JP2014195495A - 超音波トランスデューサー装置およびプローブ並びに電子機器および超音波画像装置 - Google Patents
超音波トランスデューサー装置およびプローブ並びに電子機器および超音波画像装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】第1圧電体および第2圧電体が効率的に超音波の受発信を実現することができる超音波トランスデューサー装置を提供する。
【解決手段】基体21は振動膜24を有する。振動膜24上には圧電素子が配置される。圧電素子は、第1電極膜29と、第1電極膜29上に形成される第1圧電体31と、第1圧電体31上に形成される第2電極膜27と、第2電極膜27上に形成される第2圧電体28と、第1圧電体28上に形成される第3電極膜26とを備える。第2圧電体28のヤング率は第1圧電体31のヤング率よりも小さい。
【選択図】図4
【解決手段】基体21は振動膜24を有する。振動膜24上には圧電素子が配置される。圧電素子は、第1電極膜29と、第1電極膜29上に形成される第1圧電体31と、第1圧電体31上に形成される第2電極膜27と、第2電極膜27上に形成される第2圧電体28と、第1圧電体28上に形成される第3電極膜26とを備える。第2圧電体28のヤング率は第1圧電体31のヤング率よりも小さい。
【選択図】図4
Description
本発明は、超音波トランスデューサー装置、並びに、それを利用したプローブ、電子機器および超音波画像装置等に関する。
いわゆるバルク型の超音波トランスデューサー装置は一般に知られる。例えば特許文献1に開示されるように、一具体例に係る超音波トランスデューサー装置は圧電性発振素子と音響電気効果受信素子とを備える。圧電性発振素子は第1周波数の超音波を発信する。音響電気効果受信素子は第1周波数から相違する第2周波数の超音波に基づき電気信号を生成する。
特許文献1に記載の超音波トランスデューサー装置は、バッキング層の上に形成された水晶またはジルコン酸チタン酸鉛(PZT)からなる発振素子層と、該発振素子層の上に形成された酸化亜鉛(ZnO)からなる受信素子層と最上層のマッチング層とを有しているバルク型の超音波トランスデューサー装置である。しかしながら、バルク型の素子を積層するためにトランスデューサー装置の厚みは厚くなり薄型化することは困難であった。
本発明の少なくとも1つの態様によれば、薄く小型であり、かつ、第1圧電体および第2圧電体により受信と送信ともに効率的な超音波の受発信を実現する超音波トランスデューサー装置が提供される。
(1)本発明の一態様は、振動膜を有する基体と、前記振動膜上に配置される圧電素子とを備え、前記圧電素子は、振動膜上に形成される第1電極膜と、前記第1電極膜上に形成される第1圧電体と、前記第1圧電体上に形成される第2電極膜と、前記第2電極膜上に形成され前記第1圧電体のヤング率より小さいヤング率を有する第2圧電体と、前記第2圧電体上に形成される第3電極膜とを有する超音波トランスデューサー装置に関する。
こうした超音波トランスデューサー装置では振動膜の超音波振動に応じて超音波信号が発信され振動膜の超音波振動に応じて超音波が検出される。第1圧電体および第2圧電体には振動膜の振動は発信時でも受信時でも作用する。したがって、第1圧電体および第2圧電体はそれぞれ効率的な受発信の実現に貢献することができる。
このとき、第2圧電体に比べて第1圧電体は硬い。第1圧電体は効率的に振動膜の超音波振動を引き起こす。第2圧電体は同時に振動するものの第1圧電体に比べて柔らかいことから、振動抵抗の増大は防止されることができる。振動膜の超音波振動は第2圧電体だけでなく第1圧電体にも伝わる。第1圧電体および第2圧電体から電気信号は出力されることができる。しかも、第2電極膜は第1圧電体および第2圧電体に共通に機能する。電極がそれぞれ個別に形成される場合に比べてスペース効率は高められることができる。
(2)超音波トランスデューサー装置は、前記第1電極膜および前記第2電極膜に接続されて、前記第1圧電体に発信用の駆動信号を供給する制御部を備えることができる。第1圧電体は第2圧電体に比べて硬いことから、振動膜は効率的に超音波を発信することができる。
(3)前記制御部は、前記第2電極膜および前記第3電極膜に接続されて、前記第2圧電体から受信信号を受領することができる。振動膜から距離が離れた第2圧電体は第1圧電体より大きい変形を受けることになるので、より大きな受信電気信号を第2圧電体から受領することができる。
(4)前記制御部は、前記第1電極膜、前記第2電極膜および前記第3電極膜に接続されて、前記第1圧電体および前記第2圧電体から受信信号を受信することができる。第2圧電体と第1圧電体の両者の変形による大きな受信電気信号を受領することができる。
(5)前記第2圧電体の厚みは前記第1圧電体の厚みよりも大きい。振動膜から距離が離れた第2圧電体の厚みが増大すれば、振動膜の振動に基づきより大きい変形を受けることによる大きな電気信号が第2圧電体から生成される。しかも、第1圧電体は第2圧電体に比べて柔らかいことから、厚みの増大に基づく振動抵抗の増大は抑制されることができる。
(6)いずれの超音波トランスデューサー装置もプローブに組み込まれて利用されることができる。プローブは、超音波トランスデューサー装置と、前記超音波トランスデューサー装置を支持する筐体とを備えることができる。
(7)超音波トランスデューサー装置は電子機器に組み込まれて利用されることができる。電子機器は、超音波トランスデューサー装置と、前記超音波トランスデューサー装置に接続されて、前記超音波トランスデューサー装置の出力を処理する処理部とを備えることができる。
(8)超音波トランスデューサー装置は超音波診断装置に組み込まれて利用されることができる。超音波診断装置は、超音波トランスデューサー装置と、前記超音波トランスデューサー装置に接続されて、前記超音波トランスデューサー装置の出力を処理し、画像を生成する処理部と、前記画像を表示する表示装置とを備えることができる。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
(1)超音波診断装置の全体構成
図1は本発明の一実施形態に係る電子機器の一具体例すなわち超音波診断装置11の構成を概略的に示す。超音波診断装置11は装置端末12と超音波プローブ(プローブ)13とを備える。装置端末12と超音波プローブ13とはケーブル14で相互に接続される。装置端末12と超音波プローブ13とはケーブル14を通じて電気信号をやりとりする。装置端末12にはディスプレイパネル(表示装置)15が組み込まれる。ディスプレイパネル15の画面は装置端末12の表面で露出する。装置端末12では、後述されるように、超音波プローブ13で検出された超音波に基づき画像が生成される。画像化された検出結果がディスプレイパネル15の画面に表示される。
図1は本発明の一実施形態に係る電子機器の一具体例すなわち超音波診断装置11の構成を概略的に示す。超音波診断装置11は装置端末12と超音波プローブ(プローブ)13とを備える。装置端末12と超音波プローブ13とはケーブル14で相互に接続される。装置端末12と超音波プローブ13とはケーブル14を通じて電気信号をやりとりする。装置端末12にはディスプレイパネル(表示装置)15が組み込まれる。ディスプレイパネル15の画面は装置端末12の表面で露出する。装置端末12では、後述されるように、超音波プローブ13で検出された超音波に基づき画像が生成される。画像化された検出結果がディスプレイパネル15の画面に表示される。
図2に示されるように、超音波プローブ13は筐体16を有する。筐体16内には超音波トランスデューサー素子ユニット(以下「素子ユニット」という)17が収容される。素子ユニット17の表面は筐体16の表面で露出することができる。素子ユニット17は表面から超音波を出力するとともに超音波の反射波を受信する。その他、超音波プローブ13は、プローブ本体13aに着脱自在に連結されるプローブヘッド13bを備えることができる。このとき、素子ユニット17はプローブヘッド13bの筐体16内に組み込まれることができる。
図3は第1実施形態に係る素子ユニット17の平面図を概略的に示す。素子ユニット17は基体21を備える。基体21には素子アレイ22が形成される。素子アレイ22は超音波トランスデューサー素子(以下「素子」という)23の配列で構成される。配列は複数行複数列のマトリクスで形成される。その他、配列では千鳥配置が確立されてもよい。千鳥配置では偶数列の素子23群は奇数列の素子23群に対して行ピッチの2分の1でずらされればよい。奇数列および偶数列の一方の素子数は他方の素子数に比べて1つ少なくてもよい。
個々の素子23は振動膜24を備える。振動膜24の詳細は後述される。図3では振動膜24の膜面に直交する方向の平面視(基板の厚み方向の平面視)で振動膜24の輪郭が点線で描かれる。輪郭の内側は振動膜24の内側領域に相当する。輪郭の外側は振動膜24の外側領域に相当する。振動膜24上には圧電素子25が形成される。圧電素子25では、後述されるように、上電極(第3電極膜)26および中間電極(第2電極膜)27の間に第2圧電体膜(第2圧電体)28が配置され、中間電極27および下電極(第1電極膜)29の間に第1圧電体膜(第1圧電体)31が配置される。これらは順番に重ねられる。素子ユニット17は1枚の超音波トランスデューサー素子チップとして構成される。
基体21の表面には複数本の第1導電体32が形成される。第1導電体32は配列の列方向に相互に平行に延びる。1列の素子23ごとに1本の第1導電体32が割り当てられる。1本の第1導電体32は配列の列方向に並ぶ素子23に共通に配置される。第1導電体32は個々の素子23ごとに上電極26を形成する。第1導電体32には例えばチタン(Ti)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)およびチタン(Ti)の積層膜が用いられることができる。ただし、第1導電体32にはその他の導電材が利用されてもよい。
基体21の表面には複数本の第2導電体33が形成される。第2導電体33は配列の列方向に相互に平行に延びる。1列の素子23ごとに1本の第2導電体33が割り当てられる。1本の第2導電体33は配列の列方向に並ぶ素子23に共通に配置される。第2導電体33は個々の素子23ごとに中間電極27を形成する。第1導電体32および第2導電体33は圧電素子25の外側では基体21の表面に並列に配置される。こうして第1導電体32および第2導電体33は相互に分離して配置される。第1導電体32および第2導電体33の間で短絡は阻止される。第2導電体33には例えばチタン(Ti)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)およびチタン(Ti)の積層膜が用いられることができる。ただし、第2導電体33にはその他の導電材が利用されてもよい。
基体21の表面には複数本の第3導電体34が形成される。第3導電体34は配列の行方向に相互に平行に延びる。1行の素子23ごとに1本の第3導電体34が割り当てられる。1本の第3導電体34は配列の行方向に並ぶ素子23に共通に接続される。第3導電体34は個々の素子23ごとに下電極29を形成する。第3導電体34の両端は1対の引き出し配線35にそれぞれ接続される。引き出し配線35は配列の列方向に相互に平行に延びる。したがって、全ての第3導電体34は同一長さを有する。こうしてマトリクス全体の素子23に共通に下電極29は接続される。第3導電体34は例えばイリジウム(Ir)で形成されることができる。ただし、第3導電体34にはその他の導電材が利用されてもよい。
列ごとに素子23の通電は切り替えられる。こうした通電の切り替えに応じてラインスキャンやセクタースキャンは実現される。1列の素子23は同時に超音波を出力することから、1列の個数すなわち配列の行数は超音波の出力レベルに応じて決定されることができる。行数は例えば10〜15行程度に設定されればよい。図中では省略されて5行が描かれる。配列の列数はスキャンの範囲の広がりに応じて決定されることができる。列数は例えば128列や256列に設定されればよい。図中では省略されて8列が描かれる。上電極26および下電極29の役割は入れ替えられてもよい。すなわち、マトリクス全体の素子23に共通に上電極が接続される一方で、配列の列ごとに共通に下電極が接続されてもよい。
基体21の輪郭は、相互に平行な1対の直線で仕切られて対向する第1辺21aおよび第2辺21bを有する。第1辺21aと素子アレイ22の輪郭との間に1ラインの第1端子アレイ36aが配置される。第2辺21bと素子アレイ22の輪郭との間に1ラインの第2端子アレイ36bが配置される。第1端子アレイ36aは第1辺21aに平行に1ラインを形成することができる。第2端子アレイ36bは第2辺21bに平行に1ラインを形成することができる。第1端子アレイ36aは1対の下電極端子37および複数の上電極端子38および中間電極端子39で構成される。同様に、第2端子アレイ36bは1対の下電極端子41および複数の上電極端子42および中間電極端子43で構成される。1本の引き出し配線35の両端にそれぞれ下電極端子37、41は接続される。引き出し配線35および下電極端子37、41は素子アレイ22を二等分する垂直面で面対称に形成されればよい。1本の第1導電体32の両端にそれぞれ上電極端子38、42は接続される。1本の第2導電体33の両端にそれぞれ中間電極端子39、43が接続される。ここでは、基体21の輪郭は矩形に形成される。基体21の輪郭は正方形であってもよく台形であってもよい。
基体21には第1フレキシブルプリント配線板(以下「第1配線板」という)45が連結される。第1配線板45は第1端子アレイ36aに覆い被さる。第1配線板45の一端には下電極端子37、上電極端子38および下電極端子39に個別に対応して導電線すなわち第1信号線46が形成される。第1信号線46は下電極端子37、上電極端子38および習慣電極端子39に個別に向き合わせられ個別に接合される。同様に、基体21には第2フレキシブルプリント配線板(以下「第2配線板」という)47が覆い被さる。第2配線板47は第2端子アレイ36bに覆い被さる。第2配線板47の一端には下電極端子41、上電極端子42および中間電極端子43に個別に対応して導電線すなわち第2信号線48が形成される。第2信号線48は下電極端子41、上電極端子42および中間電極端子43に個別に向き合わせられ個別に接合される。
図4に示されるように、基体21は基板49および可撓膜51を備える。基板49の表面に可撓膜51が一面に形成される。基板49には個々の素子23ごとに開口52が形成される。開口52は基板49に対してアレイ状に配置される。開口52が配置される領域の輪郭は素子アレイ22の輪郭に相当する。隣接する2つの開口52の間には仕切り壁53が区画される。隣接する開口52は仕切り壁53で仕切られる。仕切り壁53の壁厚みは開口52の間隔に相当する。仕切り壁53は相互に平行に広がる平面内に2つの壁面を規定する。壁厚みは2つの壁面の距離に相当する。すなわち、壁厚みは壁面に直交して壁面の間に挟まれる垂線の長さで規定されることができる。
可撓膜51は、基板49の表面に積層される酸化シリコン(SiO2)層54と、酸化シリコン層54の表面に積層される酸化ジルコニウム(ZrO2)層55とで構成される。可撓膜51は開口52に接する。こうして開口52の輪郭に対応して可撓膜51の一部が振動膜24を形成する。振動膜24は、可撓膜51のうち、開口52に臨むことから基板49の厚み方向に膜振動することができる部分である。酸化シリコン層54の膜厚は共振周波数に基づき決定されることができる。
振動膜24の表面に下電極29、第1圧電体膜31、中間電極27、第2圧電体膜28および上電極26が順番に積層される。第1圧電体膜31には第2圧電体膜28と異なる物性を有する。ここでは、第1圧電体膜31のヤング率は第2圧電体膜28のヤング率よりも大きい。第1圧電体膜31は例えばジルコン酸チタン酸鉛(PZT)で形成されることができる。第2圧電体膜28は酸化亜鉛(ZnO)または窒化アルミニウム(AlN)で形成されることができる。第2圧電体膜28には、PZTに1〜10原子%でランタン(La)が添加されたものや、PZTに5〜30原子%でマグネシウム(Mg)またはニオブ(Nb)またはマンガン(Mn)またはニッケル(Ni)が添加されたものが用いられてもよい。その他、ジルコニウム52対チタン48の組成比で形成されるPZTが第1圧電体膜31に用いられる場合には、第2圧電体膜28にはジルコニウム30対チタン70のPZTが用いられることができる。第2圧電体膜28の膜厚は第1圧電体膜31の膜厚よりも大きい。なお、ヤング率は成膜条件に応じて調整されることができる。
基体21の表面には保護膜56が積層される。保護膜56は例えば全面にわたって基体21の表面に覆い被さる。その結果、素子アレイ22や第1および第2端子アレイ36a、36b、第1および第2配線板45、47は保護膜56で覆われる。保護膜56には例えばシリコーン樹脂膜が用いられることができる。保護膜56は、素子アレイ22の構造や、第1端子アレイ36aおよび第1配線板45の接合、第2端子アレイ36bおよび第2配線板47の接合を保護する。
基体21の裏面には補強板57が固定される。補強板57の表面に基体21の裏面が重ねられる。補強板57は素子ユニット17の裏面で開口52を閉じる。補強板57はリジッドな基材を備えることができる。補強板57は例えばシリコン基板から形成されることができる。基体21の板厚は例えば100μm程度に設定され、補強板57の板厚は例えば100〜150μm程度に設定される。ここでは、仕切り壁53は補強板57に結合される。補強板57は個々の仕切り壁53に少なくとも1カ所の接合域で接合される。接合にあたって接着剤は用いられることができる。
(2)超音波診断装置の回路構成
図5に示されるように、超音波診断装置11は素子ユニット17に電気的に接続される集積回路チップ58を備える。集積回路チップ58はマルチプレクサー59および送受信回路61を備える。マルチプレクサー59は素子ユニット17側のポート群59aと送受信回路61側のポート群59bとを備える。素子ユニット17側のポート群59aには配線62経由で第1信号線46および第2信号線48が接続される。こうしてポート群59aは素子アレイ22に繋がる。ここでは、送受信回路61側のポート群59bには集積回路チップ55内の規定数の信号線63が接続される。規定数はスキャンにあたって同時に出力される素子23の列数に相当する。マルチプレクサー59はケーブル14側のポートと素子ユニット17側のポートとの間で相互接続を管理する。
図5に示されるように、超音波診断装置11は素子ユニット17に電気的に接続される集積回路チップ58を備える。集積回路チップ58はマルチプレクサー59および送受信回路61を備える。マルチプレクサー59は素子ユニット17側のポート群59aと送受信回路61側のポート群59bとを備える。素子ユニット17側のポート群59aには配線62経由で第1信号線46および第2信号線48が接続される。こうしてポート群59aは素子アレイ22に繋がる。ここでは、送受信回路61側のポート群59bには集積回路チップ55内の規定数の信号線63が接続される。規定数はスキャンにあたって同時に出力される素子23の列数に相当する。マルチプレクサー59はケーブル14側のポートと素子ユニット17側のポートとの間で相互接続を管理する。
送受信回路61は規定数の切り替えスイッチ64を備える。個々の切り替えスイッチ64はそれぞれ個別に対応の信号線63に接続される。送受信回路61は個々の切り替えスイッチ64ごとに送信経路65および受信経路66を備える。切り替えスイッチ64には送信経路65と受信経路66とが並列に接続される。切り替えスイッチ64はマルチプレクサー59に選択的に送信経路65または受信経路66を接続する。送信経路65にはパルサー67が組み込まれる。パルサー67は振動膜24の共振周波数に応じた周波数でパルス信号を出力する。受信経路66にはアンプ68、ローパスフィルター(LPF)69およびアナログデジタル変換器(ADC)71が組み込まれる。個々の素子23の出力信号は増幅されてデジタル信号に変換される。
送受信回路61は駆動/受信回路72を備える。送信経路65および受信経路66は駆動/受信回路72に接続される。駆動/受信回路72はスキャンの形態に応じて同時にパルサー67を制御する。駆動/受信回路72はスキャンの形態に応じて出力信号のデジタル信号を受信する。駆動/受信回路72は制御線73でマルチプレクサー59に接続される。マルチプレクサー59は駆動/受信回路72から供給される制御信号に基づき相互接続の管理を実施する。
装置端末12には処理回路74が組み込まれる。処理回路74は例えば中央演算処理装置(CPU)やメモリーを備えることができる。超音波診断装置11の全体動作は処理回路74の処理に従って制御される。ユーザーから入力される指示に応じて処理回路74は駆動/受信回路72を制御する。処理回路74は素子23の出力信号に応じて画像を生成する。画像は描画データで特定される。
装置端末12には描画回路75が組み込まれる。描画回路75は処理回路74に接続される。描画回路75にはディスプレイパネル15が接続される。描画回路75は処理回路74で生成された描画データに応じて駆動信号を生成する。駆動信号はディスプレイパネル15に送り込まれる。その結果、ディスプレイパネル15に画像が映し出される。
(3)超音波診断装置の動作
次に超音波診断装置11の動作を簡単に説明する。処理回路74は駆動/受信回路72に超音波の送信および受信を指示する。駆動/受信回路72はマルチプレクサー59に制御信号を供給するとともに個々のパルサー67に駆動信号を供給する。パルサー67は駆動信号の供給に応じてパルス信号を出力する。マルチプレクサー59は制御信号の指示に従ってポート群59bのポートにポート群59aのポートを接続する。パルス信号はポートの選択に応じて中間電極端子39、43および下電極端子37、41を通じて列ごとに素子23に供給される。個々の素子23では中間電極27および下電極29の間で第1圧電体膜31に電界が作用する。第1圧電体膜31は超音波で振動する。第1圧電体膜31の振動は振動膜24に伝わる。こうして振動膜24は超音波で振動する。その結果、対象物(例えば人体の内部)に向けて所望の超音波ビームは発せられる。
次に超音波診断装置11の動作を簡単に説明する。処理回路74は駆動/受信回路72に超音波の送信および受信を指示する。駆動/受信回路72はマルチプレクサー59に制御信号を供給するとともに個々のパルサー67に駆動信号を供給する。パルサー67は駆動信号の供給に応じてパルス信号を出力する。マルチプレクサー59は制御信号の指示に従ってポート群59bのポートにポート群59aのポートを接続する。パルス信号はポートの選択に応じて中間電極端子39、43および下電極端子37、41を通じて列ごとに素子23に供給される。個々の素子23では中間電極27および下電極29の間で第1圧電体膜31に電界が作用する。第1圧電体膜31は超音波で振動する。第1圧電体膜31の振動は振動膜24に伝わる。こうして振動膜24は超音波で振動する。その結果、対象物(例えば人体の内部)に向けて所望の超音波ビームは発せられる。
超音波の送信後、切り替えスイッチ64は切り替えられる。マルチプレクサー59はポートの接続関係を維持する。切り替えスイッチ64は送信経路65および信号線63の接続に代えて受信経路66および信号線63の接続を確立する。超音波の反射波は振動膜24を振動させる。その結果、素子23から出力信号が出力される。ここでは、上電極26および下電極29の間で第2圧電体膜28および第1圧電体膜31は変形に応じて電位を生成する。こうして上電極26および下電極29で出力信号は取り出される。出力信号はデジタル信号に変換されて駆動/受信回路72に送り込まれる。
超音波の送信および受信は繰り返される。繰り返しにあたってマルチプレクサー59はポートの接続関係を変更する。その結果、ラインスキャンやセクタースキャンは実現される。スキャンが完了すると、処理回路74は出力信号のデジタル信号に基づき画像を形成する。形成された画像はディスプレイパネル15の画面に表示される。
こうした素子ユニット17では振動膜24の超音波振動に応じて超音波信号が発信され振動膜24の超音波振動に応じて超音波が検出される。第2圧電体膜28および第1圧電体膜31には振動膜24の振動は発信時でも受信時でも作用する。したがって、第2圧電体膜28および第1圧電体膜31はそれぞれ効率的な受発信の実現に貢献することができる。
前述のように、第1圧電体膜31のヤング率は第2圧電体膜28のヤング率よりも大きい。第2圧電体膜28に比べて第1圧電体膜31は硬い。したがって、第1圧電体膜31は効率的に振動膜24の超音波振動を引き起こす。第2圧電体膜28は同時に振動するものの第1圧電体膜31に比べて柔らかいことから、振動抵抗の増大は防止されることができる。振動膜24の超音波振動は第2圧電体膜28だけでなく第1圧電体膜31にも伝わる。第2圧電体膜28および第1圧電体膜31から電気信号は出力されることができる。こうして効率的に超音波振動は電気信号に変換されることができる。
しかも、第2圧電体膜28の膜厚は第1圧電体膜31の膜厚よりも大きい。こうして第2圧電体膜28の膜厚が増大すれば、振動膜24の超音波振動に基づきより大きい電気信号が第2圧電体膜28から生成されることができる。このとき、第2圧電体膜28は第1圧電体膜31に比べて柔らかいことから、厚みの増大に基づく振動抵抗の増大は抑制されることができる。
素子ユニット17では第1圧電体膜31は振動膜24および第2圧電体膜28の間に挟まれる。第1圧電体膜31は振動膜24の表面に重ねられる。第1圧電体膜31は振動膜24に密着する。振動膜24には第1圧電体膜31から直接に効率的に超音波振動は伝達される。
加えて、第2圧電体膜28および第1圧電体膜31の間には中間電極27が挟まれる。中間電極27は第2圧電体膜28および第1圧電体膜31に共通に機能する。電極がそれぞれ個別に形成される場合に比べてスペース効率は高められることができる。配線は簡素化されることができる。
(4)第2実施形態に係る素子ユニット
図6は第2実施形態に係る素子ユニット17を概略的に示す。この素子ユニット17では第2導電体33に下電極29が形成される。第3導電体34に中間電極27が形成される。したがって、超音波ビームの発信時には、前述と同様に、個々の素子23では中間電極27および下電極29の間で第1圧電体膜31に電界が作用する。その一方で、振動膜24の超音波振動は第2圧電体膜28および第1圧電体膜31に伝達されるものの、第2圧電体膜28の電位のみが上電極26および中間電極27から取り出される。その他の構成は前述の第1実施形態と同様である。
図6は第2実施形態に係る素子ユニット17を概略的に示す。この素子ユニット17では第2導電体33に下電極29が形成される。第3導電体34に中間電極27が形成される。したがって、超音波ビームの発信時には、前述と同様に、個々の素子23では中間電極27および下電極29の間で第1圧電体膜31に電界が作用する。その一方で、振動膜24の超音波振動は第2圧電体膜28および第1圧電体膜31に伝達されるものの、第2圧電体膜28の電位のみが上電極26および中間電極27から取り出される。その他の構成は前述の第1実施形態と同様である。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれる。例えば、明細書または図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語とともに記載された用語は、明細書または図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えられることができる。また、超音波診断装置11、超音波プローブ13、プローブヘッド13b、素子ユニット17、素子23、集積回路チップ58等の構成および動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形が可能である。
11 電子機器および超音波画像装置としての超音波診断装置、13 プローブ(超音波プローブ)、15 表示装置(ディスプレイパネル)、16 筐体、17 超音波トランスデューサー装置の一部を構成する超音波トランスデューサー素子ユニット、21 基体、24 振動膜、25 圧電素子、26 第3電極膜(上電極)、27 第2電極(中間電極)、28 第2圧電体(第2圧電体膜)、29 第1電極膜(下電極)、31 第1圧電体(第1圧電体膜)、74 処理部としての処理回路。
Claims (8)
- 振動膜を有する基体と、
前記振動膜上に配置される圧電素子とを備え、
前記圧電素子は、
前記振動膜上に形成される第1電極膜と、
前記第1電極膜上に形成される第1圧電体と、
前記第1圧電体上に形成される第2電極膜と、
前記第2電極膜上に形成され前記第1圧電体のヤング率より小さいヤング率を有する第2圧電体と、
前記第2圧電体上に形成される第3電極膜とを有する
ことを特徴とする超音波トランスデューサー装置。 - 請求項1に記載の超音波トランスデューサー装置において、前記第1電極膜および前記第2電極膜に接続されて、前記第1圧電体に発信用の駆動信号を供給する制御部を備えることを特徴とする超音波トランスデューサー装置。
- 請求項2に記載の超音波トランスデューサー装置において、前記制御部は、前記第2電極膜および前記第3電極膜に接続されて、前記第2圧電体から受信信号を受領することを特徴とする超音波トランスデューサー装置。
- 請求項2に記載の超音波トランスデューサー装置において、前記制御部は、前記第1電極膜、前記第2電極膜および前記第3電極膜に接続されて、前記第1圧電体および前記第2圧電体から受信信号を受信することを特徴とする超音波トランスデューサー装置。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサー装置において、前記第2圧電体の厚みは前記第1圧電体の厚みよりも大きいことを特徴とする超音波トランスデューサー装置。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサー装置と、前記超音波トランスデューサー装置を支持する筐体とを備えることを特徴とするプローブ。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサー装置と、前記超音波トランスデューサー装置に接続されて、前記超音波トランスデューサー装置の出力を処理する処理部とを備えることを特徴とする電子機器。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサー装置と、前記超音波トランスデューサー装置に接続されて、前記超音波トランスデューサー装置の出力を処理し、画像を生成する処理部と、前記画像を表示する表示装置とを備えることを特徴とする超音波画像装置。
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-
2013
- 2013-03-29 JP JP2013071583A patent/JP2014195495A/ja active Pending
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