JPWO2015033616A1 - 培養容器駆動装置及び培養システム - Google Patents

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Abstract

培養容器駆動装置1は、培養容器11を支持する支持面M1及び支持面M1上に培養容器11を保持する吸着部R1を有する培養容器保持台2と、支持面M1に直交する方向において、培養容器11全体が同じ側に同時に同じ変位量で動くように、培養容器保持台2を20Hz〜2kHzの周波数で振動させる駆動部3とを備える。

Description

本開示は、培養容器駆動装置及び培養システムに関する。
有益な細胞を大量に培養し、様々な分野に利用することが試みられている。細胞の培養手順は、不要な細胞を培養容器の内面から剥離して除去する工程、又は培養後の細胞を培養容器の内面から剥離して回収する工程等、細胞を培養容器の内面から剥離する工程を含む。従来、培養容器の内面から細胞を剥離する作業は、例えばピペットを用い培養容器の内面に液体をかけること(以下、これを「ピペッティング」という。)により行われている。ピペッティングは手作業により行われるので、多くの培養容器を用いて大量の細胞を同時進行で培養しようとする場合には、作業者の過大な労力を要する。また、安定したピペッティングには作業者の熟練が求められるので、労力に見合った人数の作業者を確保するのは困難であり、ピペッティングに過大な時間を要することとなる。これに対し、例えば特許文献1には、ピペッティングを自動化する装置が開示されている。
特許文献2には、培養容器に超音波振動を加えることにより、細胞を培養容器の内面から剥離する方法が開示されている。
特許文献3には、培養容器に対してパルス状の衝撃力を部分的に加えることにより、細胞を培養容器の内面から剥離する方法が開示されている。
国際公開第2011/043077号 特開2006−314204号公報 特開昭56−154988号公報
しかしながら、ピペッティングを自動化するには複雑な装置が必要である。例えばピペッティング装置を構成するには、少なくともピペットと、ピペットに液体を供給する送液装置と、送液中のピペットを培養容器の内面に沿って移送する移送装置とが必要である。特許文献2及び3に記載の方法によれば、ピペッティングを自動化するのに比べ装置の単純化が期待されるが、細胞の回収率(付着細胞のうち生存状態で回収できる細胞の比率)を更に向上させることが望まれる。
そこで本開示は、培養容器の内面の付着物を剥離させる作業を単純な構成で自動化すると共に、細胞の回収率を向上させることができる装置及びその装置を用いた培養システムを提供することを目的とする。
本開示に係る培養容器駆動装置は、培養容器を支持する支持面及び支持面上に培養容器を保持する保持部を有する培養容器保持台と、支持面に直交する方向において、培養容器全体が同じ側に同時に同じ変位量で動くように、培養容器保持台を20Hz〜2kHzの周波数で振動させる駆動部とを備える。
この培養容器駆動装置によれば、培養容器保持台を駆動部により振動させる単純な構成により、培養容器を振動させることができる。培養容器は、支持面に直交する方向において全体が同じ側に同時に同じ変位量で動くように振動させられる。この振動により、培養容器の内面の付着物が効率よく剥離される。従って、培養容器の内面の付着物を剥離する作業を単純な構成により自動化できる。
上記振動により培養容器の内面の付着物が効率よく剥離される理由は、次のように推定される。すなわち、上記振動により、培養容器内の培養液の液面にはファラデー波が生じる。ファラデー波が生じた状態において、培養液中には、支持面に沿って並ぶ多数の旋回流が生じる。各旋回流は、支持面に交差する面に沿って旋回し、培養容器の内面に沿う流れを発生させる。この流れにより、培養容器の内面の付着物が効率よく剥離される。
駆動部は、20Hz〜2kHzの周波数で培養容器保持台を振動させる。周波数が低くなると、駆動部から周囲に伝わる不要な振動を低減させ難くなる。このため、周波数が低くなるにつれて振動伝達の低減用の防振要素が複雑化する傾向がある。一方、周波数が高くなると、駆動部の消費エネルギーが大きくなる。このため、周波数が高くなるにつれて駆動部の動力源が大型化する傾向がある。周波数が20Hz〜2kHzであれば、防振要素の複雑化又は駆動部の動力源の大型化を抑えつつ、培養容器の内面の付着物を剥離できる。
なお、本開示に係る培養容器駆動装置を用いる場合、培養容器を超音波振動させる装置を用いる場合に比べ、細胞の回収率が向上する。この理由は、次のように推定される。すなわち、培養容器が振動する周波数は超音波の周波数に遥かに小さい。これにより、培養容器を超音波振動させるのに比べて細胞に加わるエネルギーが小さく、振動により破砕される細胞が少ない。
また、本開示に係る培養容器駆動装置を用いる場合、培養容器に対して衝撃力を部分的に加える装置を用いる場合に比べても、細胞の回収率が向上する。この理由は次のように推定される。すなわち、培養容器に対して衝撃力を部分的に加える場合、衝撃が与えられた部分では液の動きが大きいが、その周囲では液の動きが減衰するため、細胞の剥離が不均一になり易い。これに対し、本開示に係る培養容器駆動装置によれば上記ファラデー波が生じるので、培養容器の内面の付着物が効率よく剥離される。
駆動部は、20〜100Hzの周波数で培養容器保持台を振動させてもよい。この場合、駆動部の動力源の大型化を更に抑えることができる。
駆動部は、支持面に直交する方向における振幅が0mm超5mm以下となるように培養容器保持台を振動させてもよい。振幅が大きくなると、付着物を剥離し易くなる一方で、駆動部の消費エネルギーが大きくなる。このため、振幅が大きくなるにつれて駆動部の動力源が大型化する傾向がある。振幅が0mm超5mm以下であれば、駆動部の動力源の大型化を抑えつつ、培養容器の内面の付着物を剥離できる。
培養容器保持台は、それぞれ支持面を構成する複数段の棚部を有してもよい。この場合、支持面に直交する方向に沿って複数の培養容器を重ねて配置し、これらの培養容器を同時に振動させることができる。これにより、各培養容器の内面の付着物を同時に剥離できる。
培養容器保持台は、培養容器の下面に比べ大きい支持面を有してもよい。この場合、培養容器全体を同じ側に同時に同じ変位量で動かし易い。
駆動部は、培養容器を開放することなく当該培養容器の内面の付着物を剥離可能な条件で培養容器保持台を振動させてもよい。この場合、培養容器を開放する作業を行うことなく、培養容器の内面の付着物を剥離できる。また、培養容器内への異物の混入を防止するための配慮を軽減できる。従って、培養容器の内面の付着物をより効率よく剥離できる。
培養容器保持台は、単球及びリンパ球を収容した培養容器を保持し、駆動部は、単球に比べ多くのリンパ球を培養容器の内面から剥離可能な条件で培養容器保持台を振動させてもよい。この場合、培養容器の内面に付着したリンパ球を剥離して除去することにより、培養容器内における単球の比率を十分に高めた後に、単球の培養を行うことができる。これにより、単球の分化物を効率よく培養できる。
駆動部は、単球の分化物を培養容器の内面から剥離可能な条件で培養容器保持台を更に振動させてもよい。この場合、単球の分化物を効率よく培養できるのに加え、培養容器の内面に付着した単球の分化物を効率よく剥離して回収できる。
本開示に係る培養システムは、上記培養容器駆動装置と、培養容器と、培養容器を収容し、培養容器内における培養を促進するインキュベータと、培養容器の内面を掻くスクレーパと、スクレーパを駆動するスクレーパ駆動装置と、培養容器の内面の付着物を剥離可能な条件で培養容器保持台を振動させるように培養容器駆動装置を制御する振動剥離制御部と、スクレーパにより培養容器の内面の付着物を掻き取らせるようにスクレーパ駆動装置を制御する掻取制御部とを備える。
この培養システムによれば、インキュベータにおける培養後に、振動剥離制御部により培養容器駆動装置を制御することで、培養容器の内面の付着物を剥離して効率よく回収できる。更に、掻取制御部によりスクレーパ駆動装置を制御することで、培養容器の内面に残存した付着物を掻き落として回収できる。従って、より多くの付着物を効率よく回収できる。
振動剥離制御部は、培養容器を開放することなく当該培養容器の内面の付着物を剥離可能な条件で培養容器保持台を振動させるように培養容器駆動装置を制御してもよい。この場合、培養容器を開放する作業を行うことなく、培養容器の内面の付着物を剥離できる。また、培養容器内への異物の混入を防止するための配慮を軽減できる。従って、培養容器の内面の付着物をより効率よく剥離できる。
培養容器保持台に保持された培養容器を開放することなく、当該培養容器内に液体を供給し又は当該培養容器内から液体を排出する輸液装置を更に備えてもよい。この場合、培養容器を開放することなく、培養液等の液体を培養容器内に供給する工程、培養後に培養容器の内面の付着物を振動により剥離させる工程及び剥離した付着物を液体と共に回収する工程を行うことができる。このため、培養及び回収を効率よく行うことができる。
スクレーパは培養容器内に収容され、スクレーパ駆動装置は、培養容器の外側から磁力によりスクレーパを駆動してもよい。この場合、培養容器を開放することなく、培養容器の内面の付着物を掻き取って回収する工程を更に行うことができる。このため、培養後の回収を更に効率よく行うことができる。
培養容器は単球及びリンパ球を収容し、振動剥離制御部は、インキュベータにおける培養前に、単球に比べ多くのリンパ球を培養容器の内面から剥離可能な条件で培養容器保持台を振動させるように、培養容器駆動装置を制御してもよい。この場合、培養容器の内面に付着したリンパ球を剥離して除去することにより、培養容器内における単球の比率を十分に高めた後に、インキュベータにおいて単球の培養を促進できる。これにより、単球の分化物を効率よく培養できる。
振動剥離制御部は、インキュベータにおける培養後に、単球の分化物を培養容器の内面から剥離可能な条件で培養容器保持台を振動させるように、培養容器駆動装置を更に制御してもよい。この場合、単球の分化物を効率よく培養できるのに加え、培養容器の内面に付着した単球の分化物を効率よく剥離して回収できる。
インキュベータと培養容器駆動装置とは互いに独立して設けられていてもよい。この場合、インキュベータにおける培養と、培養容器駆動装置における付着物の剥離とを独立して進行させることができる。これにより、培養に要する時間(以下、「培養時間」という。)と剥離に要する時間(以下、「剥離時間」という。)との違いに応じて培養及び剥離の実行周期を調節し、培養システムを高効率に稼働させることができる。例えば、培養時間が剥離時間に比べ長い場合には、インキュベータに配置する培養容器の数を培養容器駆動装置に配置する培養容器の数に比べ多くしつつ、剥離の実行周期を培養の実行周期に比べ短くすることで、培養システムを高効率に稼働させることができる。
本開示に係る培養容器駆動装置及び培養システムによれば、培養容器の内面の付着物を剥離させる作業を単純な構成で自動化すると共に、細胞の回収率を向上させることができる。
培養容器駆動装置の概略構成を示す模式図である。 培養容器保持台の平面図である。 図2中のIII−III線に沿う断面図である。 図1中のIV−IV線に沿う断面図である。 図4中のV−V線に沿う断面図である。 培養容器保持台を駆動部から分離した状態で行う処理を例示する模式図である。 培養容器保持台の変形例を示す平面図である。 図6中のVII−VII線に沿う断面図である。 培養システムの概略構成を示す模式図である。 培養システムにおいて実行される培養手順を示すフローチャートである。 図9のスクレーパを駆動している状態を示す模式図である。 実施例及び比較例の振動状態を示す模式図である。 比較例の培養容器駆動装置を示す模式図である。 剥離性の評価結果を示すリストである。 剥離の均一性の評価結果を示すリストである。 細胞の生存率の評価結果を示すリストである。 剥離の原理を説明するための模式図である。 振動の周波数及び振幅と剥離性能との関係を示すグラフである。 振動の周波数及び振幅と剥離性能との関係を示すグラフである。
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
〔培養容器駆動装置〕
図1に示すように、培養容器駆動装置1は、培養容器保持台2と、駆動部3と、監視部4と、制御部5とを備える。培養容器駆動装置1は、液体及び細胞を収容した培養容器11を振動させ、培養容器11の内面から細胞を剥離させる装置である。例えば、培養容器駆動装置1は、単球及びリンパ球を収容した培養容器11の内面からリンパ球を選択的に剥離させるのに用いられる。また、単球の培養により形成された樹状細胞(単球の分化物)を培養容器11の内面から剥離させるのに用いられる。
培養容器保持台2は、培養容器11を保持する。培養容器11はシャーレ状を呈し、その上部はフィルムにより塞がれている。培養容器11の周壁には、培養液等の液体を流入又は流出させるための送液ポート11aが設けられている。
培養容器保持台2は、4段の棚部6と、底板7とを有する。棚部6同士の間には柱状のスペーサ20が介在している。棚部6とスペーサ20とは、ボルト締結等により固定されていてもよいし、溶接等により一体化されていてもよい。底板7は、最下段の棚部6の下方に配置されている。棚部6と底板7との間には柱状のスペーサ21が介在している。棚部6及び底板7とスペーサ21とは、ボルト締結等により固定されていてもよいし、溶接等により一体化されていてもよい。
4段の棚部6は、それぞれ培養容器11を支持する。棚部6の上面M1は、培養容器11の下面に比べ大きい。各棚部6には吸着部R1が設けられている。吸着部R1は、負圧により培養容器11を棚部6の上面M1側に吸着する。すなわち、培養容器保持台2は、培養容器11を支持する支持面M1と、負圧により培養容器11を支持面M1側に吸着する吸着部R1とを有し、支持面M1及び吸着部R1は棚部6ごとに設けられている。吸着部R1は、支持面M1上に培養容器11を保持する保持部として機能する。
吸着部R1は排気管L1を介して真空ポンプ12に接続されている。4段の棚部6からそれぞれ延出した4本の排気管L1は、1本の排気管L2に合流して真空ポンプ12に接続されている。真空ポンプ12は、例えば電動式のポンプであり、負圧の発生源として機能する。
各排気管L1には、排気弁V1が設けられている。排気弁V1は例えば電磁弁である。排気弁V1が開放されると、吸着部R1が真空ポンプ12に接続されるので、培養容器11が支持面M1側に吸着される。排気管L2には、圧力計PG1が設けられている。圧力計PG1は、真空ポンプ12から吸着部R1に伝わる負圧を検出する。
駆動部3は、例えば電磁式の振動発生装置であり、防振部材31を介して設置台10の上に設置されている。防振部材31は、例えば防振ゴムであり、駆動部3から設置台10への振動の伝わりを軽減する。駆動部3は、上方に突出する振動体30を有する。振動体30は、連結部9を介して培養容器保持台2を支持する。
連結部9は、底板7を吸着する吸着部R2を有し、振動体30に固定されている。振動体30に固定された連結部9が底板7を吸着することにより、駆動部3と培養容器保持台2とが連結される。連結部9は、排気管L3を介して真空ポンプ12に接続されている。排気管L3には、排気弁V3及び圧力計PG2が設けられている。排気弁V3は例えば電磁弁である。排気弁V3が開放されると、吸着部R2が真空ポンプ12に接続されるので、底板7が連結部9に吸着される。圧力計PG2は、真空ポンプ12から吸着部R2に伝わる負圧を検出する。
駆動部3は、振動体30を鉛直方向に沿って振動させる。これに伴い、培養容器保持台2も鉛直方向に沿って振動させられる。培養容器11は、鉛直方向に沿って、全体が同じ側に同時に同じ変位量で動くように振動させられる。すなわち、駆動部3は、支持面M1に直交する方向において、培養容器11全体が同じ側に同時に同じ変位量で動くように培養容器保持台2を振動させる。
培養容器11の振動方向は、必ずしも鉛直方向に沿っていなくてもよい。例えば培養容器11は、鉛直方向において変位すると共に、水平方向においても変位してよい。つまり、駆動部3は、鉛直方向に対して傾斜した方向に沿って振動体30を振動させてもよい。また、支持面M1に直交する方向において、培養容器11の各部の変位方向は一致している必要があるが、変位量は部分ごとに異なっていてもよい。
監視部4は、例えばCCDカメラ等の撮像装置であり、棚部6の画像を取得する。
制御部5は、排気弁V1,V3及び駆動部3を制御することで、以下に示す処理を実行する。制御部5は、ユーザーの指示入力に応じて排気弁V3を制御し、連結部9の吸着部R2が真空ポンプ12に接続された状態と、吸着部R2が真空ポンプ12から遮断された状態とを切り替える。これにより、駆動部3及び培養容器保持台2が連結状態と分離状態とに切り替えられる。
連結部9の吸着部R2が真空ポンプ12に接続された状態において、制御部5は圧力計PG2の計測値を取得する。すなわち、真空ポンプ12から吸着部R2に伝わる負圧を取得する。圧力計PG2から取得した計測値が閾値より高い場合には、培養容器保持台2の吸着が不完全であると判断し、例えばモニタ(不図示)の表示又は警報ランプ(不図示)等によりユーザーに報知する。すなわち、制御部5は連結異常検知部として機能する。
制御部5は、監視部4により取得された画像を処理し、棚部6の上に培養容器11が載置されているかどうかを検知する。そして、各排気弁V1を制御し、培養容器11が載置された棚部6の吸着部R1を真空ポンプ12に接続し、培養容器11が載置されていない棚部6の吸着部R1を真空ポンプ12から遮断する。これにより、培養容器11が棚部6上に保持される。
培養容器11が棚部6上に保持された状態において、制御部5は圧力計PG1の計測値を取得する。すなわち、真空ポンプ12から棚部6に伝わる負圧を取得する。圧力計PG1から取得した計測値が閾値より高い場合には、培養容器11の吸着が不完全であると判断し、例えばモニタ(不図示)の表示又は警報ランプ(不図示)等によりユーザーに報知する。すなわち、制御部5は吸着異常検知部として機能する。
制御部5は、培養容器保持台2が吸着部R2に吸着され、培養容器11が吸着部R1に吸着された状態において、振動体30を振動させるように駆動部3を制御する。振動体30が振動すると培養容器保持台2が振動し、これに伴って棚部6上の培養容器11も振動する。培養容器11の振動により、培養容器11内の細胞が培養容器11の内面から剥離させられる。
制御部5は、振動体30の振幅及び周波数を目標値の近傍に保つように駆動部3を制御する。周波数は20Hz〜2kHzである。周波数は20〜100Hzであってもよく、30〜70Hzであってもよく、50〜60Hzであってもよい。周波数が低くなると、駆動部から周囲に伝わる不要な振動を低減させ難くなる。このため、周波数が低くなるにつれて振動伝達の低減用の防振要素が複雑化する傾向がある。一方、周波数が高くなると、駆動部の消費エネルギーが大きくなる。このため、周波数が高くなるにつれて駆動部の動力源が大型化する傾向がある。周波数が20Hz〜2kHzであれば、防振要素の複雑化又は駆動部の動力源の大型化を抑えつつ、培養容器の内面の付着物を剥離できる。周波数が20〜100Hzであれば、駆動部の動力源の大型化を更に抑えることができる。
支持面M1に直交する方向における振幅は、例えば0mm超5mm以下であることが好ましく、1〜4mmであることがより好ましく、1〜2mmであることが特に好ましい。振幅が大きくなると、付着物を剥離し易くなる一方で、駆動部の消費エネルギーが大きくなる。このため、振幅が大きくなるにつれて駆動部の動力源が大型化する傾向がある。振幅が0mm超5mm以下であれば、駆動部の動力源の大型化を抑えつつ、培養容器の内面の付着物を剥離できる。なお、ここでの振幅は、振動の中心位置を基準とした一方側への最大変位量と他方側への最大変位量とを合算した全振幅を意味する。
振動体30の振動の波形に特に制限はないが、代表的なものとして正弦波形、矩形波形、三角波形又はのこぎり波形等が挙げられる。駆動部の設計の容易さの観点で正弦波が最も手頃であるが、これに限定されるものではない。なお、ここでの波形とは、横軸を経過時間とし、縦軸を変位量としたグラフに描かれる波形を意味する。
続いて、棚部6、底板7及び連結部9について詳細に説明する。図2に示すように、棚部6は平面視で矩形状を呈し、例えばアルミニウム系の金属材料により構成される。スペーサ20は棚部6の四隅に配置されている。図2及び図3に示すように、棚部6の支持面M1には環状の収容溝6dが形成されており、収容溝6dには環状のシールリング60が収容されている。収容溝6d及びシールリング60は、培養容器11の下面の周縁部に沿う形状を呈する。シールリング60は、例えばシリコーンゴム等により構成され、培養容器11の下面と支持面M1との隙間を封止する。
支持面M1のうち、シールリング60の内側の領域には、互いに平行な5本の溝6aと、溝6aに直交する5本の溝6bとが形成されている。溝6a,6bを形成することで、支持面M1に開口OP1が形成されると共に、溝6a,6bの深さに応じて負圧空間S1が形成される。負圧空間S1は負圧をかけるための空間であり、開口OP1に連通する。
10本の溝6a,6bは互いに繋がっている。具体的には、最も外側に位置する2本の溝6aは3本の溝6bと交わり、残りの3本の溝6aは全ての溝6bと交わっている。最も外側に位置する2本の溝6bは3本の溝6aと交わり、残りの3本の溝6bは全ての溝6aと交わっている。これにより、溝6aと溝6bとが繋がると共に、溝6a同士が溝6bを介して繋がり、溝6b同士が溝6aを介して繋がっている。
各溝6a,6bは、収容溝6dに到達しない範囲でシールリング60の近傍まで延在している。これにより、シールリング60の内側の領域内において、開口OP1が広範囲に行き渡っている。すなわち、開口OP1は培養容器11の形状及び大きさに合うように分布している。
最も中央に位置する溝6bの底部には、負圧空間S1を下方に開口させる通気孔6cが形成されている。通気孔6cは、シールリング60寄りに位置している。棚部6の下側において、通気孔6cに対応する部分には接続部65が設けられており、接続部65内には通気孔65aが形成されている。通気孔65aは上方に開口して通気孔6cに連なると共に、棚部6の外周側に開口しており、その外周側の開口に排気管L1が接続されている。
上述した吸着部R1は、シールリング60と、開口OP1と、負圧空間S1と、通気孔6c,5aとにより構成される。すなわち、排気管L1の排気弁V1が開放されると、真空ポンプ12により負圧空間S1内の気体が吸い出され、負圧空間S1に負圧がかかる。この負圧が開口OP1を通して培養容器11に作用することで、培養容器11が支持面M1側に吸着される。このように、通気孔6c,5a、負圧空間S1及び開口OP1は、真空ポンプ12により発生した負圧を支持面M1側に伝達する経路として機能する。シールリング60は、開口OP1の周囲において培養容器11の下面と支持面M1との隙間を封止し、負圧空間S1内への気体の流入を防止する。このため、負圧が効率よく培養容器11に作用し、培養容器11がよりしっかりと吸着される。
支持面M1のうち、吸着部R1の周囲には、培養容器11を吸着部R1上に位置決めするための樹脂製のガイド枠62が設けられている。すなわち培養容器保持台2はガイド枠62を更に有する。ガイド枠62は、棚部6の一辺側に開いたU字状を呈しており、その開放端部62aからガイド枠62内に培養容器11を進入させることが可能となっている。
支持面M1のうち、ガイド枠62の開放端部62a同士に挟まれた領域には、4本の樹脂製のガイドレール63,64が設けられている。すなわち培養容器保持台2はガイドレール63,64を更に有する。ガイドレール63,64は、吸着部R1の外側に位置し、それぞれガイド枠62に沿っている。2本のガイドレール63は、それぞれ開放端部62aの内縁近傍に位置する。2本のガイドレール64は、開放端部62a同士の中間位置の近傍に位置する。ガイドレール63,64の上部のうち、吸着部R1側の部分には、吸着部R1側に向かうに従って支持面M1に近付くように傾斜したテーパ面63a,64aが形成されている。
ガイドレール63,64は、開放端部62a側から吸着部R1上に移動中の培養容器11と支持面M1との間に介在して、培養容器11を吸着部R1上に案内する。このため、移動中の培養容器11と支持面M1とがガイドレール63,64により互いに離間させられる。これにより、培養容器11がシールリング60及び溝6a,6b(吸着部R1の構成要素)に引っ掛ることが防止されるので、培養容器11を開放端部62a側から吸着部R1上に円滑に移送できる。
吸着部R1上の培養容器11を開放端部62a側に移動させるときには、テーパ面63a,64aにより培養容器11がガイドレール63,64上に案内される。このため、吸着部R1上の培養容器11を開放端部62a側に円滑に移送できる。
図4に示すように、底板7は棚部6に対応した矩形状を呈し、スペーサ21は棚部6及び底板7の四隅に配置されている。底板7は、例えばアルミニウム系の金属材料により構成される。図4及び図5に示すように、底板7には2箇所の位置決孔7aが設けられている。2箇所の位置決孔7aは、底板7の対角方向に並び、それぞれスペーサ21の近傍に位置している。
連結部9は、底板7に対応した矩形状を呈し、底板7を支持する。すなわち、連結部9は、培養容器保持台2を支持する支持面M2を有する。連結部9は、例えばアルミニウム系の金属材料により構成される。支持面M2のうち、位置決孔7aに対応する位置には位置決突起93が設けられている。底板7と連結部9とは、位置決孔7aと位置決突起93との嵌合により互いに位置決めされる。
支持面M2のうち、位置決突起93同士に挟まれる領域には、環状の収容溝9eが形成されており、収容溝9eには環状のシールリング90が収容されている。シールリング90は、例えばシリコーンゴム等により構成され、底板7の下面と支持面M2との隙間を封止する。
支持面M2のうち、シールリング90の内側の領域には、円形の凹部9aが形成されている。凹部9aを形成することで、支持面M2に開口OP2が形成されると共に、凹部9aの深さに応じて負圧空間S2が形成される。負圧空間S2は負圧をかけるための空間であり、開口OP2に連通する。
凹部9aの底部の中央には、複数のボルト孔9bが形成されており、ボルト孔9bの上部にはザグリ孔9cが形成されている。ボルト孔9bには上方からボルト91が通される。ボルト91の先端部はボルト孔9bを通過して振動体30にねじ込まれ、ボルト91の頭部はザグリ孔9cに収容される。振動体30にねじ込まれたボルト91を締め付けることにより、連結部9が振動体30に固定されている。ボルト孔9b及びザグリ孔9cとボルト91との隙間には、封止剤が充填されている。
凹部9aの底部のうち、振動体30よりも外側の領域には、負圧空間S2を下方に開口させる通気孔9dが形成されている。連結部9の下側において、通気孔9dに対応する部分には接続部92が設けられており、接続部92内には通気孔92aが形成されている。通気孔92aは上方に開口して通気孔9dに連なると共に、連結部9の外周側に開口しており、その外周側の開口に排気管L3が接続されている。
シールリング90と、開口OP2と、負圧空間S2と、通気孔9d,92aとは、底板7を吸着する吸着部R2を構成する。すなわち、排気管L3の排気弁V3が開放されると、真空ポンプ12により負圧空間S2内の気体が吸い出され、負圧空間S2に負圧がかかる。この負圧が開口OP2を通して底板7に作用することで、底板7が支持面M2側に吸着される。このように、通気孔9d,92a、負圧空間S2及び開口OP2は、真空ポンプ12により発生した負圧を支持面M1側に伝達する経路として機能する。シールリング90は、開口OP2の周囲において底板7の下面と支持面M2との隙間を封止し、負圧空間S2内への気体の流入を防止する。このため、負圧が効率よく底板7に作用し、底板7がよりしっかりと吸着される。
上述したように、ボルト孔9bは凹部9aの底部に設けられている。すなわち、連結部9と振動体30との固定部は、負圧空間S2の領域内に位置している。ボルト孔9b及びザグリ孔9cとボルト91との隙間に充填された封止剤は、固定部を構成するために生じた隙間を封止している。このことも、底板7の吸着力を確保するのに寄与している。
以上に説明したように、培養容器駆動装置1によれば、培養容器保持台2を駆動部3により振動させる単純な構成により、培養容器11を振動させることができる。培養容器11は、支持面M1に直交する方向において全体が同じ側に同時に同じ変位量で動くように振動させられる。この振動により、培養容器11の内面の付着物が効率よく剥離される。従って、培養容器11の内面の付着物を剥離する作業を単純な構成により自動化できる。
培養容器保持台2は、それぞれ支持面M1を構成する複数段の棚部6を有する。このため、支持面M1に直交する方向に沿って複数の培養容器11を重ねて配置し、これらの培養容器11を同時に振動させることができる。これにより、各培養容器11の内面の付着物を同時に剥離できる。
培養容器保持台2は、培養容器11の下面に比べ大きい支持面M1を有する。このため、培養容器11全体を同じ側に同時に同じ変位量で動かし易い。
駆動部3は、支持面M1に直交する方向に沿って培養容器保持台2を振動させる。すなわち、駆動部3は棚部6が重なる方向に沿って培養容器保持台2を振動させるので、棚部6が重なる方向と直交する水平方向には慣性力が作用し難く、培養容器保持台2が撓み難い。このため、培養容器11ごとの振動状態がばらつきにくく、培養容器11ごとの剥離性のばらつきが低減される。
培養容器保持台2の吸着部R1は、負圧により培養容器11を支持面M1側に吸着する。このため、負圧を支持面M1に伝達する経路を設け、その経路を負圧の発生源である真空ポンプ12に接続するのみで吸着部R1を構成できる。また、吸着により培養容器11を確実に保持できる。従って、駆動中の培養容器11を単純な構成で確実に保持できる。
支持面M1に負圧を伝達する経路は、開口OP1及び負圧空間S1とを含み、開口OP1及び負圧空間S1は溝6a,6bにより構成されている。溝6a,6bにより開口OP1及び負圧空間S1の両方を構成できるので、吸着部R1の構成をより単純化できる。また、互いに繋がる複数の溝6a,6bを形成することにより、培養容器11の形状及び大きさに応じて開口OP1の分布を自在に調整し、培養容器11をより確実に保持できる。
培養容器駆動装置1は、圧力計PG1による検出結果に基づいて、培養容器11の不完全な吸着を検知する吸着異常検知部(制御部5)を更に備えている。このため、負圧の値を利用した単純な構成により、培養容器11の不完全な吸着を検知し、駆動中の培養容器11をより確実に保持できる。
吸着部R1は棚部6ごとに設けられている。このため、複数の培養容器11を単純な構成で確実に保持できる。また、一つの真空ポンプ12を複数の吸着部R1で兼用し、培養容器駆動装置1の構成を更に単純化できる。
培養容器駆動装置1は、連結部9を更に備えている。連結部9は、駆動部3に固定され、培養容器保持台2を吸着することで培養容器保持台2と駆動部3とを連結する。このため、培養容器11を保持した状態のままで、培養容器保持台2を駆動部から分離し、より多様な処理を行うことができる。例えば、図6に示すように、培養容器保持台2全体を傾け、各培養容器11の送液ポート11aから培養液及び細胞を排出する処理を行うことができる。また、一つの真空ポンプ12を棚部6の吸着部R1と連結部9の吸着部R2とで兼用し、培養容器駆動装置1の構成を更に単純化できる。連結部9は、培養容器保持台2に固定され、駆動部3を吸着するものであってもよい。
ここで、培養容器保持台の吸着部の変形例について説明する。図7及び図8に示す培養容器保持台2Aは、溝6a,6bにより構成される吸着部R1を、複数の孔6e及び空洞6fにより構成される吸着部R3に置き換えたものである。
空洞6fは、培養容器保持台2Aの棚部6A内に設けられ、シールリング60に囲まれる領域の全域に亘っている。各孔6eは、シールリング60に囲まれる領域内において棚部6Aの上側に形成され、支持面M1と空洞6fとに開口している。すなわち、複数の孔6eは支持面M1に形成されると共に、空洞6fにより互いに連通させられている。
複数の孔6eを形成することで支持面M1に複数の開口OP3が形成されると共に、複数の孔6e及び空洞6fにより一つの負圧空間S3が形成される。負圧空間S3は負圧をかけるための空間であり、開口OP3に連通する。
孔6eは、シールリング60に囲まれる領域の中心近傍から周縁近傍に亘って点在すると共に、シールリング60の全周に亘って点在するように配置されている。これにより、シールリング60の内側の領域内において、開口OP3が広範囲に行き渡っている。すなわち、開口OP3は培養容器11の形状及び大きさに合うように分布している。
棚部6Aの下部には、負圧空間S3を下方に開口させる通気孔6gが形成されている。通気孔6gは、空洞6fの周縁寄りに位置し、接続部65の通気孔65aに連なっている。これにより、開口OP3及び負圧空間S3は、開口OP1及び負圧空間S1と同様に機能する。すなわち、培養容器保持台2Aにおいて、培養容器11を吸着する吸着部R3は、シールリング60と、開口OP3と、負圧空間S3と、通気孔6g,5aとにより構成される。
培養容器保持台2Aによっても、培養容器保持台2と同様に、駆動中の培養容器11を単純な構成で確実に保持できる。また、孔6eの数及び配置等を調整することにより、培養容器11の形状及び大きさに応じて開口OP3の分布を自在に調整し、培養容器11をより確実に保持できる。
なお、連結部9の吸着部R2と同様に、一つの凹部により吸着部を構成してもよい。更に、棚部6の保持部は、例えば把持機構又はロック機構等、吸着以外の手段により培養容器11を保持するものであってもよい。
連結部9の吸着部を、棚部6の吸着部R1と同様に複数の溝により構成してもよいし、棚部6Aの吸着部R3と同様に複数の孔及び空洞により構成してもよい。更に、連結部9は、例えば把持機構又はロック機構等、吸着以外の手段により培養容器保持台2又は駆動部3を保持するものであってもよい。
〔培養システム〕
図9に示すように、培養システム100は、培養容器駆動装置1と、培養容器11と、輸液装置200と、スクレーパ13と、スクレーパ駆動装置300と、インキュベータ400と、システム制御部110とを有する。
輸液装置200は、供給容器201A,201Bと、回収容器202と、送液管L4,L5,L6,L7,L8とを有し、培養容器11内に液体を供給し又は培養容器11内から液体を排出する。供給容器201Aは、培養容器11への供給用の培養液を収容する。培養液は、培養対象の栄養となる成分を含む液体である。供給容器201Bは、培養容器11への供給用の洗浄液を収容する。洗浄液は例えばpH緩衝液である。回収容器202は、培養容器11から排出された液体を収容する。
送液管L4は、培養容器11の送液ポート11aに接続される。4段の棚部6上に配置される4個の培養容器11からそれぞれ延出する4本の送液管L4は、1本の送液管L5に合流する。送液管L5は3本の送液管L6,L7,L8に分岐し、送液管L6は供給容器201Aに接続され、送液管L7は供給容器201Bに接続され、送液管L8は回収容器202に接続される。すなわち、送液管L4,L5,L6,L7,L8は、培養容器11と供給容器201A,201B及び回収容器202とを接続する。
送液管L4,L6,L7,L8には送液弁V4,V6,V7,V8がそれぞれ設けられている。送液弁V4,V6,V7,V8は例えば電磁弁である。送液管L5にはポンプP1が設けられている。培養容器11への液体供給に際して、ポンプP1は供給容器201A,201B側から培養容器11側に液体を圧送する。培養容器11からの液体排出に際して、ポンプP1は培養容器11側から回収容器202側に液体を圧送する。
スクレーパ13は、培養容器11内に封入され、培養容器11の底部の中央に取り付けられている。スクレーパ13は、培養容器11の底面に直交する軸を中心に回転自在となっており、その回転軸から互いに逆側に延在した一対の回転アーム13cを有する。一対の回転アーム13cの上部には、一対の永久磁石13aがそれぞれ設けられている。一対の回転アーム13cの下部には、一対のブレード13bがそれぞれ設けられている。ブレード13bは、回転アーム13cから下側に張り出し、培養容器11の底面に接する。
スクレーパ駆動装置300は、培養容器駆動装置1の周囲に設置され、培養容器駆動装置1側に延出する4本の支持アーム301を有する。4本の支持アーム301は、4段の棚部6にそれぞれ対応するように上下に並んでいる。各支持アーム301先端部の上には、駆動回転体302が取り付けられている。駆動回転体302は、上下方向に沿う軸を中心に回転自在となっており、その回転軸から互いに逆側に延在した一対の回転アーム302bを有する。一対の回転アーム302bの上部には、一対の永久磁石302aがそれぞれ設けられている。
スクレーパ駆動装置300は、支持アーム301を伸縮させるアクチュエータを内蔵しており、支持アーム301を伸縮させることで棚部6の下の駆動位置(図11参照)と棚部6の周囲の待機位置との間で駆動回転体302を移送する。また、スクレーパ駆動装置300は、棚部6の下に配置された駆動回転体302を回転させるアクチュエータを内蔵している。
駆動回転体302が駆動位置にあるときに、永久磁石302aは、永久磁石13aと協働して磁力を発生する。この磁力により、駆動回転体302からスクレーパ13に動力が伝わる。このため、駆動回転体302が回転すると、それに伴ってスクレーパ13も回転する。すなわち、スクレーパ駆動装置300は、培養容器11の外側から磁力によりスクレーパ13を駆動する。永久磁石13aと永久磁石302aとの間の磁力が弱められないように、棚部6は、例えばアルミニウム系の金属のような非磁性材料により構成されることが好ましい。
なお、必ずしもスクレーパ13及び駆動回転体302の両方に永久磁石が配置されていなくてもよく、スクレーパ13及び駆動回転体302の一方には永久磁石の代わりに鉄等の軟磁性体が配置されていてもよい。
インキュベータ400は、上下方向に並ぶ複数のセルC1を有する恒温装置であり、培養容器駆動装置1に対して独立して設けられている。各セルC1は、培養容器11を収容する。インキュベータ400は、セルC1内を培養に適した温度に保つことにより、培養容器11内における培養を促進する。
システム制御部110は、例えばコンピュータにより構成され、培養容器駆動装置1、輸液装置200及びスクレーパ駆動装置300を制御することで培養手順の一部を自動的に実行する。
以下、培養システム100を用いた細胞培養の手順を説明する。まず、ユーザーは、図10に示すように、培養容器駆動装置1の4段の棚部6上に培養容器11を設置し(S01)、各培養容器11の送液ポート11aに送液管L4を接続する(S02)。培養容器11内には、予め培養対象を含む複数種類の細胞と、スクレーパ13とが封入されている。以下の説明では、複数種類の細胞の一例として単球及びリンパ球が封入されているものとする。システム制御部110は、培養容器11を保持するように培養容器駆動装置1を制御する。
次に、システム制御部110は、培養容器11を開放することなく、培養容器11に対し洗浄液を供給するように輸液装置200を制御する(S03)。具体的には、輸液装置200を制御することで、送液弁V4,V7を開き、送液弁V6,V8を閉じた状態で、ポンプP1により供給容器201Bから培養容器11に洗浄液を圧送する。
次に、システム制御部110は、振動体30を振動させるように駆動部3を制御する第1振動制御を実行する(S04)。このとき、振動の周波数及び振幅は、単球に比べ多くのリンパ球を培養容器11の内面から剥離可能となるように設定される。すなわち、システム制御部110は振動剥離制御部として機能し、培養容器11を開放することなく培養容器11の内面の付着物を剥離可能な条件で、培養容器保持台2を振動させるように培養容器駆動装置1を制御する。振動剥離制御部としてのシステム制御部110は、単球に比べ多くのリンパ球を培養容器11の内面から剥離可能な条件で、培養容器保持台2を振動させるように培養容器駆動装置1を制御する。
次に、システム制御部110は、剥離したリンパ球を含む懸濁液を培養容器11から排出するように輸液装置200を制御する(S05)。具体的には、送液弁V4,V8を開き、送液弁V6,V7を閉じた状態で、ポンプP1により培養容器11から回収容器202に懸濁液を圧送するように輸液装置200を制御する。回収容器202に回収された懸濁液は廃棄される。
洗浄液の排出において培養容器保持台2を駆動部3から分離し、洗浄液の排出後に培養容器保持台2と駆動部3とを再度連結してもよい。これにより、培養容器11から洗浄液を排出するときに、各培養容器11の送液ポート11aが下側になるように培養容器保持台2全体を傾けることができる(図6参照)。培養容器保持台2を傾ける処理は、ユーザーの手作業により実行してもよいし、専用の装置により自動的に実行してもよい。
次に、システム制御部110は、培養容器11を開放することなく、培養容器11に対し培養液を供給するように輸液装置200を制御する(S06)。具体的には、送液弁V4,V6を開き、送液弁V7,V8を閉じた状態で、ポンプP1により供給容器201Bから培養容器11に培養液を圧送するように、輸液装置200を制御する。
次に、システム制御部110は、培養容器11の保持を解除するように培養容器保持台2を制御する。ユーザーは、培養容器11の送液ポート11aから送液管L4を取り外し、培養容器11をインキュベータ400に移送し(S07)、インキュベータ400のセルC1内に収容する。
インキュベータ400により、セルC1内の温度が単球の培養に適した温度に保たれ、単球の培養が促進される。これにより、単球由来の樹状細胞(単球の分化物)が培養される(S08)。
次に、ユーザーは、培養完了後の培養容器11を培養容器駆動装置1に移送し、4段の棚部6上に培養完了後の培養容器11を再設置し(S09)、各培養容器11の送液ポート11aに送液管L4を接続する(S10)。システム制御部110は、培養容器11を保持するように培養容器駆動装置1を制御する。
次に、システム制御部110は、振動体30を振動させるように駆動部3を制御する第2振動制御を実行する(S11)。このとき、振動の周波数及び振幅は、樹状細胞を培養容器11の内面から剥離可能となるように設定される。すなわち、振動剥離制御部としてのシステム制御部110は、インキュベータ400における培養後に、単球の分化物を培養容器11の内面から剥離可能な条件で培養容器保持台2を振動させるように、培養容器駆動装置1を更に制御する。
次に、システム制御部110は、剥離した樹状細胞を含む懸濁液を培養容器11内から排出するように輸液装置200を制御する(S12)。具体的には、送液弁V4,V8を開き、送液弁V6,V7を閉じた状態で、ポンプP1により培養容器11から回収容器202に懸濁液を圧送するように輸液装置200を制御する。これにより、培養容器11の内面から剥離した樹状細胞が回収容器202に回収される。
懸濁液の排出において培養容器保持台2を駆動部3から分離し、懸濁液の排出後に培養容器保持台2と駆動部3とを再度連結してもよい。これにより、培養容器11から懸濁液を排出するときに、各培養容器11の送液ポート11aが下側になるように培養容器保持台2全体を傾けることができる(図6参照)。培養容器保持台2を傾ける処理は、ユーザーの手作業により実行してもよいし、専用の装置により自動的に実行してもよい。
次に、システム制御部110は、培養容器11を開放することなく、培養容器11に対し洗浄液を供給するように輸液装置200を制御する(S13)。具体的には、送液弁V4,V7を開き、送液弁V6,V8を閉じた状態で、ポンプP1により供給容器201Bから培養容器11に洗浄液を圧送するように、輸液装置200を制御する。
次に、システム制御部110は、培養容器11を開放することなく、駆動回転体302を駆動位置に移送して回転させるようにスクレーパ駆動装置300を制御する(S14、図11参照)。これにより、スクレーパ13が回転駆動され、スクレーパ13のブレード13bが培養容器11の内面を掻く。すなわち、システム制御部110は、スクレーパ13により培養容器11の内面の付着物を掻き取らせるようにスクレーパ駆動装置300を制御する掻取制御部として機能する。
次に、システム制御部110は、掻き落とされた樹状細胞を含む懸濁液を培養容器11内から排出するように輸液装置200を制御する(S15)。具体的には、送液弁V4,V8を開き、送液弁V6,V7を閉じた状態で、ポンプP1により培養容器11から回収容器202に懸濁液を圧送するように輸液装置200を制御する。これにより、培養容器11の内面から掻き落とされた樹状細胞が回収容器202に回収される。
以上に説明した培養システム100によれば、インキュベータ400における培養後に、振動剥離制御部としてのシステム制御部110により培養容器駆動装置1を制御することで、培養容器11の内面の付着物を剥離して効率よく回収できる。更に、掻取制御部としてのシステム制御部110によりスクレーパ駆動装置300を制御することで、培養容器11の内面に残存した付着物を掻き落として回収できる。従って、より多くの付着物を効率よく回収できる。
振動剥離制御部としてのシステム制御部110は、培養容器11を開放することなく当該培養容器11の内面の付着物を剥離可能な条件で培養容器保持台2を振動させるように培養容器駆動装置1を制御する。このため、培養容器11を開放する作業を行うことなく、培養容器11の内面の付着物を剥離できる。また、培養容器11内への異物の混入を防止するための配慮を軽減できる。従って、培養容器11の内面の付着物をより効率よく剥離できる。
培養システム100は、培養容器保持台2に保持された培養容器11を開放することなく、当該培養容器11内に液体を供給し又は当該培養容器11内から液体を排出する輸液装置200を更に備える。このため、培養容器11を開放することなく、培養液等の液体を培養容器11内に供給する工程、培養容器11の内面の付着物を振動により剥離させる工程及び剥離した付着物を液体と共に回収する工程を行うことができる。このため、培養及び回収を効率よく行うことができる。
スクレーパ13は培養容器11内に収容され、スクレーパ駆動装置300は培養容器11の外側から磁力によりスクレーパ13を駆動する。このため、培養容器11を開放することなく、培養容器11の内面の付着物を掻き取って回収する工程を更に行うことができる。このため、培養後の回収を更に効率よく行うことができる。
振動剥離制御部としてのシステム制御部110は、インキュベータ400における培養前に、単球に比べ多くのリンパ球を培養容器11の内面から剥離可能な条件で培養容器保持台2を振動させるように、培養容器駆動装置1を制御する。培養容器11の内面に付着したリンパ球を剥離して除去することにより、培養容器11内における単球の比率を十分に高めた後に、インキュベータ400において単球の培養を促進できる。これにより、単球由来の樹状細胞を効率よく培養できる。
振動剥離制御部としてのシステム制御部110は、インキュベータ400における培養後に、樹状細胞を培養容器11の内面から剥離可能な条件で培養容器保持台2を振動させるように、培養容器駆動装置1を更に制御する。これにより、樹状細胞を効率よく培養できるのに加え、培養容器11の内面に付着した樹状細胞を効率よく剥離して回収できる。
インキュベータ400と培養容器駆動装置1とは互いに独立して設けられている。このため、インキュベータ400における培養と、培養容器駆動装置1における付着物の剥離とを独立して進行させることができる。これにより、培養に要する時間(以下、「培養時間」という。)と剥離に要する時間(以下、「剥離時間」という。)との違いに応じて培養及び剥離の実行周期を調節し、培養システム100を高効率に稼働させることができる。例えば、培養時間が剥離時間に比べ長い場合には、インキュベータ400に配置する培養容器11の数を培養容器駆動装置1に配置する培養容器11の数に比べ多くしつつ、剥離の実行周期を培養の実行周期に比べ短くすることで、培養システム100を高効率に稼働させることができる。
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、培養容器保持台2は必ずしも複数段の棚部を有しなくてよい。
以下、実施例及び比較例について説明するが、本発明はこれらの実施例又は比較例に限定されるものではない。
〔回収効率の比較評価〕
以下の実施例及び比較例について付着物の回収効率の比較評価を行った。
(実施例1)
細胞Aについて、一定量の細胞を培養容器の底面の中心(スポットa)のみに播種接着させた4個の培養容器11、一定量の細胞を培養容器の底面の最外端(スポットb)のみに播種接着させた4個の培養容器11、一定量の細胞をスポットaとスポットbの中間(スポットc)のみに播種接着させた4個の培養容器11を準備した。細胞Bについても同様に、一定量の細胞をスポットaのみに播種接着させた4個の培養容器11、一定量の細胞をスポットbのみに播種接着させた4個の培養容器11、一定量の細胞をスポットcのみに播種接着させた4個の培養容器11を準備した。細胞Aはリンパ球であり、細胞BはBall−1細胞である。各培養容器11を培養容器保持台2の棚部6に設置し、各培養容器11内に洗浄液を供給した。そして、図12(a)に示すように培養容器11が鉛直方向に沿って振動するように培養容器保持台2を振動させた。振動の波形を正弦波形とし、周波数を約53Hzとし、振幅を約1.7mmとした。培養容器保持台2の振動を停止させた後、細胞を含む懸濁液を各培養容器11内から回収した。
(実施例2)
実施例1と同様に全24個の培養容器11を準備した。培養容器保持台2の振動の周波数を約20Hzとし、振幅を約5mmとした以外は実施例1と同じ条件にて、各培養容器11内から細胞を含む懸濁液を回収した。
(実施例3)
実施例1と同様に全24個の培養容器11を準備した。培養容器保持台2の振動の周波数を約100Hzとし、振幅を約0.6mmとした以外は実施例1と同じ条件にて、各培養容器11内から細胞を含む懸濁液を回収した。
(実施例4)
実施例1と同様に全24個の培養容器11を準備した。培養容器保持台2の振動の周波数を約2kHzとし、振幅を約0.05mmとした以外は実施例1と同じ条件にて、各培養容器11内から細胞を含む懸濁液を回収した。
(比較例1)
実施例1と同様に全24個の培養容器11を準備した。図12(b)に示すように、培養容器11が水平な一直線に沿って振動するように培養容器保持台2を振動させ、振動の周波数を約3.3Hzとし、振幅を約20mmとした以外は実施例1と同じ条件にて、各培養容器11内から細胞を含む懸濁液を回収した。
(比較例2)
実施例1と同様に全24個の培養容器11を準備した。図12(c)に示すように、培養容器11の中心部が周期的に円を描くように培養容器保持台2を振動させ、振動の周波数を約33Hzとし、培養容器11の中心部が描く円の半径を約2mmとした以外は実施例1と同じ条件にて、各培養容器11内から細胞を含む懸濁液を回収した。
(比較例3)
実施例1と同様に全24個の培養容器11を準備した。図12(d)に示すように、培養容器11を水平に横切る軸を中心に培養容器11が周期的に傾動するように、培養容器保持台2を振動させ、振動の周波数を約2Hzとし、傾動角度の振幅を約10°とした以外は実施例1と同じ条件にて、各培養容器11内から細胞を含む懸濁液を回収した。
(比較例4)
実施例1と同様に全24個の培養容器11を準備し、各培養容器11内に洗浄液を供給した。図13に示す培養容器駆動装置500により、各培養容器11の容器下面に鉛直方向の衝撃力を部分的に繰り返し加えた後、各培養容器11内から細胞を含む懸濁液を回収した。図13に示すように、培養容器駆動装置500は、培養容器11を支持する支持板510と、支持板510の下方に配置された本体520とを有する。本体520は、水平方向に並びそれぞれ上方に突出したプランジャ521,522を有し、プランジャ521,522を交互に突き上げて支持板510に衝突させることで、培養容器11の容器下面に繰り返し衝撃力を加える。各培養容器11について、衝撃力の繰り返しの周波数を約20Hzとした。また、培養容器11の上下動の幅が5mmとなるように、衝撃力の強さを調整した。
(比較例5)
実施例1と同様に全24個の培養容器11を準備し、各培養容器11内に洗浄液を供給した。各培養容器11に超音波振動を与えた後、各培養容器11内から細胞を含む懸濁液を回収した。超音波の周波数を約20kHzとし、振幅を0.01mmとした。
(比較例6)
実施例1と同様に全24個の培養容器11を準備し、各培養容器11内に洗浄液を供給した。各培養容器11に対し、手作業によるピペッティングを行い、細胞を含む懸濁液を培養容器11内から回収した。ピペッティングにより供給する液体の線速度(培養容器11の内面に沿う流速)を約20cm/secとした。
(評価結果)
実施例1〜4及び比較例1〜6のそれぞれについて、培養容器11内に残存する細胞の量(以下、「残存量」という。)の平均値を求めた。そして、比較例6を基準にして、実施例1〜4及び比較例1〜5の各例の細胞の剥離性を評価した。具体的には、比較例6の残存量の平均値を1とし、これに合わせて各例の残存量の平均値を換算し(以下、この換算値を「剥離性評価値」という。)、剥離性評価値の大きさによって細胞の剥離性を評価した。
実施例1〜4及び比較例1〜5のそれぞれについて、スポットaにおける残存量の平均値aと、スポットbにおける残存量の平均値bと、スポットcにおける残存量の平均値cとを求めた。そして、平均値a〜cの最小値に対する平均値a〜cの最大値の比率を算出し(以下、この算出値を「均一性評価値」という。)、均一性評価値の大きさによって剥離の均一性を評価した。
実施例1〜4及び比較例1〜5のそれぞれについて、培養容器11から回収した細胞の生存率の平均値を算出した。
剥離性の評価結果を図14に示す。図14中における「OK」は、剥離性評価値が1.2未満であることを意味し、「NG」は、剥離性評価値が1.2以上であることを意味している。図14に示すように、比較例1〜3の剥離性評価値はいずれも1.3以上であるのに対し、実施例1〜4の剥離性評価値はいずれも1.1未満であった。この理由は次のように推定される。実施例1〜4では、支持面M1に直交する方向において、培養容器11全体が同じ側に同時に同じ変位量で動く。このような振動が生じると、図17に示すように、培養容器11内の液面にはファラデー波WFが生じる。ファラデー波WFが生じた状態において、液中には、支持面M1に沿って並ぶ多数の旋回流RFが生じる。各旋回流RFは、支持面M1に交差する面に沿って旋回し、培養容器11の内面11bに沿う流れHFを発生させる。この流れHFにより、培養容器11の内面の付着物が効率よく剥離される。
剥離の均一性の評価結果を図15に示す。図15中における「OK」は、均一性評価値が1.2未満であることを意味し、「NG」は、均一性評価値が1.2以上であることを意味している。図15に示すように、比較例1〜4の均一性評価値はいずれも1.3以上であるのに対し、実施例1〜4の均一性評価値はいずれも1.1未満であった。この理由は次のように推定される。すなわち、比較例1〜3のように、培養容器11を水平方向に沿って振動させる方式では、培養容器11内における液の動きが不均一になり易く、細胞の剥離も不均一になり易い。比較例4では衝撃が与えられた部分では液の動きが大きいが、その周囲では液の動きが減衰するため、細胞の剥離が不均一になり易い。これに対し、実施例1〜4では、支持面M1に直交する方向において、培養容器11全体が同じ側に同時に同じ変位量で動くので、培養容器11の液全体に均一なファラデー波が生じ易く、これにより剥離の均一性が高くなる。
なお、比較例1〜3では、棚部6の積層方向と直交する水平方向に沿って培養容器保持台2が振動させられるので、水平方向に慣性力が作用して培養容器保持台2に撓みが発生する。この撓みにより、培養容器11ごとの振動状態がばらつき(上段になるにつれて培養容器11の振幅が大きくなり)、容器ごとの剥離性にばらつきが生じる。これに対し実施例1では、棚部6の積層方向に沿って培養容器保持台2が振動させられるので、水平方向に慣性力が作用し難く、培養容器保持台2に撓みが発生し難い。この点も、剥離の均一性の向上に寄与しているものと考えられる。
細胞の生存率の評価結果を図16に示す。図16に示すように、実施例1〜4及び比較例1〜4における細胞の生存率はいずれも100%に近い値となっているのに対し、比較例5における細胞の生存率は著しく低かった。この理由は次のように推定される。すなわち、比較例5では、超音波振動のエネルギーにより一部の細胞が破砕されるに至った。これに対し、実施例1〜4及び比較例1〜4では、培養容器が振動する周波数は超音波の周波数に遥かに小さいので、培養容器を超音波振動させるのに比べて細胞に加わるエネルギーが小さく、振動により破砕される細胞が少なった。
〔周波数及び振幅との影響の評価〕
上述した実施例1において、周波数及び振幅を様々な値に変え、細胞の剥離性を比較した。図18及び図19は、上記剥離性評価値に比例した直径の丸印を、周波数及び振幅の座標上に配置した図である。図19における横軸及び縦軸は対数表示となっている。図18及び図19中に一点鎖線で示される曲線は、剥離性評価値が約1に相当する丸印を結ぶ近似曲線である。実線で示される曲線は、剥離性評価値が約0.7である場合に相当する丸印を結ぶ近似曲線である。破線で示される曲線は、剥離性評価値が約1.2である場合に相当する丸印を結ぶ近似曲線である。
図18及び図19に示す結果から、振幅を一定にして周波数を大きくすれば剥離性が向上し、振幅を一定にして周波数を小さくすれば剥離性が低下することが確認された。周波数を一定にして振幅を大きくすれば剥離性が向上し、周波数を一定にして振幅を小さくすれば剥離性が低下することが確認された。
また、一点鎖線で示される曲線の右上側になるように周波数及び振幅を設定すれば、ピペッティングに対し同等以上の剥離性が得られることが推定される。このことから、実施例1〜4の振動状態によれば、ピペッティングに対し同等以上の剥離性を得るための周波数及び振幅を幅広い範囲で選択可能であり、装置の特性に応じて周波数及び振幅を柔軟に設定可能であることが確認された。
本開示は細胞を培養するシステムに利用可能である。
1…培養容器駆動装置、2,2A…培養容器保持台、3…駆動部、6,6A…棚部、11…培養容器、13…スクレーパ、100…培養システム、110…システム制御部(振動剥離制御部、掻取制御部)、200…輸液装置、300…スクレーパ駆動装置、400…インキュベータ、M1…支持面、R1…吸着部(保持部)。

Claims (15)

  1. 培養容器を支持する支持面及び前記支持面上に前記培養容器を保持する保持部を有する培養容器保持台と、
    前記支持面に直交する方向において、前記培養容器全体が同じ側に同時に同じ変位量で動くように、前記培養容器保持台を20Hz〜2kHzの周波数で振動させる駆動部とを備える培養容器駆動装置。
  2. 前記駆動部は、20〜100Hzの周波数で前記培養容器保持台を振動させる、請求項1記載の培養容器駆動装置。
  3. 前記駆動部は、前記支持面に直交する方向における振幅が0mm超5mm以下となるように前記培養容器保持台を振動させる、請求項1又は2記載の培養容器駆動装置。
  4. 前記培養容器保持台は、それぞれ前記支持面を構成する複数段の棚部を有する、請求項1〜3のいずれか一項記載の培養容器駆動装置。
  5. 前記培養容器保持台は、前記培養容器の下面に比べ大きい支持面を有する、請求項1〜4のいずれか一項記載の培養容器駆動装置。
  6. 前記駆動部は、前記培養容器を開放することなく当該培養容器の内面の付着物を剥離可能な条件で前記培養容器保持台を振動させる、請求項1〜5のいずれか一項記載の培養容器駆動装置。
  7. 前記培養容器保持台は、単球及びリンパ球を収容した前記培養容器を保持し、
    前記駆動部は、単球に比べ多くのリンパ球を前記培養容器の内面から剥離可能な条件で前記培養容器保持台を振動させる、請求項1〜6のいずれか一項記載の培養容器駆動装置。
  8. 前記駆動部は、単球の分化物を前記培養容器の内面から剥離可能な条件で前記培養容器保持台を更に振動させる、請求項7記載の培養容器駆動装置。
  9. 請求項1〜5のいずれか一項記載の培養容器駆動装置と、
    前記培養容器と、
    前記培養容器を収容し、前記培養容器内における培養を促進するインキュベータと、
    前記培養容器の内面を掻くスクレーパと、
    前記スクレーパを駆動するスクレーパ駆動装置と、
    前記培養容器の内面の付着物を剥離可能な条件で前記培養容器保持台を振動させるように前記培養容器駆動装置を制御する振動剥離制御部と、
    前記スクレーパにより前記培養容器の内面の付着物を掻き取らせるように前記スクレーパ駆動装置を制御する掻取制御部と、を備える培養システム。
  10. 前記振動剥離制御部は、前記培養容器を開放することなく当該培養容器の内面の付着物を剥離可能な条件で前記培養容器保持台を振動させるように前記培養容器駆動装置を制御する、請求項9記載の培養システム。
  11. 前記培養容器保持台に保持された前記培養容器を開放することなく、当該培養容器内に液体を供給し又は当該培養容器内から液体を排出する輸液装置を更に備える、請求項10記載の培養システム。
  12. 前記スクレーパは前記培養容器内に収容され、
    前記スクレーパ駆動装置は、前記培養容器の外側から磁力により前記スクレーパを駆動する、請求項10又は11記載の培養システム。
  13. 前記培養容器は単球及びリンパ球を収容し、
    前記振動剥離制御部は、前記インキュベータにおける培養前に、単球に比べ多くのリンパ球を前記培養容器の内面から剥離可能な条件で前記培養容器保持台を振動させるように、前記培養容器駆動装置を制御する、請求項10〜12のいずれか一項記載の培養システム。
  14. 前記振動剥離制御部は、前記インキュベータにおける培養後に、単球の分化物を前記培養容器の内面から剥離可能な条件で前記培養容器保持台を振動させるように、前記培養容器駆動装置を更に制御する、請求項13記載の培養システム。
  15. 前記インキュベータと前記培養容器駆動装置とは互いに独立して設けられている、請求項9〜14のいずれか一項記載の培養システム。
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