JPWO2016056216A1 - ラインパイプ用鋼板及びその製造方法とラインパイプ用鋼管 - Google Patents

ラインパイプ用鋼板及びその製造方法とラインパイプ用鋼管 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2016056216A1
JPWO2016056216A1 JP2016552822A JP2016552822A JPWO2016056216A1 JP WO2016056216 A1 JPWO2016056216 A1 JP WO2016056216A1 JP 2016552822 A JP2016552822 A JP 2016552822A JP 2016552822 A JP2016552822 A JP 2016552822A JP WO2016056216 A1 JPWO2016056216 A1 JP WO2016056216A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
toughness
less
steel
strength
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016552822A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6288288B2 (ja
Inventor
仁 末吉
仁 末吉
石川 信行
信行 石川
遠藤 茂
茂 遠藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Publication of JPWO2016056216A1 publication Critical patent/JPWO2016056216A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6288288B2 publication Critical patent/JP6288288B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21DMODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
    • C21D8/00Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment
    • C21D8/02Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of plates or strips
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C38/00Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C38/00Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • C22C38/14Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing titanium or zirconium
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C38/00Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • C22C38/18Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium
    • C22C38/40Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium with nickel
    • C22C38/54Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium with nickel with boron

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Thermal Sciences (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Abstract

中心偏析部の水素誘起割れに対して優れた耐性を有するとともに、TMCPによる強度および靭性の向上効果を十分に活用した、ラインパイプ用鋼板を提供する。質量%で、C:0.02〜0.10%、Si:0.01〜0.50%、Mn:0.10〜1.0%、P:0.015%以下、S:0.0020%以下、Ca:0.0002〜0.0050%、Nb:0.03〜0.15%、Ti:0.002〜0.070%、Al:0.002〜0.080%およびN:0.001〜0.008%を、所定の関係の下に含有させ、ベイナイトを主体とする組織とする。

Description

本発明は、特に耐水素誘起割れ性に優れた高強度のラインパイプ用鋼板とその製造方法に関するものである。
硫化水素を含む原油や天然ガスの輸送に用いられるラインパイプは、強度、靭性、溶接性の他に、耐水素誘起割れ性(以下、耐HIC性とも示す)や耐応力腐食割れ性(耐SCC性)などのいわゆる耐サワー性が必要とされる。鋼材の水素誘起割れ(以下、HICとも示す)は、腐食反応により水素イオンが鋼材表面に吸着し、原子状の水素として鋼内部に侵入し、鋼中のMnSなどの非金属介在物や硬い第2相組織のまわりに拡散・集積し、そこでの内圧を高めて割れを誘発するものとされている。
耐サワー性に優れるラインパイプ用鋼板について、特許文献1および特許文献2には、偏析傾向の高い元素(C、Mn、P等)の低減や、スラブ加熱段階での均熱処理、冷却時の変態途中での加速冷却により、中心偏析部での割れの起点となる島状マルテンサイト、割れの伝播経路となるマルテンサイトやベイナイトなどの硬化組織の生成を抑制した、耐HIC性に優れた鋼が開示されている。
また、水素誘起割れを防ぐための技術として、特許文献3には、CaやCeをS量に対して適量添加することにより、針状のMnSの生成を抑制し、MnSの形態を応力集中の小さい微細に分散した球状の介在物に変化させて割れの発生・伝播を抑制する、耐HIC性の優れたラインパイプ用鋼の製造方法が開示されている。
さらに、特許文献4および特許文献5には、Ca適量添加とともに、C量とMn量またはNb量を制御することにより、ポリゴナルフェライトや粗大なNbCの生成を抑制した、耐HIC性に優れた鋼が開示されている。
特開昭61−60866号公報 特開昭61−165207号公報 特開昭54−110119号公報 特許第4700740号公報 特許第4700741号公報
さて、ラインパイプに供される高強度鋼板は、制御圧延および加速冷却による、いわゆるTMCP技術により製造される場合が多い。この加速冷却によって得られる高強度鋼板のミクロ組織は、ベイナイトまたはアシキュラーフェライトなどの比較的割れ感受性の高い組織となる場合がある。その場合は、特に中心偏析部において、割れ感受性の高い粗大なブロック状ベイナイトや島状マルテンサイトの生成を抑制することが重要である。上記の特許文献で報告されている耐HIC性を改善する手法はいずれも、中心偏析部での割れを抑制対象としているが、高強度鋼板の耐HIC性を向上するには、中心偏析の低減が未だ不十分であり、さらに厳格な偏析抑制が必要である。また、上記の特許文献に従う成分や製造条件の制約を実施すると、TMCPによる強度および靭性の向上効果が十分に得られない場合や、製造コストが悪化してしまう場合もある。
したがって、高強度鋼板の耐HIC性を改善するためには、強度および靭性を確保し、かつ厳格な中心偏析の抑制を可能とする成分設計や中心偏析部を割れ感受性が低いミクロ組織に制御することが希求されていた。
本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、中心偏析部の水素誘起割れに対して優れた耐性を有するとともに、TMCPによる強度および靭性の向上効果を十分に活用した、ラインパイプ用鋼板を提供することにある。
本発明の要旨構成は、次のとおりである。
1.質量%で、
C:0.02〜0.10%、
Si:0.01〜0.50%、
Mn:0.10〜1.0%、
P:0.015%以下、
S:0.0020%以下、
Ca:0.0002〜0.0050%、
Nb:0.03〜0.15%、
Ti:0.002〜0.070%、
Al:0.002〜0.080%および
N:0.001〜0.008%
を、下記(1)式で示されるCP値(質量%)が0.85以下であり、かつMn量とNb量の比である[Mn]/[Nb]が下記(2)式を満足する範囲にて含有し、残部がFeおよび不可避的不純物の成分組成を有し、ベイナイトを主体とする組織を有することを特徴とするラインパイプ用鋼板。

CP=4.46[C]+2.37[Mn]/6+22.36[P]…(1)
0.8≦[Mn]/[Nb]≦25 …(2)
ただし、[]は該括弧内の元素の含有量(質量%)を示し、添加しない元素は0とする。
2.前記成分組成として、さらに、質量%で、
Cu:0.01〜0.50%、
Ni:0.01〜0.50%、
Cr:0.01〜0.50%、
Mo:0.01〜0.50%、
V:0.002〜0.10%
の中から選ばれる1種または2種以上を、下記(3)式で示されるCP値(質量%)が0.85以下となる範囲にて含有することを特徴とする前記1に記載のラインパイプ用鋼板。

CP=4.46[C]+2.37[Mn]/6+[1.74[Cu]+1.7[Ni]]/15+[1.18[Cr]+1.95[Mo]+1.74[V]]/5+22.36[P]…(3)
ただし、[]は該括弧内の元素の含有量(質量%)を示し、添加しない元素は0とする。
3.さらに、質量%で、
B:0.0002〜0.005%、
REM:0.0002〜0.050%、
Mg:0.0002〜0.005%
の中から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする前記1または2に記載のラインパイプ用鋼板。
4.さらに、下記(4)式で示されるPCM値(質量%)を0.16以下とすることを特徴とする前記1〜3の何れかに記載のラインパイプ用鋼板。

PCM=[C]+[Si]/30+[Mn]/20+[Cu]/20+[Ni]/60+[Cr]/20+[Mo]/15+[V]/10+5[B]…(4)
ただし、[]は該括弧内の元素の含有量(質量%)を示し、添加しない元素は0とする。
5.さらに、Ti量とN量の比である[Ti]/[N]が下記(5)式を満たすことを特徴とする前記1〜4の何れかに記載のラインパイプ用鋼板。

1.0≦[Ti]/[N]≦4.0 …(5)
ただし、[]は該括弧内の元素の含有量(質量%)を示し、添加しない元素は0とする。
6.前記1〜5の何れかに記載の成分組成を有する鋼スラブを、1000〜1300℃の温度に加熱し、Ar3温度以上の圧延終了温度で熱間圧延した後、(Ar3−10℃)以上の温度から5℃/s以上の冷却速度で200〜600℃の温度域まで冷却を行うことを特徴とするラインパイプ用鋼板の製造方法。
7.前記1〜5の何れかに記載の鋼板からなるラインパイプ用鋼管。
本発明によれば、高強度および高靭性で且つ優れた耐HIC性を有する、ラインパイプ用鋼板を提供することができる。また、本発明のラインパイプ用鋼板を用いる鋼管は、高強度および高靭性で且つ優れた耐HIC性を有するため、硫化水素を含む原油や天然ガスの輸送に極めて適したものとなる。
発明者らは、高強度鋼板の耐HIC性の向上と高強度化および高靭性化とを両立させるために、鋼材の成分とミクロ組織および鋼板の製造方法について鋭意検討した。すなわち、高強度を確保しつつも偏析を抑制して割れ感受性が低くなる成分系として、偏析を考慮したCP値を適正化すること、さらにミクロ組織は変態強化を活用した均一微細なベイナイト組織とすること、が極めて効果的であるとの知見を得るに到った。すなわち、偏析しやすい合金成分の含有量を厳しく管理し、成分組成をCP値で適正化することにより、中心偏析部からの割れを抑制できることを見出した。特に、低Mn化により中心偏析の大幅な低減とMnS介在物の生成抑制とを図り、且つNbを有効活用することにより、制御圧延後に加速冷却する製造プロセスにおいて、高温での未再結晶域圧延が可能になるとともに、加速冷却時のベイナイト変態による変態強化の効果が増大し、且つ組織の微細化を図ることができるという知見を得た。
上記のような低Mn化且つNbを有効活用したベイナイト組織を有する高強度鋼板は、中心偏析が顕著に低減され且つ均一な微細組織となり、割れ感受性の高い粗大なブロック状ベイナイトや島状マルテンサイトの生成が抑制されるとともに、MnS介在物の生成も顕著に抑制されるため、割れに対する抵抗が極めて高く、HICの発生を抑制することが可能となる。また、中心偏析を顕著に低減した均一微細なベイナイト組織を有する鋼板は、溶接部の割れ感受性も低く、溶接熱影響部靭性も改善することができる。さらに、高Nb添加による未再結晶域拡大効果と、加速冷却時のベイナイト変態による変態強化とを最大限に活用するため、高強度および高靭性化が達成できるとともに、高温圧延による高効率製造が可能となる。
以下に、本発明に係るラインパイプ用鋼板について詳述する。本発明の鋼板では、成分組成および金属組織(ミクロ組織)を規定することが肝要であり、成分組成から順に説明する。
[成分組成]
以下に成分組成における各成分の含有量の限定理由を示す。なお、成分に関する説明において「%」で示す単位は特に断らないかぎり、質量%である。
C:0.02〜0.10%
Cは、鋼の強度を向上させるのに有効な元素であるが、0.02%未満では十分な強度が確保できない。一方、C量が0.10%を超えると母材靭性および溶接熱影響部靭性を劣化させるとともに、中心偏析部の硬さを上昇させて耐HIC性を劣化させるため、0.02〜0.10%の範囲とする。溶接熱影響部靭性および耐HIC性の観点から、好ましくは、0.02〜0.08%である。
Si:0.01〜0.50%
Siは、脱酸のために添加するが、0.01%未満では脱酸効果が十分に得られない。一方、Si量が0.50%を超えると母材靭性や溶接熱影響部靭性を劣化させるため、0.01〜0.50%の範囲とする。溶接熱影響部靭性の観点から、好ましくは、0.01〜0.40%である。
Mn:0.10〜1.0%
Mnは、本発明において重要な元素である。すなわち、Mnは強度および靭性を確保するために添加するが、0.10%未満ではその効果が十分に得られない。一方、Mn量が1.0%を超えると中心偏析が顕在化して、加速冷却時に偏析部が硬化し、溶接熱影響部靭性および耐HIC性が劣化する場合がある。Mnは中心偏析の主因となる元素であり、低Mn化により中心偏析の大幅な低減とMnS介在物の生成抑制とが可能となり、耐HIC性を改善することができる。したがって、Mnは0.10〜1.0%の範囲とする。特に、耐HIC性の観点から、好ましいMn量は0.10〜0.80%である。また、強度および靭性の確保と製造コスト低減の観点から、好ましいMn量は0.20〜0.80%である。さらに好ましくは、0.30〜0.80%である。
P:0.015%以下
Pは、不可避に混入する不純物元素であり、溶接性を劣化させるとともに、中心偏析部の硬さを上昇させて溶接熱影響部靭性および耐HIC性を劣化させるため、その傾向が顕著となる0.015%を超えない範囲、すなわち0.015%以下に抑制する。特に、耐HIC性の観点から、好ましいP量は0.010%以下である。
S:0.0020%以下
Sは、一般的に鋼中においてMnS介在物となり耐HIC性を劣化させるため少ないほどよい。また、Sは粒界に偏析して粒界強度を低下させるため、母材靭性および溶接熱影響部靭性を劣化させる。Sを0.0020%以下まで低減すれば、Sによる耐HIC性劣化および靭性低下はほとんど認められなくなるため、S量は0.0020%以下に限定する。耐HIC性の観点から、好ましくは、0.0010%以下である。
Ca:0.0002〜0.0050%
Caは、硫化物系介在物の形態制御による耐HIC性向上に有効な元素であるが、0.0002%未満ではその効果が十分に発揮されない。一方、0.0050%を超えて添加しても上記の効果が飽和し、むしろ鋼の清浄度の低下により耐HIC性を劣化させることになる。従って、Caは0.0002〜0.0050%の範囲とする。耐HIC性の観点から、好ましくは、0.0005〜0.0040%である。
Nb:0.03〜0.15%
Nbは、本発明において極めて重要な元素である。Nbの添加によって、変態強化を活用して効果的に強度を増大することができ、且つ組織微細化を図ることができる。Nbは、未再結晶域を拡大するとともに変態強化に有効な元素であるため、TMCPによる変態強化および組織微細化の効果を増大する。また、高Nb添加による変態強化の増大と組織の微細粒化により、強度と靭性を向上させることができ、且つ高温圧延による高効率製造が可能となる。しかし、0.03%未満ではその効果が十分に得られない。一方、0.15%を超えると粗大なNb析出物が残存して耐HIC性が劣化するとともに、母材靭性および溶接熱影響部靭性が劣化する。したがって、Nbは0.03〜0.15%の範囲とする。Nb添加による変態強化および組織微細化の効果増大の観点から、好ましいNb量は0.04〜0.15%である。さらに好ましくは、0.05〜0.15%である。また、Nbによる未再結晶域拡大効果および変態強化を十分に活用し、且つ耐HIC性の劣化抑制と母材靭性および溶接熱影響部靭性の劣化を抑制するという観点から、好ましくは0.07〜0.12%とする。
Ti:0.002〜0.070%
Tiは、強度の上昇、母材靭性の向上および溶接熱影響部靭性の向上に寄与する元素である。特に、Tiは、Nと析出物を形成して高温域での粒成長を抑制し、溶接熱影響部靭性を向上する元素として有効である。その効果を得るためには0.002%以上で添加する。一方、過剰に添加すると溶接性が劣化するとともに、耐HIC性が劣化するため、Tiを添加する場合は0.070%を上限とする。溶接熱影響部靭性の観点から、好ましくは、0.005〜0.050%である。
Al:0.002〜0.080%
Alは、脱酸剤として添加されるが、0.002%未満では効果がない。一方、0.080%を超えると鋼の清浄度が低下し、母材靭性および溶接熱影響部靭性が劣化するため、0.002〜0.080%の範囲とする。母材靭性および溶接熱影響部靭性の観点から、好ましくは、0.010〜0.060%である。
N:0.001〜0.008%
Nは、上記した通り、Tiと析出物を形成して高温域での粒成長を抑制し、溶接熱影響部靭性の向上に寄与する元素である。N量が0.001%未満では、上記の効果が十分に得られない。一方、0.008%を超えて過剰に添加すると、溶接熱影響部靭性の劣化を招くとともに、製鋼段階でのスラブ割れを招く危険性がある。したがって、Nは0.001〜0.008%の範囲とする。溶接熱影響部靭性の観点から、好ましくは、0.002〜0.006%である。
上記した基本成分組成は、さらに、下記(1)式で表されるCP値(質量%)が0.85以下となる成分範囲に設計することが肝要である。

CP=4.46[C]+2.37[Mn]/6+22.36[P]…(1)
ただし、[]は該括弧内の元素の含有量(質量%)を示し、添加しない元素は0とする。
上記(1)式で表されるCP値は、各合金元素の含有量から中心偏析部の材質を推定するために用いるものである。このCP値が高いほど中心偏析部の成分濃度が高くなり、中心偏析部の硬さが上昇する。このCP値を0.85以下とすることによって、中心偏析部での割れ感受性を低下させて、サワー環境の厳しいHIC試験での割れを抑制することが可能となる。
特に、低Mn化かつ高Nb添加による変態強化の増大および組織の微細粒化をはかる本発明では、CP値を0.85以下とすることによって、割れ感受性の高い粗大なブロック状ベイナイトや島状マルテンサイトの生成が抑制されるとともに、MnS介在物の生成も顕著に抑制されるため、割れに対する抵抗が極めて高く、HICの発生を抑制することが可能となる。
なお、CP値が低いほど中心偏析部の硬さが低くなるため、さらに高い耐HIC性が必要な場合はその上限を0.80とすることが望ましい。さらに好ましいCP値は0.75以下である。
上記した基本成分組成は、さらに、Mn量とNb量の比である[Mn]/[Nb]が下記(2)式を満たす成分範囲に設計することが肝要である。

0.8≦[Mn]/[Nb]≦25 …(2)
ただし、[]は該括弧内の元素の含有量(質量%)を示し、添加しない元素は0とする。
Mnは中心偏析の主因となる元素であり、中心偏析部の硬化を助長して耐HIC性や溶接熱影響部靱性の劣化をまねく。特に、中心偏析部に析出物が残存している場合は、中心偏析部の劣化が顕著となる。ここで、Nbは変態強化の増大および組織微細化に有効に寄与する元素であるが、Mnが偏析すると、それに伴ってNbも偏析し易くなるため、硬化した中心偏析部に粗大なNb析出物が残存する懸念が生じる。この中心偏析部でのMn偏析とNb析出物を制御することにより、中心偏析部の割れ感受性を低減することができる。従って、中心偏析部でのNb析出物による耐HIC性や溶接熱影響部靱性の劣化を抑制するためには、Mn量とNb量の両含有量の相関関係を適切に制御することが重要となる。すなわち、Mn量とNb量の比である[Mn]/[Nb]が0.8未満では、中心偏析部に粗大なNb析出物が残存し易くなり、耐HIC性や溶接熱影響部靱性が劣化する。また、[Mn]/[Nb]が25を超えると、ベイナイトの組織微細化効果が減少するとともに中心偏析部の硬化が顕著になり、Nb析出物による割れ感受性が高くなり、耐HIC性や溶接熱影響部靱性が劣化する。したがって、Mn量とNb量の比は、0.8≦[Mn]/[Nb]≦25の範囲とする。耐HIC性や溶接熱影響部靱性の観点から、好ましくは、2.0≦[Mn]/[Nb]≦20である。さらに好ましくは、4.0≦[Mn]/[Nb]≦16である。
以上が本発明の基本成分組成であるが、鋼板の強度、母材靭性および溶接熱影響部靭性をさらに改善する必要があれば、その必要に応じて、Cu:0.01〜0.50%、Ni:0.01〜0.50%、Cr:0.01〜0.50%、Mo:0.01〜0.50%、V:0.002〜0.10%の中から選ばれる1種または2種以上を含有してもよい。
Cu:0.01〜0.50%
Cuは、母材靭性の改善と強度の上昇に有効な元素であり、そのためには0.01%以上で添加することが好ましい。一方、過剰に添加すると溶接性が劣化するため、Cuを添加する場合は0.50%を上限とする。
Ni:0.01〜0.50%
Niは、母材靭性の改善と強度の上昇に有効な元素であり、そのためには0.01%以上で添加することが好ましい。一方、過剰に添加するとコスト的に不利になり、また、溶接熱影響部靱性が劣化するため、Niを添加する場合は0.50%を上限とする。
Cr:0.01〜0.50%
Crは、母材靭性の改善と強度の上昇に有効な元素であり、そのためには0.01%以上で添加することが好ましい。一方、過剰に添加すると溶接性が劣化するため、Crを添加する場合は0.50%を上限とする。
Mo:0.01〜0.50%
Moは、母材靭性の改善と強度の上昇に有効な元素であり、そのためには0.01%以上で添加することが好ましい。一方、過剰に添加すると溶接性が劣化するため、Moを添加する場合は0.50%を上限とする。
V:0.002〜0.10%
Vは、強度の上昇に有効な元素であり、そのためには0.002%以上で添加することが好ましい。一方、過剰に添加すると溶接性が劣化するため、Vを添加する場合は0.10%を上限とする。
上記した選択添加元素群から適宜選択された成分を含む場合、上記したCP値は、下記の式(3)に従って算出し、該CP値が0.85以下となる成分範囲に設計することが上記のとおり肝要である。なお、さらに高い耐HIC性が必要な場合は、該CP値の上限を0.80とすることが望ましい。さらに好ましくは、0.75以下である。

CP=4.46[C]+2.37[Mn]/6+[1.74[Cu]+1.7[Ni]]/15+[1.18[Cr]+1.95[Mo]+1.74[V]]/5+22.36[P]…(3)
ただし、[]は該括弧内の元素の含有量(質量%)を示し、添加しない元素は0とする。
さらに、鋼板の強度、母材靭性および溶接熱影響部靭性を改善する必要があれば、その必要に応じて、B:0.0002〜0.005%、REM:0.0002〜0.050%、Mg:0.0002〜0.005%の中から選ばれる1種または2種以上を含有してもよい。
B:0.0002〜0.005%
Bは、強度上昇に寄与する元素であり、そのためには0.0002%以上で添加することが好ましい。一方、過剰に添加すると母材靭性および溶接熱影響部靭性が劣化するため、Bを添加する場合は0.005%を上限とする。
REM:0.0002〜0.050%
REMは、溶接熱影響部靭性を改善する元素であり、そのためには0.0002%以上で添加することが好ましい。一方、過剰に添加すると溶接熱影響部靭性が劣化するため、REMを添加する場合は0.050%を上限とする。
Mg:0.0002〜0.005%
Mgは、溶接熱影響部靭性を改善する元素であり、そのためには0.0002%以上で添加することが好ましい。一方、過剰に添加すると溶接熱影響部靭性が劣化するため、Mgを添加する場合は0.005%を上限とする。
上記した成分組成は、さらに、下記(4)式で表されるPCM値(質量%)が0.16以下となる成分範囲に設計することが好ましい。

PCM=[C]+[Si]/30+[Mn]/20+[Cu]/20+[Ni]/60+[Cr]/20+[Mo]/15+[V]/10+5[B]…(4)
ただし、[]は該括弧内の元素の含有量(質量%)を示し、添加しない元素は0とする。
上記(4)式で表されるPCM値は、溶接割れ感受性指数であり、PCM値が0.16以下となる成分組成とすることにより、良好な溶接熱影響部靭性を確保することができる。溶接熱影響部靭性の観点から、好ましくは、0.14以下である。さらに好ましくは、0.12以下である。
上記した成分組成は、さらに、Ti量とN量の比である[Ti]/[N]が下記(5)式を満たす成分範囲に設計することが好ましい。

1.0≦[Ti]/[N]≦4.0 …(5)
ただし、[]は該括弧内の元素の含有量(質量%)を示し、添加しない元素は0とする。
TiとNは、TiN析出物を生成して、溶接部の結晶粒の粗大化を抑制することにより、溶接熱影響部靭性を改善する。該効果を充分に発揮するためには、Ti量とN量の両含有量の相関関係が重要となる。すなわち、[Ti]/[N]が1.0未満では、TiN析出物の生成が不十分で結晶粒が粗大化するため、溶接熱影響部靱性が低下する。また、[Ti]/[N]が4.0を超えると、TiN析出物が粗大化し、結晶粒界でのピンニング効果が低下して結晶粒の粗大化を抑制できないため溶接熱影響部靱性が劣化するとともに、耐HICが劣化する。溶接熱影響部靱性の観点から、好ましくは、1.5≦[Ti]/[N]≦4.0である。さらに好ましくは、2.0≦[Ti]/[N]≦4.0である。
上記以外の残部はFeおよび不可避的不純物からなる。ただし、本発明の作用効果を害しない限り、他の微量元素の含有を妨げない。なお、不可避的不純物としては、例えば、O:0.0030%以下が許容できる。
[金属組織(ミクロ組織)]
本発明の高強度鋼板の金属組織は、ベイナイトを主体とする組織とする。なぜなら、二相組織を有する鋼板は、二相界面に水素が集積しやすい上に、二相界面が割れの伝播経路となって耐HIC性に劣るものとなるため、均一なベイナイトを主体とする組織とすることが重要である。特に、本発明の鋼板が有するベイナイト組織は、上記したように中心偏析の低減が顕著であるため、中心偏析部においても割れ感受性の高い粗大なブロック状ベイナイトや島状マルテンサイトの生成は無く、均一なベイナイト組織となっている。さらに、本発明の鋼板が有するベイナイト組織は、加速冷却時に変態した均一微細なベイナイト組織であり、変態強化により優れた強度と靭性を有している。本発明の中心偏析を顕著に低減した均一微細なベイナイト組織を有する鋼板は、割れ感受性が低く、強度、母材靭性および溶接熱影響部靭性に優れ、かつ耐HIC性も優れている。
なお、本発明におけるベイナイト組織は、変態強化に寄与する加速冷却時あるいは加速冷却後に変態するベイニティックフェライトまたはグラニュラーフェライトと称される組織を含むものとする。なぜなら、加速冷却時あるいは加速冷却後に冷却開始温度以下の温度で生成するフェライトは、過冷却状態でベイニティックな変態挙動をとるため、変態強化により優れた強度と靭性を有するからである。すなわち、加速冷却時あるいは加速冷却後に生成するベイニティックフェライトおよびグラニュラーフェライトは、加速冷却前に生成する粒界が平滑で明瞭である通常のポリゴナルフェライトに比べて強度と靭性に優れている。
ここで、ベイナイト組織に、フェライトやマルテンサイト、パーライト、残留オーステナイト、島状マルテンサイト(MA)などの異なる金属組織が1種または2種以上混在する場合は、異相界面での水素集積や応力集中によってHICを生じやすくなるため、ベイナイト組織以外の組織分率は少ない程良い。ただし、ベイナイト組織以外の組織の体積分率が十分に低い場合には、それらの影響は無視できる。具体的には、ベイナイト組織以外の金属組織(フェライト、マルテンサイト、パーライト、残留オーステナイト、島状マルテンサイト(MA)等の1種または2種以上)の合計が体積分率で5%未満であれば、大きな影響はないため、本発明におけるベイナイトを主体とする組織は、ベイナイト相が95%以上であることを意味する。特に、耐HIC性の観点から、島状マルテンサイト(MA)は3%以下であることがより好ましい。なお、ここでのベイナイト組織以外の金属組織に分類されるフェライトは、加速冷却前に生成するフェライトである。
次に、本発明に係るラインパイプ用鋼板の製造条件について説明する。以下の説明において、温度はスラブや鋼板の厚み方向の平均温度とする。
[スラブ加熱温度:1000〜1300℃]
スラブ加熱温度が1000℃未満では炭化物の固溶が不十分になって必要な強度が得られない。また、粗大な炭化物の残存により母材靭性および耐HIC性が劣化する。一方、1300℃を超えると、結晶粒径が粗大化して母材靭性が劣化する。Nbを活用して強度と靭性を向上させるためには、スラブ加熱温度は1050〜1250℃とすることがより好ましい。
[熱間圧延終了温度:Ar3点以上]
熱間圧延終了温度は、冷却中におけるフェライト変態開始温度であるAr3点以上とする。すなわち、圧延終了温度がAr3点未満になると、フェライトが残存して二相組織となるため、耐HIC性が劣化する。また、製造効率の観点からは、高温で圧延した方が良く、圧延終了温度は800℃以上とすることが好ましい。このAr3点は、下記式(6)にて求めることができる。

Ar3=910−310[C]−80[Mn]−20[Cu]−15[Cr]−55[Ni]−80[Mo] …(6)
ただし、[]は該括弧内の元素の含有量(質量%)を示し、添加しない元素は0とする。
上記の熱間圧延を終了した後、(Ar3−10℃)以上の温度から5℃/s以上の冷却速度で200〜600℃の温度域まで冷却を行う。すなわち、圧延終了後に放冷または徐冷を行うと、十分な変態強化が得られないため、加速冷却を行う。冷却設備としては任意の設備を用いることが可能であり、特に規定する必要はない。
[冷却開始温度:(Ar3−10℃)以上]
冷却開始温度が(Ar3−10℃)未満では、加速冷却前のフェライト生成量が多くなり、
体積分率で5%を超えるフェライトが生成して、強度低下が大きくなると共に耐HIC性が劣化するため、冷却開始温度は(Ar3−10℃)以上とする。強度と耐HIC性とを両立させる観点から、冷却開始温度はAr3点以上とすることがより好ましい。
[冷却速度:5℃/s以上]
冷却速度が5℃/s未満では、ベイナイト変態による変態強化が十分に得られず、強度と母材靭性が低下する。均一微細なベイナイト組織とし、ベイナイト変態による変態強化の効果を十分に発揮させるために、圧延終了後の冷却速度は10℃/s以上とすることがより好ましい。また、冷却速度が大き過ぎると中心偏析部が硬化して割れ感受性が高まるおそれがあるため、耐HICの観点から、冷却速度の上限は60℃/sとすることが好ましい。
[冷却停止温度:200〜600℃]
熱間圧延終了後の冷却を200〜600℃の温度域まで急速に行うことにより、ベイナイトを主体とする組織を生成させる。すなわち、冷却停止温度が200℃未満では、マルテンサイト組織となるか、島状マルテンサイト(MA)が生成するために母材靭性が低下するとともに、耐HIC性が劣化する。一方、冷却停止温度が600℃を超えると、ベイナイト変態による変態強化の効果が十分ではなく強度と母材靭性が低下するとともに、パーライトが析出して耐HIC性が劣化する。耐HIC性およびベイナイト変態による変態強化の効果を十分に得るという観点から、冷却停止温度は250〜550℃とすることがより好ましい。
[鋼管]
上記したラインパイプ用鋼板を、プレスベンド成形、ロール成形、UOE成形等で管状に成形した後溶接し、さらに必要に応じて拡管等を行うことにより、原油や天然ガスの輸送に好適なラインパイプ用鋼管(UOE鋼管、電縫鋼管、スパイラル鋼管等)を製造することができる。例えば、UOE鋼管は、鋼板の端部を開先加工し、Cプレス、Uプレス、Oプレスで環状に成形した後、仮付溶接および内外面溶接で開先部を溶接し、拡管工程を経て製造される。上記したラインパイプ用鋼板からなるラインパイプ用鋼管は、強度、母材靭性および溶接熱影響部靱性に優れ、かつサワー環境でも割れ感受性が低く、耐HIC性に優れている。
表1に示す化学成分の鋼(鋼種A〜W)を連続鋳造法によりスラブとし、これを用いて表2に示す製造条件に従ってNo.1〜No.31の厚鋼板を製造した。すなわち、スラブを加熱後、熱間圧延により所定の板厚とした後、直ちに水冷型の加速冷却設備を用いて冷却を行った。
かくして得られた鋼板の金属組織を、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。また、各鋼板の引張特性、母材靱性、溶接熱影響部靱性、耐HIC性を測定した。
それらの結果を、表2に併記する。
ここで、引張特性は、圧延垂直方向の全厚試験片を引張試験片として引張試験を行い、引張強さを測定した。母材靭性は、−30℃におけるDWTT試験(落重特性)で評価した。溶接熱影響部靱性は、再現熱サイクル装置によって、最高加熱温度1400℃、入熱40kJ/cmに相当する熱履歴を加えた試験片を用いてシャルピー試験を行った。耐HIC性は、NACE Standard TM−02−84に準じた、浸漬時間96時間のHIC試験を行い、割れが認められない場合を耐HIC性が良好と判断して“○”、そして割れが発生した場合を耐HIC性が不良と判断して“×”と評価した。
本発明の目標範囲は、製造上のばらつきを考慮して、高強度鋼板として引張強さ520MPa以上、金属組織(ミクロ組織)はベイナイトを主体とする組織、母材靱性は−30℃におけるDWTT試験で延性破面率85%以上、溶接熱影響部靱性は−30℃におけるシャルピー試験で延性破面率50%以上、HIC試験で割れが認められないこととした。
表2において、No.1〜18は本発明例であり、いずれもベイナイトを主体とする組織であり、耐HIC性が良好で、引張強さ520MPa以上、DWTT試験での延性破面率85%以上、溶接熱影響部のシャルピー試験での延性破面率50%以上である。
一方、No.19〜22は、化学成分は本発明条件を満足するが、製造条件が本発明を満足しない比較例であり、いずれも十分な引張強さが得られていないか、母材靱性や溶接熱影響部靱性、耐HIC性が劣っている。
No.19は、スラブ加熱温度が低く、ベイナイト変態での変態強化に重要なNbの固溶が不十分で引張強さが低下しているとともに、冷却停止温度が高いため、ベイナイトを主体とする組織が得られず、強度および母材靭性が低下している。No.20〜22は、熱間圧延条件と加速冷却条件が本発明条件を満足しないためベイナイトを主体とする組織が得られず、強度が不十分であるか、フェライトおよび島状マルテンサイト(MA)やパーライトが析出するため、母材靱性や溶接熱影響部靱性、耐HIC性が劣っている。
No.23〜31は、化学成分が本発明条件を満足しないため、母材靱性や溶接熱影響部靱性、耐HIC性が劣っている。
Figure 2016056216
Figure 2016056216

Claims (7)

  1. 質量%で、
    C:0.02〜0.10%、
    Si:0.01〜0.50%、
    Mn:0.10〜1.0%、
    P:0.015%以下、
    S:0.0020%以下、
    Ca:0.0002〜0.0050%、
    Nb:0.03〜0.15%、
    Ti:0.002〜0.070%、
    Al:0.002〜0.080%および
    N:0.001〜0.008%
    を、下記(1)式で示されるCP値(質量%)が0.85以下であり、かつMn量とNb量の比である[Mn]/[Nb]が下記(2)式を満足する範囲にて含有し、残部がFeおよび不可避的不純物の成分組成を有し、ベイナイトを主体とする組織を有することを特徴とするラインパイプ用鋼板。

    CP=4.46[C]+2.37[Mn]/6+22.36[P]…(1)
    0.8≦[Mn]/[Nb]≦25 …(2)
    ただし、[]は該括弧内の元素の含有量(質量%)を示し、添加しない元素は0とする。
  2. 前記成分組成として、さらに、質量%で、
    Cu:0.01〜0.50%、
    Ni:0.01〜0.50%、
    Cr:0.01〜0.50%、
    Mo:0.01〜0.50%、
    V:0.002〜0.10%
    の中から選ばれる1種または2種以上を、下記(3)式で示されるCP値(質量%)が0.85以下となる範囲にて含有することを特徴とする請求項1に記載のラインパイプ用鋼板。

    CP=4.46[C]+2.37[Mn]/6+[1.74[Cu]+1.7[Ni]]/15+[1.18[Cr]+1.95[Mo]+1.74[V]]/5+22.36[P]…(3)
    ただし、[]は該括弧内の元素の含有量(質量%)を示し、添加しない元素は0とする。
  3. さらに、質量%で、
    B:0.0002〜0.005%、
    REM:0.0002〜0.050%、
    Mg:0.0002〜0.005%
    の中から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のラインパイプ用鋼板。
  4. さらに、下記(4)式で示されるPCM値(質量%)を0.16以下とすることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のラインパイプ用鋼板。

    PCM=[C]+[Si]/30+[Mn]/20+[Cu]/20+[Ni]/60+[Cr]/20+[Mo]/15+[V]/10+5[B]…(4)
    ただし、[]は該括弧内の元素の含有量(質量%)を示し、添加しない元素は0とする。
  5. さらに、Ti量とN量の比である[Ti]/[N]が下記(5)式を満たすことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のラインパイプ用鋼板。

    1.0≦[Ti]/[N]≦4.0 …(5)
    ただし、[]は該括弧内の元素の含有量(質量%)を示し、添加しない元素は0とする。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の成分組成を有する鋼スラブを、1000〜1300℃の温度に加熱し、Ar3温度以上の圧延終了温度で熱間圧延した後、(Ar3−10℃)以上の温度から5℃/s以上の冷却速度で200〜600℃の温度域まで冷却を行うことを特徴とするラインパイプ用鋼板の製造方法。
  7. 請求項1〜5の何れかに記載の鋼板からなるラインパイプ用鋼管。
JP2016552822A 2014-10-07 2015-10-02 ラインパイプ用鋼板及びその製造方法とラインパイプ用鋼管 Active JP6288288B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014206559 2014-10-07
JP2014206559 2014-10-07
PCT/JP2015/005046 WO2016056216A1 (ja) 2014-10-07 2015-10-02 ラインパイプ用鋼板及びその製造方法とラインパイプ用鋼管

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2016056216A1 true JPWO2016056216A1 (ja) 2017-04-27
JP6288288B2 JP6288288B2 (ja) 2018-03-07

Family

ID=55652852

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016552822A Active JP6288288B2 (ja) 2014-10-07 2015-10-02 ラインパイプ用鋼板及びその製造方法とラインパイプ用鋼管

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP6288288B2 (ja)
BR (1) BR112017007136B1 (ja)
WO (1) WO2016056216A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110462080B (zh) * 2017-03-30 2022-01-04 杰富意钢铁株式会社 耐酸性管线管用高强度钢板及其制造方法和使用耐酸性管线管用高强度钢板的高强度钢管
KR102555312B1 (ko) * 2019-03-29 2023-07-12 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 전봉 강관 및 그의 제조 방법, 그리고 강관 말뚝
WO2021020220A1 (ja) * 2019-07-31 2021-02-04 Jfeスチール株式会社 耐サワーラインパイプ用高強度鋼板およびその製造方法並びに耐サワーラインパイプ用高強度鋼板を用いた高強度鋼管
JP6973681B2 (ja) * 2019-11-20 2021-12-01 Jfeスチール株式会社 電縫鋼管用熱延鋼板およびその製造方法、電縫鋼管およびその製造方法、ラインパイプ、建築構造物
CN110983184A (zh) * 2019-12-17 2020-04-10 邯郸钢铁集团有限责任公司 一种低碳tmcp态船板钢及其生产方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007138290A (ja) * 2005-10-18 2007-06-07 Jfe Steel Kk 厚手高強度熱延鋼板およびその製造方法
JP2012172256A (ja) * 2011-02-24 2012-09-10 Jfe Steel Corp 低温靭性に優れた低降伏比高強度熱延鋼板およびその製造方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6006477B2 (ja) * 2011-06-24 2016-10-12 株式会社神戸製鋼所 低温靭性と強度のバランスに優れた高強度鋼板の製造方法、及びその制御方法
JP5867276B2 (ja) * 2012-05-01 2016-02-24 新日鐵住金株式会社 電縫鋼管

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007138290A (ja) * 2005-10-18 2007-06-07 Jfe Steel Kk 厚手高強度熱延鋼板およびその製造方法
JP2012172256A (ja) * 2011-02-24 2012-09-10 Jfe Steel Corp 低温靭性に優れた低降伏比高強度熱延鋼板およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6288288B2 (ja) 2018-03-07
BR112017007136B1 (pt) 2021-05-04
WO2016056216A1 (ja) 2016-04-14
BR112017007136A2 (pt) 2017-12-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4844687B2 (ja) 低降伏比高強度高靭性鋼板及びその製造方法
JP5776860B1 (ja) 耐サワー性、耐圧潰特性及び低温靭性に優れた厚肉高強度ラインパイプ用鋼板とラインパイプ
JP5821173B2 (ja) 低降伏比高強度高一様伸び鋼板及びその製造方法
JP5590253B2 (ja) 変形性能と低温靭性に優れた高強度鋼管、高強度鋼板、および前記鋼板の製造方法
JP5900303B2 (ja) 鋼板内の材質均一性に優れた耐サワーラインパイプ用高強度鋼板とその製造方法
JP4837807B2 (ja) 高強度溶接鋼管及びその製造方法
CA2980424C (en) Thick steel plate for structural pipes or tubes, method of producing thick steel plate for structural pipes or tubes, and structural pipes and tubes
JP5532800B2 (ja) 耐歪時効特性に優れた低降伏比高強度高一様伸び鋼板及びその製造方法
JP6288288B2 (ja) ラインパイプ用鋼板及びその製造方法とラインパイプ用鋼管
JP5903880B2 (ja) 耐サワー特性と溶接熱影響部靭性に優れたラインパイプ用高強度鋼板及びその製造方法
JP2006291349A (ja) 高変形性能を有するラインパイプ用鋼板およびその製造方法。
JP2013139628A (ja) 鋼板内の材質均一性に優れたラインパイプ用高強度鋼板とその製造方法
JP6519024B2 (ja) 低温靭性に優れた低降伏比高強度熱延鋼板の製造方法
JP6241570B2 (ja) 高強度鋼及びその製造方法、並びに鋼管及びその鋼管の製造方法
JP2007270194A (ja) 耐sr特性に優れた高強度鋼板の製造方法
JP2010235986A (ja) 耐pwht特性および一様伸び特性に優れた高強度鋼板並びにその製造方法
JP5991174B2 (ja) 鋼板内の材質均一性に優れた耐サワーラインパイプ用高強度鋼板とその製造方法
JP2015168864A (ja) 板厚15mm以上の電縫鋼管用熱延鋼板
JP2009084598A (ja) 変形能ならびに低温靱性に優れた超高強度ラインパイプ用鋼板の製造方法および超高強度ラインパイプ用鋼管の製造方法
JP6521196B1 (ja) 耐サワーラインパイプ用高強度鋼板およびその製造方法並びに耐サワーラインパイプ用高強度鋼板を用いた高強度鋼管
JP6565890B2 (ja) 低温靭性に優れた低降伏比高強度熱延鋼板の製造方法
JP2010235987A (ja) 耐hic特性と溶接熱影響部靭性に優れたラインパイプ用高強度鋼板およびその製造方法
JP4038166B2 (ja) 耐震性と溶接性に優れた鋼板およびその製造方法
JP2005194607A (ja) 耐高速延性破壊特性に優れたラインパイプ用高強度鋼板およびその製造方法
JP2005307313A (ja) 耐震性と溶接性に優れた鋼板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170711

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170907

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171107

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171215

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180109

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180122

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6288288

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250