JP6941759B2 - (メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン - Google Patents

(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン Download PDF

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Description

本発明は、(メタ)アクリルアミド基を含有する(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン及びそれを含有する樹脂組成物に関する。
近年、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を使用した付加製造が注目されている。付加製造は一般に3Dプリンターを用いて立体モデルを直接に造形する手法であり、金属、石膏、コンクリート、樹脂、食品等の様々な材料が使用されており、特に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、活性エネルギー線の照射量を調整することにより重合を制御しやく、容易にかつ高精度に成形できるため、3D造型用材料として使用量が年々増加している。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は一般に(メタ)アクリレート系や(メタ)アクリルアミド系のモノマー、低分子量の架橋剤及び高分子量の多官能重合性化合物を一定の比例で混合して使用されている。特に高分子量の多官能重合性化合物は得られる成形物の強度、伸度等の基本物性に与える影響が大きいため、用途や要求される物性に応じて、構造設計しやすいポリウレタン、ポリエーテル、ポリエステル等のオリゴマーやポリマーに(メタ)アクリル基等を導入した化合物が多く検討されている。
しかしながら、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を3Dプリンターで使用する際には、インクジェット方式におけるインクの吐出安定性や、造型テーブルを樹脂槽の中で移動させる操作性を確保するため、樹脂組成物の液粘度に大きく影響を与える高分子量の多官能重合性化合物の配合量を調整することが極めて困難であった。一方、低分子の架橋剤を添加することによって、成形物の強度向上が期待できるが、伸びや柔軟性が著しく低下し、強靭性のある成形品の取得が困難となっていた(特許文献1、2)。また、モノマーや架橋剤の品種、添加量も検討されたが、多官能重合性化合物の添加量が制限されるため、強度的には満足のいくものが得られていない(特許文献3〜5)。
その様な状況のもと、高分子量の多官能重合性化合物として、架橋点として(メタ)アクリレート基を有するポリロタキサンが特異的な粘弾性を有することから注目を浴びており、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物としての応用が検討されている(特許文献6〜9)。具体的には、耐擦傷性を有する塗料や(特許文献10)、自己治癒性のあるコーティング材(特許文献11)、耐久性の向上した接着剤(特許文献12)など、ポリロタキサンの架橋点可動性により重合物が良好な破断伸度と破断強度を示すことを利用した例が挙げられ、3Dプリンターで使用する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物への使用も検討されている。
しかしながら、(メタ)アクリレート基を有するポリロタキサンの使用により3Dプリンター成形物の柔軟性と強度が改善されたが、未だに強度と伸度のバランスが満足できるものではなく、更なる改善が望まれる状況であった。
EP1274551B1 特開2012−111226号公報 特開2015−078255号公報 WO2015−049873号公報 WO2015−056614号公報 特開2014−224270号公報 WO2005−095493号公報 WO2006−088200号公報 特開2011−046917号公報 特開2007−106861号公報 特表2015−521210号公報 特開2013−056963号公報
本発明は、有機溶媒、汎用アクリルモノマーやオリゴマーとの相溶性に優れ、活性エネルギー線に対する硬化性が高く、組成物に配合することによって、硬化後の成形物に強度と伸度を同時に付与することができる、(メタ)アクリルアミド基を有するポリロタキサンを提供するものである。また、当該(メタ)アクリルアミド基を有するポリロタキサンを含有する操作性に優れる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及びそれを3D成形させてなる強度と伸度のバランスがよく、強靭性のある立体的成形物を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、架橋点として(メタ)アクリルアミド基をウレタン結合経由してポリロタキサンに導入することによって(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサンを取得できることが見出した。
また、当該(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサンを含有する樹脂組成物が優れる操作性を示し、硬質樹脂組成物に配合することによって得られる硬質樹脂の伸度が向上され、軟質樹脂組成物に配合することによって得られる軟質樹脂の強度が向上され、適宜な組成調整により強度と伸度のバランスがよく、強靭性の有する成形物を取得できる三次元光造形のモデル材用樹脂組成物として好適であることを見いだし、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明は
(1)(メタ)アクリルアミド基を含有する(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン、
(2)アクリル当量は5.0×10g/eq〜5.0×10g/eqであることを特徴とする(1)に記載の(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン、
(3)前記(1)又(2)に記載の(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサンを1.0質量%以上含有する樹脂組成物、
(4)前記(1)又(2)に記載の(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサンを1.0質量%以上含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、
(5)前記(1)又(2)に記載の(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサンを1.0質量%以上含有する三次元光造形用樹脂組成物、
(6)(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン1〜60質量%、単官能性不飽和化合物0〜95質量%、多官能性不飽和化合物0〜50質量%を有することを特徴とする前記(3)〜(5)のいずれか一項に記載の樹脂組成物
を提供するものである。
本発明によれば、(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサンは、可動性の架橋点として(メタ)アクリルアミド基を、ポリロタキサンを構成する環状化合物もしくは軸となる直鎖状分子のいずれかにウレタン結合を経由して接合させたものであり、有機溶媒、アクリルモノマーやオリゴマーとの相溶性に優れ、活性エネルギー線に対する硬化性が高い特徴を有する。該(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサンを含有する樹脂組成物は、汎用のラジカル重合方法により破断強度と伸度に優れる重合体を得ることができ、また活性エネルギー線照射により強靭性の硬化物を取得することができる。特に、硬化性樹脂組成物として、低粘度で操作性に優れ、3Dプリンターのモデル材用インクとして好適に用いることができる。
本発明の(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサンを配合することによって、成形品の強度と伸度の相反する性質を両立させることができる。これは、分子内及び/又は分子間の(メタ)アクリルアミド基、ウレタン基の同士及び/又は間で形成される水素結合により付与される強さ、硬さと、本来ポリロタキサンが有する柔軟性、伸縮性を融合した結果であると本発明者らが推定する。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A)は、ポリロタキサンを構成する環状化合物もしくは軸となる直鎖状分子のいずれかに(メタ)アクリルアミド基が含まれる構造の化合物である。
(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A)の合成方法は、本発明所定の目的化合物を取得することが可能であれば、特に限定することはない。例えば、水酸基、アミン基、カルボキシル基、イソシアネート基、エポキシ基、フェノール基等の反応性を有する官能基の群(官能基1)から選べる一種以上のものを有するポリロタキサン(a1)と、(a1)に有する官能基1と反応可能な官能基(官能基2)を有し、かつ、(メタ)アクリルアミド基を含有する化合物(a2)との反応により合成され、ポリロタキサン(a1)と(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a2)の結合としては、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、ウレタン結合等が挙げられる。
本発明に用いられるポリロタキサン(a1)は、環状化合物の開口部が直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる擬ポリロタキサン及び、擬ポリロタキサンの両端に前記環状化合物が脱離しないように封鎖基を配置してなるポリロタキサンである。これらのポリロタキサン(a1)は1種類単独で使用してもよいし、また2種類以上併用してもよい。
本発明に用いられるポリロタキサン(a1)の直鎖状分子は、環状化合物の開口部に串刺し状に包接され得るものであれば特に限定されない。直鎖状分子として具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラエチレングリコール等のポリアルキレングリコール類、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン類、ジオール成分とジカルボン酸成分からなるポリエステル類、ジオール成分とカルボニル成分からなるポリカーボネート類、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン類等が挙げられる。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリジメチルシロキサンからなる群から選ばれるのが好ましく、ポリエチレングリコールであることがより好ましい。これらの直鎖状分子は1種類単独で使用してもよいし、また2種類以上併用してもよい。直鎖状分子の分子量は、数平均で3,000〜1,000,000であり、好ましくは5,000〜100,000、より好ましくは10,000〜50,000である。
本発明に用いられるポリロタキサン(a1)を構成する環状化合物は、(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a2)を導入する観点から、官能基を有する環状分子であることが好ましく、(a2)との反応しやすさから、官能基が水酸基であることがより好ましい。具体的には、環状分子がα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンが好ましく、α−シクロデキストリンであることが特に好ましい。これらの環状分子は1種類単独で使用してもよいし、また2種類以上併用してもよい。
本発明に用いられるポリロタキサン(a1)の環状化合物は(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a2)との反応性を向上させるため、α−シクロデキストリン等の環状分子の官能基より鎖状分子を伸長させ、鎖状分子の末端に水酸基を有する構造の包接にもちられる環状化合物であることがより好ましい。鎖状分子として具体的には、環状分子と結合していない側の末端に水酸基を有するアルキレン類、環状分子と結合していない側の末端に水酸基を有するアルケニレン類、アルキレングリコール類、環状分子と結合していない側の末端に水酸基を有するポリカーボネート類、環状分子と結合していない側の末端に水酸基を有するポリエステル類、環状分子と結合していない側の末端に水酸基を有するポリウレタン類、環状分子と結合していない側の末端に水酸基を有するポリカプロラクトン類からなる群から選ばれるのが好ましく、ポリカプロラクトン類は片末端がカルボキシル基であり、環状化合物の官能基が水酸基とエステル結合が可能であり、環状分子と結合していない側の末端が水酸基となるためより好ましい。これらの鎖状分子は1種類単独で使用してもよいし、また2種類以上併用してもよく、2種以上の鎖状分子を結合し1本の鎖状分子として使用しても良い。
ポリカプロラクトン類としては、ラクトンモノマーの開環重合体であり、数平均分子量は200から10,000が好ましい。ラクトンモノマーとしてはβ−プロピオラクトン、β−メチルプロピオラクトン等の4員環ラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−ヘキサノラクトン等の5員環ラクトン、δ−バレロラクトン、δ−ヘキサノラクトン等の6員環ラクトン、ε−カプロラクトン等の7員環ラクトン、ラクチド、1,5−ジオキセパン−2−オン等を挙げることができる。
本発明に用いられるポリロタキサン(a1)において、環状化合物が直鎖状分子により串刺し状に包接される際に環状化合物が最大限に包接される量を1.0とした場合、前記環状化合物が0.001〜0.6の量で直鎖状分子に串刺し状に包接されるのが好ましく、0.01〜0.5であることがより好ましく、0.05〜0.4であることが更に好ましい。なお、環状化合物の最大包接量は、直鎖状分子の分子量と環状化合物の種類により調節することができる。
本発明に用いられるポリロタキサン(a1)の封鎖基は、擬ポリロタキサンの両端に配置され、環状化合物が脱離しないように作用する基であれば、特に限定されない。封鎖基として具体的にはアダマンタン基類、トリチル基類、ジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類等を挙げられる。これらの封鎖基は1種類単独で使用してもよいし、また2種類以上併用してもよい。なおアダマンタン基類又はトリチル基類であることが好ましい。
本発明に用いられるポリロタキサン(a1)として具体的には、セルムスーパーポリマーSH1310P、セルムスーパーポリマーSH2400P、セルムスーパーポリマーSH3400P(アドマンスト・ソフトマテリアル社製)が軸分子にポリエチレングリコール(重量平均分子量11,000から35,000万)を使用しており、環状分子がα−シクロデキストリンであり、α−シクロデキストリンによりポリカプロラクトンを鎖状分子として伸長し、ポリカプロラクトン末端に水酸基を保持しているため、好ましい。
本発明の(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a2)の官能基は、ポリロタキサン(a1)の官能基として好ましい水酸基との反応が行いやすい官能基が好ましく、イソシアネート基やカルボキシル基、ジイソシアネート類を介してウレタンやウレア結合を形成できる水酸基、アミノ基等が挙げられる。特に、(メタ)アクリルアミド基が反応も重合も行起こらないことを考量し、イソシアネート基や水酸基が好ましく、水酸基がより好ましい。
(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a2)として具体的には、イソシアネート基を有する化合物としては2−イソシアナトエチル(メタ)アクリルアミド、3−(2−イソシアナトプロピル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。水酸基を有する化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド等の水酸基含有(メタ)アクリルアミド類が挙げられ、アミノ基を有する化合物としては3−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有(メタ)アクリルアミド類が挙げられ、カルボキシル基を有する化合物としては、β-カルボキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらの(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a2)は1種類単独で使用してもよいし、また2種類以上併用してもよい。得られる(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A)の重合性の面から(a2)として2−ヒドロキシエチルアクリルアミドがさらに好ましい。
(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a2)の導入量はアクリル当量で表され、ここでのアクリル当量とは、 (メタ)アクリルアミド基一個あたりの分子量を示している。アクリル当量は5.0×10〜5.0×10g/eqであることが好ましく、5.0×10g/eq未満であれば、架橋点の数が少ないため、成形品の破断強度の向上効果が認められない可能性があり、一方、アクリル当量は5.0×10g/eq超える場合、架橋点の数が多すぎるため、得られた成形品の伸度向上が不十分の恐れがある。また、アクリル当量が1.0×10〜1.0×10g/eqがより好ましい。
本発明の(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A)の合成方法としては、特に限定することがなく、前記の各種原料化合物を用いて公知の方法により製造することができる。詳細は特許文献6〜9の記載が参考にできる。例えば、第一にシクロデキストリン等の環状分子の開口部が直鎖状分子により串刺し状に包接され擬ポリロタキサンを得る。第二に直鎖状分子の両端に環状化合物が脱離しないように封鎖基を配置し、未修飾のポリロタキサンを得る。第三に擬ポリロタキサンもしくはポリロタキサンの環状化合物に有する官能基の一部又は全部を用いて、公知反応によりエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、カーボネート結合等を介して末端に官能基を有する鎖状分子を導入し、ポリロタキサン(a1)を得る。第四にポリロタキサン(a1)の官能基と(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a2)の官能基との反応を行い、(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A)を得ることが出来る。
(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A)の合成方法の第四段階において、具体的に、例えばポリロタキサン(a1)の官能基が水酸基、(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a2)の官能基がイソシアネート基であれば、(a1)と(a2)を混合し、触媒として錫化合物や3級アミン等を添加することによりウレタン化反応が進行し、(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A)を得ることが出来る。また(a1)と(a2)の官能基が共に水酸基である場合、(a1)、(a2)とジイソシアネート類とを混合し、同様に触媒存在下で反応させ、(a1)と(a2)をジイソシアネート介して結合した(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A)を得ることが出来る。
また、本発明の(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A)は、上記反応工程の前後に、環状化合物に直接または鎖状分子を介して、不飽和基以外の官能基を結合させる工程を設けることができる。
本発明の(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A)を製造する際には有機溶媒を用いることが一般的であり、有機溶剤の種類としては、直鎖状分子、封鎖基、導入する鎖状分子や不飽和基の種類と量などに依存するが、例としてトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、塩化メチレン、N,N'−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を挙げることができる。また有機溶剤として、イソシアネートと反応する官能基を持たない不飽和基含有化合物を用いることもでき、例えば、炭素数1〜22の直鎖、分岐、環状のアルキル基を導入したアルキル(メタ)アクリレート、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド等や、炭素数1〜8のアルコキシ基、アルキレングリコール基からなるアルコキシアルキレングリコール基やアルコキシポリアルキレングリコール基を導入したアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、N−(アルコキシアルキレングリコール)(メタ)アクリルアミド、N,N−(ジアルコキシアルキレングリコール)(メタ)アクリルアミド、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、N−(アルコキシポリアルキレングリコール)(メタ)アクリルアミド、N,N−(ジアルコキシポリアルキレングリコール)(メタ)アクリルアミド、アクロイルモルホリン等が挙げられる。
本発明の(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A)を用いて、不飽和基含有化合物(B)((A)を除く)や添加剤等と混合して樹脂組成物(C)と得ることができ、また、(C)を重合させることにより、共重合体(D)を得ることができる。
(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A)の含有量は、樹脂組成物(C)全体に対して1.0質量%以上含まれる。また、(C)を重合して得られる共重合体(D)が良好な引張強度、伸度、弾性のバランスをとるため、(A)の含有量は1.0〜60質量%であることが好ましい。さらに、三次元光造形用いられる場合、より低粘度で操作性に優れ樹脂組成物として、(A)の含有量は1.0〜20質量%であることが更に好ましい。
本発明に用いられる不飽和基含有化合物(B)としては、単官能性不飽和化合物(b1)と多官能性不飽和化合物(b2)から選べることができる。(b1)はガラス転移温度(Tg)が10℃以上の高Tg単官能性不飽和化合物(b11)とTgが10℃未満の低Tg単官能性不飽和化合物(b12)を含有し、共重合体(D)の用途に合わせて選べればよいが、物性バランスの面から、(b11)と(b12)を共に用いることがより好ましい。
(b11)と(b12)の含有量が合計で、樹脂組成物(C)全体に対して0〜99質量%であることが好ましい。この範囲内である場合、(C)の液粘度が低く、操作性に優れ、重合して得られる共重合体(D)の引張強度、伸度、弾性等が良好あるため好ましく、さらに、70〜95質量%であることがより好ましい。
また、高Tg単官能性不飽和化合物(b11)の使用量は、(C)全体に対して0〜80質量%である。80質量%を超える場合、得られる成形物の強靭性が低くなるため好ましくない。
低Tg単官能性不飽和化合物(b12)の使用量は、樹脂組成物(C)全体に対して0〜80.0質量%である。80質量%を超える場合、得られる成形物の強度や弾性が低く、成形加工が困難となり、好ましくない。
本発明に用いられる高Tg単官能性不飽和化合物(b11)は、ホモポリマーのTgが10℃以上の(メタ)アクリレート類や(メタ)アクリルアミド類、N−ビニルピロリドン(Tg80℃)、N−ビニルカプロラクタム(Tg90℃)が好ましく、(メタ)アクリレート類としてはメチルメタクリレート(Tg100℃)、エチルメタクリレート(Tg65℃)、n−プロピルメタクリレート(Tg35℃)、イソプロピルメタクリレート(Tg81℃)、n−ブチルメタクリレート(Tg20℃)、イソブチルメタクリレート(Tg48℃)、t−ブチルメタクリレート(Tg107℃)、t−ブチルアクリレート(Tg14℃)、ステアリルメタクリレート(Tg38℃)、ステアリルアクリレート(Tg30℃)、シクロヘキシルメタクリレート(Tg83℃)、シクロヘキシルアクリレート(Tg15℃)、テトラヒドロフラフリルメタクリレート(Tg60℃)、ベンジルメタクリレート(Tg54℃)、t−ブチルシクロヘキシルメタクリレート(Tg157℃)、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、イソボルニルメタクリレート(Tg180℃)、イソボルニルアクリレート(Tg97℃)、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート(Tg18℃)、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート(Tg120℃)、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(Tg40℃)、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(Tg10℃)、ジシクロペンタニルメタクリレート(Tg175℃)、ジシクロペンタニルアクリレート(Tg120℃)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(Tg55℃)、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(Tg26℃)等が挙げられ、(メタ)アクリルアミド類としてはアクリルアミド(Tg179℃)、N−メチルアクリルアミド(Tg171℃)、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド(Tg119℃)、N,N−ジエチルアクリルアミド(Tg81℃)、N−イソプロピルアクリルアミド(Tg134℃)、N−イソプロピルメタアクリルアミド、N−(n−オクチル)アクリルアミド(Tg79℃)、N−(n−オクチル)メタクリルアミド、N−(2−エチルヘキシル)アクリルアミド(Tg38℃)、N−(2−エチルヘキシル)メタクリルアミド、N−(t−ブチル)アクリルアミド(Tg135℃)、シクロヘキシルアクリルアミド、フェニルアクリルアミド(Tg160℃)、イソボルニルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(Tg134℃)、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド(Tg190℃)、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド(Tg98℃)、2−ヒドロキシプロピルアクリルアミド(Tg74℃)、2−ヒドロキシプロピルメタクリルアミド(Tg138℃)、ダイアセトンアクリルアミド(Tg77℃)、アクロイルモルホリン(Tg145℃)等が挙げられ、これらの高Tg単官能性不飽和化合物(b11)は1種類単独で使用してもよいし、また2種類以上併用してもよい。
本発明に用いられる低Tg単官能性不飽和化合物(b12)としては、ホモポリマーのTgが10℃未満の(メタ)アクリレート類や(メタ)アクリルアミド類が好ましく、(メタ)アクリレート類としてはメチルアクリレート(Tg8℃)、エチルアクリレート(Tg−22℃)、n−プロピルアクリレート(Tg−37℃)、イソプロピルアクリレート(Tg−24℃)、n−ブチルアクリレート(Tg−54℃)、イソブチルアクリレート(Tg−26℃)、n−オクチルアクリレート(Tg−65℃)、イソオクチルアクリレート(Tg−58℃)、2−エチルヘキシルアクリレート(Tg−85℃)、イソノニルアクリレート(Tg−58℃)、ラウリルメタクリレート(Tg−15℃)、ラウリルアクリレート(Tg−23℃)、イソステアリルアクリレート(Tg−18℃)、テトラヒドロフラフリルアクリレート(Tg−6℃)、ベンジルアクリレート(Tg6℃)、フェノキシエチルアクリレート(Tg−22℃)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(Tg−15℃)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート(Tg−7℃)、4−ヒドロキシブチルアクリレート(Tg−32℃)、炭素数が1〜8のアルコキシ基と炭素数1〜4のアルキレングリコール基からなる官能基を導入したアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート類、アルコキシジアルキレングリコール(メタ)アクリレート類、アルコキシトリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類や、フェノキシ基と炭素数1〜4のアルキレングリコール基からなる官能基を導入したフェノキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート類、フェノキシジアルキレングリコール(メタ)アクリレート類、フェノキシトリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類、フェノキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられ、(メタ)アクリルアミド類としては炭素数が1〜8のアルコキシ基と炭素数1〜4のアルキレングリコール基からなる官能基を導入したアルコキシアルキレングリコールアクリルアミド類、アルコキシジアルキレングリコールアクリルアミド類、アルコキシトリアルキレングリコールアクリルアミド類、アルコキシポリアルキレングリコールアクリルアミド類等が挙げられ、これらの低Tg単官能性不飽和化合物(b12)は1種類単独で使用してもよいし、また2種類以上併用してもよい。
本発明に用いられる多官能性不飽和化合物(b2)としては、アリル(メタ)アクリレート、ジアリルアミン、炭素数1〜18のアルキル基を導入したアルキルジアリルアミン、炭素数1〜18のアルキル基を導入し、前項に記載された無機酸アニオン又は有機酸アニオンから選ばれる少なくとも1種のイオンを任意に選択し、アニオンとカチオンを組み合わせることで構成されるオニウム塩として用いられるジアルキルジアリルアンモニウムクロライドやジアルキルジアリルアンモニウムp−トルエンスルホン酸塩等のジアルキルジアリルアンモニウム塩、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物類、アルコキシル化ビスフェノールAジアクリレート類、ポリエステルジ(メタ)アクリレート類、ポリカーボネートジ(メタ)アクリレート類、ポリウレタンジ(メタ)アクリレート類、ポリウレタンジ(メタ)アクリルアミド類が挙げられ、また、3官能以上の多官能性不飽和化合物としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官能性不飽和化合物(b2)は1種類単独で使用してもよいし、また2種類以上併用してもよい。
前記多官能性不飽和化合物(b2)の数平均分子量が200〜20,000であることが好ましい。数平均分子量が200以上である場合には、共重合体(D)の架橋点の密度が高くなりすぎず、ポリロタキサンによる架橋点可動性による効果を発揮できるため好ましく、アクリル当量が高すぎず、得られるモデル材の柔軟性が十分に満足でき、また数平均分子量が20,000以下では、樹脂組成物(C)の液粘度を低めに制御でき、操作性に優れるため好ましい。さらに、数平均分子量が200〜10,000であることがより好ましい。
前記多官能性不飽和化合物(b2)の不飽和基としては(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基を用いると硬化性が良好のためより好ましい。特にポリウレタンジ(メタ)アクリレート類やポリウレタンジ(メタ)アクリルアミド類を用いる場合には、樹脂組成物(C)の硬化性が更に向上されるだけではなく、硬化して得られるモデル材の柔軟性も向上される。またウレタン結合やアミド結合由来の水素結合の相乗効果によりモデル材の引張強度、弾性等も向上され、バランスの良い成形品を得られるため、より好ましい。
多官能性不飽和化合物(b2)の使用量は、樹脂組成物(C)全体に対して0〜50質量%であることが好ましい。(b2)を添加することにより得られるモデル材の引張強度、弾性等が向上し、また、50質量%以下である場合には、(C)の液粘度が低く、操作性に優れ、また架橋点の密度が高くなりすぎず、ポリロタキサンによる架橋点可動性による効果を発揮できるため好ましく、さらに、40質量%で以下あることがより好ましい。
樹脂組成物(C)の重合方法としては、特に限定することがなく、不飽和基の重合方法として公知の方法により得ることができる。例えば活性エネルギー線または熱によるラジカル重合やアニオン重合、カチオン重合等が挙げられ、また、活性エネルギー線による重合は、照射線量の調整により容易に重合を制御できるため、好ましい。
樹脂組成物(C)の重合に用いる活性エネルギー線とは、電磁波または荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するもの、すなわち、可視光、電子線、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線等の活性エネルギー線などを指す。例えば、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、LEDランプ、電子線加速装置、放射性元素などの線源が挙げられる。活性エネルギー線源として電子線を用いた場合は、通常、光開始剤を含有する必要はないが、その他の活性エネルギー線源を用いた場合は、光重合開始剤(E)を添加することが好ましい。照射する活性エネルギー線としては、(C)の保存安定性と硬化速度及び有害性の低さから紫外線が好ましい。
本発明で用いる光重合開始剤(E)としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1等のアセトフェノン系、ベンゾイン、α−メチルベンゾイン等のベンゾイン系、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸等のベンゾフェノン系、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−(4−モルホリニル)フェニル)−1−ブタノン等のαアミノケトン系、イソプロピルチオキサントン等のキサントン系、2−エチルアントラキノン等のアントラキノン系、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系、高分子光開始剤系等の通常のものから適宜選択すればよい。これらの光重合開始剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
電子線以外の活性エネルギー線源を用いた場合、光重合開始剤(E)の含有量は、樹脂組成物(C)全体に対して0.1〜5.0質量%が好ましい。0.1質量%以上である場合には、十分に重合反応を起こし、得られる共重合体(D)中の残存モノマー量が少なく、成形品の物性が良好であり、また5.0質量%以下である場合には、(C)のポットライフが適宜であり、保管中のゲル化などのトラブルが発生しないため好ましく、0.5〜3.0質量%がより好ましい。
樹脂組成物(C)を重合する際の活性エネルギー線照射量(積算光量)は特に制限するものではなく、(C)に用いられる(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A)、不飽和基含有化合物(B)、及び光重合開始剤(E)の種類と使用量によって変動し、50〜2000mJ/cmであることが好ましい。積算光量が50mJ/cm以上であると、十分な硬化が進行し、得られた共重合体(D)の引張強度、弾性等が良好であり、また、積算光量が2000mJ/cm以下であると、活性エネルギー線照射時間が短く、光造形の生産性向上につながり、得られる成形品の経時的着色が生じにくく、100〜1000mJ/cmであることがより好ましい。
本発明の樹脂組成物(C)は、必要に応じてその他成分(F)として、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、でんぷん、カルボキシメチルセルロース等のポリマーや各種添加剤等を混合して使用できる。添加剤としては、熱重合禁止剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線増感剤、防腐剤、リン酸エステル系及びその他の難燃剤、界面活性剤、湿潤分散材、帯電防止剤、着色剤、可塑剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、顔料、有機フィラー、無機フィラー等を添加することができる。(F)の添加量は、本発明による樹脂組成物(C)が発現する特性に悪影響を与えない程度であれば特に限定されず、(C)全体に対して5質量%以下の範囲が好ましい。
本発明の共重合体(D)は架橋点を自由に動かせる架橋剤として(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A)を含んでおり、硬質系の樹脂ならば靭性、可撓性、耐衝撃性、高強度が期待でき、軟質樹脂ならば、柔軟性、伸び、密着性、耐摩耗性、応力緩和、低弾性、ヤング率、耐擦傷性、振動吸収などの特性が有する樹脂として様々な用途に活用できる。
用途として具体的には、自動車、電化製品、家具などの塗料やコーティング材等に用いられるコーティング向けの材料や、緩衝材、パッキン、防振材、吸音材、印刷版、シーリング材、研磨剤等に用いられるエラストマー向けの材料や、透明粘着シートや、UV硬化型粘・接着剤といった接着剤や粘着剤、シーリング用材料や封止材、歯科衛生材料、光学材料、光造形材料、強化プラスチック用材料、3Dプリンター用モデル材等が挙げられるが、用途としては必ずしもこれらに限ったものではない。
本発明の樹脂組成物(C)を重合して得られた共重合体(D)は3Dプリンター用モデル材として用いることが好ましく、活性エネルギー線照射により硬化させる三次元光造形法に用いることがより好ましい。三次元光造形法のプリンターとしてはSLA方式やDLP方式の光造形法による3DプリンターやUV硬化型インクジェット方式による3Dプリンターを使用する方法が挙げられる。
本発明の樹脂組成物(C)はSLA方式やDLP方式の光造形法による3Dプリンターに用いる場合には、造型テーブルのスムーズな動作等の造型操作の観点から、液粘度は25℃において1〜2000mPa・sであることが好ましく、1〜500mPa・sがより好ましい。
また、本発明の樹脂組成物(C)はUV硬化型インクジェット方式の3Dプリンターに用いる場合には、インクジェット吐出の観点から液粘度は25℃において1〜100mPa・sが好ましい。(C)の液粘度が25℃で1mPa・s未満の場合、吐出後の液滴が着弾時に広がりやすく、高精度な成形は困難であり、一方、100mPa・sを越えると、より高温での吐出が必要となり、重合による閉塞発生などのインクジェット吐出の際のトラブルを招きやすくなり、好ましくない。25℃における(C)の液粘度は10〜70mPa・sであることがより好ましい。
本発明の樹脂組成物(C)を活性エネルギー線照射による重合させ、得られる共重合体(D)は三次元光造形法における硬質のモデル材もしくは柔軟性のあるモデル材として用いることができる。
硬質なモデル材としては共重合体(D)のショアD硬度が70以上であれば、得られる成形品が変形し難く、硬質感が得られるため好ましく、ショアD硬度80以上あれば更に好ましい。
硬質なモデル材として共重合体(D)の引張強度、破断伸度はそれぞれ15MPa以上と5%以上である場合、(D)は強靭性を有し、折り曲げる際に破断し難く、切削加工にも適用するため好ましい。また、引張強度が20MPa以上、破断伸度が15%以上である場合には、強靭性が更に向上され、より好ましい。40MPa以上の引張強度を有し、かつ20%以上の破断伸度を有する場合には、いわゆるABS樹脂の様な強靭な樹脂として得ることができるため、更に好ましい。
柔軟性のあるモデル材としては、共重合体(D)のショアA硬度が90以下であれば、成形品が容易に変形でき、軟質モデル材として用いられるため好ましい。また、モデル材として十分な強度を有することが必要であり、ショアA硬度20〜75の範囲内であることが更に好ましい。
柔軟性のあるモデル材として共重合体(D)の引張強度、破断伸度はそれぞれ3MPa以上と100%以上である場合、成形品の屈曲性も伸長性も有するため好ましい。また、より伸長性を重視する用途に使用するモデル材ならば破断伸度は200%以上であることがより好ましく、400%以上であれば更に好ましい。柔軟性のあるモデル材として、強靭さを重視する用途に使用するモデル材ならば、引張強度は5MPa以上であることがより好ましく、10MPa以上の引張強度有することが更に好ましい。
本発明の樹脂組成物(C)の樹脂槽に樹脂組成物(C)を充填して行う三次元光造形は、樹脂槽にレーザーによる形状パターンの描画を行うSLA方式やプロジェクターによる形状パターンを投影するDLP方式を用いることで、樹脂組成物(C)の硬化薄膜を形成する方式が好ましい。また、硬化薄膜上にさらに積層と硬化を繰り返して行うことにより、三次元の造型物を取得できる。
本発明の樹脂組成物(C)のUV硬化型インクジェット方式による三次元光造形は、樹脂組成物(C)の微小液滴をインク吐出ノズルから噴射され、所定の形状パターンを描画し、活性エネルギー線照射して硬化薄膜を形成する方式が好ましい。また、硬化薄膜上にさらに積層と硬化を繰り返して行うことにより、三次元の造型物を取得できる。
三次元光造形による立体造形物の製造において、中空の構造を造型する際に支持体としてサポート材を用いることが一般的である。サポート材はモデル材と同時に造型し、硬化され、造型終了後に除去するものであり、SLA方式やDLP方式にも使用することができる。
本発明の立体造形に使用されるサポート材は特に限定せず、熱溶融可能なワックスや樹脂、または活性エネルギー線硬化性樹脂が挙げられるが、UV硬化型インクジェット方式による三次元光造形する場合、モデル材と同時造型できる観点から、活性エネルギー線硬化性樹脂が好ましい。本発明の共重合体(D)をモデル材としてだけではなく、サポート材としても使用することができるが、専用のサポート材を別途使用することも出来る。さらに、サポート材として、水溶性、水分散性、水膨潤性やウォータジェットで容易に破砕、除去可能な活性エネルギー線硬化性樹脂がモデル材から剥離しやすく、より好ましい。
熱溶融性のワックスや樹脂のサポート材として、例えばパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルバナワックス、エステルワックス、アミドワックス等のワックス類、ポリエチレングリコール、低融点結晶性ポリエステル樹脂等のポリマー類が挙げられるが、特に限定されない。
また、水溶性、水分散性、水膨潤性のサポート材として、ウォータジェットで容易に破砕、除去可能な活性エネルギー線硬化性樹脂、例えばキーエンス社製AGLISTAで使用されるサポート材AR−S1(株式会社キーエンス製)、ストラタシス社製Objetで使用されるサポート材SUP707やSUP705(Stratasys Ltd.製)等が挙げられるが、特に限定されない。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下において「部」及び「%」は特記しない限りすべて質量基準である。
ポリロタキサン(a1)はアドマンスト・ソフトマテリアル社製のセルムスーパーポリマーを用いた。(a1−1)としてSH2400P(水酸基価79mgKOH/g)、(a1−2)としてSH1310P(水酸基価88mgKOH/g)、(a1−3)としてSH3400P(水酸基価78mgKOH/g)を使用した。
(メタ)アクリルアミド基含有化合物(a2)は(a2−1)として2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、(a2−2)として2−ヒドロキシエチルメタクリルアミドを使用した。
高Tg単官能性不飽和化合物(b11)は、(b11−1)としてジエチルアクリルアミド(Tg=81℃)、(b11−2)としてアクロイルモルホリン(Tg=145℃)、(b11−3)としてイソボルニルアクリレート(Tg 94℃)、(b11−4)としてジシクロペンタニルアクリレート(Tg=120℃)、(b11−5)として1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート(Tg=18℃)、(b11−6)として2−ヒドロキシエチルアクリルアミド(Tg=98℃)を使用した。
低Tg単官能性不飽和化合物(b12)は、(b12−1)としてメトキシジプロピレングリコールアクリレート(Tg=−44℃)、(b12−2)としてメトキシトリエチレングリコールアクリレート(Tg=−50℃)、(b12−3)としてフェノキシエチルアクリレート(Tg=−22℃)、(b12−4)としてエトキシエトキシエタノール アクリル酸多量体エステル(商品名「ビスコート#190D」新中村化学工業株式会社製)(Tg<−50℃)、(b12−5)としてメチルアクリレート(Tg=8℃)、(b12−6)としてイソステアリルアクリレート(Tg=−18℃)を使用した。
多官能性不飽和化合物(b2−1)として、セルムスーパーポリマーSA2403P((a1−1)のアクリレート基導入品の50%メチルエチルケトン(MEK)溶液、アドマンスト・ソフトマテリアル社製)、多官能性不飽和化合物(b2−2)としてポリプロピレングリコール(重合度12)ジアクリレート(APG−700、新中村化学工業株式会社製)、多官能性不飽和化合物(b2−3)としてトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A−DCP、新中村化学工業株式会社製)、(b2−4)としてビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物(エポキシエステル3000A、共栄社化学株式会社製)、(b2−5)として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(A−HD−N、新中村化学工業株式会社製)、(b2−6)としてウレタンジアクリレート(アロニックスM1200、東亞合成工業株式会社製)、(b2−7)として前記特許文献2(特開2012−111226号公報)の製造例1に従って得られたウレタンアクリレート、(b2−8)としてジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(AD-TMP、新中村化学工業株式会社製)、(b2−9)としてセルムスーパーポリマーSA1313P((a1−2)のアクリレート基導入品50%のMEK溶液、アドマンスト・ソフトマテリアル社製)の溶剤留去品を使用した。
光重合開始剤(E)は何れもBASFジャパン株式会社製であり、(E−1)として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(IRGACURE−1173)、(E−2)として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE−184)、(E−3)として2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(IRGACURE−TPO)、(E−4)として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン/ベンゾフェノン=1/1混合物(IRGACURE−500)を使用した。
その他成分(F)は、(F−1)としてアクレート基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(BYK3530、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、(F−2)として数平均分子量2,000のポリエチレングリコール(PEG2000、東邦化学工業株式会社製)、(F−3)として水酸基価22mgKOH/gの末端水酸基を有するポリジメチルシロキサン(KF−6003、信越化学工業株式会社製)、(F−4)としてポリエーテル変性シリコーンオイル(TSF−4452、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)を使用した。
実施例1(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A−1)の合成
攪拌機、温度計、還流冷却器を備えた500mLセパラフラスコに(a1−1)98.69g、MEK 150g、重合禁止剤としてメチルハイドロキノン0.3gを添加してから、窒素雰囲気中で攪拌しながら、60℃まで昇温し(a1−1)を溶解させた。その後、溶液に(a2−1)20.82g、イソホロンジイソシアネート(IPDI)30.16g、触媒としてジブチルスズジラウレート0.03gを添加し、窒素雰囲気中で攪拌しながら、60℃で10時間反応して、赤外吸収スペクトルにより分析を行い、2230cm−1のイソシアネート基の吸収ピークが消失したことを確認した。反応液を濃縮し、大量のメタノール中に添加して沈殿させ、沈殿物を濾別して回収した。さらに沈殿物を少量のMEKに溶解してメタノールにて再沈殿による精製を行い、メタノールに可溶の未反応(a1−1)、(a2−1)及び副生成した不純物ウレタンジアクリルアミド(IPDIと(a2−1)の反応生成物)を除去した。得られた沈殿物の溶媒除去と真空乾燥を行うことで、純度99.5%の数平均分子量300,000の無色透明の粘調液体115.32gを得た。また得られた無色透明の粘調液体はIR分析により、(a2−1)のC=C伸縮振動による吸収(1629cm−1)及びアミド基由来のC=O伸縮振動による吸収(1668cm−1)が検出され、ウレタン結合由来のN−H変角振動による吸収(1530cm−1)が検出され、目的化合物(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A−1)の生成を確認した。(A−1)のヨウ素価は17.0であり、アクリル当量は1.49×10g/eqと算出した。それらの物性値を表1に示す。
実施例2〜5 (メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A−2)〜(A−5)の合成
表1に示す組成で、実施例1と同様の操作を行い、実施例2〜5に相当する(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A−2)〜(A−5)を得た。それらの物性値を表1に示す。
分子量測定及び純度測定
実施例1〜5で得られた(A−1)〜(A−5)の数平均分子量は、高速液体クロマトグラフィー(株式会社島津製作所製のLC−10Aを用いて、カラムはShodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100〜2×10、理論段数:10,000段/本)、溶離液としてテトラヒドロフランを使用した。)により測定し、標準ポリスチレン分子量換算により算出した。また各成分のピークエリア比から(A−1)〜(A−5)の純度を算出し、それらを表1に示す。
Figure 0006941759
(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A−1)〜(A−5)を用いて、表2〜7に示す組成に従い、他の各種成分と混合し、25℃で1時間攪拌することにより、均一透明な実施例6〜28で得られた実施例用の樹脂組成物(C)及び、実施例と同様に表2〜7に示す組成に従い各種成分を混合し、比較例1〜19比較例用の樹脂組成物(G)を調製し、以下の方法で各種評価を行い、結果を表2〜7に示す。
粘度測定
コーンプレート型粘度計(装置名:RE550型粘度計、東機産業株式会社製)を使用し、JIS K5600−2−3に準じて、25℃にて、各実施例と比較例で得られた樹脂組成物(C)と(G)の液粘度を測定した。
ゴム硬度測定
水平に設置したガラス板上に厚さ75μmの重剥離PETフィルム(東洋紡株式会社製、ポリエステルフィルムE7001)を密着させ、厚さ1mm、内部が60mm×100mmのスペーサーを設置し、スペーサーの内側に各実施例と比較例で得られた樹脂組成物(C)及び(G)を充填した後、更にその上に厚さ50μmの軽剥離PETフィルム(東洋紡株式会社製、ポリエステルフィルムE7002)を重ね、紫外線を照射(装置:アイグラフィックス製、インバーター式コンベア装置ECS−4011GX、メタルハライドランプ:アイグラフィックス製M04−L41、紫外線照度200mW/cm、積算光量1000mJ/cm)し、樹脂組成物を硬化させた。その後、両側の剥離PETフィルムを取り除いて、実施例用の共重合体(D)及び比較例用の共重合体(H)(試験片)を得た。(D)又は(H)の試験片を用いて、各6枚重ねにして、JIS K6253「ゴムの硬さ試験方法」によりショアA硬度を測定した。また、ショアA硬度が90より大きい場合はショアD硬度にて測定した。
破断伸度、破断強度の測定
前記ゴム硬度測定用試験片の作製と同様に、各実施例と比較例で得られた樹脂組成物(C)及び(G)の硬化物として実施例用の共重合体(D)及び比較例用の共重合体(H)の試験片を得た。実施例6、20〜28、比較例1、13〜19において、JIS K6251に準拠した3号ダンベル型に打ち抜いて、ダンベル型試験片を得、JIS K7161に従って、卓上形精密万能試験機(株式会社島津製作所製 オートグラフAGS−X)を用い、25℃の温度環境下にて、引張速度100mm/分、チャック間距離50mmの条件で
破断伸度、破断強度を測定した。
また、実施例7〜19、比較例2〜12において、硬化後の試験片は15mm幅の短冊型に切り、前記同様にJIS K7161に従って、引張速度5mm/分、チャック間距離50mmの条件で破断伸度、引張強度を測定した。
Figure 0006941759
表2の結果から明らかなように、本発明の(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A)からなる実施例6の樹脂組成物(C−1)及び、アクリレート変性ポリロタキサンであるSA2403P(b2−1)より得られた比較例用の樹脂組成物(G−1)を紫外線硬化して得られた重合体は、多官能性の化合物より得られた架橋性重合体でありながら、ポリロタキサンの架橋点可動性による効果により柔軟性も伸度も高かった。また、ポリロタキサンに(メタ)アクリルアミド基を導入した(A−1)を使用した実施例6の場合、硬化して得られた共重合体(D−1)は、アクリレート基を有すポリロタキサンを使用した比較例1の共重合体(H−1)より強度が向上したと同時に、柔軟性及び伸度も向上し、柔軟かつ強靭な共重合体が得られるといった特異な効果を示すことがわかる。
実施例7〜10及び比較例2〜7
表3に示す組成により各種成分を混合し、25℃で1時間攪拌することにより、均一透明な実施例7〜10の樹脂組成物(C−2)〜(C−5)及び比較例2〜7の樹脂組成物(G−2)〜(G−7)を得、粘度測定及び紫外線硬化を行い、得られた共重合体(D−2)〜(D−5)及び(H−2)〜(H−7)の物性値を表3に示す。
Figure 0006941759
表3の結果から明らかなように、(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A)及び高Tg単官能性不飽和化合物(b11)からなる実施例7〜10の樹脂組成物(C)を硬化して得られた共重合体(D)はいずれもショアD硬度70以上を示した硬質樹脂であり、またそれらが15%以上の破断伸度と15MPa以上の引張強度を有し、硬質樹脂として良好な強靭性を示した。特に(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A−1)を30質量部、不飽和基含有化合物(B)としてイソボルニルアクリレート(b11−3)を68質量部使用した実施例9では20%以上の破断伸度と20MPa以上の引張強度を有し、優れる強靭性が確認された。また、(A−1)を20質量部とした実施例10では破断伸度、引張強度が更に共に向上していた。これは、(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A)と単官能性不飽和化合物(B)の一定範囲内での同時配合による相乗効果が現われたと考える。実施例10の樹脂組成物(C)は、液粘度が2000mPa・s以下であり、SLA方式やDLP方式の光造形法による3Dプリンターの硬質なモデル材用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として好適であった。
一方で(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A)を含まず、高Tg単官能性不飽和化合物(b11)のみを用いた比較例2では、硬化して得られた共重合体(H−2)の引張強度が低かった。(A)の代替に多官能性不飽和化合物(b2)を用いた場合、例えば、柔軟な骨格を有するポリプロピレングリコール(重合度12)ジアクリレート(b2−2)を用いた比較例3では、共重合体(H−3)の引張強度がやや向上されたが、十分に満足できる程度に届かず、また硬度が極めて低くなった。硬質な骨格を有する多官能性不飽和化合物(b2)を使用した比較例4〜7では引張強度は向上したものの、いずれの場合も破断伸度は10%以下と低く、強靭性を有しない樹脂となっていた。
実施例11〜13と比較例8、9
表4に示す組成で、実施例7と同様の操作を行うことにより、実施例11〜13に相当する樹脂組成物(C−6)〜(C−8)及び比較例8、9に相当する樹脂組成物(G−8)、(G−9)を得た。また樹脂組成物(C−6)〜(C−8)、(G−8)と(G−9)の粘度測定及び紫外線硬化を行い、得られた共重合体(D−6)〜(D−8)、(H−8)、(H−9)の物性値等を表4に示す。
Figure 0006941759
表4の結果から明らかなように、不飽和基含有化合物(B)として高Tg単官能性不飽和化合物(b11)、低Tg単官能性不飽和化合物(b12)及び多官能性不飽和化合物(b2)を併用した実施例11〜13では、粘度が2000mPa・s以下で操作性に優れた樹脂組成物を得、また、40MPa以上の引張強度を有する高強度の共重合体(D)が得られた。特に多官能性不飽和化合物(b2)の使用量を25質量部まで減量した実施例13では、ショアD硬度が82と硬く、また40MPa以上の引張強度かつ15%以上の破断伸度を示す強靭な樹脂として、汎用ABS樹脂に近い物性を示すいわゆるABSライク樹脂と呼ばれる共重合体(D−8)が得られ、また、樹脂組成物(C−8)液粘度が500mPa・s以下で操作性に極めて優れることから、SLA方式やDLP方式の光造形法による3DプリンターのABSライクなモデル材用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として好適な樹脂であった。
一方で(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A)を含まない組成とした比較例8、9では低分子の多官能性不飽和化合物(b2)として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(b2−5)を使用した場合には、得られた共重合体の成形物が脆くて、破断伸度と引張強度が共に低かった。アロニックスM1200(b2−6)を使用した比較例9では、引張強度、破断伸度共に向上するものの、実施例13と比較すると何れも劣る結果であった。
実施例14〜19と比較例10〜12
表5に示す組成で、実施例7と同様の操作を行うことにより、実施例14〜19に相当する樹脂組成物(C−9)〜(C−14)及び比較例10〜12に相当する樹脂組成物(G−10)〜(G−12)を得た。樹脂組成物の粘度測定及び紫外線硬化を行い、得られた共重合体(D−9)〜(D−14)及び(H−10)〜(H−12)の物性値を表5に示す。
Figure 0006941759
表5の結果から明らかなように、実施例14〜17ではショアD硬度70以上の硬質な樹脂が得られ、また破断伸度が5%以上、引張強度が20MPa以上であり、強靭な共重合体(D)を取得した。中にも実施例14の破断伸度が40%近く、引張強度が30MPaとバランスよい強靭な樹脂や、(A−1)実施例18の低粘度(130mPa・s)樹脂組成物が得られ、特に実施例19ではABSライクな樹脂が得られ、かつ組成物の液粘度もが80mPa・s以下と低く、SLA方式やDLP方式の光造形法だけでなく、UV硬化型インクジェット方式の光造形法による3DプリンターのABSライクなモデル材用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物としても好適である。一方で(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A)の代替に多官能性不飽和化合物(b2)を用いた比較例10、11の場合、共重合体(H)が十分な強度を有するが、破断伸度が5%未満と低く、強靭性が不足した樹脂となった。特許文献2(特開2012−111226号公報)記載の「実施例1−6」に相当する本発明の比較例12は、低粘度で操作性がよく、硬度も強度も満足できるが、破断伸度が低く、強靭性を有しない樹脂であった。
実施例20〜24と比較例13〜16
表6に示す組成で、実施例7と同様の操作を行うことにより、実施例20〜24に相当する樹脂組成物(C−15)〜(C−19)及び比較例13〜16に相当する樹脂組成物(G−13)〜(G−16)を得た。同様に樹脂組成物の粘度測定及び紫外線硬化を行い、共重合体(D−15)〜(D−19)と(H−13)〜(H−16)の物性値を表6に示す。
Figure 0006941759
表6の結果から明らかなように、実施例20〜24ではショアA50以上90以下のゴム硬度を示す柔軟性のある樹脂を取得した。またこれらの樹脂(D)は100%以上の破断伸度と5MPa以上の引張強度を有し、伸長しても破断しがたい強靭性も示し、更にいずれの樹脂組成物(C)も100mPa・s以下の粘度であり操作性に優れているため、SLA方式やDLP方式の光造形法だけでなく、UV硬化型インクジェット方式の光造形法による3Dプリンターにおける柔軟性のあるモデル材用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物としても好適である。実施例21の共重合体(D−16)が100%以上の破断伸度と10MPa以上の引張強度を示す強靭な柔軟性樹脂であるに対して、多官能性不飽和化合物(b2−5)を用いた比較例13では、共重合体(H−13)の引張強度が大幅に低下した。同様に比較例15が、実施例23に比べ、引張強度はほぼ同等だが、破断伸度が大きく低下したことが分かる。実施例24の(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A−2)を高Tg単官能性不飽和化合物(b11−3)に置換した比較例16では、硬化して得られた共重合体(H−16)の破断伸度は実施例24とほぼ同等だが、引張強度が大きく低下し、いずれも強靭さの不足した柔軟な樹脂となっていた。
実施例25〜28と比較例17〜19
表7に示す組成で、実施例7と同様の操作を行うことにより、実施例25〜28に相当する樹脂組成物(C−20)〜(C−23)及び比較例17〜19に相当する樹脂組成物(G−17)〜(G−19)を得た。なお、比較例20の組成は特許文献3(特開2015-078255号公報)に記載の「実施例7」を参考にした。樹脂組成物の粘度測定と紫外線硬化を行い、得られた共重合体(D−20)〜(D−23)と(H−17)〜(H−19)の物性値を表7に示す。
Figure 0006941759
表7の結果から明らかなように、実施例25〜28の共重合体(D)はいずれもショアA45以下のゴム硬度、200%以上の破断伸度と3MPa以上の引張強度を示し、いわゆる柔らかく、伸びのある柔軟性樹脂として得られ、更にいずれの樹脂組成物(C)も100mPa・s以下の粘度であり操作性に優れているため、SLA方式やDLP方式の光造形法だけでなく、UV硬化型インクジェット方式の光造形法による3Dプリンターにおける柔軟性のあるモデル材用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物としても好適である。特に実施例28では粘度が50mPa・s以下と操作性が更に向上し、かつ400%以上の破断伸度と5MPa・s以上の引張強度を有する強靭性と柔軟性を兼ね備えた柔軟性樹脂として得られていた。一方、実施例25の(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A−2)を多官能性不飽和化合物(b2−6)に置換した比較例17の場合、硬化して得られた共重合体(H−17)は破断伸度、引張強度共に低下し、実施例27の(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A−)を多官能性不飽和化合物(b2−6)に置換した比較例18の場合は、破断伸度は向上したが、引張強度が大きく低下していた。また、特許文献3(特開2015−078255号公報)記載の「実施例7」に相当する本発明の比較例19では、液粘度が10mPa・s以下で低かったが、破断伸度及び引張強度が共に極めて低かった。
これらのことから(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A)を含む樹脂組成物(C)を重合することで得られる共重合体(D)は、導入したポリロタキサンの架橋点可動性による効果により高い破断伸度と高い引張強度を示す従来にない強靭性樹脂である。またポリロタキサンに導入する架橋点として(メタ)アクリルアミド基を用いることによって、引張強度も柔軟性や破断伸度も同時に向上させることができ、強靭な共重合体が得られるといった特異な効果が確認された。さらに(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A)をベースにして、高Tgや低Tgの単官能性不飽和化合物や多官能性不飽和化合物等を適宜に組み合わせることによって、ABSライクな樹脂やゴムライクな樹脂と取得することができる。特に(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン(A)の使用量を1.0〜20.0質量%とすることで、樹脂組成物の液粘度が低く、操作性に優れ、SLA方式やDLP方式、UV硬化型インクジェット方式の三次元光造形モデル材用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物としても使用可能であり、従来にない強靭性を示す硬質のモデル材や従来になり強度を示す軟質のモデル材を得ることができる。
以上説明してきたように、本発明の(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサンは高い破断伸度と高い引張強度を示し、それを含む樹脂組成物を重合することにより硬く強靭な共重合体や柔軟かつ高強度の共重合体を得ることができ、塗料やコーティング材料、エラストマー向けの材料、粘・接着剤、シーリング用材料や封止材、歯科衛生材料、光学材料、光造形材料、強化プラスチック用材料、3Dプリンター用モデル材等として好適に用いることができる。また本発明の樹脂組成物は液粘度が低く操作性に優れるため、光開始剤を添加することで、活性エネルギー線硬化型の用途に好適に用いることもできる。特に活性エネルギー線硬化性樹脂としてSLA方式やDLP方式の光造形法やUV硬化型インクジェット方式の光造形法による3Dプリンターに使用されるモデル材用の活性エネルギー線硬化型樹脂にも好適に用いることができ、ABS樹脂のような強靭性を有したモデル材や強靭なゴム状のモデル材として用いることができ、硬質から軟質まで様々な物性の立体造形物の造型に利用することができる。

Claims (6)

  1. (メタ)アクリルアミド基を含有する(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサンであって、該(メタ)アクリルアミド基は、ジイソシアネート化合物のイソシアネート基の、一方が2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドの水酸基と、他方がポリロタキサンの水酸基と反応してなる結合により、ポリロタキサンの環状化合物に接合されていることを特徴とする(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン。
  2. アクリル当量は5.0×10g/eq〜5.0×10g/eqであることを特徴とする請求項1に記載の(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサンを樹脂成分として含有し、その含有量が1.0質量%以上である樹脂組成物。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサンを樹脂成分として含有し、その含有量が1.0質量%以上である活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  5. 請求項1又は請求項2に記載の(メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサンを樹脂成分として含有し、その含有量が1.0質量%以上である三次元光造形用樹脂組成物。
  6. (メタ)アクリルアミド変性ポリロタキサン1〜60質量%を有しそれ以外の不飽和化合物として、単官能性不飽和化合物0〜99質量%、多官能性不飽和化合物0〜50質量%を有することを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
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