JPWO2015046574A1 - 虚血後の再灌流に起因する出血を予防するための薬剤 - Google Patents

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Abstract

プログラニュリン(progranulin:PGRN)を含有する、虚血後の再灌流に起因する出血を予防するための薬剤。

Description

本発明は、プログラニュリンを含有する、虚血後の再灌流に起因する出血を予防するための薬剤に関する。
脳梗塞は、脳における局所的な血流の遮断即ち虚血によって生じる。
急性期脳梗塞に対しては、抗血栓薬(血栓溶解剤、抗凝固剤、血小板凝集抑制剤)が従来から用いられている。抗血栓薬は血管内の血栓対策と循環改善を主目的として用いられている。抗血栓薬としては、組織型プラスミノーゲンアクチベーター(以下、tPAと略す場合がある)、ウロキナーゼ(UK)、ヘパリン、アルガトロバン、オザグレルナトリウム、アスピリン、チクロピジン等が知られている。特に、急性期脳梗塞に対し組織型プラスミノゲンアクチベーター(tPA)による血栓溶解療法が行われており、一定の効果が得られている。
しかしながら、抗血栓薬を大量に投与したり、抗血栓薬の投与が遅れたりすると脳出血という副作用により症状が悪化する場合があることが報告されている。特に、このため、抗血栓薬、特に血栓溶解剤を用いる血栓溶解療法において、血栓溶解剤による副作用の低減を図る提案が種々行われている。
例えば、特許文献1(国際公開第2003/024445号パンフレット)には、副作用の発生の頻度の少ない安全な虚血疾患の治療又は予防のための医薬として、抗血栓薬と、抗酸化作用効果を奏する3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン(エダラボン)との組み合わせ薬剤が開示されている。
特許文献2(特開2011−46685号公報)には、脳梗塞急性期徒過後の患者にも投与可能な医薬品組成物として、血栓溶解剤と、脳出血阻害効果を奏する血管内皮増殖因子(VEGF)受容体シグナル伝達阻害剤とを含む脳梗塞の治療用医薬品組成物が開示されている。
また、特許文献3(特開2013−155167号公報)には、虚血性脳血管障害の伴う脳出血を予防する医薬として、1−(5−イソキノリンスルホニル)ホモピペラジン(ファスジル)等の化合物が開示されている。
一方、プログラニュリン(progranulin:PGRNと称する場合がある)は、細胞の増殖又は腫瘍の形成、創傷の治癒、炎症の抑制等に関与する成長因子であることが知られている。またプログラニュリンの脳における発現が、脳の性分化又は成熟動物における神経新生に関与すること、プログラニュリンをコードする遺伝子の変異が認知症の一種である前頭側頭葉変性症の原因となること等が報告されている(非特許文献1(Behavioural brain research 2007, Vol.185, pp.110-118)及び2(臨床神経(Clinical neurology) 2008, Vol.48, pp.990-993))。また、非特許文献3(Brain research 2012, Vol.1436, pp.130-136)には、プログラニュリンは、プログラニュリンを過剰発現させたトランスジェニックモデルでの検討で、炎症性サイトカインのレベルを低減させることにより脳虚血に対し保護的に作用することが報告されている。
さらに、非特許文献4(Journal of neuroinflammation 2013, Vol.10, pp.105-118)には、マウス糸引き抜きモデルにおいて、虚血再灌流直後の組み換えプログラニュリンタンパク質の脳室内投与が、24時間後の梗塞サイズ、浮腫サイズ及び予後を改善することが報告されている。その機序として好中球の遊走の抑制、それに伴うマトリックスメタロプロテアーゼ9、又は炎症性サイトカインである腫瘍壊死因子(TNF)αの産生量の減少が指摘されている。
このように、プログラニュリンは虚血性血管障害に対して、抗炎症作用を奏し得る。
近年、血栓溶解療法の治療可能時間が、臨床試験においてtPAは脳梗塞発症後4.5時間まで有効性があるという結果が示され、従来の脳梗塞発症後3時間から4.5時間に延長された。しかし、脳出血の発症リスクは虚血時間が長いほど高くなるため、虚血時間延長に伴う再灌流障害により、脳出血の発症のリスクが高まることが予想される。さらに、神経細胞死又は血液脳関門(BBB)破綻の発生増加、さらに、これらに伴って発生する炎症の増強を来す症例が増加することが予測される。また、不適切なタイミングで血栓溶解剤を使用すれば出血合併症等のリスクが高まる等の理由から、依然として、血栓溶解療法の適応とならない症例が脳梗塞患者の多数を占める。
本発明は、虚血後の再灌流に起因する出血を予防する薬剤を提供する。プログラニュリンが虚血後の再灌流に起因する出血を予防する作用を有することは知られていない。
本発明は以下のとおりである。
[1] プログラニュリンを含有する、虚血後の再灌流に起因する出血を予防するための薬剤。
[2] 虚血後の再灌流が脳におけるものであり、出血が脳出血である[1]に記載の薬剤。
[3] 脳血管保護、脳神経細胞保護及び脳の炎症抑制からなる群より選択される少なくとも1種のための、[2]に記載の薬剤。
[4] 血栓溶解剤と組み合わせて投与される[1]〜[3]のいずれか1つに記載の薬剤。
[5] 血栓溶解剤が、組織型プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含む[4]に記載の薬剤。
[6] 急性期脳梗塞を発症し、虚血後の再灌流に起因する出血のリスクを有する投与対象における虚血後の再灌流に起因する出血を予防するための、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の薬剤。
[7] 急性期脳梗塞発症後3時間以上経過している投与対象の虚血後の再灌流に起因する出血を予防するための、[1]〜[6]のいずれか1つに記載の薬剤。
[8] 急性期脳梗塞発症後4.5時間以上経過している投与対象の虚血後の再灌流に起因する出血を予防するための、[1]〜[7]のいずれか1つに記載の薬剤。
[9] 血栓溶解剤を収容する収容部と、プログラニュリンを収容する収容部とを含む、虚血再灌流障害に起因する出血を予防するための血栓溶解療法キット。
[10] [1]〜[8]に記載の薬剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、虚血後の再灌流に起因する出血を予防するための方法。
[11] [1]〜[8]に記載の薬剤として使用するためのプログラニュリン。
[12] [1]〜[8]に記載の薬剤として使用するためのプログラニュリンの使用。
[13] [1]〜[8]に記載の薬剤の製造におけるプログラニュリンの使用。
本発明によれば、虚血後の再灌流に起因する出血を予防する薬剤を提供することができる。再灌流後の出血合併症のリスクが高いために適用できなかった治療方法であっても、本発明の薬剤を用いることによって適用することが可能になる。
本発明の薬剤は、血管保護作用、脳神経保護作用、及び、抗炎症作用も有し、急性期脳梗塞の治療に用いることによって予後を改善することができる。
本発明の実施例1に係る神経細胞の細胞障害率(%)を示すグラフである。 実施例1において死亡したラットの脳の切片のTTC染色の結果を示す。 (A)は、本発明の実施例2に係る血栓溶解療法における24時間後の対照群とPGRN群との生存率を示すグラフであり、(B)は血栓溶解療法の開始時と24時間後での神経所見の変化に基づく分類を表すグラフである。 プログラニュリンがTAR DNA−binding protein 43kDa(TDP−43)の低酸素及び低グルコース(OGD)刺激による核外移行を抑制することを示す図である。培地へのプログラニュリンの添加は、神経細胞機能に重要な核タンパクであるTDP−43が核外に移行することを抑制し、神経細胞機能を保護する。 TDP−43が核外移行した神経細胞の割合が、プログラニュリンの添加により有意に抑制されることを示す。 プログラニュリンノックアウトマウス由来の初代培養ミクログリア細胞は、低酸素及び低グルコース(OGD)刺激によって抗炎症性サイトカインであるIL−10を分泌が顕著に減少していることを示す。 プログラニュリンノックアウトマウス由来の初代培養ミクログリア細胞は、野生型マウス由来の初代培養ミクログリア細胞と比較してIL−10が低下していることを示す。 プログラニュリンノックアウトマウスでは虚血再灌流後の脳浮腫の発生が亢進することを示す。 プログラニュリンが虚血後のVEGF発現を抑制していることを示す。
本発明の薬剤は、プログラニュリンを含有する、虚血後の再灌流に起因する出血を予防するための薬剤である。
本発明者らは、血栓溶解療法におけるプログラニュリンの投与効果を検討し、プログラニュリンを用いた場合に、脳虚血再灌流後の脳出血が抑制されることを見出した。さらに、プログラニュリンが神経細胞死の増加を抑制し、炎症の増強を抑制し得ることも見出した。本発明はこの知見に基づくものである。
なお、本明細書において、「血栓溶解療法」とは血栓溶解剤を用いる治療をいう。
特に、血栓溶解療法に用いられる血栓溶解剤のうち、tPAを用いた治療法は、急性期脳梗塞に対して唯一、有効性が証明された治療法であるものの、治療可能時間(4.5時間)を超えると、tPA自体の毒性又は虚血再灌流障害により血管が破綻し、出血合併症が増加し、かえって予後が悪化することが知られている。また、tPAの治療可能時間は、従来は脳梗塞発症後3時間であったが、発症後3時間を超えてtPAを投与した場合には、発症後3時間以内にtPAを投与した場合と比較して再灌流後に脳出血を起こすリスクが高いことが知られている。
プログラニュリンは再灌流後の脳出血を抑制する効果に加え、脳浮腫を抑制する効果、神経細胞保護効果及び抗炎症効果も有しているので、プログラニュリンによる出血抑制効果に加えて、脳保護効果及び血管保護効果と、これに起因した予後の改善が見込まれる。この結果、血栓溶解療法の際に、出血、特に脳出血を合併するリスクを低減することができ、血栓溶解療法の対象者を広げることが可能となる。
従って、本発明によれば、血栓溶解療法における出血合併症を従来のものよりも効果的に抑制可能な薬剤を提供することができる。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
さらに本明細書において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
以下、本発明について説明する。
本発明における血栓溶解療法は、血栓の発生により組織が虚血状態となる虚血疾患の患者に対して、血流の再開を目的として血栓溶解剤を使用する療法である。対象となる虚血疾患は、血栓溶解剤が適用され得る疾患であればよい。血栓溶解剤が適用され得る疾患としては、各種の虚血性疾患若しくはそれに基づく各種の疾患、即ち、脳梗塞、脳卒中等の脳血管障害、又はそれらに起因する脳機能低下等の脳疾患;心筋梗塞、心不全等の心筋虚血に基づく心疾患などを挙げることができる。なかでも本発明の薬剤は、脳血管障害、具体的には、虚血性脳血管障害を伴う脳出血、眼球出血、網膜出血の可能性がある脳血管障害の治療に適用するものであることが好ましい。
虚血性脳血管障害は、一般的には脳梗塞としての病態を呈する疾患である。本発明における虚血性血管障害には、一過性の脳虚血血管障害により生じる一過性脳虚血発作等の疾患も包含する。脳梗塞は発症後の時間及び治療法の選択で、脳梗塞急性期と脳梗塞慢性期に分類される。脳梗塞急性期は脳梗塞発症から症状改善の治療を行い症状の落ち着くまでの期間、一般的には発症から2週間ぐらいの期間を意味する。脳梗塞慢性期は症状が落ち着いて脳梗塞の再発予防及びリハビリ治療が中心となる時期より後を意味しており、一般的には発症から1ヶ月程経った時期以降のことである。
脳梗塞急性期での再灌流障害とは、脳血管の閉塞、狭窄等で脳虚血状態にある脳組織において、治療によって又は自然に血液再灌流が生じた場合に組織又は細胞に対して悪影響を起こす様々な物質が産生され、その結果として脳組織傷害が引き起こされることを意味する。
本発明における血栓溶解剤としては、脳梗塞急性期の血栓溶解に適用することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。血栓溶解剤としては、例えば、組織型プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)又はその誘導体、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、一本鎖ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(u−PA)、デスモテプラーゼなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、血栓溶解剤は、組織型プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが、血栓溶解の成功率を高めることができる点で好ましい。
血栓溶解剤の製造方法としては、特に制限はなく、血栓溶解剤の種類などに応じて適宜選択することができ、例えば、遺伝子組換え法、合成法等が挙げられる。また、市販品を用いてもよい。
tPAの誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。tPAの誘導体としては、例えば、tPAに、糖鎖、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、ポリエチレングリコール、その他の医薬品として許容される添加剤又は処理剤を結合したもの等が挙げられる。また、tPAのアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸が置換されたものであってもよい。
tPA誘導体の具体的な例としては、モンテプラーゼ、パミテプラーゼ、レテプラーゼ等のtPAのアミノ酸配列において一部のアミノ酸残基が置換されたtPA誘導体;テネクテプラーゼ、ラノテプラーゼ等のtPAのアミノ酸配列において一部のアミノ酸残基が置換され、更に糖鎖が修飾されたtPA誘導体等が挙げられる。
プログラニュリンは、ヒトプログラニュリンの場合、593アミノ酸残基で構成され、分子量68.5kDa(糖タンパク質形態の場合には88kDa)のシステインに富む糖タンパク質であり、プロテアーゼの作用を介して活性型の6kDaのペプチド(グラニュリン)を生成するものとして知られている。マウスプログラニュリンの場合は、602アミノ酸残基で構成され、NCBIのアクセッション番号:NP_032201 XP_990075に登録されている(配列番号1)。ヒトプログラニュリンのアミノ酸配列は、NCBIのアクセッション番号:NP_002078.1に登録されている(配列番号2)。
プログラニュリンの製造方法は特に制限はなく、既知のアミノ酸配列又はポリヌクレオチド配列に基づいて、例えば、遺伝子組換え法、合成法等により得てもよく、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、Progranulin (mouse), (recombinant), ALX-201-389, Enzo Life Sciences, Inc. Farmingdale, NY, USAが挙げられる。
また、プログラニュリンは、その生理学的機能が損なわれない範囲で、既知のアミノ酸配列に一部のアミノ酸残基が付加、置換又は欠失された変異型プログラニュリンであってもよく、既知のポリヌクレオチド配列に1以上の塩基が付加、置換又は欠失した変異型プログラニュリンであってもよい。プログラニュリンは、プログラニュリンの誘導体であってもよく、プログラニュリンの誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。プログラニュリンの誘導体としては、例えば、プログラニュリンに、糖鎖、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、ポリエチレングリコール、その他の医薬品として許容される添加剤又は処理剤を結合したもの等が挙げられる。
血栓溶解剤の投与量は、各血栓溶解剤単独投与として販売承認を受けている量を好ましい量として挙げられる。例えば、tPAの場合には、具体的には、一回投与量として0.001mg/kg〜1,000mg/kgが挙げられ、0.01mg/kg〜100mg/kgが好ましく、0.1mg/kg〜10mg/kgが更に好ましく、0.3mg/kg〜1.8mg/kgが特に好ましい。投与量は、年齢、病態、症状等により適宜増減することが好ましい。
プログラニュリンの投与量は、プログラニュリンの機能として有効な量であればよく、例えば一日あたり1mg/kg以上が挙げられる。プログラニュリンの投与量の範囲としては0.1mg/kg〜50mg/kgが挙げられ、0.2mg/kg〜25mg/kgが好ましく、0.5mg/kg〜10mg/kgが更に好ましい。投与量は、年齢、病態、症状等により適宜増減することが好ましい。
有効成分である血栓溶解剤及びプログラニュリンと、生理学的に許容される製剤用添加物とを用いて医薬組成物の形態として調製してもよい。
本発明の薬剤の製剤用添加物としては、例えば、水、生理食塩液、デキストロース又は類似の糖溶液等の液状媒体、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレンルリコール等のグリコール類;亜硫酸塩等の抗酸化剤;クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等のpH調節剤及び緩衝剤;ピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA、チオグリコール酸、チオ乳酸等の安定化剤;塩化ナトリウム、ブドウ糖等の等張化剤;塩酸プロカイン、塩酸リドカイン等の局所麻酔剤;ジメチルスルホキシド(DMSO)等の界面活性剤などが挙げられる。また、これらの他にも剤型に合わせて公知の添加物を含有することができる。
本発明において、血栓溶解剤とプログラニュリンとを組み合わせる場合、組み合わせの形態については、特に制限はない。例えば、血栓溶解剤とプログラニュリンとを、別々に製剤化して個別に投与してもよい。この場合には、個別に製剤化された血栓溶解剤とプログラニュリンとを、同時に投与してもよく、別々に投与してもよく、経時的に投与してもよい。また、血栓溶解剤とプログラニュリンとを、単一の製剤に製剤化して同時に投与してもよい。
製剤用添加物と、有効成分との比率は特に限定されないが、医薬組成物の全質量に対して、通常は0.01質量%以上で、80質量%以下、好ましくは60質量%以下の有効成分を含む医薬組成物が好ましい。
本発明の薬剤の投与方法は特に限定されず、非経口投与及び経口投与のいずれであってもよい。非経口投与に適した医薬組成物としては、例えば、注射剤、点滴剤、吸入剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤等が挙げられる。本発明の薬剤は、注射剤として経静脈投与することが好ましいが、これに限定はされない。経口投与に適した医薬組成物としては、例えば、錠剤、カプセル剤、粉剤、顆粒剤、液剤、エリキシル剤等が挙げられる。非経口的に筋肉内注射、静脈内注射、又は皮下注射により投与する場合には、等張化剤として食塩、グルコース等の溶質を製剤用添加物として加えた無菌溶液を調製して投与することが好ましい。
医薬組成物を注射により投与する場合には、滅菌水、塩酸リドカイン溶液(筋肉内注射用)、生理食塩液、ブドウ糖、静脈内注射用溶液、又は電解質溶液(静脈内注射用)等の水性媒体で有効成分を溶解することも好ましい。例えば、0.01質量%以上、20質量%以下、好ましくは0.1質量%以上、10質量%以下の割合で有効成分を含む注射剤を調製することができる。
本発明の薬剤を血栓溶解剤と組み合わせて用いる場合の投与量は特に限定されず、一般的には患者の年齢、症状の重症度、体重、同時処置があるならばその種類、処置頻度、あるいは投与経路又は投与計画などによって適宜選択できる。好ましい投与量は、プログラニュリンの投与量及び血栓溶解剤の投与量として記載されている投与量と同様である。
本発明の薬剤の投与時期は特に限定されない。例えば、脳梗塞の場合、脳梗塞の発症直後からそれ以降の脳梗塞急性期及び脳梗塞慢性期のいずれか任意の時期に投与することができる。例えば脳梗塞発症直後から脳梗塞急性期までの期間に投与することができ、あるいは脳梗塞罹患中の全期間にわたって投与することもできる。
血栓溶解剤と、プログラニュリンとを別々の製剤として用いる場合には、血栓溶解剤の投与時期とプログラニュリンの投与時期とを、それぞれ好適に決定することができる。即ち、血栓溶解剤と、プログラニュリンとを、同時に、別々に又は経時的に投与することができる。
例えば、本発明の薬剤を血栓溶解剤と組み合わせて用いる場合、血栓溶解剤については通常の血栓溶解療法での投与と同様に脳梗塞急性期での投与であり、かつ、プログラニュリンについては、脳梗塞急性期の血栓溶解剤の投与と同時期における投与が挙げられる。あるいは、血栓溶解剤については脳梗塞急性期での投与であり、かつ、プログラニュリンについては、血栓溶解剤の投与を終了した後に投与を開始するものであってもよい。血栓溶解剤、特にtPAによる出血予防の観点から、血栓溶解剤の投与直前にプログラニュリンを投与することが特に好ましい。
本発明において、「血栓溶解剤とプログラニュリンとを組み合わせる」とは、プログラニュリンを血栓溶解剤投与の2時間前〜12時間後までの間に少なくとも1回投与することを意味する。
また、血栓溶解剤の投与時期とは独立して、プログラニュリンの投与時期は、例えば、脳梗塞発症直後から72時間以内、好ましくは48時間以内に初回投与を行い、その後、初回投与日から14日目まで投与を連続して行う投与とすることができる。また、別の態様としては、プログラニュリンの投与時期は、例えば、血栓溶解剤と同時にプログラニュリンの投与を開始し、その後、プログラニュリンの14日目まで投与を連続して行う投与とすることができる。さらに別な態様としては、血栓溶解剤の投与時期とは独立して、プログラニュリンを脳梗塞発症直後から72時間以内、好ましくは48時間以内に初回投与をしていない患者に対して、脳梗塞発症から14日以内に投与することもできる。
本発明においては、脳梗塞急性期に投与される血栓溶解剤によって生じる再灌流障害による脳出血を効果的に予防する観点から、本発明の薬剤におけるプログラニュリンの投与時期としては、血栓溶解剤の投与を行う脳梗塞急性期に投与することが好ましく、とりわけ脳梗塞急性期において生じる再灌流障害に起因する脳出血を予防できる時期に投与することがより好ましく、脳梗塞急性期において生じる再灌流障害に起因する脳出血を予防できる時期であって、かつ、血栓溶解剤の投与直前であることが特に好ましい。本発明の薬剤におけるプログラニュリンの投与時期としては、脳梗塞発症後、より早期であることが好ましく、具体的には、5時間以内であることが好ましく、4.5時間以内であることがより好ましく、3時間以内であることが更に好ましい。
本発明の薬剤は、急性期脳梗塞を発症し、脳虚血後の再灌流に起因する脳出血のリスクを有する投与対象に投与することが好ましい。「脳虚血後の再灌流に起因する脳出血のリスクを有する」とは、脳虚血再灌流後に脳出血を起こす可能性があることを意味する。ここで、脳虚血再灌流後とは、一般的には脳虚血再灌流後5日までの期間を指す。
血栓溶解剤は、その作用機序として脳出血のリスクを増大させるため、本発明の薬剤は血栓溶解剤と組み合わせて用いることが特に好ましい。血栓溶解剤と組み合わせて本発明の薬剤を用いる場合、血栓溶解剤は、脳梗塞発症後5時間以内に投与することが好ましく、4.5時間以内に投与することがより好ましく、3時間以内に投与することが更に好ましい。プログラニュリンは、血栓溶解剤の投与と同時に、もしくは血栓溶解剤を投与する直前に、もしくは血栓溶解剤を投与する2時間前に投与してもよい。
本発明の薬剤は、脳梗塞発症後、より早期に投与することが好ましいが、脳梗塞発症後3時間以上経過している場合には脳虚血後の再灌流に起因する脳出血のリスクが高くなることから、脳梗塞発症後3時間以上経過した投与対象に適用した場合には従来の血栓溶解療法と比較して特に顕著な効果を有する。また、脳梗塞発症後4.5時間以上経過している場合には従来の血栓溶解療法を適用することができないが、本発明の薬剤と組み合わせることによって血栓溶解療法が適用可能となる点で特に顕著な効果を有する。
例えば、従来には血栓溶解剤の投与が可能ではなかった脳梗塞発症後4.5時間以上を経過した場合に、プログラニュリンを血栓溶解剤と組み合わせて投与することによって再灌流後の脳出血を抑制し、血栓溶解剤の投与を可能にする。脳梗塞発症後3時間以内に血栓溶解剤を投与した場合と比較して血栓溶解剤の投与による再灌流後の脳出血のリスクが高くなる、脳梗塞発症後3時間以上を経過した場合にもプログラニュリンを血栓溶解剤と組み合わせて投与することによって、血栓溶解剤単独で投与するよりも予後が良好となる。脳梗塞発症後3時間以内の投与対象においても、血栓溶解剤を投与することによって再灌流後に脳出血の可能性がある場合には、再灌流後の脳出血を抑制するためにプログラニュリンを血栓溶解剤と組み合わせて投与することが好ましい。
脳梗塞発症後の経過時間は、臨床において通常行われる方法によって決定することができる。例えば、tPA投与の適用を判断する際に用いられる方法を使用すればよい。典型的には、臨床的な脳梗塞の症状である意識障害、強い頭痛、四肢の麻痺、顔面の麻痺又は言語障害等が発症した時刻が脳梗塞の発症時刻とされる。
本発明の薬剤は、脳梗塞に対する機械的血栓除去術を行う際に投与してもよい。機械的血栓除去術とは、閉塞血管にカテーテルを挿入し、存在する血栓を機械的に除去する治療である。血栓溶解療法の効果が期待できないか、充分な効果が無かった対象、あるいは血栓溶解療法の適用外である対象にしばしば適用されるが、機械的血栓除去術による再灌流後にも10%程度(Bose AM et al. The penumbrasystem: a mechanical device for the treatment of acute stroke due to thromboembolism,Am J Neuroradiol 29; 1409-1413, 2008)の割合で脳出血を起こすことが報告されている。本発明の薬剤は、脳梗塞に対する機械的血栓除去術による再灌流に起因する脳出血を予防し、予後を改善することができる。
投与対象となる動物種としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト、サル、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、トリ等が挙げられるが、これらの中でもヒトに好適に用いられる。投与対象がヒトである場合には、薬剤としての効果が高いこと及び免疫反応等の副作用が少ないという観点から、ヒトプログラニュリン若しくはヒトプログラニュリンに由来する変異型プログラニュリン、又はこれらの誘導体を用いることが好ましい。
本発明は、プログラニュリンを含む薬剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、虚血後の再灌流に起因する出血を予防するための方法を提供する。プログラニュリンを含む薬剤は、血栓溶解剤と組み合わせて投与されることが好ましい。プログラニュリン、血栓溶解剤、投与対象、適切な投与時間、投与量等については、本発明の薬剤について記載した通りである。
本発明の血栓溶解療法キットは、前述した血栓溶解剤を収容する収容部と、前述したプログラニュリンを収容する収容部とを含み、必要に応じて他の構成要素も含む。
本キットは、血栓溶解療法に必要な血栓溶解剤とプログラニュリンとを有しているので、本発明に係る血栓溶解療法の実施を迅速にかつ簡便に実行させることができる。
本キットに含まれる血栓溶解剤及びプログラニュリンの形態については特に制限はない。例えば、それぞれを適切な溶媒に溶解させた溶液の形態、凍結乾燥粉末の形態、医薬組成物としての投与に適した形態の各形態を挙げることができる。本キットに含まれる血栓溶解剤とプログラニュリンとは、同一の形態であってもよく、異なる形態であってもよい。
本キットの他の構成要素としては、血栓溶解剤とプログラニュリンとを用いた血栓溶解療法を記載した製品説明書、血栓溶解剤、プログラニュリン又はこれら双方を必要に応じて適度な使用濃度に希釈するための希釈剤等が挙げられる。これらの構成要素は、収容部に収容された形態であってもよい。本キットにおける「収容部」とは、それぞれの薬剤が混合せずに独立して存在するために有効な形態であれば特に制限はなく、例えば、バイアル等の容器又は個別包装形態などであってもよく、一の容器又はシートにおいて独立して区分けされた領域としての形態であってもよい。
本発明の薬剤は、梗塞急性期徒過後の患者にも投与でき、細胞保護効果、並びに、出血の予防及び予後の増悪を改善できるため、虚血疾患の治療に好適に利用可能である。
従って、本発明には、血栓溶解療法の対象に血栓溶解剤を投与すること、及び、血栓溶解剤の投与と同時に、その前に、又はその後に、プログラニュリンを投与することを含む虚血疾患、例えば、脳梗塞、脳卒中等の脳血管障害、心筋梗塞、心不全等の心筋虚血に基づく心疾患の治療方法も包含する。特に、血栓溶解療法の対象として脳梗塞患者とした場合には、神経細胞の保護及び脳血管関門の保護効果に基づく脳出血合併症の予防方法としての適用も好ましい。
以下、本発明を実施例にて詳細に説明する。しかしながら、本発明はそれらに何ら限定されるものではない。
なお、すべての数値は平均±標準誤差で示した。統計解析は、SPSS ver.12.0(SPSS Inc.)を用いて行った。P値<0.05を統計学的に有意とした。
[実施例1]
<神経細胞保護評価>
1.初代培養細胞の調製
マウス初代培養神経細胞は、C57Bl/6マウス胎児(胎生17日;SBMBX0305、DSファーマバイオメディカル)の大脳皮質を用いて既報に従い準備した(Takeuchi et al., 2005 J Bio Chem)。
具体的には、マウスの大脳皮質片から、細胞分散液(MB−X9901D 神経細胞分散液セット、Sumitomo Bakelite)を用いて神経細胞を分散し、再懸濁した後、ポリ−D−リジンをコートした6ウェルプレート(P7405、Sigma)に播種し、2週間培養した。初代神経細胞の培養には、グリア細胞培養上清を含む神経細胞培養液培地(MB−X9501、 Sumitomo Bakelite)を用いた。
2.低酸素及び低グルコース負荷に対するPGRN処理
上記で準備した神経細胞を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄して無血清状態とした後、1.0mg/Lのグルコースを含むDMEM(Sigma)に懸濁し、組み換えマウスPGRN(AG−40A−0080、AdipoGen, Incheon, South Korea、配列番号1)を、0ng/mL、0.05ng/mL、0.5ng/mL又は5.0ng/mLとなるように添加して、各ウェルに播種し、培養した。
2時間後に、hypoxia chamber(Billups-Rothenburg, Del Mar, CA)に置き、95%(v/v)N及び5%(v/v)COの混合ガス下で1時間振盪し、その後、24時間の培養を行った。
低酸素及び低グルコース負荷による細胞死は、培養上清中のラクテートデヒドロゲナーゼ(LDH)放出を、キット(Roche Diagnostics GmbH, Penzberg Basel, Switzerland)を用いて測定した。プロトコールに従い、OGD(低酸素及び低グルコース負荷)後に、組み換えマウスPGRNの添加群の試料について、2質量%トライトンX−100溶液を添加し、細胞を100%死滅させた。その後、死滅細胞の培養上清とトライトンX−100溶液の混合試料のLDH値合計を1として、OGD後の培養上清中のLDH値を、OGDで死滅した細胞のLDH値として生存比を計算した。細胞障害率(%、死滅率)は、100%細胞死との相対比で表した。5回の測定を繰り返した。結果を図1に示す。
図1に示されるように、プログラニュリンの投与によって、低酸素及び低グルコース負荷後の神経細胞の生存率が改善することがわかった。
[実施例2]
<tPAとプログラニュリンとの併用による血栓溶解療法>
1.一過性脳虚血モデルの作製
オスSprague−Dawleyラット(日本チャールス・リバー株式会社,体重300g〜370g)を用いて、既報(Clinical and experimental immunology 1990;82:450-455)に従って、以下のように一過性脳虚血モデルラットを作製した。
直径0.35mmのポリエチレンチューブカテーテル(PE−50、ベクトン・ディクティンソン)の内腔を、トロンビンを加えたラットの自家血にて満たし、終夜放置して凝血させた後、1mmの長さに切断し、血栓を作製した。この血栓を上記のカテーテルを用いて、ハロタン麻酔下のラットの中大脳動脈に15個注入した。血栓注入前、注入後30分、及び24時間後に、それぞれ、レーザードップラー血流計(AFL21、株式会社アドバンス、東京)を用いて脳表血流値を測定し、血栓注入前と比べて50%未満に低下したラットのみ実験に使用した。
2.血栓溶解療法
作製した一過性脳虚血モデルラットそれぞれに、血栓溶解剤tPA(アルテプラーゼ、田辺三菱製薬株式会社)を、血栓注入の4時間後に、大腿静脈から30分間かけて静注した(10mg/kg、10%ボーラス投与、及び90%点滴投与)。
また、tPA静注の直前に、FLAFタグ付き組換えPGRN(ALX−201−389、Enzo Life Sciences, Inc., Farmingdale, NY, USA)100μgをPBS200mlに溶解し、全量を大腿静脈からボーラス投与した。
3.評価
血栓溶解療法開始から24時間後に、血栓溶解療法を施したラットを、ハロタン過剰投与で供犠させ、PBSを経心臓的に潅流して、非固定の脳冠状切片を作製した。この切片を37℃で15分間、2質量%トリフェニルテトラゾリウム塩(TTC)を含むPBS(pH7.4)中で染色し、その後、スキャナー(CanoScaner、Canon)を用いて走査した。脳梗塞及び浮腫の体積は、既報(Journal of cerebral blood flow and metabolism : official journal of the International Society of Cerebral Blood Flow and Metabolism 1990;10:290-293)に基づいて算出した。脳出血量は分光光度計(GeneQuant(商品名) proRNA/DNA Calculator Spectro-photometer, GE Healthcare)使用して、術側脳組織、1dlあたりのヘモグロビン濃度(単位:g/dL)を測定した。結果を表1に示す。なお、表1には、同一の血栓溶解療法を施したラットに対してIgG抗体分子(抗ウサギ抗ヒト抗体(R5G10−048)、OEM Concepts社、100μg)を200mlのPBSに溶解し、得られた試料液全量を大腿静脈からボーラス投与した既報告のデータ(J Cereb Blood Flow Metab. 2011 31(6):1461-1474. Fig.6、A-C)を併せて示した(「IgG投与群」)。
また、tPAの投与前と虚血24時間後とで、神経所見の変化について比較し、6-point neurological scale (Brain Research:2000;863:94-105.) による神経所見の改善が認められた場合を「改善」とし、悪化したものを「悪化」として分類した。対照として、FLAGタグ付き対照タンパク質(Carboxy-terminal FLAG−BAPTM Fusion Protein, Sigma-Aldrich, MO, USA)100μgをPBS200mlに溶解し、全量を大腿静脈からボーラス投与した。結果を、表2に示す。
表1に示されるように、24時間時点の脳梗塞体積、浮腫体積については、PGRN投与群では既報のIgG群と比較して梗塞サイズに有意差を認めなかったものの(P=0.529)、浮腫サイズは有意に縮小した(P=0.007)。
さらに、表1に示されるように、出血を評価する目的で測定した虚血側大脳半球のヘモグロビン濃度もPGRN投与群では既報のIgG群と比較して有意に減少した(P=0.001)。
また、表2に示されるように、tPAを虚血後4時間で使用し、FLAG対照タンパク質を投与した群(Control群)の24時間後の死亡率は、6割(3匹)であった。死亡したラットの脳を摘出し、3mmの厚さにスライスし、2, 3, 5-トリフェニルテトラゾリウムクロライド(TTC)溶液を用いて染色を行った(図2)。死亡したラットの脳にはいずれも出血が認められ、死亡原因は脳出血であることが確認された。
これに対して、PGRN投与群では5匹中全例が生存し、治療後転帰に有意な改善が認められた(P=0.038)。また、神経所見の変化に基づいてtPA投与後と虚血24時間後で比較したところ、プログラニュリン投与群(PRGN投与群)において、予後の改善がもたらされた(4匹、P=0.033)(図3)。
実施例2では、虚血後4時間でtPAを使用しているが、ラットにおける4時間はヒトにおける4時間には必ずしも相当しない。ラットにおける虚血後4時間は、ヒトにおいては再灌流後に脳出血によって6割程度が死亡する経過時間、つまり発症後3時間以上乃至は4.5時間以上、に相当すると考えられる。
[実施例3]
<プログラニュリンによるTDP-43の核外移行の抑制>
TDP−43は、核と細胞質との間を移動し、RNAの安定化、選択的スプライシング、及び、転写調節などに関与している。神経細胞におけるTDP−43の核外移行を抑制することは、神経細胞機能が保護されることを表す。
正常酸素濃度、および24時間の低酸素及び低グルコース(OGD)刺激を行った初代神経細胞を用いた(N=7)。
初代神経細胞の調製、及び、OGD刺激については実施例1と同様に行った。
抗マウスMAP2抗体(Sigma-Aldrich社製,M9942)の1:250希釈液、又は、ラビット抗ヒトTDP−43抗体(Protein Tech Group Inc、10782-1-AP)の1:2000希釈液を一次抗体として使用した。Alexa fluor (Molecular probe)を二次抗体として使用した。 Vectashield DAPI (Vector Laboratories社、 Burlingame, カリフォルニア)を用いて核染色を行い、包埋した.
標本を共焦点レーザー顕微鏡 (LSM510 META; Carl Zeiss社、 Oberkochen、ドイツ)を用いて観察し(図4)、MAP2陽性神経細胞のうち、細胞質でTDP-43の染色を認める細胞の頻度を、高倍率視野(600×) のうちランダムに選んだ重複しない7視野で計測した(図5)。
図3および4に示すように、プログラニュリンはTDP-43の核外移行を抑制した。
[実施例4]
<プログラニュリンノックアウトマウスにおけるIL−10産生の低下>
1.初代培養ミクログリア細胞および初代培養アストロサイト細胞の調製
プログラニュリンノックアウトマウス及び野生型マウスのミクログリアおよびアストロサイトの初代培養は既報に従い行った(Milner et al.,Stroke 2008; 39: 191-7.) 。具体的には、出産直後のC57Bl/6マウスの前脳皮質の細胞をパパインで解離後、10%ウシ胎児血清を含むDMEM培地で10日間培養した。10日後フラスコを軽く15分間振盪し、ミクログリアを採取した。さらにフラスコを一晩振盪し、ミクログリアとオリゴデンドロサイトを除去し、アストロサイトを採取した。さらに、OGD刺激及びPGRN処理を実施例1と同様に行った。
プログラニュリンノックアウトマウス(C57BL/6バックグラウンド)は、理研バイオリソースセンター (Tsukuba、日本) より購入して繁殖を行った。適切な環境下で飼育し (照明05:00−19:00、室温23±1℃、湿度55±10%)、餌や水へは自由にアクセスできるようにしたプログラニュリンノックアウトマウスを用いた。
2.RT−PCRによるIL−10転写物の検出
初代ミクログリアを収集し、遠心して(13,000 rpm、10分)ペレットを採取した。全RNAをNucleospin RNA XS(U0902A, Takara Bio社、東京、日本)を用いて採取し、 ReverTra Ace (FSQ-101、TOYOBO社、大阪、日本)を用いて一本鎖cDNAを合成した。PrimeSTAR(R) Max DNA Polymerase(Takara Bio社)(登録商標)及び下記のプライマーを用いてPCR反応を行った。
・TNF−α (フォワードプライマー:5’− AAGAGGCACTCCCCCAAAAG −3’ (配列番号3)、リバースプライマー:5’− GCTACAGGCTTGTCACTCGAA −3’ (配列番号4))
・TGF-β (フォワードプライマー:5’− TGGAGCAACATGTGGAACTC −3’ (配列番号5)、リバースプライマー: 5’− CAGCAGCCGGTTACCAAG −3’ (配列番号6))
・IL−10 (フォワードプライマー:5’− CTAACCGACTCCTTAATGCAG −3’ (配列番号7)、リバースプライマー:5’− TTAAAATCA CTCTTCACCT −3’ (配列番号8))
・アクチン (フォワードプライマー:5’− CATCCGTAAAGACCTCTATGCCAAC −3′(配列番号9); リバースプライマー:5’− ATGGAGCCACCGATCCACA −3’ (配列番号10))
PCR反応の条件は、98℃10秒、55℃5秒、72℃5秒を35サイクルで行った。目的とする遺伝子の標準化はアクチンを用いた (N=5−7)。
プログラニュリンノックアウトマウス由来の初代培養ミクログリア細胞では、抗炎症性サイトカインであるIL−10の産生が低下していた。しかし、プログラニュリンを培地に添加することによって、プログラニュリンノックアウトマウス由来の初代培養ミクログリア細胞のIL−10の産生は増加した(図6、図7)。プログラニュリンノックアウトマウスについては実施例4に記載されている。
[実施例6]
<プログラニュリンによる血管保護効果>
1.局所脳虚血
体重が22〜28gの野生型(C57BL/6)およびPGRNノックアウトマウス (C57BL/6バックグラウンド)を用いた。麻酔はキシラジン(xylazine、10mg/kg)および抱水クロラール(300mg/kg)を腹腔内投与した。直径0.074mmのナイロン糸を外頚動脈から挿入し、中大脳動脈を閉塞し、90分間の虚血後に糸を引きぬき再開通させた。直腸温は 37.0±0.5℃に保った。手術と解析は盲検化のうえ行った。
2.免疫染色
マウスをハロタン過剰投与で供犠させ、再灌流の24hないし72h後に冷 4%パラホルムアルデヒドを経心臓的に灌流した。脳を除去後、パラフィンワックスに包埋した。4μm厚の連続切片を作成後、ラビット抗ヒト内皮細胞増殖因子(VEGF)抗体(Santa Cruz Biotechnologies,sc-152)を1:100で用いて反応させ、ABC Vectastain kit (Vector Laboratories社)を用いて染色を行った。3回の免疫染色を行い結果を確認した。
3.浮腫サイズの測定
実施例2と同様に浮腫のサイズを測定した。
4.評価
免疫染色の結果、プログラニュリンノックアウトマウスの脳ではVEGFの発現が野生型マウスより増加していた。また、虚血再灌流後の脳浮腫の発生が有意に高く(図8)、プログラニュリンノックアウトマウスではVEGF発現が増加していた(図9)。
プログラニュリンはVEGFの発現調節を介して血管保護効果をもたらすことが示唆された。
以上に示す通り、tPAを用いた血栓溶解療法においてプログラニュリンを併用することにより、脳浮腫の肥大化及び脳出血の発生を効果的に抑制できることが明らかであった。また、プログラニュリンには、抗炎症効果に加えて、神経細胞保護作用もあることが明らかであった。
従って、血栓溶解剤を用いた血栓溶解療法においてプログラニュリンを併用することにより、出血を抑制すると同時に神経細胞を保護し、さらに抗炎症作用を有することがわかった。このことから、血栓溶解療法の出血合併症が効果的に防止され、予後の顕著な改善も見込まれる。脳出血の抑制作用、神経保護作用、血管保護作用及び抗炎症作用を示す物質は現在までに知られていない。本発明の薬剤は、脳出血の抑制のみならず、神経保護作用、血管保護作用及び抗炎症作用を併せ持つことによって、従来は再灌流後に脳出血を起こし死亡していた投与対象においても、死亡を防ぎ予後を改善する効果を有する。
上述したように、本発明によれば、血栓溶解療法における出血合併症を従来のものよりも効果的に抑制可能な薬剤が提供される。
2013年9月30日に出願された日本国特許出願2013ー205072の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
本発明の例示的実施形態についての以上の記載は例示および説明の目的でされたものであり、網羅的であることあるいは発明を開示されている形態そのものに限定することを意図するものではない。明らかなことではあるが、多くの改変あるいは変更が当業者には自明である。上記実施形態は発明の原理及び実用的応用を最もうまく説明し、想定される特定の用途に適するような種々の実施形態や種々の改変と共に他の当業者が発明を理解できるようにするために選択され、記載された。本発明の範囲の範囲は以下の請求項およびその均等物によって規定されることが意図されている。

Claims (9)

  1. プログラニュリンを含有する、虚血後の再灌流に起因する出血を予防するための薬剤。
  2. 虚血後の再灌流が脳におけるものであり、出血が脳出血である請求項1に記載の薬剤。
  3. 脳血管保護、脳神経細胞保護及び脳の炎症抑制からなる群より選択される少なくとも1種のための、請求項2に記載の薬剤。
  4. 血栓溶解剤と組み合わせて投与される請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の薬剤。
  5. 血栓溶解剤が、組織型プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項4に記載の薬剤。
  6. 急性期脳梗塞を発症し、虚血後の再灌流に起因する脳出血のリスクを有する投与対象における虚血後の再灌流に起因する出血を予防するための、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の薬剤。
  7. 急性期脳梗塞発症後3時間以上経過している投与対象の虚血後の再灌流に起因する出血を予防するための、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の薬剤。
  8. 急性期脳梗塞発症後4.5時間以上経過している投与対象の虚血後の再灌流に起因する出血を予防するための、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の薬剤。
  9. 血栓溶解剤を収容する収容部と、
    プログラニュリンを収容する収容部と
    を含む、虚血再灌流障害に起因する出血を予防するための血栓溶解療法キット。
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