JPWO2015040969A1 - プレス成形品及びプレス成形品の製造方法並びにプレス成形品の製造装置 - Google Patents

プレス成形品及びプレス成形品の製造方法並びにプレス成形品の製造装置 Download PDF

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Abstract

プレス成形の不良回避のため稜線部に切欠きを設ける必要がなく、さらに、部材断面を設計断面一杯まで広げることが可能となり、自動車車体用補強部材と他の部品との接合強度や自動車車体の剛性を向上できるプレス成形品を提供する。プレス成形品は、引張強度が340MPa以上の鋼板からなり、所定の方向の少なくとも一方の端部に、稜線部の前記端部に内向きに形成された稜線部フランジと、第1の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成された第1のフランジと、第2の面部の端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成された第2のフランジと、が連続した内向き連続フランジを備える。

Description

本発明は、例えば自動車車体用の補強部材に好適に用いられる、剛性及び強度に優れたプレス成形品及びプレス成形品の製造方法、並びにそのようなプレス成形品の製造に用いられる製造装置に関する。
自動車車体は、多数の成形パネル同士を、互いの縁部同士を重ね合わせて、例えば抵抗スポット溶接により接合した箱体として構成される。この箱体の要所には、補強部材や強度部材(以下、「補強部材」と総称する)が、例えば抵抗スポット溶接により接合される。かかる自動車車体用の補強部材として、バンパーレインフォースメント、ロッカー(サイドシル)、ベルトライン、クロスメンバ、サイドメンバ等がある。
これらの補強部材は、例えばプレス成形された、天板と天板につながる2つの稜線と2つの稜線にそれぞれつながる2つのフランジとにより構成される略ハット型又は略溝型の断面形状を有する部材とされる。かかる補強部材における稜線の延在方向の開口した端部には、内向きあるいは外向きに折り曲げることによりフランジが形成される。このフランジを他の部材と重ね合わせた後、例えば抵抗スポット溶接によって接合することにより、自動車車体用の補強部材が組立てられる。素材の板厚によってはスポット溶接ではなくアーク溶接が使用される場合もある。
ここで、本明細書において、補強部材の端部を、稜線の両端からそれぞれつながる二つの面が成す角度が180°未満の領域側に折り曲げたフランジを内向きフランジという。また、補強部材の端部を、稜線の両端からそれぞれつながる二つの面が成す角度が180°を超える領域側に折り曲げたフランジを外向きフランジという。
補強部材の端部に内向きフランジを形成する場合、稜線の延長上に位置する稜線部フランジは縮みフランジ成形となるため、稜線部フランジにはしわが発生する。そのため、このような内向きフランジを他の部材と重ね合わせてスポット溶接しようとすると、発生したしわにより他の部材との間に隙間が生じ、組み付け時に不具合が生じるおそれがある。したがって、端部に内向きフランジを有する補強部材を使用する場合には、稜線部フランジに切欠きを設ける等によりしわの発生を回避しながら、内向きフランジを接合代として他の部材との溶接を行わなければならない。
しかしながら、内向きに形成された稜線部フランジに、フランジが不連続となるような切欠きを設けると、不可避的に、ねじり剛性や荷重伝達特性といった自動車車体用の補強部材の性能が低下する。したがって、内向きフランジを介して補強部材を他の部材と接合し、補強部材に要求される性能を確保するためには、内向きフランジに切欠きを設けることなく稜線部フランジに生じるしわを抑制しながら、縮みフランジ部の成形を実現する必要がある。
なお、本明細書において、「フランジに切欠きを設ける」とは、切欠きがフランジの幅方向の全体にわたって設けられ、フランジが不連続となることをいう。また、フランジの幅は、フランジの高さと同じ意味で用いられる。したがって、フランジの幅が部分的に小さくされ、一部のフランジが残される場合には、フランジに切欠きを設けていないものとする。
これまでにも、このような縮みフランジ成形時におけるしわの発生を抑制する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、サンルーフ用の開口を有するルーフパネルに、縮みフランジ部における基部と先端部との長さの差を吸収する凹凸形状を形成する技術が開示されている。また、特許文献2には、角筒絞り成形における縮みフランジ部に特定の絞りビードを設けることによりしわの発生を防止する技術が開示されている。さらに、特許文献3には、カム構造を用いて縮みフランジ部に押さえ圧を負荷しながら成形することによりしわの発生を抑制する技術が開示されている。
また、特許文献4には、曲げ部となるべき部位については曲げ荷重方向に対して交差する方向に延びるフランジ相当部を形成した後、当該フランジ相当部をフランジに変換しながら形状出しするように伸ばし加工する板体の成形方法が開示されている。かかる板体の成形方法は、フランジにおけるしわによる引きちぎりを抑制するものである。
さらに、特許文献5には、金属面材を折り曲げるとともに、両側部の立上り部を外側に倒した後、倒された両側部を受け金型の側面の押え面の加工ローラで強圧しながら順次立上らせる金属面材の加工方法が開示されている。かかる加工方法は、立上り部のしわや歪を低減するものである。
特許第2554768号明細書 特許第2560416号明細書 特開平4−118118号公報 特開昭59−144530号公報 特開平1−104420号公報
特許文献1,2に開示された技術は、しわ及び肉余りの要因となる余剰線長を、予め形成した余肉部分により吸収するものである。したがって、この余肉部分でスポット溶接することが困難となることはもちろんのこと、この余肉部分が他の部位のスポット溶接の妨げになることがある。このような場合には特許文献1,2に開示された技術を実施することは困難である。
また、特許文献3に開示された技術は、フランジ部の縮み率、及びカム構造が受ける反力が小さくなるような、例えば曲率半径が2100mmといった大きな曲率半径を有する部位のフランジ部のしわの発生を抑制することができる。しかしながら、フランジ部の縮み率、及びカム構造が受ける反力が大きくなるような、例えば曲率半径が5mmといった小さな曲率半径を有する部位のフランジ部のしわの発生を抑制することは困難である。特に、引張強度が大きい高強度鋼板を用いた場合には、過大なしわが発生するためにフランジ部からの反力が大きくなる。そのために、特許文献3に開示されたカム構造では、しわの発生を抑制することができない。
また、特許文献4に開示された技術は、伸ばし加工によりしわの発生を抑制するものである。したがって、形成されるフランジの板厚が薄くなってしまい、補強部材の剛性やフランジ部の強度が低下するおそれがある。
また、特許文献5に開示された技術は、複数の加工ローラを順次に強圧させて立上り部を形成するものであり、金属面材の折り曲げる部分の曲率半径が比較的大きい加工品を対象とするものである。したがって、例えば曲率半径が5mmといった小さな曲率半径を有する部位のフランジ部のしわの発生を抑制することは困難である。
このように、略ハット型又は略溝型等の断面形状を有する部材における、稜線部の延在方向の開口した端部に、切欠きを設けないで内向きフランジを形成することは、プレス成形性の観点から容易ではない。特に、上記引用文献1〜5はいずれも、引張強度が340MPa以上の高強度の鋼板へのフランジの形成に着目したものではない。そのため、稜線部フランジに切欠きを有しない連続する内向きフランジを備えた、高強度鋼板からなるプレス成形体は、これまで自動車車体用の補強部材として用いられたことがなかった。
外向きフランジを備えるプレス成形品は、外向きフランジを有する分だけハット状断面あるいは溝状断面を設計断面一杯まで拡大することができない。換言すれば、外向きフランジの代わりに内向きフランジを介して他部材との接合が可能であれば、外向きフランジを有さない分だけプレス成形品の断面を設計断面一杯まで拡大することができる。そのため、自動車車体用の補強部材と他部材との接合強度や、自動車車体の曲げ剛性あるいはねじり剛性を向上することが可能となる。したがって、高強度鋼板からなり、内向きフランジを備えたプレス成形品の実現化が望まれる。
本発明の目的は、プレス成形時に発生し得る不良回避のために稜線部フランジに切欠きを設けることなく、補強部材と他の部材との接合強度や自動車車体の剛性等の性能を向上できる、切欠きを有さない内向き連続フランジを有するプレス成形品を提供することである。また、本発明のさらなる目的は、そのようなプレス成形品の製造方法並びにプレス成形品の製造装置を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、引張強度が340MPa以上の鋼板からなり、所定の方向に延びて形成される稜線部と、前記稜線部が成す稜線の両端からそれぞれ延びて形成される第1の面部及び第2の面部と、を備える金属板のプレス成形品において、
前記所定の方向の少なくとも一方の端部に、前記稜線部の前記端部に内向きに形成された稜線部フランジと、前記第1の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成された第1のフランジと、前記第2の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成された第2のフランジと、が連続した内向き連続フランジを備え、
前記稜線部フランジのフランジ幅(Lf)、前記稜線部の曲率半径(rf)、及び前記第1の面部と前記第2の面部との成す角度(θ)が下記式(1)を充足する、プレス成形品が提供される。
Lf≦0.22×rf+0.13×θ−5.9 … (1)
(ただし、0mm≦rf≦35mm、かつ、90°≦θ≦145°)
また、前記稜線部フランジの少なくとも一部のフランジ幅が、前記第1のフランジ及び前記第2のフランジの少なくとも一部のフランジ幅より小さくてもよい。
また、前記所定の方向に沿って見た前記プレス成形品の断面形状は、ハット型又は溝形の開断面形状、あるいは閉断面形状であってもよい。
また、前記プレス成形品は自動車車体用の補強部材であってもよい。
また、少なくとも前記稜線部フランジの幅方向の縁部の領域における板厚が、プレス成形前の板厚以上であってもよい。
また、少なくとも前記稜線部フランジの幅方向の縁部の領域における板厚が、プレス成形前の板厚の1.5倍以下であってもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、引張強度が340MPa以上の鋼板からなるブランクの所定の方向における少なくとも一方の端部を折り曲げて、前記ブランクを、フランジを有する第1の中間部材に成形する第1の中間成形工程と、
前記フランジを所定の第1の間隙内に挟持しながら前記第1の中間部材をプレス成形することにより、前記第1の中間部材を前記所定の方向に沿って折り曲げて、
前記所定の方向に延びて形成される稜線部と、前記稜線部が成す稜線の両端からそれぞれ延びて形成される第1の面部及び第2の面部と、を成形するとともに、
前記フランジを、前記稜線部の前記端部に内向きに形成される稜線部フランジと、前記第1の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成される第1のフランジと、前記第2の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成される第2のフランジと、が連続する内向き連続フランジに成形する第1のプレス成形工程と、
を備える、プレス成形品の製造方法が提供される。
また、前記第1のプレス成形工程において、
ダイと、前記ダイに対向して配置されるパンチと、前記プレス成形時に前記パンチの側面に対向して配置されて前記フランジの面外変形を抑制するための面外変形抑制工具と、を備えるプレス成形金型を用いて、
前記第1の中間部材を前記パンチ上に配置するとともに、前記パンチの側面と前記面外変形抑制工具とにより形成される前記第1の間隙内に前記フランジを挟持しながら、前記ダイと前記パンチとにより前記第1の中間部材をプレス成形してもよい。
また、前記ダイは、前記第1の中間部材を押圧するパッドを押圧方向に移動自在に支持してもよい。
また、前記第1のプレス成形工程において、
前記プレス成形金型として前記ダイと対向するブランクホルダをさらに備えるものを用いて、前記第1の中間部材の一部を、前記ダイと前記ブランクホルダとで拘束しながら絞り成形してもよい。
また、前記プレス成形金型の前記パンチは、前記第1の中間部材の一方の表面に当接するインナーパッドを型締め方向へ移動自在に支持し、
前記第1のプレス成形工程において、前記パンチ及び前記インナーパッドの側面と前記面外変形抑制工具とにより形成される前記第1の間隙内に前記フランジを挟持しながら、前記ダイと前記パンチ及び前記インナーパッドとにより前記第1の中間部材をプレス成形してもよい。
また、本発明のさらに別の観点によれば、引張強度が340MPa以上の鋼板からなるブランクの所定の方向における少なくとも一方の端部を折り曲げて、前記ブランクを、フランジを有する第1の中間部材に成形する第1の中間成形工程と、
前記フランジを所定の第1の間隙内に挟持しながら前記第1の中間部材をプレス成形することにより、前記第1の中間部材を前記所定の方向に沿って折り曲げて、
前記所定の方向に延びて形成される中間稜線部と、前記中間稜線部が成す稜線の両端からそれぞれ延びて形成される第1の中間面部及び第2の中間面部と、を形成するとともに、
前記フランジを、前記中間稜線部の前記端部に形成される中間稜線部フランジと、前記第1の中間面部の前記端部の少なくとも一部の領域に形成される第1の中間フランジと、前記第2の中間面部の前記端部の少なくとも一部の領域に形成される第2の中間フランジと、が連続する中間連続フランジに成形して、
前記第1の中間部材を第2の中間部材とする第2の中間成形工程と、
前記中間連続フランジを所定の第2の間隙内に挟持しながら前記第2の中間部材に形成された前記第1の中間面部又は前記第2の中間面部の少なくとも一方を前記所定の方向に沿ってさらに折り曲げることにより、
前記所定の方向に延びて形成される稜線部と、前記稜線部が成す稜線の両端からそれぞれ延びて形成される第1の面部及び第2の面部と、を成形するとともに、
前記中間連続フランジを、前記稜線部の前記端部に内向きに形成される稜線部フランジと、前記第1の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成される第1のフランジと、前記第2の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成される第2のフランジと、が連続する内向き連続フランジに成形する第2のプレス成形工程と、
を備える、プレス成形品の製造方法が提供される。
また、前記第2の中間成形工程において、
ダイと、前記ダイに対向して配置されるパンチと、前記プレス成形時に前記パンチの側面に対向して配置されて前記フランジの面外変形を抑制するための面外変形抑制工具と、を備えるプレス成形金型を用いて、
前記第1の中間部材を前記パンチ上に配置するとともに、前記パンチの側面と前記面外変形抑制工具とにより形成される前記第1の間隙内に前記フランジを挟持しながら、前記ダイと前記パンチとにより前記第1の中間部材をプレス成形してもよい。
また、前記第2の中間成形工程において、
前記プレス成形金型として前記ダイと対向するブランクホルダをさらに備えるものを用いて、前記第1の中間部材の一部を、前記ダイと前記ブランクホルダとで拘束しながら絞り成形してもよい。
また、前記プレス成形金型の前記パンチは、前記第1の中間部材の一方の表面に当接するインナーパッドを型締め方向へ移動自在に支持し、
前記第2の中間成形工程において、前記パンチ及び前記インナーパッドの側面と前記面外変形抑制工具とにより形成される前記第1の間隙内に前記フランジを挟持しながら、前記ダイと前記パンチ及び前記インナーパッドとにより前記第1の中間部材をプレス成形してもよい。
また、前記第2のプレス成形工程において、
ダイと、前記ダイに対向して配置されるパンチと、前記プレス成形時に前記パンチの側面に対向して配置されて前記フランジの面外変形を抑制するための面外変形抑制工具と、を備えるプレス成形金型を用いて、
前記第2の中間部材を前記パンチ上に配置するとともに、前記パンチの側面と前記面外変形抑制工具とにより形成される前記第2の間隙内に前記中間連続フランジを挟持しながら、前記ダイと前記パンチとにより前記第2の中間部材をプレス成形してもよい。
また、前記ダイは、前記第1の中間部材を押圧するパッドを押圧方向に移動自在に支持してもよい。
また、前記第1の間隙の距離(x)が下記(2)式を充足してもよい。
1.00×t≦x<1.40×t … (2)
t:ブランクの板厚(mm)
x:間隙の距離(mm)
また、上記課題を解決するために、本発明のさらに別の観点によれば、所定の方向に延びて形成される稜線部と、前記稜線部が成す稜線の両端からそれぞれ延びて形成される第1の面部及び第2の面部と、を有するとともに、前記所定の方向の少なくとも一方の端部に、前記稜線部の前記端部に内向きに形成された稜線部フランジと、前記第1の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成された第1のフランジと、前記第2の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成された第2のフランジと、が連続した内向き連続フランジを有するプレス成形品を製造するために用いられるプレス成形品の製造装置において、
前記所定の方向の少なくとも一方の端部にフランジを有する中間部材の一方の表面に当接するパンチと、
前記パンチに対向して配置されるダイと、
前記中間部材に対するプレス成形時に前記パンチの側面に対向して配置されるとともに、前記パンチの側面との間に前記フランジを挟持可能な所定の間隙を設けて配置されて、前記フランジの面外変形を抑制する面外変形抑制工具と、
を備える、プレス成形品の製造装置が提供される。
また、前記パンチの側面と前記面外変形抑制工具との間の前記間隙の距離(x)が下記(2)式を充足してもよい。
1.00×t≦x<1.40×t … (2)
t:ブランクの板厚(mm)
x:間隙の距離(mm)
また、前記ダイは、型締め方向へ移動自在に支持されて前記中間部材の他方の表面に当接するパッドを有してもよい。
また、前記パンチは、型締め方向へ移動自在に支持されて前記中間部材の前記一方の表面に当接するインナーパッドを有し、
前記面外変形抑制工具は、前記中間部材に対するプレス成形時に前記パンチ及び前記インナーパッドの側面に対向して配置されるとともに、前記パンチ及び前記インナーパッドの側面との間に前記フランジを挟持可能な所定の間隙を設けて配置されてもよい。
また、プレス成形品の製造装置は、前記プレス成形において、前記中間部材を曲げ成形してもよい。
また、プレス成形品の製造装置は、前記ダイと対向するブランクホルダをさらに備え、前記プレス成形において、前記中間部材を、前記ダイと前記ブランクホルダとで拘束しながら絞り成形してもよい。
本発明によれば、鋼板からなるプレス成形品において、プレス成形時に発生し得る不良回避のために稜線部フランジに切欠きを設けることなく、内向き連続フランジにおけるしわの発生を抑制することができる。したがって、かかるプレス成形品を自動車車体用の補強部材に適用すれば、補強部材と他の部材との接合強度や自動車車体の剛性等の性能を向上することができる。
図1(a)は、本発明の第1の実施の形態にかかるハット型の断面形状を有するプレス成形品を模式的に示す説明図であり、図1(b)は、図1(a)におけるA矢視図であり、図1(c)は、図1(a)におけるB矢視図である。 図2は、同実施形態にかかるプレス成形品の断面形状の一例を示す説明図である。 図3(A)及び図3(B)は、第2の実施の形態にかかるプレス成形品の製造方法において、ブランクから第1の中間部材にプレス成形する様子を模式的に示す説明図であり、図3(A)は、ブランクをプレス成形装置にセットした様子を示し、図3(B)はプレス成形完了時の様子を示す。 図4は、絞り成形に用いるプレス成形装置の構成例を模式的に示す概略図である。 図5は、同実施形態にかかるプレス成形品の製造方法において、絞り成形装置を用いた絞り成形により第1の中間部材からプレス成形品を得る様子を模式的に示す説明図である。 図6は、同実施形態にかかるプレス成形品の製造方法において、インナーパッド絞り成形により第1の中間部材からプレス成形品を得る状況を模式的に示す説明図である。 図7は、成形途中において稜線部に成形される部分の曲率半径を模式的に示す説明図であり、図7(A)は絞り成形の場合を示し、図7(B)はインナーパッド絞り成形の場合を示す。 図8は、同実施形態にかかるプレス成形品の製造方法において、絞り成形の代わりに曲げ成形により、第1の中間部材からプレス成形品を得る様子を模式的に示す説明図である。 図9(A)は、絞り成形装置の構成例を模式的に示す説明図であり、図9(B)は、この絞り成形により得られた第2の中間部材の外観の例を示す写真である。 図10は、第3の実施の形態にかかるプレス成形品の製造方法において、絞り成形装置による絞り成形により第1の中間部材から第2の中間部材を得る様子を模式的に示す説明図である。 図11は、同実施形態にかかるプレス成形品の製造方法において、インナーパッド絞り成形装置による絞り成形にて第1の中間部材から第2の中間部材を得る状況を模式的に示す説明図である。 図12(A)は、曲げ成形に用いるプレス成形装置の構成例を模式的に示す説明図であり、図12(B)は、この曲げ成形により得られたプレス成形品の外観の例を示す写真である。 図13は、同実施形態にかかるプレス成形品の製造方法において、第2の中間部材からプレス成形品を得る様子を模式的に示す説明図である。 図14は、得られたプレス成形品の稜線部フランジ付近の外観写真であり、図14(a)は面外変形抑制工具を用いて、面外変形抑制工具とパンチの側面との間隔を1.33mmとした場合を示し、図14(b)は面外変形抑制工具を用いて、面外変形抑制工具とパンチの側面との間隔を1.41mmとした場合を示し、図14(c)は面外変形工具を用いなかった場合を示す。 図15は、曲げ成形である第1の中間工程の後に、絞り成形、インナーパッド絞り成形及び曲げ成形それぞれにより第1のプレス成形工程を実施して製造されたプレス成形品における、稜線部フランジの縁部の板厚増加率の分布を示すグラフである。 図16は、フランジ幅Lf、稜線部の曲率半径rf、及び第1の面部と第2の面部との成す角度θによるしわの発生状況を示すグラフである。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.第1の実施の形態>
まず、本発明の第1の実施の形態にかかるプレス成形品について説明する。
(1−1.全体構成)
本実施形態にかかるプレス成形品100は、鋼板をプレス成形することにより得られた成形品である。かかるプレス成形品100は、例えばバンパーレインフォースメント、ロッカー(サイドシル)、ベルトライン、クロスメンバ等の自動車車体用の補強部材に適している。かかる用途に使用されるプレス成形品100は、引張強度が340MPa以上、好ましくは590MPa以上の高強度鋼板を用いてプレス成形したものであってもよい。引張強度は、JIS Z 2241に準拠した引張試験により測定される値である。また、鋼板からなるブランクの板厚は、例えば0.8〜2.0mmの範囲内としてもよい。
図1(a)は、本実施形態にかかるプレス成形品100を模式的に示す斜視図である。また、図1(b)は、図1(a)におけるA矢視図(稜線部フランジ115aの正面図)である。図1(c)は、図1(a)におけるB矢視図(稜線部フランジ115aの斜視図)である。本実施形態では、プレス成形品100あるいはブランクの長手方向が、プレス成形品100における稜線部112a,112bの延在方向に相当するが、稜線部112a,112bの延在方向は、プレス成形品100の長手方向に限られない。
なお、本実施形態において、稜線部112a,112bが延在する所定の方向は、直線として認識される方向に限定されない。多くの自動車車体用の補強部材にみられる程度の、直線以外の湾曲形状(曲線)として認識される方向も所定の方向に含まれる。所定の方向が曲線として認識される場合、当該所定の方向は、例えば、補強部材の左右方向へ湾曲する方向や上下方向へ湾曲する方向、あるいはこれらの方向を組み合わせた方向も含む。また、所定の方向の全長は、例えばバンパーやサイドメンバのような1000mm程度の長さから、立方体状のバルクヘッドのような100mm程度の長さまで、あらゆる長さを含む。
図2は、プレス成形品100の長手方向に直交する断面におけるプレス成形品100の断面形状の一例を示す説明図である。本実施形態にかかるプレス成形品100の断面形状は、図2(A)に示すハット型の断面形状や、図2(B)に示す溝型の断面形状とすることができるが、これらに限定されない。プレス成形品100の断面形状には、図2(C)や図2(D)に示すように、ハット型や溝型の断面形状における壁面100aに種々の凸形状100bや凹形状(図示しない)が付与された断面形状も含まれる。
また、プレス成形品100の断面形状には、図2(A)〜(D)に示されるような開断面形状以外に、例えば略ロの字型等の閉断面形状も含まれる。さらに、プレス成形品100は、これらの断面形状には限定されず、例えばV字型断面形状といった、稜線部と、当該稜線部が成す稜線の両端からそれぞれ延在する第1の面部及び第2の面部とを備える断面形状のプレス成形品であってもよい。図1(a)に示したプレス成形品100は、ハット型の断面形状を有するプレス成形品100である。以下、ハット型の断面形状を有するプレス成形品100を例にとって説明する。
図1(a)に示すように、プレス成形品100は、稜線部112a,112bと、第1の面部113a,113bと、第2の面部114とを備える。稜線部112a,112bは、いずれも、プレス成形品100の長手方向に延びて形成される。一方の第1の面部113aは、稜線部112aにつながり、プレス成形品100の長手方向と交差する第1の方向に延びて形成される。他方の第1の面部113bは、稜線部112bにつながり、プレス成形品100の長手方向と交差する第1の方向に延びて形成される。一方の第1の面部113aが延びて形成される第1の方向と、他方の第1の面部113bが延びて形成される第1の方向とは、異なっていてもよい。
第2の面部114は、稜線部112a,112bにつながり、プレス成形品100の長手方向と交差するとともに第1の方向とは異なる第2の方向に延びて形成される。第2の面部114は、稜線部112a,112bの間に形成されている。このように、プレス成形品100は、それぞれプレス成形品100の長手方向に延びて形成される稜線部112a,112bと、これらの稜線部112a,112bに連続する第1の面部113a,113b及び第2の面部114とを備え、略ハット型の開断面形状を有する。
高強度鋼板を用いて成形されたプレス成形品100を、例えば自動車車体用の補強部材に適用するには、稜線部112a,112bの曲率半径rfは、0mm〜35mmの範囲内であることが好ましい。稜線部の曲率半径とは、稜線部の内面の曲率半径を意味する。また、プレス成形品100を、例えば自動車車体用の補強部材に適用するには、第1の面部113a,113bと第2の面部114とがそれぞれ成す角度は、90°〜145°の範囲内であることが好ましい。
(1−2.内向き連続フランジ)
プレス成形品100は、長手方向の少なくとも一方の最端部100Aに、稜線部フランジ115a,115bと、第1のフランジ116a,116bと、第2のフランジ117とを有する。稜線部フランジ115a,115bは、稜線部112a,112bにおける長手方向の最端部100Aに形成される。第1のフランジ116a,116bは、第1の面部113a,113bにおける長手方向の最端部100Aの少なくとも一部の領域に形成される。さらに、第2のフランジ117は、第2の面部114における長手方向の最端部100Aの少なくとも一部の領域に形成される。本実施形態では、第1のフランジ116a,116b及び第2のフランジ117は、それぞれ第1の面部113a,113b及び第2の面部114における最端部100Aの全領域に形成されている。
稜線部フランジ115a,115bと、第1のフランジ116a,116bと、第2のフランジ117とは、いずれも内向きフランジとして連続して形成されている。これらの、稜線部フランジ115a,115b、第1のフランジ116a,116b、及び第2のフランジ117は、内向き連続フランジ118を構成する。プレス成形品100の端部に設けるフランジを内向き連続フランジ118とすることにより、例えば自動車車体用の補強部材の断面を設計断面一杯に拡大することが可能となる。したがって、補強部材と他の部材との接合強度や自動車車体の剛性をさらに向上することができる。
本実施形態にかかるプレス成形品100は、長手方向の最端部100Aにおいて、第1の面部113a,113b、稜線部112a,112b、第2の面部114の全長に亘って連続する内向き連続フランジ118を有する。ただし、第1のフランジ116a,116bと、第2のフランジ117とは、稜線部フランジ115a,115bに連続して形成されていればよく、内向き連続フランジ118が全長に亘って連続していなくてもよい。例えば、第1のフランジ116a,116b又は第2のフランジ117は、第1の面部113a,113b又は第2の面部114の最端部100Aの一部の領域に形成されていてもよい。第2のフランジ117が第2の面部114の全領域に形成されない場合には、二つに分割された内向き連続フランジ118が形成される。
(1−3.稜線部フランジ)
本実施形態にかかるプレス成形品100は、稜線部フランジ115a,115bに、フランジ幅を小さくした凹部119を有する。これにより、稜線部フランジ115a,115bの幅Lfは、稜線部112a,112bの頂点において、第1のフランジ116a,116b、第2のフランジ117それぞれの幅Lfs1,Lfs2よりも小さくなっている。フランジの幅とは、フランジが稜線部や第1の面部、第2の面部から立ち上がる基部に形成される湾曲部分を除いた、平坦状に形成される部分をいうものとする。例えば、稜線部フランジ115aにおいて、稜線部フランジ115aの幅Lfとは、図1(b)に示すように、長手方向最端部100Aにおいて稜線部112aに連続して湾曲状に形成される湾曲部115abを除き、平坦状に形成された平坦部115aaの幅Lfである。
稜線部フランジ115a,115bの幅Lfが第1のフランジ116a,116b、第2のフランジ117それぞれの幅よりも小さいことにより、稜線部フランジ115a,115bのフランジ先端の余剰伸長が少なくされ、しわの発生が低減される。特に、本実施形態にかかるプレス成形品100は、自動車車体用の補強部材に適したものであり、高強度鋼板を用いて成形されている。かかる高強度鋼板からなるプレス成形品100の稜線部フランジ115a,115bでのしわの発生を抑えるために、稜線部フランジ115a,115bの平坦部115aaの幅Lf(mm)は、下記式(1)を充足する。
Lf≦0.22rf+0.13θ−5.9 … (1)
rf(mm):稜線部112a(112b)の曲率半径(稜線部の内面の曲率半径)
θ:第1の面部113a(113b)と第2の面部114との成す角度
(ただし、0mm≦rf≦35mm、かつ、90°≦θ≦145°)
稜線部フランジ115a,115bの幅Lfが上記式(1)に規定される範囲を超えると、稜線部フランジ115a,115bの縁部側の余剰伸長が大きくなって、しわが発生しやすくなる。ただし、自動車車体用の補強部材に適したプレス成形品100の強度を確保するために、稜線部フランジ115a,115bの幅Lfは、Lf≧0.2rfの関係を充足することが好ましい。
なお、稜線部フランジ115a,115bのフランジ幅Lfを、第1のフランジ116a,116b及び第2のフランジ117のフランジ幅Lfs1,Lfs2よりも小さくする場合、稜線部フランジ115a,115bの少なくとも一部のフランジ幅Lfが、第1のフランジ116a,116b及び第2のフランジ117の少なくとも一部のフランジ幅Lfs1,Lfs2よりも小さくてもよい。すなわち、凹部119が稜線部フランジ115a,115b内に形成される場合等、稜線部フランジ115a,115bの一部分のフランジ幅Lfが、第1のフランジ116a,116b及び第2のフランジ117のフランジ幅Lfs1,Lfs2よりも小さくてもよい。また、凹部119が第1のフランジ116a,116b及び第2のフランジ117に亘って形成される場合等、第1のフランジ116a,116b及び第2のフランジ117の一部のフランジ幅Lfs1,Lfs2が、稜線部フランジ115a,115bのフランジ幅Lfと同じであってもよい。
また、内向き連続フランジ118の幅方向の縁部における板厚が、プレス成形前の板厚以上であることが好ましい。内向き連続フランジ118の縁部がかかる板厚を有することにより、自動車車体用の補強部材として使用されるプレス成形品100の剛性や荷重伝達強度を高めることができる。
また、内向き連続フランジ118の幅方向の縁部における板厚が、プレス成形前の板厚の1.5倍以下であることが好ましい。特に、稜線部フランジ115a,115bの縁部における板厚が、プレス成形前の板厚の1.5倍以下であることが好ましい。内向き連続フランジ118の縁部がかかる板厚を有することにより、内向きフランジを接合代として他の部材と重ね合わせてスポット溶接等の溶接を行う場合に、溶接不良の原因となる重ね合わせ部分の隙間が小さくなる。したがって、自動車車体用の補強部材として使用されるプレス成形品100を他の部材と接合する際に、十分な接合強度を維持することができる。
以上のように、本実施形態にかかるプレス成形品100は、稜線部フランジ115a,115bに切欠きを有さず、かつ、内向き連続フランジ118にしわを有していない。したがって、プレス成形品100を例えば自動車車体用の補強部材として使用する場合において、プレス成形品100と他の部材との接合強度が高められるとともに、補強部材の剛性や荷重伝達効率等の性能を向上させることができる。
<2.第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態にかかるプレス成形品100の製造方法の例について、プレス成形品100の製造装置の構成例と併せて説明する。本実施形態にかかるプレス成形品100の製造方法及び製造装置は、例えば、第1の実施の形態にかかるプレス成形品100を製造するためのものである。本実施形態にかかるプレス成形品100の製造方法は、第1の中間成形工程と第1のプレス成形工程とを備える。
(2−1.第1の中間成形工程)
まず、鋼板からなるブランク120から第1の中間部材130を得る第1の中間成形工程で行われるプレス成形方法と、当該工程で使用可能なプレス成形装置について説明する。図3(A)及び(B)は、プレス成形により、ブランク120から第1の中間部材130を得る様子を模式的に示す説明図である。図3(A)は、ブランク120をプレス成形装置90にセットした様子を示す。図3(B)はプレス成形終了時の様子を示す。
図3(A)に示すように、ブランク120がプレス成形装置90にセットされた後、型締め方向に移動自在にダイ91に取り付けられたパッド92と、パンチ95とにより、ブランク120が挟持される。次いで、図3(B)に示すように、ダイ91を下降することにより、ブランク120の長手方向の両端部121をダイ91により折り曲げる曲げ成形が行われる。かかる曲げ成形により、ブランク120の長手方向の両端部にフランジ131を有する第1の中間部材130が得られる。
ここでは、ブランク120の長手方向の両端部121を折り曲げる例を示したが、長手方向の両端部121のいずれか一方の端部を折り曲げるようにしてもよい。この第1の中間成形工程で用いられるプレス成形装置90は、パッド92を型締め方向に移動自在に取り付けられたダイ91とパンチ95とを有する公知の曲げ成形によるプレス成形装置90であってよい。
(2−2.第1のプレス成形工程)
次に、第1の中間部材130からプレス成形品100を得る第1のプレス成形工程で行われるプレス成形方法と、第1のプレス成形工程で使用可能なプレス成形装置について説明する。
(2−2−1.プレス成形装置)
図4は、第1のプレス成形工程で用いられるプレス成形装置10の構成例の一部を模式的に示す概略図である。かかる第1のプレス成形工程で用いられるプレス成形装置が、本発明にかかるプレス成形品の製造装置の一態様に相当する。なお、図4は、ブランク120の長手方向(図4における白抜き矢印方向)の端部の周辺におけるプレス成形装置10を部分的に示す。
図4に示すように、プレス成形装置10は、ダイ30と、ブランクホルダ32と、パンチ35と、パッド31と、インナーパッド33とを備える。ダイ30及びブランクホルダ32は、ブランク120の長手方向に交差する幅方向の端部を拘束し保持する。パッド31は、ダイ30に型締め方向に移動自在に支持される。インナーパッド33は、パンチ35に型締め方向に移動自在に支持される。また、第1の中間部材130の長手方向に交差する方向のインナーパッド33の幅は、同方向のパンチ35の幅よりも小さくされている。したがって、パッド31及びインナーパッド33は、ブランク120の幅方向の中央部を拘束する。さらに、プレス成形装置10は、プレス成形時において、パンチ35の側面35a及びインナーパッド33の側面33aに対向して配置される面外変形抑制工具34を備える。図4において、例えばダイ30や面外変形抑制工具34は、その表面のみが模式的に示されている。
ダイ30、ブランクホルダ32、パンチ35、パッド31、及びインナーパッド33は、いずれも、この種の絞り成形によるプレス成形装置において従来使用されているものであればよい。したがって、ここでの説明は省略する。面外変形抑制工具34は、プレス成形時においてパンチ35の側面35a及びインナーパッド33の側面33aに対向して、当該側面33a,35aとの間に所定の距離の間隙(第1の間隙)を設けて配置される。
プレス成形時には、パンチ35の側面35a及びインナーパッド33の側面33aと面外変形抑制工具34との間の間隙(第1の間隙)内に第1の中間部材130に形成されたフランジ131を挟持しながらプレス成形が行われる。したがって、フランジ131の板厚の増加や変動が制限されて、しわの発生が抑制される。間隙の距離は、例えば、フランジ131の板厚に所定のクリアランスを加算した値としてもよい。例えば、間隙は下記式(2)を充足するように設けることができる。
1.00×t≦x<1.40×t … (2)
t:ブランクの板厚(mm)
x:間隙の距離(mm)
間隙の距離xが上記式(2)を充足することにより、フランジ131の板厚をプレス成形前の板厚よりも小さくすることなく、フランジ131の面外変形の発生を確実に抑制することができる。特に、しわが発生しやすい稜線部フランジ115a,115bにおける面外変形の発生が抑制される。
このとき、プレス成形時の型かじりを抑制するために、フランジ131の表面と面外変形抑制工具34との間に僅かにクリアランスを設けてもよい。また、フランジ131の板厚が薄いほど面外変形が発生しやすくなる。したがって、間隙は、下記式(3)を充足するように設けることがより好ましい。
1.03×t≦x<1.35×t … (3)
t:ブランクの板厚(mm)
x:間隙の距離(mm)
図4に示すプレス成形装置10は、パンチ35にインナーパッド33を有するプレス成形装置10の構成例であるが、インナーパッド33を有しないプレス成形装置であってもよい。かかるインナーパッド33を有しないプレス成形装置は、パンチ35がインナーパッド33を有しない点以外はプレス成形装置10と同じ構成とすることができる。本明細書では、インナーパッド33を有しないプレス成形装置を単に「絞り成形装置」といい、インナーパッド33を有するプレス成形装置を「インナーパッド絞り成形装置」という。
(2−2−2.絞り成形装置による第1のプレス成形工程)
次に、インナーパッドを有しない絞り成形装置10Aにより、第1の中間部材130に対して絞り成形をする様子について説明する。絞り成形装置10Aは、図4に示すプレス成形装置10においてインナーパッド33を有しないものであるため、図4についても併せて参照しながら以降の説明を行う。
図5は、絞り成形装置10Aを用いた絞り成形によって第1の中間部材130からプレス成形品100を得る様子を模式的に示す説明図である。図5における(a)列は、第1の中間部材130の長手方向に交差する方向から見た図であり、(b)列は、第1の中間部材130の長手方向から見た図である。すなわち、図5の(b)列では、フランジ131を正面から見ることができる。また、図5における(A)は第1の中間部材130を絞り成形装置10Aにセットした様子を示し、(B)は第1の中間部材130にパッド31を接触させた様子を示す。また、図5における(C)は絞り成形の途中の様子を示し、(D)は絞り成形終了時の様子を示す。
図5に示すように、絞り成形では、絞り成形装置10Aに第1の中間部材130がセットされた後、ダイ30とブランクホルダ32とにより第1の中間部材130の長手方向に交差する幅方向の端部132が拘束され保持される。この状態で、ダイ30に型締め方向に移動自在に支持された平坦状のパッド31と、平坦状の頂部を有するパンチ35とにより第1の中間部材130が挟持された状態で、ダイ30がパンチ35に接近する。このようにして、第1の中間部材130に対して絞り成形が行われる。
この絞り成形の際には、第1の中間部材130のフランジ131は、パンチ35の側面35aと、パンチ35の側面35aに対向して配置された面外変形抑制工具34とにより形成された間隙(第1の間隙)内に配置される。したがって、絞り成形が行われている間、フランジ131は、面外変形抑制工具34とパンチ35の側面35aとにより拘束される。これにより、絞り成形時におけるフランジ131の面外変形が抑制され、面内圧縮成形により稜線部フランジ115a,115bが形成される。したがって、しわの発生の要因となる稜線部フランジ115a,115bの板厚の増加及び変動が少なくなる。
上述のように、パンチ35の側面35aと面外変形抑制工具34との間に形成される間隙は、下記式(2)を充足するように設けられる。
1.00×t≦x<1.40×t … (2)
t:ブランクの板厚(mm)
x:間隙の距離(mm)
上記式(2)を充足することにより、第1のフランジ116a(116b)、稜線部フランジ115a(115b)及び第2のフランジ117が連続した内向き連続フランジ118の面外変形の発生が確実に抑制される。特に、しわが発生しやすい稜線部フランジ115a,115bの面外変形の発生が抑制される。
さらに、上述のように、プレス成形時の型かじりを抑制し、かつ、フランジ131の板厚が薄い場合の面外変形を抑制するためには、間隙が下記式(3)を充足することがより好ましい。
1.03×t≦x<1.35×t … (3)
t:ブランクの板厚(mm)
x:間隙の距離(mm)
図5に示す例では、面外変形抑制工具34はダイ30に一体化して設けられているが、面外変形抑制工具34の構成はこの例に限られない。面外変形抑制工具34は、第1の中間部材130のフランジ131を拘束できればよく、面外変形抑制工具34の設置位置は特定の位置に限定されない。また、面外変形抑制工具34は、本実施形態の例のように上型に付随して配置されるものに限られず、下型に付随して配置されてもよい。さらには、面外変形抑制工具34は、パンチ35の側面35aと協働してフランジ131を拘束するものに限られず、面外変形抑制工具34が独立してフランジ131を拘束してもよい。
かかる絞り成形装置10Aを用いて行われる絞り成形により、図1に示すように、稜線部112a,112bと、第1の面部113a,113bと、第2の面部114と、内向き連続フランジ118とを備えるプレス成形品100が成形される。このとき、パンチ35の側面35aと面外変形抑制工具34とによりフランジ131を挟持しながら絞り成形が行われるために、フランジ131に切欠きを設けることなく、形成される内向き連続フランジ118のしわの発生が抑制される。
なお、以上の説明は、第1の面部113a,113b、稜線部112a,112b、第2の面部114の長手方向の最端部100Aの全領域にわたって連続する内向き連続フランジ118が形成されたプレス成形品100について行った。ただし、第1のフランジ116a,116bは第1の面部113a,113bの最端部100Aの全領域ではなく一部に形成されていてもよい。また、第2のフランジ117は第2の面部114の最端部100Aの全領域ではなく一部に形成されていてもよい。つまり、第1のフランジ116a,116b及び第2のフランジ117は、それぞれ稜線部フランジ115a,115bに連続して形成されていればよい。
(2−2−3.インナーパッド絞り成形装置による第1のプレス成形工程)
次に、インナーパッド絞り成形装置10Bにより、第1の中間部材130に対してインナーパッド絞り成形をする様子について説明する。図6は、インナーパッド絞り成形装置10Bを用いたインナーパッド絞り成形によって第1の中間部材130からプレス成形品100を得る様子を模式的に示す説明図である。図6における(a)列は、第1の中間部材130の長手方向に交差する方向から見た図であり、(b)列は、第1の中間部材130の長手方向から見た図である。
また、図6における(A)は第1の中間部材130をインナーパッド絞り成形装置10Bにセットした様子を示し、(B)は第1の中間部材130にパッド31を接触させた様子を示す。また、図6における(C)はインナーパッド絞り成形の途中の様子を示し、(D)はインナーパッド絞り成形の完了直前の様子を示し、(E)はインナーパッド絞り成形終了時の様子を示す。なお、図6中の符号は、インナーパッド33が追加された以外は図5と同じである。
図6に示すように、インナーパッド絞り成形は、型締め方向に移動自在に支持されたインナーパッド33を有するパンチ35を用いて絞り成形を行う点以外は、図5に示す絞り成形と同様に行うことができる。したがって、インナーパッド絞り成形が行われている間、フランジ131はパンチ35の側面35a及びインナーパッド33の側面33aと面外変形抑制工具34とにより挟持され、フランジ131の面外変形が抑制される。これにより、稜線部フランジ115a,115bが面内圧縮成形により形成される。併せて、インナーパッド33を有するパンチ35を用いることにより、形成される内向き連続フランジ118の縁部の板厚、特に稜線部フランジ115a,115bの縁部の板厚の増加が低減され、しわの発生がさらに抑制される。
図7は、絞り成形あるいはインナーパッド絞り成形の途中で形成される稜線部112a,112bの曲率半径を模式的に示す説明図である。図7(A)はインナーパッドを用いない絞り成形の様子を示す。図7(B)はインナーパッド絞り成形の様子を示す。図7(B)に示すように、インナーパッド絞り成形では、成形途中において稜線部112a,112bに形成される湾曲部分Bの曲率半径が、図7(A)に示す絞り成形に比べて大きくなる。そのため、成形後に形成される稜線部フランジ115a,115bの縁部における板厚増加が和らげられる。その結果、しわの発生が抑制された良好な内向き連続フランジ118が形成される。
なお、図7(B)に示すインナーパッド絞り成形では、絞り成形の終了時点においてインナーパッド33が下降してパンチ35の内部に収納されるため、稜線部112a,112bの曲率半径はパンチ35の角部の曲率半径により定められる。したがって、図7(A)に示す絞り成形と比較して、形成される稜線部112a,112bの曲率半径に差異は生じない。
(2−2−3.曲げ成形装置による第1のプレス成形)
ここまでに説明した第1のプレス成形工程は絞り成形により行われるものであるが、第1のプレス成形工程は、絞り成形ではなく曲げ成形により行われてもよい。図8は、絞り成形装置10Aあるいはインナーパッド絞り成形装置10Bの代わりに曲げ成形装置50を用いた曲げ成形によって第1の中間部材130からプレス成形品100を得る様子を模式的に示す説明図である。
図8における(a)列は、第1の中間部材130の長手方向に交差する方向から見た図であり、(b)列は、第1の中間部材130の長手方向から見た図である。また、図8における(A)は第1の中間部材130を曲げ成形装置50にセットした様子を示し、(B)は第1の中間部材130にパッド31を接触させた様子を示す。また、図8における(C)は曲げ成形の途中の様子を示し、(D)は曲げ成形終了時の様子を示す。
図8に示すように、曲げ成形では、曲げ成形装置50に第1の中間部材130がセットされる。このとき、第1の中間部材130のフランジ131が、パンチ35の側面35a及びインナーパッド33の側面33aと、当該側面33a,35aに対向して配置された面外変形抑制工具34とにより形成された間隙(第1の間隙)内に配置される。これにより、第1の中間部材130のフランジ131は、パンチ35の側面35a及びインナーパッド33の側面33aと面外変形抑制工具34とにより拘束される。
この状態で、ダイ30に取り付けたパッド31とパンチ35とにより第1の中間部材130が挟持された状態で、ダイ30とパンチ35とが接近する。これにより、第1の中間部材130の長手方向に交差する幅方向の両端部が折り曲げられる。その結果、曲げ成形時におけるフランジ131の面外変形が抑制され、面内圧縮成形により稜線部フランジ115a,115bが形成される。
このように行われる曲げ成形は、絞り成形よりも簡単な構成の金型で行うことができる。一方、曲げ成形は、絞り成形よりも稜線部フランジ115a,115bの板厚の増加が大きくなりやすいものの、第1の実施の形態で説明したようなプレス成形品100を形成することができる。ただし、プレス成形品100における型かじり痕を低減できる点や、金型の損耗を低減できる点において、絞り成形が曲げ成形よりも有利である。
以上、本実施形態にかかるプレス成形品の製造方法によれば、切欠きを設けることなく、しわの発生が抑制された内向き連続フランジ118を有するプレス成形品100を、高強度鋼板を用いて製造することができる。したがって、自動車車体用の補強部材等に使用可能であり、剛性が高く、荷重伝達特性に優れたプレス成形品100を得ることができる。
<3.第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態にかかるプレス成形品100の製造方法の例について、プレス成形装置の構成例と併せて説明する。本実施形態にかかるプレス成形品100の製造方法及びプレス成形装置も、第1の実施の形態にかかるプレス成形品100を製造するためのものである。本実施形態にかかるプレス成形品100の製造方法は、第1の中間成形工程と第2の中間成形工程と第2のプレス成形工程とを備えるものである。本実施形態にかかるプレス成形品100の製造方法は、例えばプレス成形品100の第1の面部113a,113bにおける、稜線部112a,112bの延在方向に直交する方向の長さが長い場合に実施される。このうち、第1の中間成形工程は、第2の実施の形態にかかる第1の中間成形工程と同様に行うことができるため、ここでの説明を省略する。
(3−1.第2の中間成形工程)
以下、第1の中間部材130から第2の中間部材140を得る第2の中間成形工程で行われるプレス成形方法と、第2の中間成形工程で使用可能なプレス成形装置について説明する。第2の中間成形工程も、第2の実施の形態にかかる第1のプレス成形工程と同様に、インナーパッドを用いない絞り成形及びインナーパッドを用いる絞り成形のいずれの方法で実施してもよい。
(3−1−1.絞り成形装置による第2の中間成形)
まず、インナーパッドを有しない絞り成形装置60により、第1の中間部材130に対して絞り成形をする様子について説明する。絞り成形装置60は、第1のプレス成形に用いる絞り成形装置10Aと同様に、図4に示すプレス成形装置10においてインナーパッド33を有していなくてもよい。
図9(A)は、絞り成形装置60の構成例の一部を模式的に示す概略図である。また、図9(B)は、かかる絞り成形装置60を用いた絞り成形によって得られた第2の中間部材140の外観の一例を示す斜視図である。絞り成形装置60の基本的な構成は、第2の実施の形態にかかる第1のプレス成形工程で用いられる絞り成形装置10Aと同様の構成とすることができる。なお、図9(A)は、第1の中間部材130の長手方向(図9(A)における白抜き矢印方向)の端部の周辺における絞り成形装置60を部分的に示す。
図10は、絞り成形装置60を用いた絞り成形によって第1の中間部材130から第2の中間部材140を得る様子を模式的に示す説明図である。図10における(a)列は、第1の中間部材130の長手方向に交差する方向から見た図であり、(b)列は、第1の中間部材130の長手方向から見た図である。また、図10における(A)は第1の中間部材130を絞り成形装置60にセットした様子を示し、(B)は第1の中間部材130にパッド31を接触させた様子を示し、(C)は絞り成形終了時の様子を示す。
図10に示すように、絞り成形による第2の中間成形工程は、基本的に第2の実施の形態にかかる第1のプレス成形工程と同様に行うことができる。すなわち、第1の中間部材130が絞り成形装置60にセットされた後、ダイ30とブランクホルダ32とにより第1の中間部材130の端部132が拘束され保持される。この状態で、ダイ30に型締め方向に移動自在に支持された平坦状のパッド31と平坦状の頂部を有すパンチ35とにより第1の中間部材130を挟持しながら、ダイ30がパンチ35に接近する。これにより、第1の中間部材130に対して絞り成形が行われる。かかる絞り成形は、いわゆる浅絞りと言われる絞り成形としてもよい。
かかる絞り成形の際には、第1の中間部材130のフランジ131は、パンチ35の側面35aと面外変形抑制工具34とにより形成された間隙(第1の間隙)内に拘束され、フランジ131の面外変形が抑制される。ただし、第2の中間成形工程では、ダイ30をパンチ35に接近させる際に、ダイ30を完全にパンチ35に近接させないで、ダイ30及びブランクホルダ32の移動が途中で停止される。このとき、ダイ30とブランクホルダ32とに挟持された第1の中間部材130の端部132は、完全には折り曲げられることなく保持される。
かかる絞り成形により、図9(B)に示すように、中間稜線部142a,142bと、中間稜線部142a,142bにそれぞれつながる第1の中間面部143a,143b及び第2の中間面部144とが形成される。本実施形態では、第2の中間部材140における第1の中間面部143a,143bと第2の中間面部144とは平行な状態となっている。
また、かかる絞り成形により第1の中間部材130に形成されたフランジ131は、中間稜線部フランジ145a,145bと、第1の中間フランジ146a,146bと、第2の中間フランジ147とが連続した中間連続フランジ148に成形される。中間稜線部フランジ145a,145bは、中間稜線部142a,142bの端部に形成されるフランジである。第1の中間フランジ146a,146bは、第1の中間面部143a,143bの長手方向の端部の少なくとも一部の領域に形成されるフランジである。第2の中間フランジ147は、第2の中間面部144の長手方向の端部の少なくとも一部の領域に形成されるフランジである。
絞り成形が行われる間、第1の中間部材130に形成されたフランジ131は、パンチ35の側面35aと面外変形抑制工具34とにより挟持されて、フランジ131の面外変形が抑制される。したがって、中間稜線部フランジ145a,145bが面内圧縮成形により形成され、中間連続フランジ148におけるしわの発生が抑制される。
このようにして、第1の中間部材130を絞り成形することにより、中間稜線部142a,142bと、第1の中間面部143a,143bと、第2の中間面部144と、中間連続フランジ148とを備える第2の中間部材140が得られる。かかる第2の中間部材140もプレス成形品の一態様である。したがって、絞り成形装置60は、最終成形品としてのプレス成形品100を製造するために使用される、本発明にかかるプレス成形品の製造装置の一態様である。
(3−1−2.インナーパッド絞り成形装置による第2の中間成形)
次に、インナーパッドを有するインナーパッド絞り成形装置70により、第1の中間部材130に対して絞り成形をする様子について説明する。インナーパッド絞り成形装置70の基本的な構成は、第2の実施の形態にかかる第1のプレス成形工程で用いられるインナーパッド絞り成形装置10Bと同様の構成とすることができる。
図11は、インナーパッド絞り成形装置70を用いたインナーパッド絞り成形によって第1の中間部材130から第2の中間部材140を得る様子を模式的に示す説明図である。図11における(a)列は、第1の中間部材130の長手方向に交差する方向から見た図であり、(b)列は、第1の中間部材130の長手方向から見た図である。また、図11における(A)は第1の中間部材130をインナーパッド絞り成形装置70にセットした様子を示し、(B)は第1の中間部材130にパッド31を接触させた様子を示し、(C)はインナーパッド絞り成形終了直前の様子を示す。
図11に示すように、インナーパッド絞り成形は、型締め方向に移動自在に支持されたインナーパッド33を有するパンチ35を用いて絞り成形を行う点以外は、図10に示す絞り成形と同様に行うことができる。したがって、インナーパッド絞り成形が行われている間、フランジ131はパンチ35の側面35a及びインナーパッド33の側面33aと面外変形抑制工具34とにより形成される間隙(第1の間隙)内に挟持され、フランジ131の面外変形が抑制される。これにより、中間稜線部フランジ145a,145bが面内圧縮成形により形成される。併せて、インナーパッド33を有するパンチ35を用いることにより、形成される中間連続フランジ148の幅方向の縁部の領域における板厚の増加が低減される。特に、中間稜線部フランジ145a,145bの縁部の領域における板厚の増加が低減される。したがって、最終的成形品としてのプレス成形品100に形成される内向き連続フランジ118における、しわの発生がさらに抑制される。
このようにして、第2の中間成形工程において、第1の中間部材130をインナーパッド絞り成形することにより、中間稜線部142a,142bと、第1の中間面部143a,143bと、第2の中間面部144と、中間連続フランジ148とを備える第2の中間部材140が得られる。かかる第2の中間部材140もプレス成形品の一態様である。したがって、インナーパッド絞り成形装置70は、最終成形品としてのプレス成形品100を製造するために使用される、本発明にかかるプレス成形品の製造装置の一態様である。
(3−1−3.曲げ成形装置による第2の中間成形工程)
ここまでに説明した第2の中間成形工程は絞り成形により行われるものであるが、第2の中間成形工程は、絞り成形でなく曲げ成形により行われてもよい。第2の中間成形工程を曲げ成形により行う場合に用いる曲げ成形装置の基本的な構成は、第2の実施の形態にかかる第1のプレス成形工程で用いられる曲げ成形装置と同様の構成とすることができる。
ただし、第2の中間部材140を曲げ成形により形成する場合、ダイ30をパンチ35に接近させる際の移動距離が、第1のプレス成形工程での移動距離よりも短くされる。例えば、ダイ30におけるパンチ35が進入する領域を浅くすることにより、上記の移動距離を短くすることができる。これにより、第1の中間部材130の端部132は、完全には折り曲げられない状態で維持される。かかる曲げ成形により、中間稜線部142a,142bと、中間稜線部142a,142bにそれぞれつながる第1の中間面部143a,143b及び第2の中間面部144とが形成される。本実施形態では、第2の中間部材140における第1の中間面部143a,143bと第2の中間面部144とは平行な状態とはならず、第1の中間面部143a,143bは、第2の中間面部144に対して傾斜方向に延びて形成される。
かかる曲げ成形が行われる間、第1の中間部材130に形成されたフランジ131は、パンチ35の側面35aと面外変形抑制工具34とにより形成された間隙(第1の間隙)内に挟持されて、フランジ131の面外変形が抑制される。したがって、中間稜線部フランジ145a,145bが面内圧縮成形により形成され、中間連続フランジ148におけるしわの発生が抑制される。
本実施形態においても、曲げ成形は、絞り成形よりも簡単な構成の金型で行うことができる。一方、曲げ成形は、絞り成形よりも稜線部フランジ115a,115bの板厚の増加が大きくなりやすい。ただし、第2の中間部材140あるいは最終成形品としてのプレス成形品100における型かじり痕を低減できる点や、金型の損耗を低減できる点において、絞り成形が曲げ成形よりも有利である。
このようにして、第2の中間成形工程において、第1の中間部材130を曲げ成形することにより、中間稜線部142a,142bと、第1の中間面部143a,143bと、第2の中間面部144と、中間連続フランジ148とを備える第2の中間部材140が得られる。かかる第2の中間部材140もプレス成形品の一態様である。したがって、かかる曲げ成形に用いられる曲げ成形装置は、最終成形品としてのプレス成形品100を製造するために使用される、本発明にかかるプレス成形品の製造装置の一態様である。
(3−2.第2のプレス成形工程)
第2のプレス成形工程においては、例えば曲げ成形によるプレス成形によって第2の中間部材140からプレス成形品100が得られればよく、プレス成形方法やプレス成形装置の構成は特に限定されない。以下、図12及び図13を参照して、第2の中間部材140から最終成形品としてのプレス成形品100を得るプレス成形方法と、第2のプレス成形工程で使用可能なプレス成形装置80の一例について説明する。
図12(A)は、曲げ成形に用いるプレス成形装置80の構成例の一部を模式的に示す概略図である。また、図12(B)は、かかるプレス成形装置80を用いた曲げ成形によって得られたプレス成形品100の外観の一例を示す斜視図である。プレス成形装置80の基本的な構成は、第2の実施の形態にかかる第1の中間成形工程で用いられるプレス成形装置90と同様の構成とすることができる。ただし、第2のプレス成形工程で用いられるプレス成形装置80は、プレス成形時において、パンチ39の側面39aに対向して配置される面外変形抑制工具40を備えている。
パンチ39の側面39aと面外変形抑制工具40とにより形成される間隙(第2の間隙)の距離は、第1のプレス成形工程あるいは第2の中間成形工程で使用する成形装置において形成される間隙(第1の間隙)と同様の距離にすることができる。なお、図12(A)は、第2の中間部材140の長手方向(図12(A)における白抜き矢印方向)の端部の周辺におけるプレス成形装置80を部分的に示したものである。
図13は、プレス成形装置80を用いた曲げ成形によって第2の中間部材140からプレス成形品100を得る様子を模式的に示す説明図である。図13における(a)列は、第2の中間部材140の長手方向に交差する方向から見た図であり、(b)列は、第2の中間部材140の長手方向から見た図である。また、図13における(A)は第2の中間部材140にパッド38を接触させた様子を示し、(B)は曲げ成形終了時の様子を示す。
図13に示すように、曲げ成形による第2のプレス成形工程は、基本的に第2の実施の形態にかかる第1の中間成形工程と同様に行うことができる。すなわち、第2の中間部材140がパンチ39上にセットされた後、ダイ37に型締め方向に移動自在に支持されたパッド38と、パンチ39とにより、第2の中間部材140の第2の中間面部144が拘束され保持される。この状態で、パンチ39とダイ37を相対的に接近させることにより、第1の中間面部143a,143bを折り曲げるプレス成形が行われる。
かかる曲げ成形が行われる間、第2の中間部材140に形成された中間連続フランジ148は、パンチ39の側面39aと面外変形抑制工具40とにより形成された間隙内に挟持されて、中間連続フランジ148の面外変形が抑制される。したがって、稜線部フランジ115a,115bが面内圧縮成形により形成され、内向き連続フランジ118におけるしわの発生が抑制される。
この曲げ成形により、図12(B)に示すように、稜線部112a,112bと、第1の面部113a,113bと、第2の面部114と、内向き連続フランジ118とを有するプレス成形品100が得られる。内向き連続フランジ118は、切欠きを有しておらず、稜線部フランジ115a,115bと第1のフランジ116a,116bと第2のフランジ117とが断面内向きに連続して形成されたものである。
なお、本実施形態では、プレス成形品100の端部において、稜線部112a,112b、第1の面部113a,113b及び第2の面部114の端部の全領域に亘る内向き連続フランジ118が形成される。ただし、第1のフランジ116a,116b及び第2のフランジ117は、第1の面部113a,113b及び第2の面部114の端部の一部の領域に形成されていてもよい。第1のフランジ116a,116b及び第2のフランジ117は、稜線部フランジ115a,115bから連続して形成されていればよい。
また、第2のプレス成形工程における曲げ成形において、稜線部は、加工条件によっては、追加的な曲げ加工を受けないか、あるいは、曲げ加工を受けてもその負荷は非常に小さくなる。そのために、パンチ35の側面35aと面外変形抑制工具40とにより形成される間隙(第2の間隙)の距離は、第1のプレス成形工程や第2の中間成形工程で使用される成形装置で形成される間隙(第1の間隙)より大きくてもよい。
以上、本実施形態にかかるプレス成形品の製造方法によれば、切欠きを設けることなく、しわの発生が抑制された内向き連続フランジ118を有するプレス成形品100を、高強度鋼板を用いて製造することができる。したがって、自動車車体用の補強部材等に使用可能であり、剛性が高く、荷重伝達特性に優れたプレス成形品100を得ることができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1,2及び比較例1)
まず、面外変形抑制工具の有無以外は同じ構成を有する二つのプレス成形装置を用いてプレス成形品を製造した場合における内向き連続フランジの状態を比較した。プレス成形品の製造は、第2の実施の形態にかかるプレス成形品の製造方法に準じて行った。
実施例1及び2では、板厚1.0mm、引張強度が980MPa級の冷延鋼板からなるブランクを用いて、第2の実施の形態にかかるプレス成形品の製造方法により、内向き連続フランジを有するハット型断面形状のプレス成形品の製造を試みた。すなわち、第1の中間成形工程においてブランクの長手方向の端部にフランジを形成した後、第1のプレス成形工程において、面外変形抑制工具を備えた絞り成形装置を用いてプレス成形した。
このとき、面外変形抑制工具とパンチの側面との間に形成される間隙の距離xを、実施例1では1.33mmとし、実施例2では1.41mmとした。また、比較例1では、面外変形抑制工具を用いないで第1のプレス成形工程を行った。製造するプレス成形品の稜線部の曲率半径rfは5mmとし、稜線部フランジの平坦部の幅Lfは2mmとした。また、形成されるプレス成形品の第1の面部と第2の面部との成す角度θは90°とした。かかるフランジの幅Lfは、0.22×rf+0.13×θ−5.9の値6.9よりも小さい値である。すなわち、得られたプレス成形品は、上記式(1)を充足している。なお、実施例1及び2、比較例1ではすべて同じ構成のブランクを使用した。
図14(a)〜(c)は、実施例1及び2、比較例1で得られたプレス成形品の稜線部フランジ付近の外観写真を示している。図14(a)が実施例1のプレス成形品であり、図14(b)が実施例2のプレス成形品である。また、図14(c)は比較例1のプレス成形品である。図14(c)に示す比較例1のプレス成形品は、面外変形抑制工具を用いないで第1のプレス成形を行ったために、稜線部フランジが外側に大きく変形した。これに対し、図14(a)及び(b)に示す実施例1及び2のプレス成形品は、面外変形抑制工具を用いて第1のプレス成形を行ったために、稜線部フランジが面内圧縮されて、しわの少ない良好な形状の内向き連続フランジを形成することができた。
また、図14(b)に示す実施例2のプレス成形品では、第1のフランジから稜線部フランジ、第2のフランジにかけて、内向き連続フランジの表面に、目視で視認可能な小さなうねりが認められる。これに対して、図14(a)に示す実施例1のプレス成形品では、そのようなうねりは認められなかった。したがって、パンチの側面と面外変形抑制工具とにより形成される間隙の距離が小さい方が、良好な形状の内向き連続フランジを形成できることが分かった。
(実施例3,4,5)
次に、面外変形抑制工具を用いてプレス成形を行う際に、絞り成形、インナーパッド絞り成形及び曲げ成形による内向き連続フランジの板厚の増加率を比較した。プレス成形品の製造は、第2の実施の形態に準じて行った。
実施例3〜5では、板厚1.0mm、引張強度が980MPa級の冷延鋼板からなるブランクを用いて、第2の実施の形態にかかるプレス成形品の製造方法により、内向き連続フランジを有するハット型断面形状のプレス成形品の製造を試みた。すなわち、第1の中間成形工程においてブランクの長手方向の端部にフランジを形成した後、第1のプレス成形工程において、面外変形抑制工具を備えた曲げ成形装置あるいは絞り成形装置を用いてプレス成形した。
第1のプレス成形工程で使用するプレス成形装置として、実施例3では絞り成形装置を使用し、実施例4ではインナーパッド絞り成形装置を使用し、実施例5では曲げ成形装置を使用した。これらの成形装置は、すべて面外変形抑制工具を有するものであり、パンチ乃至インナーパッドの側面と面外変形抑制工具との間の間隙の距離xがブランクの板厚tの1.18倍となるように、面外変形抑制工具を配置した。製造するプレス成形品の稜線部の曲率半径rfは5mmとし、稜線部フランジの平坦部の幅Lfは2mmとした。実施例3〜5では、すべて同じ構成のブランクを使用した。
図15は、それぞれ実施例3〜5のプレス成形品に形成された稜線部フランジの、縁部の板厚増加率の分布を示すグラフである。図15のグラフの横軸はフランジの縁部の道のり(mm)を示し、図15のグラフの縦軸は板厚増加率(%)を示す。「フランジの縁部の道のり」とは、図1(b)に示すように、稜線部フランジ115aにおいて、縁部の板厚がブランクの板厚から増加し始める位置(図1(b)の位置S)を起点0とした、稜線部フランジ115aの縁部の位置をいう。
図15に示すように、第1のプレス成形工程を絞り成形及びインナーパッド絞り成形により行った場合には、曲げ成形により行った場合と比較して、板厚の増加が広範囲に分散し、板厚増加率のピ−ク値が小さくなっている。したがって、絞り成形又はインナーパッド絞り成形により第1のプレス成形工程を行うことにより、稜線部フランジの板厚変動を小さく抑えることができ、より良好な形状の内向き連続フランジを有するプレス成形品を得ることができる。中でも、インナーパッド絞り成形により行った場合には、インナーパッドを用いない絞り成形により行った場合と比較して、板厚増加率のピーク値がより小さくなっており、インナーパッド絞り成形は、その効果がより大きいことが分かった。
(実施例6〜17,比較例2〜13)
次に、面外変形抑制工具を用いてプレス成形を行い、フランジ幅Lf、稜線部の曲率半径rf、及び第1の面部と第2の面部との成す角度θの違いによるしわの発生状況の比較を行った。
実施例6〜17、比較例2〜13では、板厚1.0mm、引張強度が980MPa級の冷延鋼板からなるブランクを用いて、第2の実施の形態にかかる製造方法により、内向き連続フランジを有するハット型断面形状のプレス成形品の製造を試みた。実施例6〜17、比較例2〜13すべて、第1のプレス成形工程は、絞り成形を用いて行った。実施例6〜17、比較例2〜13においてそれぞれ得られたプレス成形品の内向き連続フランジにおけるしわの発生状況を評価した。実施例6〜17,比較例2〜13それぞれのプレス成形品における稜線部のフランジ幅Lf、曲率半径rf、角度θ及びしわの発生の有無を表1に示す。
図16は、実施例6〜17、比較例2〜13のプレス成形品のしわの発生状況を示すグラフである。第1の面部と第2の面部との成す角度θが90°の場合及び145°の場合いずれにおいても、稜線部の曲率半径rfが小さくなるほど、しわが発生しないフランジ幅Lfの限界が小さくなっている。かかるフランジ幅Lfの限界は、下記の近似式(3)で表すことができる。
Lf=0.22×rf+0.13×θ−5.9 … (3)
(ただし、0mm≦rf≦35mm、かつ、90°≦θ≦145°)
したがって、形成される内向き連続フランジにおけるしわの発生を抑制するためには、稜線部のフランジ幅Lfが下記式(1)を充足するとよいことが分かる。
Lf≦0.22×rf+0.13×θ−5.9 … (1)
(ただし、0mm≦rf≦35mm、かつ、90°≦θ≦145°)
10 プレス成形装置(プレス成形品の製造装置)
10A 絞り成形装置(プレス成形品の製造装置)
10B インナーパッド絞り成形装置(プレス成形品の製造装置)
30 ダイ
31 パッド
32 ブランクホルダ
33 インナーパッド
34 面外変形抑制工具
35 パンチ
35a 側面
37 ダイ
38 パッド
39 パンチ
39a 側面
40 面外変形抑制工具
50 曲げ成形装置
60 絞り成形装置
70 インナーパッド絞り成形装置(プレス成形品の製造装置)
80 プレス成形装置(プレス成形品の製造装置)
90 プレス成形装置
91 ダイ
92 パッド
95 パンチ
100 プレス成形品
112a,112b 稜線部
113a,113b 第1の面部
114 第2の面部
115a,115b 稜線部フランジ
116a,116b 第1のフランジ
117 第2のフランジ
118 内向き連続フランジ
120 ブランク
130 第1の中間部材
131 フランジ
140 第2の中間部材
142a,142b 中間稜線部
143a,143b 第1の中間面部
144 第2の中間面部
145a,145b 中間稜線部フランジ
146a,146b 第1の中間フランジ
147 第2の中間フランジ
148 中間連続フランジ
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、引張強度が340MPa以上の鋼板からなり、所定の方向に延びて形成される稜線部と、前記稜線部が成す稜線の両からそれぞれ延びて形成される第1の面部及び第2の面部と、を備える金属板のプレス成形品において、
前記所定の方向の少なくとも一方の端部に、前記稜線部の前記端部に内向きに形成された稜線部フランジと、前記第1の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成された第1のフランジと、前記第2の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成された第2のフランジと、が連続した内向き連続フランジを備え、
前記稜線部フランジのフランジ幅(Lf)、前記稜線部の曲率半径(rf)、及び前記第1の面部と前記第2の面部との成す角度(θ)が下記式(1)を充足する、プレス成形品が提供される。
Lf≦0.22×rf+0.13×θ−5.9 … (1)
(ただし、0mm≦rf≦35mm、かつ、90°≦θ≦145°)
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、引張強度が340MPa以上の鋼板からなるブランクの所定の方向における少なくとも一方の端部を折り曲げて、前記ブランクを、フランジを有する第1の中間部材に成形する第1の中間成形工程と、
前記フランジを所定の第1の間隙内に挟持しながら前記第1の中間部材をプレス成形することにより、前記第1の中間部材を前記所定の方向に沿って折り曲げて、
前記所定の方向に延びて形成される稜線部と、前記稜線部が成す稜線の両からそれぞれ延びて形成される第1の面部及び第2の面部と、を成形するとともに、
前記フランジを、前記稜線部の前記端部に内向きに形成される稜線部フランジと、前記第1の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成される第1のフランジと、前記第2の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成される第2のフランジと、が連続する内向き連続フランジに成形する第1のプレス成形工程と、
を備える、プレス成形品の製造方法が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、引張強度が340MPa以上の鋼板からなるブランクの所定の方向における少なくとも一方の端部を折り曲げて、前記ブランクを、フランジを有する第1の中間部材に成形する第1の中間成形工程と、
前記フランジを所定の第1の間隙内に挟持しながら前記第1の中間部材をプレス成形することにより、前記第1の中間部材を前記所定の方向に沿って折り曲げて、
前記所定の方向に延びて形成される稜線部と、前記稜線部が成す稜線の両側からそれぞれ延びて形成される第1の面部及び第2の面部と、を成形するとともに、
前記フランジを、前記稜線部の前記端部に内向きに形成される稜線部フランジと、前記第1の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成される第1のフランジと、前記第2の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成される第2のフランジと、が連続する内向き連続フランジに成形する第1のプレス成形工程と、
を備え、
前記第1のプレス成形工程において、
前記第1の中間部材を押圧するパッドを押圧方向に移動自在に支持するダイと、前記ダイに対向して配置されるパンチと、前記プレス成形時に前記パンチの側面に対向して配置されて前記フランジの面外変形を抑制するための面外変形抑制工具と、を備えるプレス成形金型を用いて、
前記第1の中間部材を前記パンチ上に配置するとともに、前記パンチの側面と前記面外変形抑制工具とにより形成される前記第1の間隙内に前記フランジを挟持しながら、前記ダイと前記パンチと前記パッドとにより前記第1の中間部材をプレス成形する、プレス成形品の製造方法が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、引張強度が340MPa以上の鋼板からなるブランクの所定の方向における少なくとも一方の端部を折り曲げて、前記ブランクを、フランジを有する第1の中間部材に成形する第1の中間成形工程と、
前記フランジを所定の第1の間隙内に挟持しながら前記第1の中間部材をプレス成形することにより、前記第1の中間部材を前記所定の方向に沿って折り曲げて、
前記所定の方向に延びて形成される稜線部と、前記稜線部が成す稜線の両側からそれぞれ延びて形成される第1の面部及び第2の面部と、を成形するとともに、
前記フランジを、前記稜線部の前記端部に内向きに形成される稜線部フランジと、前記第1の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成される第1のフランジと、前記第2の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成される第2のフランジと、が連続する内向き連続フランジに成形する第1のプレス成形工程と、
を備え、
前記第1のプレス成形工程において、
ダイと、前記ダイに対向して配置されるパンチと、前記プレス成形時に前記パンチの側面に対向して配置されて前記フランジの面外変形を抑制するための面外変形抑制工具と、前記ダイと対向するブランクホルダと、を備えるプレス成形金型を用いて、
前記第1の中間部材を前記パンチ上に配置し、前記第1の中間部材の一部を前記ダイと前記ブランクホルダとで拘束し、かつ、前記パンチの側面と前記面外変形抑制工具とにより形成される前記第1の間隙内に前記フランジを挟持しながら、前記ダイと前記パンチとにより前記第1の中間部材をプレス成形することにより、前記中間部材を絞り成形する、プレス成形品の製造方法が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、引張強度が340MPa以上の鋼板からなるブランクの所定の方向における少なくとも一方の端部を折り曲げて、前記ブランクを、フランジを有する第1の中間部材に成形する第1の中間成形工程と、
前記フランジを所定の第1の間隙内に挟持しながら前記第1の中間部材をプレス成形することにより、前記第1の中間部材を前記所定の方向に沿って折り曲げて、
前記所定の方向に延びて形成される稜線部と、前記稜線部が成す稜線の両側からそれぞれ延びて形成される第1の面部及び第2の面部と、を成形するとともに、
前記フランジを、前記稜線部の前記端部に内向きに形成される稜線部フランジと、前記第1の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成される第1のフランジと、前記第2の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成される第2のフランジと、が連続する内向き連続フランジに成形する第1のプレス成形工程と、
を備え、
前記第1のプレス成形工程において、
ダイと、前記ダイに対向して配置され、前記第1の中間部材の一方の表面に当接するインナーパッドを型締め方向へ移動自在に支持するパンチと、前記プレス成形時に前記パンチの側面に対向して配置されて前記フランジの面外変形を抑制するための面外変形抑制工具と、を備えるプレス成形金型を用いて、前記パンチ及び前記インナーパッドの側面と前記面外変形抑制工具とにより形成される前記第1の間隙内に前記フランジを挟持しながら、前記ダイと前記パンチ及び前記インナーパッドとにより前記第1の中間部材をプレス成形する、プレス成形品の製造方法が提供される。
また、本発明のさらに別の観点によれば、引張強度が340MPa以上の鋼板からなるブランクの所定の方向における少なくとも一方の端部を折り曲げて、前記ブランクを、フランジを有する第1の中間部材に成形する第1の中間成形工程と、
前記フランジを所定の第1の間隙内に挟持しながら前記第1の中間部材をプレス成形することにより、前記第1の中間部材を前記所定の方向に沿って折り曲げて、
前記所定の方向に延びて形成される中間稜線部と、前記中間稜線部が成す稜線の両からそれぞれ延びて形成される第1の中間面部及び第2の中間面部と、を形成するとともに、
前記フランジを、前記中間稜線部の前記端部に形成される中間稜線部フランジと、前記第1の中間面部の前記端部の少なくとも一部の領域に形成される第1の中間フランジと、前記第2の中間面部の前記端部の少なくとも一部の領域に形成される第2の中間フランジと、が連続する中間連続フランジに成形して、
前記第1の中間部材を第2の中間部材とする第2の中間成形工程と、
前記中間連続フランジを所定の第2の間隙内に挟持しながら前記第2の中間部材に形成された前記第1の中間面部又は前記第2の中間面部の少なくとも一方を前記所定の方向に沿ってさらに折り曲げることにより、
前記所定の方向に延びて形成される稜線部と、前記稜線部が成す稜線の両からそれぞれ延びて形成される第1の面部及び第2の面部と、を成形するとともに、
前記中間連続フランジを、前記稜線部の前記端部に内向きに形成される稜線部フランジと、前記第1の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成される第1のフランジと、前記第2の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成される第2のフランジと、が連続する内向き連続フランジに成形する第2のプレス成形工程と、
を備える、プレス成形品の製造方法が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明のさらに別の観点によれば、所定の方向に延びて形成される稜線部と、前記稜線部が成す稜線の両からそれぞれ延びて形成される第1の面部及び第2の面部と、を有するとともに、前記所定の方向の少なくとも一方の端部に、前記稜線部の前記端部に内向きに形成された稜線部フランジと、前記第1の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成された第1のフランジと、前記第2の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成された第2のフランジと、が連続した内向き連続フランジを有するプレス成形品を製造するために用いられるプレス成形品の製造装置において、
前記所定の方向の少なくとも一方の端部にフランジを有する中間部材の一方の表面に当接するパンチと、
前記パンチに対向して配置されるダイと、
前記中間部材に対するプレス成形時に前記パンチの側面に対向して配置されるとともに、前記パンチの側面との間に前記フランジを挟持可能な所定の間隙を設けて配置されて、前記フランジの面外変形を抑制する面外変形抑制工具と、
を備え
前記ダイは、型締め方向へ移動自在に支持されて前記中間部材の他方の表面に当接するパッドを有する、プレス成形品の製造装置が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明のさらに別の観点によれば、所定の方向に延びて形成される稜線部と、前記稜線部が成す稜線の両側からそれぞれ延びて形成される第1の面部及び第2の面部と、を有するとともに、前記所定の方向の少なくとも一方の端部に、前記稜線部の前記端部に内向きに形成された稜線部フランジと、前記第1の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成された第1のフランジと、前記第2の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成された第2のフランジと、が連続した内向き連続フランジを有するプレス成形品を製造するために用いられるプレス成形品の製造装置において、
前記所定の方向の少なくとも一方の端部にフランジを有する中間部材の一方の表面に当接するパンチと、
前記パンチに対向して配置されるダイと、
前記中間部材に対するプレス成形時に前記パンチの側面に対向して配置されるとともに、前記パンチの側面との間に前記フランジを挟持可能な所定の間隙を設けて配置されて、前記フランジの面外変形を抑制する面外変形抑制工具と、
を備え、
前記パンチは、型締め方向へ移動自在に支持されて前記中間部材の前記一方の表面に当接するインナーパッドを有し、
前記面外変形抑制工具は、前記中間部材に対するプレス成形時に前記パンチ及び前記インナーパッドの側面に対向して配置されるとともに、前記パンチ及び前記インナーパッドの側面との間に前記フランジを挟持可能な所定の間隙を設けて配置される、プレス成形品の製造装置が提供される。
また、プレス成形品の製造装置は、前記プレス成形において、前記中間部材を曲げ成形してもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明のさらに別の観点によれば、所定の方向に延びて形成される稜線部と、前記稜線部が成す稜線の両側からそれぞれ延びて形成される第1の面部及び第2の面部と、を有するとともに、前記所定の方向の少なくとも一方の端部に、前記稜線部の前記端部に内向きに形成された稜線部フランジと、前記第1の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成された第1のフランジと、前記第2の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成された第2のフランジと、が連続した内向き連続フランジを有するプレス成形品を製造するために用いられるプレス成形品の製造装置において、
前記所定の方向の少なくとも一方の端部にフランジを有する中間部材の一方の表面に当接するパンチと、
前記パンチに対向して配置されるダイと、
前記ダイと対向するブランクホルダと、
前記中間部材に対するプレス成形時に前記パンチの側面に対向して配置されるとともに、前記パンチの側面との間に前記フランジを挟持可能な所定の間隙を設けて配置されて、前記フランジの面外変形を抑制する面外変形抑制工具と、
を備え、
前記プレス成形において、前記中間部材を、前記ダイと前記ブランクホルダとで拘束しながら絞り成形する、プレス成形品の製造装置が提供される。
また、前記パンチの側面と前記面外変形抑制工具との間の前記間隙の距離(x)が下記(2)式を充足してもよい。
1.00×t≦x<1.40×t … (2)
t:ブランクの板厚(mm)
x:間隙の距離(mm)
また、プレス成形品100の断面形状には、図2(A)〜(D)に示されるような開断面形状以外に、例えば略ロの字型等の閉断面形状も含まれる。さらに、プレス成形品100は、これらの断面形状には限定されず、例えばV字型断面形状といった、稜線部と、当該稜線部が成す稜線の両からそれぞれ延在する第1の面部及び第2の面部とを備える断面形状のプレス成形品であってもよい。図1(a)に示したプレス成形品100は、ハット型の断面形状を有するプレス成形品100である。以下、ハット型の断面形状を有するプレス成形品100を例にとって説明する。

Claims (24)

  1. 引張強度が340MPa以上の鋼板からなり、所定の方向に延びて形成される稜線部と、前記稜線部が成す稜線の両端からそれぞれ延びて形成される第1の面部及び第2の面部と、を備える金属板のプレス成形品において、
    前記所定の方向の少なくとも一方の端部に、前記稜線部の前記端部に内向きに形成された稜線部フランジと、前記第1の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成された第1のフランジと、前記第2の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成された第2のフランジと、が連続した内向き連続フランジを備え、
    前記稜線部フランジのフランジ幅(Lf)、前記稜線部の曲率半径(rf)、及び前記第1の面部と前記第2の面部との成す角度(θ)が下記式(1)を充足する、プレス成形品。
    Lf≦0.22×rf+0.13×θ−5.9 … (1)
    (ただし、0mm≦rf≦35mm、かつ、90°≦θ≦145°)
  2. 前記稜線部フランジの少なくとも一部のフランジ幅が、前記第1のフランジ及び前記第2のフランジの少なくとも一部のフランジ幅よりも小さい、請求項1に記載のプレス成形品。
  3. 前記所定の方向に沿って見た前記プレス成形品の断面形状は、ハット型又は溝形の開断面形状、あるいは閉断面形状である、請求項1又は2に記載のプレス成形品。
  4. 前記プレス成形品は自動車車体用の補強部材である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプレス成形品。
  5. 少なくとも前記稜線部フランジの幅方向の縁部の領域における板厚が、プレス成形前の板厚以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプレス成形品。
  6. 少なくとも前記稜線部フランジの幅方向の縁部の領域における板厚が、プレス成形前の板厚の1.5倍以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプレス成形品。
  7. 引張強度が340MPa以上の鋼板からなるブランクの所定の方向における少なくとも一方の端部を折り曲げて、前記ブランクを、フランジを有する第1の中間部材に成形する第1の中間成形工程と、
    前記フランジを所定の第1の間隙内に挟持しながら前記第1の中間部材をプレス成形することにより、前記第1の中間部材を前記所定の方向に沿って折り曲げて、
    前記所定の方向に延びて形成される稜線部と、前記稜線部が成す稜線の両端からそれぞれ延びて形成される第1の面部及び第2の面部と、を成形するとともに、
    前記フランジを、前記稜線部の前記端部に内向きに形成される稜線部フランジと、前記第1の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成される第1のフランジと、前記第2の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成される第2のフランジと、が連続する内向き連続フランジに成形する第1のプレス成形工程と、
    を備える、プレス成形品の製造方法。
  8. 前記第1のプレス成形工程において、
    ダイと、前記ダイに対向して配置されるパンチと、前記プレス成形時に前記パンチの側面に対向して配置されて前記フランジの面外変形を抑制するための面外変形抑制工具と、を備えるプレス成形金型を用いて、
    前記第1の中間部材を前記パンチ上に配置するとともに、前記パンチの側面と前記面外変形抑制工具とにより形成される前記第1の間隙内に前記フランジを挟持しながら、前記ダイと前記パンチとにより前記第1の中間部材をプレス成形する、請求項7に記載のプレス成形品の製造方法。
  9. 前記ダイは、前記第1の中間部材を押圧するパッドを押圧方向に移動自在に支持する、請求項8に記載のプレス成形品の製造方法。
  10. 前記第1のプレス成形工程において、
    前記プレス成形金型として前記ダイと対向するブランクホルダをさらに備えるものを用いて、前記第1の中間部材の一部を、前記ダイと前記ブランクホルダとで拘束しながら絞り成形する、請求項8又は9に記載のプレス成形品の製造方法。
  11. 前記プレス成形金型の前記パンチは、前記第1の中間部材の一方の表面に当接するインナーパッドを型締め方向へ移動自在に支持し、
    前記第1のプレス成形工程において、前記パンチ及び前記インナーパッドの側面と前記面外変形抑制工具とにより形成される前記第1の間隙内に前記フランジを挟持しながら、前記ダイと前記パンチ及び前記インナーパッドとにより前記第1の中間部材をプレス成形する、請求項8〜10のいずれか1項に記載のプレス成形品の製造方法。
  12. 引張強度が340MPa以上の鋼板からなるブランクの所定の方向における少なくとも一方の端部を折り曲げて、前記ブランクを、フランジを有する第1の中間部材に成形する第1の中間成形工程と、
    前記フランジを所定の第1の間隙内に挟持しながら前記第1の中間部材をプレス成形することにより、前記第1の中間部材を前記所定の方向に沿って折り曲げて、
    前記所定の方向に延びて形成される中間稜線部と、前記中間稜線部が成す稜線の両端からそれぞれ延びて形成される第1の中間面部及び第2の中間面部と、を形成するとともに、
    前記フランジを、前記中間稜線部の前記端部に形成される中間稜線部フランジと、前記第1の中間面部の前記端部の少なくとも一部の領域に形成される第1の中間フランジと、前記第2の中間面部の前記端部の少なくとも一部の領域に形成される第2の中間フランジと、が連続する中間連続フランジに成形して、
    前記第1の中間部材を第2の中間部材とする第2の中間成形工程と、
    前記中間連続フランジを所定の第2の間隙内に挟持しながら前記第2の中間部材に形成された前記第1の中間面部又は前記第2の中間面部の少なくとも一方を前記所定の方向に沿ってさらに折り曲げることにより、
    前記所定の方向に延びて形成される稜線部と、前記稜線部が成す稜線の両端からそれぞれ延びて形成される第1の面部及び第2の面部と、を成形するとともに、
    前記中間連続フランジを、前記稜線部の前記端部に内向きに形成される稜線部フランジと、前記第1の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成される第1のフランジと、前記第2の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成される第2のフランジと、が連続する内向き連続フランジに成形する第2のプレス成形工程と、
    を備える、プレス成形品の製造方法。
  13. 前記第2の中間成形工程において、
    ダイと、前記ダイに対向して配置されるパンチと、前記プレス成形時に前記パンチの側面に対向して配置されて前記フランジの面外変形を抑制するための面外変形抑制工具と、を備えるプレス成形金型を用いて、
    前記第1の中間部材を前記パンチ上に配置するとともに、前記パンチの側面と前記面外変形抑制工具とにより形成される前記第1の間隙内に前記フランジを挟持しながら、前記ダイと前記パンチとにより前記第1の中間部材をプレス成形する、請求項12に記載のプレス成形品の製造方法。
  14. 前記第2の中間成形工程において、
    前記プレス成形金型として前記ダイと対向するブランクホルダをさらに備えるものを用いて、前記第1の中間部材の一部を、前記ダイと前記ブランクホルダとで拘束しながら絞り成形する、請求項13に記載のプレス成形品の製造方法。
  15. 前記プレス成形金型の前記パンチは、前記第1の中間部材の一方の表面に当接するインナーパッドを型締め方向へ移動自在に支持し、
    前記第2の中間成形工程において、前記パンチ及び前記インナーパッドの側面と前記面外変形抑制工具とにより形成される前記第1の間隙内に前記フランジを挟持しながら、前記ダイと前記パンチ及び前記インナーパッドとにより前記第1の中間部材をプレス成形する、請求項13又は14に記載のプレス成形品の製造方法。
  16. 前記第2のプレス成形工程において、
    ダイと、前記ダイに対向して配置されるパンチと、前記プレス成形時に前記パンチの側面に対向して配置されて前記フランジの面外変形を抑制するための面外変形抑制工具と、を備えるプレス成形金型を用いて、
    前記第2の中間部材を前記パンチ上に配置するとともに、前記パンチの側面と前記面外変形抑制工具とにより形成される前記第2の間隙内に前記中間連続フランジを挟持しながら、前記ダイと前記パンチとにより前記第2の中間部材をプレス成形する、請求項12〜14のいずれか1項に記載のプレス成形品の製造方法。
  17. 前記ダイは、前記第1の中間部材を押圧するパッドを押圧方向に移動自在に支持する、請求項13〜16のいずれか1項に記載のプレス成形品の製造方法。
  18. 前記第1の間隙の距離(x)が下記(2)式を充足する、請求項7〜17のいずれか1項に記載のプレス成形品の製造方法。
    1.00×t≦x<1.40×t … (2)
    t:ブランクの板厚(mm)
    x:間隙の距離(mm)
  19. 所定の方向に延びて形成される稜線部と、前記稜線部が成す稜線の両端からそれぞれ延びて形成される第1の面部及び第2の面部と、を有するとともに、前記所定の方向の少なくとも一方の端部に、前記稜線部の前記端部に内向きに形成された稜線部フランジと、前記第1の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成された第1のフランジと、前記第2の面部の前記端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成された第2のフランジと、が連続した内向き連続フランジを有するプレス成形品を製造するために用いられるプレス成形品の製造装置において、
    前記所定の方向の少なくとも一方の端部にフランジを有する中間部材の一方の表面に当接するパンチと、
    前記パンチに対向して配置されるダイと、
    前記中間部材に対するプレス成形時に前記パンチの側面に対向して配置されるとともに、前記パンチの側面との間に前記フランジを挟持可能な所定の間隙を設けて配置されて、前記フランジの面外変形を抑制する面外変形抑制工具と、
    を備える、プレス成形品の製造装置。
  20. 前記パンチの側面と前記面外変形抑制工具との間の前記間隙の距離(x)が下記(2)式を充足する、請求項19に記載のプレス成形品の製造装置。
    1.00×t≦x<1.40×t … (2)
    t:ブランクの板厚(mm)
    x:間隙の距離(mm)
  21. 前記ダイは、型締め方向へ移動自在に支持されて前記中間部材の他方の表面に当接するパッドを有する、請求項19又は20に記載のプレス成形品の製造装置。
  22. 前記パンチは、型締め方向へ移動自在に支持されて前記中間部材の前記一方の表面に当接するインナーパッドを有し、
    前記面外変形抑制工具は、前記中間部材に対するプレス成形時に前記パンチ及び前記インナーパッドの側面に対向して配置されるとともに、前記パンチ及び前記インナーパッドの側面との間に前記フランジを挟持可能な所定の間隙を設けて配置される、請求項19〜21のいずれか1項に記載のプレス成形品の製造装置。
  23. 前記プレス成形品の製造装置は、前記プレス成形において、前記中間部材を曲げ成形する、請求項19〜22のいずれか1項に記載のプレス成形品の製造装置。
  24. 前記プレス成形品の製造装置は、前記ダイと対向するブランクホルダをさらに備え、前記プレス成形において、前記中間部材を、前記ダイと前記ブランクホルダとで拘束しながら絞り成形する、請求項19〜22のいずれか1項に記載のプレス成形品の製造装置。
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