JP5884626B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置 Download PDF

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子と、有機エレクトロルミネッセンス素子を具備した表示装置及び照明装置に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と略記する。)は、発光性化合物を含有する発光層を陰極と陽極とで挟持した構成を有し、発光層に電子及び正孔を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・リン光)を利用して発光する素子であり、数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であることから、次世代の平面ディスプレイや照明用部材として注目されている。
内部量子効率の上限が100%となる励起三重項からのリン光発光を用いた有機EL素子がプリンストン大より報告(例えば、非特許文献1参照。)されて以来、室温でリン光を示す材料の研究が活発になってきている(例えば、非特許文献2、特許文献1参照。)。
また、室温でリン光を示す材料として、イリジウム錯体系等重金属錯体が検討されている(例えば、非特許文献3参照。)。例えば、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体が広く知られており(例えば、非特許文献2。)、また、ドーパントの耐久性や発光効率向上を目的として、トリス(2−フェニルピリジン)骨格にシリル基を導入した配位子を有するイリジウム錯体が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかし、これらのドーパントを用いた有機EL素子においても、発光寿命をはじめとして十分な素子性能が得られていない。
また、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体以外として、フェニルイミダゾール配位子やカルベン配位子を有するイリジウム錯体も開示されている(例えば、特許文献3及び4参照。)。これらの材料は、フェニルピリジン配位子で構成される錯体と比較して、短波な発光が得られる点で、注目を浴びている。
一方、イリジウム錯体の配位子を結合させた錯体が開示されている(例えば、特許文献5及び6参照。)。これらの錯体では、化合物自体の熱安定性が改良され、素子の寿命も改善されているが、更なる励起状態における安定性や、ラジカルアニオ又はラジカルカチオンの安定性が求められている。
米国特許第6097147号明細書 特開2005−327526号公報 国際公開第2006/046980号 国際公開第2005/019373号 国際公開第2005/76380号 国際公開第2004/81017号
M.A.Baldo et al.,Nature、395巻、151〜154頁(1998年) M.A.Baldo et al.,Nature、403巻、17号、750〜753頁(2000年) C.Adachi et al.,Appl.Phys.Lett.,79号、2082−2084頁(2001年)
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、低電圧駆動が可能で、高発光効率及び長寿命で、かつ経時安定性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子と、該有機エレクトロルミネッセンス素子を具備した照明装置及び表示装置を提供することである。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を進めた結果、イリジウム錯体化合物として、特定の構造を有する6座配位型オルトメタル化イリジウム錯体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子により、低電圧駆動が可能で、高発光効率及び長寿命で、かつ経時安定性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子を実現することができることを見出し、本発明に至った次第である。
すなわち、本発明の上記課題は、下記の手段により解決される。
1.陽極と陰極との間に、少なくとも1層の発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、下記一般式(1)で表される6座配位型オルトメタル化イリジウム錯体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
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〔式中、Vは、三価の連結基を表す。S〜Sは、各々下記S−4〜S−44から選択される二価の連結基を表す。L〜Lは、各々下記一般式(2)で表される部分構造である。XとIrが配位結合し、XとIrが共有結合を形成している。Vは、S〜Sの各々と共有結合で連結しており、S〜Sは各々のL〜Lと共有結合で連結している。〕
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〔式中、X〜Xは、各々含窒素複素環を形成する原子群である。Xは、炭素原子を表し、X〜Xは、炭素原子又は窒素原子を表し、XとXの少なくとも一つは、窒素原子を表す。X〜X11は、芳香族5員環又は芳香族6員環を形成する炭素原子又は窒素原子を表す。但し、X〜X11が芳香族5員環を形成する場合、X11は単なる結合手を表す。Rは、置換もしくは無置換のアリール基を表す。〕
2.前記一般式(1)における前記一般式(2)で表されるL〜Lのうち、少なくとも一つのX〜Xが形成する5員環が、イミダゾール環であることを特徴とする第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
3.前記一般式(2)で表される部分構造が、下記一般式(3)で表される部分構造であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0005884626
〔式中、X〜X11は、各々芳香族5員環又は芳香族6員環を形成する炭素原子又は窒素原子を表す。但し、X〜X11が芳香族5員環を形成する場合は、X11は単なる結合手を表す。R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基、シリル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族炭化水素環基又は非芳香族複素環基を表す。環Aは、5員もしくは6員の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。〕
4.前記一般式(3)で表される部分構造が、下記一般式(4)で表される部分構造であることを特徴とする第3項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0005884626
〔式中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基、シリル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族炭化水素環基又は非芳香族複素環基を表す。〕
5.前記一般式(1)におけるVで表される三価の連結基が、下記一般式(5)で表される部分構造であることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0005884626
〔式中、Y〜Yは、各々CR又は窒素原子を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基またはシリル基を表す。〕
6.前記一般式(1)におけるVで表される三価の連結基が、下記V−1〜V−43から選択される部分構造であることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子
Figure 0005884626
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.前記一般式(1)におけるS〜Sが、各々原子数が2n個となる二価の連結基(但し、nは2〜6の整数を表す。)であることを特徴とする第1項から第項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
.前記二価の連結基におけるnが、3又は4であることを特徴とする第項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
.前記一般式(1)におけるS〜Sが、全て同一の化学構造の連結基であることを特徴とする第1項から第項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
10.前記発光層の少なくとも1層が、前記一般式(1)で表される6座配位型オルトメタル化イリジウム錯体を含有することを特徴とする第1項から第項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
.白色に発光することを特徴とする第1項から第10項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
.第1項から第1項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を具備したことを特徴とする表示装置。
.第1項から第1項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を具備したことを特徴とする照明装置。
本発明の上記手段により、低電圧駆動が可能で、高発光効率及び長寿命で、かつ経時安定性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子と、該有機エレクトロルミネッセンス素子を具備した照明装置及び表示装置を提供することができる。
本発明で規定する構成により、上記問題を解決することができたのは、以下の理由によるものと推測している。
従来、有機EL素子に適用されいた配位子の構成要素である5員環を有するオルトメタル化イリジウム錯体は、6員環のみで構成されるフェニルピリジン系のオルトメタル化イリジウム錯体よりも短波長の発光が得られる点で注目されているが、未だ実用フェーズで要求される品質に耐えうるような素子寿命や高発光効率を得るには至っていないのが現状であった。これら5員環を有する配位子のオルトメタル化イリジウム錯体は、フェニルピリジン系のオルトメタル化イリジウム錯体に比較して、ホールの注入が悪く、駆動電圧が上昇しており、また、従来公知のオルトメタル化イリジウム錯体は、有機EL素子の構成層中で金属錯体同士の凝集が起こりやすいために、実用に耐えうるような素子寿命や高発光効率が得られていないかと推定し、これら問題点の解決に向け、鋭意検討を進めた。
その結果、有機EL素子に適用するイリジウム錯体として、本発明に係る一般式(1)で表される6座配位型オルトメタル化イリジウム錯体を用いることにより、素子寿命が改善され、高発光効率で、かつ駆動電圧の低下が可能になることを見出した。
本発明に係る一般式(1)で表される6座配位型オルトメタル化イリジウム錯体を適用することにより、本発明の目的を達成することができた理由としては、配位子と連結基の間に、S〜S としてS−4〜S−44から選択される二価の連結基を導入することにより、イリジウム錯体に適度な柔軟性が付与され、イリジウム錯体の歪みが軽減することにより、熱安定性と共に励起状態やラジカルアニオン又はラジカルカチオンの安定性が向上し、さらに金属錯体同士の凝集も抑制できたことにより、有機EL素子の駆動電圧が低下し、発光効率および素子寿命が向上したものと推定している。
有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図 図1に記載の表示部Aの一例を示す模式図 図2に記載の画素の構成の一例を示す模式図 パッシブマトリクス方式フルカラー表示装置の一例を示す模式図 有機EL素子を具備した照明装置の一例を示す概略図 有機EL素子を具備した照明装置の一例を示す模式図
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と陰極との間に、少なくとも1層の発光層を有し、前記一般式(1)で表される6座配位型オルトメタル化イリジウム錯体を含有することを特徴とし、低電圧駆動が可能で、高発光効率及び長寿命で、かつ経時安定性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子を実現することができる。この特徴は、第1項から第1項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の目的とする効果をより発現できる観点から、前記一般式(1)における前記一般式(2)で表されるL〜Lのうち、少なくとも一つのX〜Xが形成する5員環が、イミダゾール環であることが好ましい。また、前記一般式(2)で表される部分構造が、前記一般式(3)で表される部分構造であることが好ましい。また。前記一般式(3)で表される部分構造が、前記一般式(4)で表される部分構造であることが好ましい。
また、前記一般式(1)におけるVで表される三価の連結基が、前記一般式(5)で表される部分構造であることが好ましい。
また、前記一般式(1)におけるS〜Sが、各々原子数が2n個となる二価の連結基(但し、nは2〜6の整数を表す。)であることが好ましく、更には、前記二価の連結基におけるnが、3又は4であることが好ましい。
また、前記一般式(1)において、S〜Sが、全て同一の化学構造であることが好ましい。
また、本発明においては、有機EL素子を構成する発光層の少なくとも1層が、前記一般式(1)で表される6座配位型オルトメタル化イリジウム錯体を含有することが好ましい。また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子が、白色に発光することが好ましい。
更に、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を具備した照明装置、及び本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を具備した表示装置であることを特徴とする。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本発明において示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子においては、陽極と陰極との間に、少なくとも1層の発光層を有し、前記一般式(1)で表される6座配位型オルトメタル化イリジウム錯体を含有することを特徴とする。
《一般式(1)で表される6座配位型オルトメタル化イリジウム錯体》
本発明に係る一般式(1)で表される6座配位型オルトメタル化イリジウム錯体(以下、本発明に係るオルトメタル化イリジウム錯体ともいう。)について説明する。
本発明に係るオルトメタル化イリジウム錯体は、本発明の有機EL素子の構成層のいずれかの層に用いることができるが、本発明の効果(例えば、有機EL素子の発光効率(詳しくは、外部取り出し量子効率)の向上、半減寿命の増大、駆動電圧の低下)を十分に発現することができる観点からは、有機EL素子の発光層、更に、該発光層中における発光ドーパント(以下、単にドーパントともいう。)として用いることが好ましい。
尚、本発明の有機EL素子の構成層については、後に詳細に説明する。
本発明に係るオルトメタル化イリジウム錯体は、前記一般式(1)で表される。
前記一般式(1)において、Vは三価の連結基を表し、好ましくは以下に示すV−1〜V−43から選択される3価の連結基であるが、本発明はこれらに限定されない。なお、下記の三価の連結基V−1〜V−43に記載した*は、それぞれS〜Sとの連結部位を表す。
Figure 0005884626
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本発明に係るオルトメタル化イリジウム錯体においては、Vで表される三価の連結基としてより好ましくは、下記一般式(5)で表される部分構造である。
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上記一般式(5)において、Y〜Yは、各々CR又は窒素原子を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基またはシリル基を表す。*は、それぞれS〜Sとの連結部位を表す。
以下に、一般式(5)で表される部分構造の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
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上記Vの例示構造の中でも、特に好ましくはV−36で表される部分構造である。
また、一般式(1)において、S1〜S3は下記S−4〜S−44から選択される二価の連結基であり、三価の連結基VおよびL〜Lと共有結合してIrの多座配位子を形成する。
以下にS〜Sで表される2価の連結基S−4〜S−44の構造を示す。なお、下記のS−4〜S−44に記載した*は、それぞれL〜Lと、あるいはVとの連結部位を表す。
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〜Sとして好ましい構造は、VとL〜Lとを、4〜12の偶数の原子を介して結合させる構造であり、例えば、S−4〜S−9、S−14〜S−20、S−17〜S−33、S−37〜S−44が好ましい例として挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
〜Sとしてより好ましくは、VとL〜Lとを6個又は8個の原子を介して結合させる場合であり、例えば、S−14〜S−20、S−27−S−33が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
〜Sとして特に好ましくは、VとL〜Lとを6個又は8個の原子を介して結合させ、かつS=S=Sの場合である。
一般式(1)で表される6座配位型オルトメタル化イリジウム錯体は、L〜LがそれぞれひとつのVとS〜Sによって連結されるものであり、VとS〜S以外で連結されることはない。
L1〜Lは、各々前記一般式(2)で表される部分構造であり、XとIrが配位結合を形成し、XとIrが共有結合を形成している。
一般式(2)において、X〜Xは含窒素複素環を形成する原子群であり、Xは炭素原子を表し、X〜Xは炭素原子又は窒素原子を表し、XとXの少なくとも一つは窒素原子を表す。X〜Xにより形成される含窒素複素環としては、好ましくは、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾールの各環が挙げられ、より好ましくは、イミダゾール環である。
〜X11は、芳香族5員環又は芳香族6員環を形成する炭素原子又は窒素原子である。芳香族5員環としては、好ましくはイミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環が挙げられ、芳香族6員環としてはベンゼン環、ピリジン環が挙げられ、好ましくはベンゼン環である。
これらX〜X11で表される芳香族5員環又は芳香族6員環は、更に置換基を有していてもよく、それらの置換基が結合して縮合環を形成しても良い。置換基としては、下記置換基群から選択される置換基が挙げられる。
置換基群:ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、ヘテロアリール基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基等)、非芳香族炭化水素環基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、非芳香族複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)が挙げられ、縮合環としては、9,9′−ジメチルフルオレン、カルバゾール、ジベンゾフラン等が挙げられる。
は置換又は無置換のアリール基を表し、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基が挙げられ、フェニル基が好ましい。フェニル基に置換する置換基としては、前記置換基群から選択され、好ましくはアルキル基、アリール基が挙げられる。
本発明においては、前記一般式(2)で表される部分構造が、前記一般式(3)で表される部分構造であることが好ましい。
前記一般式(3)において、X〜X11は上述した一般式(2)のそれぞれと同義である。R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基、シリル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族炭化水素環基又は非芳香族複素環基を表す。R及びRとして好ましくはアルキル基であり、R及びRとして好ましくは水素原子である。環Aは、5員もしくは6員の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、より好ましくは5員もしくは6員の芳香族炭化水素環であり、特に好ましくは6員環の芳香族炭化水素環である。
本発明においては、前記一般式(3)で表される部分構造が、前記一般式(4)で表される部分構造であることが好ましい。
前記一般式(4)において、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基、シリル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族炭化水素環基又は非芳香族複素環基を表し、Rとして好ましくはアルキル基又はアリール基であり、R及びRとして好ましくはアルキル基であり、Rとして好ましくは水素原子又はアルキル基である。
以下、本発明に係る一般式(1)で表されるオルトメタル化イリジウム錯体の具体例及び参考例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
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(6座配位型オルトメタル化イリジウム錯体の合成)
次いで、本発明に係る一般式(1)で表されるオルトメタル化イリジウム錯体として例示した上記化合物のうち、例示化合物I−12、例示化合物III−1、例示化合物IV−1、例示化合物IV−12、例示化合物VIII−4について、その具体的な合成方法を以下に示す。
〈合成例1:例示化合物I−12の合成〉
例示化合物I−12は、以下に示すスキームに従って合成して得ることができる。
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4−ブロモ−N−ホルミルベンズアミドとo−トリルヒドラジンを、メタノール中反応させることで、化合物Aを収率68%で得た。次いで、この化合物Aと3−ブチノールを園頭カップリングさせることで、化合物Bを収率54%で得た。次いで、この化合物Bを水添反応させることで、化合物Cを収率77%で得た。
次いで、化合物Cを四塩化臭素中で、トリフェニルホスフィン、イミダゾール存在下で反応させることで、化合物Dを有率66%で得た。次いで、この化合物Dを、ジメチルホルムアミド(DMF)中、水素化ナトリウムの存在下で1,3,5−ベンゼントリオールとエーテル化させることで、化合物Eを収率45%で得た。
次いで、化合物EとIr(acac)(トリス(アセチルアセトナート)イリジウム)を、エチレングリコール中で24時間反応させることで、例示化合物I−12を収率19%で得た。なお、構造はマススペクトルおよび1H−NMRで確認した。
〈合成例2:例示化合物III−1の合成〉
例示化合物III−1は、以下に示すスキームに従って合成して、得ることができる。
Figure 0005884626
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4−ブロモベンゾイルクロライドを、ピリジン−2−アニリンとトリエチルアミン存在下で、トルエンを溶媒として2時間撹拌することで、収率88%で化合物Fを得た。化合物Fを、オキシ塩化リンとトルエン溶媒で1時間加熱還流させた後、アミノアセタールとトリエチルアミンで反応させることで、化合物Gを得た。得られた化合物Gを、トルエン溶媒中で、リン酸と反応させることで、化合物Hを収率77%で得た。次いで、化合物Hと1,3,5−トリブチニルベンゼンを園頭カップリングさせることで、化合物Iを収率44%で得た。
最後に、化合物Iを水添反応させることで、例示化合物III−1を収率13%で得た。なお、構造はマススペクトルおよび1H−NMRで確認した。
〈合成例3:例示化合物IV−1の合成〉
例示化合物IV−1は、以下に示すスキームに従って合成して、得ることができる。
Figure 0005884626
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1,2,4−トリブロモベンゼンと4,5−ジメチル1,7−オクタジイルトリメチルシランを園頭カップリングさせることで、化合物Kを収率54%で得た。次いで、得られた化合物Kを、メタノール、水、テトラヒドロフラン(THF)溶媒中で、炭酸カリウムと反応させることで、化合物Lを収率67%で得た。
別途、4−ブロモベンゾイルクロライドと2,6−ジイソプロピルアニリンを、トリエチルアミン存在下で、トルエンを溶媒として2時間撹拌することで、収率88%で化合物Mを得た。化合物Mをオキシ塩化リンとトルエン溶媒で1時間加熱還流させた後、アミノアセタールとトリエチルアミンで反応させることで、化合物Nを得た。化合物Nをトルエン溶媒中で、リン酸と反応させることで、化合物Oを収率77%で得た。
次いで、上記で得られた化合物Oと化合物Lを園頭カップリングさせることで、化合物Pを33%で得た。化合物Pを水添反応させることで、化合物Qを66%で得た。
最後に、化合物QとIr(acac)をエチレングリコール中24時間反応させることで、例示化合物IV−1を収率18%で得た。なお、構造はマススペクトルおよび1H−NMRで確認した。
〈合成例4:例示化合物IV−12の合成〉
例示化合物IV―12を、以下に示すスキームに従って合成して得ることができる。
Figure 0005884626
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2−ブロモフェニルカルバゾールを塩化メチレン中で、N−ブロモスクシンイミド(NBS)と反応させることで、化合物Rを収率77%で得た。得られた化合物Rを、1,4−ペンタジイルトリメチルシランと園頭カップリングさせることで、化合物Sを収率50%で得た。得られた化合物Sを、メタノール、水、THFの混合溶媒中で、炭酸カリウムと反応させることで、化合物Tを収率63%で得た。
上記得られた化合物Tと、合成例3で合成した化合物Oを園頭カップリングさせることで、化合物Uを収率44%で得た。この化合物Uを水添反応させることで、化合物Vを収率66%で得た。
最後に、化合物VとIr(acac)をエチレングリコール中で24時間反応させることで、例示化合物IV−12を収率18%で得た。なお、構造はマススペクトルおよび1H−NMRで確認した。
〈合成例5:例示化合物VIII−4の合成〉
例示化合物VIII−4は、以下に示すスキームに従って合成して、得ることができる。
Figure 0005884626
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1,3,5−トリブロモベンゼンと1,5−ヘキサジイルトリメチルシランを園頭カップリングさせることで、化合物Wを収率41%で得た。得られた化合物Wを、水、THFの混合溶媒中で、炭酸カリウムと反応させることで、化合物Xを収率69%で得た。得られた化合物Xと、化合物Yを園頭カップリングさせることで、化合物Zを収率34%で得た。なお、化合物Yは、3,5−ジイソプロピルビフェニルアニリンから化合物Oの合成法に従い合成した。得られた化合物Zを水添反応させることで、化合物AAを収率53%で得た。
最後に、得られた化合物AAとIr(acac)をエチレングリコール中24時間反応させることで、例示化合物VIII−4を収率13%で得た。なお、構造はマススペクトルおよび1H−NMRで確認した。
《有機EL素子の構成層》
本発明の有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(i)陽極/発光層ユニット/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層ユニット/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
更に、発光層ユニットとしては、複数の発光層の間に非発光性の中間層を有していてもよく、該中間層が電荷発生層であるようなマルチフォトンユニット構成であってもよい。この場合、電荷発生層としては、ITO(スズドープ酸化インジウム、Indium Tin Oxide)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、ZnO、TiN、ZrN、HfN、TiO、VO、CuI、InN、GaN、CuAlO、CuGaO、SrCu、LaB、RuOなどの導電性無機化合物層や、Au/Bi等の2層膜や、SnO/Ag/SnO、ZnO/Ag/ZnO、Bi/Au/Bi、TiO/TiN/TiO、TiO/ZrN/TiO等の多層膜、またC60等のフラーレン類、オリゴチオフェン等の導電性有機物層、金属フタロシアニン類、無金属フタロシアニン類、金属ポルフィリン類、無金属ポルフィリン類等の導電性有機化合物層などが挙げられる。本発明の有機EL素子における発光層としては白色発光層であることが好ましく、これらを用いた照明装置であることが好ましい。
次いで、本発明の有機EL素子を構成する各層の詳細について説明する。
〔発光層〕
本発明の有機EL素子を構成する発光層は、電極又は電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子と正孔とが再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
発光層の膜厚の総和は、特に制限はないが、膜の均質性や、発光時に不必要な高電圧を印加するのを防止し、かつ、駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、2nm〜5μmの範囲に調整することが好ましく、更に好ましくは2〜200nmの範囲に調整され、特に好ましくは、5〜100nmの範囲である。
発光層の形成には、後述する発光ドーパント(例えば、本発明に係るオルトメタル化イリジウム錯体ほか)やホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、湿式法(ウェットプロセスともいい、例えば、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法(ラングミュア・ブロジェット(Langmuir Blodgett法))等を挙げることができる。)等により成膜して形成することができる。発光層に、本発明に係るオルトメタル化イリジウム錯体を用いる場合には、ウェットプロセスを用いて形成することが好ましい。。
本発明の有機EL素子の発光層には、発光ドーパント(リン光発光性ドーパント(リン光ドーパント、リン光発光性ドーパント基ともいう)や蛍光ドーパント等)化合物と、発光ホスト化合物とを含有することが好ましい。
(発光性ドーパント化合物)
以下、発光性ドーパント化合物(発光ドーパント、単にドーパントともいう)について説明する。
発光性ドーパントとしては、蛍光ドーパント(蛍光性化合物ともいう)、リン光ドーパント(リン光発光体、リン光性化合物、リン光発光性化合物等ともいう)を用いることができる。
〈リン光ドーパント〉
本発明に適用可能なリン光ドーパントについて説明する。
本発明に係るリン光ドーパント化合物は、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に係るリン光ドーパントは、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
リン光ドーパントの発光は原理としては2種挙げられ、1つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こって発光性ホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光ドーパントに移動させることでリン光ドーパントからの発光を得るというエネルギー移動型、もう1つはリン光ドーパントがキャリアトラップとなり、リン光ドーパント上でキャリアの再結合が起こり、リン光ドーパント化合物からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、リン光ドーパントの励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
本発明の有機EL素子は、発光層の少なくとも1つが、リン光発光性の有機金属錯体(リン光発光ドーパント、リン光ドーパント等ともいう。)を含有するが好ましいが、該リン光発光性の有機金属錯体として、本発明に係る一般式(1)で表されるオルトメタル化イリジウム錯体を含有することが、特に好ましい。
また、本発明に係る発光層には、以下の特許公報に記載されている従来公知の化合物等を併用してもよい。
例えば、国際公開第00/70655号、特開2002−280178号公報、特開2001−181616号公報、特開2002−280179号公報、特開2001−181617号公報、特開2002−280180号公報、特開2001−247859号公報、特開2002−299060号公報、特開2001−313178号公報、特開2002−302671号公報、特開2001−345183号公報、特開2002−324679号公報、国際公開第02/15645号、特開2002−332291号公報、特開2002−50484号公報、特開2002−332292号公報、特開2002−83684号公報、特表2002−540572号公報、特開2002−117978号公報、特開2002−338588号公報、特開2002−170684号公報、特開2002−352960号公報、国際公開第01/93642号、特開2002−50483号公報、特開2002−100476号公報、特開2002−173674号公報、特開2002−359082号公報、特開2002−175884号公報、特開2002−363552号公報、特開2002−184582号公報、特開2003−7469号公報、特表2002−525808号公報、特開2003−7471号公報、特表2002−525833号公報、特開2003−31366号公報、特開2002−226495号公報、特開2002−234894号公報、特開2002−235076号公報、特開2002−241751号公報、特開2001−319779号公報、特開2001−319780号公報、特開2002−62824号公報、特開2002−100474号公報、特開2002−203679号公報、特開2002−343572号公報、特開2002−203678号公報等である。
〈蛍光ドーパント〉
蛍光ドーパント(蛍光性化合物ともいう)としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等や、レーザー色素に代表される蛍光量子収率が高い化合物が挙げられる。
また、本発明に係る発光ドーパントは、複数種の化合物を併用して用いてもよく、構造の異なるリン光ドーパント同士の組み合わせや、リン光ドーパントと蛍光ドーパントを組み合わせて用いてもよい。
以下に、発光ドーパントとして、本発明に係る一般式(1)で表されるオルトメタル化イリジウム錯体と併用して用いることのできる従来公知の発光ドーパントの具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
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(発光ホスト化合物)
本発明において、ホスト化合物(発光ホスト等ともいう)とは、発光層に含有される化合物の内で、その層中での質量比が20%以上であり、かつ室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物と定義され、好ましくは、リン光量子収率が0.01未満である。
本発明に用いることができる発光ホストとしては、特に制限はなく、従来有機EL素子で用いられる化合物を用いることができる。代表的な化合物としては、カルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体、芳香族誘導体、含窒素複素環化合物、チオフェン誘導体、フラン誘導体、オリゴアリーレン化合物等の基本骨格を有するもの、又は、カルボリン誘導体やジアザカルバゾール誘導体(ここで、ジアザカルバゾール誘導体とは、カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭化水素環の少なくとも1つの炭素原子が窒素原子で置換されているものを表す。)等が挙げられる。
本発明に用いることができる公知の発光ホストとしては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、かつ発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。
また、本発明においては、従来公知の発光ホストを単独で用いてもよく、又は複数種併用して用いてもよい。発光ホストを複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。
また、前述のリン光ドーパントとして用いられる本発明に係る一般式(1)で表されるオルトメタル化イリジウム錯体又は従来公知の化合物を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
また、本発明に用いられる発光ホストとしては、低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(重合性発光ホスト)でもよく、このような化合物を一種又は複数種用いても良い。
公知の発光ホストの具体例としては、以下の特許文献に記載の化合物が挙げられる。
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等。
以下、本発明の有機EL素子の発光層に適用可能な発光ホストの具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
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更に、本発明の有機EL素子の発光層において、発光ホストとして特に好ましいものは、下記一般式(A)で表される化合物である。
Figure 0005884626
上記一般式(A)において、Xaは、酸素原子又は硫黄原子を表し、Xb、Xc、Xd、Xeは、各々水素原子、置換基又は下記一般式(B)で表される基を表し、Xb、Xc、Xd、Xeのうち少なくとも1つは、下記一般式(B)で表される基を表し、該一般式(B)で表される基のうち少なくとも1つは、Arがカルバゾリル基を表す。
一般式(B)
Ar−(L−*
上記一般式(B)において、Lは、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環から導出される二価の連結基を表す。nは、0又は1〜3の整数を表し、nが2以上の場合、複数のLは同じでも異なっていてもよい。*は、一般式(A)との連結部位を表す。Arは下記一般式(C)で表される基を表す。
Figure 0005884626
上記一般式(C)において、Xfは、N(R″)、酸素原子又は硫黄原子を表し、E〜Eは、C(R″)又は窒素原子を表す。R″及びR″は各々水素原子、置換基又はLとの連結部位を表す。*はLとの連結部位を表す。
上記一般式(A)で表される化合物においては、好ましくは、Xb、Xc、Xd、Xeのうち少なくとも2つが一般式(B)で表され、より好ましくは、Xcが一般式(B)で表され、かつ一般式(B)のArが置換基を有していてもよいカルバゾリル基を表す。
以下に、本発明の有機EL素子の発光層のホスト化合物(発光ホストともいう)として好ましく用いられる一般式(A)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0005884626
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また、本発明の有機EL素子の発光層の発光ホストとしては、下記一般式(A′)で表される化合物も、特に好ましく用いられる。
Figure 0005884626
上記一般式(A′)において、Xaは酸素原子又は硫黄原子を表し、Xb及びXcは、各々置換基又は上記一般式(B)で表される基を表し、Xb又はXcのうち少なくとも1つは、上記一般式(B)で表される基を表し、該一般式(B)で表される基のうち少なくとも1つは、Arがカルバゾリル基を表す。
上記一般式(A′)で表される化合物において、好ましくは、Xb及びXcのうち少なくとも一方が一般式(B)で表され、より好ましくは、一般式(B)のArが置換基を有していてもよいカルバゾリル基を表し、更に好ましくは、一般式(B)のArが置換基を有していてもよいN位でLと連結したカルバゾリル基を表す。
本発明の有機EL素子の発光層のホスト化合物(発光ホストともいう)として好ましく用いられる一般式(A′)で表される化合物は、具体的には、先に発光ホストとして用いられる具体例として挙げた、H−7、H−11、H−12、H−14、H−18、H−29、H−30、H−31、H−32が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
〔電子輸送層〕
電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は、単層もしくは複数層を設けることができる。
電子輸送層は、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、電子輸送層の構成材料としては、従来公知の化合物の中から任意のものを選択し併用することも可能である。
電子輸送層に用いられる従来公知の材料(以下、電子輸送材料という)の例としては、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の多環芳香族炭化水素、複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、カルボリン誘導体、又は、該カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の少なくとも一つが窒素原子で置換されている環構造を有する誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体等が挙げられる。
更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引性基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も電子輸送材料として用いることができる。
これらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(以下、Alqともいう)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(以下、Znqともいう)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も電子輸送材料として用いることができる。
その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも電子輸送材料として用いることができる。
また、n型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
電子輸送層は、電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、湿式法(ウェットプロセスともいい、例えば、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法(ラングミュア・ブロジェット(Langmuir Blodgett法)等を挙げることができる。))等により、薄膜化することにより形成することが好ましい。
なお、有機EL素子の構成層の形成法については、有機EL素子の作製方法のところで詳細に説明する。
電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5〜5000nmの範囲であり、好ましくは5〜200nmの範囲である。この電子輸送層は、上記材料の一種又は二種以上からなる一層構造であってもよい。
また、金属錯体やハロゲン化金属など金属化合物等のn型ドーパントをドープして用いてもよい。
以下、本発明の有機EL素子の電子輸送層の形成に好ましく用いられる従来公知の化合物(電子輸送材料)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
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〔陰極〕
陰極を構成する電極材料としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物が用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜200nmの範囲で選ばれる。尚、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極又は陰極のいずれか一方が透明又は半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1nm〜20nmの膜厚で作製した後に、後述する陽極の説明で挙げる導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
《注入層:電子注入層、正孔注入層》
注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、陽極と発光層又は正孔輸送層の間、及び陰極と発光層又は電子輸送層との間に存在させてもよい。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123頁〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、特表2003−519432や特開2006−135145等に記載されているようなヘキサアザトリフェニレン誘導体バッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体等に代表されるオルトメタル化錯体層等が挙げられる。
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウム、フッ化カリウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウム、フッ化セシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
〔阻止層:正孔阻止層、電子阻止層〕
阻止層は、有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、前述の電子輸送層の構成を必要に応じて、正孔阻止層として用いることができる。
本発明の有機EL素子の正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
正孔阻止層には、前述のホスト化合物として挙げた、カルバゾール誘導体、カルボリン誘導体、ジアザカルバゾール誘導体(ここで、ジアザカルバゾール誘導体とは、カルボリン環を構成する炭素原子のいずれかひとつが窒素原子で置き換わったものを示す)を含有することが好ましい。
また、本発明においては、複数の発光色の異なる複数の発光層を有する場合、その発光極大波長が最も短波にある発光層が、全発光層中、最も陽極に近いことが好ましいが、このような場合、該最短波層と該層の次に陽極に近い発光層との間に正孔阻止層を追加して設けることが好ましい。更には、該位置に設けられる正孔阻止層に含有される化合物の50質量%以上が、前記最短波発光層のホスト化合物に対しそのイオン化ポテンシャルが0.3eV以上大きいことが好ましい。
イオン化ポテンシャルは、化合物のHOMO(最高占有軌道)のエネルギー準位にある電子を、真空準位に放出するのに必要なエネルギーで定義され、例えば下記に示すような方法により求めることができる。
(1)米国Gaussian社製の分子軌道計算用ソフトウェアであるGaussian98(Gaussian98、Revision A.11.4,M.J.Frisch,et al,Gaussian,Inc.,Pittsburgh PA,2002.)を用い、キーワードとしてB3LYP/6−31G*を用いて構造最適化を行うことにより算出した値(eV単位換算値)として求めることができる。この計算値が有効な背景には、この手法で求めた計算値と実験値の相関が高いためである。
(2)イオン化ポテンシャルは光電子分光法で直接測定する方法により求めることもできる。例えば、理研計器社製の低エネルギー電子分光装置「Model AC−1」を用いて、あるいは紫外光電子分光として知られている方法を好適に用いることができる。
一方、電子阻止層とは、広い意味では正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明に係る正孔阻止層、電子輸送層の膜厚としては、好ましくは3〜100nmの範囲内であり、更に好ましくは5〜30nmの範囲である。
〔正孔輸送層〕
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は、単層又は複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
また、特表2003−519432号公報や特開2006−135145号公報等に記載されているようなアザトリフェニレン誘導体も同様に正孔輸送材料として用いることができる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(以下、TPDともいう);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベン;N−フェニルカルバゾール、更には米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(以下、NPDともいう)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(以下、MTDATAともいう)等が挙げられる。
更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような、いわゆるp型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることからこれらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層は、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。
正孔輸送層の膜厚については、特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲であり、好ましくは5〜200nmの範囲である。この正孔輸送層は、上記材料の一種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報の各公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
本発明においては、このようなp性の高い正孔輸送層を用いることが、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
〔陽極〕
本発明の有機EL素子を構成する陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。
また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10nm〜1000nm、好ましくは10nm〜200nmの範囲で選ばれる。
〔支持基板〕
本発明の有機EL素子に用いることのできる支持基板(以下、基体、基板、基材、支持体等ともいう。)としては、ガラス、プラスチック等、種類に特に限定はなく、また透明であっても不透明であってもよい。支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な支持基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい支持基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な可撓性の樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、バリア層として、無機物、有機物の被膜又はその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が0.01g/(m・24h)以下のバリア性フィルムであることが好ましく、更には、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3ml/(m・24h・atm)以下、水蒸気透過度が、1×10−5g/(m・24h・atm)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
バリア膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。更に、該バリア膜の脆弱性を改良するため、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリア膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
不透明な支持基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板、不透明フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
本発明の有機EL素子の発光の室温における外部取り出し効率は、1%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上である。
ここで、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、有機EL素子からの発光色を蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。色変換フィルターを用いる場合においては、有機EL素子の発光のλmaxは480nm以下が好ましい。
《有機EL素子の作製方法》
本発明の有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層(電子注入層)/陰極からなる有機EL素子の作製方法について説明する。
まず、適当な基体上に所望の電極物質、例えば、陽極形成用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜200nmの範囲の膜厚になるように形成させ、陽極を作製する。
次に、この上に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、陰極バッファー層の各有機機能層形成用の有機化合物を用いて薄膜を形成させる。
薄膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、湿式法(ウェットプロセスともいう)等により成膜して形成することができる。
湿式法としては、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法等があるが、精密な薄膜が形成可能で、かつ高生産性の点から、ダイコート法、ロールコート法、インクジェット法、スプレーコート法などのロール・ツー・ロール方式適性の高い方法が好ましい。また、層ごとに異なる成膜法を適用してもよい。
本発明に係る各有機機能層の形成材料を溶解又は分散する液媒体としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の有機溶媒を用いることができる。
また、分散方法としては、超音波、高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。
これらの層の形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。
また、順序を逆にして、陰極、陰極バッファー層、電子輸送層、正孔阻止層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
このようにして得られた多色の表示装置に、直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2V〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。尚、印加する交流の波形は任意でよい。
本発明の有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製する方法が好ましいが、途中で取り出して異なる成膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
《封止》
本発明に用いられる封止手段としては、例えば、封止部材と電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。
封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されておればよく、凹板状でも平板状でもよい。また、透明性、電気絶縁性は特に問わない。
具体的には、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。
また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等から形成されたものを挙げることができる。
金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属又は合金からなるものが挙げられる。
本発明においては、素子を薄膜化できるということから、ポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。
更には、ポリマーフィルムは、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24h・atm)以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h・atm)以下のものであることが好ましい。
封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。
接着剤としては、具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また、有機層を挟み支持基板と対向する側の電極の外側に該電極と有機層を被覆し、支持基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適にできる。この場合、該膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。
更に、該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
《保護膜、保護板》
有機層を挟み支持基板と対向する側の前記封止膜、あるいは前記封止用フィルムの外側に、有機EL素子の機械的強度を高めるため、保護膜あるいは保護板を設けてもよい。特に、封止が前記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。これに使用することができる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量且つ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
《光取り出し》
有機EL素子は、空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15〜20%程度の光しか取り出せないことが一般的であるといわれている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として光が素子側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(米国特許第4,774,435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(特開昭63−314795号公報)、素子の側面等に反射面を形成する方法(特開平1−220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(特開昭62−172691号公報)、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(特開2001−202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)等がある。
本発明においては、これらの方法を本発明の有機EL素子と組み合わせて用いることができるが、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、あるいは基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法を好適に用いることができる。
本発明はこれらの手段を組み合わせることにより、更に高輝度あるいは耐久性に優れた素子を得ることができる。
透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚みで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど外部への取り出し効率が高くなる。
低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマー等が挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度であるので、低屈折率層は屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。また、更に1.35以下であることが好ましい。
また、低屈折率媒質の厚みは媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは低屈折率媒質の厚みが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。
全反射を起こす界面もしくはいずれかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は回折格子が1次の回折や2次の回折といった所謂ブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光のうち層間での全反射等により外に出ることができない光を、いずれかの層間もしくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。
導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。
しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
回折格子を導入する位置としては前述の通り、いずれかの層間もしくは媒質中(透明基板内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。
このとき、回折格子の周期は媒質中の光の波長の約1/2〜3倍程度が好ましい。
回折格子の配列は正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状等、2次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
《集光シート》
本発明の有機EL素子では、基板の光取り出し側に、例えば、マイクロレンズアレイ状の構造を設けるように加工する、あるいは所謂集光シートと組み合わせることにより、特定方向、例えば、素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10〜100μmの範囲が好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大きすぎると厚みが厚くなり好ましくない。
集光シートとしては、例えば、液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。このようなシートとして、例えば、住友スリーエム社製輝度上昇フィルム(BEF)等を用いることができる。
プリズムシートの形状としては、例えば、基材に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であってもよい。
また、発光素子からの光放射角を制御するために、光拡散板・フィルムを集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)等を用いることができる。
《用途》
本発明の有機EL素子は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。発光光源として、例えば、照明装置(家庭用照明、車内照明)、時計や液晶用バックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特に液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
本発明の有機EL素子においては、必要に応じ成膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもよいし、電極と発光層をパターニングしてもよいし、素子全層をパターニングしてもよく、素子の作製においては、従来公知の方法を用いることができる。
本発明の有機EL素子や本発明に係る化合物の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング(株)製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
また、本発明の有機EL素子は白色発光素子であることが好ましい。本発明でいう白色とは、2度視野角正面輝度を上記方法により測定した際に、1000cd/mでのCIE1931表色系における色度がX=0.33±0.07、Y=0.33±0.1の領域内にあることを言う。
《表示装置》
本発明の表示装置について説明する。本発明の表示装置は、本発明の有機EL素子を具備したものである。
本発明の表示装置は、単色でも多色でもよいが、ここでは多色表示装置について説明する。多色表示装置の場合は、発光層形成時のみシャドーマスクを設け、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で膜を形成できる。
発光層のみパターニングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジェット法、スピンコート法、印刷法である。
表示装置に具備される有機EL素子の構成は、必要に応じて上記の有機EL素子の構成例の中から選択される。
また、有機EL素子の製造方法は、上記の本発明の有機EL素子の製造の一態様に示したとおりである。
得られた多色表示装置に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2V〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。更に交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。尚、印加する交流の波形は任意でよい。
多色表示装置は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。表示デバイス、ディスプレイにおいて、青、赤、緑発光の3種の有機EL素子を用いることによりフルカラーの表示が可能となる。
表示デバイス、ディスプレイとしては、テレビ、パソコン、モバイル機器、AV機器、文字放送表示、自動車内の情報表示等が挙げられる。特に静止画像や動画像を再生する表示装置として使用してもよく、動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。
発光光源としては、家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
以下、本発明の有機EL素子を有する表示装置の一例を図面に基づいて説明する。
図1は、有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。有機EL素子の発光により画像情報の表示を行う、例えば、携帯電話等のディスプレイの模式図である。
ディスプレイ1は、複数の画素を有する表示部A、画像情報に基づいて表示部Aの画像走査を行う制御部B等からなる。
制御部Bは表示部Aと電気的に接続され、複数の画素それぞれに外部からの画像情報に基づいて走査信号と画像データ信号を送り、走査信号により走査線毎の画素が画像データ信号に応じて順次発光して画像走査を行って画像情報を表示部Aに表示する。
図2は、表示部Aの模式図である。
表示部Aは基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と複数の画素3等とを有する。表示部Aの主要な部材の説明を以下に行う。
図2においては、画素3の発光した光Lが白矢印方向(下方向)へ取り出される場合を示している。
配線部の走査線5及び複数のデータ線6は、それぞれ導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は、図示していない)。
画素3は、走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。
発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素を適宜同一基板上に並置することによって、フルカラー表示が可能となる。
次に、画素の発光プロセスを説明する。
図3は、画素3の配線の一例を示す模式図である。
画素3は、有機EL素子10、スイッチングトランジスタ11、駆動トランジスタ12、コンデンサ13等を備えている。複数の画素3に有機EL素子10として、赤色、緑色、青色発光の有機EL素子を用い、これらを同一基板上に並置することでフルカラー表示を行うことができる。
図3において、制御部Bからデータ線6を介してスイッチングトランジスタ11のドレインに画像データ信号が印加される。そして、制御部Bから走査線5を介してスイッチングトランジスタ11のゲートに走査信号が印加されると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオンし、ドレインに印加された画像データ信号がコンデンサ13と駆動トランジスタ12のゲートに伝達される。
画像データ信号の伝達により、コンデンサ13が画像データ信号の電位に応じて充電されるとともに、駆動トランジスタ12の駆動がオンする。駆動トランジスタ12は、ドレインが電源ライン7に接続され、ソースが有機EL素子10の電極に接続されており、ゲートに印加された画像データ信号の電位に応じて電源ライン7から有機EL素子10に電流が供給される。
制御部Bの順次走査により走査信号が次の走査線5に移ると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフする。しかし、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフしてもコンデンサ13は充電された画像データ信号の電位を保持するので、駆動トランジスタ12の駆動はオン状態が保たれて、次の走査信号の印加が行われるまで有機EL素子10の発光が継続する。順次走査により次に走査信号が印加されたとき、走査信号に同期した次の画像データ信号の電位に応じて駆動トランジスタ12が駆動して有機EL素子10が発光する。
即ち、有機EL素子10の発光は、複数の画素それぞれの有機EL素子10に対して、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタ11と駆動トランジスタ12を設けて、複数の画素3それぞれの有機EL素子10の発光を行っている。このような発光方法をアクティブマトリクス方式と呼んでいる。
ここで、有機EL素子10の発光は、複数の階調電位を持つ多値の画像データ信号による複数の階調の発光でもよいし、2値の画像データ信号による所定の発光量のオン、オフでもよい。また、コンデンサ13の電位の保持は次の走査信号の印加まで継続して保持してもよいし、次の走査信号が印加される直前に放電させてもよい。
本発明においては、上述したアクティブマトリクス方式に限らず、走査信号が走査されたときのみデータ信号に応じて有機EL素子を発光させるパッシブマトリクス方式の発光駆動でもよい。
図4は、パッシブマトリクス方式による表示装置の模式図である。
図4において、複数の走査線5と複数の画像データ線6が、画素3を挟んで対向して格子状に設けられている。
順次走査により走査線5の走査信号が印加されたとき、印加された走査線5に接続している画素3が、画像データ信号に応じて発光する。
パッシブマトリクス方式では、画素3にアクティブ素子が無く、製造コストの低減が計れる。
《照明装置》
本発明の照明装置について説明する。
本発明の照明装置においては、本発明の有機EL素子を具備することを特徴とする。
本発明の照明装置に適用する有機EL素子としては、本発明の有機EL素子に共振器構造を持たせた構成としてよく、このような共振器構造を有した有機EL素子の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより上記用途に使用してもよい。
また、本発明の有機EL素子は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。
動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。又は、異なる発光色を有する本発明の有機EL素子を2種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。
また、本発明の有機EL材料は、照明装置として、実質白色の発光を生じる有機EL素子に適用できる。複数の発光材料により複数の発光色を同時に発光させて混色により白色発光を得る。複数の発光色の組み合わせとしては、赤色、緑色、青色の3原色の3つの発光極大波長を含有させたものでもよいし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した2つの発光極大波長を含有したものでもよい。
また複数の発光色を得るための発光材料の組み合わせは、複数のリン光又は蛍光で発光する材料を複数組み合わせたもの、蛍光又はリン光で発光する発光材料と、発光材料からの光を励起光として発光する色素材料との組み合わせたもののいずれでもよいが、本発明に係る白色有機EL素子においては、発光ドーパントを複数組み合わせ混合するだけでよい。
発光層、正孔輸送層あるいは電子輸送層等の形成時のみマスクを設け、マスクにより塗り分ける等単純に配置するだけでよく、他層は共通であるのでマスク等のパターニングは不要であり、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で例えば電極膜を形成でき、生産性も向上する。
この方法によれば、複数色の発光素子をアレー状に並列配置した白色有機EL装置と異なり、素子自体が発光白色である。
発光層に用いる発光材料としては特に制限はなく、例えば、液晶表示素子におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルター)特性に対応した波長範囲に適合するように、本発明に係る金属錯体、また公知の発光材料の中から任意のものを選択して組み合わせて白色化すればよい。
《本発明の照明装置の一態様》
本発明の有機EL素子を具備した本発明の照明装置の一態様について説明する。
本発明の有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、厚み300μmのガラス基板を封止用基板として用いて、周囲にシール材として、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを陰極上に重ねて透明支持基板と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して、硬化させて、封止し、図5、図6に示すような照明装置を形成することができる。
図5は、照明装置の概略図を示し、本発明の有機EL素子101はガラスカバー102で覆われている(尚、ガラスカバーでの封止作業は、有機EL素子101を大気に接触させることなく窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)で行った。)。
図6は、照明装置の断面図を示し、図6において、105は陰極、106は有機EL層、107は透明電極付きガラス基板を示す。尚、ガラスカバー102内には窒素ガス108が充填され、捕水剤109が設けられている
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
実施例1
《有機EL素子の作製》
下記の方法に従って、蒸着法を用いて、青色発光の有機EL素子1−1〜1−12を作製した。
〔有機EL素子1−1の作製〕
陽極として、100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上に、ITO(スズドープ酸化インジウム)を100nm成膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
この透明支持基板を、市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方、モリブデン抵抗加熱ボートに、正孔注入材料として銅フタロシアニンを200mg入れ、別のモリブデン抵抗加熱ボートに、正孔輸送材料としてα−NPDを200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにホスト化合物として例示化合物H−33を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートに、発光性ドーパント化合物としてD−1を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートに、電子輸送材料としてAlqを200mg入れ、真空蒸着装置に取り付けた。
次いで、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銅フタロシアニンの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で、透明支持基板上に蒸着し20nmの正孔注入層を形成した。
次いで、α−NPDの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で、上記形成した正孔注入層上に、厚さ20nmの正孔輸送層を形成した。
更に、ホスト化合物である例示化合物H−33と、ドーパント化合物であるD−1の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、それぞれ蒸着速度0.1nm/秒、0.006nm/秒で、前記正孔輸送層上に共蒸着し、厚さ20nmの発光層を形成した。
更に、Alqの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で、上記形成した発光層上に蒸着して、厚さ20nmの電子輸送層を形成した。
次いで、陰極バッファー層としてフッ化リチウムを厚さ0.5nmで蒸着し、更にアルミニウム薄膜を、厚さで110nmを蒸着して、陰極を形成し、比較例である有機EL素子1−1を作製した。
〔有機EL素子1−2〜1−20の作製〕
上記有機EL素子1−1の作製において、ドーパント化合物(D−1)及びホスト化合物(H−33)を、表1に記載の化合物にそれぞれ変更した以外は同様にして、有機EL素子1−2〜1−20を作製した。
なお、上記有機EL素子1−1〜1−20の作製に用いた例示した化合物以外の化合物の具体的な構造を、以下に示す。なお、ドーパント化合物D−1及びD−2は、比較例であるドーパント化合物である。
Figure 0005884626
《有機EL素子の評価》
〔照明装置の作製〕
上記作製した有機EL素子1−1〜1−20の評価に際し、各有機EL素子を作製した後、その非発光面側をガラスケースで覆い、厚み300μmのガラス基板を封止用基板として用いて、周囲にシール材としてエポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを上記陰極上に重ねて透明支持基板と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して、硬化、封止して、図5及び図6に示す構成からなる照明装置1−1〜1−20を形成して、それを用いて、下記の各評価を行った。
(外部取り出し量子効率の評価)
上記作製した照明装置の有機EL素子について、23℃、乾燥窒素ガス雰囲気下で2.5mA/cm定電流を印加した時の外部取り出し量子効率(%)を測定した。測定には分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング製)を用いた。なお、外部取り出し量子効率は、有機EL素子1−1の測定値を100とした相対値で表示した。数値が大きいほど、外部取り出し量子効率が高いことを表す。
(発光寿命の評価)
上記作製した照明装置の有機EL素子について、2.5mA/cmの一定電流で駆動したときに、輝度が発光開始直後の輝度(初期輝度)の半分に低下するのに要した時間を測定し、これを半減寿命時間(τ0.5)として寿命の指標とした。測定には分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング製)を用いた。なお、発光寿命は、有機EL素子1−1の測定値を100とした相対値で表示した。数値が大きいほど、発光寿命に優れていることを表す。
(発光色の評価)
上記作製した照明装置の有機EL素子について、2.5mA/cmの定電流条件下で連続発光を行った際の発光色を目視で評価した。
以上により得られた結果を、表1に示す。
Figure 0005884626
表1に記載の結果よりあきらかなように、発光層のドーパント化合物として、本発明に係る一般式(1)で表される6座配位型オルトメタル化イリジウム錯体を用いた本発明の有機EL素子は、比較例に対し、外部取り出し量子効率が高く、素子の長寿命化が達成されていることが分かる。
実施例2
《有機EL素子の作製》
下記の方法に従って、ウェットプロセス法を用いて、青色発光の有機EL素子2−1〜1−10を作製した。
〔有機EL素子2−1の作製〕
陽極として、100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上に、ITOを厚さ100nmで成膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
次いで、この透明支持基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer社製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を用い、3000rpm、30秒の条件で、スピンコート法により薄膜を形成した後、200℃にて1時間乾燥し、膜厚20nmの第1正孔輸送層を設けた。
この基板を窒素雰囲気下に移し、上記形成した第1正孔輸送層上に、50mgのα−NPDを10mlのトルエンに溶解した溶液を用いて1500rpm、30秒の条件下、スピンコート法により薄膜を形成した。更に、60℃で1時間真空乾燥し、厚さ約20nmの第2正孔輸送層を形成した。
次いで、この第2正孔輸送層上に、100mgのホスト化合物である例示化合物H−33と10mgのドーパント化合物D−1(前出)とを10mlの酢酸ブチルに溶解した溶液を用いて600rpm、30秒の条件下、スピンコート法により薄膜を形成した。更に60℃で1時間真空乾燥し、厚さ約70nmの発光層を形成した。
次に、この発光層上に、50mgのAlq(前出)を10mlのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解した溶液を用いて1000rpm、30秒の条件下、スピンコート法により薄膜を形成した。更に60℃で1時間真空乾燥し、厚さが約30nmの電子輸送層を形成した。
続いて、この基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、陰極バッファー層としてフッ化カリウム0.4nmを蒸着し、更にアルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成し、有機EL素子2−1を作製した。
〔有機EL素子2−2〜2−10の作製〕
上記有機EL素子2−1の作製において、ドーパント化合物(D−1)及びホスト化合物(H−33)を、表2に記載の化合物にそれぞれ変更した以外は同様にして、有機EL素子2−2〜2−10を作製した。
《有機EL素子の評価》
上記作製した有機EL素子2−1〜2−10について、実施例1に記載の方法と同様にして、照明装置2−1〜2−10を形成した後、実施例1に記載の方法と同様にして、外部取り出し量子効率の評価、発光寿命の評価、発光色の評価を行い、得られた結果を表2に示す。
Figure 0005884626
表2に記載の結果よりあきらかなように、発光層のドーパント化合物として、本発明に係る一般式(1)で表される6座配位型オルトメタル化イリジウム錯体を用いた本発明の有機EL素子は、比較例に対し、外部取り出し量子効率が高く、素子の長寿命化が達成されていることが分かる。
実施例3
《有機EL素子の作製》
下記の方法に従って、蒸着法を用いて、白色発光の有機EL素子3−1〜3−10を作製した。
〔有機EL素子3−1の作製〕
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウムチンオキシド)を100nm成膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
この透明支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方、モリブデン抵抗加熱ボートに正孔注入材料として銅フタロシアニンを200mg入れ、別のモリブデン抵抗加熱ボートに正孔輸送材料としてα−NPD(前出)を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートに、ホスト化合物として例示化合物H−33を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートに、青色発光性ドーパント化合物としてD−1(前出)を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートに、緑色発光性ドーパント化合物としてIr(piq)を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートに赤色発光性ドーパント化合物としてIr(ppy)を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートに電子輸送材料としてAlq(前出)を200mg入れ、真空蒸着装置に取り付けた。
次いで、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銅フタロシアニンの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で、透明支持基板に蒸着して、厚さ20nmの正孔注入層を形成した。
次いで、α−NPDの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で、正孔注入層上に蒸着し、厚さ20nmの正孔輸送層を形成した。
次いで、ホスト化合物である例示化合物H−33と、ドーパントであるD−1とIr(piq)とIr(ppy)の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、それぞれ蒸着速度0.1nm/秒、0.025nm/秒、0.007nm/秒、0.002nm/秒で、正孔輸送層上に共蒸着し、厚さ20nmの発光層を設けた。
更に、Alqの入った加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で、上記形成した発光層上に蒸着し、厚さ20nmの電子輸送層を設けた。
引き続き、陰極バッファー層としてフッ化リチウムを厚さ0.5nmで蒸着し、更にアルミニウム薄膜を厚さ110nmで蒸着して陰極を形成し、有機EL素子3−1を作製した。
〔有機EL素子3−2〜3−10の作製〕
上記有機EL素子3−1の作製において、ドーパント化合物(D−1)及びホスト化合物(H−33)を、表3に記載の化合物にそれぞれ変更した以外は同様にして、有機EL素子3−2〜3−10を作製した。
以下に、緑色発光性ドーパント化合物であるIr(ppy)と、赤色発光性ドーパント化合物であるIr(piq)の構造を示す。
Figure 0005884626
《有機EL素子の評価》
上記作製した有機EL素子3−1〜3−10について、実施例1に記載の方法と同様にして、照明装置3−1〜3−10を形成した後、実施例1に記載の方法と同様にして、発光寿命の評価及び発光色の評価と、下記の方法に従って、駆動電圧の評価を行った。
(駆動電圧の評価)
上記作製した表示装置の有機EL素子を、室温(25℃)で、2.5mA/cmの定電流条件下で駆動したときの電圧を各々測定し、有機EL素子3−1の駆動電圧を100とする相対値を求めた。数値が小さいほど、より低電圧で駆動できることを表す。
以上により得られた結果を、表3に示す。
Figure 0005884626
表3に記載の結果よりあきらかなように、発光層のドーパント化合物として、本発明に係る一般式(1)で表される6座配位型オルトメタル化イリジウム錯体を用いた白色発光の本発明の有機EL素子は、比較例に対し、素子としての長寿命化及び低電圧駆動化が達成できていることが分かる。
実施例4
《有機EL素子の作製》
下記の方法に従って、ウェットプロセス法を用いて、白色発光の有機EL素子4−1〜4−10を作製した。
〔有機EL素子4−1の作製〕
陽極として、100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITOを、厚さ100nmで成膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
次いで、この透明支持基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer社製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を用いて3000rpm、30秒の条件下、スピンコート法により薄膜を形成した後、200℃にて1時間乾燥し、厚さ20nmの第1正孔輸送層を形成した。
ついで、この基板を窒素雰囲気下に移し、上記形成した第1正孔輸送層上に、50mgのα−NPD(前出)を10mlのトルエンに溶解した溶液を用いて、1500rpm、30秒の条件下、スピンコート法により薄膜を形成した。更に、60℃で1時間真空乾燥し、厚さ約20nmの第2正孔輸送層を形成した。
次いで、この第2正孔輸送層上に、100mgの例示化合物H−30と20mgのD−1(前出)と0.5mgのIr(ppy)(前出)と0.2mgのIr(piq)(前出)を10mlの酢酸ブチルに溶解した溶液を用いて、600rpm、30秒の条件下、スピンコート法により薄膜を形成した。更に、60℃で1時間真空乾燥し、厚さが約70nmの発光層を形成した。
次いで、この発光層上に、50mgのAlq(前出)を10mlのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解した溶液を用いて1000rpm、30秒の条件下、スピンコート法により薄膜を形成した。更に、60℃で1時間真空乾燥し、厚さ約30nmの電子輸送層を形成した。
続いて、この基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、陰極バッファー層としてフッ化カリウムを厚さ0.4nmで蒸着し、更にアルミニウム薄膜を厚さ110nmで蒸着して陰極を形成し、有機EL素子4−1を作製した。
〔有機EL素子4−2〜4−10の作製〕
上記有機EL素子4−1の作製において、ドーパント化合物(D−1)及びホスト化合物(H−30)を、表4に記載の化合物にそれぞれ変更した以外は同様にして、有機EL素子4−2〜4−10を作製した。
《有機EL素子の評価》
上記作製した有機EL素子4−1〜4−10について、実施例1に記載の方法と同様にして、照明装置4−1〜4−10を形成した後、実施例3に記載の方法と同様にして、発光寿命の評価、駆動電圧の評価及び発光色の評価を行い、得られた結果を表4に示す。
Figure 0005884626
表4に記載の結果よりあきらかなように、発光層のドーパント化合物として、本発明に係る一般式(1)で表される6座配位型オルトメタル化イリジウム錯体を用いた本発明の有機EL素子は、比較例に対し、素子としての長寿命化及び低電圧駆動化が達成できていることが分かる。
実施例5
《有機EL素子の作製》
下記の方法に従って、ウェットプロセス法を用いて、複数の発光層を有する白色発光の有機EL素子5−1〜5−10を作製した。
〔有機EL素子5−1の作製〕
陽極として、100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上に、ITOを100nm成膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
次いで、この透明支持基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer社製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を用いて3000rpm、30秒の条件下、スピンコート法により薄膜を形成した後、200℃にて1時間乾燥し、厚さ20nmの第1正孔輸送層を形成した。
次いで、この基板を窒素雰囲気下に移し、上記形成した第1正孔輸送層上に、50mgのα−NPD(前出)を10mlのトルエンに溶解した溶液を用いて1500rpm、30秒の条件下、スピンコート法により薄膜を形成した。更に60℃で1時間真空乾燥し、膜厚約20nmの第2正孔輸送層とした。
この第2正孔輸送層上に、ホスト化合物として100mgの例示化合物H−11と、ドーパント化合物として10mgの例示化合物D−1を、10mlの酢酸ブチルに溶解した溶液を用いて2000rpm、30秒の条件下、スピンコート法により薄膜を形成した。更に60℃で1時間真空乾燥し、厚さ約35nmの第1発光層を形成した。
次いで、この基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方、モリブデン製抵抗加熱ボートにホスト化合物として例示化合物H−11を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにIr(piq)(前出)を200mg入れ、別のモリブデン抵抗加熱ボートにIr(ppy)(前出)を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにAlq(前出)を200mg入れ、真空蒸着装置に取り付けた。
次いで、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、例示化合物H−11とIr(piq)とIr(ppy)の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、それぞれ蒸着速度0.1nm/秒、0.010nm/秒、0.002nm/秒で、上記形成した第1発光層上に共蒸着して、厚さ35nmの第2発光層を形成した。
次いで、Alqの入った加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で、前記第2発光層上に蒸着し、厚さ20nmの電子輸送層を形成した。
引き続き、陰極バッファー層として、フッ化リチウムを厚さ0.5nmで蒸着し、更にアルミニウム薄膜を、厚さ110nmで蒸着して陰極を形成し、有機EL素子5−1を作製した。
〔有機EL素子5−2〜5−10の作製〕
上記有機EL素子5−1の作製において、第1発光層の形成に用いたドーパント化合物(D−1)及びホスト化合物(H−11)を、表5に記載の化合物にそれぞれ変更した以外は同様にして、有機EL素子5−2〜5−10を作製した。
《有機EL素子の評価》
上記作製した有機EL素子5−1〜5−10について、実施例1に記載の方法と同様にして、照明装置5−1〜5−10を形成した後、実施例1に記載の方法と同様にして、外部取り出し量子効率の評価、発光寿命の評価及び発光色の評価と、下記の方法に従い、経時安定性の評価を行った。
(経時安定性)
上記作製した表示装置の有機EL素子を、70℃、60%RHの環境下で一ヶ月保存した後、保存前後における各電力効率を求め、各々の電力効率比を下式に従って求め、これを経時安定性の尺度とした。
経時安定性(%)=保存後の電力効率/保存前の電力効率×100
尚、電力効率については、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング社製)を用いて、各有機EL素子の正面輝度及び輝度角度依存性を測定し、正面輝度1000cd/mにおける電力効率を求めた。
以上により得られた結果を、表5に示す。
Figure 0005884626
表5に記載の結果よりあきらかなように、発光層のドーパント化合物として、本発明に係る一般式(1)で表される6座配位型オルトメタル化イリジウム錯体を用いた本発明の有機EL素子は、比較例に対し、外部取り出し量子効率が高く、素子の長寿命化が達成されて、かつ高温高湿環境下で長期間にわたり保存した後でも、電力効率の低下率が低く、経時安定性に優れていることが分かる。
実施例6
《有機EL素子の作製》
〔有機EL素子6−1の作製〕
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上に、ITOを100nm成膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
次いで、この透明支持基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer社製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を用いて3000rpm、30秒の条件下、スピンコート法により薄膜を形成した後、200℃にて1時間乾燥し、厚さ20nmの第1正孔輸送層を形成した。
次いで、この基板を窒素雰囲気下に移し、上記形成した第1正孔輸送層上に、50mgのα−NPD(前出)を10mlのトルエンに溶解した溶液を用いて、1500rpm、30秒の条件下、スピンコート法により薄膜を形成した。更に、60℃で1時間真空乾燥し、厚さ約20nmの第2正孔輸送層を形成した。
この第2正孔輸送層上に、ホスト化合物として100mgの例示化合物H−11と、ドーパント化合物として10mgの例示化合物D−1を、10mlの酢酸ブチルに溶解した溶液を用いて、2000rpm、30秒の条件下、スピンコート法により薄膜を形成した。更に、60℃で1時間真空乾燥して、厚さ約35nmの第1発光層を形成した。
次いで、この基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方、モリブデン製抵抗加熱ボートに例示化合物H−7を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートに、Ir(piq)(前出)を200mg入れ、別のモリブデン抵抗加熱ボートに、Ir(ppy)(前出)を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにAlq(前出)を200mg入れ、真空蒸着装置に取り付けた。
次いで、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、例示化合物H−7とIr(piq)とIr(ppy)の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、それぞれ蒸着速度0.1nm/秒、0.010nm/秒、0.002nm/秒で、上記形成した第1発光層上に共蒸着し。厚さ35nmの第2発光層を形成した。
更に、Alq(前出)の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で、上記形成した第2発光層上に蒸着し、厚さ20nmの電子輸送層を形成した。
引き続き、陰極バッファー層として、フッ化リチウムを厚さ0.5nmで蒸着し、更にアルミニウム薄膜を、厚さ110nmで蒸着して陰極を形成し、有機EL素子6−1を作製した。
〔有機EL素子6−2〜5−10の作製〕
上記有機EL素子5−1の作製において、第1発光層の形成に用いたドーパント化合物(D−1)及びホスト化合物(H−11)と、第2発光層の形成に用いたホスト化合物(H−7)を、表6に記載の化合物にそれぞれ変更した以外は同様にして、有機EL素子6−2〜6−10を作製した。
《有機EL素子の評価》
上記作製した有機EL素子6−1〜6−10について、実施例1に記載の方法と同様にして、照明装置6−1〜6−10を形成した後、実施例5に記載の方法と同様にして、外部取り出し量子効率の評価、発光寿命の評価、経時安定性の評価及び発光色の評価を行い、得られた結果を、表6に示す。
Figure 0005884626
表6に記載の結果よりあきらかなように、発光層のドーパント化合物として、本発明に係る一般式(1)で表される6座配位型オルトメタル化イリジウム錯体を用いた本発明の有機EL素子は、比較例に対し、外部取り出し量子効率が高く、素子の長寿命化が達成されて、かつ高温高湿環境下で長期間にわたり保存した後でも、電力効率の低下率が低く、経時安定性に優れていることが分かる。
実施例7
上記実施例1〜6で作製した本発明の有機EL素子を、公知の方法に従って、表示装置としての機能を確認した結果、表示装置として優れた効果を発現することを確認することができた。
1 ディスプレイ
3 画素
5 走査線
6 データ線
7 電源ライン
10 有機EL素子
11 スイッチングトランジスタ
12 駆動トランジスタ
13 コンデンサー
A 表示部
B 制御部
107 透明電極付きガラス基板
106 有機EL層
105 陰極
102 ガラスカバー
108 窒素ガス
109 捕水剤

Claims (13)

  1. 陽極と陰極との間に、少なくとも1層の発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、下記一般式(1)で表される6座配位型オルトメタル化イリジウム錯体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0005884626
    〔式中、Vは、三価の連結基を表す。S〜Sは、各々下記S−4〜S−44から選択される二価の連結基を表す。L〜Lは、各々下記一般式(2)で表される部分構造である。XとIrが配位結合し、XとIrが共有結合を形成している。Vは、S〜Sの各々と共有結合で連結しており、S〜Sは各々のL〜Lと共有結合で連結している。〕
    Figure 0005884626
    Figure 0005884626
    Figure 0005884626
    〔式中、X〜Xは、各々含窒素複素環を形成する原子群である。Xは、炭素原子を表し、X〜Xは、炭素原子又は窒素原子を表し、XとXの少なくとも一つは、窒素原子を表す。X〜X11は、芳香族5員環又は芳香族6員環を形成する炭素原子又は窒素原子を表す。但し、X〜X11が芳香族5員環を形成する場合、X11は単なる結合手を表す。Rは、置換もしくは無置換のアリール基を表す。〕
  2. 前記一般式(1)における前記一般式(2)で表されるL〜Lのうち、少なくとも一つのX〜Xが形成する5員環が、イミダゾール環であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記一般式(2)で表される部分構造が、下記一般式(3)で表される部分構造であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0005884626
    〔式中、X〜X11は、各々芳香族5員環又は芳香族6員環を形成する炭素原子又は窒素原子を表す。但し、X〜X11が芳香族5員環を形成する場合は、X11は単なる結合手を表す。R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基、シリル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族炭化水素環基又は非芳香族複素環基を表す。環Aは、5員もしくは6員の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。〕
  4. 前記一般式(3)で表される部分構造が、下記一般式(4)で表される部分構造であることを特徴とする請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0005884626
    〔式中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基、シリル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族炭化水素環基又は非芳香族複素環基を表す。〕
  5. 前記一般式(1)におけるVで表される三価の連結基が、下記一般式(5)で表される部分構造であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0005884626
    〔式中、Y〜Yは、各々CR又は窒素原子を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基またはシリル基を表す。〕
  6. 前記一般式(1)におけるVで表される三価の連結基が、下記V−1〜V−43から選択される部分構造であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0005884626
    Figure 0005884626
    Figure 0005884626
  7. 前記一般式(1)におけるS〜Sが、各々原子数が2n個となる二価の連結基(但し、nは2〜6の整数を表す。)であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  8. 前記二価の連結基におけるnが、3又は4であることを特徴とする請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  9. 前記一般式(1)におけるS〜Sが、全て同一の化学構造の連結基であることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  10. 前記発光層の少なくとも1層が、前記一般式(1)で表される6座配位型オルトメタル化イリジウム錯体を含有することを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  11. 白色に発光することを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  12. 請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を具備したことを特徴とする表示装置。
  13. 請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を具備したことを特徴とする照明装置。
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