上記電極に要求される制約(上述した導電性、配向性、下層との密着性など)を考えなくても済み、デバイス用の基板上に各層を順次積層する場合に比べて、圧電体層の結晶成長に有利な下地層(材料)を幅広く選択できるという利点がある。しかし、その反面、ダミー基板から圧電体層をどのようにして剥離し、転写するかという点が問題となる。
圧電体層をダミー基板から剥離する方法としては、(1)転写させたい圧電体層を、犠牲層を介してダミー基板上に形成した後、その犠牲層をエッチングで除去する方法、(2)犠牲層としての分離層にダミー基板側から光を照射して、分離層の層内または界面において剥離を生じさせる方法、(3)ダミー基板そのものをウェットエッチングまたはドライエッチングによって無くす(消滅させる)方法がある。上記(2)の方法については、例えば特許文献1に開示されており、上記(3)の方法については、例えば特許文献2に開示されている。
特開平10−125931号公報(請求項1、段落〔0011〕、〔0118〕〜〔0133〕、図5等参照) 特開2011−71467号公報(請求項1、段落〔0049〕〜〔0051〕、図1等参照)
ところが、上記(1)の方法では、転写させたい圧電体層よりも犠牲層のエッチングレートが大きくなければならない、あるいは犠牲層のエッチングの際に、転写させたい圧電体層がエッチングされないようにすることが必要となる。このため、犠牲層の材料として、その上に形成される圧電体層の結晶成長性がよく、かつ、自身もエッチングされやすくなるような材料を選ぶ必要があり、犠牲層として使用できる材料が著しく制限される。つまり、上記の方法では、電極上に圧電体層を形成する場合に上記電極に求められていた導電性や配向性といった制約が、圧電体層の結晶成長性がよく、かつ、圧電体層よりもエッチングされやすい材料で犠牲層を形成しなければならないといった制約に置き換わっただけであり、圧電体層を転写で形成することによる本来の利点、つまり、圧電体層の結晶成長に有利な下地層を幅広く選択できるという利点が得られることにはならない。
また、上記(2)の方法では、犠牲層とダミー基板とで光の吸収率に差を持たせなければならないという条件が加わり、ダミー基板との関係で犠牲層の材料がさらに制限される。上記(3)の方法では、ダミー基板そのものが消耗品となるため、圧電アクチュエータの生産ごとにダミー基板を用意することが必要となり、圧電アクチュエータの生産性が低くなる。特に、ダミー基板として高価な基板を使用する場合、コスト面から、上記の生産性の低下が顕著となる。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、圧電体層をダミー基板上に形成してから下部電極上に転写する方法を採用する場合でも、ダミー基板上で犠牲層として機能する層の材料が著しく制限されるのを回避しながら圧電特性を向上させるとともに、ダミー基板を再利用して生産性を向上させることができる圧電アクチュエータおよびその製造方法、上記圧電アクチュエータを備えた液滴吐出ヘッドおよびその製造方法、上記液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置およびその製造方法を提供することにある。
本発明の一側面に係る圧電アクチュエータは、基板側から、下部電極、圧電体層および上部電極をこの順で有する圧電アクチュエータであって、前記圧電体層は、ペロブスカイト構造をそれぞれ持ち、かつ、添加物の添加量が互いに異なる2つの圧電層を有しており、積層される前記2つの圧電層のうち、添加物の添加量が相対的に多い圧電層を第1圧電層とし、添加物の添加量が相対的に少ない圧電層を第2圧電層としたとき、前記圧電体層の厚み方向に垂直な面内において、前記第2圧電層の面積は、前記第1圧電層の面積よりも小さい。
本発明の他の側面に係る液滴吐出ヘッドは、上記の圧電アクチュエータと、液体を液滴として吐出するためのノズル孔を有するノズルプレートとを備え、前記圧電アクチュエータの前記基板には、前記液体を収容する圧力室が形成されており、前記ノズルプレートの前記ノズル孔は、前記圧力室と連通している。
本発明の他の側面に係る液滴吐出装置は、上記の液滴吐出ヘッドと、前記液滴吐出ヘッドを支持する支持部材とを備えている。
本発明のさらに他の側面に係る圧電アクチュエータの製造方法は、デバイス用基板を含む基体上に下部電極を形成する工程と、前記下部電極上に、圧電体層を形成する工程と、前記圧電体層上に、上部電極を形成する工程とを含み、前記圧電体層を形成する工程は、前記デバイス用基板とは異なるダミー基板上に、前記圧電体層として、ペロブスカイト構造をそれぞれ持ち、かつ、添加物の添加量が互いに異なる2つの圧電層を積層する積層工程と、前記圧電体層をエッチングして前記ダミー基板から剥離する剥離工程と、剥離された前記圧電体層を前記下部電極上に転写する転写工程とを含み、前記2つの圧電層のうち、添加物の添加量が相対的に多い圧電層を第1圧電層とし、添加物の添加量が相対的に少ない圧電層を第2圧電層としたとき、前記積層工程では、前記ダミー基板上に、前記第2圧電層および前記第1圧電層をこの順で積層し、前記剥離工程では、前記圧電体層の厚み方向に垂直な面内で、前記第2圧電層の面積が、前記第1圧電層の面積よりも小さくなるように、前記第2圧電層を犠牲層としてエッチングして分離することにより、前記圧電体層を前記ダミー基板から剥離する。
本発明のさらに他の側面に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、上記圧電アクチュエータの製造方法を用いて、液滴吐出ヘッドを製造する液滴吐出ヘッドの製造方法であって、前記圧電アクチュエータの前記デバイス用基板に、液体を収容する圧力室を形成する工程と、前記圧力室と連通し、前記液体を液滴として吐出するためのノズル孔を有するノズルプレートを、前記デバイス用基板に貼り付ける工程とを有している。
本発明のさらに他の側面に係る液滴吐出装置の製造方法は、上記液滴吐出ヘッドの製造方法を用いて、液滴吐出装置を製造する液滴吐出装置の製造方法であって、前記液滴吐出ヘッドを支持部材に設置する工程を有している。
圧電体層をダミー基板上に形成してから下部電極上に転写する方法を採用する場合でも、ダミー基板上で犠牲層として機能する層の材料が著しく制限されるのを回避しながら圧電特性を向上させるとともに、ダミー基板を再利用して生産性を向上させることができる。
本発明の実施の一形態に係る液滴吐出装置の一例であるインクジェットプリンタの概略の構成を示す説明図である。 上記インクジェットプリンタが備えるインクジェットヘッドのアクチュエータの概略の構成を示す平面図である。 図2Aの平面図におけるA−A’線矢視断面図である。 上記インクジェットヘッドの構成を示す断面図である。 上記インクジェットヘッドの詳細な構成を示す断面図である。 ペロブスカイト構造を持つPZTの結晶構造を模式的に示す説明図である。 上記インクジェットプリンタの製造工程の流れを示すフローチャートである。 上記インクジェットヘッドの製造工程を示す断面図である。 上記インクジェットヘッドの、図7に続く製造工程を示す断面図である。 上記インクジェットヘッドの、図8に続く製造工程を示す断面図である。 上記インクジェットヘッドの他の構成を示す断面図である。 上記インクジェットヘッドのさらに他の構成を示す断面図である。
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本明細書において、数値範囲をA〜Bと表記した場合、その数値範囲に下限Aおよび上限Bの値は含まれるものとする。
〔インクジェットプリンタの構成〕
図1は、本実施形態の液滴吐出装置の一例であるインクジェットプリンタ1の概略の構成を示す説明図である。インクジェットプリンタ1は、インクジェットヘッド部2において、インクジェットヘッド21が記録媒体の幅方向にライン状に設けられた、いわゆるラインヘッド方式のインクジェット記録装置である。
インクジェットプリンタ1は、上記のインクジェットヘッド部2と、繰り出しロール3と、巻き取りロール4と、2つのバックロール5・5と、中間タンク6と、送液ポンプ7と、貯留タンク8と、定着機構9とを備えている。
インクジェットヘッド部2は、インクジェットヘッド21から記録媒体Pに向けてインクを吐出させ、画像データに基づく画像形成(描画)を行うものであり、一方のバックロール5の近傍に位置するように、支持部材12によって支持されている。なお、インクジェットヘッド21の詳細については後述する。
繰り出しロール3、巻き取りロール4および各バックロール5は、軸回りに回転可能な円柱形状からなる部材である。繰り出しロール3は、周面に幾重にも亘って巻回された長尺状の記録媒体Pを、インクジェットヘッド部2との対向位置に向けて繰り出すロールである。この繰り出しロール3は、モータ等の図示しない駆動手段によって回転することで、記録媒体Pを図1のX方向へ繰り出して搬送する。
巻き取りロール4は、繰り出しロール3より繰り出されて、インクジェットヘッド部2によってインクが吐出された記録媒体Pを周面に巻き取る。
各バックロール5は、繰り出しロール3と巻き取りロール4との間に配設されている。記録媒体Pの搬送方向上流側に位置する一方のバックロール5は、繰り出しロール3によって繰り出された記録媒体Pを、周面の一部に巻き付けて支持しながら、インクジェットヘッド部2との対向位置に向けて搬送する。他方のバックロール5は、インクジェットヘッド部2との対向位置から巻き取りロール4に向けて、記録媒体Pを周面の一部に巻き付けて支持しながら搬送する。
中間タンク6は、貯留タンク8より供給されるインクを一時的に貯留する。また、中間タンク6は、複数のインクチューブ10と接続され、各インクジェットヘッド21におけるインクの背圧を調整して、各インクジェットヘッド21にインクを供給する。
送液ポンプ7は、貯留タンク8に貯留されたインクを中間タンク6に供給するものであり、供給管11の途中に配設されている。貯留タンク8に貯留されたインクは、送液ポンプ7によって汲み上げられ、供給管11を介して中間タンク6に供給される。
定着機構9は、インクジェットヘッド部2によって記録媒体Pに吐出されたインクを当該記録媒体Pに定着させる。この定着機構9は、吐出されたインクを記録媒体Pに加熱定着するためのヒータや、吐出されたインクにUV(紫外線)を照射することによりインクを硬化させるためのUVランプ等で構成されている。
上記の構成において、繰り出しロール3から繰り出される記録媒体Pは、バックロール5により、インクジェットヘッド部2との対向位置に搬送され、インクジェットヘッド部2から記録媒体Pに対してインクが吐出される。その後、記録媒体Pに吐出されたインクは定着機構9によって定着され、インク定着後の記録媒体Pが巻き取りロール4によって巻き取られる。このようにラインヘッド方式のインクジェットプリンタ1では、インクジェットヘッド部2を静止させた状態で、記録媒体Pを搬送しながらインクが吐出され、記録媒体Pに画像が形成される。
なお、インクジェットプリンタ1は、シリアルヘッド方式で記録媒体に画像を形成する構成であってもよい。シリアルヘッド方式とは、記録媒体を搬送しながら、その搬送方向と直交する方向にインクジェットヘッドを移動させてインクを吐出し、画像を形成する方式である。また、記録媒体Pとしては、長尺状のもの以外にも、予め所定の大きさ(形状)に裁断されたシート状のものを用いてもよい。
〔インクジェットヘッドの構成〕
次に、上記したインクジェットヘッド21の構成について説明する。図2Aは、インクジェットヘッド21のアクチュエータ21a(圧電アクチュエータ)の概略の構成を示す平面図であり、図2Bは、その平面図におけるA−A’線矢視断面図である。また、図3は、図2Aおよび図2Bのアクチュエータ21aにノズルプレート31を接合してなるインクジェットヘッド21の構成を示す断面図である。
インクジェットヘッド21(液滴吐出ヘッド)は、複数の圧力室22a(開口部)を有する基板22(デバイス用基板)上に、熱酸化膜23、下部電極24、圧電体層25、上部電極26をこの順で有している。基板22および熱酸化膜23は、下部電極24が形成される下地となる基体を構成しているが、基体の構成はこれらに限定されるわけではない。例えば、熱酸化膜23を省略して、基板22のみで基体を構成することもできる。また、熱酸化膜23の代わりに窒化膜を設けて、基板22と窒化膜とで基体を構成することもできる。
基板22は、厚さが例えば100〜300μm程度の単結晶Si(シリコン)単体からなる半導体基板またはSOI(Silicon on Insulator)基板で構成されている。この基板22は、例えば厚さが300〜750μm程度の基板を準備し、研磨処理等により100〜300μmの厚みにしたものである。なお、図2では、基板22をSOI基板で構成した場合を示している。SOI基板は、酸化膜を介して2枚のSi基板を接合したものである。基板22における圧力室22aの上壁(圧力室22aよりも圧電体層25の形成側に位置する壁)は、従動膜となる振動板22bを構成しており、圧電体層25の駆動(伸縮)に伴って変位(振動)し、圧力室22a内のインクに圧力を付与する。
熱酸化膜23は、例えば厚さが0.1μm程度のSiO2(酸化シリコン)からなり、基板22の保護および絶縁の目的で形成されている。
下部電極24は、複数の圧力室22aに共通して設けられるコモン電極であり、Ti(チタン)層とPt(白金)層とを積層して構成されている。Ti層は、熱酸化膜23とPt層との密着性を向上させるために形成されている。Ti層の厚さは例えば0.02μm程度であり、Pt層の厚さは例えば0.1μm程度である。なお、Ti層の代わりに酸化チタン(TiOx)からなる層を形成してもよい。また、密着性を向上させるためのTi層を省略し、Pt層のみで下部電極24を構成してもよい。
圧電体層25は、ペロブスカイト構造を有する2つの圧電層を積層することで構成されているが、その詳細については後述する。圧電体層25の膜厚は、例えば1μm以上10μm以下とすることができるが、インクジェットヘッド用の圧電アクチュエータとしては、2μm以上6μm以下であることが、薄膜の構成でインクの吐出を確実に行える観点から望ましい。
上部電極26は、各圧力室22aに対応して設けられる個別電極であり、Ti層とPt層とを積層して構成されている。Ti層は、圧電体層25とPt層との密着性を向上させるために形成されている。Ti層の厚さは例えば0.02μm程度であり、Pt層の厚さは例えば0.1〜0.2μm程度である。上部電極26は、下部電極24との間で圧電体層25を膜厚方向から挟むように設けられている。なお、Pt層の代わりに、金(Au)からなる層を形成してもよい。また、密着性を高めるためのTi層を省略してもよい。
下部電極24、圧電体層25および上部電極26は、圧力室22a内のインクを外部に吐出させるための薄膜の圧電素子27を構成している。この圧電素子27は、駆動回路28から下部電極24および上部電極26に印加される電圧(駆動信号)に基づいて駆動される。インクジェットヘッド21は、圧電素子27および圧力室22aを縦横に並べることにより形成される。
圧力室22aの振動板22bとは反対側には、ノズルプレート31が接合されている。ノズルプレート31には、圧力室22aと連通し、圧力室22aに収容されるインクをインク滴として外部に吐出するためのインク吐出孔(ノズル孔)31aが形成されている。圧力室22aには、中間タンク6より供給されるインクが収容される。
上記の構成において、駆動回路28から下部電極24および上部電極26に電圧を印加すると、圧電体層25が、下部電極24と上部電極26との電位差に応じて、厚さ方向に垂直な方向(基板22の面に平行な方向)に伸縮する。そして、圧電体層25と振動板22bとの長さの違いにより、振動板22bに曲率が生じ、振動板22bが厚さ方向に変位(湾曲、振動)する。
したがって、圧力室22a内にインクを収容しておけば、上述した振動板22bの振動により、圧力室22a内のインクに圧力波が伝搬され、圧力室22a内のインクがインク吐出孔31aからインク滴として外部に吐出される。
〔圧電体層の詳細〕
次に、上記した圧電体層25の詳細について説明する。図4は、インクジェットヘッド21の詳細な構成を示す断面図である。なお、図4では、熱酸化膜23の形成を省略している。
圧電体層25は、第1圧電層25aと、第2圧電層25bとを積層して構成されている。第1圧電層25aおよび第2圧電層25bは、それぞれ、ペロブスカイト構造を持ち、かつ、添加物の添加量が互いに異なる圧電層である。
ここで、図5は、ペロブスカイト構造を持つ圧電体の一例として、PZTの結晶構造を模式的に示している。ペロブスカイト構造とは、理想的には立方晶系の単位格子を有しており、立方晶の各頂点(Aサイト)に配置される金属(例えばPb)、体心(Bサイト)に配置される金属(例えばジルコニウム(Zr)またはチタン(Ti))、立方晶の各面心に配置される酸素(O)とから構成されるABO3型の結晶構造のことである。ペロブスカイト構造の結晶には、立方晶が歪んだ正方晶、斜方晶、菱面体晶等も含まれるものとする。
本実施形態では、第1圧電層25aおよび第2圧電層25bは、PZTを共通の組成としている。つまり、第1圧電層25aおよび第2圧電層25bは、両方とも、AサイトにPbを含み、かつ、BサイトにZrを含む結晶構造と、AサイトにPbを含み、かつ、BサイトにTiを含む結晶構造とを持つ。そして、第1圧電層25aは、Aサイトに添加物としてランタン(La)を含む結晶構造をさらに持つ。これにより、第1圧電層25aは、ペロブスカイト構造のチタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)で構成されることになる。一方、第2圧電層25bが持つ結晶構造は、全て、La無添加であり、第2圧電層25bはPZTで構成されることになる。
このように、本実施形態では、積層される2つの圧電層のうち、添加物の添加量が相対的に多い圧電層が第1圧電層25aであり、添加物の添加量が相対的に少ない(添加量がゼロの場合を含む)圧電層が第2圧電層25bである。
圧電体層25の厚み方向に垂直な面内において、第2圧電層25bの面積は、第1圧電層25aの面積よりも小さい。これにより、後述する圧電体層25の転写によって、アクチュエータ21aを製造する方法を採用することができる。また、本実施形態では、第2圧電層25bは、第1圧電層25aよりも厚さが薄く、第1圧電層25aよりも基板22側に位置している。
〔インクジェットプリンタの製造方法〕
次に、インクジェットプリンタ1の製造方法について説明する。図6は、インクジェットプリンタ1の製造工程の流れを示すフローチャートである。インクジェットプリンタ1の製造方法は、下部電極形成工程(S1)、圧電体層形成工程(S2)、上部電極形成工程(S3)、圧力室形成工程(S4)、ノズルプレート貼付工程(S5)、ヘッド設置工程(S6)を含む。このうち、S1〜S5の工程が、インクジェットヘッド21の製造工程に対応し、S1〜S3の工程が、アクチュエータ21aの製造工程に対応する。なお、S1の工程は、S2の後述する転写工程S2−3までに行われればよく、転写工程S2−3までであれば、どの時点で行われてもよい(必ずしもS2の前に行われる必要はない)。以下、各工程の詳細について、図7〜図9に基づいて説明する。図7〜図9は、インクジェットヘッド21の製造工程を示す断面図である。
(1)まず、Siからなるデバイス用の基板22を含む基体上に、Ptをスパッタリングにより成膜し、下部電極24を形成する(S1)。なお、上記基体は、基板22のみで構成されてもよく、基板22上に熱酸化膜を形成して構成されてもよい。
次に、下部電極24上に、圧電体層25を転写して形成する(S2)。より詳しくは、以下の通りである。
(2)まず、単結晶基板として、酸化マグネシウム(MgO)からなるダミー基板41を用意する。
(3)ダミー基板41上に、スパッタリングによりPZTを成膜し、厚さ0.5μmの第2圧電層25bを犠牲層として形成する。
(4)第2圧電層25b上に、スパッタリングによりPLZTを成膜し、厚さ3μmの第1圧電層25aを形成する。上記(2)〜(4)の工程が、ダミー基板41上に、ペロブスカイト構造をそれぞれ持ち、かつ、添加物の添加量が互いに異なる2つの圧電層(第1圧電層25a、第2圧電層25b)を積層する積層工程(S2−1)に対応する。
(5)第1圧電層25a上に、レジスト42を塗布し、パターニングする。
(6)ダミー基板41の裏面(第1圧電層25aとは反対側の面)に、次工程で使用するエッチング液(フッ硝酸)によってダミー基板41がエッチングされるのを防止するため、エッチング保護膜43を形成する。
(7)第1圧電層25aをフッ硝酸によってエッチングする。このとき、同時に、第1圧電層25aをデバイスの形状に加工する。
(8)第1圧電層25aのエッチングが第2圧電層25bまで進むと、そのまま第2圧電層25bもエッチングする。
(9)第2圧電層25bが完全に切り離される前に、エッチングを止める。PZTからなる第2圧電層25bは、添加物(ここではLa)の添加量がゼロであり、PLZTからなる第1圧電層25aよりも添加物の添加量が少ないため、第1圧電層25aよりもエッチングレートが大きくなり、結果として、厚み方向に垂直な面内での面積が、第1圧電層25aよりも小さくなる。
(10)レジスト42を除去する。
(11)粘着シートの一種であるPDMS(ポリジメチルシロキサン)シート44を第1圧電層25aに貼り付けて、PDMSシート44に第1圧電層25aを転写する。このとき、第2圧電層25bが厚み方向に分離され、その一部(分離された部分)が第1圧電層25aとともにPDMSシート44に転写される。これにより、第1圧電層25aおよび第2圧電層25bからなる圧電体層25がダミー基板41から剥離されることになる。上記(5)〜(11)の工程が、圧電体層25をエッチングしてダミー基板41から剥離する剥離工程(S2−2)に対応する。
(12)デバイス用の基板22の下部電極24上に、第1圧電層25aおよび第2圧電層25bからなる圧電体層25を転写することにより、下部電極24上に圧電体層25を形成する(S2−3)。このとき、第2圧電層25bが第1圧電層25aよりも基板22側に位置するように、剥離された圧電体層25を下部電極24上に転写する。その後、PDMSシート44を剥がす。
(13)第1圧電層25a上に、スパッタリングによりPtを成膜し、上部電極26を形成する(S3)。
(14)基板22の裏面側をパターニングし、圧力室22aを形成する(S4)。このとき、インク流路等も同時に基板22に形成する。これにより、アクチュエータ21aが完成する。
(15)基板22の裏面側に、ノズルプレート31を貼り付ける(S5)。これにより、インクジェットヘッド21が完成する。最後に、インクジェットヘッド21を支持部材12(図1参照)で支持することにより、インクジェットプリンタ1が得られる(S6)。
以上のように、第1圧電層25aおよび第2圧電層25bは、ペロブスカイト構造を持つPLZTおよびPZTでそれぞれ形成されている。これらの層は、ペロブスカイト構造のPZTを共通して用い、PZTに対してLaの添加量を調整することで、容易に実現できる。しかも、犠牲層となる第2圧電層25bとダミー基板41とで光吸収率を異ならせる必要がないため、ダミー基板41の材料とは無関係に(第1圧電層25aの組成だけを考慮して)、犠牲層となる第2圧電層25bの材料およびLaの添加量を設定できる。つまり、第2圧電層25bの材料として、第1圧電層25aと組成が共通する材料(上記の例ではPZT)を使用でき、第1圧電層25aの結晶成長性を向上させ、かつ、自身もエッチングされやすくなるような、第1圧電層25aとは組成の全く異なる材料を一から探さなくても済む。
また、第2圧電層25bはペロブスカイト構造を持ち、第2圧電層25bの結晶性を引き継ぐようにして、第2圧電層25bの上に第1圧電層25aをペロブスカイト構造で良好に成長させることができるため、第1圧電層25aひいては圧電体層25全体の圧電特性を向上させることができる。
したがって、圧電体層25を上記のように転写で形成してアクチュエータ21aを製造する際に、ダミー基板41上で犠牲層として機能する層(第2圧電層25b)の材料が著しく制限されるのを回避しながら、圧電特性を向上させることができる。よって、第1圧電層25aの結晶成長に有利な下地層(第2圧電層25b)の材料の選択の幅が広がるという転写による利点も確保される。また、第2圧電層25bをエッチングすることで、圧電体層25をダミー基板41から剥離できるため、剥離したダミー基板41を再利用することができ、これによって、アクチュエータ21aの生産性を向上させることができる。さらに、特許文献1のように、光照射のために大がかりな装置を必要とすることもなく、アクチュエータ21aを容易に製造することができる。
また、第1圧電層25aおよび第2圧電層25bは、ABO3型のペロブスカイト構造のAサイトに同じ元素(例えばPb)を含み、かつ、Bサイトに同じ元素(例えばZrまたはTi)を含んでいる。これにより、第1圧電層25aに添加物(例えばLa)を加え、第2圧電層25bに添加物を加えないことで、エッチングレートの異なる第1圧電層25aおよび第2圧電層25bを容易に実現することができる。また、第2圧電層25bは、第1圧電層25a(例えばPLZT)よりもエッチングレートが大きい材料(例えばPZT)で構成されている。この場合、第1圧電層25aよりも第2圧電層25bのエッチングが速く進むため、厚み方向に垂直な面内で第1圧電層25aよりも第2圧電層25bの面積を小さくして、第2圧電層25bを厚み方向に分離することが容易となり、これによって、圧電体層25をダミー基板41から剥離することが容易となる。
また、第1圧電層25aおよび第2圧電層25bは、両方とも、AサイトにPbを含み、かつ、BサイトにZrを含む結晶構造と、AサイトにPbを含み、かつ、BサイトにTiを含む結晶構造とを持つ。このように、第1圧電層25aおよび第2圧電層25bは、両方とも、Pb、Zr、Tiを含んでいるため、添加物の添加量を調整することで、エッチングレートの異なる2種の圧電層(第1圧電層25a、第2圧電層25b)を容易に実現することができる。
特に、第1圧電層25aは、AサイトにLaを含む結晶構造をさらに持つため、第2圧電層25bをLa無添加のPZTとすることで、第1圧電層25aよりもエッチングレートの大きい第2圧電層25bを容易に実現することができる。そして、第1圧電層25aと第2圧電層25bとが、それぞれPLZTとPZTである構成において、上述した本実施形態の効果を得ることができる。
図10は、インクジェットヘッド21の他の構成を示す断面図である。同図のように、下部電極24上の第2圧電層25bは、第1圧電層25aよりも厚さが厚くてもよい。ただし、図4等のように、第1圧電層25aよりも第2圧電層25bの厚さが薄いほうが、第1圧電層25aの駆動(伸縮)を効率よく下部電極24を含む下層に伝達できる点で望ましい。つまり、第1圧電層25aは、第2圧電層25bとの接触部以外の部分で下部電極24と接触するように、下部電極24上で支持される(図4では、第1圧電層25aにおける第2圧電層25bとの接触部以外の部分は下部電極24と離間するように図示されているが、実際は第2圧電層25bの厚さは1μm以下と薄いため、第1圧電層25aは第2圧電層25bとの接触部以外の部分で下部電極24とほとんど接触する)。このため、第1圧電層25aの駆動を効率よく下部電極24を介して基板22(振動板22b)に伝達することができ、振動板22bを効率よく振動させることができる。
図11は、インクジェットヘッド21のさらに他の構成を示す断面図である。同図のように、第2圧電層25bは、第1圧電層25aに対して基板22とは反対側に位置していてもよい。このような構成は、上記した(11)の工程にて、PDMSシート44を第1圧電層25aに貼り付けて圧電体層25を転写した後、さらに、圧電体層25の反対側(第2圧電層25b側)を別の粘着シートに貼り付けて再転写を行い、第1圧電層25a側が下部電極24側となるようにして、圧電体層25を下部電極24上に転写することにより、容易に実現することができる。このような構成であっても、犠牲層となる第2圧電層25bの材料が著しく制限されるのを回避しながら、圧電特性を向上させるなど、上述した本実施形態の効果を得ることができる。
〔補足〕
(a)本実施形態では、犠牲層としての第2圧電層25bは、添加物無添加のPZTで構成されているが、第2圧電層25bに添加物が添加されていてもよい。第1圧電層25aに添加物を入れたことによって、第1圧電層25aと第2圧電層25bとで格子定数に差が生じる場合、犠牲層にも添加物を入れて、第1圧電層25aと第2圧電層25bとで格子定数を近づけることにより、圧電特性のさらなる向上も可能である。
したがって、本実施形態のように、第1圧電層25aが、ABO3型のペロブスカイト構造のPZTのAサイトにLaを添加したPLZTで構成される場合、第2圧電層25bも同様に、PZTのAサイトにLaを添加したPLZTとすることで、第1圧電層25aと第2圧電層25bとの格子定数の差を小さくして、圧電特性をさらに向上させることができる。このとき、第1圧電層25aよりも第2圧電層25bのエッチングレートを大きくして、厚み方向に垂直な面内での第2圧電層25bの面積を第1圧電層25aよりも小さくするため、La添加量は、第1圧電層25aよりも第2圧電層25bのほうを少なくすることが必要である。例えば、第1圧電層25aを、PZTにLaを7%添加したPLZTで構成し、第2圧電層25bを、PZTにLaを1%添加したPLZTで構成することで、第1圧電層25aと第2圧電層25bとで成分は同じであっても、第1圧電層25aよりも第2圧電層25bのエッチングレートを大きくすることができる。
このことから、第2圧電層25bは、PZTのAサイトにLaを含む結晶構造を持ち、第1圧電層25aのLaの添加量は、第2圧電層25bのLaの添加量よりも多い構成であってもよいと言える。
(b)第1圧電層25aおよび第2圧電層25bを構成する材料の組み合わせは、PLZTとPZT、PLZT(La添加量大)とPLZT(La添加量小)には限定されない。添加物を添加しても同じペロブスカイト構造を採り、第1圧電層25aよりも第2圧電層25bのエッチングレートが大きくなる材料の組み合わせであればよい。例えば、ABO3型のペロブスカイト構造のPZTのBサイトにニオブ(Nb)を添加したチタン酸ジルコン酸ニオブ鉛(PNZT)を用い、第1圧電層25aおよび第2圧電層25bを構成する材料の組み合わせとして、PNZTとPZT、または、PNZT(Nb添加量大)とPNZT(Nb添加量小)を採用してもよい。この場合でも、上述した本実施形態の同様の効果を得ることができる。
このことから、第1圧電層25aは、PZTのBサイトにNbを含む結晶構造を持ち、第2圧電層25bが持つ結晶構造は、全て、Nb無添加のPZTであってもよいと言える。また、第2圧電層25bが、PZTのBサイトにNbを含む結晶構造を持ち、第1圧電層25aおよび第2圧電層25bがともにPNZTで構成される場合において、第1圧電層25aのNbの添加量は、第2圧電層25bのNbの添加量よりも多くてもよいと言える。
(c)第1圧電層25aおよび第2圧電層25bを構成するABO3型のペロブスカイト構造の圧電材料は、上記のPZT、PLZT、PNZTに限定されるわけではない。Aサイトの元素は、鉛(Pb)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、ストロンチウム(Sr)、ビスマス(Bi)、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)、カドミウム(Cd)、マグネシウム(Mg)、カリウム(K)の少なくとも1つを含んでいればよい。また、Bサイトの元素は、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、スカンジウム(Sc)、コバルト(Co)、銅(Cu)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、カドミウム(Cd)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)の少なくとも1つを含んでいればよい。いずれにしても、第1圧電層25aと第2圧電層25bとで基本となる組成(AサイトおよびBサイトの元素)を同じとし、AサイトまたはBサイトへの添加物の添加量を異ならせることで、エッチングレートの異なる第1圧電層25aおよび第2圧電層25bを容易に実現することができる。また、第1圧電層25aと第2圧電層25bとで、添加物は異なっていてもよい。
(d)犠牲層(第2圧電層25b)を成膜するときの下地となる層(例えばダミー基板41)は、第1圧電層25aおよび犠牲層と格子定数が近く、第1圧電層25aおよび犠牲層の結晶成長性を向上させるものを選べばよい。上記の下地となる層は、ダミー基板41上に配向制御層として形成してもよいし、本実施形態のように、ダミー基板41そのものであってもよい。
(e)本実施形態では、上部電極26および下部電極24を、例えばPt等の金属で形成した場合について説明したが、このような金属に限定されるわけではなく、導電性酸化物等で形成してもよい。
(f)第1圧電層25a、第2圧電層25b、上部電極26、下部電極24等の形成方法は、上述したスパッタリング法に限定されるわけではなく、CVD法(Chemical Vapor Deposition )、ゾルゲル法、PLD法(Pulse Laser Deposition)などであってもよい。
(g)本実施形態では、第2圧電層25bをエッチングして、圧電体層25をダミー基板41から剥離する際に、同じエッチングによって圧電体層25をデバイス(アクチュエータ)の形状に加工しているが、圧電体層25を所望の形状に加工するのは、圧電体層25を下部電極24上に転写した後であってもよい。
(h)MgO単結晶からなるダミー基板41は、圧電体層25をエッチングするときに用いるフッ硝酸でエッチングされる上、比較的高価な材料であり、できるだけ再利用したい。そのため、本実施形態では、ダミー基板41の裏面にエッチング保護膜43を形成している。しかし、ダミー基板41の保護の仕方はこれに限定されるわけではなく、エッチング保護膜43を設ける以外にも、ダミー基板41の裏面を治具で覆うようにしてもよい。
(i)圧電体層25のエッチングに用いるエッチング液は、フッ硝酸に限定されるわけではない。第1圧電層25aおよび第2圧電層25bの材料、組成、添加物濃度等に応じて適宜選択することが可能である。また、薬液(エッチング液)の濃度も、添加物濃度と同様に、選択比(第1圧電層25aおよび第2圧電層25bのエッチングレート)をコントロールするパラメータとなるので、圧電体層25の厚さや形状等によって適宜設定すればよい。
(j)転写に用いる粘着シートは、PDMSシート44に限定されるわけではない。第1圧電層25a、第2圧電層25b、デバイス用の基板22上の電極層(例えば下部電極24)との組み合わせによって密着性が異なるため、転写に好適な粘着シートを適宜選択すればよい。
(k)本実施形態では、圧電体層25の下部電極24上への転写後、転写された圧電体層25上に上部電極26を形成しているが、上部電極26の形成は、圧電体層25の下部電極24上への転写前、つまり、ダミー基板41上に第1圧電層25aを形成した後であっても構わない。なお、圧電体層25の下部電極24上への転写の際に、第1圧電層25aが第2圧電層25bよりも下部電極24側となるように転写を行う場合は、転写前の第1圧電層25a上に形成した電極は、下部電極24と接合される。このとき、電極同士(金属同士)の接合となるため、密着性が向上する。
(l)本実施形態では、圧電体層25の下部電極24上への転写後、デバイス用の基板22に圧力室22aを形成する加工を行っているが、この加工は圧電体層25の転写前に行ってもよい。
(m)図6〜図9に基づいて説明した製造方法では、下部電極24を構成するPt層とその下地層との密着性を高めるための密着層を形成していないが、勿論、密着層を形成してもよい。また、必要に応じて、酸化膜等を追加してもよい。
(n)本実施形態では、記録媒体上に画像を描画するためのインクを液体として使用し、このインクを液滴として、インクジェットヘッド21またはインクジェットプリンタ1から吐出するようにしている。使用する液体は、液滴として吐出できるものであればよく、画像描画用の上記インクには限定されない。例えば、フォトリソグラフィー技術で用いられる加工用のレジストなどを液体として用いて、対象物に吐出する構成とすることもできる。
以上で説明した本実施形態の圧電アクチュエータは、基板側から、下部電極、圧電体層および上部電極をこの順で有する圧電アクチュエータであって、前記圧電体層は、ペロブスカイト構造をそれぞれ持ち、かつ、添加物の添加量が互いに異なる2つの圧電層を有しており、積層される前記2つの圧電層のうち、添加物の添加量が相対的に多い圧電層を第1圧電層とし、添加物の添加量が相対的に少ない圧電層を第2圧電層としたとき、前記圧電体層の厚み方向に垂直な面内において、前記第2圧電層の面積は、前記第1圧電層の面積よりも小さい。
上記の構成によれば、圧電体層は、添加物の添加量が互いに異なる2つの圧電層(第1圧電層、第2圧電層)を有している。圧電体層の厚み方向に垂直な面内において、添加物の添加量の相対的に少ない第2圧電層の面積は、添加物の添加量の相対的に多い第1圧電層の面積よりも小さい。このような2つの圧電層を積層して圧電体層を構成することにより、圧電アクチュエータの製造方法として、圧電体層を転写によって形成する方法を採用することができる。
つまり、例えば、デバイス用の基板とは異なるダミー基板上に、圧電体層として第2圧電層および第1圧電層をこの順で形成し、上記第2圧電層を犠牲層として用い、犠牲層を含む圧電体層をエッチングしてダミー基板から圧電体層を剥離し、剥離した圧電体層を、デバイス用の基板上に形成された下部電極上に転写し、圧電体層上に上部電極を形成することで、デバイス用の基板側から、下部電極、圧電体層、上部電極をこの順で有する圧電アクチュエータを製造することができる。添加物の添加量が第1圧電層よりも第2圧電層のほうが相対的に少ないため、第2圧電層のほうが、エッチングレートが相対的に大きくなり、結果として、厚み方向に垂直な面内での面積が第1圧電層よりも小さくなる。
ここで、第1圧電層および第2圧電層は、ペロブスカイト構造をそれぞれ持ち、添加物の添加量が互いに異なっているので、ペロブスカイト構造の圧電材料(例えばPZT)を用い、添加物(例えばランタンやニオブ)の添加量を調整するだけで、第1圧電層および第2圧電層を容易に実現することができる。なお、添加量の調整には、添加量をゼロにすることも含まれる。しかも、従来のように、圧電体層のうち犠牲層として機能する層(例えば第2圧電層)とダミー基板とで光吸収率を異ならせる必要がないため、ダミー基板の材料とは無関係に、犠牲層として機能する層の材料および添加物の添加量を設定できる。つまり、第2圧電層の材料として、第1圧電層と組成の少なくとも一部が共通する材料を使用でき、第1圧電層の結晶成長性がよく、かつ、自身もエッチングされやすくなるような、第1圧電層とは組成の全く異なる材料を探さなくても済む。
また、第1圧電層および第2圧電層のうち、下層の圧電層(例えばペロブスカイト構造を持つ第2圧電層)の結晶性を引き継ぐようにして、上層の圧電層(例えば第1圧電層)をペロブスカイト構造で良好に成長させることができるため、上層の圧電層ひいては圧電体層全体の圧電特性を向上させることができる。
したがって、圧電体層を上記のように転写で形成して圧電アクチュエータを製造する際に、ダミー基板上で犠牲層として機能する層(第2圧電層)の材料が著しく制限されるのを回避しながら、つまり、第1圧電層の結晶成長に有利な下地層(第2圧電層)の材料の選択の幅を狭めることなく、圧電特性を向上させることができる。また、犠牲層として機能する層をエッチングすることで、圧電体層をダミー基板から剥離できるため、剥離したダミー基板を再利用することができ、これによって、圧電アクチュエータの生産性を向上させることができる。
以上で説明した本実施形態の圧電アクチュエータの製造方法は、デバイス用基板を含む基体上に下部電極を形成する工程と、前記下部電極上に、圧電体層を形成する工程と、前記圧電体層上に、上部電極を形成する工程とを含み、前記圧電体層を形成する工程は、前記デバイス用基板とは異なるダミー基板上に、前記圧電体層として、ペロブスカイト構造をそれぞれ持ち、かつ、添加物の添加量が互いに異なる2つの圧電層を積層する積層工程と、前記圧電体層をエッチングして前記ダミー基板から剥離する剥離工程と、剥離された前記圧電体層を前記下部電極上に転写する転写工程とを含み、前記2つの圧電層のうち、添加物の添加量が相対的に多い圧電層を第1圧電層とし、添加物の添加量が相対的に少ない圧電層を第2圧電層としたとき、前記積層工程では、前記ダミー基板上に、前記第2圧電層および前記第1圧電層をこの順で積層し、前記剥離工程では、前記圧電体層の厚み方向に垂直な面内で、前記第2圧電層の面積が、前記第1圧電層の面積よりも小さくなるように、前記第2圧電層を犠牲層としてエッチングして分離することにより、前記圧電体層を前記ダミー基板から剥離する。
上記の製造方法によれば、圧電体層としての第2圧電層および第1圧電層をダミー基板上にこの順で積層した後、第2圧電層を犠牲層としてエッチングして分離し、圧電体層をダミー基板から剥離する。そして、剥離した圧電体層を、デバイス用基板上に形成された下部電極上に転写し、圧電体層の上に上部電極を形成することで、圧電アクチュエータが製造される。添加物の添加量が第1圧電層よりも第2圧電層のほうが相対的に少ないため、第2圧電層のほうが、エッチングレートが相対的に大きくなり、結果として、厚み方向に垂直な面内での面積が第1圧電層よりも小さくなる。
ここで、第1圧電層および第2圧電層は、ペロブスカイト構造をそれぞれ持ち、添加物の添加量が互いに異なっているので、ペロブスカイト構造の圧電材料(例えばPZT)を用い、添加物(例えばランタンやニオブ)の添加量を調整するだけで、第1圧電層および第2圧電層を容易に実現することができる。なお、添加量の調整には、添加量をゼロにすることも含まれる。しかも、犠牲層となる第2圧電層とダミー基板とで光吸収率を異ならせる必要がないため、ダミー基板の材料とは無関係に、犠牲層となる第2圧電層の材料および添加物の添加量を設定できる。つまり、第2圧電層の材料として、第1圧電層と組成の少なくとも一部が共通する材料を使用でき、第1圧電層の結晶成長性がよく、かつ、自身もエッチングされやすくなるような、第1圧電層とは組成の全く異なる材料を探さなくても済む。
また、第2圧電層はペロブスカイト構造を持ち、第2圧電層の結晶性を引き継ぐようにして、第2圧電層の上に第1圧電層をペロブスカイト構造で良好に成長させることができるため、第1圧電層ひいては圧電体層全体の圧電特性を向上させることができる。
したがって、圧電体層を上記のように転写で形成して圧電アクチュエータを製造する際に、ダミー基板上で犠牲層として機能する層(第2圧電層)の材料が著しく制限されるのを回避しながら(第1圧電層の結晶成長に有利な第2圧電層の材料の選択の幅を狭めることなく)、圧電特性を向上させることができる。また、第2圧電層をエッチングすることで、圧電体層をダミー基板から剥離できるため、剥離したダミー基板を再利用することができ、これによって、圧電アクチュエータの生産性を向上させることができる。
上記の圧電アクチュエータおよびその製造方法において、(前記下部電極上において、)前記第2圧電層は、前記第1圧電層よりも厚さが薄いことが望ましい。この構成では、第2圧電層を犠牲層としてエッチングした後に、残った圧電体層を、下部電極側から第2圧電層、第1圧電層の積層順となるように、下部電極上に転写した場合に、第1圧電層を下部電極にほぼ接触するような状態で保持することができる。これにより、第1圧電層の駆動(伸縮)を、下部電極を含む下層に効率よく伝達することができる。
上記の圧電アクチュエータにおいて、前記第2圧電層は、前記第1圧電層よりも前記基板側に位置していてもよい。この場合、基板側から、下部電極、第2圧電層、第1圧電層、上部電極をこの順で有する圧電アクチュエータを実現できる。
上記の圧電アクチュエータおよびその製造方法において、前記第1圧電層および前記第2圧電層は、ABO3型のペロブスカイト構造のAサイトに同じ元素を含み、かつ、Bサイトに同じ元素を含み、前記第2圧電層は、前記第1圧電層よりもエッチングレートが大きい材料で構成されていてもよい。この構成では、AサイトまたはBサイトへの添加物の添加量を調整するだけで、エッチングレートの異なる第1圧電層および第2圧電層を容易に実現することができる。また、第1圧電層よりも第2圧電層のエッチングが速く進むため、第2圧電層をエッチングによって分離することが容易となり、圧電体層をダミー基板から容易に剥離することが可能となる。
上記の圧電アクチュエータおよびその製造方法において、前記第1圧電層および前記第2圧電層は、両方とも、Aサイトに鉛を含む結晶構造を持っていてもよい。第1圧電層および第2圧電層が、鉛系のペロブスカイト構造を有する構成において、上述の効果を得ることができる。
上記の圧電アクチュエータおよびその製造方法において、前記第1圧電層および前記第2圧電層は、両方とも、Bサイトにジルコニウムを含む結晶構造と、Bサイトにチタンを含む結晶構造とを持っていてもよい。第1圧電層および第2圧電層は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を基本の結晶構造として持つ。したがって、PZTに対する添加物の添加量を異ならせることで、2種の圧電層、つまり、第1圧電層および第2圧電層を実現することができる。
上記の圧電アクチュエータおよびその製造方法において、前記第1圧電層は、Aサイトにランタンを含む結晶構造をさらに持っていてもよい。第1圧電層は、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)で構成されるため、PZTに対するランタン(La)の添加量を調整することで、第2圧電層を容易に実現することができる。
上記の圧電アクチュエータおよびその製造方法において、前記第2圧電層が持つ結晶構造は、全て、ランタン無添加であってもよい。この場合、第1圧電層がPLZTであり、第2圧電層がPZTである構成において、上述の効果を得ることができる。
上記の圧電アクチュエータおよびその製造方法において、前記第2圧電層は、Aサイトにランタンを含む結晶構造をさらに持ち、前記第1圧電層のランタンの添加量は、前記第2圧電層のランタンの添加量よりも多くてもよい。この場合、第1圧電層がLa添加量の多いPLZTであり、第2圧電層がLa添加量の少ないPLZTである構成において、上述の効果を得ることができる。
上記の圧電アクチュエータおよびその製造方法において、前記第1圧電層は、Bサイトにニオブを含む結晶構造をさらに持っていてもよい。第1圧電層は、チタン酸ジルコン酸ニオブ鉛(PNZT)で構成されるため、PZTに対するニオブ(Nb)の添加量を調整することで、第2圧電層を容易に実現することができる。
上記の圧電アクチュエータおよびその製造方法において、前記第2圧電層が持つ結晶構造は、全て、ニオブ無添加であってもよい。この場合、第1圧電層がPNZTであり、第2圧電層がPZTである構成において、上述の効果を得ることができる。
上記の圧電アクチュエータおよびその製造方法において、前記第2圧電層は、Bサイトにニオブを含む結晶構造をさらに持ち、前記第1圧電層のニオブの添加量は、前記第2圧電層のニオブの添加量よりも多くてもよい。この場合、第1圧電層がNb添加量の多いPNZTであり、第2圧電層がNb添加量の少ないPNZTである構成において、上述の効果を得ることができる。
以上で説明した本実施形態の液滴吐出ヘッドは、上述した圧電アクチュエータと、液体を液滴として吐出するためのノズル孔を有するノズルプレートとを備え、前記圧電アクチュエータの前記基板には、前記液体を収容する圧力室が形成されており、前記ノズルプレートの前記ノズル孔は、前記圧力室と連通している。
以上で説明した本実施形態の液滴吐出ヘッドの製造方法は、上述した圧電アクチュエータの製造方法を用いて、液滴吐出ヘッドを製造する液滴吐出ヘッドの製造方法であって、前記圧電アクチュエータの前記デバイス用基板に、液体を収容する圧力室を形成する工程と、前記圧力室と連通し、前記液体を液滴として吐出するためのノズル孔を有するノズルプレートを、前記デバイス用基板に貼り付ける工程とを有している。
上述した圧電アクチュエータおよびその製造方法によれば、圧電特性を向上させるとともに、圧電アクチュエータの生産性を向上させることができる。したがって、その圧電アクチュータを備えた液滴吐出ヘッドおよびその製造方法によれば、液滴の吐出特性を向上させるとともに、液滴吐出ヘッドの生産性を向上させることができる。
上記の液滴吐出ヘッドおよびその製造方法において、前記圧力室内に収容される前記液体は、画像を描画するためのインクであってもよい。この場合、液滴吐出ヘッドをインクジェットヘッドとして用いることができる。
以上で説明した本実施形態の液滴吐出装置は、上述の液滴吐出ヘッドと、前記液滴吐出ヘッドを支持する支持部材とを備えている。
以上で説明した本実施形態の液滴吐出装置の製造方法は、上述した液滴吐出ヘッドの製造方法を用いて、液滴吐出装置を製造する液滴吐出装置の製造方法であって、前記液滴吐出ヘッドを支持部材に設置する工程を有している。
上記の液滴吐出装置およびその製造方法によれば、支持部材にて支持された液滴吐出ヘッドから液滴を吐出して、対象物に液滴を吐出することができる。例えば、対象物が用紙などの記録媒体であり、圧力室に収容される液体がインクであれば、インクを記録媒体上に吐出して画像を形成するインクジェットプリンタとして液滴吐出装置を使用することができる。
本発明の圧電アクチュエータは、インクジェットヘッドおよびインクジェットプリンタなどの液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置に利用可能である。
1 インクジェットプリンタ(液滴吐出装置)
12 支持部材
21 インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)
21a アクチュエータ(圧電アクチュエータ)
22 基板(デバイス用基板)
22a 圧力室
24 下部電極
25 圧電体層
25a 第1圧電層
25b 第2圧電層
26 上部電極
31 ノズルプレート
31a ノズル孔
41 ダミー基板
P 記録媒体

Claims (30)

  1. 基板側から、下部電極、圧電体層および上部電極をこの順で有する圧電アクチュエータであって、
    前記圧電体層は、ペロブスカイト構造をそれぞれ持ち、かつ、添加物の添加量が互いに異なる2つの圧電層を有しており、
    積層される前記2つの圧電層のうち、添加物の添加量が相対的に多い圧電層を第1圧電層とし、添加物の添加量が相対的に少ない圧電層を第2圧電層としたとき、
    前記圧電体層の厚み方向に垂直な面内において、前記第2圧電層の面積は、前記第1圧電層の面積よりも小さいことを特徴とする圧電アクチュエータ。
  2. 前記第2圧電層は、前記第1圧電層よりも厚さが薄いことを特徴とする請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
  3. 前記第2圧電層は、前記第1圧電層よりも前記基板側に位置していることを特徴とする請求項1または2に記載の圧電アクチュエータ。
  4. 前記第1圧電層および前記第2圧電層は、ABO3型のペロブスカイト構造のAサイトに同じ元素を含み、かつ、Bサイトに同じ元素を含み、
    前記第2圧電層は、前記第1圧電層よりもエッチングレートが大きい材料で構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
  5. 前記第1圧電層および前記第2圧電層は、両方とも、Aサイトに鉛を含む結晶構造を持つことを特徴とする請求項4に記載の圧電アクチュエータ。
  6. 前記第1圧電層および前記第2圧電層は、両方とも、Bサイトにジルコニウムを含む結晶構造と、Bサイトにチタンを含む結晶構造とを持つことを特徴とする請求項5に記載の圧電アクチュエータ。
  7. 前記第1圧電層は、Aサイトにランタンを含む結晶構造をさらに持つことを特徴とする請求項6に記載の圧電アクチュエータ。
  8. 前記第2圧電層が持つ結晶構造は、全て、ランタン無添加であることを特徴とする請求項7に記載の圧電アクチュエータ。
  9. 前記第2圧電層は、Aサイトにランタンを含む結晶構造をさらに持ち、
    前記第1圧電層のランタンの添加量は、前記第2圧電層のランタンの添加量よりも多いことを特徴とする請求項7に記載の圧電アクチュエータ。
  10. 前記第1圧電層は、Bサイトにニオブを含む結晶構造をさらに持つことを特徴とする請求項6に記載の圧電アクチュエータ。
  11. 前記第2圧電層が持つ結晶構造は、全て、ニオブ無添加であることを特徴とする請求項10に記載の圧電アクチュエータ。
  12. 前記第2圧電層は、Bサイトにニオブを含む結晶構造をさらに持ち、
    前記第1圧電層のニオブの添加量は、前記第2圧電層のニオブの添加量よりも多いことを特徴とする請求項10に記載の圧電アクチュエータ。
  13. 請求項1から12のいずれかに記載の圧電アクチュエータと、
    液体を液滴として吐出するためのノズル孔を有するノズルプレートとを備え、
    前記圧電アクチュエータの前記基板には、前記液体を収容する圧力室が形成されており、
    前記ノズルプレートの前記ノズル孔は、前記圧力室と連通していることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  14. 前記圧力室内に収容される前記液体は、画像を描画するためのインクであることを特徴とする請求項13に記載の液滴吐出ヘッド。
  15. 請求項13または14に記載の液滴吐出ヘッドと、
    前記液滴吐出ヘッドを支持する支持部材とを備えていることを特徴とする液滴吐出装置。
  16. デバイス用基板を含む基体上に下部電極を形成する工程と、
    前記下部電極上に、圧電体層を形成する工程と、
    前記圧電体層上に、上部電極を形成する工程とを含み、
    前記圧電体層を形成する工程は、
    前記デバイス用基板とは異なるダミー基板上に、前記圧電体層として、ペロブスカイト構造をそれぞれ持ち、かつ、添加物の添加量が互いに異なる2つの圧電層を積層する積層工程と、
    前記圧電体層をエッチングして前記ダミー基板から剥離する剥離工程と、
    剥離された前記圧電体層を前記下部電極上に転写する転写工程とを含み、
    前記2つの圧電層のうち、添加物の添加量が相対的に多い圧電層を第1圧電層とし、添加物の添加量が相対的に少ない圧電層を第2圧電層としたとき、
    前記積層工程では、前記ダミー基板上に、前記第2圧電層および前記第1圧電層をこの順で積層し、
    前記剥離工程では、前記圧電体層の厚み方向に垂直な面内で、前記第2圧電層の面積が、前記第1圧電層の面積よりも小さくなるように、前記第2圧電層を犠牲層としてエッチングして分離することにより、前記圧電体層を前記ダミー基板から剥離することを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法。
  17. 前記下部電極上において、前記第2圧電層は、前記第1圧電層よりも厚さが薄いことを特徴とする請求項16に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  18. 前記転写工程では、前記第2圧電層が前記第1圧電層よりも前記デバイス用基板側に位置するように、剥離された前記圧電体層を前記下部電極上に転写することを特徴とする請求項16または17に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  19. 前記第1圧電層および前記第2圧電層は、ABO3型のペロブスカイト構造のAサイトに同じ元素を含み、かつ、Bサイトに同じ元素を含み、
    前記第2圧電層は、前記第1圧電層よりもエッチングレートが大きい材料で構成されていることを特徴とする請求項16から18のいずれかに記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  20. 前記第1圧電層および前記第2圧電層は、両方とも、Aサイトに鉛を含む結晶構造を持つことを特徴とする請求項19に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  21. 前記第1圧電層および前記第2圧電層は、両方とも、Bサイトにジルコニウムを含む結晶構造と、Bサイトにチタンを含む結晶構造とを持つことを特徴とする請求項20に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  22. 前記第1圧電層は、Aサイトにランタンを含む結晶構造をさらに持つことを特徴とする請求項21に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  23. 前記第2圧電層が持つ結晶構造は、全て、ランタン無添加であることを特徴とする請求項22に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  24. 前記第2圧電層は、Aサイトにランタンを含む結晶構造をさらに持ち、
    前記第1圧電層のランタンの添加量は、前記第2圧電層のランタンの添加量よりも多いことを特徴とする請求項22に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  25. 前記第1圧電層は、Bサイトにニオブを含む結晶構造をさらに持つことを特徴とする請求項21に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  26. 前記第2圧電層が持つ結晶構造は、全て、ニオブ無添加であることを特徴とする請求項25に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  27. 前記第2圧電層は、Bサイトにニオブを含む結晶構造をさらに持ち、
    前記第1圧電層のニオブの添加量は、前記第2圧電層のニオブの添加量よりも多いことを特徴とする請求項25に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  28. 請求項16から27のいずれかに記載の圧電アクチュエータの製造方法を用いて、液滴吐出ヘッドを製造する液滴吐出ヘッドの製造方法であって、
    前記圧電アクチュエータの前記デバイス用基板に、液体を収容する圧力室を形成する工程と、
    前記圧力室と連通し、前記液体を液滴として吐出するためのノズル孔を有するノズルプレートを、前記デバイス用基板に貼り付ける工程とを有していることを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  29. 前記圧力室内に収容される前記液体は、画像を描画するためのインクであることを特徴とする請求項28に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  30. 請求項28または29に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法を用いて、液滴吐出装置を製造する液滴吐出装置の製造方法であって、
    前記液滴吐出ヘッドを支持部材に設置する工程を有していることを特徴とする液滴吐出装置の製造方法。
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