JPWO2015186441A1 - ボールジョイント用ダストカバー - Google Patents

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Abstract

本発明は、低温雰囲気下においても、いわゆる小径開口部の口開き現象の発生を抑えると共に、小径開口部のシール性能が良好なボールジョイント用ダストカバーを提供することを目的とする。このため、ボールスタッドの一端に形成された球頭部がソケット内に保持され、前記ボールスタッドの他端の軸はナックルに締め付け固定され、一端大径開口部が、前記ソケットの外周面に固定保持され、他端小径開口部が、硬質材製の補強環を備えると共に、前記軸と密封摺動するシールリップを形成したボールジョイント用ダストカバーにおいて、前記補強環の内周面と前記シールリップの外周側との間に環状溝部を形成し、前記補強環の内周面に固定保持される円筒部と、前記円筒部の軸方向一端から折り返す形で前記円筒部の内周面側に存在して、前記シールリップを前記軸の外周面側に押圧する円周上等配のスリットを形成したバネ部とより成る金属バネ環を前記環状溝部内に配置する構成とした。

Description

本発明は、ボールジョイント用ダストカバーに関する。
また、本発明は、自動車懸架装置、操舵装置等に使用されるボールジョイント用ダストカバーに関する。
従来、ボールジョイント継ぎ手部の防塵、防水を目的としてダストカバーが装着されているボールジョイントとしては図12に記載のボールジョイント用ダストカバーが知られている。(特許文献1)
この種ボールジョイント用ダストカバーのシール構造は、ボールスタッド100の一端に形成された球頭部200がソケット300内に保持されている。
そして、ボールスタッド100の他端の軸400は、ナックル500に締め付け固定されている。
一方、弾性材製ダストカバー600の断面略コ字形状の一端大径開口部800が、ソケット300の外周面に形成された環状のソケット溝部310内に、円環状押さえリング700により固定保持され、断面L字形状の金属材製の補強環が埋設された他端小径開口部150が軸400に保持された構成となっている。そして、この金属補強環と軸400との間に存在するゴム状弾性材製のシールリップが適度に圧縮され、そのゴムの反発力(緊迫力)と追随性により、ボールスタッド100の揺動運動に対してシール性を発揮する形を取っている。
しかし、この種従来の弾性材製ダストカバー600は、図12に示す様にボールスタッド100が傾斜した状態で揺動すると、弾性材製ダストカバー600の膜部が伸びる側(図上右側)において、小径開口部150を引き伸ばす力が作用する為、小径開口部150のリップ部とナックル500との接触が外れる、いわゆる小径開口部150の口開き現象が発生する。
この結果、小径開口部150におけるシール性能が低下し、外部から土砂や塵芥がダストカバー600内に浸入する問題を惹起した。
特に、低温雰囲気下では弾性材製ダストカバー600を構成するゴムが伸縮性を失い、ボールジョイントの揺動運動に対する膜部の追随性が低下する結果、シールリップが軸400から離れる口開き現象が顕著に発生する事が判った。
また、この様な口開き現象が発生すると、外部から土砂や塵芥がダストカバー600内に浸入するだけでなく、ダストカバー600内に封入されたグリースが漏れ出る危険性を招来した。
この様な口開き現象を低減する方策として、シールリップの外周側にコイルスプリング状のバネ手段を埋設して、ボールスタッドの揺動運動に対するシール性の向上を図ったボールジョイント用ダストカバーが提案されたが、対策として十分ではなかった。(特許文献2)
特開昭62−137408号公報 特開2011−85257号公報
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、低温雰囲気下においても、小径開口部と軸との接触が外れる、いわゆる小径開口部の口開き現象の発生を抑えると共に、小径開口部のシール性能が良好なボールジョイント用ダストカバーを提供することを目的とする。
本発明のボールジョイント用ダストカバーは、ボールスタッドの一端に形成された球頭部がソケット内に保持され、前記ボールスタッドの他端の軸はナックルに締め付け固定されている。
そして、一端大径開口部が、前記ソケットの外周面に固定保持され、他端小径開口部が、硬質材製の補強環を備えると共に、前記軸と密封摺動するシールリップを形成した基本構成を備えている。
更に、前記補強環の内周面と前記シールリップの外周側との間に環状溝部を形成している。
そして、前記補強環の内周面に固定保持される円筒部と、前記円筒部の軸方向一端から折り返す形で前記円筒部の内周面側に存在して、前記シールリップを前記軸の外周面側に押圧する円周上等配のスリットを形成したバネ部とより成る金属バネ環を前記環状溝部内に配置した特徴的構成としている。
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
請求項1記載の発明のボールジョイント用ダストカバーによれば、補強環の内周面とシールリップの外周側との間に環状溝部を形成し、この補強環の内周面に固定保持される円筒部と、この円筒部の軸方向一端から折り返す形で円筒部の内周面側に存在して、シールリップを軸の外周面側に押圧する円周上等配のスリットを形成したバネ部とより成る金属バネ環を環状溝部内に配置している為、低温雰囲気下においても、他端小径開口部と軸の接触が外れる、いわゆる他端小径開口部の口開き現象の発生を抑えると共に、他端小径開口部のシール性能を良好に維持出来る。
更に、請求項2記載の発明のボールジョイント用ダストカバーによれば、金属バネ環の円筒部が、環状溝部の開口側に向かって狭まる形に形成された補強環の内周面に固定保持され構成としている為、金属バネ環が環状溝部から脱落することをより確実に防げる為、他端小径開口部の口開き現象の発生を抑えると共に、他端小径開口部のシール性能を良好に維持出来る。
更に、請求項3記載の発明のボールジョイント用ダストカバーによれば、金属バネ環の円筒部と補強環の内周面の間で凹凸係合している構成としている為、金属バネ環が環状溝部から脱落することをより確実に防げる為、他端小径開口部の口開き現象の発生を抑えると共に、他端小径開口部のシール性能を良好に維持出来る。
更に、請求項4記載の発明のボールジョイント用ダストカバーによれば、環状溝部が、ダストカバーの内部側に開口している為、環状溝部内に土砂等が入り込む事が無い為、金属バネ環の性能を長期に渡って安定して維持出来る。
本発明に係るボールジョイント用ダストカバーの縦断面図。 図1に示したダストカバーの装着前の縦断面図。 図2の部分拡大図。 図1に使用した金属バネ環の平面図。 図4のA−A断面図。 図2に示したダストカバーに金属バネ環の装着前の状態を示した縦断面図。 図2に使用した金属バネ環を補強環に固定する他の方法を説明する部分縦断面図。 図2に使用した金属バネ環を補強環に固定する更なる他の方法を説明する部分縦断面図。 金属バネ環の他の形状を説明する部分縦断面図。 図2に示した補強環の他の形状を示した部分縦断面図。 図2に示した補強環の更なる他の形状を示した部分縦断面図。 従来技術に係るボールジョイント用ダストカバーの縦断面図。
以下、本発明を実施するための態様について説明する。
図1、図2、図3、図4及び図5に示される様に、本発明に係るボールジョイント用ダストカバー6は、ボールスタッド1の一端に形成された球頭部2がソケット3内に保持され、このボールスタッド1の他端の軸4はナックル5に締め付け固定され、一端大径開口部8が、ソケット3の外周面に固定保持され、他端小径開口部7が、硬質材製の補強環9を備えると共に、軸4と密封摺動するシールリップ71を形成した基本構成を備えている。
そして、図3に明示する様に、この補強環9の内周面91とシールリップ71の外周側711との間には、環状溝部72が形成されている。
更に、この環状溝部72内には、補強環9の内周面91に嵌合固定される円筒部731と、この円筒部731の軸方向一端からU字形状に折り返す形で円筒部731の内周面側に存在して、シールリップ71を軸4の外周面側に押圧するバネ部733を備えた金属バネ環73が配置されている。
また、図4及び図5に示す様に、この金属バネ環73のバネ部733には、円周上等配の複数個のスリット732が形成されている。
このスリット732の存在により、バネ部733がバネ作用を発揮して、シールリップ71を軸4の外周面側に弾性的に強く押圧することが出来る。
本発明に係るボールジョイント用ダストカバー6は、上述した構成としている為、低温雰囲気下においても、他端小径開口部7と軸4の接触が外れる、いわゆる他端小径開口部7の口開き現象の発生を抑えると共に、他端小径開口部7のシール性能を良好に維持出来る。
また、金属バネ環73のダストカバー6への装着は、図6に示す様に、補強環9の内周面91とシールリップ71の外周側711との間に環状溝部72を形成したダストカバー6と金属バネ環73を別工程で作成しておいた後、金属バネ環73を環状溝部72内に嵌合固定することにより行われる。
この方法は、補強環9の円筒形状の内周面91に、金属バネ環73の円筒部731を一定の嵌合代を与えて嵌合固定しているが、より強固に嵌合固定する方法としては、図7及び図8に示す方法が有る。
すなわち、図7に示す方法は、補強環9の内周面91が、環状溝部72の開口側(図上上側)に向かって狭まる形に形成されていて、この傾斜角度αのテーパー状の内周面91に金属バネ環73の円筒部731が固定保持されている為、金属バネ環73が環状溝部72から脱落することをより確実に防げる為、他端小径開口部7の口開き現象の発生を抑えると共に、他端小径開口部7のシール性能を良好に維持出来る。
また、図8に示す方法は、金属バネ環73の円筒部731と補強環9の内周面91の間で、凹凸係合部734により係合させている為、金属バネ環73が環状溝部72から脱落することをより確実に防げる為、他端小径開口部7の口開き現象の発生を抑えると共に、他端小径開口部7のシール性能を良好に維持出来る。
金属バネ環73の形状は、断面がU字形状に限らず、図9の(a)に示す様な略D字形状や、図9の(b)に示す様な略く字形状や、図9の(c)に示す様な略V字形状等様々な形状のものが採用可能である。
また、補強環9の形状も、断面がL字形状に限らず、図10に示す様に、略Z字形状にしても良い。
更に、図11に示す様に、補強環9の形状を、断面が逆L字形状にして、環状溝部72が、ダストカバー6の内部側(図上下方)に開口している形としても良い。
この様な形とする事により、環状溝部72内に土砂等が入り込む事が無い為、金属バネ環73の性能を長期に渡って安定して維持出来る。
また、補強環9の材質としては、金属材、樹脂材が適宜選択して用いられる。
また、ダストカバー6の材質は、クロロプレン等のゴム状弾性材や、ポリエステル系エラストマー、熱可塑性ポリウレタン等の熱可塑性エラストマーから、適宜用途に合わせ選択して使用される。
また、ダストカバー6内には、グリースが封入されている。
一方、ダストカバー6の断面略コ字形状の一端大径開口部8は、ソケット3の外周面に形成された環状のソケット溝部31内に、円環状押さえリング11により固定保持される構成となっている。
この押さえリング11は、断面略矩形状のサークリップを使用したが、一端大径開口部8に金属補強環を埋設一体化したタイプ等用途に応じ各種押えリングが採用される。
また、他端小径開口部7のナックル5と接する端面には、ダストリップ74を形成している。
また、本発明は上述の発明を実施するための最良の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
自動車の懸架装置及び操舵装置等に使用されるボールジョイントに使用できる。
1 ボールスタッド
2 球頭部
3 ソケット
4 軸
5 ナックル
6 ダストカバー
7 他端小径開口部
8 一端大径開口部
9 補強環
11 押えリング
31 ソケット溝部
71 シールリップ
72 環状溝部
73 金属バネ環
74 ダストリップ
91 内周面
711外周側
731円筒部
732スリット
733バネ部
734凹凸係合部

Claims (4)

  1. ボールスタッド(1)の一端に形成された球頭部(2)がソケット(3)内に保持され、前記ボールスタッド(1)の他端の軸(4)はナックル(5)に締め付け固定され、一端大径開口部(8)が、前記ソケット(3)の外周面に固定保持され、他端小径開口部(7)が、硬質材製の補強環(9)を備えると共に、前記軸(4)と密封摺動するシールリップ(71)を形成したボールジョイント用ダストカバー(6)において、
    前記補強環(9)の内周面(91)と前記シールリップ(71)の外周側(711)との間に環状溝部(72)を形成し、前記補強環(9)の内周面(91)に固定保持される円筒部(731)と、前記円筒部(731)の軸方向一端から折り返す形で前記円筒部(731)の内周面側に存在して、前記シールリップ(71)を前記軸(4)の外周面側に押圧する円周上等配のスリット(732)を形成したバネ部(733)とより成る金属バネ環(73)を前記環状溝部(72)内に配置したことを特徴とするボールジョイント用ダストカバー。
  2. 前記金属バネ環(73)の前記円筒部(731)が、前記環状溝部(72)の開口側に向かって狭まる形に形成された前記補強環(9)の内周面(91)に固定保持されている
    ことを特徴とする請求項1記載のボールジョイント用ダストカバー。
  3. 前記金属バネ環(73)の前記円筒部(731)と前記補強環(9)の内周面(91)の間で凹凸係合していることを特徴とする請求項1記載のボールジョイント用ダストカバー。
  4. 前記環状溝部(72)が、前記ダストカバー(6)の内部側に開口していることを特徴とする請求項1または2記載のボールジョイント用ダストカバー。
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