JPWO2016052329A1 - アミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法、非水二次電池用電解液の製造方法および非水二次電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
アミノ置換ホスファゼン化合物は、フッ素化ホスファゼン化合物とアミン化合物とを有機溶媒中で求核置換反応させることによって製造することができる(特許文献1、2参照)。反応に使用する有機溶媒は、通常、ジエチルエーテルやTHF(テトラヒドロフラン)等のエーテル溶媒や、t−BuOMe(メチル ターシャリーブチルエーエル)、アセトニトリルが用いられている。アミノ置換ホスファゼン化合物の多くは液体であり、反応後に蒸留で精製単離される。
アミノ置換ホスファゼン化合物は様々な用途に用いられ、非水二次電池用電解液等に用いる場合は、高純度が特に要求される。しかし、従来の製造法では、得られたアミノ置換ホスファゼン化合物は有機溶媒と相互作用しやすいためか、共沸による有機溶媒の混入が避けられず、高純度に精製し難いという問題がある。そのため、精製蒸留によって高純度なものが得られても、高純度なものは、蒸留の後段部分を取り出すことになり、精製効率・エネルギー効率が低くなる。これを回避するために精密蒸留を行うと蒸留時間が長くなり、生産効率が悪くなる。しかも、既存の設備が使用できず、新たな精密蒸留装置の導入が必要となり、製造コスト面でも不利になる。
一方、ジエチルエーテルは、引火性の溶媒であるため製造における使用は回避したい。
このように、ホスファゼン化合物の電池や電子材料の難燃剤としての利用が広がる中、合成方法の多様化や高純度品の収率向上などに対応しうる製造技術面での改良が求められる。
上記の課題は以下の手段により解決された。
<1>フッ素化ホスファゼン化合物とアミン化合物とを反応溶媒中で反応させてフッ素化ホスファゼン化合物のフッ素原子の少なくとも1つをアミン化合物で置換する工程と、
反応後の反応溶液と水溶液を混合して、アミノ置換ホスファゼン化合物の相、および、水溶液と反応溶媒との混合液の相に分離させる工程と、
分離したアミノ置換ホスファゼン化合物を単離する工程と、
を有するアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法。
<2>アミノ置換ホスファゼン化合物が、下記式(1)で表される<1>に記載のアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法。
<3>フッ素化ホスファゼン化合物が、下記式(2)で表される<1>または<2>に記載のアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法。
<4>反応溶媒のClogPが、0.7以下である<1>〜<3>のいずれか1つに記載のアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法。
<5>反応溶媒が、アミド溶媒、ニトリル溶媒、エステル溶媒、炭酸エステル溶媒、またはエーテル溶媒の少なくとも1種である<1>〜<4>のいずれか1つに記載のアミノ置換ホスファゼン化合物。
<6>反応溶媒が、下記化合物群から選ばれる少なくとも1つである<1>〜<5>のいずれか1つに記載のアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法。
<8>アミン化合物の総炭素数が1〜12である<1>〜<7>のいずれか1つに記載のアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法。
<9> <1>〜<8>のいずれか1つに記載のアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法を経由して、アミノ置換ホスファゼン化合物を含有する非水二次電池用電解液を調製する非水二次電池用電解液の製造方法。
<10> <9>に記載の非水二次電池用電解液の製造方法を経由して、正極と負極と非水二次電池用電解液とを具備する非水二次電池を作製する非水二次電池の製造方法。
以下、本発明の好ましい実施形態を中心に本発明について詳細に説明する。
ホスファゼンとは、−P=N−結合を構成単位として有する化合物であり、鎖状または環状構造のいずれでもよいが、本発明では、環状ホスファゼン化合物が好ましい。
なお、上記のリン原子は、5価のリン原子である。−P=N−結合は、結合部分のみを示したものであって、リン原子上の置換基を記載すると、−P(Rx)(Ry)=N−と表現される。ここで、RxおよびRyは水素原子または置換基を表す。
本発明において、原料のフッ素化ホスファゼン化合物は、ホスファゼン化合物中のRx、Ryの少なくとも1つがフッ素原子である化合物であり、RxおよびRyの全てがフッ素原子であるものが好ましい。
また、アミノ置換ホスファゼン化合物は、化合物中のRxおよびRyの少なくとも1つがアミノ基(無置換のアミノ基だけでなく、アルキルアミノ基、アリールアミノ基などの置換アミノ基も包含する)である化合物であり、本発明では、化合物中のRxおよびRyの1〜3つがアミノ基であるものが好ましく、1または2つがアミノ基であるものがより好ましく、1つがアミノ基であるものが、特に好ましい。
アミノ置換ホスファゼン化合物は、環状ホスファゼン化合物が好ましい。
本発明の製造方法で合成されるアミノ置換ホスファゼン化合物は、好ましくは下記式(1)で表される。
R1、R2における置換基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基が好ましく、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基がより好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基がさらに好ましく、アルキル基が特に好ましい。また、アルキル基の炭素数は1〜12が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6がさら好ましく、1〜4が特に好ましく、1〜3がなかでも好ましく、1または2が最も好ましい。
これらの各基はさらに置換基で置換されていてもよく、このような置換基としては、後述の置換基Tが挙げられる。ただし、本発明においては、無置換のものが好ましい。
R1とR2が互いに結合して形成される環は、例えば、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、4,4−ジオキシチオモルホリン環が挙げられる。
<フッ素化ホスファゼン化合物>
フッ素化ホスファゼン化合物として好ましい化合物は、下記式(2)で表される化合物である。
アミン化合物は、−NH−の部分構造を有するものであればどのような化合物でも構わないが、本発明では、好ましくは、下記式(3)で表される。
反応溶媒としては、有機溶媒が好ましく、アミド溶媒、ニトリル溶媒、エーテル溶媒、エステル溶媒、炭酸エステル溶媒、ケトン溶媒、スルホキシド溶媒、尿素溶媒等が挙げられる。なかでもアミド溶媒、ニトリル溶媒、エステル溶媒、炭酸エステル溶媒がより好ましく、アミド溶媒、ニトリル溶媒がさらに好ましく、アミド溶媒が最も好ましい。
アミド溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドまたはN−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンなどが挙げられる。
ニトリル溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニトリルなどが挙げられる。
エーテル溶媒としては、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジエチルエーテルなどが挙げられる。
エステル溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、またはγ−ブチロラクトン等が挙げられる。
炭酸エステル溶媒としては、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート、プロプレンカーボネート、などが挙げられる。
ケトン溶媒としては、アセトン、2−ブタノンまたは4−メチル−2−ペンタノンなどが挙げられる。
スルホキシド溶媒としては、ジメチルスルホキシド、スルホランなどが挙げられる。
尿素溶媒としては、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(N,N−ジメチルイミダゾリジノン)が挙げられる。
下限は特に制限はないが、−1.0以上が現実的である。
なかでも、本発明は、反応後に反応溶液の有機溶媒を水に溶解させ、除去することから親水性で、かつ水溶性の有機溶媒が好ましい。
なお、LogPは、分配係数P(Partition Coefficient)の常用対数を意味し、ある化学物質が油(一般的に1−オクタノール)と水の2相系の平衡でどのように分配されるかを定量的な数値として表す物性値であり、次式で表される。
水溶液の層への移動のし易さの観点から、塩基性の反応溶媒がさらに好ましい。このような反応溶媒として、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、アセトニトリルが挙げられる。
反応溶媒は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
水溶液のpHは7以下が好ましい。pH7以下とすることにより、親水性の反応溶媒との相溶性が良く、疎水性の生成物であるアミノ置換ホスファゼン化合物層との分離が良好となる。また、アミノ置換ホスファゼン化合物の、水またはOH−等の求核種による分解を抑えることができる。
pHは6.5以下がより好ましく、6以下が更に好ましく、5以下が特に好ましい。下限は0以上が好ましい。水溶液のpHが7を超えると、置換反応によって生成し沈殿させたフッ化水素とアミン化合物との塩が中和されて、再度有機溶媒に溶解するので、分離工程が複雑となるため好ましくない。
塩の水溶液を用いる場合は、水溶液のpHは7以下となる塩であり、陽イオンとしてはアンモニウムカチオン、マグネシウム、ナトリウム、またはカリウムなどが挙げられ、ナトリウムまたはカリウムが好ましい。これらの陽イオンは、エーテル系の反応溶媒と親和性が高く、反応溶媒が水溶液層に移動し易くなるため好ましい。例えば、塩化マグネシウム水溶液、塩化カリウム水溶液、リン酸二水素カリウム水溶液、リン酸水素二カリウム水溶液、リン酸二水素ナトリウム水溶液、リン酸水素二ナトリウム水溶液、シュウ酸一カリウム、酢酸ナトリウム等が挙げられる。また、上記に挙げた酸および塩を2種以上併用してもよい。
酸性水溶液中の酸の濃度は、有機溶媒との混合を良好にする観点から、12N以下が好ましく、8N以下がより好ましく6N以下がさらに好ましく、4N以下が最も好ましい。
なお、Nは規定度である。
本発明の製造方法において、上記以外に、反応の進行とともに生じるHFを中和するための塩基もしくは化合物、反応を促進するための触媒を使用してもよい。
塩基としては、フッ素化ホスファゼン化合物と反応しない塩基が好ましく、有機もしくは無機の塩基のいずれでも構わない。
このような塩基のうち、有機塩基としては、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルもしくはエチルエチレンジアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)のような第三級アミン化合物、ピリジンのような含窒素芳香族ヘテロ環化合物、テトラメチルヒドラジンのようなテトラアルキルヒドラジン化合物、ジアザビシクロウンデセン、ジアザシクロノネン、N,N−ジアルキルグアニジン、プロアザフォスファトラン(P(RzNCH2CH2)3N、ここでRzはアルキル基)のようなアトラン化合物などが挙げられる。
無機塩基としては、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が挙げられ、このうち炭酸塩もしくは炭酸水素塩が好ましく、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムが挙げられる。
ここで、理論量とは、例えば、1モルのフッ素化ホスファゼンに1当量のアミノ基を導入する場合、1モルのHFが生成することから、この1モルのHFを意味する。なお、2当量のアミノ基を導入する場合は、2モルのHFが生成する。
本発明の製造方法では、フッ素原子に対するアミン化合物の求核反応の反応収率を向上させるために、各種の触媒を使用することもできる。
このような触媒としてはルイス酸が挙げられ、例えば、BF3O(C2H5)2、AlBr3、AlCl3、AlCl2F、ZnI2、MgCl2、LiCl、LiBr、SnCl4、CuCl2、FeCl2、FeCl3、ZnCl2、シリルクロリド化合物、MnCl2、CoCl2、NiCl2、ZrOCl2、ZrCl4、SrCl2、InCl3、HfOCl2、GaCl3、C2H5AlCl2、BiCl3、TiCl4、GeCl4、SbCl3、FeBr3、VCl3、MoCl5、BCl3、BBr3、Cu(OSO2CF3)2、Ln(OSO2CF3)3、Fe2(SO4)3、ZrCl4、Zr(SO4)2、ZnSO4、Fe(NO3)3、Ni(NO3)2、Mg(OAc)2、Fe(OAc)3、Co(OAc)2等が使用できる。
アミン化合物の使用量は、製造するアミン置換ホスファゼン化合物のアミン置換数により異なる。アミノ基を1個(1当量)導入するのに必要なアミン化合物の使用量は、1モルのアミン化合物が必要であり、通常は、1〜1.3モル使用される。ただし、反応進行とともにHFが生じることから、生じたHFを捕獲する塩基もしくは化合物を使用しない場合、原料として使用するアミン化合物が、HFを捕獲し、アミン化合物のHF塩となる。このため、この部分を考慮すると、アミン化合物は、2〜2.5モルが好ましく、2〜2.3モルがより好ましく、2モルがさらに好ましい。
なお、アミノ基を2個(2当量)導入する場合は、アミン化合物は、4〜5モルが好ましく、4〜4.5モルがより好ましく、4モルがさらに好ましい。
アミン化合物のガスを反応液に導入する場合の導入速度は、反応スケールに応じて適宜調整することが好ましい。
単離する方法としては、下部に取り出しコックを有する反応容器を用いて反応させ、反応後ここからアミノ置換ホスファゼン化合物を取り出す方法、あるいは反応後の反応溶液をフェーズセパレータなどの液液抽出用カラムに移して分離する方法等が挙げられる。
なお、反応後の反応溶液と水溶液との混合は、反応溶液に水溶液を加えることにより行っても良いし、水溶液に反応後の反応溶液を加えることにより行っても良く、いずれの方法であっても問題ない。
なお、下限は特に限定されないが、−30℃以上が好ましく、−10℃以上がより好ましい。
圧力は、得られるアミノ置換ホスファゼン化合物の沸点にもよるが、500mmHg以下が好ましく、300mmHg以下がより好ましい。減圧しすぎると、精製効率が低下するため、圧力の下限は、3mmHg以上が好ましい。
アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブチンジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、好ましくは、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5または6員環のヘテロ環基が好ましく、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20のアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含み、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、アニリノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルファモイル基、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル等)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシル基、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ベンゾイル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20のカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ベンジルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ、1−ナフチルチオ、3−メチルフェニルチオ、4−メトキシフェニルチオ等)、アルキルもしくはアリールスルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルもしくはアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、ベンゼンスルホニル等)、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)が挙げられる。
また、各基は、上記の置換基Tでさらに置換されていてもよい。例えば、アルキル基にアリール基が置換されたアラルキル基などである。
(電解質)
本発明にかかる非水二次電池には、非水二次電池用の電解液が適用される。電解液に用いる電解質は周期律表第1族または第2族に属する金属イオンの塩であることが好ましい。その材料は電解液の使用目的により適宜選択される。例えば、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられ、二次電池などに使用される場合には、出力の観点からリチウム塩が好ましい。本発明の製造方法で製造したアミノ置換ホスファゼン化合物をリチウム二次電池用非水電解液として用いる場合には、金属イオンの塩としてリチウム塩を選択することが好ましい。リチウム塩としては、リチウム二次電池用非水電解液の電解質に通常用いられるリチウム塩が好ましく、特に制限はないが、例えば、以下に述べるものが好ましい。
なお、電解液に用いる電解質は、1種を単独で使用しても、2種以上を任意に組み合わせてもよい。
本実施形態の電解液に用いられる非水溶剤としては、非プロトン性有機溶媒であることが好ましく、なかでも炭素数2〜10の非プロトン性有機溶媒であることが好ましい。
このような非水溶剤としては、カーボネート化合物、ラクトン化合物、鎖状もしくは環状のエーテル化合物、エステル化合物、ニトリル化合物、アミド化合物、オキサゾリジノン化合物、ニトロ化合物、鎖状または環状のスルホンもしくはスルホキシド化合物、リン酸エステルが挙げられる。
なお、好ましい結合で示せば、エーテル結合、カルボニル結合、エステル結合またはカーボネート結合を有する化合物が好ましい。これらの化合物は置換基を有していてもよく、例えば置換基Tが挙げられる。
しかしながら、本発明に用いられる非水溶剤は、上記例示によって限定されるものではない。
電解液には、難燃性の向上、サイクル特性の良化、容量特性の改善などのため、各種の機能性添加剤を含有させることが好ましい。
本発明の非水二次電池用電解液の製造方法は、上記アミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法を経由して、これを含有する非水二次電池用電解液を調製することにより実施することができる。具体的には、例えば、金属イオンの塩としてリチウム塩を用いた例を含め、上記各成分を上記非水電解液溶媒に溶解して、常法により調製される。
本発明の非水二次電池の製造方法は、上記非水二次電池用電解液の製造方法を経由して、正極と負極と上記非水二次電池用電解液とを具備する電池を作製することで実施することができる。
本発明にかかる好ましい実施形態のリチウムイオン二次電池は、上記本発明の非水二次電池用電解液と、リチウムイオンの挿入放出が可能な正極(正極集電体,正極活物質層)と、リチウムイオンの挿入放出または溶解析出が可能な負極(負極集電体,負極活物質層)とを備える。これら必須の部材に加え、電池が使用される目的、電位の形状などを考慮し、正極と負極の間に配設されるセパレータ、集電端子、および外装ケース等を含んで構成されてもよい。必要に応じて、電池の内部及び電池の外部の少なくともいずれかに保護素子を装着してもよい。このような構造とすることにより、電解液内でリチウムイオンの授受が生じ、充電、放電を行うことができ、回路配線を介して動作機構を介して運転あるいは蓄電を行うことができる。以下、これらの各部材について述べる。
電極合材は、集電体(電極基材)上に活物質と導電剤、結着剤、フィラーなどの分散物を塗布したものであり、リチウム電池においては、活物質が正極活物質である正極合材と活物質が負極活物質である負極合材が使用されることが好ましい。次に、電極合材を構成する分散物(電極用組成物)中の各成分等について説明する。
正極活物質にはリチウム含有遷移金属酸化物を用いることが好ましく、中でも、遷移元素Ma(Co、Ni、Fe、Mn、CuおよびVから選択される1種以上の元素)を有することが好ましい。また、混合元素Mb(リチウム以外の金属周期律表の第1族の元素、第2族の元素、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなど)を混合してもよい。この、リチウム含有遷移金属酸化物としては、例えば、下記式(MA)〜(MC)のいずれかで表されるものを含む特定遷移金属酸化物、あるいはその他の遷移金属酸化物としてV2O5、MnO2等が挙げられる。正極活物質には、粒子状の正極活物質を用いてもよい。具体的に、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できる遷移金属酸化物を用いることができるが、上記特定遷移金属酸化物を用いることが好ましい。
リチウム含有遷移金属酸化物は、中でも下式で表されるものが好ましい。
(MA−2) LigNiOk
(MA−3) LigMnOk
(MA−4) LigCojNi1−jOk
(MA−5) LigNijMn1−jOk
(MA−6) LigCojNiiAl1−j−iOk
(MA−7) LigCojNiiMn1−j−iOk
式(MA−1)〜(MA−7)で表される遷移金属化合物の具体例としては、LiCoO2(コバルト酸リチウム[LCO])、LiNi2O2(ニッケル酸リチウム)、LiNi0.85Co0.01Al0.05O2(ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム[NCA])、LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2(ニッケルマンガンコバルト酸リチウム[NMC])、LiNi0.5Mn0.5O2(マンガンニッケル酸リチウム)が挙げられる。
LigNi1/3Mn1/3Co1/3O2
LigNi1/2Mn1/2O2
LigNi0.8Co0.15Al0.05O2
リチウム含有遷移金属酸化物としては中でも下記式(MB)で表されるものも好ましい。
(MB−2) LimMnpAl2−pOn
(MB−3) LimMnpNi2−pOn
(a) LiCoMnO4
(b) Li2FeMn3O8
(c) Li2CuMn3O8
(d) Li2CrMn3O8
(e) Li2NiMn3O8
高容量、高出力の観点で上記のうちNiを含む電極がさらに好ましい。
リチウム含有遷移金属酸化物としてはリチウム含有遷移金属リン酸化物を用いることも好ましく、中でも下記式(MC)で表されるものがより好ましい。
なお、Liの組成を表す上記a、c、g、m、e値は、充放電により変化する値であり、典型的には、Liを含有したときの安定な状態の値で評価される。上記式(a)〜(e)では特定値としてLiの組成を示しているが、これも同様に電池の動作により変化するものである。
なかでも本発明においては、Niおよび/またはMn原子を含有する正極活物質を用いることが好ましく、NiおよびMn原子両方を含有する正極活物質を用いることがより好ましい。
特に好ましい正極活物質の具体例としては下記が挙げられる。
LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2
LiNi0.5Co0.3Mn0.2O2
LiNi0.5Mn0.5O2
LiNi0.5Mn1.5O4
・負極活物質
負極活物質としては、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できるものが好ましく、特に制限はなく、炭素質材料、酸化錫や酸化ケイ素等の金属酸化物、金属複合酸化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、および、SnやSi等のリチウムと合金形成可能な金属等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用しても良い。なかでも炭素質材料またはリチウム複合酸化物が信頼性の点から好ましく用いられる。
また、金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵、放出可能であるものが好ましく、構成成分としてチタンおよび/またはリチウムを含有していることが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。
導電材は、構成された二次電池において、化学変化を起こさない電子伝導性材料が好ましく、公知の導電材を任意に用いることができる。通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人工黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維や金属粉(銅、ニッケル、アルミニウム、銀(特開昭63−148554号公報等に記載)、金属繊維あるいはポリフェニレン誘導体(特開昭59−20971号公報に記載)などの導電性材料を1種またはこれらの混合物として含ませることができる。その中でも、黒鉛とアセチレンブラックの併用が特に好ましい。上記導電材の添加量は、1〜50質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましい。カーボンや黒鉛の場合は、2〜15質量%が特に好ましい。
結着剤としては、多糖類、熱可塑性樹脂およびゴム弾性を有するポリマーなどが挙げられる。その中でも、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、セルロース、ジアセチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルフェノール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシ(メタ)アクリレート、スチレン−マレイン酸共重合体等の水溶性ポリマー、ポリビニルクロライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、ポリビニルアセタール樹脂、メチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート等のビニルエステルを含有するポリビニルエステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のエマルジョン(ラテックス)あるいはサスペンジョンが好ましく、ポリアクリル酸エステル系のラテックス、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンがより好ましい。
電極合材は、フィラーを含んでいてもよい。フィラーを形成する材料は、本発明の二次電池において、化学変化を起こさない繊維状材料が好ましい。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー、ガラス、炭素などの材料からなる繊維状のフィラーが用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、分散物中、0〜30質量%が好ましい。
正・負極の集電体としては、化学変化を起こさない電子伝導体が用いられることが好ましい。正極の集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの他にアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、その中でも、アルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましい。
これらの材料から適宜選択した部材によりリチウム二次電池の電極合材が形成される。
非水二次電池に用いられるセパレータは、正極と負極を電子的に絶縁する機械的強度、イオン透過性、及び正極と負極の接触面で酸化・還元耐性のある材料で構成されていることが好ましい。このような材料として多孔質のポリマー材料や無機材料、有機無機ハイブリッド材料、あるいはガラス繊維などが用いられる。これらセパレータは信頼性確保のためのシャットダウン機能、すなわち、80℃以上で隙間を閉塞して抵抗を上げ、電流を遮断する機能を持つことが好ましく、閉塞温度は90℃以上、180℃以下であることが好ましい。
本発明の非水二次電池の製造方法は、本発明の非水二次電池用電解液の製造方法を経由して、正極と負極と非水二次電池用電解液とを具備する非水二次電池を作製する。
例えば、正極活物質合剤および負極活物質合剤を、それぞれ集電体上に、塗布(コート)、乾燥、および圧縮して正極および負極を得る工程と、セパレータを正極および負極の間に介在させるとともに、これらを電池ケースに収容する工程と、本発明の非水二次電池用電解液の製造方法により製造された非水電解液を電池ケースに収容する工程と、電池ケースを封口する工程と、で作製することができる。非水二次電池の形状としては、シート状、角型、シリンダー状などが挙げられ、本発明の非水二次電池の製造方法はいずれの形にも適用できる。
下部に取り出しコックを有する300ml容の3つ口フラスコに、N−メチルピロリドン30ml、ヘキサフルオロシクロトリホスファゼン20.0g(80mmol)を添加し、氷/メタノール寒剤浴で−10℃〜0℃に保ちながら、ジメチルアミンガス7.21g(160mmol)(Aldrich社製)を0.3g/minの速度でバブリングした。その後、0℃の反応液に1N HCl 100mlを加え、下層に分離した化合物(1−1)を、コックを開いて分取し、粗体を得た。次に、粗体を120mmHg、61℃で蒸留精製を行い、無色透明の化合物(1−1)を11.88g得た。収率は54%であった。蒸留精製前の溶媒残存量をガスクロマトグラフィーで確認したところ、反応溶媒は検出されなかった。さらに蒸留精製後も溶媒残存量は検出されなかった。
得られた化合物(1−1)の1H−NMR、19F−NMRスペクトルを図1および図2に示す。得られた化合物(1−1)は、ヘキサフルオロシクロトリホスファゼンの1つのフッ素原子がジメチルアミノ基に置換された1置換体であった。
下部に取り出しコックを有する300ml容の3つ口フラスコに、ジメチルアセトアミド35ml、ヘキサフルオロシクロトリホスファゼン20.0g(80mmol)を添加し、氷/メタノール寒剤浴で−10℃〜0℃に保ちながら、ジメチルアミンガス7.21g(160mmol)(Aldrich社製)を0.3g/minの速度でバブリングした。その後、0℃の反応液に1N HCl 150mlを加え、下層に分離した化合物(1−1)を、コックを開いて分取し、粗体を得た。次に、粗体を120mmHg、60℃で蒸留精製を行い、無色透明の化合物(1−1)を11.23g得た。収率は51%であった。蒸留精製前の溶媒残存量をガスクロマトグラフィーで確認したところ、反応溶媒は検出されなかった。さらに蒸留精製後も溶媒残存量は検出されなかった。
下部に取り出しコックを有する300ml容の3つ口フラスコに、N,N−ジメチルイミダゾリジノン30ml、ヘキサフルオロシクロトリホスファゼン20.0g(80mmol)を添加し、水浴で10℃〜20℃に保ちながら、メチルエチルアミン9.46g(160mmol)(Aldrich社製)を10分かけて滴下した。その後、10℃の反応液に2N HCl 150mlを加え、下層に分離した化合物(1−2)を、コックを開いて分取し、粗体を得た。次に、粗体を120mmHg、65〜69℃で蒸留精製を行い、無色透明の化合物(1−2)を12.22g得た。収率は53%であった。蒸留精製前の溶媒残存量をガスクロマトグラフィーで確認したところ、反応溶媒は検出されなかった。さらに蒸留精製後も溶媒残存量は検出されなかった。
下部に取り出しコックを有する300ml容の3つ口フラスコに、N−メチルピロリドン30ml、ヘキサフルオロシクロトリホスファゼン20.0g(80mmol)を添加し、氷水浴で0℃〜10℃に保ちながら、ジエチルアミン11.70g(160mmol)(Aldrich社製)を10分かけて滴下した。その後、10℃の反応液に1N HCl 150mlを加え、下層に分離した化合物(1−3)を、コックを開いて分取し、粗体を得た。次に、粗体を10mmHg、50〜55℃で蒸留精製を行い、無色透明の化合物(1−3)を12.06g得た。収率は50%であった。蒸留精製前の溶媒残存量をガスクロマトグラフィーで確認したところ、反応溶媒は検出されなかった。さらに蒸留精製後も溶媒残存量は検出されなかった。
下部に取り出しコックを有する300ml容の3つ口フラスコに、ジメトキシエタン30ml、ヘキサフルオロシクロトリホスファゼン20.0g(80mmol)を添加し、氷/メタノール寒剤浴で−10℃〜0℃に保ちながら、ジメチルアミンガス7.21g(160mmol)(Aldrich社製)を0.3g/minの速度でバブリングした。その後、0℃の反応液に0.5mol/l KCl 100mlを加え、下層に分離した化合物(1−1)を、コックを開いて分取し、粗体を得た。次に、粗体を120mmHg、61℃で蒸留精製を行い、無色透明の化合物(1−1)を11.43g得た。収率は52%であった。蒸留精製前の溶媒残存量をガスクロマトグラフィーで確認したところ、2質量%検出された。その後蒸留精製すると、溶媒残存量は検出されなかった。
下部に取り出しコックを有する300ml容の3つ口フラスコに、アセトニトリル30ml、ヘキサフルオロシクロトリホスファゼン20.0g(80mmol)を添加し、氷水浴で0℃〜10℃に保ちながら、ジエチルアミン11.70g(160mmol)(Aldrich社製)を10分かけて滴下した。その後、10℃の反応液に1N HCl 150mlを加え、下層に分離した化合物(1−3)を、コックを開いて分取し、粗体を得た。次に、粗体を10mmHg、50〜55℃で蒸留精製を行い、無色透明の化合物(1−3)を13.26g得た。収率は55%であった。蒸留精製前の溶媒残存量をガスクロマトグラフィーで確認したところ、4質量%検出された。その後蒸留精製すると、溶媒残存量は検出されなかった。
300mlの3つ口フラスコに、ジエチルエーテル79ml、ヘキサフルオロシクロトリホスファゼン15.66g(63mmol)を添加し、反応溶液にジメチルアミン溶液(2M in THF、アルドリッチ社製)63ml(126mmol)を0℃で1時間かけて滴下した。その後、反応液を室温で一晩(16時間)攪拌した。溶液から沈殿物を分離後、ジエチルエーテル50mlで洗浄した。次に120mmHg、30℃で2時間かけて反応溶媒を減圧留去した。残留物を30mlフラスコに移動した後、さらに120mmHg、59℃で蒸留精製を行い、無色透明の化合物(1−1)を7.77g得た。収率は45%であった。また、溶媒残存量をガスクロマトグラフィーで確認したところ、14質量%のTHFを含有していた。その後蒸留精製すると、溶媒残存量が4質量%検出された。表1における蒸留精製前溶媒残存量は、反応溶媒を減圧留去し、減圧濃縮した時点の溶媒残存量を示す。
HFP:ヘキサフルオロシクロトリホスファゼン
DMA:ジメチルアミン
MEA:メチルエチルアミン
DEA:ジエチルアミン
NMP:N−メチルピロリドン
DMAc:ジメチルアセトアミド
DME:ジメトキシエタン
AN:アセトニトリル
DMAc:ジメチルアセトアミド
DMI:N,N−ジメチルイミダゾリジノン
Et2O:ジエチルエーテル
THF:テトラヒドロフラン
単離した化合物中に含まれる有機溶媒量は、次のようにして測定した。化合物(1−1)〜(1−3)を、ガスクロマトグラフィー(GC−2010,SHIMADZU)を用いて分析し、残留溶媒を定量することより行った。本実施例では、分析時の測定条件は、以下の条件である。
検出器: TCD(Thermal Conductivity Detector:熱伝導検出器)
電流:80mA
注入量:1〜5μl
キャリアガス:He 1ml/min
チャートスピード:5mm/min
カラム温度:35℃→280℃(10℃/min)
Injection Temp:280℃
一方、反応後の反応溶液に水溶液を加えて相分離する工程を行わない比較例1では、蒸留精製前溶媒残存量が14質量%と多く、蒸留精製後でも溶媒残存量が4質量%であった。なお、比較例1では、ClogPが0.7以上の反応溶媒を含むことから、反応溶液に水溶液を加えても、実質アミノ置換ホスファゼン化合物のみの相としてアミノ置換ホスファゼン化合物を取り出すことは困難である。
このように、本発明では、分離工程および蒸留精製工程のみであり、比較例1のような濃縮工程が必要なく、大幅な製造工程の簡略化および時間短縮が可能である。
国際公開2013/047342号パンフレットにおける実施例1の試験No.116において、使用されている化合物(1−1)を、本発明の実施例1、実施例2および比較例1で得られた化合物(1−1)に置き換えた以外は、国際公開第2013/047342号パンフレットに記載の試験No.116と同様にして、試験No.116A、116B(それぞれ本発明の実施例1、実施例2で得られた化合物(1−1)を使用した)および試験No.116C(本発明の比較例1で得られた化合物(1−1)を使用した)を作製し、国際公開2013/047342号パンフレットの実施例1と同様の評価を行った。この結果、試験No.116Cと比較し、試験No.116Aおよび116Bは、難燃性、サイクル特性、およびRate特性のいずれも優れていることを確認した。
上記の課題は以下の手段により解決された。
<1>フッ素化ホスファゼン化合物とアミン化合物とを反応溶媒中で反応させてフッ素化ホスファゼン化合物のフッ素原子の少なくとも1つをアミン化合物で置換する工程と、
反応後の反応溶液と水溶液を混合することにより、反応溶液中の反応溶媒を水溶液に溶解させ、この溶解によりアミノ置換ホスファゼン化合物の相、および、水溶液と反応溶媒との混合液の相に分離させることで、反応溶液中から反応溶媒を除去する工程と、
分離したアミノ置換ホスファゼン化合物を単離する工程と、
を有するアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法。
<2>アミノ置換ホスファゼン化合物が、下記式(1)で表される<1>に記載のアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法。
Claims (10)
- フッ素化ホスファゼン化合物とアミン化合物とを反応溶媒中で反応させて該フッ素化ホスファゼン化合物のフッ素原子の少なくとも1つをアミン化合物で置換する工程と、
前記反応後の反応溶液と水溶液を混合して、前記アミノ置換ホスファゼン化合物の相、および前記水溶液と前記反応溶媒との混合液の相に分離させる工程と、
前記分離した前記アミノ置換ホスファゼン化合物を単離する工程と、
を有するアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法。 - 前記反応溶媒のClogPが、0.7以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法。
- 前記反応溶媒が、アミド溶媒、ニトリル溶媒、エステル溶媒、炭酸エステル溶媒、またはエーテル溶媒の少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項に記載のアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法。
- 前記水溶液のpHが7以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載のアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法。
- 前記アミン化合物の総炭素数が1〜12である請求項1〜7のいずれか1項に記載のアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法を経由して、前記アミノ置換ホスファゼン化合物を含有する非水二次電池用電解液を調製する非水二次電池用電解液の製造方法。
- 請求項9に記載の非水二次電池用電解液の製造方法を経由して、正極と負極と前記非水二次電池用電解液とを具備する非水二次電池を作製する非水二次電池の製造方法。
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