JPWO2016068197A1 - 剥離シートおよび粘着体 - Google Patents

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Abstract

本発明の剥離シート1は、基材12と、該基材12上に設けられた剥離剤層11と、を有する。剥離剤層11は、ジエン系高分子を50質量%以上含む剥離剤組成物の硬化物で構成されている。JIS K6300に準拠して100℃において測定される、ジエン系高分子のムーニー粘度(ML1+4(100℃))が、25〜70であり、剥離剤層11上に積層した粘着シート2を剥離剤層11から剥離する剥離力試験(10m/min)における剥離開始から剥離終了までの剥離力変化のグラフから、剥離力の平均値(Fa)、極大剥離力の平均値(Fp)、極小剥離力の平均値(Fa)を求めて算出した剥離力変化率が10%以下である。これにより、電気部品等に悪影響を与えるのを十分に抑制し、剥離力の剥離速度依存性が小さく、ジッピング現象の発生を抑制することができる剥離シートおよび粘着体を提供することができる。

Description

本発明は、剥離シートおよび粘着体に関する。
リレー、各種スイッチ、コネクタ、モータ、ハードディスク等の電気部品は、様々な製品に広く用いられている。
このような電気部品には、組立時の仮止めや部品の内容表示等の目的で、粘着シートが貼着されている。
このような粘着シートは、通常、粘着シート基材と粘着剤層とで構成されており、電気部品に貼着される前は、剥離シートに貼着されている。
この剥離シート(粘着剤層との接触面側)は、剥離性の向上を目的として、剥離剤層を含んでいる。従来、この剥離剤層の構成材料としては、シリコーン樹脂が用いられてきた(例えば、特許文献1参照)。
ところが、このような剥離シートを粘着シートに貼着すると、剥離シートの剥離剤層中の低分子量のシリコーン樹脂、シロキサン、シリコーンオイルなどのシリコーン化合物が粘着シートの粘着剤層に移行することが知られている。また、前記剥離シートは、その製造後、ロール状に巻き取られる。この時、剥離シートの裏面と剥離剤層とが接触し、シリコーン樹脂中のシリコーン化合物が剥離シートの裏面に移行する。この剥離シートの裏面に移行したシリコーン化合物は、粘着体製造時、粘着体をロール状に巻き取る際に、粘着シート表面に再び移行することも知られている。このため、このような剥離シートに貼着されていた粘着シートを前記電気部品に貼着した場合、この粘着剤層や粘着シートの表面に移行したシリコーン化合物が徐々に気化する。気化したシリコーン化合物は、例えば、電気部品の電気接点部付近で発生するアーク等により、電気接点部の表面等に堆積する。その結果、微小なシリコーン化合物層やシリコーン化合物に由来する酸化ケイ素系化合物層を形成することが知られている。
このように、電気接点部の表面にシリコーン化合物やシリコーン化合物に由来する酸化ケイ素系化合物が堆積すると、導電不良を招来することがある。
また、特に、ハードディスク装置に粘着シートを貼着した場合、この粘着剤層や粘着シートの表面に移行したシリコーン化合物が徐々に気化する。その後、シリコーン化合物やシリコーン化合物に由来する酸化ケイ素系化合物が磁気ヘッドやディスク表面等に堆積する。その結果、微小なシリコーン化合物や酸化ケイ素系化合物の堆積物が、ハードディスクの読み込みや書き込みに悪影響を及ぼす可能性がある。
このような問題を解決すべく、シリコーン化合物を含まない非シリコーン系剥離剤の開発が試みられている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、この非シリコーン系剥離剤で構成された剥離シートは、低速で剥離シートを剥がす場合と比較して、高速で剥離シートを剥がす場合には、重剥離化する傾向があった。
このような重剥離化を防止するために、一定範囲の分子量、ムーニー粘度等を備えたポリブタジエン化合物を用いて剥離剤層を構成する試みが行われている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、特許文献3の剥離シートでは、剥離シートから粘着シートを高速で剥離する際に、剥離力が断続的に変化する現象、いわゆる、ジッピング現象を抑制することが困難であった。ジッピング現象が発生すると、粘着剤面にバーコード状の剥離痕が残ることによって、粘着シートの外観上の問題や本来の粘着物性が得られなくなる等の問題が生じる。また、ラベリング装置等によって、粘着シートを電気部品に自動貼りする際にエラーが発生して、作業性が悪くなるという問題も生じる。
特開平6−336574号公報 特開2004−162048号公報 特許第5043025号
本発明の目的は、電気部品等に悪影響を与えることを十分に抑制し、剥離力の剥離速度依存性が小さく、ジッピング現象の発生を抑制することができる剥離シートおよび粘着体を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(12)の本発明により達成される。
(1) 基材と、該基材上に設けられた剥離剤層と、を有する剥離シートであって、
前記剥離剤層が、ジエン系高分子を50質量%以上含む剥離剤組成物の硬化物で構成され、
JIS K6300に準拠して100℃において測定される、前記ジエン系高分子のムーニー粘度(ML1+4(100℃))が、25〜70であり、
前記剥離剤層上に粘着シートを積層した時、前記粘着シートを前記剥離剤層から剥離する剥離力試験(10m/min)における前記粘着シートの剥離開始から剥離終了までの剥離力変化のグラフから、前記粘着シートの剥離力の平均値(Fa)、極大剥離力の平均値(Fp)、極小剥離力の平均値(Fa)を求め、前記剥離力の平均値と、前記極大剥離力の平均値と、前記極小剥離力の平均値と、下記式(1)とに従って算出した剥離力変化率が10%以下であることを特徴とする剥離シート。
剥離力変化率(%)=[(Fp−Fb)/2Fa]×100 … (1)
(2) 前記剥離剤層に含まれる、X線光電子分光法(XPS)により測定されるシリコーン化合物の量が0.5原子%以下である上記(1)に記載の剥離シート。
(3) 前記ジエン系高分子は、単量体としてシス1,4−ブタジエンを含む上記(1)または(2)に記載の剥離シート。
(4) 前記ジエン系高分子中における前記単量体としての前記シス1,4−ブタジエンの含有量は、90モル%以上である上記(3)に記載の剥離シート。
(5) 前記ジエン系高分子の質量平均分子量は、10万〜60万である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の剥離シート。
(6) 前記剥離剤層の平均厚さは、0.01〜1.0μmである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の剥離シート。
(7) 前記基材と前記剥離剤層との間に、アンダーコート層を有する上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の剥離シート。
(8) 前記アンダーコート層は、ポリウレタン系樹脂を含む材料で構成されている上記(7)に記載の剥離シート。
(9) 前記剥離剤組成物の前記硬化物は、前記剥離剤組成物にエネルギー線照射することにより形成される上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の剥離シート。
(10) 前記基材は、紙、紙に熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙、プラスチックフィルム、およびこれらを含む積層シートからなる群から選択される1種である上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の剥離シート。
(11) 上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の前記剥離シートと、粘着剤層を備えた粘着シートと、を有することを特徴とする粘着体。
(12) 前記粘着剤層は、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤からなる群から選択される少なくとも1種で構成されている上記(11)に記載の粘着体。
本発明によれば、リレー、各種スイッチ、コネクタ、モータ、ハードディスク等の電気部品に悪影響を与えることを十分に抑制することができ、剥離力の剥離速度依存性が小さく、ジッピング現象の発生を抑制することが可能な剥離シートおよび粘着体を提供することができる。
図1は、本発明の粘着体の好適な実施形態を示す縦断面図である。 図2は、本発明の剥離シートの好適な実施形態を示す縦断面図である。 図3は、本発明の剥離シートの他の好適な実施形態を示す縦断面図である。 図4は、(a)は剥離力試験において、ジッピング現象が生じない場合の時間と剥離力との関係を示すグラフであり、(b)は、剥離力試験において、ジッピング現象が生じた場合の時間と剥離力との関係を示すグラフである。 図5は、(a)はヤング率の測定において、実施例1で用いた試料のフォースカーブを示すグラフであり、(b)は実施例1で用いた試料のヤング率Eの算出を行う際に用いた、応力(F)と試料変形量(δ)の関係を示すグラフである。
以下、本発明を好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<粘着体>
図1は、本発明の粘着体の好適な実施形態を示す縦断面図、図2は、本発明の剥離シートの好適な実施形態を示す縦断面図、図4(a)は、剥離力試験において、ジッピング現象が生じない場合の時間と剥離力との関係を示すグラフであり、図4(b)は、剥離力試験において、ジッピング現象が生じた場合の時間と剥離力との関係を示すグラフ、図5(a)は、ヤング率の測定において、実施例1で用いた試料のフォースカーブを示すグラフであり、図5(b)は実施例1で用いた試料のヤング率Eの算出を行う際に用いた、応力(F)と試料変形量(δ)の関係を示すグラフである。なお、以下の説明では、図中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言う。
図1に示すように、粘着体100(本発明の粘着体)は、後述する材料で構成された剥離剤層11と基材(剥離シート基材)12とを備えた剥離シート1に、粘着剤層21と粘着シート基材22とを備えた粘着シート2が、貼着された構成となっている。かかる粘着体100では、剥離剤層11に粘着剤層21が接している。
粘着体100では、粘着シート2が剥離シート1から剥離可能となっている。
以下、各シートについて詳細に説明する。
[剥離シート]
剥離シート1は、図2に示すように、基材12上に剥離剤層11が形成されるように構成されている。
基材12は、剥離剤層11を支持する機能を有している。
基材12は、紙、紙に熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙、プラスチックフィルム、およびこれらを含む積層シートからなる群から選択される1種であることが好ましい。これにより、剥離剤層11をより確実に支持することができる。
基材12の平均厚さは、特に限定されないが、5〜300μmであることが好ましく、10〜200μmであることがより好ましい。
基材12上に剥離剤層11を設けることにより、粘着シート2を剥離シート1から剥離することが可能となる。
剥離剤層11は、剥離剤組成物の硬化物で構成され、剥離剤組成物を硬化させることにより形成される。
本発明の剥離シート1は、剥離剤組成物がジエン系高分子を50質量%以上含み、JIS K6300に準拠して100℃において測定される、ジエン系高分子のムーニー粘度(ML1+4(100℃))が、25〜70であり、剥離剤層11上に積層した粘着シート2を剥離剤層11から剥離する剥離力試験(10m/min)における粘着シート2の剥離開始から剥離終了までの剥離力変化のグラフから、粘着シート2の剥離力の平均値(Fa)、極大剥離力の平均値(Fp)、極小剥離力の平均値(Fa)を求め、これらの平均値と下記式(1)に従って算出した剥離力変化率が10%以下である点に特徴を有している。
剥離力変化率(%)=[(Fp−Fb)/2Fa]×100 … (1)
このような特徴を有することにより、剥離シート1から粘着剤層21にシリコーン化合物が移行することが防止される。その結果、粘着シート2を被着体に貼着した後、粘着シート2からシリコーン化合物が放出されることが防止される。したがって、被着体がリレー等の電子機器等であっても、粘着シート2は、かかる被着体に悪影響を与えにくい。
また、上記のような特徴を有することにより、低速で剥離シート1から粘着シート2を剥がす際の剥離力と、高速で剥離シート1から粘着シート2を剥がす際の剥離力との差を小さくできる。すなわち、剥離力の剥離速度依存性を小さくすることができる。
また、上記のような特徴を有することにより、剥離シート1から粘着シート2を高速で剥離する際に、剥離力が断続的に変化する現象、いわゆる、ジッピング現象を効果的に抑制することができる。
なお、剥離力の平均値(Fa)は、下記のようにして求めた値である。
図4(a)は、剥離力試験において、ジッピング現象が生じない場合の時間と剥離力との関係を示すグラフであり、この場合、Faは全測定点の平均値aで示される。一方、図4(b)は、剥離力試験において、ジッピング現象が生じた場合の時間と剥離力との関係を示すグラフである。この場合、各測定点Pにおける極大剥離力P1、P2、P3、・・・・・・Pnの平均値Fpを求めると共に、各測定点Bにおける極小剥離力B1、B2、B3、・・・・・・・Bnの平均値Fbを求める。その後、Fa=(Fp+Fb)/2の式より平均値(Fa)を求める。
また、剥離力試験(10m/min)は、以下の通り行われる。
1.剥離シート1の剥離剤層11の表面に、厚さ25μmの粘着剤層21を形成する。
2.粘着剤層21の表面に、ポリエチレンテレフタレート樹脂基材(PETフィルム)(厚み50μm)を貼り合わせて、1週間シーズニングを行った。その後、粘着剤層21の剥離剤層11に対する剥離力を、JIS Z0237に準拠して測定する。測定は、23℃、50%RHの雰囲気下で、引張試験機を用いて、180°方向に10m/minの速度で150mmの粘着シート2を剥離シート1から剥離させることにより行われる。
なお、本発明では、ジエン系高分子(硬化前)のムーニー粘度(ML1+4(100℃))は25〜70であるが、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))は、27〜43であることが好ましく、29〜34であることがより好ましい。これにより、剥離力の剥離速度依存性をより小さくすることができる。
また、剥離剤層11は、実質的にシリコーン化合物を含まない材料で構成されていることが好ましい。これにより、粘着体100では、剥離シート1から粘着剤層21にシリコーン化合物等が移行することがより確実に防止される。その結果、粘着シート2を被着体に貼着した後、粘着シート2からシリコーン化合物等が放出されることがより確実に防止される。したがって、被着体がリレー等の電子機器等であっても、粘着シート2は、かかる被着体に悪影響を特に与えにくい。
なお、実質的にシリコーン化合物を含まないとは、X線光電子分光法(XPS)により測定されるシリコーン化合物の量が、好ましくは、0.5原子%以下、より好ましくは、0.1原子%以下のことをいう。X線光電子分光法(XPS)の測定条件および測定値の算出は、下記の方法で行われる。
測定装置:アルバックファイ社製 Quantera SXM
X線:AlKα(1486.6eV)
取出し角度:45°
測定元素:ケイ素(Si)及び炭素(C)
シリコーン化合物の量は、Si/(Si+C)の価に100を乗じて算出し、「原子%」で表示する。
剥離剤層11の形成に用いるジエン系高分子としては、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム等が挙げられる。これらの中でも、特に、ポリブタジエンゴム(特に1,4−ポリブタジエンゴム)を用いることが好ましい。これにより、リレー、各種スイッチ、コネクタ、モータ等の電気部品に悪影響を与えにくく、かつ、剥離力の剥離速度依存性がより小さい剥離シート1を提供することができる。
また、ジエン系高分子は、単量体としてシス1,4−ブタジエンを含むことが好ましい。これにより、ムーニー粘度をより好適にすることができる。その結果、剥離力の剥離速度依存性をより小さくすることができる。また、比(TCp/ML1+4(100℃))をより好適にすることができる。その結果、ジッピング現象の発生をより効果的に抑制することができる。さらに、シス体の1,4−ブタジエンを含有することで、その分子構造において同じ側にある置換基の立体障害によって、1,4−ブタジエンは、その分子鎖が折れ曲がった構造をとって、不規則な分子構造を取りやすい。また、1,4−ブタジエンの分子鎖と分子鎖の間に多くの隙間を生じ、分子間力が比較的小さくなる為、分子同士の結晶化が起こらない。したがって、剥離剤層11は軟らかな性質を持つようになる。これにより、ジッピングを抑制することができる。
また、ジエン系高分子中の単量体としてのシス1,4−ブタジエンの含有量は、90モル%以上であることが好ましく、90〜99モル%であることがより好ましい。これにより、ムーニー粘度を容易に好適にすることができる。その結果、剥離力の剥離速度依存性をより小さくすることができる。また、後述する比(TCp/ML1+4(100℃))をさらに好適にすることができる。その結果、前述と同様の理由によりジッピング現象の発生をさらに効果的に抑制することができる。
また、ジエン系高分子の質量平均分子量は、10万〜60万であることが好ましく、30万〜55万であることがより好ましい。これにより、ムーニー粘度を容易に好適にすることができる。その結果、剥離力の剥離速度依存性をより小さくすることができる。また、比(TCp/ML1+4(100℃))をより好適にすることができる。その結果、ジッピング現象の発生をより効果的に抑制することができる。
また、ジエン系高分子のムーニー粘度(ML1+4(100℃))とジエン系高分子のトルエン溶液の粘度(TCp)との比(TCp/ML1+4(100℃))が2.2以下であることが好ましく、2.0以下であることがより好ましく、1.0〜1.8であることがさらに好ましい。これにより、本発明の効果をより顕著にすることができる。
また、ジエン系高分子のトルエン溶液の粘度(TCp)は、25〜100であることが好ましく、30〜90であることがより好ましい。これにより、剥離力の剥離速度依存性をより小さくすることができるとともに、ジッピング現象の発生をさらに抑制することができる。
ここで、ジエン系高分子のトルエン溶液の粘度(TCp)は、ジエン系高分子2.28gをトルエン50mlに溶解した後、標準液として粘度計校正用標準液(JIS Z8809)と、キャノンフェンスケ粘度計 No.400とを使用して、25℃で当該トルエン溶液を測定して得られる粘度のことを指す。
剥離剤層11の平均厚さは、特に限定されないが、0.01〜1.0μmであることが好ましく、0.03〜0.8μmであることがより好ましく、0.05〜0.5μmであることがさらに好ましい。剥離剤層11の平均厚さが前記下限値未満であると、剥離シート1から粘着シート2を剥がす際に、十分な剥離性能が得られない場合がある。一方、剥離剤層11の平均厚さが前記上限値を超えると、剥離シート1をロール状に巻き取ったときの剥離剤層11が、剥離シート背面とブロッキングし易くなり、剥離剤層11の剥離性能がブロッキングにより、低下する場合がある。
なお、前述したような未硬化の剥離剤の硬化方法としては、特に限定されず、例えば、紫外線等の活性エネルギー線の照射、加熱等の方法を用いることができる。
また、剥離剤層11は、他の樹脂成分や、可塑剤、安定剤、架橋剤、増感剤、ラジカル開始剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
また、原子間力顕微鏡を用いたフォースカーブ測定法により測定される剥離剤層11の表面のヤング率は、0.5〜2.3MPaであることが好ましく、0.7〜2.25MPaであることがより好ましい。これにより、本発明の効果をより顕著にすることができる。
ヤング率の測定は、50μmの基材12(PET基材)上に1μmの剥離剤層11を形成した試験片を作製し、原子間力顕微鏡(AFM)を用いたフォースカーブ測定法により行われる。
より具体的には、ヤング率は、原子間力顕微鏡として、例えば、Bruker AXS製MultiMode 8 AFMを用い、カンチレバーとして、TEAM NANOTEC製LRCH 250[ばね定数(公称値0.2N/m、熱揺らぎ法による実測値0.24N/m)、探針先端半径300nm]を用い、周波数4Hz、トリガーフォース1.2nNの条件にて測定される。
フォースカーブ測定法では、カンチレバーを剥離剤層11へ押し込んだ際および引き離した際のカンチレバーの反り量とピエゾスキャナの変位量との関係を得ることができる。
そして、得られたフォースカーブを荷重(F)と試料変形量(δ)との関係に変換して、F−δ曲線を得る。
このF−δ曲線をJohnson−Kendall−Roberts(JKR)2点法により解析する。
JKR2点法では、カンチレバーの引き離し過程において得られる均衡点(A点)と凝着点(B点)との2点から、以下の式により試料のヤング率Eを求めることができる。A,Bの座標をそれぞれA(δ、0)およびB(δ、F)と定義すると、ヤング率Eは下記式(2)で表すことができる。
Figure 2016068197
ここでνは試料のポアソン比、Rはカンチレバー探針先端の曲率半径(300nm)である。なお、νの値として高分子材料で一般的な0.5を用いる。
また、後述する各実施例および各比較例においては、5μm四方の各試料(剥離シート1)の剥離剤層11の面内における32×32点(計1024点)でフォースカーブ(図5(a))の測定を行い、F−δ曲線(図5(b))の算出およびヤング率Eの算出を行った。これにより、剥離剤層11の表面のヤング率の平均値EAVEを求めた。
また、本発明の粘着体100では、図3に示すように、剥離剤層11と基材12との間にアンダーコート層13を設けてもよい。アンダーコート層13を設けることにより、剥離剤層11と基材12との密着性を向上させることができる。
アンダーコート層13を構成する材料としては、例えば、ポリウレタンエラストマーや変性ポリウレタンエラストマー等のポリウレタン系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル等のアクリル系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、スチレンブタジエンゴム等のスチレン系樹脂、ブチルゴム、ポリイソブチレンゴム、ポリイソプレンゴム等のゴム系樹脂、天然ゴム等の天然樹脂等が挙げられる。これらの中でも、剥離剤溶液に使用する有機溶媒に対しての耐溶剤性および優れたゴム弾性を有することから、特にポリウレタン系樹脂を用いることが好ましい。
アンダーコート層13の平均厚さは、特に限定されないが、0.01〜3μmであることが好ましく、0.05〜1μmであることがより好ましい。アンダーコート層13の平均厚さが前記下限値以上とすることで、剥離剤層11と基材12の密着性を向上させることができる。また、アンダーコート層13の平均厚さを前記上限値以下とすることで、ブロッキングを抑制することができる。
[粘着シート]
以下、粘着シートについて説明する。
粘着シート2は、図1に示すように、粘着シート基材22表面に粘着剤層21が形成された構成となっている。
粘着シート基材22は、粘着剤層21を支持する機能を有している。また、粘着シート基材22は、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、アルミニウム、ステンレス等の金属箔、合成紙、上質紙、アート紙、コート紙、グラシン紙、無塵紙等の紙等の単体もしくは複合物で構成されている。
その中でも、特に、粘着シート基材22は、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム等のプラスチックフィルムまたは発塵の少ないいわゆる無塵紙(例えば特公平6−11959号)で構成されていることが好ましい。粘着シート基材22がプラスチックフィルムまたは無塵紙で構成されることにより、粘着シート基材22の加工時、使用時等において、塵などが発生しにくく、リレー等の電子機器等に悪影響を及ぼしにくい。また、粘着シート基材22がプラスチックフィルムまたは無塵紙で構成されると、粘着シート基材22の加工時における粘着シート基材22の裁断または打ち抜き等が容易となる。また、基材にプラスチックフィルムを用いる場合、かかるプラスチックフィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることがより好ましい。ポリエチレンテレフタレートフィルムは、塵の発生が少なく、また、加熱時のガスの発生が少ないという利点を有している。
粘着シート基材22の平均厚さは、特に限定されないが、5〜300μmであることが好ましく、10〜200μmであることがより好ましい。
粘着シート基材22の表面(粘着剤層21が積層する面と反対側の面)に印刷や印字が施されていてもよい。また、印刷や印字の密着をよくする等の目的で、粘着シート基材22の表面に、表面処理が施されていてもよい。また、粘着シート2は、ラベルとして機能してもよい。
粘着剤層21は、粘着剤を主剤とした粘着剤組成物で構成されている。
粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤が挙げられる。
例えば、粘着剤がアクリル系粘着剤である場合、アクリル系粘着剤は、粘着性を与える主モノマー成分、接着性や凝集力を与えるコモノマー成分、架橋点や接着性改良のための官能基含有モノマー成分を主とする重合体または共重合体から構成されることができる。
主モノマー成分としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
コモノマー成分としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル等が挙げられる。
官能基含有モノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有モノマーや、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシル基含有モノマー、(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの各成分を含むことにより、粘着剤組成物の粘着力、凝集力が向上する。また、このようなアクリル系粘着剤は、通常、分子中に不飽和結合を有しないため、光や酸素に対する安定性の向上を図ることができる。さらに、モノマーの種類や分子量を適宜選択することにより、用途に応じた品質、特性を備える粘着剤組成物を得ることができる。
このような粘着剤組成物は、架橋処理が施された架橋型粘着剤組成物および架橋処理が施されない非架橋型粘着剤組成物のいずれを用いてもよいが、架橋型粘着剤組成物を用いることがより好ましい。架橋型粘着剤組成物を用いる場合、凝集力のより優れた粘着剤層21を形成することができる。
架橋型粘着剤組成物に用いられる架橋剤としては、エポキシ系化合物、イソシアナート化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩、アミン化合物、ヒドラジン化合物、アルデヒド化合物等が挙げられる。
また、本発明に用いられる粘着剤組成物中には、必要に応じて、可塑剤、粘着付与剤、安定剤等の各種添加剤が含まれていてもよい。
粘着剤層21の平均厚さは、特に限定されないが、5〜200μmであることが好ましく、10〜100μmであることがより好ましい。
<粘着体の製造方法>
次に、粘着体100の製造方法の一例について説明する。
まず、粘着体100を構成する剥離シート1の製造方法の一例について説明する。
剥離シート1は、基材12を用意し、この基材12上に上述した剥離剤組成物を塗工等した後に硬化させて剥離剤層11を形成することにより、作製することができる。
剥離剤組成物の硬化は、エネルギー線照射により行うことが好ましい。これにより、剥離剤層11をより容易に形成することができる。
エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線、ガンマ線等を挙げることができる。
剥離剤を基材12上に塗工する方法としては、例えば、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ダイコート法等の既存の方法を使用できる。
次に、粘着体100を構成する粘着シート2の製造方法の一例について説明する。
粘着シート2は、粘着シート基材22を用意し、この粘着シート基材22上に粘着剤組成物を塗工して粘着剤層21を形成することにより、作製することができる。
粘着剤組成物を粘着シート基材22上に塗工する方法としては、例えば、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ダイコート法等の既存の方法を使用できる。
この場合の粘着剤組成物の形態としては、溶剤型、エマルション型、ホットメルト型等が挙げられる。
その後、粘着剤層21が剥離剤層11に接するように、剥離シート1と粘着シート2を貼り合わせることにより、粘着体100を得ることができる。
なお、剥離シート1の剥離剤層11上に、粘着剤層21を形成し、次いで、粘着剤層上に粘着シート基材22を接合することにより粘着体100を製造してもよい。
以上、本発明の剥離シートおよび粘着体の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されない。例えば、粘着体は、粘着シート基材の両面に粘着剤層が形成され、さらに、これら両粘着剤層の表面に、それぞれ剥離シートが形成された構成であってもよい。
また、前述した実施形態では、剥離シートが、剥離剤層と基材とで構成された場合を説明した。しかし、本発明の剥離シートは、樹脂フィルムのように剥離剤層が基材としての機能を兼ね備えた場合であってもよい。
また、前述した実施形態では、粘着体が、剥離シートと粘着シートを貼着させて形成された構成を説明した。しかし、本発明の粘着体は、基材の一方の面側に剥離剤層が形成されていて、他方の面側に粘着剤層が形成された構成であってもよい。
また、本発明の剥離シートおよび粘着体の用途は、前述したようなリレー、各種スイッチ、コネクタ、モータ、ハードディスク等の電気部品に限定されない。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.剥離シートの作製
(実施例1)
(アンダーコート層の作製)
厚み50μmのPETフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム製、商品名:PET50−T100)上に、ポリエステルポリオール(大日本インキ化学工業製、商品名:クリスボン5150S、固形分50質量%)100質量部と、イソシアネート化合物(大日本インキ化学工業製、商品名:クリスボンNX)5質量部とをメチルエチルケトン溶媒にて固形分濃度1質量%に希釈した溶液を、乾燥後の膜厚が約0.1μmとなるように塗布した。これにより、塗膜を形成した。
その後、形成した塗膜を100℃で1分間乾燥させて、ポリウレタン系樹脂で構成されたアンダーコート層を形成した。
(剥離剤層の作製)
ポリブタジエン(宇部興産製、商品名:UBEPOL−BR150、質量平均分子量:54万)100質量部にヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:イルガノックスHP2251)1質量部を添加し、トルエン溶媒にて固形分濃度1.0質量%に希釈した。これにより、剥離剤組成物を得た。
得られた剥離剤組成物を、上記アンダーコート層上に塗布し、100℃で60秒間乾燥させた。これにより、塗工層を得た。
次いで、無電極ランプであるフュージョンHバルブ240w/cmが1灯付いたベルトコンベヤー式紫外線照射装置により、コンベヤー速度40m/minの条件(紫外線照射条件:100mJ/cm)にて、塗工層に紫外線照射を行い、塗工層を硬化させた。これにより、膜厚が0.1μmの剥離剤層を有する剥離シートを得た。
なお、本実施例のポリブタジエン中における、単量体としてのシス1,4−ブタジエンの含有量は、98モル%であった。単量体の含有率は、赤外線吸収スペクトル法(ATR法)により測定した。
(実施例2)
ポリブタジエンとして、宇部興産製のUBEPOL−BR150B(質量平均分子量:50万)を用いた以外は、実施例1と同様にして剥離シートを作製した。なお、本実施例のポリブタジエン中における、単量体としてのシス1,4−ブタジエンの含有量は、97モル%であった。
(実施例3)
ポリブタジエンとして、宇部興産製のUBEPOL−BR130B(質量平均分子量:43万)を用いた以外は、実施例1と同様にして剥離シートを作製した。なお、本実施例のポリブタジエン中における、単量体としてのシス1,4−ブタジエンの含有量は、96モル%であった。
(比較例1)
ポリブタジエンとして、以下のようにして得られたポリブタジエンを用いた以外は、前記実施例1と同様にして剥離シートを作製した。
液体アンモニウムで冷却する環流冷却器を頭頂に備えた20Lオートクレーブに1,3−ブタジエン5.4Kgを充填した。
一方、水分を除去したトルエン250mLに、ナフテン酸ニッケル:1.2mmol、三フッ化ホウ素エーテラート:7.3mmol、n−ブチルリチウム:6.6mmolを順に溶解し、トルエン溶液を用意した。
このトルエン溶液をオートクレーブに投入し、重合反応を開始した。
反応開始時の温度は30℃とした。
30分後、イソプロピルアルコール50mLをオートクレーブに添加し、反応を停止した。反応停止時の温度は、50℃であった。
次に、オートクレーブの内圧を大気圧に下げ、生成物から残留モノマーをフラッシングで除去した。その後、生成物を乾燥することにより、ポリブタジエンを得た。
ポリブタジエンのムーニー粘度(ML1+4(100℃))は、44であった。また、ポリブタジエンの質量平均分子量は、36万であった。また、ポリブタジエン中の、単量体としてのシス1,4−ブタジエンの含有率は、96.0%であった。
(比較例2)
ポリブタジエンとして、宇部興産製のUBEPOL−BR150L(質量平均分子量:52万)を用いた以外は、実施例1と同様にして剥離シートを作製した。なお、本実施例のポリブタジエン中における、単量体としてのシス1,4−ブタジエンの含有量は、98モル%であった。
(比較例3)
ポリブタジエンとして、宇部興産製のUBEPOL−BR230(質量平均分子量:63万)を用いた以外は、実施例1と同様にして剥離シートを作製した。なお、本実施例のポリブタジエン中における、単量体としてのシス1,4−ブタジエンの含有量は、98モル%であった。
なお、各実施例および各比較例の剥離シートの剥離剤層は、実質的にシリコーン化合物を含まなかった。
2.粘着体の作成
各実施例および各比較例で得られた剥離シートの剥離剤層上に、粘着剤(東洋インキ製、商品名「BPS−5127」)をアプリケーターを用いて塗工した。これにより、塗膜を形成した。
次に、形成した塗膜を100℃で60秒間加熱して乾燥させ、厚さ25μmの粘着剤層を形成した。これに粘着シート基材としての厚さ50μmのPETフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム製、商品名:PET50−T100)を貼り合わせ粘着体とした。
3.評価
[剥離力試験]
各実施例および各比較例の剥離シートを備えた各粘着体の剥離力を測定した。なお、剥離力の測定は、23℃50%RHの環境で1日放置後の粘着体について行った。
剥離力の測定は、23℃50%RHの環境下で、巾50mm、長さ200mmに裁断された粘着体を用いて行われた。引っ張り試験機を用いて、粘着体の剥離シートを固定し、粘着シートを所定の剥離速度で180°方向に引っ張ることにより、粘着体の剥離力を測定した。なお、測定は、剥離速度0.3m/min、10m/min、30m/minで行い、それぞれについての剥離力を求めた。
[ジッピング評価]
各実施例および各比較例の剥離シートを備える粘着体において、粘着シートを剥離シートから剥離した後の、粘着剤層の表面状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。なお、評価は、剥離速度10m/minで行った。
○:剥離層と接していた粘着剤層の表面に変形がなく、表面状態は平滑であった。
×:剥離層と接していた粘着剤層の表面に変形が起こり、目視にてスジ等が確認された。
これらの結果を、上記各実施例および各比較例のジエン系高分子のムーニー粘度ML1+4(100℃)、トルエン溶液粘度(TCp)、比(TCp/ML1+4(100℃))、フォースカーブ測定法により測定されるヤング率とともに表1に示した。
Figure 2016068197
表1から明らかなように、本発明の剥離シートは、剥離力の剥離速度依存性が小さかった。また、本発明の剥離シートは、ジッピング現象の発生が抑制された。これに対して、各比較例の剥離シートは、満足な結果が得られなかった。また、本発明の剥離シート(粘着体)は、シリコーン化合物を含まないので、リレー等の電気部品へ悪影響を与えにくかった。
本発明の剥離シートは、基材と、該基材上に設けられた剥離剤層と、を有する。剥離剤層は、ジエン系高分子を50質量%以上含む剥離剤組成物の硬化物で構成されている。JIS K6300に準拠して100℃において測定される、ジエン系高分子のムーニー粘度(ML1+4(100℃))が、25〜70であり、剥離剤層上に積層した粘着シートを剥離剤層から剥離する剥離力試験(10m/min)における粘着シートの剥離開始から剥離終了までの剥離力変化のグラフから、粘着シートの剥離力の平均値(Fa)、極大剥離力の平均値(Fp)、極小剥離力の平均値(Fa)を求めて算出した剥離力変化率が10%以下である。これにより、電気部品等に悪影響を与えるのを十分に抑制し、剥離力の剥離速度依存性が小さく、ジッピング現象の発生を抑制することができる剥離シートおよび粘着体を提供することができる。したがって、本発明は、産業上の利用可能性を有する。
100 粘着体
1 剥離シート
11 剥離剤層
12 基材
13 アンダーコート層
2 粘着シート
21 粘着剤層
22 粘着シート基材

Claims (12)

  1. 基材と、該基材上に設けられた剥離剤層と、を有する剥離シートであって、
    前記剥離剤層が、ジエン系高分子を50質量%以上含む剥離剤組成物の硬化物で構成され、
    JIS K6300に準拠して100℃において測定される、前記ジエン系高分子のムーニー粘度(ML1+4(100℃))が、25〜70であり、
    前記剥離剤層上に粘着シートを積層した時、前記粘着シートを前記剥離剤層から剥離する剥離力試験(10m/min)における前記粘着シートの剥離開始から剥離終了までの剥離力変化のグラフから、前記粘着シートの剥離力の平均値(Fa)、極大剥離力の平均値(Fp)、極小剥離力の平均値(Fa)を求め、前記剥離力の平均値と、前記極大剥離力の平均値と、前記極小剥離力の平均値と、下記式(1)とに従って算出した剥離力変化率が10%以下であることを特徴とする剥離シート。
    剥離力変化率(%)=[(Fp−Fb)/2Fa]×100 … (1)
  2. 前記剥離剤層に含まれる、X線光電子分光法(XPS)により測定されるシリコーン化合物の量が0.5原子%以下である請求項1に記載の剥離シート。
  3. 前記ジエン系高分子は、単量体としてシス1,4−ブタジエンを含む請求項1または2に記載の剥離シート。
  4. 前記ジエン系高分子中における前記単量体としての前記シス1,4−ブタジエンの含有量は、90モル%以上である請求項3に記載の剥離シート。
  5. 前記ジエン系高分子の質量平均分子量は、10万〜60万である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の剥離シート。
  6. 前記剥離剤層の平均厚さは、0.01〜1.0μmである請求項1ないし5のいずれか1項に記載の剥離シート。
  7. 前記基材と前記剥離剤層との間に、アンダーコート層を有する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の剥離シート。
  8. 前記アンダーコート層は、ポリウレタン系樹脂を含む材料で構成されている請求項7に記載の剥離シート。
  9. 前記剥離剤組成物の前記硬化物は、前記剥離剤組成物にエネルギー線照射することにより形成される請求項1ないし8のいずれか1項に記載の剥離シート。
  10. 前記基材は、紙、紙に熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙、プラスチックフィルム、およびこれらを含む積層シートからなる群から選択される1種である請求項1ないし9のいずれか1項に記載の剥離シート。
  11. 請求項1ないし10のいずれか1項に記載の前記剥離シートと、粘着剤層を備えた粘着シートと、を有することを特徴とする粘着体。
  12. 前記粘着剤層は、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤からなる群から選択される少なくとも1種で構成されている請求項11に記載の粘着体。
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