JPWO2016006413A1 - 自己修復性を有する高分子材料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

応力緩和に優れるのみならず、傷が付いたり切断されたりしても容易に元の状態に修復することができる自己修復性を有する高分子材料及びその製造方法を提供する。本発明の自己修復性を有する高分子材料は、少なくともポリロタキサン分子2を含む重合体が架橋されてなる架橋構造体1を含有する。ポリロタキサン分子2は、環状分子21と、この環状分子21の開口部21aを貫通する直鎖状分子22とを有して形成される。架橋構造体1は、前記ポリロタキサン分子2の環状分子21と、このポリロタキサン分子2以外の重合体分子3とが可逆的な結合を介して架橋されている。

Description

本発明は、自己修復性を有する高分子材料及びその製造方法に関する。
近年、自己修復性や形状記憶性の特性を有する高分子材料の研究開発が盛んに行われている。特に、最近では材料の損傷や劣化の原因による事故が絶えないことからも、材料に対する信頼性を高めることの有用性は非常に大きいといえる。材料に対する信頼性を高めるための一つのアプローチとしては、材料自身の耐久性を向上させることが挙げられる。耐久性に加えて自己修復性の機能も有していれば、安全性に対する信頼がより高まり、また、コストの面からも有利となる。
このような自己修復性を有する高分子材料を、例えば、携帯電話、ディスプレイ、自動車等の部材や表面コーティング剤として適用すれば、材料に傷が付いても、その傷を自然に修復することができる。そのため、自己修復性を有する高分子材料は、製品の耐久性の向上の点、さらには意匠性の長期維持の点においてもその利用価値が高い材料といえる。しかし、一般的な高分子材料は、機械強度等を高めるために、鎖状高分子どうしの共有結合による架橋によって三次元網目構造に形成されている。このような高分子材料に応力が加わると、この応力は三次元網目の短い部分に集中しやすいため、材料に破損が生じやすい。そして、三次元網目の架橋部分の結合が一度切断されると、元通りに結合(再結合)することが不可能であることから、通常は自己修復することは困難である。そこで、高分子材料に自己修復性の機能を付与することを目的として、高分子架橋構造に対して多数のダングリング鎖(すなわち、片末端が架橋体と繋がっており、他の末端が架橋体と繋がっていない部分鎖)を結合させた結晶性高分子架橋体が提案されている(例えば、特許文献1等を参照)。この高分子架橋体では、結晶融点以上で活発となるダングリング鎖のからみ合い相互作用によって、自己修復性の機能が発現している。
特開2008−239722号公報
しかしながら、特許文献1で提案されている高分子架橋体では、加熱による処理を行わなければ自己修復性の機能が発揮されず、また、破損、修復を繰返していくうちに、自己修復性が低下しやすいという問題を有していた。その上、上記高分子架橋体では、修復後は元の特性が失われやすく、依然として自己修復性の改善の余地が残されていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、応力緩和に優れるのみならず、傷が付いたり切断されたりしても容易に元の状態に修復することができる自己修復性を有する高分子材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、少なくともポリロタキサン分子を含む重合体が可逆的な結合により架橋されてなる架橋構造体を使用することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の自己修復性を有する高分子材料及びその製造方法に関する。
1.少なくともポリロタキサン分子を含む重合体が架橋されてなる架橋構造体を含有し、 前記ポリロタキサン分子は、環状分子と、この環状分子の開口部を貫通する直鎖状分子とを有して形成され、
前記架橋構造体は、前記ポリロタキサン分子の環状分子と、このポリロタキサン分子以外の重合体分子とが可逆的な結合を介して架橋されていることを特徴とする、自己修復性を有する高分子材料。
2.前記重合体分子は、前記ポリロタキサン分子以外のポリロタキサン分子をさらに含む、上記項1に記載の自己修復性を有する高分子材料。
3.前記可逆的な結合は、前記ポリロタキサン分子の環状分子に結合している第1官能基と、前記重合体分子の側鎖に結合している第2官能基との非共有結合である、上記項1に記載の高分子材料。
4.前記非共有結合が、ホスト基とゲスト基との結合、疎水性相互作用、水素結合、イオン結合、配位結合、π電子相互作用及びこれら以外の分子間相互作用の群から選ばれる少なくとも1種である、上記項3に記載の高分子材料。
5.前記ホスト基がシクロデキストリンである、上記項4に記載の高分子材料。
6.前記架橋構造体は、前記ポリロタキサン分子の環状分子と、前記重合体分子とがB−O結合を介して架橋されている、上記項1に記載の高分子材料。
7.前記架橋構造体は、前記ポリロタキサン分子の環状分子と、前記重合体分子とがボロン酸誘導体により架橋されて形成されている、上記項6に記載の高分子材料。
8.前記ボロン酸誘導体は、フェニルジボロン酸である、上記項7に記載の高分子材料。
9.前記環状分子がシクロデキストリンである、上記項1〜8のいずれか1項に記載の高分子材料。
10.少なくともポリロタキサン分子を含む重合体が架橋されてなる架橋構造体を含有してなる自己修復性を有する高分子材料の製造方法であって、
前記ポリロタキサン分子は、環状分子と、この環状分子の開口部を貫通する直鎖状分子と、前記環状分子に結合した第1官能基を有して形成され、
下記工程A1及び工程A2
工程A1:前記ポリロタキサン分子と、前記第1官能基と可逆的な結合が可能な第2官能基を有する重合性単量体を含む重合性単量体混合物とを混合して原料混合物を調製する工程、
工程A2:前記原料混合物中の重合性単量体混合物の重合反応を行う工程、
を少なくとも備えることを特徴とする、高分子材料の製造方法。
11.少なくともポリロタキサン分子を含む重合体が架橋されてなる架橋構造体を含有してなる自己修復性を有する高分子材料の製造方法であって、
前記ポリロタキサン分子は、環状分子と、この環状分子の開口部を貫通する直鎖状分子とを有して形成され、
前記環状分子に第1官能基が結合してなる第1のポリロタキサン分子と、前記環状分子に第2官能基が結合してなる第2のポリロタキサン分子とを混合させることにより、第1官能基と第2官能基との可逆的な結合により形成されてなる前記架橋構造体を得ることを特徴とする、高分子材料の製造方法。
12.少なくともポリロタキサン分子を含む重合体が架橋されてなる架橋構造体を含有してなる自己修復性を有する高分子材料の製造方法であって、
前記ポリロタキサン分子は、環状分子と、この環状分子の開口部を貫通する直鎖状分子とを有して形成され、
前記ポリロタキサン分子と、ボロン酸誘導体とを混合する工程を備えることを特徴とする、高分子材料の製造方法。
13.少なくともポリロタキサン分子を含む重合体が架橋されてなる架橋構造体を含有してなる自己修復性を有する高分子材料の製造方法であって、
前記ポリロタキサン分子は、環状分子と、この環状分子の開口部を貫通する直鎖状分子とを有して形成され、
下記工程B1及び工程B2
工程B1:前記ポリロタキサン分子と、側鎖にB−OH結合を有する重合性単量体を含む重合性単量体混合物とを混合して原料混合物を調製する工程、
工程B2:前記原料混合物中の重合性単量体混合物の重合反応を行う工程、
を少なくとも備えることを特徴とする、高分子材料の製造方法。
本発明に係る自己修復性を有する高分子材料は、少なくともポリロタキサン分子を含む重合体が架橋されてなる架橋構造体を含有する。そして、前記架橋構造体は、ポリロタキサン分子の環状分子と、このポリロタキサン分子以外の重合体分子とが可逆的な結合を介して架橋されている構造を有する。このように、可逆的な結合を介した架橋を有していることにより、材料自体に応力等が生じて架橋が切断されたとしても、容易に再結合することが可能である。そのため、上記高分子材料は、例えば、材料に傷が生じたり切断されたりしても、容易に元の状態に修復することが可能となり、しかも、修復後の状態においても材料自体の特性が失われにくい。また、上記高分子材料はポリロタキサン分子を含むので、応力緩和に優れる材料でもある。
本発明に係る自己修復性を有する高分子材料の製造方法は、上記特性を有する高分子材料を製造するのに適した方法である。
第1実施形態の高分子材料の概略説明図であり、(a)は第1実施形態の高分子材料の模式図、(b)は高分子材料におけるポリロタキサン分子の化学構造の概略図、(c)は第1実施形態の高分子材料の化学構造の概略図である。 高分子材料を構成する架橋構造体の切断された架橋点が再結合する様子を示す説明図であり、(a)は第1実施形態の再結合の様子、(b)は従来の架橋構造体の再結合の様子の概略図である。 第2実施形態の高分子材料の概略説明図であり、(a)は概略図、(b)は(a)の破線の円で囲まれた部分を拡大した概略図である。 第2実施形態の高分子材料の他例の概略説明図であり、(a)は概略図、(b)は(a)の破線の円で囲まれた部分を拡大した概略図である。 第1実施形態の高分子材料の製造方法の一例を示す反応スキームである。 第2実施形態の高分子材料の製造方法の一例を示す反応スキームである。 実施例1で得たAd6-DMEDA6-PRx1ゲルの自己修復性の評価の様子を示す写真であり、(a)は高分子材料をカッターナイフで切断した様子、(b)は破断した高分子材料を切断面で接触させた状態、(c)は切断面どうしを接着させて自己修復した状態である Ad6-DMEDA6-PRx1ゲルの時間変化による自己修復率変化の追跡結果を示すグラフである。 実施例6で得たPRx2-pAAmPB(20)ゲルの自己修復性の評価の様子を示す写真であり、(a)はPRx2-pAAmPB(20)ゲルの切断前の状態、(b)は破断した状態、(c)は切断面どうしを接着させて自己修復した状態である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
自己修復性を有する高分子材料(以下、単に「高分子材料」と略記する)は、少なくともポリロタキサン分子を含む重合体が架橋されてなる架橋構造体を含有する材料である。上記ポリロタキサン分子は、環状分子と、この環状分子の開口部を貫通する直鎖状分子とを有して形成されたポリマー(重合体)である。また、上記ポリロタキサン分子はさらに、前記直鎖状分子の両末端に結合して前記環状分子の脱離を防止する封鎖基を有していてもよい。上記の架橋構造体は、ポリロタキサン分子の環状分子と、他のポリロタキサン分子の環状分子及びポリロタキサン以外の重合体分子の少なくともいずれか一方とが可逆的な結合を介して架橋されている。
上記の特徴を有する高分子材料は、応力緩和に優れるのみならず、傷が付いたり切断されたりしても容易に元の状態に修復することができ、しかも、修復後も材料自体の特性が失われにくい材料であるという特徴を有する。
上記ポリロタキサンとは、回転子(rotor)と軸(axle)とが組み合わさった分子(rotaxane)のポリマーのことを指すことで知られている。ポリロタキサンは、多数の環状化合物が串刺し状に嵌まり込んだ直鎖状分子の両端に、環状化合物が脱離しないように作用する大きな置換基、すなわち、封鎖基を有して構成される。
環状分子としては、従来からポリロタキサンに使用される化合物であれば特に限定されないが、例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、ジメチルシクロデキストリン、グルコシルシクロデキストリン及びこれらの誘導体又は変性体等のシクロデキストリン類、その他、環状のオリゴマー等が挙げられる。環状のオリゴマーとしては、例えば、エチレングリコールのオリゴマー、エチレンオキシドのオリゴマー、プロピレングリコールのオリゴマー、多糖類等である。環状分子は、1種を単独で又は異なる2種以上を組み合わせて、ポリロタキサンに使用することができる。もちろん、上記例示列挙した環状分子に限定されず、その他の種類の環状分子を使用してもよい。
直鎖状分子も、環状化合物の環内を貫通し得る主鎖が直鎖状であれば特に限定はなく、上記環状分子の環内を貫通できるように構成されている限りは、分岐鎖を有していてもよい。
上記直鎖状分子としては、ポリアルキレン類、ポリエステル類、ポリエーテル類、ポリアミド類、ポリアクリル類及びベンゼン環を有する直鎖状分子を挙げることができる。さらに具体的な直鎖状分子としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアセタール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン等が挙げられる。もちろん、上記例示列挙した直鎖状分子に限定されず、その他の種類のポリマーを直鎖状分子として使用することができる。
直鎖状分子に串刺し状にされる環状分子の個数、すなわち、一つの直鎖状分子が貫通する環状分子の個数(包接量ともいう)には特に制限はないが、環状分子がシクロデキストリンであれば、その最大包接量を1とすると、0.15〜0.4が好ましい。この場合、高分子材料の自己修復の性能がより発揮されやすくなる。
さらに、直鎖状分子の重量平均分子量Mwは特に制限はないが、例えば、3000〜500000であることが好ましく、この場合、高分子材料の自己修復の性能がより発揮されやすくなり、また、溶媒への溶解性も良好となる。尚、本明細書でいう重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリエチレングリコール換算値である。
直鎖状分子の両末端には、反応基を有していることが好ましく、これにより、後述の封鎖基が直鎖状分子の両末端に結合されやすくなる。反応基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基及びチオール基等が例示される。
直鎖状分子の両末端には、上記の環状分子の直鎖状分子からの脱離を防止するための封鎖基が結合していてもよい。架橋構造体が水を含んだヒドロゲルであれば、必ずしもこの封鎖基は必要としないが、それ以外のゲル(例えば、有機溶媒を含むオルガノゲル)の場合には、ゲルの構造が安定するという観点で封鎖基を有していることが好ましい。
封鎖基としては、環状分子の包接状態を維持できれば特に限定されないが、例えば、アダマンタン基、ジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、N−カルボベンゾキシ−L−チロシン類(Z−L−チロシン類)、トリチル基、ピレニル基、フェニル基等のアリール基、2−ブチルデシル基、フルオレセイン類、ピレン類、並びにこれらの誘導体又は変性体を挙げることができる。上記例示列挙した封鎖基は置換基を有していてもよい。上記のような嵩高い封鎖基が直鎖状分子の両末端に結合していることにより、環状分子が直鎖状分子によって串刺し状に貫通された状態が保持され得る。
封鎖基は、直鎖状分子の両末端に、例えば、アミド結合、エステル結合等を介して直接的又は間接的に結合させることができる。
尚、環状分子がイオン性の官能基を有している場合には、封鎖基もイオン性を有する官能基をもつ化合物であってもよい。この場合、封鎖基のイオン性と、環状分子の有するイオン性とが反発し合うことにより、環状分子が直鎖状分子に串刺しにされた状態を保持することができる。
ポリロタキサンの環状分子は、直鎖状分子を包接させつつ自由に動くことができるが、両末端の封鎖基によって、直鎖状分子から外れることはない。
ポリロタキサン分子の具体例としては、直鎖状分子が、ポリエチレングリコール、環状分子がα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン又はγ−シクロデキストリンシクロデキストリン、封鎖基がアダマンタン基で構成される分子が例示される。もちろん、この他のポリロタキサンであってもよく、その種類や構造は特に限定されない。
ポリロタキサン分子の重量平均分子量Mwは、特に限定されないが、例えば、15000〜1000000であることが好ましい。
高分子材料は、上記のポリロタキサン分子を含む重合体の架橋構造体を含有する材料であるが、以下、高分子材料の実施の形態の代表例を詳述する。
<第1実施形態の高分子材料>
図1は、第1実施形態の高分子材料の概略説明図であり、(a)は第1実施形態の高分子材料の模式図、(b)は高分子材料におけるポリロタキサン分子の化学構造の概略図、(c)は第1実施形態の高分子材料の化学構造の概略図を示している。以下、この図1を参酌しつつ高分子材料の説明をする。
第1実施形態の高分子材料は、架橋構造体1を含んで構成される。架橋構造体1は、ポリロタキサン分子2を含む重合体が架橋されて形成される。より具体的には、ポリロタキサン分子2と、このポリロタキサン分子以外の重合体分子とが、可逆的な結合を介して架橋することで架橋構造体1が形成されている。尚、以下では、上記の「重合体分子」を「第2の重合体3」と表記する。
ポリロタキサン分子2は、環状分子21と、この環状分子の開口部21aを貫通する直鎖状分子22と、この直鎖状分子22の両末端に結合する封鎖基23とを有して形成されており、その構造は上述の通りである。
環状分子21は、さらに第1官能基25を有している。この第1官能基25は、後述の第2官能基35と可逆的な結合が可能な官能基である。第1官能基25は、環状分子21に直接化学結合していてもよいし、他の官能基を介して環状分子21に化学結合していてもよい。図1(b)には、第1官能基25が環状分子21に結合したポリロタキサン分子2の一例を示している。この形態では一例として、第1官能基25がアダマンタン基(アダマンチル基ともいう)の場合の例を示しており、環状分子21に第1官能基25のアダマンタン基がアミド結合を介して結合されている。
第1官能基25は、通常は一つの環状分子21につき一つだけ有しているが、一つの環状分子21につき2以上の第1官能基25を有していても構わない。また、ポリロタキサン分子2における環状分子21のすべてに第1官能基25を有していてもよいし、いくつかの環状分子21は、第1官能基25を有していなくてもよい。例えば、ポリロタキサン分子2の一分子に環状分子21が100あるとすれば、その環状分子21のうち1〜18個の環状分子21に第1官能基25が結合していればよい。
尚、複数ある環状分子21のうちの一部には、第1官能基25以外の官能基、すなわち、第2官能基35と可逆的な結合が起こらないような官能基を有していてもよい。
第2の重合体3は、側鎖に第2官能基35を有している。この第2官能基35は、上記の第1官能基25と可逆的な結合が可能であるので、第2の重合体3は、上記の第1官能基25を有するポリロタキサン分子2と架橋が可能な重合体である。第2官能基35は、第2の重合体3の主鎖に直接化学結合していてもよいし、他の官能基を介して第2の重合体3に化学結合していてもよい。
また、第2官能基35は、通常は第2の重合体3の一分子あたりに少なくとも一以上結合しているが、その数は特に制限されない。例えば、第2の重合体3の繰り返し構成単位100あたり、5以上の第2官能基35を有していれば、所望の架橋構造体1が形成される。
架橋構造体1は、図1に模式的に示すように、上記のポリロタキサン分子2の第1官能基25と、第2の重合体3の第2官能基35とが可逆的な結合をすることによって形成される。この架橋構造体1は、高分子材料における主要なマトリックスとして構成されるものである。
ここでいう可逆的な結合とは、共有結合以外の結合のことをいい、結合後に切断されたとしても再結合が可能な結合のことをいう。この可逆的な結合としては、より具体的には第1官能基25と第2官能基35との非共有結合が挙げられる。このような非共有結合の具体例としては、ホスト基とゲスト基との結合、疎水性相互作用、水素結合、イオン結合、配位結合、π電子相互作用又はこれら以外の分子間相互作用等をいう。ポリロタキサン分子2と第2の重合体3との架橋においては、上記非共有結合の種類は1種のみに限定されず、2種以上の非共有結合が存在していてもよい。
可逆的な結合がホスト基とゲスト基との結合である場合、第1官能基25をゲスト基、第2官能基35をホスト基とすることができる。もしくは、上記とは逆に第1官能基25をホスト基とし、第2官能基35をゲスト基としてもよい。
上記ホスト基としては、シクロデキストリン(CD)、カリックスアレーン、クラウンエーテル、シクロファン、ククルビットウリル又はこれらの誘導体などの人工ホスト分子が挙げられる。具体的には、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、カリックス[6]アレーンスルホン酸、カリックス[8]アレーンスルホン酸、12−クラウン−4、18−クラウン−6、[6]パラシクロファン、[2,2]パラシクロファン、ククルビット[6]ウリル、ククルビット[8]ウリルなどが挙げられる。上記例示列挙したホスト基は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。好ましいホスト基は、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン又はγ―シクロデキストリンである。
上記ゲスト基としては、対応する上記のホスト基に対してゲスト基となりうる基であればいずれでもよく、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基などが挙げられ、これらの官能基はいずれも置換基を有してもよい。
アルキル基の具体例として、直鎖、分岐又は環状のC1〜18のアルキル基が挙げられ、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、イソへキシル、ドデシル、オクタデシル、アダマンチル等のアルキル基が挙げられる。これらのうち、好ましくはアダマンチル基又はブチル基であり、特に好ましくはアダマンチル基である。該アルキル基は、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、カルボキシル基、エステル基、アミド基、保護されていてもよい水酸基等の置換基を1〜3個有していてもよい。有機金属錯体であるフェロセンを置換基として結合させたアルキル基でもよい。
アリール基の具体例として、例えば、単環又は2環以上のアリール基が挙げられ、フェニル、トルイル、キシリル、ナフチル、アンスリル、フェナンスリル等が挙げられる。これらのうち、好ましくはフェニル基である。該アリール基は、例えば、アルキル基(例えば、C1〜18アルキル基等)、ニトロ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、カルボキシル基、エステル基、アミド基、アリール基を有するアゾ基、保護されていてもよい水酸基等の置換基を1〜3個有していてもよい。
アリールアルキル基の具体例として、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜3の低級アルキルに、前記に挙げた単環又は2環以上のアリール基が置換した基が挙げられる。具体的には、ベンジル基、ナフチルメチル基、アントラセンメチル基、ピレンメチル基等が挙げられる。好ましくは、ベンジル基、ナフチルメチル基である。該アリール基は、例えば、アルキル基(例えば、C1〜18アルキル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、カルボキシル基、エステル基、アミド基、アリール基を有するアゾ基、保護されていてもよい水酸基等の置換基を1〜3個有していてもよい。例えば、ヒドロキシフェニルメチル基、メチルフェニルメチル基、ジメチルフェニルメチル基、トリメチルフェニルメチル基、カルボキシフェニルメチル基、ヒドロキシメチルフェニルメチル基、トリフェニルメチル基等が挙げられる。
可逆的な結合がイオン結合である場合、第1官能基25をカチオン性の官能基、第2官能基35をアニオン性の官能基とすることができる。もしくは、第1官能基25をアニオン性の官能基とし、第2官能基35をカチオン性の官能基としてもよい。カチオン性の官能基としては、四級アンモニウム塩を有する官能基が例示され、アニオン性の官能基としては、―COO基、―SO 基等を有する官能基が例示される。
第2の重合体3は、ポリロタキサン以外の重合体であってもよいし、主骨格がポリロタキサンである重合体であってもよい。また、第2の重合体3は、ポリロタキサンとポリロタキサン以外の重合体の混合物であってもよい。
第2の重合体3がポリロタキサンである場合は、上記の第1官能基25の代わりに第2官能基35を有している点を除いては、ポリロタキサン分子2と同一の構造にすることができる。もちろん、第2の重合体3がポリロタキサンである場合は、ポリロタキサン分子2とは構造等が異なるポリロタキサンであってもよい。第2の重合体3がポリロタキサンのみで構成される場合は、架橋構造体1は、ポリロタキサンどうしが架橋されてなる構造となる。
一方、第2の重合体3がポリロタキサン以外の重合体である場合、その種類は特に限定されず、公知の重合体を採用することができる。第2の重合体3の具体例としては、ビニル系単量体を重合してなるビニル系重合体が代表的であるが、その他にも、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミノ酸、ポリペプチド、多糖類等が例示される。第2の重合体3がビニル系重合体である場合、このビニル系重合体の具体例としては、(メタ)アクリル系重合体、スチレン系重合体、(メタ)アクリルアミド系重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオキシエチレン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニルが挙げられる。尚、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルのいずれかを示す。
(メタ)アクリル系重合体としては、ポリ(メタ)アクリル酸又はその塩、又はポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、ポリ(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等のポリ(メタ)アクリル酸エステルが例示される。スチレン系重合体としては、ポリスチレン、ポリスチレンスルホン酸塩等が例示される。ポリ(メタ)アクリルアミド系重合体としては、ポリ(メタ)アクリルアミド、又はポリジメチル(メタ)アクリルアミド、ポリジエチル(メタ)アクリルアミド、ポリN−イソプロピルアクリルアミド、ポリN−ベンジルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体が例示される。もちろん、ビニル系重合体は上記例示列挙したものに限定はされず、従来から知られているビニル系重合体を使用可能である。
第2の重合体3は、ホモポリマーであっても良いし、複数の単量体が共重合されたコポリマーであっても良い。コポリマーである場合は、ランダムコポリマー、交互コポリマー、グラフトコポリマー、ブロックコポリマーのいずれであってもよい。また、第2の重合体3の側鎖は第2官能基35以外の官能基で置換されていてもよい。要するに、第2の重合体3は、本発明の目的とする効果が損なわれない程度であれば、主鎖及び/又は側鎖が化学結合等により他の置換基で修飾されていても構わない。
尚、架橋構造体1は、上述のようにポリロタキサン分子2と第2の重合体3とが可逆的な結合を介して形成されるが、架橋構造体1中には、ポリロタキサン分子2と第2の重合体3とが共有結合を介して架橋されている部分が存在していてもよい。要するに、架橋構造体1における架橋点は、可逆的な結合であることが必須であるが、これに加えて共有結合による架橋点も含んでもよい。
上記架橋構造体1を有してなる高分子材料は、例えば、溶媒を含んだゲル状物質、いわゆる高分子ゲルに形成され得る。もちろん、高分子材料の形態は高分子ゲルに限定されず、固体状態であってもよく、例えば、フィルム状、板状、バルク状に形成されていてもよい。
高分子材料は、自己修復性の機能が損なわれない程度であれば、上記架橋構造体1以外の物質をさらに含有していてもよい。そのような物質としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、各種フィラー等の添加剤が挙げられる。また、高分子材料の機械特性等を改良する目的で、架橋構造体1以外の高分子化合物が高分子材料に含まれていてもよい。
高分子材料が高分子ゲル状に形成されている場合、高分子材料は架橋構造体1の他、溶媒や塩等が含まれる。溶媒としては、水やアルコール等の有機溶媒が挙げられる。
図1(c)に模式的に示すように、第1実施形態における架橋構造体1は、ポリロタキサン分子2と、第2の重合体3とが第1官能基25及び第2官能基35の可逆的な結合により三次元網目構造に形成される。この形態では、第2の重合体3は、ポリアクリルアミドで形成され、繰り返し構成単位の一部は、側鎖がシクロデキストリンで置換されている。尚、この第2の重合体3は、ランダムコポリマーである。尚、ポリロタキサン分子2としては、例えば、環状分子21がα−シクロデキストリン、直鎖状分子22がポリエチレングリコール、封鎖基23をアダマンタン基又はチロシンで構成されたものが代表例である。
架橋構造体1におけるポリロタキサン分子2は、その環状分子21が直鎖状分子22に沿って自由に動くことができるので、高分子材料に応力が加えられたとしても、環状分子21が動くことで応力が緩和される。そのため、上記高分子材料は、応力緩和に優れる材料である。
また、架橋構造体1は非共有結合(例えば、ホスト基とゲスト基との結合)を介して架橋されているが、ある程度大きな応力が高分子材料に加わると、その非共有結合が解離(切断)して、材料の損傷や破断が生じることもある。しかし、上記の非共有結合は可逆的な結合、すなわち、結合が切断されたとしても再結合が可能な結合であるので、損傷部や破断部どうしを再度接触させると、切断された非共有結合が再結合される。これにより、高分子材料の損傷部の消失や、切断部の再結合が起こり、高分子材料が元の状態に修復する、すなわち、自己修復することが可能となる。
図2は、高分子材料の自己修復の様子を模式的に示している。図2(a)に示すように、非共有結合が切断されたとしても、再結合しようとする場合には、破線矢印方向に環状分子21が直鎖状分子22に沿って自由に動くことができるので、環状分子21が動きながら再結合することができる。これに対し、図2(b)のように、ポリロタキサン分子2のように架橋点が自由に動くことができない重合体の場合は、再結合が起こりにくい。このように、ポリロタキサン分子2を含む架橋構造体1によれば、自由に動くことができる環状分子21の存在により、分子のブラウン運動を通じて、結合相手との衝突確率が高くなるので、従来型の重合体に比べると再結合が効率的に行える点で有利な材料であるといえる。特に、高分子材料に傷が付いたり、切断されたりしても、その傷口どうしや切断面どうしを接触させるだけで、可逆的な結合の再結合が起こるので、自己修復が特に容易である点に特徴を有する。一方で、図2(b)のような架橋点が自由に動くことができない重合体や、共有結合による架橋の場合は、上記のように切断面どうし等を接触させるだけでは再結合が起こらず、自己修復させることは困難である。従って、本実施形態の高分子材料は、自己修復性の能力が高く、従来よりも短時間で修復が起こる材料である。しかも、修復後は、元の材料に近い状態に戻りやすいので、当初有していた材料自体の特性、例えば、材料強度、材料の透明性等の材質の機能が失われにくい。
また、架橋構造体1を構成する第2の重合体3としては、上述のようにポリロタキサン分子2以外にも種々の重合体を適用することが可能であるので、必要とする特性に応じて適切な材料設計をすることができ、設計自由度が高いものである。
<第1実施形態の高分子材料の製造方法>
第1実施形態の高分子材料を製造する方法は限定的ではない。例えば、次の工程A1及び工程A2を少なくとも備える工程を経て製造することができる。
工程A1:ポリロタキサン分子と、第2官能基を有する重合性単量体を含む重合性単量体混合物とを混合して原料混合物を調製する工程。
工程A2:前記原料混合物中の重合性単量体混合物の重合反応を行う工程。
工程A1で使用するポリロタキサン分子は、環状分子と、この環状分子の開口部を貫通する直鎖状分子とを有して形成されており、その構造や種類は上述の通りである。また、ポリロタキサン分子は、直鎖状分子の両末端に結合する封鎖基を有していてもよい。そして、環状分子は、上述の第1官能基を有している点においても同様であり、官能基の種類も同様である。
上記の第1の官能基を有するポリロタキサン分子は、工程A1の前にあらかじめ製造しておくことができる。第1官能基を有するポリロタキサン分子を製造方法する方法は特に制限されず、従来から行われている方法を採用することができ、例えば、次のように製造できる。まず、環状分子と直鎖状分子とを混合することで、環状分子の開口部を直鎖状分子で串刺し状に貫通して直鎖状分子に環状分子を包接させ、ポリロタキサンの前駆体を得る。次いで、ポリロタキサンの前駆体の両末端(直鎖状分子の両末端)に封鎖基を有する化合物を結合させた後、環状分子に第1官能基を有する化合物を結合させることで、第1官能基を有するポリロタキサン分子が製造される。ここで、直鎖状分子や環状化合物は上述したとおりである。
上記の封鎖基を有する化合物としては、例えば、Z−L−チロシン、1−アダマンタンカルボン酸、1−アダマンタンアミン、トリニトロベンゼン、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、トリチル基を有する化合物等が挙げられる。
第1官能基を有する化合物としては、第1官能基の種類に応じて適宜選定できるが、例えば、1−アダマンタンカルボン酸、1−アダマンタンアミン、ベンジルアミン、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン等が挙げられる。これらの化合物は、環状分子であるシクロデキストリン等の水酸基と反応することで、環状分子に第1官能基が導入される。尚、第1官能基は上述したとおりである。
重合性単量体混合物は、第2官能基を有する重合性単量体(以下、単に「第1の重合性単量体」と略記する)を少なくとも含む。また、重合性単量体混合物は、第1の重合性単量体以外の重合性単量体(以下、「第2の重合性単量体」と略記する)、すなわち、第2官能基を有していない重合性単量体を含むことができる。
第2の重合性単量体としては、例えば、ラジカル重合性のビニル基を有する単量体が挙げられる。その具体例として、(メタ)アクリル酸又はその塩、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、スチレン、スチレンスルホン酸又はその塩、α−メチルスチレン、エチレン、プロピレン、ビニルアルコール、塩化ビニル、酢酸ビニル等が挙げられる。上記の(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等が例示される。上記の(メタ)アクリルアミドとしては、(メタ)アクリルアミド、又はジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体が例示される。
また、第2の重合性単量体は、いわゆる多官能型の単量体、すなわちラジカル重合性のビニル基を2以上有する単量体を含んでいてもよい。多官能型の単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド等が例示される。
第2の重合性単量体は、ラジカル重合性のビニル基を有する単量体以外も挙げられ、例えば、重合してポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミノ酸、ポリペプチド、多糖類等を形成するような従来から知られている単量体であってもよい。
第2官能基を有する第1の重合性単量体としては、例えば、上記の第2の重合性単量体の側鎖に第2官能基が結合した単量体、例えば、ホスト基含有単量体、ゲスト基含有単量体、イオン性重合性単量体等が例示される。
ホスト基含有単量体としては、ホスト基を1つ以上(好ましくは1つ)含有するビニル系単量体が挙げられる。ホスト基の種類としては上述の通りである。ホスト基含有単量体としては、例えば、下記式(1)で表される重合性単量体が挙げられる。
Figure 2016006413
(ここで、上記式(1)中のQは、O又はNHを示す。CDは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン又はγ−シクロデキストリンを示す。Rは、水素原子又はメチル基を示す。)
Qは、NHであることが好ましい。上記式(1)で表される単量体としては、6−(メタ)アクリルアミド−α−シクロデキストリン、6−(メタ)アクリルアミド−β−シクロデキストリン、α−シクロデキストリンメタクリレート、β−シクロデキストリンメタクリレート、α−シクロデキストリンアクリレート、β−シクロデキストリンアクリレートが好ましい。
ゲスト基含有単量体としては、ゲスト基を1つ以上(好ましくは1つ)含有するビニル系単量体が挙げられる。ゲスト基の種類としては上述の通りである。ゲスト基含有単量体としては、例えば、下記式(2)で表される単量体が挙げられる。
Figure 2016006413
(ここで、上記式(2)中のAは、置換基を有してもよいアリール基、C(O)OR又はC(O)NHRを示す。Rは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよいアリールアルキル基を示す。Rは、水素原子又はメチル基を示す。)
上記式(2)において、Rで示される、置換基を有してもよいアルキル基のアルキル基としては、例えば、直鎖、分岐又は環状のC1〜18のアルキル基が挙げられる。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、イソへキシル、ドデシル、オクタデシル、アダマンチル等のアルキル基が挙げられる。このうち、好ましくはアダマンチル基又はブチル基であり、特に好ましくはアダマンチル基である。該アルキル基は、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、カルボキシル基、エステル基、アミド基、保護されていてもよい水酸基等の置換基を1〜3個有していてもよい。有機金属錯体であるフェロセンを置換基として結合させたアルキル基でもよい。
上記式(2)において、A及びRで示される、置換基を有してもよいアリール基のアリール基としては、例えば、単環又は2環以上のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル、トルイル、キシリル、ナフチル、アンスリル、フェナンスリル等が挙げられる。このうち、好ましくはフェニル基である。該アリール基は、例えば、アルキル基(例えば、C1〜18アルキル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、カルボキシル基、エステル基、アミド基、アリール基を有するアゾ基、保護されていてもよい水酸基等の置換基を1〜3個有していてもよい。
上記式(2)において、Rで示される、置換基を有してもよいアリールアルキル基のアリールアルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜3の低級アルキルに、前記に挙げた単環又は2環以上のアリール基が置換した基が挙げられる。具体的には、ベンジル基、ナフチルメチル基、アントラセンメチル基、ピレンメチル基等が挙げられる。好ましくは、ベンジル基、ナフチルメチル基である。該アリール基は、例えば、アルキル基(例えば、C1〜18アルキル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、カルボキシル基、エステル基、アミド基、アリール基を有するアゾ基、保護されていてもよい水酸基等の置換基を1〜3個有していてもよい。例えば、ヒドロキシフェニルメチル基、メチルフェニルメチル基、ジメチルフェニルメチル基、トリメチルフェニルメチル基、カルボキシフェニルメチル基、ヒドロキシメチルフェニルメチル基、トリフェニルメチル基等が挙げられる。
上記式(2)で表される単量体として、好ましくは、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、N−(1−アダマンチル)アクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−1−ナフチルメチルアクリルアミド、スチレンが挙げられる。
上記式(2)で表される単量体は、Aが置換基を有してもよいアリール基の場合、市販の単量体(スチレンなど)を、そのまま用いることができる。
上記のようなホスト基含有単量体、ゲスト基含有単量体は公知の方法(例えば、国際公開第2013/162019号等に開示の方法)で製造することができる。
イオン性重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸の塩、スチレンスルホン酸の塩、側鎖に第4級アンモニウム塩を有する(メタ)アクリルアミドや側鎖に第4級アンモニウム塩を有する(メタ)アクリルエステルが挙げられる。イオン性重合性単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル4級塩、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド等が例示される。
工程A1における原料混合物を調製するにあたっては、必要に応じて溶媒を使用する。溶媒としては、水系溶媒を使用することができ、水、又は、水及び水と相溶性のある有機溶媒との混合溶媒が挙げられる。好ましくは、水である。水と相溶性のある有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種単独で、又は2種以上を併用して使用することができる。また、上記混合溶媒における、水と当該有機溶媒との配合割合(体積比)は、9:1〜5:5とすることが好ましい。特に好ましくは、9:1〜8:2である。
また、原料混合物を調製するにあたっては、第1官能基を有するポリロタキサン分子と、第1の重合性単量体を少なくとも含む重合性単量体とを混合した後、撹拌しつつ加熱を行うことができる。
上記撹拌手段は特に限定されないが、例えば、マグネティックスターラー及びスターラーチップを用いた方法、振とう機を用いる方法、撹拌機を用いる方法等が挙げられる。撹拌の温度及び時間は、用いるホスト基含有モノマー及びゲスト基含有モノマーの、種類及び濃度によるが、室温(20〜25℃)下、8時間〜3日間行うことができる。好ましくは、25℃で1日間撹拌する。
加熱手段も特に限定されないが、例えば、ホットスターラーを用いる方法、恒温槽を用いる方法等が挙げられる。加熱の温度及び時間は、用いるホスト基含有単量体及びゲスト基含有単量体の種類及び濃度によるが、通常は1時間から2日間の間、40〜80℃に加温して行うことができる。好ましくは、50〜80℃で2〜6時間加温することにより、上記モノマー類を水系溶媒中にほぼ均一に溶解することができる。
第2の重合性単量体を使用する場合、水系溶媒中への溶解は、上記撹拌終了後に加熱することにより行ってもよいし、上記一定時間撹拌後、さらに撹拌を続けながら加熱することにより行ってもよい。
工程A1で調製する原料混合物の組成割合としては、例えば、ポリロタキサン分子及び重合性単量体の全量に対し、ポリロタキサン分子が5wt%、第1の重合性単量体が5モル%、第2の重合性単量体が95モル%とすることができる。
ホスト基含有単量体及びゲスト基含有単量体の使用割合(モル比)としては、ホスト基含有単量体:ゲスト基含有単量体=30:0.5〜0.5:30とすることができる。好ましくは、0.5:0.5や30:30などホスト基含有単量体とゲスト基含有単量体のモル比が1:1となる割合である。
尚、原料混合物には必要に応じて、安定剤等の添加剤等を加えてもよい。
図5には、第1実施形態の高分子材料の製造方法の一例を示しており、ポリロタキサン分子として第1官能基がアダマンタン基であるポリロタキサン(Ad−DMEDA−PRx)、第2官能基を有する重合性単量体(第1の重合性単量体)として6−アクリルアミド−β−シクロデキストリン(AAmβ−CD)、第2の重合性単量体としてアクリルアミド(AAm)を使用している。
上記工程A1にて原料混合物を調製することで、ポリロタキサン分子の環状分子に結合した第1官能基と、重合性単量体の側鎖の第2官能基との可逆的な結合が生じる。例えば、可逆的な結合がホスト基とゲスト基との結合(ホスト−ゲスト相互作用)であれば、第1官能基を有するポリロタキサン分子と第1の重合性単量体との包接錯体が形成される(図5(I)参照)。
そして、次の工程A2では、工程A1で得た原料混合物中の重合性単量体混合物を重合する。これにより、重合性単量体混合物が重合されて重合体になると共に、ポリロタキサン分子の環状分子と、このポリロタキサン分子以外の重合体とが可逆的な結合を介して架橋されてなる架橋構造体が得られる。
上記の重合反応の方法は特に制限されず、水系溶媒中に、重合開始剤、及び必要に応じて重合促進剤を添加して行うことができる。
重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム(以下、APSと称することもある)、アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNと称することもある)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド(以下、VA−044と称することもある)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、ジ−tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、光重合開始剤(イルガキュア(登録商標)シリーズ等)等が挙げられる。好ましくは、APS、AIBN、VA−044である。
重合開始剤の濃度としては、総重合性単量体量に対し、0.5〜5モル%とすることが好ましい。
重合促進剤としては、例えば、[2−(ジメチルアミノ)エチル]ジメチルアミン(以下、TEMEDと称することもある)等が挙げられる。
重合反応は、使用する重合性単量体の種類や重合開始剤の半減期温度によって異なるが、例えば0〜100℃、好ましくは、20〜25℃である。重合反応の時間は、1〜24時間であり、好ましくは、12〜24時間である。
上記工程A2を経た後、必要に応じて精製や乾燥、養生を行うなどすることで、架橋構造体を含む高分子材料が得られる(図5(II)の(Ad−DMEDA−PRx)−(β−CD−polyAAm)gel参照)。溶媒中で工程A2の重合反応が行われた場合は、高分子材料は、架橋構造体が溶媒で膨潤した、いわゆる高分子ゲルとして形成される。その他、無溶媒で重合した場合や、重合後に溶媒を除去した場合には、バルク状やフィルム状の高分子材料として得ることができる。このように得られた高分子材料は、図1(a)や(c)に示すように、ポリロタキサン分子2と、第2の重合体3とが第1官能基25及び第2官能基35の可逆的な結合により三次元網目構造に形成された架橋構造体1として得られる。もちろん、この方法で製造される高分子材料は、上述の自己修復性等の機能を有するものとなる。
高分子材料は、上記の工程A1と工程A2とを含む工程以外の方法で製造することもできる。例えば、上記の製造方法では、工程A1において、原料混合物を調製した後に工程A2で重合反応を行っているが、例えば、あらかじめ重合させておいた重合体と、ポリロタキサン分子とを混合することで架橋構造体を形成させることも可能である。すなわち、第1官能基を有するポリロタキサン分子と、第2官能基を有する重合体とを直接混合することで、架橋構造体を形成させることも可能である。
ただし、第1官能基及び第2官能基を効率良く結合させるには、上記工程A1と工程A2とを経て製造する方法のように、重合性単量体の重合前にあらかじめ第1官能基と第2官能基とを結合させて包接錯体を形成しておき、この状態で重合性単量体の重合反応を行う方法(以下、「テンプレート重合法」と略記することもある)が好ましい。特に、第1官能基及び第2官能基との結合がホスト基とゲスト基との結合であれば、テンプレート重合法を採用することが好ましく、この場合、目的とする架橋構造体が得られやすくなる。
<第2実施形態の高分子材料>
図3(a)は、他の実施形態(第2実施形態)に係る高分子材料の概略説明図を示しており、図3(b)は、図3(a)の破線の円で囲まれた部分を拡大した概略図である。
第2実施形態の高分子材料は、架橋構造体1を含んで構成されており、第1実施形態の高分子材料と同様、架橋構造体1は、ポリロタキサン分子2と、このポリロタキサン分子2以外の他の重合体分子である第2の重合体3が可逆的な結合を介して架橋されている。
そして、本実施形態における架橋構造体1では、ポリロタキサン分子2(以下、このポリロタキサン分子2を「第1のポリロタキサン分子2」とする)と第2の重合体3とがボロン酸誘導体を介して結合することで架橋が形成されている。本実施形態にあっての第1のポリロタキサン分子2の環状分子21には、第1官能基25が結合されていなくてもよい。
図3の実施形態では、第2の重合体3もポリロタキサン分子2(以下、このポリロタキサン分子2を「第2のポリロタキサン分子2」とする)である場合の一例である。ボロン酸誘導体はフェニルジボロン酸で構成されている。第1のポリロタキサン分子2及び第2のポリロタキサン分子2は同じ構造に形成される。例えば、環状分子21がシクロデキストリン、直鎖状分子22がポリエチレングリコール、封鎖基23がトリニトロベンゼンとすることができるが、これらに限定はされない。
図3(b)に示すように、フェニルジボロン酸の一方のB(OH)基は、第1のポリロタキサン分子2の一つのシクロデキストリン(環状分子21)との結合によりB−O結合を形成している。また、図示はしていないがフェニルジボロン酸の他方のB(OH)基も、第2のポリロタキサン分子2のシクロデキストリンとの結合によりB−O結合を形成しており、これらのB−O結合を介してポリロタキサンの架橋構造体1が形成されている。上記のB−O結合は共有結合ではあるが、上述の非共有結合と同様に可逆的な結合であり、当該結合が切断したとしても容易に再結合が可能である。
尚、図3(b)において、架橋構造体1がヒドロゲルの場合、B−O結合は水の存在によってB−OH結合となるが、オルガノゲルの場合では図3(b)のようにB−O結合の状態となる。
以上のように、第2実施形態の架橋構造体1で形成される高分子材料も、第1実施形態同様に可逆的な結合により形成される。そのため、結合が解離(切断)して材料の損傷や破断が生じたとしても、損傷部や破断部どうしを再度接触させれば、切断された上記結合が再結合される。これにより、高分子材料の損傷部の消失や、切断部の再結合が起こり、高分子材料が元の状態に修復することが可能となる。
また、第2実施形態の架橋構造体1もポリロタキサン分子2を含んで構成されるので、高分子材料に応力緩和が付与される。そして、第1実施形態と同様に、環状分子21が直鎖状分子22に沿って自由に動くことができることで、従来型の重合体に比べると再結合が効率的に行える。従って、実施形態2の高分子材料も、自己修復性の能力が高く、従来よりも短時間で修復が起こる材料である。しかも、修復後は、元の材料に近い状態に戻りやすいので、当初有していた材料自体の特性、例えば、材料強度、材料の透明性等の材質の機能が失われにくい。
尚、第2実施形態の場合の環状分子21としては、ボロン酸誘導体のB−OHと可逆的な結合が可能であるという点で、各種シクロデキストリンが好適に採用されうる。
また、ボロン酸誘導体としては、上記のフェニルジボロン酸に限定されるものではなく、その他ビフェニルジボロン酸、ナフチルジボロン酸等も例示される。特に、ボロン酸誘導体としては、B−(OH)基を1分子中に2個以上有している化合物であることが好ましい。
図4は、第2実施形態の高分子材料の変形例の概略説明図であり、(a)は概略図、(b)は(a)の破線の円で囲まれた部分を拡大した概略図である。この形態の高分子材料では、架橋構造体1は、ポリロタキサン分子2と第2の重合体3とが架橋されているが、特に、第2の重合体3が、側鎖にボロン酸を有する重合体で構成されていることが、図3の形態と異なるところである。尚、ポリロタキサン分子2は、環状分子21がシクロデキストリン、直鎖状分子22がポリエチレングリコール、封鎖基23がトリニトロベンゼンとすることができるが、これらに限定はされない。
第2の重合体3は、その側鎖ボロン酸のB(OH)基が第1のポリロタキサン分子2のシクロデキストリンとの結合によりB−O結合を形成しており、このB−O結合を介してポリロタキサンの架橋構造体1が形成されている。そして、図3の形態と同様、可逆的な結合であるB−O結合の存在により、当該結合が切断したとしても容易に再結合が可能であり、優れた自己修復性を有する材料となる。また、図3の形態と同様、架橋構造体1がヒドロゲルの場合、B−O結合は水の存在によってB−OH結合となるが、オルガノゲルの場合では図3(b)のようにB−O結合の状態となる。
この形態にあっても、架橋構造体1を構成する第2の重合体3として種々の重合体を適用することが可能である。そのため、必要とする特性(例えば、透明性等)に応じて適切な材料設計をすることができ、設計自由度が高いものである。
第2の重合体3が、ポリロタキサン分子2以外の重合体である場合は、側鎖にボロン酸を有している限りはその重合体の種類は特に限定されない。重合体の種類としては、第1実施形態で説明した第2の重合体3と同様の種類の樹脂を適用することができ、ビニル系重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミノ酸、ポリペプチド、多糖類等が例示される。
第2の重合体3がビニル系重合体であれば、例えば、下記式(3)で表される繰り返し構成単位又は下記式(4)で表される繰り返し構成単位を有することができる。
Figure 2016006413
(ここで、上記式(3)中のRは、フェニル基、ビフェニル基等を示し、Rは、水素原子又はメチル基を示す。Rがフェニル基の場合、CH=C(R)−基に対してB(ホウ素)はオルト位、メタ位及びパラ位のいずれに結合していてもよい。)
Figure 2016006413
(ここで、上記式(4)中のRは、フェニル基、ビフェニル基等を示し、AはO又はNH、Rは、水素原子又はメチル基を示す。Rがフェニル基の場合、CH=C(R)−基に対してB(ホウ素)はオルト位、メタ位及びパラ位のいずれに結合していてもよい。)
第2の重合体3は、上記の重合性単量体に由来する繰り返し構成単位を有している限りは、その他の繰り返し構成単位を含んでいてもよい。他の繰り返し構成単位としては、例えば、スチレン、スチレンスルホン酸又はその塩、(メタ)アクリル酸又はその塩、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド誘導体、エチレン、プロピレン等の各種ビニル系単量体に由来する繰り返し構成単位が挙げられる。尚、第2の重合体3は、ランダムコポリマー、交互コポリマー、グラフトコポリマー、ブロックコポリマーのいずれであってもよい。
第2の重合体3の1分子あたりの総繰り返し構成単位数を100とすれば、ボロン酸を有する繰り返し構成単位数は、例えば、5〜50個有していればよく、この場合、良好なゲル状の架橋構造体1を形成することができる。
尚、図3及び図4のいずれの形態においても、自己修復性の機能が阻害されない限りは、その他の添加剤、その他重合体を含有していてもよいことは、第1実施形態の場合と同様である。
<第2実施形態の高分子材料の製造方法>
図3の実施形態の高分子材料を製造する方法は特に限定されないが、例えば、上記のポリロタキサン分子と、ボロン酸誘導体(フェニルジボロン酸等)とを混合する工程を少なくとも備える工程により製造することができる。ここで使用するポリロタキサン分子及びボロン酸誘導体は上述の通りである。尚、ポリロタキサン分子は、上述したように従来から採用されている方法又はこれに準ずる方法で合成することができる。
上記の混合は、ポリロタキサン分子とボロン酸誘導体を任意の配合量で行うことができ、例えば、ポリロタキサン分子とボロン酸誘導体との質量比が2:1〜2:3であれば、良好なゲル状の架橋構造体を形成することができる。尚、ポリロタキサン分子とボロン酸誘導体の混合にあたり、必要に応じて安定剤等の添加剤等を加えてもよい。
上記の混合は、適宜の溶媒中で実施することができ、水、アルコール、DMF、DMSO等が例示される。混合方法は限定されず、市販の撹拌機や混合機を使用することができる。混合の温度や時間も特に限定されない。
上記の混合を行うことで、ボロン酸誘導体のB−OHが、環状分子21(例えば、シクロデキストリン)に結合して、架橋構造体が形成され、高分子材料が得られる。
一方、図4の実施形態の高分子材料を製造する方法は、例えば、上述したテンプレート重合法を用いて製造することができる。具体的には、次の工程B1と工程B2を含む工程を経ることで製造することができる。
工程B1:ポリロタキサン分子と、側鎖にB−OH結合を有する重合性単量体を含む重合性単量体混合物とを混合して原料混合物を調製する工程。
工程B2:工程B1で得た原料混合物中の重合性単量体混合物を重合する工程。
図6には、第2実施形態の高分子材料の製造方法の一例を示しており、ポリロタキサン分子、第2官能基を有する重合性単量体として6−アクリルアミド−フェニルボロン酸(AAmPB)、第2の重合性単量体としてアクリルアミド(AAm)を使用している。
工程B1におけるポリロタキサン分子は上述したポリロタキサン分子と同様である。尚、環状分子は第1官能基を有していなくてもよい。
側鎖にB−OH結合を有する重合性単量体としては特に制限はないが、例えば、側鎖に、アルキルボロン酸、フェニルボロン酸等を有するビニル系重合性単量体が例示される。より具体的には、下記の式(5)又はの(6)で表されるビニル系重合性単量体が挙げられる。
Figure 2016006413
(ここで、上記式(5)中のRは、フェニル基、ビフェニル基等を示し、Rは、水素原子又はメチル基を示す。Rがフェニル基の場合、CH=C(R)−基に対してB(ホウ素)はオルト位、メタ位及びパラ位のいずれに結合していてもよい。)
Figure 2016006413
(ここで、上記式(6)中のRは、フェニル基、ビフェニル基等を示し、AはO又はNH、Rは、水素原子又はメチル基を示す。)
重合性単量体混合物には、側鎖にB−OH結合を有する重合性単量体以外の他の重合性単量体が含まれていてもよい。この場合の上記他の重合性単量体としては、第1実施形態の製造方法の項で説明した第2の重合性単量体と同様の単量体を使用できる。
上記工程B1にて原料混合物を調製することで、ポリロタキサン分子の環状分子と、重合性単量体の側鎖のB−OH基との間で可逆的な結合が生じる。例えば、環状分子がシクロデキストリンであれば、図4(b)に示すように、シクロデキストリンの酸素原子と、B−OH基との間で可逆的な結合が生じる。
次いで、工程B2の重合反応を経ることにより、架橋構造体を含む高分子材料が得られる。重合性単量体混合物が側鎖にB−OH結合を有する重合性単量体と上記他の重合性単量体との混合物である場合は、両者の重合性単量体はランダム重合体として形成される。尚、工程B2における重合は、上記の工程A2と同様の方法で行うことができる。
図6には、第2実施形態の高分子材料の製造方法の一例を示しており、ポリロタキサン分子と、B−OH結合を有する重合性単量体として4−ビニルフェニルボロン酸、他の重合性単量体としてアクリルアミド(AAm)を使用している。この反応では、上記の各種原料を混合して原料混合物を準備し、これを重合することで、図6における(III)で示すような架橋構造体が形成される。この架橋構造体は、図4に示すように、ポリロタキサン分子と第2の重合体とがB−O結合を介して架橋されてなる架橋構造体が合成される。
高分子材料は、上記の工程B1と工程B2とを含む工程以外の方法、すなわち、テンプレート重合法以外の方法で製造することもできる。例えば、側鎖にB−OH結合を有する重合体をあらかじめ調製しておき、この重合体と、ポリロタキサン分子とを混合することで架橋構造体を形成させることも可能である。ただし、環状分子とB−OH基とのB−O結合を効率良く形成させるには、テンプレート重合法を採用することが好ましい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
<ポリロタキサン分子の合成例>
(合成例1)
合成スキーム1に従って、複数のα−シクロデキストリンを貫通しているポリエチレングリコールの両末端をZ−L−チロシンでブロック(封鎖)したポリロタキサン(以下、「PRx1」と略記する)の合成を行った。
Figure 2016006413
α−CD飽和水溶液(1.0L)にPEG−BA(Mn=35000;10g、0.29mmol)を添加した。PEG−BA添加直後に直ちに白色沈殿を生じたが、そのまま室温で24時間撹拌した。その後、ろ過により沈殿物を回収し、凍結乾燥を行った。得られた固形物をDMF(100mL)に懸濁し、BOP(1.2g、2.9mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA1.0mL,2.9mmol)及びZ−L−チロシン(Z−Tyr2.3g、2.9mmol)を添加し、1日撹拌した。攪拌後、DMSOを加えエバポレートし、DMFを除いた後、残った溶液を透析(MWCO 8000)した。透析に用いる溶媒をDMSOから水に置換すると、透析膜内に沈殿が生じた。この沈殿を回収し、凍結乾燥を行うことで、PRx1を合成した。
PRx1のGPC測定を行ったところ、凍結乾燥後のサンプル内にPEG35kとα−CDよりも早い溶出時間にピークが見られたことからPRx1の合成を確認した。PRx1の貫通率は31%(貫通数120)、PRx1の収率は12%であった。尚、PRx1の貫通率をH−NMRスペクトルにより下記[数1]の式により算出した。
[数1]
貫通率(%)
=[(α−CDのH測定値)/(α−CDのH理論値(1))]×100
(合成例2)
合成スキーム2〜6に従って、複数のα−シクロデキストリンを貫通しているポリエチレングリコールの両末端をアダマンタン基でブロック(封鎖)したポリロタキサン(以下、「PRx2」と略記する)の合成を行った。
Figure 2016006413
ポリエチレングリコール(PEG、Mw=35000、30.2g、0.857mmol)とトリエチルアミン(TEA、0.952g、9.43mmol)をジクロロメタン(DCM)500mlに氷冷下で溶解させた。メタンスルホニルクロリド(MsCl、0.981g)を加え、室温に戻して24時間撹拌した。これをHO300mlで分液したところエマルジョンとなったので、セライトろ過を行い再び分液した。続いてbrine300mlで分液し、NaSOで乾燥した。ろ過後、ジエチルエーテルに再沈殿し、沈殿物を回収した。この沈殿物をDCMに再溶解し、ジエチルエーテルに再沈殿させた。これをろ取し、乾燥させることで生成物(MsOPEG)を得た。MsOPEGは白色粉末で、収量は23.8g(収率79.0%)であった。
Figure 2016006413
合成スキーム3の反応に従い、MsOPEG(12.9g、0.369mmol)とフタルイミドカリウム(0.686g、3.71mmol)をジメチルホルムアミド(DMF)200mlに溶解させ、60℃で39時間撹拌した。DMFを留去し、残渣をDCMに溶解させ、ろ過後濃縮し、ジエチルエーテルに再沈殿させた。さらに沈殿物をDCMに再溶解させ、ジエチルエーテルに再沈殿させた。これをろ取し、乾燥させることで生成物(PhIPEG)を得た。PhIPEGは白色粉末であり、収量9.61g(収率73.8%)であった。
Figure 2016006413
合成スキーム4の反応に従い、PhIPEG(9.61g、0.275mmol)をエタノール85mlに溶解させ、ヒドラジン水和物(274mg、5.48mmol)を加えて、Ar雰囲気下で40時間還流した。これを濃縮し、DCMに溶解させ、再び濃縮した。ジエチルエーテルに再沈殿し、ろ取後乾燥させることで生成物(PEGBA)を得た。PEGBAは白色粉末であり、収量8.10g(収率84.4%)であった。
Figure 2016006413
合成スキーム5の反応に従い、α−CD(82.0g、84.4mmol)を水490mLに懸濁させ、PEGBAを7.37g加え、室温で二日間撹拌した。白色沈殿が生じたので、これを遠心分離により回収し、凍結乾燥した。
Figure 2016006413
合成スキーム6の反応に従い、凍結乾燥した白色個体を脱水DMF(130mL)に懸濁させた。ここに、脱水DMFに溶解させたアダマンタンカルボン酸(375.9mg、2.09mmol)、BOP(928.6mg、2.10mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(369μL、2.10mmol)を滴下し、室温で二日間撹拌した。DMFを留去し、残渣をDMSOに溶解させ、DMSOで一週間、水で一週間透析を行った(MWCO:8000)。水透析時に生じた白色沈殿を遠心分離により回収し、凍結乾燥してPRx2を得た。PRx2は白色粉末であり、収量4.06g、貫通率17.3%、収率18.9%であった。
<ポリロタキサン分子への第1官能基の修飾例>
第1官能基としてフェニル基又はアダマンチル基を選定し、下記合成例3,4に示す方法で、ポリロタキサン分子の環状分子(α−シクロデキストリン)に導入した。
(合成例3)
上記合成例1で得たPRx1、CDIを脱水DMSOに溶解し、室温で24時間攪拌した。DMEDA(N,N−ジメチルエチレンジアミン)を添加し、更に室温で12時間攪拌した。その後、ベンジルアミンを添加し、更に室温で12時間攪拌した。攪拌後、DMSOを用いて透析(MWCO 8000)した後に水で透析を行った。これにより、フェニル基が導入されたPRx1(以下、「Bn(I)−DMEDA(m)−PRx1」と略記する。尚、(I)は第1官能基の導入モル数、(m)はDMEDAの導入モル数を示す)を得た。
Bn(I)−DMEDA(m)−PRx1が合成できていることは、GPCとH−NMRから確認した。この合成例3において、仕込みのベンジルアミンとDMEDAの配合比を調整することで、Bn3−DMEDA3−PRx1,Bn6−DMEDA3−PRx1,Bn9−DMEDA3−PRx1,Bn9−DMEDA3−PRxの計4種類のBn(I)−DMEDA(m)−PRx1を合成した。
(合成例4)
ベンジルアミンをアダマンチルアミンに変更したこと以外は、合成例3と同様の方法で合成を行った。これによりアダマンタン基が導入されたPRx1(以下、「Ad(I)−DMEDA(m)−PRx1」と略記する。)を得た。Ad(I)−DMEDA(m)−PRx1が合成できていることは、GPCとH−NMRから確認した。この合成例4において、仕込みのアダマンチルアミンとDMEDAの配合比を調整することで、Ad1−DMEDA6−PRx1,Ad3−DMEDA6−PRx1,Ad6−DMEDA6−PRx1,Ad6−DMEDA3−PRx1の計4種類のAd(I)−DMEDA(m)−PRx1を合成した。
<高分子材料の合成>
(実施例1)
合成例4で得られた4種類の第1官能基修飾ポリロタキサン分子のうち、Ad6−DMEDA6−PRx1をポリロタキサン分子として用いて、参考として図5の合成スキームと同様の手順に従って、自己修復性を有する高分子材料を製造した。
まず、Ad6−DMEDA6−PRx1中のアダマンタン基(ゲスト基)とアクリルアミドβ−シクロデキストリン(AAm‐β‐CD)中のβ−シクロデキストリンが等量となるような配合比率でAd6−DMEDA6−PRx1、AAm−β−CD、アクリルアミドをHOに溶解し、室温にて6時間振とうした(溶液量はAAm−β−CD+AAm/solution=2Mとなるように調整)。ただし、アダマンタン基は理論計算値であるため、実際はβ−シクロデキストリンが過剰であると考えられる。上記振とう後に過硫酸アンモニウム(APS)、TEMED(テトラメチルエチレンジアミン)を添加し、室温で6時間静置した後、大量の水で洗浄することで、Ad6−DMEDA6−PRx1の架橋構造体で構成される高分子材料(以下、「Ad6−DMEDA6−PRx1ゲル」と略記する)を得た。得られたAd6−DMEDA6−PRx1ゲルの最大膨潤率は970%であった。尚、最大膨潤率は、得られたゲルを水洗し、水洗の前後の重量変化から算出した。
(実施例2)
実施例1で得たAd6−DMEDA6−PRx1ゲルを所定の大きさで採取し、これを乾燥させることで、フィルム状の高分子材料(以下、「Ad6−DMEDA6−PRx1フィルム」と略記する)を得た。
(実施例3)
Ad6−DMEDA6−PRx1の代わりにAd3−DMEDA6−PRx1を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で高分子材料ゲル(以下、「Ad3−DMEDA6−PRx1ゲル」と略記する)を得た。得られたAd3−DMEDA6−PRx1ゲルの最大膨潤率は1700%であった。
(実施例4)
Ad6−DMEDA6−PRx1の代わりにAd6−DMEDA3−PRx1を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で高分子材料ゲル(以下、「Ad6−DMEDA3−PRx1ゲル」と略記する)を得た。得られたAd6−DMEDA3−PRx1ゲルの最大膨潤率は2460%であった。
(実施例5)
合成例2で得られたPRx2をポリロタキサン分子として用いて、図3に示される反応経路に従って、自己修復性を有する高分子材料を製造した。
PRx2をDMSOに溶解させた後、ここに1,4−フェニルジボロン酸(PDB)を加えて混合物を調製し、この混合物を撹拌した。混合物中におけるPDBの含有量は15wt%とし、混合物中におけるPRx2の含有量は10wt%とした。混合物を撹拌したした後、数分間静置させることでゲル(以下、「PRx2−PBDゲル」と略記する)を得た。
(実施例6)
合成例2で得られたPRx2をポリロタキサン分子として用いて、合成スキーム7に示される合成経路に従って、自己修復性を有する高分子材料を製造した。なお、合成スキーム7中、「―r―」は各ユニットがランダムに配列していること(すなわち、ランダム共重合体であること)を示す。後述の合成スキーム8,9及び11においても同様である。
Figure 2016006413
まず、DMSO:トルエン=90:10(v/v)溶媒にPRx2、ビニルフェニルボロン酸(Vi−PB)、AAm及び開始剤として2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−70)を溶解させ、1時間Arによるバブリングを行った。オイルバスで30℃に加温しながら、一晩重合しゲル(以下、「PRx2−pAAmPB(20)ゲル」と略記する。カッコ内の数字「20」はVi−PBの仕込みのモル%を表す)を得た。PRx2、Vi−PB及びAAmの混合比(w/w)は、10:9:5とした。
(実施例7)
合成例2で得られたPRx2をポリロタキサン分子として用いて自己修復性を有する高分子材料を製造した。
まず、下記の合成スキーム8に示すスキームに従い、DMSO3mLにAAm(307mg,4.32mmol)、Vi−PB(71mg,0.480mmol)、開始剤AIBN(7.90mg)を溶解させ、1時間Arバブリングを行った。オイルバスで70℃に加熱しながら、一晩重合した。これをメタノールに再沈殿させ、ポリアクリルアミドの繰り返し構成単位の一部の側鎖にフェニルボロン酸が修飾されたポリマーpAAm−PBを得た。
Figure 2016006413
上記で作製したpAAm−PBの3wt%DMSO溶液とPRx2の3wt%DMSO溶液を混合し、合成スキーム9の合成スキームに従って、ゲル(以下、「PRx2−pAAmPB混合ゲル」と略記する)を得た。
Figure 2016006413
(実施例8)
合成例2で得られたPRx2をポリロタキサン分子として用いて、自己修復性を有する高分子材料を製造した。
まず、下記の合成スキーム10に示すスキームに従い、ポリアクリル酸(pAA,Mw:250000)を脱水DMFに溶解させ、ここにモレキュラーシーブ4AとBOPを加えた。3−アミノフェニルボロン酸(3−アミノPB)とトリエチルアミンを脱水DMFに溶かし室温で滴下した。12時間撹拌後、水で希釈し一週間水透析を行った。これを凍結乾燥し、ポリアクリル酸の繰り返し構成単位の一部の側鎖にフェニルボロン酸が修飾されたポリマーpAA−PBを得た。尚、pAAと3−アミノPBは仕込み比で5:1(w/w)となるようにした。
Figure 2016006413
次に、下記合成スキーム11に示すスキームに従い、上記で作製したPRx2とpAA−PBとの比(PRx2:pAA−PB)が質量比で1:1になるようにDMSO中で混合し、ゲル(以下、「PRx2−pAAPB混合ゲル」と略記する)を得た。
Figure 2016006413
<高分子材料の評価>
(Ad6−DMEDA6−PRx1ゲルの自己修復性)
図7は、実施例1で得たAd6−DMEDA6−PRx1ゲルの自己修復性の評価の様子を示している。Ad6−DMEDA6−PRx1ゲルをカッターナイフで切断して図7(a)の状態にした後、直ちに又は24時間経過後にゲルを図7(b)のように接触させ、ピンセットを用いて持ち上げた。その結果、いずれの場合においても図7(c)のように、切断面どうしの接着が確認され、Ad6−DMEDA6−PRx1ゲルの自己修復を確認した。
図8には、Ad6−DMEDA6−PRx1ゲルの時間変化による自己修復率変化の追跡結果を示しており、接触させてから24時間経過後の自己修復率は約60%であった。また、図示はしていないが、切断面以外においてもゲルは接着することを確認した。
以上の結果から、Ad6−DMEDA6−PRx1ゲルはホスト基と、ゲスト基との結合、すなわち、可逆的な結合によって接着することが示唆された。
また、再結合させたAd6−DMEDA6−PRx1ゲルを水中に浸漬すると、切断面どうしを再結合させたAd6−DMEDA6−PRx1ゲルは、水中でも解離することはなかったが、破断面以外にて接着させたゲルは解離した。この結果は、破断面で接着したゲルは可逆的な結合(ホスト−ゲスト相互作用)で接着していることを示唆している。尚、ゲルの破断面どうしを水中にて接触させたが接着しなかった。このことは、ゲルが自己修復するにあたってはゲル自身の有する粘着性も補助的作用として機能しており、この粘着性により、ゲル界面における可逆的な結合(ホスト−ゲスト相互作用)が起こりやすい環境(距離)が整いやすいことを示唆している。
(Ad6−DMEDA6−PRx1フィルムの自己修復性)
実施例2で得たAd6−DMEDA6−PRx1フィルムの自己修復性は以下のように行った。まず、Ad6−DMEDA6−PRx1フィルムの表面に人為的に傷をつけた。その後、水1μLを傷の上に添加したところ、傷が消失し始めることが確認された。この後、室温で12時間静置すると、傷は見られなくなった。これは、水の添加により、フィルム表面の高分子鎖の運動性が高まることで、切断された結合の再結合が起こりやすくなり、結果として、自己修復が起こったと考えられる。
(PRx2−pAAmPB(20)ゲルの自己修復性)
図9は、実施例6で得たPRx2−pAAmPB(20)ゲルの自己修復性の評価の様子を示している。図9(a)に示すPRx2−pAAmPB(20)ゲルをカッターナイフで切断して図9(b)の状態にした後、直ちに又は24時間経過後にゲルを接触させ、図9(c)のように、ピンセットを用いて持ち上げた。その結果、いずれの場合においても切断面どうしの接着が確認され、PRx2−pAAmPB(20)ゲルの自己修復を確認した。
(比較例1)
AAm‐β‐CDを使用しなかったこと以外は実施例1と同様の方法で架橋構造体を得た。得られた重合体はゲル化が起こらなかった。
(比較例2)
Ad6−DMEDA6−PRx1を使用せず、AAm‐β‐CD、アクリルアミドのみを用いて重合反応を行った。得られた重合体はゲル化が起こらず、洗浄中に崩壊が見られた。
本発明に係る高分子材料は、自己修復性に優れる材料であるため、各種の部材やコーティング剤等に使用することで、製品の耐久性を向上させることができ、また、意匠性を長期にわたって維持することができる。また、自己修復性が発揮されることで、製品の安全性にも寄与することができ、信頼性の高い製品を提供することができる。そのため、例えば、携帯電話、ディスプレイ、自動車等の部材や表面コーティング剤として適用可能である。さらに、高分子材料は、設計自由度が高く、また、環境や人体に対しても害のない材料で構成することも可能であるので、工学分野のみならず、医療分野、生体分野、食品分野等にも応用することが可能である。
1 架橋構造体
2 ポリロタキサン分子
21 環状分子
21a 開口部
22 直鎖状分子
23 封鎖基
25 第1官能基
3 第2の重合体
35 第2官能基

Claims (13)

  1. 少なくともポリロタキサン分子を含む重合体が架橋されてなる架橋構造体を含有し、
    前記ポリロタキサン分子は、環状分子と、この環状分子の開口部を貫通する直鎖状分子とを有して形成され、
    前記架橋構造体は、前記ポリロタキサン分子の環状分子と、このポリロタキサン分子以外の重合体分子とが可逆的な結合を介して架橋されていることを特徴とする、自己修復性を有する高分子材料。
  2. 前記重合体分子は、前記ポリロタキサン分子以外のポリロタキサン分子をさらに含む、請求項1に記載の自己修復性を有する高分子材料。
  3. 前記可逆的な結合は、前記ポリロタキサン分子の環状分子に結合している第1官能基と、前記重合体分子の側鎖に結合している第2官能基との非共有結合である、請求項1に記載の高分子材料。
  4. 前記非共有結合が、ホスト基とゲスト基との結合、疎水性相互作用、水素結合、イオン結合、配位結合、π電子相互作用及びこれら以外の分子間相互作用の群から選ばれる少なくとも1種である、請求項3に記載の高分子材料。
  5. 前記ホスト基がシクロデキストリンである、請求項4に記載の高分子材料。
  6. 前記架橋構造体は、前記ポリロタキサン分子の環状分子と、前記重合体分子とがB−O結合を介して架橋されている、請求項1に記載の高分子材料。
  7. 前記架橋構造体は、前記ポリロタキサン分子の環状分子と、前記重合体分子とがボロン酸誘導体により架橋されて形成されている、請求項6に記載の高分子材料。
  8. 前記ボロン酸誘導体は、フェニルジボロン酸である、請求項7に記載の高分子材料。
  9. 前記環状分子がシクロデキストリンである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の高分子材料。
  10. 少なくともポリロタキサン分子を含む重合体が架橋されてなる架橋構造体を含有してなる自己修復性を有する高分子材料の製造方法であって、
    前記ポリロタキサン分子は、環状分子と、この環状分子の開口部を貫通する直鎖状分子と、前記環状分子に結合した第1官能基を有して形成され、
    下記工程A1及び工程A2
    工程A1:前記ポリロタキサン分子と、前記第1官能基と可逆的な結合が可能な第2官能基を有する重合性単量体を含む重合性単量体混合物とを混合して原料混合物を調製する工程、
    工程A2:前記原料混合物中の重合性単量体混合物の重合反応を行う工程、
    を少なくとも備えることを特徴とする、高分子材料の製造方法。
  11. 少なくともポリロタキサン分子を含む重合体が架橋されてなる架橋構造体を含有してなる自己修復性を有する高分子材料の製造方法であって、
    前記ポリロタキサン分子は、環状分子と、この環状分子の開口部を貫通する直鎖状分子とを有して形成され、
    前記環状分子に第1官能基が結合してなる第1のポリロタキサン分子と、前記環状分子に第2官能基が結合してなる第2のポリロタキサン分子とを混合させることにより、第1官能基と第2官能基との可逆的な結合により形成されてなる前記架橋構造体を得ることを特徴とする、高分子材料の製造方法。
  12. 少なくともポリロタキサン分子を含む重合体が架橋されてなる架橋構造体を含有してなる自己修復性を有する高分子材料の製造方法であって、
    前記ポリロタキサン分子は、環状分子と、この環状分子の開口部を貫通する直鎖状分子とを有して形成され、
    前記ポリロタキサン分子と、ボロン酸誘導体とを混合する工程を備えることを特徴とする、高分子材料の製造方法。
  13. 少なくともポリロタキサン分子を含む重合体が架橋されてなる架橋構造体を含有してなる自己修復性を有する高分子材料の製造方法であって、
    前記ポリロタキサン分子は、環状分子と、この環状分子の開口部を貫通する直鎖状分子とを有して形成され、
    下記工程B1及び工程B2
    工程B1:前記ポリロタキサン分子と、側鎖にB−OH結合を有する重合性単量体を含む重合性単量体混合物とを混合して原料混合物を調製する工程、
    工程B2:前記原料混合物中の重合性単量体混合物の重合反応を行う工程、
    を少なくとも備えることを特徴とする、高分子材料の製造方法。
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