JPWO2016052329A1 - アミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法、非水二次電池用電解液の製造方法および非水二次電池の製造方法 - Google Patents

アミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法、非水二次電池用電解液の製造方法および非水二次電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

フッ素化ホスファゼン化合物とアミン化合物とを反応溶媒中で反応させてフッ素化ホスファゼン化合物のフッ素原子の少なくとも1つをアミン化合物で置換する工程と、反応後の反応溶液と水溶液を混合して、アミノ置換ホスファゼン化合物の相、及び水溶液と反応溶媒との混合液の相に分離させる工程と、分離したアミノ置換ホスファゼン化合物を単離する工程と、を有するアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法、非水二次電池用電解液の製造方法及び非水二次電池の製造方法。

Description

本発明は、アミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法、非水二次電池用電解液の製造方法および非水二次電池の製造方法に関する。
近年、P(リン)−N(窒素)二重結合を構成単位として有し、P原子にハロゲン原子が結合したハロゲン化ホスファゼン化合物は、様々な材料に優れた難燃性を付与することができる化合物として注目されており、その置換体およびその製造方法が研究されている。例えば、特許文献1には、リチウム二次電池用電解液の添加剤として、環状ハロゲン化ホスファゼンの1つのハロゲン原子がジメチルアミノ基またはジエチルアミノ基で置換された環状のフッ素化ホスファゼンが開示されている。このアミノ置換ホスファゼン化合物によれば、優れた難燃性を示すことが記載されている。
また、特許文献2には、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基等を有する環状ホスファゼン化合物が開示されている。これらの環状ホスファゼン化合物をリチウム二次電池の電解液に含有させることにより、電池の過充電評価において消炎時間が短いことが記載されている。
特開2013−235830号公報 国際公開第2013/047342号パンフレット
本発明者らは、このように従来の難燃性に優れたアミノ置換ホスファゼン化合物を工業的に大量に製造する際に、下記の改善すべき点があることがわかった。
アミノ置換ホスファゼン化合物は、フッ素化ホスファゼン化合物とアミン化合物とを有機溶媒中で求核置換反応させることによって製造することができる(特許文献1、2参照)。反応に使用する有機溶媒は、通常、ジエチルエーテルやTHF(テトラヒドロフラン)等のエーテル溶媒や、t−BuOMe(メチル ターシャリーブチルエーエル)、アセトニトリルが用いられている。アミノ置換ホスファゼン化合物の多くは液体であり、反応後に蒸留で精製単離される。
アミノ置換ホスファゼン化合物は様々な用途に用いられ、非水二次電池用電解液等に用いる場合は、高純度が特に要求される。しかし、従来の製造法では、得られたアミノ置換ホスファゼン化合物は有機溶媒と相互作用しやすいためか、共沸による有機溶媒の混入が避けられず、高純度に精製し難いという問題がある。そのため、精製蒸留によって高純度なものが得られても、高純度なものは、蒸留の後段部分を取り出すことになり、精製効率・エネルギー効率が低くなる。これを回避するために精密蒸留を行うと蒸留時間が長くなり、生産効率が悪くなる。しかも、既存の設備が使用できず、新たな精密蒸留装置の導入が必要となり、製造コスト面でも不利になる。
また、通常、有機溶媒に使用されているTHFは過酸化物が生成しやすく、従来の方法では、製造上の安全性の観点から蒸留精製には不向きであった。しかも、THFが、得られたアミノ置換ホスファゼン化合物に比較的多量に残留していると、アミノ置換ホスファゼン化合物が使用されるまでの保管中に過酸化物が生じることがある。このような純度が十分でないアミノ置換ホスファゼン化合物を、例えば二次電池の電解液に用いると、電池特性が劣化する。
一方、ジエチルエーテルは、引火性の溶媒であるため製造における使用は回避したい。
このように、ホスファゼン化合物の電池や電子材料の難燃剤としての利用が広がる中、合成方法の多様化や高純度品の収率向上などに対応しうる製造技術面での改良が求められる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、フッ素化ホスファゼン化合物を出発物質として比較的簡便な製造工程で高純度なアミノ置換ホスファゼン化合物を高収率で得るアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法を提供することを課題とする。さらにこれを利用した非水二次電池用電解液の製造方法および非水二次電池の製造方法を提供することを課題とする。
P−N二重結合を有するホスファゼン化合物のリン原子に塩素原子が結合したものは、水によって加水分解が起こることが知られている。このことから、同じ環状骨格を有し、リン原子にハロゲン原子が結合したフッ素化ホスファゼン化合物やハロゲン原子の一部がアミノ基で置換されたアミノ置換ホスファゼン化合物においても加水分解を避けるため、従来、後処理で水を加えて抽出する操作は行われていなかった。また、アミノ置換ホスファゼン化合物は液体であり、反応溶媒との沸点差が十分あるため、アミノ置換ホスファゼン化合物は、一般的に蒸留で反応溶媒の除去および精製が行われてきた。しかし、本発明者らは、反応に使用する有機溶媒の蒸留による除去に上記のような問題があることから、蒸留によらない有機溶媒の除去方法について鋭意検討を重ねた。この結果、アミノ置換ホスファゼン化合物に水溶液を加えても加水分解しにくいことがわかり、本発明をなすに至った。
上記の課題は以下の手段により解決された。
<1>フッ素化ホスファゼン化合物とアミン化合物とを反応溶媒中で反応させてフッ素化ホスファゼン化合物のフッ素原子の少なくとも1つをアミン化合物で置換する工程と、
反応後の反応溶液と水溶液を混合して、アミノ置換ホスファゼン化合物の相、および、水溶液と反応溶媒との混合液の相に分離させる工程と、
分離したアミノ置換ホスファゼン化合物を単離する工程と、
を有するアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法。
<2>アミノ置換ホスファゼン化合物が、下記式(1)で表される<1>に記載のアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法。
Figure 2016052329
式(1)中、Yは−NRを表す。Yはフッ素原子または−NRを表す。R〜Rは各々独立に水素原子または置換基を表す。ここで、RとR、RとRが互いに結合して環を形成していてもよい。nは1または2を表す。
<3>フッ素化ホスファゼン化合物が、下記式(2)で表される<1>または<2>に記載のアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法。
Figure 2016052329
式(2)中、nは1または2を表す。
<4>反応溶媒のClogPが、0.7以下である<1>〜<3>のいずれか1つに記載のアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法。
<5>反応溶媒が、アミド溶媒、ニトリル溶媒、エステル溶媒、炭酸エステル溶媒、またはエーテル溶媒の少なくとも1種である<1>〜<4>のいずれか1つに記載のアミノ置換ホスファゼン化合物。
<6>反応溶媒が、下記化合物群から選ばれる少なくとも1つである<1>〜<5>のいずれか1つに記載のアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法。
Figure 2016052329
<7>水溶液のpHが7以下である<1>〜<6>のいずれか1つに記載のアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法。
<8>アミン化合物の総炭素数が1〜12である<1>〜<7>のいずれか1つに記載のアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法。
<9> <1>〜<8>のいずれか1つに記載のアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法を経由して、アミノ置換ホスファゼン化合物を含有する非水二次電池用電解液を調製する非水二次電池用電解液の製造方法。
<10> <9>に記載の非水二次電池用電解液の製造方法を経由して、正極と負極と非水二次電池用電解液とを具備する非水二次電池を作製する非水二次電池の製造方法。
本発明によれば、反応後の反応溶液と水溶液を混合することにより、反応溶媒が水溶液に溶解し、この混合液の相と、アミノ置換ホスファゼン化合物の相とに相分離が起こるため、生成物であるアミノ置換ホスファゼン化合物を容易に単離することができる。このため、反応溶液から有機溶媒を蒸留で除去する必要がなく、簡便な製造工程でアミノ置換ホスファゼン化合物を得ることができるので、生産性に優れている。
本発明の上記及び他の特徴及び利点は、適宜添付の図面を参照して、下記の記載からより明らかになるであろう。
図1は、化合物(1−1)のH−NMRスペクトル図である。 図2は、化合物(1−1)の19F−NMRスペクトル図である。
以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
以下、本発明の好ましい実施形態を中心に本発明について詳細に説明する。
<<アミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法>>
ホスファゼンとは、−P=N−結合を構成単位として有する化合物であり、鎖状または環状構造のいずれでもよいが、本発明では、環状ホスファゼン化合物が好ましい。
なお、上記のリン原子は、5価のリン原子である。−P=N−結合は、結合部分のみを示したものであって、リン原子上の置換基を記載すると、−P(Rx)(Ry)=N−と表現される。ここで、RxおよびRyは水素原子または置換基を表す。
本発明において、原料のフッ素化ホスファゼン化合物は、ホスファゼン化合物中のRx、Ryの少なくとも1つがフッ素原子である化合物であり、RxおよびRyの全てがフッ素原子であるものが好ましい。
また、アミノ置換ホスファゼン化合物は、化合物中のRxおよびRyの少なくとも1つがアミノ基(無置換のアミノ基だけでなく、アルキルアミノ基、アリールアミノ基などの置換アミノ基も包含する)である化合物であり、本発明では、化合物中のRxおよびRyの1〜3つがアミノ基であるものが好ましく、1または2つがアミノ基であるものがより好ましく、1つがアミノ基であるものが、特に好ましい。
<アミノ置換ホスファゼン化合物>
アミノ置換ホスファゼン化合物は、環状ホスファゼン化合物が好ましい。
本発明の製造方法で合成されるアミノ置換ホスファゼン化合物は、好ましくは下記式(1)で表される。
Figure 2016052329
式(1)中、Yは−NRを表す。Yはフッ素原子または−NRを表す。R〜Rは各々独立に水素原子または置換基を表す。ここで、RとR、RとRが互いに結合して互いに結合して環を形成していてもよい。nは1または2を表す。
式(1)のように、YおよびY以外の基がハロゲン原子の中でもフッ素原子であると、例えば、リチウムイオン電池の電解液の添加剤(難燃剤)として適用した際に、特に高い難燃性の付与、あるいは電池性能の維持に資するため、好ましい。
本発明では、R、Rは少なくとも一方が置換基であるものが好ましく、両方が置換基であるものがより好ましい。このような置換基としては、後述の置換基Tが挙げられる。
、Rにおける置換基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基が好ましく、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基がより好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基がさらに好ましく、アルキル基が特に好ましい。また、アルキル基の炭素数は1〜12が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6がさら好ましく、1〜4が特に好ましく、1〜3がなかでも好ましく、1または2が最も好ましい。
これらの各基はさらに置換基で置換されていてもよく、このような置換基としては、後述の置換基Tが挙げられる。ただし、本発明においては、無置換のものが好ましい。
とRの炭素数の合計は1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、2〜4が特に好ましい。
とRは互いに結合して環を形成してもよく、形成される環としては、5または6員環が好ましく、1つの窒素原子以外に、環を構成する原子は、既に存在する1つの窒素原子以外にさらにヘテロ原子を有してもよく、例えば、酸素原子、硫黄原子または窒素原子が挙げられる。
とRが互いに結合して形成される環は、例えば、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、4,4−ジオキシチオモルホリン環が挙げられる。
、RはR、Rと同義であり、好ましい範囲も同じである。
nは、1または2を表し、1が特に好ましい。
アミノ置換ホスファゼン化合物の好ましい具体例(1−1)〜(1−3)を以下に示す。ただし、以下の化合物の例示により本発明はなんら制限を受けるものではない。
Figure 2016052329
上記以外に、N−メチルアミノペンタフルオロシクロトリホスファゼン、N−エチルアミノペンタフルオロシクロトリホスファゼン、N−n−プロピルアミノペンタフルオロシクロトリホスファゼン、N−メチル−N−n−プロピルアミノペンタフルオロシクロトリホスファゼン、N−エチル−N−n−プロピルアミノペンタフルオロシクロトリホスファゼン、N,N−ジn−プロピルアミノペンタフルオロシクロトリホスファゼン、ピロリジン−1−イルペンタフルオロシクロトリホスファゼン、ピペラジン−1−イルペンタフルオロシクロトリホスファゼン、モルホリン−1−イルペンタフルオロシクロトリホスファゼン、1,3−ビス(N,N−ジメチルアミノ)テトラフルオロシクロトリホスファゼン、1,3−ビス(N,N−ジエチルアミノ)テトラフルオロシクロトリホスファゼン、N−エチルアミノヘプタフルオロシクロテトラホスファゼン、N,N−ジメチルアミノヘプタフルオロシクロテトラホスファゼン、N,N−ジエチルアミノヘプタフルオロシクロテトラホスファゼン、N−メチル−N−エチルアミノヘプタフルオロシクロテトラホスファゼン、N,N−ジエチルアミノヘプタフルオロシクロテトラホスファゼン、1,3−ビス(N,N−ジメチルアミノ)ヘキサフルオロシクロテトラホスファゼン、1,3−ビス(N,N−ジエチルアミノ)ヘキサフルオロシクロテトラホスファゼンが挙げられる。
次に、本発明のアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法に使用する出発物質であるフッ素化ホスファゼン化合物およびアミン化合物について説明する。
<フッ素化ホスファゼン化合物>
フッ素化ホスファゼン化合物として好ましい化合物は、下記式(2)で表される化合物である。
Figure 2016052329
式(2)中、nは、1または2を表し、1が特に好ましい。
このようなフッ素化ホスファゼン化合物は、ヘキサフルオロシクロトリホスファゼン、オクタフルオロシクロテトラホスファゼンである。
フッ素化ホスファゼンは、市販品を用いてもよいし、例えば、Schmutzler,R.,Inorg.Synth.,9,75(1967)に記載の方法やこの文献を参照することで合成できる。
<アミン化合物>
アミン化合物は、−NH−の部分構造を有するものであればどのような化合物でも構わないが、本発明では、好ましくは、下記式(3)で表される。
Figure 2016052329
式(3)中、RおよびRは各々独立に水素原子または置換基を表す。
ここで、R、Rは式(1)におけるR、Rと同義であり、好ましい範囲も同じである。
アミン化合物の具体例としては、N−メチルアミン、N−エチルアミン、N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N−メチル−N−エチルアミン、N−メチル−N−n−プロピルアミン、N,N−ジ−n−プロピルアミン、ピロリジン、ピペリジン、N−メチルピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、4,4−ジオキシチオモルホリンなどが挙げられる。これ以外に、アミノ置換ホスファゼン化合物の具体例で示したアミノ基に基づくアミン化合物が挙げられる。これらのなかでも、N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N−メチル−N−エチルアミンが特に好ましい。
<反応溶媒>
反応溶媒としては、有機溶媒が好ましく、アミド溶媒、ニトリル溶媒、エーテル溶媒、エステル溶媒、炭酸エステル溶媒、ケトン溶媒、スルホキシド溶媒、尿素溶媒等が挙げられる。なかでもアミド溶媒、ニトリル溶媒、エステル溶媒、炭酸エステル溶媒がより好ましく、アミド溶媒、ニトリル溶媒がさらに好ましく、アミド溶媒が最も好ましい。
アミド溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドまたはN−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンなどが挙げられる。
ニトリル溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニトリルなどが挙げられる。
エーテル溶媒としては、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジエチルエーテルなどが挙げられる。
エステル溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、またはγ−ブチロラクトン等が挙げられる。
炭酸エステル溶媒としては、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート、プロプレンカーボネート、などが挙げられる。
ケトン溶媒としては、アセトン、2−ブタノンまたは4−メチル−2−ペンタノンなどが挙げられる。
スルホキシド溶媒としては、ジメチルスルホキシド、スルホランなどが挙げられる。
尿素溶媒としては、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(N,N−ジメチルイミダゾリジノン)が挙げられる。
本発明に用いる反応溶媒は、親水性が好ましい。親水性の指標としてClogPを用いる。ClogPは、水溶液との相溶性が高い0.7以下が好ましい。0.6以下がより好ましく、0.5以下がさらに好ましく、0.4以下が特に好ましく、0.3以下が最も好ましい。
下限は特に制限はないが、−1.0以上が現実的である。
なかでも、本発明は、反応後に反応溶液の有機溶媒を水に溶解させ、除去することから親水性で、かつ水溶性の有機溶媒が好ましい。
ここで、ClogPは計算によるLogPの推算値のClogPであり、本発明では、CLogP値は、CambridgeSoft社製ChemDraw Pro ver.12.0により計算された値である。
なお、LogPは、分配係数P(Partition Coefficient)の常用対数を意味し、ある化学物質が油(一般的に1−オクタノール)と水の2相系の平衡でどのように分配されるかを定量的な数値として表す物性値であり、次式で表される。
LogP = Log(Coil/Cwater
上記式において、Coilは油相中のモル濃度を表し、Cwaterは水相中のモル濃度を表す。LogPの値が0をはさんでプラスに大きくなると油溶性が増し、マイナスで絶対値が大きくなると水溶性が増す。LogPは化学物質の水溶性と負の相関があり、親疎水性を見積るパラメータとして広く利用されている。
このような反応溶媒として下記(4−1)〜(4−10)が好ましい。各化合物の下にClogPを記載する。
Figure 2016052329
なかでも、ジメチルアセトアミド(4−1)[ClogP:−0.802]、N−メチルピロリドン(4−2)[ClogP:−0.397]、N−エチルピロリドン(4−3)[ClogP:0.132]、アセトニトリル(4−4)[ClogP:−0.394]、プロピレンカーボネート(4−5)[ClogP:−0.383]、ジメトキシエタン(4−6)[ClogP:−0.044]、ジメチルカーボネート(4−7)[ClogP:0.102]がより好ましい。
水溶液の層への移動のし易さの観点から、塩基性の反応溶媒がさらに好ましい。このような反応溶媒として、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、アセトニトリルが挙げられる。
反応溶媒は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
ジメチルアセトアミド(沸点165℃)、N−メチルピロリドン(202℃)、N−エチルピロリドン(218℃)等の高沸点の反応溶媒を用いれば極性が高いため、触媒等の添加剤の溶解性もよく、アミノ置換ホスファゼン化合物の製造用反応溶媒として有用である。
<水溶液>
水溶液のpHは7以下が好ましい。pH7以下とすることにより、親水性の反応溶媒との相溶性が良く、疎水性の生成物であるアミノ置換ホスファゼン化合物層との分離が良好となる。また、アミノ置換ホスファゼン化合物の、水またはOH等の求核種による分解を抑えることができる。
pHは6.5以下がより好ましく、6以下が更に好ましく、5以下が特に好ましい。下限は0以上が好ましい。水溶液のpHが7を超えると、置換反応によって生成し沈殿させたフッ化水素とアミン化合物との塩が中和されて、再度有機溶媒に溶解するので、分離工程が複雑となるため好ましくない。
本発明において、水溶液としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、シュウ酸、酢酸、ギ酸、フタル酸、クエン酸、酒石酸等の酸性水溶液、これらの塩の水溶液、または通常の水や蒸留水単体も用いることができる。酸としては、塩酸、リン酸がより好ましく、塩酸が特に好ましい。
塩の水溶液を用いる場合は、水溶液のpHは7以下となる塩であり、陽イオンとしてはアンモニウムカチオン、マグネシウム、ナトリウム、またはカリウムなどが挙げられ、ナトリウムまたはカリウムが好ましい。これらの陽イオンは、エーテル系の反応溶媒と親和性が高く、反応溶媒が水溶液層に移動し易くなるため好ましい。例えば、塩化マグネシウム水溶液、塩化カリウム水溶液、リン酸二水素カリウム水溶液、リン酸水素二カリウム水溶液、リン酸二水素ナトリウム水溶液、リン酸水素二ナトリウム水溶液、シュウ酸一カリウム、酢酸ナトリウム等が挙げられる。また、上記に挙げた酸および塩を2種以上併用してもよい。
酸性水溶液中の酸の濃度は、有機溶媒との混合を良好にする観点から、12N以下が好ましく、8N以下がより好ましく6N以下がさらに好ましく、4N以下が最も好ましい。
なお、Nは規定度である。
本発明における反応では、アミノ基の置換後に当量のフッ化水素(HF)が発生する。生成するフッ化水素を中和するために、塩基性化合物を添加してもよい。添加する塩基性化合物としては、有機、無機化合物があるが、有機塩基が特に好ましい。有機塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられる。アミン置換反応の場合は、フッ素化ホスファゼン化合物と反応させる原料のアミン化合物を中和に用いてもよい。
<反応に使用するその他の化合物>
本発明の製造方法において、上記以外に、反応の進行とともに生じるHFを中和するための塩基もしくは化合物、反応を促進するための触媒を使用してもよい。
(生じたHFを捕獲する塩基もしくは化合物)
塩基としては、フッ素化ホスファゼン化合物と反応しない塩基が好ましく、有機もしくは無機の塩基のいずれでも構わない。
このような塩基のうち、有機塩基としては、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルもしくはエチルエチレンジアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)のような第三級アミン化合物、ピリジンのような含窒素芳香族ヘテロ環化合物、テトラメチルヒドラジンのようなテトラアルキルヒドラジン化合物、ジアザビシクロウンデセン、ジアザシクロノネン、N,N−ジアルキルグアニジン、プロアザフォスファトラン(P(RzNCHCHN、ここでRzはアルキル基)のようなアトラン化合物などが挙げられる。
無機塩基としては、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が挙げられ、このうち炭酸塩もしくは炭酸水素塩が好ましく、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムが挙げられる。
上記のうち、第三級アミン化合物、含窒素芳香族ヘテロ環化合物、ジアザビシクロウンデセン、ジアザシクロノネンが好ましい。
一方、HFを捕獲する化合物としては、炭素−炭素不飽和結合(二重結合または三重結合)を有する化合物、ケイ素と酸素の結合を有する化合物が挙げられ、例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、プロピレン、2−メチルプロペン、スチレン、1−ヘキセン、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン、1−プロピン、アセチレン、2−ブテン、フェニルアセチレンが挙げられる。
生じたHFを捕獲する塩基もしくは化合物の使用量は、使用するフッ素化ホスファゼン化合物とアミン化合物の反応で生じる理論量に対して、等モル量〜1.5モル量が好ましく、等モル量〜1.2モル量がより好ましい。
ここで、理論量とは、例えば、1モルのフッ素化ホスファゼンに1当量のアミノ基を導入する場合、1モルのHFが生成することから、この1モルのHFを意味する。なお、2当量のアミノ基を導入する場合は、2モルのHFが生成する。
(触媒)
本発明の製造方法では、フッ素原子に対するアミン化合物の求核反応の反応収率を向上させるために、各種の触媒を使用することもできる。
このような触媒としてはルイス酸が挙げられ、例えば、BFO(C、AlBr、AlCl、AlClF、ZnI、MgCl、LiCl、LiBr、SnCl、CuCl、FeCl、FeCl、ZnCl、シリルクロリド化合物、MnCl、CoCl、NiCl、ZrOCl、ZrCl、SrCl、InCl、HfOCl、GaCl、CAlCl、BiCl、TiCl、GeCl、SbCl、FeBr、VCl、MoCl、BCl、BBr3、Cu(OSOCF、Ln(OSOCF、Fe(SO、ZrCl、Zr(SO、ZnSO、Fe(NO、Ni(NO、Mg(OAc)、Fe(OAc)、Co(OAc)等が使用できる。
また、本発明のアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法には、その合成反応に特定元素Mと酸素原子とを構造中に有する化合物からなる触媒を用いてもよい。このような触媒として酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化バナジウム、酸化リチウム、酸化カルシウム、Zr=O(OH)、酸化モリブデン、酸化ケイ素、および酸化ホウ素からなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましい。
触媒の使用量は、原料のフッ素化ホスファゼン化合物1モルに対して0.01〜5モルが好ましく、0.01〜3モルがより好ましく、0.05〜3モルがさらに好ましく、0.25〜1モルが特に好ましい。
<その他の反応条件>
アミン化合物の使用量は、製造するアミン置換ホスファゼン化合物のアミン置換数により異なる。アミノ基を1個(1当量)導入するのに必要なアミン化合物の使用量は、1モルのアミン化合物が必要であり、通常は、1〜1.3モル使用される。ただし、反応進行とともにHFが生じることから、生じたHFを捕獲する塩基もしくは化合物を使用しない場合、原料として使用するアミン化合物が、HFを捕獲し、アミン化合物のHF塩となる。このため、この部分を考慮すると、アミン化合物は、2〜2.5モルが好ましく、2〜2.3モルがより好ましく、2モルがさらに好ましい。
なお、アミノ基を2個(2当量)導入する場合は、アミン化合物は、4〜5モルが好ましく、4〜4.5モルがより好ましく、4モルがさらに好ましい。
アミン化合物が、気体の場合、アミン化合物のガスを反応液に導入してもよく、また、本発明の有機溶媒に溶解された溶液を使用してもよい。
アミン化合物のガスを反応液に導入する場合の導入速度は、反応スケールに応じて適宜調整することが好ましい。
反応は、反応容器に、原料のフッ素化ホスファゼン化合物およびアミン化合物のいずれか一方を有機溶媒と混合して加え、他方を滴下もしくはガス導入で、徐々に加えるのが好ましい。ただし、HFを捕獲する塩もしくは化合物、触媒を使用する場合は、これらを最初から反応容器に加えておくのが好ましい。
一方の原料に、他方の原料を加える際の反応温度は、−30〜50℃が好ましく、−30〜30℃がより好ましく、原料を加えた後の反応温度は、−10〜100℃が好ましく、−10〜50℃がより好ましい。
反応時間は、24時間以内が好ましく、10時間以内がより好ましく、5時間以内がさらに好ましく、3時間以内が特に好ましい。
反応終了後、反応容器中の反応溶液と水溶液を混合する。反応に使用する有機溶媒(反応溶媒)は親水性であるため、水溶液に溶解する。このため、疎水性を示すアミノ置換ホスファゼン化合物は、反応に使用した有機溶媒から分離し、アミノ置換ホスファゼン化合物のみが、水溶液と反応溶媒との混合層(以下、単に混合層と記載する場合がある)と相分離を起こす。アミノ置換ホスファゼン化合物の比重(1.5程度)は、混合層の比重より大きいため、混合層の下方に分離する。
単離する方法としては、下部に取り出しコックを有する反応容器を用いて反応させ、反応後ここからアミノ置換ホスファゼン化合物を取り出す方法、あるいは反応後の反応溶液をフェーズセパレータなどの液液抽出用カラムに移して分離する方法等が挙げられる。
なお、反応後の反応溶液と水溶液との混合は、反応溶液に水溶液を加えることにより行っても良いし、水溶液に反応後の反応溶液を加えることにより行っても良く、いずれの方法であっても問題ない。
水溶液を加えて相分離させる時の、反応後の反応溶液および混合層の温度は、相分離を良好に行うため、および、得られたアミノ置換ホスファゼン化合物が加水分解等の分解をできる限り抑えるため、30℃未満が好ましく、20℃以下がより好ましく、10℃以下がさらに好ましい。30℃を超えると加水分解が生じやすくなるので好ましくない。
なお、下限は特に限定されないが、−30℃以上が好ましく、−10℃以上がより好ましい。
本発明では、反応溶媒を除去するための蒸留工程が必要ないため、生産性が向上する。
反応後、アミノ置換ホスファゼン化合物は撥水性の高いフッ素原子を複数有する化合物であり、水分は含まれていないと考えられるが、より高純度とするため、無水硫酸マグネシウムなどの脱水剤を紛体で加え、一定時間放置後無水硫酸マグネシウムを除去する工程やブライン飽和水を添加して水分を除去する工程を設けてもよい。
また、反応液中に不溶物(例えばアミン化合物のHF塩など)が生じた場合、この不溶物を濾過して取り除いてから、水溶液を添加してアミン置換ホスファゼン化合物を単離するのが好ましい。
単離したアミノ置換ホスファゼン化合物は実質的に有機溶媒を含んでいないが、未反応の原料であるフッ素化ホスファゼン化合物や目的とする置換数以上に置換したアミノ置換ホスファゼン化合物を分離するため、本発明では、蒸留工程を設けて精製するのが好ましい。これにより、さらに高純度にすることができる。蒸留は、常圧、すなわち、大気下で蒸留しても構わないが、生産性の観点で、減圧蒸留するのが好ましい。
圧力は、得られるアミノ置換ホスファゼン化合物の沸点にもよるが、500mmHg以下が好ましく、300mmHg以下がより好ましい。減圧しすぎると、精製効率が低下するため、圧力の下限は、3mmHg以上が好ましい。
本発明の製造方法で得られるアミノ置換フッ素化ホスファゼンは様々な用途に用いることができる。例えば、各種電気機器や工業製品に適用される樹脂、電解液、潤滑剤、塗料等の難燃剤として適用することができる。あるいは、殺虫剤として利用することもできる(独国公開特許公報第2139691号明細書等参照)。特に本発明の製造方法で得られたアミノ置換ホスファゼン化合物は、高純度であるため、リチウム二次電池の非水電解液に難燃剤として好適に用いることができ、高品質な非水二次電池を得ることができる。
本明細書において、特段の断りがない限り、置換・無置換を明記していない置換基(連結基についても同様)については、その基に任意の置換基を有していてもよい意味である。これは置換・無置換を明記していない化合物についても同義である。好ましい置換基としては、下記置換基Tが挙げられる。
置換基Tとしては、下記のものが挙げられる。
アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブチンジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、好ましくは、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5または6員環のヘテロ環基が好ましく、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20のアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含み、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、アニリノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルファモイル基、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル等)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシル基、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ベンゾイル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20のカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ベンジルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ、1−ナフチルチオ、3−メチルフェニルチオ、4−メトキシフェニルチオ等)、アルキルもしくはアリールスルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルもしくはアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、ベンゼンスルホニル等)、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)が挙げられる。
また、各基は、上記の置換基Tでさらに置換されていてもよい。例えば、アルキル基にアリール基が置換されたアラルキル基などである。
化合物ないし置換基・連結基等がアルキル基・アルキレン基、アルケニル基・アルケニレン基、アルキニル基・アルキニレン基等を含む場合、これらは環状でも鎖状でもよく、また直鎖でも分岐していてもよく、上記のように置換されていても無置換でもよい。
<非水二次電池用電解液>
(電解質)
本発明にかかる非水二次電池には、非水二次電池用の電解液が適用される。電解液に用いる電解質は周期律表第1族または第2族に属する金属イオンの塩であることが好ましい。その材料は電解液の使用目的により適宜選択される。例えば、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられ、二次電池などに使用される場合には、出力の観点からリチウム塩が好ましい。本発明の製造方法で製造したアミノ置換ホスファゼン化合物をリチウム二次電池用非水電解液として用いる場合には、金属イオンの塩としてリチウム塩を選択することが好ましい。リチウム塩としては、リチウム二次電池用非水電解液の電解質に通常用いられるリチウム塩が好ましく、特に制限はないが、例えば、以下に述べるものが好ましい。
(L−1)無機リチウム塩:LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF等の無機フッ化物塩;LiClO、LiBrO、LiIO等の過ハロゲン酸塩;LiAlCl等の無機塩化物塩等。
(L−2)含フッ素有機リチウム塩:LiCFSO等のパーフルオロアルカンスルホン酸塩;LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(FSO、LiN(CFSO)(CSO)等のパーフルオロアルカンスルホニルイミド塩;LiC(CFSO等のパーフルオロアルカンスルホニルメチド塩;Li[PF(CFCFCF)]、Li[PF(CFCFCF]、Li[PF(CFCFCF]、Li[PF(CFCFCFCF)]、Li[PF(CFCFCFCF]、Li[PF(CFCFCFCF]等のフルオロアルキルフッ化リン酸塩等。
(L−3)オキサラトボレート塩:リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート等。
これらのなかで、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiClO、Li(RfSO)、LiN(RfSO、LiN(FSO、及びLiN(RfSO)(RfSO)が好ましく、LiPF、LiBF、LiN(RfSO、LiN(FSO、及びLiN(RfSO)(RfSO)などのリチウム塩がさらに好ましい。ここで、Rf、Rfはそれぞれパーフルオロアルキル基を示す。
なお、電解液に用いる電解質は、1種を単独で使用しても、2種以上を任意に組み合わせてもよい。
電解液における電解質(好ましくは周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンもしくはその金属塩)は、以下に電解液の調製法で述べる好ましい塩濃度となるような量で添加されることが好ましい。塩濃度は電解液の使用目的により適宜選択されるが、一般的には電解液全質量中に10質量%〜50質量%であり、好ましくは15質量%〜30質量%である。モル濃度としては0.5mol/L〜1.5mol/Lが好ましい。なお、イオンの濃度として評価するときには、その好適に適用される金属との塩換算で算定されればよい。
(非水溶剤)
本実施形態の電解液に用いられる非水溶剤としては、非プロトン性有機溶媒であることが好ましく、なかでも炭素数2〜10の非プロトン性有機溶媒であることが好ましい。
このような非水溶剤としては、カーボネート化合物、ラクトン化合物、鎖状もしくは環状のエーテル化合物、エステル化合物、ニトリル化合物、アミド化合物、オキサゾリジノン化合物、ニトロ化合物、鎖状または環状のスルホンもしくはスルホキシド化合物、リン酸エステルが挙げられる。
なお、好ましい結合で示せば、エーテル結合、カルボニル結合、エステル結合またはカーボネート結合を有する化合物が好ましい。これらの化合物は置換基を有していてもよく、例えば置換基Tが挙げられる。
非水溶剤としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、リン酸トリメチル、ジメチルスルホキシドあるいはジメチルスルホキシドリン酸などが挙げられる。これらは、一種単独で用いても2種以上を併用してもよい。中でも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネート、γ−ブチロラクトンからなる群のうちの少なくとも1種が好ましく、特に、エチレンカーボネートあるいはプロピレンカーボネートなどの高粘度(高誘電率)溶媒(例えば、比誘電率ε≧30)とジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートあるいはジエチルカーボネートなどの低粘度溶媒(例えば、粘度≦1mPa・s)との組み合わせがより好ましい。電解質塩の解離性およびイオンの移動度が向上するからである。
しかしながら、本発明に用いられる非水溶剤は、上記例示によって限定されるものではない。
(機能性添加剤)
電解液には、難燃性の向上、サイクル特性の良化、容量特性の改善などのため、各種の機能性添加剤を含有させることが好ましい。
また、電解液には、上記のものを始め、負極被膜形成剤、難燃剤、過充電防止剤等から選ばれる少なくとも1種を含有していてもよい。非水電解液中におけるこれら機能性添加剤の含有割合は特に限定はなく、非水電解液全体(電解質を含む)に対し、それぞれ、0.001質量%〜10質量%が好ましい。これらの化合物を添加することにより、過充電による異常時に電池の破裂を抑制する、および高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上することができる。
<<非水二次電池用電解液の製造方法>>
本発明の非水二次電池用電解液の製造方法は、上記アミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法を経由して、これを含有する非水二次電池用電解液を調製することにより実施することができる。具体的には、例えば、金属イオンの塩としてリチウム塩を用いた例を含め、上記各成分を上記非水電解液溶媒に溶解して、常法により調製される。
本発明において、「非水」とは水を実質的に含まないことをいい、発明の効果を妨げない範囲であれば微量の水を含んでいてもよい。ここで、実質的に含まないとは、水の濃度が200ppm(質量基準)以下であり、100ppm以下が好ましく20ppm以下がより好ましい。なお、現実的には、完全に無水とすることは困難であり、1ppm以上は含まれる。
<非水二次電池>
本発明の非水二次電池の製造方法は、上記非水二次電池用電解液の製造方法を経由して、正極と負極と上記非水二次電池用電解液とを具備する電池を作製することで実施することができる。
本発明にかかる好ましい実施形態のリチウムイオン二次電池は、上記本発明の非水二次電池用電解液と、リチウムイオンの挿入放出が可能な正極(正極集電体,正極活物質層)と、リチウムイオンの挿入放出または溶解析出が可能な負極(負極集電体,負極活物質層)とを備える。これら必須の部材に加え、電池が使用される目的、電位の形状などを考慮し、正極と負極の間に配設されるセパレータ、集電端子、および外装ケース等を含んで構成されてもよい。必要に応じて、電池の内部及び電池の外部の少なくともいずれかに保護素子を装着してもよい。このような構造とすることにより、電解液内でリチウムイオンの授受が生じ、充電、放電を行うことができ、回路配線を介して動作機構を介して運転あるいは蓄電を行うことができる。以下、これらの各部材について述べる。
(電極合材)
電極合材は、集電体(電極基材)上に活物質と導電剤、結着剤、フィラーなどの分散物を塗布したものであり、リチウム電池においては、活物質が正極活物質である正極合材と活物質が負極活物質である負極合材が使用されることが好ましい。次に、電極合材を構成する分散物(電極用組成物)中の各成分等について説明する。
・正極活物質
正極活物質にはリチウム含有遷移金属酸化物を用いることが好ましく、中でも、遷移元素M(Co、Ni、Fe、Mn、CuおよびVから選択される1種以上の元素)を有することが好ましい。また、混合元素M(リチウム以外の金属周期律表の第1族の元素、第2族の元素、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなど)を混合してもよい。この、リチウム含有遷移金属酸化物としては、例えば、下記式(MA)〜(MC)のいずれかで表されるものを含む特定遷移金属酸化物、あるいはその他の遷移金属酸化物としてV、MnO等が挙げられる。正極活物質には、粒子状の正極活物質を用いてもよい。具体的に、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できる遷移金属酸化物を用いることができるが、上記特定遷移金属酸化物を用いることが好ましい。
リチウム含有遷移金属酸化物としては、上記遷移元素Mを含む酸化物等が好適に挙げられる。このとき混合元素M(好ましくはAl)などを混合してもよい。混合量としては、遷移金属の量に対して0〜30mol%が好ましい。Li/Mのモル比が0.3〜2.2になるように混合して合成されたものが、より好ましい。
〔式(MA)で表される遷移金属酸化物(層状岩塩型構造)〕
リチウム含有遷移金属酸化物は、中でも下式で表されるものが好ましい。
Li ・・・ (MA)
式中、Mは上記Mと同義である。aは0〜1.2の数を表し、0.1〜1.15が好ましく、0.6〜1.1がより好ましい。bは1〜3の数を表し、2が好ましい。Mの一部は上記混合元素Mで置換されていてもよい。上記式(MA)で表される遷移金属酸化物は典型的には層状岩塩型構造を有する。
本遷移金属酸化物は下記の各式で表されるものがより好ましい。
(MA−1) LiCoO
(MA−2) LiNiO
(MA−3) LiMnO
(MA−4) LiCoNi1−j
(MA−5) LiNiMn1−j
(MA−6) LiCoNiAl1−j−i
(MA−7) LiCoNiMn1−j−i
式(MA−1)〜(MA−7)において、gは上記aと同義であり、好ましい範囲も同じである。jは0.1〜0.9の数を表す。iは0〜1の数を表す。ただし、1−j−iは0以上である。kは上記bと同義であり、好ましい範囲も同じである。
式(MA−1)〜(MA−7)で表される遷移金属化合物の具体例としては、LiCoO(コバルト酸リチウム[LCO])、LiNi(ニッケル酸リチウム)、LiNi0.85Co0.01Al0.05(ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム[NCA])、LiNi0.33Co0.33Mn0.33(ニッケルマンガンコバルト酸リチウム[NMC])、LiNi0.5Mn0.5(マンガンニッケル酸リチウム)が挙げられる。
式(MA)で表される遷移金属酸化物は、一部重複するが、表記を変えて示すと、下記で表されるものも好ましい例として挙げられる。
(i)LiNiMnCo(x>0.2,y>0.2,z≧0,x+y+z=1)
代表的なもの:
LiNi1/3Mn1/3Co1/3
LiNi1/2Mn1/2
(ii)LiNiCoAl(x>0.7,y>0.1,0.1>z≧0.05,x+y+z=1)
代表的なもの:
LiNi0.8Co0.15Al0.05
〔式(MB)で表される遷移金属酸化物(スピネル型構造)〕
リチウム含有遷移金属酸化物としては中でも下記式(MB)で表されるものも好ましい。
Li ・・・ (MB)
式中、Mは上記Mと同義である。cは0〜2の数を表し、0.6〜1.5が好ましく、0.8〜1.2がより好ましい。dは3〜5の数を表し、3.8〜4.2が好ましく、3.9〜4.1がより好ましい。
式(MB)で表される遷移金属酸化物は下記の各式で表されるものがより好ましい。
(MB−1) LiMn
(MB−2) LiMnAl2−p
(MB−3) LiMnNi2−p
式(MB−1)〜(MB−3)において、mはcと同義であり、好ましい範囲も同じである。nはdと同義であり、好ましい範囲も同じである。pは0〜2の数を表す。上記遷移金属化合物の具体例としては、LiMn、LiMn1.5Ni0.5が挙げられる。
式(MB)で表される遷移金属酸化物はさらに下記で表されるものも好ましい例として挙げられる。
(a) LiCoMnO
(b) LiFeMn
(c) LiCuMn
(d) LiCrMn
(e) LiNiMn
高容量、高出力の観点で上記のうちNiを含む電極がさらに好ましい。
〔式(MC)で表される遷移金属酸化物〕
リチウム含有遷移金属酸化物としてはリチウム含有遷移金属リン酸化物を用いることも好ましく、中でも下記式(MC)で表されるものがより好ましい。
Li(PO ・・・ (MC)
式中、eは0〜2の数を表し、0.5〜1.5が好ましく、0.8〜1.2がより好ましい。fは1〜5の数を表し、1〜2が好ましい。
上記MはV、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、NiおよびCuから選択される一種以上の元素を表す。上記Mは、上記の混合元素Mのほか、Ti、Cr、Zn、Zr、Nb等の他の金属で置換していてもよい。具体例としては、例えば、LiFePO、LiFe(PO等のオリビン型リン酸鉄塩、LiFeP等のピロリン酸鉄類、LiCoPO等のリン酸コバルト類、Li(PO(リン酸バナジウムリチウム)等の単斜晶ナシコン型リン酸バナジウム塩が挙げられる。
なお、Liの組成を表す上記a、c、g、m、e値は、充放電により変化する値であり、典型的には、Liを含有したときの安定な状態の値で評価される。上記式(a)〜(e)では特定値としてLiの組成を示しているが、これも同様に電池の動作により変化するものである。
なかでも本発明においては、Niおよび/またはMn原子を含有する正極活物質を用いることが好ましく、NiおよびMn原子両方を含有する正極活物質を用いることがより好ましい。
特に好ましい正極活物質の具体例としては下記が挙げられる。
LiNi0.33Co0.33Mn0.33
LiNi0.6Co0.2Mn0.2
LiNi0.5Co0.3Mn0.2
LiNi0.5Mn0.5
LiNi0.5Mn1.5
これらは高電位で使用できるため電池容量を大きくすることができ、また高電位で使用しても容量維持率が高いため、特に好ましい。
非水二次電池において、用いられる正極活物質の平均粒子サイズは特に限定されないが、0.1μm〜50μmが好ましい。比表面積としては特に限定されないが、BET法で0.01m/g〜50m/gが好ましい。また、正極活物質5gを蒸留水100mlに溶かした時の上澄み液のpHは、7以上12以下が好ましい。
正極活物質を所定の粒子サイズにするには、良く知られた粉砕機や分級機が用いられる。例えば、乳鉢、ボールミル、振動ボールミル、振動ミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェットミルや篩などが用いられる。焼成法によって得られた正極活物質は、水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、有機溶剤で洗浄した後に使用してもよい。
正極活物質の配合量は特に限定されないが、活物質層を構成するための分散物(合剤)中、固形成分100質量%において、60〜98質量%が好ましく、70〜95質量%がより好ましい。
・負極活物質
負極活物質としては、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できるものが好ましく、特に制限はなく、炭素質材料、酸化錫や酸化ケイ素等の金属酸化物、金属複合酸化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、および、SnやSi等のリチウムと合金形成可能な金属等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用しても良い。なかでも炭素質材料またはリチウム複合酸化物が信頼性の点から好ましく用いられる。
また、金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵、放出可能であるものが好ましく、構成成分としてチタンおよび/またはリチウムを含有していることが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。
負極活物質として用いられる炭素質材料とは、実質的に炭素からなる材料である。例えば、石油ピッチ、天然黒鉛、気相成長黒鉛等の人造黒鉛、およびポリアクリロニトリル系の樹脂やフルフリルアルコール樹脂等の各種の合成樹脂を焼成した炭素質材料を挙げることができる。さらに、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、脱水ポリビニルアルコール系炭素繊維、リグニン炭素繊維、ガラス状炭素繊維、活性炭素繊維等の各種炭素繊維類、メソフェーズ微小球体、グラファイトウィスカー、平板状の黒鉛等を挙げることもできる。
これらの炭素質材料は、黒鉛化の程度により難黒鉛化炭素材料と黒鉛系炭素材料に分けることもできる。また炭素質材料は、特開昭62−22066号公報、特開平2−6856号公報、同3−45473号公報に記載されているような面間隔や密度、結晶子の大きさを有することが好ましい。炭素質材料は、単一の材料である必要はなく、特開平5−90844号公報に記載の天然黒鉛と人造黒鉛の混合物、特開平6−4516号公報に記載の被覆層を有する黒鉛等を用いることもできる。
本発明の非水二次電池において用いられる負極活物質である金属酸化物および金属複合酸化物は、これらの少なくとも1種を含んでいることが好ましい。金属酸化物および金属複合酸化物は、なかでも非晶質酸化物が好ましく、さらに金属元素と周期律表第16族の元素との反応生成物であるカルコゲナイトも好ましく用いられる。ここでいう非晶質とは、CuKα線を用いたX線回折法で、2θ値で20°〜40°の領域に頂点を有するブロードな散乱帯を有するものを意味し、結晶性の回折線を有してもよい。2θ値で40°以上70°以下に見られる結晶性の回折線のうち最も強い強度は、2θ値で20°以上40°以下に見られるブロードな散乱帯の頂点の回折線強度の100倍以下が好ましく、5倍以下がより好ましく、結晶性の回折線を有さないことが特に好ましい。
上記非晶質酸化物およびカルコゲナイドからなる化合物群のなかでも、半金属元素の非晶質酸化物およびカルコゲナイドがより好ましく、周期律表第13族〜15族の元素、Al、Ga、Si、Sn、Ge、Pb、Sb、Biの一種単独あるいはそれらの2種以上の組み合わせからなる酸化物、およびカルコゲナイドが特に好ましい。好ましい非晶質酸化物およびカルコゲナイドの具体例としては、例えば、Ga、SiO、GeO、SnO、SnO、PbO、PbO、Pb、Pb、Pb、Sb、Sb、Sb、Bi、Bi、SnSiO、GeS、SnS、SnS、PbS、PbS、Sb、Sb、SnSiSなどが好ましく挙げられる。また、これらは、酸化リチウムとの複合酸化物(例えば、LiSnO)であってもよい。
上記負極活物質の平均粒子サイズは、0.1μm〜60μmが好ましい。所定の粒子サイズにするには、よく知られた粉砕機や分級機が用いられる。例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェットミルや篩などが好適に用いられる。粉砕時には水、あるいはメタノール等の有機溶媒を共存させた湿式粉砕も必要に応じて行うことができる。所望の粒径とするためには分級を行うことが好ましい。分級方法としては特に限定はなく、篩、風力分級機などを必要に応じて用いることができる。分級は乾式、湿式ともに用いることができる。
上記焼成法により得られた化合物の化学式は、測定方法として誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法、簡便法として、焼成前後の粉体の質量差から算出できる。
Sn、Si、Geを中心とする非晶質酸化物負極活物質に併せて用いることができる負極活物質としては、リチウムイオンまたはリチウム金属を吸蔵・放出できる炭素材料や、リチウム、リチウム合金、リチウムと合金可能な金属が好適に挙げられる。
電極合材をなす分散物(合剤)中、負極活物質の配合量は特に限定されないが、固形成分100質量%において、60〜98質量%が好ましく、70〜95質量%がより好ましい。
・導電材
導電材は、構成された二次電池において、化学変化を起こさない電子伝導性材料が好ましく、公知の導電材を任意に用いることができる。通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人工黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維や金属粉(銅、ニッケル、アルミニウム、銀(特開昭63−148554号公報等に記載)、金属繊維あるいはポリフェニレン誘導体(特開昭59−20971号公報に記載)などの導電性材料を1種またはこれらの混合物として含ませることができる。その中でも、黒鉛とアセチレンブラックの併用が特に好ましい。上記導電材の添加量は、1〜50質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましい。カーボンや黒鉛の場合は、2〜15質量%が特に好ましい。
・結着剤
結着剤としては、多糖類、熱可塑性樹脂およびゴム弾性を有するポリマーなどが挙げられる。その中でも、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、セルロース、ジアセチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルフェノール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシ(メタ)アクリレート、スチレン−マレイン酸共重合体等の水溶性ポリマー、ポリビニルクロライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、ポリビニルアセタール樹脂、メチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート等のビニルエステルを含有するポリビニルエステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のエマルジョン(ラテックス)あるいはサスペンジョンが好ましく、ポリアクリル酸エステル系のラテックス、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンがより好ましい。
結着剤は、一種単独または二種以上を混合して用いることができる。結着剤の添加量が少ないと、電極合剤の保持力・凝集力が弱くなる。多すぎると電極体積が増加し電極単位体積あるいは単位質量あたりの容量が減少する。このような理由で結着剤の添加量は1〜30質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましい。
・フィラー
電極合材は、フィラーを含んでいてもよい。フィラーを形成する材料は、本発明の二次電池において、化学変化を起こさない繊維状材料が好ましい。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー、ガラス、炭素などの材料からなる繊維状のフィラーが用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、分散物中、0〜30質量%が好ましい。
・集電体
正・負極の集電体としては、化学変化を起こさない電子伝導体が用いられることが好ましい。正極の集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの他にアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、その中でも、アルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましい。
負極の集電体としては、アルミニウム、銅、銅合金、ステンレス鋼、ニッケル、チタンが好ましく、アルミニウム、銅、銅合金がより好ましい。
上記集電体の形状としては、通常フィルムシート状のものが使用されるが、ネット、パンチされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の成形体なども用いることができる。上記集電体の厚みとしては、特に限定されないが、1μm〜500μmが好ましい。また、集電体表面は、表面処理により凹凸を付けることも好ましい。
これらの材料から適宜選択した部材によりリチウム二次電池の電極合材が形成される。
(セパレータ)
非水二次電池に用いられるセパレータは、正極と負極を電子的に絶縁する機械的強度、イオン透過性、及び正極と負極の接触面で酸化・還元耐性のある材料で構成されていることが好ましい。このような材料として多孔質のポリマー材料や無機材料、有機無機ハイブリッド材料、あるいはガラス繊維などが用いられる。これらセパレータは信頼性確保のためのシャットダウン機能、すなわち、80℃以上で隙間を閉塞して抵抗を上げ、電流を遮断する機能を持つことが好ましく、閉塞温度は90℃以上、180℃以下であることが好ましい。
上記セパレータの孔の形状は、通常は円形や楕円形で、大きさは0.05μm〜30μmであり、0.1μm〜20μmが好ましい。さらに延伸法、相分離法で作った場合のように、棒状や不定形の孔であってもよい。これらの隙間の占める比率すなわち気孔率は、20%〜90%であり、35%〜80%が好ましい。
上記ポリマー材料としては、セルロース不織布、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの単一の材料を用いたものでも、2種以上の複合化材料を用いたものであってもよい。孔径、気孔率や孔の閉塞温度などを変えた2種以上の微多孔フィルムを積層したものが、好ましい。
上記無機材料としては、アルミナや二酸化珪素等の酸化物類、窒化アルミニウムや窒化珪素等の窒化物類、硫酸バリウムや硫酸カルシウム等の硫酸塩類が用いられ、粒子形状もしくは繊維形状のものが用いられる。形態としては、不織布、織布、微多孔性フィルム等の薄膜形状のものが用いられる。薄膜形状では、孔径が0.01μm〜1μm、厚さが5μm〜50μmのものが好適に用いられる。上記の独立した薄膜形状以外に、上記無機物の粒子を含有する複合多孔層を樹脂製の結着剤を用いて正極および/または負極の表層に形成させてなるセパレータを用いることができる。例えば、正極の両面に90%粒径が1μm未満のアルミナ粒子をフッ素樹脂の結着剤を用いて多孔層として形成させることが挙げられる。
<<非水二次電池の製造方法>>
本発明の非水二次電池の製造方法は、本発明の非水二次電池用電解液の製造方法を経由して、正極と負極と非水二次電池用電解液とを具備する非水二次電池を作製する。
例えば、正極活物質合剤および負極活物質合剤を、それぞれ集電体上に、塗布(コート)、乾燥、および圧縮して正極および負極を得る工程と、セパレータを正極および負極の間に介在させるとともに、これらを電池ケースに収容する工程と、本発明の非水二次電池用電解液の製造方法により製造された非水電解液を電池ケースに収容する工程と、電池ケースを封口する工程と、で作製することができる。非水二次電池の形状としては、シート状、角型、シリンダー状などが挙げられ、本発明の非水二次電池の製造方法はいずれの形にも適用できる。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
<実施例1>
下部に取り出しコックを有する300ml容の3つ口フラスコに、N−メチルピロリドン30ml、ヘキサフルオロシクロトリホスファゼン20.0g(80mmol)を添加し、氷/メタノール寒剤浴で−10℃〜0℃に保ちながら、ジメチルアミンガス7.21g(160mmol)(Aldrich社製)を0.3g/minの速度でバブリングした。その後、0℃の反応液に1N HCl 100mlを加え、下層に分離した化合物(1−1)を、コックを開いて分取し、粗体を得た。次に、粗体を120mmHg、61℃で蒸留精製を行い、無色透明の化合物(1−1)を11.88g得た。収率は54%であった。蒸留精製前の溶媒残存量をガスクロマトグラフィーで確認したところ、反応溶媒は検出されなかった。さらに蒸留精製後も溶媒残存量は検出されなかった。
得られた化合物(1−1)のH−NMR、19F−NMRスペクトルを図1および図2に示す。得られた化合物(1−1)は、ヘキサフルオロシクロトリホスファゼンの1つのフッ素原子がジメチルアミノ基に置換された1置換体であった。
<実施例2>
下部に取り出しコックを有する300ml容の3つ口フラスコに、ジメチルアセトアミド35ml、ヘキサフルオロシクロトリホスファゼン20.0g(80mmol)を添加し、氷/メタノール寒剤浴で−10℃〜0℃に保ちながら、ジメチルアミンガス7.21g(160mmol)(Aldrich社製)を0.3g/minの速度でバブリングした。その後、0℃の反応液に1N HCl 150mlを加え、下層に分離した化合物(1−1)を、コックを開いて分取し、粗体を得た。次に、粗体を120mmHg、60℃で蒸留精製を行い、無色透明の化合物(1−1)を11.23g得た。収率は51%であった。蒸留精製前の溶媒残存量をガスクロマトグラフィーで確認したところ、反応溶媒は検出されなかった。さらに蒸留精製後も溶媒残存量は検出されなかった。
<実施例3>
下部に取り出しコックを有する300ml容の3つ口フラスコに、N,N−ジメチルイミダゾリジノン30ml、ヘキサフルオロシクロトリホスファゼン20.0g(80mmol)を添加し、水浴で10℃〜20℃に保ちながら、メチルエチルアミン9.46g(160mmol)(Aldrich社製)を10分かけて滴下した。その後、10℃の反応液に2N HCl 150mlを加え、下層に分離した化合物(1−2)を、コックを開いて分取し、粗体を得た。次に、粗体を120mmHg、65〜69℃で蒸留精製を行い、無色透明の化合物(1−2)を12.22g得た。収率は53%であった。蒸留精製前の溶媒残存量をガスクロマトグラフィーで確認したところ、反応溶媒は検出されなかった。さらに蒸留精製後も溶媒残存量は検出されなかった。
<実施例4>
下部に取り出しコックを有する300ml容の3つ口フラスコに、N−メチルピロリドン30ml、ヘキサフルオロシクロトリホスファゼン20.0g(80mmol)を添加し、氷水浴で0℃〜10℃に保ちながら、ジエチルアミン11.70g(160mmol)(Aldrich社製)を10分かけて滴下した。その後、10℃の反応液に1N HCl 150mlを加え、下層に分離した化合物(1−3)を、コックを開いて分取し、粗体を得た。次に、粗体を10mmHg、50〜55℃で蒸留精製を行い、無色透明の化合物(1−3)を12.06g得た。収率は50%であった。蒸留精製前の溶媒残存量をガスクロマトグラフィーで確認したところ、反応溶媒は検出されなかった。さらに蒸留精製後も溶媒残存量は検出されなかった。
<実施例5>
下部に取り出しコックを有する300ml容の3つ口フラスコに、ジメトキシエタン30ml、ヘキサフルオロシクロトリホスファゼン20.0g(80mmol)を添加し、氷/メタノール寒剤浴で−10℃〜0℃に保ちながら、ジメチルアミンガス7.21g(160mmol)(Aldrich社製)を0.3g/minの速度でバブリングした。その後、0℃の反応液に0.5mol/l KCl 100mlを加え、下層に分離した化合物(1−1)を、コックを開いて分取し、粗体を得た。次に、粗体を120mmHg、61℃で蒸留精製を行い、無色透明の化合物(1−1)を11.43g得た。収率は52%であった。蒸留精製前の溶媒残存量をガスクロマトグラフィーで確認したところ、2質量%検出された。その後蒸留精製すると、溶媒残存量は検出されなかった。
<実施例6>
下部に取り出しコックを有する300ml容の3つ口フラスコに、アセトニトリル30ml、ヘキサフルオロシクロトリホスファゼン20.0g(80mmol)を添加し、氷水浴で0℃〜10℃に保ちながら、ジエチルアミン11.70g(160mmol)(Aldrich社製)を10分かけて滴下した。その後、10℃の反応液に1N HCl 150mlを加え、下層に分離した化合物(1−3)を、コックを開いて分取し、粗体を得た。次に、粗体を10mmHg、50〜55℃で蒸留精製を行い、無色透明の化合物(1−3)を13.26g得た。収率は55%であった。蒸留精製前の溶媒残存量をガスクロマトグラフィーで確認したところ、4質量%検出された。その後蒸留精製すると、溶媒残存量は検出されなかった。
<比較例1>
300mlの3つ口フラスコに、ジエチルエーテル79ml、ヘキサフルオロシクロトリホスファゼン15.66g(63mmol)を添加し、反応溶液にジメチルアミン溶液(2M in THF、アルドリッチ社製)63ml(126mmol)を0℃で1時間かけて滴下した。その後、反応液を室温で一晩(16時間)攪拌した。溶液から沈殿物を分離後、ジエチルエーテル50mlで洗浄した。次に120mmHg、30℃で2時間かけて反応溶媒を減圧留去した。残留物を30mlフラスコに移動した後、さらに120mmHg、59℃で蒸留精製を行い、無色透明の化合物(1−1)を7.77g得た。収率は45%であった。また、溶媒残存量をガスクロマトグラフィーで確認したところ、14質量%のTHFを含有していた。その後蒸留精製すると、溶媒残存量が4質量%検出された。表1における蒸留精製前溶媒残存量は、反応溶媒を減圧留去し、減圧濃縮した時点の溶媒残存量を示す。
Figure 2016052329
<表中の略称>
HFP:ヘキサフルオロシクロトリホスファゼン
DMA:ジメチルアミン
MEA:メチルエチルアミン
DEA:ジエチルアミン
NMP:N−メチルピロリドン
DMAc:ジメチルアセトアミド
DME:ジメトキシエタン
AN:アセトニトリル
DMAc:ジメチルアセトアミド
DMI:N,N−ジメチルイミダゾリジノン
EtO:ジエチルエーテル
THF:テトラヒドロフラン
なお、収率は、原料のヘキサフルオロシクロトリホスファゼンを基準にした単離収率である。
溶媒残存量(質量%)とは、単離した化合物中に含まれる有機溶媒量であり、以下の式で表される。
溶媒残存量(質量%)=[有機溶媒の総質量/単離した化合物を測定用に採取した質量)×100]
(溶媒残存量の測定)
単離した化合物中に含まれる有機溶媒量は、次のようにして測定した。化合物(1−1)〜(1−3)を、ガスクロマトグラフィー(GC−2010,SHIMADZU)を用いて分析し、残留溶媒を定量することより行った。本実施例では、分析時の測定条件は、以下の条件である。
カラム: DB−5(30m×0.25mm×0.25μm)
検出器: TCD(Thermal Conductivity Detector:熱伝導検出器)
電流:80mA
注入量:1〜5μl
キャリアガス:He 1ml/min
チャートスピード:5mm/min
カラム温度:35℃→280℃(10℃/min)
Injection Temp:280℃
表1からわかるように、実施例1〜6は、溶媒蒸留する工程がないため、共沸の問題もなく、2相分離した直後のアミノ置換ホスファゼン化合物に含まれる蒸留精製前での溶媒残存量は4質量%以下であり、なかでも実施例1〜4はいずれも0質量%であった。蒸留精製した後も、溶媒残存量は0質量%と良好な結果を得た。なお、実施例1〜6では、反応後の反応溶液に水溶液を加えた際、反応溶媒と水溶液が均一に混合し、この混合相と、実質アミノ置換ホスファゼン化合物のみの相の分離が容易であった。これは、ClogPが0.7以下の反応溶媒を使用したことで、実質アミノ置換ホスファゼン化合物のみの相分離が可能となり、蒸留精製前溶媒残存量が少なかったと思われる。
一方、反応後の反応溶液に水溶液を加えて相分離する工程を行わない比較例1では、蒸留精製前溶媒残存量が14質量%と多く、蒸留精製後でも溶媒残存量が4質量%であった。なお、比較例1では、ClogPが0.7以上の反応溶媒を含むことから、反応溶液に水溶液を加えても、実質アミノ置換ホスファゼン化合物のみの相としてアミノ置換ホスファゼン化合物を取り出すことは困難である。
このように、本発明では、分離工程および蒸留精製工程のみであり、比較例1のような濃縮工程が必要なく、大幅な製造工程の簡略化および時間短縮が可能である。
(非水二次電池の評価)
国際公開2013/047342号パンフレットにおける実施例1の試験No.116において、使用されている化合物(1−1)を、本発明の実施例1、実施例2および比較例1で得られた化合物(1−1)に置き換えた以外は、国際公開第2013/047342号パンフレットに記載の試験No.116と同様にして、試験No.116A、116B(それぞれ本発明の実施例1、実施例2で得られた化合物(1−1)を使用した)および試験No.116C(本発明の比較例1で得られた化合物(1−1)を使用した)を作製し、国際公開2013/047342号パンフレットの実施例1と同様の評価を行った。この結果、試験No.116Cと比較し、試験No.116Aおよび116Bは、難燃性、サイクル特性、およびRate特性のいずれも優れていることを確認した。
本発明をその実施態様とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
本願は、2014年9月29日に日本国で特許出願された特願2014−199363に基づく優先権を主張するものであり、これはここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。
P−N二重結合を有するホスファゼン化合物のリン原子に塩素原子が結合したものは、水によって加水分解が起こることが知られている。このことから、同じ環状骨格を有し、リン原子にハロゲン原子が結合したフッ素化ホスファゼン化合物やハロゲン原子の一部がアミノ基で置換されたアミノ置換ホスファゼン化合物においても加水分解を避けるため、従来、後処理で水を加えて抽出する操作は行われていなかった。また、アミノ置換ホスファゼン化合物は液体であり、反応溶媒との沸点差が十分あるため、アミノ置換ホスファゼン化合物は、一般的に蒸留で反応溶媒の除去および精製が行われてきた。しかし、本発明者らは、反応に使用する有機溶媒の蒸留による除去に上記のような問題があることから、蒸留によらない有機溶媒の除去方法について鋭意検討を重ねた。この結果、アミノ置換ホスファゼン化合物に水溶液を加えても加水分解しにくいことがわかり、本発明をなすに至った。
上記の課題は以下の手段により解決された。
<1>フッ素化ホスファゼン化合物とアミン化合物とを反応溶媒中で反応させてフッ素化ホスファゼン化合物のフッ素原子の少なくとも1つをアミン化合物で置換する工程と、
反応後の反応溶液と水溶液を混合することにより反応溶液中の反応溶媒を水溶液に溶解させ、この溶解によりアミノ置換ホスファゼン化合物の相、および、水溶液と反応溶媒との混合液の相に分離させることで、反応溶液中から反応溶媒を除去する工程と、
分離したアミノ置換ホスファゼン化合物を単離する工程と、
を有するアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法。
<2>アミノ置換ホスファゼン化合物が、下記式(1)で表される<1>に記載のアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法。

Claims (10)

  1. フッ素化ホスファゼン化合物とアミン化合物とを反応溶媒中で反応させて該フッ素化ホスファゼン化合物のフッ素原子の少なくとも1つをアミン化合物で置換する工程と、
    前記反応後の反応溶液と水溶液を混合して、前記アミノ置換ホスファゼン化合物の相、および前記水溶液と前記反応溶媒との混合液の相に分離させる工程と、
    前記分離した前記アミノ置換ホスファゼン化合物を単離する工程と、
    を有するアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法。
  2. 前記アミノ置換ホスファゼン化合物が、下記式(1)で表される請求項1に記載のアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法。
    Figure 2016052329
    式(1)中、Yは−NRを表す。Yはフッ素原子または−NRを表す。R〜Rは各々独立に水素原子または置換基を表す。ここで、RとR、RとRが互いに結合して環を形成していてもよい。nは1または2を表す。
  3. 前記フッ素化ホスファゼン化合物が、下記式(2)で表される請求項1または2に記載のアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法。
    Figure 2016052329
    式(2)中、nは1または2を表す。
  4. 前記反応溶媒のClogPが、0.7以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法。
  5. 前記反応溶媒が、アミド溶媒、ニトリル溶媒、エステル溶媒、炭酸エステル溶媒、またはエーテル溶媒の少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項に記載のアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法。
  6. 前記反応溶媒が、下記化合物群から選ばれる少なくとも1つである請求項1〜5のいずれか1項に記載のアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法。
    Figure 2016052329
  7. 前記水溶液のpHが7以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載のアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法。
  8. 前記アミン化合物の総炭素数が1〜12である請求項1〜7のいずれか1項に記載のアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のアミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法を経由して、前記アミノ置換ホスファゼン化合物を含有する非水二次電池用電解液を調製する非水二次電池用電解液の製造方法。
  10. 請求項9に記載の非水二次電池用電解液の製造方法を経由して、正極と負極と前記非水二次電池用電解液とを具備する非水二次電池を作製する非水二次電池の製造方法。
JP2016551969A 2014-09-29 2015-09-25 アミノ置換ホスファゼン化合物の製造方法、非水二次電池用電解液の製造方法および非水二次電池の製造方法 Expired - Fee Related JP6292730B2 (ja)

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