以下に説明する実施形態の主要な特徴を列記する。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものである。
(特徴1)フィーダの記憶部は、識別情報を記憶していることを示すフラグを記憶可能であってもよい。
(特徴2)フィーダの記憶部は、フラグを記憶している場合は、装置本体を特定するための新たな識別情報を記憶不能であり、フラグを記憶していない場合は、装置本体を特定するための新たな識別情報を記憶可能であってもよい。
(特徴3)フィーダの制御部は、記憶部に記憶された装置本体を特定するための識別情報により特定されない装置本体にフィーダが取り付けられた場合は、外部にエラー情報を送信してもよい。
以下、実施形態について添付図面を参照して説明する。実施形態に係る部品実装システム1は、部品を基板に実装するためのシステムである。部品は、例えば半導体チップなどの電子部品であり、複数の部品が基板に実装されることにより回路基板が製造される。図1に示すように、統括管理装置40と、複数のライン管理装置30(30a,30bおよび30c)とを備えている。また、部品実装システム1は、複数の部品実装ライン3(3a,3bおよび3c)を備えている。各部品実装ライン3(3a,3bまたは3c)は、それぞれ、ライン管理装置30(30a,30bまたは30c)と、複数の実装装置10(10a,10bおよび10c)とを備えている。各部品実装ライン3(3a,3bまたは3c)は、印刷装置91およびリフロー装置92を備えていてもよい。また、部品実装システム1は、複数のフィーダ20を備えている。本実施形態では、実装装置10が装置本体の一例である。
統括管理装置40、各ライン管理装置30、および、各実装装置10は、それぞれ固有の識別情報を有している。図1において各構成の固有の識別番号の一例を示している。識別情報により、統括管理装置40、各ライン管理装置30、および、各実装装置10をそれぞれ特定することができる。識別情報としては、例えば、単数の数字またはアルファベット、あるいは、複数の数字とアルファベットを組み合わせた文字列を用いることができる。例えば、本実施形態では、統括管理装置40は、固有の識別情報「A」を有している。また、例えば、統括管理装置40が管理するライン管理装置30aは、固有の識別情報「A−B1」を有している。また、例えば、ライン管理装置30aが管理する実装装置10bは、識別情報「A−B1−C2」を有している。すなわち、部品実装ライン3aにおける実装装置10bは、識別情報「A−B1−C2」を有している。
ライン管理装置30の識別情報は、ライン管理装置30を管理する統括管理装置40の識別情報を含んでいる。例えば、本実施形態では、統括管理装置40が管理するライン管理装置30aの識別情報「A−B1」は、統括管理装置40の識別情報「A」を含んでいる。したがって、ライン管理装置30の識別情報により、ライン管理装置30を管理する統括管理装置40を特定することができる。
実装装置10の識別情報は、実装装置10を管理するライン管理装置30の識別情報、および、ライン管理装置30を管理する統括管理装置40の識別情報を含んでいる。例えば、本実施形態では、ライン管理装置30aが管理する実装装置10bの識別情報「A−B1−C1」は、ライン管理装置30aの識別情報「A−B1」、および、このライン管理装置30aを管理する統括管理装置40の識別情報「A」を含んでいる。したがって、実装装置10の識別情報により、実装装置10を管理するライン管理装置30、および、ライン管理装置30を管理する統括管理装置40を特定することができる。
図2に示すように、統括管理装置40は、制御部401、記憶部402、通信部403および入力部404を備えている。統括管理装置40としては、情報処理を行うPCを用いることができる。
統括管理装置40の制御部401は、複数のライン管理装置30(30a,30bおよび30c)の情報を統括的に管理する。制御部401は、記憶部402に記憶されている情報、通信部403により通信される情報、入力部404から入力される情報等に基づいて複数のライン管理装置30(30a,30bおよび30c)を制御する。制御部401は、例えば、公知のCPUを備えており、CPUにより情報処理を行う。
統括管理装置40の記憶部402は、各種の情報を記憶する。記憶部402は、例えば、複数のライン管理装置30(30a,30bおよび30c)を管理するためのプログラムを記憶している。記憶部402は、例えば、公知のRAMおよびROMを備えており、RAMおよびROMにより情報を記憶する。記憶部402は、統括管理装置40の固有の識別情報を記憶している。
統括管理装置40の通信部403は、各種の情報通信を行う。通信部403は、複数のライン管理装置30(30a,30bおよび30c)との間で情報通信を行う。通信部403は、例えば、公知のケーブル、コネクタ、アンテナを備えており、これらにより情報を送受信する。情報通信は、有線通信あるいは無線通信のいずれであってもよい。
統括管理装置40の入力部404は、各種の情報入力を行う。入力部404は、例えば、公知のタッチパネルを備えており、タッチパネルから情報を入力可能に構成されている。入力部404は、識別情報を実装装置10からフィーダ20に送信するための指令情報を入力できる。入力部404は、フィーダ20に対する識別情報の登録が完了したことを示す完了情報を入力できる。
ライン管理装置30は、制御部301、記憶部302、通信部303および入力部304を備えている。ライン管理装置30としては、情報処理を行うPCを用いることができる。
ライン管理装置30の制御部301は、複数の実装装置10(10a,10bおよび10c)の情報、印刷装置91の情報、および、リフロー装置92の情報を統括的に管理する。制御部301は、記憶部302に記憶されている情報、通信部303により通信される情報、入力部304から入力される情報等に基づいて、複数の実装装置10(10a,10bおよび10c)、印刷装置91、および、リフロー装置92を制御する。制御部301は、例えば、公知のCPUを備えており、CPUにより情報処理を行う。
ライン管理装置30の記憶部302は、各種の情報を記憶する。記憶部302は、例えば、複数の実装装置10(10a,10bおよび10c)、印刷装置91、およびリフロー装置92を管理するためのプログラムを記憶している。記憶部302は、例えば、公知のRAMおよびROMを備えており、RAMおよびROMにより情報を記憶する。記憶部302は、ライン管理装置30の固有の識別情報を記憶している。
ライン管理装置30の通信部303は、各種の情報通信を行う。通信部303は、統括管理装置40との間で情報通信を行う。また、通信部303は、複数の実装装置10(10a,10bおよび10c)、印刷装置91、およびリフロー装置92との間で情報通信を行う。通信部303は、例えば、公知のケーブル、コネクタ、アンテナを備えており、これらにより情報を送受信する。情報通信は、有線通信あるいは無線通信のいずれであってもよい。
ライン管理装置30の入力部304は、各種の情報入力を行う。入力部304は、例えば、公知のタッチパネルを備えており、タッチパネルから情報を入力可能に構成されている。
次に、実装装置10の一例について説明する。実装装置10は、図3および図4に示すように、コンベア11およびヘッド12を備えている。コンベア11は、実装装置10の内部に配置されている。コンベア11は、部品70を実装するための基板50を搬送および支持する。コンベア11は、複数の基板50を順次搬送し、基板50に部品70が実装されるときに、この基板50を支持する。
ヘッド12は、実装装置10の内部に配置されている。ヘッド12は、基板50に実装するための部品70を保持する。また、ヘッド12は、保持した部品70を基板50に実装する。ヘッド12は、図3のx−y方向に移動可能に構成されている。また、ヘッド12は、部品70を保持するためのノズル13を備えている。ノズル13は、図3のz方向に移動可能に構成されている。ヘッド12は、ノズル13をz方向に移動させて部品70をフィーダ20からピックアップし、その部品70を保持した状態でx−y方向に移動して基板50まで搬送し、基板50に部品70を実装する。すなわち、ヘッド12は、フィーダ20から供給された部品70をピックアップして基板50に部品70を実装する。このようにして、実装装置10により部品70が基板50に実装される。
複数の実装装置10(10a,10bおよび10c)は、フィーダ20に対して、同一の取り付け構造を備えている。よって、フィーダ20は、複数の実装装置10(10a,10bおよび10c)の中の任意の実装装置10に取り付け可能である。実装装置10に取り付けられたフィーダ20から実装装置10に部品70が供給される。
また、図2に示すように、実装装置10は、制御部101、記憶部102、通信部103および入力部104を備えている。
実装装置10の制御部101は、実装装置10の作動を制御する。制御部101は、記憶部102に記憶されている情報、通信部103により通信される情報、入力部104から入力される情報等に基づいて実装装置10を制御する。制御部101は、例えば、公知のCPUを備えており、CPUにより情報処理を行う。
実装装置10の記憶部102は、各種の情報を記憶する。記憶部102は、例えば、実装装置10の作動を制御するためのプログラムを記憶している。記憶部102は、例えば、公知のRAMおよびROMを備えており、RAMおよびROMにより情報を記憶する。記憶部102は、実装装置10の固有の識別情報を記憶している。
実装装置10の通信部103は、各種の情報通信を行う。通信部103は、ライン管理装置30との間で情報通信を行う。また、通信部103は、フィーダ20との間で情報通信を行う。通信部103は、例えば、公知のケーブル、コネクタ、アンテナを備えており、これらにより情報を送受信する。情報通信は、有線通信あるいは無線通信のいずれであってもよい。
実装装置10の入力部104は、各種の情報入力を行う。入力部104は、例えば、公知のタッチパネルを備えており、タッチパネルから情報を入力可能に構成されている。
次に、フィーダ20の一例について説明する。図3および図4に示すように、フィーダ20は、実装装置10に取り付けられる。各フィーダ20は、実装装置10に着脱可能に構成されている。各フィーダ20は、実装装置10に取り付けられた状態で、実装装置10に部品70を供給する。
図5に示すように、フィーダ20は、リール21、スプロケット22およびテープ23を備えている。
リール21は、フィーダ20の後部に配置されている。リール21は、テープ23を巻き回した状態で保持している。リール21は、回転可能に支持されており、回転によりテープ23を前方へ送り出す。
スプロケット22は、フィーダ20の前部に配置されている。スプロケット22は、回転可能に支持されており、モータ(図示省略)の駆動により回転する。リール21とスプロケット22には、テープ23が架け渡されている。スプロケット22は、回転によりテープ23を前方へ送り出す。
テープ23は、リール21とスプロケット22の間に架け渡されている。図6に示すように、テープ23は、複数の部品70を保持している。複数の部品70は、テープ23の長さ方向に沿って間隔をあけて並んで配置されている。部品70は、テープ23に着脱可能に固定されている。テープ23は、リール21の回転により、所定のスピードで前方へ送り出される。テープ23が前方へ進行することにより、複数の部品70が所定の間隔で前方へ送り出される。前方へ送り出された部品70は、実装装置10のヘッド12によりピックアップされる。
フィーダ20は、複数の実装装置10(10a,10bおよび10c)に取り付け可能である。ユーザーが複数の実装装置10(10a,10bおよび10c)の中から任意の実装装置10を選択し、選択した実装装置10(10a,10bまたは10c)にフィーダ20を取り付けることができる。すなわち、フィーダ20は、部品実装システム1の中の任意の実装装置10に取り付け可能である。
また、図2に示すように、フィーダ20は、制御部201、記憶部202および通信部203を備えている。
フィーダ20の制御部201は、フィーダ20の作動を制御する。制御部201は、記憶部202に記憶されている情報、通信部203により通信される情報等に基づいてフィーダ20を制御する。制御部201は、例えば、公知のCPUを備えており、CPUにより情報処理を行う。制御部201による制御については、後に詳細に説明する。
フィーダ20の記憶部202は、各種の情報を記憶する。記憶部202は、例えば、フィーダ20の作動を制御するためのプログラムを記憶している。記憶部202は、例えば、公知のRAMおよびROMを備えており、RAMおよびROMにより情報を記憶する。
記憶部202は、統括管理装置40の識別情報、ライン管理装置30の識別情報、および、実装装置10の識別情報を記憶可能である。本実施形態では、ライン管理装置30aが管理する実装装置10a(部品実装ライン3aの実装装置10a)の識別情報「A−B1−C1」を記憶部202が記憶する場合について説明する。記憶部202に記憶される識別情報は、ユーザーにより決定される。
また、記憶部202は、記憶部202の記憶状態を示すフラグ「1」または「0」を記憶可能である。フラグには、記憶部202が識別情報を記憶している状態を示すフラグ「1」と、記憶部202が識別情報を記憶していない状態を示すフラグ「0」が存在する。記憶部202は、フラグ「1」またはフラグ「0」のいずれか一方を記憶可能である。記憶部202は、フラグ「1」を記憶している場合は、新たな識別情報を記憶不能である。すなわち、記憶部202は、識別情報を既に記憶しており、フラグ「1」が設定されている場合は、新たな識別情報を上書き登録できない。一方、記憶部202は、フラグ「1」を記憶していない場合は、新たな識別情報を記憶可能である。すなわち、記憶部202は、識別情報を未だ記憶しておらず、フラグ「1」が設定されていない場合は、新たな識別情報を書き込むことができる。あるいは、記憶部202は、フラグ「0」を記憶している場合は、新たな識別情報を記憶可能である。すなわち、記憶部202は、識別情報を未だ記憶しておらず、フラグ「0」が設定されている場合は、新たな識別情報を書き込むことができる。フィーダ20の初期状態では、記憶部202はフラグ「1」を記憶していない。あるいは、フィーダ20の初期状態では、記憶部202はフラグ「0」を記憶していてもよい。よって、初期状態では、記憶部202に新たな識別情報を登録できる。記憶部202におけるフラグは、ユーザーにより設定される。
フィーダ20の通信部203は、各種の情報通信を行う。通信部203は、実装装置10との間で情報通信を行う。通信部203は、例えば、公知のケーブル、コネクタ、アンテナを備えており、これらにより情報を送受信する。情報通信は、有線通信あるいは無線通信のいずれであってもよい。
次に、上記の構成を備える部品実装システムの作動について説明する。上記の構成を備える部品実装システム1では、まず、ユーザーが、事前の設定を行う。事前の設定では、ユーザーが、複数のフィーダ20の中から1つのフィーダ20を選択する。また、ユーザーが、複数の実装装置10の中から1つの実装装置10を選択する。また、ユーザーが、選択したフィーダ20を選択した実装装置10に取り付ける。本実施形態では、ユーザーが、ライン管理装置30aが管理する実装装置10bを選択したと仮定して説明する。すなわち、ユーザーが、「A−B1−C2」の識別情報を有する実装装置10を選択したと仮定して説明する。
また、ユーザーが選択したフィーダ20の記憶部202に未だ識別情報が記憶されておらず、フラグ「1」が設定されていない場合(あるいはフラグ「0」が設定されている場合、)は、新たな識別情報を記憶部202に記憶できる。一方、ユーザーが選択したフィーダ20の記憶部202に既に識別情報が記憶されており、フラグ「1」が設定されている場合は、新たな識別情報を記憶部202に記憶できない。
次に、ユーザーが、選択した実装装置10の固有の識別情報を、選択したフィーダ20の記憶部202に登録する。具体的には、まず、ユーザーが、統括管理装置40の入力部404から登録指令情報を入力する。例えば、ユーザーが、タッチパネルに表示された登録指令情報のアイコンをタッチすることにより登録指令情報を入力できる。
登録指令情報が入力されると、統括管理装置40の制御部401が、入力された登録指令情報を、通信部403から送信する。登録指令情報は、統括管理装置40の通信部403から、ライン管理装置30の通信部303を介して、実装装置10の通信部103に送信される。本実施形態では、登録指令情報は、ライン管理装置30aが管理する実装装置10b(「A−B1−C2」の識別情報を有する実装装置10b)に送信される。
登録指令情報が実装装置10に送信されると、実装装置10の制御部101が、送信された登録指令情報を通信部103から受信する。また、実装装置10の制御部101は、登録指令情報による指令に基づいて、記憶部102に記憶されている識別情報を、通信部103から送信する。本実施形態では、ライン管理装置30aが管理する実装装置10bの制御部101が、記憶部102に記憶されている識別情報「A−B1−C2」を送信する。実装装置10(ライン管理装置30aが管理する実装装置10b)の識別情報「A−B1−C2」は、実装装置10の通信部103から、フィーダ20の通信部203に送信される。
識別情報がフィーダ20に送信されると、フィーダ20の制御部201が、送信された識別情報を通信部203から受信する。また、制御部201は、フィーダ20の記憶部202にフラグ「1」が設定されているか否かを確認する。記憶部202がフラグ「1」を記憶していない場合(あるいは、記憶部202がフラグ「0」を記憶している場合)は、新たな識別情報が記憶部202に登録され得る。一方、記憶部202がフラグ「1」を記憶している場合は、新たな識別情報が記憶部202に登録され得ない。本実施形態では、フィーダ20の記憶部202がフラグ「1」を記憶していないと仮定して説明する。よって、記憶部202は、新たな識別情報を記憶できる。
フィーダ20の制御部201は、通信部203から受信した識別情報を記憶部202に登録する。これにより、ユーザーが選択した実装装置10(ライン管理装置30aが管理する実装装置10b)の識別情報「A−B1−C2」がフィーダ20の記憶部202に記憶される。
識別情報がフィーダ20の記憶部202に登録された後に、ユーザーは、記憶部202の記憶状態を示すフラグを設定するために、登録完了情報を統括管理装置40の入力部404から入力する。例えば、タッチパネルに表示された登録完了情報のアイコンをユーザーがタッチすることにより登録完了情報を入力できる。
登録完了情報が入力されると、統括管理装置40の制御部401が、入力された登録完了情報を、通信部403から送信する。登録完了情報は、統括管理装置40の通信部403から、ライン管理装置30の通信部303および実装装置10の通信部103を介して、フィーダ20の通信部203に送信される。
登録完了情報がフィーダ20に送信されると、フィーダ20の制御部201が、送信された登録完了情報を通信部203から受信する。また、フィーダ20の制御部201は、登録完了情報に基づいて、記憶部202が識別情報を記憶していること示すフラグ「1」を設定する。記憶部202は、フラグ「1」を記憶する。これにより、記憶部202が識別情報を記憶していることを特定できる。記憶部202は、識別情報を記憶していること示すフラグ「1」を記憶していると、新たな識別情報を記憶することができない。よって、制御部201は、記憶部202にフラグ「1」を設定すると、それ以後、新たな識別情報を記憶部202に上書き登録できない。
部品実装システム1では、上記の事前設定を行った後に、フィーダ20による部品供給を行う。具体的には、まず、ユーザーが複数のフィーダ20の中から使用する1つのフィーダ20を選択する。また、ユーザーが複数の実装装置10の中から使用する1つの実装装置10を選択する。そして、ユーザーが選択したフィーダ20を選択した実装装置10に取り付ける。フィーダ20の制御部201は、フィーダ20が取り付けられた実装装置10に応じて、フィーダ20の作動を制御する。より詳細には、フィーダ20の制御部201は、実装装置10に応じて、部品供給を可能な状態にする、あるいは、部品供給を不能な状態にする。以下に更に詳細に説明する。
以下の説明では、複数の実装装置10を、特定実装装置と、非特定実装装置に分類して説明する場合がある。特定実装装置は、ある固有の識別情報を有する実装装置10である。非特定実装装置は、特定実装装置が有する固有の識別情報と異なる固有の識別情報を有する実装装置10である。具体的には、本実施形態では、「A−B1−C2」の識別情報を有する実装装置10を特定実装装置とし、「A−B1−C2」の識別情報と異なる識別情報を有する実装装置10を非特定実装装置として説明する場合がある。すなわち、ライン管理装置30aが管理する実装装置10bを特定実装装置とし、ライン管理装置30aが管理する実装装置10bと異なる実装装置10を非特定実装装置として説明する場合がある。また、特定実装装置に符号10xを付して説明する場合がある。
また、以下の説明では、複数のフィーダ20を、特定フィーダと、非特定フィーダに分類して説明する場合がある。特定フィーダは、ある固有の識別情報を記憶部202に記憶したフィーダ20である。非特定フィーダは、特定フィーダが記憶した識別情報と異なる固有の識別情報を記憶部202に記憶したフィーダ20である。具体的には、本実施形態では、「A−B1−C2」の識別情報を記憶部202に記憶したフィーダ20を特定フィーダとし、「A−B1−C2」の識別情報と異なる識別情報を記憶部202に記憶したフィーダ20を非特定フィーダとして説明する場合がある。また、特定フィーダに符号20xを付して説明する場合がある。
複数のフィーダ20と複数の実装装置10の対応を図7に模式的に示す。図7では、特定フィーダ20xおよび特定実装装置10xに斜線を付して示している。まず、特定フィーダ20xが特定実装装置10xに取り付けられる場合について説明する。すなわち、ユーザーが複数のフィーダ20の中から選択したフィーダ20が特定フィーダ20xであり、複数の実装装置10の中から選択した実装装置10が特定実装装置10xである場合について説明する。
ユーザーが、選択した特定フィーダ20xを特定実装装置10xに取り付けると、特定フィーダ20xと特定実装装置10xは、通信部103、203を介して通信可能な状態になる。また、特定フィーダ20xの制御部201は、記憶部202にフラグ「1」が設定されていることを認識する。そして、特定実装装置10xの記憶部102に記憶されている識別情報「A−B1−C2」が、特定実装装置10xの通信部103から特定フィーダ20xへ送信される。識別情報「A−B1−C2」が特定実装装置10xの通信部103から送信されると、特定フィーダ20xの制御部201が特定フィーダ20xの通信部203からその識別情報「A−B1−C2」を受信する。また、特定フィーダ20xの制御部201は、受信した識別情報「A−B1−C2」と、特定フィーダ20xの記憶部202に記憶されている識別情報「A−B1−C2」を対比する。今回の場合は、特定実装装置10xから受信した識別情報「A−B1−C2」と特定フィーダ20xの記憶部202に記憶されている識別情報「A−B1−C2」は一致している。その結果、特定フィーダ20xの制御部201は、特定フィーダ20xが特定実装装置10xに取り付けられたことを認識する。すなわち、制御部201は、フィーダ20が取り付けられた実装装置10が、フィーダ20の記憶部202に記憶されている識別情報により特定される実装装置10であることを認識する。
特定フィーダ20xが特定実装装置10xに取り付けられた場合、特定フィーダ20xの制御部201は、特定フィーダ20xによる部品供給を可能な状態にする。例えば、特定フィーダ20xのスプロケット22を回転駆動するモータ(図示省略)へ通電する。これにより、特定フィーダ20xが作動し、特定フィーダ20xから特定実装装置10xに部品70を供給することができる。特定フィーダ20xが部品供給可能な状態になると、特定実装装置10xは、特定フィーダ20xから供給された部品70を基板50に実装することができる。
次に、特定フィーダ20xが非特定実装装置10に取り付けられる場合について説明する。すなわち、ユーザーが複数のフィーダ20の中から選択したフィーダ20が特定フィーダ20xであり、複数の実装装置10の中から選択した実装装置10が非特定実装装置10である場合について説明する。
本実施形態では、特定フィーダ20xが、ライン管理装置30bが管理する実装装置10cに取り付けられると仮定して説明する。ライン管理装置30bが管理する実装装置10cは、非特定実装装置であり、識別情報「A−B2−C3」を有している。非特定実装装置10(ライン管理装置30bが管理する実装装置10c)の記憶部102は、識別情報「A−B2−C3」を記憶している。非特定実装装置10が有する識別情報「A−B2−C3」は、特定フィーダ20xの記憶部202が記憶している識別情報「A−B1−C2」と異なっている。
ユーザーが、選択した特定フィーダ20xを非特定実装装置10に取り付けると、特定フィーダ20xと非特定実装装置10は、通信部103、203を介して通信可能な状態になる。また、特定フィーダ20xの制御部201は、記憶部202にフラグ「1」が設定されていることを認識する。そして、非特定実装装置10の記憶部102に記憶されている識別情報「A−B2−C3」が、非特定実装装置10の通信部103から特定フィーダ20xへ送信される。識別情報「A−B2−C3」が非特定実装装置10の通信部103から送信されると、特定フィーダ20xの制御部201が特定フィーダ20xの通信部203からその識別情報「A−B2−C3」を受信する。また、特定フィーダ20xの制御部201は、受信した識別情報「A−B2−C3」と、特定フィーダ20xの記憶部202に記憶されている識別情報「A−B1−C2」を対比する。今回の場合は、非特定実装装置10から受信した識別情報「A−B2−C3」と特定フィーダ20xの記憶部202に記憶されている識別情報「A−B1−C2」が一致していない。その結果、特定フィーダ20xの制御部201は、特定フィーダ20xが非特定実装装置10に取り付けられたことを認識する。すなわち、制御部201は、フィーダ20が取り付けられた実装装置10が、フィーダ20の記憶部202に記憶されている識別情報により特定されない実装装置10であることを認識する。
特定フィーダ20xが非特定実装装置10に取り付けられた場合、特定フィーダ20xの制御部201は、特定フィーダ20xによる部品供給を不能な状態にする。例えば、特定フィーダ20xのスプロケット22を回転駆動するモータ(図示省略)への通電を遮断する。あるいは、特定フィーダ20xのリール21の回転を阻害する。これにより、特定フィーダ20xが作動しなくなり、特定フィーダ20xから非特定実装装置10に部品70を供給できない。特定フィーダ20xが部品供給不能な状態になると、非特定実装装置10は、特定フィーダ20xから部品70が供給されないので、部品70を基板50に実装することができない。
次に、非特定フィーダ20が特定実装装置10xに取り付けられる場合について説明する。すなわち、ユーザーが複数のフィーダ20の中から選択したフィーダ20が非特定フィーダ20であり、複数の実装装置10の中から選択した実装装置10が特定実装装置10xである場合について説明する。
本実施形態では、特定実装装置10xの記憶部102は、識別情報「A−B1−C2」を記憶している。一方、非特定フィーダ20の記憶部202は、特定実装装置10xを特定するための識別情報「A−B1−C2」と異なる識別情報を記憶している。
この場合は、上記の特定フィーダ20xが非特定実装装置10に取り付けられた場合と同様に、実装装置10の識別情報とフィーダ20の識別情報が一致しない。その結果、フィーダ20の制御部201は、フィーダ20が取り付けられた実装装置10が、フィーダ20の記憶部202に記憶されている識別情報により特定されない実装装置10であることを認識する。
非特定フィーダ20が特定実装装置10xに取り付けられた場合、非特定フィーダ20の制御部201は、非特定フィーダ20による部品供給を不能な状態にする。非特定フィーダ20が部品供給不能な状態になると、特定実装装置10xは、非特定フィーダ20から部品70が供給されないので、部品70を基板50に実装することができない。
次に、非特定フィーダ20が非特定実装装置10に取り付けられる場合について説明する。すなわち、ユーザーが複数のフィーダ20の中から選択したフィーダ20が非特定フィーダ20であり、複数の実装装置10の中から選択した実装装置10が非特定実装装置10である場合について説明する。
この場合は、非特定フィーダ20の記憶部202に記憶された識別情報と、非特定実装装置10の記憶部102に記憶された識別情報の関係による。両者の識別情報が一致する場合は、フィーダ20の制御部201は、フィーダ20が取り付けられた実装装置10が、フィーダ20の記憶部202に記憶されている識別情報により特定される実装装置10であることを認識する。そして、制御部201は、フィーダ20による部品供給を可能な状態にする。一方、両者の識別情報が一致しない場合は、フィーダ20の制御部201は、フィーダ20が取り付けられた実装装置10が、フィーダ20の記憶部202に記憶されている識別情報により特定されない実装装置10であることを認識する。そして、制御部201は、フィーダ20による部品供給を不能な状態にする。
なお、フィーダ20の記憶部202が識別情報を記憶していない場合は、フィーダ20は、いずれの実装装置10にも部品70を供給できる。すなわち、フィーダ20の記憶部202にフラグ「1」が設定されていない場合(あるいは、フラグ「0」が設定されている場合)は、フィーダ20は、制限無く複数の実装装置10に部品70を供給できる。
以上のように、特定フィーダと特定実装装置は対応しており、特定フィーダは、特定実装装置に取り付けられた場合には、部品供給が可能な状態になる。一方、特定フィーダと非特定実装装置は対応しておらず、特定フィーダは、非特定実装装置に取り付けられた場合には、部品供給が不能な状態になる。
上述の説明から明らかなように、上記の部品実装システム1では、フィーダ20は、複数の実装装置10に取り付け可能であり、取り付けられた実装装置10に応じてフィーダ20の作動を制御する制御部201と、実装装置10を特定するための識別情報を記憶可能な記憶部202とを備えている。また、フィーダ20の制御部201は、複数の実装装置10のうち、記憶部202に記憶された実装装置10を特定するための識別情報により特定される実装装置10にフィーダ20が取り付けられた場合は、フィーダ20による部品供給を可能な状態にする。記憶部202に記憶された実装装置10を特定するための識別情報により特定されない実装装置10にフィーダ20が取り付けられた場合は、フィーダ20による部品供給を不能な状態にする。
これにより、識別情報を記憶部202に記憶したフィーダ20(特定フィーダ20x)が、その識別情報により特定される実装装置10(特定実装装置10x)に取り付けられた場合は、特定フィーダ20xから特定実装装置10xに部品70が供給される。よって、この場合は、基板50に部品70を実装することができる。一方、識別情報を記憶部202に記憶したフィーダ20(特定フィーダ20x)が、その識別情報により特定されない実装装置10(非特定実装装置)に取り付けられた場合は、特定フィーダ20xから非特定実装装置に部品70が供給されない。よって、この場合は、基板50に部品70を実装することができない。このように、部品供給の可否を実装装置10側ではなくフィーダ20側で制御するので、特定フィーダ20xが非特定実装装置10に取り付けられたとしても、特定実装装置10xとは関係なく部品供給を制御できる。この結果、特定フィーダ20xが非特定実装装置10で使用されることを防ぐことができる。例えば、仮に自社が所有する特定フィーダ20xが何者かに盗まれ、盗まれた自社所有の特定フィーダ20xが他社所有の部品実装システム1の実装装置10に取り付けられたとしても、他社所有の実装装置10が非特定実装装置であれば、自社所有の特定フィーダ20xは作動しない。これにより、他社所有の非特定実装装置10で自社所有の特定フィーダ20xが使用されるのを防ぐことができる。この結果、フィーダ20を盗んで他の実装装置10で使用しようとしても、特定フィーダ20xと特定実装装置10xの関係が無ければフィーダ20を使用できないので、フィーダ20を盗んでも使用できない可能性が高くなる。これにより、フィーダ20が盗まれることを抑制できる。
また、フィーダ20の記憶部202は、識別情報を記憶していることを示すフラグ「1」を記憶可能である。そのため、記憶部202に識別情報が記憶されているか否かをフラグ「1」により判断することができる。また、フィーダ20の記憶部202は、フラグ「1」を記憶している場合は、実装装置10を特定するための新たな識別情報を記憶不能であり、フラグ「1」を記憶していない場合は、実装装置10を特定するための新たな識別情報を記憶可能である。そのため、フィーダ20の記憶部202にフラグ「1」を設定しておくことにより、記憶部202に記憶された識別情報の上書き登録を防ぐことができる。その結果、フィーダ20が盗まれたとしても、記憶部202に登録された識別情報が変わらないので、特定フィーダ20xが他社所有の非特定実装装置10で使用されることを防ぐことができる。
以上、一実施形態について説明したが、具体的な態様は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、特定フィーダ20xの記憶部202が1つの識別情報(上記実施形態では「A−B1−C2」)を記憶していたが、記憶部202が記憶する識別情報の数は特に限定されるものではない。他の実施形態では、特定フィーダ20xの記憶部202が複数の識別情報を記憶していてもよい。例えば、ライン管理装置30aが管理する実装装置10bおよび実装装置10cに関する識別情報「A−B1−C2」および「A−B1−C3」が特定フィーダ20xの記憶部202に登録されてもよい。この場合、ライン管理装置30aが管理する実装装置10bおよび実装装置10cが、特定実装装置10xとなる。特定フィーダ20xが特定実装装置10x(ライン管理装置30aが管理する実装装置10bまたは実装装置10c)に取り付けられた場合は、特定フィーダ20xによる部品供給が可能な状態になる。
また、上記実施形態では、実装装置10が装置本体の一例であるとして説明したが、装置本体の具体例は、実装装置10に限定されるものではない。例えば、装置本体の他の例は、部品実装ライン3であってもよい。図1に示すように、各部品実装ライン3(3a,3bまたは3c)は、それぞれ、ライン管理装置30(30a,30bまたは30c)と、複数の実装装置10(10a,10bおよび10c)とを備えている。部品実装ライン3が装置本体の一例である場合は、フィーダ20の記憶部202は、部品実装ライン3におけるライン管理装置30の識別情報を記憶する。例えば、特定フィーダ20xの記憶部202が、部品実装ライン3aのライン管理装置30aの識別情報「A−B1」を記憶する。そうすると、特定フィーダ20xは、ライン管理装置30aが管理する複数の実装装置10(10a,10bおよび10c)のそれぞれ取り付けられた場合に、部品供給可能な状態になる。すなわち、特定フィーダ20xは、部品実装ライン3aにおいて「A−B1−C1」の識別情報を有する実装装置10a、「A−B1−C2」の識別情報を有する実装装置10b、または、「A−B1−C3」の識別情報を有する実装装置10cに取り付けられた場合は、部品供給可能な状態になる。一方、特定フィーダ20xは、部品実装ライン3a以外の部品実装ライン3bおよび3cにおける実装装置10に取り付けられた場合は、部品供給不能な状態になる。
このように、装置本体の具体例は特に限定されるものではなく変更可能である。例えば、統括管理装置40を含む全体を装置本体としてもよい。
また、上記実施形態では、フィーダ20の記憶部202に識別情報を登録するときに、統括管理装置40の入力部404から登録指令情報を入力していたが、この構成に限定されるものではない。他の実施形態では、例えば、実装装置10の入力部104から登録指令情報を入力してもよい。あるいは、図示しない登録装置を用いて、フィーダ20の記憶部202に識別情報を登録してもよい。また、フィーダ20が実装装置10に取り付けられていない状態で、フィーダ20の記憶部202に識別情報を登録してもよい。また、フィーダ20が工場から出荷される前に、予め記憶部202に識別情報を登録してもよい。このように、フィーダ20の記憶部202に識別情報を登録する方法は特に限定されるものではない。
また、上記実施形態では、実装装置10およびフィーダ20の一例について説明したが、実装装置10およびフィーダ20の具体的構成はこれに限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、フィーダ20の一例としてテープ23に収容された部品70を供給するテープフィーダについて説明したが、これに限定されるものではない。フィーダ20の他の例としては、スティック内に収容された部品を供給するスティックフィーダ、あるいは、トレイ内に収容された部品を供給するトレイフィーダであってもよい。
また、他の実施形態では、非特定実装装置10に特定フィーダ20xが取り付けられた場合は、特定フィーダ20xの制御部201が、外部にエラー情報を送信してもよい。例えば、特定フィーダ20xの制御部201は、特定フィーダ20xが取り付けられた非特定実装装置10にエラー情報を送信してもよい。あるいは、無線通信により、特定実装装置10xにエラー情報を送信してもよい。エラー情報により、非特定実装装置10に特定フィーダ20xが取り付けられたことが通知される。あるいは、エラー情報により、特定フィーダ20xが盗まれたことが通知される。
また、実装装置10の記憶部102が識別情報を記憶する方式は特に限定されるものではない。記憶部102は、公開鍵暗号方式により暗号化された状態の識別情報を記憶していてもよい。公開鍵暗号方式は、公開鍵と秘密鍵の一対の鍵を用いて、暗号化と復号化を行う方法である。公開鍵により情報を暗号化し、秘密鍵により情報を復号化する。フィーダ20の記憶部202が秘密鍵を記憶している。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。