JPWO2015159736A1 - ガイドワイヤ - Google Patents
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Abstract
X線造影下又は超音波造影下のいずれにおいても、ガイドワイヤの先端部の位置をしっかりと視認できると共に、キンクしにくく、ガイドワイヤ外周に配置される医療用チューブが破損しにくい、ガイドワイヤを提供する。このガイドワイヤ10は、先端部23が縮径された芯線20と、芯線20の先端部23に装着されたX線不透過性のX線用マーカー30と、芯線20の先端部23のX線用マーカー30に隣接した位置に接合された、超音波造影性を有する超音波用マーカー40とを有し、超音波用マーカー40は、大径部43とそれよりも小径の小径部45とが、芯線20の軸方向に沿って交互に連続して設けられた形状をなし、X線用マーカー30と超音波用マーカー40との接合部分の外径は、互いに異なっている。
Description
本発明は、例えば、胆管、膵管、血管、尿管、気管等の人体の管状器官や、体腔等の人体組織の所定位置に、カテーテル等を留置する際に用いられるガイドワイヤに関する。
以前から、胆管や膵管、血管、尿管、気管等の人体の管状器官に、カテーテルを留置して薬液を注入したり、バルーンカテーテルで閉塞した管状器官を拡径したり、或いは、ステントを留置したりすることが行われている。これらの作業の際には、まず、ガイドワイヤを管状器官に挿入して所定位置まで到達させ、その外周に沿ってカテーテルやバルーンカテーテル、ステントを留置したチューブ等を移動させている。
このとき、ガイドワイヤの先端部の位置を確認する必要がある。一般的には、ガイドワイヤにPt等からなるX線不透過性のマーカーを取付けておき、これをX線造影下で確認することで、ガイドワイヤの先端部を視認することが行われている。また、ガイドワイヤや、医療用チューブの先端部を、超音波造影によるエコー画像で視認することも行われている。
例えば、下記特許文献1には、金属芯を有しており、該金属芯の軸方向の所定箇所に、金属線材を巻回してなる螺旋ワイヤが、複数固着された構造をなす、医療用ガイドワイヤが記載されている。前記螺旋ワイヤは、Au、Ir、W、Ta等のX線不透過性の材料で形成されていることが記載されている(段落0032参照)。そのため、X線造影時に、複数の螺旋ワイヤにより、ガイドワイヤの先端部を視認できるようになっている。
ところで、X線造影下での検査や治療は、患者や医師等の被ばくのリスクが多少なりともあるが、超音波造影のエコー画像による検査や治療では、そのような心配がないため好ましい。しかし、超音波造影が適用できない患者や、超音波造影装置を設置していない医療機関もある。そのため、X線造影下で視認可能で、かつ、超音波造影下でも視認可能なガイドワイヤが望まれている。
また、上記特許文献1の医療用ガイドワイヤにおいては、複数の螺旋ワイヤをマーカーとして利用することができるが、コイル状に巻回された螺旋ワイヤが存在する箇所と、存在しない箇所との間で、硬さの差が大きく、ガイドワイヤが曲がったときにキンクしやすい可能性がある。更に、金属芯の軸方向に対して、複数の螺旋ワイヤが所定間隔で配置されているので、金属芯と螺旋ワイヤとの間に段差があり、このガイドワイヤをカテーテル等の医療用チューブに挿入して、同ガイドワイヤを介してカテーテル等を移動させていくときに、段差がカテーテル等の内周に引っ掛かって損傷するおそれがある。
したがって、本発明の目的は、X線造影下又は超音波造影下のいずれにおいても、ガイドワイヤの先端部の位置をしっかりと視認できると共に、キンクしにくく、ガイドワイヤ外周に配置される医療用チューブが破損しにくい、ガイドワイヤを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明のガイドワイヤは、先端部が縮径された芯線と、該芯線の先端部に装着されたX線不透過性のX線用マーカーと、前記芯線の先端部の前記X線用マーカーに隣接した位置に接合された、超音波造影性を有する超音波用マーカーとを有し、前記超音波用マーカーは、大径部と、該大径部よりも小径の小径部とが、前記芯線の軸方向に沿って交互に連続して設けられた形状をなし、前記X線用マーカーと前記超音波用マーカーとの接合部分の外径は、互いに異なっていることを特徴とする。
本発明のガイドワイヤにおいては、前記超音波用マーカーは、X線透過性とされていることが好ましい。
本発明のガイドワイヤにおいては、前記超音波用マーカーは、同一の金属線材で密着巻きされて形成されていることが好ましい。
本発明のガイドワイヤにおいては、前記超音波用マーカーの大径部の軸方向長さは、0.3〜10.0mmとされ、同超音波用マーカーの小径部の軸方向長さは、0.3〜10.0mmとされていることが好ましい。
本発明のガイドワイヤにおいては、前記超音波用マーカーの大径部の外径は、0.20〜0.80mmとされ、同超音波用マーカーの小径部の外径は、0.15〜0.75mmとされ、前記大径部の外径と前記小径部の外径との差は、0.01〜0.50mmとされていることが好ましい。
本発明のガイドワイヤにおいては、前記芯線の最先端側に、前記X線用マーカーが配置され、前記超音波用マーカーは、それよりも前記芯線の手元側に配置されていることが好ましい。
本発明によれば、X線造影下ではX線用マーカーを視認でき、超音波造影下では、X線マーカーと超音波マーカーとの両方を視認できるが、超音波マーカーが大径部と小径部とが交互に連続して形成された形状をなすので、両者の位置をそれぞれ認識することができ、それにより、X線造影時又は超音波造影時のいずれにおいても、ガイドワイヤの先端部の位置を把握することができるので、X線造影装置でも超音波造影装置でも使用できる。
また、X線用マーカーと超音波用マーカーとの接合部分の外径が、互いに異なっているので、X線造影時又は超音波造影時において、両マーカーの境界部分をはっきりと視認することができる。
更に、超音波用マーカーの外径は、大径部と小径部とが軸方向に連続して設けられているので、超音波造影時のエコー画像上において、大径部と小径部とのコントラスト差が生じ、それによってガイドワイヤの前後の動きを認識しやすくすることができると共に、管状器官等にガイドワイヤがどの程度挿入されたかの指標となり、ガイドワイヤの長さ方向の位置を精度よく確認することができる。
また、超音波マーカーは、大径部と小径部とが交互に連続して形成された形状をなすので、複数のマーカーを所定間隔で配置することにより凹凸形状を形成した場合に比べて、芯線の先端部における硬さの差を小さくして、ガイドワイヤ先端部が曲がったときにキンクしにくくすることができると共に、カテーテル等の医療用チューブ内に通すときに、段差をひっかかりにくくして、医療用チューブの破損を防止できる
以下、図1〜5を参照して、本発明のガイドワイヤの一実施形態について説明する。
図1及び図2に示すように、この実施形態のガイドワイヤ10は、先端部23が縮径された芯線20と、この芯線20の先端部外周に装着されたX線不透過性のX線用マーカー30と、該芯線20の先端部外周の、前記X線用マーカー30に隣接した位置に接合された、超音波造影性を有する超音波用マーカー40とを有している。
図1に示すように前記芯線20は、一定径にて所定長さで伸びる基部21と、この基部21の先端から芯線先端に向かって次第に縮径されつつ伸びるテーパ部25と、同テーパ部25の先端から一定径で直線状に伸びる細径部27とを有している。前記テーパ部25及び細径部27が、本発明における先端部23をなしている。なお、この先端部23は、その全体が先端に向かって次第に縮径する先細テーパ形状としてもよく、先端に向かって段階的に縮径させて段状をなす構造としてもよく、特に限定されない。
上記芯線20としては、例えば、Ni−Ti系合金,Ni−Ti−X(X=Fe,Cu,V,Co,Cr,Mn,Nb等)合金、Cu−Zn−X(X=Al,Fe等)合金等の超弾性合金や、ステンレス,ピアノ線材などを用いることができ、あるいは、W、Pt、Ti、Pd、Rh、Au、Ag、Bi、Ta及びこれらの合金等からなるX線不透過性金属を用いることもできる。
前記X線用マーカー30は、この実施形態の場合、所定の線径R1の金属線材31を密着巻きして、一定の外径D1(図3参照)で筒状に伸びるコイル状となっている。そして、このX線用マーカー30は、芯線20の最先端側、すなわち、前記芯線20の先端部23を構成する細径部27の外周に配置され、芯線20との間に充填された接着剤37を介して、芯線20に対して固定されている。このように、この実施形態のX線用マーカー30は、超音波用マーカー40よりも芯線20の先端側に配置されている。なお、前記接着剤37としては、例えば、紫外線硬化型のアクリレート樹脂や、シリコーン系接着剤、変性シリコーン系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、アクリレート系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤等を用いることができる。
また、図3に示すように、X線用マーカー30の金属線材31の線径R1は、0.01〜0.1mmであることが好ましく、0.04〜0.06mmであることが好ましい。更に、X線用マーカー30の外径D1は、0.15〜0.60mmであることが好ましく、0.2〜0.3mmであることがより好ましい。更に、X線用マーカー30の、芯線20の軸方向に沿った長さL1は、10〜100mmであることが好ましく、45〜55mmであることがより好ましい。
なお、X線用マーカーは、上記形状に限定されるものではなく、図4(a)〜(c)に示すような形状としてもよい。
例えば、図4(a)に示すX線用マーカー30Aは、芯線20の先端側から基端側に向けて次第に拡径したコイル状をなしている。また、図4(b)に示すX線用マーカー30Bは、芯線先端側から基端側に向けて次第に拡径すると共に、その最も拡径した部分から芯線基端側に向けて次第に縮径した、略紡錘形状のコイル状となっている。更に図4(c)に示すX線用マーカー30Cは、芯線先端側から基端側に向けて次第に拡径した先端部分33と、芯線先端側が拡径し芯線基端側に向けて次第に縮径した基端部分34と、これらの部分33,34の最も拡径した箇所どうしを連結する一定径の直線状部分35とから構成されている。
上記のX線用マーカー30、30A、30B、30Cは、X線不透過性の材質、例えば、W、Pt、Ti、Pd、Rh、Au、Ag、Bi、Ta及びこれらの合金等からなる金属線材31、又は、これらの金属をメッキしてなる金属線材31を、巻回してコイル状に形成されている。なお、上記のX線用マーカーは、金属線材31を密着巻きして形成されているが、金属線材を所定隙間をあけて巻回してもよい。また、X線用マーカーとしては、コイル状のみならず、リング状や、芯線外周に固着されるチップ状等としてもよい。
また、X線用マーカーとしては、上記のような、X樹不透過性の材質、例えば、W、Pt、Ti、Pd、Rh、Au、Ag、Bi、Ta、BaSO4等の金属粉末を、樹脂材料に含有してなる、樹脂チューブから形成してもよい。例えば、図4(d)に示すような、芯線先端側が縮径し基端側に向けて拡径する、チューブ状のX線用マーカー30Dであってもよい。
次に、上記のX線用マーカーに隣接した位置に接合された超音波用マーカー40について説明する。この超音波用マーカー40は、超音波造影性、すなわち、超音波を照射したときに、エコー画像によって、視認できる性質を有するものである。なお、超音波造影性を付与するためには、超音波を減衰、透過させることがなく、音響インピーダンスの差が大きい材料を選択するということが必要である。
そして、この超音波用マーカー40は、図1に示すように、大径部43と、この大径部43よりも小径の小径部45とが、芯線20の軸方向に沿って交互に連続して設けられた形状をなしている。
図2及び図3に示すように、この実施形態の超音波用マーカー40は、芯線20の最先端側に配置された前記X線用マーカー30よりも芯線20の手元側に配置されている。また、この超音波用マーカー40は、線径R2(図3参照)の金属線材41を密着巻きしてなるコイル状をなしており、前記X線用マーカー30の基端側に接合される部分に小径部45が配置され、その基端側からは、順次、大径部43、小径部45が芯線20の軸方向基端側に向けて交互に配置され、最も基端側に小径部45が配置された構造となっている。
そして、この超音波用マーカー40は、芯線20の先端部23であって、前記X線用マーカー30よりも芯線20の基端側の外周に配置され、芯線20との間に充填された接着剤47を介して、芯線20に対して固定されている。なお、接着剤47は、例えば、紫外線硬化型のアクリレート樹脂や、シリコーン系接着剤、変性シリコーン系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、アクリレート系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤等を用いることができる。
この実施形態の超音波用マーカー40は、X線用マーカー30に接合される先端側の小径部45は、金属線材41を2巻きしてなり、基端側の小径部45は、金属線材41を3巻きしてなり、これら以外の大径部43及び小径部45は、金属線材41を4巻きしてなり、3個の大径部43及び4個の小径部45から構成されている。また、この超音波用マーカー40においては、複数の大径部43及び複数の小径部45は、同一の金属線材41によって密着巻きして連続して形成されている。
そして、このガイドワイヤ10においては、X線用マーカー30と超音波用マーカー40との接合部分の外径は、互いに異なった構造となっている。この実施形態では、図1〜3に示すように、X線用マーカー30の基端側の外径D1と、超音波用マーカー40の先端側(小径部45)の外径D3(図3参照)とが互いに異なる構造となっている。
なお、この超音波マーカーにおける、大径部43や小径部45の巻き数や個数は、特に限定されるものではない。
また、この実施形態では、前記小径部45が、X線用マーカー30の基端側に接合されているが、大径部43を超音波用マーカー40の先端側に配置して、この大径部43をX線用マーカー30の基端側に接合させてもよい。
図3に示すように、超音波用マーカー40の金属線材41の線径R2は、0.01〜0.10mmであることが好ましく、0.03〜0.05mmであることが好ましい。また、前記大径部43の外径D2は、0.20〜0.80mmであることが好ましく、0.34〜0.36mmであることがより好ましい。また、前記小径部45の外径D3は、0.15〜0.75mmであることが好ましく、0.30〜0.32mmであることが好ましい。
なお、この実施形態では、複数の大径部43の外径D2は全て同一で、複数の小径部45の外径D3も全て同一となっているが、それぞれ異なる寸法としてもよい。ただし、X線用マーカー30に接合される、大径部43又は小径部45の接合部分の外径D2,D3は、前記X線用マーカー30の外径D1と異なる寸法とすることが必要である。
また、大径部43の外径D2と小径部45の外径D3との差は、0.01〜0.50mmであることが好ましく、0.03〜0.10mmであることがより好ましく、0.02〜0.06mmであることが最も好ましい。大径部43の外径D2と小径部45の外径D3との差が、0.01mm未満であると、大径部43と小径部45との、超音波造影時におけるエコー画像上の凹凸差が小さくなって、視認性が低下し、0.50mmを超えると、超音波用マーカー40の外周の段差が大きくなって、バルーンカテーテル等の医療用チューブにガイドワイヤ10を挿入し、同ガイドワイヤ10を介して医療用チューブを移動させる際に、超音波用マーカー40の段差部分が引っ掛かって損傷しやすくなるおそれがある。
また、前記大径部43の、芯線20の軸方向に沿った長さL2は、0.3〜10.0mmであることが好ましく、0.5〜5.0mmであることがより好ましく、0.6〜0.8mmであることが最も好ましい。更に、前記小径部45の、芯線20の軸方向に沿った長さL3は、0.3〜10.0mmであることが好ましく、0.5〜5.0mmであることがより好ましく、0.6〜0.8mmであることが最も好ましい。大径部43の長さL2が0.3mm未満で、小径部45の長さL3が0.3mm未満だと、大径部43や小径部45の、超音波造影時におけるエコー画像上での視認性が低下し、大径部43の長さL2が10.0mmを超え、小径部45の長さL3が10.0mmを超えると、エコー画像上における大径部43と小径部45とのコントラスト差が小さくなり、ガイドワイヤ10の前後の動きを把握しにくく、また、管状器官等へのガイドワイヤ10の挿入深さの指標としての機能が低下する。
上記の超音波用マーカー40は、例えば、ステンレスや、ピアノ線材、Ti、Ni−Ti系合金,Ni−Ti−X(X=Fe,Cu,V,Co,Cr,Mn,Nb等)合金、Cu−Zn−X(X=Al,Fe等)合金等の超弾性合金からなる金属線材41を、巻回して形成することができるが、その中でも、ステンレスやTi等のX線透過性の金属で形成されていることが好ましい。
また、超音波用マーカーは、上記形状に限定されるものではなく、図5(a),(b)に示す形状としてもよい。
図5(a)に示す超音波用マーカー40Aは、金属線材41を所定隙間をあけて巻回して形成されている。そして、この超音波用マーカー40の隣接する金属線材41,41との隙間、及び、超音波用マーカー40Aと芯線20との間は、SnやAgロウ等のロウ材48が充填されており、このロウ材48によって、芯線20に対して超音波用マーカー40Aが固定されている。このように、ロウ材48を充填させるのは、金属線材41が密着巻きではない場合、超音波造影時における超音波の跳ね返りが弱く、エコー画像が不鮮明となるためである。
また、図5(b)に示す超音波用マーカー40Bは、Pt,W,Ta,Ag,Au,BaSO4、C、Pd、TiO2等の粉末を、樹脂材料に含有してなる樹脂チューブから形成されており、その軸方向両端に小径部45a,45aが配置され、その間に大径部43a及び小径部45aが交互に連続して配置されてなる、凹凸形状を呈している。
以上説明した実施形態においては、芯線20の最先端側にX線用マーカー30が配置され、それよりも芯線20の基端側に超音波用マーカー40が配置されているが、芯線20の最先端側に超音波用マーカー40を配置し、それよりも芯線20の基端側にX線用マーカー30を配置してもよい。
また、上記実施形態においては、X線用マーカー30及び超音波用マーカー40のいずれも、芯線20の外周に接着剤37,47を介して固着されているが、X線用マーカー30や超音波用マーカー40を、芯線20の外周に直接巻回したり、或いは、所定のクリアランスを設けて、ロウ材等によって固着してもよい。ただし、上記実施形態のように、芯線20と、X線用マーカー30や超音波用マーカー40との間に、接着剤37,47が充填されている場合には、芯線20に対してX線用マーカー30が位置ずれしにくくなるという利点がある。
更に、この実施形態においては、図1に示すように、芯線20の先端部23の外周には、X線用マーカー30及び超音波用マーカー40の全体を覆うように、第1樹脂層51が被覆されており、芯線20の基部21の外周には、第2樹脂層52が被覆されている。
図1に示すように、この実施形態では、第1樹脂層51が、芯線20の先端側からテーパ部25の基端側に至る位置まで配置されており、その部分から所定隙間を介して、第2樹脂層52が芯線20の基端側に至るまで配置されている。
前記第1樹脂層51及び第2樹脂層52は、例えば、ポリウレタンや、ナイロンエラストマー、ポリエーテルブロックアミド、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニルや、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂などを採用することができる。なお、この実施形態では、第1樹脂層51がポリウレタンからなり、第2樹脂層52がフッ素系樹脂からなる。
また、前記第1樹脂層51の外周には、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体等の親水性樹脂53が被覆されており、ガイドワイヤ10の先端部における滑り性の向上が図られている。なお、第2樹脂層52の外周にも、親水性樹脂53が被覆されていてもよい。
次に、上記構造からなる本発明のガイドワイヤ10の使用方法及び作用効果について説明する。
この実施形態におけるガイドワイヤ10は、例えば、人工透析に際して、血液の循環量増大のために、動脈と静脈とを吻合してなる大きな血管(シャント)に挿入して、バルーンカテーテルを配置したり、或いは、胆管、膵管、血管、尿管、気管等の各種の管状器官や、体腔等の人体組織の所定位置に、カテーテルを配置したりステントを留置したりする際に用いることができ、使用箇所については特に限定されない。
上記のような用途に用いる際、ガイドワイヤ10は、例えば、図示しない穿刺針や鞘状のシース等を介して、皮膚を通して管状器官内に挿入していく。そして、ガイドワイヤ10に沿ってカテーテル等の医療用チューブを挿入して、所望の検査、治療を行うことになる。このような操作を、周知のX線造影装置によってX線造影下にて行う場合、ガイドワイヤ10の芯線20の先端部外周に装着されたX線用マーカー30を視認することができるので、それによりガイドワイヤ10の先端部の位置を確認することができる。
一方、周知の超音波造影装置によって超音波造影下で操作を行う場合には、超音波用マーカー40のみならず、X線用マーカー30に対しても超音波が反射するので、X線用マーカー30と超音波用マーカー40との両方が、エコー画像上にて視認されることとなる。しかしながら、超音波用マーカー40は、大径部43と小径部45とが交互に連続して設けられた形状をなしているので、エコー画像上において、大径部43及び小径部45により生じる凹凸形状を確認することができ、それによって、X線用マーカー30の位置と超音波用マーカー40の位置とをそれぞれ認識することができ、ガイドワイヤ10の先端部の位置を確認することができる。
このように、このガイドワイヤ10においては、X線造影時又は超音波造影時のいずれれにおいても、ガイドワイヤ10の先端部の位置を把握することができるので、X線造影装置でも超音波造影装置でも使用できる。
また、図3に示すように、X線用マーカー30と超音波用マーカー40との接合部分の外径が、互いに異なっているので、X線造影時又は超音波造影時において、両マーカー30,40の境界部分をはっきりと視認することができる。
更に、超音波用マーカー40の外径は、大径部43と小径部45とが軸方向に連続して設けられているので、超音波造影時のエコー画像上において、大径部43と小径部45とのコントラスト差が生じ、それによってガイドワイヤ10の前後の動きを認識しやすくすることができると共に、管状器官等にガイドワイヤ10がどの程度挿入されたかの指標となり、ガイドワイヤ10の長さ方向の位置を精度よく確認することができる。
また、超音波用マーカー40を、ステンレス等のX線透過性の金属で形成した場合には、X線造影下において、超音波用マーカー40を視認しにくくすることができる。その結果、例えば、ガイドワイヤ先端部の、超音波用マーカー40が配置される箇所の外周に、X線マーカーを備えたバルーンカテーテル等の医療用チューブを配置した場合に、そのような医療用チューブのX線マーカーを視認しやすくすることができる。
更に、この実施形態における超音波用マーカー40は、図2及び図3に示すように、同一の金属線材41で密着巻きされて形成されているので、超音波を反射させやすくすることができ、超音波造影時のエコー画像を鮮明にすることができ、超音波用マーカー40をよりはっきりと視認することができる。また、大径部43や小径部45が別々に形成されていないので、超音波用マーカー40の部材点数を少なくして、その製造を容易にすることができる。
更に、超音波用マーカー40の大径部43の軸方向長さL2が、0.3〜10.0mmとされ、同超音波用マーカー40の小径部45の軸方向長さL3が、0.3〜10.0mmとされている場合には、超音波造影下において、超音波用マーカー40の、大径部43及び小径部45からなる凹凸形状を明瞭に視認することができる。
また、超音波用マーカー40の大径部43の外径D2が、0.20〜0.80mmとされ、同超音波用マーカー40の小径部45の外径D3が、0.15〜0.75mmとされ、大径部43の外径D2と小径部45の外径D3との差が、0.01〜0.50mmとされている場合には、超音波造影下において、超音波用マーカー40の、大径部43及び小径部45からなる凹凸形状をより明瞭に視認することができる。
更に、この実施形態においては、芯線20の最先端側にX線用マーカー30が配置され、それよりも芯線20の基端側に超音波用マーカー40が配置されているので、X線造影時又は超音波造影時のいずれにおいても、ガイドワイヤ先端部の位置を把握できると共に、最先端側に配置されたX線用マーカー30は、例えば、PtやAu等の比較的展延性の高い金属で形成されているため、棒状の付形部材等によって、ガイドワイヤ先端部をアングル形状やJ字状等の所定形状に付形するときに、付形させやすくすることができる。
また、このガイドワイヤ10は、その超音波用マーカー40が、大径部43と小径部45とが交互に連続して設けられた形状をなすので、上記特許文献1の医療用ガイドワイヤのように、複数の螺旋ワイヤ(マーカーに相当する)を所定間隔で配置することにより凹凸形状を形成した場合に比べて、芯線20の先端部における硬さの差を小さくして、ガイドワイヤ先端部が曲がったときにキンクしにくくすることができる。また、ガイドワイヤ10を、カテーテル等の医療用チューブ内に通すときに、その段差が医療用チューブ内にひっかかりにくくして、医療用チューブの破損を防止できる。
(試料の作製)
図1〜5に示す実施形態と同様の構造の、ガイドワイヤを製造した。
図1〜5に示す実施形態と同様の構造の、ガイドワイヤを製造した。
芯線20は、Ni−Ti系合金で製造されており、X線用マーカー30は、線径R1が0.05mmで、Au及びWからなる金属線材31から形成され、その外径D1は0.28mmで、その軸方向長さL1は50mmである。また、超音波用マーカー40は、線径R2が0.04mmで、SUSからなる金属線材41で形成されている。その大径部43の外径D2は0.35mmで、その軸方向長さL2は0.7mm、小径部45の外径D3は0.31mmで、その軸方向長さL3は0.7mmである。
(視認性試験)
上記実施例のガイドワイヤを、市販の超音波造影装置(商品名「NanoMax」、株式会社ソノサイトジャパン製)によって、周波数が7.5MHzの超音波を照射して、そのエコー画像を確認した。その結果を、図6に示す。
上記実施例のガイドワイヤを、市販の超音波造影装置(商品名「NanoMax」、株式会社ソノサイトジャパン製)によって、周波数が7.5MHzの超音波を照射して、そのエコー画像を確認した。その結果を、図6に示す。
同図6に示すように、実施例のガイドワイヤにおいては、超音波用マーカー40の凹凸形状が明瞭に視認でき、また、超音波用マーカー40とX線用マーカー30との境界部分もしっかりと認識できることが分かった。
10 ガイドワイヤ
20 芯線
23 先端部
30,30A,30B,30C,30D X線用マーカー
40,40A,40B 超音波用マーカー
43,43a 大径部
45,45a 小径部
20 芯線
23 先端部
30,30A,30B,30C,30D X線用マーカー
40,40A,40B 超音波用マーカー
43,43a 大径部
45,45a 小径部
Claims (6)
- 先端部が縮径された芯線と、
該芯線の先端部に装着されたX線不透過性のX線用マーカーと、
前記芯線の先端部の前記X線用マーカーに隣接した位置に接合された、超音波造影性を有する超音波用マーカーとを有し、
前記超音波用マーカーは、大径部と、該大径部よりも小径の小径部とが、前記芯線の軸方向に沿って交互に連続して設けられた形状をなし、
前記X線用マーカーと前記超音波用マーカーとの接合部分の外径は、互いに異なっていることを特徴とするガイドワイヤ。 - 前記超音波用マーカーは、X線透過性とされている請求項1記載のガイドワイヤ。
- 前記超音波用マーカーは、同一の金属線材で密着巻きされて形成されている請求項1又2記載のガイドワイヤ。
- 前記超音波用マーカーの大径部の軸方向長さは、0.3〜10.0mmとされ、同超音波用マーカーの小径部の軸方向長さは、0.3〜10.0mmとされている請求項1〜3のいずれか1つに記載のガイドワイヤ。
- 前記超音波用マーカーの大径部の外径は、0.20〜0.80mmとされ、同超音波用マーカーの小径部の外径は、0.15〜0.75mmとされ、前記大径部の外径と前記小径部の外径との差は、0.01〜0.50mmとされている請求項1〜4のいずれか1つに記載のガイドワイヤ。
- 前記芯線の最先端側に、前記X線用マーカーが配置され、前記超音波用マーカーは、それよりも前記芯線の基端側に配置されている請求項1〜4のいずれか1つに記載のガイドワイヤ。
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JP2002052079A (ja) * | 2000-08-09 | 2002-02-19 | Hideo Nakajima | 超音波診断可能な医療用器具または部材 |
JP2004283289A (ja) * | 2003-03-20 | 2004-10-14 | Kawasumi Lab Inc | 超音波マーカー付きバルーンカテーテル及び薬液注入・血管挿入カテーテル |
US20050096642A1 (en) * | 2003-10-31 | 2005-05-05 | Appling William M. | Endovascular treatment apparatus and method |
-
2015
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- 2015-04-03 JP JP2016513718A patent/JP6220056B2/ja active Active
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