以下、図面を用いながら、開示の無線通信方法、無線通信システム、無線端末、無線基地局および制御装置の実施形態について説明する。尚、便宜上別個の実施形態として説明するが、各実施形態を組み合わせることで、組合せの効果を得て、更に、有用性を高めることもできることはいうまでもない。
[問題の所在]
ここでは、各実施形態を説明する前に、従来技術における問題の所在を説明する。
以下では特に断りのない限り、ホワイトスペース型のコグニティブ無線において複数のセカンダリシステムが共存する場合を考える。ここで、前提として、2つのセカンダリシステムの一方が同期システムであり他方が非同期システムであるものとする。
本願において同期システムとは、無線通信装置同士が同期して無線通信を行う無線通信システムを指す。同期システムとしては、例えば、LTEシステム、WiMAXシステム等が挙げられる。これらの無線通信システムにおいては、基地局と端末とが同期して無線通信を行う。また、基地局が端末と同期していることを前提に、基地局が端末に対してスケジューリングを行う。端末による無線信号の送信タイミングは、基地局が行うスケジューリングにより決定される。また、このスケジューリングにより、各端末により送信される無線信号同士の衝突が回避される。
一方、本願において非同期システムとは、無線通信装置同士が同期せずに無線通信を行う無線通信システムを指す。非同期システムとしては、例えば、Wi-Fiシステム、Zigbeeシステム等が挙げられる。これらの無線通信システムにおいては、基地局(アクセスポイント)と端末、もしくは端末同士が同期せずに無線通信を行う。また、基地局と端末との同期を前提としておらず、基地局は端末に対してスケジューリングを行わない。端末による無線信号の送信タイミングは、端末自身が自律的に決定する。
また、非同期システムにおいては、各端末や基地局により送信される無線信号同士の衝突を避けるために、キャリアセンスが行われるものが多い。例えば、端末が無線信号を送信する場合にキャリアセンスを行い、他装置が送信した無線信号を測定する。そして、測定されなかった場合にだけ無線信号を送信し、測定された場合には無線信号の送信を延期する。これにより、各端末により送信される無線信号同士の衝突が回避される。
以下では、一例として、共存する2つのセカンダリシステムのうち、同期システムがLTEシステムであり、非同期システムがWi-Fiシステムである場合を説明する。共存する2つのセカンダリシステムがその他の同期システムと非同期システムの組合せであっても、これと同様に説明できることに留意されたい。Wi-FiシステムやZigbeeシステム等においてもこのキャリアセンスによる無線信号の衝突回避が行われている。
次の前提として、共存する2つのセカンダリシステムにおいて、非同期システムが同期システムに干渉を与えうるとする。これは、非同期システムと同期システムとが2つの条件を満たすことを意味している。
1つ目の条件は、非同期システムの使用する周波数帯と同期システムの使用する周波数帯とが衝突していることである。より具体的には、非同期システムの使用する周波数帯が同期システムの使用する周波数帯と同一である、一部が重複する、あるいは、近接することを意味する。ここでそれぞれの周波数帯は(周波数)チャネル、キャリア等と呼んでもよい。
2つ目の条件は、非同期システムの無線信号が同期システムに到達することである。より具体的には、非同期システムに属する無線通信装置のいずれかが送信する無線信号(電波)が、同期システムに属する無線通信装置のいずれかに到達することを意味する。ここで無線通信装置は基地局か端末かは問わない。非同期システムによる無線信号の到達性は種々の要因によって決まるが、一般的には、非同期システムと同期システムの物理的な距離が近いほど、到達性が高まる。また、非同期システムによる無線信号の送信電力が大きいほど、到達性が高まる。
以上の前提を満たす状況において発生しうる問題を以下に説明する。
まず、以上の前提の下で、最も単純にWi-Fiシステム(非同期システム)とLTEシステム(同期システム)とを運用する場合を考える。このとき、図1に示されるように、基本的にLTEシステムは継続的に(各サブフレームで)通信を行うことになる。LTEシステムにおいては、データ信号や制御信号の送信タイミングは基地局が自由にスケジューリングできるが、システム全体のスループットを考慮すると送信タイミングに偏りが無い方が望ましい結果になりやすいので、通常は継続的に通信が行われることになる。言い換えれば、LTEシステムでは各サブフレームで何らかの無線信号が送信される。
この場合、Wi-Fiシステムの端末や基地局がどのタイミングで無線信号を送信したとしても、Wi-Fiシステムが送信した無線信号がLTEシステムに対して干渉を与えることになってしまう。したがって、Wi-Fiシステムが、LTEシステムに干渉を与えずに無線信号を送信することはできないということになる。すなわち、共存する2つのセカンダリシステム間の干渉を全く抑制できないという問題がある。
加えて、前述したように、Wi-Fiシステムの端末や基地局は無線信号の送信に際してキャリアセンスを行う。図1の場合、Wi-Fiシステムの端末や基地局がどのタイミングでキャリアセンスを行ったとしても、LTEシステムによって送信された無線信号を検出してしまう。そのため、図1に示すような最も単純な共存においては、Wi-Fiシステムはそもそも無線信号を送信する機会が得られないという問題もある。
これらの問題を解決するためには、図2に示されるように、LTEシステム(同期システム)が無線信号の送信を停止する期間(無線信号の送信を行わない期間)を設ければよい。本願においてはこの期間をLTE送信停止期間と呼ぶが、一般にギャップ期間と呼ばれることがある。LTE送信停止期間は予め間欠的(周期的)に設けることとしてもよいし、必要な時に必要なだけ設けるようにしても構わない。
図2のようにLTE送信停止期間を設けることにより、Wi-Fiシステムの端末等がLTE送信停止期間以外の期間(図2のLTE送信期間)においてキャリアセンスを行った場合、LTEシステムによる無線信号を検出する(なお、Wi-Fi端末にとっては、この時検出された信号がLTEシステムにより送信されたものか、Wi-Fiシステムの他端末等により送信されたものかは一般的には判別できない)。この場合、Wi-Fiシステムの端末等は無線信号の衝突を避けるために、送信を延期する。したがって、LTEシステムの送信期間においてWi-Fiシステムの端末等は無線信号の送信を行わなくなるため、Wi-FiシステムによるLTEシステムに対する干渉は抑制されると考えられる。
一方、Wi-Fiシステムの端末等がLTE送信停止期間においてキャリアセンスを行った場合、LTEシステムによる無線信号を検出しない(また、このときWi-Fiシステムの他端末等による無線信号も検出されなかったものとする)。この場合、Wi-Fiシステムの端末等は無線信号の衝突の恐れが無いことから、無線信号の送信を行う。言い換えれば、LTE送信停止期間において、Wi-Fiシステムの端末等は無線信号を送信する機会を得ることができる。そして、このときWi-Fiシステムの端末等は、LTEシステムに干渉を与えずに無線信号を送信することができる。
以上で図1〜図2に基づいて説明したように、LTEシステム(同期システム)が送信を行わないLTE送信停止期間を設けることで、Wi-Fiシステム(非同期システム)によるLTEシステム(同期システム)への干渉が撲滅され、当初の目的を達成できるようにも思われる。
しかしながら、図2のようにLTEシステムがLTE送信停止期間を設けたとしても、干渉の問題は残ると考えられる。例えば図3に示されるように、Wi-FiシステムにおいてLTE送信停止期間の終了直前に比較的長い無線信号が送信されるとする。
このとき、Wi-Fiシステムの端末等にとっては、この無線信号の送信開始時にはキャリアセンスに基づいて送信機会を得られる(他のWi-Fi端末や基地局とは衝突していないとする)ため、当該無線信号の送信を開始する。しかしながら、図3に示すように、この無線信号はLTE送信停止期間を超えてLTEシステムの送信期間にずれ込んでしまうと考えられる。一方、LTEシステム側では、LTE送信停止期間が終了すると、Wi-Fiシステムによる無線信号の送信の有無にかかわらず、無線信号の送信を開始することになる。
こうなると、Wi-Fiシステムにより送信された無線信号の一部(LTEシステムの送信期間にずれ込んだ部分)が、LTEシステムに対して干渉を与えることになる。LTE送信停止期間の終了後は本来はLTEシステムによる送信期間であることから、LTEシステムにより送信される信号が希望信号であり、Wi-Fiシステムにより送信される信号は干渉信号となるためである。
また、図3において発生する干渉の長さは、Wi-Fiシステムによる送信開始のタイミングと無線信号の長さとにより変動する。無線信号の長さはデータのサイズと変調方式や符号化方式により変化する。そのため、干渉の長さが一定でないので制御しにくいという問題もある。
以上をまとめると、ホワイトスペース型のコグニティブ無線において複数のセカンダリシステムである非同期システムと同期システムとが共存する場合、同期システムが送信を行わない期間を設けることで、非同期システムによる同期システムへの干渉が撲滅されるようにも思われる。しかしながら、その場合であっても、非同期システムによる無線信号が、同期システムの送信停止期間を超えて送信期間にずれ込んでしまうことにより、非同期システムによる同期システムへの干渉が部分的に発生するという問題が残っている。
なお、ここでは一例として、ホワイトスペース型のコグニティブ無線において複数のセカンダリシステムである非同期システムと同期システムとの間で発生する干渉の問題を論じたが、これと同種の問題は他の状況においても発生しうることに留意する必要がある。より一般的には、(ホワイトスペース型のコグニティブ無線に限らず)非同期システムが同期システムに干渉を与えうる場合において、同種の問題が発生しうると考えられる。したがって、以降で説明する本願開示の技術の適用分野は、ホワイトスペース型のコグニティブ無線において干渉しうる複数のセカンダリシステム間で発生する干渉の低減に限定されるわけではないことに注意されたい。
以下では、以上で述べた問題を解決する各実施形態を説明する。
[第1実施形態]
第1実施形態は、前述した問題を解決する上位概念的な実施形態である。より具体的には、第1実施形態は、同期無線通信を行う同期システムと、該同期システムに干渉を与えうる非同期無線通信を行う非同期システムとを備える無線通信システムにおける無線通信方法であって、前記非同期システムに属する無線端末が、前記同期システムにおける第1無線信号の送信停止期間に関する第1情報を取得し、前記無線端末は、該無線端末が第2無線信号を送信するタイミングを、該第2無線信号の前記送信停止期間後へのずれ込みが抑制されるように前記第1情報に基づいて調整する無線通信方法に係る実施形態である。
まず第1実施形態の前提を説明する。第1実施形態の前提としては、上記の「問題の所在」において説明した前提と同じであるため、ここでは簡単に説明する。
第1実施形態における前提としては、ホワイトスペース型のコグニティブ無線において複数のセカンダリシステムが共存しており、2つのセカンダリシステムの一方が同期システムであり他方が非同期システムであるものとする。ここでは一例として、同期システムがLTEシステムであり、非同期システムがWi-Fiシステムであるとする。もちろん、これら以外の任意の同期システムと非同期システムの組合せにおいて本願の各実施形態を適用可能であることは言うまでもない。
また、非同期システムが同期システムに干渉を与えうるとする。すなわち、非同期システムの使用する周波数帯と同期システムの使用する周波数帯とが衝突しているとともに、非同期システムの無線信号が同期システムに到達するものとする。
なお、第1実施形態および以降の各実施形態においては、一例として、ホワイトスペース型のコグニティブ無線において複数のセカンダリシステムである非同期システムと同期システムとの間で発生する干渉の問題を論じるが、これと同種の問題は他の状況においても発生しうることに留意する必要がある。より一般的には、(ホワイトスペース型のコグニティブ無線に限らず)非同期システムが同期システムに干渉を与えうる場合において、同種の問題が発生しうると考えられる。したがって、本願の各実施形態が適用可能な分野は、ホワイトスペース型のコグニティブ無線において干渉しうる複数のセカンダリシステム間で発生する干渉の低減に限定されるわけではないことに注意されたい。
次に、第1実施形態における更なる前提として、LTEシステムにおいて、図2や図3と同様に、無線信号の送信を停止する期間(無線信号の送信を行わない期間)が設けられるものとする。この期間は、前述したLTE送信停止期間(ギャップ期間)に相当する。LTE送信停止期間は予め間欠的(周期的)に設けることとしてもよいし、必要な時に必要なだけ設けるようにしても構わない。また、LTE送信停止期間はLTEシステムが自律的に(自主的に)設定しても良いし、Wi-Fiシステムまたは第三者からの要求に応じてLTEシステムが設定するものであっても構わない。
図4は第1実施形態のシステム構成を示す図である。
図4に示されるWi-Fiシステム1(非同期システム1)は、1つの基地局(非同期基地局10)と、1つ以上の端末(非同期端末20)とを備える。本願ではWi-Fiシステム1の基地局(非同期基地局10)をWi-Fi基地局10と呼び、Wi-Fiシステム1の端末(非同期端末20)をWi-Fi端末20と呼ぶ。なお、一般的には、Wi-Fi基地局10は(Wi-Fi)アクセスポイントと呼ばれることが多い。
図4に示されるLTEシステム2(同期システム2)は、1つの基地局(同期基地局30)と、1つ以上の端末(同期端末40)とを備える。本願ではLTEシステム2の基地局(同期基地局30)をLTE基地局30と呼び、LTEシステム2の端末(同期端末40)をLTE端末40と呼ぶ。なお、一般的には、LTE基地局30はeNB(evolved Node B)と呼ばれ、LTE端末40はUE(User Equipment)と呼ばれることが多い。
図4で示されるWi-Fiシステム1においては、Wi-Fi基地局10とWi-Fi端末20とが非同期で相互に無線通信を行うことができる。LTEシステム2においては、LTE基地局30とLTE端末40とが同期して相互に無線通信を行うことができる。Wi-Fiシステム1における非同期送信やLTEシステム2における同期送信については、上記の問題の所在で説明した通りであるため、ここでは説明を割愛する。図4におけるWi-Fi基地局10とLTE基地局30とは、網側の有線ネットワーク等を介して相互に通信することができるものとする。
以下では第1実施形態におけるWi-Fi端末20が無線送信を行う場合について説明する。第1実施形態におけるWi-Fi基地局10が無線送信を行う場合については、Wi-Fi端末20とほぼ同様に動作することが可能であるため、説明を割愛する(以降の実施形態でも同様である)。
図5は、第1実施形態におけるWi-Fi端末20が無線送信を行う場合の処理シーケンスの一例を示す図である。
図5のS101でWi-Fi端末20は、LTEシステム2の送信停止期間に関する情報を取得する。ここで、LTEシステム2の送信停止期間に関する情報(以降は便宜上、送信停止期間情報と称する)は、LTEシステム2の送信停止期間を直接的に示す情報であってもよいのは当然だが、LTEシステム2の送信停止期間を間接的に示す情報であってもかまわない。
送信停止期間情報は、例えば、LTEシステム2の送信停止期間の開始タイミングと長さのそれぞれを示すような情報とすることができる。また、送信停止期間の開始タイミングと終了タイミングのそれぞれを示すような情報を送信停止期間情報とすることもできる。送信停止期間が間欠的(周期的)に設定される場合、例えば送信停止期間情報は、送信停止期間の(1周期目の)開始タイミングと長さと周期のそれぞれを示す情報とすることができる。ここで示した送信停止期間情報の例はいずれもLTEシステム2の送信停止期間を直接的に示す情報に相当するが、これらの情報やその他の情報に基づいて生成されるような間接的な情報を送信停止情報としてもかまわない。
また、S101においては、Wi-Fi端末20が送信停止期間情報を取得する手段は問わない。例えば、Wi-Fi端末20は、Wi-Fi基地局10から送信停止期間情報を受信することで、送信停止期間情報を取得することができる。また、Wi-Fi端末20は、LTEシステム2から送信される無線信号のモニタリング等によりLTE送信停止期間を検出することで、送信停止期間情報を取得(生成)することができる。また、Wi-Fi端末20がLTE端末40としての機能も具有する場合(Wi-FiとLTEのデュアル端末に相当)、LTE基地局30から送信停止期間情報を受信することで、送信停止期間情報を取得することもできる。その場合、LTE基地局30は、例えば報知信号やページング信号に送信停止期間情報を含めて送信することができる。
次にS102で、Wi-Fi端末20において送信データが発生したとする。ここで送信データとは、Wi-Fiシステム1の端末が送信したい情報を意味しており、いわゆるユーザデータ(アプリケーションデータ)のみならず下位層の制御情報等であってもかまわない。例えば、Wi-Fi端末20からWi-Fi基地局10を介してインターネット上のWebサーバにアクセスする際に、Wi-Fi端末20に送信データ(HTTPリクエスト等)が発生する。また、Wi-Fi端末20がWi-Fi基地局10に対して認証用の制御情報を送る際に送信データが発生する。
次にS103でWi-Fi端末20は、送信データを含む無線信号を送信する。このときWi-Fi端末20は、無線信号を送信するタイミングを、LTE送信停止期間後への当該無線信号のずれ込みが抑制されるように送信停止期間情報に基づいて調整する。この調整を、本願では送信タイミング調整と称することとする。
送信タイミング調整には様々な方法が考えられる。例えば、Wi-Fi端末20は、送信停止期間情報が示すLTE送信停止期間の終了タイミングまでに送信が完了するように送信タイミングを調整することで、送信タイミング調整を実現することが考えられる。より具体的には、例えば、送信データを含む無線信号がLTE送信停止期間の終了タイミングまでに送信完了するか否かを判定し、送信完了する場合には送信を行い、送信完了しない場合には次のLTE送信停止期間において送信する方法が考えられる。また、送信完了しない場合には送信データを分割し、LTE送信停止期間の終了タイミングまでに送信が完了する分だけを当該LTE送信停止期間に送信し、残りは次以降のLTE送信停止期間において送信する方法も考えられる。
送信タイミング調整は、無線信号を送信するタイミングをLTE送信停止期間後への当該無線信号のずれ込みが抑制されるように送信停止期間情報に基づいて調整するものであれば、ここで示した方法に限らず任意の方法を用いることができる。なお、LTE送信停止期間後への無線信号のずれ込みが抑制されればよいため、当該ずれ込みが皆無となる方法のみならず、当該ずれ込みの長さまたは頻度が何ら調整を行わない場合と比較して減少する方法であっても、本願における送信タイミング調整に該当することに注意されたい。
以上説明した第1実施形態によれば、上記の問題の所在で説明した問題を解決することができる。すなわち、第1実施形態によれば、ホワイトスペース型のコグニティブ無線において複数のセカンダリシステムである非同期システム1(Wi-Fiシステム1)と同期システム2(LTEシステム2)とが共存する場合に、非同期システム1による無線信号が同期システム2の送信停止期間を超えて送信期間にずれ込むのを抑制することができる。前述したように第1実施形態はホワイトスペース型のコグニティブ無線に適用が限定されるものではないため、より一般的に、干渉を与えうる非同期システム1による無線信号が同期システム2の送信停止期間を超えて送信期間にずれ込むのを抑制することができる。これにより、第1実施形態は、非同期システム1による無線信号が同期システム2の送信停止期間を超えて送信期間にずれ込むことにより発生する干渉を抑制することができるという、従来技術に無い効果を奏するものとなっている。
[第2実施形態]
次に第2実施形態を説明する。第2実施形態は、第1実施形態の下位概念の実施例の一つに相当する。第2実施形態は、Wi-Fi基地局10(非同期基地局10)がWi-Fi端末20(非同期端末20)に対して、LTE送信停止期間情報に基づいて送信タイミングの調整を指示することで、LTEシステム2(同期システム2)に対する干渉を抑制するものである。
第2実施形態の前提としては、上記の「問題の所在」および第1実施形態において説明した前提と同じであるため、ここでは説明を割愛する。
図6は第2実施形態のシステム構成を示す図である。図6に示されるWi-Fiシステム1(非同期システム1)及びLTEシステム2(同期システム2)については、上記の第1実施形態において説明した通りであるためここでは説明を割愛する。
図6に示される第2実施形態のシステム構成においては、制御装置50が存在する。この制御装置50は、Wi-Fiシステム1にもLTEシステム2にも属さない第三者的な装置である。制御装置50は、IEEE802.19標準仕様に照らせば、CM(Coexistence Manager)相当の機能を有する装置であると言える。
制御装置50は、TVシステム(プライマリシステム)のホワイトスペースを利用する各無線通信システム(セカンダリシステム)に関する各種情報を取得することができる。この情報は外部または内部のデータベースに格納されており、必要に応じて更新される。この情報には、例えば、各セカンダリシステムが使用する周波数帯(チャネル)、基地局の位置および送信電力、無線通信方式等が含まれるものとする。
図6に示される制御装置50は、前記のデータベースによりWi-Fiシステム1やLTEシステム2の存在は認識しているものの、それらが干渉を発生させていることまでは認識していないものとする。また、制御装置50は、Wi-Fi基地局10やLTE基地局30と網側の有線ネットワーク等を介して相互に通信することができるものとする。
図7は、第2実施形態におけるWi-Fi端末20が無線送信を行う場合の処理シーケンスの一例を示す図である。
図7のS201で制御装置50は、干渉が生ずる可能性がある非同期システム1と同期システム2の組を検出する。
制御装置50はこの検出を、前述したデータベースに登録された情報に基づいて行う。これは例えば以下のようにする。まず各セカンダリシステムが使用する周波数帯(チャネル)をデータベースから取得し、周波数の観点から、互いに干渉が生ずる可能性があるセカンダリシステムのペアを抽出する。次に抽出されたセカンダリシステムのペアについて、基地局の位置及び送信電力をデータベースから取得し、無線信号の到達性(到達範囲)の観点から、干渉の可能性の有無を判断する。周波数の観点及び無線信号の到達性の観点から干渉の可能性があると判断されたセカンダリシステムのペアについて、無線通信方式を参照し、一方が同期式の無線通信方式であり他方が非同期式の無線通信方式であるかを判定する。
以上により、制御装置50は、干渉が生ずる可能性がある非同期システム1と同期システム2の組を検出することができる。本実施形態における制御装置50は、一例として、干渉が生ずる可能性がある非同期システム1と同期システム2の組として、Wi-Fiシステム1とLTEシステム2の組を検出したものとする。
図7のS202で制御装置50は、LTEシステム2の送信停止期間(LTE送信停止期間)を決定する。本実施例においては、一例として、LTEシステム2の送信停止期間は間欠的(周期的)なものであるとする。ただし、第1実施形態と同様に、本実施形態におけるLTEシステム2の送信停止期間は周期的なものでなくても構わないことに留意する。
制御装置50はLTE送信停止期間を任意の規則に基づいて決めることができる。以下では一例を示す。例えば、セカンダリシステムのデータベースに各無線通信システムの無線端末数が登録されている場合、制御装置50はS201で検出したWi-Fiシステム1とLTEシステム2のそれぞれの無線端末数の比に基づいて、全期間におけるLTEシステム2の送信停止期間の割合を決めることができる。具体例を挙げると、Wi-Fiシステム1とLTEシステム2の端末数の比が1:3の場合、LTE送信停止期間を全期間の1/4の割合とすることができる。次に制御装置50は、LTE送信停止期間の長さ、及びLTE送信停止期間の周期を、先に定めたLTE送信停止期間の割合に基づいて決定する。また、制御装置50は、LTE送信停止期間の開始タイミングを適宜決定する。数値を用いた具体例としては、LTE送信停止期間の長さを500ミリ秒(LTEシステム2における500サブフレームに相当。なお、10サブフレームが1フレームに対応)、LTE送信停止期間の周期を2000ミリ秒(2000サブフレームに相当)、LTE送信停止期間の開始タイミングを1000ミリ秒(1000サブフレームに相当)後等と定めることができる。
図7のS203で制御装置50は、LTE送信停止期間に送信停止を行う旨の指示をLTE基地局30に送信する。このとき制御装置50は、前記の指示と合わせて、LTE送信停止期間を示す情報をLTE基地局30に送信する。ここで、LTE送信停止期間を示す情報は、例えば、S202で定めたLTE送信停止期間の長さ、周期、開始タイミングである。
S203の指示は、制御装置50がLTE基地局30に制御メッセージを送信することで実現される。この制御メッセージは、LTEシステム2に属する管理装置(MME: Mobility Management Entity)等の他の装置を介して、制御装置50からLTE基地局30に送信されるようにしても良い。この制御メッセージとしては、例えば、IEEE802.19標準仕様に則ったもの使用することができる。
次に図7のS204で制御装置50は、LTE送信停止期間内において送信を行う旨の指示をWi-Fi基地局10に送信する。このとき制御装置50は、前記の指示と合わせて、LTE送信停止期間を示す情報をWi-Fi基地局10に送信する。S204はS203と同様にして行うことができるため(宛て先が異なるのみ)説明を割愛する。
次に図7のS205でWi-Fi基地局10は、S204で受信した情報に基づいて、Wi-Fi端末20に対して一定の送信規制を行う旨の情報(以降は便宜上、Wi-Fi送信規制情報と称する)を生成する。
Wi-Fi送信規制情報は、Wi-Fi端末20が無線信号を送信することができるタイミングに関する情報、または、Wi-Fi端末20が無線信号を送信することができないタイミングに関する情報を含むものとする。これらの違いは本質的なものではないので、以降は、Wi-Fi端末20が無線信号を送信することができるタイミングに関する情報を含む場合について説明する。
ここで、無線信号の送信は時間軸上の長さ(幅)を有することから、Wi-Fi端末20が無線信号を送信するタイミングは、無線信号の送信を開始するタイミングまたは終了するタイミングに基づいて指定することができる。
例えば、Wi-Fi送信規制情報は、Wi-Fi端末20が送信を開始するタイミングが取り得ることができる期間を示す情報を含むことができる。この期間を、本願においてはWi-Fi送信開始許可期間と呼ぶことにする。Wi-Fi送信開始許可期間は、LTE送信停止期間において所定のタイミング以降を除いた期間とすることができる。
図8は、LTE送信停止期間とWi-Fi送信開始許可期間等の関係を示す図である。図8に示されるように、Wi-Fi送信終了許可期間は、LTE送信停止期間において所定のタイミング以降を除いた期間となっている。ここで、LTE送信停止期間において所定のタイミング以降の区間をWi-Fi送信終了許可期間と呼ぶことにする。また、LTEが送信できるLTE送信期間は「Wi-Fiシステム1が送信できない期間」でもあることから、本願ではLTE送信期間をWi-Fi送信不能期間と呼ぶこととする。そして図8に示されるように、Wi-Fi送信終了許可期間とWi-Fi送信不能期間とを合わせた期間をWi-Fi送信開始禁止区間と呼ぶことにする。
ここで、Wi-Fi送信終了許可期間は、この期間におけるWi-Fiシステム1による無線信号の終了は許可するが開始は許可しないというものと説明される。このWi-Fi送信終了許可期間は、Wi-Fi端末20による無線送信がLTEシステム2の送信期間にずれ込むことによる干渉の発生を抑制するために設けられるものである。本実施形態におけるWi-Fi端末20は、LTE送信停止期間において一律に無線信号の送信開始を行うのではなく、Wi-Fi送信終了許可期間に送信を開始せず、Wi-Fi送信開始許可期間のみにおいて送信を開始する。これにより、図9に示されるように、Wi-Fi端末20による無線送信がLTEシステム2の送信期間にずれ込むことによる干渉の発生を抑制することができる。
なお、LTE送信期間であるWi-Fi送信不能期間においてWi-Fi端末20が無線信号の送信を開始できないことは今更言うまでもない。したがって、本実施形態におけるWi-Fi端末20は、図8に示されるように、Wi-Fi送信開始禁止期間(Wi-Fi送信終了許可期間+Wi-Fi送信不能期間)に送信を開始せず、Wi-Fi送信開始許可期間のみにおいて送信を開始するものと解釈することも可能であることに留意する。
ここで、Wi-Fi送信終了許可期間を長くすれば干渉が発生する可能性は減少するが、非同期通信を行うことができる期間も減少する結果、Wi-Fiシステム1の送信効率が低下する。一方、Wi-Fi送信終了許可期間を短くすれば干渉の発生を十分に抑制できなくなる恐れがある。したがって、Wi-Fi送信終了許可期間の長さは、干渉を十分に抑制することができる長さで、且つ、できるだけ短く設定するのが望ましいものと考えられる。
Wi-Fi送信終了許可期間の長さは、例えば、Wi-Fi端末20が送信しうる無線信号の長さにおける、無線通信方式(ここではWi-Fi)の観点からの理論上の最大値とすることができる。一般的に無線通信方式においては、標準規格上、最大パケット長や送信レートが最低の変調方式および符号化方式等が定められている。そこで、これらに基づいてWi-Fi端末20が送信しうる無線信号の長さの理論上の最大値を求めることができる。
また、Wi-Fi送信終了許可期間は、Wi-Fi端末20が実際に送信した無線信号を所定期間だけ観測した結果に基づいて設定することも考えられる。一例としては、Wi-Fi送信終了許可期間は、観測された最長の無線信号の長さとすることが考えられる。また、観測された全無線信号の平均値や、平均値に所定の係数(例えば2)を乗じた値としても良い。観測された全無線信号のうちの所定の割合(例えば90%)がLTEシステム2に干渉を与えないような長さに設定しても良い。なお、観測結果に基づいてWi-Fi送信終了許可期間を設定した場合、Wi-Fi端末20による無線送信がLTEシステム2の送信期間にずれ込むことを完全に排除することはできない可能性があるが、ある程度は排除されるものと考えられる。そのため、ずれ込みに基づいて発生する干渉もある程度は抑制することができると考えられる。
LTE送信停止期間が与えられたとき、Wi-Fi送信終了許可期間を決定すると、Wi-Fi送信開始許可期間を求めることができる。Wi-Fi送信開始許可期間は、図8に示されるように、LTE送信停止期間からWi-Fi送信終了許可期間を除いた期間となる。1度のWi-Fi送信開始許可期間は、開始タイミングおよび期間長により表すことができる。LTE送信停止期間が間欠的(周期的)な場合、Wi-Fi送信開始許可期間も間欠的(周期的)となる。この場合のWi-Fi送信開始許可期間は、開始タイミング、期間長、及び周期により表すことができる。
S205でWi-Fi基地局10は、以上で説明したようにして定めたWi-Fi送信終了許可期間等に関するWi-Fi送信規制情報を生成する。なお、Wi-Fi送信規制情報は、Wi-Fi端末20の送信を規制するための情報であるため、必ずLTE送信停止期間に基づいて生成される。言い換えれば、LTE送信停止期間と無関係にWi-Fi送信規制情報を生成することは原理的にできない。したがって、Wi-Fi送信規制情報は、LTE送信停止期間に関連する情報に相当すると解される。
次に図7のS206で、Wi-Fi基地局10は、S205で生成したWi-Fi送信規制情報をWi-Fi端末20に送信する。このとき、Wi-Fi基地局10は、Wi-Fi送信規制情報を含む無線信号を、LTE送信停止期間内に送信完了できるように送信タイミングを調整する。S205でWi-Fi端末20は、Wi-Fi基地局10が送信したWi-Fi送信規制情報を含む無線信号を受信する。
図7のS207でWi-Fi端末20に送信データが発生する。S207は、図5のS102と同様なのでここでは説明を割愛する。
図7のS208でWi-Fi端末20は、S206で受信したWi-Fi送信規制情報に基づいて調整されたタイミングで送信データを含む無線信号を送信する。
例えば、Wi-Fi送信規制情報がWi-Fi送信開始許可期間を示すものである場合、Wi-Fi端末20はWi-Fi送信開始許可期間において送信データを含む無線信号の送信を開始するように送信タイミングを調整する。言い換えれば、Wi-Fi端末20は、Wi-Fi送信開始許可期間以外の期間(図8に示されるWi-Fi送信開始禁止期間)においては、送信データを含む無線信号の送信を開始しないように送信タイミングを調整する。Wi-Fi送信開始許可期間ではないとき、送信データを有するWi-Fi端末20は、例えば、当該送信データを含む無線信号の送信開始を次回のWi-Fi送信開始許可期間まで待つように送信タイミングを調整する。
以上説明した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、上記の問題の所在で説明した問題を解決することができる。すなわち、第2実施形態によれば、ホワイトスペース型のコグニティブ無線において複数のセカンダリシステムである非同期システム1(Wi-Fiシステム1)と同期システム2(LTEシステム2)とが共存する場合に、非同期システム1による無線信号が同期システム2の送信停止期間を超えて送信期間にずれ込むのを抑制することができる。前述したように第2実施形態はホワイトスペース型のコグニティブ無線に適用が限定されるものではないため、より一般的に、干渉を与えうる非同期システム1による無線信号が同期システム2の送信停止期間を超えて送信期間にずれ込むのを抑制することができる。これにより、第2実施形態は、非同期システム1による無線信号が同期システム2の送信停止期間を超えて送信期間にずれ込むことにより発生する干渉を抑制することができるという、従来技術に無い効果を奏するものとなっている。
[第3実施形態]
次に第3実施形態を説明する。第3実施形態も、第1実施形態の下位概念の実施例の一つに相当する。第3実施形態は、Wi-Fi端末20(非同期端末20)が、LTE送信停止情報に基づいて送信タイミングの調整を行うことで、LTEシステム2(同期システム2)に対する干渉を抑制するものである。
第3実施形態は第2実施形態と共通点も多い。そのため以下では第3実施形態において第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
第3実施形態の前提としては、前述した「問題の所在」および各実施形態において説明した前提と同じであるため、ここでは説明を割愛する。第3実施形態のシステム構成についても、図6に示される第2実施形態のそれと同じであるため説明を割愛する。
図10は、第3実施形態におけるWi-Fi端末20が無線送信を行う場合の処理シーケンスの一例を示す図である。
図10のS301〜S304は、第2実施形態に係る図7のS201〜S204と同様に行えばよいため、ここでは説明を割愛する。
次に図10のS305でWi-Fi基地局10は、S304で受信した送信停止期間情報を、Wi-Fi端末20に送信する。すなわち、Wi-Fi基地局10は送信停止期間情報の転送を行う。S305でWi-Fi端末20は、Wi-Fi基地局10が送信(転送)した送信停止期間情報を受信する。
S305でWi-Fi基地局10は、送信停止情報をそのまま転送してもよいが、送信停止期間情報に所定の情報を付加あるいは所定の情報を削除してWi-Fi端末20に送信することとしても良い。また、Wi-Fi基地局10は、送信停止期間情報を含む無線信号を、LTE送信停止期間内に送信完了できるように送信タイミングを調整するものとする。
S306でWi-Fi端末20に送信データが発生する。S306は、図5のS102や図7のS207と同様なのでここでは説明を割愛する。
S307でWi-Fi端末20は、S305で受信した送信停止期間情報に基づいて調整されたタイミングで送信データを含む無線信号を送信する。ここでWi-Fi端末20が行うタイミング調整にはいくつかの方法が考えられるが、例えば以下のようにして実現することができる。
S307のタイミング調整の実現手段の例としては、Wi-Fi端末20が、送信停止期間情報が示すLTE送信停止期間の終了タイミングまでに無線信号の送信が完了するように送信タイミングを調整することが考えられる。より具体的には、例えば、送信データを含む無線信号がLTE送信停止期間の終了タイミングまでに送信完了するか否かを判定(便宜上、送信可否判定と称する)し、送信完了する場合には送信を行い、送信完了しない場合には次の送信期間において送信する方法が考えられる。また、送信完了しない場合には送信データを分割し、LTE送信停止期間の終了タイミングまでに送信完了する分だけを当該送信期間に送信し、残りは次以降のLTE送信停止期間において送信する方法も考えられる。
ここで、上述した送信可否判定は、S305で受信した送信停止期間情報と、S306で発生した送信データを含む無線信号の長さとに基づいて行うことができる。まず、送信停止期間情報からLTE送信停止期間の終了タイミングを求める。送信停止期間情報にLTE送信停止期間の開始タイミングと送信停止期間長が含まれている場合には、当該開始タイミングに当該送信期間長を加えることで、LTE送信停止期間の終了タイミングを求めることができる。また、LTE送信停止期間が間欠的(周期的)なものである場合には、送信停止期間情報に含まれるLTE送信停止期間の周期を整数倍したものをさらに加えることで、LTE送信停止期間の終了タイミングを求めることができる。
次に、求めたLTE送信停止期間の終了タイミングと、Wi-Fi送信開始予定タイミングの差分が、送信データを含む無線信号の長さ以上であるか否かを判定する。ここで、Wi-Fi送信開始予定タイミングとは、Wi-Fi端末20が無線信号の送信開始を予定しているタイミングであり、基本的にはWi-Fi端末20が任意に決めることができるパラメータである。ただし、Wi-Fi送信開始予定タイミングはLTE送信停止期間に含まれている必要があることには留意されたい。
理解の容易のために、具体的な数値例で説明する。今、Wi-Fi送信開始予定タイミングが現在の100msec後であり、LTE送信停止期間の終了タイミングが現在の300msec後である場合を考える。このとき、送信データを含む無線信号の長さが150msecであれば、LTE送信停止期間の終了タイミングとWi-Fi送信開始予定タイミングとの差分である200msec(=300msec-100msec)が150msec以上であることから、送信可否判定の結果は「送信可能」となる。一方、送信データを含む無線信号の長さが250msecであれば、200msecが250msec未満であることから、送信可否判定の結果は「送信不可能」となる。
S307でWi-Fi端末20は、前記の送信可否判定の結果が「送信可能」である場合、前記のWi-Fi送信開始予定タイミングにおいて送信データを含む無線信号の送信を開始するように、送信タイミングを調整する。一方、Wi-Fi端末20は、前記の送信可否判定の結果が「送信不可能」である場合、前記のWi-Fi送信開始予定タイミングにおいて送信データを含む無線信号の送信を開始しないように、送信タイミングを調整する。後者の場合、送信データを有するWi-Fi端末20は、例えば、当該送信データを含む無線信号の送信開始を次回のLTE送信停止期間まで待つように調整する。
以上説明した第3実施形態によれば、上述した各実施形態と同様に、上記の問題の所在で説明した問題を解決することができる。すなわち、第3実施形態によれば、ホワイトスペース型のコグニティブ無線において複数のセカンダリシステムである非同期システム1(Wi-Fiシステム1)と同期システム2(LTEシステム2)とが共存する場合に、非同期システム1による無線信号が同期システム2の送信停止期間を超えて送信期間にずれ込むのを抑制することができる。前述したように第3実施形態はホワイトスペース型のコグニティブ無線に適用が限定されるものではないため、より一般的に、干渉を与えうる非同期システム1による無線信号が同期システム2の送信停止期間を超えて送信期間にずれ込むのを抑制することができる。これにより、第3実施形態は、非同期システム1による無線信号が同期システム2の送信停止期間を超えて送信期間にずれ込むことにより発生する干渉を抑制することができるという、従来技術に無い効果を奏するものとなっている。
[第4実施形態]
第4実施形態は、第2実施形態や第3実施形態の変形例に相当する。第4実施形態は、制御装置50ではなく、Wi-Fi基地局10等がLTEシステム2からの干渉を検出することで干渉抑制が図られるものである。
第4実施形態は第2実施形態や第3実施形態と共通する点も多い。そのため以下では第4実施形態においてこれらの実施形態と異なる点を中心に説明する。
第4実施形態の前提としては、前述した「問題の所在」および各実施形態において説明した前提と同じであるため、ここでは説明を割愛する。第4実施形態のシステム構成についても、図6に示される第2実施形態のそれと同じであるため説明を割愛する。
図11は、第4実施形態におけるWi-Fi端末20が無線送信を行う場合の処理シーケンスの一例を示す図である。
図11のS401でWi-Fi基地局10は、LTEシステム2から受ける干渉を検出する。ここではWi-Fi基地局10は、干渉源を特定する必要はなく、何らかの他の無線通信システムから干渉を受けていることを検出できればよい。
この干渉の検出は、任意の方法で行うことができる。例えば、Wi-Fi基地局10が送信時に行うキャリアセンスにおける衝突の発生率に基づいて、LTEシステム2から受ける干渉を検出することができる。この場合、所定期間における衝突率が所定値以上である場合、LTEシステム2からの干渉を検出したものとする(検出したものとみなす)ことができる。他の例では、送信の成功率(例えばACKの受信率)等に基づいて干渉を検出してもよい。また、受信される無線信号から求められるチャネル特性等に基づいて干渉を検出してもよい。
また、S401でWi-Fi基地局10は、単に干渉を検出するだけでなく、干渉の大きさを測定(推定)してもよい。例えば、キャリアセンスの衝突率の大きさに応じて干渉の大きさを推定することができる。
次に図11のS402でWi-Fi基地局10は、S401で検出した干渉に基づいて、制御装置50に対して干渉対策を要求(依頼)する。このときWi-Fi基地局10は、制御装置50に対して、LTEシステム2から受けた干渉の大きさに関する情報やその他の干渉に関する情報を通知しても良い。
S402は、Wi-Fi基地局10が制御装置50に制御メッセージを送信することで実現される。この制御メッセージとしては、例えば、IEEE802.19標準仕様に則ったもの使用することができる。
次に図11のS403で制御装置50は、Wi-Fiシステム1に対して干渉を与えている可能性がある同期システム2を検出する。
S403における同期システム2の検出は、第2実施形態に係る図7のS201に沿って行うことができる。ただし、第2実施形態に係る図7のS201においては非同期システム1の検出も行うのに対し、本実施形態に係る図11のS403においては非同期システム1が既定(S402で干渉対策を要求したWi-Fiシステム1)である点には注意を要する。
次に図11の404で制御装置50は、LTEシステム2の送信停止期間(LTE送信停止期間)を決定する。S404におけるLTE送信停止期間の決定は、第2実施形態に係る図7のS202に沿って行うことができる。ただし、S402で干渉の大きさに関する情報を得ている場合には、S404において制御装置50は、干渉の大きさに基づいてLTE送信停止期間を決定することとしてもよい。
図11のS405〜S410は、第2実施形態に係る図7のS203〜S208と同様に行えばよい。また、図11のS405〜S410の処理を、第3実施形態に係る図10のS303〜S307と同様にして行うこととしてもよい。いずれの場合も前述した各実施形態における説明と重複するため、ここでの説明は割愛する。
以上が第4実施形態の基本構成であるが、第4実施形態にはいくつかの変形例が考えられるため以下で説明する。
第4実施形態の基本構成においては、LTEシステム2から受ける干渉を、Wi-Fi基地局10が単独で検出していた。しかしながら、LTEシステム2から受ける干渉を、Wi-Fi基地局10がWi-Fi端末20と連携して検出してもよい。例えば、各Wi-Fi端末20による送信時のキャリアセンスの衝突率をWi-Fi基地局10が収集し、それらとWi-Fi基地局10自身の衝突率とに基づいて、LTEシステム2から受ける干渉を検出することができる。
また、LTEシステム2から受ける干渉を、Wi-Fi端末20が検出してもよい。例えば、Wi-Fi端末20が送信時のキャリアセンスの衝突率に基づいて干渉を検出し、検出した干渉をWi-Fi基地局10に通知することが考えられる。この場合、1つのWi-Fi端末20が単独で干渉を検出しても、複数のWi-Fi端末20が連携して干渉を検出してもかまわない。
さらに、近年では例えばLTE端末40(スマートフォン等の携帯電話等)において、Wi-Fi端末20としての機能を併せ持つものが知られている。そのような場合、Wi-Fi端末20が、LTE基地局30からの無線信号の受信を行うこともできる。そこで、Wi-Fi端末20が、LTE基地局30から送信された無線信号に基づいて、LTEシステム2からの干渉を検出することもできると考えられる。一例としては、LTE基地局30から送信された参照信号等の基準信号の受信電力等を測定することにより、Wi-Fi端末20がLTEシステム2から受ける干渉を検出することができる。
以上説明した第4実施形態によれば、上述した各実施形態と同様に、上記の問題の所在で説明した問題を解決することができる。すなわち、第4実施形態によれば、干渉を与えうる非同期システム1による無線信号が同期システム2の送信停止期間を超えて送信期間にずれ込むのを抑制することができる。これにより、第4実施形態は、非同期システム1による無線信号が同期システム2の送信停止期間を超えて送信期間にずれ込むことにより発生する干渉を抑制することができるという、従来技術に無い効果を奏するものとなっている。
[第5実施形態]
第5実施形態は、上述した各実施形態の変形例に相当する。第5実施形態は、制御装置50の介在を要さず、Wi-Fiシステム1(非同期システム1)からLTEシステム2(同期システム2)への干渉抑制が図られるものである。
第5実施形態は第2実施形態や第3実施形態と共通する点も多い。そのため以下では第5実施形態においてこれらの実施形態と異なる点を中心に説明する。
第5実施形態の前提としては、前述した「問題の所在」および各実施形態において説明した前提と同じであるため、ここでは説明を割愛する。
第5実施形態のシステム構成については、図4に示される第1実施形態のそれと同じであるため説明を割愛する。第5実施形態においては、図6に示される第2実施形態等と異なり、制御装置50の存在を前提としていない。このことは、第5実施形態において制御装置50相当の装置が存在することを妨げるものではなく、第5実施形態は制御装置50が存在せずとも動作可能という趣旨であることに注意されたい。
図12は、第5実施形態におけるWi-Fi端末20が無線送信を行う場合の処理シーケンスの一例を示す図である。
図12のS501でWi-Fi基地局10は、LTEシステム2から受ける干渉を検出する。ここではWi-Fi基地局10は、干渉源を特定する必要はなく、何らかの他の無線通信システムから干渉を受けていることを検出できればよい。この干渉の検出は、第4実施形態に係る図11のS401と同様にして行えばよいため、ここでの説明は割愛する。
図12のS502でWi-Fi基地局10は、LTEシステム2の送信停止期間(LTE送信停止期間)を取得する。S502におけるWi-Fi基地局10によるLTE送信停止期間の取得は、第2実施形態〜第4実施形態とは異なり、制御装置50等が介在することなく行われる。なお、ここでもWi-Fi基地局10は、干渉源を特定する必要はないことに留意する。
Wi-Fi基地局10によるLTE送信停止期間の検出は、例えば次のようにして行うことができる。Wi-Fi基地局10は所定期間、第4実施形態において説明したようなキャリアセンスの衝突率の測定を行う。そして、例えば、衝突率が高い期間と低い期間とが一定の周期で繰り返されていることを検出することで、LTEシステム2の間欠的(周期的)な送信停止期間を取得することができる。
また、フェムト基地局(ホームeNB等と呼ばれる場合もある)において、Wi-Fi基地局10としての機能を併せ持つものが知られている。そのような場合、Wi-Fi基地局10が、他のLTE基地局30からLTE網側のインタフェースを介して送信停止期間に関する制御メッセージを受信することで、LTEシステム2の送信停止期間を取得するこができる。
その後は、S502で検出した送信停止期間に基づいて、Wi-Fi基地局10とWi-Fi端末20とが連携して、Wi-Fi端末20の送信タイミングの調整を行えばよい。具体的には、図12のS503〜S506は、第2実施形態に係る図7のS205〜S208と同様に行えばよい。また、図12のS503〜S506の処理を、第3実施形態に係る図10のS305〜S307と同様にして行うこととしてもよい。いずれの場合も前述した各実施形態における説明と重複するため、ここでの説明は割愛する。
以上説明した第5実施形態によれば、上述した各実施形態と同様に、上記の問題の所在で説明した問題を解決することができる。すなわち、第5実施形態によれば、干渉を与えうる非同期システム1による無線信号が同期システム2の送信停止期間を超えて送信期間にずれ込むのを抑制することができる。これにより、第5実施形態は、非同期システム1による無線信号が同期システム2の送信停止期間を超えて送信期間にずれ込むことにより発生する干渉を抑制することができるという、従来技術に無い効果を奏するものとなっている。
[その他の変形例]
ここでは、上述した各実施形態の変形例を説明する。これらの変形例は上記の各実施形態と適宜組み合わせることができる。複数の変形例を同時に上記の各実施形態と組み合わせてもかまわない。
第1の変形例は、Wi-Fi端末20とWi-Fi基地局10との間の距離に応じて、Wi-Fi端末20による送信タイミングの調整の適用の有無を切り替えるものである。上記の各実施形態においては、全てのWi-Fi端末20が区別されることなく送信タイミングの調整を行っていた。しかしながら、例えばWi-Fi基地局10に近いWi-Fi端末20については、LTEシステム2に対する干渉を比較的与えにくいと考えられる。そこで、例えば、Wi-Fi基地局10とWi-Fi端末20との間の距離が比較的近い場合には、上記各実施形態で説明したWi-Fi端末20における送信タイミングの調整を行わず、Wi-Fi基地局10とWi-Fi端末20との間の距離が比較的遠い場合には、上記各実施形態で説明したWi-Fi端末20における送信タイミングの調整を行うこととしてもよい。なお、このときWi-Fi基地局10とWi-Fi端末20との間の距離を認識する必要があるが、これは例えばWi-Fi基地局10とWi-Fi端末20との間のパスロスを求めること実現することができる。
第2の変形例は、第1の変形例の応用に相当する。仮にWi-Fi基地局10とLTE基地局30とが非常に近い場合においては、たとえWi-Fi基地局10に近いWi-Fi端末20であっても、LTEシステム2に対する干渉を比較的与えやすいと考えられる。そこで、例えばWi-Fi基地局10とLTE基地局30との間の距離が比較的近い場合には、全てのWi-Fi端末20を区別することなく上記各実施形態で説明したWi-Fi端末20における送信タイミングの調整を行い、Wi-Fi基地局10とLTE基地局30との間の距離が比較的遠い場合には、第1の変形例のようにWi-Fi端末20とWi-Fi基地局10との間の距離に応じてWi-Fi端末20による送信タイミングの調整の適用の有無を切り替えることとしてもよい。なお、このときWi-Fi基地局10とLTE基地局30との間の距離を認識する必要があるが、これは例えば制御装置50が備えるセカンダリシステムに関するデータベースに格納された各基地局の位置情報に基づいて求めることができる。
第3の変形例は、上記各実施形態においてWi-Fi基地局10がWi-Fi端末20に対してWi-Fi送信開始禁止期間(図8を参照のこと)を通知する場合の具体的な実現例に相当する。例えば第2実施形態において、Wi-Fi基地局10がWi-Fi端末20に対して、Wi-Fi送信開始許可期間の代わりにWi-Fi送信開始禁止期間を通知することもできる。このときの通知としては、任意のものを用いてもかまわないが、IEEE802.11標準規格において規定されているRTS(Request To Send)パケットまたはCTS(Clear To Send)パケットを用いて実現することができる。具体的には、Wi-Fi基地局10は、RTSパケットやCTSパケットに含まれるdurationフィールドにWi-Fi送信開始禁止期間の長さを設定してWi-Fi端末20に送信する。Wi-Fi端末20はRTSパケットやCTSパケットを受信すると、durationフィールドに設定された時間だけ送信禁止状態(NAV: Network Allocation Vector)に入る。これにより、既存の制御パケットを用いて簡便に送信禁止期間の通知を行うことができる。なお、RTSパケットやCTSパケットにはWi-Fi送信開始禁止期間の開始タイミングを通知するためのフィールドは用意されていない。そのため、Wi-Fi基地局10は、RTSパケットやCTSパケットをWi-Fi送信開始禁止期間の開始タイミングにおいて送信するのが適切であると考えられる。
第4の変形例は、第3の変形例の応用に相当する。前述したように、Wi-Fi基地局10はRTSパケットやCTSパケットをWi-Fi送信開始禁止期間の開始タイミングにおいて送信するべきであるが、その際にキャリアセンスで衝突を検出したために送信機会が得られない可能性がある。このような場合において、Wi-Fi基地局10がRTSパケットやCTSパケットの送信をやり直す際には、durationフィールドの値を再設定するのが望ましい。具体的には、当初のdurationフィールドの値から、Wi-Fi基地局10がキャリアセンスにおける衝突検出後にパケット送信を待機した時間を減算した値を再設定値とする。これにより、RTSパケットやCTSパケットの送信がやり直された倍であっても、Wi-Fi端末20は適切にWi-Fi送信開始禁止期間を得ることができるようになる。
第5の変形例は、送信データの送信順序の変更に関するものである。Wi-Fi基地局10等における送信データが多い場合、送信待ちとなっている送信データが、Wi-Fi基地局10等が備えるバッファに順に格納される。通常はバッファに格納された順番に送信データが送信されるが、それが望ましくない場合もあり得ると考えられる。一例としては、バッファの先頭の送信データに対応する無線信号が比較的長い場合であって、LTE送信停止期間が終了するまでの時間が比較的残っているものの当該無線信号を送信するには足りないという場合が想定される。このような場合、LTE送信停止期間が終了するまでの時間は比較的残っているものの、その間に無線信号を送信しないことになるため、送信効率の観点で問題があると考えられる。したがって、このような場合には、バッファの先頭から2番目以降の送信データのうちで、当該送信データに対応する無線信号が、LTE送信停止期間が終了するまでの間に送信完了できるものをWi-Fi基地局10等が選択して送信することができる。また、これとは反対に、LTE送信停止期間が終了するまでの時間が十分に残っている場合には、バッファの先頭から2番目以降の送信データのうちで、当該送信データに対応する無線信号が比較的長いものをWi-Fi基地局10等が選択して送信することができる。こうすることで、LTE送信停止期間が終了するまでの時間を無駄なく利用することができるようになり、送信効率の観点で望ましいものと考えられる。
[各実施形態の無線通信システムにおける各装置の機能構成]
次に、図13〜図15に基づいて、各実施形態の無線通信システムにおける各装置の機能構成を説明する。ここでは特に、非同期基地局(例えばWi-Fi基地局)10、非同期端末(例えばWi-Fi端末)20、および制御装置50の機能構成を説明する。同期基地局(例えばLTE基地局)30と同期端末(LTE端末)40の機能構成については、非同期基地局10と非同期端末20とそれぞれ同様なため、説明を割愛する。
図13は、非同期基地局10の構成の一例を示す機能ブロック図である。図13に示すように、非同期基地局10は、例えば、無線送信部11と、無線受信部12と、制御部13と、記憶部14と、通信部15とを備える。これら各構成部分は、一方向または双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。なお、無線送信部11と無線受信部12とをまとめて無線通信部16と称する。
無線送信部11は、データ信号や制御信号を、アンテナを介して無線通信で送信する。なお、アンテナは送信と受信で共通でもよい。無線送信部11は、非同期端末20に対して無線信号(下りの無線信号)を送信する。無線送信部11が送信する無線信号には、非同期端末20向けの任意のユーザデータや制御情報等(符号化や変調等がなされる)を含むことができる。
無線送信部11が送信する無線信号の具体例としては、図7、図10〜図12において非同期基地局(Wi-Fi基地局)10が非同期端末(Wi-Fi端末)20に対して送信している各無線信号(図中の矢印)が挙げられる。無線送信部11が送信する無線信号は、これらに限らず、上記の各実施形態および変形例で非同期基地局10が非同期端末20に対し送信するあらゆる無線信号を含む。
無線受信部12は、データ信号や制御信号を、アンテナを介して無線通信で受信する。無線受信部12は、非同期端末20から無線信号(上りの無線信号)を受信する。無線受信部12が受信する無線信号には、非同期端末20により送信される任意のユーザデータや制御情報等(符号化や変調等がなされる)を含むことができる。
無線受信部12が受信する無線信号の具体例としては、図7、図10〜図12において非同期基地局(Wi-Fi基地局)10が非同期端末(Wi-Fi端末)20から受信している各無線信号(図中の矢印)が挙げられる。無線受信部12が受信する信号は、これらに限らず、上記の各実施形態および変形例で非同期基地局10が非同期端末20から受信するあらゆる無線信号を含む。
制御部13は、非同期端末20に送信するデータや制御情報を無線送信部11に出力する。制御部13は、非同期端末20から受信されるデータや制御情報を無線受信部12から入力する。制御部13は、後述する記憶部14との間でデータ、制御情報、プログラム等の入出力を行う。制御部13は、後述する通信部15との間で、制御装置50、他の非同期基地局10、同期基地局30等を相手に送受信するデータや制御情報の入出力を行う。制御部13はこれら以外にも非同期基地局10における種々の制御を行う。
制御部13が制御する処理の具体例としては、図5、図7、図10〜図12において非同期基地局(Wi-Fi基地局)10が送受信している各信号(図中の矢印)に対する制御、および非同期基地局(Wi-Fi基地局)10が行っている各処理(図中の矩形)に対する制御が挙げられる。制御部13が制御する処理は、これらに限らず、上記の各実施形態および変形例で非同期基地局10が実行するあらゆる処理に関する制御を含む。
記憶部14は、データ、制御情報、プログラム等の各種情報の記憶を行う。記憶部14が記憶する各種情報は、上記の各実施形態および変形例で非同期基地局10において記憶されうるあらゆる情報を含む。
通信部15は、有線信号等(無線信号でも構わない)を介して、制御装置50、他の非同期基地局10、同期基地局30等を相手にデータや制御情報を送受信する。通信部15が送受信する有線信号等の具体例としては、図7、図10〜図11において非同期基地局(Wi-Fi基地局)10が制御装置50を相手に送受信している各有線信号等(図中の矢印)が挙げられる。通信部15が送受信する有線信号等は、これらに限らず、上記の各実施形態および変形例で非同期基地局10が制御装置50、他の非同期基地局10、同期基地局30等を相手に送受信するあらゆる有線信号等を含む。
なお、非同期基地局10は、無線送信部11や無線受信部12を介して非同期端末20以外の無線通信装置(例えば同期基地局30や同期端末40)と無線信号を送受信してもかまわない。
図14は、非同期端末20の構成の一例を示す機能ブロック図である。図14に示すように、非同期端末20は、例えば、無線送信部21と、無線受信部22と、制御部23と、記憶部24とを備える。これら各構成部分は、一方向または双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。なお、無線送信部21と無線受信部22とをまとめて無線通信部25と称する。
無線送信部21は、データ信号や制御信号を、アンテナを介して無線通信で送信する。なお、アンテナは送信と受信で共通でもよい。無線送信部21は、非同期基地局10に対して無線信号(上りの無線信号)を送信する。無線送信部21が送信する無線信号には、非同期基地局10向けの任意のユーザデータや制御情報等(符号化や変調等がなされる)を含むことができる。
無線送信部21が送信する無線信号の具体例としては、図7、図10〜図12において非同期端末(Wi-Fi端末)20が非同期基地局(Wi-Fi基地局)10に対して送信している各無線信号(図中の矢印)が挙げられる。無線送信部21が送信する無線信号は、これらに限らず、上記の各実施形態および変形例で非同期端末20が非同期基地局10に対し送信するあらゆる無線信号を含む。
無線受信部22は、データ信号や制御信号を、アンテナを介して無線通信で受信する。無線受信部22は、非同期基地局10から無線信号(下りの無線信号)を受信する。無線受信部22が受信する無線信号には、非同期基地局10により送信される任意のユーザデータや制御情報等(符号化や変調等がなされる)を含むことができる。
無線受信部22が受信する無線信号の具体例としては、図7、図10〜図12において非同期端末(Wi-Fi端末)20が非同期基地局(Wi-Fi基地局)10から受信している各無線信号(図中の矢印)が挙げられる。無線受信部22が受信する信号は、これらに限らず、上記の各実施形態および変形例で非同期端末20が非同期基地局10から受信するあらゆる無線信号を含む。
制御部23は、非同期基地局10に送信するデータや制御情報を無線送信部21に出力する。制御部23は、非同期基地局10から受信されるデータや制御情報を無線受信部22から入力する。制御部23は、後述する記憶部24との間でデータ、制御情報、プログラム等の入出力を行う。制御部23はこれら以外にも非同期端末20における種々の制御を行う。
制御部23が制御する処理の具体例としては、図5、図7、図10〜図12において非同期端末(Wi-Fi端末)20が送受信している各信号(図中の矢印)に対する制御、および非同期端末(Wi-Fi端末)10が行っている各処理(図中の矩形)に対する制御が挙げられる。制御部23が制御する処理は、これらに限らず、上記の各実施形態および変形例で非同期端末20が実行するあらゆる処理に関する制御を含む。
記憶部24は、データ、制御情報、プログラム等の各種情報の記憶を行う。記憶部24が記憶する各種情報は、上記の各実施形態および変形例で非同期端末20において記憶されうるあらゆる情報を含む。
なお、非同期端末20は、無線送信部21や無線受信部22を介して非同期基地局10以外の無線通信装置(例えば他の非同期端末10、同期基地局30や同期端末40)と無線信号を送受信してもかまわない。
図15は、制御装置50の構成の一例を示す機能ブロック図である。図15に示すように、制御装置50は、例えば、制御部51と、記憶部52と、通信部53とを備える。これら各構成部分は、一方向または双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。
制御部51は、後述する記憶部52との間でデータ、制御情報、プログラム等の入出力を行う。制御部51は、後述する通信部53との間で、非同期基地局10、同期基地局30等を相手に送受信するデータや制御情報の入出力を行う。制御部51はこれら以外にも制御装置50における種々の制御を行う。
制御部51が制御する処理の具体例としては、図7、図10〜図11において制御装置50が送受信している各信号(図中の矢印)に対する制御、および制御装置50が行っている各処理(図中の矩形)に対する制御が挙げられる。制御部51が制御する処理は、これらに限らず、上記の各実施形態および変形例で制御装置50が実行するあらゆる処理に関する制御を含む。
記憶部52は、データ、制御情報、プログラム等の各種情報の記憶を行う。記憶部52が記憶する各種情報は、上記の各実施形態および変形例で制御装置50において記憶されうるあらゆる情報を含む。
通信部53は、有線信号等(無線信号でも構わない)を介して、非同期基地局10や同期基地局30等を相手にデータや制御情報を送受信する。通信部15が送受信する有線信号等の具体例としては、図7、図10〜図11において制御装置50が非同期基地局(Wi-Fi基地局)10や同期基地局(LTE基地局)30を相手に送受信している各有線信号等(図中の矢印)が挙げられる。通信部53が送受信する有線信号等は、これらに限らず、上記の各実施形態および変形例で制御装置50が非同期基地局(Wi-Fi基地局)10や同期基地局(LTE基地局)30等を相手に送受信するあらゆる有線信号等を含む。
[各実施形態の無線通信システムにおける各装置のハードウェア構成]
図16〜図18に基づいて、各実施形態および各変形例の無線通信システムにおける各装置のハードウェア構成を説明する。ここでは特に、非同期基地局(例えばWi-Fi基地局)10、非同期端末(例えばWi-Fi端末)20、および制御装置50のハードウェア構成を説明する。同期基地局(例えばLTE基地局)30と同期端末(LTE端末)40のハードウェア構成については、非同期基地局10と非同期端末20とそれぞれ同様なため、説明を割愛する。
図16は、非同期基地局10のハードウェア構成の一例を示す図である。図16に示すように、非同期基地局10は、ハードウェアの構成要素として、例えばアンテナ111を備えるRF(Radio Frequency)回路112と、プロセッサ113と、メモリ114と、ネットワークIF(Interface)115とを有する。これら各構成要素は、バスを介して各種信号やデータの入出力が可能なように接続されている。
プロセッサ113は、例えばCPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)である。メモリ114は、例えばSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等のRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、およびフラッシュメモリの少なくともいずれかを含み、プログラムや制御情報やデータを格納する。この他に、非同期基地局は不図示の補助記憶装置(ハードディスク等)等を備えていても良い。
図13に示す非同期基地局10の機能構成と図16に示す非同期基地局10のハードウェア構成との対応を説明する。無線送信部11および無線受信部12(あるいは無線通信部16)は、例えばRF回路112、あるいはアンテナ111およびRF回路112により実現される。制御部13は、例えばプロセッサ113、メモリ114、不図示のデジタル電子回路等により実現される。デジタル電子回路としては例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programming Gate Array)、LSI(Large Scale Integration)等が挙げられる。記憶部14は、例えばメモリ114により実現される。通信部15は、例えばネットワークIF115により実現される。
図17は、非同期端末20のハードウェア構成の一例を示す図である。図17に示すように、非同期端末20は、ハードウェアの構成要素として、例えばアンテナ121を備えるRF(Radio Frequency)回路122と、プロセッサ123と、メモリ124とを有する。これら各構成要素は、バスを介して各種信号やデータの入出力が可能なように接続されている。
プロセッサ123は、例えばCPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)である。メモリ124は、例えばSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等のRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、およびフラッシュメモリの少なくともいずれかを含み、プログラムや制御情報やデータを格納する。
図14に示す非同期端末20の機能構成と図17に示す非同期端末20のハードウェア構成との対応を説明する。無線送信部21および無線受信部22(あるいは無線通信部25)は、例えばRF回路122、あるいはアンテナ121およびRF回路122により実現される。制御部23は、例えばプロセッサ123、メモリ124、不図示のデジタル電子回路等により実現される。デジタル電子回路としては例えば、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programming Gate Array)、LSI(Large Scale Integration)等が挙げられる。記憶部24は、例えばメモリ124により実現される。
図18は、制御装置50のハードウェア構成の一例を示す図である。図18に示すように、制御装置50は、ハードウェアの構成要素として、例えばプロセッサ151と、メモリ152と、ネットワークIF(Interface)153とを有する。これら各構成要素は、バスを介して各種信号やデータの入出力が可能なように接続されている。
プロセッサ151は、例えばCPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)である。メモリ152は、例えばSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等のRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、およびフラッシュメモリの少なくともいずれかを含み、プログラムや制御情報やデータを格納する。この他に、非同期基地局は不図示の補助記憶装置(ハードディスク等)等を備えていても良い。
図15に示す制御装置50の機能構成と図18に示す制御装置50のハードウェア構成との対応を説明する。制御部51は、例えばプロセッサ153、メモリ154、不図示のデジタル電子回路等により実現される。デジタル電子回路としては例えば、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programming Gate Array)、LSI(Large Scale Integration)等が挙げられる。記憶部52は、例えばメモリ152により実現される。通信部53は、例えばネットワークIF153により実現される。