JPWO2015030079A1 - 材料界面での化学的結合により接合した接合体及びその接合方法 - Google Patents

材料界面での化学的結合により接合した接合体及びその接合方法 Download PDF

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Abstract

接着剤を用いることなく、接合面から剥がれる恐れのない接合体及びその製造方法を提供すること、及び接合と解離のコントロールが可能な、可逆的な接合体及びその製造方法を提供する。上記接合体は、2以上の同一又は異なる固体状材料を、それらの接触界面で、化学反応により化学的結合を形成させる。

Description

本発明は、材料界面での化学的結合により接合した接合体及びその接合方法に関する。
複数の材料を接着する方法としては、その材料表面(接合面)に接着剤を塗布後、乾燥・硬化させる方法が知られている。当該接着の原理としては、主に、機械的接着、物理的接着、化学的接着が挙げられる。
機械的接着とは、投錨効果を利用したものであり、材料表面に塗布された接着剤が、その表面の凹凸に侵入し、アンカーとなることで接着を実現するものである。
物理的接着とは、接着剤を塗布して材料表面をぬらし、接着剤分子と材料表面分子との間の分子間力によって、接着を実現するものである。
化学的接着とは、接着剤中の成分と、材料表面の成分とが、化学的に反応して、接着を実現するものである。
しかしながら、これらの接着方法では、接着剤を使用していることから、接着した材料同士が接合面から剥がれやすいという問題があった。また、材料を一度接着してしまうと、二度と接着前の材料に戻すことはできず、接着のコントロールが不可能であった。さらに、これらの接着方法では、接着剤を必要とすることから、接合面に、接着させる材料以外の成分が介在し、悪影響を及ぼす場合があるという問題があった。
国際公開第2008/149745号
本発明は、接着剤を用いることなく、接合面から剥がれる恐れのない接合体及びその製造方法を提供することを目的とする。また、接合と解離のコントロールが可能な、可逆的な接合体及びその製造方法を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記の課題に鑑みて鋭意研究を行った結果、2以上の同一又は異なる固
体状材料を、それらの接触界面で、化学反応により化学的結合を形成させることにより、
接合面から剥がれる恐れのない接合体が得られることを見出した。また、接合と解離のコ
ントロールが可能な、接合が可逆的な接合体が得られることも見出した。かかる知見に基
づき、さらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、材料界面で、直接、化学的結合により接合された接合体、及びその製造方法を提供する。
項1.2以上の同一又は異なる固体状材料を、それらの接触界面で、直接、化学的結合により接合させてなる接合体。
項2.化学的結合が、共有結合である、項1に記載の接合体。
項3.固体状材料が、ゲル及びガラスから選択される少なくとも1種である、項1又は2に記載の接合体。
項4.固体状材料が、ボロン酸基を含有する固体状材料、及びハロゲン化アリール基を含有する固体状材料である、項1〜3のいずれか1項に記載の接合体。
項5.固体状材料が、アジド基を含有する固体状材料、及びエチニル基を含有する固体状材料である、項1〜3のいずれか1項に記載の接合体。
項6.固体状材料が、カルボキシ基を含有する固体状材料、及びアミノ基を含有する固体状材料である、項1〜3のいずれか1項に記載の接合体。
項7.化学的結合として、さらに、非共有結合を含む、項2に記載の接合体。
項8.化学的結合が、配位結合である、項1に記載の接合体。
項9.固体状材料が、ゲルである、項8に記載の接合体。
項10.固体状材料が、アポ酵素を含有するゲル、及び補因子を含有するゲルである、項8又は9に記載の接合体。
項11.化学的結合が、水素結合である、項1に記載の接合体。
項12.固体状材料が、ゲルである、項11に記載の接合体。
項13.固体状材料が、1種の核酸塩基を含有するゲル、及び当該核酸塩基と相補的な核酸塩基を含有するゲルである、項11又は12に記載の接合体。
項14.固体状材料が、オリゴヌクレオチドを含有するゲルである、項11〜13のいずれか1項に記載の接合体。
項15.2以上の同一又は異なる固体状材料を、それらの接触界面で、直接、化学的に結合させることにより、接合体を製造する方法。
項16.ボロン酸基を含有する固体状材料と、ハロゲン化アリール基を含有する固体状材料とを、それらの接触界面で、触媒の存在下で反応させることにより、接合体を製造する方法。
項17.アジド基を含有する固体状材料と、エチニル基を含有する固体状材料とを、それらの接触界面で、触媒の存在下で反応させることにより、接合体を製造する方法。
項18.カルボキシ基を含有する固体状材料と、アミノ基を含有する固体状材料とを、それらの接触界面で、触媒の存在下で反応させることにより、接合体を製造する方法。
項19.アポ酵素を含有するゲルと、補因子を含有するゲルとを接触させることにより、接合体を製造する方法。
項20.1種の核酸塩基を含有するゲルと、当該核酸塩基と相補的な核酸塩基を含有するゲルとを、溶媒中で接触させることにより、接合体を製造する方法。
本発明によれば、接着剤を用いることなく、2以上の同一又は異なる固体状材料を接合させることができる。
本発明の接合体は、接着剤を用いることなく接合されていることから、接合面から剥がれる恐れがない。
本発明の接合体は、化学的結合が共有結合の場合、安定で強固な接合を実現することができる。
本発明の接合体は、化学的結合が配位結合又は水素結合の場合、接合と解離が可逆的であり、必要に応じて、接合と解離をコントロールすることができる。
実施例1の(1−1)及び(1−2)で得られたゲルの1H-FGMAS NMRデータである。 試験例1における、時間変化に対する応力の値の変化を示した図である。 試験例2における、置換基導入量による破断応力の変化を示した図である。 試験例3における、破断応力を示した図である。 試験例4における、吸光度420 nmの変化を示した図である。 試験例5における、吸光度420 nmの変化を示した図である。 試験例7における、接合−解離の変化を示した図である。 実施例8の(1−1−1)で得られたモノマーの1H- NMRデータである。 実施例8の(1−2−1)で得られたモノマーの1H- NMRデータである。 試験例8における、破断強度を示した図である。 試験例8における、応力−ひずみ曲線である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の接合体は、2以上の同一又は異なる固体状材料を、それらの接触界面で、直接、化学的結合により接合させることにより得られるものである。
当該固体状材料とは、固体材料及び半固体材料を含む。固体材料とは、自立性の材料(貯蔵弾性率が損失弾性率を上回っている状態)であり、半固体材料とは、貯蔵弾性率が損失弾性率を下回っている状態の材料であって、粘度が1〜500 Pa・s程度の材料である。
当該固体材料としては、例えば、ゲル(ヒドロゲル、オルガノゲル)、ガラス、木板、プラスチック、金属板(金、鉄、パラジウム、白金、銀、アルミニウムなど)、紙等が挙げられる。また、当該半固体材料としては、例えば、スライム、高粘性高分子溶液、粘土鉱物、ウッドパテ等が挙げられる。
当該固体状材料としては、同じ種類のものを用いても、異なる2種以上のものを用いてもよい。
また、化学的結合としては、例えば、共有結合、配位結合、非共有結合(水素結合、イオン-イオン相互作用、イオン-双極子相互作用、カチオン-π相互作用、π-π相互作用、ファンデルワールス力、疎水性相互作用、ホスト−ゲスト相互作用等)等が挙げられる。本発明の接合体において、当該化学的結合は、1種類の結合のみを有していてもよいし、複数種の結合(例えば、共有結合及び非共有結合(特に、ホスト−ゲスト相互作用))を有していてもよい。
本発明の接合体は、例えば、2以上の固体状材料の表面に、それぞれ化学的結合を形成し得る反応基を導入し、それらを反応させることにより、製造することができる。
以下、化学的結合の種類毎に詳細に説明する。
1.共有結合
本発明の接合体において、化学的結合が共有結合である場合、接合面から剥がれることのない、強固な接合を実現することができる。
共有結合としては、例えば、炭素−炭素の結合、炭素−窒素の結合、炭素−酸素の結合、炭素−硫黄の結合、硫黄−硫黄の結合(ジスルフィド結合)、炭素-金属の結合、リン-酸素の結合(ホスホジエステル結合)等が挙げられる。当該結合を、接合体中、一種類のみ有してもよく、複数種類有してもよい。
炭素−炭素の結合としては、具体的には、アルキル基同士の結合、アリール基同士の結合、アルキル基とアリール基との結合、アルケニル基とアリール基との結合、α位に水素を持つカルボニル基とアルデヒドまたはケトン基との結合、α,β-不飽和カルボニル基とカルバニオン基との結合、リンイリドとカルボニル基との結合等を挙げることができる。
炭素−窒素の結合としては、具体的には、アミド結合、イミン結合、トリアジン環結合等を挙げることができる。
炭素−酸素の結合としては、具体的には、エステル結合、エーテル結合、ケトン結合等を挙げることができる。
炭素−硫黄の結合としては、具体的には、チオエステル結合、チオエーテル結合等を挙げることができる。
硫黄−硫黄の結合としては、具体的には、ジスルフィド結合等を挙げることができる。
当該各種共有結合は、それぞれ目的とする結合に適した化学反応により得られる。
炭素−炭素の結合を形成する化学反応としては、例えば、鈴木・宮浦クロスカップリング反応、アルドール反応、ディールス・アルダー反応、グリニャール反応、ヘック反応、マイケル付加反応、ウィッティッヒ反応、閉環メタセシス反応、光環化反応等が挙げられる。
炭素−窒素の結合を形成する化学反応としては、例えば、カルボン酸(エステル)とアミンの置換反応(アミド結合形成反応)、アルキンとアジド化合物が付加環化反応を起こし、1,2,3-トリアゾール環を作る環化付加反応(Azide Alkyne Cycloaddition)等が挙げられる。
炭素−酸素の結合を形成する化学反応としては、例えば、カルボン酸とアルコールの脱水反応(エステル結合形成反応)、ウィリアムソン合成法、アルコールの共存下、オレフィンに求電子剤を作用させる、求電子的付加反応によるエーテル合成法等が挙げられる。
炭素−硫黄の結合を形成する化学反応としては、例えば、カルボン酸とチオールの脱水反応(チオエステル結合形成反応)等が挙げられる。
硫黄−硫黄の結合を形成する化学反応としては、例えば、チオールのカップリング反応等が挙げられる。
炭素−金属の結合を形成する化学反応としては、例えば、閉環メタセシス反応、配位重合、酸化的付加反応等が挙げられる。
リン−酸素の結合を形成する化学反応としては、例えば、エステル化反応、パーコウ反応が挙げられる。
化学的結合が共有結合である場合の固体状材料としては、上記で挙げた、ゲル(ヒドロゲル、オルガノゲル)、ガラス、木板、プラスチック、金属板(金、鉄、パラジウム、白金、銀、アルミニウムなど)、紙等のいずれを用いることもできるが、特に、ゲル、ガラスが好ましい。また、ゲルとガラスを併用してもよい。すなわち、ゲル同士を、又はガラス同士を、化学的結合により接合してもよいし、ゲルとガラスとを、化学的結合により接合してもよい。
当該ゲルとしては、例えば、下記式(1)で表される繰り返し単位及び架橋剤を有するゲルを挙げることができる。
Figure 2015030079
(ここで、上記式(1)中のRは、水素原子又はメチル基を表す。Aは、置換基を有してもよいアリール基、C(O)OR又はC(O)NHRを表す。Rは、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよいアリールアルキル基を表す。nは、100〜10,000,000を示す。)。
固体状材料として、上記式(1)で表される繰り返し単位を有するゲルを用いる場合、当該ゲル中に、それぞれ共有結合を形成し得る反応基を導入し、それらを反応させることにより、接合体を製造することができる。
以下、共有結合として、炭素−炭素結合を形成する場合を例にとり、詳述する。
1−1.炭素−炭素結合
共有結合として、炭素−炭素結合を形成する場合、例えば、接合させるゲルの片方にボロン酸基を導入し、もう片方にはハロゲン化アリール基を導入して、鈴木・宮浦カップリング反応を行うことにより、本発明の接合体を製造することができる。
1−1−1.ボロン酸基含有ゲル
当該ボロン酸基を導入したゲルは、例えば、下記式(2)で表される。
Figure 2015030079
(ここで、上記式(2)中のRは、同一又は異なって水素原子又はメチル基を表す。Rは、アルキレン基又はアリーレン基を表す。Aは、置換基を有してもよいアリール基、C(O)OR又はC(O)NHRを表す。Rは、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよいアリールアルキル基を表す。cross-linkerは、2〜4官能性架橋剤を表す。n+m+l=100モル%であって、nは、0〜99.8を示し、mは、0.1〜99.9を示し、lは、0.1〜99.9を示す。xは、2〜10,000,000を示す。−r−はランダム結合を表し、各々の繰り返し構成単位がランダムに配列していわゆるランダムポリマーを形成していることを示す。以降の式においても同様である。)
上記式(3)で表されるゲルにおいて、n:l:mの比は、1:0.1:98.9〜99.8:0.1:0.1(モル%比)、であることが好ましい。特に好ましくは、n:l:m=94 : 2 : 2〜76 : 20 : 2(モル%比)である。
上記式(2)で表されるボロン酸基を含有するゲルは、例えば、下記式(3)及び(4)で表される化合物、並びに2〜4官能性架橋剤で表される化合物を反応させて、製造することができる。
Figure 2015030079
(ここで、上記式(3)中のRは、水素原子又はメチル基を表す。Aは、置換基を有してもよいアリール基、C(O)OR又はC(O)NHRを表す。Rは、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよいアリールアルキル基を表す。)
Figure 2015030079
(ここで、上記式(4)中のRは、アルキレン基又はアリーレン基を表す。)
上記式(3)において、Rで表される、置換基を有してもよいアルキル基のアルキル基としては、例えば、直鎖、分岐又は環状のC1〜18のアルキル基が挙げられる。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、イソへキシル、ドデシル、オクタデシル、アダマンチル等のアルキル基が挙げられる。このうち、好ましくは水素基又はメチル基であり、特に好ましくは水素基である。該アルキル基は、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、カルボキシル基、エステル基、アミド基、保護されていてもよい水酸基等の置換基を1〜3個有していてもよい。有機金属錯体であるフェロセンを置換基として結合させたアルキル基でもよい。
上記式(3)において、A及びRで表される、置換基を有してもよいアリール基のアリール基としては、例えば、単環又は2環以上のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル、トルイル、キシリル、ナフチル、アンスリル、フェナンスリル等が挙げられる。このうち、好ましくはフェニル基である。該アリール基は、例えば、アルキル基(例えば、C1〜18アルキル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、カルボキシル基、エステル基、アミド基、アリール基を有するアゾ基、保護されていてもよい水酸基等の置換基を1〜3個有していてもよい。
上記式(3)において、Rで表される、置換基を有してもよいアリールアルキル基のアリールアルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜3の低級アルキルに、前記に挙げた単環又は2環以上のアリール基が置換した基が挙げられる。具体的には、ベンジル基、ナフチルメチル基、アントラセンメチル基、ピレンメチル基等が挙げられる。好ましくは、ベンジル基、ナフチルメチル基である。該アリール基は、例えば、アルキル基(例えば、C1〜18アルキル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、カルボキシル基、エステル基、アミド基、アリール基を有するアゾ基、保護されていてもよい水酸基等の置換基を1〜3個有していてもよい。例えば、ヒドロキシフェニルメチル基、メチルフェニルメチル基、ジメチルフェニルメチル基、トリメチルフェニルメチル基、カルボキシフェニルメチル基、ヒドロキシメチルフェニルメチル基、トリフェニルメチル基等が挙げられる。
上記式(3)で表される化合物として、好ましくは、アクリルアミド、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸t-ブチル、N-(1−アダマンチル)アクリルアミド、N-ベンジルアクリルアミド、N-1-ナフチルメチルアクリルアミド、スチレン、アクリル酸、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸2−カルボキシエチル、ジ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、ジ(エチレングリコール)2−エチルヘキシルエーテルアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエチルアクリレート、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-ヒドロキシメチルアクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、N-(3−メトキシプロピル)アクリルアミド、グリシジルメタクリレート、メタクリル酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、トリエチレングリコールメチルエステルメタクリレート、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-アミノエチルメタクリレートハイドロクロライド、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート等が挙げられる。
また、上記式(3)で表される化合物は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記式(3)で表される化合物は、Aが置換基を有してもよいアリール基の場合、市販のモノマー(スチレンなど)を、そのまま用いることができる。
上記式(3)で表される化合物は、AがC(O)OR又はC(O)NHRの場合、アクリル酸クロライドに、Rで示される置換基となるアルキル又はアリールのアミン体を反応させて製造する。通常、溶媒中で、アクリル酸クロライドと、Rで示される置換基となるアルキル又はアリールのアミン体とを混合し、撹拌する。
上記反応は、無溶媒、或いは有機合成反応で一般に使用される溶媒(有機溶媒又は水性溶媒)を使用することができる。有機溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)等が挙げられる。また、水性溶媒としては、水、必要に応じ、リン酸ナトリウムや炭酸ナトリウムなどの塩を含むバッファー等が挙げられる。溶媒を使用する場合、溶媒の使用量は、適宜調節すればよい。
他にも、AがC(O)NHRの場合については、アクリル酸に、1,1'-カルボニルジイミダゾール(CDI)や1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)を氷冷下添加し、その後アミノシクロデキストリンを添加し、一晩撹拌することでアミド結合を形成する方法や、アクリル酸に、ジシクロヘキシルアルボジイミド(DCC)と、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)又はN-ヒドロキシスクシンイミド (HOSu)を縮合剤として用い、活性エステルを経てアミド化合物を得る方法で製造することもできる。
また、AがC(O)ORの場合については、アクリル酸に、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン(N,N-dimethyl-4-aminopyridine)を氷冷下添加し、その後シクロデキストリンを添加し、一晩撹拌することでエステル結合を形成する方法や、アクリル酸に、ジシクロヘキシルアルボジイミド(DCC)と、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)又はN-ヒドロキシスクシンイミド (HOSu)を縮合剤として用い、活性エステルを経てエステル化合物を得る方法で製造することもできる。
上記式(4)においてRで表される、アルキレン基としては、例えば、エチレン基、メチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノネニル基、デカニル基等が挙げられる。好ましくは、エチレン基である。
上記式(4)においてRで表される、アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ジュリレン基等が挙げられる。
上記式(4)で表される化合物として、好ましくは、4-ビニルフェニルボロン酸、ジイソプロピルアクリルボロネート、ジブチルビニルボロネート等が挙げられる。特に、4-ビニルフェニルボロン酸が好ましい。
上記式(4)で表される化合物としては、いずれも公知のものを用いることができる。また、1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
2〜4官能性架橋剤としては、例えば、N, N’-メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、ジ(エチレングリコール)ジアクリレート、テトラ(エチレングリコール)ジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ビス(2−メタクリロイル)オキシエチルジスルフィド、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリルアミド、ジ(エチレングリコール)ジアクリルアミド、テトラ(エチレングリコール)ジアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミド、1,4-ブタンジオールジアクリルアミド、1,6-ヘキサンジオールジアクリルアミド、トリ(プロピレングリコール)ジアクリルアミド、トリメチロールプロパントリアクリルアミド、ペンタエリスリトールトリアクリルアミド、ペンタエリスリトールテトラアクリルアミド、ビス(2-メタクリロイル)オキシエチルジスルフィド、1,4-ブタンジオールジメタクリルアミド、1,6-ヘキサンジオールジメタクリルアミド等が挙げられる。好ましくは、N, N’-メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼンである。
上記2〜4官能性架橋剤は、いずれも公知のものを用いることができる。また、1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記式(2)で表されるボロン酸基を導入したゲルは、上記式(3)及び(4)並びに上記2〜4官能性架橋剤を、ラジカル重合させて製造する。通常、不活性ガスで置換した容器あるいは真空脱気した容器で、上記式(3)及び(4)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤、必要に応じラジカル重合開始剤を混合し撹拌する。
ラジカル重合反応は、無溶媒、或いはラジカル重合で一般に使用される溶媒(有機溶媒又は水性溶媒)を使用することができる。有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、アニソール等が挙げられる。また、水性溶媒としては、水、必要に応じメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチルセロソルブ、ブチロセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノール等を含む溶媒が挙げられる。
溶媒を使用する場合、溶媒の使用量としては、適宜調節すればよいが、例えば、重合に用いる単量体の総量1molに対して、一般に0.1〜1リットル、好ましくは0.2〜0.5リットルである。
ラジカル重合反応は、ラジカル重合開始剤の存在下又は不存在下で実施することができる。通常、ラジカル重合開始剤の存在下で実施することが好ましい。もちろん、ラジカル重合開始剤の不在下に自然熱重合したり、ラジカル重合開始剤の存在下又は不在下に光照射によりラジカル重合したりすることも可能である。光照射によるラジカル重合の場合、通常、水銀灯、キセノンランプ等の光源を使用して重合する。光源は、反応させる化合物の種類、重合開始剤の種類等により適宜選択できる。
本反応は、通常、-20℃から150℃程度までの範囲内で行うことができ、20〜80℃程度で反応を行うのが好ましい。反応時間は、使用する反応剤の種類、反応温度等により異なり、一概には言えないが、通常、1〜48時間程度で該反応は完結する。
1−1−2.ハロゲン化アリール基含有ゲル
当該ハロゲン化アリール基を導入したゲルは、例えば、下記式(5)で表される。なお、下記(5)式は、ハロゲンがヨウ素である場合のハロゲン化アリール基を導入したゲルの一例を示す化学式である。
Figure 2015030079
(ここで、上記式(5)中のRは、同一又は異なって水素原子又はメチル基を表す。Aは、置換基を有してもよいアリール基、C(O)NHR又はC(O)ORを表す。
は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよいアリールアルキル基を表す。Rは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよいアリールアルキル基を表す。cross-linkerは、2〜4官能性架橋剤を表す。n+m+l=100モル%であって、nは、0〜99.8を示し、mは、0.1〜99.9を示し、lは、0.1〜99.9を示す。xは、2〜10,000,000を示す。−r−はランダム結合を表す。)
上記式(5)で表されるゲルにおいて、n:l:mの比は、1:0.1:98.9〜99.8:0.1:0.1(モル%比)であることが好ましい。特に好ましくは、n:l:m=96:2:2〜78:20:2(モル%比)である。
上記式(5)で表されるハロゲン化アリール基を含有するゲルは、例えば、下記式(6)及び(7)で表される化合物、並びに上記2〜4官能性架橋剤を反応させた後、式(7)で表される化合物由来のカルボキシ基に、ハロゲン化アリール基を誘導することにより、製造することができる。
Figure 2015030079
(ここで、上記式(6)中のRは、水素原子又はメチル基を表す。Aは、置換基を有してもよいアリール基、C(O)NHR又はC(O)ORを表す。Rは、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよいアリールアルキル基を表す。Rは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよいアリールアルキル基を表す。)
Figure 2015030079
(ここで、上記式(7)中のRは、水素原子又はメチル基を表す。)
上記式(6)において、Rで表される、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基としては、上記式(3)と同様の基を挙げることができる。
また、上記式(6)において、Aで表される置換基を有してもよいアリール基としては、上記式(3)と同様の基が挙げられる。
上記式(6)で表される化合物として、好ましくは、アクリルアミド、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、N−(1−アダマンチル)アクリルアミド、N-ベンジルアクリルアミド、N−1−ナフチルメチルアクリルアミド、スチレン、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸2−カルボキシエチル、ジ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、ジ(エチレングリコール)2−エチルヘキシルエーテルアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエチルアクリレート、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-ヒドロキシメチルアクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、N-(3−メトキシプロピル)アクリルアミド、グリシジルメタクリレート、メタクリル酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、トリエチレングリコールメチルエステルメタクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-アミノエチルメタクリレートハイドロクロライド、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート等が挙げられる。
また、上記式(6)で表される化合物は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記式(7)で表される化合物は、いずれも公知のものを用いることができる。また、1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。特に、アクリル酸が好ましい。
上記式(6)及び(7)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤を反応させる方法は、上記1−1−1に記載した、上記式(3)及び(4)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤のラジカル重合反応と同様である。
次いで、上記式(7)で表される化合物由来のカルボキシ基に、アミノ基を有するハロゲン化合物を反応させて、上記式(5)で表される、ハロゲン化アリール基を含有するゲルを得る。
アミノ基を有するハロゲン化合物としては、例えば、下記式(8)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015030079
(ここで、上記式(8)中のXは、ハロゲン原子を表す。)
ハロゲン原子としては、例えば、ヨウ素、臭素、塩素等が挙げられる。好ましくは、ヨウ素である。
上記式(5)で表される、ハロゲン化合物を含有するゲルは、通常、上記式(6)及び(7)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤を反応させて得られた重合体、上記式(8)で表されるアミノ基を有するハロゲン化合物、縮合剤及び必要に応じて三級アミン化合物を、溶媒中、混合し、振とうすることにより得られる。
当該溶媒としては、上記式(6)及び(7)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤を反応させて得られた重合体が膨潤する溶媒、及び縮合反応で一般に使用される溶媒を使用することができる。例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、水性溶媒等が挙げられる。
縮合剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリスジメチルアミノホスホニウム塩(Bop 試薬)、ジフェニルリン酸アジド(DPPA)、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)、ヘキサフルオロリン酸(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウム(PyBOP)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)等が挙げられる。
また、必要に応じて、三級アミン化合物を併用することもできる。三級アミン化合物としては、具体的には、トリエチルアミン、ピリジン等を挙げることができる。
本反応は、通常、0℃から80℃程度までの範囲内で行うことができ、20〜40℃程度で反応を行うのが好ましい。反応時間は、使用する反応剤の種類、反応温度等により異なり、一概には言えないが、通常、1〜24時間程度で該反応は完結する。
1−1−3.接合(鈴木・宮浦カップリング反応)
上記1−1−1.及び1−1−2.で得られたゲルに対し、これらの接触界面において、鈴木・宮浦カップリング反応を行うことにより、本発明の接合体を製造することができる。
鈴木・宮浦カップリング反応は、求核剤及びパラジウム触媒存在下で、上記1−1−1.及び1−1−2.で得られたゲルの界面を接触させることにより行う。当該反応は、無溶媒、あるいは溶媒存在下で行うことができる。
当該溶媒としては、一般に使用される溶媒(有機溶媒又は水性溶媒)を使用することができる。有機溶媒としては、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、DMSO、DMF等を挙げることができる。また、水性溶媒としては、水、必要に応じ、メタノール、エタノール、イソプロパノール等を含む溶媒が挙げられる。好ましくは、水である。
求核剤としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸カリウム等の塩、及びアミン等を挙げることができる。好ましくは、炭酸カリウムである。
パラジウム触媒としては、例えば、酢酸パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等を挙げることができる。好ましくは、酢酸パラジウムである。
本反応は、通常、室温(15℃)から90℃程度までの範囲内で行うことができ、20〜40℃程度で反応を行うのが好ましい。反応時間は、使用する反応剤の種類、反応温度等により異なり、一概には言えないが、通常、2〜24時間程度で該反応は完結する。
1−1−4.ボロン酸基含有ガラス基板
固体状材料として、ガラス基板用いることもできる。例えば、ボロン酸基を含有するガラス基板は、まず、ガラス基板をオゾン処理した後、当該ガラス基板のオゾン処理面に、アミノ基を有するシランカップリング剤を反応させてアミノ基を導入し、当該アミノ基に、カルボキシル基を有するボロン酸を縮合させることで得られる。
オソン処理としては、特に限定されず、公知の方法を用いて行うことができる。例えば、オゾンクリーナー(UV253 フィルジェン株式会社)を用いて、行うことができる。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ジエトキシ(3-グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルジエトキシメチルシラン等が挙げられる。好ましくは、3-アミノプロピルトリエトキシシランである。
カルボキシル基を有するボロン酸としては、例えば、5−カルボキシ−2−フルオロフェニルボロン酸、4−カルボキシ−3−フルオロフェニルボロン酸、3−カルボキシ−4−フルオロフェニルボロン酸、4−カルボキシ−3−クロロフェニルボロン酸、4−カルボキシ−2−ニトロフェニルボロン酸、3−カルボキシ−5−ニトロフェニルボロン酸、p−クロロカルボニルフェニルボロン酸、o−カルボキシフェニルボロン酸、m−カルボキシフェニルボロン酸、m−カルボキシフェニルボロン酸、3−(4,4,5,5−テトラメチルー1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)安息香酸、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)安息香酸、3−ニトロ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)安息香酸等が挙げられる。
当該アミノ基を有するシランカップリング剤を、空気中、室温または加温(15〜80℃)で反応させることにより、ガラス基板表面にアミノ基を導入する。
上記で得られた、表面にアミノ基を有するガラス基板に、カルボキシル基を有するボロン酸を縮合させる反応は、上記式(6)及び(7)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤を反応させて得られた重合体、アミノ基を有するハロゲン化合物、縮合剤及び必要に応じて三級アミン化合物を反応させて、上記式(5)で表される化合物を得る反応と同様である。
1−1−5.ハロゲン化アリール基含有ガラス基板
固体状材料として、ハロゲン化アリール基を含有するガラス基板を用いることもできる。当該ガラス基板は、例えば、まず、ガラス基板をオゾン処理した後、当該ガラス基板のオゾン処理面に、アミノ基を有するシランカップリング剤を反応させてアミノ基を導入し、当該アミノ基に、カルボキシル基を有するハロゲン化合物を縮合させることで得られる。
オソン処理については、上記1−1−4.と同様である。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、上記1−1−4.で挙げたものと同様のものが挙げられる。
カルボキシル基を有するハロゲン化合物としては、例えば、5−カルボキシ−2−フルオロ−ヨードベンゼン、4−カルボキシ−3−フルオロヨードベンゼン、3−カルボキシ−4−フルオロヨードベンゼン、4−カルボキシ−3−クロロヨードベンゼン、4−カルボキシ−2−ニトロヨードベンゼン、3−カルボキシ−5−ニトロヨードベンゼン、p−クロロカルボニルヨードベンゼン、o−カルボキシヨードベンゼン、m−カルボキシヨードベンゼン、p−カルボキシヨードベンゼン等が挙げられる。
オゾン処理されたガラス基板のオゾン処理面に、アミノ基を有するシランカップリング剤を反応させてアミノ基を導入する反応、及び当該アミノ基に、カルボキシル基を有するハロゲン化合物を縮合させる反応は、上記1−1−4.の反応と同様である。
1−1−6.接合(ガラス基板とゲル間での鈴木・宮浦カップリング反応)
上記1−1−1.で得られたゲル及び1−1−5.で得られたガラス基板、上記1−1−2.で得られたゲル及び1−1−4.で得られたガラス基板について、これらの接触界面において、鈴木・宮浦カップリング反応を行うことにより、本発明の接合体を製造することができる。
鈴木・宮浦カップリング反応は、求核剤及びパラジウム触媒存在下で、上記1−1−1.で得られたゲルと1−1−5.で得られたガラス基板とを接触させる、または、上記1−1−2.で得られたゲルと1−1−4.で得られたガラス基板とを接触させることにより行う。当該反応の諸条件は、上記1−1−3.における反応の条件と同様である。
1−2.炭素−窒素結合
また、共有結合として、炭素−窒素結合を形成する場合、接合させるゲルの片方にアジド基を導入し、もう片方にはエチニル基を導入して、アジド−アルキン環化付加反応を行うことにより、接合体を製造することができる。
あるいは、接合させるゲルの片方にカルボキシ基を導入し、もう片方にはアミノ基を導入して、アミド化反応を行うことにより、共有結合として、炭素−窒素結合を有する接合体を製造することもできる。さらに、上記共有結合と共に、非共有結合(例えば、ホスト−ゲスト相互作用)による接合も有することができる。化学的結合として、2種以上の結合を有することにより、接合を選択的に創造することができる。また、より短時間で高強度の接合を得ることができる。
1−2−1.アジド基含有ゲル
当該アジド基を導入したゲルは、例えば、下記式(9)で表される。
Figure 2015030079
(ここで、上記式(9)中のRは、同一又は異なって水素原子又はメチル基を表す。Aは、置換基を有してもよいアリール基、C(O)NHR又はC(O)ORを表す。Rは、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよいアリールアルキル基を表す。Rは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよいアリールアルキル基を表す。cross-linkerは、2〜4官能性架橋剤を表す。p+q+r’=100モル%であって、pは、0〜99.8を示し、qは、0.1〜99.9を示し、r’は、0.1〜99.9を示す。yは、2〜10,000,000を示す。−r−はランダム結合を表す。)
上記式(9)で表されるゲルにおいて、p:q:r’の比は、1:0.1:98.9〜99.8:0.1:0.1(モル%比)であることが好ましい。特に好ましくは、p:q:r’=76:2:2〜78:20:2(モル%比)である。
上記式(9)で表されるアジド基を含有するゲルは、例えば、上記式(6)及び(7)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤を反応させた後、式(7)で表される化合物由来のカルボキシ基に、アジド基を誘導することにより、製造することができる。
上記式(6)及び(7)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤を反応させる方法は、上記1−1−1に記載した、上記式(3)及び(4)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤のラジカル重合反応と同様である。
次いで、上記式(7)で表される化合物由来のカルボキシ基に、アミノ基を有するアジド化合物を反応させて、上記式(9)で表される、アジド基を含有するゲルを得る。
アミノ基を有するアジド化合物としては、例えば、下記式(10)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015030079
上記式(9)で表される、アジド基を含有するゲルは、通常、上記式(6)及び(7)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤を反応させて得られた重合体、上記式(10)で表されるアミノ基を有するアジド化合物、縮合剤及び必要に応じて三級アミン化合物を、溶媒中、混合し、振とうすることにより得られる。上記反応の諸条件は、上記式(6)及び(7)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤を反応させて得られた重合体、上記式(8)で表されるアミノ基を有するハロゲン化合物、縮合剤及び必要に応じて三級アミン化合物を反応させて、上記式(5)で表されるゲルを得る反応と同様である。
1−2−2.エチニル基含有ゲル
当該エチニル基を導入したゲルは、例えば、下記式(11)で表される。
Figure 2015030079
(ここで、上記式(11)中のRは、同一又は異なって水素原子又はメチル基を表す。Rは、アルキレン基又はアリーレン基を表す。Aは、置換基を有してもよいアリール基、C(O)NHR又はC(O)ORを表す。Rは、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよいアリールアルキル基を表す。Rは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよいアリールアルキル基を表す。cross-linkerは、2〜4官能性架橋剤を表す。p+q+r’=100モル%であって、pは、0〜99.8を示し、qは、0.1〜99.9を示し、r’は、0.1〜99.9を示す。yは、2〜10,000,000を示す。−r−はランダム結合を表す。)
上記式(11)で表されるゲルにおいて、p:q:r’の比は、1:0.1:98.9〜99.8:0.1:0.1(モル%比)であることが好ましい。特に好ましくは、p:q:r’=76:2:2〜78:20:2(モル%比)である。
上記式(11)で表されるエチニル基を含有するゲルは、例えば、上記式(6)及び(7)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤を反応させた後、式(7)で表される化合物由来のカルボキシ基に、エチニル基を誘導することにより、製造することができる。
式(6)及び(7)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤を反応させる方法は、上記1−1−1に記載した、式(3)及び(4)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤のラジカル重合反応と同様である。
次いで、式(7)で表される化合物由来のカルボキシ基に、エチニル化合物を反応させて、エチニル基を含有するゲルを得る。
エチニル化合物としては、例えば、下記式(12)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015030079
(ここで、上記式(12)中のRは、アルキレン基又はアリーレン基を表す。)
上記式(12)において、Rで表されるアルキレン基としては、エチレン基、メチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノネニル基、デカニル基等が挙げられる。好ましくは、エチレン基である。
上記式(12)において、Rで表されるアリーレン基としては、フェニレン基、ビフェニル基、ジメチルフェニレン基、ジエチルフェニレン基等が挙げられる。好ましくは、フェニレン基である。
上記式(11)で表される、エチニル基を含有するゲルは、通常、上記式(6)及び(7)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤を反応させて得られた重合体、上記式(12)で表されるエチニル化合物、縮合剤及び必要に応じて三級アミン化合物を、溶媒中、混合し、振とうすることにより得られる。
上記反応の諸条件は、上記式(6)及び(7)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤を反応させて得られた重合体、上記式(8)で表されるアミノ基を有するハロゲン化合物、縮合剤及び必要に応じて三級アミン化合物を反応させて、上記式(5)で表される化合物を得る反応と同様である。
1−2−3.接合(アジド−アルキン環化付加反応)
上記1−2−1.及び1−2−2.で得られたゲルに対し、これらの接触界面において、アジド−アルキン環化付加反応を行うことにより、本発明の接合体を製造することができる。
アジド−アルキン環化付加反応は、銅触媒及び還元剤存在下で、上記1−2−1.及び1−2−2.で得られたゲルの界面を接触させることにより行う。当該反応は、無溶媒、あるいは溶媒存在下で行うことができる。
当該溶媒としては、一般に使用される溶媒(有機溶媒又は水性溶媒)を使用することができる。有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、N,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、アニソール等が挙げられる。また、水性溶媒としては、水、必要に応じメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチルセロソルブ、ブチロセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノール等を含む溶媒が挙げられる。好ましくは、水である。
銅触媒としては、銅(I)イオンを生成できる触媒であればよく、例えば、ヨウ化銅(I)、臭化銅(I)、硫酸銅・5水和物等が挙げられる。好ましくは、ヨウ化銅(I)である。
還元剤としては、通常、アスコルビン酸ナトリウムを用いる。
本反応は、通常、室温(15℃)から80℃程度までの範囲内で行うことができ、15〜40℃程度で反応を行うのが好ましい。反応時間は、使用する反応剤の種類、反応温度等により異なり、一概には言えないが、通常、0.5〜24時間程度で該反応は完結する。
1−2−4.アジド基含有するガラス基板
固体状材料として、アジド基を含有するガラス基板を用いることもできる。例えば、まず、ガラス基板をオゾン処理した後、当該ガラス基板のオゾン処理面に、アミノ基を有するシランカップリング剤を反応させてアミノ基を導入し、当該アミノ基に、カルボキシル基を有するアジド化合物を縮合させることで得られる。
オソン処理については、上記1−1−4.と同様である。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、上記1−1−4.で挙げたものと同様のものが挙げられる。
カルボキシル基を有するアジド化合物としては、例えば、アジド安息香酸、11-アジド-3,6,9-トリオキサウンデカン酸、4-アジド安息香酸、4-アジドサリチル酸等が挙げられる。
オゾン処理されたガラス基板のオゾン処理面に、アミノ基を有するシランカップリング剤を反応させてアミノ基を導入する反応、及び当該アミノ基に、カルボキシル基を有するアジド化合物を縮合させる反応は、上記1−1−4.の反応と同様である。
1−2−5.接合(ガラス基板とゲル間でのアジド−アルキン環化付加反応)
上記1−2−2.で得られたゲル及び1−2−4.で得られたガラス基板に対し、これらの接触界面において、アジド−アルキン環化付加反応を行うことにより、本発明の接合体を製造することができる。
アジド−アルキン環化付加反応は、銅触媒及び還元剤存在下で1−2−2.で得られたゲルと1−2−4.で得られたガラス基板を接触させることにより行う。当該反応の諸条件は、上記1−2−3.における反応の条件と同様である。
1−2−6.カルボキシ基及びホスト基含有ゲル
カルボキシ基及びホスト基を含有するゲルは、例えば、上記式(6)及び(7)で表される化合物、上記2〜4官能性架橋剤、並びに下記式(13)で表される化合物を反応させて、製造することができる。
Figure 2015030079
(ここで、上記式(13)中のQは、O又はNHを表す。CDは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン又はγ−シクロデキストリンを表す。Rは、水素原子又はメチル基を表す。)
上記式(13)で表される化合物は、国際公開2012/036069号に記載された方法により、製造することができる。
上記式(6)、(7)及び(13)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤を反応させる方法は、上記1−1−1に記載した、式(2)及び(3)並びに上記2〜4官能性架橋剤のラジカル重合反応と同様である。
1−2−7.アミノ基及びゲスト基含有ゲル
アミノ基及びゲスト基を含有するゲルは、例えば、上記式(6)で表される化合物、上記2〜4官能性架橋剤、下記式(14)及び下記式(15)で表される化合物を反応させて、製造することができる。
Figure 2015030079
(ここで、上記式(14)中のAは、置換基を有してもよいアリール基、C(O)OR又はC(O)NHRを表す。Rは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよいアリールアルキル基を表す。Rは、水素原子又はメチル基を表す。)
Figure 2015030079
(ここで、上記式(15)中のRは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、アルキレン基又はアリーレン基を表す。)
上記式(14)において、Rで表される、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基としては、上記式(3)と同様の基を挙げることができる。
また、上記式(14)において、Aで表される置換基を有してもよいアリール基としては、上記式(3)と同様の基が挙げられる。
上記式(14)で表される化合物として、好ましくは、アクリルアミド、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、N−(1−アダマンチル)アクリルアミド、N-ベンジルアクリルアミド、N−1−ナフチルメチルアクリルアミド、スチレン、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸2−カルボキシエチル、ジ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、ジ(エチレングリコール)2−エチルヘキシルエーテルアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエチルアクリレート、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-ヒドロキシメチルアクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、N-(3−メトキシプロピル)アクリルアミド、グリシジルメタクリレート、メタクリル酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、トリエチレングリコールメチルエステルメタクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-アミノエチルメタクリレートハイドロクロライド、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレートが挙げられる。
また、上記式(14)で表される化合物は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記式(14)で表される化合物は、国際公開2012/036069号に記載される方法により、製造することができる。
上記式(15)において、Rで表される、アルキレン基、アリーレン基としては、上記式(12)と同様の基を挙げることができる。
上記式(15)で表される化合物として、好ましくは、アリルアミン、スチレンアミン、3−ビニルアニリン、2−アミノエチルメタクリレートハイドロクロライド等が挙げられる。上記式(15)で表される化合物は、いずれも公知のものを用いることができる。また、1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記式(6)、(14)及び(15)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤を反応させる方法は、上記1−1−1に記載した、式(3)及び(4)並びに上記2〜4官能性架橋剤のラジカル重合反応と同様である。
1−2−8.接合(アミド化反応及びホスト−ゲスト相互作用)
上記1−2−6.及び1−2−7.で得られたゲルを接触させることにより、ゲル間にホスト−ゲスト相互作用が働く。その後、これらの接触界面において、アミド化反応を行うことにより、本発明の接合体を製造することができる。
上記ゲルを接触させる方法としては、具体的には、水性溶媒中、ゲル同士を接触させ、静置する方法、又は、水性溶媒中にゲルを置き、振動或いは撹拌により接触させる方法が挙げられる。
上記水性溶媒としては、水、必要に応じ、リン酸ナトリウムや炭酸ナトリウムなどの塩を含む水溶液や、アルコール等と水との混合溶媒が挙げられる。好ましくは水である。
振動あるいは攪拌の方法としては、ゲル同士を一定距離以内に近づけることができればいずれの手段でもよく、例えば、ボルテックスミキサーやシェーカー等の攪拌機や振とう機を用いる方法、超音波を照射する方法などが挙げられる。
アミド化反応は、縮合剤を用いて、上記ホスト−ゲスト相互作用が働いたゲルの界面で行われる。当該反応は、無溶媒、あるいは溶媒存在下で反応を行うことができる。
当該溶媒としては、一般に使用される溶媒(有機溶媒又は水性溶媒)を使用することができる。有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、アニソール等が挙げられる。また、水性溶媒としては、水、必要に応じメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチルセロソルブ、ブチロセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノール等を含む溶媒が挙げられる。
溶媒の使用量としては、適宜調節すればよいが、例えば、重合に用いる単量体の総量1molに対して、一般に0.1〜1リットル、好ましくは0.2〜0.5リットルである。
本反応は、通常、室温(15℃)から90℃程度までの範囲内で行うことができ、20〜40℃程度で反応を行うのが好ましい。反応時間は、使用する反応剤の種類、反応温度等により異なり、一概には言えないが、通常、4〜24時間程度で該反応は完結する。
2.配位結合
本発明の接合体において、化学的結合が配位結合の場合、接合と解離は可逆的であり、接合と解離をコントロールすることができる。
配位結合としては、例えば、金属−配位子相互作用、アポ酵素−補因子相互作用等が挙げられる。接合体中、当該結合を、一種類のみ有してもよく、複数種類有してもよい。なお、配位結合として、特にアポ酵素−補因子の相互作用を用いる場合、接合体に触媒作用を付与することができる。当該触媒作用は、人為的に制御することができる。
金属−配位子相互作用の金属としては、鉄、亜鉛、マンガン、マグネシウム、銅、コバルト、白金、チタン等を挙げることができる。
金属−配位子相互作用の配位子としては、イミダゾール、ピリジン、アミノ基、クロロ基等を挙げることができる。
アポ酵素−補因子相互作用のアポ酵素としては、ヘモグロビン、シトクロム、一酸化窒素合成酵素、ホスファターゼ、カタラーゼ、ヒドロゲナーゼ、ペルオキシダーゼ、DNAポリメラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、炭酸脱水酵素等を挙げることができる。
アポ酵素−補因子相互作用の補因子としては、鉄、マンガン、銅、コバルト、亜鉛、セレン、モリブデン、カルシウム、金属ポルフィリン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、アデノシン三リン酸等を挙げることができる。
化学的結合が配位結合である場合の固体状材料としては、上記で挙げた、ゲル(ヒドロゲル、オルガノゲル)、ガラス、木板、プラスチック、金属板(金、鉄、パラジウム、白金、銀、アルミニウムなど)、紙等のいずれを用いることもできるが、特に、ゲルが好ましい。
当該ゲルとしては、例えば、上記式(1)で表される繰り返し単位及び架橋剤を有するゲルを挙げることができる。
固体状材料として、上記式(1)で表される繰り返し単位及び架橋剤を有するゲルを用いる場合、当該ゲル中に、それぞれ配位結合を形成し得る基を導入し、それらを反応させることにより、接合体を製造することができる。
例えば、接合させるゲルの片方にアポ酵素を導入し、もう片方には補因子を導入して、両者を接触させることにより、接合体を製造することができる。
2−1.アポ酵素基含有ゲル
当該アポ酵素を導入したゲルは、例えば、アポ酵素として、アポ西洋わさびペルオキシダーゼを用いる場合、下記式(16)で表される。
Figure 2015030079
(ここで、上記式(16)中のRは、同一又は異なって水素原子又はメチル基を表す。Aは、置換基を有してもよいアリール基、C(O)NHR又はC(O)ORを表す。Rは、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよいアリールアルキル基を表す。Rは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよいアリールアルキル基を表す。cross-linkerは、2〜4官能性架橋剤を表す。s+t+u=100モル%であって、sは、1〜98.9を示し、tは、0.1〜98を示し、uは、1〜98.9を示す。zは、2〜10,000,000を示す。−r−はランダム結合を表す。)
上記式(16)で表されるゲルにおいて、s:t:uの比は、98.9:0.1:1〜85:10:5(モル%比)であることが好ましい。特に好ましくは、s:t:u=97.5:0.5:2〜96.5:1.5:2(モル%比)である。
上記式(16)で表されるアポ西洋わさびペルオキシダーゼを含有するゲルは、例えば、上記式(6)及び(7)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤を反応させた後、上記式(7)で表される化合物由来のカルボキシ基に、アポ西洋わさびペルオキシダーゼを誘導することにより、製造することができる。例えば、(7)で表される化合物由来のカルボキシ基と、アポ西洋わさびペルオキシダーゼ内に存在するアミノ基とが反応することで上記式(16)で表されるアポ西洋わさびペルオキシダーゼを含有するゲルが生成する。
上記式(6)及び(7)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤を反応させる方法は、上記1−1−1に記載した、上記式(3)及び(4)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤のラジカル重合反応と同様である。
次いで、上記式(7)で表される化合物由来のカルボキシ基に、アポ西洋わさびペルオキシダーゼを反応させて、上記式(16)で表される、アポ西洋わさびペルオキシダーゼを含有するゲルを得る。通常、緩衝溶液中、上記式(6)及び(7)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤を反応させて得られた重合体と、脱水縮合剤及びカルボン酸の活性化剤とを混合し、攪拌した後、得られたゲルを、アポ西洋わさびペルオキシダーゼと混合し、攪拌する。
緩衝溶液としては、例えば、2-モルホリノエタンスルホン酸緩衝溶液 (MES buffer)、リン酸緩衝溶液、クエン酸緩衝液等が挙げられる。好ましくは、MES bufferである。
脱水縮合剤としては、通常、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)が用いられる。
カルボン酸の活性化剤としては、1-ヒドロキシ-2,5-ジオキソ-3-ピロリジンスルホン酸ナトリウム、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール、ペンタフルオロフェノール、N-ヒドロキシスクシンイミド、N-ブロモスクシンイミド、N-クロロスクシンイミド、N-ヨードスクシンイミド等が挙げられる。好ましくは、1-ヒドロキシ-2,5-ジオキソ-3-ピロリジンスルホン酸ナトリウム(sulfo-NHS)である。
緩衝溶液の使用量としては、適宜調節すればよいが、例えば、脱水縮合に用いる重合体1molに対して、一般に1〜100リットル、好ましくは10〜50リットルである。
上記式(6)及び(7)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤を反応させて得られた重合体と、脱水縮合剤及びカルボン酸の活性化剤との反応は、通常、室温(15℃)から40℃程度までの範囲内で行うことができ、35〜37℃程度で反応を行うのが好ましい。反応時間は、使用する反応剤の種類、反応温度等により異なり、一概には言えないが、通常、8〜24時間程度で該反応は完結する。
また、上記で得られたゲルと、アポ西洋わさびペルオキシダーゼとの反応は、通常、室温(15℃)から40℃程度までの範囲内で行うことができ、35〜37℃程度で反応を行うのが好ましい。反応時間は、反応温度等により異なり、一概には言えないが、通常、8〜24時間程度で該反応は完結する。
2−2.補因子含有ゲル
当該補因子を導入したゲルは、例えば、補因子として、鉄ポルフィリンを用いる場合、下記式(17)で表される。
Figure 2015030079
(ここで、上記式(17)中のRは、同一又は異なって水素原子又はメチル基を表す。Aは、置換基を有してもよいアリール基、C(O)OR又はC(O)NHRを表す。Rは、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよいアリールアルキル基を表す。cross-linkerは、2〜4官能性架橋剤を表す。s+t+u=100モル%であって、sは、1〜98.9を示し、tは、0.1〜98を示し、uは、1〜98.9を示す。zは、2〜10,000,000を示す。−r−はランダム結合を表す。)
上記式(17)で表されるゲルにおいて、s:t:uの比は、98.9:0.1:1〜85:10:5(モル%比)であることが好ましい。特に好ましくは、s:t:u=97.5:0.5:2〜96.5:1.5:2(モル%比)である。
上記式(17)で表される鉄ポルフィリンを含有するゲルは、例えば、上記式(3)及び上記2〜4官能性架橋剤、並びに下記式(18)で表される化合物を反応させた後、下記式(18)で表される化合物由来のスクシンイミド基に、鉄ポルフィリンを誘導することにより、製造することができる。
Figure 2015030079
(ここで、上記式(18)中のRは、水素原子又はメチル基を表す。)
上記一般式(18)で表される化合物は、いずれも公知のものを用いることができる。また、1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。特に、N-アクリル酸スクシンイミジル(NHS-AAm)が好ましい。
上記式(3)及び(18)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤を反応させる方法は、上記1−1−1に記載した、上記式(3)及び(4)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤のラジカル重合反応と同様である。ラジカル重合開始剤として、光重合開始剤を用いる。
光重合開始剤としては、2-ケトグルタル酸、ジベンゾイル、アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート、ニフェジピン等が挙げられる。好ましくは、2-ケトグルタル酸である。
次いで、上記式(18)で表される化合物由来のスクシンイミド基に、アミノ基を有する鉄ポルフィリン化合物を反応させて、鉄ポルフィリンを含有するゲルを得る。通常、有機溶媒中、一般式(3)及び(18)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤を反応させて得られた重合体と、アミノ基を有する鉄ポルフィリン化合物とを混合し、撹拌する。
有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、アニソール等が挙げられる。
アミノ基を有するポルフィリン化合物としては、例えば、5,10,15,20-テトラキス(4-アミノフェニル)-21H,23H-ポルフィン(FePor)等が挙げられる。好ましくは、FePorである。
本反応は、通常、室温(15℃)から60℃程度までの範囲内で行うことができ、15〜30℃程度で反応を行うのが好ましい。反応時間は、使用する反応剤の種類、反応温度等により異なり、一概には言えないが、通常、12〜24時間程度で該反応は完結する。
2−3.接合
上記2−1.及び2−2.で得られたゲルを接触させることにより、本発明の接合体を製造することができる。
上記ゲルを接触させる方法としては、具体的には、酵素が活性化される温度で、水性溶媒中又は空気中で、ゲル同士を接触させ、静置する方法が挙げられる。
酵素が活性化される温度とは、酵素の種類にもよるが、一般に、10℃〜40℃程度、特に、アポ西洋わさびペルオキシダーゼでは、30〜37℃程度である。
上記水性溶媒としては、水、必要に応じ、リン酸や炭酸ナトリウムなどの塩を含む水溶液、アルコール等と水との混合溶媒が挙げられる。好ましくは、リン酸水溶液である。
3.非共有結合
本発明の接合体において、化学的結合が非共有結合の場合も、接合と解離は可逆的であり、接合と解離をコントロールすることができる。
非共有結合としては、例えば、水素結合、イオン-イオン相互作用、イオン-双極子相互作用、カチオン-π相互作用、π-π相互作用、ファンデルワールス力、疎水性相互作用、ホスト−ゲスト相互作用等が挙げられる。好ましくは、水素結合、ホスト−ゲスト相互作用である。以下、水素結合の場合を例にとり、説明する。
水素結合としては、具体的には、核酸塩基対間の相補的相互作用等が挙げられる。水素結合として、核酸塩基対間の相補的相互作用を利用する場合、極めて精密に、選択的に接合を実現できる。
化学的結合が水素結合である場合の固体状材料としては、上記で挙げた、ゲル(ヒドロゲル、オルガノゲル)、ガラス、木板、プラスチック、金属板(金、鉄、パラジウム、白金、銀、アルミニウムなど)、紙等のいずれを用いることもできるが、特に、ゲルが好ましい。
当該ゲルとしては、例えば、上記式(1)で表される繰り返し単位及び架橋剤を有するゲルを挙げることができる。
固体状材料として、上記式(1)で表される繰り返し単位及び架橋剤を有するゲルを用いる場合、当該ゲル中に、それぞれ水素結合を形成し得る基を導入し、それらを反応させることにより、接合体を製造することができる。
例えば、接合させるゲルの片方に1種の核酸塩基を導入し、もう片方のゲルには、前記核酸塩基と相補的な核酸塩基を導入して、両者を接触させることにより、接合体を製造することができる。
あるいは、接合させるゲルの片方に1種のオリゴヌクレオチドを導入し、もう片方のゲルには、前記オリゴヌクレオチドと相補的なオリゴヌクレオチドを導入して、両者を接触させることにより、接合体を製造することができる。
3−1.核酸塩基
固体状材料として、上記式(1)で表される繰り返し単位及び架橋剤で表される繰り返し単位を有するゲルを用いる場合、核酸塩基を含有するゲルは、例えば、下記式(19)で表される。
Figure 2015030079
(ここで、上記式(19)中、Rは、同一又は異なって水素原子又はメチル基を表す。Aは、置換基を有してもよいアリール基、C(O)OR又はC(O)NHRを表す。Rは、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよいアリールアルキル基を表す。Aは、アルキレン基、アリーレン基、C(O)O又はC(O)NHを表す。Baseは、アデニン、チミン、ウラシル、グアニン又はシトシンを示す。cross-linkerは、2〜4官能性架橋剤を表す。a+b+c=100モル%であって、aは、60〜98を示し、bは、1〜20を示し、cは、1〜20を示す。dは、2〜10,000,000を示す。−r−はランダム結合であることを示す。)
上記式(19)で表されるゲルにおいて、a:b:cの比は、98:1:1〜60:20:20(モル%比)であることが好ましい。特に好ましくは、a:b:c=85:5:10〜75:10:15(モル%比)である。
上記式(19)で表される核酸塩基を含有するゲルは、例えば、上記式(1)で表される化合物及び上記2〜4官能性架橋剤並びに下記式(20)で表される化合物を反応させて、製造することができる。
Figure 2015030079
(ここで、上記式(24)中のRは、水素原子又はメチル基を表す。Aは、アルキレン基、アリーレン基、C(O)O又はC(O)NHを表す。Baseは、アデニン、チミン、ウラシル、グアニン又はシトシンを示す。)
上記式(20)において、Aで表される、アルキレン基、アリーレン基としては、上記式(12)と同様の基を挙げることができる。
上記式(19)で表される核酸塩基を含有するゲルは、上記式(3)及び(20)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤を、ラジカル重合させて製造する。通常、不活性ガスで置換した容器あるいは真空脱気した容器で、上記式(3)及び(20)並びに上記2〜4官能性架橋剤で表される化合物、必要に応じラジカル重合開始剤を混合し撹拌する。
上記式(3)及び(20)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤を反応させる方法は、上記1−1−1に記載した、上記式(3)及び(4)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤のラジカル重合反応と同様である。
上記式(20)におけるBaseの組み合わせとしては、相補的な核酸塩基対であればよい。以下、アデニン−チミンの場合を例にとり、説明する。
3−1−1.アデニン含有ゲル
上記式(20)で表される化合物において、Baseとしてアデニンを含有する化合物は、例えば、ハロゲン化アルキルスチレン誘導体に、アデニンを反応させて製造する。通常、溶媒中で、反応促進剤、重合禁止剤、ハロゲン化アルキルスチレン誘導体及びアデニンを混合し、撹拌する。
上記反応は、無溶媒、或いは有機合成反応で一般に使用される溶媒(有機溶媒又は水性溶媒)を使用することができる。有機溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)等が挙げられる。また、水性溶媒としては、水、必要に応じ、リン酸ナトリウムや炭酸ナトリウムなどの塩を含むバッファー等が挙げられる。溶媒を使用する場合、溶媒の使用量は、適宜調節すればよい。
次いで、得られたBaseとしてアデニンを含有する上記式(20)で表される化合物、上記式(3)で表される化合物及び上記2〜4官能性架橋剤を、上記のとおりラジカル重合させて、Baseとしてアデニンを含有する上記式(19)で表されるゲルを製造する。
3−1−2.チミン含有ゲル
上記式(20)で表される化合物において、Baseとしてチミンを含有する化合物は、例えば、上記3−1−2.におけるアデニンをチミンに代えて製造される。
得られたBaseとしてチミンを含有する上記式(20)で表される化合物、上記式(3)で表される化合物及び上記2〜4官能性架橋剤を、上記のとおりラジカル重合させて、Baseとしてチミンを含有する上記式(19)で表されるゲルを製造する。
3−1−3.接合
上記3−1−1.及び3−1−2.で得られたゲルを接触させることにより、本発明の接合体を製造することができる。
上記ゲルを接触させる方法としては、具体的には、有機溶媒中に、上記ゲルを置き、振動或いは撹拌により接触させる方法が挙げられる。
上記有機溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、トルエン、ヘキサン等が挙げられる。好ましくはクロロホルム、トルエンである。
振動あるいは攪拌の方法としては、ゲル同士を一定距離以内に近づけることができればいずれの手段でもよく、例えば、ゲル同士を直接接触させる方法、ボルテックスミキサーやシェーカー等の攪拌機や振とう機を用いる方法、超音波を照射する方法などが挙げられる。
3−2.オリゴヌクレオチド
3−2−1.オリゴヌクレオチド含有ゲル
固体状材料として、上記式(1)で表される繰り返し単位及び架橋剤を有するゲルを用いる場合、オリゴヌクレオチドを含有するゲルは、例えば、下記一般式(21)で表される。
Figure 2015030079
(ここで、上記式(21)中、Rは、同一又は異なって水素原子又はメチル基を表す。Aは、置換基を有してもよいアリール基、C(O)OR又はC(O)NHRを表す。Rは、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよいアリールアルキル基を表す。5’-3’で示した部位は、アデニン、チミン、ウラシル、グアニン、シトシンの五種類の塩基から構成される任意の配列のオリゴヌクレオチドを表す。cross-linkerは、2〜4官能性架橋剤を表す。x+y+z=100モル%であって、xは、60〜99.899を示し、yは、0.001〜20を示し、zは、0.1〜20を示す。nは、2〜10,000,000を示す。−r−はランダム結合であることを示す。)
上記式(21)で表されるゲルにおいて、x:y:zの比は、99.899:0.001:0.1〜60:20:20(モル%比)であることが好ましい。特に好ましくは、x:y:z=99.698:0.002:0.3〜98.995:0.005:1(モル%比)である。
上記式(21)で表されるオリゴヌクレオチドを含有するゲルは、例えば、上記式(3)で表される化合物、及び上記2〜4官能性架橋剤並びに下記式(22)で表される化合物を反応させて、製造することができる。
Figure 2015030079
(ここで、上記式(22)中、5’-3’で示した部位は、アデニン、チミン、ウラシル、グアニン、シトシンの五種類の塩基から構成される任意の配列のオリゴヌクレオチドを表す。)
オリゴヌクレオチドとは、4〜20nt程度のヌクレオチド(DNA又はRNA)の配列である。
上記式(22)で表される化合物は、例えば、デオキシリボヌクレオチドに、リン酸アミダイトを反応させて製造する。通常、ヌクレオチドの3'-末端の水酸基を介して担体に結合させ、5'-末端の水酸基の保護基を外した後、5'-末端の水酸基が保護され3'-末端の水酸基が三価のリン酸アミダイト誘導体になった塩基を反応させてリン酸ジエステル結合させ、順次オリゴヌクレオチドを合成する。最後に、末端に重合基を含むリン酸アミダイト化合物を反応させ、末端に重合基を有するオリゴヌクレオチドを合成する。
上記反応は、有機合成反応で一般に使用される溶媒(有機溶媒又は水性溶媒)を使用することができる。有機溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル等が挙げられる。また、水性溶媒としては、水、必要に応じ、リン酸ナトリウムや炭酸ナトリウムなどの塩を含むバッファー等が挙げられる。溶媒を使用する場合、溶媒の使用量は、適宜調節すればよい。
上記式(3)及び(22)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤を反応させる方法は、上記1−1−1に記載した、上記式(3)及び(4)で表される化合物並びに上記2〜4官能性架橋剤のラジカル重合反応と同様である。
3−2−2.接合
上記3−2−1.で得られたゲルを接触させることにより、本発明の接合体を製造することができる。
上記ゲルを接触させる方法としては、具体的には、空気中にて直接ゲルとゲルとを重ねる方法、または、水中に上記ゲルを置き、振動或いは撹拌により接触させる方法が挙げられる。
振動あるいは攪拌の方法としては、ゲル同士を一定距離以内に近づけることができればいずれの手段でもよく、例えば、ゲル同士を直接接触させる方法、ボルテックスミキサーやシェーカー等の攪拌機や振とう機を用いる方法、超音波を照射する方法などが挙げられる。
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細を説明する。本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
[測定機器]
実施例及び比較例において、各種物性は、以下のとおり測定した。
<破断応力測定>
測定機器:株式会社山電製 クリープメータ RE-33005B
測定条件:
掃引速度 0.05-0.1 mm / sec
<引張強度測定>
測定機器:クリープメータ (Rheoner RE-33005B (YAMADEN))
測定条件:
掃引速度 : 0.05-0.1 mm / sec
1H-NMR測定>
測定機器:株式会社日本電子製 ECA500 (溶液NMR)
JEOL JNM-ECA 400 NMR spectrometer (固体1H Field Gradient Magic Angle Spinning
(FGMAS) NMR)
測定温度:30 ℃
溶媒:CDCl3、DMSO-d6、D2O
[共有結合による接合体]
実施例1(固体状材料:ゲル、共有結合:炭素−炭素結合)
(1)ゲルの合成
(1−1)ボロン酸を有するヒドロゲルの合成
Figure 2015030079
アクリルアミド(AAm) (183 mg, 2.6 mmol)、4-フェニルボロン酸(44 mg, 0.3 mmol)、N, N’-メチレンビスアクリルアミド(MBAAm) (19 mg, 0.12 mmol)及び2,2'-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN) (2.5 mg, 0.015 mmol)を、DMSO (1.5 mL)に溶解させ、1時間アルゴンバブリングしたのち、70 ℃で一晩反応させてゲル化させた。得られたゲルを、DMSOで洗浄し、水に浸漬させた。得られたゲルは、4-フェニルボロン酸由来単位:MBAAm由来単位=10:4(モル組成比)であった。得られたゲルの1H-FGMAS NMR(JEOL JNM-ECA 400 NMR spectrometer、D2O、30℃)データを図1に示した。
(1−2)ハロゲン化アリール基を有するヒドロゲルの合成
Figure 2015030079
AAm (183 mg, 2.6 mmol)、アクリル酸(AA) (20.6 μL, 0.3 mmol)、MBAAm (19 mg, 0.12 mmol)及びAIBN (2.5 mmol, 0.015 mmol)を、DMSO (1.5 mL)に溶解させ、1時間アルゴンバブリングしたのち、70℃で一晩反応させてゲル化させた。得られたゲルを、4-ヨードアニリン(197 mg, 0.9 mmol)、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリスジメチルアミノホスホニウム塩(Bop 試薬)(39 mg, 0.9 mmol)及びトリエチルアミン(124 μL, 0.9 mmol)を溶解させたDMSO溶液に浸し、48時間反応させた。得られたゲルを、DMSOで洗浄し、水に浸漬させた。得られたゲルは、ハロゲン化アリール基修飾アクリル酸由来単位:MBAAm由来単位=10:2(モル組成比)であった。得られたゲルの1H- FGMAS NMRデータ(JEOL JNM-ECA 400 NMR spectrometer、D2O、30℃)を図1に示した。
(2)接合(鈴木・宮浦カップリング)
上記(1−1)及び(1−2)で得られたゲルを、4 mm×3 mm×2 mmになるように切り出し、4 mm×3 mm平面を接触面とした。接触面で二つのゲルを重ね、炭酸カリウム水溶液(0.1 g/mL)に浸し、酢酸パラジウムのアセトン溶液を添加して、1時間静置したところ、接触面で接合した。
比較例1
実施例1の(2)において、酢酸パラジウムのアセトン溶液を添加せずに1時間静置したところ、接合は見られなかった。
比較例2
(1−2)において、アクリル酸を用いずにゲルを作製した以外は、実施例1と同様にしたが、接合は見られなかった。
比較例3
(1−2)において、4-ヨードアニリンを縮合させずに接合に供した以外は、実施例1と同様にしたが、接合は見られなかった。
試験例1(接合強度評価)
実施例1の(1−1)及び(1−2)で得られたゲルを、4 mm×3 mm×2 mmになるように切り出し、4 mm×3 mm平面を接触面とした。接触面で二つのゲルを重ね、炭酸カリウム水溶液(0.1 g/mL)に浸し、酢酸パラジウムのアセトン溶液を添加して、45分、1時間、2時間、5時間、9時間、15時間、24時間、39時間、48時間静置することにより接合したゲルについて、それぞれ破断時の応力を測定し、時間変化に対する応力の値の変化を求めた。結果を図2に示した。
試験例2(置換基導入量による接合強度評価)
(1)実施例1の(1−1)において、4-フェニルボロン酸及びMBAAmの使用量(以下、[4-フェニルボロン酸の使用量:MBAAmの使用量]と表記)を、それぞれ、[9mg (0.06mmol):19mg(0.12mmol)]、[22mg(0.15mmol):19mg(0.12mmol)]、[66mg(0.45mmol):19mg(0.12mmol)]、[88mg(0.6mmol):19mg(0.12mmol)]とし、それぞれ、4-フェニルボロン酸由来単位:MBAAm由来単位=(2:4)、(5:4)、(15:4)、(20 : 4)(モル組成比)のゲルを得た。
(2)実施例1の(1−2)において、同様に、アクリル酸及びMBAAmの使用量(以下、[アクリル酸の使用量:MBAAmの使用量]と表記)を、それぞれ、[4.1μm (0.06mmol):19mg(0.12mmol)]、[10.3μm (0.15mmol):19mg(0.12mmol)]、[30.9μm (0.45mmol):19mg(0.12mmol)]、[41.2μm (0.6mmol):19mg(0.12mmol)]とし、それぞれ、ハロゲン化アリール基修飾アクリル酸由来単位:MBAAm由来単位=(2:2)、(5:2)、(15:2)、(20:2)(モル組成比)のゲルを得た。
(3)上記(1)及び(2)で得られたゲルについて、ボロン酸及びハロゲン化アリール基の導入率が等しいゲル同士を、それぞれ、実施例1の(2)と同様にして、24時間静置し、接合させた。得られた4種のゲル及び実施例1の(2)で得られたゲルについて、破断応力を測定した。結果を図3に示した。
実施例2(固体状材料:ゲル、共有結合:炭素−窒素結合)
(1)ゲルの合成
(1−1)導入する置換基(N-(2-アミノエチル)-4-アジドベンズアミド) の合成
N-ヒドロキシスクシンイミド (348 mg, 3 mmol)及び4-アジド安息香酸(500 mg, 3 mmol)を、ジクロロメタン/N,N-ジメチルホルムアミド:1/1 (v/v)混合溶媒に溶解し、氷冷下で、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル) カルボジイミド塩酸塩 (EDC) (385 mg, 4 mmol)を加えた。これを室温まで昇温し、終夜攪拌した。次いでジクロロメタンを留去し、氷水を加え、析出した固体をろ取した。酢酸エチルを用いて再結晶し、得られた結晶をジクロロメタン50 mLに溶解し、エチレンジアミン (12.5 mmol) のジクロロメタン溶液 (200 mL)に滴下し、24時間攪拌した。ジクロロメタン:エタノール(2:1 v/v)と少量のアンモニア水を用い、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより目的物を精製した。
(1−2)アジド基含有ヒドロゲルの合成
Figure 2015030079
AAm (183 mg, 2.6 mmol)、アクリル酸(AA) (20.6 μL, 0.3 mmol)、MBAAm (19 mg, 0.12 mmol)及びAIBN (2.5 mmol, 0.015 mmol) を、DMSO (1.5 mL)に溶解させ、1時間アルゴンバブリングしたのち、70℃で一晩反応させてゲル化させた。ゲルをN-(2-アミノエチル)-4-アジドベンズアミド (184 mg, 0.9 mmol), Bop 試薬(39 mg, 0.9 mmol) 及びトリエチルアミン(124 μL, 0.9 mmol)を溶解させたDMSO溶液に浸し、48時間反応させた。得られたゲルをDMSOで洗浄し、水に浸漬させた。
(1−3)プロパルギル基含有ヒドロゲルの合成
Figure 2015030079
AAm (183 mg, 2.6 mmol)、アクリル酸(AA) (20.6 μL, 0.3 mmol)、MBAAm (19 mg, 0.12 mmol)及びAIBN (2.5 mmol, 0.015 mmol) を、DMSO (1.5 mL)に溶解させ、1時間アルゴンバブリングしたのち、70 ℃で一晩反応させてゲル化させた。ゲルをプロパルギルアミン (61μL , 0.9 mmol)、Bop 試薬 (39 mg, 0.9 mmol)及びトリエチルアミン(124 μL, 0.9 mmol)を溶解させたDMSO溶液に浸し、48時間反応させた。得られたゲルをDMSOで洗浄し、水に浸漬させた。
(2)接合(アジド−アルキン環化付加反応)
上記(1−2)及び(1−3)で得られたゲルを、4 mm×3 mm×2 mmになるように切り出し、4 mm×3 mm平面を接触面とした。接触面で二つのゲルを重ね、硫酸銅五水和物/アスコルビン酸ナトリウム=1/1.5 (mol/mol)を水に懸濁させて添加し、8時間静置したところ、接触面で接合した。
比較例4
(1−2)のアジド基含有ヒドロゲルの代わりに、アクリルアミドゲル(AAm (183 mg, 2.6 mmol)、MBAAm (19 mg, 0.12 mmol)及びAPS (Ammonium persulfate (ペルオキソ二硫酸アンモニウム)、2.5 mmol, 0.015 mmol) を、水(1.5 mL)に溶解させ、1時間アルゴンバブリングしたのち、70 ℃で一晩反応させて、得られたゲル)を用いた以外は、実施例2の(2)と同様にしたが、接合は見られなかった。
比較例5
(1−3)のプロパルギル基含有ヒドロゲルの代わりに、アクリルアミドゲル(AAm (183 mg, 2.6 mmol)、MBAAm (19 mg, 0.12 mmol)及びAPS (Ammonium persulfate (ペルオキソ二硫酸アンモニウム)、2.5 mmol, 0.015 mmol) を、水(1.5 mL)に溶解させ、1時間アルゴンバブリングしたのち、70 ℃で一晩反応させて、得られたゲル)を用いた以外は、実施例2の(2)と同様にしたが、接合は見られなかった。
比較例6
実施例2の(2)において、アスコルビン酸ナトリウムを添加せずに8時間静置したところ、接合は見られなかった。
比較例7
実施例2の(2)において、硫酸銅五水和物を添加せずに8時間静置したところ、接合は見られなかった。
実施例3(固体状材料:ゲル及びガラス基板、共有結合:炭素−炭素結合)
(1)ボロン酸を有するガラス基板の作製
Figure 2015030079
オゾン処理した25 mm×50 mmのガラス基板に、50 mMの3-アミノプロピルトリエトキシシランのトルエン溶液 (70 mL)を加え、24時間攪拌した。トルエンで3回洗浄した後、4-カルボキシフェニルボロン酸(250 mg, 1.5 mmol)、トリエチルアミン (0.30 mL, 2.1 mmol)及びBop試薬 (930 m g, 2.1 mmol) のDMSO溶液 (70 mL) を加え、24時間攪拌した。得られた表面修飾ガラス基板をDMSOで3回洗浄し、水で3回洗浄した。接触角測定(Dynamic Contact Anglye Analyzer (協和界面科学株式会社) DCA-700)の結果、反応後に接触角が大きくなっており、ガラス基板が親水性から疎水性に変化していることが判り、官能基が修飾されていることを確認した。
(2)接合(鈴木・宮浦カップリング)
3 mm×3 mm×2 mmに切り出した実施例1の(1−2)で得られたゲルの、3 mm×3 mm面に、上記(1)で作製した基板を重ねた。炭酸カリウム水溶液(0.1 g/mL)に浸し、酢酸パラジウムのアセトン溶液を添加し、24時間静置したところ、接触面で接合した。
実施例4(固体状材料:ゲル及びガラス基板、共有結合:炭素−炭素結合)
(1)ハロゲン化アリール基を有するガラス基板の作製
Figure 2015030079
オゾン処理した25 mm×50 mmのガラス基板に、50 mMの3-アミノプロピルトリエトキシシランのトルエン溶液 (70 mL)を加え、24時間攪拌した。トルエンで3回洗浄した後、4-ヨード安息香酸(434 mg, 1.6 mmol)、トリエチルアミン(0.30 mL, 2.1 mmol)及びBop試薬 (930 m g, 2.1 mmol) のDMSO溶液(70 mL) を加え、24時間攪拌した。得られた表面修飾ガラス基板をDMSOで3回洗浄し、水で3回洗浄した。接触角測定(Dynamic Contact Anglye Analyzer (協和界面科学株式会社) DCA-700)の結果、反応後に接触角が大きくなっており、ガラス基板が親水性から疎水性に変化していることが判り、官能基が修飾されていることを確認した。
(2)接合(鈴木・宮浦カップリング)
3 mm×3 mm×2 mmに切り出した実施例1の(1−1)で得られたゲルの、3 mm×3 mm面に、上記(1)で作製した基板を重ねた。炭酸カリウム水溶液(0.1 g/mL)に浸し、酢酸パラジウムのアセトン溶液を添加し、24時間静置したところ、接触面で接合した。
実施例5(固体状材料:ゲル及びガラス基板、共有結合:炭素−窒素結合)
(1)アジド基を有するガラス基板の作製
Figure 2015030079
オゾン処理した25 mm×50 mmのガラス基板に、50 mMの3-アミノプロピルトリエトキシシランのトルエン溶液 (70 mL)を加え、24時間攪拌した。トルエンで3回洗浄した後、4-アジド安息香酸 (285 mg, 1.75 mmol)、トリエチルアミン(0.30 mL, 2.1 mmol)及びBop試薬 (930 m g, 2.1 mmol) のDMSO溶液(70 mL) を加え、24時間攪拌した。得られた表面修飾ガラス基板をDMSOで3回洗浄し、水で3回洗浄した。接触角測定(Dynamic Contact Anglye Analyzer (協和界面科学株式会社) DCA-700)の結果、反応後に接触角が大きくなっており、ガラス基板が親水性から疎水性に変化していることが判り、官能基が修飾されていることを確認した。
(2)接合(アジド−アルキン環化付加反応)
3 mm×3 mm×2 mmに切り出した実施例2の(1−3)で得られたゲルの、3 mm×3 mm面に、上記(1)で作製した基板を重ねた。硫酸銅五水和物/アスコルビン酸ナトリウム: 1/1.5 (mol/mol)を水に懸濁させて添加し、24時間静置したところ、接触面で接合した。
実施例6(固体状材料:ゲル、共有結合:アミド結合、ホスト−ゲスト相互作用)
(1)カルボキシ基及びホスト基含有ゲルの合成
Figure 2015030079
AAm (103 mg, 1.44 mmol)、AA (5.7 μL, 0.08 mmol)、6-アクリルアミド-βCD (98 mg, 0.08 mmol)、MBAAm (5.3 mg, 0.03 mmol)、二硫酸アンモニウム (APS) (20 mg, 0.09 mmol)及びN,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)(12.4 μL)を、水 (0.75 mL)に溶解させ、1時間アルゴンバブリングしたのち、室温で一晩反応させて、ゲル化させた。得られたゲルを、水で洗浄した。
(2)アミノ基及びゲスト基含有ゲルの合成
Figure 2015030079
AAm (103 mg, 1.44 mmol)、アリルアミン(12.5 μL, 0.08 mmol)、1-アダマンタンアクリルアミド (17.6 mg, 0.08 mmol)、MBAAm (5.3 mg, 0.03 mmol)、APS (20 mg, 0.09 mmol)及びTEMED (12.4 μL) を、水 (0.75 mL)に溶解させ、1時間アルゴンバブリングしたのち、室温で一晩反応させて、ゲル化させた。得られたゲルを、水で洗浄した。
(3)接合(ホスト−ゲスト相互作用及びアミド結合形成反応)
上記(1)及び(2)で得られたゲルを、3 mm×3 mm×3 mmになるように切り出し、水中にて、二つのゲルを重ねた。24時間後、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2- イル)-4-メチルモルホリニウムクロライド(DMT-MM)を添加して、48時間静置したところ、接触面で接合した。
参考例1(競争試験)
実施例6で得られた接合したゲルを、DMT-MM存在下、水中に置き、アダマンタンアミン塩酸塩を加え1日静置したところ、ゲルの解離は見られなかった。
試験例3(接合強度評価)
実施例6の(3)における、DMT-MM添加前のゲル、DMAT-MMを添加して48時間静置したゲル、及び参考例1におけるアダマンタンアミン塩酸塩を加え1日静置したゲルについて、破断応力を測定した。結果を図4に示した。
[配位結合による接合体]
実施例7
(1)ゲルの合成
(1−1)アポ西洋わさびペルオキシダーゼ(apHRP)で修飾されたゲルの合成
Figure 2015030079
(1−1−1)AAm-AAc gelの合成
アクリルアミド(AAm) (0.29 g, 4.1 mmol)、アクリル酸(AAc) (3.0 mg, 42 μmol)及びN,N’-メチレンビスアクリルアミド(MBAAm) (13 mg, 83 μmol)を0.1 M水酸化ナトリウム水溶液(NaOH aq.) (2.0 mL)に溶解した。その溶液にペルオキソ二硫酸アンモニウム(APS) (19 mg, 83 μmol)及びN,N,N',N'-テトラメチル-1,2-エタンジアミン(TEMED) (12 μL, 83 μmol)を添加し、室温にて1時間静置し、ゲル化させた。得られたゲルを、大量の水を用いて洗浄し、モノマーと開始剤を除いた。その後、0.1 M 2-モルホリノエタンスルホン酸緩衝溶液 (MES buffer) (pH 5.6)に浸漬した。
(1−1−2)SulfoNHS gelの合成
AAm-AAc gelを、10 mM 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)及び20 mM 1-ヒドロキシ-2,5-ジオキソ-3-ピロリジンスルホン酸ナトリウム(sulfoNHS)の0.1 M MES buffer (pH 5.6)混合溶液に、10時間、室温で浸漬した。得られたゲルを、大量の0.1 M MES buffer (pH 5.6)にて洗浄した。
(1−1−3)apoHRP (x) gelの合成
sulfoNHS gelを374 μMアポ西洋わさびペルオキシダーゼ水溶液(10 mL)に14時間、室温で浸漬した。得られたゲルを、0.1 M MES buffer (pH 5.6)にて洗浄後、バッファー[DMSOを4wt%含む50 mMリン酸ナトリウム緩衝溶液(pH 7.0)]に浸漬した。アポ西洋わさびペルオキシダーゼで修飾されたアクリル酸由来単位が0.8mol%(33μmol)のゲルを得た。
当該アクリル酸由来単位は、得られたゲル(膜厚 50 μm)について、直接、紫外可視近赤外(UV-Vis)分光測定を行い、溶液中のapoHRP由来の278 nmの吸光度を用いて、下記ランバートベールの式(A)を用いて算出した。
Figure 2015030079
(1−2)鉄ポルフィリンで修飾されたゲルの合成
Figure 2015030079
(1−2−1)NHS gelの合成
AAm (0.27g, 3.9mmol)、MBAAm (12g, 0.08mmol)及びN-アクリル酸スクシンイミジル(NHS-AAm) (30mg, 0.12mmol)を、ジメチルスルホキシド(DMSO)(2.0mL)に溶解し、アルゴンガスを用いて3時間バブリングした後、2-ケトグルタル酸(3.0mg, 21μmol)を添加し、60℃にて8時間静置し、ゲル化させた。
(1−2−2)FePor gelの合成
NHS gelを、鉄ポルフィリン(FePor)を溶解したDMSOに浸漬した。得られたゲルを、大量のDMSOで洗浄後、バッファーに浸漬した。鉄ポルフィリンで修飾されたNHS-AAm由来単位が1.0 mol%( 0.041mmol)のゲルを得た。NHS-AAm由来単位の算出は、上記(1−1−3)と同様にして、下記のとおり算出した。
Figure 2015030079
(2)接合(配位結合)
上記(1−1)及び(1−2)で得られたゲルを、5 mm×5mm×2 mmになるように切り出し、5mm×5mm平面を接触面とした。接触面で二つのゲルを重ね、4℃で45分静置したところ、接触面で接合した。
比較例8
実施例7の(2)において、(1−1)で得られたゲル同士を用いたところ、接合は見られなかった。
比較例9
実施例7の(2)において、(1−2)で得られたゲル同士を用いたところ、接合は見られなかった。
比較例10
(1)ブランクゲルの合成
Figure 2015030079
AAm (0.29 g, 4.1 mmol)及びMBAAm (13 mg, 83 μmol)を、0.1 M NaOH水溶液(2.0 mL)に溶解した。そこへ、APS (19 mg, 83 μmol)及びTEMED (12 μL, 83 μmol)を加え、ゲル化させた。このゲルを、大量の水を用いて洗浄することで、モノマーと開始剤を除いた後に、バッファーに浸漬した。
(2)接合
実施例7の(2)において、(1−1)のアポ西洋わさびペルオキシダーゼで修飾されたゲルの代わりに、上記(1)で得られたゲルを用いた以外は、同様にしたが、接合は見られなかった。
比較例11
実施例7の(2)において、(1−2)の鉄ポルフィリンで修飾されたゲルの代わりに、上記比較例10の(1)で得られたゲルを用いた以外は、同様にしたが、接合は見られなかった。
比較例12
(1)鉄が導入されていないポルフィリンで修飾されたゲルの合成
実施例7の(1−2−2)において、鉄ポルフィリン(FePor)の代わりに鉄の配位していないポルフィリン(2HPor)を用いた以外は同様にして、ゲルを合成した。同定は、実施例7と同様にして、下記のとおり行った。
Figure 2015030079
(2)接合
(1−2)の鉄ポルフィリンで修飾されたゲルの代わりに、上記(1)で得られた鉄が導入されていないポルフィリンで修飾されたゲルを用いた以外は、実施例7の(2)と同様にしたが、接合は見られなかった。
参考例2(競争試験)
実施例7で得られた接合したゲルを、4 ℃にて20分間バッファー中で振とうしたが、ゲルの解離は見られなかった。バッファーを取り除き、350 μMのapoHRPバッファー溶液を添加し4 ℃にて20分間振とうすると、接合部分からゲルが解離した。
試験例4(触媒活性評価)
5 mM H2O2及び2.0 mMピロガロールを溶解させたバッファー溶液中に、実施例7の(1−1)及び(1−2)で得られたゲル(5 mm×5mm×2 mm)を入れ、上から5 gの重りを乗せ、ゲル同士を密着させた。この際の、ピロガロールの酸化を追跡した吸光度420 nmの変化を測定した。結果を図5に示した。
試験例5(アポ酵素及び補因子の量変化による触媒活性変化)
(1)実施例7の(1−2)において、NHS-AAmの使用量を、10mg (0.04mmol)とし、同様にして、鉄ポルフィリンで修飾されたNHS-AAm由来単位が0.47mmolのゲルを得た。
(2)実施例7の(1−1)において、アポ西洋わさびペルオキシダーゼ水溶液として35 μM のものを用いた以外は、同様にして、アポ西洋わさびペルオキシダーゼで修飾されたアクリル酸由来単位が0.22 mol%( 9.1μmol)のゲルを得た。
(3)実施例7の(1−1)及び(1−2)で得られたゲルに代えて、実施例7の(1−1)で得られたゲル及び上記(1)で得られたゲル、実施例7の(1−2)で得られたゲル及び上記(2)で得られたゲル、上記(1)で得られたゲル及び上記(2)で得られたゲル、の組み合わせについて、試験例4と同様の試験を行った。試験例4の結果と併せて、結果を図6に示した。
試験例6(空気中での触媒活性評価)
0.5 mM ABTSと5.0 mM H2O2を溶解させたバッファー溶液に、実施例7の(1−1)で得られたゲルを一日浸漬させ、それを取り出し、表面をバッファーで洗浄した後に(5 mm×5mm×2 mm)、実施例7の(1−2)で得られたゲルを重ね、さらに5 gの重りを上から重ねて、室温で静置したところ、ゲルの接触面のみ、ABTSの過酸化物由来の青色が呈色した。
試験例7(接合−解離による触媒活性のコントロール)
2.0 mM ピロガロールと5.0 mM H2O2を溶解させたバッファー溶液中で、実施例7の(1−1)及び(1−2)で得られたゲルを重ね、さらに5gの重りを上から重ねて、ピロガロールの酸化反応を行い、2分置きに、下記(a)及び(b)の行為を繰り返した。
(a)ピンセットを用いて重りを取り除き、FePorを直接掴んで解離させる
(b)FePorをapoHRPの上に乗せ、その上に重り(5 g)を乗せて接合する
結果を図7に示した。
[水素結合による接合体]
実施例8
(1)ゲルの合成
(1−1−1)アデニン含有モノマーの合成
Figure 2015030079
アデニン (3.4 g, 25 mmol、炭酸カリウム(3.8 g, 27 mmol)、よう化ナトリウム (45 mg, 0.3 mmol)及びヒドロキノン(5.0 mg, 0.05 mmol) を、アルゴン雰囲気下でN,N-ジメチルホルムアミド (DMF) 50 ml に懸濁させ、4-クロロメチルスチレン (3.6 ml, 25 mmol) を加えて、160℃で一晩加熱還流した。これを熱時ろ過し、DMF 2 × 25 ml で洗浄した。ろ液を濃縮乾固させ、シリカゲル 15 g、クロロホルム 2 × 50 ml を加えてろ過し、ろ液を集めた。これを濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロホルム:メタノール = 95 : 5, Rf = 0.24) により精製し、白色固体を0.49g(収率8%)得た。1H-NMRデータを図8に示した。
(1−1−2)アデニン含有ゲルの合成
Figure 2015030079
全モノマー濃度 2 Mとなるように、上記(1−1−1)で得られたアデニン含有モノマー5 mol% (25.1 mg)、ジビニルベンゼン10 mol% (28.5 μL)、スチレン 85 mol% (195.4 μL)及びアゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 1 mol% (3.3 mg) の比で混合して、DMF (1 mL) に溶解し、この溶液に、アルゴンバブリングを 1時間行い、オイルバス中で70 ℃に加熱し、重合した。得られたゲルを、トルエンで繰り返し洗浄して溶媒置換し、ゲルを得た。
(1−2−1)チミン含有モノマーの合成
Figure 2015030079
チミン (1.2 g, 10 mmol)及び水酸化カリウム0.63 g (11 mmol) を水中に均一溶解させ、凍結乾燥した。ここに、ヒドロキノン 5.0 mg (0.05 mmol) を加え、アルゴン雰囲気下でDMF 260 ml、4-クロロメチルスチレン (1.4 ml, 10 mmol) を加えて、70℃で11時間撹拌した。溶媒を留去し、トルエンより再結晶して、白色固体を0.51 g(収率22%)得た。1H-NMRデータを図9に示した。
(1−2−2)チミン含有ゲルの合成
全モノマー濃度 2 Mとなるように、上記(1−2−1)で得られたチミン含有モノマー 5 mol% (24.2 mg)、ジビニルベンゼン10 mol% (28.5 μL)、スチレン 85 mol% (195.4 μL)及びアゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 1 mol% (3.3 mg) の比で混合して、DMF (1 mL) に溶解し、この溶液に、アルゴンバブリングを 1時間行い、オイルバス中で70 ℃に加熱し、重合した。得られたゲルを、トルエンで繰り返し洗浄して溶媒置換し、ゲルを得た。
(2)接合(水素結合)
上記(1−1−2)及び(1−2−2)で得られたゲルを、3 mm×3 mm×3 mmになるように切り出し、トルエン(3mL)中にて振とうしたところ、ゲル同士が接合した。
実施例9
(1)ゲルの合成
(1−1)オリゴヌクレオチドモノマーの合成
市販のDNA合成装置を用いてホスホロアミダイト法により、3’末端より下記(1−1−1’)及び(1−1−2’)のオリゴヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドを合成した。
(1−1−1’):5'- TTTTTCACAGATGAGT-3’
(1−1−2’):5’- TTTTACTCATCTGTGA-3'
当該配列の5’末端に、それぞれ下記式(23)で示される化合物(Acr)を反応させ、下記[化39]に示すように(ただし、ヌクレオチドの一部は省略している)、5’末端に二重結合を有するオリゴヌクレオチドモノマー(1−1−1)及び(1−1−2)を合成した。
Figure 2015030079
Figure 2015030079
(1−1−1):5'-Acr-TTTTTCACAGATGAGT-3’
(1−1−2):5’-Acr-TTTTACTCATCTGTGA-3'
(1−2)オリゴヌクレオチド含有ゲルの合成
AAm (69.7 mg, 0.98 mmol)、上記(1−1−1)の配列を有するオリゴヌクレオチドモノマー(20 nmol)、MBAAm (0.8 mg, 0.005 mmol)、二硫酸アンモニウム(APS) (2.3 mg, 0.01 mmol)及びN,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン (TEMED)(1.5 μL, 0.01 mmol)を、水 (1 mL)に溶解させ、室温で一晩反応させて、ゲル化させた。得られたゲルを、水で洗浄した。
上記(1−1−2)の配列を有するオリゴヌクレオチドモノマーについても、同様にして、ゲルを得た。
(2)接合(水素結合)
上記(1−1−1)及び(1−1−2)の配列を有するゲルを、5 mm×5 mm×5 mmになるように切り出し、直接接触させ、冷蔵庫内にて一晩静置したところ、接触面で接合した。
比較例13
(1)ゲルの合成
実施例9の(1)と同様にして、配列5'-Acr-TTTTTTTTTTTTTTTT-3'(1−1−3)を有するゲルを作製した。
(2)接合(水素結合)
ゲルの組み合わせを、上記(1−1−1)及び(1−1−3)の配列を有するゲル、上記(1−1−2)及び(1−1−3)の配列を有するゲルに代えて、実施例9の(2)と同様にしたところ、接合は見られなかった。
試験例8
50 mM NaCl及び10 mM MgCl210 mMを溶解させたTris/HCl buffer (pH 8)で溶媒置換した、実施例9及び比較例10で得られたゲルを、8mm×4 mm×2 mmになるように切り出し、4 mm×2 mmの面で、(1−1−1)及び(1−1−2)、(1−1−1)及び(1−1−3)、(1−1−2)及び(1−1−3)の組み合わせで接触させ、各3回ずつ、引っ張り試験を行った。得られた破断強度の結果、及び応力−ひずみ曲線を、図10及び図11に示した。
本発明の接合体は、化学的結合が共有結合の場合、安定で強固に接合することができる。
また、本発明の接合体は、化学的結合が配位結合(特に、アポ酵素−補因子相互作用)の場合、接合体に触媒作用を付与することができる。そして、その触媒作用を、人為的に制御可能であることから、薬あるいは実験系酵素反応等への応用が期待できる。
さらに、本発明は、化学的結合が水素結合(特に、核酸塩基対間の相補的相互作用)の場合、極めて精密に、選択的に接合することができる。また、核酸塩基対間の相補的相互作用を利用した接合体は、DNA配列認識用に用いることができる。

Claims (20)

  1. 2以上の同一又は異なる固体状材料を、それらの接触界面で、直接、化学的結合により接合させてなる接合体。
  2. 化学的結合が、共有結合である、請求項1に記載の接合体。
  3. 固体状材料が、ゲル及びガラスから選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の接合体。
  4. 固体状材料が、ボロン酸基を含有する固体状材料、及びハロゲン化アリール基を含有する固体状材料である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の接合体。
  5. 固体状材料が、アジド基を含有する固体状材料、及びエチニル基を含有する固体状材料である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の接合体。
  6. 固体状材料が、カルボキシ基を含有する固体状材料、及びアミノ基を含有する固体状材料である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の接合体。
  7. 化学的結合として、さらに、非共有結合を含む、請求項2に記載の接合体。
  8. 化学的結合が、配位結合である、請求項1に記載の接合体。
  9. 固体状材料が、ゲルである、請求項8に記載の接合体。
  10. 固体状材料が、アポ酵素を含有するゲル、及び補因子を含有するゲルである、請求項8又は9に記載の接合体。
  11. 化学的結合が、水素結合である、請求項1に記載の接合体。
  12. 固体状材料が、ゲルである、請求項11に記載の接合体。
  13. 固体状材料が、1種の核酸塩基を含有するゲル、及び当該核酸塩基と相補的な核酸塩基を含有するゲルである、請求項11又は12に記載の接合体。
  14. 固体状材料が、オリゴヌクレオチドを含有するゲルである、請求項11〜13のいずれか1項に記載の接合体。
  15. 2以上の同一又は異なる固体状材料を、それらの接触界面で、直接、化学的に結合させることにより、接合体を製造する方法。
  16. ボロン酸基を含有する固体状材料と、ハロゲン化アリール基を含有する固体状材料とを、それらの接触界面で、触媒の存在下で反応させることにより、接合体を製造する方法。
  17. アジド基を含有する固体状材料と、エチニル基を含有する固体状材料とを、それらの接触界面で、触媒の存在下で反応させることにより、接合体を製造する方法。
  18. カルボキシ基を含有する固体状材料と、アミノ基を含有する固体状材料とを、それらの接触界面で、触媒の存在下で反応させることにより、接合体を製造する方法。
  19. アポ酵素を含有するゲルと、補因子を含有するゲルとを接触させることにより、接合体を製造する方法。
  20. 1種の核酸塩基を含有するゲルと、当該核酸塩基と相補的な核酸塩基を含有するゲルとを、溶媒中で接触させることにより、接合体を製造する方法。
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