JPWO2016051743A1 - モータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

本モータ制御装置は、3相の巻線を巻回したステータを備えるモータに対し、巻線に流れる電流を検出するモータ電流検出部を有し、前記モータの動作を制御するモータ制御装置である。本モータ制御装置は、モータを駆動するための電圧指令値を算出するディジタル制御部と、パルス幅変調によりPWMスイッチング信号を出力するPWM部と、PWMスイッチング信号に従い巻線に駆動電圧を印加する電力変換部と、駆動電圧により巻線に流れる電流を検出する電流検出部と、検出した電流量をディジタル信号に変換するΔΣAD変換部と、ΔΣAD変換部の動作を停止させる停止信号を出力する停止信号生成部とを備える。そして、停止信号生成部は、電圧指令の最大値と最小値の差分があらかじめ決められた閾値以下の場合、所定の期間だけ停止信号を出力する。

Description

本発明は、PWM制御により生成した駆動電圧をモータの巻線に印加し、流れる電流を制御することでモータを自在にコントロールするモータ制御装置に関し、特に、巻線への駆動電圧の印加により発生する電流値を検出する機能を備えたモータ制御装置に関する。
FA(Factory Automation)で用いられるサーボモータでは、上位装置(上位コントローラ)からの駆動指令(位置指令)に追従するようにモータの位置、速度、トルクが制御される。そして、その制御演算装置としてマイクロプロセッサを用いたディジタル制御が広く使われている。サーボモータで使用される表面磁石構造の同期モータ(Surface Permanent Magnet Synchronous Motor)が出力するトルクはモータ電流と比例関係にあるので、モータ電流を制御することでモータから出力されるトルクを自在にコントロールすることができる。モータ電流を制御するため一般的に用いられるPWM(Pulse Width Modulation)制御方式では、モータの巻線に流れる電流(以下、モータ電流と呼ぶ)の電流値を検出する必要がある。そして、ディジタル制御の場合は、一定の周期毎にモータ電流を検出し、電流指令値と一致するようにPID制御(比例+積分+微分制御)などを用いて制御が行われる。
図5は、従来例としてのインバータを含むモータ制御装置90の構成図である。この従来のモータ制御装置90は、モータ電流の電流値を検出するために、インバータである電力変換部98とモータ30の巻線との間に、電流検出抵抗91を設けている。そして、モータ電流が流れることで電流検出抵抗91の両端子間に生じる電圧を、AD(Analog−Digital)変換部95でディジタル変換し、そのディジタルデータDiをディジタル制御部97に供給する。従来、このような構成により、モータ電流を検出することが一般的に行われている。最近では、ゲイン誤差やオフセットが発生しにくいという面からAD変換部95には、図5に示すように、ΔΣ(デルタシグマ)AD変換器92を用いることが提案されている(例えば、特許文献1)。このようなAD変換部95は、例えば、ΔΣAD変換器92に加えて、ホトカップラ、ディジタルフィルタなども含む。
しかしながら、PWM制御を利用してモータを駆動するような構成において、このΔΣAD変換器は、PWM制御に基づく漏れ電流の影響を受けやすいという問題がある。
すなわち、従来の構成では、モータに印加する電圧を電力変換素子(半導体による高速パワースイッチング素子)のオン/オフ(以下スイッチング)により制御する。このため、スイッチングの瞬間に漏れ電流が発生する。通常、漏れ電流は、筐体や配線などを通して接地している箇所へ流れる。ところが、その際にシャント抵抗を経由する漏れ電流が存在し、シャント抵抗の両端の電圧が漏れ電流によって変化する。そして、その電圧をΔΣ型AD変換器が1ビットディジタル信号に変換する。このため、AD変換間引きフィルタ後の電流検出値には、本来モータに流れていない不要な電流成分が含まれることになる。
そして、ディジタル制御では、不要な電流成分が外乱として処理され、外乱を打ち消すような電圧がモータに印加されるため、モータに不要なトルクが発生する。特に、モータに流れる電流が小さく、各相のスイッチングタイミングが重なりやすいサーボロック時や低速動作時には、漏れ電流の影響が相対的に大きくなる。このため、例えば本来はモータ出力軸が静止状態となるサーボロック時であっても、不要なトルクによるモータ出力軸の微振動が発生するという問題を有していた。
特開平7−15972号公報
本発明のモータ制御装置は、3相の巻線を巻回したステータを備えるモータに対し、巻線に流れる電流を検出するモータ電流検出部を有し、モータの動作を制御するモータ制御装置である。本モータ制御装置は、ディジタル制御部と、PWM部と、電力変換部と、モータ電流検出部と、ΔΣAD変換部と、停止信号生成部とを備える。ディジタル制御部は、上位装置からの動作指令と位置検出センサからの位置情報と巻線に流れる電流値であるモータ電流検出値とにより、位置、速度またはトルク演算を行いモータを駆動するための電圧指令値を算出する。PWM部は、電圧指令値を三角波と比較することでパルス幅変調し、PWMスイッチング信号を出力する。電力変換部は、PWMスイッチング信号に従いスイッチング素子をオン/オフすることで巻線に駆動電圧を印加する。モータ電流検出部は、駆動電圧により巻線に流れる電流を、アナログ電圧に変換する。ΔΣAD変換部は、アナログ電圧をディジタル信号に変換する。停止信号生成部は、ΔΣAD変換部の動作を停止させる停止信号を出力する。そして、停止信号生成部は、電圧指令の最大値と最小値の差分があらかじめ決められた閾値以下の場合、スイッチング素子のオン/オフによる漏れ電流が発生している間、停止信号を出力する構成である。
本発明のモータ制御装置によれば、この停止信号によって、スイッチング素子のオン/オフによる漏れ電流の悪影響を低減することができるので、モータに発生する不要なトルクが小さくなり、微振動を抑えることができる。
図1は、本発明の実施の形態におけるモータ制御装置を含むモータ制御システムの構成図である。 図2は、同モータ制御装置におけるモータ電流の検出に使用するΔΣAD変換部の動作を説明するための動作波形図である。 図3は、同モータ制御装置におけるΔΣAD変換部の構成図である。 図4は、同モータ制御装置における停止信号生成部の構成図である。 図5は、従来例のモータ制御装置の構成図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、これらの実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態におけるモータ制御装置を含むモータ制御システムの構成図であり、図2は、モータ電流の検出に使用するΔΣAD変換部の動作を説明するための動作波形図であり、図3は、モータ電流を検出するΔΣAD変換部の構成図である。
図1に示すように、本モータ制御システム100は、上位装置35の指令制御に従ってモータ制御装置10がモータ30の動作を制御するように構成されている。
上位装置35は、例えばパーソナルコンピュータなどを利用して構成され、モータ制御装置10に対して指令などにより制御する。上位装置35とモータ制御装置10とは制御バスラインなどを介して通信接続されており、上位装置35からの指令がモータ制御装置10に伝送されるとともに、モータ制御装置10からの情報が上位装置35へと伝送される。
図1のモータ30は、効率や制御性の点から広く利用されている3相のブラシレスモータが好適である。この3相のブラシレスモータであるモータ30は、U相、V相、W相とする各相の巻線をステータコアに巻回したステータと、永久磁石を有したロータとを備えている。そして、モータ制御装置10で生成した駆動電圧Vdを、U相の巻線には駆動電圧VdUとし、V相の巻線には駆動電圧VdVとし、W相の巻線には駆動電圧VdWとして印加することで、ロータが回転する。また、ロータの位置を検出するため、ロータの近辺には、ロータリエンコーダ、リニアスケールあるいはホールCTなどの位置検出センサ31が配置されている。位置検出センサ31は、検出したロータの位置の情報を位置情報Senとしてモータ制御装置10へ出力する。なお、ロータリエンコーダ等の装置を用いずに電流検出値からモータの位置を推定する方法を用いてもよい。
次に、モータ制御装置10は、モータ30の回転動作を制御するためのディジタル制御部17と、PWM信号を生成するPWM部16と、モータ30の巻線を通電駆動するための電力変換部18とに加えて、モータ電流を検出して処理するために、モータ電流検出部11とAD変換部15と停止信号生成部19とを備えている。
ディジタル制御部17は、DSP(Digital Signal Processor)やマイクロコンピュータのソフトウェアあるいはASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)のロジック回路で構成されている。すなわち、ディジタル制御部(以下、適宜、単に制御部と呼ぶ)17は、プログラムなどの処理手順を示すソフトウェアに従って各処理を実行するように構成されている。また、制御部17は、処理する信号として、所定のビット数のデータを並べたデータ列で構成されるディジタル信号を主体にして処理している。
制御部17には、上位装置35から、位置、速度、トルクなどを指令する動作指令の情報などが伝送される。また、制御部17は、モータ制御装置10の情報などを上位装置35へ伝送する。制御部17は、このような情報を伝送する通信機能とともに、モータ30の回転動作を制御し、モータ30が例えば速度や位置など所定の動きをするように動作制御を行う。
制御部17のより具体的な処理の一例として、制御部17は、フィードバック制御に基づき、次のような制御処理を実行する。制御部17は、上位装置35からの位置を指令する動作指令と位置検出センサ31の位置情報Senとで位置制御演算して速度指令を生成する。次に、制御部17は、位置情報Senの微分により、モータ30の実速度に対応するモータ速度値を算出し、モータ速度と速度指令とから速度制御演算で電流指令を算出する。次に、制御部17は、モータ電流検出部11およびAD変換部15を介して得られたU相のモータ電流検出値DiUとW相のモータ電流検出値DiWと、算出した電流指令とから電流制御演算により各相の電圧指令を算出する。そして、制御部17は、モータを駆動するためのU相、V相、W相の電圧指令を示す電圧指令値Swとして、U相電圧指令値SwU、V相電圧指令値SwV、W相電圧指令値SwWを出力する。
次に、PWM部16は、マイクロコンピュータ内蔵の周辺回路(ペリフェラル)やASICやFPGAのロジック回路で構成され、図2に示すように、例えばアップダウンカウンタにより形成される三角波のキャリア信号と各相の電圧指令値Swとを比較することでパルス幅変調(PWM)を行い、各相のPWMスイッチング信号(以下、適宜、単に、PWM信号と呼ぶ)Pwを生成している。
図2の上段において、これら三角波のキャリア信号、電圧指令値SwおよびPWM信号Pwを示している。図2に示すように、三角波のレベルが順次増加する期間である領域1において、三角波のレベルが電圧指令値Swのレベル以上となった時点で、PWM信号Pwはハイレベルからローレベルへと立下がる。そして、三角波のレベルが順次減少する期間である領域2において、三角波のレベルが電圧指令のレベル以下となった時点で、PWM信号Pwはローレベルからハイレベルへと立上がる。PWM部16では、このような動作を繰り返すことにより、電圧指令値Swのレベルに応じたパルス幅、あるいはデューティ比のパルス列で構成されるPWM信号Pwを相ごとに生成している。このようにして生成されたPWM信号Pwが電力変換部18に供給される。
電力変換部18は、PWM部16からの各相のPWM信号Pwを受けて駆動電圧Vdを生成し、U相の駆動電圧VdU、V相の駆動電圧VdV、W相の駆動電圧VdWとして、モータ線を介してモータ30のそれぞれの巻線にこれらの電圧を印加する。電力変換部18は、いわゆるインバータであり、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)またはパワーMOSFETといった高速パワースイッチング素子およびダイオードなどの電力変換素子で構成される。電力変換部18は、IGBTのようなスイッチング素子を用いて、電源から供給された電圧をPWM信号Pwに応じてスイッチング、すなわちオン/オフすることにより駆動電圧Vdを生成している。最近では、電力変換素子を駆動するためのプリドライブ回路を内蔵したIPM(Intelligent Power Module)により、一体成型されたものがよく用いられる。
モータ電流検出部11は、駆動電圧Vdを巻線に印加したとき、その巻線に流れるモータ電流の電流量を検出し、電流検出信号Siとして出力する。具体的には、U相モータ線とW相モータ線とに流れるモータ電流をそれぞれ電圧に変換して、U相の電流検出信号SiUとW相の電流検出信号SiWとして出力する。モータ電流検出部11は、モータ電流が小電流の場合はシャント抵抗、大電流の場合はCT(Current Transfer)が一般的に用いられる。モータ電流検出部11が出力する電流検出信号Siは、AD変換部15に供給される。
ΔΣAD変換部(以下、適宜、単にAD変換部と呼ぶ)15としては、図1に示すように、U相の電流検出信号SiUが供給される第1のAD変換部15Uと、W相の電流検出信号SiWが供給される第2のAD変換部15Wとで構成される。また、AD変換部15のそれぞれは、ΔΣ型ADコンバータ12とAD変換間引きフィルタ14とクロック生成部13で構成され、供給されたアナログ信号をディジタル信号に変換して出力する。特に、本実施の形態では、上述したようなΔΣ型のアナログ−ディジタル変換器であるΔΣ型ADコンバータ(以下、適宜、単にADコンバータと呼ぶ)12を用いている。
図3は、このようなAD変換部15の構成図であり、図3の停止信号生成部19の詳細については以下で説明する。
図3のAD変換部15において、まず、クロック生成部13は、クロック発生器130と論理積ゲート131とを有している。クロック発生器130は、ADコンバータ12の変換周期を決める原クロックCkaを生成する。また、論理積ゲート131により、原クロックCkaと後述する停止信号Stpとの論理積を取り、AD変換クロックCkcとして出力する。また、原クロックCkaの周波数はディジタル制御部17の電流制御で必要なAD変換分解能とフィルタの間引きによる遅延の許容量で決めればよく、通常数十MHzの周波数を使用する。
次に、ADコンバータ12は、例えば閾値と比較する比較器を有しており、供給された電流検出信号Siをその閾値と大小比較する。次に、ADコンバータ12は、その比較結果を二値に対応させることで、1ビットのディジタル信号に変換する。そして、ADコンバータ12は、その変換した1ビットディジタル信号を、AD変換クロックCkc毎にAD変換信号dSiとして出力する。すなわち、ADコンバータ12から出力されるAD変換信号dSiは、パルスで構成された信号であり、例えばその信号のハイとローのレベルが1ビットディジタル信号の1と0の値に対応している。このように、ΔΣ型ADコンバータ12は、入力されたアナログ電圧を1ビットのディジタル信号に変換する。
次に、AD変換間引きフィルタ14(以下、適宜、間引きフィルタと呼ぶ)は、sincフィルタと呼ばれる周波数特性がsinc関数のディジタルフィルタを構成しており、加算器を含む加算部140と減算器を含む減算部141とで構成される。加算部140は、ADコンバータ12から出力された1ビットのディジタル信号であるAD変換信号dSiをAD変換クロックCkc毎に加算器で積分することで、多ビットとなる加算データDsiを生成している。この加算データDsiのビット数が、AD変換部15のAD変換分解能に対応している。次に、AD変換クロック分周器142は、AD変換クロックを1/N(Nは2のn乗、nは整数)に分周した間引きクロックCknを生成する。すなわち、いわゆるオーバサンプリングクロックと呼ばれるAD変換クロックCkcの高クロックレートから所望の低クロックレートの間引きクロックCknに分周している。減算部141は、この間引きクロックCkn毎に動作し、加算データDsiの前回値と今回値の差分を演算することで、sinc関数となる周波数特性を得ている。このような加算部140と減算部141とで構成される間引きフィルタ14により、ローパス特性のフィルタを実現しており、高周波ノイズをカットするとともに、所望の分解能のビット数に変換したフィルタ後のモータ電流検出値Diを生成する。
このように第1のAD変換部15Uで生成されたモータ電流検出値DiUと、第2のAD変換部15Wで生成されたモータ電流検出値DiWとは、ディジタル制御部17に供給される。ディジタル制御部17は、供給されたモータ電流検出値DiU、DiWを用いて電流制御演算を行い、それぞれの駆動電圧Vdを生成するための電圧指令値Swを算出している。
ところで、上述したように、モータ制御装置10は、電源に接続されたスイッチング素子をスイッチングすることにより、巻線を駆動する駆動波形をPWMパルスで擬似的に形成した駆動電圧Vdを生成している。このため、スイッチングの瞬間に漏れ電流が発生し、この漏れ電流がAD変換部15にノイズなどとして影響し、その結果、モータ電流検出値DiU、DiWの精度が劣化する可能性がある。そこで、本実施の形態では、漏れ電流の影響を抑制するため、図1で示すように、停止信号生成部19をさらに備えている。本実施の形態では、この停止信号生成部19が、次に説明する停止信号Stpを利用して、所定の期間だけAD変換部15の動作を停止させることで、漏れ電流の影響を抑制している。
さらに、背景技術で説明したように、モータ30が停止状態となるサーボロック時や低速回転時のような低駆動のときには、漏れ電流の影響が相対的に大きくなる。このため、本実施の形態では、駆動状態に対応した各相の電圧指令値Swを利用して、例えば低駆動のときにのみ停止有効モードであると判定して、停止信号Stpを出力するような制御も行っている。
図1および図3に示すように、停止信号生成部19には、各相の電圧指令値Swおよび各相のPWM信号Pwが供給される。そして、停止信号生成部19は、まず、各相の電圧指令値Swに基づき停止有効モードであるかどうかの判定を行う。さらに、停止信号生成部19は、供給されたPWM信号Pwのレベルが変化するエッジを利用して、所定のタイミングおよび所定のパルス幅の停止信号Stpを生成している。この停止信号Stpは、停止有効モードである場合、AD変換部15それぞれに供給され、さらに、クロック生成部13の論理積ゲート131の一方の入力に供給される。このような構成により、停止信号Stpがクロック停止を示すとき、論理積ゲート131を利用してクロック生成部13からは原クロックCkaが出力されず、逆に、停止信号Stpがクロック停止を示さないとき、クロック生成部13からは原クロックCkaがAD変換クロックCkcとして出力される。
図4は、このような停止信号生成部19の一例を示す構成図である。
図1〜図4において、具体的には、停止信号Stpがローレベルのとき、クロック停止を示す一例を挙げている。まず、図1、図3および図4に示すように、停止信号生成部19には、U相の電圧指令値SwU、V相の電圧指令値SwV、W相の電圧指令値SwWと、U相のPWM信号PwU、V相のPWM信号PwV、W相のPWM信号PwWが供給される。そして、本実施の形態では、図2に示すように、三角波のレベル方向である上下頂点の間を1つの領域としており、この領域単位に次のような動作を行っている。
まず、停止信号生成部19は、U相の電圧指令値SwU、V相の電圧指令値SwV、W相の電圧指令値SwVのうちの最大値と最小値を抽出する。次に、停止信号生成部19は、抽出した最大値と最小値との差分ΔVcmdを算出する。そして、停止信号生成部19は、あらかじめ決められた閾値Vthと比較する。この比較結果に基づき、停止信号生成部19は、差分ΔVcmdが閾値Vthより小さい領域では、停止信号の出力判定に従った停止信号の出力を有効とする停止有効モードとし(例えば、図2の領域1の場合)、閾値Vth以上の場合は出力判定をしない停止無効モードとして停止信号を出力しない(例えば、図2の領域2の場合)。
図4に示す停止信号生成部19の構成例では、まず、最大/最小値抽出部191が、U相の電圧指令値SwU、V相の電圧指令値SwV、W相の電圧指令値SwVのうちの最大値MxSと最小値Mxnを抽出する。次に、差分演算器192が、抽出した最大値MxSと最小値Mxnとの差分ΔVcmdを算出する。次に、比較器193が、差分ΔVcmdと閾値Vthと比較し、その比較結果が停止モード信号STmdとして出力される。図4では、停止信号Stpの出力スイッチとして論理和ゲート197を設けている。そして、停止モード信号STmdがローレベルのとき停止有効モード、ハイレベルのとき停止無効モードとした場合を示している。すなわち、クロック停止をローレベルで示す停止信号Stpは、停止有効モードである場合、論理和ゲート197を介して、停止信号生成部19から出力される。逆に、停止無効モードである場合は、停止信号生成部19の出力は常にハイレベルとなり、停止信号Stpは出力されないことになる。
ここで、通常の3相のブラシレスモータの場合、U相、V相、W相の電圧指令値Swが正弦波電圧指令であって、それぞれ電気角120度ずれた状態である。この場合、3相の電圧指令値Swの最大値と最小値の差分ΔVcmdは、ほとんどのタイミングにおいて、3相の電圧指令値Swのうち2相が最大値または最小値のどちらかの電圧指令値となる。すなわち、2相の波形が重なるタイミングでは、3相のうち2相が同じ電圧指令値であり、その2相は最大値または最小値のどちらかの電圧指令値となる。ここでの差分ΔVcmdは、それらを差分した値である。
停止信号生成部19は、このような停止モード判定の動作により、PWM信号Pwそれぞれの立下りおよび立上りである変化のタイミングが、相間で一致や近似するような場合を検出し、そのような場合を停止有効モードとしている。すなわち、例えばサーボロック時のように、PWM信号Pwの変化のタイミングが一致や近似する場合、漏れ電流が増強しあい、影響が大きくなる。これに対し、本実施の形態では、このような電圧指令値Swのレベルを利用した動作によって、漏れ電流の影響が大きい場合を検出している。
次に、停止信号生成部19は、停止信号Stpの出力タイミングを判定するため、U相のPWM信号PwU、V相のPWM信号PwV、W相のPWM信号PwWを使用している。まず、停止信号生成部19は、いずれかのPWM信号Pwが領域内で最初に変化したときに、停止信号Stpをローレベルにする。次に、停止信号Stpをハイレベルに戻すタイミングを判定するため、タイマを用いて、停止信号Stpがローレベルの間だけタイマ動作させる。そして、停止信号生成部19は、時間Tstp経過後に停止信号をハイレベルにする。
図4に示す停止信号生成部19の構成例では、まず、変化検出器194が、入力されたPWM信号PwU、PWM信号PwVおよびPWM信号PwWうちのいずれかのPWM信号Pwが領域内で最初に変化したときに、そのタイミングをタイミング生成部196およびタイマ195に通知する。これにより、タイミング生成部196は、停止信号Stpをローレベルにして出力する。また、タイマ195もタイマの動作を開始し、タイマカウンタがあらかじめ決められた値になるまでカウントする。そして、タイマ195は、所定の時間である時間Tstpを経過すると、リセット信号をタイミング生成部196に通知する。この通知のタイミングにより、タイミング生成部196は、停止信号Stpをハイレベルにして出力する。以上のようにして、停止信号Stpが論理和ゲート197に出力される。
ここで、閾値Vthと時間Tstpについては、サーボロック時のモータ電流検出値Diを測定し、漏れ電流による影響が最小となる値に設定すればよい。例えば、閾値Vthは電圧指令値Swの値の最大値の10%程度、時間Tstpは、三角波が閾値Vthだけ変化する時間に、スイッチングによる漏れ電流の持続時間(一般に数μs)を加えた時間より長くすればよい。
なお、停止信号Stpの出力判定をするために、モータ電流検出値Diを用いて漏れ電流を監視し、漏れ電流が発生した場合に、停止信号Stpをローレベルにしてもよい。
次に、AD変換部15のクロック生成部13では、停止信号生成部19からの停止信号Stpにより原クロックCkaの出力の有無が制御され、クロック停止期間を含むAD変換クロックCkcとして出力される。
具体的な一例として、図2に示すように、停止信号Stpがローレベルの場合は、AD変換クロックCkcと間引きクロックCknが停止し、ADコンバータ12と間引きフィルタ14の動作も停止する。なお、停止させる方法として、間引きクロックCknのみ停止させる。または、停止信号Stpに従いモータ電流検出値Diをディジタル制御部17で使用しない、などの手法がある。
以上、電力変換素子のスイッチングから一定時間AD変換部15の動作を停止させるような構成とすることで、その期間に発生する漏れ電流による電流検出信号Siの検出精度劣化を低減することができる。そして、不要な成分の混入が抑制された電流検出信号Siが得られるので、モータに発生する不要なトルクが小さくなり、微振動を抑えることができる。
ところで、上述したように、モータ30が停止状態となるサーボロック時や低速回転時のような低駆動のときには、漏れ電流の影響が相対的に大きくなる。このため、各相の電圧指令値Swの利用に加えてモータ電流検出値Diやモータ速度も利用して停止有効モードを判定できる。
例えば、モータ電流検出値Diを利用する場合、次のようにすればよい。すなわち、停止信号生成部19は、図1のAD変換部15からのモータ電流検出値Diを監視する。そして、モータ電流検出値Diが、あらかじめ決められた電流値(電流閾値)以上になった場合は、停止信号Stpを出力せず、電流閾値未満の場合は、上述した出力判定により停止信号Stpを出力する。なお、電流閾値は、モータ電流に対する漏れ電流の誤検出の影響が小さくなる電流値とすればよく、モータ定格電流の10%程度とする。
また、モータ速度を利用する場合、次のようにすればよい。すなわち、停止信号生成部19は、ディジタル制御部17からモータ速度を監視する。そして、モータ速度が、あらかじめ決められた速度(速度閾値)以上になった場合は、停止信号Stpを出力せず、速度閾値未満の場合は、上述した出力判定により停止信号Stpを出力する。なお、速度閾値はモータ電流に対する漏れ電流の影響が小さくなる速度とすればよく、数百r/minとする。
以上のような構成とすることにより、漏れ電流の影響が大きくなるサーボロック時や低速動作時にのみ絞って、漏れ電流による検出精度劣化への対策することが可能となる。
以上のように、本発明にかかるモータ制御装置は、電圧指令が小さい場合にΔΣAD変換部の動作を停止することで、電力変換素子のスイッチングによる漏れ電流の誤検出を低減することができる。このため、モータに発生する不要なトルクが小さくなり、微振動を抑えることができるので、モータ電流を検出してモータ制御を行う制御装置として特に有効である。
10,90 モータ制御装置
11 モータ電流検出部
12 ΔΣ型ADコンバータ
13 クロック生成部
14 AD変換間引きフィルタ
15,15U,15W,95 AD変換部
16 PWM部
17,97 ディジタル制御部
18,98 電力変換部
19 停止信号生成部
30 モータ
31 位置検出センサ
35 上位装置
100 モータ制御システム
130 クロック発生器
131 論理積ゲート
140 加算部
141 減算部
142 AD変換クロック分周器

Claims (6)

  1. 3相の巻線を巻回したステータを備えるモータに対し、前記巻線に流れる電流を検出するモータ電流検出部を有し、前記モータの動作を制御するモータ制御装置であって、
    上位装置からの動作指令と位置検出センサからのモータの位置情報と前記巻線に流れる電流値であるモータ電流検出値とによりトルク演算を行い、モータを駆動するための電圧指令値を算出するディジタル制御部と、
    前記電圧指令値を三角波と比較することでパルス幅変調し、PWMスイッチング信号を出力するPWM部と、
    前記PWMスイッチング信号に従いスイッチング素子をオン/オフすることで前記巻線に駆動電圧を印加する電力変換部と、
    前記駆動電圧により前記巻線に流れる電流を、アナログ電圧に変換する前記モータ電流検出部と、
    前記アナログ電圧をディジタル信号に変換するΔΣAD変換部と、
    前記ΔΣAD変換部の動作を停止させる停止信号を出力する停止信号生成部とを備え、
    前記停止信号生成部は、前記電圧指令の最大値と最小値の差分があらかじめ決められた閾値以下の場合、スイッチング素子のオン/オフによる漏れ電流が発生している間、前記停止信号を出力することを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記停止信号生成部は、タイマを備え、前記漏れ電流の発生を検出した時に、前記停止信号の出力とタイマ動作を開始し、タイマカウンタがあらかじめ決められた値になるまで停止信号を出力することを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記停止信号生成部は、前記三角波の上下頂点間で前記PWMスイッチング信号のいずれかが最初に変化した時に前記停止信号の出力を開始することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記ΔΣAD変換部は、
    前記アナログ電圧を1ビットのディジタル信号に変換するΔΣ型ADコンバータと、
    前記1ビットのディジタル信号を多ビットのディジタル信号に変換し、前記モータ電流検出値として出力するAD変換間引きフィルタと、
    前記ΔΣ型ADコンバータと前記AD変換間引きフィルタとを動作させるためのクロックを生成するクロック生成部とを備え、
    前記停止信号により前記クロックを停止させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  5. 前記停止信号生成部は、前記モータ電流検出値があらかじめ決められた値以上になった場合は、停止信号の出力をしないことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  6. 前記停止信号生成部は、モータ速度があらかじめ決められた値以上になった場合は、停止信号の出力をしないことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
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