JPWO2016093052A1 - 位置検出システム、その方法およびそのプログラム - Google Patents

位置検出システム、その方法およびそのプログラム

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Abstract

測定対象の位置を正確に測定するための位置検出システムであって、放送用電波信号と測定対象から発信された測定波形信号とを受信して記録し送信する記録送信手段をそれぞれ備えた第1、第2センサと、第1、第2センサの記録送信手段から送信された信号を受信してセンサごとに分離する受信手段と、第1、第2センサのそれぞれで受信した放送用電波信号に基づいて、第1センサの測定波形信号と前記第2センサの測定波形信号とのサンプリング周波数のオフセットを推定する推定手段と、推定したサンプリング周波数のオフセットに基づいて、第2センサからの測定波形信号を補正する補正手段と、第1センサからの測定波形信号と、第2センサからの測定波形信号を補正手段で補正した信号と、に基づいて、測定対象の位置を検出する。

Description

本発明は、位置検出システム、その方法およびそのプログラムに関する。
上記技術分野において、特許文献1には、漏洩個所探査装置において、各漏洩音検出器で受信した漏洩音声の相関関係から漏洩の有無および位置を測定する技術が開示されている。特に特許文献1には、各漏洩音検出器で漏洩音声とラジオ波とを受信し、受信したラジオ波を用いて漏洩音声について同期をとる技術が開示されている。
特開平10−90106号公報 特開平06−204798号公報 国際公開WO2011/090110A1号公報
しかしながら、上記文献に記載の技術では、受信した2つの信号間にサンプリング周波数のずれが存在する場合に、正確に漏洩音声について同期をとることができず、結果として音声出力個所の位置を正確に測定することができなかった。
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係るシステムは、
放送用電波信号と測定対象から発信された測定波形信号とを受信して記録し送信する記録送信手段をそれぞれ備えた第1、第2センサと、
前記第1、第2センサの前記記録送信手段から送信された信号を受信してセンサごとに分離する受信手段と、
前記第1、第2センサのそれぞれで受信した前記放送用電波信号に基づいて、前記第1センサの前記測定波形信号と前記第2センサの前記測定波形信号とのサンプリング周波数のオフセットを推定する推定手段と、
推定した前記サンプリング周波数のオフセットに基づいて、前記第2センサからの前記測定波形信号を補正する補正手段と、
前記第1センサからの前記測定波形信号と、前記第2センサからの前記測定波形信号を前記補正手段で補正した信号と、に基づいて、前記測定対象の位置を検出する位置検出手段と、
を備えた。
上記目的を達成するため、本発明に係る他のシステムは、
測定対象から発信された測定波形信号を第1、第2センサを介して受信し、前記測定対象の位置を検出する位置検出システムであって、
前記第1、第2センサのそれぞれは、前記測定波形信号と放送用電波信号とを受信して記録し送信する記録送信手段を備え、
前記位置検出システムは、
前記放送用電波信号と基準時間信号とを受信する第1受信手段と、
前記第1、第2センサの記録送信手段から送信された信号を受信してセンサごとに分離する第2受信手段と、
前記第2受信手段で受信した信号中に含まれる、前記第1、第2センサのそれぞれで受信した前記放送用電波信号が、前記第1受信手段で受信した前記放送用電波信号に一致するように補正する補正方法を、前記第1、第2センサのそれぞれで受信した前記測定波形信号に適用する補正手段と、
前記第1センサからの前記測定波形信号を前記補正手段で補正した第1補正信号と、前記第2センサからの前記測定波形信号を前記補正手段で補正した第2補正信号と、に基づいて、前記測定対象の位置を検出する位置検出手段と、
を備えた。
上記目的を達成するため、本発明に係るシステムは、
測定対象から発信された測定波形信号を第1、第2センサを介して受信し、前記測定対象の位置を検出する位置検出システムであって、
前記第1、第2センサのそれぞれは、前記測定波形信号と放送用電波信号とを受信して記録し送信する記録送信手段を備え、
前記位置検出システムは、
前記第1、第2センサの記録送信手段から送信された信号を受信してセンサごとに分離する受信手段と、
前記第1、第2センサのそれぞれで受信した前記放送用電波信号に基づいて、前記第1センサの前記測定波形信号と前記第2センサの前記測定波形信号とのサンプリング周波数のオフセットを推定する推定手段と、
推定した前記サンプリング周波数のオフセットに基づいて、前記第2センサからの前記測定波形信号を補正する補正手段と、
前記第1センサからの前記測定波形信号と、前記第2センサからの前記測定波形信号を前記補正手段で補正した信号と、に基づいて、前記測定対象の位置を検出する位置検出手段と、
を備えた。
上記目的を達成するため、本発明に係る方法は、
測定対象から発信された測定波形信号を第1、第2センサを介して受信し、前記測定対象の位置を検出する位置検出方法であって、
前記第1、第2センサのそれぞれは、前記測定波形信号と放送用電波信号とを受信して記録し送信する記録送信手段を備え、
前記位置検出方法は、
前記第1、第2センサの記録送信手段から送信された信号を受信してセンサごとに分離する受信ステップと、
前記第1、第2センサのそれぞれで受信した前記放送用電波信号に基づいて、前記第1センサの前記測定波形信号と前記第2センサの前記測定波形信号とのサンプリング周波数のオフセットを推定する推定ステップと、
推定した前記サンプリング周波数のオフセットに基づいて、前記第2センサからの前記測定波形信号を補正する補正ステップと、
前記第1センサからの前記測定波形信号と、前記第2センサからの前記測定波形信号を前記補正ステップで補正した信号と、に基づいて、前記測定対象の位置を検出する位置検出ステップと、
を含む。
上記目的を達成するため、本発明に係るプログラムは、
測定対象から発信された測定波形信号を第1、第2センサを介して受信し、前記測定対象の位置を検出する位置検出プログラムであって、
前記第1、第2センサのそれぞれは、前記測定波形信号と放送用電波信号とを受信して記録し送信する記録送信手段を備え、
前記位置検出プログラムは、
前記第1、第2センサの記録送信手段から送信された信号を受信してセンサごとに分離する受信ステップと、
前記第1、第2センサのそれぞれで受信した前記放送用電波信号に基づいて、前記第1センサの前記測定波形信号と前記第2センサの前記測定波形信号とのサンプリング周波数のオフセットを推定する推定ステップと、
推定した前記サンプリング周波数のオフセットに基づいて、前記第2センサからの前記測定波形信号を補正する補正ステップと、
前記第1センサからの前記測定波形信号と、前記第2センサからの前記測定波形信号を前記補正ステップで補正した信号と、に基づいて、前記測定対象の位置を検出する位置検出ステップと、
をコンピュータに実行させる。
本発明によれば、測定対象の位置を正確に測定することができる。
本発明の第1実施形態に係る位置検出システムの構成を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態に係る位置検出システムの使用態様の一例を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る位置検出システムの使用態様の他の例を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る位置検出システムの使用態様のさらに他の例を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る位置検出システムの構成を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る位置検出装置の構成を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る推定部の構成を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る推定部の動作を説明するための図である。 本発明の第2実施形態に係る補正部の動作を説明するための図である。 本発明の第2実施形態に係る補正部の動作を説明するための図である。 本発明の第2実施形態に係る推定部および補正部の構成の他の例を示す図である。 本発明の第3実施形態に係る位置検出システムの構成を示す図である。 本発明の第4実施形態に係る位置検出システムの構成を示す図である。 本発明の第5実施形態に係る位置検出システムの構成を示す図である。 本発明の第6実施形態に係る位置検出システムの構成を示す図である。
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。なお、以下の説明中における「音声信号」とは、音声その他の音響に従って生ずる直接的の電気的変化であって、音声その他の音響を伝送するためのものをいい、音声に限定されない。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としての情報処理システム100について、図1を用いて説明する。情報処理システム100は、測定対象120の位置を検出するためのシステムである。
図1に示すように、位置検出システム100は、センサ101、102と、受信部103と推定部104と補正部105と位置検出部106とを含む。
センサ101は、測定対象120から発信された測定波形信号121と、放送用電波信号122とを受信して記録し送信する記録送信部111を備えたセンサである。
センサ102は、測定対象120から発信された測定波形信号123と、放送用電波信号124とを受信して記録し送信する記録送信部112を備えたセンサである。
受信部103はセンサ101、102の記録送信部111、112から送信された信号を受信してセンサごとに分離する。
推定部104は、センサ101、102のそれぞれで受信した放送用電波信号122、124に基づいて、センサ101の測定波形信号121とセンサ102の測定波形信号123とのサンプリング周波数のオフセット141を推定する。
補正部105は、推定したサンプリング周波数のオフセット141に基づいて、センサ101、102からの測定波形信号121、123を補正する。
位置検出部106は、センサ101からの測定波形信号121と、センサ102からの測定波形信号123を補正部105で補正した信号151と、に基づいて、測定対象120の位置を検出する。
なお、ここではセンサ101、102を例に挙げているが、本願発明は2個のセンサを含むシステムに限定されるものではない。センサで受信する信号は音声信号に限定されず、どのような振動波形信号でもよい。
以上の構成によれば、センサごとのサンプリング周波数のずれを補正できるので、測定対象の位置を正確に測定することができる。
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態に係る位置検出システムについて、図2以降を用いて説明する。図2は、本実施形態に係る位置検出システムの使用態様の一例を示す図である。図2において、二人の警備員は各々、音声検知センサ201、202を備えている。いずれの警備員も現場を見ていないものの、それぞれの音声検知センサ201、202で銃声をひろった場合、本実施形態の位置検出装置210で、銃声の位置220やそこからの足音の向かっている方向を求める。警備員は、もちろん、音声検知センサ201、202を装着したまま移動しているため、センサが固定されている場合に比べ、サンプリング周波数のオフセットが顕著になる。したがって、音源位置をできるだけ正確に推定しようとすると、クロックの開始時刻を合わせる補正だけではなく、さらに高精度のクロック補正、つまり、サンプリング周波数のオフセットの補正が必要になる。音源位置を推定する場合、僅かなクロックずれが大きな位置推定誤差をもたらすからである。特に音源とセンサの両方が移動している場合、センサの速度はジャイロ等で推定できるが、音源の移動速度はドップラー効果から推定しなければならない。ドップラー効果とクロックずれは受信信号に現れる現象としては等価であり、同時には推定、補正できない。ドップラー効果を推定するには、逐次正確なサンプリング補正を行わなければならない。
図3は、本実施形態に係る位置検出システム300の使用態様の他の例を示す図である。人が入れないような災害現場において、音声検知センサ201、202を備えた無人ヘリコプター301、302を飛ばして、位置検出装置210で要救助者303の有無およびその位置を検出する。音声処理でヘリコプターの機械的ノイズや風切り音などのノイズを抑圧することにより、要救助者303の声のみを検出することができ、さらにその正確な位置を測定することができる。この場合も、センサ201、202は固定されていないため、それぞれのセンサのクロックの開始時刻を合わせる補正だけではなく、サンプリング周波数のオフセットの補正が必要になる。
サンプリングを各点で補正しているので、相関処理、アレイによる同期加算に必要な精度で時刻補正できる。適応フィルタリングなどに必要な、高精度なサンプリング同期ができる。各センサモジュールを簡単に構成でき、クロック精度が必要ないため、生産効率の高いセンサを提供できる。
本実施形態は、図4に示すような、センサ201、202と位置検出装置210とで漏水位置420を検出する漏水位置検出システムにも、もちろん適用可能である。
図5は、本実施形態の位置検出システム200の詳しい構成を説明するブロック図である。図5に示すように、位置検出システム200は、少なくとも2つのセンサ201、202と、位置検出装置210とを含む。
センサ201は、測定対象520から発信された測定波形信号521と、ラジオ局530から発信された放送用電波信号522とを受信して記録し送信する記録送信部511を備える。
センサ202は、測定対象520から発信された測定波形信号523と、ラジオ局530から発信された放送用電波信号522とを受信して記録し送信する記録送信部512を備える。
つまり、これらのセンサ201、202は、2チャネル(以上)で録音する。1チャネルはラジオなど電波の信号を録音し、他のチャネルには測定波形データを録音する。録音開始終了の制御をしてもいいし、だらだら録音してもよい。
一方、位置検出装置210は、受信部503と推定部504と補正部505と位置検出部506とを含む。
センサ201、202で検知した音声のずれから、測定対象位置を検出しようとする場合、各センサ201、202の時計を合わせることが重要になる。別の場所にある時計をmsec、μsecのオーダーで合わせる場合、センサ201、202内に高精度のクロック出力ユニットを設けたり、電波時計の基準信号の受信ユニットを設けたりといった構成が考えられる。しかし、センサ1つ1つの生産性が低くなり、多数のセンサを用いる場合のコストが課題になる。また、電波時計の基準信号を受信できる場所は大きく限定されてしまい、センサ取り付け位置に制約が生じる。そこで、本実施形態では、クロックを合わせるための基準信号として、放送用の電波信号を用いる。放送用ラジオ受信ユニットは非常に安価であるため、センサの生産性に大きな影響を及ぼさない。なお、放送用のラジオ波であれば、AMでもFMでもよく、長波や短波でもいい。放送用ラジオ受信ユニットは安価であり、電力が強いので地中でも受信しやすい。公共のラジオでもいいし、専用の電波を発生してもいい。
さらに、本実施形態では、センサ201、202では、単に放送用電波信号522と、測定波形信号521、523とを合成して、位置検出装置210に送信する。つまり、センサ内ではクロックの補正を行なわず、情報収集を行なう位置検出装置210で一括してクロックを合わせる補正を行なう。補正のために音波より高速な電波を受信して、補正情報を得る。電波信号であれば、復調までの時間が短く、一定である。
位置検出装置210(解析側)では、測定波形信号を受信して復調して波形を生成し、放送用電波信号531、532が合致するように時刻を補正する。波形データの補正として、遅延と伸縮(サンプリング周波数のオフセット)という2つのずれの補正を行なう。2箇所のセンサの遅延を測定すれば伸縮の量も分かる。伸縮は、センサの個体差によって発生する。つまりラジオ受信器のクロック周波数が微妙に違う場合があることに起因する。ラジオ受信器のクロックの個体差によって0.数%は当たり前にずれてしまう。例えば、サンプリング周波数が8kHzだとして、8001Hzぐらいにはなってしまう。これでは、1時間以上、長く測定(相関取得)を続けた場合に問題が生じる(例えば8000秒の測定で信号が1秒ずれる)。例えば、非常に小さな音声(漏水の音や人の気配)を検出しようとすると、1時間ぐらい相関データをとり続ける必要が生じる。その場合、センサのバラツキによる伸縮誤差が非常に大きく影響してしまう。そのため、サンプリング周波数の伸び縮みのピッチを合わせる必要がある。例えば、漏水検知であれば、2信号の相互相関関数から、漏水の有無と漏水位置を推定する。もし2信号間にサンプリングのオフセット(ずれ)があると、正しい相互相関関数が算出できない。サンプリング周波数が同じで、時刻がずれているだけなら補正は簡単だが、サンプリング周波数もずれていると、相互相関関数が著しく小さくなるなど、推定に支障がでる。
そこで、位置検出装置210は、受信部503、推定部504、補正部505および位置検出部506を備え、音波や振動の複数波形を相関解析する際の時計のずれ(時刻とサンプリング周波数)を補正する。
受信部503はセンサ201、202の記録送信部511、521から送信された信号512、522を受信してセンサごとに分離する。
推定部504は、センサ201、202のそれぞれから受信した放送用電波信号531、532に基づいて、センサ201からの測定波形信号533とセンサ202からの測定波形信号534とのサンプリング周波数のオフセット541を推定する。
補正部505は、推定したサンプリング周波数のオフセット541に基づいて、センサ202からの受信信号から分離した測定波形信号534を補正する。
位置検出部506は、センサ201からの測定波形信号533と、センサ202からの測定波形信号534を補正部505で補正して求めた信号551と、に基づいて、測定対象520の位置を検出する。位置検出部506は、測定位置AとBの両方で測定対象からの測定波形信号を記録し、測定位置AとBの信号間の相関関数と音速から測定対象位置を推定する。
位置検出装置210は、解析時に時計を補正する。センサ201、202内のクロックを補正するのでもなく、センサ内に高精度な時計を設けるのでもない。補正のために音波よりずっと高速な電波を受信して、補正情報を得る。音速は数km/秒、光速は30万km/秒(10kmで33μ秒)である。同一の電波を受信して、受信信号の関係(ふつうは相関)から、時計ずれの情報を抽出する。受信信号の関係は、受信した電波そのままでもいいし、復調した信号でもいい。このように解析時に時計を補正する仕組みによれば、地下、マンホールなどでも時計補正できる。
図6は、位置検出装置210の詳しい構成を示すブロック図である。受信部503は、選局部601と復調部602、603とを含む。選局部601では、各センサ201、202からの信号を受けて、センサごとの信号を選局、分離する。復調部602、603では、分離した各センサからの信号を復調し、測定波形信号533、534と基準信号としての放送用電波信号531、532を出力する。
推定部504では、放送用電波信号531、532からサンプリング周波数オフセットを推定する。補正部505では、推定部504で推定したサンプリング周波数オフセットがなくなるように、センサ202からの測定波形信号534を補正し、それぞれの測定波形信号533、534のサンプリング周波数を一致させる。そのための再サンプリングを行う。なお、ここでは、一方のセンサの出力のみ補正しているが、本発明はこれに限定されるものではなく両方のセンサの出力を補正してもよい。3か所以上のセンサを用いる場合に有効である。
図7は、推定部504の詳しい構成を示す図である。推定部504は、相関関数算出部701と、サンプリングオフセット算出部702とを含む。
相関関数算出部701は、2つのセンサモジュールで取得した基準信号としての放送用電波信号(ラジオ音声)の相互相関関数(あるいは相互相関係数)C(t)を計算する。C(t)=Σx(k)・y(k-t)
一方、サンプリングオフセット算出部702は、相関関数算出部701が算出した相関関数の最大値(またはその絶対値の最大値)が得られる時間差tos(Off Set Time)を求める(図8参照)。サンプリング周波数のオフセットがなければ、tos=0となる。tosはサンプル点よりさらに細かい時間まで補間により求めてもよい。ここで求まるtosは時間の情報である。基準信号が常に得られる場合には、常にtosを算出し続ければよい。
基準信号が常に得られない場合などtosを時々にしか得られない場合は、その間を線形補間すればよい。例えば、時刻T1でサンプリングずれ時間差tos1、時刻T2でサンプリングずれ時間差tos2である場合、T1とT2との間の時刻T3(T1<T3<T2)におけるサンプリングずれ時間差tos3は、下記の数式でもとめることができる。
tos3={(T3-T1)tos2+(T2-T3)tos1}/{T2-T1}
また、基準信号が常に得られない場合などtosが時々にしか得られない場合に、サンプリングずれ時間差を各サンプル点で算出するのではなく、サンプリング周波数の差として算出することも可能である。例えば、時刻T1でサンプリングずれ時間差tos1、時刻T2でtos2である場合、T1とT2の間におけるサンプリング周波数fosは、基準信号のサンプリング周波数fs0に対して下記の式で求めることができる。
fos = {(T2+tos2)− (T1+tos1)}/{T2−T1}
もちろんさらに高度な補間を用いることもできる。
サンプリングオフセット算出部702はサンプリング周波数のオフセット(ずれ)を表わすサンプル番号(Sample Index)を算出してもよい。
また、サンプリングずれの原因となるクロック発生部は温度等の影響を受けるので、温度等の情報を用いて算出してもよい。つまり、それぞれのセンサは、さらに、センサ温度を測定して記録し送信する温度測定部(不図示)を備えてもよい。その場合、相関関数算出部701は、さらに、各センサで測定された温度を変数にもつ相関関数を導き、その相関関数と、実際の温度の値に基づいて、サンプリング周波数のオフセットを推定してもよい。サンプリングずれ時間差を時々しか得られない場合であっても、温度で補正することで、より正確な補正が可能となる。
補正部505は、サンプリングオフセットを補正したサンプル値を算出する。再近傍のサンプル値を取得する方法や、再近傍2点のサンプル値から補間する方法や、近傍3点以上のサンプル値から補間する方法等がある。
図9は、最近傍のサンプリング点を取得する方法について説明する図である。白抜き楕円がサンプル値を表し、その下の縦線が時間軸と交わる点が、サンプリングを行った時刻を表す。このデータに対して、サンプリングずれの補正のために、ずれた時刻のサンプリングデータを作り出す。下から上向きの矢印が補正としてサンプリングされるべき時刻を表している。サンプリングオフセットを補正したサンプル値として、補正後のサンプリング時刻に最も近いサンプリング時刻のサンプル値をとる。許容できるサンプリングずれ時間差が0.5サンプル間隔以上である場合に使える。サンプリング周波数が十分に高い場合にはこれでよい場合が多い。単純な時間差だけでなく、サンプリング周波数がずれている場合にも、徐々に、信号のデータ数まで補正されていく。
図10は、近傍2点のサンプル値から補間する方法について説明する図である。矢印で示すサンプルに対応するサンプル値を、その近傍2点から按分して補間する。補正後のサンプリング時刻に最も近傍にあるサンプル値2つを結んだ直線を引き、この直線上で補正後のサンプリング時刻における値を、補正後のサンプリング時刻におけるサンプル値とする。再近傍1点を使う場合より真の値に近づき、解析の性能が上がる。
その他、近傍3点以上のサンプル点から補間する方法もある(特開平06−204798号公報)。
サンプリングずれ時間差が推定できた時刻の間のデータで、いわゆるサンプリング周波数変換を行えばよい(国際公開WO2011/090110A1号公報)「サンプリングレート変換装置およびサンプリングレート変換方法」三菱電機。
一方、基準信号が常に得られる場合には、図11に示すように、推定部504は、適応フィルタ1141を用いてサンプリング周波数オフセットを推定してもよい。このとき、補正部505は、補正フィルタ1151を用いて、センサ202からの測定波形信号534を補正し、それぞれの測定波形信号533、534のサンプリング周波数を一致させてもよい。適応フィルタ1141の係数が、サンプリング周波数のオフセットである。タイミングを合わせるために、遅延部1161、1142を設ける。適応フィルタの係数を、補正のためのフィルタとして使う。減算器1143は、基準信号531を遅延した信号から、適応フィルタ1141の出力信号を減算する。適応フィルタ1141は、基準信号532を入力としたフィルタ(典型的にはFIRフィルタ)であり、減算器1143の結果が最小になるようにフィルタ係数を逐次制御する。
減算した結果が最小になるということは、減算器1143の入出力において、サンプリングオフセットが極めて少なくなるということである。適応フィルタ1141のフィルタ係数をコピーして、測定波形信号534用の補正フィルタ1151に用いれば、サンプリングオフセットをキャンセルした信号を得ることができる。
以上、本実施形態によれば、サンプリングを各点で補正しているので、相関処理、アレイによる同期加算に必要な精度で時刻補正できる。適応フィルタリングや、適応アレイ処理などに必要な、高精度なサンプリング同期ができる。放送用ラジオ波を利用するので各センサモジュールを非常に簡単に構成できる。位置検出装置210側で遅延およびサンプリング周波数のオフセットを補正するので、各センサにおけるクロック精度が必要ではない。
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態に係る位置検出システム1200について、図12を用いて説明する。図12は、本実施形態に係る位置検出システムの構成を説明するための図である。本実施形態に係る位置検出システムは、上記第2実施形態と比べると、制御部1210を備え、各センサ1201、1202が切替部1211、1221を有する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
記録送信部511は、1チャネルで記録する。測定波形信号521の前または後に放送用電波信号522を記録する。前であっても、後であっても、両方でもいい。制御部1210による指示に従って記録されるデータ(測定波形信号521、放送用電波信号522)を切り替える。
制御部1210はどちらかのセンサにあってもいいし、位置検出装置210にあってもいい。制御部1210の制御は電波で行なってもいいし、音波などでもいい。センサ1201、1202に設けられたタイマーであらかじめ大まかな切替時刻を設定しておいてもいい。位置検出装置210では、切替時直前直後のデータは使わない。
本実施形態によれば、位置検出装置210と各センサとの間の送信データ量を減らすことができる。
[第4実施形態]
次に本発明の第4実施形態に係る位置検出システム1300について、図13を用いて説明する。図13は、本実施形態に係る位置検出システムの構成を説明するための図である。本実施形態に係る位置検出システム1300は、上記第2実施形態と比べると、制御部1310を備え、各センサ1301、1302がラジオ受信部1312、1322と加算部1311、1321を有する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
本実施形態においても、記録送信部511は、1チャネルで録音する。ラジオなど電波の信号を録音し、測定波形信号の前または後に電波信号を重ねて録音する。制御部1310は、制御用の特別の音を電波にして、センサ1301、1302に送り、電波信号の受信タイミングおよび重畳タイミングを制御してもよい。制御用の特別の音としては、電話のように複数のトーンバースト信号やパルス信号、モールス信号、時刻報知信号などが挙げられる。位置検出装置210では、重畳した部分のデータは使わない。
本実施形態によれば、位置検出装置210と各センサとの間の送信データ量を減らすことができる。
[第5実施形態]
次に本発明の第5実施形態に係る位置検出システム1400について、図14を用いて説明する。図14は、本実施形態に係る位置検出システムの構成を説明するための図である。本実施形態に係る位置検出システムは、上記第4実施形態と比べると、制御部1310の代わりに制御用電波信号発生部1410を備えている点で異なる。また、本実施形態に係る位置検出システムは、上記第4実施形態と比べると、各センサ1301、1302のラジオ受信部1312、1322が、制御用電波信号発生部1410からの制御信号を受信する点で異なる。その他の構成および動作は、第4実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
本実施形態によれば、位置検出装置210と各センサとの間の送信データ量を減らすことができる。
[第6実施形態]
次に本発明の第6実施形態に係る位置検出システムについて、図15を用いて説明する。図15は、本実施形態に係る位置検出システムの構成を説明するための図である。本実施形態に係る位置検出システム1500は、上記第2実施形態と比べると、ラジオ受信部1312、1322が、それぞれ異なるラジオ局1532、1531からの放送用電波信号1521、1522を受信する点で大きく異なる。また、位置検出装置1510は、電波時計(またはGlobal Positioning System)を備えたラジオ記録部1511、1512と接続されている点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
本実施形態は、各センサで同一の放送用電波信号を受信できない場合にも時計補正しようとするものである。例えば、センサ1201、1202が非常に離れた位置に配置された場合が挙げられる。位置検出装置1510で、ラジオ記録部1511、1512から、時刻補正用の情報を録音しておけば、絶対時間も補正できる。
[他の実施形態]
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、本発明の範疇に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の範疇に含まれる。
この出願は、2014年12月9日に出願された日本出願特願2014−249224を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

Claims (15)

  1. 放送用電波信号と測定対象から発信された測定波形信号とを受信して記録し送信する記録送信手段をそれぞれ備えた第1、第2センサと、
    前記第1、第2センサの前記記録送信手段から送信された信号を受信してセンサごとに分離する受信手段と、
    前記第1、第2センサのそれぞれで受信した前記放送用電波信号に基づいて、前記第1センサの前記測定波形信号と前記第2センサの前記測定波形信号とのサンプリング周波数のオフセットを推定する推定手段と、
    推定した前記サンプリング周波数のオフセットに基づいて、前記第2センサからの前記測定波形信号を補正する補正手段と、
    前記第1センサからの前記測定波形信号と、前記第2センサからの前記測定波形信号を前記補正手段で補正した信号と、に基づいて、前記測定対象の位置を検出する位置検出手段と、
    を備えた位置検出システム。
  2. 前記放送用電波信号は、ラジオ放送波である請求項1に記載の位置検出システム。
  3. 前記推定手段は、
    前記第1、第2センサで受信した前記放送用電波信号の相関関数を算出する算出手段と、
    前記第1、第2センサで受信した前記放送用電波信号の前記相関関数の最大値が得られる時間差を算出する時間差算出手段と、
    を含む請求項1または2に記載の位置検出システム。
  4. 前記推定手段は、さらに、
    前記放送用電波信号の受信タイミング間において、前記時間差算出手段で算出した時間差を補間する補間手段を、
    備えた請求項3に記載の位置検出システム。
  5. 前記推定手段は、
    前記第1、第2センサで受信した前記放送用電波信号の相関関数を算出する算出手段と、
    前記第1、第2センサで受信した前記放送用電波信号の前記相関関数の最大値が得られるサンプリング周波数のオフセットを算出する周波数差算出手段と、
    を含む請求項1または2に記載の位置検出システム。
  6. 前記推定手段は、
    前記第1、第2センサで受信した前記放送用電波信号の相関関数を算出する算出手段と、
    前記第1、第2センサで受信した前記放送用電波信号の前記相関関数の最大値が得られるサンプリング周波数のオフセットをサンプル番号として算出する時間差算出手段と、
    を含む請求項1または2に記載の位置検出システム。
  7. 前記第1、第2センサのそれぞれは、さらに、センサ温度を測定して記録し送信する温度測定手段を備え、
    前記推定手段は、さらに、前記第1、第2センサで測定された温度に基づいて、サンプリング周波数のオフセットを推定する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の位置検出システム。
  8. 前記推定手段は、
    前記第1センサから受信した前記放送用電波信号を遅延させる遅延手段と、
    前記第2センサから受信した前記放送用電波信号を入力するための適応フィルタと、
    を備え、
    前記遅延手段の出力と前記適応フィルタの出力との差分が小さくなるように前記適応フィルタの係数を逐次制御し、
    前記補正手段は、
    逐次制御された前記適応フィルタの係数を用いて、前記第2センサからの前記測定波形信号を補正する請求項1乃至7のいずれか1項に記載の位置検出システム。
  9. 前記第1、第2センサは、前記測定波形信号と前記放送用電波信号とを切り替えて時分割録音する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の位置検出システム。
  10. 前記第1、第2センサは、前記測定波形信号と前記放送用電波信号とを重畳録音する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の位置検出システム。
  11. 前記第1、第2センサは、前記放送用電波信号に含まれる特徴的な信号に基づいて重畳録音のタイミングを制御する請求項10に記載の位置検出システム。
  12. 測定対象から発信された測定波形信号を第1、第2センサを介して受信し、前記測定対象の位置を検出する位置検出システムであって、
    前記第1、第2センサのそれぞれは、前記測定波形信号と放送用電波信号とを受信して記録し送信する記録送信手段を備え、
    前記位置検出システムは、
    前記放送用電波信号と基準時間信号とを受信する第1受信手段と、
    前記第1、第2センサの記録送信手段から送信された信号を受信してセンサごとに分離する第2受信手段と、
    前記第2受信手段で受信した信号中に含まれる、前記第1、第2センサのそれぞれで受信した前記放送用電波信号が、前記第1受信手段で受信した前記放送用電波信号に一致するように補正する補正方法を、前記第1、第2センサのそれぞれで受信した前記測定波形信号に適用する補正手段と、
    前記第1センサからの前記測定波形信号を前記補正手段で補正した第1補正信号と、前記第2センサからの前記測定波形信号を前記補正手段で補正した第2補正信号と、に基づいて、前記測定対象の位置を検出する位置検出手段と、
    を備えた位置検出システム。
  13. 測定対象から発信された測定波形信号を第1、第2センサを介して受信し、前記測定対象の位置を検出する位置検出システムであって、
    前記第1、第2センサのそれぞれは、前記測定波形信号と放送用電波信号とを受信して記録し送信する記録送信手段を備え、
    前記位置検出システムは、
    前記第1、第2センサの記録送信手段から送信された信号を受信してセンサごとに分離する受信手段と、
    前記第1、第2センサのそれぞれで受信した前記放送用電波信号に基づいて、前記第1センサの前記測定波形信号と前記第2センサの前記測定波形信号とのサンプリング周波数のオフセットを推定する推定手段と、
    推定した前記サンプリング周波数のオフセットに基づいて、前記第2センサからの前記測定波形信号を補正する補正手段と、
    前記第1センサからの前記測定波形信号と、前記第2センサからの前記測定波形信号を前記補正手段で補正した信号と、に基づいて、前記測定対象の位置を検出する位置検出手段と、
    を備えた位置検出システム。
  14. 測定対象から発信された測定波形信号を第1、第2センサを介して受信し、前記測定対象の位置を検出する位置検出方法であって、
    前記第1、第2センサのそれぞれは、前記測定波形信号と放送用電波信号とを受信して記録し送信する記録送信手段を備え、
    前記位置検出方法は、
    前記第1、第2センサの記録送信手段から送信された信号を受信してセンサごとに分離する受信ステップと、
    前記第1、第2センサのそれぞれで受信した前記放送用電波信号に基づいて、前記第1センサの前記測定波形信号と前記第2センサの前記測定波形信号とのサンプリング周波数のオフセットを推定する推定ステップと、
    推定した前記サンプリング周波数のオフセットに基づいて、前記第2センサからの前記測定波形信号を補正する補正ステップと、
    前記第1センサからの前記測定波形信号と、前記第2センサからの前記測定波形信号を前記補正ステップで補正した信号と、に基づいて、前記測定対象の位置を検出する位置検出ステップと、
    を含む位置検出方法。
  15. 測定対象から発信された測定波形信号を第1、第2センサを介して受信し、前記測定対象の位置を検出する位置検出プログラムであって、
    前記第1、第2センサのそれぞれは、前記測定波形信号と放送用電波信号とを受信して記録し送信する記録送信手段を備え、
    前記位置検出プログラムは、
    前記第1、第2センサの記録送信手段から送信された信号を受信してセンサごとに分離する受信ステップと、
    前記第1、第2センサのそれぞれで受信した前記放送用電波信号に基づいて、前記第1センサの前記測定波形信号と前記第2センサの前記測定波形信号とのサンプリング周波数のオフセットを推定する推定ステップと、
    推定した前記サンプリング周波数のオフセットに基づいて、前記第2センサからの前記測定波形信号を補正する補正ステップと、
    前記第1センサからの前記測定波形信号と、前記第2センサからの前記測定波形信号を前記補正ステップで補正した信号と、に基づいて、前記測定対象の位置を検出する位置検出ステップと、
    をコンピュータに実行させる位置検出プログラム。
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