JPWO2016088892A1 - 免疫機能調整剤 - Google Patents

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Abstract

免疫機能を調整し、生体の恒常性を維持するために有用な免疫機能調整剤の提供。S−1−プロペニルシステイン若しくはその塩を有効成分とする免疫機能調整剤。

Description

本発明は、生体の恒常性維持に有用な免疫機能調整剤に関する。
イムノグロブリンA(IgA)は、哺乳類において最も分泌量の多い抗体であり、腸管粘膜固有層においてIgA産生細胞より分泌される。IgAは、主として、食品に含まれる異物や侵入した病原菌からの体の保護及び腸内細菌叢のバランスの維持を通じて、身体の恒常性を維持するために機能している(非特許文献1〜3)。また、IgA欠損症の患者では、アレルギー性の疾患や自己免疫疾患の発症頻度が高いことが知られている(非特許文献4)。
また、インターロイキン−6(IL−6)は、T細胞やマクロファージから産生されるサイトカインの一種で、造血や抗体産生細胞の分化を促進する役割を担う一方、過剰産生されることで、慢性炎症や自己免疫疾患の原因となる等、炎症反応を亢進する作用を併せ持っている(非特許文献5,6)。
したがって、IgAの産生を促進し、IL−6の過剰産生を抑制することによって免疫機能の調整を図ることは、身体の恒常性を維持し、アレルギー発症の予防や炎症反応の抑制に有用である。
一方、ニンニクの特徴的な成分としてγ−グルタミル−S−アリルシステインがある。該成分はニンニクを切ったり、つぶしたり、すりおろしたり、又は熟成することにより、ニンニク中に含まれるγ−グルタミルトランスペプチダーゼという酵素により、水溶性のS−アリルシステイン(以下、SACと略す)に変換される。このような酵素反応により生成される水溶性化合物として、SACの他にS−メチルシステイン、S−1−プロペニルシステインなどがある(非特許文献7)。
SACは、肝障害予防効果(非特許文献8、特許文献1)、大腸がんの予防効果(非特許文献9)等、多くの薬理作用が報告され、また、S−メチルシステインについても、肝障害予防効果(特許文献2)や脳疾患改善効果(特許文献1)などが報告されている。
しかしながら、S−1−プロペニルシステインに関しては、これにまでに薬理作用に関する報告がなく、IgA産生促進やIL−6産生抑制等の免疫機能調整作用があることについては全く知られていない。
特許第4255138号公報 特公平05−060447号公報
LM Kato, S Kawamoto, M Maruya, S Fagarasan. Gut TFH and IgA: key players for regulation of bacterial communities and immune homeostasis. Immunol Cell Biol. 2014;92(1):49-56. S Fagarasan, T Honjo. Intestinal IgA synthesis: regulation of front-line body defences. Nat Rev Immunol. 2003;3(1):63-72. AJ Macpherson, KD McCoy, FE Johansen, P Brandtzaeg. The immune geography of IgA induction and function. Mucosal Immunol. 2008;1(1):11-22. K Singh, C Chang, ME Gershwin. Autoimmun Rev.: IgA deficiency and autoimmunity. 2014;13(2):163-177 T Kishimoto , S Akira , T Taga . Interleukin-6 and its receptor: A paradigm for cytokines. Science, 1992.258: 593-597. T Tanaka, M Narazaki, T Kishimoto. IL-6 in Inflammation, Immunity, and Disease. Cold Spring Harb Perspect Biol. 2014 6(10): 1-16. ニンニクの化学,初版,齋藤洋 監修、朝倉書店、93-122,2000 S Nakagawa, S Kasuga, H Matsuura, Prevention of liver damage by aged garlic extract and its components in mice. Phytother.Res.1989,3,50-53 S Hatomo, A Jimenez, MJ Wargovich, Chemopreventive effect of S-allylcysteine and its relationship to the detoxification enzyme glutathione S-transferase. Carcinogenesis. 1996 ;17(5):1041-1044
本発明は、免疫機能を調整し、生体の恒常性を維持するために有用な免疫機能調整剤を提供することに関する。
本発明者らは、含硫アミノ酸化合物を含む植物及びその成分の有用性を種々検討したところ、S−1−プロペニルシステイン又はその塩に優れたIgA産生促進作用及びIL−6産生抑制作用があり、これらが免疫機能調整剤として有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の1)〜12)に係るものである。
1)S−1−プロペニルシステイン若しくはその塩を有効成分とする免疫機能調整剤。
2)S−1−プロペニルシステインにおけるトランス体の割合が、トランス体とシス体の合計を100%とした場合に、50〜100%である上記1)の免疫機能調整剤。
3)免疫機能調整が、IgA産生促進及び/又はIL−6産生抑制に基づくものである上記1)又は2)の免疫機能調整剤。
4)S−1−プロペニルシステイン若しくはその塩が、ニンニク、タマネギ、エレファントガーリック、ニラ及びネギから選ばれる1種以上のアリウム属植物に由来するものである上記1)〜3)のいずれかの免疫機能調整剤。
5)S−1−プロペニルシステイン若しくはその塩が、アリウム属植物を10〜50%のエタノール水溶液中、0〜80℃で、1ヶ月以上抽出し、得られた抽出物を陽イオン交換樹脂に吸着させた後、0.1〜3Nのアンモニア水で溶出し、該溶出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び/又は逆相カラムクロマトグラフィーに付し、回収することにより取得される、上記4)の免疫機能調整剤。
6)医薬である、上記1)〜5)のいずれかの免疫機能調整剤。
7)食品である、上記1)〜5)のいずれかの免疫機能調整剤。
8)アリウム属植物を10〜50%のエタノール水溶液中、0〜80℃で、1ヶ月以上抽出し、得られた抽出物を陽イオン交換樹脂に吸着させた後、0.1〜3Nのアンモニア水で溶出し、該溶出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び/又は逆相カラムクロマトグラフィーに付し、S−1−プロペニルシステイン若しくはその塩を回収することを特徴とする、S−1−プロペニルシステイン若しくはその塩の製造方法。
9)アリウム属植物がニンニク、タマネギ、エレファントガーリック、ニラ及びネギから選ばれる1種以上である上記8)の製造法。
10)免疫機能調整剤を製造するための、S−1−プロペニルシステイン若しくはその塩の使用。
11)免疫機能調整のために使用される、S−1−プロペニルシステイン若しくはその塩。
12)S−1−プロペニルシステイン若しくはその塩を投与することを特徴とする免疫機能調整方法。
本発明の免疫機能調整剤によれば、IgAの産生促進及びIL−6の産生抑制という免疫機能調整作用によって、外部異物の侵襲あるいは侵襲による障害を緩和し、生体の恒常性を維持することができる。また、炎症反応やアレルギー反応を抑えることができる。
アリウム属植物のエタノール水溶液抽出画分によるIgA産生促進作用を示すグラフ。 含硫アミノ酸化合物によるIgA産生促進作用を示すグラフ。 S−1−プロペニルシステインによるIgA産生量の亢進作用を示すグラフ。 パイエル板におけるS−1−プロペニルシステインによるIgA産生細胞数の増加作用を示すグラフ。 腹腔内におけるS−1−プロペニルシステインによるIgA産生細胞数の増加作用を示すグラフ。 LPS刺激下におけるS−1−プロペニルシステインによるIgA産生の亢進作用を示すグラフ。 LPS刺激下におけるS−1−プロペニルシステインによるIL−6産生の抑制作用を示すグラフ。 S−1−プロペニルシステイン(シス体、トランス体、シス/トランス混合物)のIgA産生促進作用を示すグラフ。 LPS刺激下におけるS−1−プロペニルシステイン(シス体、トランス体、シス/トランス混合物)及びSACのIL−6産生抑制作用を示すグラフ。
本発明において、S−1−プロペニルシステインは、下記式(1)で示されるシステイン誘導体である。
この化合物は、波線で示されるように、シス又はトランスの立体配置が存在するが、トランス体の割合が多いのが好ましく、トランス体の割合がトランス体とシス体の合計を100%とした場合に、50〜100%であるのがより好ましく、75〜100%であるのがより好ましく、80〜100%であるのがより好ましく、90〜100%であるのがさらに好ましい。
また、システイン由来の不斉炭素を有することから光学異性体が存在するが、D体、L体はあるいはラセミ体のいずれであってもよい。
S−1−プロペニルシステインの塩は、酸付加塩又は塩基付加塩の何れでもよい。酸付加塩としては、たとえば、(イ)塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの鉱酸との塩、(ロ)ギ酸、酢酸、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸などの有機カルボン酸との塩、(ハ)メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メシチレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸類との塩を、また、塩基付加塩としては、たとえば、(イ)ナトリウム、カリウム、カルシクム、マグネシウムなどのアルカリ金属との塩、(ロ)カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属との塩、(ハ)アンモニウム塩、(ニ)トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N−ベンジル−β−フェネチルアミン、1−エフェナミン、N,N′−ジベンジルエチレンジアミンなどの含窒素有機塩基との塩を挙げることができる。
更に、S−1−プロペニルシステイン又はその塩は、未溶媒和型のみならず、水和物や溶媒和物としても存在することができ、斯かる水和物又は溶媒和物は製造条件により任意の結晶形として存在することができる。従って、本発明におけるS−1−プロペニルシステイン又はその塩は、全ての立体異性体、水和物、溶媒和物、及び全ての多形結晶形態もしくは非晶形を包含するものである。
本発明におけるS−1−プロペニルシステイン又はその塩は、有機合成手法〔1〕H Nishimura, A Mizuguchi, J Mizutani, Stereoselective synthesis of S-(trans-prop-1-enyl)-cysteine sulphoxide. Tetrahedron Letter, 1975, 37, 3201-3202;2〕JC Namyslo, C Stanitzek, A palladium-catalyzed synthesis of isoalliin, the main cysteine sulfoxide in Onion(Allium cepa). Synthesis, 2006, 20, 3367-3369;3〕S Lee, JN Kim, DH Choung, HK Lee, Facile synthesis of trans-S-1-propenyl- L-cysteine sulfoxide (isoalliin) in onions(Allium cepa). Bull. Korean Chem. Soc. 2011, 32(1), 319-320〕、酵素若しくは微生物を用いた生化学的手法、又はこれらを組み合わせた方法によって取得することができる。また、この他、当該化合物を含有する植物、例えばアリウム属植物あるいはその加工物から抽出・精製することにより取得できる。
したがって、本発明のS−1−プロペニルシステイン又はその塩としては、単離・精製されたもののみならず、粗生成物、上記植物からの抽出操作によりS−1−プロペニルシステイン又はその塩の含有量が高められた画分を用いることができる。
ここで、S−1−プロペニルシステイン又はその塩を含有するアリウム属植物としては、ニンニク(Allium sativum L.)、タマネギ(Allium cepa L.)、エレファントガーリック(Allium ampeloprazum L.)、ニラ(Allium tuberosum. Rottl. Ex K. Spreng.)及びネギ(Allium fistulosum L.)等が挙げられる。これらの植物は、単独あるいは組み合わせて用いてもよい。また、上記アリウム属植物は生のものをそのまま、あるいは必要に応じて外皮を取り除き、切断又は細断したものを使用することもできる。更に、凍結乾燥や熱風乾燥などにより乾燥したもの、あるいはこれらを粉末化したものを用いることもできる。
本発明におけるS−1−プロペニルシステイン又はその塩として、アリウム属植物からの抽出画分を用いる場合、当該画分は、例えば1)アリウム属植物を10〜50%のエタノール水溶液中、0〜80℃で、1ヶ月以上抽出し、2)得られた抽出物を固液分離後、エタノール水溶液溶出画分を回収する、ことにより取得することができる。
工程1)で使用するエタノール水溶液は、10〜50%のエタノール水溶液を使用することができるが、好ましく20〜40%のエタノール濃度に調製されたものである。また、処理温度は0〜80℃の範囲に設定することができるが、好ましくは10〜60℃、更に好ましくは20〜40℃である。処理期間は上記条件下で少なくとも1ヶ月以上抽出に付すことができるが、好ましくは1〜20ヶ月、更に好ましくは1〜10ヶ月である。また、本工程は衛生面やエタノールの揮発等を考慮し、気密、密封あるいは密閉容器内で行うことができるが、密閉容器を使用するのが好ましい。
工程2)では、工程1)で得られた抽出物を固液分離後、エタノール水溶液溶出画分が回収される。回収物を適宜濃縮することにより、S−1−プロペニルシステイン又はその塩を含む抽出画分を得ることができる。また、適宜、スプレードライなどにより乾燥させて使用することもできる。
更に、上記S−1−プロペニルシステイン又はその塩を含む抽出画分からのS−1−プロペニルシステイン又はその塩の単離は、必要に応じて分子排除サイズ3000〜4000の透析膜を用いて透析に付し、次いで陽イオン交換樹脂を用いた吸着・分離、順相クロマトグラフィー又は逆相クロマトグラフィーによる分離精製手段を適宜組み合わせることにより行うことができる。
ここで、陽イオン交換樹脂を用いた吸着・分離は、陽イオン交換樹脂(例えば、アンバーライト(ダウ・ケミカル社製)、DOWEX(ダウ・ケミカル社製)、DIAION(三菱化学製)等)に吸着させ、0.1〜3Nのアンモニア水で溶出させる方法が挙げられる。
順相クロマトグラフィーとしては、例えばシリカゲルカラムを用いて、クロロフォルム/メタノール/水混合物等で溶出させる方法が挙げられる。
逆相クロマトグラフィーとしては、例えばオクタデシルシリルカラムを用いて、0.01〜3%ギ酸水溶液等で溶出させる方法が挙げられる。
好ましくは、上記エタノール水溶液抽出画分を透析(透析膜:分子排除サイズ3000〜4000)し、次いで陽イオン交換樹脂に吸着させた後、0.5〜2Nのアンモニア水で溶出し、溶出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:クロロフォルム/メタノール/水混合物)に付して目的物を含む画分を回収し、さらに分取用逆相カラムクロマトグラフィー(溶媒:0.1〜0.5%ギ酸水溶液)に付して目的物を回収する方法が挙げられる。
斯くして得られたS−1−プロペニルシステインは、トランス体の割合が、トランス体とシス体の合計を100%とした場合に、50〜95%であるのがより好ましく、60〜90%であるのがより好ましく、70〜90%であるのがより好ましい。
S−1−プロペニルシステイン又はその塩は、後記実施例に示すように、S−アリルシステイン、S−メチルシステイン、γ−グルタミル−S−アリルシステイン等の他のシステイン誘導体に比べて優れたIgA産生作用を有し、またLPS刺激下においてIL−6の産生抑制作用を有する。したがって、S−1−プロペニルシステイン又はその塩は、IgA産生促進作用及び/又はIL−6産生抑制作用に基づく免疫機能調整剤となり得る。
IgAは、病原性微生物やアレルゲンの侵入を防ぎ、生体の恒常性を維持するために機能し、アレルギー発症の予防にも寄与している。また、IL−6は、B細胞からの抗体産生誘導、Tリンパ球の活性化等の正常な免疫応答や生体防御において中心的な役割を果たす一方で、その過剰発現は、慢性関節リウマチ、変形性関節炎等の慢性炎症、免疫異常症等の病態形成及び悪化と関連することが報告されている(前記非特許文献1〜6)。よって、IgAの産生を促進し、IL−6の過剰産生を抑制することによって免疫機能の調整を図ることは、身体の恒常性を維持し、アレルギー発症の予防や炎症反応の抑制に有用である。
本発明において、「免疫機能調整」とは、主としてIgA産生促進作用及び/又はIL−6産生抑制作用に基づく免疫機能の調整を意味し、これにより身体の恒常性維持、アレルギー発症の予防、炎症反応の抑制等の効果が発揮される。ここで、IgA産生促進には、IgA産生細胞を増加させること及び/又は当該細胞からIgAの分泌量を増加させることが含まれる。
本発明の免疫機能調整剤は、それ自体、ヒトに摂取(投与を含む)した場合にIgA産生促進作用、IL−6産生抑制作用のような免疫機能調整効果を発揮する医薬又は食品であってもよく、或いはこれらに配合して使用される素材又は製剤であってもよい。
また、当該食品には、IgA産生促進作用、IL−6産生抑制作用、免疫機能調整作用をコンセプトとし、必要に応じてその旨を表示した食品、機能性食品、病者用食品、特定保健用食品が包含される。
上記医薬又は食品は、粉末や顆粒などの固形物、ペーストやオイル状の半固形物あるいは液状であってもよい。また、必用に応じて保存剤や添加剤を加えることもできる。更に、免疫機能調整効果のある他の物質、例えば、糖類、糖アルコール類及び多糖体、レクチンなどの糖タンパク、リポポリサッカライドなどの糖脂質、乳酸菌、ビフィズス菌、酵母あるいは麹菌などの有用細菌類などを含んでいてもよい。
本発明のS−1−プロペニルシステイン又はその塩を含有する医薬の投与形態は、特に限定されるものではなく、種々の形態をとることができるが、経口に適した形態であることが好ましい。経口投与製剤の具体的な形態として、例えば、固形剤としては錠剤、カプセル剤、細粒剤、丸剤、顆粒剤、液剤としては乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤等の形態が挙げられる。斯かる医薬製剤は、本発明のS−1−プロペニルシステイン又はその塩に、必要に応じて賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色料、矯味矯臭剤、pH調整剤等を適宜配合し、常法に従って調製することができる。
本発明のS−1−プロペニルシステイン又はその塩を含有する食品の形態は、特に限定されるものではなく、例えば、固形食品、半流動食品、ゲル状食品、錠剤、キャプレット、カプセル剤等、種々の形態をとることができ、更に具体的には、菓子、飲料、調味料、水産加工食品、食肉加工食品、パン、健康食品等の種々の食品の形態であり得る。
斯かる食品は、これらの食品を通常製造する場合に用いられる食品素材と、本発明のS−1−プロペニルシステイン又はその塩を適宜配合し、常法により製造することができる。
上記医薬又は食品の、一日当たりの好ましい摂取量は、摂取する対象、摂取の形態、同時に摂取する素材や添加剤等の種類、摂取の間隔等の要因に依存して変動するものであるが、通常S−1−プロペニルシステイン又はその塩類として、一日当たり0.1〜2.7mg/kg摂取することが好ましく、0.3〜0.9mg/kg摂取することがより好ましい。また、所望により、この一日量を2〜4回に分割して摂取することもできる。
上記医薬品又は食品の適用の対象としては、それを必要としていれば特に限定されないが、好ましくは、恒常性維持機構の低下や免疫機能の低下の予防又は改善を所望するヒトである。
製造例1 S−1−プロペニルシステイン含有植物抽出画分の製造
(1)ニンニクのエタノール水溶液抽出画分
外皮を取り除いたニンニク鱗茎約1kgと約1000mLの30%エタノールを容器に入れ密閉した。この容器を室温で1〜10ヶ月放置し、適宜攪拌した。この混合物から固体と液体を分離し、液体をスプレードライによって乾燥させ、黄褐色の粉末を得た。
(2)タマネギのエタノール水溶液抽出画分
外皮を取り除いたタマネギ球を2〜4分割し、その約5kgと約5000mLの34%エタノールを容器に入れ密閉した。この容器を室温で1〜10ヶ月放置し、適宜攪拌した。この混合物から固体と液体を分離し、液体を減圧濃縮した。
(3)ニラのエタノール水溶液抽出画分
洗浄したニラを約5〜10cmの長さに切り、その約5kgと約5000mLの34%エタノールを容器に入れ密閉した。この容器を室温で1〜10ヶ月放置し、適宜攪拌した。この混合物から固体と液体を分離し、液体を減圧濃縮した。
製造例2 ニンニクのエタノール水溶液抽出画分からのS−1−プロペニルシステインの単離
(1)製造例1(1)で得られたニンニクのエタノール水溶液抽出画分をポアサイズ3500の透析チューブに入れ、精製水に対して透析を行った。透析外液を陽イオン交換樹脂Dowex50Wx8(H+)に通じ、精製水で樹脂を良く洗浄した。樹脂に吸着したアミノ酸類を2Nのアンモニアで溶出させ、減圧濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムに付し、クロロフォルム/メタノール/水混合物を溶媒としてカラムクロマトグラフィーを行った。目的物(S−1−プロペニルシステイン)を含む画分を回収し、濃縮した。濃縮物を水に溶解し、分取用逆相カラム(オクタデシルシリルカラム)を用いて、0.1%ギ酸を溶媒としてクロマトグラフィーを行い、目的物を回収し溶媒を凍結乾燥によって取り除いた。得られた凍結乾燥物は、NMR(溶媒:重水)及び質量分析装置にて、構造を以下に示す標準物質から得られたスペクトルと比較し、トランス−S−1−プロペニルシステインとシス−S−1−プロペニルシステイン(トランス体:シス体=8:2)の混合物であることを確認した。
trans-S-1-Propenylcysteine
1H-NMR (500 MHz, in D2O-NaOD, δ): 1.76 (d, 3H, J = 7.0 Hz), 2.98 (dd, 1H, J = 7.5, 14.5 Hz), 3.14 (dd, 1H, J = 4.5, 14.5 Hz) 3.69 (dd, 1H, J = 4.5, 7.5Hz), 5.10-5.14 (m, 1H), 6.02(d, 1H, J = 15.5 Hz);
13C-NMR (125 MHz, in D2O-NaOD, δ): 17.61, 33.53, 53.70, 119.92, 132.12, 172.73,
HRMS: observed [M+H]+ = 162.0583, calculated [M+H] + = 162.0581
cis-S-1-Propenylcysteine
1H-NMR (500 MHz, in D2O, δ): 1.74 (d, 3H, J = 7.0 Hz), 3.21 (dd, 1H, J = 7.5, 15.0 Hz), 3.31 (dd, 1H, J = 4.5, 15.0 Hz), 3.95 (dd, 1H, J = 4.5, 7.5 Hz), 5.82-5.86 (m, 1H), 6.01(d, 1H, J = 9.5 Hz);
13C-NMR (125 MHz, in D2O-NaOD, δ): 13.89, 33.88, 54.16, 122.58, 127.78, 172.63.
HRMS: observed [M+H] + = 162.0580, calculated [M+H] + = 162.0581
(2)ニンニクのエタノール水溶液抽出画分中のS−1−プロペニルシステインの測定
製造例1(1)で得られたニンニクのエタノール水溶液抽出画分を500mgから1g容器に取り、内部標準としてS−n−3−ブテニルシステインの20mM塩酸溶液を加え、20mM塩酸にて20mLとした。良く攪拌した後、一部を取り1750Gにて遠心分離を約10分間行った。得られた上清を一部取り、遠心式ろ過ユニット(Amicon Ultra、cutoff:3000)を用いて遠心ろ過を行った(15000rpm、10分)。得られたろ過物20μLを取り、AccQ・Tag Derivatization Kit(Waters)を用いて誘導体化をおこなった。別途、標準化合物を20mM塩酸に溶解し、試料と同様の操作を行い検量線用標準液を調製した。試料溶液及び標準液をAcquity UPLCシステム(Waters)にてクロマトグラフィーを行い、含量を求めた。その結果、S−1−プロペニルシステインは、3.7±0.3mg/g乾燥物であった。
試験例
(1)試料の調製
生物活性を評価するための被検液の調製を以下の通り行った。生物活性評価に際し、被検液はいずれも用時調製を行った。
(a)製造例1で製造したアリウム属植物のエタノール水溶液抽出画分を固形分含量が約40%(W/V)となるように精製水を用いて、溶解懸濁した。この液を適宜精製水にて希釈して試験に供した。in vitro試験に供する場合は、メンブランフィルターで濾過し、濾液を用いた。
(b)製造例2で製造したS−1−プロペニルシステイン(シス/トランス混合物)を約1mg精密に量り取り、精製水1mLに溶解した。この液を原液とし、適宜希釈して試験に供した。in vitro試験に供する場合は、メンブランフィルターで濾過し、濾液を用いた。
(2)評価試験用細胞
生物活性を評価するための細胞を以下のように調製した。試験用マウスC57BL/6N(雌性)を日本クレアより購入した。購入後、1週間の順化を行い、屠殺後、脾臓を摘出した。摘出した脾臓をすり潰した後にメッシュを通して、リンパ球を回収し、評価試験用細胞とした。
(3)評価試験用動物
生物活性を評価するための動物を以下のように飼育した。試験用マウスC57BL/6N(雌性)を日本クレアより購入した。購入後、1週間の順化を行い、評価試験用動物とした。
(4)ELISA
IgA産生量は、Bentyl laboratories社製のマウスIgA定量キットを購入して測定した。測定対象の洗浄液あるいは培養上清を、抗IgA抗体をコートした96穴プレートに入れた。各種反応試薬を添加したのちにプレートリーダーにより吸光度を測定した。
IL−6産生量は、eBioscience社製のマウスIL−6ELISA Ready−SET−Go!キットを購入して測定した。測定対象の培養上清を、抗IL−6抗体をコートした96穴プレートに入れた。各種反応試薬を添加したのちにプレートリーダーにより吸光度を測定した。
(5)IgA産生促進作用及びIL−6産生抑制作用
(a-i)IgA産生促進作用(in vitro)<1>
上記(2)の評価試験用細胞から得たリンパ球を10%血清含培地にて1×106個/mLに調製し、24穴プレートに1mLずつ播種、あるいは1×106個/200μLに調製し、48穴プレートに200μLずつ播種した。次いで、上記(1)で調製した試料につき、(1)(a)の場合は適宜希釈し最終濃度4mg/mLとなるように24穴プレートへ添加し、(1)(b)の場合は0.1mMを48穴プレートに添加し37℃で3日間培養した後、上清をとりELISAにてIgA量を測定した。結果を図1及び図2に示す。
アリウム属植物のエタノール水溶液抽出画分は、生の植物体(各植物体にその重量と同等重量の水を加え、ホモジナイズした。得られたホモジネートをガーゼ濾過し、濾液を試料とした。)よりもIgA産生を促進した(図1)。
S−1−プロペニルシステインは、他の含硫アミノ酸化合物を用いた場合よりもIgA産生を促進した(図2)。
(a-ii)IgA産生促進作用(in vitro)<2>
上記(2)の評価試験用細胞から得たリンパ球を10%血清含培地にて5×106個/mLに調製し、48穴プレートに200μLずつ播種した。
これに化学合成したシス−S−1−プロペニルシステイン、トランス−S−1−プロペニルシステインおよび製造例2で調製したS−1−プロペニルシステイン(シス/トランス混合物)を0.03、0.1及び0.3mMの濃度で添加し、37℃で3日間培養した。その後、培養上清中のIgA産生量をELISA法により測定した。その結果を図8に示す。
トランス体、及びトランス体の割合がシス体に比べて高いS−1−プロペニルシステインは、IgA産生を有意に亢進した。それに対してシス−S−1−プロペニルシステインは、IgA産生に殆ど影響しなかった。
(b-i)LPS刺激下でのIgA産生促進作用及びIL−6産生抑制作用(in vitro)<1>
上記(2)の評価試験用細胞から得たリンパ球を10%血清含培地にて1×106個/mLに調製し、24穴プレートに1mLずつ播種した。次いで、大腸菌O55由来リポ多糖(LPS)を1μg/mLとなるよう添加したのち、上記(1)(b)で調製した試料を0.1mM添加し37℃で24時間あるいは3日間培養した。培養後、上清をとりELISAにてIL−6量及びIgA量を測定した。結果を図6及び図7に示す。
S−1−プロペニルシステインはLPS刺激により、無刺激よりも高いIgA産生促進作用が見られた(図6)。また、LPS刺激により誘導されるIL−6の分泌量は減少した(図7)。
(b-ii)LPS刺激下でのIL−6産生抑制作用(in vitro)<2>
上記(2)の評価試験用細胞から得たリンパ球を10%血清含培地にて5×106個/mLに調製し、48穴プレートに200μLずつ播種した。この細胞にサルモネラ菌由来リポ多糖(LPS)3μg/mL存在下、化学合成したシス−S−1−プロペニルシステイン、トランス−S−1−プロペニルシステインおよびSAC、製造例2で調製したS−1−プロペニルシステイン(シス/トランス混合物)を0.3mMの濃度で添加し、37℃で24時間培養した。培養後、上清をとりELISAにてIL−6量を測定した。その結果を図9に示す。
トランス体、及びトランス体の割合がシス体に比べて高いS−1−プロペニルシステインは、LPS刺激により誘導されるIL−6の分泌を有意に抑制した(図9)。
(c)IgA産生促進作用(in vivo)<1>:
上記(3)の評価試験用動物を用いて上記(1)(b)で調製した試料を5日間、経口投与した後、屠殺し小腸を摘出した。小腸に5mLのリン酸緩衝液を通じ、小腸内容物及び洗浄液を回収した。回収物を合わせ、遠心分離を行い、その上清中のIgA量をELISA法により定量した。結果を図3に示す。
S−1−プロペニルシステイン投与群は水投与群よりも小腸洗浄液中IgA量が増加した(図3)。
(d)IgA産生促進作用(in vivo)<2>:
上記(3)の評価試験用動物を用いて上記(1)(b)で調製した試料を5日間、経口投与した後、屠殺し小腸を摘出し、小腸よりパイエル板を回収した。パイエル板をすり潰し、Collagenase Dを最終濃度1mg/mL、DNAase Iを最終濃度20μg/mLの濃度となるよう添加した。37℃で振とうしながら30分間処理後、1500rpmで遠心分離し、上清を取り除き、5mM EDTAを含む5%FBS含有Hank’s Balanced Salt Solutionを2mL加え、37℃で振とうしながら5分間処理した。処理後、40μmメッシュを通し、組織片を取り除いてリンパ球を回収した。回収したリンパ球を、Fc受容体(FcR)をブロックするため2%FBS含有リン酸緩衝液で10倍に希釈したFcRブロッキング試薬を20μL添加し、4℃で30分間処理した。フィコエリスリン(PE)標識した抗マウスCD45抗体(B220)及びフルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識した抗マウスイムノグロブリンA抗体をそれぞれ20μL添加し、4℃で30分間処理した。処理後、フローサイトメーターを用いてリンパ球を1×104個取り込み、抗マウスCD45抗体(B220)及び抗マウスイムノグロブリンA抗体に反応したIgA産生B細胞数を測定した。結果を図4に示す。
S−1−プロペニルシステイン投与群は水投与群よりもIgA産生B細胞数が増加した(図4)。
(e)IgA産生促進作用(in vivo)<3>:
上記(3)の評価試験用動物を用いて上記(1)(b)で調製した試料を5日間、経口投与した後、屠殺後、腹腔膜を破らないよう開腹した。5mL容注射器に5%FBS含有Hank’s Balanced Salt Solutionを3mL、27G注射針にて腹腔内に入れた。腹膜を揉んで注入溶液を腹腔内に均一に行き渡らせ、18G注射針を用いて腹膜内液を回収した。回収した腹膜内液を、1500rpmで5分遠心し、上清を除いて腹腔細胞を回収した。回収した腹腔細胞を、FcRをブロックするため、2%FBS含有リン酸緩衝液で10倍に希釈したFcRブロッキング試薬を20μl添加し、4℃で30分間処理した。PE標識した抗マウスCD45抗体(B220)及びFITC標識した抗マウスイムノグロブリンA抗体をそれぞれ20μL添加し、4℃で30分間処理した。処理後、フローサイトメーターを用いてリンパ球を1×104個取り込み、抗マウスCD45抗体(B220)及び抗マウスイムノグロブリンA抗体に反応したIgA産生B細胞数を測定した。結果を図5に示す。
S−1−プロペニルシステイン投与群は水投与群よりもIgA産生B細胞数が増加した(図5)。

Claims (12)

  1. S−1−プロペニルシステイン若しくはその塩を有効成分とする免疫機能調整剤。
  2. S−1−プロペニルシステインにおけるトランス体の割合が、トランス体とシス体の合計を100%とした場合に、50〜100%である請求項1記載の免疫機能調整剤。
  3. 免疫機能調整が、IgA産生促進及び/又はIL−6産生抑制に基づくものである請求項1又は2記載の免疫機能調整剤。
  4. S−1−プロペニルシステイン若しくはその塩が、ニンニク、タマネギ、エレファントガーリック、ニラ及びネギから選ばれる1種以上のアリウム属植物に由来するものである請求項1〜3のいずれか1項記載の免疫機能調整剤。
  5. S−1−プロペニルシステイン若しくはその塩が、アリウム属植物を10〜50%のエタノール水溶液中、0〜80℃で、1ヶ月以上抽出し、得られた抽出物を陽イオン交換樹脂に吸着させた後、0.1〜3Nのアンモニア水で溶出し、該溶出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び/又は逆相カラムクロマトグラフィーに付し、回収することにより取得される、請求項4記載の免疫機能調整剤。
  6. 医薬である、請求項1〜5のいずれか1項記載の免疫機能調整剤。
  7. 食品である、請求項1〜5のいずれか1項記載の免疫機能調整剤。
  8. アリウム属植物を10〜50%のエタノール水溶液中、0〜80℃で、1ヶ月以上抽出し、得られた抽出物を陽イオン交換樹脂に吸着させた後、0.1〜3Nのアンモニア水で溶出し、該溶出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び/又は逆相カラムクロマトグラフィーに付し、S−1−プロペニルシステイン若しくはその塩を回収することを特徴とする、S−1−プロペニルシステイン若しくはその塩の製造方法。
  9. アリウム属植物がニンニク、タマネギ、エレファントガーリック、ニラ及びネギから選ばれる1種以上である請求項8記載の製造方法。
  10. 免疫機能調整剤を製造するための、S−1−プロペニルシステイン若しくはその塩の使用。
  11. 免疫機能調整のために使用される、S−1−プロペニルシステイン若しくはその塩。
  12. S−1−プロペニルシステイン若しくはその塩を投与することを特徴とする免疫機能調整方法。
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