JP6187214B2 - 金属錯体、有機エレクトロルミネッセンス素子材料、有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置 - Google Patents
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内部量子効率の上限が100%となる励起三重項からのリン光発光を用いた有機EL素子がプリンストン大より報告されて以来(例えば、非特許文献1参照。)、室温でリン光を示す材料の研究が活発になってきている(例えば、非特許文献2及び特許文献1参照。)。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
R3は、水素原子、フッ素原子、アルコキシ基、アリールチオ基又はアリールオキシ基を表す。R4は分岐アルキル基、直鎖若しくは分岐ハロアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、トリフェニルシリル基又は前記一般式(2a)で表される構造を有する基を表す。
R2は、下記一般式(2b)で表される構造を有する基を表す。
Mは、イリジウム原子又は白金原子を表す。Mがイリジウム原子を表すとき、mは1〜3の整数を表し、nは0〜2の整数を表し、m+nは3である。Mが白金原子を表すとき、mは1又は2を表し、nは0又は1を表し、m+nは2である。X5−L1−X6は2座の配位子を表し、X5及びX6は、各々独立に炭素原子、窒素原子又は酸素原子を表す。)
Z1、Z2及びZ3は、各々独立に炭素原子又は窒素原子を表す。A2は、炭素原子及びZ1とともに形成される芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。B2は、Z2及びZ3とともに形成される芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。A2及びB2で表される環は、さらに置換基を有していてもよい。Mは、イリジウム原子又は白金原子を表す。Mがイリジウム原子を表すとき、mは1〜3の整数を表し、nは0〜2の整数を表し、m+nは3である。Mが白金原子を表すとき、mは1又は2を表し、nは0又は1を表し、m+nは2である。)
Z1、Z2及びZ3は、各々独立に炭素原子又は窒素原子を表す。A2は、炭素原子及びZ1とともに形成される芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。B2は、Z2及びZ3とともに形成される芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。A2及びB2で表される環は、さらに置換基を有していてもよい。Mは、イリジウム原子又は白金原子を表す。Mがイリジウム原子を表すとき、mは1〜3の整数を表し、nは0〜2の整数を表し、m+nは3である。Mが白金原子を表すとき、mは1又は2を表し、nは0又は1を表し、m+nは2である。)
Z1、Z2及びZ3は、各々独立に炭素原子又は窒素原子を表す。A2は、炭素原子及びZ1とともに形成される芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。B2は、Z2及びZ3とともに形成される芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。A2及びB2で表される環は、さらに置換基を有していてもよい。Mは、イリジウム原子又は白金原子を表す。Mがイリジウム原子を表すとき、mは1〜3の整数を表し、nは0〜2の整数を表し、m+nは3である。Mが白金原子を表すとき、mは1又は2を表し、nは0又は1を表し、m+nは2である。)
Z1、Z2及びZ3は、各々独立に炭素原子又は窒素原子を表す。A2は、炭素原子及びZ1とともに形成される芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。B2は、Z2及びZ3とともに形成される芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。A2及びB2で表される環は、さらに置換基を有していてもよい。Mは、イリジウム原子又は白金原子を表す。Mがイリジウム原子を表すとき、mは1〜3の整数を表し、nは0〜2の整数を表し、m+nは3である。Mが白金原子を表すとき、mは1又は2を表し、nは0又は1を表し、m+nは2である。)
Z1、Z2及びZ3は、各々独立に炭素原子又は窒素原子を表す。A2は、炭素原子及びZ1とともに形成される芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。B2は、Z2及びZ3とともに形成される芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。A2及びB2で表される環は、さらに置換基を有していてもよい。Mは、イリジウム原子又は白金原子を表す。Mがイリジウム原子を表すとき、mは1〜3の整数を表し、nは0〜2の整数を表し、m+nは3である。Mが白金原子を表すとき、mは1又は2を表し、nは0又は1を表し、m+nは2である。)
本発明の効果の発現機構及び作用機構については、明確になってはいないが、以下のように推察している。
いずれもトリアゾール環にR1、R2を有することで、分子間のトリアゾール環同士の凝集による消光を防ぐことができるが、特に一般式(3)、(4)、(7)で表される構造を有する金属錯体は、金属に結合している側のR1の立体的効果により、構造がリジッドとなり、発光スペクトルの色純度を向上することができると考えられる。また、一般式(5)、(6)に関してはR1、R2が隣り合って結合しているため、立体効果が高くより消光防止の効果が高いと考えられる。
本発明の有機EL素子材料は、下記一般式(1)で表される構造を有する金属錯体を成分として含有する。以下、本発明の有機EL素子材料が含有する金属錯体について説明する。
本発明の下記一般式(1)で表される金属錯体は、短波長の光を発光し、耐久性に優れた青色ドーパントとなる金属錯体であり、本発明の有機EL素子の構成層のいずれかの層に用いることができるが、本発明の効果(素子の発光効率(詳しくは、外部取り出し量子効率、単に効率ともいう。)の向上、半減寿命の増大、駆動電圧の低下)を十分に得る観点からは、素子の発光層、さらに、該発光層中において発光ドーパント(単にドーパントともいう。)として用いることが好ましい。
なお、本発明の有機EL素子の構成層については、後に詳細に説明する。
本発明の金属錯体は、具体的には、下記一般式(1)で表される。
R2は、一般式(2b)で表される構造を有する基を表す。
一般式(1)は、好ましくは一般式(3)で表される。
また、好ましくは一般式(1)は一般式(4)で表される。
また、好ましくは、一般式(1)は一般式(5)で表される。
また、好ましくは一般式(1)は一般式(6)で表される。
また、好ましくは、一般式(1)は一般式(7)で表される。
<例示化合物>
本発明の上記金属錯体の合成方法について以下に説明する。
[合成例1]
(DP5−2の合成)
1.中間体1の合成
2.中間体2の合成
3.配位子Aの合成
配位子Aの1H−NMRチャート(400MHz,in CDCl3,高磁場側)を図1に示した。
配位子Aの1H−NMRチャート(400MHz,in CDCl3,低磁場側)を図2に示した。
4.DP5−2の合成
MASS spectrum(ESI):m/z=1152[M+]
1H−NMR(400MHz、CD2Cl2) δ:1.00(9H、d)、1.02(9H、d)、1.82(9H,s)、2.10(9H、s)、2.12(9H,s)、2.39(9H,s)、2.64(3H、m)、6.68(3H,s)、7.09(3H,s)、7.11(3H,s)、7.23(3H,s)
DP5−2の2−メチルテトラヒドロフラン溶液について、紫外可視吸収スペクトル及び発光スペクトルを測定した。紫外可視吸収スペクトルの測定には、紫外可視分光光度計「日立分光光度計U−3300」((株)日立ハイテクノロジーズ製)を用い、を石英セルに入れ、室温で測定を行った。また、発光スペクトルの測定には、蛍光光度計「日立分光蛍光光度計F−4500」((株)日立ハイテクノロジーズ製)を用い、脱気した2−メチルテトラヒドロフラン溶液を石英セルに入れ、室温で励起波長360nmで測定を行った。得られた紫外可視吸収スペクトル及び発光スペクトルの測定結果を図3に示す。横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)及び発光強度(任意単位)を表す。図3において、実線は発光スペクトルを示しており、点線は紫外可視吸収スペクトルを示している。図3に示すように、DP5−2の溶液からはピーク波長437nm、466nmの青色の発光が観測された。
(DP3−2の合成)
1.中間体3の合成
3.配位子Bの合成
4.DP3−2の合成
MASS spectrum(ESI):m/z=1151.7[M+]
1H−NMR(CD2Cl2) δ: 0.96(18H,t)、1.77(9H,s),2.09(9H,s)、2.13(9H,s)、2.39(9H,s)、2.60(3H,m)、6.35(3H,s)、7.06(3H,s)、7.11(3H,s)、7.38(3H,s)
DP5−2の溶液スペクトルと同様にして、DP3−2の溶液スペクトルを測定した。図5にそれを示す。
図5に示すように、DP3−2の溶液からはピーク波長423nm、449nmの青色の発光が観測された。
本発明の有機EL素子は、陽極と陰極との間に、発光層を含む有機層を有する有機EL素子であって、当該発光層に、前記一般式(1)で表される構造を有する金属錯体を成分として含有する有機EL素子材料を含有することを特徴としている。本発明においては、上記一般式(1)で表される金属錯体を成分として含有する有機EL素子材料を含有する有機EL素子とすることによって、発光効率が高く、駆動時の電圧上昇が抑えられ、発光寿命が長く、白色照明として用いた際も色度のずれが小さい有機EL素子を得ることができる。
本発明の有機EL素子の構成について説明する。本発明において、有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(i)陽極/発光層ユニット/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層ユニット/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
《発光層》
本発明に係る発光層は、電極又は電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
発光層の膜厚の総和は特に制限はないが、膜の均質性や、発光時に不必要な高電圧を印加するのを防止し、かつ、駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、2nm〜5μmの範囲に調整することが好ましく、更に好ましくは2〜200nmの範囲に調整され、特に好ましくは、5〜100nmの範囲である。
発光性ドーパント化合物(発光ドーパント、単にドーパントともいう。)について説明する。
発光性ドーパントとしては、蛍光ドーパント(蛍光性化合物ともいう。)、リン光ドーパント(リン光発光体、リン光性化合物、リン光発光性化合物等ともいう。)を用いることができる。
本発明に係るリン光ドーパント(リン光発光ドーパントともいう。)について説明する。 本発明に係るリン光ドーパント化合物は、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
リン光ドーパントの発光は原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こって発光性ホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光ドーパントに移動させることでリン光ドーパントからの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つはリン光ドーパントがキャリアトラップとなり、リン光ドーパント上でキャリアの再結合が起こり、リン光ドーパント化合物からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、リン光ドーパントの励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
例えば、国際公開第00/70655号、特開2002−280178号公報、特開2001−181616号公報、特開2002−280179号公報、特開2001−181617号公報、特開2002−280180号公報、特開2001−247859号公報、特開2002−299060号公報、特開2001−313178号公報、特開2002−302671号公報、特開2001−345183号公報、特開2002−324679号公報、国際公開第02/15645号、特開2002−332291号公報、特開2002−50484号公報、特開2002−332292号公報、特開2002−83684号公報、特表2002−540572号公報、特開2002−117978号公報、特開2002−338588号公報、特開2002−170684号公報、特開2002−352960号公報、国際公開第01/93642号、特開2002−50483号公報、特開2002−100476号公報、特開2002−173674号公報、特開2002−359082号公報、特開2002−175884号公報、特開2002−363552号公報、特開2002−184582号公報、特開2003−7469号公報、特表2002−525808号公報、特開2003−7471号公報、特表2002−525833号公報、特開2003−31366号公報、特開2002−226495号公報、特開2002−234894号公報、特開2002−235076号公報、特開2002−241751号公報、特開2001−319779号公報、特開2001−319780号公報、特開2002−62824号公報、特開2002−100474号公報、特開2002−203679号公報、特開2002−343572号公報、特開2002−203678号公報等である。
蛍光ドーパント(蛍光性化合物ともいう。)としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等や、レーザー色素に代表される蛍光量子収率が高い化合物が挙げられる。
また本発明に係る発光ドーパントは、複数種の化合物を併用して用いてもよく、構造の異なるリン光ドーパント同士の組み合わせや、リン光ドーパントと蛍光ドーパントを組み合わせて用いてもよい。
本発明においてホスト化合物(発光ホスト等ともいう。)とは、発光層に含有される化合物の内で、その層中での質量比が20%以上であり、かつ室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物と定義される。好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での質量比が20%以上であることが好ましい。
以下、本発明の有機EL素子のホスト化合物として好ましく用いられる化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
従来公知の発光ホストとしては特に制限はなく、代表的にはカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体、芳香族誘導体、含窒素複素環化合物、チオフェン誘導体、フラン誘導体、オリゴアリーレン化合物等の基本骨格を有するもの、又は、カルボリン誘導体やジアザカルバゾール誘導体(ここで、ジアザカルバゾール誘導体とは、カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭化水素環の少なくとも一つの炭素原子が窒素原子で置換されているものを表す。)等が挙げられる。
発光ホストを複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。
また、本発明に用いられる発光ホストとしては、低分子化合物でも、繰り返し単位を持つ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(重合性発光ホスト)でもよく、このような化合物を1種又は複数種用いても良い。
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等。
電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層若しくは複数層を設けることができる。
電子輸送層は陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、電子輸送層の構成材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択し併用することも可能である。
これらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも電子輸送材料として用いることができる。
また、n型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
有機EL素子の構成層の形成法については、有機EL素子の作製方法のところで詳細に説明する。
電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5〜5000nm程度、好ましくは5〜200nmである。この電子輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、金属錯体やハロゲン化金属など金属化合物等のn型ドーパントをドープして用いてもよい。
以下、本発明の有機EL素子の電子輸送層の形成に好ましく用いられる従来公知の化合物(電子輸送材料)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、上記のごとく陽極と発光層又は正孔輸送層の間、及び陰極と発光層又は電子輸送層との間に存在させてもよい。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123頁〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
阻止層は、上記のごとく有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
本発明の有機EL素子の正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
正孔阻止層には、前述のホスト化合物として挙げた、カルバゾール誘導体、カルボリン誘導体、ジアザカルバゾール誘導体(ここで、ジアザカルバゾール誘導体とは、カルボリン環を構成する炭素原子のいずれか一つが窒素原子で置き換わったものを示す。)を含有することが好ましい。
(1)米国Gaussian社製の分子軌道計算用ソフトウェアであるGaussian98(Gaussian98、Revision A.11.4,M.J.Frisch,et al,Gaussian,Inc.,Pittsburgh PA,2002.)を用い、キーワードとしてB3LYP/6−31G*を用いて構造最適化を行うことにより算出した値(eV単位換算値)として求めることができる。この計算値が有効な背景には、この手法で求めた計算値と実験値の相関が高いためである。
一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明に係る正孔阻止層、電子輸送層の膜厚としては、好ましくは3〜100nmであり、更に好ましくは5〜30nmである。
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層又は複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
また、特表2003−519432号公報や特開2006−135145号公報等に記載されているようなアザトリフェニレン誘導体も同様に正孔輸送材料として用いることができる。
また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような、いわゆるp型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることからこれらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報の各公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウム・スズ酸化物(ITO)、SnO2、又はZnO等の導電性透明材料が挙げられる。
又は、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
一方、陰極としては仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、又は希土類金属等が挙げられる。
また、陰極に上記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、後述する陽極の説明で挙げる導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
本発明の有機EL素子に用いることのできる支持基板(以下、基体、基板、基材、支持体等ともいう。)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明であっても不透明であってもよい。支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な支持基板としては、ガラス、石英、又は透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい支持基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
本発明の有機EL素子の発光の室温における外部取り出し効率は、1%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上である。
ここに、外部取り出し量子効率(%)=(有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数)×100である。
また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、有機EL素子からの発光色を蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。色変換フィルターを用いる場合においては、有機EL素子の発光のλmaxは480nm以下が好ましい。
有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層(電子注入層)/陰極からなる素子の作製方法について説明する。
まず、適当な基体上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜200nmの膜厚になるように形成させ、陽極を作製する。
次に、この上に素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、陰極バッファー層等の有機化合物を含有する薄膜を形成させる。
薄膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、又は湿式法(ウェットプロセスともいう。)等により成膜して形成することができる。
また、分散方法としては、超音波、高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。
これらの層の形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。
このようにして得られた多色の表示装置に、直流電圧を印加する場合には陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
本発明の有機EL素子の作製は、1回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる成膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
本発明に用いられる封止手段としては、例えば、封止部材と電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。
封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されておればよく、凹板状でも平板状でもよい。また透明性、電気絶縁性は特に問わない。
具体的には、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、又は石英等を挙げることができる。
金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる1種以上の金属又は合金からなるものが挙げられる。
本発明においては、素子を薄膜化できるということからポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。
さらに、ポリマーフィルムは、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m2・24h・atm)以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m2・24h)以下のものであることが好ましい。
封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工又は化学エッチング加工等が使われる。
なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
有機層を挟み支持基板と対向する側の前記封止膜、あるいは前記封止用フィルムの外側に、素子の機械的強度を高めるために保護膜、あるいは保護板を設けてもよい。特に封止が前記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。これに使用することができる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
有機EL素子は、空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として光が素子側面方向に逃げるためである。
本発明はこれらの手段を組み合わせることにより、更に高輝度あるいは耐久性に優れた素子を得ることができる。
低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム又はフッ素系ポリマー等が挙げられる。透明基板の屈折率は、一般に1.5〜1.7程度であるので、低屈折率層は、屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。また、さらに1.35以下であることが好ましい。
また、低屈折率媒質の厚さは、媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは低屈折率媒質の厚さが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。
導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは、発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な一次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。
回折格子を導入する位置としては、前述のとおり、いずれかの層間若しくは媒質中(透明基板内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。
このとき、回折格子の周期は、媒質中の光の波長の約1/2〜3倍程度が好ましい。
回折格子の配列は、正方形のラチス状、三角形のラチス状、又はハニカムラチス状等、二次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
本発明の有機EL素子は基板の光取り出し側に、例えば、マイクロレンズアレイ状の構造を設けるように加工したり、又はいわゆる集光シートと組み合わせることにより、特定方向、例えば、素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
また、発光素子からの光放射角を制御するために、光拡散板・フィルムを集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)等を用いることができる。
本発明の有機EL素子は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。
発光光源として、例えば、照明装置(家庭用照明、車内照明)、時計や液晶用バックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、又は光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特に液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
本発明の有機EL素子においては、必要に応じ成膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもよいし、電極と発光層をパターニングしてもよいし、素子全層をパターニングしてもよく、素子の作製においては、従来公知の方法を用いることができる。
また、本発明の有機EL素子が白色発光素子の場合には、白色とは、2度視野角正面輝度を上記方法により測定した際に、1000cd/m2でのCIE1931表色系における色度がX=0.33±0.07、Y=0.33±0.1の領域内にあることをいう。
本発明の表示装置について説明する。本発明の表示装置は、本発明の有機EL素子を具備したものである。
本発明の表示装置は、単色でも多色でもよいが、ここでは多色表示装置について説明する。多色表示装置の場合は、発光層形成時のみシャドーマスクを設け、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、又は印刷法等で膜を形成できる。
発光層のみパターニングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジェット法、スピンコート法又は印刷法である。
また、有機EL素子の製造方法は、上記の本発明の有機EL素子の製造の一態様に示したとおりである。
発光光源としては、家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、又は光センサーの光源等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
図6は、有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。有機EL素子の発光により画像情報の表示を行う、例えば、携帯電話等のディスプレイの模式図である。
ディスプレイ1は、複数の画素を有する表示部A、画像情報に基づいて表示部Aの画像走査を行う制御部B等からなる。
制御部Bは、表示部Aと電気的に接続され、複数の画素それぞれに外部からの画像情報に基づいて走査信号と画像データ信号を送り、走査信号により走査線毎の画素が画像データ信号に応じて順次発光して画像走査を行って画像情報を表示部Aに表示する。
表示部Aは、基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と複数の画素3等とを有する。表示部Aの主要な部材の説明を以下に行う。
図7においては、画素3の発光した光が白矢印方向(下方向)へ取り出される場合を示している。
配線部の走査線5及び複数のデータ線6は、それぞれ導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示していない)。
画素3は、走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。
発光の色が、赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素を適宜同一基板上に並置することによって、フルカラー表示が可能となる。
画素は、有機EL素子10、スイッチングトランジスタ11、駆動トランジスタ12、コンデンサー13等を備えている。複数の画素に有機EL素子10として、赤色、緑色、青色発光の有機EL素子を用い、これらを同一基板上に並置することでフルカラー表示を行うことができる。
図8において、制御部Bからデータ線6を介してスイッチングトランジスタ11のドレインに画像データ信号が印加される。そして、制御部Bから走査線5を介してスイッチングトランジスタ11のゲートに走査信号が印加されると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオンし、ドレインに印加された画像データ信号がコンデンサー13と駆動トランジスタ12のゲートに伝達される。
制御部Bの順次走査により走査信号が次の走査線5に移ると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフする。しかし、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフしてもコンデンサー13は充電された画像データ信号の電位を保持するので、駆動トランジスタ12の駆動はオン状態が保たれて、次の走査信号の印加が行われるまで有機EL素子10の発光が継続する。順次走査により次に走査信号が印加されたとき、走査信号に同期した次の画像データ信号の電位に応じて駆動トランジスタ12が駆動して有機EL素子10が発光する。
ここで、有機EL素子10の発光は、複数の階調電位を持つ多値の画像データ信号による複数の階調の発光でもよいし、2値の画像データ信号による所定の発光量のオン、オフでもよい。また、コンデンサー13の電位の保持は、次の走査信号の印加まで継続して保持してもよいし、次の走査信号が印加される直前に放電させてもよい。
本発明においては、上述したアクティブマトリクス方式に限らず、走査信号が走査されたときのみデータ信号に応じて有機EL素子を発光させるパッシブマトリクス方式の発光駆動でもよい。
順次走査により走査線5の走査信号が印加されたとき、印加された走査線5に接続している画素3が画像データ信号に応じて発光する。
パッシブマトリクス方式では画素3にアクティブ素子が無く、製造コストの低減が計れる。
本発明の照明装置について説明する。本発明の照明装置は、上記有機EL素子を有する。
本発明の有機EL素子に共振器構造を持たせた有機EL素子として用いてもよく、このような共振器構造を有した有機EL素子の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、又は光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより上記用途に使用してもよい。
また、本発明の有機EL素子は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。
また、本発明の有機EL材料は照明装置として、実質白色の発光を生じる有機EL素子に適用できる。複数の発光材料により複数の発光色を同時に発光させて混色により白色発光を得る。複数の発光色の組み合わせとしては、赤色、緑色、青色の3原色の三つの発光極大波長を含有させたものでもよいし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した二つの発光極大波長を含有したものでもよい。
この方法によれば、複数色の発光素子をアレー状に並列配置した白色有機EL装置と異なり、素子自体が発光白色である。
本発明の白色発光有機EL素子や該素子に係る化合物の発光色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計「CS−1000」(コニカミノルタ(株)製)で測定した結果を、CIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
本発明における白色発光有機EL素子としての好ましい色度は、CIE1931xy色度図上においてx値が0.37±0.1、y値が0.37±0.07の範囲である。
本発明の有機EL素子を具備した、本発明の照明装置の一態様について説明する。
本発明の有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、厚さ300μmのガラス基板を封止用基板として用いて、周囲にシール材として、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを陰極上に重ねて透明支持基板と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して、硬化させて、封止し、図10、図11に示すような照明装置を形成することができる。
図11は、照明装置の断面図を示し、図11において、105は陰極、106は有機EL層、107は透明電極付きガラス基板を示す。なお、ガラスカバー102内には窒素ガス108が充填され、捕水剤109が設けられている。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
また、以下に説明する実施例で用いられる化合物の構造を以下に示す。
[実施例1]
100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上に、陽極としてITO(インジウム・スズ酸化物)を100nm製膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
次いで、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、α−NPDの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で透明支持基板上に蒸着し、膜厚20nmの第2正孔輸送層を設けた。
さらに、ET−8が入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で前記発光層上に蒸着して膜厚30nmの電子輸送層を設けた。
なお、蒸着時の基板温度は室温であった。
有機EL素子1−1の作製において、ドーパント材料としての比較化合物1を特開2008−74831号公報明細書に記載の上記比較化合物2に変更した以外は同様にして、有機EL素子1−2を作製した。
有機EL素子1−1の作製において、ドーパント材料としての比較化合物1を表1に記載の材料に変更した。
それ以外は同様にして、下記表2に記載のとおり、有機EL素子1−3〜1−30を各々作製した。
得られた有機EL素子1−1〜1−30を評価するに際しては、作製後の各有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、厚さ300μmのガラス基板を封止用基板として用いて、周囲にシール材としてエポキシ系光硬化型接着剤「ラックストラックLC0629B」(東亞合成社製)を適用し、これを上記陰極上に重ねて前記透明支持基板と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して硬化させて封止し、図10及び図11に示すような照明装置を形成して評価した。このようにして作製した各サンプルについて下記の評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
有機EL素子を室温(約23〜25℃)、2.5mA/cm2の定電流条件下による点灯を行い、点灯開始直後の発光輝度(L)[cd/m2]を測定することにより、外部取り出し量子効率(η)を算出した。
ここで、発光輝度の測定は分光放射輝度計「CS−1000」(コニカミノルタ(株)製)を用いて行い、外部取り出し量子効率は、有機EL素子1−1(比較例)を100とする相対値で表した。
下記に示す測定法に従って、半減寿命の評価を行った。
各有機EL素子を初期輝度1000cd/m2を与える電流で定電流駆動して、初期輝度の1/2(500cd/m2)になる時間を求め、これを半減寿命の尺度とした。
なお、半減寿命は有機EL素子1−1を100とする相対値で表した。
有機EL素子を室温(約23〜25℃)、2.5mA/cm2の定電流条件下により駆動した時の電圧を各々測定し、測定結果を下記に示した計算式により計算し、得られた結果を表1に示した。
有機EL素子1−1を100とする相対値で表した。
式:
駆動時の電圧上昇(相対値)=輝度半減時の駆動電圧−初期駆動電圧
なお、値が小さい方が比較に対して駆動時の電圧上昇が小さいことを示す。
有機EL素子1−1〜1−30のそれぞれについて、同じ蒸着ボート(モリブデン製抵抗加熱ボート)を用い同じ構成の素子を10素子ずつ作製した(例えば、有機EL素子1−1、1−1b、1−1c、1−1d、1−1e、1−1f、1−1g、1−1h、1−1i、1−1j)。
<白色発光有機EL素子2−1の作製>
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウム・スズ酸化物)を100nm成膜した基板(AvanStrate株式会社製、NA−45)にパターニングを行った。その後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥して、UVオゾン洗浄を5分間行った。
有機EL素子2−1の作製において、上記ホスト化合物H−11及びDP3−2を下記表2に記載の化合物に変えた以外は同様にして有機EL素子2−2〜2−20を作製した。なお、有機EL素子2−3及び有機EL素子2−4についてはドーパント材料として下記比較化合物3及び4を用いた。
得られた有機EL素子2−1〜2−20を評価するに際しては、これら有機EL素子を実施例1の有機EL素子1−1と同様に封止し、図10及び図11に示すような照明装置を形成して評価した。有機EL素子2−1は色度(x、y)=(0.35、0.38)の白色発光を示した。このようにして作製した各サンプルについて下記の評価を行った。評価結果を表2に示す。
実施例1と同様に算出した。表5においては有機EL素子2−2(比較例)を100とする相対値で表した。
有機EL素子を60℃、70%RHの条件で1か月保存後、保存前後における各電力効率を求め、各々の電力効率比を下式に従って求め、これを経時安定性の尺度とした。
式:
経時安定性(%)=保存後の電力効率/保存前の電力効率×100
なお、電力効率については分光放射輝度計「CS−1000」(コニカミノルタ(株)製)を用いて、各有機EL素子の正面輝度及び輝度角度依存性を測定し、正面輝度1000cd/m2における電力効率を求めた。
正面輝度4000cd/m2を初期輝度として連続駆動時の輝度変動を追跡し、t=0における色度(x0,y0)と、輝度半減時の色度(xt、yt)を分光放射輝度計「CS−1000」(コニカミノルタ(株)製)により測定し、その色度差ΔEを下記式より求めた。なお下記式においてx、yは、CIE1931表色系における色度x、yである。
式:
ΔE={(xt−x0)2+(yt−y0)2}1/2
評価結果を表2に示す。
3 画素
5 走査線
6 データ線
7 電源ライン
10 有機EL素子
11 スイッチングトランジスタ
12 駆動トランジスタ
13 コンデンサー
A 表示部
B 制御部
102 ガラスカバー
105 陰極
106 有機EL層
107 透明電極付きガラス基板
Claims (17)
- 下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とする金属錯体。
R3は、水素原子、フッ素原子、アルコキシ基、アリールチオ基又はアリールオキシ基を表す。R4は分岐アルキル基、直鎖若しくは分岐ハロアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、トリフェニルシリル基又は前記一般式(2a)で表される構造を有する基を表す。
R2は、下記一般式(2b)で表される構造を有する基を表す。
Mは、イリジウム原子又は白金原子を表す。Mがイリジウム原子を表すとき、mは1〜3の整数を表し、nは0〜2の整数を表し、m+nは3である。Mが白金原子を表すとき、mは1又は2を表し、nは0又は1を表し、m+nは2である。X5−L1−X6は2座の配位子を表し、X5及びX6は、各々独立に炭素原子、窒素原子又は酸素原子を表す。) - 前記一般式(1)で表される構造を有する金属錯体が、下記一般式(3)で表される構造を有することを特徴とする請求項1に記載の金属錯体。
R3は、水素原子、フッ素原子、アルコキシ基、アリールチオ基又はアリールオキシ基を表す。R4は分岐アルキル基、直鎖若しくは分岐ハロアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、トリフェニルシリル基又は前記一般式(2a)で表される構造を有する基を表す。
R2は、前記一般式(2b)で表される構造を有する基を表す。
Z1、Z2及びZ3は、各々独立に炭素原子又は窒素原子を表す。A2は、炭素原子及びZ1とともに形成される芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。B2は、Z2及びZ3とともに形成される芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。A2及びB2で表される環は、さらに置換基を有していてもよい。Mは、イリジウム原子又は白金原子を表す。Mがイリジウム原子を表すとき、mは1〜3の整数を表し、nは0〜2の整数を表し、m+nは3である。Mが白金原子を表すとき、mは1又は2を表し、nは0又は1を表し、m+nは2である。) - 前記一般式(1)で表される構造を有する金属錯体が、下記一般式(4)で表される構造を有することを特徴とする請求項1に記載の金属錯体。
R3は、水素原子、フッ素原子、アルコキシ基、アリールチオ基又はアリールオキシ基を表す。R4は分岐アルキル基、直鎖若しくは分岐ハロアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、トリフェニルシリル基又は前記一般式(2a)で表される構造を有する基を表す。
R2は、前記一般式(2b)で表される構造を有する基を表す。
Z1、Z2及びZ3は、各々独立に炭素原子又は窒素原子を表す。A2は、炭素原子及びZ1とともに形成される芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。B2は、Z2及びZ3とともに形成される芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。A2及びB2で表される環は、さらに置換基を有していてもよい。Mは、イリジウム原子又は白金原子を表す。Mがイリジウム原子を表すとき、mは1〜3の整数を表し、nは0〜2の整数を表し、m+nは3である。Mが白金原子を表すとき、mは1又は2を表し、nは0又は1を表し、m+nは2である。) - 前記一般式(1)で表される構造を有する金属錯体が、下記一般式(5)で表される構造を有することを特徴とする請求項1に記載の金属錯体。
R3は、水素原子、フッ素原子、アルコキシ基、アリールチオ基又はアリールオキシ基を表す。R4は分岐アルキル基、直鎖若しくは分岐ハロアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、トリフェニルシリル基又は前記一般式(2a)で表される構造を有する基を表す。
R2は、前記一般式(2b)で表される構造を有する基を表す。
Z1、Z2及びZ3は、各々独立に炭素原子又は窒素原子を表す。A2は、炭素原子及びZ1とともに形成される芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。B2は、Z2及びZ3とともに形成される芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。A2及びB2で表される環は、さらに置換基を有していてもよい。Mは、イリジウム原子又は白金原子を表す。Mがイリジウム原子を表すとき、mは1〜3の整数を表し、nは0〜2の整数を表し、m+nは3である。Mが白金原子を表すとき、mは1又は2を表し、nは0又は1を表し、m+nは2である。) - 前記一般式(1)で表される構造を有する金属錯体が、下記一般式(6)で表される構造を有することを特徴とする請求項1に記載の金属錯体。
R3は、水素原子、フッ素原子、アルコキシ基、アリールチオ基又はアリールオキシ基を表す。R4は分岐アルキル基、直鎖若しくは分岐ハロアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、トリフェニルシリル基又は前記一般式(2a)で表される構造を有する基を表す。
R2は、前記一般式(2b)で表される構造を有する基を表す。
Z1、Z2及びZ3は、各々独立に炭素原子又は窒素原子を表す。A2は、炭素原子及びZ1とともに形成される芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。B2は、Z2及びZ3とともに形成される芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。A2及びB2で表される環は、さらに置換基を有していてもよい。Mは、イリジウム原子又は白金原子を表す。Mがイリジウム原子を表すとき、mは1〜3の整数を表し、nは0〜2の整数を表し、m+nは3である。Mが白金原子を表すとき、mは1又は2を表し、nは0又は1を表し、m+nは2である。) - 前記一般式(1)で表される構造を有する金属錯体が、下記一般式(7)で表される構造を有することを特徴とする請求項1に記載の金属錯体。
R3は、水素原子、フッ素原子、アルコキシ基、アリールチオ基又はアリールオキシ基を表す。R4は分岐アルキル基、直鎖若しくは分岐ハロアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、トリフェニルシリル基又は前記一般式(2a)で表される構造を有する基を表す。
R2は、前記一般式(2b)で表される構造を有する基を表す。
Z1、Z2及びZ3は、各々独立に炭素原子又は窒素原子を表す。A2は、炭素原子及びZ1とともに形成される芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。B2は、Z2及びZ3とともに形成される芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。A2及びB2で表される環は、さらに置換基を有していてもよい。Mは、イリジウム原子又は白金原子を表す。Mがイリジウム原子を表すとき、mは1〜3の整数を表し、nは0〜2の整数を表し、m+nは3である。Mが白金原子を表すとき、mは1又は2を表し、nは0又は1を表し、m+nは2である。) - 前記一般式(2b)におけるZbが形成する、フェニル基を表すことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の金属錯体。
- 前記一般式(1)におけるR4が、分岐アルキル基、分岐ハロアルキル基、トリフェニルシリル基又は前記一般式(2a)で表される構造を有する基であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の金属錯体。
- 前記一般式(1)におけるX1が、窒素原子であることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の金属錯体。
- 前記一般式(1)におけるX2が、窒素原子であることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の金属錯体。
- 前記一般式(1)におけるMが、イリジウム原子であることを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の金属錯体。
- 前記一般式(1)におけるmが、3であることを特徴とする請求項11に記載の金属錯体。
- 請求項1から請求項12までのいずれか一項に記載の金属錯体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子材料。
- 陽極と陰極との間に、発光層を含む有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記有機層が、請求項1から請求項12までのいずれか一項に記載の金属錯体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 発光色が白色であることを特徴とする請求項14に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 請求項14又は請求項15に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を具備していることを特徴とする表示装置。
- 請求項14又は請求項15に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を具備していることを特徴とする照明装置。
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