JPWO2015045522A1 - 非水系電池電極用バインダー組成物、非水系電池電極用スラリー、非水系電池電極及び非水系電池 - Google Patents

非水系電池電極用バインダー組成物、非水系電池電極用スラリー、非水系電池電極及び非水系電池 Download PDF

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Abstract

(a)スチレン15〜70質量%、(b)エチレン性不飽和カルボン酸エステル20〜80質量%、(c)エチレン性不飽和カルボン酸1〜10質量%、(d)架橋性エチレン性不飽和単量体0.1〜5質量%および(e)他のモノエチレン性不飽和単量体0〜20質量%からなる単量体混合物を乳化重合して得られる水性ポリマーエマルジョンに、少量のアセチレングリコール化合物を加えて非水系電池電極用バインダー組成物を調製する。このバインダー組成物を用いると、バインダー使用量が少なくても、集電体を切断する工程で活物質が剥離せず、且つ、充放電サイクル特性に優れた非水系電池の製造が可能になる。

Description

本発明は、非水系電池の電極を形成するために用いられる非水系電池電極用バインダー組成物、該電極用バインダー組成物を用いて得られるスラリー、該スラリーを用いて得られる非水系電池電極、及び該非水系電池電極を用いて得られる非水系電池に関する。
近年、リチウムイオン二次電池に代表される非水系電池の開発が精力的に行われている。非水系電池は電源の小型化、軽量化に寄与することから、ノート型パソコン、携帯電話、電動工具、電子・通信機器など、多くの製品の電源として使用されており、最近では、電気自動車やハイブリッド自動車のような、有害物質の排出量が少ない環境に配慮した車両用の電源としても注目を集めている。しかし、これまでに知られている非水系電池は、出力、容量、寿命の点で必ずしも十分なものではなく、より一層の高出力化、高容量化、長寿命化が強く求められている。
非水系電池は、金属酸化物などを活物質とした正極、黒鉛等の炭素材料を活物質とした負極、及びカーボネート類、難燃性イオン液体などの電解液溶剤から構成されており、イオンが正極と負極間を移動することにより電池の充放電が行われる二次電池である。一般に、正極は、金属酸化物とバインダーから成るスラリーをアルミニウム箔などの正極集電体表面に塗布し、乾燥させた後に、適当な大きさに切断することにより得られる。負極は、炭素材料とバインダーから成るスラリーを銅箔などの負極集電体表面に塗布し、乾燥させた後に、適当な大きさに切断することにより得られる。従って、各バインダーは、活物質同士及び活物質と集電体を結着させ、集電体からの活物質の剥離を防止させる役割がある。
前記バインダーとして、有機溶剤系のN−メチルピロリドン(NMP)を溶剤としたポリフッ化ビニリデン(PVDF)系バインダーがよく知られている。しかしながら、このバインダーは活物質同士及び活物質と集電体との結着性が低く、実際に使用するには多量のバインダーを必要とし、結果として非水系電池の容量が低下する欠点がある。また、バインダー用の溶剤として高価で、且つ有毒なNMPを使用しているため、最終製品の価格、及びスラリーまたは集電体作製時の作業環境保全にも問題があった。
これらの問題を解決する方法として、従来から水分散系バインダーの開発が進められており、たとえば、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)を併用したスチレン−ブタジエンゴム(SBR)系の水分散体が知られている。このSBR系分散体は、水分散体であるため安価であり、作業環境保全の観点から有利である。また、活物質同士及び活物質と集電体との結着性が比較的良好なことから、PVDF系バインダーよりも少ない使用量で電極の生産が可能であり、結果として非水系電池の高出力化、及び高容量化ができるという利点がある。これらのことから、SBR系分散体は、非水系電池電極用バインダーとして広く使用されている。
しかしながら、このバインダーにおいても活物質同士、及び活物質と集電体との結着性が必ずしも十分でなく、少量のバインダーで電極を生産した場合に、集電体を切断する工程で活物質の一部が剥離するという問題があった。また、SBR系バインダーを用いる場合には、得られる非水系電池の抵抗値が高くなる傾向にあり、結果として高出力化、及び長寿命化ができないという問題があった。
このような背景の下で、SBRに代表される水分散系バインダーの性能改善を目指す研究が進められており、たとえば、電極の充放電サイクル特性を改善する目的で、活物質と水分散系バインダーを混合する際に、アセチレングリコールまたはその誘導体を添加する方法が提案されている(特許文献1)。この方法によれば、活物質100質量部当たり水分散系バインダーを固形分規準で2〜15質量部の割合で使用し、アセチレングリコールまたはその誘導体は、活物質、バインダー、その他の成分を混合した後の段階で、希薄なイソプロパノール溶液として配合系に添加されている(段落0039、段落0046参照)。また、アセチレングリコールまたはその誘導体の配合量は、活物質を含むスラリーの中で20〜5,000ppmとすることが記載されている(段落0018参照)。
そして、特許文献1の実施例には、スチレン、ブタジエンおよびメタクリル酸メチルを主成分とするポリマーラテックスを用いるバインダー(ポリマー分として3質量部)と、アセチレングリコール誘導体(スラリー中の含有量150ppm)を併用すると、30サイクルの充放電サイクル試験において、容量維持率が78%から82%に向上したことが記載されている(段落0042、実施例1と段落0052、実施例4参照)。しかし、このスラリーの調製に当たっては、バインダーとアセチレングリコールまたはその誘導体を別々に添加しているため、配合系において両者の混合が必ずしも十分に行えない懸念があるうえ、アセチレングリコールまたはその誘導体をイソプロパノール溶液としているため、イソプロパノールに起因する電極の外観不良を起こし易い。このような問題に加えて、電極活物質に対するバインダーの使用量が多いことから、このスラリーを用いて得られる電池は、内部抵抗が高くなり、充放電サイクル特性の点でも未だ十分とはいえない。
一方、特許文献2には、従来のSBRに代わる水分散系バインダーとして、スチレンとエチレン性不飽和カルボン酸エステルを主成分とする非ジエン系ポリマーを用いる方法が提案されている。このバインダーを使用すると、活物質同士および活物質と集電体との結着性が良好で充放電サイクル特性が改良されると記載されている。そして、実施例においては、活物質90質量%とバインダー(不揮発分規準)2質量%の割合で混合してスラリーを調製している(段落0073、実施例1参照)。このスラリーを用いて製作される電池は、特許文献1の場合と同様に、バインダー使用量が多いことに由来する問題、たとえば、内部抵抗が上昇するという問題があり、とくにサイクル試験を行うと内部抵抗が上がりやすく、電圧の低下を招くためにサイクル特性が悪化し易くなるうえ、活物質同士の結着性にはなお改善の余地があった。
特開2002−158012号公報 特開2011−243464号公報
本発明は、従来技術の上記のような問題点を解決し、水分散系で活物質と集電体、特に活物質同士の結着性が良好で、少量のバインダーで電極を生産した場合にも、集電体を切断する工程で活物質が剥離せず、充放電サイクル特性に優れた非水系電池の製造を可能にする非水系電池電極用バインダー組成物を提供することを目的とする。併せて、該バインダー組成物を用いたスラリー、該スラリーを用いた電極、及び該電極を用いた内部抵抗値が低く、且つ、充放電サイクル特性に優れた非水系電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、スチレンと、エチレン性不飽和カルボン酸エステルと、エチレン性不飽和カルボン酸及び架橋性エチレン性不飽和単量体を含有するエチレン性不飽和単量体混合物を、界面活性剤の存在下で乳化重合して得られるエマルジョンに、特定量のアセチレングリコールまたはアセチレングリコールの誘導体を添加したバインダー組成物を使用すると、活物質と集電体として用いる銅箔などの金属箔との密着性及び活物質同士の結着力が向上すること、また、この電極用バインダー組成物を活物質に対して特定の割合で用いてスラリーとし、そのスラリーを用いて電極を製作し、その電極を用いて非水系電池を製作すると、電池の抵抗値が減少するとともに、充放電サイクル特性が改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、第一の発明として、(a)スチレン15〜70質量%、(b)エチレン性不飽和カルボン酸エステル20〜80質量%、(c)エチレン性不飽和カルボン酸1〜10質量%、(d)架橋性エチレン性不飽和単量体0.1〜5質量%および(e)他のモノエチレン性不飽和単量体0〜20質量%からなる単量体混合物を乳化重合して得られる水性ポリマーエマルジョンに、後記式(1)で表されるアセチレングリコール化合物を、前記エマルジョンの不揮発分100質量部に対し0.02〜0.7質量部加えてなる非水系電池電極用バインダー組成物が提供される。
また、第二の発明として、電極活物質と上記の非水系電池電極用バインダー組成物を含み、電極活物質/バインダー組成物の不揮発分(質量比)が100/0.1〜100/1.8である非水系電池電極用スラリーが提供される。さらに、第三の発明として該非水系電池電極用スラリーを用いて形成される非水系電池電極が提供され、第四の発明として該非水系電池電極を備える非水系電池が提供される。
本発明の非水系電池電極用バインダー組成物は、従来の水分散系バインダーに比較して活物質同士及び活物質と集電体との結着性において優れており、スラリー中のバインダー用ポリマーの含有量を少なくしても、活物質を含むスラリーを集電体表面に塗布して乾燥させた後に行う電極の切断工程において、活物質が集電体表面から剥離しにくくなる。また、活物質に対するバインダー用ポリマーの量が少なくて済むことから、このような非水系電池電極用バインダー組成物を使用して得られる非水系電池は、抵抗値が低くなり、300サイクルという厳しい条件下での充放電サイクル試験においても優れたサイクル特性を示す。
「非水系電池電極用バインダー組成物」
本発明の非水系電池電極用バインダー組成物(以下、「バインダー」または「バインダー組成物」と略記する場合がある。)は、特定量のスチレン、エチレン性不飽和カルボン酸エステル、エチレン性不飽和カルボン酸、架橋性エチレン性不飽和単量体、及び必要に応じて用いられる他のモノエチレン性不飽和単量体からなる単量体混合物を、界面活性剤の存在下で乳化重合して得られる水性ポリマーエマルジョンに、アセチレングリコールまたはその誘導体(以下、まとめて「アセチレングリコール化合物」と称することがある。)を添加したものである。水性ポリマーエマルジョンにアセチレングリコール化合物を配合する方法は、とくに限定されるものではないが、アセチレングリコール化合物の添加量が少ないので、添加時または添加後によく混合して均一に分散させることが望ましい。また、アセチレングリコール誘導体のなかには、乳化重合の界面活性剤として使用可能なものもあり、その場合には乳化重合の界面活性剤として使用することにより、重合の過程で目的の混合物とすることができる。
(アセチレングリコールまたはその誘導体)
用いられるアセチレングリコールは、アセチレン骨格と、それを形成する炭素原子に隣接する2個の炭素原子にそれぞれ1個のヒドロキシル基を有する化合物であり、また、その誘導体は、該ヒドロキシル基の少なくとも片方をエーテル結合またはエステル結合により変性したものである。好ましいアセチレングリコールは、下式(1)に表される化合物であり、さらに好ましくは下式(2)に表される化合物である。なお、下式(1)および(2)においては、アセチレン骨格を形成する炭素原子およびそれに隣接する2つの炭素原子の表記を簡略化している。
Figure 2015045522
式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す。アルキル基は直鎖状でも、分岐を有するものでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などが挙げられ、なかでも炭素数1〜4のアルキル基が好ましく用いられる。
Figure 2015045522
式(2)で示されるアセチレングリコールとしては、市販品であるサーフィノール104(日信化学工業株式会社)等を使用することができる。
本発明において用いられる好ましいアセチレングリコール誘導体としては、上記式(1)の2つのヒドロキシル基のうち、少なくとも片方、好ましくは双方を、エーテル結合を介して変性した化合物、具体的には、2つのヒドロキシル基に炭素数2〜4のアルキレンオキシドまたはそのオリゴマーを付加した化合物が挙げられる。アルキレンオキシドの具体例としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられる。また、オリゴマーを用いる場合の重合度は、2〜40、好ましくは2〜30である。なかでもエチレンオキサイドまたはそのオリゴマーが好ましく用いられる。
とくに、下式(3)で示される化合物が好ましく、具体例として、市販品であるサーフィノール440(日信化学工業株式会社)等を使用することができる。
Figure 2015045522
式(3)中、mおよびnは、それぞれ1〜30までの整数を示す。好ましくは、mとnの和が2〜10である。
本発明においては、水性ポリマーエマルジョンの不揮発分100質量部当たり、アセチレングリコール化合物を0.02〜0.7質量部、好ましくは0.05〜0.6質量部、とくに好ましくは0.1〜0.5質量部の割合で混合することが必要である。アセチレングリコール化合物の使用量が0.02質量部未満であると、充分な結着力が得られず、電池にしたときに充放電サイクル時の寿命特性が向上しない。また、アセチレングリコール化合物の使用量が0.7質量部を超えると、電解液を注入した際に電解液へ溶出する量が多くなり、内部抵抗、特に液抵抗が上昇し易くなる。
本発明のバインダー組成物用に使用するポリマー成分は、(a)スチレン15〜70質量%、(b)エチレン性不飽和カルボン酸エステル20〜80質量%、(c)エチレン性不飽和カルボン酸1〜10質量%、(d)架橋性エチレン性不飽和単量体0.1〜5質量%および(e)他のモノエチレン性不飽和単量体0〜20質量%からなるエチレン性不飽和単量体混合物を、乳化重合して得られる水性ポリマーエマルジョンである。
スチレンの使用量は、全エチレン性不飽和単量体に対して15〜70質量%であり、好ましくは、30〜60質量%である。バインダー組成物のポリマー成分として、スチレンの使用量が15質量%未満のポリマーを使用すると、活物質同士の結着性に劣り、活物質と集電体の密着力が著しく低下する。一方、スチレンの使用量が70質量%を超えるポリマーを使用すると、該ポリマーのガラス転移温度(Tg)が高くなりすぎるため、バインダー組成物と活物質を含むスラリーを塗布して得られる電極に割れが発生し易くなる。スチレンを上記割合で含むことによる結着性の改良効果は、活物質として黒鉛等の炭素材料を用いた場合にとくに顕著である。
バインダー用ポリマーの(b)成分として用いられるエチレン性不飽和カルボン酸エステルの使用量は、全エチレン性不飽和単量体に対して20〜80質量%、好ましくは30〜70質量%であり、その使用量が20質量%未満では、耐溶出性に劣るバインダーとなり、逆に80質量%を超えると、活物質同士および活物質と集電体との密着力が著しく低下したバインダーとなる。用いられるエチレン性不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸エステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。これらエチレン性不飽和カルボン酸エステルの中でも、乳化重合の容易さや耐溶出性の観点から、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリルを用いることが好ましい。
なお、本明細書における「(メタ)アクリル酸」の表記は、アクリル酸およびメタクリル酸のいずれでもよいことを意味しており、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリルアミド」の表記についても、アクリル酸およびメタクリル酸のいずれのエステルまたはアミドであってもよいことを意味している。
また、エチレン性不飽和カルボン酸エステルは、極性基を有するものであってもよく、 その具体例としては、ヒドロキシ基、グリシジル基などの極性基を有するエチレン性不飽和カルボン酸エステルが挙げられる。より具体的には、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシアルキル、アクリル酸グリシジル等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましく用いられる。
エチレン性不飽和カルボン酸エステルの一部として極性基を有するエチレン性不飽和カルボン酸エステルを用いる場合には、全エチレン性不飽和単量体に対して0.1〜10質量%とすることが好ましく、とくに0.5〜5質量%の割合で使用することが好ましい。極性基を有するエチレン性不飽和カルボン酸の使用量が0.1質量%未満では、乳化重合安定性または機械的安定性が低下し、また、電解液に対する乾燥皮膜の耐膨潤性が低下する傾向にあり、10質量%を超えると、活物質同士および活物質と集電体との結着性が低下する傾向がある。
バインダー用ポリマーの(c)成分として用いられるエチレン性不飽和カルボン酸の使用量は、全エチレン性不飽和単量体に対して1〜10質量%であり、好ましくは、2〜8質量%、より好ましくは3〜6質量%である。エチレン性不飽和カルボン酸の含有量を1質量%以上とすることにより、乳化重合安定性および機械的安定性が向上するとともに、活物質同士及び活物質と集電体との結着性が向上する。また、エチレン性不飽和カルボン酸の含有量を10質量%以下とすることにより、活物質同士および活物質と集電体との結着性が向上する。
用いられるエチレン性不飽和カルボン酸の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸またはこれら不飽和ジカルボン酸のハーフエステル等が挙げられ、これらの中でも、活物質同士及び活物質と集電体との結着性の向上の見地からアクリル酸およびイタコン酸が好ましい。これらのエチレン性不飽和カルボン酸は、1種単独で含有されていてもよいし、2種以上を組み合わせて含有されていてもよい。
バインダー用ポリマーの(d)成分として用いられる架橋性エチレン性不飽和単量体(以下、「内部架橋剤」と称することがある。)としては、(i)少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有し、且つ、上記(c)成分由来のカルボキシル基や上記(b)成分由来のヒドロキシ基、グリシジル基などのような他の官能基と反応性を有する反応性基を有するもの、或いは、(ii)2つ以上のエチレン性不飽和結合を有するものが挙げられる。(i)の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン等のような、反応性の官能基に加えて少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有するシランカップリング剤等が挙げられる。また、(ii)の具体例としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート等が挙げられる。
これらの内部架橋剤の中でも、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ビニルトリメトキシシラン、またはビニルトリエトキシシランを用いることが好ましく、ジビニルベンゼンを用いることがより好ましい。これらの内部架橋剤は、エチレン性不飽和単量体中に1種単独で含有されていてもよいし、2種以上を組み合わせて含有されていてもよい。
内部架橋剤の含有量は、全エチレン性不飽和単量体に対して0.1〜5質量%であり、好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは0.2〜2質量%である。内部架橋剤の含有量を0.1質量%未満にすると、バインダーが電解液に溶出し易くなり、リチウムイオン二次電池の抵抗値が上昇し、リチウムイオン二次電池の高出力化や長寿命化が難しくなる。また、内部架橋剤の含有量が5質量%を超えると、活物質同士及び活物質と集電体との結着性が低下する。
バインダー用ポリマーは、上記の(a)〜(d)の単量体に加えて、必要に応じて(e)その他のモノエチレン性不飽和単量体を含んでいてもよい。そのような単量体の具体例としては、たとえば、パラトルエンスルホン酸ソーダ、ビニルピロリドン、ビニルアセトアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、アルキル基の炭素数が1〜3であるN‐ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、及びジメチルアミノ基を除く部分のアルキル基の炭素数が1〜5であるジメチルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸などを挙げられる。(e)その他のエチレン性不飽和単量体は、全エチレン性不飽和単量体に対して20質量%以下であり、好ましくは10質量%以下である。
なお、バインダー用ポリマーがブタジエンやイソプレンなどの共役ジエンの重合単位を含む場合には、バインダーの使用量を少なくすると、本発明において目的とする効果が十分に得られないので、バインダー用ポリマーは、共役ジエンの重合単位を実質的に含まない共役ジエン単位フリーのポリマーであることが好ましい。
また、乳化重合に供されるエチレン性不飽和単量体は、ポリマーの分子量を調整するために、メルカプタン、チオグリコール酸及びそのエステル、β−メルカプトプロピオン酸及びそのエステルなどの分子量調整剤を含有するものであってもよい。
(乳化重合)
本発明で用いる水性ポリマーエマルジョンは、上記のエチレン性不飽和単量体を、界面活性剤の存在下に水性媒質中で乳化重合することにより得られる。乳化重合は、水性媒質中において、ラジカル重合開始剤を用いて行われる。乳化重合法としては、例えば、重合に使用する成分を全て一括して仕込んで重合する方法や、重合に使用する各成分を連続供給しながら重合する方法等が適用される。この中でも、粒子径が均一で細かいバインダー粒子が得られ、また反応中の除熱を効率的に行えるため、重合に使用する各成分を連続供給しながら乳化重合する方法が好ましい。乳化重合は、通常30〜90℃の温度で攪拌しながら行う。
乳化重合する際に用いられる界面活性剤としては、特に制限されるものではないが、たとえば、アニオン性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸塩等が挙げられる。ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン多環フィニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
上記の界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、界面活性剤として以下の式(4)〜(7)で表わされるエチレン性不飽和結合を有する界面活性剤を用いると、粒子の安定性が向上するという効果を奏する。
Figure 2015045522
式(4)中、Rはアルキル基、nは10〜40の整数である。
Figure 2015045522
式(5)中、nは10〜12の整数、mは10〜40の整数である。
Figure 2015045522
式(6)中、Rはアルキル基、MはNHまたはNaである。
Figure 2015045522
式(7)中、Rはアルキル基、MはNaである。
界面活性剤の使用量は、好ましくは全エチレン性不飽和単量体100質量部に対して0.1〜3質量部である。界面活性剤の使用量を0.1質量部以上とすると、安定なエマルションを効率よく製造することができ、得られる水性ポリマーエマルジョンの機械的安定性が高くなる。加えて、乳化重合によって得られる水性ポリマーエマルジョン中に含まれる粒子径が小さく、粒子の沈降が発生しにくくなる。界面活性剤の使用量を3質量部以下とすると、活物質と集電体との密着力が向上する傾向にある。なお、上記式(4)〜(7)で表されるような界面活性剤は、エチレン性不飽和結合を有しているが、これらは本発明の「エチレン性不飽和単量体」には含めないものとする。
乳化重合の際に用いられるラジカル重合開始剤としては、特に限定されるものではなく、公知のものを用いることができる。ラジカル重合開始剤として、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。また、必要に応じて、乳化重合の際にラジカル重合開始剤と、重亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸等の還元剤とを併用して、レドックス重合してもよい。
本発明においては、通常、水性媒質として水を用いるが、得られるバインダーの重合安定性を損なわない限り、水性媒質として、水に親水性の溶媒を添加したものを用いてもよい。水に添加する親水性の溶媒としては、メタノール、エタノール及びN‐メチルピロリドン等が挙げられる。
水性ポリマーエマルジョンを製造するために行う乳化重合中および/または乳化重合終了後に塩基性物質を加えて、エチレン性不飽和単量体に含まれるエチレン性不飽和カルボン酸を中和し、pHを調整することにより、乳化重合中のエチレン性不飽和単量体および/または乳化重合終了後の水性ポリマーエマルジョンの重合安定性、機械的安定性、化学的安定性を向上させてもよい。この場合に使用される塩基性物質としては、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等が挙げられる。これらの塩基性物質は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(ガラス転移温度)
本実施形態のバインダー用ポリマーの好ましいガラス転移温度(Tg)は、−55〜30℃であり、より好ましくは−25〜25℃、とくに好ましくは−20〜10℃である。バインダー用ポリマーのTgが上記範囲内にあると、活物質同士及び活物質と集電体との結着性を発現させるとともに、バインダー組成物と活物質とを含むスラリーを用いて得られた電極の割れを防止しやすくなる。バインダー用ポリマーのTgが−55℃未満であると、活物質同士および活物質と集電体との結着性が低下する傾向がある。また、バインダー用ポリマーのTgが30℃を超えると、バインダー組成物と活物質とを含むスラリーを塗布して得られた電極に、割れが発生し易くなる。バインダー用ポリマーのTgは、エチレン性不飽和単量体に含まれるスチレンの含有量や、エチレン性不飽和単量体の量あるいは種類を変化させることにより調整できる。
本発明のバインダー用ポリマーのガラス転移温度は、バインダー用ポリマーの乳化重合に使用されるエチレン性不飽和単量体Mi(i=1,2,...,i)の各ホモポリマーのガラス転移温度Tgi(i=1,2,...,i)と、エチレン性不飽和単量体Miの各重量分率Xi(i=1,2,...,i)とから、下記式(I)による良好な近似で算出される理論値である。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi) ‥(I)
なお、この式において用いられるガラス転移温度Tgiは、絶対温度(K)である。
(非水系電池電極用バインダー組成物)
非水系電池電極用バインダー組成物の主成分であるポリマー成分は、単量体混合物を水性媒質中で乳化重合することにより、水性媒質中にポリマーが分散した水性ポリマーエマルジョンとして得られる。この水性ポリマーエマルジョンにアセチレングリコール化合物を添加し、さらに必要に応じて不揮発分濃度やpHを調整することによりバインダー組成物が得られる。バインダー組成物の不揮発分は、好ましくは20〜60質量%、より好ましくは30〜50質量%である。バインダー組成物のpHは、1.5〜10であることが好ましく、6〜9であることがより好ましい。バインダー組成物の室温における粘度は、1〜5000mPa・sであることが好ましい。なお、本発明における不揮発分は、皿またはプレートなど平板状の容器に、試料を約1g秤量し、105℃で1時間乾燥させた後の残分として算出する。
「非水系電池電極用スラリー」
次に、本発明の非水系電池電極用スラリーについて詳述する。本明細書においては、非水系電池電極用スラリーを「スラリー」または「スラリー組成物」と表記している場合があるが、いずれも同一のものを意味している。本発明のスラリーは、上記のバインダー組成物と活物質と、必要に応じて配合される水性媒質および増粘剤とを含むものであり、バインダー用ポリマーと活物質と任意成分である増粘剤を、水性媒質に分散または溶解させたものである。
スラリーに含まれるバインダー組成物の添加量は、活物質100質量部に対してバインダー組成物の不揮発分として0.1〜1.8質量部であることが好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.6質量部、もっとも好ましくは0.5〜1.5質量部である。バインダー組成物の不揮発分の使用量が0.1質量部未満の場合には、活物質と集電体との結着性に劣り、充放電サイクル特性が低下する傾向があり、1.8質量部を超えると電池の内部抵抗が高くなり、初期容量が低くなり充放電サイクル特性が低下する傾向がある。また、バインダー組成物の一成分としてスラリーに加えられるアセチレングリコール化合物の量は、全スラリーに対して、好ましくは1〜100質量ppmであり、より好ましくは2〜50質量ppmである。
活物質としては、リチウム等をドープ/脱ドープ可能な材料であればよく、非水系電池電極用スラリーが負極形成用のものである場合、例えば、ポリアセチレン、ポリピロール等の導電性ポリマー;コークス、石油コークス、ピッチコークス、石炭コークス等のコークス類;ポリマー炭;カーボンファイバー;アセチレンブラック等のカーボンブラック;人造黒鉛、天然黒鉛等の黒鉛類;チタン酸リチウム;シリコン等が挙げられる。これら活物質の中でも、体積当たりのエネルギー密度が大きい点から、カーボンブラック、人造黒鉛、天然黒鉛、チタン酸リチウム、シリコン等を用いることが好ましい。また、炭素材料、すなわち、コークス、石油コークス、ピッチコークス、石炭コークス等のコークス類;ポリマー炭;カーボンファイバー;アセチレンブラック等のカーボンブラック;および人造黒鉛、天然黒鉛等の黒鉛類であると、本発明のバインダー組成物による結着性を向上させる効果が顕著である。
非水系電池電極用スラリーが正極形成用のものである場合、正極活物質としては、非水系電池に用いることができる正極活物質であれば特に限定されるものではなく、コバルト酸リチウム(LiCoO);Ni−Co−Mn系のリチウム複合酸化物、Ni−Mn−Al系のリチウム複合酸化物、Ni−Co−Al系のリチウム複合酸化物などのニッケルを含むリチウム複合酸化物;スピネル型マンガン酸リチウム(LiMn);オリビン型燐酸鉄リチウム;TiS、MnO、MoO、Vなどのカルコゲン化合物のうちの1種、あるいは複数種が組み合わせて用いられる。また、その他のアルカリ金属を使用した金属酸化物も使用することが出来る。
スラリーの不揮発分濃度は、好ましくは30〜70質量%、より好ましくは40〜60質量%である。またスラリーの粘度は、好ましくは500〜20,000mPa・sであり、より好ましくは5,000〜20,000mPa・sである。スラリーの不揮発分や粘度がこの範囲に入っていると、集電板への塗布性が良好で、電極の生産性に優れる。スラリーの不揮発分は、水性媒質(分散媒)の量により調整する。またスラリーの粘度は、分散媒の量や増粘剤により調整する。通常、分散媒としては、水性ポリマーエマルジョン由来のものに加え、水または親水性の溶媒をさらに添加する。親水性の溶媒としては、メタノール、エタノール及びN‐メチルピロリドン等が挙げられる。
増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類、これらのアンモニウム塩およびアルカリ金属塩、ポリ(メタ)アクリル酸、これらのアンモニウム塩およびアルカリ金属塩、ポリN−ビニルアセトアミド(PNVA)、N−ビニルアセトアミド(NVA)-アクリル酸ソーダ共重合体、ポリビニルアルコ−ル、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらの増粘剤の中でも、活物質が分散したスラリーを容易に作製出来るため、カルボキシメチルセルロース及びポリ(メタ)アクリル酸、これらのアンモニウム塩およびアルカリ金属塩、PNVA、またはNVA-アクリル酸ソーダ共重合体を用いることが好ましい。
スラリーに含まれる増粘剤の添加量は、活物質100質量部に対して0.5〜1.5質量部であることが好ましい。スラリーが前記の添加量で増粘剤を含有する場合、スラリーの塗工性が良好なものとなるとともに、スラリーを塗布して乾燥してなる活物質層における活物質同士及び活物質と集電体との結着性がより一層優れたものとなる。
スラリーを調製する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、バインダー組成物と、活物質と、必要に応じて含有される増粘剤と、水性媒質(分散媒)とを、攪拌式、回転式、または振とう式などの混合装置を使用して混合する方法が挙げられる。電池の耐久性などの観点から、スラリーのpHは、2〜10であることが好ましく、6〜9であることがより好ましい。
「非水系電池用電極」
本発明の電極(非水系電池用電極)は、上記のスラリーを用いて形成されたものである。例えば、電極は、スラリーを集電体上に塗布し、乾燥させて活物質層を形成した後、適当な大きさに切断することにより製造できる。
電極に用いられる集電体としては、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレスなどの金属製のものが挙げられ、特に限定されない。また、集電体の形状についても特に限定されないが、通常、厚さ0.001〜0.5mmのシート状のものが用いられる。
スラリーを集電体上に塗布する方法としては、一般的な塗布方法を用いることができ、特に限定されない。例えば、リバースロール法、ダイレクトロール法、ドクターブレード法、ナイフ法、エクストルージョン法、カーテン法、グラビア法、バー法、ディップ法およびスクイーズ法などを挙げることができる。これらの中でも、非水系電池の電極に用いられるスラリーの粘性等の諸物性及び乾燥性を考慮すると、ドクターブレード法、ナイフ法、又はエクストルージョン法を用いることが好ましく、これらの方法を用いることによって良好な表面状態の塗布膜を得ることができる。
スラリーは、集電体の片面にのみ塗布してもよいし、両面に塗布してもよい。スラリーを集電体の両面に塗布する場合は、片面ずつ逐次塗布してもよいし、両面を同時に塗布してもよい。また、スラリーは、集電体の表面に連続して塗布してもよいし、間欠塗工法により所定の間隔をあけるように塗布してもよい。スラリーを塗布してなる塗布膜の厚さ、長さや幅は、電池の大きさなどに応じて、適宜、決定できる。
スラリーを塗布してなる塗布膜を乾燥して活物質層を形成する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、乾燥方法として、熱風、真空、(遠)赤外線、電子線および低温風を単独あるいは組み合わせて用いることができる。塗布膜を乾燥させる温度は、通常40〜180℃の範囲であり、乾燥時間は、通常1〜30分である。
活物質層が形成された集電体は、電極として適当な大きさや形状にするために切断される。活物質層の形成された集電体の切断方法は特に限定されないが、例えば、スリット、レーザー、ワイヤーカット、カッター、トムソン等を用いることができる。
活物質層が形成された集電体を切断する前または後に、必要に応じてそれをプレスしてもよく、それによって活物質の剥落を低減し、更に電極を薄くすることによる非水系電池のコンパクト化が可能になる。プレスの方法としては、一般的な方法を用いることができ、特に金型プレス法やロールプレス法を用いることが好ましい。プレス圧は、特に限定されないが、プレスによる活物質へのリチウムイオン等のドープ/脱ドープに影響を及ぼさない範囲である0.5〜5t/cmとすることが好ましい。
「非水系電池」
本発明の電池(非水系電池)は、上記の電極を含むものである。電池は、正極と、負極と、電解液と、必要に応じて設置されるセパレータ等の部品が外装体に収容されたものであり、正極と負極のうちの一方または両方に本発明の電極を用いることができる。電極の形状としては、積層体や捲回体が挙げられ、特に限定されない。
電解液としては、高いイオン伝導性を有する非水系の溶液を使用することが出来る。溶液としては、電解質を溶解した有機溶媒や、イオン液体、アセトニトリルなどが例として挙げられる。
電解質としては、公知のアルカリ金属塩を用いることができ、活物質の種類等に応じ適宜選択できる。電解質としては、例えば、LiClO、LiBF、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiB10Cl10、LiAlCl、LiCl、LiBr、LiB(C、CFSOLi、CHSOLi、LiCFSO、LiCSO、Li(CFSON、脂肪族カルボン酸リチウム、等が挙げられる。またその他のアルカリ金属を用いた塩を用いることもできる。
電解質を溶解する有機溶媒またはイオン液体としては、公知のものを用いることができ、特に限定されるものではない。例えば、有機溶媒として、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジメチルカーボネート(DMC)等が挙げられる。また、イオン液体としては、その構成イオンのアニオンとして、N,N-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、フルオロスルホニルイミドなどが挙げられ、他の構成イオンであるカチオンとして、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、N,N- ジメチル-N-エチル-N-メトキシエチルアンモニウムなどが挙げられる。アニオンおよびカチオンは適宜組み合わせて用いることが出来る。これらの電解液は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
外装体としては、金属外装体やアルミラミネート外装体などを適宜使用できる。電池の形状は、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角型、扁平型等、いずれの形状であってもよい。本実施形態の電池は、公知の製造方法を用いて製造できる。
以下に実施例および比較例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の「部」、「%」および「ppm」は、特に断りのない場合はそれぞれ「質量部」、「質量%」、「質量ppm」を示す。
以下の実施例および比較例において、前記式(2)で表されるアセチレングリコールとしてサーフィノール104、そのエチレンオキサイド付加体としてサーフィノール440(いずれも商品名、日信化学工業社製)を用いた。
実施例中のバインダー用ポリマーの計算Tgおよびバインダー組成物の不揮発分については、上述の通りである。その他、実施例及び比較例で使用したバインダー組成物、これらバインダー組成物を用いて得た電池の物性および性能評価試験は、以下の方法により行った。
(粘度)
ブルックフィールド型回転粘度計を用いて、液温23℃、回転数60rpm、No.1、No.2、またはNo.3ローターにて測定した。
(電極の剥離強度試験)
銅箔で形成された集電体に、乾燥後の塗布量が7mg/cmになるようにスラリーを塗布し、60℃で10分加熱乾燥した後、さらに120℃で10分乾燥して電極を得た。得られた電極を23℃、50%RH(相対湿度)下で24時間放置した物を試験片とした。剥離強度試験は、試験片のスラリー塗布面とステンレス板とを両面テープを用いて貼り合わせ、180°剥離強度(剥離幅25mm、剥離速度100mm/min)を測定した。
(切断時の活物質剥離)
上記の電極をカッターで切断した際に、切断面の活物質が剥離するかどうかを目視で観察した。
(抵抗値)
電池のセル抵抗を測定するために、まず下限電圧(2.75V)になるまで一定電流(0.2C)で放電することにより、電池の残容量を0%にした。その後、さらに定電流定電圧(CC−CV)充電[上限電圧(4.2V)になるまで定電流(CC)(1C)で充電し、定電圧(CV)(4.2V)で1.5時間が経過するまで充電]を行い、CC(0.1C)で2時間放電することで、電池の残容量を80%に調整した。その後、0.2C、0.5C、1C、及び2Cの各電流で1秒間ずつ一定の電流で放電し、1秒後の電流値を横軸、電圧を縦軸に取り、プロットした。得られたプロットから、線形近似法により直線を描き、その傾きを抵抗値とした。この測定は25℃の条件下で行った。抵抗値が3.9Ω以下の電池を良好なものとする。
(充放電サイクル特性)
電池の充放電サイクル試験は、25℃の条件下、CC−CV充電[上限電圧(4.2V)になるまでCC(1C)で充電し、CV(4.2V)で1.5時間が経過するまで充電]とCC放電[下限電圧(2.75V)になるまでCC(1C)で放電]とを繰り返すことで行った。電池の充放電サイクル特性は、容量維持率、つまり1サイクル目の放電容量に対する300サイクル目の放電容量の割合を指標とした。容量維持率が80%以上の電池を充放電サイクル特性が良好なものとする。
比較例1
(バインダー組成物Aの調製)
冷却管、温度計、攪拌機、滴下ロートを有するセパラブルフラスコに、水175質量部、及びアニオン性界面活性剤として40%エレミノールJS−20(三洋化成工業株式会社製;前記式(5)の構造式からなる化合物)3質量部を仕込み、75℃に昇温した。その後、予め用意した界面活性剤と、単量体混合物と、重合開始剤とを80℃で3時間かけて攪拌しながらセパラブルフラスコに滴下し、乳化重合した。
セパラブルフラスコに滴下した界面活性剤としては、40%エレミノールJS−20を10質量部とハイテノール08E(第一工業製薬株式会社製;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩)2質量部とからなるものを用いた。単量体混合物としては、表1に示す組成の単量体混合物、すなわち、スチレン(ST)260質量部とアクリル酸2−エチルヘキシル(2−EHA)220質量部とメタクリル酸2−ヒドロキシエチル10質量部(HEMA)とジビニルベンゼン(DVB)1.5質量部とイタコン酸(IA)10質量部と80%アクリル酸(AA)水溶液15質量部とからなる単量体混合物と、水525質量部を混合して乳化したものを用いた。それぞれの単量体の組成比は、表1に記載したとおりである。重合開始剤としては、過硫酸カリウム2質量部を水50質量部に溶解したものを用いた。
界面活性剤と単量体混合物と重合開始剤とを滴下した後、攪拌しながら80℃で2時間熟成した。その後、冷却し、セパラブルフラスコにアンモニア水17質量部を添加して中和することにより、ポリマーaを含むバインダー組成物Aを得た。得られたポリマーaのTgは−2℃であり、バインダー組成物Aの不揮発分は40.0%、粘度は120mPa・s、pHは7.1であった。
(非水系電池用電極の作製)
活物質として黒鉛(昭和電工社製、登録商標SCMG−BR)を100質量部、導電補助剤としてアセチレンブラックを2質量部、および増粘剤としてカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩(日本製紙ケミカル(株)製、商品名サンローズMAC500LC)を1質量部計りとり、少量の水を加えて、攪拌式混合装置(プラネタリミキサー)を用いて60回転/分で20分間固練りを行った。次に、上記のバインダー組成物Aをその不揮発分が1.5部となるように加え、黒鉛、アセチレンブラック、カルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩およびバインダー組成物の合計105質量部に対し、先に加えた水との合計で104.5質量部となるように追加の水を添加して、さらに60回転/分で20分間混ぜ、負極用スラリーを作製した。
得られた負極用スラリーを、集電体となる厚さ18μmの銅箔の片面に乾燥後の塗布量が7mg/cmとなるようにドクターブレードを用いて塗布し、60℃で10分加熱乾燥後、さらに120℃で10分乾燥して活物質層を形成した。その後、金型プレスを用いてプレス圧4t/cmでのプレス工程を経て負極を得た。このようにして得られた負極について、切断時の活物質層の剥離状況を観察するとともに、集電体剥離強度を測定した。
(リチウムイオン二次電池の製造)
次いで、上記の負極を用いて以下のようにしてリチウムイオン二次電池を製造した。負極と組み合わせる正極としては、以下の手順で作製したものを用いた。LiCoOを90質量%、導電助剤としてアセチレンブラックを5質量%、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン5質量%を混合したものに、N−メチルピロリドンを100質量%添加し、さらに混合して正極用スラリーを作製した。得られた正極用スラリーを、ドクターブレード法により集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔上にロールプレス処理後の厚さが100μmになるように塗布し、120℃で5分乾燥した。その後、プレス工程を経て正極を得た。
また、リチウムイオン二次電池に用いる電解液を、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(EMC)とを体積比40:60で混合した混合溶媒に、LiPFを1.0mol/Lの濃度になるように溶解して調整した。
得られた正極および負極に導電タブをつけ、正極と負極との間にポリオレフィン系の多孔性フィルムからなるセパレータを介在させて、正極と負極との活物質が互いに対向するようにアルミラミネート外装体(電池パック)の中に収納した。この外装体中に電解液を注入し、真空ヒートシーラーでパッキングし、ラミネート型電池を得た。このようにして得られた電池について、抵抗値および充放電サイクル特性を測定した。上記の負極およびリチウムイオン二次電池に関する評価結果を表1に示す。
実施例1〜3
比較例1で調製したバインダー組成物Aに、表1に示すアセチレングリコール化合物を、バインダー組成物Aの不揮発分100部当たり0.12部となるように加え、バインダー組成物BおよびCを得た。バインダー組成物Bの不揮発分は40.1%、粘度は120mPa・s、pHは7.2であり、バインダー組成物Cの不揮発分は40.1%、粘度は120mPa・s、pHは7.1であった。また、バインダー組成物BおよびCに含まれるアセチレングリコール化合物の量は、ともに約500ppmであった。
次いで、これらのバインダー組成物を表1に示す量、すなわち、活物質100部当たりバインダー組成物の不揮発分が1.5部または0.75部となる量で使用すること以外は、比較例1と同様にして、負極用スラリーを調製した。スラリー中のアセチレングリコール化合物の量は、実施例1および実施例3の場合には約9ppm、実施例2の場合には約5ppmであった。次いで、得られたスラリーを用いて比較例1と同様にして負極およびリチウムイオン二次電池を製作し、その性能を評価した。結果を表1に示す。
比較例2〜3
添加するアセチレングリコール化合物の量を表1に示すように変えること以外は、実施例1と同様にしてバインダー組成物MおよびNを調製し、そのバインダー組成物を用いて比較例1と同様にして負極およびリチウムイオン二次電池を製作し、その性能を評価した。結果を表1に示す。
比較例4
バインダー組成物Bの使用量を2倍、すなわち、活物質100部当たりバインダー組成物の不揮発分量を3部に増やすこと以外は、実施例1と同様にして負極およびリチウムイオン二次電池を製作し、その性能を評価した。結果を表1に示す。
比較例5〜8
市販のスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)ラテックス(不揮発分40.0%、粘度49mPa・s、pH7.7、Tg−12℃)をバインダー組成物Dとして使用した。また、アセチレングリコール化合物として、それぞれ表1に示す化合物を加え、バインダー組成物EおよびFを得た。次いで、これらのバインダー組成物を表1に示す量で使用すること以外は、比較例1と同様にして、負極およびリチウムイオン二次電池を製作し、その性能を評価した。結果を表1に示す。
比較例9〜14
バインダーとして用いるポリマーの組成を、表1に示すポリマーg〜lのように変更すること以外は、実施例1と同様にしてバインダー組成物G〜Lを得た。次いで、これらのバインダー組成物を表1に示す量で使用すること以外は、比較例1と同様にして、負極およびリチウムイオン二次電池を製作し、その性能を評価した。結果を表1に示す。
比較例15
サーフィノール440に変えて、ヒドロキシ基にエチレンオキサイドを付加した構造を有するポリエーテル系の非イオン界面活性剤(SNウェット980、サンノプコ社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてバインダー組成物Oを得た。なお、この界面活性剤は、実施例1で用いたサーフィノール440と類似の化学構造を有しているが、分子内にアセチレン骨格を持たない点で相違している。次いで、これらのバインダー組成物を表1に示す量で使用すること以外は、比較例1と同様にして、負極およびリチウムイオン二次電池を製作し、その性能を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2015045522
実施例1〜3と比較例1〜15との比較から、以下のことがわかる。
(1)本発明のバインダー組成物は、活物質に対する使用比率が小さくても、得られる電極の切断時に活部質を剥離することがなく、集電体の剥離強度試験でも優れている。また、電池にしたときの抵抗値が小さく、300サイクルにわたる充放電サイクル試験においても優れたサイクル特性を示す。
(2)これに対して、アセチレングリコール化合物を含まないか、その含有量が少ない場合には、集電体剥離強度の改善が見られず、また、電池にしたときの抵抗値および充放電サイクル特性が十分でなく(比較例1、2参照)、逆に、その含有量が多すぎる場合には、集電体剥離強度は改善されるものの、電池にしたときの抵抗値および充放電サイクル特性が十分でなくなる(比較例3参照)。
(3)バインダー用ポリマーの組成が本発明の範囲を外れると、本発明の効果を奏することができない(比較例9〜14参照)。
(4)バインダー組成物の使用量が多くなると、集電体剥離強度は大きく改善されるが、電池にしたときの抵抗値が大きくなり、充放電サイクル特性も十分でなくなる(比較例4参照)。
(5)水分散系バインダーとして知られているSBRを使用する場合は、アセチレングリコール化合物を添加しても電極の切断時に活部質の剥離が生じ、また、集電体剥離強度も十分でない。さらに、電池にしたときの抵抗値が大きく、300サイクルにわたる充放電サイクル試験においては、満足なサイクル特性が得られない(比較例5〜8参照)。
本発明の非水系電池電極用バインダー組成物は、従来の水分散系バインダーに比較して、活物質同士及び活物質と集電体との結着性において優れており、少量の使用量であっても電極を製造するための集電体切断工程において、活物質が集電体表面から剥離するリスクが軽減する。また、この非水分散系バインダー組成物を使用して得られる非水系電池は、抵抗値が低くなり、300サイクルという厳しい条件下での充放電サイクル試験においても優れたサイクル特性を示すので、ノート型パソコン、携帯電話、電動工具、電子・通信機器の電源の他、電気自動車、ハイブリッド自動車用などの電源として好適なものである。

Claims (15)

  1. (a)スチレン15〜70質量%、(b)エチレン性不飽和カルボン酸エステル20〜80質量%、(c)エチレン性不飽和カルボン酸1〜10質量%、(d)架橋性エチレン性不飽和単量体0.1〜5質量%および(e)他のモノエチレン性不飽和単量体0〜20質量%からなる単量体混合物を、乳化重合して得られる水性ポリマーエマルジョンに、下記式(1)(式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す)で表される化合物またはその誘導体からなる群より選ばれる1種以上のアセチレングリコール化合物を、前記水性ポリマーエマルジョンの不揮発分100質量部に対し0.02〜0.7質量部加えてなることを特徴とする非水系電池電極用バインダー組成物。
    Figure 2015045522
  2. 前記式(1)で表される化合物が、下記式(2)で表される化合物である請求項1記載の非水系電池電極用バインダー組成物。
    Figure 2015045522
  3. アセチレングリコール化合物が、前記式(1)で表される化合物に、炭素数2〜4のアルキレンオキシドまたはそのオリゴマーを付加した化合物である請求項1または2記載の非水系電池電極用バインダー組成物。
  4. 前記オリゴマーの重合度が、2〜40である請求項3記載の非水系電池電極用バインダー組成物。
  5. アルキレンオキシドが、エチレンオキサイドである請求項3または4記載の非水系電池電極用バインダー組成物。
  6. バインダー組成物の不揮発分含有量が、5〜70質量%である請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水系電池電極用バインダー組成物。
  7. (b)エチレン性不飽和カルボン酸エステルの少なくとも一部が、極性基を有するエチレン性不飽和カルボン酸エステルである請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水系電池電極用バインダー組成物。
  8. 極性基が、ヒドロキシ基またはグリシジル基である請求項7記載の非水系電池電極用バインダー組成物。
  9. 電極が負極である請求項1〜8のいずれか1項に記載の非水系電池電極用バインダー組成物。
  10. 電極活物質と請求項1〜9のいずれか1項に記載のバインダー組成物を含み、電極活物質/バインダー組成物の不揮発分(質量比)が100/0.1〜100/1.8であることを特徴とする非水系電池電極用スラリー。
  11. 電極活物質/バインダー組成物の不揮発分(質量比)が100/0.3〜100/1.6である請求項10記載の非水系電池電極用スラリー。
  12. 前記アセチレングリコール化合物の含有量が、スラリー全量中で1〜100質量ppmである請求項10または11記載の非水系電池電極用スラリー。
  13. 前記アセチレングリコール化合物の含有量が、スラリー全量中で2〜50質量ppmである請求項10〜12のいずれか1項に記載の非水系電池電極用スラリー。
  14. 請求項10〜13のいずれか1項に記載の非水系電池電極用スラリーを用いて形成された非水系電池電極。
  15. 請求項14記載の非水系電池電極を備える非水系電池。
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