JPWO2016056562A1 - イリジウム錯体、有機エレクトロルミネッセンス材料、有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置 - Google Patents

イリジウム錯体、有機エレクトロルミネッセンス材料、有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置 Download PDF

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Abstract

本発明の課題は、発光効率及び耐久性を改善したイリジウム錯体、当該イリジウム錯体を用いる有機エレクトロルミネッセンス材料及び有機エレクトロルミネッセンス素子並びに当該有機エレクトロルミネッセンス素子が具備されている表示装置及び照明装置を提供することである。本発明のイリジウム錯体は、芳香族複素環を含む二座配位子を有するイリジウム錯体であって、前記二座配位子が、前記芳香族複素環と他の芳香族複素環又は芳香族環が単結合により結合されている配位子であり、かつ当該配位子内に水素結合を有することを特徴とする。

Description

本発明は、イリジウム錯体と、当該イリジウム錯体を用いる有機エレクトロルミネッセンス材料、有機エレクトロルミネッセンス素子、当該有機エレクトロルミネッセンス素子が具備されている表示装置及び照明装置に関する。より詳しくは、発光効率及び耐久性を改善させたイリジウム錯体等に関するものである。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう。)は、発光する化合物を含有する発光層を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、電界を印加することにより、陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子を発光層内で再結合させることで励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・リン光)を利用した発光素子である。また、有機EL素子は、電極と電極の間を厚さが僅かサブミクロン程度である有機材料の膜で構成する全固体素子であり、数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であることから、次世代の平面ディスプレイや照明への利用が期待されている。
実用化に向けた有機EL素子の開発としては、プリンストン大より、励起三重項からのリン光発光を用いる有機EL素子の報告がされ、以来、室温でリン光を示す材料の研究が活発になってきている。
更に、リン光発光を利用する有機EL素子は、以前の蛍光発光を利用する有機EL素子に比べ原理的に約4倍の発光効率が実現可能であることから、その材料開発を初めとして、発光素子の層構成や電極の研究開発が世界中で行われている。例えば、イリジウム錯体等の重金属錯体を中心に多くの化合物が合成検討なされている。
このように、リン光発光方式は大変ポテンシャルの高い方式であるが、リン光発光を利用する有機EL素子においては、蛍光発光を利用する有機EL素子とは大きく異なり、発光中心の位置をコントロールする方法、とりわけ発光層の内部で再結合を行い、いかに発光を安定に行わせることができるかが、素子の効率・寿命を向上させる上で重要な技術的課題となっている。
まずは、リン光発光性化合物の発光効率を高くすることが重要である。この発光効率は、発光を伴って遷移する輻射速度と、熱を伴って遷移する無輻射遷移の比によって、発光効率が決まる。この無輻射遷移とリン光発光性化合物の構造変化には、密接なつながりがあることが知られている。すなわち、大きな構造変化が起きると熱を伴って遷移してしまい、発光効率が低下してしまう(例えば、非特許文献1参照。)。
通常、リン光発光性化合物は、遷移金属と配位子から構成される。配位子として、例えば、芳香族複素環と芳香族環(又は芳香族複素環)を単結合でつないでいる化合物(以下、ビアリール型配位子ともいう。)を用いる場合が多く、無輻射遷移が増大する主原因はビアリール型配位子の構造変化であると考えられる。
具体的には、遷移金属と配位結合しているビアリール型配位子を構成する芳香族環及び芳香族複素環(又は二つの芳香族複素環)は、単結合で結合しているため、構造変化が生じ、無輻射遷移が増大する。
このビアリール型配位子の構造を固定化する手段として、一般的な手法は「立体障害を活用した剛直化」である(例えば、特許文献1参照。)。その他にも、ビアリール型配位子の二つの環構造をさらに共有結合でつないだ化合物も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
これらの化合物の発光性は良好であり、高いポテンシャルを有する青色リン光発光性化合物であることが報告されている。しかし、ビアリール型配位子の構造を固定化する手段として芳香族基を導入すると、ドーパント同士の会合や凝集を引き起こして、濃度消光やエキシマー発光を併発してしまうという問題がある。
このドーパント同士の会合・凝集は、成膜直後に起こることもあるが、通電経時の発光層薄膜に電解や局所的なジュール熱がかかった場合により顕著に発生する。
このように、通電経時にドーパント同士の会合・凝集が起きることで、発光層内の膜状態が変化することとなり、正孔の流れ易さや電子の流れ易さに変化が起こる。これによって、発光層内の抵抗値が変化し、駆動時の電圧上昇を引き起こしてしまう。
国際公開第2007/097149号 国際公開第2007/095118号
L.Yang,et.al.,Inorg.Chem.,47(2008)7154
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、発光効率及び耐久性を改善したイリジウム錯体、当該イリジウム錯体を用いる有機エレクトロルミネッセンス材料及び有機エレクトロルミネッセンス素子並びに当該有機エレクトロルミネッセンス素子が具備されている表示装置及び照明装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、イリジウム錯体の二座配位子が、配位子内に水素結合を有し、構造を固定化することにより、無輻射遷移を抑制することができ、発光効率及び耐久性の改善につながることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.芳香族複素環を含む二座配位子を有するイリジウム錯体であって、
前記二座配位子が、前記芳香族複素環と他の芳香族複素環又は芳香族環が単結合により結合されている配位子であり、かつ当該配位子内に水素結合を有することを特徴とするイリジウム錯体。
2.前記水素結合を形成する水素原子の解離エネルギーが、390kJ/mol以下であることを特徴とする第1項に記載のイリジウム錯体。
3.前記水素結合を形成する水素原子と水素結合している原子が、窒素原子、酸素原子、リン原子又はケイ素原子であることを特徴とする第1項又は第2項に記載のイリジウム錯体。
4.前記イリジウム錯体が、下記一般式(1)で表される部分構造を有することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載のイリジウム錯体。
Figure 2016056562
(一般式(1)中、A及びAは、それぞれ、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。Aは、芳香族複素環を表す。X、X、X1a及びX5aは、それぞれ、窒素原子又は炭素原子を表す。X〜Xは、それぞれ、窒素原子、炭素原子、酸素原子又は硫黄原子を表す。Xは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子又はケイ素原子を表す。Raは、水素原子、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、複素環基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。nは0又は1を表す。lは1〜3を表す。mは0〜2を表す。l+m=3である。)
5.前記イリジウム錯体におけるX〜Xで形成される環が、イミダゾール環又はトリアゾール環であることを特徴とする第3項に記載のイリジウム錯体。
6.前記イリジウム錯体におけるAが、ベンゼン環であることを特徴とする第4項又は第5項に記載のイリジウム錯体。
7.前記イリジウム錯体が、下記一般式(2)で表される部分構造を有することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載のイリジウム錯体。
Figure 2016056562
(一般式(2)中、Aは、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。Aは、X1a及びX5aを含む芳香族複素環を表す。Aは、Xを含む芳香族複素環を表す。X、X、X1a及びX5aは、それぞれ、窒素原子又は炭素原子を表す。X〜Xは、窒素原子、炭素原子、酸素原子又は硫黄原子を表す。Xは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子又はケイ素原子を表す。X及びXは、CRc、Nを表し、Rcは水素原子又は置換基を表す。nsは0又は1を表す。lは1〜3を表す。mは0〜2を表す。l+m=3である。)
8.前記イリジウム錯体が、下記一般式(3)で表される部分構造を有することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載のイリジウム錯体。
Figure 2016056562
(一般式(3)中、Aは、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。Aは、芳香族複素環を表す。X、X、X1a及びX5aは、それぞれ、窒素原子又は炭素原子を表す。X〜Xは、それぞれ、窒素原子、炭素原子、酸素原子又は硫黄原子を表す。Xは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子又はケイ素原子を表す。Raは、水素原子、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、複素環基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。Rは、電子吸引基を表す。nは0又は1を表す。lは1〜3を表す。mは0〜2を表す。l+m=3である。)
9.前記イリジウム錯体が、下記一般式(4)で表される部分構造を有することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載のイリジウム錯体。
Figure 2016056562
(一般式(4)中、Aは、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。Aは、芳香族複素環を表す。X、X、X1a及びX5aは、それぞれ、窒素原子又は炭素原子を表す。X〜Xは、それぞれ、窒素原子、炭素原子、酸素原子又は硫黄原子を表す。Xは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子又はケイ素原子を表す。Raは、水素原子、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、複素環基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。Rは、電子供与基を表す。nは0又は1を表す。lは1〜3を表す。mは0〜2を表す。l+m=3である。)
10.前記イリジウム錯体が、下記一般式(5)で表される部分構造を有することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載のイリジウム錯体。
Figure 2016056562
(一般式(5)中、Vは三価の連結基を表す。L、L及びLと共有結合で連結している。L〜Lは、各々下記一般式(6)で表される部分構造である。)
Figure 2016056562
(一般式(6)中、Xは、窒素原子又は炭素原子を表す。X〜Xは、それぞれ、窒素原子、炭素原子、酸素原子又は硫黄原子を表す。Xは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子又はケイ素原子を表す。Raは、水素原子、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、複素環基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。nは0又は1を表す。*は、Vとの結合部位を表す。)
11.第1項から第10項までのいずれか一項に記載のイリジウム錯体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス材料。
12.陽極と陰極の間に、少なくとも発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
当該発光層が、第11項に記載の有機エレクトロルミネッセンス材料を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
13.第12項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子が具備されていることを特徴とする表示装置。
14.第12項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子が具備されていることを特徴とする照明装置。
本発明によれば、発光効率及び耐久性を改善したイリジウム錯体、当該イリジウム錯体を用いる有機エレクトロルミネッセンス材料及び有機エレクトロルミネッセンス素子並びに当該有機エレクトロルミネッセンス素子が具備されている表示装置及び照明装置を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
イリジウム錯体に、一般的に用いられるビアリール型配位子に水素結合を導入し、ビアリール型配位子の構造を固定化することにより、イリジウム錯体(以下Ir錯体ともいう。)全体の構造変化を抑制することができ、発光層を構成する膜中での変動を小さくすることができ、ドーパント同士の会合・凝集を抑制することができた。これによって、無輻射遷移を低下させることができ、当該イリジウム錯体を用いた有機EL素子の発光性が向上し、駆動時の電圧上昇を抑制することができたものと推察される。
また、有機EL素子に使用されるイリジウム錯体の製造方法として、塩化イリジウムを用いて、配位子と反応させるのが一般的である。この反応では、副生成物として塩酸が生成する。したがって、配位子に、例えばイミダゾールを含む場合に、イミダゾールのN位にHが存在すると、塩酸塩を形成する等のHとClの間に電荷のやりとりが起こってしまう。よって、N位にメチル基等の何らかの置換基を導入しない限り、Ir錯体の合成は困難である。
そこで、N位にHが存在しても、配位子内に分子内水素結合を導入することで、反応副生成物である塩酸と電荷のやりとりをなくし、Ir錯体の製造ができることを見いだした。
有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図 表示部Aの模式図 画素の回路図 パッシブマトリクス方式フルカラー表示装置の模式図 照明装置の概略図 照明装置の模式図
本発明のイリジウム錯体は、芳香族複素環を含む二座配位子を有するイリジウム錯体であって、前記二座配位子が、前記芳香族複素環と他の芳香族複素環又は芳香族環が単結合により結合されている配位子であり、かつ当該配位子内に水素結合を有することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項14までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、前記水素結合を形成する水素原子の解離エネルギーが、390kJ/mol以下であることが、配位子の構造変化を抑制することができる水素結合であるため好ましい。
また、前記水素結合を形成する水素原子と水素結合している原子が、窒素原子、酸素原子、リン原子又はケイ素原子であることが強い水素結合を形成するため好ましい。
また、前記イリジウム錯体が、本発明の効果発現の観点から、前記一般式(1)で表される部分構造を有することが好ましい。
また、前記イリジウム錯体におけるX〜Xで形成される環が、イミダゾール環又はトリアゾール環であることが好ましい。これにより、輻射速度を速くすることができる。
また、前記イリジウム錯体におけるAが、ベンゼン環であることが好ましい。これにより、輻射速度を速くすることができる。
また、前記イリジウム錯体が、本発明の効果発現の観点から、前記一般式(2)で表される部分構造を有することが好ましい。
また、前記イリジウム錯体が、本発明の効果発現の観点から、前記一般式(3)で表される部分構造を有することが好ましい。
また、前記イリジウム錯体が、本発明の効果発現の観点から、前記一般式(4)で表される部分構造を有することが好ましい。
また、前記イリジウム錯体が、本発明の効果発現の観点から、前記一般式(5)で表される部分構造を有することが好ましい。
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス材料は、本発明のイリジウム錯体を含有することを特徴とする。これにより、発光効率及び耐久性を改善した有機EL材料を得ることができる。
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と陰極の間に、少なくとも発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、当該発光層が、本発明の有機エレクトロルミネッセンス材料を含有することを特徴とする。これにより、発光効率及び耐久性を改善した有機EL素子を得ることができる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、表示装置に好適に具備され得る。これにより、発光効率及び耐久性を改善することができる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、照明装置に好適に具備され得る。これにより、発光効率及び耐久性を改善することができる。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
本論に入る前に、イリジウム錯体の配位子に水素結合を導入するに至った経緯と合成上の問題について技術的思想の観点から述べる。
リン光発光性化合物(イリジウム錯体)の発光効率は、発光を伴って遷移する輻射遷移と、熱を伴って遷移する無輻射遷移の比によって、発光効率が決まっている。この無輻射遷移とリン光発光性化合物の構造変化には、密接なつながりがあることが知られており、大きな構造変化が起きると熱を伴って遷移し、発光効率が低下してしまう。
通常、リン光発光性化合物は、遷移金属と配位子から構成される。配位子として、例えば、芳香族複素環と芳香族環(又は芳香族複素環)を単結合でつないでいるビアリール型配位子を用いる場合が多く、無輻射遷移が増大する主原因はビアリール型配位子の構造変化であると考えられる。
なお、本発明において、「ビアリール型配位子」とは、二つの芳香族環を単結合でつないでいる化合物ではなく、芳香族環と芳香族複素環を単結合でつないだ化合物及び二つの芳香族複素環を単結合でつないだ化合物であり、これらの芳香族環及び/又は芳香族複素環はさらに置換基を有していてもよい。
具体的には、以下に示すように、遷移金属と配位結合しているビアリール型配位子を構成する芳香族環及び芳香族複素環(又は二つの芳香族複素環)は、単結合で結合しているため、構造変化が生じ、無輻射遷移が増大するものと考えられる。
Figure 2016056562
また、このビアリール型配位子の構造を固定化する手段が、濃度消光やエキシマー発光を生じさせるドーパント同士の会合や凝集をも抑制することができる手段であることが望まれる。
このドーパント同士の会合・凝集は、成膜直後に起こることもあるが、通電経時の発光層薄膜に電解や局所的なジュール熱がかかった場合に、より顕著に発生する。
このように、通電経時にドーパント同士の会合・凝集が起きることで、発光層内の膜状態が変化し、正孔の流れ易さや電子の流れ易さに変化が起こるため、発光層内の抵抗値が変化し、駆動時の電圧上昇を引き起こしてしまうことを抑制する必要がある。
また、有機EL素子に使用されるイリジウム錯体の製造方法は、塩化イリジウムを用いて、配位子と反応させるのが一般的である。この反応では、副生成物として塩酸が生成する。したがって、配位子に、例えばイミダゾール環を含む場合に、イミダゾールのN位にHが存在すると、塩酸塩を形成する等のHとClの間に電荷のやりとりが起こってしまう。よって、N位にメチル基等の何らかの置換基を導入しない限り、Ir錯体の合成は困難である。
そこで、N位にHが存在しても置換基を導入することなく合成する方法として、配位子内に分子内水素結合を導入することにより、反応副生成物である塩酸と電荷のやりとりをなくし、Ir錯体の製造ができることを見いだした。
《有機EL素子の構成層》
本発明の有機EL素子の構成層について説明する。本発明の有機EL素子において、陽極と陰極との間に挟持される各種有機層の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(i)陽極/発光層ユニット/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層ユニット/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
更に、発光層ユニットは複数の発光層の間に非発光性の中間層を有していてもよく、該中間層が電荷発生層であるようなマルチフォトンユニット構成であってもよい。この場合、電荷発生層としては、ITO(インジウム・スズ酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、ZnO、TiN、ZrN、HfN、TiOx、VOx、CuI、InN、GaN、CuAlO、CuGaO、SrCu、LaB、RuO等の導電性無機化合物層や、Au/Bi等の二層膜や、SnO/Ag/SnO、ZnO/Ag/ZnO、Bi/Au/Bi、TiO/TiN/TiO、TiO/ZrN/TiO等の多層膜、またC60等のフラーレン類、オリゴチオフェン等の導電性有機物層、金属フタロシアニン類、無金属フタロシアニン類、金属ポルフィリン類、無金属ポルフィリン類等の導電性有機化合物層等が挙げられる。
本発明の有機EL素子における発光層としては白色発光層であることが好ましく、これらを用いた照明装置であることが好ましい。
本発明の有機EL素子を構成する各層について以下説明する。
《発光層》
本発明に係る発光層は、電極又は電子輸送層及び正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
発光層の層厚の総和は特に制限はないが、膜の均質性や、発光時に不必要な高電圧を印加することを防止し、かつ、駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、好ましくは2nm〜5μmの範囲に調整され、更に好ましくは2〜200nmの範囲に調整され、特に好ましくは5〜100nmの範囲に調整される。
発光層の作製には、後述する発光ドーパントやホスト化合物を用いて、例えば、真空蒸着法、湿式法(ウェットプロセスともいい、例えば、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法(ラングミュア・ブロジェット(Langmuir Blodgett法))等を挙げることができる。)等により成膜して形成することができる。
本発明の有機EL素子の発光層には、発光ドーパント(リン光発光性ドーパントや蛍光発光性ドーパント等)化合物と、ホスト化合物とを含有することが好ましい。
(1)発光性ドーパント
発光性ドーパント(発光ドーパント、ドーパント化合物、単にドーパントともいう)について説明する。
発光性ドーパントとしては、蛍光発光性ドーパント(蛍光ドーパント、蛍光性化合物、蛍光発光性化合物ともいう。)、リン光発光性ドーパント(リン光ドーパント、リン光性化合物、リン光発光性化合物等ともいう。)を用いることができる。
(1.1)リン光ドーパント
リン光ドーパントは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に係るリン光ドーパントは、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
リン光ドーパントの発光は原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こって発光性ホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光ドーパントに移動させることでリン光ドーパントからの発光を得るというエネルギー移動型である。もう一つはリン光ドーパントがキャリアトラップとなり、リン光ドーパント上でキャリアの再結合が起こり、リン光ドーパントからの発光が得られるというキャリアトラップ型である。いずれの場合においても、リン光ドーパントの励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
ここで、本発明者らが上記本発明の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、上述のとおり、本発明のイリジウム錯体は、芳香族複素環を含む二座配位子を有し、当該二座配位子が、前記芳香族複素環と他の芳香族複素環又は芳香族環が単結合により結合されている配位子であり、かつ当該配位子内に水素結合を有することで、有機EL素子に用いた際に発光効率及び耐久性を向上させられることを明らかにした。
ここで、水素結合とは、電気陰性度が大きな原子に共有結合で結びついた水素原子が、所定の距離及び角度に位置する窒素原子、酸素原子又は硫黄原子の孤立電子対と形成する非共有結合性の引力的相互作用である。
また、本発明においては、水素結合を形成する水素原子と共有結合する原子をX、水素結合によって結合が形成される原子をYとして、X−H…Yと表すことができ、HとYの間の距離が1.4〜2.5Åの範囲内、X−H…Yのなす角が110〜125°の範囲内である場合に水素結合を形成しているとする。
また、本発明のイリジウム錯体の配位子内で形成される水素結合については、米国Gaussian社製の分子軌道計算用ソフトウェアであるGaussian98(Gaussian98、Revision A.11.4,M.J.Frisch,et al,Gaussian,Inc.,Pittsburgh PA,2002.)を用い、キーワードとしてB3LYP/6−31G*を用いて構造最適化を行い、当該構造最適化したイリジウム錯体について、距離及び角度に基づいて水素結合を判断した。
前記水素結合を形成する水素原子と水素結合している原子が、窒素原子、酸素原子、リン原子又はケイ素原子であることが強い水素結合を形成するため好ましい。
なお、本発明においては、イリジウム錯体の配位子内に水素結合を有することにより、構造変化を抑制することができるため、発光に関与する部位を固定化することができ、無輻射遷移を抑制することができる。
本発明のイリジウム錯体は、更に配位子間水素結合、分子間水素結合及びその他の相互作用を有していることも好ましい。
[一般式(1)で表されるイリジウム錯体]
また、本発明のイリジウム錯体は、下記一般式(1)で表される部分構造を有することが好ましい。
Figure 2016056562
一般式(1)中、A及びAは、それぞれ、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。Aは、芳香族複素環を表す。X、X、X1a及びX5aは、それぞれ、窒素原子又は炭素原子を表す。X〜Xは、それぞれ、窒素原子、炭素原子、酸素原子又は硫黄原子を表す。Xは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子又はケイ素原子を表す。Raは、水素原子、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、複素環基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。nは0又は1を表す。lは1〜3を表す。mは0〜2を表す。l+m=3である。
一般式(1)中、イリジウム錯体におけるX〜Xで形成される環が、イミダゾール環又はトリアゾール環であることが好ましい。
また、一般式(1)中、イリジウム錯体におけるAが、ベンゼン環であることが好ましい。
[一般式(2)で表されるイリジウム錯体]
また、本発明のイリジウム錯体は、下記一般式(2)で表される部分構造を有することが好ましい。
Figure 2016056562
一般式(2)中、Aは、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。Aは、X1a及びX5aを含む芳香族複素環を表す。Aは、Xを含む芳香族複素環を表す。X、X、X1a及びX5aは、それぞれ、窒素原子又は炭素原子を表す。X〜Xは、窒素原子、炭素原子、酸素原子又は硫黄原子を表す。Xは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子又はケイ素原子を表す。X及びXは、CRc、Nを表し、Rcは水素原子又は置換基を表す。nsは0又は1を表す。lは1〜3を表す。mは0〜2を表す。l+m=3である。
[一般式(3)で表されるイリジウム錯体]
また、本発明のイリジウム錯体は、下記一般式(3)で表される部分構造を有することが好ましい。
Figure 2016056562
一般式(3)中、Aは、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。Aは、芳香族複素環を表す。X、X、X1a及びX5aは、それぞれ、窒素原子又は炭素原子を表す。X〜Xは、それぞれ、窒素原子、炭素原子、酸素原子又は硫黄原子を表す。Xは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子又はケイ素原子を表す。Raは、水素原子、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、複素環基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。Rは、電子吸引基を表す。nは0又は1を表す。lは1〜3を表す。mは0〜2を表す。l+m=3である。
ここで、電子吸引基としては、以下の具体例で示すイリジウム錯体D−1〜D−38の構造式に含まれる電子吸引基に加え、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アシル基、アミド基、カルバモイル基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロアリールスルホニル基、シアノ基及びニトロ基等の基も好ましく用いられる。
[一般式(4)で表されるイリジウム錯体]
また、本発明のイリジウム錯体は、下記一般式(4)で表される部分構造を有することが好ましい。
Figure 2016056562
一般式(4)中、Aは、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。Aは、芳香族複素環を表す。X、X、X1a及びX5aは、それぞれ、窒素原子又は炭素原子を表す。X〜Xは、それぞれ、窒素原子、炭素原子、酸素原子又は硫黄原子を表す。Xは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子又はケイ素原子を表す。Raは、水素原子、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、複素環基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。Rは、電子供与基を表す。nは0又は1を表す。lは1〜3を表す。mは0〜2を表す。l+m=3である。
ここで、電子供与基としては、以下の具体例で示すイリジウム錯体D−1〜D−38の構造式に含まれる電子供与基に加え、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基及びシリル基等の基も好ましく用いられる。
[一般式(5)で表されるイリジウム錯体]
また、本発明のイリジウム錯体は、下記一般式(5)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 2016056562
一般式(5)中、Vは三価の連結基を表す。L、L及びLと共有結合で連結している。L〜Lは、各々下記一般式(6)で表される部分構造である。
Figure 2016056562
一般式(6)中、Xは、窒素原子又は炭素原子を表す。X〜Xは、それぞれ、窒素原子、炭素原子、酸素原子又は硫黄原子を表す。Xは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子又はケイ素原子を表す。Raは、水素原子、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、複素環基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。nは0又は1を表す。*は、Vとの結合部位を表す。
一般式(1)〜(6)で表される部分構造及び構造に含まれる芳香族環は、更に置換基を有していても良く、当該置換基が他の基と結合して縮合環を形成していても良い。置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、イソプロピル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子等)、ニトロ基、ジアルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基等)、トリアルキルシリル基(例えば、トリメチルシリル等)、トリアリールシリル基(例えば、トリフェニルシリル基等)、トリヘテロアリールシリル基(例えば、トリピリジルシリル基等)、ベンジル基、アリール基(例えば、フェニル基等)、ヘテロアリール基(例えば、ピリジル基、カルバゾリル基等)等が挙げられる。
[イリジウム錯体の具体例]
以下、本発明の一般式(1)〜(6)で表される構造の少なくとも一つを含むイリジウム錯体の具体例を示すが本発明はこれに限定されない。なお、H…Yの「…」が、配位子内の水素結合を表している。また、これらの化合物例については、さらに置換基を有してもよく、当該置換基は、一般式(1)〜(6)で用いられる置換基と同義である。これらの具体例に示す本発明のイリジウム錯体については、機能を阻害しない程度に更に置換基を有することも好ましい。
Figure 2016056562
Figure 2016056562
Figure 2016056562
Figure 2016056562
[水素原子の解離エネルギー]
本発明のイリジウム錯体は、米国Gaussian社製の分子軌道計算用ソフトウェアであるGaussian03(Gaussian98、Revision C.11.4,M.J.Frisch,et al,Gaussian,Inc.,Pittsburgh PA,2002.)を用い、キーワードとしてB3LYP/6−31G*を用いて構造最適化を行い、この最適構造を用いて、6−311++G(2df、2p)をキーワードとして、一点計算を行い、水素原子の解離エネルギーを求めた。
水素原子の解離エネルギー(ΔG): X−H→X+H
具体的には、“X−H”及び“X”について、上記のGaussian計算を用いて、構造最適化を行い、それぞれのエネルギーを算出する。この値を使い、X−H→X(中性化合物とアニオン化合物のエネルギー差)から解離エネルギーとした。
本発明のイリジウム錯体の配位子内の水素結合を形成する水素原子の解離エネルギーは、390kJ/mol以下であることが好ましく、375kJ/mol以下であることがより好ましく、360kJ/mol以下であることが特に好ましい。算出した解離エネルギーを表1に示す。
Figure 2016056562
前記水素結合を形成する水素原子の解離エネルギーが、390kJ/mol以下であることが、配位子の構造変化を抑制することができる水素結合であるため好ましい。
[イリジウム錯体の合成例]
以下に、本発明のイリジウム錯体の合成例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。上記した具体例のうちイリジウム錯体D−1の合成方法を例にとって説明する。
Figure 2016056562
(工程1)
三口フラスコに、中間体Aを2.0g、塩化イリジウムを1.2g、エトキシエタノールを45ml、水を15ml入れ、窒素雰囲気下にて100℃で4時間加熱撹拌した。
析出した結晶をろ取し、ろ取した結晶をメタノール洗浄して、中間体Bを1.9g得た。
(工程2)
三口フラスコに、工程1で得られた中間体Bを1.8g、アセチルアセトンを0.52g、炭酸カリウムを1.8g、エトキシエタノールを50ml入れ、窒素雰囲気下にて80℃で5時間加熱撹拌した。
析出した結晶をろ取し、ろ取した結晶をメタノール洗浄した後、水洗し、中間体Cを0.96g得た。
(工程3)
三口フラスコに、工程2で得られた中間体Cを0.5g、中間体Aを0.46g、エチレングリコールを50ml入れ、窒素雰囲気下にて150℃で7時間加熱撹拌した。
析出した結晶をろ取し、ろ取した結晶をメタノール洗浄した後、シリカゲルクロマトグラフィーで分離精製し、D−1を0.2g得た。
イリジウム錯体D−1の構造は、マススペクトル及びH−NMRで確認した。
MASS spectrum(ESI):m/z=893[M
H−NMR(CDCl,400MHz)δ:7.71(2H,d,J=28.3Hz)
[一般的な合成方法]
また、中間体Aと類似の構造を有する化合物を用いて、下記イリジウム錯体の合成を以下の方法により試みたところ合成することができなかった。
Figure 2016056562
三口フラスコに4−フェニルイミダゾール3.8g(26.3mmol)、IrCl水和物(Strem Chemicals製)1.96g(6.6mmol)を入れ、アルゴン置換した。
次に、2−エトキシエタノール30mlを三口フラスコに入れ、還流下18時間反応させたところ、沈殿物はなく、均一の黒褐色の溶液となった。溶媒を留去させ、溶液を処理したところ、黒色固形物が得られたが、目的のIr錯体は確認できなかった。
(1.2)蛍光ドーパント
蛍光ドーパントとしては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等や、レーザー色素に代表される蛍光量子収率が高い化合物が挙げられる。
[従来公知のドーパントとの併用]
また、本発明に用いられる発光ドーパントは、複数種の化合物を併用して用いてもよく、構造の異なるリン光ドーパント同士の組み合わせや、リン光ドーパントと蛍光ドーパントを組み合わせて用いてもよい。
ここで、発光ドーパントとして、従来公知の発光ドーパントを本発明のイリジウム錯体と併用して用いてもよい。具体的には、国際公開第2013/061850号に記載の化合物を好適に用いることができるが、本発明はこれらに限定されない。
[ホスト化合物]
本発明に用いることができるホスト化合物(発光ホスト、発光ホスト化合物ともいう。)は、発光層に含有される化合物の内で、その層中での質量比が20%以上であり、かつ室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物と定義される。好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での質量比が20%以上であることが好ましい。
本発明に用いることができるホスト化合物としては、特に制限はなく、従来有機EL素子で用いられる化合物を用いることができる。代表的にはカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体、芳香族誘導体、含窒素複素環化合物、チオフェン誘導体、フラン誘導体、オリゴアリーレン化合物等の基本骨格を有するもの、又は、カルボリン誘導体やジアザカルバゾール誘導体(ここで、ジアザカルバゾール誘導体とは、カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭化水素環の少なくとも一つの炭素原子が窒素原子で置換されているものを表す。)等が挙げられる。
本発明に用いることができる公知のホスト化合物としては正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、かつ、発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。
また、本発明においては、従来公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、又は複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、前記リン光ドーパントとして用いられる本発明のイリジウム錯体及び/又は従来公知の化合物を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
また、本発明に用いられるホスト化合物としては、低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(重合性ホスト化合物)でもよく、このような化合物を1種又は複数種用いても良い。
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載の化合物が挙げられる。
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等である。
以下、本発明の有機EL素子の発光層のホスト化合物として用いられる具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。なお、以下に示したホスト化合物については機能を阻害しない程度に更に置換基を有することも好ましい。
Figure 2016056562
Figure 2016056562
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《電子輸送層》
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層若しくは複数層を設けることができる。
電子輸送層は陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、電子輸送層の構成材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択し併用することも可能である。
電子輸送層に用いられる従来公知の材料(以下、電子輸送材料という。)の例としては、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の多環芳香族炭化水素、複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、カルボリン誘導体、又は、該カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の少なくとも一つが窒素原子で置換されている環構造を有する誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体等が挙げられる。
更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引性基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も電子輸送材料として用いることができる。
これらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も電子輸送材料として用いることができる。
その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも電子輸送材料として用いることができる。
また、n型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
電子輸送層は電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、湿式法(ウェットプロセスともいい、例えば、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法(ラングミュア・ブロジェット(Langmuir Blodgett法)等を挙げることができる。))等により、薄膜化することで形成することが好ましい。
電子輸送層の層厚については特に制限はないが、通常は5〜5000nm程度、好ましくは5〜200nmである。この電子輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる1層構造であってもよい。
また、金属錯体やハロゲン化金属など金属化合物等のn型ドーパントをドープして用いてもよい。
本発明の有機EL素子の電子輸送層の形成に好ましく用いられる従来公知の電子輸送材料の一例として、国際公開第2013/061850号に記載の化合物を好適に用いることができるが、本発明はこれらに限定されない。
《陰極》
一方、陰極としては仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する。)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法で薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。
なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極又は陰極のいずれか一方が透明又は半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、後述する陽極の説明で挙げる導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
《注入層:電子注入層(陰極バッファー層)、正孔注入層》
注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、上記のように陽極と発光層又は正孔輸送層の間、及び陰極と発光層又は電子輸送層との間に存在させてもよい。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、特表2003−519432号公報や特開2006−135145号公報等に記載されているようなヘキサアザトリフェニレン誘導体バッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体等に代表されるオルトメタル化錯体層等が挙げられる。
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウム、フッ化カリウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウム、フッ化セシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
阻止層は、上記のごとく有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、前述する電子輸送層の構成を必要に応じて、正孔阻止層として用いることができる。
本発明の有機EL素子の正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
正孔阻止層には、前述のホスト化合物として挙げた、カルバゾール誘導体、カルボリン誘導体、ジアザカルバゾール誘導体(ここで、ジアザカルバゾール誘導体とは、カルボリン環を構成する炭素原子のいずれか一つが窒素原子で置き換わったものをいう。)を含有することが好ましい。
一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明に係る正孔阻止層、電子輸送層の層厚としては、好ましくは3〜100nmであり、更に好ましくは5〜30nmである。
《正孔輸送層》
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層又は複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
また、特表2003−519432号公報や特開2006−135145号公報等に記載されているようなアザトリフェニレン誘導体も同様に正孔輸送材料として用いることができる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベン;N−フェニルカルバゾール、更には米国特許第5061569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが三つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような、いわゆるp型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることからこれらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。
正孔輸送層の層厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる1層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報の各公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
本発明においては、このようなp性の高い正孔輸送層を用いることが、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
《陽極》
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、ITO、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。
また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、又はパターン精度を余り必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等の湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
《支持基板》
本発明の有機EL素子に用いることのできる支持基板(以下、基体、基板、基材、支持体等ともいう。)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明であっても不透明であってもよい。支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な支持基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい支持基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル又はポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)又はアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等のフィルムを挙げることができる。
樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜又はその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%)が0.01g/m・24h以下のバリアー性フィルムであることが好ましく、更には、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3ml/m・24h・atm以下、水蒸気透過度が、1×10−5g/m・24h以下の高バリアー性フィルムであることが好ましい。
バリアー層を形成する材料としては、水分や酸素等の素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリアー層の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
不透明な支持基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板、フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
本発明の有機EL素子の発光の室温における外部取り出し収率は、1%以上であることが好ましく、5%以上であるとより好ましい。
ここで、外部取り出し量子収率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、有機EL素子からの発光色を、蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。色変換フィルターを用いる場合においては、有機EL素子の発光のλmaxは480nm以下が好ましい。
《有機EL素子の作製方法》
有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層(電子注入層)/陰極からなる素子の作製方法について説明する。
まず、適当な基体上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜200nmの膜厚になるように形成させ、陽極を作製する。
次に、この上に素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、陰極バッファー層等の有機化合物を含有する薄膜を形成させる。
薄膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、湿式法(ウェットプロセスともいう。)等により成膜して形成することができる。
湿式法としては、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法等があるが、精密な薄膜が形成可能で、かつ高生産性の点から、ダイコート法、ロールコート法、インクジェット法、スプレーコート法などのロール・to・ロール方式適性の高い方法が好ましい。また、層ごとに異なる成膜法を適用してもよい。
本発明に用いられる発光ドーパント等の有機EL材料を溶解又は分散する液媒体としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、ジメチルホルムアミド(DMF)、DMSO等の有機溶媒を用いることができる。
また、分散方法としては、超音波、高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。
これらの層の形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。
また、順序を逆にして、陰極、陰極バッファー層、電子輸送層、正孔阻止層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
本発明の有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる成膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
《封止》
本発明に用いられる封止手段としては、例えば、封止部材と電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。
封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されていればよく、凹板状でも平板状でもよい。また透明性、電気絶縁性は特に問わない。
具体的には、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。
また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等から形成されたものを挙げることができる。
金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブデン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる1種以上の金属又は合金からなるものが挙げられる。
本発明においては、素子を薄膜化できるということからポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。
更には、ポリマーフィルムは、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/m・24h・atm以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%)が、1×10−3g/m・24h以下のものであることが好ましい。
封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。
接着剤として具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また、有機層を挟み支持基板と対向する側の電極の外側に当該電極と有機層を被覆し、支持基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適にできる。この場合、当該膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。
更に、当該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、ヨウ化バリウム、ヨウ化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
《保護膜、保護板》
有機層を挟み支持基板と対向する側の前記封止膜、又は前記封止用フィルムの外側に、素子の機械的強度を高めるために保護膜、又は保護板を設けてもよい。特に封止が前記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。これに使用することができる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
《光取り出し》
有機EL素子は空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15〜20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として光が素子側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(米国特許第4774435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(特開昭63−314795号公報)、素子の側面等に反射面を形成する方法(特開平1−220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(特開昭62−172691号公報)、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(特開2001−202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(基板と外界間を含む。)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)等がある。
本発明においては、これらの方法を本発明の有機EL素子と組み合わせて用いることができるが、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、又は基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(基板と外界間を含む。)に回折格子を形成する方法を好適に用いることができる。
本発明はこれらの手段を組み合わせることにより、更に高輝度又は耐久性に優れた素子を得ることができる。
透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚さで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど外部への取り出し効率が高くなる。
低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマー等が挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度であるので、低屈折率層は屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。また、更に1.35以下であることが好ましい。
また、低屈折率媒質の厚さは媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは低屈折率媒質の厚さが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。
全反射を起こす界面若しくはいずれかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は回折格子が一次の回折や二次の回折といったいわゆるブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光のうち層間での全反射等により外に出ることができない光を、いずれかの層間若しくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。
導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な一次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。
しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
回折格子を導入する位置としては前述のとおり、いずれかの層間若しくは媒質中(透明基板内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。
このとき、回折格子の周期は媒質中の光の波長の約1/2〜3倍程度が好ましい。
回折格子の配列は正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状等、二次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
《集光シート》
本発明の有機EL素子は基板の光取り出し側に、例えば、マイクロレンズアレイ状の構造を設けるように加工したり、又はいわゆる集光シートと組み合わせることにより、特定方向、例えば、素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を二次元に配列する。一辺は10〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大きすぎると厚さが厚くなり好ましくない。
集光シートとしては、例えば、液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。このようなシートとして、例えば、住友スリーエム社製輝度上昇フィルム(BEF)等を用いることができる。
プリズムシートの形状としては、例えば、基材に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であってもよい。
また、発光素子からの光放射角を制御するために、光拡散板・フィルムを集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)等を用いることができる。
《用途》
本発明の有機EL素子は、電子デバイス、表示装置、ディスプレイ、各種発光装置として用いることができる。発光装置として、例えば、照明装置(家庭用照明、車内照明)、時計や液晶用バックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特に液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
本発明の有機EL素子においては、必要に応じ成膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもよいし、電極と発光層をパターニングしてもよいし、素子全層をパターニングしてもよく、素子の作製においては、従来公知の方法を用いることができる。
本発明の有機EL素子や本発明に係る化合物の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図7.16において、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタ(株)製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
また、本発明の有機EL素子が白色素子の場合には、白色とは、2度視野角正面輝度を上記方法により測定した際に、1000cd/mでのCIE1931表色系における色度がX=0.33±0.07、Y=0.33±0.1の領域内にあることをいう。
《表示装置》
本発明の表示装置について説明する。本発明の表示装置は、本発明の有機EL素子を具備したものである。本発明の表示装置は単色でも多色でもよいが、ここでは多色表示装置について説明する。
多色表示装置の場合は発光層形成時のみシャドーマスクを設け、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で膜を形成できる。
発光層のみパターニングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジェット法、スピンコート法、印刷法である。
表示装置に具備される有機EL素子の構成は、必要に応じて上記の有機EL素子の構成例の中から選択される。
また、有機EL素子の製造方法は、上記の本発明の有機EL素子の製造の一態様に示したとおりである。
このようにして得られた多色表示装置に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。更に交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
多色表示装置は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。表示デバイス、ディスプレイにおいて、青、赤、緑発光の3種の有機EL素子を用いることによりフルカラーの表示が可能となる。
表示デバイス、ディスプレイとしては、テレビ、パソコン、モバイル機器、AV機器、文字放送表示、自動車内の情報表示等が挙げられる。特に静止画像や動画像を再生する表示装置として使用してもよく、動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。
発光光源としては家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
以下、本発明の有機EL素子を有する表示装置の一例を図面に基づいて説明する。
図1は有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。有機EL素子の発光により画像情報の表示を行う、例えば、携帯電話等のディスプレイの模式図である。
ディスプレイ1は複数の画素を有する表示部A、画像情報に基づいて表示部Aの画像走査を行う制御部B、表示部Aと制御部Bとを電気的に接続する配線部C等を有する。
制御部Bは表示部Aと配線部Cを介して電気的に接続され、複数の画素それぞれに外部からの画像情報に基づいて走査信号と画像データ信号を送り、走査信号により走査線ごとの画素が画像データ信号に応じて順次発光して画像走査を行って画像情報を表示部Aに表示する。
図2はアクティブマトリクス方式による表示装置の模式図である。
表示部Aは基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部Cと複数の画素3等とを有する。表示部Aの主要な部材の説明を以下に行う。
図2においては、画素3の発光した光(発光光L)が白矢印方向(下方向)へ取り出される場合を示している。
配線部の走査線5及び複数のデータ線6はそれぞれ導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示していない)。
画素3は走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。
発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素を適宜同一基板上に並置することによって、フルカラー表示が可能となる。
次に、画素の発光プロセスを説明する。図3は画素の回路を示した概略図である。
画素は、有機EL素子10、スイッチングトランジスタ11、駆動トランジスタ12、コンデンサー13等を備えている。複数の画素に有機EL素子10として、赤色、緑色及び青色発光の有機EL素子を用い、これらを同一基板上に並置することでフルカラー表示を行うことができる。
図3において、制御部Bからデータ線6を介してスイッチングトランジスタ11のドレインに画像データ信号が印加される。そして、制御部Bから走査線5を介してスイッチングトランジスタ11のゲートに走査信号が印加されると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオンし、ドレインに印加された画像データ信号がコンデンサー13と駆動トランジスタ12のゲートに伝達される。
画像データ信号の伝達により、コンデンサー13が画像データ信号の電位に応じて充電されるとともに、駆動トランジスタ12の駆動がオンする。駆動トランジスタ12は、ドレインが電源ライン7に接続され、ソースが有機EL素子10の電極に接続されており、ゲートに印加された画像データ信号の電位に応じて電源ライン7から有機EL素子10に電流が供給される。
制御部Bの順次走査により走査信号が次の走査線5に移ると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフする。しかし、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフしてもコンデンサー13は充電された画像データ信号の電位を保持するので、駆動トランジスタ12の駆動はオン状態が保たれて、次の走査信号の印加が行われるまで有機EL素子10の発光が継続する。順次走査により次に走査信号が印加されたとき、走査信号に同期した次の画像データ信号の電位に応じて駆動トランジスタ12が駆動して有機EL素子10が発光する。
すなわち、有機EL素子10の発光は、複数の画素それぞれの有機EL素子10に対して、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタ11と駆動トランジスタ12を設けて、複数の画素3それぞれの有機EL素子10の発光を行っている。このような発光方法をアクティブマトリクス方式と呼んでいる。
ここで、有機EL素子10の発光は複数の階調電位を持つ多値の画像データ信号による複数の階調の発光でもよいし、2値の画像データ信号による所定の発光量のオン、オフでもよい。また、コンデンサー13の電位の保持は次の走査信号の印加まで継続して保持してもよいし、次の走査信号が印加される直前に放電させてもよい。
本発明においては、上述したアクティブマトリクス方式に限らず、走査信号が走査されたときのみデータ信号に応じて有機EL素子を発光させるパッシブマトリクス方式の発光駆動でもよい。
図4は、パッシブマトリクス方式による表示装置の模式図である。図4において、複数の走査線5と複数の画像データ線6が画素3を挟んで対向して格子状に設けられている。
順次走査により走査線5の走査信号が印加されたとき、印加された走査線5に接続している画素3が画像データ信号に応じて発光する。
パッシブマトリクス方式では画素3にアクティブ素子が無く、製造コストの低減が計れる。
本発明の有機EL素子を用いることにより、発光効率が向上した表示装置が得られた。
<照明装置>
本発明の有機EL素子は、照明装置に用いることもできる。
本発明の有機EL素子は、共振器構造を持たせた有機EL素子として用いてもよい。このような共振器構造を有した有機EL素子の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより上記用途に使用してもよい。
また、本発明の有機EL素子は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。
動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、パッシブマトリクス方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。または、異なる発光色を有する本発明の有機EL素子を2種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。
また、本発明の発光性化合物は、照明装置として、実質的に白色の発光を生じる有機EL素子に適用できる。例えば、複数の発光材料を用いる場合、複数の発光色を同時に発光させて、混色することで白色発光を得ることができる。複数の発光色の組み合わせとしては、赤色、緑色及び青色の三原色の三つの発光極大波長を含有させたものでもよいし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した二つの発光極大波長を含有したものでもよい。
また、本発明の有機EL素子の形成方法は、発光層、正孔輸送層又は電子輸送層等の形成時のみマスクを設け、マスクにより塗り分ける等単純に配置するだけでよい。他層は共通であるのでマスク等のパターニングは不要であり、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法及び印刷法等で、例えば、電極膜を形成でき、生産性も向上する。
この方法によれば、複数色の発光素子をアレー状に並列配置した白色有機EL装置と異なり、素子自体が発光白色である。
[本発明の照明装置の一態様]
本発明の有機EL素子を具備した、本発明の照明装置の一態様について説明する。
本発明の有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、厚さ300μmのガラス基板を封止用基板として用いて、周囲にシール材として、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを陰極上に重ねて透明支持基板と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して、硬化させて、封止し、図5及び図6に示すような照明装置を形成することができる。
図5は、照明装置の概略図を示し、本発明の有機EL素子(照明装置内の有機EL素子101)はガラスカバー102で覆われている(なお、ガラスカバーでの封止作業は、照明装置内の有機EL素子101を大気に接触させることなく窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)で行った。)。
図6は、照明装置の断面図を示し、図6において、105は陰極、106は有機層、107は透明電極付きガラス基板を示す。なお、ガラスカバー102内には窒素ガス108が充填され、捕水剤109が設けられている。
本発明の有機EL素子を用いることにより、発光効率が向上した照明装置が得られた。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITOを100nm成膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
この透明支持基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer社製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を用いて3000rpm、30秒の条件下、スピンコート法により薄膜を形成した後、200℃にて1時間乾燥し、層厚20nmの第1正孔輸送層を設けた。
この透明支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方モリブデン製抵抗加熱ボートにα−NPD(N,N′−Diphenyl−N,N′−bis(1−naphthalenyl)−1,1′−biphenyl−4,4′−diamine)を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにホスト化合物OC−4を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにドーパント(比較化合物1)を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにBCP(2,9−Dimethyl−4,7−diphenyl−1,10−phenanthroline)を200mg入れ真空蒸着装置に取り付けた。
次いで真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、α−NPDの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で、前記正孔注入層上に蒸着し30nmの正孔輸送層を設けた。
更にホスト化合物OC−4の入った前記加熱ボートと比較化合物1の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、それぞれ蒸着速度0.1nm/秒、0.010nm/秒で、前記正孔輸送層上に共蒸着し40nmの発光層を設けた。
更にBCPの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で、前記正孔阻止層上に蒸着し30nmの電子輸送層を設けた。
引き続き、陰極バッファー層としてフッ化リチウム0.5nmを蒸着し、更にアルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成し、有機EL素子1−1を作製した。
Figure 2016056562
《有機EL素子1−2〜1−20の作製》
有機EL素子1−1の作製において、発光層におけるホスト化合物及びドーパントを表2に記載の化合物に変更した。
それ以外は同様にして、有機EL素子1−2〜1−20を各々作製した。
Figure 2016056562
《有機EL素子1−1〜1−20の評価》
イリジウム錯体(ドーパント)の内部量子効率(%)の算出は、下記の方法に基づいて実施した。
[内部量子効率(IQE)の算出]
具体的には、有機EL素子1−1を5Vで駆動した場合に、外部量子効率測定装置C9920−12(浜松ホトニクス株式会社製)を用いて積分球により、室温で外部取り出し効率(EQE)を測定した。
そして、有機EL素子1−1の発光層の層厚情報と光学定数を用いて、「解析ソフトSetfos(サイバネットシステム株式会社製)」にてモード解析を実施し、有機EL素子内部から素子外部に放出される光の割合、すなわち光取り出し効率(OC)を算出した。
外部量子効率(EQE)は内部量子効率(IQE)と光取り出し効率(OC)の積で表現できる(式(A)参照)。
式(A): EQE=IQE×OC
本発明では、測定及び解析によって得られたEQE及びOCを式(A)に適用し、有機EL素子1−1の発光材料の内部量子効率を算出した。有機EL素子1−2〜1−20についても同様にして内部量子効率を算出した。表2には有機EL素子1−1の内部量子効率を100としたときの相対値を記載した。
表2により、本発明のイリジウム錯体を使用した有機EL素子は、比較例の有機EL素子よりも内部量子効率(発光効率)が高いことがわかった。
[インピーダンス分光による有機EL素子の発光層の抵抗値の変化率の測定]
「薄膜の評価ハンドブック」テクノシステム社刊423〜425ページに記載の測定方法を参考に、Solartron社製1260型インピーダンスアナライザ及び1296型誘電体インターフェイスを使って、作製した有機EL素子の発光層の抵抗値の測定を行った。
有機EL素子を室温(25℃)、2.5mA/cmの定電流条件下により1000時間駆動した後の駆動前後の発光層の抵抗値を各々測定し、測定結果を下記に示した計算式により計算し抵抗値の変化率を求めた。表2には有機EL素子1−1の抵抗値の変化率を100としたときの相対比率を記載した。
駆動前後の抵抗値の変化率=|(駆動後の抵抗値/駆動前の抵抗値)−1|×100
値が0に近い方が駆動前後の変化率が小さいことを示す。
表2により、本発明のイリジウム錯体を使用した有機EL素子は、比較例の有機EL素子よりも発光層の抵抗値の変化率が小さく、発光寿命が優れていることがわかった。
本発明のイリジウム錯体は、有機EL素子の分野で好適に使用することができ、さらには、有機EL素子を備えた表示デバイス、ディスプレイや、家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源、さらには表示装置を必要とする一般の家庭用電気器具等の広い発光光源として好適に利用できる。
1 ディスプレイ
3 画素
5 走査線
6 データ線
7 電源ライン
10 有機EL素子
11 スイッチングトランジスタ
12 駆動トランジスタ
13 コンデンサー
101 照明装置内の有機EL素子
102 ガラスカバー
105 陰極
106 有機EL層
107 透明電極付きガラス基板
108 窒素ガス
109 捕水剤
A 表示部
B 制御部
C 配線部
L 発光光

Claims (14)

  1. 芳香族複素環を含む二座配位子を有するイリジウム錯体であって、
    前記二座配位子が、前記芳香族複素環と他の芳香族複素環又は芳香族環が単結合により結合されている配位子であり、かつ当該配位子内に水素結合を有することを特徴とするイリジウム錯体。
  2. 前記水素結合を形成する水素原子の解離エネルギーが、390kJ/mol以下であることを特徴とする請求項1に記載のイリジウム錯体。
  3. 前記水素結合を形成する水素原子と水素結合している原子が、窒素原子、酸素原子、リン原子又はケイ素原子であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のイリジウム錯体。
  4. 前記イリジウム錯体が、下記一般式(1)で表される部分構造を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のイリジウム錯体。
    Figure 2016056562
    (一般式(1)中、A及びAは、それぞれ、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。Aは、芳香族複素環を表す。X、X、X1a及びX5aは、それぞれ、窒素原子又は炭素原子を表す。X〜Xは、それぞれ、窒素原子、炭素原子、酸素原子又は硫黄原子を表す。Xは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子又はケイ素原子を表す。Raは、水素原子、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、複素環基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。nは0又は1を表す。lは1〜3を表す。mは0〜2を表す。l+m=3である。)
  5. 前記イリジウム錯体におけるX〜Xで形成される環が、イミダゾール環又はトリアゾール環であることを特徴とする請求項3に記載のイリジウム錯体。
  6. 前記イリジウム錯体におけるAが、ベンゼン環であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のイリジウム錯体。
  7. 前記イリジウム錯体が、下記一般式(2)で表される部分構造を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のイリジウム錯体。
    Figure 2016056562
    (一般式(2)中、Aは、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。Aは、X1a及びX5aを含む芳香族複素環を表す。Aは、Xを含む芳香族複素環を表す。X、X、X1a及びX5aは、それぞれ、窒素原子又は炭素原子を表す。X〜Xは、窒素原子、炭素原子、酸素原子又は硫黄原子を表す。Xは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子又はケイ素原子を表す。X及びXは、CRc、Nを表し、Rcは水素原子又は置換基を表す。nsは0又は1を表す。lは1〜3を表す。mは0〜2を表す。l+m=3である。)
  8. 前記イリジウム錯体が、下記一般式(3)で表される部分構造を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のイリジウム錯体。
    Figure 2016056562
    (一般式(3)中、Aは、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。Aは、芳香族複素環を表す。X、X、X1a及びX5aは、それぞれ、窒素原子又は炭素原子を表す。X〜Xは、それぞれ、窒素原子、炭素原子、酸素原子又は硫黄原子を表す。Xは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子又はケイ素原子を表す。Raは、水素原子、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、複素環基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。Rは、電子吸引基を表す。nは0又は1を表す。lは1〜3を表す。mは0〜2を表す。l+m=3である。)
  9. 前記イリジウム錯体が、下記一般式(4)で表される部分構造を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のイリジウム錯体。
    Figure 2016056562
    (一般式(4)中、Aは、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。Aは、芳香族複素環を表す。X、X、X1a及びX5aは、それぞれ、窒素原子又は炭素原子を表す。X〜Xは、それぞれ、窒素原子、炭素原子、酸素原子又は硫黄原子を表す。Xは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子又はケイ素原子を表す。Raは、水素原子、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、複素環基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。Rは、電子供与基を表す。nは0又は1を表す。lは1〜3を表す。mは0〜2を表す。l+m=3である。)
  10. 前記イリジウム錯体が、下記一般式(5)で表される部分構造を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のイリジウム錯体。
    Figure 2016056562
    (一般式(5)中、Vは三価の連結基を表す。L、L及びLと共有結合で連結している。L〜Lは、各々下記一般式(6)で表される部分構造である。)
    Figure 2016056562
    (一般式(6)中、Xは、窒素原子又は炭素原子を表す。X〜Xは、それぞれ、窒素原子、炭素原子、酸素原子又は硫黄原子を表す。Xは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子又はケイ素原子を表す。Raは、水素原子、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、複素環基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。nは0又は1を表す。*は、Vとの結合部位を表す。)
  11. 請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載のイリジウム錯体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス材料。
  12. 陽極と陰極の間に、少なくとも発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
    当該発光層が、請求項11に記載の有機エレクトロルミネッセンス材料を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  13. 請求項12に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子が具備されていることを特徴とする表示装置。
  14. 請求項12に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子が具備されていることを特徴とする照明装置。
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