JPWO2015125558A1 - 透明導電体の製造方法及び透明導電体 - Google Patents
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Abstract
本発明の課題は、光の吸収が低減し、可視光領域の光の反射が防止され、低抵抗な透明導電体を製造する方法及び透明導電体を提供することである。本発明の透明導電体の製造方法は、少なくとも、透明基板1、第1高屈折率層2、透明金属層3及び第2高屈折率層4とをこの順に有する透明導電体10をロールtoロール法により製造する透明導電体の製造方法であって、前記透明基板1の温度を65℃以下に保ちながら、前記透明金属層3を形成する工程を有することを特徴とする。
Description
本発明は、透明導電体の製造方法及び透明導電体に関する。より詳しくは、光の吸収が低減し、可視光領域の光の反射が防止され、低抵抗な透明導電体の製造方法及び透明導電体に関する。
近年、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、無機及び有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、タッチパネル、太陽電池等の各種装置に透明導電膜が使用されている。
このような透明導電膜を構成する材料として、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、銅(Cu)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)等の金属やIn2O3、CdO、CdIn2O4、Cd2SnO4、TiO2、SnO2、ZnO、ITO(Indium Tin Oxide)等の酸化物半導体が知られている。
ここで、タッチパネル型の表示装置等では、表示素子の画像表示面上に、透明導電膜等からなる配線が配置される。したがって、透明導電膜には、光の透過性が高いことが求められる。このような各種表示装置には、光透過性の高いITOからなる透明導電膜が多用されている。
近年、静電容量方式のタッチパネル表示装置が開発され、透明導電膜の表面電気抵抗をさらに低くすることが求められている。しかし、従来のITO膜では、表面電気抵抗を十分に下げられない、との問題があった。
そこで、Agの蒸着膜を透明導電膜とすることが検討されている(特許文献1参照。)。また、透明導電体の光透過性を高めるため、Agの膜からなるAg層を屈折率の高い層(例えば酸化ニオブ(Nb2O5)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ICO(Indium Cerium Oxide)、a−GIO(amorphous Gallium Indium Oxide)、酸化亜鉛又はITO等からなる層)で挟み込むことも提案されている(特許文献2〜6及び非特許文献3参照。)。さらに、Ag層を硫化亜鉛(ZnS)層で挟み込むことも提案されている(非特許文献1及び2参照。)。
しかし、特許文献2〜4に示されるように、酸化ニオブやIZO等の誘電体層でAg層が挟み込まれた透明導電体では、耐湿性が十分でなかった。その結果、高湿度環境下で透明導電体を使用すると、Ag層が腐食しやすい等の問題があった。
また、Ag層がZnS層に挟み込まれた透明導電体では、透明導電体の耐湿性が十分に高いものの、Ag層の形成時、若しくはZnS層の形成時に、Agが硫化されて硫化銀が生じやすい。その結果、透明導電体の光透過性が低くなる、との問題がある。
また、特許文献5及び6に記載された透明導電膜も、透明金属層による光の吸収(膜吸収)の影響が大きく、その結果、光透過性が不十分である、との問題がある。
Xuanjie Liu,et al, (2003). Thin Solid Films 441, 200−206
Optically transparent IR reflective heat mirror films of ZnS − Ag − ZnS, Bruce W. Smith, May 1989. Rochester Institute Of Technology Center For Imaging Science
Transparent Conductive Film Nb2O5/Ag/IZO with an Anti−Reflection Design,Ywh−Tarng Leu, et al., SID 2012 DIGEST p.352−353
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、光の吸収が低減し、可視光領域の光の反射が防止され、低抵抗な透明導電体を製造する方法及び透明導電体を提供することである。
透明基板の温度を低温に保ちながら透明金属層を形成し、高屈折率層を、透明基板より大きい屈折率を有する誘電性材料又は酸化物半導体材料を含有させ、当該高屈折率層のいずれか一方の層を硫化亜鉛(ZnS)を含有する硫化亜鉛含有層として形成し、さらに、透明金属層と硫化亜鉛含有層との間に、少なくとも特定の金属化合物又は金属を含有する層を形成することで、最上層(透明基板と反対側の層)に導電性を持たせ、低抵抗でかつ耐湿性も確保しつつ、透明金属層の硫化を防止でき、さらには、透明金属層による光の吸収(膜吸収)を低減できる透明導電体の製造方法を得ることができることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくとも、透明基板、第1高屈折率層、透明金属層及び第2高屈折率層とをこの順に有する透明導電体をロールtoロール法により製造する透明導電体の製造方法であって、
前記透明基板の温度を65℃以下に保ちながら、前記透明金属層を形成する工程を有することを特徴とする透明導電体の製造方法。
前記透明基板の温度を65℃以下に保ちながら、前記透明金属層を形成する工程を有することを特徴とする透明導電体の製造方法。
2.波長570nmの光に対して、前記透明基板より大きい屈折率を有する誘電性材料又は酸化物半導体材料を含有し、かつ、前記第1高屈折率層及び前記第2高屈折率層のいずれか一方の層を硫化亜鉛(ZnS)を含有する硫化亜鉛含有層として、前記第1高屈折率層及び前記第2高屈折率層を形成する工程をさらに有することを特徴とする第1項に記載の透明導電体の製造方法。
3.前記透明金属層と前記硫化亜鉛含有層との間に、金属酸化物、金属フッ化物、金属窒化物及び亜鉛(Zn)から選ばれる少なくとも1種を含有する硫化防止層を形成する工程をさらに有することを特徴とする第2項に記載の透明導電体の製造方法。
4.前記硫化防止層を形成する工程が、前記透明金属層の前記透明基板とは反対側の表面に、真空下、かつ酸素ガスを導入しない雰囲気条件下において、前記金属酸化物を含有する前記硫化防止層を形成する工程であることを特徴とする第3項に記載の透明導電体の製造方法。
5.前記透明金属層を形成する際の、形成速度が0.3nm/s(3Å/s)以上であることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の透明導電体の製造方法。
6.前記透明金属層を形成する工程において、スパッタガスとして、クリプトン又はキセノンを使用することを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の透明導電体の製造方法。
7.第1項から第6項までのいずれか一項に記載の透明導電体の製造方法により製造された透明導電体であって、
前記第1高屈折率層及び前記第2高屈折率層が、波長570nmの光に対して、前記透明基板より大きい屈折率を有する誘電性材料又は酸化物半導体材料を含有し、かつ、前記第1高屈折率層及び前記第2高屈折率層のいずれか一方の層が硫化亜鉛(ZnS)を含有する硫化亜鉛含有層であり、さらに、
前記透明金属層と前記硫化亜鉛含有層との間に、金属酸化物、金属フッ化物、金属窒化物及び亜鉛(Zn)から選ばれる少なくとも1種を含有する硫化防止層を有することを特徴とする透明導電体。
前記第1高屈折率層及び前記第2高屈折率層が、波長570nmの光に対して、前記透明基板より大きい屈折率を有する誘電性材料又は酸化物半導体材料を含有し、かつ、前記第1高屈折率層及び前記第2高屈折率層のいずれか一方の層が硫化亜鉛(ZnS)を含有する硫化亜鉛含有層であり、さらに、
前記透明金属層と前記硫化亜鉛含有層との間に、金属酸化物、金属フッ化物、金属窒化物及び亜鉛(Zn)から選ばれる少なくとも1種を含有する硫化防止層を有することを特徴とする透明導電体。
8.前記硫化防止層が、少なくとも前記金属酸化物として酸化亜鉛(ZnO)を含有することを特徴とする第7項に記載の透明導電体。
本発明の上記手段により、光の吸収が低減し、可視光領域の光の反射が防止され、低抵抗な透明導電体を製造する方法及び透明導電体を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
透明基板が高温であると、透明基板と反対側の層(ここでは、硫化防止層とする。)に到達した透明金属層を構成する粒子(ここでは、銀粒子などの金属粒子とする。)は熱エネルギーが高いため、硫化防止層の表面を移動しやすい。その結果、各々の金属粒子は互いに凝集しやすく、いわゆる島状構造(アイランド状態)の表面を形成し、プラズモン吸収を誘発しやすいため大きな光の吸収を呈する。
一方、透明基板が低温の場合、硫化防止層に到達した金属粒子は、熱エネルギーが低いため、硫化防止層の表面を余り移動しないと推察される。その結果、各々の金属粒子はそれぞれ移動しないため、凝集せず、したがって、島状の構造をとらず連続した膜状の表面を形成し、ひいては、プラズモン吸収を誘発しないため少ない光の吸収を呈する。
一方、透明基板が低温の場合、硫化防止層に到達した金属粒子は、熱エネルギーが低いため、硫化防止層の表面を余り移動しないと推察される。その結果、各々の金属粒子はそれぞれ移動しないため、凝集せず、したがって、島状の構造をとらず連続した膜状の表面を形成し、ひいては、プラズモン吸収を誘発しないため少ない光の吸収を呈する。
本発明の透明導電体の製造方法は、少なくとも、透明基板、第1高屈折率層、透明金属層及び第2高屈折率層とをこの順に有する透明導電体をロールtoロール法により製造する透明導電体の製造方法であって、前記透明基板の温度を65℃以下に保ちながら、透明金属層を形成する工程を有することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項8までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、波長570nmの光に対して、透明基板より大きい屈折率を有する誘電性材料又は酸化物半導体材料を含有し、かつ、第1高屈折率層及び第2高屈折率層のいずれか一方の層を硫化亜鉛(ZnS)を含有する硫化亜鉛含有層として、第1高屈折率層及び第2高屈折率層を形成する工程をさらに有することが、透明基板側から水分が透過することを抑制でき、ひいては、透明金属層の腐食を抑制できるため好ましい。
本発明においては、透明金属層と硫化亜鉛含有層との間に、金属酸化物、金属フッ化物、金属窒化物及び亜鉛(Zn)から選ばれる少なくとも1種を含有する硫化防止層を形成する工程をさらに有することが、透明金属層の硫化を防止でき、ひいては、光透過率を向上できるため好ましい。
また、本発明においては、透明金属層を形成する際の、形成速度(成膜速度)が0.3nm/s(3Å/s)以上であることが好ましい。このように、高い形成速度を確保することで、透明金属層による光の吸収(膜吸収)を低減でき、さらに、シート抵抗値も低減することができる。
さらに、本発明においては、前記硫化防止層を形成する工程が、前記透明金属層の前記透明基板とは反対側の表面に、真空下、かつ酸素ガスを導入しない雰囲気条件下において、前記金属酸化物を含有する前記硫化防止層を形成する工程であることが好ましい。これにより、酸素プラズマが透明金属層と反応し、当該透明金属層表面が荒れることを抑制し、ひいては、光の吸収を低減することができる。
本発明においては、前記透明金属層を形成する工程において、スパッタガスとして、クリプトン又はキセノンなど、重い希ガスを使用すると、より光の吸収の少ない透明導電体が得られるため好ましい。
さらに、本発明の透明導電体としては、前記第1高屈折率層及び前記第2高屈折率層が、波長570nmの光に対して、前記透明基板より大きい屈折率を有する誘電性材料又は酸化物半導体材料を含有し、かつ、前記第1高屈折率層及び前記第2高屈折率層のいずれか一方の層が硫化亜鉛(ZnS)を含有する硫化亜鉛含有層であり、さらに、前記透明金属層と前記硫化亜鉛含有層との間に、金属酸化物、金属フッ化物、金属窒化物及び亜鉛(Zn)から選ばれる少なくとも1種を含有する硫化防止層を有することを特徴とすることが好ましい。これにより、光の吸収が低減し、可視光領域の光の反射が防止され、低抵抗な透明導電体を提供できる。
さらに、本発明の透明導電体としては、硫化防止層が、少なくとも前記金属酸化物として酸化亜鉛(ZnO)を含有することが好ましい。これにより、透明金属層の硫化を防止でき、ひいては、光透過率を向上できるため好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[透明導電体の概要]
本発明に係る透明導電体の層構成の例を図1及び図2に示す。図1及び図2に示されるように、本発明に係る透明導電体10には、透明基板1/第1高屈折率層2/透明金属層3/第2高屈折率層4が含まれる。そして、本発明に係る透明導電体10では、当該第1高屈折率層2又は第2高屈折率層4のいずれか一方、若しくは両方が、硫化亜鉛(ZnS)を含む硫化亜鉛含有層である。そして、当該硫化亜鉛含有層2及び4と透明金属層3との間には、硫化防止層5(5a及び5b)が含まれる。
本発明に係る透明導電体の層構成の例を図1及び図2に示す。図1及び図2に示されるように、本発明に係る透明導電体10には、透明基板1/第1高屈折率層2/透明金属層3/第2高屈折率層4が含まれる。そして、本発明に係る透明導電体10では、当該第1高屈折率層2又は第2高屈折率層4のいずれか一方、若しくは両方が、硫化亜鉛(ZnS)を含む硫化亜鉛含有層である。そして、当該硫化亜鉛含有層2及び4と透明金属層3との間には、硫化防止層5(5a及び5b)が含まれる。
ここで、第1高屈折率層2及び第2高屈折率層4のいずれか一方が硫化亜鉛含有層である場合には、硫化亜鉛含有層である第1高屈折率層2又は第2高屈折率層4(以下、「硫化亜鉛含有層2又は4」ともいう。)と透明金属層3との間に、硫化防止層5が含まれる。一方、第1高屈折率層2及び第2高屈折率層4の両方が硫化亜鉛含有層である場合、いずれか一方の硫化亜鉛含有層2又は4と透明金属層3との間に、硫化防止層5が含まれればよいが、透明導電体10の光透過性を十分に高めるとの観点から、各硫化亜鉛含有層2及び4と透明金属層3との間に、それぞれ硫化防止層5が含まれることが好ましい。つまり、第1高屈折率層2と透明金属層3との間、及び透明金属層3と第2高屈折率層4との間に、それぞれ硫化防止層5が含まれることが好ましい。
透明金属層と硫化亜鉛(ZnS)を含む層とが隣接して形成されると、金属硫化物が生成されやすく、透明導電体の光透過性が低減しやすいとの問題があった。金属硫化物は、以下のように生成されると推察される。
硫化亜鉛含有層(第1高屈折率層)上にスパッタ法等の気相成膜法で透明金属層を形成する場合、硫化亜鉛含有層中の未反応の硫黄成分が、透明金属層の材料(金属材料)によって形成雰囲気中に弾き出される。そして、弾き出された硫黄成分と透明金属層由来の金属とが反応し、金属硫化物が硫化亜鉛含有層上に堆積する。また、硫化亜鉛含有層と透明金属層とを連続的に形成する場合、硫化亜鉛含有層の形成雰囲気に含まれる硫黄成分が透明金属層雰囲気内に残存する。そして、この硫黄成分と透明金属層由来の金属とが反応し、金属硫化物が硫化亜鉛含有層上に堆積する。
一方、透明金属層上に硫化亜鉛含有層(第2高屈折率層)を形成する場合、透明金属層中の金属が、硫化亜鉛含有層の材料によって、形成雰囲気中に弾き出される。そして、弾き出された金属と硫黄成分とが反応し、金属硫化物が透明金属層表面に堆積する。さらに、透明金属層の表面と、形成雰囲気中の硫黄成分とが接触することでも、透明金属層表面に金属硫化物が生成する。
これに対し、本発明実施形態に係る透明導電体10では、例えば図1に示されるように、第1高屈折率層2上に、第1硫化防止層5aが積層される。このような構成では、第1高屈折率層2が第1硫化防止層5aで保護されるため、透明金属層3の形成時に第1高屈折率層2中の硫黄成分が弾き出されることを抑制できる。また、第1高屈折率層2から透明金属層3を連続的に形成(成膜)したとしても、第1高屈折率層2の形成雰囲気に含まれる硫黄成分が、第1硫化防止層5aの構成成分と反応する、又は第1硫化防止層5aの構成成分に吸着される。したがって、透明金属層3の形成雰囲気に硫黄が含まれることを抑制でき、金属硫化物の生成を回避できる。
また本発明実施形態に係る透明導電体10では、例えば図1に示されるように、透明金属層3上に第2硫化防止層5bが積層される。このような構成では、透明金属層3が第2硫化防止層5bで保護されるため、第2高屈折率層4の形成時に透明金属層3中の金属が弾き出されることを抑制できる。また、第2高屈折率層4の形成雰囲気中の硫黄成分が、透明金属層3の表面と接触することを防止できる。したがって、透明金属層3の表面に金属硫化物が生成することを回避できる。
本発明実施形態に係る透明導電体10では、図1に示されるように、透明金属層3が透明基板1の全面に積層されていてもよく、図2に示されるように、透明金属層3が所望の形状にパターニングされていてもよい。本発明実施形態に係る透明導電体において、透明金属層3が積層されている領域aが、電気が導通する領域(以下、「導通領域」とも称する)である。一方、図2に示されるように、透明金属層3が含まれない領域bが絶縁領域である。
導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンは、透明導電体10の用途に応じて、適宜選択される。例えば透明導電体10が静電方式のタッチパネルに適用される場合には、図3に示されるように、複数の導通領域aと、これを区切るライン状の絶縁領域bとを含むパターン等でありうる。
また、本発明に係る透明導電体10には、透明基板1、第1高屈折率層2、透明金属層3、第2高屈折率層4及び硫化防止層5以外の層が含まれてもよい。例えば透明金属層3の形成時に成長核になり得る下地層が、透明金属層3と第1高屈折率層2との間に、透明金属層3に隣接して含まれてもよい。ただし、本発明に係る透明導電体10に含まれる層は、透明基板1を除いて、いずれも無機材料からなる層である。例えば第2高屈折率層4上に有機樹脂からなる接着層が積層されていたとしても、透明基板1から第2高屈折率層4までの積層体が、本発明に係る透明導電体10である。
(本発明の透明導電体の製造方法)
本発明の透明電極の製造方法は、少なくとも、透明基板、第1高屈折率層、透明金属層及び第2高屈折率層とをこの順に有する透明導電体をロールtoロール法により製造する透明導電体の製造方法であって、透明基板の温度を65℃以下に保ちながら、透明金属層を形成する工程を有することを特徴とする。
本発明の透明電極の製造方法は、少なくとも、透明基板、第1高屈折率層、透明金属層及び第2高屈折率層とをこの順に有する透明導電体をロールtoロール法により製造する透明導電体の製造方法であって、透明基板の温度を65℃以下に保ちながら、透明金属層を形成する工程を有することを特徴とする。
以下において、本発明実施形態の透明導電体の製造方法の典型的例について説明をする。
本発明実施形態の透明導電体の製造方法は、主に下記に示す工程を含む態様の製造方法であることが好ましい。なお、各工程に用いられる各構成要素については、後に詳述する。
本発明実施形態の透明導電体の製造方法は、主に下記に示す工程を含む態様の製造方法であることが好ましい。なお、各工程に用いられる各構成要素については、後に詳述する。
本発明実施形態の透明導電体の製造方法によって製造される透明導電体は、透明基板上に、第1高屈折率層/第1硫化防止層/透明金属層/第2硫化防止層/第2高屈折率層を順に積層する積層体とする。なお、各層の厚さは、J.A.Woollam Co.Inc.製のVB−250型VASEエリプソメーターで測定される。ただし、下地層の平均厚さはスパッタ装置のメーカー公称値の形成速度から算出される。
(第1高屈折率層を形成する工程)
当該工程では、透明基板上に、第1高屈折率層を形成する。
本工程では、スパッタ法を採用することができ、この場合、例えば、アネルバ社製SPW−060スパッタ装置等のスパッタ装置を用い、波長570nmの光に対して、透明基板より大きい屈折率を有する誘電性材料又は酸化物半導体材料をスパッタする。なお、スパッタガスは、特に限定されず、例えば、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)及び酸素(O2)などでよい。
また、第1高屈折率層が硫化亜鉛(ZnS)を含有する場合、本工程は、波長570nmの光に対して、透明基板より大きい屈折率を有する誘電性材料又は酸化物半導体材料を含有し、かつ、第1高屈折率層及び第2高屈折率層のいずれか一方の層を硫化亜鉛(ZnS)を含有する硫化亜鉛含有層として、第1高屈折率層及び第2高屈折率層を形成する工程である。
当該工程では、透明基板上に、第1高屈折率層を形成する。
本工程では、スパッタ法を採用することができ、この場合、例えば、アネルバ社製SPW−060スパッタ装置等のスパッタ装置を用い、波長570nmの光に対して、透明基板より大きい屈折率を有する誘電性材料又は酸化物半導体材料をスパッタする。なお、スパッタガスは、特に限定されず、例えば、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)及び酸素(O2)などでよい。
また、第1高屈折率層が硫化亜鉛(ZnS)を含有する場合、本工程は、波長570nmの光に対して、透明基板より大きい屈折率を有する誘電性材料又は酸化物半導体材料を含有し、かつ、第1高屈折率層及び第2高屈折率層のいずれか一方の層を硫化亜鉛(ZnS)を含有する硫化亜鉛含有層として、第1高屈折率層及び第2高屈折率層を形成する工程である。
なお、本工程における第1高屈折率層の形成方法は、特に限定されず、上述のスパッタ法の他、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等、一般的な気相成膜法(「堆積法」、「蒸着法」又は「合成法」ともいう。)でよい。また、第1高屈折率層2の屈折率(密度)が高まるとの観点から、第1高屈折率層2は、電子ビーム蒸着法又はスパッタ法で形成された層(膜)であることが好ましい。電子ビーム蒸着法の場合は膜密度を高めるため、IAD(イオンアシスト)などのアシストがあることが望ましい。
(第1硫化防止層を形成する工程)
当該工程では、第1高屈折率層上に、第1硫化防止層を形成する。
本工程は、透明金属層と硫化亜鉛含有層との間に、金属酸化物、金属フッ化物、金属窒化物及び亜鉛(Zn)から選ばれる少なくとも1種を含有する硫化防止層を形成する工程である。
本工程では、スパッタ法を採用することができ、この場合、例えば、アネルバ社製SPW−060スパッタ装置等のスパッタ装置を用い、金属酸化物、金属フッ化物、金属窒化物及び亜鉛(Zn)から選ばれる少なくとも1種をスパッタする。なお、スパッタガスは、特に限定されず、例えば、アルゴン、クリプトン及び酸素などでよい。
当該工程では、第1高屈折率層上に、第1硫化防止層を形成する。
本工程は、透明金属層と硫化亜鉛含有層との間に、金属酸化物、金属フッ化物、金属窒化物及び亜鉛(Zn)から選ばれる少なくとも1種を含有する硫化防止層を形成する工程である。
本工程では、スパッタ法を採用することができ、この場合、例えば、アネルバ社製SPW−060スパッタ装置等のスパッタ装置を用い、金属酸化物、金属フッ化物、金属窒化物及び亜鉛(Zn)から選ばれる少なくとも1種をスパッタする。なお、スパッタガスは、特に限定されず、例えば、アルゴン、クリプトン及び酸素などでよい。
なお、本工程における第1硫化防止層の形成方法は、特に限定されず、上述のスパッタ法の他、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法及び熱CVD法等、一般的な気相成膜法を採用することができる。
(透明金属層を形成する工程)
当該工程では、第1硫化防止層上に、透明金属層を形成する。
本工程では、透明基板の温度を65℃以下に保ちながら、透明金属層を形成する。
なお、当該透明金属層に隣接する層を形成する工程においても、透明基板の温度を65℃以下に保ちながら行われることが好ましい。これにより、透明金属層を形成する際に透明基板の温度を65℃以下に保ちやすくなり、また、透明金属層を形成した後に、当該透明金属層を構成する粒子が移動することを抑制でき、この結果、透明金属層の質をより維持することができる。
また、本工程では、スパッタ法を採用することができ、この場合、例えば、FTSコーポレーション社の対向ターゲット式スパッタ装置を用い、銀、銅、金、白金族、チタン、クロム等の導電性の高い金属を対向スパッタすることで、透明金属層を形成する。なお、スパッタガスは特に限定されないが、クリプトン又はキセノンなど、重い希ガスを使用すると、平滑性の高い透明金属層が得られるため、より光の吸収の少ない透明導電体が得られるため好ましい。
なお、形成ガス圧は1Pa以下が好ましい。ガス圧が高いと第1高屈折率層や透明金属層の表面粗さRaが高くなる。
当該工程では、第1硫化防止層上に、透明金属層を形成する。
本工程では、透明基板の温度を65℃以下に保ちながら、透明金属層を形成する。
なお、当該透明金属層に隣接する層を形成する工程においても、透明基板の温度を65℃以下に保ちながら行われることが好ましい。これにより、透明金属層を形成する際に透明基板の温度を65℃以下に保ちやすくなり、また、透明金属層を形成した後に、当該透明金属層を構成する粒子が移動することを抑制でき、この結果、透明金属層の質をより維持することができる。
また、本工程では、スパッタ法を採用することができ、この場合、例えば、FTSコーポレーション社の対向ターゲット式スパッタ装置を用い、銀、銅、金、白金族、チタン、クロム等の導電性の高い金属を対向スパッタすることで、透明金属層を形成する。なお、スパッタガスは特に限定されないが、クリプトン又はキセノンなど、重い希ガスを使用すると、平滑性の高い透明金属層が得られるため、より光の吸収の少ない透明導電体が得られるため好ましい。
なお、形成ガス圧は1Pa以下が好ましい。ガス圧が高いと第1高屈折率層や透明金属層の表面粗さRaが高くなる。
この表面粗さRaとは、Ra=算術平均粗さ(以下、「表面粗さ」ともいう。)を意味し、JIS B601(2001)に規定される表面粗さに準ずる値である。本発明に係る透明金属層は、表面粗さがRaでおおむね3nm以下であると、良質な透明金属層(平滑な透明金属層)が確保できることから好ましい。本発明において、Raの測定には、市販の原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)を用いることができ、例えば、以下の手法で測定可能である。
AFMとして、日立ハイテクサイエンス社製SPI3800Nプローブステーション及びSPA400多機能型ユニットを使用し、約1cm角の大きさに切り取った試料を、ピエゾスキャナー上の水平な試料台上にセットし、カンチレバーを試料表面にアプローチし、原子間力が働く領域に達したところで、XY方向にスキャンし、その際の試料の凹凸をZ方向のピエゾの変位で捉える。ピエゾスキャナーは、XY20μm、Z2μmが走査可能なものを使用する。カンチレバーは、日立ハイテクサイエンス社製シリコンカンチレバーSI−DF20で、共振周波数120〜150kHz、バネ定数12〜20N/mのものを用い、DFMモード(Dynamic Force Mode)で測定する。測定領域80×80μmを、走査周波数1Hzで測定する。
なお、本工程における透明金属層の形成方法は、特に限定されず、上述のスパッタ法の他、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法及び熱CVD法等、一般的な気相成膜法を採用できる。
本発明において、透明金属層を形成する際の形成速度は、特に限定されないが、0.3nm/s(3Å/s)以上であると、透明金属層による光の吸収(膜吸収)を低減できるため、好ましい。
なお、透明金属層を形成する際の形成速度は、あらかじめ水晶式膜厚計などを使用し、形成時間と形成された透明金属層の厚さとの関係を検量しておき、形成された透明金属層の厚さを形成時間で割ることで計算できる。
なお、透明金属層を形成する際の形成速度は、あらかじめ水晶式膜厚計などを使用し、形成時間と形成された透明金属層の厚さとの関係を検量しておき、形成された透明金属層の厚さを形成時間で割ることで計算できる。
また、透明基板の温度の調節方法は、特に限定されないが、例えば、透明基板にサーモラベル(日油技研製)を貼って、事前に各層を形成する条件での温度を確認し、設定する方法が挙げられる。
(第2硫化防止層を形成する工程)
当該工程では、透明金属層上に、第2硫化防止層を形成する。
本工程は、透明金属層と硫化亜鉛含有層との間に、金属酸化物、金属フッ化物、金属窒化物及び亜鉛(Zn)から選ばれる少なくとも1種を含有する硫化防止層を形成する工程である。
本工程では、スパッタ法を採用することができ、この場合、例えば、アネルバ社製SPW−060スパッタ装置等のスパッタ装置を用い、金属酸化物、金属フッ化物、金属窒化物及び亜鉛(Zn)から選ばれる少なくとも1種をスパッタする。なお、スパッタガスは特に限定されないが、酸素ガスを含有しないことが好ましい。
当該工程では、透明金属層上に、第2硫化防止層を形成する。
本工程は、透明金属層と硫化亜鉛含有層との間に、金属酸化物、金属フッ化物、金属窒化物及び亜鉛(Zn)から選ばれる少なくとも1種を含有する硫化防止層を形成する工程である。
本工程では、スパッタ法を採用することができ、この場合、例えば、アネルバ社製SPW−060スパッタ装置等のスパッタ装置を用い、金属酸化物、金属フッ化物、金属窒化物及び亜鉛(Zn)から選ばれる少なくとも1種をスパッタする。なお、スパッタガスは特に限定されないが、酸素ガスを含有しないことが好ましい。
なお、本工程における第2硫化防止層の形成方法については、特に限定されず、上述のスパッタ法の他、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法及び熱CVD法等、一般的な気相成膜法を採用することができるが、特に、透明金属層の透明基板とは反対側の表面に、真空下、かつ酸素ガスを導入しない雰囲気条件下において、金属酸化物を含有する硫化防止層を形成する工程を有する形成方法であることが好ましい。これにより、酸素プラズマが透明金属層と反応し、当該透明金属層表面が荒れることを抑制し、ひいては、光の吸収を低減することができる。なお、このような酸素ガスを導入しないで形成される第2硫化防止層の厚さは、当該第2硫化防止層上に、さらに酸化物が積層される場合5nm以上であることが望ましく、酸化物を積層しない場合は20nm以下であることが望ましい。これにより、酸素プラズマが透明金属層と反応し、当該透明金属層表面が荒れることをより抑制でき、ひいては、光の吸収をさらに低減することができる。
なお、本発明に係る真空下とは、10Pa以下の気圧をいう。
なお、本発明に係る真空下とは、10Pa以下の気圧をいう。
(第2高屈折率層を形成する工程)
当該工程では、第2硫化防止層上に、第2高屈折率層を形成する。
本工程では、スパッタ法を採用することができ、この場合、例えば、アネルバ社製SPW−060スパッタ装置等のスパッタ装置を用い、波長570nmの光に対して、透明基板より大きい屈折率を有する誘電性材料又は酸化物半導体材料をスパッタする。なお、スパッタガスは特に限定されないが、酸素ガスを含有しないことが好ましい。
また、第2高屈折率層が硫化亜鉛(ZnS)を含有する場合、本工程は、波長570nmの光に対して、透明基板より大きい屈折率を有する誘電性材料又は酸化物半導体材料を含有し、かつ、第1高屈折率層及び第2高屈折率層のいずれか一方の層を硫化亜鉛(ZnS)を含有する硫化亜鉛含有層として、第1高屈折率層及び第2高屈折率層を形成する工程である。
当該工程では、第2硫化防止層上に、第2高屈折率層を形成する。
本工程では、スパッタ法を採用することができ、この場合、例えば、アネルバ社製SPW−060スパッタ装置等のスパッタ装置を用い、波長570nmの光に対して、透明基板より大きい屈折率を有する誘電性材料又は酸化物半導体材料をスパッタする。なお、スパッタガスは特に限定されないが、酸素ガスを含有しないことが好ましい。
また、第2高屈折率層が硫化亜鉛(ZnS)を含有する場合、本工程は、波長570nmの光に対して、透明基板より大きい屈折率を有する誘電性材料又は酸化物半導体材料を含有し、かつ、第1高屈折率層及び第2高屈折率層のいずれか一方の層を硫化亜鉛(ZnS)を含有する硫化亜鉛含有層として、第1高屈折率層及び第2高屈折率層を形成する工程である。
なお、本工程における第2高屈折率層の形成方法は、特に限定されず、上述のスパッタ法の他、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等、一般的な気相成膜法でよい。なお、第2高屈折率層4の屈折率(密度)が高まるとの観点から、第2高屈折率層4は、電子ビーム蒸着法又はスパッタ法で形成された層(膜)であることが好ましい。第2高屈折率層の透湿性が低くなるとの観点から、第2高屈折率層4はスパッタ法で形成された膜であることが特に好ましい。
本発明の透明導電体の製造方法を有する製造装置の例を、図4〜図6を参照して以下説明する。
なお、上述のように、本発明の透明導電体を製造する製造装置は、少なくとも、透明基板、第1高屈折率層、透明金属層及び第2高屈折率層とをこの順に有する透明導電体をロールtoロール法により製造する透明導電体の製造方法であって、透明基板の温度を65℃以下に保ちながら、透明金属層を形成する工程を有することを特徴としていればよく、以下に説明する製造装置100を用いて行われるものでなくともよい。
なお、上述のように、本発明の透明導電体を製造する製造装置は、少なくとも、透明基板、第1高屈折率層、透明金属層及び第2高屈折率層とをこの順に有する透明導電体をロールtoロール法により製造する透明導電体の製造方法であって、透明基板の温度を65℃以下に保ちながら、透明金属層を形成する工程を有することを特徴としていればよく、以下に説明する製造装置100を用いて行われるものでなくともよい。
図4は、本発明の透明導電体を製造する製造方法を有する製造装置100の一例を示す概略図である。図4に示す製造装置100は、ロール状の透明基板21を用いて、連続的に透明導電体10を製造する装置である。
減圧雰囲気下に置かれた巻出部101から巻き出された透明基板21は、各ガイドロール102、103を通って前室R1に入り、更にスリットロール104を介して真空雰囲気下の表面処理兼アキューム室R10に搬入され、表面のドライクリーニング及び脱水処理が行われる。表面処理兼アキューム室R10内の圧力は、1×10−5〜10Paに設定されていることが好ましい。
次いで、透明基板21は、表面処理兼アキューム室R10から形成室R20へ連続的に搬送される。表面処理兼アキューム室R10と形成室R20との間はゲートバルブ又は圧力調整室が備えられ、表面処理兼アキューム室R10と形成室R20との差圧を調整する。
本発明の製造方法では、まず、形成室R20により、搬送中の透明基板21の形成面に対し、本発明の透明導電体を構成するいずれかの層を形成する。
形成室R20は、複数の形成室R21〜R24からなり、各形成室R21〜R24の間には処理スピードを吸収するアキュームレーター機構が設けられる。形成室R21〜R24は、それぞれ独立に排気されて、真空又は減圧状態に保たれており、その形成圧力は、形成方法により異なるが、1×10−6〜10Pa程度に設定されていることが好ましい。
第1形成室R21は、第1高屈折率層を形成する工程を行う。
すなわち、第1形成室R21は、波長570nmの光に対して、透明基板より大きい屈折率を有する誘電性材料又は酸化物半導体材料を形成材料として、上述の形成方法により、透明基板21上に第1高屈折率層の形成を行う。
なお、図4の例では、第1形成室R21では、形成材料として、硫化亜鉛(ZnS)を含有させ、波長570nmの光に対して、透明基板より大きい屈折率を有する誘電性材料又は酸化物半導体材料を含有し、かつ、第1高屈折率層及び第2高屈折率層のいずれか一方の層を硫化亜鉛(ZnS)を含有する硫化亜鉛含有層として、第1高屈折率層及び第2高屈折率層を形成する工程が行われるものとする。
ここで、第1形成室R21について、図5を参照して以下説明する。図5は、第1形成室R21内の概略構成図である。
すなわち、第1形成室R21は、波長570nmの光に対して、透明基板より大きい屈折率を有する誘電性材料又は酸化物半導体材料を形成材料として、上述の形成方法により、透明基板21上に第1高屈折率層の形成を行う。
なお、図4の例では、第1形成室R21では、形成材料として、硫化亜鉛(ZnS)を含有させ、波長570nmの光に対して、透明基板より大きい屈折率を有する誘電性材料又は酸化物半導体材料を含有し、かつ、第1高屈折率層及び第2高屈折率層のいずれか一方の層を硫化亜鉛(ZnS)を含有する硫化亜鉛含有層として、第1高屈折率層及び第2高屈折率層を形成する工程が行われるものとする。
ここで、第1形成室R21について、図5を参照して以下説明する。図5は、第1形成室R21内の概略構成図である。
第1形成室R21は、透明基板21を所定の搬送経路で搬送する複数の搬送ローラー51〜56、搬送される透明基板21の積層面に対向する原料供給部57及び透明基板21の積層面と反対側の面に当接して透明基板21を冷却し、透明基板21の温度を調節する背面冷却ローラー58等を内部に備えて構成されている。
ここで、本発明において、透明基板21は、図6に示すように、その幅方向両端部に、搬送方向(移動方向)において等間隔で開口された複数の第1ガイド孔211を有している。
搬送ローラー51〜56は、その周面上に、径方向に突設された複数の突起部を有している。透明基板21の搬送時に、当該突起部が透明基板21の第1ガイド孔211内に挿通されることで、透明基板21が円滑に搬送される。
搬送ローラー51〜56は、その周面上に、径方向に突設された複数の突起部を有している。透明基板21の搬送時に、当該突起部が透明基板21の第1ガイド孔211内に挿通されることで、透明基板21が円滑に搬送される。
原料供給部57は、真空蒸着法、スパッタ法又はイオンプレーティング法等の各方法に対応した形成機構を有し、搬送される透明基板21の形成面に対向して設けられている。これにより、第1形成室R21内を搬送される透明基板21の形成面のうち所定領域に対して、各層の形成を行うことができる。
背面冷却ローラー58は、回転可能に支持され、所定の冷却機構を備えるローラー部材である。背面冷却ローラー58は、透明基板21を挟んで原料供給部57の反対側に設けられ、透明基板21の形成面の反対側の面に当接することで、透明基板21のうち原料供給部57により形成が行われる領域を冷却し、透明基板21の温度を調節する。
なお、背面冷却ローラー58と透明基板21とが接触する時間や面積は、特に限定されないが、透明基板21の温度を65℃以下に保てる態様であることが好ましい。
なお、背面冷却ローラー58と透明基板21とが接触する時間や面積は、特に限定されないが、透明基板21の温度を65℃以下に保てる態様であることが好ましい。
搬送ローラー51〜56には、透明基板21が張架されており、複数の搬送ローラー51〜56が回転駆動することにより、透明基板21を搬送ローラー51から搬送ローラー52の方向に搬送する。
第1形成室R21内は以上のように構成されている。
続いて、再び図4を参照して、形成室R22〜R24について以下説明する。なお、第2形成室R22〜第4形成室R24は、上記した第1形成室R21とほぼ同じ構成であり、用いられる形成材料が異なっている。
第2形成室R22は、第1硫化防止層を形成する工程、すなわち、透明金属層と硫化亜鉛含有層との間に、金属酸化物、金属フッ化物、金属窒化物及び亜鉛(Zn)から選ばれる少なくとも1種を含有する硫化防止層を形成する工程を行う。
第2形成室R22では、上述の金属酸化物、金属フッ化物、金属窒化物及び亜鉛(Zn)から選ばれる少なくとも1種を形成材料として、上述の形成方法によって第1硫化防止層が形成される。
第2形成室R22では、上述の金属酸化物、金属フッ化物、金属窒化物及び亜鉛(Zn)から選ばれる少なくとも1種を形成材料として、上述の形成方法によって第1硫化防止層が形成される。
第3形成室R23は、透明金属層を形成する工程、すなわち、透明基板の温度を65℃以下に保ちながら、透明金属層を形成する工程を行う。第3形成室R23では、金属や金属酸化物等の導電性材料を形成材料として、上述の形成方法によって透明金属層が形成される。なお、図4の例の場合、当該工程は、背面冷却ローラー58によって、透明基板21の温度を65℃以下に保ちながら行われる。
第4形成室R24は、第2高屈折率層を形成する工程を行う。第4形成室R24では、波長570nmの光に対して、透明基板より大きい屈折率を有する誘電性材料又は酸化物半導体材料を形成材料として、上述の形成方法で第2高屈折率層が形成される。
最後に、一方の面上に、透明基板、第1高屈折率層、第1硫化防止層、透明金属層及び第2高屈折率層が積層形成された透明基板21は、巻取室R60内に連続的に搬送され、当該巻取室R60にて巻き取られる。
なお、図4に示す製造装置では、透明導電体が、透明基板、第1高屈折率層、第1硫化防止層、透明金属層及び第2高屈折率層とをこの順に有する形態を説明したが、これに限定されず、例えば、第1形成室R21又は第4形成室R24を複数有する構成とし、第3高屈折率層を形成することとしてもよい。
さらに、第4形成室R24の原料供給部57に硫化亜鉛(ZnS)を含有させ、当該第4形成室R24でも、波長570nmの光に対して、透明基板より大きい屈折率を有する誘電性材料又は酸化物半導体材料を含有し、かつ、第1高屈折率層及び第2高屈折率層のいずれか一方の層を硫化亜鉛(ZnS)を含有する硫化亜鉛含有層として、第1高屈折率層及び第2高屈折率層を形成する工程が行われるものとしてもよい。
この場合、第3形成室R23と第4形成室R24との間に、第2形成室R22をさらに設け、第2硫化防止層の形成を行うものとする。
この場合、第3形成室R23と第4形成室R24との間に、第2形成室R22をさらに設け、第2硫化防止層の形成を行うものとする。
なお、形成室R20には、上述の第1形成室R21〜第4形成室R24のほか、第1形成室R21とほぼ同じ構成であり、形成材料を後述の下地層や低屈折率層を形成する材料にして、これらの層を形成する形成室を適宜設けてもよい。
次に、本発明の透明導電体の製造方法に用いられる各構成要素について詳述する。
[透明基板]
本発明に係る透明基板1は、各種表示デバイスの透明基板と同様でありうる。透明基板1は、ガラス基板や、セルロースエステル樹脂(例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース等)、ポリカーボネート(PC)樹脂(例えばパンライト、マルチロン(いずれも帝人社製))、シクロオレフィンポリマー(COP、例えばゼオノア(日本ゼオン社製)、アートン(JSR社製)、アペル(三井化学社製))、アクリル樹脂(例えばポリメチルメタクリレート、「アクリライト(三菱レイヨン社製)、スミペックス(住友化学社製))、ポリイミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート)、ポリエーテルスルホン、ABS/AS樹脂、MBS樹脂、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール/EVOH(エチレンビニルアルコール樹脂)及びスチレン系ブロックコポリマー樹脂等からなる透明樹脂フィルムでありうる。透明基板1が透明樹脂フィルムである場合、当該フィルムには2種以上の樹脂が含まれてもよい。
本発明に係る透明基板1は、各種表示デバイスの透明基板と同様でありうる。透明基板1は、ガラス基板や、セルロースエステル樹脂(例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース等)、ポリカーボネート(PC)樹脂(例えばパンライト、マルチロン(いずれも帝人社製))、シクロオレフィンポリマー(COP、例えばゼオノア(日本ゼオン社製)、アートン(JSR社製)、アペル(三井化学社製))、アクリル樹脂(例えばポリメチルメタクリレート、「アクリライト(三菱レイヨン社製)、スミペックス(住友化学社製))、ポリイミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート)、ポリエーテルスルホン、ABS/AS樹脂、MBS樹脂、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール/EVOH(エチレンビニルアルコール樹脂)及びスチレン系ブロックコポリマー樹脂等からなる透明樹脂フィルムでありうる。透明基板1が透明樹脂フィルムである場合、当該フィルムには2種以上の樹脂が含まれてもよい。
透明性の観点から、透明基板1はガラスフィルム若しくはセルロースエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂(特にポリエチレンテレフタレート)、トリアセチルセルロース、シクロオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリエーテルスルホン、ABS/AS樹脂、MBS樹脂、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール/EVOH(エチレンビニルアルコール樹脂)又はスチレン系ブロックコポリマー樹脂からなるフィルムであることが好ましい。
透明基板1は、可視光に対する透明性が高いことが好ましい。具体的には、波長400〜800nmの範囲内の光の平均透過率(以下、単に「透過率」ともいう。)が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。透明基板1の光の平均透過率が70%以上であると、透明導電体10の光透過性(透明性)が高まりやすい。また、透明基板1の波長400〜800nmの範囲内の光の平均吸収率(以下、単に「吸収率」ともいう。)は10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下である。
上記平均透過率は、透明基板1の表面の法線に対して、5°傾けた角度から光を入射させて測定する。一方、平均吸収率は、平均透過率と同様の角度から光を入射させて、透明基板1の平均反射率(以下、単に「反射率」ともいう。)を測定し算出できる。本発明実施形態では、具体的には、平均吸収率(%)は、(100−(平均透過率+平均反射率))として計算される。平均透過率及び平均反射率は分光光度計で測定される。
透明基板1の波長570nmの光に対する屈折率は、測定温度25℃において、1.40〜1.95の範囲内であることが好ましく、より好ましくは1.45〜1.75であり、さらに好ましくは1.45〜1.70の範囲内である。透明基板の屈折率は、通常、透明基板の材質によって定まる。透明基板の屈折率は、エリプソメーターで測定される。
透明基板1のヘイズ値は0.01〜2.5の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜1.2の範囲内である。透明基板のヘイズ値が2.5以下であると、透明導電体のヘイズ値が抑制される。ヘイズ値は、ヘイズメーターで測定される。
透明基板1の厚さは、1μm〜20mmであることが好ましく、より好ましくは10μm〜2mmである。透明基板1の厚さが1μm以上であると、透明基板1の強度が高まり、第一高屈折率層2を形成する際に割れたり、裂けたりし難くなる。一方、透明基板1の厚さが20mm以下であれば、透明導電体10のフレキシブル性が十分となる。さらに透明導電体10を用いた機器の厚さを薄くできる。また、透明導電体10を用いた機器を軽量化することもできる。
また、透明基板1の表面粗さRaが粗い場合、その上に積層される各層についても表面粗さが転写される。すなわち、透明基板1の表面が粗いと平滑な透明金属層等を形成できない。
[第1高屈折率層]
本発明に係る第1高屈折率層2は、透明導電体の導通領域a、つまり透明金属層3が形成されている領域の光透過性(光学アドミッタンス)を調整する層であり、少なくとも透明導電体10の導通領域aに形成される。第1高屈折率層2は、透明導電体10の絶縁領域bにも形成されていてもよいが、導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンを視認され難くするとの観点から、導通領域aのみに形成されていることが好ましい。
本発明に係る第1高屈折率層2は、透明導電体の導通領域a、つまり透明金属層3が形成されている領域の光透過性(光学アドミッタンス)を調整する層であり、少なくとも透明導電体10の導通領域aに形成される。第1高屈折率層2は、透明導電体10の絶縁領域bにも形成されていてもよいが、導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンを視認され難くするとの観点から、導通領域aのみに形成されていることが好ましい。
第1高屈折率層2には、波長570nmの光に対して、前述の透明基板1の屈折率より高い屈折率を有する誘電性材料又は酸化物半導体材料が含有される。当該誘電性材料又は酸化物半導体材料の波長570nmの光に対する屈折率は、透明基板1の波長570nmの光に対する屈折率より0.1〜1.1大きいことが好ましく、0.4〜1.0大きいことがより好ましい。一方、第1高屈折率層2に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料の波長570nmの光に対する具体的な屈折率は1.5より大きいことが好ましく、1.7〜2.5であることがより好ましく、さらに好ましくは1.8〜2.5である。誘電性材料又は酸化物半導体材料の屈折率が1.5より大きいと、第1高屈折率層2によって、透明導電体10の導通領域aの光学アドミッタンスが十分に調整される。なお、第1高屈折率層2の屈折率は、第1高屈折率層2に含まれる材料の屈折率や、第1高屈折率層2に含まれる材料の密度で調整される。
第1高屈折率層2に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料は、絶縁性の材料であってもよく、導電性の材料であってもよい。誘電性材料又は酸化物半導体材料は、金属酸化物でありうる。金属酸化物の例にはTiO2、ITO、ZnO、Nb2O5、ZrO2、CeO2、Ta2O5、Ti3O5、Ti4O7、Ti2O3、TiO、SnO2、La2Ti2O7、IZO、IGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)、AZO(Aluminum doped Zinc Oxide)、GZO(Gallium−doped Zinc Oxide)、ATO(Antimony Tin Oxide)、ICO、Bi2O3、酸化ガリウム(Ga2O3)、GeO2、WO3、HfO2、a−GIO等が含まれる。第1高屈折率層2には、当該金属酸化物が1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。
また、第1高屈折率層2に含有される誘電性材料又は酸化物半導体材料は、硫化亜鉛(ZnS)でもありうる。なお、第1高屈折率層2に硫化亜鉛が含有される場合、当該第1高屈折率層は、本発明に係る硫化亜鉛含有層である。
第1高屈折率層2にZnSが含まれると、透明基板1側から水分が透過し難くなり、透明金属層3の腐食が抑制される。第1高屈折率層2には、ZnSのみが含まれてもよく、ZnSとともに他の材料が含まれてもよい。ZnSとともに含まれる材料は、上記誘電性材料又は酸化物半導体材料でありうる金属酸化物や二酸化ケイ素(SiO2)等であり、特に好ましくはSiO2である。ZnSとともにSiO2が含まれると、第1高屈折率層が非晶質になりやすく、透明導電体のフレキシブル性が高まりやすい。
第1高屈折率層2にZnSが含まれると、透明基板1側から水分が透過し難くなり、透明金属層3の腐食が抑制される。第1高屈折率層2には、ZnSのみが含まれてもよく、ZnSとともに他の材料が含まれてもよい。ZnSとともに含まれる材料は、上記誘電性材料又は酸化物半導体材料でありうる金属酸化物や二酸化ケイ素(SiO2)等であり、特に好ましくはSiO2である。ZnSとともにSiO2が含まれると、第1高屈折率層が非晶質になりやすく、透明導電体のフレキシブル性が高まりやすい。
第1高屈折率層2にZnSとともに他の材料が含まれる場合、ZnSの量は、第1高屈折率層2を構成する材料の総モル数に対して、0.1〜95質量%であることが好ましく、50〜90質量%であることがより好ましく、さらに好ましくは60〜85質量%である。硫化亜鉛(ZnS)の比率が高いとスパッタ速度が速くなり、第1高屈折率層2の形成速度が速くなる。一方、ZnS以外の成分が多く含まれると、第1高屈折率層2の非晶質性が高まり、第1高屈折率層2の割れが抑制される。
第1高屈折率層2の厚さは、15〜150nmであることが好ましく、より好ましくは20〜80nmである。第1高屈折率層2の厚さが15nm以上であると、第1高屈折率層2によって、透明導電体10の導通領域aの光学アドミッタンスが十分に調整される。一方、第1高屈折率層2の厚さが150nm以下であれば、第1高屈折率層2が含まれる領域の光透過性が低下し難い。第1高屈折率層2の厚さは、エリプソメーターで測定される。
また、第1高屈折率層2が所望の形状にパターニングされた層である場合、パターニング方法は特に制限されない。第1高屈折率層2は、例えば、所望のパターンを有するマスク等を被形成面に配置して、気相成膜法でパターン状に形成された層であってもよく;公知のエッチング法によってパターニングされた層であってもよい。
[第2高屈折率層]
本発明に係る第2高屈折率層4は、透明導電体10の導通領域a、つまり透明金属層3が形成されている領域の光透過性(光学アドミッタンス)を調整するための層であり、少なくとも透明導電体10の導通領域aに形成される。第2高屈折率層4は、透明導電体10の絶縁領域bに形成されてもよいが、導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンを視認され難くするとの観点から、導通領域aのみに形成されていることが好ましい。
本発明に係る第2高屈折率層4は、透明導電体10の導通領域a、つまり透明金属層3が形成されている領域の光透過性(光学アドミッタンス)を調整するための層であり、少なくとも透明導電体10の導通領域aに形成される。第2高屈折率層4は、透明導電体10の絶縁領域bに形成されてもよいが、導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンを視認され難くするとの観点から、導通領域aのみに形成されていることが好ましい。
第2高屈折率層4には前述の透明基板1の屈折率より高い屈折率を有する誘電性材料又は酸化物半導体材料が含まれる。当該誘電性材料又は酸化物半導体材料の波長570nmの光に対する屈折率は、透明基板1の波長570nmの光に対する屈折率より0.1〜1.1大きいことが好ましく、0.4〜1.0大きいことがより好ましい。一方、第2高屈折率層4に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料の波長570nmの光に対する具体的な屈折率は1.5より大きいことが好ましく、1.7〜2.5であることがより好ましく、さらに好ましくは1.8〜2.5である。誘電性材料又は酸化物半導体材料の屈折率が1.5より大きいと、第2高屈折率層4によって、透明導電体10の導通領域aの光学アドミッタンスが十分に調整される。なお、第2高屈折率層4の屈折率は、第2高屈折率層4に含まれる材料の屈折率や、第2高屈折率層4に含まれる材料の密度で調整される。
第2高屈折率層4に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料は、絶縁性の材料であってもよく、導電性の材料であってもよい。誘電性材料又は酸化物半導体材料は、金属酸化物でありうる。当該金属酸化物は、第1高屈折率層に含まれる金属酸化物と同様でありうる。第2高屈折率層4には、当該金属酸化物が1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。
また、第2高屈折率層4に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料は、ZnSであってもよい。なお、第2高屈折率層2に硫化亜鉛が含有される場合、当該第2高屈折率層は、本発明に係る硫化亜鉛含有層である。
第2高屈折率層4にZnSが含まれると、第2高屈折率層4側から水分が透過することを抑制でき、透明金属層3の腐食を防止できる。第2高屈折率層4には、ZnSのみが含まれてもよく、ZnSとともに他の材料が含まれてもよい。ZnSとともに含まれる材料は、上記誘電性材料又は酸化物半導体材料でありうる金属酸化物又はSiO2であり、特に好ましくはSiO2である。ZnSとともにSiO2が含まれると、第2高屈折率層4が非晶質になりやすく、透明導電体10のフレキシブル性が高まりやすい。
第2高屈折率層4にZnSが含まれると、第2高屈折率層4側から水分が透過することを抑制でき、透明金属層3の腐食を防止できる。第2高屈折率層4には、ZnSのみが含まれてもよく、ZnSとともに他の材料が含まれてもよい。ZnSとともに含まれる材料は、上記誘電性材料又は酸化物半導体材料でありうる金属酸化物又はSiO2であり、特に好ましくはSiO2である。ZnSとともにSiO2が含まれると、第2高屈折率層4が非晶質になりやすく、透明導電体10のフレキシブル性が高まりやすい。
第2高屈折率層4にZnSとともに他の材料が含まれる場合、ZnSの量は、第2高屈折率層4を構成する成分の総モル数に対して、0.1〜95質量%であることが好ましく、50〜90質量%であることがより好ましく、さらに好ましくは60〜85質量%である。ZnSの比率が高いとスパッタ速度が速くなり、第2高屈折率層4の形成速度が早くなる。一方、ZnS以外の成分が多くなると、第2高屈折率層4の非晶質性が高まり、第2高屈折率層4の割れが抑制される。
第2高屈折率層4の厚さは15nm以上であり、通常150nm以下である。第2高屈折率層4の厚さは、より好ましくは15〜150nmであり、さらに好ましくは20〜80nmである。第2高屈折率層4の厚さが15nm以上であると、第2高屈折率層4によって、透明導電体10の導通領域aの光学アドミッタンスが十分に調整される。一方、第2高屈折率層4の厚さが150nm以下であれば、第2高屈折率層4が含まれる領域の光透過性が低下し難い。第2高屈折率層4の厚さは、エリプソメーターで測定される。
また、第2高屈折率層4が所望の形状にパターニングされた層である場合、パターニング方法は特に制限されない。第2高屈折率層4は、例えば、所望のパターンを有するマスク等を被形成面に配置して、気相成膜法でパターン状に形成された層であってもよい。また、公知のエッチング法によってパターニングされた層であってもよい。
[透明金属層]
透明金属層3は、透明導電体10において電気を導通させるための層である。透明金属層3は、透明基板1の全面に形成されていてもよく、また所望の形状にパターニングされていてもよい。
透明金属層3は、透明導電体10において電気を導通させるための層である。透明金属層3は、透明基板1の全面に形成されていてもよく、また所望の形状にパターニングされていてもよい。
透明金属層3に含まれる金属は、導電性の高い金属であれば特に制限されず、例えば銀、銅、金、白金族、チタン、クロム等であってもよい。透明金属層3には、これらの金属が1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。導電性が高いとの観点から、透明金属層は銀、又は銀が90at%以上含まれる合金からなることが好ましい。銀と組み合わされる金属は、亜鉛、金、銅、パラジウム、アルミニウム、マンガン、ビスマス、ネオジム、モリブデン等でありうる。例えば、銀と亜鉛とが組み合わされると、透明金属層の耐硫化性が高まる。銀と金とが組み合わされると、耐塩(NaCl)性が高まる。さらに銀と銅とが組み合わされると、耐酸化性が高まる。
透明金属層3のプラズモン吸収率は、波長400〜800nmにわたって(全範囲で)10%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは5%以下である。波長400〜800nmの一部にプラズモン吸収率が大きい領域があると、透明導電体10の導通領域aの透過光が着色しやすくなる。
透明金属層3の波長400〜800nmにおけるプラズモン吸収率は、以下の手順で測定される。
(i)ガラス基板上に、白金パラジウムをマグネトロンスパッタ装置にて0.1nm形成する。白金パラジウムの平均厚さは、スパッタ装置のメーカー公称値の形成速度等から算出する。その後、白金パラジウムが付着した基板上にスパッタ法にて金属からなる膜を20nm形成する。
(i)ガラス基板上に、白金パラジウムをマグネトロンスパッタ装置にて0.1nm形成する。白金パラジウムの平均厚さは、スパッタ装置のメーカー公称値の形成速度等から算出する。その後、白金パラジウムが付着した基板上にスパッタ法にて金属からなる膜を20nm形成する。
(ii)そして、得られた金属膜の表面の法線に対して、5°傾けた角度から測定光を入射させ、金属膜の透過率及び反射率を測定する。そして各波長における透過率及び反射率から、吸収率(100−(透過率+反射率))を算出し、これをリファレンスデータとする。透過率及び反射率は、分光光度計で測定する。
(iii)続いて、測定対象の透明金属層を同様のガラス基板上に形成する。そして、当該透明金属層について、同様に透過率及び反射率を測定する。得られた吸収率から上記リファレンスデータを差し引き、算出された値を、プラズモン吸収率とする。
透明金属層3の厚さは3〜20nmであり、好ましくは5〜9nmであり、さらに好ましくは5〜8nmである。本発明の透明導電体10では、透明金属層3の厚さが10nm以下であれば、透明金属層3に金属本来の反射が生じ難い。さらに、透明金属層3の厚さが10nm以下であると、第1高屈折率層2及び第2高屈折率層4によって、透明導電体10の光学アドミッタンスが調整されやすく、導通領域a表面での光の反射が抑制されやすい。透明金属層3の厚さは、エリプソメーターで測定される。
透明金属層3は、いずれの形成方法によっても形成できるが、透明金属層の平均透過率を変えるためには、スパッタ法で形成された膜又は後述する下地層上に形成された膜であることが好ましい。
スパッタ法では、形成時に材料が被形成体に高速で衝突するため、緻密かつ平滑な膜が得られやすいため、透明金属層3の光透過性が高まりやすい。また、透明金属層3がスパッタ法により形成された膜であると、透明金属層3が高温かつ低湿度な環境においても腐食し難くなる。スパッタ法の種類は特に制限されず、イオンビームスパッタ法、マグネトロンスパッタ法、反応性スパッタ法、2極スパッタ法、バイアススパッタ法及び対向スパッタ法等でありうる。透明金属層3は、特に対向スパッタ法で形成されることが好ましい。透明金属層3が、対向スパッタ法で形成されると、透明金属層3が緻密になり、表面平滑性が高まりやすい。その結果、透明金属層3の表面電気抵抗がより低くなり、光透過率を向上できる。
一方、透明金属層3を下地層上に形成する場合、透明金属層3を形成する際に下地層が成長核となるため、透明金属層3を平滑な層として形成きる。その結果、透明金属層3が薄くとも、プラズモン吸収が生じ難くなる。この場合、透明金属層3の形成方法は、上述のように特に制限されず、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法及び熱CVD法等、一般的な気相成膜法でありうる。
また、透明金属層3が所望の形状にパターニングされた層である場合、パターニング方法は特に制限されない。透明金属層3は、例えば、所望のパターンを有するマスクを配置して形成された層であってもよく;公知のエッチング法によってパターニングされた層であってもよい。
[硫化防止層]
本発明実施形態では、硫化防止層5として、上述の第1硫化防止層5a又は第2硫化防止層5bを有するものとして、以下、硫化防止層5について説明する。
本発明実施形態では、硫化防止層5として、上述の第1硫化防止層5a又は第2硫化防止層5bを有するものとして、以下、硫化防止層5について説明する。
(第1硫化防止層)
前述の第1高屈折率層2が硫化亜鉛含有層である場合、図1に示されるように、第1高屈折率層2と透明金属層3との間に第1硫化防止層5aが設けられることが好ましい。第1硫化防止層5aは、透明導電体10の絶縁領域bにも形成されていてもよいが、導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンを視認され難くするとの観点から、導通領域aのみに形成されていることが好ましい。
前述の第1高屈折率層2が硫化亜鉛含有層である場合、図1に示されるように、第1高屈折率層2と透明金属層3との間に第1硫化防止層5aが設けられることが好ましい。第1硫化防止層5aは、透明導電体10の絶縁領域bにも形成されていてもよいが、導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンを視認され難くするとの観点から、導通領域aのみに形成されていることが好ましい。
当該第1硫化防止層5aは、金属酸化物、金属フッ化物、金属窒化物及び亜鉛(Zn)から選ばれる少なくとも1種を含有する層である。第1硫化防止層5aには、これらが1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。ただし、第1高屈折率層2と、第1硫化防止層5aと、透明金属層3とが連続的に形成される場合には、上記金属酸化物が硫黄と反応可能、又は硫黄を吸着可能な化合物であることが好ましい。上記金属酸化物が、硫黄と反応する化合物である場合、金属酸化物と硫黄との反応物は、可視光の透過性が高いことが好ましい。
金属酸化物の例には、TiO2、ITO、ZnO、Nb2O5、ZrO2、CeO2、Ta2O5、Ti3O5、Ti4O7、Ti2O3、TiO、SnO2、La2Ti2O7、IZO、IGZO、AZO、GZO、ATO、ICO、Bi2O3、a−GIO、Ga2O3、GeO2、SiO2、Al2O3、HfO2、SiO、MgO、Y2O3及びWO3等が含まれる。
金属フッ化物の例には、LaF3、BaF2、Na5Al3F14、Na3AlF6、AlF3、MgF2、CaF2、BaF2、CeF3、NdF3及びYF3等が含まれる。
金属窒化物の例には、Si3N4及びAlN等が含まれる。
金属フッ化物の例には、LaF3、BaF2、Na5Al3F14、Na3AlF6、AlF3、MgF2、CaF2、BaF2、CeF3、NdF3及びYF3等が含まれる。
金属窒化物の例には、Si3N4及びAlN等が含まれる。
ここで、第1硫化防止層5aの厚さは、後述する透明金属層3の形成する際の衝撃から、第1高屈折率層2の表面を保護可能な厚さであることが好ましい。一方で、第1高屈折率層に含まれ得るZnSは、透明金属層3に含まれる金属との親和性が高い。そのため、第1硫化防止層5aの厚さが非常に薄く、第1高屈折率層2の一部が僅かに露出していると、当該露出部分を中心に透明金属層が成長し、透明金属層3が緻密になりやすい。つまり、第1硫化防止層5aは比較的薄いことが好ましく、0.1〜10nmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜5nmであり、さらに好ましくは1〜3nmである。第1硫化防止層5aの厚さは、エリプソメーターで測定される。
第1硫化防止層5aが、所望の形状にパターニングされた層である場合、パターニング方法は特に制限されない。第1硫化防止層5aは、例えば、所望のパターンを有するマスク等を被形成面に配置して、気相成膜法でパターン状に形成された層であってもよく、公知のエッチング法によってパターニングされた層であってもよい。
(第2硫化防止層5b)
第2高屈折率層が硫化亜鉛含有層である場合、図1に示されるように、透明金属層3と第2高屈折率層4との間に第2硫化防止層5bが設けられることが好ましい。第2硫化防止層5bは、透明導電体10の絶縁領域bにも形成されていてもよいが、導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンを視認され難くするとの観点から、導通領域aのみに形成されていることが好ましい。
第2高屈折率層が硫化亜鉛含有層である場合、図1に示されるように、透明金属層3と第2高屈折率層4との間に第2硫化防止層5bが設けられることが好ましい。第2硫化防止層5bは、透明導電体10の絶縁領域bにも形成されていてもよいが、導通領域a及び絶縁領域bからなるパターンを視認され難くするとの観点から、導通領域aのみに形成されていることが好ましい。
当該第2硫化防止層5bは、金属酸化物、金属フッ化物、金属窒化物及び亜鉛(Zn)から選ばれる少なくとも1種を含有する層である。第2硫化防止層5bには、これらが1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。金属酸化物、金属窒化物、金属フッ化物は、前述の第1高屈折率層2に含まれる金属酸化物、金属窒化物、金属フッ化物と同様であってもよい。
一方、第2硫化防止層5bの厚さは、第2高屈折率層4の形成時の衝撃から、透明金属層3の表面を保護可能な厚さであることが好ましい。一方で、透明金属層3に含まれる金属と、第2高屈折率層4に含まれるZnSは、親和性が高い。そのため、第2硫化防止層5bの厚さが非常に薄く、透明金属層3の一部が僅かに露出していると、透明金属層3や第2硫化防止層5bと第2高屈折率層4との密着性が高まりやすい。したがって、第2硫化防止層5bの具体的な厚さは0.1〜10nmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜5nmであり、さらに好ましくは1〜3nmである。第2硫化防止層5bの厚さは、エリプソメーターで測定される。
第2硫化防止層5bは、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等、一般的な気相成膜法で形成された層でありうる。
第2硫化防止層5bが、所望の形状にパターニングされた層である場合、パターニング方法は特に制限されない。第2硫化防止層5bは、例えば、所望のパターンを有するマスク等を被形成面に配置して、気相成膜法でパターン状に形成された層であってもよく、公知のエッチング法によってパターニングされた層であってもよい。
[下地層]
前述のように、透明導電体10には、透明金属層3の形成時に成長核となる下地層が含まれてもよい。下地層は、透明金属層3より基板1側、かつ透明金属層3に隣接して形成された層である。すなわち、第1高屈折率層2と透明金属層3との間又は第1硫化防止層5aと透明金属層3との間に形成された層でありうる。下地層は、少なくとも透明導電体の導通領域aに形成されていることが好ましく、透明導電体10の絶縁領域bに形成されていてもよい。
前述のように、透明導電体10には、透明金属層3の形成時に成長核となる下地層が含まれてもよい。下地層は、透明金属層3より基板1側、かつ透明金属層3に隣接して形成された層である。すなわち、第1高屈折率層2と透明金属層3との間又は第1硫化防止層5aと透明金属層3との間に形成された層でありうる。下地層は、少なくとも透明導電体の導通領域aに形成されていることが好ましく、透明導電体10の絶縁領域bに形成されていてもよい。
透明導電体10に下地層が含まれると、透明金属層3の厚さが薄くとも、透明金属層3の表面の平滑性が高まる。その理由は以下のとおりである。
一般的な気相成膜法で透明金属層3の材料を、例えば第1高屈折率層2上に堆積させると、形成初期には、第1高屈折率層2上に付着した原子がマイグレート(移動)し、原子が寄り集まって塊(島状構造)を形成する。そして、この塊にまとわりつきながら層(膜)が成長する。そのため、形成初期の膜では、塊同士の間に隙間があり、導通しない。この状態からさらに塊が成長すると、塊同士の一部が繋がり、辛うじて導通する。しかし、塊同士の間にいまだ隙間があるため、プラズモン吸収が生じる。そして、さらに形成が進むと、塊同士が完全に繋がって、プラズモン吸収が少なくなる。しかしその一方で、金属本来の反射が生じ、透明金属層の光透過性が低下する。
これに対し、第1高屈折率層2上をマイグレートを抑制できる金属からなる下地層が形成されていると、当該下地層を成長核として、透明金属層3が成長する。つまり、透明金属層3の材料がマイグレートを抑制でき、前述の島状構造を形成せずに層が成長する。その結果、厚さが薄くとも平滑な透明金属層3が得られる。
ここで、下地層には、パラジウム、モリブデン、亜鉛、ゲルマニウム、ニオブ若しくはインジウム又はこれらの金属と他の金属との合金や、これらの金属の酸化物や硫化物(例えばZnS)が含まれることが好ましい。下地層には、これらが1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。
下地層に含まれるパラジウム、モリブデン、亜鉛、ゲルマニウム、ニオブ又はインジウムの量は、20質量%以上であることが好ましく、より好ましくは40質量%以上であり、さらに好ましくは60質量%以上である。下地層に上記金属が20質量%以上含まれると、下地層と透明金属層3との親和性が高まり、下地層と透明金属層3との密着性が高まりやすい。下地層にはパラジウム又はモリブデンが含まれることが特に好ましい。
一方、パラジウム、モリブデン、亜鉛、ゲルマニウム、ニオブ又はインジウムと合金を形成する金属は特に制限されないが、例えばパラジウム以外の白金族、金、コバルト、ニッケル、チタン、アルミニウム及びクロム等でありうる。
下地層の厚さは、3nm以下であり、好ましくは0.5nm以下であり、より好ましくは単原子膜である。下地層は、透明基板1上に金属原子が互いに離間して付着している層でもありうる。下地層の付着量が3nm以下であれば、下地層が透明導電体10の光透過性や光学アドミッタンスに影響を及ぼすことを防止できる。下地層の有無はICP−MS法で確認される。また、下地層の厚さは、形成速度と形成時間との積から算出される。
下地層の形成方法は特に限定されず、公知の方法であってもよく、例えば、スパッタ法又は蒸着法を適用できる。スパッタ法としては、例えば、イオンビームスパッタ法や、マグネトロンスパッタ法、反応性スパッタ法、2極スパッタ法及びバイアススパッタ法等が挙げられる。下地層を形成する際のスパッタ時間は、所望の下地層の平均厚さ及び形成速度に合わせて適宜選択される。スパッタ法による形成速度は、好ましくは0.01〜1.5nm/s(0.1〜15Å/s)であり、より好ましくは0.01〜0.7nm/s(0.1〜7Å/s)である。
一方、蒸着法の例としては、真空蒸着法、電子線蒸着法、イオンプレーティング法及びイオンビーム蒸着法等が挙げられる。蒸着時間は、所望の下地層の厚さ及び形成速度に合わせて適宜選択される。蒸着速度は、好ましくは0.01〜1.5nm/s(0.1〜15Å/s)であり、より好ましくは0.01〜0.7nm/s(0.1〜7Å/s)である。
下地層が所望の形状にパターニングされた層である場合、パターニング方法は特に制限されない。下地層は、例えば、所望のパターンを有するマスク等を被形成面に配置して、気相成膜法でパターン状に形成された層であってもよく、また、公知のエッチング法によってパターニングされた層であってもよい。
なお、下地層の表面粗さがRaでおおむね3nm以下であると、良質な透明金属層(平滑な透明金属層)を形成できるため好ましい。
[低屈折率層]
前述のように、本発明の透明導電体10には、第2高屈折率層4上に、透明導電体の導通領域aの光透過性(光学アドミッタンス)を調整する低屈折率層(図示せず)を設けてもよい。低屈折率層は、透明導電体10の導通領域aにのみ形成されていてもよく、透明導電体10の導通領域a及び絶縁領域bの両方に形成されていてもよい。
前述のように、本発明の透明導電体10には、第2高屈折率層4上に、透明導電体の導通領域aの光透過性(光学アドミッタンス)を調整する低屈折率層(図示せず)を設けてもよい。低屈折率層は、透明導電体10の導通領域aにのみ形成されていてもよく、透明導電体10の導通領域a及び絶縁領域bの両方に形成されていてもよい。
低屈折率層には、第1高屈折率層2及び第2高屈折率層4に含まれる誘電性材料又は酸化物半導材料の波長570nmの光に対する屈折率より、波長570nmの光に対する屈折率が低い誘電性材料又は酸化物半導体材料が含まれる。低屈折率層に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料における波長570nmの光に対する屈折率は、第1高屈折率層2及び第2高屈折率層4に含まれる上記材料の波長570nmの光に対する屈折率より、それぞれ0.2以上低いことが好ましく、0.4以上低いことがより好ましい。
低屈折率層に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料の波長570nmの光の具体的な屈折率は1.8未満であることが好ましく、より好ましくは1.30〜1.6であり、特に好ましくは1.35〜1.5である。なお、低屈折率層の屈折率は主に、低屈折率層に含まれる材料の屈折率や、低屈折率層に含まれる材料の密度で調整される。
低屈折率層に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料は、MgF2、SiO2、AlF3、CaF2、CeF3、CdF3、LaF3、LiF、NaF、NdF3、YF3、YbF3、Ga2O3、LaAlO3、Na3AlF6、Al2O3、MgO及びThO2等でありうる。誘電性材料又は酸化物半導体材料は中でも、MgF2、SiO2、CaF2、CeF3、LaF3、LiF、NaF、NdF3、Na3AlF6、Al2O3、MgO、又はThO2であることが好ましく、屈折率が低いとの観点から、MgF2及びSiO2が特に好ましい。低屈折率層には、これらの材料が1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。
低屈折率層の厚さは、10〜150nmであることが好ましく、より好ましくは20〜100nmである。低屈折率層の厚さが10nm以上であると、透明導電体表面の光学アドミッタンスが微調整されやすい。一方、低屈折率層の厚さが150nm以下であれば、透明導電体の厚さが薄くなる。低屈折率層の厚さは、エリプソメーターで測定される。
低屈折率層は、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法及び熱CVD法等、一般的な気相成膜法で形成された層であり得る。形成の容易性等の観点から、低屈折率層は、電子ビーム蒸着法又はスパッタ法で形成された層であることが好ましい。
また、低屈折率層がパターニングされた層である場合、パターニング方法は特に制限されない。低屈折率層は、例えば、所望のパターンを有するマスク等を被形成面に配置して、気相形成法でパターン状に形成された層であってもよく;公知のエッチング法でパターニングされた層であってもよい。
[第3高屈折率層]
本発明の透明導電体10には、低屈折率層上にさらに、透明導電体の導通領域aの光透過性(光学アドミッタンス)を調整する第3高屈折率層を設けてもよい。第3高屈折率層は、透明導電体10の導通領域aにのみ形成されていてもよく、透明導電体10の導通領域a及び絶縁領域bの両方に形成されていてもよい。
本発明の透明導電体10には、低屈折率層上にさらに、透明導電体の導通領域aの光透過性(光学アドミッタンス)を調整する第3高屈折率層を設けてもよい。第3高屈折率層は、透明導電体10の導通領域aにのみ形成されていてもよく、透明導電体10の導通領域a及び絶縁領域bの両方に形成されていてもよい。
第3高屈折率層には、前述の透明基板1の屈折率及び前記低屈折率層の屈折率より高い屈折率を有する誘電性材料又は酸化物半導体材料が含まれることが好ましい。
第3高屈折率層に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料の波長570nmの光に対する具体的な屈折率は1.5より大きいことが好ましく、1.7〜2.5であることがより好ましく、さらに好ましくは1.8〜2.5である。誘電性材料又は酸化物半導体材料の屈折率が1.5より大きいと、第3高屈折率層によって、透明導電体10の導通領域aの光学アドミッタンスが十分に調整される。なお、第3高屈折率層の屈折率は、第3高屈折率層に含まれる材料の屈折率や、第3高屈折率層に含まれる材料の密度で調整される。
第3高屈折率層に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料の波長570nmの光に対する具体的な屈折率は1.5より大きいことが好ましく、1.7〜2.5であることがより好ましく、さらに好ましくは1.8〜2.5である。誘電性材料又は酸化物半導体材料の屈折率が1.5より大きいと、第3高屈折率層によって、透明導電体10の導通領域aの光学アドミッタンスが十分に調整される。なお、第3高屈折率層の屈折率は、第3高屈折率層に含まれる材料の屈折率や、第3高屈折率層に含まれる材料の密度で調整される。
第3高屈折率層に含まれる誘電性材料又は酸化物半導体材料は、絶縁性の材料であってもよく、導電性の材料であってもよい。誘電性材料又は酸化物半導体材料は、金属酸化物又はZnSであることが好ましい。金属酸化物の例には、前述の第1高屈折率層2又は第2高屈折率層4に含まれる金属酸化物が含まれる。第3高屈折率層には、当該金属酸化物又はZnSが1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。また、金属酸化物やZnSとともに、SiO2等の誘電性材料が含まれてもよい。
第3高屈折率層の厚さは特に制限されず、好ましくは1〜40nmであり、さらに好ましくは5〜20nmである。第3高屈折率層の厚さが上記範囲であると、透明導電体10の導通領域aの光学アドミッタンスが十分に調整される。第3高屈折率層の厚さは、エリプソメーターで測定される。
第3高屈折率層の形成方法は特に制限されず、第1高屈折率層2や第2高屈折率層4と同様の方法で形成された層でありうる。
≪透明導電体の光学アドミッタンスについて≫
透明導電体の透過領域aの表面(透明導電体において透明基板とは反対側の表面)の反射率Rは、光が入射する媒質の光学アドミッタンスYenvと、透明導電体の透過領域aの表面の等価アドミッタンスYEとから定まる。ここで光が入射する媒質とは、透明導電体に入射する光が、その入射直前に通過する部材又は環境であって;有機樹脂からなる部材、若しくは環境をいう。光が入射する媒質の光学アドミッタンスYenvと、透明導電体の表面の等価アドミッタンスYEとの関係は以下の式で表される。
上記の式に基づけば、|Yenv−YE|が0に近い程、透明導電体(透過領域a)の表面の反射率Rが低くなる。
透明導電体の透過領域aの表面(透明導電体において透明基板とは反対側の表面)の反射率Rは、光が入射する媒質の光学アドミッタンスYenvと、透明導電体の透過領域aの表面の等価アドミッタンスYEとから定まる。ここで光が入射する媒質とは、透明導電体に入射する光が、その入射直前に通過する部材又は環境であって;有機樹脂からなる部材、若しくは環境をいう。光が入射する媒質の光学アドミッタンスYenvと、透明導電体の表面の等価アドミッタンスYEとの関係は以下の式で表される。
前記媒質の光学アドミッタンスYenvは、電場強度と磁場強度との比の値(H/E)から求められ、通常、媒質の屈折率nenvと同一である。一方、透明導電体の透過領域aの表面の等価アドミッタンスYEは、透過領域aを構成する層の光学アドミッタンスYから求められる。例えば透明導電体(透過領域a)が1層からなる場合には、透明導電体の等価アドミッタンスYEは、当該層の光学アドミッタンスY(屈折率)と等しくなる。
一方、透明導電体(透過領域a)が積層体からなる場合、1層目からx層目までの積層体の光学アドミッタンスYx(Ex Hx)は、1層目から(x−1)層目までの積層体の光学アドミッタンスYx−1(Ex−1 Hx−1)と、特定のマトリクスとの積で表され;具体的には以下の式(1)又は式(2)にて求められる。
そして、x層目が最表層であるときの、透明基板から最表層までの積層物の光学アドミッタンスYx(Ex Hx)が、当該透明導電体の等価アドミッタンスYEとなる。
図7に、例えば、透明基板/第1高屈折率層(ZnS−SiO2)/第1硫化防止層(ITO)/透明金属層(Ag)/第2高屈折率層(ZnS−SiO2)を備える透明導電体の導通領域aの波長570nmのアドミッタンス軌跡を示した。グラフの横軸は、当該領域の光学アドミッタンスYをx+iyで表したときの実部;つまり当該式におけるxであり、縦軸は光学アドミッタンスの虚部;つまり当該式におけるyである。なお、上記例の透明導電体では、第1硫化防止層は厚さが十分に薄いため、その光学アドミッタンスは無視できる。
図7において、アドミッタンス軌跡の最終座標が、導通領域aの等価アドミッタンスYEである。そして、等価アドミッタンスYEの座標(xE,yE)と、光が入射する媒質のアドミッタンス座標Yenv(nenv,0)(図示せず)との距離が、透明導電体の導通領域aの表面の反射率Rに比例する。
ここで、本発明の透明導電体では、透明金属層の高屈折率層側の表面の波長570nmにおける光学アドミッタンスをY1(=x1+iy1)とし、透明金属層の中間層側の表面の波長570nmにおける光学アドミッタンスをY2(=x2+iy2)とした場合に、x1及びx2のうちいずれか一方、又は両方が1.6以上であることが好ましい。x1又はx2のうちいずれか一方が、1.6以上であると透明導電体の光透過性が高まりやすい。その理由を以下に説明する。
透明導電体を構成する各層どうしの界面のアドミッタンスYと、各層に存在する電場強度Eとの間には、下記関係式が成り立つ。
上記関係式に基づけば、透明金属層表面の光学アドミッタンスY1及びY2の実数部(x1及びx2)が大きくなれば、透明金属層の電場強度Eが小さくなり、電場損失(光の吸収)が抑制される。すなわち、透明導電体の光透過性が十分に高まる。
したがって、上記x1及びx2のうち、いずれか一方、又は両方が1.6以上であることが好ましく、より好ましくは1.8以上であり、さらに好ましくは2.0以上である。x1及びx2のうち、いずれか一方が1.6以上であればよいが、特にx1が1.6以上であることが好ましい。またx1及びx2は、7.0以下であることが好ましく、より好ましくは5.5以下である。x1は、第1高屈折率層の屈折率や、第1高屈折率層の厚さ等で調整される。x2は、x1の値や透明金属層の屈折率、第一透明金属層の厚さ等によって調整される。例えば、第1高屈折率層の屈折率が高い場合や、第1高屈折率層の厚さがある程度厚い場合には、x1及びx2の値が大きくなりやすい。またx1とx2との差の絶対値(|x1−x2|)は1.5以下であることが好ましく、より好ましくは1.0以下であり、さらに好ましくは0.8以下である。
また、特定波長(本発明では570nm)におけるアドミッタンス軌跡は、グラフの横軸を中心に線対称であることが好ましい。アドミッタンス軌跡が、グラフの横軸を中心に線対称であると、特定波長以外の波長(例えば450nmや700nm)における等価アドミッタンスYEの座標が、一定になりやすく、いずれの波長においても、反射率Rが小さくなる。したがって、上記Y1の虚部の座標y1と、Y2の虚部の座標y2が、y1×y2≦0を満たすことが好ましい。さらに、|y1+y2|が0.8未満であることが好ましく、より好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.3以下である。
さらに、前述のy1が十分に大きいことが好ましい。前述のように、透明金属層の光学アドミッタンスは虚部の値が大きく、アドミッタンス軌跡が縦軸(虚部)方向に大きく移動する。そのため、y1が十分に大きければ、アドミッタンス座標の虚部の絶対値が適切な範囲に収まりやすく、アドミッタンス軌跡が線対称になりやすい。y1は0.2以上であることが好ましく、より好ましくは0.3〜1.5であり、さらに好ましくは0.3〜1.0である。一方、前述のy2は、−0.3〜−2.0であることが好ましく、より好ましくは−0.6〜−1.5である。
一方、導通領域aの波長570nmの光の等価アドミッタンス座標(xE,yE)と、透明導電体の第2高屈折率層側の表面と接する部材若しくは環境(媒質)の波長570nmの光の等価アドミッタンス座標(nenv,0)との距離((xE−nenv)2+(yE)2)0.5)は、0.5未満であることが好ましく、さらに好ましくは0.3以下である。上記距離が0.5未満であれば、導通領域aの表面の反射率Raが十分に小さくなり、導通領域aの光の透過性が高まる。
さらに、透明金属層3がパターニングされている場合には、導通領域aの波長570nmの光の等価アドミッタンス座標(xE,yE)と、絶縁領域bの波長570nmの光の等価アドミッタンス座標((xb,yb)で表す)との距離、((xE−xb)2+(yE−yb)2)0.5)が0.5未満であることが好ましく、より好ましくは0.3以下である。導通領域aの等価アドミッタンスYEの座標と、絶縁領域bの等価アドミッタンスYbの座標とが十分に近くなると、これらのパターンが視認され難くなる。またさらに、|(xenv−xb)2+(Yenv−yb)2−(xenv−xE)2+(Yenv−yE)2|が0.1以下であることが好ましい。当該値を満たすと、導通領域a及び絶縁領域bがいずれも視認され難くなる。
≪透明導電体の物性について≫
本発明の透明導電体の波長400〜800nmの光の平均透過率は、導通領域a及び絶縁領域bのいずれにおいても83%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上であり、さらに好ましくは88%以上である。上記波長範囲における平均透過率が83%以上であると、透明導電体を、可視光に対して高い透明性が要求される用途に適用することができる。
本発明の透明導電体の波長400〜800nmの光の平均透過率は、導通領域a及び絶縁領域bのいずれにおいても83%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上であり、さらに好ましくは88%以上である。上記波長範囲における平均透過率が83%以上であると、透明導電体を、可視光に対して高い透明性が要求される用途に適用することができる。
一方、透明導電体の波長400〜1000nmの光の平均透過率は、導通領域a及び絶縁領域bのいずれにおいても80%以上であることが好ましく、より好ましくは83%以上、さらに好ましくは85%以上である。波長400〜1000nmの光の平均透過率が80%以上であると、広い波長範囲の光に対して透明性が要求される用途、例えば太陽電池用の透明導電膜等にも透明導電体を適用することができる。
一方、透明導電体の波長400〜800nmの光の平均吸収率は、導通領域a及び絶縁領域bのいずれにおいても10%以下であることが好ましく、より好ましくは8%以下であり、さらに好ましくは7%以下である。また、透明導電体の波長400〜800nmの光の吸収率の最大値は、導通領域a及び絶縁領域bのいずれにおいても15%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは9%以下である。一方、透明導電体の波長500〜700nmの光の平均反射率は、導通領域a及び絶縁領域bのいずれにおいても、20%以下であることが好ましく、より好ましくは15%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。透明導電体の平均吸収率及び平均反射率が低いほど、前述の平均透過率が高まる。
上記平均透過率及び平均反射率は、透明導電体の使用環境下での透過率及び反射率であることが好ましい。具体的には、透明導電体が有機樹脂と貼り合わせて使用される場合には、透明導電体上に有機樹脂からなる層を配置して透過率及び反射率を測定することが好ましい。一方、透明導電体が大気中で使用される場合には、大気中での透過率及び反射率を測定することが好ましい。透過率及び反射率は、透明導電体の表面の法線に対して5°傾けた角度から測定光を入射させて分光光度計で測定する。吸収率は、100−(透過率+反射率)の計算式より算出される。
また透明導電体10に導通領域a及び絶縁領域bが含まれる場合、導通領域aの反射率及び絶縁領域bの反射率がそれぞれ近似することが好ましい。具体的には、導通領域aの視感反射率と、絶縁領域bの視感反射率との差ΔRが5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは1%以下であり、特に好ましくは0.3%以下である。一方、導通領域a及び絶縁領域bの視感反射率は、それぞれ5%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。視感反射率は、分光光度計(U4100;日立ハイテクノロジーズ社製)で測定されるY値である。
また透明導電体10に導通領域a及び絶縁領域bが含まれる場合、いずれの領域においても、L*a*b*表色系におけるa*値及びb*値は±30以内であることが好ましく、より好ましくは±5以内であり、さらに好ましくは±3.0以内であり、特に好ましくは±2.0以内である。L*a*b*表色系におけるa*値及びb*値が±30以内であれば、導通領域a及び絶縁領域bのいずれの領域も無色透明に観察される。L*a*b*表色系におけるa*値及びb*値は、分光光度計で測定される。
透明導電体の導通領域aの表面電気抵抗は、50Ω/□以下であることが好ましく、さらに好ましくは30Ω/□以下である。導通領域の表面電気抵抗値が50Ω/□以下である透明導電体は、静電容量方式のタッチパネル用の透明導電パネル等に適用できる。導通領域aの表面電気抵抗値は、透明金属層の厚さ等によって調整される。導通領域aの表面電気抵抗値は、例えばJIS K7194、ASTM D257等に準拠して測定される。また、市販の表面電気抵抗率計によっても測定される。
≪透明導電体の用途≫
前述の透明導電体は、液晶、プラズマ、有機エレクトロルミネッセンス及びフィールドエミッションなど各種方式のディスプレイをはじめ、タッチパネルや携帯電話、電子ペーパー、各種太陽電池及び各種エレクトロルミネッセンス調光素子など様々なオプトエレクトロニクスデバイスの基板等に好ましく用いることができる。
前述の透明導電体は、液晶、プラズマ、有機エレクトロルミネッセンス及びフィールドエミッションなど各種方式のディスプレイをはじめ、タッチパネルや携帯電話、電子ペーパー、各種太陽電池及び各種エレクトロルミネッセンス調光素子など様々なオプトエレクトロニクスデバイスの基板等に好ましく用いることができる。
このとき、透明導電体の表面(例えば、透明基板と反対側の表面)は、接着層等を介して、他の部材と貼り合わせられてもよい。この場合には、前述のように、透明導電体の表面の等価アドミッタンス座標と、接着層のアドミッタンス座標と、がそれぞれ近似することが好ましい。これにより、透明導電体と接着層との界面での反射が抑制される。
一方、透明導電体の表面が空気と接するような構成で使用される場合には、透明導電体の表面のアドミッタンス座標と、空気のアドミッタンス座標と、がそれぞれ近似することが好ましい。これにより、透明導電体と空気との界面での光の反射が抑制される。
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、広帯域反射防止する目的で、透明金属層の上下層の少なくとも一方に高屈折率材料(波長570nmの光に対する屈折率が1.8以上)を用いてもよい。これにより、可視光(450〜700nm)の範囲をほぼ均一で、かつ80%以上の透過率に保つことができる。ただし、この場合の透明金属層の厚さは5〜20nmであることが望ましい。
透明金属層の厚さが5nm以上であると、プラズモン吸収が顕著に増大することを回避でき、人工的に初期成長核を施した上で透明金属層の形成を行い、かつ低温で透明金属層を形成しても充分な透過率を得ることが容易となる。また、透明金属層の厚さが20nm以下であると、実用的な反射率の低減が可能であり、充分な反射防止機能を保つことが容易となる。
望ましくは波長570nmの光に対する屈折率が1.8以上であることであるが、低屈折率、高屈折率を交互に組み合わせることで、どちらか一方の透明金属層の界面におけるアドミッタンス(Y=x1+iy1、Y=x2+iy2)を、x1>1.5又はx2>1.5になるように調整してもよい。
るように調整してもよい。
透明金属層の厚さが5nm以上であると、プラズモン吸収が顕著に増大することを回避でき、人工的に初期成長核を施した上で透明金属層の形成を行い、かつ低温で透明金属層を形成しても充分な透過率を得ることが容易となる。また、透明金属層の厚さが20nm以下であると、実用的な反射率の低減が可能であり、充分な反射防止機能を保つことが容易となる。
望ましくは波長570nmの光に対する屈折率が1.8以上であることであるが、低屈折率、高屈折率を交互に組み合わせることで、どちらか一方の透明金属層の界面におけるアドミッタンス(Y=x1+iy1、Y=x2+iy2)を、x1>1.5又はx2>1.5になるように調整してもよい。
るように調整してもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
本実施例では、図4に示す様なロールtoロール法によって実施例1〜18及び比較例1の透明導電体を作製した。なお、各透明導電体の作製において、積層構成、透明金属層を形成するときの速度及び透明基板の温度、形成方式(蒸着法又はスパッタ法)は、表1に記載のとおりである。
なお、各層を形成する際における透明基板の温度は、事前にサーモラベルで確認し、調節した。また、透明金属層を形成する際の形成速度については、あらかじめ形成時間と透明金属層の厚さとの関係を検量することで算出した。
また、以下に示す屈折率は、全て温度25℃における値である。
本実施例では、図4に示す様なロールtoロール法によって実施例1〜18及び比較例1の透明導電体を作製した。なお、各透明導電体の作製において、積層構成、透明金属層を形成するときの速度及び透明基板の温度、形成方式(蒸着法又はスパッタ法)は、表1に記載のとおりである。
なお、各層を形成する際における透明基板の温度は、事前にサーモラベルで確認し、調節した。また、透明金属層を形成する際の形成速度については、あらかじめ形成時間と透明金属層の厚さとの関係を検量することで算出した。
また、以下に示す屈折率は、全て温度25℃における値である。
[実施例1]
シクロオレフィンポリマー(COP)上(透明基板、波長570nmの光に対する屈折率は1.52)に、下記の層を積層して実施例1の透明導電体を作製した。
なお、各層の形成は、透明基板の温度を30〜35℃に保って行った。
シクロオレフィンポリマー(COP)上(透明基板、波長570nmの光に対する屈折率は1.52)に、下記の層を積層して実施例1の透明導電体を作製した。
なお、各層の形成は、透明基板の温度を30〜35℃に保って行った。
(第1高屈折率層の形成)
厚さ70μmのCOPの片面に、シンクロン製BMC−800T蒸着機を用いて、抵抗加熱でZnS−SiO2からなる第1高屈折率層を40nmの厚さに形成した。このときの投入電流値は210A、形成速度は0.5nm/s(5Å/s)とした。
なお、ZnSとSiO2との比率(モル比)は、80:20であり、第1高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は2.14であった。
厚さ70μmのCOPの片面に、シンクロン製BMC−800T蒸着機を用いて、抵抗加熱でZnS−SiO2からなる第1高屈折率層を40nmの厚さに形成した。このときの投入電流値は210A、形成速度は0.5nm/s(5Å/s)とした。
なお、ZnSとSiO2との比率(モル比)は、80:20であり、第1高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は2.14であった。
(第1硫化防止層の形成)
第1高屈折率層上に、シンクロン製BMC−800T蒸着機を用いて、抵抗加熱でZnOからなる第1硫化防止層を1nmの厚さに形成した。このときの投入電流値は210A、形成速度は0.5nm/s(5Å/s)とした。
第1高屈折率層上に、シンクロン製BMC−800T蒸着機を用いて、抵抗加熱でZnOからなる第1硫化防止層を1nmの厚さに形成した。このときの投入電流値は210A、形成速度は0.5nm/s(5Å/s)とした。
(透明金属層の形成)
第1硫化防止層上に、シンクロン製BMC−800T蒸着機を用いて、抵抗加熱でAgからなる透明金属層を7nmの厚さに形成した。このときの投入電流値は210A、形成速度は1.2nm/s(12Å/s)とした。
第1硫化防止層上に、シンクロン製BMC−800T蒸着機を用いて、抵抗加熱でAgからなる透明金属層を7nmの厚さに形成した。このときの投入電流値は210A、形成速度は1.2nm/s(12Å/s)とした。
(第2硫化防止層の形成)
透明金属層上に、シンクロン製BMC−800T蒸着機を用いて、抵抗加熱でZnOからなる第2硫化防止層を1nmの厚さに形成した。このときの投入電流値は210A、形成速度は0.5nm/s(5Å/s)とした。
透明金属層上に、シンクロン製BMC−800T蒸着機を用いて、抵抗加熱でZnOからなる第2硫化防止層を1nmの厚さに形成した。このときの投入電流値は210A、形成速度は0.5nm/s(5Å/s)とした。
(第2高屈折率層の形成)
第2硫化防止層上に、シンクロン製BMC−800T蒸着機を用いて、抵抗加熱でZnS−SiO2からなる第2高屈折率層を40nmの厚さに形成した。このときの投入電流値は210A、形成速度は0.5nm/s(5Å/s)とした。なお、波長570nmの光に対する屈折率は、第1高屈折率層と同値である。
第2硫化防止層上に、シンクロン製BMC−800T蒸着機を用いて、抵抗加熱でZnS−SiO2からなる第2高屈折率層を40nmの厚さに形成した。このときの投入電流値は210A、形成速度は0.5nm/s(5Å/s)とした。なお、波長570nmの光に対する屈折率は、第1高屈折率層と同値である。
[実施例2及び実施例3]
各層を形成する際の透明基板の温度を表1に記載のようにしたほかは、実施例1の透明導電体と同様にして、実施例2及び実施例3の透明導電体を作製した。なお、第1高屈折率層及び第2高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は、実施例1と同値である。
各層を形成する際の透明基板の温度を表1に記載のようにしたほかは、実施例1の透明導電体と同様にして、実施例2及び実施例3の透明導電体を作製した。なお、第1高屈折率層及び第2高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は、実施例1と同値である。
[実施例4]
透明基板としてポリエチレンテレフタレート(PET、波長570nmの光に対する屈折率は1.64)を使用し、このPET上に、下記の層を積層して実施例4の透明導電体を作製した。
なお、各層の形成は、アネルバ社製のSPW−060を用い、透明基板の温度を35〜40℃に保って、厚さ70μmのPETの片面に行った。
透明基板としてポリエチレンテレフタレート(PET、波長570nmの光に対する屈折率は1.64)を使用し、このPET上に、下記の層を積層して実施例4の透明導電体を作製した。
なお、各層の形成は、アネルバ社製のSPW−060を用い、透明基板の温度を35〜40℃に保って、厚さ70μmのPETの片面に行った。
(第1高屈折率層の形成)
まず、スパッタ装置の真空チャンバーを1×10−3Paの高真空まで排気した。その後、スパッタガスとしてArを用いスパッタ圧を0.3Paとし、室温下、ターゲット側電力1.85W/cm2、形成速度0.2nm/s(2.0Å/s)でZnS−SiO2をDCスパッタし、第1高屈折率層を厚さ40nmで形成した。ターゲット−基板間距離は86mmであった。なお、第1高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は、実施例1と同値である。
まず、スパッタ装置の真空チャンバーを1×10−3Paの高真空まで排気した。その後、スパッタガスとしてArを用いスパッタ圧を0.3Paとし、室温下、ターゲット側電力1.85W/cm2、形成速度0.2nm/s(2.0Å/s)でZnS−SiO2をDCスパッタし、第1高屈折率層を厚さ40nmで形成した。ターゲット−基板間距離は86mmであった。なお、第1高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は、実施例1と同値である。
(透明金属層の形成)
次に、第1高屈折率層上に、スパッタガスとしてArを用いスパッタ圧を0.5Paとし、室温下、ターゲット側電力1.85W/cm2、形成速度1.2nm/s(12Å/s)でAgをDCスパッタし、透明金属層を厚さ7nmで形成した。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
次に、第1高屈折率層上に、スパッタガスとしてArを用いスパッタ圧を0.5Paとし、室温下、ターゲット側電力1.85W/cm2、形成速度1.2nm/s(12Å/s)でAgをDCスパッタし、透明金属層を厚さ7nmで形成した。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
(第2硫化防止層の形成)
透明金属層上に、スパッタガスとしてArを用いスパッタ圧を0.1Paとし、室温下、ターゲット側電力1.85W/cm2、形成速度0.11nm/s(1.1Å/s)でZnOをDCスパッタし、第2硫化防止層を厚さ0.5nmで形成した。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
透明金属層上に、スパッタガスとしてArを用いスパッタ圧を0.1Paとし、室温下、ターゲット側電力1.85W/cm2、形成速度0.11nm/s(1.1Å/s)でZnOをDCスパッタし、第2硫化防止層を厚さ0.5nmで形成した。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
(第2高屈折率層の形成)
第2硫化防止層上に、スパッタガスとしてArを用いスパッタ圧を0.3Paとし、室温下、ターゲット側電力1.85W/cm2、形成速度0.2nm/s(2.0Å/s)でZnS−SiO2をDCスパッタし、第2高屈折率層を厚さ40nmで形成した。ターゲット−基板間距離は86mmであった。なお、第2高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は、実施例1と同値である。
第2硫化防止層上に、スパッタガスとしてArを用いスパッタ圧を0.3Paとし、室温下、ターゲット側電力1.85W/cm2、形成速度0.2nm/s(2.0Å/s)でZnS−SiO2をDCスパッタし、第2高屈折率層を厚さ40nmで形成した。ターゲット−基板間距離は86mmであった。なお、第2高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は、実施例1と同値である。
[実施例5及び実施例6]
透明金属層の形成速度を表2に記載のようになるようターゲット側電力を調整したほかは、実施例4と同様にして、実施例5及び実施例6の透明導電体を作製した。なお、第1高屈折率層及び第2高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は、実施例1と同値である。
透明金属層の形成速度を表2に記載のようになるようターゲット側電力を調整したほかは、実施例4と同様にして、実施例5及び実施例6の透明導電体を作製した。なお、第1高屈折率層及び第2高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は、実施例1と同値である。
[実施例7]
第1硫化防止層は形成せず、透明基板としてガラスフィルム(透明基板、波長570nmの光に対する屈折率は1.52)、第1高屈折率層及び第2高屈折率層としてZnS−TiO2、透明金属層としてAg合金(Ag中にAuが1.5原子%、Cuが0.5原子%含まれる合金)、第2硫化防止層としてIGZOを使用し、各層の厚さ及び各層を形成する際の透明基板の温度を表1のようにしたほかは、実施例1と同様にして実施例7の透明導電体を作製した。
なお、ZnS−TiO2におけるZnSとTiO2との比率(モル比)は、80:20であり、第1高屈折率層及び第2高屈折率層の屈折率は2.18であった。
第1硫化防止層は形成せず、透明基板としてガラスフィルム(透明基板、波長570nmの光に対する屈折率は1.52)、第1高屈折率層及び第2高屈折率層としてZnS−TiO2、透明金属層としてAg合金(Ag中にAuが1.5原子%、Cuが0.5原子%含まれる合金)、第2硫化防止層としてIGZOを使用し、各層の厚さ及び各層を形成する際の透明基板の温度を表1のようにしたほかは、実施例1と同様にして実施例7の透明導電体を作製した。
なお、ZnS−TiO2におけるZnSとTiO2との比率(モル比)は、80:20であり、第1高屈折率層及び第2高屈折率層の屈折率は2.18であった。
[実施例8]
第2硫化防止層は形成せず第1硫化防止層を下記のようにして形成し、透明基板として厚さ70μmのセルローストリアセテート(TAC、波長570nmの光に対する屈折率は1.49)、第1高屈折率層としてZnS−ZnO、透明金属層としてAg合金(Ag中にAuが1.5原子%、Cuが0.5原子%含まれる合金)及び第2高屈折率層としてIGZOを使用し、各層の厚さ及び各層を形成する際の透明基板の温度を表1のようにしたほかは、実施例4と同様にして実施例8の透明導電体を作製した。
なお、ZnS−ZnOにおけるZnSとZnOとの比率(モル比)は、80:20であり、第1高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は2.16であった。また、第2高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は2.09であった。
第2硫化防止層は形成せず第1硫化防止層を下記のようにして形成し、透明基板として厚さ70μmのセルローストリアセテート(TAC、波長570nmの光に対する屈折率は1.49)、第1高屈折率層としてZnS−ZnO、透明金属層としてAg合金(Ag中にAuが1.5原子%、Cuが0.5原子%含まれる合金)及び第2高屈折率層としてIGZOを使用し、各層の厚さ及び各層を形成する際の透明基板の温度を表1のようにしたほかは、実施例4と同様にして実施例8の透明導電体を作製した。
なお、ZnS−ZnOにおけるZnSとZnOとの比率(モル比)は、80:20であり、第1高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は2.16であった。また、第2高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は2.09であった。
(第1硫化防止層の形成)
第1高屈折率層上に、スパッタガスとしてArを用いスパッタ圧を0.1Paとし、室温下、ターゲット側電力1.85W/cm2、形成速度0.11nm/s(1.1Å/s)でZnOをDCスパッタすることで、TACの片面に、第1硫化防止層を厚さ1nmで形成した。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
第1高屈折率層上に、スパッタガスとしてArを用いスパッタ圧を0.1Paとし、室温下、ターゲット側電力1.85W/cm2、形成速度0.11nm/s(1.1Å/s)でZnOをDCスパッタすることで、TACの片面に、第1硫化防止層を厚さ1nmで形成した。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
[実施例9]
透明基板として厚さ70μmのポリカーボネートフィルム(PC、波長570nmの光に対する屈折率は1.59)、第1高屈折率層としてZnS−Ga2O3並びに第1硫化防止層及び第2高屈折率層としてGZOを使用し、各層の厚さを表1のようにしたほかは、実施例8と同様にして実施例9の透明導電体を作製した。
なお、ZnS−Ga2O3におけるZnSとGa2O3との比率(モル比)は、80:20であり、第1高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は2.17であった。また、第2高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は2.08であった。
透明基板として厚さ70μmのポリカーボネートフィルム(PC、波長570nmの光に対する屈折率は1.59)、第1高屈折率層としてZnS−Ga2O3並びに第1硫化防止層及び第2高屈折率層としてGZOを使用し、各層の厚さを表1のようにしたほかは、実施例8と同様にして実施例9の透明導電体を作製した。
なお、ZnS−Ga2O3におけるZnSとGa2O3との比率(モル比)は、80:20であり、第1高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は2.17であった。また、第2高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は2.08であった。
[実施例10]
透明金属層を形成する際のスパッタガスをクリプトン(Kr)としたほかは、実施例4と同様にして実施例10の透明導電体を作製した。なお、第1高屈折率層及び第2高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は、実施例1と同値である。
透明金属層を形成する際のスパッタガスをクリプトン(Kr)としたほかは、実施例4と同様にして実施例10の透明導電体を作製した。なお、第1高屈折率層及び第2高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は、実施例1と同値である。
[実施例11]
透明金属層を形成する際の形成速度が0.1nm/s(1Å/s)になるようターゲット側電力を調整したほかは、実施例4と同様にして実施例11の透明導電体を作製した。なお、第1高屈折率層及び第2高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は、実施例1と同値である。
透明金属層を形成する際の形成速度が0.1nm/s(1Å/s)になるようターゲット側電力を調整したほかは、実施例4と同様にして実施例11の透明導電体を作製した。なお、第1高屈折率層及び第2高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は、実施例1と同値である。
[実施例12]
第2硫化防止層を、酸素ガスを導入した雰囲気条件の下で形成した。具体的には、当該第2硫化防止層を形成する際のスパッタガスとしてAr及びO2(流量比Ar:O2=10:1)を投入しスパッタ圧を0.1Paとし、第2硫化防止層としてZnOのかわりにITOをDCスパッタして10nmの厚さの層を形成したほかは、実施例4と同様にして実施例12の透明導電体を作製した。なお、第1高屈折率層及び第2高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は、実施例1と同値である。
第2硫化防止層を、酸素ガスを導入した雰囲気条件の下で形成した。具体的には、当該第2硫化防止層を形成する際のスパッタガスとしてAr及びO2(流量比Ar:O2=10:1)を投入しスパッタ圧を0.1Paとし、第2硫化防止層としてZnOのかわりにITOをDCスパッタして10nmの厚さの層を形成したほかは、実施例4と同様にして実施例12の透明導電体を作製した。なお、第1高屈折率層及び第2高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は、実施例1と同値である。
[実施例13]
各層を形成する際の透明基板の温度を表1に記載のようにしたほかは、実施例1の透明導電体と同様にして、実施例13の透明導電体を作製した。なお、第1高屈折率層及び第2高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は、実施例1と同値である。
各層を形成する際の透明基板の温度を表1に記載のようにしたほかは、実施例1の透明導電体と同様にして、実施例13の透明導電体を作製した。なお、第1高屈折率層及び第2高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は、実施例1と同値である。
[実施例14]
透明金属層の形成速度を表1に記載のようになるようターゲット側電力を調整したほかは、実施例4と同様にして、実施例14の透明導電体を作製した。なお、第1高屈折率層及び第2高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は、実施例1と同値である。
透明金属層の形成速度を表1に記載のようになるようターゲット側電力を調整したほかは、実施例4と同様にして、実施例14の透明導電体を作製した。なお、第1高屈折率層及び第2高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は、実施例1と同値である。
[実施例15]
透明基板としてPETを使用し、各層の形成をFTSコーポレーション社の対向ターゲット式スパッタ装置を用いて形成したほかは、実施例4と同様にして、実施例15の透明導電体を作製した。なお、第1高屈折率層及び第2高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は、実施例1と同値である。
透明基板としてPETを使用し、各層の形成をFTSコーポレーション社の対向ターゲット式スパッタ装置を用いて形成したほかは、実施例4と同様にして、実施例15の透明導電体を作製した。なお、第1高屈折率層及び第2高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は、実施例1と同値である。
[実施例16]
第1硫化防止層は形成せず、透明基板として株式会社きもと製のクリアハードコート付きポリエチレンテレフタレートフィルムG1SBF(表1では「PET/CHC」と称する。波長570nmの光に対する屈折率は1.59)を厚さ70μm、第1高屈折率層及び第2高屈折率層としてZnS、第2硫化防止層としてGZOを使用し、各層の厚さ及び各層を形成する際の透明基板の温度を表1のようにしたほかは、実施例1と同様にして実施例16の透明導電体を作製した。
なお、第1高屈折率層及び第2高屈折率層の屈折率は2.34であった。
第1硫化防止層は形成せず、透明基板として株式会社きもと製のクリアハードコート付きポリエチレンテレフタレートフィルムG1SBF(表1では「PET/CHC」と称する。波長570nmの光に対する屈折率は1.59)を厚さ70μm、第1高屈折率層及び第2高屈折率層としてZnS、第2硫化防止層としてGZOを使用し、各層の厚さ及び各層を形成する際の透明基板の温度を表1のようにしたほかは、実施例1と同様にして実施例16の透明導電体を作製した。
なお、第1高屈折率層及び第2高屈折率層の屈折率は2.34であった。
[実施例17]
第1硫化防止層は形成せず、透明基板として厚さ70μmの上記PET/CHC、第2硫化防止層としてGZOを使用し、各層の厚さ及び各層を形成する際の透明基板の温度を表1のようにしたほかは、実施例1と同様にして実施例17の透明導電体を作製した。
なお、第1高屈折率層及び第2高屈折率層の屈折率は、実施例1と同値である。
第1硫化防止層は形成せず、透明基板として厚さ70μmの上記PET/CHC、第2硫化防止層としてGZOを使用し、各層の厚さ及び各層を形成する際の透明基板の温度を表1のようにしたほかは、実施例1と同様にして実施例17の透明導電体を作製した。
なお、第1高屈折率層及び第2高屈折率層の屈折率は、実施例1と同値である。
[実施例18]
第1硫化防止層を下記のようにして形成し、透明基板として厚さ70μmの上記PET/CHC、第1高屈折率層としてZnS、第2硫化防止層としてGZO及び第2高屈折率層としてITOを使用し、各層の厚さ及び各層を形成する際の透明基板の温度を表1のようにしたほかは、実施例4と同様にして実施例18の透明導電体を作製した。
なお、第2高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は2.10であった。
第1硫化防止層を下記のようにして形成し、透明基板として厚さ70μmの上記PET/CHC、第1高屈折率層としてZnS、第2硫化防止層としてGZO及び第2高屈折率層としてITOを使用し、各層の厚さ及び各層を形成する際の透明基板の温度を表1のようにしたほかは、実施例4と同様にして実施例18の透明導電体を作製した。
なお、第2高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は2.10であった。
(第1硫化防止層の形成)
第1高屈折率層上に、スパッタガスとしてArを用いスパッタ圧を0.1Paとし、室温下、ターゲット側電力1.85W/cm2、形成速度0.11nm/s(1.1Å/s)でGZOをDCスパッタし、第1硫化防止層を厚さ1nmで形成した。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
第1高屈折率層上に、スパッタガスとしてArを用いスパッタ圧を0.1Paとし、室温下、ターゲット側電力1.85W/cm2、形成速度0.11nm/s(1.1Å/s)でGZOをDCスパッタし、第1硫化防止層を厚さ1nmで形成した。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
[比較例1]
各層を形成する際の透明基板の温度を表1に記載のようにしたほかは、実施例1と同様にして比較例1の透明導電体を作製した。なお、第1高屈折率層及び第2高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は、実施例1と同値である。
各層を形成する際の透明基板の温度を表1に記載のようにしたほかは、実施例1と同様にして比較例1の透明導電体を作製した。なお、第1高屈折率層及び第2高屈折率層の波長570nmの光に対する屈折率は、実施例1と同値である。
(光の透過率、光の吸収率の測定)
上記作製した各透明導電体について、以下のように光の透過率及び光の吸収率を測定した。
各実施例で得られた透明導電体の第2高屈折率層側の表面に、マッチングオイル(ニコン社製 屈折率=1.52)を塗布した。そして、透明導電体とコーニング社製無アルカリガラス基板(EAGLE XG(厚さ7mm×縦30mm×横30mm)とを貼り合わせた。そして、無アルカリガラス基板側から、透明導電体の透過率及び反射率を測定した。このとき、無アルカリガラス基板の表面の法線に対して、5°傾けた角度から、導通領域に測定光(例えば、波長400〜800nmの光)を入射させ、日立ハイテクノロジーズ社製:分光光度計 U4100にて、光の透過率及び反射率を測定した。そして、光の吸収率は、100−(透過率+反射率)の計算式より算出した。結果を表2に示す。
なお、表2の透過率は空気-無アルカリガラスの界面で損失する表面反射率、及び透明導電体基材−空気の界面で損失する表面反射率を差し引いた透過率(内部透過率に相当する。)の値を記載した。
上記作製した各透明導電体について、以下のように光の透過率及び光の吸収率を測定した。
各実施例で得られた透明導電体の第2高屈折率層側の表面に、マッチングオイル(ニコン社製 屈折率=1.52)を塗布した。そして、透明導電体とコーニング社製無アルカリガラス基板(EAGLE XG(厚さ7mm×縦30mm×横30mm)とを貼り合わせた。そして、無アルカリガラス基板側から、透明導電体の透過率及び反射率を測定した。このとき、無アルカリガラス基板の表面の法線に対して、5°傾けた角度から、導通領域に測定光(例えば、波長400〜800nmの光)を入射させ、日立ハイテクノロジーズ社製:分光光度計 U4100にて、光の透過率及び反射率を測定した。そして、光の吸収率は、100−(透過率+反射率)の計算式より算出した。結果を表2に示す。
なお、表2の透過率は空気-無アルカリガラスの界面で損失する表面反射率、及び透明導電体基材−空気の界面で損失する表面反射率を差し引いた透過率(内部透過率に相当する。)の値を記載した。
(シート抵抗値の測定)
上記作製した各透明導電体について、抵抗率計(三菱化学アナリテック社製ロレスタEP MCP−T360)を用い、4端子4探針法定電流印加方式でシート抵抗値(Ω/□)の測定を行った。結果を表2に示す。
上記作製した各透明導電体について、抵抗率計(三菱化学アナリテック社製ロレスタEP MCP−T360)を用い、4端子4探針法定電流印加方式でシート抵抗値(Ω/□)の測定を行った。結果を表2に示す。
(まとめ)
表2に示されるように、各実施例の透明導電体は、透過率が80%以上、光の吸収率が15%以下、シート抵抗値は、25Ω/□以下であり、いずれも比較例1の透明導電体よりも良好である。
特に、透明金属層の形成速度が0.3nm/s(3Å/s)以上である実施例1〜実施例10及び実施例12〜実施例18は、光の吸収率が10%以下、シート抵抗値は20Ω/□以下であり、実施例11に比べ、さらに良好になることが示された。
表2に示されるように、各実施例の透明導電体は、透過率が80%以上、光の吸収率が15%以下、シート抵抗値は、25Ω/□以下であり、いずれも比較例1の透明導電体よりも良好である。
特に、透明金属層の形成速度が0.3nm/s(3Å/s)以上である実施例1〜実施例10及び実施例12〜実施例18は、光の吸収率が10%以下、シート抵抗値は20Ω/□以下であり、実施例11に比べ、さらに良好になることが示された。
また、透明基板の温度又は形成速度と光の吸収率との関係を図8及び図9に示した。
図8は、透明金属層を形成する際の透明基板の温度と光の吸収率との関係を示すグラフである。
図9は、透明金属層を形成する際の形成速度と光の吸収率とを示すグラフである。
上述の結果より、本発明の透明導電体は、良好な光の吸収率を得られることが示された。
また、図8の結果から、本発明の透明導電体の製造方法において、透明基板の温度は、65℃以下に保ちながら、透明金属層を形成するのであれば、当該透明基板の温度は低いほど透明導電体の光の吸収率が良好になることが推察される。
さらに、図9の結果から、本発明の透明導電体の製造方法において、透明金属層を形成する際の形成速度は、大きいほど、透明導電体の光の吸収率が良好になることが推察される。
図8は、透明金属層を形成する際の透明基板の温度と光の吸収率との関係を示すグラフである。
図9は、透明金属層を形成する際の形成速度と光の吸収率とを示すグラフである。
上述の結果より、本発明の透明導電体は、良好な光の吸収率を得られることが示された。
また、図8の結果から、本発明の透明導電体の製造方法において、透明基板の温度は、65℃以下に保ちながら、透明金属層を形成するのであれば、当該透明基板の温度は低いほど透明導電体の光の吸収率が良好になることが推察される。
さらに、図9の結果から、本発明の透明導電体の製造方法において、透明金属層を形成する際の形成速度は、大きいほど、透明導電体の光の吸収率が良好になることが推察される。
以上のように、本発明は、光の吸収が低減し、可視光領域の光の反射が防止され、低抵抗な透明導電体を製造する方法及び透明導電体を提供することに適している。
1 透明基板
2 第1高屈折率層(硫化亜鉛含有層)
3 透明金属層
4 第2高屈折率層(硫化亜鉛含有層)
5 硫化防止層
5a 第1硫化防止層
5b 第2硫化防止層
10 透明導電体
2 第1高屈折率層(硫化亜鉛含有層)
3 透明金属層
4 第2高屈折率層(硫化亜鉛含有層)
5 硫化防止層
5a 第1硫化防止層
5b 第2硫化防止層
10 透明導電体
Claims (8)
- 少なくとも、透明基板、第1高屈折率層、透明金属層及び第2高屈折率層とをこの順に有する透明導電体をロールtoロール法により製造する透明導電体の製造方法であって、
前記透明基板の温度を65℃以下に保ちながら、前記透明金属層を形成する工程を有することを特徴とする透明導電体の製造方法。 - 波長570nmの光に対して、前記透明基板より大きい屈折率を有する誘電性材料又は酸化物半導体材料を含有し、かつ、前記第1高屈折率層及び前記第2高屈折率層のいずれか一方の層を硫化亜鉛(ZnS)を含有する硫化亜鉛含有層として、前記第1高屈折率層及び前記第2高屈折率層を形成する工程をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の透明導電体の製造方法。
- 前記透明金属層と前記硫化亜鉛含有層との間に、金属酸化物、金属フッ化物、金属窒化物及び亜鉛(Zn)から選ばれる少なくとも1種を含有する硫化防止層を形成する工程をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の透明導電体の製造方法。
- 前記硫化防止層を形成する工程が、前記透明金属層の前記透明基板とは反対側の表面に、真空下、かつ酸素ガスを導入しない雰囲気条件下において、前記金属酸化物を含有する前記硫化防止層を形成する工程であることを特徴とする請求項3に記載の透明導電体の製造方法。
- 前記透明金属層を形成する際の、形成速度が0.3nm/s(3Å/s)以上であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の透明導電体の製造方法。
- 前記透明金属層を形成する工程において、スパッタガスとして、クリプトン又はキセノンを使用することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の透明導電体の製造方法。
- 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の透明導電体の製造方法により製造された透明導電体であって、
前記第1高屈折率層及び前記第2高屈折率層が、波長570nmの光に対して、前記透明基板より大きい屈折率を有する誘電性材料又は酸化物半導体材料を含有し、かつ、前記第1高屈折率層及び前記第2高屈折率層のいずれか一方の層が硫化亜鉛(ZnS)を含有する硫化亜鉛含有層であり、さらに、
前記透明金属層と前記硫化亜鉛含有層との間に、金属酸化物、金属フッ化物、金属窒化物及び亜鉛(Zn)から選ばれる少なくとも1種を含有する硫化防止層を有することを特徴とする透明導電体。 - 前記硫化防止層が、少なくとも前記金属酸化物として酸化亜鉛(ZnO)を含有することを特徴とする請求項7に記載の透明導電体。
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