JPWO2015052761A1 - ピストンリングおよびターボチャージャー用シールリング - Google Patents
ピストンリングおよびターボチャージャー用シールリング Download PDFInfo
- Publication number
- JPWO2015052761A1 JPWO2015052761A1 JP2015541324A JP2015541324A JPWO2015052761A1 JP WO2015052761 A1 JPWO2015052761 A1 JP WO2015052761A1 JP 2015541324 A JP2015541324 A JP 2015541324A JP 2015541324 A JP2015541324 A JP 2015541324A JP WO2015052761 A1 JPWO2015052761 A1 JP WO2015052761A1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- hard coating
- seal ring
- piston ring
- ring
- turbocharger
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16J—PISTONS; CYLINDERS; SEALINGS
- F16J9/00—Piston-rings, e.g. non-metallic piston-rings, seats therefor; Ring sealings of similar construction
- F16J9/26—Piston-rings, e.g. non-metallic piston-rings, seats therefor; Ring sealings of similar construction characterised by the use of particular materials
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C23—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
- C23C—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
- C23C14/00—Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material
- C23C14/06—Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material characterised by the coating material
- C23C14/0641—Nitrides
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C23—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
- C23C—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
- C23C14/00—Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material
- C23C14/22—Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material characterised by the process of coating
- C23C14/24—Vacuum evaporation
- C23C14/32—Vacuum evaporation by explosion; by evaporation and subsequent ionisation of the vapours, e.g. ion-plating
- C23C14/325—Electric arc evaporation
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Metallurgy (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
- Physical Vapour Deposition (AREA)
- Supercharger (AREA)
Abstract
耐クラック・剥離性に優れた硬質被膜を備えたピストンリングおよびターボチャージャー用シールリングを提供すること。基材の外周面、第一側面および第二側面から選択される少なくとも一つの表面上に硬質被膜が被覆されたピストンリングおよびターボチャージャー用シールリングにおいて、硬質被膜が、NaCl型の結晶構造を有し、少なくともTi、AlおよびNを含むと共にTiおよびAlに対するAlの原子比率(Al/(Ti+Al))が、0.10〜0.63の範囲内にある組成を有し、硬質被膜の断面における空隙面積率が、2.2%以下であり、硬質被膜のX線回折測定における(111)面の回折ピーク強度に対する(200)面の回折ピーク強度の比率(I200/I111)が、1を超え15以下であるピストンリングおよびターボチャージャー用シールリング。
Description
本発明は、内燃機関に用いられるピストンリングおよびターボチャージャー用シールリングに関するものである。
ピストンリングの外周面に設けられる硬質被膜としては、CrN被膜やさらにCrNに酸素を固溶させた被膜Cr(N,O)以外にも、TiN被膜が提案されている(特許文献1、2)。さらに、従来の硬質クロムめっきやTiN被膜よりも優れた耐摩耗性を有するTiAlN被膜も提案されている(特許文献3)。なお、TiN被膜やTiAlN被膜は、他の分野でも利用されており、たとえば、メカニカルシールの密封環や、切削工具、乾式加工用歯車加工工具などに利用されている(特許文献4〜6)。
一方、近年の排出ガス規制への適応や燃費改善を目的に、自動車用エンジンにおいては高圧縮比化や燃料の直噴化が進められている。また、燃料中にアルコールが含まれる場合もあり、一部地域ではアルコール100%燃料対応車なども普及している。これらにより、図1に例示するように、シリンダ1内のピストン2の外周面2Sに形成された溝2Gに装着されたピストンリング3への背圧が高まったり、エンジン潤滑油が希釈される。この場合、ピストンリング3の外周面3Sと、シリンダ1の内壁を構成する鉄系材料製のシリンダボア1Sとの摺動抵抗が増すなどの変化が生じている。そのため、実働時にピストンリング3の外周面3Sを構成する従来から多用されているCrN系硬質被膜3Fに軽微なクラックや剥離が生ずる場合があり、耐クラック・剥離性に優れる硬質被膜3Fが設けられたピストンリング3が必要とされている。しかしながら、特許文献1〜3等に示す従来の硬質被膜を備えたピストンリングでは、上述した特性を十分に満たすことはできていない。
また、内燃機関に用いられるターボチャージャー用シールリングは使用温度や酸化雰囲気という点で、内燃機関用のピストンリングよりもより厳しい環境下で使用される。ターボチャージャーはエンジン排気ガスのエネルギーにより、図2に例示するように、タービンホイール4が回転し、タービンホイール4と一体的に形成されたタービン軸5の回転数は毎分10万回転以上に達する。一方、ターボチャージャー用シールリング6は鉄系材料製のタービン軸5の外周面5Sに形成された溝5Gに装着されると共に、ベアリング7を介してタービン軸5を支持するベアリングハウジング8内に把持されている。そして、タービン軸5の溝5Gとターボチャージャー用シールリング6の側面とは接触する状態で使用されるため、図2に例示しているようにシールリング基材6Bの両側面(第一側面6BS1および第二側面6BS2)に硬質被膜6Fを構成し、シールリングの両側面(第一側面6S1および第二側面6S2)の耐摩耗性を向上している。このためターボチャージャー用シールリングの主に両側面に用いられる硬質被膜も、ピストンリングの主に外周面に用いられる硬質被膜と同様に、耐クラック・剥離性に優れていることが必要である。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、摺動するまたは接触する相手材が鉄系材料である場合に、耐クラック・剥離性に優れた硬質被膜が設けられたピストンリングおよびターボチャージャー用シールリングを提供することを課題とする。
本発明の内燃機関用ピストンリングは、ピストンリング基材の外周面、第一側面および第二側面から選択される少なくとも一つの表面上に硬質被膜が被覆されたピストンリングにおいて、硬質被膜が、NaCl型の結晶構造を有し、少なくともTi、AlおよびNを含むと共にTiおよびAlに対するAlの原子比率(Al/(Ti+Al))が、0.10〜0.63の範囲内にある組成を有し、前記硬質被膜の断面における空隙面積率が、2.2%以下であり、硬質被膜のX線回折測定における(111)面の回折ピーク強度に対する(200)面の回折ピーク強度の比率
(I200/I111)が、1を超え15以下であることを特徴とする。
(I200/I111)が、1を超え15以下であることを特徴とする。
本発明のピストンリングの一実施態様は、原子比率(Al/(Ti+Al))が、0.18〜0.56の範囲内にあることが好ましい。
本発明の内燃機関に用いられるターボチャージャー用シールリングは、ターボチャージャー用シールリング基材の外周面、第一側面および第二側面から選択される少なくとも一つの表面上に硬質被膜が被覆されたターボチャージャー用シールリングにおいて、硬質被膜が、NaCl型の結晶構造を有し、少なくともTi、AlおよびNを含むと共にTiおよびAlに対するAlの原子比率(Al/(Ti+Al))が、0.10〜0.63の範囲内にある組成を有し、硬質被膜の断面における空隙面積率が、2.2%以下であり、硬質被膜のX線回折測定における(111)面の回折ピーク強度に対する(200)面の回折ピーク強度の比率
(I200/I111)が、1を超え15以下であることを特徴とする。
(I200/I111)が、1を超え15以下であることを特徴とする。
本発明のターボチャージャー用シールリングの一実施態様は、原子比率(Al/(Ti+Al))が、0.18〜0.56の範囲内にあることが好ましい。
本発明によれば、耐クラック・剥離性に優れたピストンリングおよびターボチャージャー用シールリングを提供することができる。
本実施形態のピストンリングおよびターボチャージャー用シールリング(以下、ピストンリングおよびターボチャージャー用シールリングの双方を指し示す場合は、単に、「シール部材」と称す場合がある)は、基材の外周面、第一側面および第二側面(第一側面とは反対側の面)から選択される少なくとも一つの表面上に硬質被膜が被覆されたシール部材である。ここで、硬質被膜は、NaCl型の結晶構造を有し、少なくともTi、AlおよびNを含むと共にTiおよびAlに対するAlの原子比率(Al/(Ti+Al))が、0.10〜0.63の範囲内にある組成を有する。また、硬質被膜の断面における空隙面積率が、2.2%以下であり、硬質被膜のX線回折測定における(111)面の回折ピーク強度に対する(200)面の回折ピーク強度の比率(I200/I111)が、1を超え15以下である。
Al/(Ti+Al)を、0.63以下とすることにより、硬質被膜中にウルツ鉱型AlNが晶出するのを抑制でき、結果的に、硬質被膜の硬度や強度が低下するのを確実に抑制することができる。また、Al/(Ti+Al)を、0.1以上とすることにより、硬質被膜の耐クラック・剥離性が低下するのを抑制できる。なお、Al/(Ti+Al)は、0.18〜0.56の範囲内であることがより好ましい。
また、I200/I111を1.0を超えるものとすることにより、高負荷摺動時における硬質被膜のクラックや剥離の発生を抑制することができる。また、I200/I111を15以下とすることにより、硬質被膜中の残留応力が高くなるのを抑制でき、結果的に剥離が発生するのを抑制できる。なお、I200/I111は3.0〜13の範囲内がより好ましい。
本実施形態のシール部材に用いられる硬質被膜は、金属元素と非金属元素とを原子比率で略1:1の割合で含み、ここで、金属元素としてはTi、Alを主元素として含み、非金属元素としてはNを主元素として含むものであり、実質的にTi、Al、Nのみを含むTiAlN膜であってもよい。しかしながら、硬質被膜には、必要に応じてTi、Al、N以外のその他の元素が含まれていてもよい。たとえば、TiおよびAlの一部を他の金属元素に固溶置換したり、あるいは、Nの一部を他の非金属元素に固溶置換することができる。Ti、Al以外のその他の金属元素X1、および、N以外のその他の非金属元素X2は、硬質被膜の機械的特性、特に、耐クラック・剥離性に悪影響を与えない範囲であれば適量含まれていてもよく、たとえば、原子比率で、X1/(Ti+Al+X1)については0.1以下含まれていてもよく、0.05以下がより好ましく、0.02未満がさらに好ましい。X2/(N+X2)については0.02未満含んでも良い。
また、本実施形態のシール部材に用いられる硬質被膜には、必要であれば非金属元素であるB、C、O等が含まれていてもよく、あるいは、これらの元素は全く含まれていなくてもよい。Cを添加した場合、滑り性の改善による摩擦係数の低下や、本実施形態のシール部材と接触する相手材への攻撃性を抑制することも可能である。また、硬質被膜にCが含まれる場合は、NおよびCに対するCの原子比率(C/(C+N))は、0を超え0.02未満で含んでもよい。なお、硬質被膜の膜組成は、種々の分析法により測定できるが、本実施形態のシール部材については、蛍光X線分析(XRF)により測定される。このとき、TiのLl線がNのKα線に対し、妨害線として作用する可能性があるため、予め純Ti等の分析を行い、TiのKα線に対するTiのLl線の比率を求めておく。また、Cは試料表面に吸着した有機物の量などによって分析値が変動しやすいため、分析直前にスパッタクリーニングを行う。
また、硬質被膜のマイクロビッカース硬さ(Hv)は、1700以上であることが好ましく、1800以上であることがより好ましい。マイクロビッカース硬さを1700以上とすることにより、ピストンリングやターボチャージャー用シールリングの硬質被膜として必要な強度を確保することが容易となる。一方、マイクロビッカース硬さの上限値は高すぎると耐クラック・剥離性が低下するため、実用上は2500以下であることが好ましい。
硬質被膜の押し込み弾性率(正確には「ポアソン比を含む押し込み弾性率」を意味し、EIT/(1−νs2)で表される値を意味する。ここで、EITは押し込み弾性率、νsは硬質被膜のポアソン比である。)は320GPa以上であることが好ましく、350GPa以上であることがより好ましい。押し込み弾性率を320GPa以上とすることにより、硬質被膜の剛性の低下を抑制し、これにより、耐クラック・剥離性を確保することが容易となる。一方、押し込み弾性率の上限値は特に限定されるものではないが、実質的にその上限は390GPa程度であることが好ましい。マイクロビッカース硬度および押し込み弾性率測定用の試料は、共に被膜厚さが15μm以上となるように成膜したものの表面を#1000〜#1500程度のエメリー紙にて平坦に研磨し、さらにダイヤモンドスラリーにてバフ仕上げを施し作製した。どちらの測定に於いても、圧子にはビッカース硬度測定と同じダイヤモンド圧子を用い、フィッシャーインストルメンツ製のナノインデンテーション試験機・HM−2000を用いた。なお、どちらも測定荷重は100gfとした。試料の膜厚が薄すぎる場合は、母材硬度の影響を受け、正確な測定ができなくなるため注意が必要である。
硬質被膜の成膜方法としては特に限定されず、たとえば、イオンプレーティング法、スパッタリング法等の物理気相成長法(PVD法)や、化学気相成長法(CVD法)、プラズマCVD法等の公知の成膜方法が利用できるが、アークイオンプレーティング法が好適である。
アークイオンプレーティング法により硬質被膜を成膜する場合、たとえば、以下に示す手順にて、硬質被膜を成膜する。まず、脱脂洗浄した基材を真空チャンバー内に設置し、圧力が1.3×10−3Pa程度となるまで、真空チャンバー内を減圧する。次に、基材を573K〜673K程度に加熱する。そして、基材に対して、−600〜−800V程度のバイアス電圧を印加することでイオンボンバードを行う。その後、−5〜−50V程度にバイアス電圧を下げ、真空チャンバー内にプロセスガスを導入する。これによりアーク放電が行われ、蒸着源である金属ターゲットに由来する金属成分と、プロセスガスに由来する非金属成分が、基材の外周面、第一側面および第二側面から選択される少なくとも一つの表面上に堆積することで窒化物系被膜が形成される。
ここで、金属ターゲットとしては、Ti−Al合金ターゲットが用いられ、このターゲットを構成するTiとAlとの比率は、狙いとする硬質被膜の組成に応じて適宜選択される。単一組成の金属ターゲットのみを用いる場合、硬質被膜中のAl/(Ti+Al)は使用する金属ターゲット組成により、ほぼ一義的に決定される。たとえば、金属ターゲット中のTiとAlの原子比率が3:1で、これを単独で用いたとき、硬質被膜中のAl/(Ti+Al)=1/(3+1)=0.25となる。また、硬質被膜中のAl/(Ti+Al)は、異なる組成の金属ターゲットの組み合わせ、およびそれらを用いて成膜する際のそれぞれのアーク電流値によっても調整することが可能である。たとえば、TiとAlの原子比率が3:1および1:1である金属ターゲットを1枚ずつ用いて同じアーク電流で成膜した場合、硬質被膜中のAl/(Ti+Al)=(1/(3+1)+1/(1+1))/2=0.375となる。さらに、それぞれの金属ターゲットのアーク電流値を上げ下げすることで、金属ターゲットの蒸発量が変化するため、増やしたい成分を多く含む金属ターゲットのアーク電流値を高くすることで、硬質被膜の組成を制御することができる。なお、一般に金属ターゲット材が消耗すると成膜効率が低下するため、硬質被膜の組成を精度良く管理するためには、同程度の消耗量の金属ターゲットを使用するとよい。
また、プロセスガスとしては、通常はN2ガスのみを用いればよいが、硬質被膜の組成に応じて、N2ガスとCH4ガス(Cを混入)、O2ガス(Oを混入)、TMS(テトラメチルシラン、CとSiを混入)等の各種ガスとを所定の割合で混合した混合ガスを用いることができる。このように、金属ターゲットやプロセスガスの組成を選択することで、所望の組成を有する硬質被膜を得ることができる。
また、I200/I111は、バイアス電圧や成膜時の内圧などで変更することが出来る。たとえば、バイアス電圧を高くしたり、あるいは、内圧を低くすることにより、(200)面の回折ピークが、(111)面の回折ピークに対して相対的により高くなるように制御できる。他に、硬質被膜中にCを添加することで、(111)面の回折ピークが、(200)面の回折ピークに対して相対的により高くなるよう制御できる。
なお、アークイオンプレーティング法にて硬質被膜を成膜する場合、硬質被膜中にドロップレットと呼ばれる未反応粒子が混在する。この未反応粒子は、金属ターゲット上のアークスポットから一度に大量に成膜原料が放出されることにより、N2ガスなどのガス成分と十分反応せずに硬質被膜中に取り込まれた粒子状の物質のことをいう。アークイオンプレーティング法においてはドロップレットを完全に0にすることは困難とされる。また、硬質被膜中において未反応粒子の周辺部や未反応粒子が脱落した跡には空隙が形成される。そして、このような硬質被膜中に存在する未反応粒子や、この未反応粒子に起因して形成される空隙は、硬質被膜の機械的特性を低下させる。このため、硬質被膜の成膜に際しては、発生する未反応粒子の数・サイズを抑制すると共に、未反応粒子に起因して形成される空隙の割合も小さくすることが必要である。
したがって、アークイオンプレーティング法にて形成された硬質被膜(未反応粒子を含むと共に空隙を有する硬質被膜)においては、硬質被膜の断面において硬質被膜中の空隙に起因する面積率(空隙面積率)は2.2%以下である。また、硬質被膜中に含まれる未反応粒子の断面面積率は約1.5%以下であることが好ましい。空隙面積率を2.2%以下とすることにより、硬質被膜の局部的な強度低下を抑制でき、結果的に、硬質被膜に高い負荷が加わった際に硬質被膜のクラック・剥離を抑制することが極めて容易となる。また、未反応粒子の断面面積率を約1.5%以下とすることにより、硬質被膜中の未反応粒子が形成された部分において、マイクロスカッフが発生するのを抑制でき、結果的に、硬質被膜の損傷を抑制できる。なお、空隙面積率は、1.8%以下であることがより好ましく、0%に近いほどよい。また、未反応粒子の断面面積率も0%に近いほどよい。また、未反応粒子が粗大であるほどマイクロスカッフも生じやすくなるため、未反応粒子の粒径は7μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがさらに好ましく、粒径は小さければ小さいほどよい。なお、本実施形態のシール部材に用いる硬質被膜の空隙面積率および断面面積率を実質的に0%とする場合には、硬質被膜は、アークイオンプレーティング法以外の成膜方法を用いて成膜されることが好ましい。
なお、空隙の数やサイズを小さくする方法としては特に限定されないが、たとえば、金属ターゲットと成膜対象である基材との距離を大きく取り、バイアス電圧を高めに設定することで減少させることが有効である。また、未反応粒子の数やサイズを小さくするためには、たとえば、金属ターゲットの近傍に防着板等を配置することが有効である。また、成膜により金属ターゲットの消耗が進行すると空隙や未反応粒子の数・サイズが増大するため、金属ターゲットの交換頻度を大きくすることも空隙や未反応粒子の数・サイズを抑制する上では有効である。この他にも、最近では、蒸発源の磁場を強力にすることで、未反応粒子数を低減する技術も開発されている。
また、上述した硬質被膜の断面における空隙面積率や未反応粒子の断面面積率は、以下の手順にて求めた。まず、ピストンリングあるいはターボチャージャー用シールリングを円周方向に1cm程度の長さに切断し、硬質被膜を、イオンミリング法あるいは収束イオンビーム法(FIB法)により加工することで、硬質被膜の断面を露出させる。続いて、硬質被膜の断面を走査型電子顕微鏡により撮影した。このようにして得られた硬質被膜の断面画像(約45μm×60μm)について、市販の画像解析ソフトを用いて二値化解析した。なお、二値化解析は、空隙面積率については、空隙部分とそれ以外の部分について二値化し、断面面積率については、未反応粒子部分とそれ以外の部分について二値化した。そして、同一の測定サンプルについて、5視野の平均値を空隙面積率あるいは断面面積率として求めた。
硬質被膜の成膜に用いる基材としては、ピストンリングあるいはターボチャージャー用シールリングに用いられる公知の基材であれば特に制限無く用いることができるが、たとえば、ステンレス鋼やバネ鋼や高速度工具鋼や耐熱鋼からなる基材を用いることができる。なお、ステンレス鋼からなる基材を用いる場合には、予め窒化処理を施し、化合物層を除去した基材を用いてもよい。
本実施形態のシール部材がピストンリングである場合、硬質被膜は、ピストンリング基材の外周面を覆うように成膜される。また、必要に応じて、その他の面にも硬質被膜が成膜されていてもよい。具体例を挙げれば、本実施形態のシール部材では、図1に例示したようにピストンリング基材3Bの外周面3BSを覆うように硬質被膜3Fを設ける以外にも、ピストンリング基材3Bの側面、すなわち、第一側面3B1および/または第二側面3B2を覆うように硬質被膜を設けてもよい。また、本実施形態のシール部材がターボチャージャー用シールリングである場合、硬質被膜は、ターボチャージャー用シールリング基材の第一側面および/または第二側面を覆うように成膜される。また、必要に応じて、その他の面にも硬質被膜が成膜されていてもよい。具体例を挙げれば、本実施形態のシール部材では、図2に例示したようにターボチャージャー用シールリング基材6Bの第一側面6BS1および第二側面6BS2を各々覆うように硬質被膜6Fを設ける以外にも、ベアリングハウジング8に対向する面である外周面6BEを覆うように硬質被膜を設けてもよい。また、図2に示す例において、第一側面6BS1または第二側面6BS2のいずれか一方の面に設けた硬質被膜6Fを省略してもよい。
なお、シール部材基材と硬質被膜との密着性を向上させるために、必要に応じて、シール部材基材と硬質被膜との間に、アンダーコート層を設けてもよい。このアンダーコート層としては、たとえば、Ti、Cr、Ti−Al合金などを主成分とする薄膜を利用することができる。
硬質被膜の膜厚は特に限定されるものではないが、耐久性を確保する観点から、ピストンリングの場合は10μm以上であることが好ましい。また、膜厚の上限値は特に限定されるものではないが、生産性等の実用上の観点からは30μm以下であることが好ましい。他方、ターボチャージャー用シールリングの場合は、3μm前後が耐久性、実用性の観点から好ましい。
また、硬質被膜を形成した後に、ラッピングや研磨加工を行い、硬質被膜表面の粗度をRaで0.2以下とすることが好ましい。粗度を小さくすることにより、相手材の摩耗を抑制すると共に、摩擦抵抗を減少させることで硬質被膜の損傷を抑制することがより容易になる。
以下に本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものでは無い。
(評価用サンプルの作製)
ピストンリング基材を、アークイオンプレーティング装置内にセットした後、装置内を真空排気して減圧すると共に、基材を加熱した。その後、基材に対して所定のバイアス電圧を印加することでイオンボンバードを行った。次に、バイアス電圧を所定の値に設定した後、装置内にプロセスガスを導入することで、基材の外周面に厚さ20μmの硬質被膜を成膜し、評価用のピストンリングサンプルを得た。また、耐摩耗性および相手攻撃性の評価のために、ピストンリングサンプルの作製条件と同条件で、ピンの先端に硬質被膜を成膜したサンプルも準備した。
ピストンリング基材を、アークイオンプレーティング装置内にセットした後、装置内を真空排気して減圧すると共に、基材を加熱した。その後、基材に対して所定のバイアス電圧を印加することでイオンボンバードを行った。次に、バイアス電圧を所定の値に設定した後、装置内にプロセスガスを導入することで、基材の外周面に厚さ20μmの硬質被膜を成膜し、評価用のピストンリングサンプルを得た。また、耐摩耗性および相手攻撃性の評価のために、ピストンリングサンプルの作製条件と同条件で、ピンの先端に硬質被膜を成膜したサンプルも準備した。
なお、硬質被膜の成膜に際しては、表1および表2に示す各々の実施例および比較例にて成膜する硬質被膜の組成に応じた金属組成からなる金属ターゲットを用い、プロセスガスとしては、各々の実施例および比較例にて成膜する硬質被膜の組成に応じてN2ガス、あるいは、N2ガスおよびCH4ガスを所定の割合で混合した混合ガスを用いた。なお、比較例1の硬質被膜Cr(N,O)は、NaCl型の結晶構造を有するCrNにOを固溶させた被膜であり、金属元素と非金属元素とを原子比率で略1:1の割合で含み、金属元素はCr、非金属元素としてはNを主元素とし、Oを原子比率でO/(N+O)=0.3を含有している。したがって、Cr(N,O)を成膜する場合は、金属Crターゲットを用い、プロセスガスとしてはN2ガスおよびO2ガスを所定の割合で混合した混合ガスを用いた。CrNにOを添加する目的は硬質被膜にOを固溶させることにより被膜を強化し、クラック・剥離の発生を抑制することである。また、所望値のI200/I111が得られるように、各々の実施例および比較例にて成膜時の内圧を2Pa〜5Paの範囲、バイアス電圧を-10V〜-50Vの範囲内で適宜選択した。また、空隙および未反応粒子の断面面積率の値については、金属ターゲットと基板との距離、バイアス電圧、防着板の設置の有無、ターゲット材の使用量、および、ターゲット表面近傍の磁場分布等を適宜変更することで変動させた。
(評価)
得られた各実施例、比較例のサンプルについては、I200/I111、硬質被膜の組成、空隙面積率および未反応粒子の断面面積率、マイクロビッカース硬さ、ならびに、押し込み弾性率を測定した。これに加えて、耐クラック・剥離性、耐摩耗性および相手攻撃性についても評価した。これらの結果を以下の表1および表2に示す。
得られた各実施例、比較例のサンプルについては、I200/I111、硬質被膜の組成、空隙面積率および未反応粒子の断面面積率、マイクロビッカース硬さ、ならびに、押し込み弾性率を測定した。これに加えて、耐クラック・剥離性、耐摩耗性および相手攻撃性についても評価した。これらの結果を以下の表1および表2に示す。
なお、表1および表2に示す耐クラック・剥離性、耐摩耗性および相手攻撃性の評価方法は以下の通りである。
<耐クラック・剥離性>
硬質被膜の耐クラック・剥離性は、図3に示すリングオンローター式摩擦試験機を用いて以下の手順で評価した。まず、ピストンリングサンプルをピストンリングの円周方向に1cmから2cm程度に切り出した試験片10の外周面を、一定速度で回転するスチール製のローター12に重錘で荷重Pを加えて押し付け、強制的に焼き付きを発生させた。その状態で一定時間、ローター12を回転させた後、硬質被膜にクラックや剥離が発生したか否か確認し、損傷が見られない場合は、荷重Pをさらに増加させて再試験した。これを繰り返すことで、クラックや剥離が発生し始める荷重Pを確認した。なお、潤滑油は、チュービングポンプやエアディスペンサーを用いて供給した。試験条件は以下の通りである。また、表1および表2に示す結果は、比較例1の試験片10において、クラックや剥離が発生し始めた荷重Pの値を基準値1とし、その相対値で示したものであり、値が大きいほど硬質被膜の耐クラック・剥離性が優れていることを意味する。なお、耐クラック・剥離性の評価結果は、1.0以上であることが好適である。
・初期の荷重P:40N
・ローター12の回転速度:1000rpm
・試験1回当たりのローター12の回転時間:1min
硬質被膜の耐クラック・剥離性は、図3に示すリングオンローター式摩擦試験機を用いて以下の手順で評価した。まず、ピストンリングサンプルをピストンリングの円周方向に1cmから2cm程度に切り出した試験片10の外周面を、一定速度で回転するスチール製のローター12に重錘で荷重Pを加えて押し付け、強制的に焼き付きを発生させた。その状態で一定時間、ローター12を回転させた後、硬質被膜にクラックや剥離が発生したか否か確認し、損傷が見られない場合は、荷重Pをさらに増加させて再試験した。これを繰り返すことで、クラックや剥離が発生し始める荷重Pを確認した。なお、潤滑油は、チュービングポンプやエアディスペンサーを用いて供給した。試験条件は以下の通りである。また、表1および表2に示す結果は、比較例1の試験片10において、クラックや剥離が発生し始めた荷重Pの値を基準値1とし、その相対値で示したものであり、値が大きいほど硬質被膜の耐クラック・剥離性が優れていることを意味する。なお、耐クラック・剥離性の評価結果は、1.0以上であることが好適である。
・初期の荷重P:40N
・ローター12の回転速度:1000rpm
・試験1回当たりのローター12の回転時間:1min
<耐摩耗性および相手攻撃性>
耐摩耗性および相手攻撃性は、図4に示すピンオンプレート式往復動摩擦試験機を用いて評価した。この往復動摩擦試験機は、ピンの先端部に硬質被膜が成膜された上試験片20を、スプリング荷重により荷重Pを加えてプレート状の下試験片22に押し付け、下試験片22が往復動することにより両者が摺動するよう構成されている。なお、上試験片20はピストンリングに見立てたものである。また、下試験片22は、鋳鉄製のシリンダボアに見立てたものであり、鋳鉄製のプレートから構成される。潤滑油は、チュービングポンプやエアディスペンサーを用いて供給した。所定の荷重、速度にて一定時間運転後、表面粗さ計にて上試験片20および下試験片22の摩耗量を計測した。なお、上試験片20の摩耗量は、ピン先端に設けられた硬質被膜の摩耗量を意味し、下試験片22の摩耗量は相手材の摩耗量(摩耗深さ)を意味する。試験条件は以下の通りである。また、表1および表2に示す結果は、比較例1の摩耗量を基準値1とし、その相対値で示したものであり、「耐摩耗性」については値が小さいほど硬質被膜の摩耗が抑制され、「相手攻撃性」については値が小さいほど相手材の摩耗が抑制されることを意味する。なお、耐摩耗性の評価結果は1.0以下であることが好適であり、相手攻撃性の評価結果は1.2以下であれば実用に際し大きな支障はない。
・荷重P:100N
・速度:600cpm (cpm :サイクル毎分)
・試験時間:60min
耐摩耗性および相手攻撃性は、図4に示すピンオンプレート式往復動摩擦試験機を用いて評価した。この往復動摩擦試験機は、ピンの先端部に硬質被膜が成膜された上試験片20を、スプリング荷重により荷重Pを加えてプレート状の下試験片22に押し付け、下試験片22が往復動することにより両者が摺動するよう構成されている。なお、上試験片20はピストンリングに見立てたものである。また、下試験片22は、鋳鉄製のシリンダボアに見立てたものであり、鋳鉄製のプレートから構成される。潤滑油は、チュービングポンプやエアディスペンサーを用いて供給した。所定の荷重、速度にて一定時間運転後、表面粗さ計にて上試験片20および下試験片22の摩耗量を計測した。なお、上試験片20の摩耗量は、ピン先端に設けられた硬質被膜の摩耗量を意味し、下試験片22の摩耗量は相手材の摩耗量(摩耗深さ)を意味する。試験条件は以下の通りである。また、表1および表2に示す結果は、比較例1の摩耗量を基準値1とし、その相対値で示したものであり、「耐摩耗性」については値が小さいほど硬質被膜の摩耗が抑制され、「相手攻撃性」については値が小さいほど相手材の摩耗が抑制されることを意味する。なお、耐摩耗性の評価結果は1.0以下であることが好適であり、相手攻撃性の評価結果は1.2以下であれば実用に際し大きな支障はない。
・荷重P:100N
・速度:600cpm (cpm :サイクル毎分)
・試験時間:60min
1 シリンダ
1S シリンダボア
2 ピストン
2G 溝(ピストン溝)
2S 外周面(ピストン外周面)
3 ピストンリング
3B ピストンリング基材
3B1 第一側面(ピストンリング第一側面)
3B2 第二側面(ピストンリング第二側面)
3F 硬質被膜
3S 外周面(ピストンリング外周面)
4 タービンホイール
5 タービン軸
5G 溝(ターボチャージャー用シールリング溝)
5S タービン軸外周面
6 ターボチャージャー用シールリング
6S1 第一側面(シールリング第一側面)
6S2 第二側面(シールリング第二側面)
6B シールリング基材(ターボチャージャー用シールリング基材)
6BS1 第一側面(シールリング基材第一側面)
6BS2 第二側面(シールリング基材第二側面)
6BE 外周面(シールリング基材外周面)
6F 硬質被膜
7 ベアリング
8 ベアリングハウジング
10 試験片
12 ローター
20 上試験片
22 下試験片
1S シリンダボア
2 ピストン
2G 溝(ピストン溝)
2S 外周面(ピストン外周面)
3 ピストンリング
3B ピストンリング基材
3B1 第一側面(ピストンリング第一側面)
3B2 第二側面(ピストンリング第二側面)
3F 硬質被膜
3S 外周面(ピストンリング外周面)
4 タービンホイール
5 タービン軸
5G 溝(ターボチャージャー用シールリング溝)
5S タービン軸外周面
6 ターボチャージャー用シールリング
6S1 第一側面(シールリング第一側面)
6S2 第二側面(シールリング第二側面)
6B シールリング基材(ターボチャージャー用シールリング基材)
6BS1 第一側面(シールリング基材第一側面)
6BS2 第二側面(シールリング基材第二側面)
6BE 外周面(シールリング基材外周面)
6F 硬質被膜
7 ベアリング
8 ベアリングハウジング
10 試験片
12 ローター
20 上試験片
22 下試験片
Claims (4)
- 内燃機関用ピストンリング基材の外周面、第一側面および第二側面から選択される少なくとも一つの表面上に硬質被膜が被覆されたピストンリングにおいて、
前記硬質被膜が、NaCl型の結晶構造を有し、少なくともTi、AlおよびNを含むと共にTiおよびAlに対するAlの原子比率(Al/(Ti+Al))が、0.10〜0.63の範囲内にある組成を有し、
前記硬質被膜の断面における空隙面積率が、2.2%以下であり、
前記硬質被膜のX線回折測定における(111)面の回折ピーク強度に対する(200)面の回折ピーク強度の比率(I200/I111)が、1を超え15以下であることを特徴とするピストンリング。 - 請求項1に記載のピストンリングにおいて、
前記原子比率(Al/(Ti+Al))が、0.18〜0.56の範囲内にあることを特徴とするピストンリング。 - 内燃機関に用いられるターボチャージャー用シールリング基材の外周面、第一側面および第二側面から選択される少なくとも一つの表面上に硬質被膜が被覆されたターボチャージャー用シールリングにおいて、
前記硬質被膜が、NaCl型の結晶構造を有し、少なくともTi、AlおよびNを含むと共にTiおよびAlに対するAlの原子比率(Al/(Ti+Al))が、0.10〜0.63の範囲内にある組成を有し、
前記硬質被膜の断面における空隙面積率が、2.2%以下であり、
前記硬質被膜のX線回折測定における(111)面の回折ピーク強度に対する(200)面の回折ピーク強度の比率(I200/I111)が、1を超え15以下であることを特徴とするターボチャージャー用シールリング。 - 請求項3に記載のターボチャージャー用シールリングにおいて、
前記原子比率(Al/(Ti+Al))が、0.18〜0.56の範囲内にあることを特徴とするターボチャージャー用シールリング。
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
PCT/JP2013/077293 WO2015052761A1 (ja) | 2013-10-08 | 2013-10-08 | ピストンリングおよびターボチャージャー用シールリング |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2015052761A1 true JPWO2015052761A1 (ja) | 2017-03-09 |
Family
ID=52812612
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015541324A Pending JPWO2015052761A1 (ja) | 2013-10-08 | 2013-10-08 | ピストンリングおよびターボチャージャー用シールリング |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPWO2015052761A1 (ja) |
WO (1) | WO2015052761A1 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6416066B2 (ja) * | 2015-09-15 | 2018-10-31 | Tpr株式会社 | ピストンリング |
JP6499949B2 (ja) * | 2015-09-15 | 2019-04-10 | Tpr株式会社 | ピストンリング |
DE112018004553T5 (de) * | 2017-10-16 | 2020-05-28 | Ihi Corporation | Abdichtaufbau für einen Turbolader |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH02194159A (ja) * | 1988-03-24 | 1990-07-31 | Kobe Steel Ltd | 耐摩耗性皮膜形成方法 |
JPH05141534A (ja) * | 1991-11-14 | 1993-06-08 | Nippon Piston Ring Co Ltd | ピストンリング |
JP3599628B2 (ja) * | 2000-02-25 | 2004-12-08 | 株式会社タンガロイ | 複合硬質膜被覆部材 |
DE10237413B4 (de) * | 2002-08-16 | 2004-07-15 | Daimlerchrysler Ag | Abgasturbolader für eine Brennkraftmaschine |
JP5088469B2 (ja) * | 2007-06-12 | 2012-12-05 | 三菱マテリアル株式会社 | 重切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐欠損性を発揮する表面被覆切削工具およびその製造方法 |
SE531971C2 (sv) * | 2007-08-24 | 2009-09-15 | Seco Tools Ab | Belagt skärverktyg för allmän svarvning i varmhållfast superlegeringar (HRSA) |
-
2013
- 2013-10-08 JP JP2015541324A patent/JPWO2015052761A1/ja active Pending
- 2013-10-08 WO PCT/JP2013/077293 patent/WO2015052761A1/ja active Application Filing
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2015052761A1 (ja) | 2015-04-16 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5452734B2 (ja) | コーティングを有するスライド要素、特に、ピストンリング、およびスライド要素を製造するプロセス | |
US8202615B2 (en) | Nitrogen-containing amorphous carbon-type film, amorphous carbon-type lamination film, and sliding member | |
JP6109325B2 (ja) | アルミニウム合金製の相手材とピストンリングとの組み合わせ | |
JP2008081522A (ja) | 摺動部材 | |
JPWO2013137060A1 (ja) | シリンダとピストンリングとの組合せ | |
Wang et al. | Mechanical and tribological evaluation of CrSiCN, CrBCN and CrSiBCN coatings | |
JP2019066024A (ja) | ピストンリング | |
WO2015052761A1 (ja) | ピストンリングおよびターボチャージャー用シールリング | |
JP6422495B2 (ja) | ピストンリング | |
JP6599251B2 (ja) | 摺動部材及びその製造方法 | |
JP2007284760A (ja) | 摺動部材 | |
JP5914334B2 (ja) | 高靭性被膜及び摺動部材 | |
WO2015052762A1 (ja) | ピストンリングおよびターボチャージャー用シールリング | |
JP6499949B2 (ja) | ピストンリング | |
JP2009052081A (ja) | 硬質炭素被膜 | |
JP4462077B2 (ja) | 組合せ摺動部材 | |
JP6756641B2 (ja) | ピストンリング | |
KR102426073B1 (ko) | 실린더와 피스톤 링의 결합구조 | |
JP6416066B2 (ja) | ピストンリング | |
JP2019116677A (ja) | 摺動部材 | |
JP2006265646A (ja) | 摺動部材 | |
JP2006207691A (ja) | 硬質皮膜被覆摺動部材 | |
JP6938807B1 (ja) | 摺動部材及びピストンリング | |
JP6339812B2 (ja) | ピストンリング | |
JP7159111B2 (ja) | 摺動部材と潤滑油との組み合わせ |