詳細な説明
本開示の原理の理解を促す目的で、図面中に例示された実施形態について以下参照し、同一の物について説明するために特定の用語を用いることとする。しかし、本開示の範囲の限定を意図するものではないことを理解されたい。説明する装置、器具、方法、及び本開示の原理のさらなる適用に対する任意の変更及びさらなる改変は、この開示が関連する当業者であれば通常思いつくであろうと完全に企図する。特に、1つの実施形態について記載された特徴、構成要素、及び/又はステップは、他の本開示の実施形態について記載された特徴、構成要素、及び/又はステップと組み合わせてもよい点については、完全に企図している。しかし、簡潔にする目的から、こうした組合せについて別途数多く繰り返して説明することはしない。単純化のため、いくつかの例では、同じ参照番号は、図面全体を通して、同じ又は同様の部品を指すために使用される。
本開示が説明する装置、システム、及び方法は、外部の及び/又は内部のイメージングを用いて、正確な解剖学的構造及び/又は損傷の特性分析に関する補助を、ヘルスケア提供者に対して行う。解剖学的な構造及び損傷の正確な測定は、以下のことを行う際にヘルスケア提供者を補助することができる:症状を診断すること、適切な治療コースについての決断を行うこと、症状に対して治療を行うこと、及び治療結果を評価すること。一態様において、本開示が説明する装置、システム、及び方法は、管状の医療装置(例えばカテーテル)に関連する可撓性のX線不透過性マーカーを提供するための物である。特に、本開示は、カテーテルを説明し、該カテーテルは、X線不透過性マーカー・コイルを含み、該コイルは、異なるピッチの交互のコイル状の領域、従って、多少のX線不透過性を持つ領域を有する。本明細書に記載のマーカー・コイルは、管状の医療装置に組み込み可能な装置を提供し、並びに対象となる解剖学的な領域を装置の可撓性及び操作性を低下させることなく視覚化及び特性分析を可能にするのに必要となる放射性密度(radiodensity)を達成する。マーカー・コイルは、単一の長さの材料を含み、閉じたピッチを持つ密巻セクション及び開いたピッチを持つ疎巻セクションへと捲回される。密巻セクションは、X線不透過性がより大きい領域を形成し、一方で、疎巻セクションは、X線不透過性がより小さい領域を形成する。カテーテルが曲がって患者身体内の通路を通る際、マーカー・コイルは、カテーテルの可撓性を制限することなく、カテーテルの湾曲に対応するために曲がることができる。一態様において、マーカー・コイルは、カテーテルの遠位部のカテーテル壁内に位置する。更に、本明細書に記載のマーカー・コイルは、他のX線不透過性マーカーよりも、効率的に及び少ないコストで製造することができる。別態様において、カテーテルであって、前記カテーテルの遠位部上にX線不透過性マーカー・コイルを含み、更に、それに比例して間隔をあけられるインク状マーカーのバンドを前記カテーテルの近位部上に含む、カテーテルが開示される。X線不透過性及びインク状マーカーの組合せは、内部の解剖学的な構造及び損傷測定を正確に見積もることをユーザーができるように促す。
以下の点を理解されたい:即ち、例示的な実施形態をカテーテルの観点から説明しているが、本開示は該実施形態に限られない。従って、例えば、本明細書に記載のマーカー・コイル及び/又はインク状マーカーを管状の医療装置(例えば、非限定的な例として、ガイドワイヤ又はプローブ)上で用いることは、本開示の思想及び範囲内である。
図1を参照されたい。該図では以下を示している:カテーテル(100)であって、長手状、且つ可撓性、且つ管状の部材又は本体(102)を含み、該部材又は本体は、中心管腔(105)を含み、該管腔は、内容物が、カテーテル(100)の近位端(110)から遠位端(115)を通ることを可能にする。X線不透過性マーカー・コイル(120)は、本体(102)の遠位部(125)に位置する。一般的に、カテーテル(100)は、患者の内部構造内で使用するためのサイズ及び形状を有し、以下の物が含まれるがこれらに限定されない:患者の動脈、静脈、心臓チャンバー、神経血管の構造、胃腸系、肺系、及び/又は患者の解剖学的部位の内部へアクセスすることが望まれる他の領域。こうした点に関して、特定の医療面での応用に依存して、カテーテル(100)は、以下の手順においての使用のために構成される:心臓病学的手順、神経血管の手順、肺の手順、内視鏡検査法的手順、結腸鏡検査的手順、自然開口手順(例えば自然開口部越経管腔的内視鏡手術(NOTES))、及び/又は他の医療的手順。
本体(102)は、ヒト患者の身体内通路に挿入するための形状及びサイズを有する。図示した実施形態において、本体(102)は、血管の管腔(図示しない)内に挿入するための形状及び構成を有する。その結果、カテーテル(100)の長軸LAは、脈管の長軸に沿って、脈管管腔内の任意の所与の位置で整列する。こうした点に関して、図1に示したまっすぐな構成は、例示目的に過ぎず、及び限定することを意図せず、他の例において、カテーテル(100)は曲がってもよい。概して、細長い本体(102)は、曲がった構成の時には、任意の所望の弓型のプロファイルを採用するように設計してもよい。一例において、本体(102)は、全体として、近位端(110)から遠位端(115)まで、少なくとも90cmの長さを有し、及び、幾つかの実施形態において、150cmまで延びる。他の長さも企図する。幾つかの例において、本体(102)は、2F〜9F(即ち、0.67mm〜3mm)の範囲にわたる外径を有する。
本体(102)は、可撓性の材料から形成される(例えば、非限定的な例として、高密度ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ナイロン、ポリアミド及びポリエーテルのブロックコポリマー(例えば、PEBAX(登録商標))、ポリオレフィン、ポリエーテル−エステルコポリマー、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、これらの組み合わせ、又は可撓性の細長いカテーテルの製造のための任意の他の適切な材料)。図示した実施形態において、本体(102)は、近位端(110)でアダプタ(130)に接続され、該アダプタは、カテーテル(100)を、別の医療装置に、近位部ポート(135)で及び/又は電気的な接続(137)を通して結合させるように設計される。カテーテル(100)に近位部ポート(135)で結合することができる様々な医療装置は、非限定的な例として、以下を含む:貯蔵タンク、廃棄用タンク、真空システム、シリンジ、注入ポンプ、及び/又は通気法装置。カテーテル(100)に電気的な接続(137)によって結合させることができる様々な装置は、非限定的な例として、以下を含む:エネルギー発生器(例えば、超音波発生器)、電源、患者インターフェース・モジュール("PIM")、コンピュータシステム、及び/又は外科用コンソール。
管腔(105)は、流体、細胞性物質、又は別の医療装置(例えば、ガイドワイヤ)が近位端(110)から遠位端(115)まで通過することを可能にする形状及び構成を有する。幾つかの実施形態において、管腔(105)は、ガイドワイヤの通過に対応したサイズを有する。こうした実施形態において、管腔(105)は、内径が0.014インチを超える。
遠位端(115)は、本体のキャビティ、組織、又は患者の管状の器官系に挿入されるように設計される。幾つかの実施形態において、カテーテル(100)は、遠位端(115)の終点となる先端部(140)を含む。幾つかの実施形態において、先端部(140)は、先細りしており、本体(102)が患者内に挿入されることを促進する。他の実施形態では、先端部(140)は、尖ってなくてもよく、角度付されてもよく、又は曲線状であってもよい。
マーカー・コイル(120)は、本体(102)の遠位部(125)の周辺で捲回され(coiled又はwound)、及び長さLで、第一端(145)から第二端(150)まで延在する。様々な実施形態において、マーカー・コイル(120)は、1cm〜150cmの範囲にわたる長さLを有することができる。図示した実施形態において、例えば、マーカー・コイル(120)は、24cmの長さLを有する。マーカー・コイル(120)は、単一の長さの材料を含み、該材料は、閉じたピッチを持つ密巻セクション(155)、並びに開いたピッチと密巻セクションよりも大きいコイル間スペースとを持つ疎巻セクション(160)へと捲回される。図示した実施形態において、マーカー・コイル(120)は、25個の密巻セクション(155)を含む。他の実施形態では、マーカー・コイルは、任意の数の密巻セクションを有してもよい。密巻セクション(155)は、X線不透過性がより大きい領域を形成し、一方で、疎巻セクション(160)は、X線不透過性がより小さい領域を形成する。従って、密巻セクション(155)は、疎巻セクション(160)によって互いに隔てられたX線不透過性マーカーを効果的に形成する。一実施形態において、X線不透過性材料は、0.022インチ〜0.080インチ(即ち、0.56mm〜2.03mm)の範囲にわたる外径を有する。幾つかの実施形態において、X線不透過性材料は、カテーテル本体の外径を近似した外径を有する。
図2に示すように、本体(102)の遠位部(125)のセクションを図示しているが、マーカー・コイル(120)は、疎巻セクション(160)によって隔てられた密巻セクション(155)を含む。上述したように、マーカー・コイル(120)は、単一の長さのX線不透過性材料から形成され、該材料は、異なるピッチの領域へと捲回される。X線不透過性材料は、1種以上のX線不透過性金属であってもよく、以下の物が含まれるがこれらに限定されない:ゴールド、タングステン、イリジウム、ロジウム、白金、バリウム、ビスマス、並びにこれらの組合せ及び/又は合金。しかし、密巻セクション(155)へと捲回される際に、放射性密度(radiodensity)が十分に高い任意の物質は、マーカー・コイル(120)に適している。例えば、マーカー・コイル(120)は、等しい放射性密度(radiodensity)を有する貴金属に対するよりコストの低い代替物から形成されてもよい。幾つかの実施形態において、X線不透過性材料は、X線不透過性ポリマーであり、これは、X線不透過性金属(例えば上述した金属)と組み合わせたポリマー性材料のマトリックスを含むことができる。
図2及び3に示すように、密巻セクション(155)は、マーカー・コイル(120)の密に捲回された領域であり、該領域は、疎巻セクション(160)よりもX線不透過性又は放射性密度(radiodensity)が大きいブロックを形成する。幾つかの実施形態において、密巻セクション(155)は、1.0mm〜2.0mmの範囲にわたる幅Wを有する。図3で図示した実施形態において、密巻セクション(155)は、約1.5mmの幅Wを有する。密巻セクション(155)及び疎巻セクション(160)の両方は、度合いの違いに関係なく、曲がる能力を保持する。X線不透過性の密巻セクション(155)の可撓性を上昇させる場合、密巻セクション(155)は、堅い金属製のマーカー・バンドよりも大きい幅Wを有することができる(及び結果的に視認性が増大する)。従って、密巻セクション(155)は、スプリングのような機能を有する可撓性のX線不透過性マーカーを形成し、該マーカーは、曲がりくねった解剖学的部位を通過する際に、カテーテル(100)と共にカーブすることができる。その際に、堅いマーカー・バンドで起こりうるように、うっかりカテーテルをよじれ(kinking)させたり、及び/又は外傷を与えたりすることがない。
密巻セクション(155)は、閉じたピッチを有し、一方で、疎巻セクションは開いたピッチを持つ。換言すれば、図3に示すように、密巻セクション(155)は、マーカー・コイル(120)の密に圧縮された個々のコイル(162)から形成され、これらの間でほとんど又は全くスペースを持たない。一方で、疎巻セクション(160)は、コイル(162)から形成され、隣のコイル(162)の中心間のスペースがより大きくなっている。幾つかの実施形態において、疎巻セクション(160)におけるコイル(162)のピッチは、1.1938mm(0.047インチ)〜1.3462mm(0.053インチ)の範囲であって良い。図示した実施形態において、疎巻セクション(160)は、マーカー・コイル(120)の4つの疎巻ターン又はコイル(162)によって形成される。しかし、疎巻セクション(160)は、任意の数のコイル(162)によって形成されてもよい。
一実施形態において、マーカー・コイル(120)は、密に圧縮されたコイルを、一定の間隔で、コイル材料のリカバリ・ポイントを超えて、伸長させることにより製造され、これにより、密巻コイルの領域及び疎巻コイルの領域が交互になった状態が形成される。このリカバリ・ポイントを超えてコイルを伸長させることにより、個々のコイル(例えば、コイル(162))間の間隔を「設定」し、及び密巻セクション(155)と疎巻セクション(160)との間で一定の間隔を形成する。例えば、図3で図示した実施形態において、密巻セクション(155)は、一定の間隔I1で、互いに隔てられている。そして、これは、隣の密巻セクション(155)間の固定距離を反映する。同様に、疎巻セクション(160)は、一定の間隔I2で、互いに隔てられている。そして、これは、隣の疎巻セクション(160)間の固定距離を反映する。間隔I1は、異なる実施形態において、特定の所望の応用に依存して、異なってもよい。例えば、様々な実施形態において、間隔I1は、0.5cm〜5cmの範囲であってもよい。幾つかの実施形態において、マーカー・コイルの間隔I1は、1cmである。このリカバリ・ポイントを超えてコイルを伸長させて、密巻セクション(155)と疎巻セクション(160)との間、並びに個々のコイル(162)の間に一定の間隔を形成することにより、マーカー・コイル(120)を強化する。
図4に示すように、一実施形態において、マーカー・コイル(120)は、心棒(164)上で製造することができる。図5aに示すように、一定の間隔でコイル材料のリカバリ・ポイントを超えて伸長される(それにより、密巻セクション(155)の領域及び疎巻セクション(160)の領域が交互になった状態を形成する)前に、マーカー・コイル(120)は、伸長していない状態で、円柱状の心棒(164)あたりの第一端(145)で固定することができる(例えば、固定化装置を用いて)。特に、図5bに示すように、マーカー・コイルが第一端(145)とは反対方向に伸長し、所望の長さL2の疎巻セクション(160a)を形成する前に、マーカー・コイル(120)の密巻セクション(155a)は、解放可能に心棒(164)にコイル(165)で固着される。コイル(166)とコイル(165)との間の距離は、密巻セクション(155a)の所望の幅W1に基づいて選択することができる。図5cに示すように、マーカー・コイルが第一端(145)とは反対方向に伸長し、所望の長さL3の疎巻セクション(160b)を形成する前に、マーカー・コイル(120)は、解放可能に心棒(164)に密巻セクション(155b)のコイル(167)で固着される。コイル(168)とコイル(167)との間の距離は、密巻セクション(155a)の所望の幅W2に基づいて選択することができる。幾つかの実施形態において、幅W1、W2は、実質的に同一であってもよい。しかし、他の実施形態では、個々の密巻セクションの幅は、X線不透過性マーカーに関する所望の応用に従い、異なってもよい。同様に、幾つかの実施形態において、長さL2、L3は、実質的に同一であってもよい。しかし、他の実施形態では、個々の疎巻セクションの長さは、所望の応用に従い異なっても良い。図5dに示すように、密巻セクション(155)及び疎巻セクション(160)が交互となった所望の数及び配置をマーカー・コイル(120)が含むまで、こうしたプロセスを繰り返すことができる。従って、マーカー・コイル(120)は、X線不透過性が高い密巻セクション(155)とX線不透過性が低い疎巻セクション(160)が実質的に一定の間隔で交互になった状態を有し、カテーテル(100)が内部のマーキング装置又は測定装置として寄与することを可能にする。
図6に示す実施形態において、マーカー・コイル(120)は、少なくとも部分的に、カテーテル本体(102)の外壁(170)内に封入されている。外壁(170)は、内側表面(172)から外側表面(174)まで延びている。図示した実施形態において、内側表面(172)は、管腔(105)に隣接するカテーテル(100)の管腔表面を形成する。少なくとも一実施形態において、マーカー・コイル(120)は、内側表面(172)と外側表面(174)との間に完全に封入される。幾つかの実施形態において、マーカー・コイルの縁又は端は、外壁(170)の外側表面(174)及び/又は内側表面(172)を通って、露出されてもよい。例えば、幾つかの実施形態において、マーカー・コイル(120)の縁又は端は、壁(170)から突出して、他のコイル自身、又は他のカテーテル構成要素(例えば、バルーン又はステント)を本体(102)に固定することが望ましい可能性がある。
マーカー・コイル(120)は、種々の方法に従い、外壁(170)内及び/又はその周辺に配置することができる。図示した実施形態において、外壁(170)は、管腔(176)を含み、該管腔は、カテーテル(100)製造中に、カテーテル(100)の本体(102)の外径D又はプロファイルを増加させることなく、マーカー・コイル(120)を受け取るためのサイズ及び構成を有する。管腔(176)は、内側表面(172)と外側表面(174)との間に延在する環状のスペースを含む。管腔(176)内のスペースは、X線不透過性マーカー・コイル(120)が、外壁(170)の下で自由に曲がる(bend及びflex)事を可能にする。幾つかの実施形態において、外側表面(174)を組み込んで外壁(170)内に埋め込まれる一連の可撓性のX線不透過性マーカーを形成する前に、マーカー・コイル(120)を、直接カテーテルに(即ち、内側表面(172)に)、ある張力で、捲回することができる。例えば、外壁(170)の外側表面(174)を、ポリマー性溶液として、マーカー・コイル(120)に対して付着させてもよい。又はコイル(120)周辺を包む熱収縮フィルムとして付着させてもよい。
幾つかの例において、例えばマーカー・コイル(120)のX線不透過性材料が金属ワイヤである場合、外壁(170)の材料は、マーカー・コイルのX線不透過性材料よりも軟らかい。こうした例において、マーカー・コイル(120)を、直接外壁(170)に埋め込んでもよく、その手段として、マーカー・コイルを本体(102)の遠位部(125)上に摺動させてもよく、また、直接力をマーカー・コイルに加えて、該マーカーを外壁の材料に押し込んでもよい。例えば、幾つかの実施形態において、圧縮装置(例えば、ローラ組立体)を用いて、マーカー・コイル(120)を、円周状に及びその長さ方向に沿って、カテーテル(100)の外壁(170)に物理的に押し込んでもよい。幾つかの例において、外側表面(174)は、くぼみ、溝、又は他の表面の特徴を含むことができ、これらは、内側表面(172)を破壊することなく又はカテーテル(100)の本体(102)の外径D又はプロファイルを増加させることなくマーカー・コイル(120)を受容するための形状及び構成を有する。幾つかの実施形態において、マーカー・コイル(120)は、カテーテル(100)の滑らかな外側表面を維持するような態様で、カテーテル(100)の外壁(170)に組み込まれる。こうした滑らかな表面により、外壁(170)の周りに配置された金属製のマーカー・バンドを有するカテーテルに匹敵する物よりも潤滑性が向上する。
図7は、カテーテル(100)の本体(102)の外壁(170)に埋め込まれたマーカー・コイル(120)の概念図である。幾つかの実施形態において、マーカー・コイル(120)は、支持機構として、カテーテル(100)の壁(170)に作用し、そして、カテーテル(100)の本体(102)の遠位部(125)に対する堅さの度合いを増加させる。その結果、遠位部(125)には、長さ方向での堅さの度合いが大きくなり、そして、カテーテル(100)の装置の押し込みを向上させることができる。
単一のコイルを伸長させて、一定の間隔I1によって隔てられているX線不透過性のさらに多くの密巻セクション(155)を形成するという方法は、境界の定められた一連のX線不透過性マーカーを形成する。また、一単位のマーカー・コイル(120)をカテーテル(100)に組み込む方法は、個別にX線不透過性マーカーを医療装置に沿って配置する必要性を回避する。本明細書に記載の実施形態は、別々のX線不透過性マーカーを医療装置に対して個別に配置したり、又はスエージする必要性を排除する。その代り、一単位のマーカー・コイル(120)は、複数の一定間隔で隔てられた密巻セクション(155)又はX線不透過性マーカーを含み、これらは、所定の距離を互いに損なうことなく、カテーテル(100)の本体(102)に組み込むことができる。従って、本明細書に記載の実施形態は、個々のX線不透過性マーカー(例えば、マーカー・バンド)を個別に配置することに関連して位置を間違えることを回避する。更に、本明細書に記載の実施形態は、費用を抑えることを可能にし、そして、おそらくは、個々のX線不透過性マーカーを個別に配置するのに必要な時間と比べて製造プロセスにかかる時間を抑える。
図8は、蛍光透視法の又はX線の画像(400)を表しており、該画像は、カテーテル(100)が患者内に位置することを示す。特に、カテーテル(100)の遠位部(125)は、冠状動脈の脈管構造を通って延在することが示されている。マーカー・コイル(120)の密巻セクション(155)は、画像(400)上で視覚的に目立つようになっており、その一方で、X線不透過性が低い疎巻セクション(160)は、画像(400)上であまり目立たって強調されないようになっている。ヘルスケア提供者は、マーカー・コイル(120)を用いることができ、解剖学的な構造及び損傷を評価し、場所を特定し、及び測定を行うことができ、これらの点については、図16及び17に関連して後述する。更には、ヘルスケア提供者は、隣り合う密巻セクション(155)間の相対距離を観察することによって、管腔内構造及び/又は損傷の3次元構造又は管腔内構造の湾曲面についての結論を下す。例えば、画像(400)上での隣り合う密巻セクション(155)間の間隔I1が短い場合又は存在しない場合は、カテーテル(100)が平面外方向に曲がっていることを示唆している可能性がある。換言すれば、画像(400)上での隣り合う密巻セクション(155)間の間隔I1が短い場合又は存在しない場合は、カテーテル(100)の湾曲が三次元方向又はZ平面方向で起きていることを示唆している可能性がある。こうしたデータは、血管造影法及び/又は脈管内の撮像と組み合わせて用いることができ、マーカー・コイル(120)並びに/又はマーカー・コイルが位置する管腔内の構造及び/若しくは損傷を3次元的に表したものを生成することができる。
図1に戻って参照すると、幾つかの実施形態において、カテーテル(100)は、撮像装置を含む(例えば、非限定的な例として、血管内超音波検査(「IVUS」)トランスデューサ(200))。従って、幾つかの実施形態において、カテーテル(100)は、IVUSカテーテルを含むことができる。こうした実施形態において、カテーテル(100)は、電気的な接続(137)において、IVUS撮像システムに接続することができる。図示した実施形態において、先端部(140)は、トランスデューサ(200)を収容する。マーカー・コイル(120)は、X線不透過性マーカーを、密巻セクション(155)の形態で提供し、そして、患者の脈管構造内でのトランスデューサ(200)の位置を特定すること並びに患者の脈管の視覚化及び測定を正確に行うことを補助する。幾つかの例において、撮像装置を用いて患者の解剖学的構造内でのターゲットとなる損傷の形態学的状態及び病理学的状態(例えば、脈管内での制限)を決定する。X線不透過性密巻セクション(155)は、こうした損傷について正確に位置を特定したり測定したりすることを可能にする。管腔内の撮像を最初のステップとして行うことができ、適用可能な最良の治療法の決定を補助したり、治療用の測定をリアルタイムで行ったりすることができる。あるいは、後のステップとして行うことができ、所与の治療法の結果を評価することができる。
以下の点を理解されたい:即ち、脈管を対象とした画像を提供する超音波の装置の観点から、例示的な実施形態を説明してきたが、本開示は該実施形態に限られない。留意されたい点として、本明細書及び図面に描写したカテーテル(100)は、特定のタイプの装置に限定されず、及び任意の種々の撮像装置を含むことができる。従って、例えば、他のエネルギー源(例えば、電磁放射(例えば、可視光の範囲にない光波(例えば、光干渉断層撮影、X線CT、分光学等で使用されるもの)))に基づいて後方散乱データ(又はこれらの変換)を用い、任意の組織タイプ又は組成物(脈管構造に限定されず、ヒト又は非ヒト患者内の他の構造を含む)の画像を提供することは、本開示の思想及び範囲内である。
図1を参照されたい。幾つかの実施形態において、カテーテル(100)は、膨張可能な装置(300)(例えば、非限定的な例として、バルーン装置及び/又はステント)を含む。膨張可能な装置(300)は、先端部(140)及び/又は遠位部(125)のあたりに配置することができる。膨張可能な装置(300)は、コイルマーカー(120)周辺に配置することができ、その結果、カテーテル(100)を患者の身体を通して操作する際に、X線不透過性であるコイルマーカー(120)の部分を透視検査上で膨張可能な装置を通して視覚化できる。マーカー・コイル(120)は、X線不透過性マーカーを、密巻セクション(155)の形態で提供し、そして、患者の脈管構造内での膨張可能な装置(300)の位置を特定すること並びに患者の脈管の視覚化及び測定を正確に行うことを補助する。幾つかの実施形態において、膨張可能な装置(300)の長さは、少なくとも、第一端(145)から第二端(150)まで延在するコイルマーカー(120)の長さLである。
幾つかの例において、カテーテル(100)を使用して医療装置を送達する(例えばバルーン、ステント、グラフト、ステント−グラフト、大静脈フィルター、又は他の実装可能な医療装置、以降膨張可能な装置(300)として総称する)。例えば、膨張可能な装置(300)は、自己膨張性ステントを含むことができ、又はバルーンを含むことができ、該バルーンは、バルーン−膨張可能なステントを送達及び/若しくは配置するために使用される。幾つかの例において、膨張可能な装置(300)はドラッグ溶出装置を含むことができる(例えばドラッグ溶出バルーン又はドラッグ溶出ステント)。密巻セクション(155)が提供するX線不透過性マーカーは、膨張可能な装置(300)を脈管内に正確に送達及び配置することを補助することができる。特に、膨張可能な装置(300)の膨張は、X線不透過性密巻セクション(155)についての透視検査による視覚化を用いて監視することができる。幾つかの例において、膨張可能な装置(300)は、カテーテル(100)の壁(170)あたりに配置され、且つ膨張可能な装置(300)がマーカー・コイル(120)の長さLを実質的に超えて延在しないことを保証するような態様で配置される。
本体の管腔の多くは非直線状であるという特性があるので、多くの場合には、本体の管腔の中心を通って軸方向に延びる中心線に沿って、本体の管腔の長さを測定することが望ましい。こうした測定は、適切なサイズの管腔のインプラント又は補綴を選択する際に有用となる可能性がある。こうした点に関して、幾つかの例において、膨張可能な装置(300)は、ポジショニング部材を含み、該部材は、カテーテル(100)を管腔(例えば、曲がった管腔)の中心に持ってくるようなサイズ及び構成を有する。そして、管腔内の構造又は損傷を正確に測定することを促進する。こうした膨張可能な装置は、膨張状態で、少なくとも本体の管腔の直径に匹敵する直径を有することができる。かくして、膨張可能な装置(300)は膨張してカテーテル(100)を本体の管腔内の中心に持ってくることができる。これにより、損傷の長さ(又は管腔内の対象となる面積)を、本体の管腔の中心にそって測定することを可能にする。
図9は、撮像カテーテル(500)を示し、本開示の一実施形態に従ったマーカー・コイル(120)及び複数のインク状マーカー(505)を含む。撮像カテーテル(500)は、本明細書で記載した相違点を除けば、実質的にカテーテル(100)と類似している。カテーテル(500)は、以下を備える:細長い、管状の部材又は本体(510)(これらは、近位端(515)から先端部(525)まで延在し、該先端部は遠位端(520)の終点となる);撮像ハウジング(532)上に配置された撮像装置(530);及び本体(510)をPIM(535)に結合させるアダプタ(130)。
本体(510)は、本明細書で記載した相違点を除けば、実質的にカテーテル(100)の本体(102)と類似する。本体(510)は以下を含む:複数のインク状マーカー(505)を含む近位シャフト部(540);及び、マーカー・コイル(120)を含む遠位シャフト部(545)。図10に示すように、本体(510)は内側管状部材(550)を含み、該部材は、外側管状部材(555)内で共軸となるように配置される。内側管状部材(550)は、本体(510)の長さだけ延在し、及びいずれかの端で、アダプタ(130)及び先端部(525)と結合されている(図9に示す)。幾つかの実施形態において、内側管状部材(550)は、アダプタ(130)及び先端部(525)にヒートボンドされる。しかし、任意の種々の結合方法を用いて、内側管状部材(550)をアダプタ(130)及び先端部(525)に固定させることができる。
図示した実施形態において、内側管状部材(550)は、暗色の、細長い、円柱状のチューブを含む。内側管状部材(550)は、管腔(560)を規定し、本体(510)はその長さにおいてアダプタ(130)から先端部(525)まで延在する。管腔(560)は、図1に関連して上述した管腔(105)と実質的に同一である。
外側管状部材(555)は、透明な円柱状のスリーブを含み、該スリーブは、アダプタ(130)から撮像装置ハウジング(532)まで延在する。幾つかの実施形態において、外側管状部材(555)は透明である。幾つかの実施形態において、外側管状部材(555)は、アダプタ(130)及び撮像装置ハウジング(532)に、接着剤の手段により固定される。しかし、任意の種々の結合方法を用いて、外側管状部材(555)をアダプタ(130)及び撮像装置ハウジング(532)に固定することができる。外側管状部材(555)は、滑らかな外側表面(556)を含み、該表面は、以下のように構成される:カテーテル(500)の挿入及び除去の際に導入装置上で生じる摩擦の度合いを減らす。それにより、撮像処置中の円滑で正確なプルバックを促進する。
図10に示すように、複数のインク状マーカー(505)は、内側管状部材(550)上に配置される。インク状マーカー(505)は、直接的な視覚化マーカーを含み、該マーカーは、肉眼を使用する際に(又は内視鏡を使用する際に)見える。この点、X線不透過性マーカーを含むマーカー・コイル(120)の密巻セクション(155)とは対照的である。インク状マーカー(505)は、明色のマーキングを内側管状部材(550)の外側表面(562)上に含む。明色のインク状マーカー(505)は、暗色の内側管状部材(550)の背景に対して外観上鮮明となり、及び光を用いて及び用いることなく、透明な外側管状部材(555)を通して容易に視覚化することができる。別の実施形態において、内側管状部材は、明色であり、一方で、インク状マーカーは暗色である。ただし、内側管状部材の色とインク状マーカーの色との間で、充分なコントラストがあり、外側管状部材(555)を通して視覚化できる。例えば、幾つかの実施形態において、内側管状部材(550)は、暗色(例えば黒、ダークブルー、ダークグレー等)であってもよく、一方で、インク状マーカー(505)は、明色(例えば白、ライトブルー、ライトグリーン、ピンク等)であってもよい。複数のインク状マーカー(505)と内側管状部材(550)との間でコントラストが高いことにより、マーカーの視覚化を、明度が低い環境(例えば暗い手術室)で促進する。
インク状マーカー(505)は、種々の適切なインク(典型的には消すことができない物)から形成されてもよい。インク状マーカー(505)は、外側管状部材(555)により、患者の解剖学部位からシールドされるため、インクは必ずしも生体適合性である必要はない。幾つかの実施形態において、インク状マーカー(505)は、蛍光物質から形成されてもよく、これにより、明度が低い環境(例えば暗い手術室)でもインク状マーカーをより鮮明に視覚化できる。インク状マーカー(505)は、内側管状部材(550)に、任意の種々の適切な方法により付着させることができ、限定されるものではないが以下を含む:塗付、噴霧、マスク・ディッピング(即ち、インクによるコーティングを回避するため本体の一部がマスクされた状態で、インクに本体(510)を浸漬する)、及び静電引力。
図11は、複数のインク状マーカー(505)を含む、近位シャフト部(540)の一部を示す。図示した実施形態において、複数のインク状マーカー(505)は、異なる幅のマーカーを含む。特に、複数のインク状マーカー(505)は、幅W3を有するインク状マーカー(563)と、幅W4を有するインク状マーカー(564)とを含む。様々な実施形態において、個々のインク状マーカーの幅は、インク状マーカー(505)及び/又はカテーテル(500)の所望の応用に依存して、均一であってもよく、又は異なってもよい。個々のインク状マーカーの幅は、0.5mm〜5.5mmの範囲であってもよい。少なくとも一実施形態において、幅W3は約1.0mmであり、及び幅W4は約5.0mmである。
図12は、カテーテル(500)の近位シャフト部(540)を表し、インク状マーカー(563)、(564)を含む。他の実施形態では、任意の数のインク状マーカー(563)及びインク状マーカー(564)は、内側管状部材(550)上で、任意の種々の組合せ又は配置で、位置してもよい。幾つかの実施形態において、インク状マーカー(563)及び(564)は、同一の幅を有してもよく、複数の等しいサイズのインク状マーカーを含むことができる。幾つかの実施形態において、インク状マーカー(563)は、インク状マーカー(564)とは異なる色を有してもよく、使用中にマーカー(563)、(564)を互いに識別することを促進する。図13に図示した実施形態において、インク状マーカー(563)及びインク状マーカー(564)は、4つのインク状マーカー(563)及び1つのインク状マーカー(564)の繰り返しパターンで配置される。インク状マーカー(563)及びインク状マーカー(564)は、互いに間隔I3だけ離れている。間隔I3は、異なる実施形態において、特定の所望の応用に依存して、異なってもよい。間隔I3は、3.0mm〜20.0mmの範囲であってもよい。例えば、図11に図示した実施形態において、間隔I3は、約1cmであり、これは、隣り合うインク状マーカー(505)間での固定距離を反映する。
図10に戻り、外側管状部材(555)は、円周方向に及び長手方向に内側管状部材(550)を囲み、これらの間で、環状のスペース又は管腔(565)を形成する。図示した実施形態において、マーカー・コイル(120)は、遠位シャフト部(545)において、内側管状部材(550)と外側管状部材(555)との間で、管腔(565)内に少なくとも部分的に埋め込まれる。少なくとも一実施形態において、マーカー・コイル(120)(密巻セクション(155)及び疎巻セクション(160)を含む)は、遠位シャフト部(565)で、管腔(565)内に完全に埋め込まれる。図9の図示した実施形態において、マーカー・コイル(120)は、互いに約1cm離れた25の密巻セクション(155)を含む。
図14及び15は、カテーテル(500)の遠位シャフト部(545)を示し、撮像装置ハウジング(532)において先端部(525)の近くに位置する撮像装置(530)を含む。先端部(525)は、本体のキャビティ、組織、又は患者の管状の器官系に挿入されるように設計される。例示した実施形態において、先端部(525)は、先細りしており、本体(510)が患者内に挿入されることを促進する。図15に示すように、先端部(525)は、10mm〜20mmの範囲にわたる長さL4を有する。様々な実施形態において、長さL4は、カテーテル(500)の特定の応用に依存して異なる。例えば、図示した実施形態において、長さL4は、約12mmである。
画像装置ハウジング(532)は、1.5mm〜10.0mmの範囲にわたる長さL5を有する。様々な実施形態において、長さL5は、特定のタイプの撮像装置(530)及びカテーテル(500)の特定の応用に依存して変わる。図示した実施形態において、撮像装置(530)は超音波トランスデューサを含む(例えば、非限定的な例として、固体状態フェーズ・アレイ(solid state phased array)、回動式のFLIVUS、及び/又はPMUTトランスデューサ)。しかし、他の実施形態では、撮像装置(530)は、任意の種々の撮像装置を含むことができる(非限定的な例として、以下を含む:OCT又はレーザー発光装置)。例えば、図示した実施形態において、撮像装置(530)が超音波トランスデューサを含む場合、長さL5は約6.5mmである。
図15で図示した実施形態において、マーカー・コイル(120)の密巻セクション(155)は、図3に関連して上述したように、互いに及び撮像装置(530)から間隔I1だけ離れている。間隔I1は、異なる実施形態において、特定の所望の応用に依存して、異なってもよい。例えば、図示した実施形態において、マーカー・コイル(120)の間隔I1は、1cmである。
図16及び17は、事例を示しており、該事例においては、カテーテル(500)は、その近位部に位置するインク状マーカー(505)及びその遠位部に位置するマーカー・コイル(120)の組合せを有するが、損傷の測定及び評価を正確に及び効率的に行うヘルスケア専門家を補助するために用いることができる。図16において、カテーテル(500)の遠位シャフト部(545)は、脈管(600)内に位置しており、該脈管内に損傷(605)を含む。図示した実施形態において、脈管(600)は大動脈を含み、及び脈管内の損傷は大動脈瘤を含み、該大動脈瘤は大動脈の異常な膨張である。しかし、カテーテル(500)(又は上述したカテーテル(100))は、種々の損傷及び/又は構造を評価するために用いることができる(これについては更に後述する)。
図16では、カテーテル(500)の遠位シャフト部(545)を示しており、該カテーテルは脈管(600)内に位置しており、その結果、マーカー・コイル(120)は、損傷(605)の隣に位置する。特に、最遠位側にある密巻セクション(155c)は損傷(605)の直近に位置しており、以下の態様で視覚化することができる:透視検査の間コントラストありで、透視検査の間コントラストなしで(即ち、X線不透過性密巻セクション(155)を視覚化することによって)、及び/又は撮像装置(530)を用いて。透視検査の最中、マーカー・コイル(120)の密巻セクション(155)は見えた状態のままであり、それによって、ヘルスケア提供者が、損傷(605)の端に対するマーカー・コイル(120)の位置を調整し、損傷(605)の様々な寸法を測定することを可能にする。幾つかの例において、ヘルスケア専門家は、透視検査を用いて損傷(605)を視覚化し、X線不透過性密巻セクション(155c)を損傷(605)の第一端(606)に正確に配置することができる。幾つかの例において、ヘルスケア専門家は撮像装置(530)を用いて損傷(605)の位置を特定し、及びX線不透過性密巻セクション(155c)を損傷(605)の第一端(606)に正確に配置することができる。例えば、撮像装置(530)は、関連する解剖学的な目印及び/又は損傷(605)の端の位置を特定するために使用することができる。幾つかの例において、ヘルスケア専門家は、脈管外の撮像(即ち、透視検査)と脈管内の撮像(即ち、撮像装置(530)を用いて)との組合せを用いることができ、損傷(605)の位置を特定し、及びX線不透過性密巻セクション(155c)を損傷(605)の第一端(606)に正確に配置することができる。
脈管内の撮像は中間的な治療の前後で発生させることができる。こうした治療の前に用いるとき、画像は、ヘルスケア専門家に対して、以下の点で補助することができる:損傷(605)の位置を特定すること、並びに損傷を治療すべきかどうか及び/又は損傷をどのように治療するかについて決断を下すこと。例えば、動脈瘤の場合、撮像装置(540)を用いて組織壁の健康状態を評価することができ、これを、動脈瘤を修復するための埋込ステント/グラフトを選択する前に、及びステント/グラフトのためのアンカー・ポイントを選択する前に行うことができる。更に、撮像装置(540)は、密巻セクション(515)の位置及び向きの両方を決定するために使用することができ(即ち、遠位シャフト部(545)が曲がって損傷(605)の境界に近づくため)損傷(605)の評価を補助する。例えば、撮像装置(540)を活用して、個々の密巻セクション(515)の互いに対する位置を決定することができ、そして、損傷(605)の形状及び/又は湾曲を評価することができる。得られたデータを用いて、損傷(605)を有効な形で三次元的に表したものを構築することができ、これは、密巻セクション(515)の位置によって示される。こうした表現物は、損傷(605)の湾曲の長さ、直径、及び/又は半径を生じさせることができ、これらすべてを用いて、適切なサイズの補綴又はインプラント(例えば動脈瘤を修復するためのステント/グラフト)を選択することを補助する。
所与の治療後に用いるとき、画像は、ヘルスケア専門家に対して、治療結果の評価及び文書化を行うことを補助することができる。マーカー・コイル(120)のX線不透過性密巻セクション(155)と組み合わせた撮像装置(540)からの脈管内の撮像を用いることで、損傷(605)の位置特定及び測定を行っている間、ヘルスケア提供者が小さいコントラストを使用することが可能になる。更に、透視検査を用いて観察されるX線不透過性密巻セクション(155)の位置を、脈管内の撮像を用いて観察される密巻セクション(155)の位置と共に、記録することができ、損傷(605)の評価、位置特定、及び測定を強化することができる。
一旦、最遠位側にある密巻セクション(155c)が損傷(605)の第一端に位置すると、ヘルスケア提供者は、関連のインク状マーカー(505)を記録することができる(これについては後で説明する)。そして、彼又は彼女が実行している(実行しようとしている)特定の手順に関連して示すことができるありとあらゆる診断用及び/又は治療用の測定を行うことができる。その後、ヘルスケア提供者は、密巻セクション(155c)が損傷(605)の第二端(607)に位置するまで、カテーテル(500)を脈管(600)内に進入させることができる。
図17では、最遠位側にある密巻セクション(155c)は、損傷(605)の第二端(607)に位置し、以下の態様で視覚化することができる:透視検査の間コントラストありで;透視検査の間コントラストなしで(即ち、X線不透過性密巻セクション(155)を視覚化することによって);及び/又は撮像装置(530)を用いて(上述したように)。ヘルスケア提供者は、マーカー・コイル(120)を用いて、損傷(605)の長さ及び/又は他の寸法を見積もることができる。幾つかの例において、ヘルスケア提供者は以下の点を観察することができる:最遠位側にある密巻セクション(155c)が損傷(605)の第二端(607)に位置するときに、どの特定の密巻セクション(155d)が損傷(605)の第一端(606)に位置しているか。密巻セクション(155c)と密巻セクション(155d)とを比べることにより、ヘルスケア提供者は、損傷(605)の長さを見積もることができる。特に、密巻セクション(155c)と密巻セクション(155d)との間の間隔I1の数をカウントすることにより、及び間隔の数と長さの測定値とを相関させることにより、ヘルスケア提供者は、損傷(605)の長さを見積もることができる。上述したように、密巻セクション(155)間のスペースは、一定の長さの間隔I1であってもよく、ヘルスケア専門家は、間隔の数の違いを対応する長さの測定値に変換することができる。例えば、図16及び17に示す例において、密巻セクション(155c)と密巻セクション(155d)との間の間隔I1が9つある。各マーカー・コイル(120)の間隔I1の測定値が10mm又は1cmであったとすると、損傷(605)の長さは約900mm又は9cmである。従って、複数(多数の)のマーカー・コイル(120)の密巻セクション(155)は、複数(多数の)のX線不透過性マーカーを提供し、該マーカーは、2、3のX線不透過性マーカーしかもたない測定装置と比べると、解剖学的な構造及び/又は損傷の様々な寸法の測定を更に正確に行うことを可能にする。
複数のインク状マーカー(505)は、参照ポイント(例えば導入器(615)の近位端(610))に対してカテーテル(500)が軸方向にどれだけ動いたかをヘルスケア専門家が視覚的に検出することを可能にする。少なくとも一部のカテーテル(500)の近位シャフト部(540)は、患者の身体外に位置しており、患者の身体内に挿入されているカテーテル(500)の長さをヘルスケア専門家が見積もることを可能にし、患者の身体外に依然として視認されるインク状マーカー(505)の数を観察することによって見積もることができる。更には、ヘルスケア専門家は、脈管内の損傷(605)の長さを以下の方法によって見積もることができる:カテーテル(500)が損傷(605)の第一端(606)に位置しているときに(図16に示すように)、外側で視認されるインク状マーカー(505)の数(第一の数)を記録すること;カテーテル(500)が損傷(605)の第二端(607)に位置しているときに(図17に示すように)、外側で視認されるインク状マーカー(505)の数(第二の数)を記録すること;及び2つの値を比較すること。特に、第一の数と第二の数の違いを用いて、損傷(605)の長さを見積もることができる。上述したように、インク状マーカー(505)間のスペースは、一定の長さの間隔であってもよい。その結果、ヘルスケア専門家は、インク状マーカーの数の違いを長さの測定値に変換することができ、該値は、カテーテル(500)が軸方向に参照ポイント(例えば導入器(615)の近位端(610))に対してどれだけ遠くへ動いたかに対応する。
別の例では、ヘルスケア専門家は以下のことを行うことができる:カテーテル(500)が損傷(605)の第一端(606)に位置しているときに(図16に示すように)、患者の身体外の参照ポイント(例えば導入器(615)の近位端(610))に存在する特定のインク状マーカー(505a)を観察すること;カテーテル(500)が損傷(605)の第二端(607)に位置しているとき(図17に示すように)、同一の参照ポイントに存在する特定のインク状マーカー(505b)を観察すること及びインク状マーカー(505a)、(505b)によって示される長さの測定値を比較すること。各インク状マーカー(505)は、カテーテル(500)の近位端(515)から特定の距離で位置する。例えば、もし、インク状マーカー(505a)が近位端(515)から30cmのところに位置し、及びインク状マーカー(505b)が近位端(515)から22cmのところに位置している場合、ヘルスケア専門家は、損傷(605)の長さを8cmと見積もることができる。
一旦損傷(605)が測定されると、ヘルスケア提供者は、彼又は彼女が実行している(実行しようとしている)特定の手順に関連して示されるありとあらゆる診断用及び/又は治療用の測定を行うことができる。例えば、幾つかの実施形態において、ヘルスケア専門家は、カテーテル(500)を損傷(605)内に進入させ、及び損傷(605)を撮像装置(530)を用いて撮像することができる。他の例において、ヘルスケア専門家は、図1に示す膨張可能な装置(300)と類似の膨張可能な装置を膨張させることができる。損傷(605)の長さ及び/又は他の寸法を正確に知ることにより、ヘルスケア提供者に対して、以下の点で寄与するであろう:適切な治療コースを決定すること;所与の治療結果を適切に評価すること;及び/又は損傷(605)を治療するための任意の実装可能な装置を適切に配置すること。例えば、図16及び17に示す状況において、ヘルスケア提供者は、適切なサイズのステントを選択することができ、及びステントを脈管(600)内にある損傷(605)(即ち、動脈瘤)内で膨張させることができる。
本開示に従った実施形態は、ユーザーに、正確で及び効率的な装置、システム、及び方法を提供し、これらは、解剖学的な構造及び/又は損傷を評価し、位置特定し、及び測定し、そして、適切な治療コースを計画し、及び/又は所与の治療を評価するためのものである。本開示に従った近位部のインク状マーカー及び/又は遠位部のX線不透過性マーカー・コイルを、単独又は組み合わせて、種々の応用において用いて、解剖学的な構造及び/又は損傷を評価し、位置特定し、及び測定することができる。例えば、限定するものではないが、本開示の実施形態を用いて、以下のための管腔内の部位の評価を補助することができる:補綴(例えば、ドラッグ溶出バルーン、ドラッグ溶出ステント、ステント/グラフト、生体的に再吸着可能な(bioresorbable)ステント)の移植、PTCAバルーンの配置、脈管内動脈瘤の修復(例えば、腹部の又は胸部の大動脈)、IVCフィルタの設置(例えば、下大静脈にて)、腫瘍の成長/治療に対する応答の評価、及び別の測定装置(例えば、定規)を以前は用いていた損傷測定のための種々の他の手順。更には、本開示の実施形態を用いて、既にインプラントされた装置の位置及び/又は効能を監視することができる(例えば、限定するものではないが、ステント、ステント/グラフト、ドラッグ溶出ステント、ドラッグ溶出バルーン、及び整形外科のインプラント(例えば、骨ねじ又は臀部、肩、若しくは膝のインプラント))。更に、本開示のマーカーは、少なくとも1つのピグテール・マーカー・カテーテルの交換を、幾つかの手順(例えば、コントラストが低い脈管内動脈瘤の修復手順)において省略することを可能にし、これにより、ステント−グラフトの長さサイズの評価の工程を加速させる。幾つかの本開示の実施形態を種々の器官系で用いることができる(例えば、限定するものではないが、循環器系、リンパ系、消化器系、肺系、整形外科系(orthopedic system)、及び神経系)。
当業者であれば、本開示が包含する実施形態は、上記特定の例示的実施形態に限定されるものではないことが分かるであろう。こうした点において、例示的な実施形態について図示し、説明してきたが、広い範囲の改変、変更、及び置換したものを上記開示では企図している。本開示の範囲から乖離することなく、こうした変更を行うことができる点を理解されたい。従って、添付した特許請求の範囲については、広く解釈し、且つ本開示に一致するように解釈するのが適切である。