JPWO2015099129A1 - 水素製造方法及び水素製造装置 - Google Patents

水素製造方法及び水素製造装置 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2015099129A1
JPWO2015099129A1 JP2015555048A JP2015555048A JPWO2015099129A1 JP WO2015099129 A1 JPWO2015099129 A1 JP WO2015099129A1 JP 2015555048 A JP2015555048 A JP 2015555048A JP 2015555048 A JP2015555048 A JP 2015555048A JP WO2015099129 A1 JPWO2015099129 A1 JP WO2015099129A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aluminum
hydrogen
sheet
reaction
hydrogen production
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015555048A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6175604B2 (ja
Inventor
平尾 一之
一之 平尾
浩二 永嶋
浩二 永嶋
石坂 整
整 石坂
一夫 岡田
一夫 岡田
崇 佐伯
崇 佐伯
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
RAPPORTO ENERGY CORPORATION
Rohm Co Ltd
Kyoto University
Aquafairy Corp
Original Assignee
RAPPORTO ENERGY CORPORATION
Rohm Co Ltd
Kyoto University
Aquafairy Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by RAPPORTO ENERGY CORPORATION, Rohm Co Ltd, Kyoto University, Aquafairy Corp filed Critical RAPPORTO ENERGY CORPORATION
Publication of JPWO2015099129A1 publication Critical patent/JPWO2015099129A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6175604B2 publication Critical patent/JP6175604B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B3/00Hydrogen; Gaseous mixtures containing hydrogen; Separation of hydrogen from mixtures containing it; Purification of hydrogen
    • C01B3/02Production of hydrogen or of gaseous mixtures containing a substantial proportion of hydrogen
    • C01B3/06Production of hydrogen or of gaseous mixtures containing a substantial proportion of hydrogen by reaction of inorganic compounds containing electro-positively bound hydrogen, e.g. water, acids, bases, ammonia, with inorganic reducing agents
    • C01B3/08Production of hydrogen or of gaseous mixtures containing a substantial proportion of hydrogen by reaction of inorganic compounds containing electro-positively bound hydrogen, e.g. water, acids, bases, ammonia, with inorganic reducing agents with metals
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
    • B01J7/00Apparatus for generating gases
    • B01J7/02Apparatus for generating gases by wet methods
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/36Hydrogen production from non-carbon containing sources, e.g. by water electrolysis

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)
  • Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)

Abstract

本発明は、水とアルミニウムの反応を利用した水素製造方法及び装置において、水素の総発生量を低下させることなく長時間継続して水素を発生させることができる水素製造方法及び水素製造装置を提供することを目的とする。本発明の一実施形態に係る水素製造装置1は、容器3内に配置されたシート状アルミニウム5と該容器3内に収容された水酸化カルシウム7とを有している。上記構成の水素製造装置1では、容器3内に水を加え、水酸化カルシウム7を溶かして水溶液として該水溶液にシート状アルミニウム5を浸漬させる。これにより、水素発生反応が開始され、水素ガスが発生する。この場合、シート状アルミニウム5の面積や厚さを調整することにより、水素ガスの発生量や発生速度、発生時間を調整することができる。

Description

本発明は、燃料電池の燃料等に利用される水素の製造方法及び装置に関し、特に、アルミニウムと水との反応を利用した水素製造方法及び水素製造装置に関する。
燃料電池は、水素と酸素の化学反応により電力を取り出す発電装置の一つであり、既存の発電装置に比べると発電効率が非常に高く、騒音や振動が少ない。また、環境汚染物質をほとんど排出しないことから、ノートパソコン・携帯電話等の携帯機器、家電製品、自動車等の様々な分野での利用が期待されている。このような燃料電池においては、燃料となる水素ガスの生産効率の向上が課題の一つとなっている。
例えば、特許文献1には、粒子状のアルミニウムと水酸化カルシウムを含む水素発生剤を水と接触させることにより水素ガスを発生させる方法が開示されている。この方法では、アルミニウムと水との反応により粒子表面に形成される不溶層(アルミ酸化物又はアルミ水酸化物の不動態層)を水酸化カルシウムによって可溶化して未反応のアルミニウム金属面を形成することにより、水素の発生効率を高めている。
特開2013-6734号公報
上記方法では、不溶層の形成を抑えて水素ガスの総発生量を増加させるためには、アルミニウムの粒径を小さくして比表面積(表面積/体積)を大きくすることが望ましい。ところが、アルミニウムの粒径を小さくすると水との反応が急激に進行するため、短時間で反応が終了してしましまう。しかも、粒径が150μm以下のアルミニウム粉末は消防法において危険物(第一種可燃性固体(危険等級II))として指定されており(危険物の規制に関する政令第1条の11、別表第三)、取り扱い量によっては届出が必要となるという問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、水とアルミニウムの反応を利用した水素製造方法及び装置において、水素の総発生量を低下させることなく長時間継続して水素を発生させることができ、しかも、水素を発生させるための材料の取り扱いが容易な水素製造方法及び水素製造装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、シート状のアルミニウムを水素発生の材料として用いることにより、水素の発生反応を長時間持続させることができるだけでなく、危険物の指定の枠から外せることを見出し、本発明に至った。
すなわち、上記課題を解決するために成された本発明の第1の態様に係る水素製造方法は、
水酸化カルシウムを水に溶解させて水溶液を作製し、
該水溶液に総表面積が150cm〜3000cmの範囲にあるシート状アルミニウムを浸漬させることにより水素ガスを発生させることを特徴とする。
ここで、「総表面積」とは、シート状アルミニウムが前記水溶液と接触して水素ガスの発生反応に寄与する面積を指し、シート状アルミニウムが複数枚の場合は、各シート状アルミニウムの表面積を合算したものを「総表面積」という。但し、シート状アルミニウムの厚さが非常に小さい場合は、該シート状アルミニウムの表面積は面積の2倍で近似できる。
上記構成においては、厚さの異なる複数種のシート状アルミニウムを用意し、
水素ガスの発生量に応じた厚さのシート状アルミニウムを選択し、前記水溶液に浸漬させて水素ガスを発生させるようにすると、所望の量の水素ガスを得ることができる。この場合、厚さが6.5μm〜100μmのシート状アルミニウムを用いるとよい。
さらに、予め求めたシート状アルミニウムの厚さと水素発生量の相関関係に基づいて水素ガスの発生量に応じた適宜の厚さのシート状アルミニウムを選択するようにすると良い。
また、本発明の第2態様に係る水素製造装置は、
a) 水が収容される容器と、
b) 前記容器内に配置された、総表面積が150cm〜3000cmの範囲にあるシート状アルミニウムと、
c) 前記容器内に収容された固体状の水酸化カルシウムと
を備えることを特徴とする。
上記構成の水素製造装置においては、容器内に水を加え、水酸化カルシウムを溶かして水溶液として該水溶液にシート状アルミニウムを浸漬させる。これにより、水素発生反応が開始され、水素ガスが発生する。このとき、水酸化カルシウムは水に対して難溶性のため、容器内に収容された固体状の水酸化カルシウムは完全に溶解するわけではなく、一部が溶解する。
この場合、前記容器が、複数枚のシート状アルミニウムを互いに離間した状態で保持可能な保持部を備えるようにすれば、水素ガスの発生量に応じた枚数のシート状アルミニウム、あるいは水素ガスの発生量に応じた厚さのシート状アルミニウムを前記保持部に保持させることができる。
アルミニウムと水との反応を利用した水素製造方法及び水素製造装置において通常用いられていた粒状のアルミニウムに代えてシート状アルミニウムを用いることにより、長時間継続して水素ガスを発生させることができる。しかも、総表面積が150cm〜3000cmのシート状アルミニウム、特に、厚さが6.5μm〜100μmのシート状アルミニウムを用いたため、水素発生反応が途中で停止することを防止することができ、水素発生効率を向上することができる。
本発明の第一実施形態に係る水素製造装置の概略構成図。 参考実験1の結果である、アルミニウム粒子の直径と総水素発生量の関係を示すグラフ。 アルミニウムと水との反応機構の説明図。 参考実験2の結果である、添加剤と収率との関係を示すグラフ。 実施例1の結果である、総水素発生量と水素発生速度の時間的変化を示すグラフ。 実施例2の結果である、シート状アルミニウム(アルミ箔)の厚さを変えたときの水素発生速度の時間的変化を示すグラフ。 アルミ箔の厚さと水素の発生率の関係を示すグラフ。 アルミ箔の厚さと単位面積あたりの水素発生量の関係を示すグラフ。 実施例3の結果である、水素発生速度の時間的変化を示すグラフ。 図9の反応開始初期における水素発生速度の時間的変化を拡大して示すグラフ。 厚さ100μmと300μmのアルミ箔の水素発生速度の時間的変化を示すグラフ。 アルミ箔の厚さと水素発生時間の関係を示すグラフ。 異なる厚さのアルミ箔における、水素発生速度とpHの時間的変化を示すグラフ。 反応温度を変えて行った実施例4における水素ガスの発生速度の時間的変化を示すグラフ。 反応終了後のアルミ箔の状態を示す写真。 X線構造解析結果を示す図。 反応後のアルミ箔のSEM画像。 実施例5の結果を示す、水素発生速度の時間的変化を示すグラフ。 面積と水素発生速度の関係を示すグラフ。 本発明の第二実施形態に係る水素製造装置の概略構成図。 同水素製造装置のフォルダーの概略斜視図。 ロール状アルミニウムの作製方法を説明する図(a)〜(c)、及びロール状アルミニウムをフォルダーに保持した状態を示す概略斜視図(d)。 実施例6の結果である、水素発生速度の時間的変化を示すグラフ。 実施例6の反応終了後のアルミニウムを撮影した写真であり、(a)はロールを縦に裁断して帯状に展開した写真、(b)は重なった帯状のアルミニウムの内側部分((a)の矢印部分)の写真、(c)は(a)の断面部分を拡大した写真、(d)はロールの最も外側の部分の写真、及び(e)は未反応部分を拡大した写真である。 実施例7のロール状アルミニウムの作製方法を説明する図。 実施例7の結果である、水素発生速度の時間的変化を示すグラフ。 実施例7の反応終了後のアルミニウムを撮影した写真であり、(a)はロールの一部を縦に裁断して帯状に展開した写真、(b)はロールの中心まで裁断した写真、(c)は反応部分の写真、及び(d)は未反応部分の写真である。 実施例8の結果である、水素発生速度の時間的変化を示すグラフ。 実施例9の(I)の結果である、水素発生速度(a)及び総水素発生量(b)の時間的変化を示すグラフ。 実施例9の(II)の結果である、水素発生速度の時間的変化を示すグラフ。
上述したように、本発明は、粒子状のアルミニウムに代えてシート状のアルミニウムに水を接触させ、水素ガスを発生させたものである。以下、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。
まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る水素製造装置を説明する。この水素製造装置1は、蓋付きアクリル製容器3と、この中に収容されるシート状アルミニウム5及び粒状の水酸化カルシウム7とから構成される。なお、図1では容器3の形状を四角筒状としたが、これに限らず円筒状でもよい。容器3は、シート状アルミニウム5を複数枚保持することができる保持部(図示せず)を有しており、目的とする水素ガスの発生量に応じた適宜の枚数のシート状アルミニウム5を保持するようになっている。また、容器3は発生した水素ガスを排出するための排出口3aを有している。
上記の水素製造装置1を用いて水素ガスを発生させる際は、容器3内に水を入れ、水酸化カルシウム7を溶かして水溶液を作製する。これにより、アルミニウムと水が接触して水素発生反応が開始され、水素ガスが発生する。発生した水素ガスは排出口3aから排出され、燃料電池等に供給される。なお、図1では、水素ガスの発生量を測定するために排出口3aに膜式流量計9及びパーソナルコンピュータ(PC)10を水素製造装置1に接続しているが、これらは水素製造装置の構成要素ではない。
以下、上記水素製造装置1を用いて水素ガスの発生反応を行った具体的な例について説明する。
まずは、本実施形態の特徴であるシート状アルミニウムを用いた実施例に先立ち、粒状のアルミニウムを用いた参考実験を行った。以下に、参考実験について説明する。
[参考実験1]
室温(20℃)下で、丸底フラスコに入れた15mlの純水に粒状の水酸化カルシウム3gを溶解し、これに3gの粒状のアルミニウムを浸漬させて水素発生反応を行った。用いた粒状のアルミニウムの粒径は、10μm、45μm、90μm、150μm、250μmの5種類とした。そのときの総水素発生量と時間との関係を図2に示す。この実験では、粒径が10μmのアルミニウムを用いたときに約100%の反応率が得られた。ただし、図2から分かるように、このときの水素発生反応は爆発的に進行し、反応は約5分で終了した。
また、粒径が250μmのアルミニウム粒子を用いた場合は、水素ガスはほとんど発生することなく反応が終了した。これは、反応開始とほぼ同時にアルミニウム粒子の表面に不動態層が形成されてしまい、アルミニウムと水との反応がほとんど生じなかったためと思われる。
以上の結果から推測されるアルミニウムと水との反応機構を図3に示す。図3に示すように、水酸化カルシウムを添加することにより、アルミニウムと水は、3段階の反応(開始反応、反応初期の反応、反応後期の反応)が順に進行することが推測された。
[参考実験2]
丸底フラスコに入れた200mlの純水に粒状の水酸化カルシウム9gと粒径が45μmの粒状のアルミニウム9gを加えて撹拌し、これに、塩化ナトリウム6.0g又はグルコース6.0gを添加して水素発生反応を行った。その他の条件は参考実験1と同じにした。このときの、水素発生量の時間的変化を図4に示す。比較のために、図4には添加剤を無添加(blank)の結果も併せて示す。
図4から分かるように、塩化ナトリウムを添加すると反応が加速された。これは塩素イオン(Cl-)によって孔食腐食反応が起き、アルミニウム粒子の腐食反応が促進されたためと推測された。一方、グルコースを添加すると反応が抑えられ、反応開始から30分近く経過してから水素の発生が開始された。以上より、塩化ナトリウムやグルコースが、反応速度を調節する添加剤として利用可能であることが分かった。
次に、シート状のアルミニウム(以下では「アルミ箔」という。)を用いた本実施形態の具体的な実施例について説明する。
[実施例1]
容量が100mlの矩形状アクリル製容器3に95mlの純水を入れ、これに粒状の水酸化カルシウム1gを溶解した後、厚さ12μmのアルミ箔(日本製箔株式会社製、1N30(アルミニウム純度99.3%以上))1gを短冊状にカットしたものを浸漬させて水素発生反応を行った。このときの水素ガスの総発生量(ml)と、発生速度(ml/min)の時間的変化を図5に示す。総発生量及び発生速度の測定は膜式流量計を用いた。
図5から、反応開始初期では発生速度が大きく増減するものの、反応開始から60分経過する頃から水素の発生速度が安定し、反応開始後180分あたりまではほぼ一定の流量で水素が発生することが分かった。
[実施例2]
容量が100mlの矩形状アクリル製容器3に25mlの純水を入れ、これに粒状の水酸化カルシウム1gを溶解した後、厚さが異なる10種のアルミ箔1gを短冊状にカットしたものをそれぞれ浸漬させて水素発生反応を行い、そのときの水素ガスの発生速度(ml/min)を測定した。
10種のアルミ箔の厚さは、それぞれ6.5μm、9μm、11μm(2種)、12μm、15μm、17μm、20μm、25μm、50μmとした。このうち、11μmのアルミ箔は東洋アルミエコープロダクツ株式会社のサンホイル(商品名)2種(ver.1 、ver.2)を、それ以外は、日本製箔株式会社のアルミ箔(1N30)を用いた。
また、各アルミ箔の面積は次の通りである。
6.5μm:1150cm、9μm:830cm、11μm:680cm、12μm:625cm、15μm:500cm、17μm:440cm、20μm:375cm、25μm:300cm、50μm:150cm
各アルミ箔の水素発生速度の時間的変化を図6に示す。
図6より、アルミ箔の厚さが小さいほど、反応初期の水素発生速度が大きく、水素発生反応の継続時間が短いことが分かった。また、サンホイルver.1、ver.2は厚さ、面積が共に同じであるが、異なる結果が得られたことから、両者の反応率について調べたところ、ver.1の反応率が96%であったのに対し、ver.2の反応率は75%と低いことが分かった。そこで、ICP発光分析装置を用いて元素分析を行ったところ、ver.1 、ver.2のアルミニウム純度はそれぞれ99%、97%であり、ver.2の方が純度が低かった。つまり、純度の低下が反応率の低下の原因であると考えられる。
また、日本製箔株式会社製のアルミ箔(1N30)8種について、上述した10種のアルミ箔について行った方法と同じ方法で水素発生反応を行い、水素の発生率と厚さとの関係、及び単位面積当たりの水素の発生量を調べた。その結果を図7、図8に示す。
図7及び図8より、厚さが50μm以外のアルミ箔では、厚さが大きくなるにつれて単位面積あたりの水素発生量が増加するものの、厚さが大きくなると水素の発生率が低下することが分かった。
[実施例3]
容量が500mlの円筒状ガラス製容器3に300mlの純水を入れ、これに粒状の水酸化カルシウム1gを溶解した後、厚さが異なる6種(厚さ6.5μm、12μm、20μm、50μm、100μm)のアルミ箔を面積が200mm×250mmとなるようにカットし、さらに25mm角にカットしたものを浸漬させて水素発生反応を行い、そのときの水素ガスの発生速度(ml/min)を測定した。また、この実施例では、ガラス製容器3内に撹拌子を入れて水素発生反応の間、溶液を撹拌した。なお、発生速度の測定は膜式流量計を用いた。
本実施例で用いた各厚さのアルミ箔の重量は次の通りである。
6.5μm:1.01g、12μm:1.66g、17μm:2.19g、20μm:2.56g、50μm:6.55g、100μm:13.24g
その結果を図9及び図10に示す。図10は図9のうち反応開始初期の発生速度を、横軸を拡大して示したものである。
図9および10の結果より、アルミ箔の厚さが6.5μmから100μmまで増すにつれて水素の発生時間が延びていることがわかる。また、各厚さにおける総水素発生量から、アルミニウムの反応率を算出したところ、全て95%以上の反応率で進行しており、アルミ箔の厚さの増大に伴い反応率が衰退した実施例2とは異なる結果であったことが判明した。これはアルミニウム表面に生成した水酸化アルミニウムやカルシウムアルミネートといった反応生成物が、撹拌により引き剥がされ、常にフレッシュな金属表面が水酸化カルシウム溶液中に暴露し、最後まで効率よく反応が進行したためと考えられる。
また、厚さが300μmで面積が200mm×250mmアルミ箔を上記した方法と同じ方法で水素発生反応を行ったときの水素発生速度の時間的変化を調べた。その結果を100μmのアルミ箔の結果と共に図11に示す。
図11の結果から、厚さが300μmのアルミ箔の水素発生時間は100μmと同程度であり、アルミニウムの反応率は30%に留まったことが判明した。この原因を調べたところ、反応途中でアルミ箔と撹拌子が接触し、その際、アルミ箔によって撹拌子が容器底面から弾かれていたことが分かった。このことから、撹拌子がうまくスターラーと噛み合わなくなって撹拌が停止し、水素発生反応の途中から浸漬状態になったため、結果として、反応生成物がアルミ箔から剥がれず、さらにアルミ箔同士が容器底面で重なり合い、重みでアルミ箔表面と水酸化カルシウム溶液の接触面が減少したことが原因であると考えられる。
従って、撹拌子とアルミ箔との接触を防止するような構造、例えば、容器内にアルミ箔を吊り下げた状態で保持し、アルミ箔が容器底面と接触しないようにしたり、容器内のアルミ箔が、容器底面の上方1〜2cmよりも下に位置することを規制するような段部や棚部材を設けたりすれば、水素発生反応時における撹拌子の回転が妨げられることがなく、水素発生反応を効率よく進行させることができ、この結果、厚さ300μのアルミ箔の水素発生時間が厚さ100μmのアルミ箔の3倍程度になる可能性がある。
さらに、6.5μmから100μmまでの厚さの6種のアルミ箔について、厚さと水素発生時間の関係を調べた結果を図12に示す。
図12からアルミ箔の厚さが大きくなると水素発生時間が長くなることが分かる。
さらにまた、厚さ6.5μm、12μm、20μm、50μmのアルミ箔を用いて図10と同様の実験条件で水素発生反応を行い、その時の水素発生速度の変化とpHの時間的変化を調べた結果を図13に示す。図13から、水素発生速度はpHの変化に追従することが分かった。
[実施例4]
容量が100mlの矩形状アクリル製容器3に100mlの純水を入れ、これに粒状の水酸化カルシウム1gを溶解した後、厚さ12μmのアルミ箔(日本製箔株式会社製、1N30)1gを短冊状にカットしたものを浸漬させ、反応温度を22℃、40℃、53℃、80℃に変えて水素発生反応を行った。このときの水素ガスの発生速度(ml/min)の時間的変化を図14に、反応終了後のアルミ箔の状態を示す写真を図15に示す。
反応開始前と反応終了後のアルミ箔の重量の比較から、反応温度が22℃(室温)のときの収率は97%、40℃のときの収率は70%、53℃のときの収率は53%、80℃のときの収率は40%であることが分かった。
反応温度が22℃、40℃、60℃のときの反応後のアルミ箔のX線構造解析を行った。その結果を図16に示す。構造解析の結果から、温度の上昇に伴い、アルミ箔表面にKatoite(カトアイト)が形成され、表面を硬化させるために反応が継続しないことが推測された。さらに、22℃と60℃反応時のアルミ箔のSEM画像(図17)を撮影したところ、60℃のときのSEM画像では、カトアイト表面に水酸化アルミニウムが析出している様子が観察された。
これらの結果から、温度が上昇するほど、反応は初期で停止する傾向があり、中期反応が優勢になることが推測された。
[実施例5]
容量が500mlの円筒状ガラス製容器3に300mlの純水を入れ、これに粒状の水酸化カルシウム1gを溶解した後、厚さが12μmのアルミ箔を25mm角にカットし、総面積が100x250mm(x1)、 200x250mm(x2)、 300x250mm(x3)、 400x250mm(x4)、600x250mm(x6)となる分量を浸漬し、撹拌しながら水素発生速度を測定した。その結果を図18に示す。総面積を表す数値の後の括弧内の倍率の数字は、100x250mmを1としたときの比を示す。
また、図18の結果から、各総面積における平均速度を算出し、アルミ箔の総面積と流速度との関係を求めた。その結果を図19に示す。
図18及び図19から、アルミ箔の総面積が大きくなると、水素発生速度が上昇し、平均速度も右肩上がりに上昇した。また、全ての総面積の場合において、アルミニウムの反応率は95%以上を示した。ただし、総面積が600x250mm以外のアルミ箔では、面積と平均流速の関係は線形であったが、総面積が600x250mmのアルミ箔では非線形になった。これはアルミと水の反応が発熱反応であり、総面積が400x250mmのアルミ箔を用いた時の反応温度は38℃であったが、600x250mmのアルミ箔では反応温度が52℃であり、40℃を超えたことが原因であると推測された。反応温度が40℃を超えると、アルミニウムと水の反応が暴走するためである。
実施例1〜5までの結果から、アルミ箔(シート状アルミニウム)の厚さや面積(総表面積)を適宜の値に設定することにより、水素の発生速度や、総発生量を制御できることが分かった。このことから、本発明の水素製造装置を燃料電池の水素供給源とすれば、シート状アルミニウムの厚さと総表面積の組み合わせにより、利用する燃料電池の出力と利用時間を選択することができるため、燃料電池用の水素ガス供給源として有用であることが分かる。
次に、本発明の第二実施形態に係る水素製造装置について説明する。
前述のように、撹拌子とシート状アルミニウムの接触や撹拌子の回転の停止などによって水とアルミニウムの反応が途中で停止し、反応率が低下することがある。そこで、本発明者らは、撹拌子を用いなくてもアルミニウムと水を継続的に反応させる方法を検討した。その結果、得られたものが本実施形態の水素製造装置である。
図20に、本発明の第二実施形態に係る水素製造装置21を示す。この水素製造装置21は、蓋付きのアクリル製の容器23と、この中に収容されるPET(polyethylene terephthalate)製のフォルダー24と、該フォルダー24に保持されたロール状アルミニウム25と、容器23内に収容される粒状の水酸化カルシウム27とから構成される。図20では容器23の形状は円筒状としたが、フォルダー24全体を収容できる大きさであれば形状は特に限定されない。容器23は、水素製造装置1の容器3と同様に、発生した水素ガスを排出するための排出口23aを有している。この排出口23aには膜式流量計9が接続されている。膜式流量計9はPC10に接続されており、水素の発生量を測定できるようになっている。
図21に示すように、フォルダー24は全体として円筒形状であり、環状部24aと、この環状部24aの下端部から下方に延びる5個の細長い矩形片部24bと、環状部24aの上部開口の中心に位置する円筒部24dから環状部24aの上端部に向かって放射状に延びる5本の帯状部24cとから構成されている。
ロール状アルミニウム25は、厚さ12μm、幅50mm、長さ3000mmのシート状アルミニウム26(日本製箔株式会社製、1N30、重量5g)を巻回して構成されている。図22に示すように、ロール状アルミニウム25は、シート状アルミニウム26とほぼ同じ大きさで且つ同じ形状のスペーサ28をシート状アルミニウム26に重ねた後(図22(a))、これを芯となる棒40の周りに複数回巻回し(図22(b))、棒40を抜いて形成される(図22(c))。
ロール状アルミニウム25は、その中心がフォルダー24の円筒部24dと一致するようにフォルダー24に収容される(図22(d))。このとき、ロール状アルミニウム25の中心に円筒部24dが差し込まれる。そして、ロール状アルミニウム25が収容されたフォルダー24を、環状部24aを上向きにして容器23内に設置する(図20)。これによって、ロール状アルミニウム25は、巻回されているシート状アルミニウム26が水平面とほぼ垂直な状態に配置されることになる(以下、この状態を「縦置き状態」という。)。
以下、本実施形態に係る水素製造装置21を用いて水素ガスの発生反応を行った具体的な実施例について説明する。なお、以下の実施例ではいずれも撹拌子を用いていない。
[実施例6]
本実施例では、スペーサ28として吸水性材料であるトイレットペーパー(商品名「ネピアロングロール(ダブル)」、王子ネピア株式会社製)を幅50mm、長さ3000mmにカットしたものを用いた。
まず、5gの水酸化カルシウム27を容器23の底に入れた。その容器23内に、フォルダー24に保持したロール状アルミニウム25を上記のように縦置き状態で配置した後、容器23に純水400mlを加え、ロール状アルミニウム25の全体を純水に浸漬させて水素発生反応を行った。
このときの水素ガスの発生速度(流速(ml/min))を膜式流量計9で測定した。また、水素発生反応時の温度を測定した。発生速度及び温度の時間的変化を図23に示す。図23から分かるように、反応開始初期では発生速度が大きく増減するものの、反応開始から60分を経過する頃から180分経過するまで発生速度は安定し、10〜14(ml/min)の間で推移した。その後、水素発生速度は徐々に低下するものの、反応開始から330分経過した時点でも水素の発生が観察された。総水素発生量からアルミニウムの反応率を算出したところ、40%であった。また、反応開始から330分経過するまでの温度は約22℃〜約29℃であった。
アルミニウムを縦置き状態にして水素発生反応を行った本実施例では、シート状アルミニウムを水溶液中で撹拌させて行った場合のような泡が発生せず、トイレットペーパーは原型を維持した状態で存在し続けていた。その結果、トイレットペーパーに吸収された水によって長時間にわたってアルミニウムを継続的に反応させることが可能になる。
また、スペーサによってロール状アルミニウムの各層間に確実に間隙を形成することができるため、アルミニウムと水の反応効率を向上させることができるという効果や、アルミニウムと水と反応により発生した水素の通路をロール状アルミニウムの各層間に確保することができるという効果もあると考えられる。
反応終了後のロール状アルミニウム25を縦に裁断して展開し、撮影した写真を図24(a)〜(e)に示す。
図24(a)〜(e)から分かるように、ロール状アルミニウム25の中心付近の層と最も外側の層では全面においてアルミニウムの腐食が進行していたが、その他の層では上端部及び下端部のみ腐食が進行し、それ以外の部分では未反応部分が多く残っていた。図24(d)および(e)より、トイレットペーパーの吸水能によりロール状アルミニウム25の各層間にも水が存在していたと考えられることから、ロール状アルミニウム25のうち純水及び水酸化カルシウムから成る水溶液中に露出している部分では水と反応が継続し、それ以外の部分では水との反応が途中で止まってしまったものと思われる。
以上より、水素の発生反応を継続するためには水の存在だけでは不十分であり、カルシウムイオン及び水酸化イオンによる不動態層(Al被膜)の除去が必要であると考えられる。
なお、シート状アルミニウムを25mm角にカットしたものを撹拌せずに水素発生反応を行った場合、容器の底の水酸化カルシウムの層の上に灰色のアルミニウムの残渣の層が積層されたが、ロール状アルミニウム25を用いた本実施例では容器23の底の水酸化カルシウムの層の上にアルミニウムの残渣の層は観察されなかった。
[実施例7]
ロール状アルミニウム25の各層間におけるカルシウムイオン及び水酸化イオンの存在の、水素発生反応に及ぼす影響を調べるために、ロール状アルミニウム25に代えてロール状アルミニウム29を用いて実施例6と同様の水素発生反応を行った。
図25に示すように、ロール状アルミニウム29は、シート状アルミニウム26上の全体に5gの粒状の水酸化カルシウム27を略均等に分散させ、その上にトイレットペーパーから成るスペーサ28を重ね合わせて複数回巻回して作製されている。本実施例では、ロール状アルミニウム29とスペーサ28の間に水酸化カルシウム27が保持されているため、容器23の底に水酸化カルシウム27は入れられていない。その他の条件は実施例6と同じである。
本実施例における水素ガスの発生速度(ml/min)及び温度の時間的変化を図26に示す。また、反応終了後のロール状アルミニウム29の一部又は全部を縦に裁断して撮影した写真を図27(a)〜(d)に示す。
図26から分かるように、反応開始初期では実施例6と同様に発生速度が大きく増減するものの、実施例6と異なり反応開始から60分を経過する頃から発生速度は急激に上昇し、100分を経過した頃には発生速度は45ml/min前後に達した。その後、発生速度は急激に低下し、反応開始から210分を経過する頃の発生速度は10ml/minに、300分を経過したときの発生速度は2.5ml/minであった。総水素発生量からアルミニウムの反応率を算出したところ、97%であった。また、反応開始直後は約20℃であった水溶液の温度は、その後、徐々に上昇し、反応開始から140分を経過する頃には35℃を超えていた。また、反応開始から180分を経過した後、温度は徐々に低下したが、30℃を下回ったのは反応開始から270分経過してからであった。
また、図27(a)〜(d)より、本実施例では、ロール状アルミニウム29の全体において腐食が進んでいることが分かる。しかも、図27(a)から分かるように、アルミニウムの腐食が進んだ状態であっても、残渣の多くはスペーサ28に付着したままのため、ロール状アルミニウム29の形状は維持されていた。
このように、本実施例は、水素発生速度、アルミニウムの反応率、アルミニウムの腐食が見られた領域の広さ、のいずれにおいても実施例6より優れていた。これは、吸水性材料であるトイレットペーパーをスペーサ28として用い、さらに、スペーサ28とロール状アルミニウム29の各層の間に水酸化カルシウム27を介在させたことにより、ロール状アルミニウム29の全体において、不動態層の形成が抑制されたためと考えられる。特に、トイレットペーパーは多数の微小な孔を有するため、これらの孔に粒状の水酸化カルシウム27が入り込んで保持される。このため、ロール状アルミニウム29の各層間に存在する水酸化カルシウム27が流れ落ちることが防止され、一層、アルミニウムと水の反応が持続したものと思われる。
[実施例8]
ロール状アルミニウム29のスペーサ28の機能を調べるため、トイレットペーパーの他、コピー用紙、メッシュ、ガラス繊維シートをスペーサ28として使用して、実施例7と同様の水素発生反応を行った。コピー用紙には大王製紙株式会社製のリサイクルPPCを、メッシュには網戸に用いられているダイオ化成株式会社製のクラウンネット(網目間隔0.84mm)を、ガラス繊維シートには株式会社相互理化学硝子製作所製のガラス繊維クロスを、それぞれ用いた
このときの水素ガスの発生速度(ml/min)の時間的変化を図28に示す。また、それぞれのスペーサ28でのアルミニウムの反応率は、大きい順に、トイレットペーパー98%、メッシュ80%、コピー用紙64%、ガラス繊維シート30%であった。図28より、スペーサ28としてトイレットペーパーやメッシュを用いた場合は、コピー用紙やガラス繊維シートを用いた場合よりもアルミニウムの反応率が高いが、水素発生反応が急激に進行し、反応開始から300分(トイレットペーパー)、210分(メッシュ)でほぼ反応が停止することが分かる。一方、スペーサ28としてコピー用紙を用いた場合は、水素発生速度は低いものの変動が小さく、水素発生反応がゆっくりと進行した。このため、反応開始から170〜200分を超えるとコピー用紙の水素発生速度はトイレットペーパーやメッシュの水素発生速度を上回った。これに対して、ガラス繊維シートを用いた場合は、反応開始直後から発生速度が低く、また、反応率も他に比べて低かった。
ガラス繊維シートは、トイレットペーパーやコピー用紙のような吸水性もなく、また、トイレットペーパーやメッシュのように粒状の水酸化カルシウムが入り込むような孔を有しない。このため、ガラス繊維シートはロール状アルミニウム29の各層間に水やカルシウムイオン、水酸化イオンを存在させることができなかったものと思われる。一方、トイレットペーパーは吸水性に優れ、しかも吸水によって膨潤しロール状アルミニウム29の各層間の間隙を広げることができる。このため、アルミニウムと水と反応が効率よく進み、また、カルシウムイオン及び水酸化イオンによる不動態層の形成抑制効果が得られたものと思われる。
以上より、スペーサとしては、トイレットペーパーの他、多数の微細な孔を有する紙や布、不織布等の吸水性に優れ、且つ吸水により膨潤する材料が好適である。
[実施例9]
ロール状アルミニウム29の各層間に保持させる水酸化カルシウム27の量が水素発生反応に及ぼす影響を、以下の2段階の実験により確認した。
(I)第一実施形態に係る水素製造装置1を用いた実験
純水300mlに水酸化カルシウム27(0.5g、1g、1.5g、2g、3g、4g、又は5g)を溶かした水溶液に、厚さ12μmのシート状アルミニウム20cm×25cm(日本製箔株式会社製、1N30、重量1.6g)を浸漬させ、撹拌しながら水素発生反応を行った。このときの水素ガスの発生速度(ml/min)の時間的変化を図29(a)に、水素ガスの発生量(総水素発生量)の時間的変化を図29(b)に示す。
図29(a)より分かるように、水酸化カルシウム27の量が0.5g〜4gの場合、水素発生速度は反応開始直後から上昇した後、一旦低下した。その後、水素発生速度は再び上昇した後、適宜の時間が経過した後、低下し、水素発生反応は終了した。反応開始から水素発生速度が一旦低下するまでの時間は、水酸化カルシウム27の量が少ないほど短くなる傾向にあった。また、水素発生速度が再び上昇してから水素発生反応が終了するまでの時間は水酸化カルシウム27の量が少ないほど長くなる傾向にあった。
一方、水酸化カルシウム27の量が5gの場合は、水素発生速度が上昇する状態が反応開始から約60分経過するまで継続し、その後、低下して水素発生反応は終了した。つまり、水酸化カルシウム27の量が5gの場合は、水素発生速度が一旦低下する状態が見られなかった。
また、図29(b)に示すように、水酸化カルシウムの量の違いによる水素の総発生量の違いはなく、いずれの場合も水素発生反応はほぼ100%進行していた。
(II)第二実施形態に係る水素製造装置21を用いた実験
実験(I)の結果から、水酸化カルシウムの量を増やすと、水素発生速度が一旦低下する現象がなくなることが予想されることから、ロール状アルミニウム29の各層間に保持する水酸化カルシウム27の量を20gにして、実施例7と同様の水素発生反応を行った。このときの水素ガスの発生速度(ml/min)の時間的変化を図30に示す。図30には、比較のために実施例7の結果も併せて示す。なお、この実験でのアルミニウムの反応率は88%であった。
図30より、第2実施形態の水素製造装置21の場合は、水酸化カルシウム27の量を20gにしても、水素発生速度が一旦低下する現象はなくならなかったが、水酸化カルシウム27の量が5gの場合に比べて水素発生速度の低下量が小さくなることが分かった。
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、適宜の変更が可能である。
例えば、フォルダーは、ロール状アルミニウムを水素発生容器内に固定して保持しつつ、保持したロール状アルミニウムと水の接触を妨げないものであれば、素材や形状は特に限定されない。
本発明に係る水素発生容器に収容される水素発生剤はアルミニウムに限らず、マグネシウムやシリコン、亜鉛等の金属を用いることができる。また、水酸化カルシウムの他、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等を用いても良い。
1、21…水素発生装置
3、23…容器
3a、23a…排出口
5、26…シート状アルミニウム
7、27…水酸化カルシウム
9…膜式流量計
10…パーソナルコンピュータ
24…フォルダー
25、29…ロール状アルミニウム
28…スペーサ
上記の水素製造装置1を用いて水素ガスを発生させる際は、容器3内に水を入れ、水酸化カルシウム7を溶かして水溶液を作製する。これにより、アルミニウムと水が接触して水素発生反応が開始され、水素ガスが発生する。発生した水素ガスは排出口3aから排出され、燃料電池等に供給される。なお、図1では、水素ガスの発生量を測定するために水素製造装置1の排出口3aに膜式流量計9を接続し、該膜式流量計9をパーソナルコンピュータ(PC)10に接続しているが、これらは水素製造装置の構成要素ではない。
[実施例3]
容量が500mlの円筒状ガラス製容器3に300mlの純水を入れ、これに粒状の水酸化カルシウム1gを溶解した後、厚さが異なる6種(厚さ6.5μm、12μm、17μm、20μm、50μm、100μm)のアルミ箔を面積が200mm×250mmとなるようにカットし、さらに25mm角にカットしたものを浸漬させて水素発生反応を行い、そのときの水素ガスの発生速度(ml/min)を測定した。また、この実施例では、ガラス製容器3内に撹拌子を入れて水素発生反応の間、溶液を撹拌した。なお、発生速度の測定は膜式流量計を用いた。
本実施例で用いた各厚さのアルミ箔の重量は次の通りである。
6.5μm:1.01g、12μm:1.66g、17μm:2.19g、20μm:2.56g、50μm:6.55g、100μm:13.24g
その結果を図9及び図10に示す。図10は図9のうち反応開始初期の発生速度を、横軸を拡大して示したものである。
[実施例4]
容量が100mlの矩形状アクリル製容器3に100mlの純水を入れ、これに粒状の水酸化カルシウム1gを溶解した後、厚さ12μmのアルミ箔(日本製箔株式会社製、1N30)1gを短冊状にカットしたものを浸漬させ、反応温度を22℃、40℃、60℃、80℃に変えて水素発生反応を行った。このときの水素ガスの発生速度(ml/min)の時間的変化を図14に、反応終了後のアルミ箔の状態を示す写真を図15に示す。
反応開始前と反応終了後のアルミ箔の重量の比較から、反応温度が22℃(室温)のときの収率は97%、40℃のときの収率は70%、60℃のときの収率は53%、80℃のときの収率は40%であることが分かった。

Claims (19)

  1. 水酸化カルシウムを含む水溶液に、1又は複数のシート状アルミニウムを縦置き状態で浸漬させることにより水素ガスを発生させる水素製造方法。
  2. 複数枚の前記シート状アルミニウムが縦置き状態で配置される場合、隣接するシート状アルミニウムの間にはスペーサが介装されていることを特徴とする請求項1に記載の水素製造方法。
  3. 1枚のシート状アルミニウムを複数回巻回したロール状アルミニウムを、水酸化カルシウムを含む水溶液に縦置き状態で浸漬させることにより水素ガスを発生させる水素製造方法。
  4. 前記ロール状アルミニウムの各層の間にはスペーサが介装されていることを特徴とする請求項3に記載の水素製造方法。
  5. 前記スペーサが吸水性材料から構成され、該スペーサに粒状の水酸化カルシウムが保持されていることを特徴とする請求項2又は4に記載の水素製造方法。
  6. a) 水が収容される容器と、
    b) 前記容器内に縦置き状態に配置された、1枚のシート状アルミニウムを複数回巻回したロール状アルミニウムと、
    c) 前記容器内に収容された粒状の水酸化カルシウムと
    を備える水素製造装置。
  7. 前記ロール状アルミニウムの各層の間にはスペーサが介装されていることを特徴とする請求項6に記載の水素製造装置。
  8. 前記スペーサが吸水性材料から構成され、該スペーサに前記粒状の水酸化カルシウムが保持されていることを特徴とする請求項7に記載の水素製造装置。
  9. さらに
    d) 前記容器内に設置される、前記ロール状のアルミニウムを保持するフォルダー
    を備える請求項6〜8のいずれかに記載の水素製造装置。
  10. 水酸化カルシウムを水に溶解させて水溶液を作製し、
    該水溶液に総表面積が150cm〜3000cmの範囲にあるシート状アルミニウムを浸漬させることにより水素ガスを発生させる水素製造方法。
  11. 厚さの異なる複数種のシート状アルミニウムを用意し、
    水素ガスの発生量に応じた厚さのシート状アルミニウムを選択し、前記水溶液に浸漬させて水素ガスを発生させることを特徴とする請求項10に記載の水素製造方法。
  12. 前記シート状アルミニウムは厚さが6.5μm〜100μmの範囲にあることを特徴とする請求項11に記載の水素製造方法。
  13. 予め求めた前記シート状アルミニウムの厚さと水素発生量の相関関係に基づいて水素ガスの発生量に応じた厚さのシート状アルミニウムを選択することを特徴とする請求項11又は12に記載の水素製造方法。
  14. 前記水溶液が、さらにグルコースを含むことを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の水素製造方法。
  15. a) 水が収容される容器と、
    b) 前記容器内に配置された、総表面積が150cm〜3000cmの範囲にあるシート状アルミニウムと、
    c) 前記容器内に収容された粒状の水酸化カルシウムと
    を備える水素製造装置。
  16. 前記容器が、複数枚のシート状アルミニウムを互いに離間した状態で保持可能な保持部を備え、
    前記保持部に、複数枚のシート状アルミニウムが保持されていることを特徴とする請求項15に記載の水素製造装置。
  17. 厚さが異なる複数種のシート状アルミニウムを備え、
    前記保持部に、水素ガスの発生量に応じた厚さのシート状アルミニウムを複数枚保持されることを特徴とする請求項16に記載の水素製造装置。
  18. 前記シート状アルミニウムは厚さが6.5μm〜100μmの範囲にあることを特徴とする請求項17に記載の水素製造装置。
  19. 前記容器内に、さらに、グルコースが収容されていることを特徴とする請求項15〜18のいずれかに記載の水素製造装置。
JP2015555048A 2013-12-27 2014-12-26 水素製造方法及び水素製造装置 Active JP6175604B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013272618 2013-12-27
JP2013272618 2013-12-27
PCT/JP2014/084526 WO2015099129A1 (ja) 2013-12-27 2014-12-26 水素製造方法及び水素製造装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2015099129A1 true JPWO2015099129A1 (ja) 2017-03-23
JP6175604B2 JP6175604B2 (ja) 2017-08-09

Family

ID=53478968

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015555048A Active JP6175604B2 (ja) 2013-12-27 2014-12-26 水素製造方法及び水素製造装置

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20160318761A1 (ja)
JP (1) JP6175604B2 (ja)
CN (1) CN105849033A (ja)
DE (1) DE112014006076T5 (ja)
WO (1) WO2015099129A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019049611A1 (ja) 2017-09-08 2019-03-14 杉山 修 水素ガスの製造方法
JP6388268B1 (ja) * 2017-11-17 2018-09-12 国立研究開発法人理化学研究所 水素ガス発生剤及び水素ガス発生装置
JP6988660B2 (ja) * 2018-04-13 2022-01-05 王子ホールディングス株式会社 機能性シートおよび機能性シートキット
KR102614524B1 (ko) * 2018-11-15 2023-12-14 한화오션 주식회사 금속을 이용한 수소 생산 장치
JP2023018161A (ja) * 2019-12-17 2023-02-08 岩谷産業株式会社 染色繊維物の製造方法及び染料溶液の製造方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004504243A (ja) * 2000-07-13 2004-02-12 ハイドロジェン エナジー アメリカ エルエルスィー 水分解による水素生成を制御する方法及び装置
JP2008166248A (ja) * 2006-12-26 2008-07-17 Samsung Electro-Mechanics Co Ltd 水素貯蔵タンクを有する燃料電池
JP2010143779A (ja) * 2008-12-17 2010-07-01 Aquafairy Kk 水素発生方法および水素発生装置
US20100280293A1 (en) * 2000-07-20 2010-11-04 Erling Reidar Andersen Method and apparatus for hydrogenating hydrocarbon fuels

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007035845A2 (en) * 2005-09-21 2007-03-29 Millennium Cell, Inc. Compositions and methods for hydrogen generation
EP2737564A4 (en) * 2011-07-25 2015-06-24 Douglas Howard Phillips METHODS AND SYSTEMS FOR GENERATING HYDROGEN

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004504243A (ja) * 2000-07-13 2004-02-12 ハイドロジェン エナジー アメリカ エルエルスィー 水分解による水素生成を制御する方法及び装置
US20100280293A1 (en) * 2000-07-20 2010-11-04 Erling Reidar Andersen Method and apparatus for hydrogenating hydrocarbon fuels
JP2008166248A (ja) * 2006-12-26 2008-07-17 Samsung Electro-Mechanics Co Ltd 水素貯蔵タンクを有する燃料電池
JP2010143779A (ja) * 2008-12-17 2010-07-01 Aquafairy Kk 水素発生方法および水素発生装置

Also Published As

Publication number Publication date
WO2015099129A1 (ja) 2015-07-02
DE112014006076T5 (de) 2016-09-22
US20160318761A1 (en) 2016-11-03
JP6175604B2 (ja) 2017-08-09
CN105849033A (zh) 2016-08-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6175604B2 (ja) 水素製造方法及び水素製造装置
Suren et al. Development of a high energy density flexible zinc-air battery
US8475968B2 (en) Direct liquid fuel cell having hydrazine or derivatives thereof as fuel
WO2006073113A1 (ja) 水素発生材料、水素の製造装置および燃料電池
WO2007018244A1 (ja) 水素発生材料及び水素発生装置
Ghodbane et al. Electrochemical reduction of nitrate on pyrolytic graphite-supported Cu and Pd–Cu electrocatalysts
US8205608B2 (en) Hydrogen elimination and thermal energy generation in water-activated chemical heaters
US11383976B2 (en) System and process for generating hydrogen
JP5753987B1 (ja) 水素発生合金、水素発生合金の製造方法、水素発生カートリッジ、水素製造装置、水素製造方法及び燃料電池システム
JP5438957B2 (ja) 水素発生方法および水素発生装置
JP4838952B2 (ja) 水素ガス生成装置及び発電機
Davies et al. Utilization of hyper-dendritic zinc during high rate discharge in alkaline electrolytes
Ng et al. Photocatalytic generation of hydrogen coupled with in-situ hydrogen storage
Yu et al. Highly porous copper with hollow microsphere structure from polystyrene templates via electroless plating
Abbott et al. Silicone nanofilament-supported mixed nickel-metal oxides for alkaline water electrolysis
Lenhart et al. A Scalable Method for Enhancing the Crystallinity of Zn Powder to Reduce Corrosion and Boost Achievable Capacity
KR100842810B1 (ko) 블록 공중합체와 금속의 산화반응을 이용한 수소의제조방법
Kim et al. Effects of Ni-PTFE composite plating on AB5-type hydrogen storage alloy
US8673233B2 (en) Solid reactant sheet, solid reactant stack, and fuel cartridge
JP6673791B2 (ja) シート状空気電池
JP2010017700A (ja) 軽量構造材の廃材利用方法。
CN213278241U (zh) 一种能够防止电芯局部膨胀的镁发电装置
Yagi et al. Formation of tin nanoparticles embedded in poly (L-lactic acid) fiber by electrospinning
Oloye Design and engineering of nanostructured liquid metal composites for catalytic applications
Shih et al. Hydrogen gas-rechargeable metal hydride electrode for Ni-MH battery

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161206

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170203

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170228

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170414

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20170530

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20170530

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6175604

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250