JPWO2014200097A1 - 化学強化処理によるガラス基板の反りを低減する方法、化学強化ガラス及びその製造方法 - Google Patents

化学強化処理によるガラス基板の反りを低減する方法、化学強化ガラス及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、フロート法により成形され、成形時に溶融金属と接するボトム面と、該ボトム面に対向するトップ面を有するガラス基板の少なくともトップ面に少なくとも1層の膜を形成することにより、その後の化学強化処理によるガラス基板の反りを低減する方法であって、前記ガラス基板は硝酸カリウム溶融塩により420℃にて150分間化学強化処理した時の圧縮応力層深さが20μm以下となるガラス基板であり、前記膜は、ケイ素からなる酸化物並びに複合酸化物を少なくとも1種類以上含み、膜厚が17nm以上である方法に関する。

Description

本発明は、化学強化処理によるガラス基板の反りを低減する方法、反りが低減された化学強化ガラス及び反りを低減した化学強化ガラスの製造方法に関する。
近年、タブレットPC、スマートフォンおよび電子書籍リーダー等の携帯情報機器は、タッチパネルディスプレイを備えるものが主流となっている。タッチパネルディスプレイは、ディスプレイ用ガラス基板の上にタッチセンサーガラスとカバーガラスを重ねた構造、または、タッチセンサーガラスとカバーガラスとを一体化した構造を有する。
このような携帯情報機器に対しては、軽量および薄型化が要求されており、そのため、ディスプレイ保護用に使用されるカバーガラスも薄くすることが要求されている。
しかし、カバーガラスの厚さを薄くしていくと、強度が低下し、使用中または携帯中の落下などによりカバーガラス自身が割れてしまうという問題がある。
このため従来のカバーガラスは、耐傷性を向上させるため、フロート法により製造されたフロートガラスを、化学強化することで表面に圧縮応力層を形成しカバーガラスの耐傷性を高めている。
化学強化の方法としては、一般的にKNOの溶融塩にガラス板を浸漬することでガラス中のNaイオンを溶融塩中のKイオンと置換させるイオン交換プロセスが用いられている。この場合、Naイオンよりもイオン半径が大きいKイオンがガラスのネットワーク内に侵入することでガラス表面に圧縮応力(以下、CS)が発生する。ここで、化学強化により生じる圧縮応力層の深さをDepth of Layer(以下、DOL)と呼ぶ。
フロートガラスにおいては、この化学強化処理後に反りが生じて平坦性が損なわれることが報告されている(特許文献1)。該反りは、フロート成形時に溶融錫と接触していないガラス面(以下、トップ面ともいう。)と、溶融錫と接触しているガラス面(以下、ボトム面ともいう。)との圧縮応力層の状態が異なることにより生じるとされている。
従来、フロートガラスのトップ面が、ボトム面と圧縮応力層の状態が異なる理由としては、フロート成形時において溶融金属と接触するガラス面に溶融金属が侵入するためと考えられてきた(特許文献1)。
特許文献1では、フロート方式で製造され、加工された板状体を表面研磨せずに、Liイオン若しくはNaイオンまたはこれらの混合無機塩に浸漬または接触した後に化学強化することにより、前記反りを改善することが開示されている。
また、従来、前記反りを低減するために、化学強化による圧縮応力を小さくすることで両表面間の応力差を小さくしたり、フロートガラスのトップ面およびボトム面を研削処理または研磨処理等することにより表面異質層を除去した後に化学強化することでイオン交換反応の差が起きないようにするなどの対処方法がなされている。
日本国特公平7−72093号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、化学強化前に混合無機塩にフロートガラスを浸漬処理することが必要であり、煩雑である。また、圧縮応力を小さくする方法では化学強化後のフロートガラスの強度が不十分となる虞がある。
また、化学強化前にフロートガラスのトップ面およびボトム面を研削処理または研磨処理等する方法は、生産性を向上させる観点から問題があり、これらの研削処理または研磨処理等を省略することが好ましい。
したがって、本発明は、簡便な方法により、化学強化後の反りを効果的に抑制することができ、生産性も十分に向上することのできる方法、反りを抑制した化学強化ガラスの製造方法および化学強化ガラスを提供することを目的とする。
本発明者らは、ガラス基板の少なくともトップ面に、少なくとも1層の特定の膜厚を有する膜を形成することにより、化学強化後におけるフロートガラスの反りを効果的に低減できることを見出し、この知見に基づいて、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.フロート法により成形され、成形時に溶融金属と接するボトム面と、該ボトム面に対向するトップ面を有するガラス基板の少なくともトップ面に少なくとも1層の膜を形成することにより、その後の化学強化処理によるガラス基板の反りを低減する方法であって、
前記ガラス基板は硝酸カリウム溶融塩により420℃にて150分間化学強化処理した時の圧縮応力層深さが20μm以下となるガラス基板であり、
前記膜は、ケイ素からなる酸化物並びに複合酸化物を少なくとも1種類以上含み、膜厚が17nm以上である方法。
2.前記膜は、膜密度が1.9〜2.3g/cmである前項1に記載の方法。
3.前記ガラス基板は化学強化温度がT(単位:K)、化学強化時間がt(単位:時間)である化学強化処理に用いられ、且つSiOを含有し、SiO、Al、MgO、CaO、SrO、BaO、ZrO、NaOおよびKOの各質量百分率表示含有量を用いて次式で求められるdolが20以下である前項1または2に記載の方法。
dol=−0.13×Al−1.88×MgO−2.41×CaO−1.85×SrO−1.35×BaO−1.59×ZrO+1.50×NaO+2.42×KO−129359/T+9.28×t0.5+182.88
4.前記ガラス基板は酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを60〜80%、Alを0.01〜8%、NaOを8〜22%、KOを0〜7%、MgOを0〜17%、CaOを0〜22%、SrOを0〜8%、BaOを0〜8%、ZrOを0〜5%含有する前項1から3のいずれか1項に記載の方法。
5.前記ガラス基板は酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを60〜80%、Alを0.01〜8%、NaOを8〜22%、KOを0〜7%、ZrOを0〜5%含有し、MgO、CaO、SrOおよびBaOの少なくとも1種を含有する場合MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計が5〜25%であり、NaOとKOの含有量の和およびAlの含有量の比(NaO+KO)/Alが1.5以上である前項1〜4のいずれか1に記載の方法。
6.前記(NaO+KO)/Alが10以下である前項5に記載の方法。
7.前記ガラス基板はCaO、SrOおよびBaOの少なくとも1種を含有しCaO、SrOおよびBaOの含有量の合計が酸化物基準の質量百分率表示で1〜10%である前項1〜6のいずれか1に記載の方法。
8.前記膜が常圧CVD法により形成された膜である前項1〜7のいずれか1に記載の方法。
9.フロート法により成形され、成形時に溶融金属と接するボトム面と、該ボトム面に対向するトップ面を有し、硝酸カリウム溶融塩により420℃にて150分間化学強化処理した時の圧縮応力層深さが20μm以下となるガラス基板に対して、該ガラス基板の前記トップ面に少なくとも1層の膜を形成する成膜工程と、前記膜を形成させた前記ガラス基板を化学強化処理する化学強化工程とを有する化学強化ガラスの製造方法において、前記成膜工程で、ケイ素からなる酸化物並びに複合酸化物を少なくとも1種類以上含み、かつ膜厚が17nm以上となるように前記膜を形成させることにより、前記化学強化工程における前記ガラス基板の反りを低減させることを特徴とする化学強化ガラスの製造方法。
10.前記成膜工程では、膜密度が1.9〜2.3g/cmとなるように前記膜を形成させる前項9に記載の化学強化ガラスの製造方法。
11.前記ガラス基板は、SiOを含有し、前記化学強化工程では、化学強化温度をT(単位:K)、化学強化時間をt(単位:時間)として、前記ガラス基板のSiO、Al、MgO、CaO、SrO、BaO、ZrO、NaOおよびKOの各質量百分率表示含有量を用いて次式で求められるdolが20以下となるように処理する前項9または10に記載の化学強化ガラスの製造方法。
dol=−0.13×Al−1.88×MgO−2.41×CaO−1.85×SrO−1.35×BaO−1.59×ZrO+1.50×NaO+2.42×KO−129359/T+9.28×t0.5+182.88
12.前記成膜工程では、常圧CVD法により前記膜を形成させる前項9〜11のいずれか1項に記載の化学強化ガラスの製造方法。
13.フロート法により成形され、成形時に溶融金属と接するボトム面と、該ボトム面に対向するトップ面を有し、硝酸カリウム溶融塩により420℃にて150分間化学強化処理した時の圧縮応力層深さが20μm以下となるガラス基板に対して、該ガラス基板の前記トップ面に少なくとも1層の膜を形成し、前記膜を形成させた前記ガラス基板を化学強化処理することによって得られる化学強化ガラスにおいて、
前記膜は、ケイ素からなる酸化物並びに複合酸化物を少なくとも1種類以上含み、かつ膜厚が17nm以上であり、化学強化処理後の前記膜の表層からの深さが5nmから前記膜の表層から膜厚の80%の位置までに存在するK量の平均値(単位:atm%)を、前記ガラス基板と前記膜との界面からの深さが20nmから30nmまでに存在するK量の平均値(単位:atm%)で割った値が0.2以上、または化学強化処理後の前記膜の表層からの深さが5nmから前記膜の表層から膜厚の80%の位置までに存在するNa量の平均値(単位:atm%)を、前記ガラス基板と前記膜との界面からの深さが20nmから30nmまでに存在するNa量の平均値(単位:atm%)で割った値が0.2以上であることを特徴とする化学強化ガラス。
14.前記ガラス基板は酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを60〜80%、Alを0.01〜8%、NaOを8〜22%、KOを0〜7%、MgOを0〜17%、CaOを0〜22%、SrOを0〜8%、BaOを0〜8%、ZrOを0〜5%含有する前項13に記載の化学強化ガラス。
15.前記ガラス基板は酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを60〜80%、Alを0.01〜8%、NaOを8〜22%、KOを0〜7%、ZrOを0〜5%含有し、MgO、CaO、SrOおよびBaOの少なくとも1種を含有する場合MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計が5〜25%であり、NaOとKOの含有量の和およびAlの含有量の比(NaO+KO)/Alが1.5以上である前項13または14に記載の化学強化ガラス。
16.前記(NaO+KO)/Alが10以下である前項15に記載の化学強化ガラス。
17.前記ガラス基板はCaO、SrOおよびBaOの少なくとも1種を含有しCaO、SrOおよびBaOの含有量の合計が酸化物基準の質量百分率表示で1〜10%である前項13〜16のいずれか1項に記載の化学強化ガラス。
本発明によれば、ガラス基板の少なくともトップ面に、少なくとも1層の特定の膜厚を有する膜を形成することにより、トップ面およびボトム面におけるイオンの交換速度を調整して、トップ面とボトム面とのイオン交換量差を低減することができる。このことにより、化学強化により圧縮応力層が形成された場合でも、トップ面およびボトム面における圧縮応力層の状態を均衡化することができるため、反りが起こりにくくなる。したがって、本発明によれば、化学強化前の研磨処理等を簡略化または省略しても、化学強化後におけるフロートガラスの反りを低減し、優れた平坦度を得ることができる。
図1は、種々のガラスのΔイオン交換量(トップ面のイオン交換量からボトム面のイオン交換量を減じた値)とΔ反り量との相関関係を示す図である。 図2は、CVD法で膜をガラス基板上に形成する装置の概念図である。 図3は、ガラスの反り変位量とSiO膜の膜厚との相関関係を示す図である。
以下、本発明の一実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の方法は、ケイ素からなる酸化物ならびに複合酸化物を少なくとも1種類以上含み膜厚が17nm以上である膜を形成することにより、トップ面およびボトム面におけるイオンの交換速度を調整して、トップ面およびボトム面における圧縮応力層の状態を均衡化することができる。そのため、ガラス基板の圧縮応力を少なくしたり、化学強化処理の前に研削および研磨等の処理をすることなく、化学強化後におけるガラス基板の反りを低減することができる。
また、本実施形態の方法に用いる膜の膜密度は1.9g/cm以上であることが好ましい。膜の膜密度が1.9g/cm以上であることにより、イオンの交換速度をさらに抑制することができ、トップ面およびボトム面における圧縮応力層の状態をより均衡化しやすくなる。
(ガラス)
本実施形態の方法に用いるガラス基板は、硝酸カリウム溶融塩により420℃にて150分間化学強化処理した時の圧縮応力層深さが20μm以下となるガラス基板であり、好ましくは18μm以下であり、より好ましくは16μm以下である。なお、圧縮応力層の深さが20μmを超えると、化学強化処理後の化学強化ガラスを切断することが困難となるため、一般的な化学強化処理条件において圧縮応力層深さが20μm以下となるガラス基板が好ましい。
本実施形態の方法に用いるガラス基板は、化学強化処理後の表面圧縮応力が450MPa以上であることが好ましく、500MPa以上であることがより好ましい。CSおよびDOLは、表面応力計により測定することができる。
本実施形態の方法に用いるガラス基板の組成は、フロート法により成形され、化学強化処理による強化が可能であり、硝酸カリウム溶融塩により420℃にて150分間化学強化処理した時の圧縮応力層深さが20μm以下である限り、種々の組成のものを使用することができる。具体的には、例えば、ソーダライムシリケートガラスからなるガラス板が挙げられる。
ガラス基板の厚みは、特に制限されるものではないが、後述する化学強化処理を効果的に行うために、通常5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましい。
本実施形態の方法に用いるガラス基板は化学強化温度がT(単位:K)、化学強化時間がt(単位:時間)である化学強化処理に用いられ、且つSiOを含有し、SiO、Al、MgO、CaO、SrO、BaO、ZrO、NaOおよびKOの各質量百分率表示含有量を用いて次式で求められるdolが20以下であることが好ましい。
dol=−0.13×Al−1.88×MgO−2.41×CaO−1.85×SrO−1.35×BaO−1.59×ZrO+1.50×NaO+2.42×KO−129359/T+9.28×t0.5+182.88
本実施形態の方法に用いるガラス基板の組成としては、例えば、以下のガラスの組成が挙げられる。
(i)酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを60〜80%、Alを0.01〜8%、NaOを8〜22%、KOを0〜7%、RO(R=Mg、Ca、Sr、Ba)を合量で5〜25%、ZrOを0〜5%含むガラス、
(ii)酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを60〜80%、Alを0.01〜8%、NaOを8〜22%、KOを0〜7%、MgOを0〜17%、CaOを0〜22%、SrOを0〜8%、BaOを0〜8%、ZrOを0〜5%含むガラス、
(iii)酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを64〜77%、Alを0.01〜7%、NaOを10〜18%、KOを0〜5%、MgOを1〜10%、CaOを1〜12%、SrOを0〜5%、BaOを0〜5%、ZrOを0〜3%含むガラス、
(iv)酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを60〜80%、Alを0.01〜8%、NaOを8〜22%、KOを0〜7%、ZrOを0〜5%含有し、MgO、CaO、SrOおよびBaOの少なくとも1種を含有する場合MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計が5〜25%であり、NaOとKOの含有量の和およびAlの含有量の比(NaO+KO)/Alが1.5以上であるガラス、
(v)酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを60〜80%、Alを0.01〜8%、NaOを8〜22%、KOを0〜7%、ZrOを0〜5%含有し、MgO、CaO、SrOおよびBaOの少なくとも1種を含有する場合MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計が5〜25%であり、NaOとKOの含有量の和およびAlの含有量の比(NaO+KO)/Alが1.5以上10以下であるガラス、
(vi)酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを60〜80%、Alを0.01〜8%、NaOを8〜22%、KOを0〜7%、ZrOを0〜5%含有し、MgO、CaO、SrOおよびBaOの少なくとも1種を含有する場合MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計が5〜25%であり、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計が1〜10%であり、NaOとKOの含有量の和およびAlの含有量の比(NaO+KO)/Alが1.5以上であるガラス。
本実施形態のガラス基板において、ガラス組成を前記範囲に限定した理由を以下に説明する。
SiOは、ガラス微細構造の中で網目構造を形成する成分として知られており、ガラスを構成する主要成分である。SiOの含有量は、60%以上であり、好ましくは64%以上、より好ましくは66%以上、さらに好ましくは67%以上である。また、SiOの含有量は、80%以下であり、好ましくは77%以下、より好ましくは75%以下である。SiOの含有量が60%以上であるとガラスとしての安定性や耐候性の点で優位である。一方、SiOの含有量が80%以下であると熔解性および成形性の点で優位である。
Alは必須成分であり、化学強化におけるイオン交換性能を向上させる作用があり、特にCSを向上する作用が大きい。ガラスの耐候性を向上する成分としても知られている。また、フロート成形時にボトム面からの錫の浸入を抑制する作用がある。
Alの含有量は、0.01%以上、好ましくは0.2%以上、より好ましくは0.5%以上である。また、Alの含有量は、8%以下であり、より好ましくは7%以下、さらに好ましくは6%以下、特に好ましくは5.5%以下である。Alの含有量が0.5%以上であると、イオン交換により、所望のCS値が得られ、また、錫の浸入を抑制する効果が得られる。一方、Alの含有量が8%以下であると、ガラスの粘性が高い場合でも失透温度が大きくは上昇しないため、生産性の点で優位である。
MgOは、必須ではないが、ガラスを安定化させ、CSを向上させる成分であり、含有することが好ましい。MgOの含有量は、好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上である。また、MgOの含有量は、好ましくは17%以下であり、より好ましくは6%以下、さらに好ましくは5.7%以下、特に好ましくは5.4%以下である。MgOの含有量が1%以上であると、高温での熔解性が良好になり、失透が起こり難くなる。一方、MgOの含有量が17%以下、特に6%以下であると、失透の起こりにくさが維持され、充分なイオン交換速度が得られる。
CaOは、必須ではないが、ガラスを安定化させ、CSを向上させる成分であり、含有することが好ましい。CaOの含有量は、好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上である。また、CaOの含有量は、好ましくは22%以下であり、より好ましくは9%以下、さらに好ましくは8.5%以下、特に好ましくは8.2%以下である。CaOの含有量が1%以上であると、高温での熔解性が良好になり、失透が起こり難くなる。一方、CaOの含有量が22%以下、特に9%以下であると、充分なイオン交換速度が得られ、所望のDOLが得られる。
SrOおよびBaOは、必須ではないが、ガラスをより安定化させ、CSを向上させる成分である。SrOおよびBaOの含有量は、それぞれ、好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上である。また、SrOおよびBaOの含有量は、それぞれ、好ましくは8%以下であり、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは2%以下である。
MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計は、5〜25%であることが好ましい。5%未満の場合は、ガラスが不安定化するもしくは十分なCSが得られない恐れがある。また25%超の場合はガラスが不安定化するもしくは十分なイオン交換が起こらない恐れがある。
また、ガラスの脆さを改善する場合、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計は、1〜10%であることが好ましい。1%未満ではCSが十分に得られない恐れがある。また、10%超ではガラスが脆くなりすぎ、強度が低下する可能性がある。
ZrOは、必須ではないが、ガラスを安定化させ、CSを向上させる成分である。ZrOの含有量が5%超になると、ガラスが逆に不安定化するもしくは十分なイオン交換が起こらない恐れがある。含有する場合は、5%以下が好ましく、より好ましくは3%以下である。
NaOは必須成分であり、イオン交換により表面圧縮応力層を形成させ、DOLを深くする作用がある。またガラスの高温粘性と失透温度を下げ、ガラスの熔解性、成形性を向上させる成分である。
NaOの含有量は、8%以上であり、好ましくは10%以上、より好ましくは11%以上である。また、NaOの含有量は、22%以下であり、好ましくは20%以下、より好ましくは18%以下である。NaOの含有量が8%以上であると、イオン交換により所望の表面圧縮応力層を形成することができる。一方、NaOの含有量が22%超であると、耐候性が低下するため好ましくない。
Oは必須成分ではないが、イオン交換速度を増大しDOLを深くする効果があり、7%以内で含有してもよい。7%超であるとDOLが深くなり過ぎ、また充分なCSが得らない。好ましくは5%以下、より好ましくは4%以下である。また、少量のKOは、フロート成形時にボトム面からの錫の浸入を抑える効果があるため、フロート成形する際には含有することが好ましい。この場合、KOの含有量は0.05%以上が好ましく、より好ましくは0.1%以上である。
Alは高温粘性と失透温度を上げる成分であり、NaOとKOは両者を下げる成分である。NaOとKOの含有量の和およびAlの含有量の比(NaO+KO)/Alが1.5未満であると、高温粘性が高くなり、失透温度も高くなる。また、DOLが必要以上に浅くなる可能性がある。(NaO+KO)/Alは、好ましくは1.5以上であり、より好ましくは1.8以上であり、さらに好ましくは2以上である。一方、(NaO+KO)/Alは、好ましくは10以下であり、より好ましくは8以下であり、さらに好ましくは5以下である。
TiOは必須成分ではないが、天然原料中に多く存在し、黄色の着色源となることが知られている。TiOの含有量は好ましくは0.2%以下であり、より好ましくは0.13%以下、さらに好ましくは0.1%以下である。TiOの含有量が0.2%を超えるとガラスが黄色味を帯びる場合がある。
Feは必須成分ではないが、自然界および生産ラインのあらゆるところに存在するため、その含有量をゼロにすることが極めて困難な成分である。酸化状態にあるFeが黄色の着色原因となり、還元状態にあるFeOが青色の着色原因となることが知られており、両者のバランスでガラスは緑色に着色することが知られている。
本実施形態のガラスをディスプレイ装置、窓ガラス、太陽電池に用いる場合、濃い着色は好ましくない。全鉄量をFeとして換算し、その含有量が0.15%以下であることが好ましく、より好ましくは0.13%以下、さらに好ましくは0.11%以下である。
SOはガラスの溶融の清澄剤である。通常、ガラス中の含有量は原料から投入される量の半分以下となる。ガラス中のSOの含有量は、好ましくは0.02%以上であり、より好ましくは0.05%以上であり、さらに好ましくは0.1%以上である。また、SOの含有量は、好ましくは0.4%以下であり、より好ましくは0.35%以下であり、さらに好ましくは0.3%以下である。SOの含有量が0.02%以上であると、充分に清澄し泡欠点を抑制できる。一方、SOの含有量が0.4%を以下であると、ガラス中に発生する硫酸ナトリウムの欠点を抑制できる。
本実施形態の方法に用いるガラスの質量百分率表示の組成例G1〜G18並びにそれらについて化学強化したときの圧縮応力CS(単位:MPa)および圧縮応力層深さDOL(単位:μm)を表1、表2に示す。
表中の(NaO+KO)/AlはNaOとKOの含有量の和およびAlの含有量の比、ROはMgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計、CaO+SrO+BaOはCaO、SrOおよびBaOの含有量の合計、強化温度(単位:℃)および強化時間(単位:h)は前記化学強化についてのもの、KNOは化学強化に用いられる溶融塩中のKNOの濃度(単位:質量%)、dolは前記dolである。なお、溶融塩中のKNOの濃度が100%でないものの残りの成分はNaNOである。
Figure 2014200097
Figure 2014200097
(膜)
本実施形態の方法においては、ガラス基板の少なくともトップ面に少なくとも1層のケイ素からなる酸化物並びに複合酸化物を少なくとも1種類以上含む膜を形成する。
前記酸化物としては、例えば、SiOなどの無アルカリ酸化物、アルカリ元素またはアルカリ土類元素を含む複合酸化物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
無アルカリ酸化物とは、アルカリ金属元素以外の元素からなる酸化物であって、アルカリ金属以外の元素を1種以上含む酸化物ならびに複合酸化物、または2種類以上の酸化物および複合酸化物の混合酸化物、もしくは前記酸化物や複合酸化物の積層体のことである。
無アルカリ酸化物としては、ケイ素からなる酸化物並びに複合酸化物が、少なくとも1種類以上含まれる酸化物が好ましい。
酸化物だけからなる膜でも、窒化物、フッ化物、硫化物など、その他の化合物が含まれてもよく、いずれの元素と組み合わせてもよい。ランタノイド系元素またはアクチノイド系元素などが少量ドープされたような膜でもよい。
膜の膜厚は17nm以上であり、好ましくは30nm以上であり、より好ましくは34nm以上であり、より好ましくは36nm以上であり、さらに好ましくは38nm以上である。膜厚が17nm以上であると、イオン交換阻害の効果により、トップ面側への反りを改善できる。膜厚が厚ければ、膜がない場合と比較した反り変位量が大きくなるため、反り改善効果が高くなる。また、ボトム面側のイオン交換量が大きい場合には、トップ面側でのイオン交換阻害効果が大きくなるとボトム面側への反りが発生することがあるため、例えば、膜厚を100nm以下にして、反り変位量を抑えてもよい。
膜厚はX線反射率法により測定することができる。膜厚は、例えば、原料ガス濃度を調整することにより、調整することができる。この測定によって、ガラス基板と膜との界面が定義される。
膜の膜密度は、好ましくは1.90g/cm以上であり、より好ましくは1.90〜2.30g/cmであり、さらに好ましくは1.92〜2.18g/cmであり、よりさらに好ましくは1.94〜2.15g/cmである。膜密度が1.90g/cm以上になると、イオン交換阻害の効果により、トップ面側への反りを改善できる。また、ボトム面側のイオン交換量が大きい場合には、トップ面側でのイオン交換阻害効果が大きくなるとボトム面側への反りが発生することがあるため、例えば、膜密度を2.30g/cm以下にして、反り変位量を抑えてもよい。
膜密度はX線反射率法により測定することができる。膜密度は、例えば、原料ガス濃度を調整することにより調整することができる。
本発明の方法において、化学強化後におけるガラス基板の反りを低減するためには、トップ面およびボトム面のうち化学強化が入りやすい方の面であるトップ面に膜を形成する。膜は、ガラス基板の少なくともトップ面に少なくとも1層形成されていればよく、トップ面のみに形成されていてもよいし、トップ面およびボトム面の両方に形成されていてもよい。
トップ面およびボトム面の両方に膜を形成する場合は、トップ面側の膜およびボトム面側の膜間で膜厚または膜密度を調整することで、化学強化後のガラス基板の反りを低減することができる。
膜は、ガラス基板の表面の通常50%以上を被覆していることが好ましく、70%以上を被覆していることがより好ましい。
(膜の形成方法)
膜の形成方法としては、例えば、常圧CVD法およびプラズマCVD法等のCVD(化学蒸着、Chemical Vapor Deposition)法、スパッタ法、ウェットコート法並びに蒸着法が挙げられる。これらの中でも、大面積に容易に製膜可能である観点から、CVD法が好ましく、常圧CVD法がより好ましい。
具体的な方法として、例えば、CVD法で膜をガラス基板上に形成する場合について、図2に示す模式図により以下に説明する。
大気圧CVD法で用いるインジェクタ10を用いて、ガラス基板の表面に、シリカ源と酸化剤とを含むガスを供給し、ガラス基板表面でシリカ源と酸化剤を反応させて、膜が形成されたガラス基板を得る。
すなわち、図2に示す中央スリット1から、好ましくは0.01〜10SLMの好ましくは0.01〜50質量%のシリカ源と好ましくは1〜1000SLMのキャリアガスとを混合したガスを好ましくは10〜200℃に加熱して、外スリット2から好ましくは0.5〜2000SLMの酸化剤を及び好ましくは1〜5000SLMのキャリアガスを吹きつけて、ケイ素からなる酸化物並びに複合酸化物が好ましくは17nm以上着膜したガラス基板を得る。
流量及び温度の条件については、ここに示したものはあくまで一例であり、ケイ素からなる酸化物並びに複合酸化物が所望量着膜できれば、これらの条件に限定されるものではない。なお、SLMはstandard litter per minuteの略である。
ガスは基板20上を、流路4を通じて流れ、排気スリット5ではインジェクタに導入した全ガス流量の好ましくは1.0〜20倍量を排気する。ガスの温度と流速の計測には、熱線風速計(例えば、カノマックス社製、クリモマスター6543)を用いる。
ガラス基板は好ましくは300〜700℃に加熱することが好ましい。ガラス基板の温度は、ガスを吹き付ける直前に放射温度計を設置して測定することができる。
ケイ素源としては、例えば、SiH、SiHCl、SiHCl、SiHCl、SiCl、Si(CHCl、SiBr、SiI、SiFおよびSi(OCなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
酸化剤としては、例えば、O、O、NO、NO、NO、COおよびCOなどが挙げられる。
キャリアガスとしては、常温でケイ素源および酸化剤と反応しない気体であることが好ましく、例えば、N、空気、H、O、Ne、Xe、CO、Ar、HeおよびKrなどが挙げられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、NまたはArなどの不活性ガスが好ましい。
膜は、各種機能性膜であってもよい。機能性膜としては、例えば、低反射膜、熱線吸収膜、熱線反射膜、UV吸収膜、導電膜およびガラスのヤケ防止膜が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ガラス基板の両面に同じ機能を付与してもよいし、異なる機能を付与してもよい。
ガラス基板の両面に同じまたは異なる機能を付与する方法としては、具体的には、例えば、フロート法の徐冷領域において、ガラス基板両面の各表面に対して、同じまたは異なる機能性膜を付与することのできるケイ素源および酸化剤を供給して、ガラス組成を変えることなく、かつ、1回のプロセスで、両面に同じまたは異なる機能を有するガラス基板を製造することができる。このような方法によれば、通常のガラス基板の製造方法に合わせて、1回のプロセスで機能性膜をガラス基板上に形成することができるので、低コストで生産性の高いプロセスとして非常に有用である。
本実施形態で用いられるガラス基板は、フロート法により成形されるため、通常ローラー搬送によりガラス基板を搬送させることができる。フロート法では、ガラスの原料を溶解する溶融炉と、溶融ガラスを溶融金属(錫等)上に浮かせてガラスリボンを成形するフロートバスと、該ガラスリボンを徐冷する徐冷炉とを有するガラス製造装置を用いてガラス基板が製造される。
したがって、溶融金属(錫)浴上でガラスが成形される際に、溶融金属浴上を搬送されるガラス基板に対して、金属面に触れていない側からケイ素源および酸化剤を供給して当該ガラス基板表面に膜を形成してもよい。
溶融金属(錫)浴に続く徐冷領域では、ガラス基板はローラー搬送により搬送される。ここで、徐冷領域とは、徐冷炉内だけではなく、フロートバス内で前記溶融金属(錫)浴から搬出されてから徐冷炉内に搬送されるまでの部分も含むものである。徐冷領域においては溶融金属(錫)に触れていないトップ面からケイ素源および酸化剤を供給してもよい。または溶融金属(錫)に触れているボトム面からケイ素源および酸化剤を供給してもよい。
また、CVD法、スプレー法、ロールコート法またはフローコート法などとフロート法によるガラス製造技術と組み合わせることにより、オンラインで膜を表面上に形成したガラス基板を製造することができる。この場合、いずれも溶融金属(錫)に触れていない面またはローラーに触れていない面(トップ面)からケイ素源および酸化剤を含むガスを供給して、ガラス基板上に膜を形成することができ、また液を適切に供給してガラス基板上に膜を形成することができる。
本実施形態の方法においては、ガラス基板の表面に物性の異なる複数の膜が積層された多層構造を形成していてもよい。ガラス基板の表面に物性の異なる複数の膜が積層された多層構造を形成する方法としては、具体的には、例えば、ガラス基板の表面に第1層目のTiO膜を製膜し、TiO膜の上に第2層目のシリカ膜を製膜し、シリカ膜の上に第3層目のSnO層を製膜する方法により、多層構造からなる透明導電性酸化物膜が得られる。
(化学強化処理)
化学強化処理は、従来公知の方法によって行うことができる。また、化学強化処理の前に、用途に応じた形状加工、例えば、切断、端面加工および穴あけ加工などの機械的加工を行うことが好ましい。なお、切断などは化学強化処理を行った後に行ってもよい。
化学強化処理により、大きなイオン半径の金属イオン(典型的には、Kイオン)を含む金属塩(例えば、硝酸のカリウム)の融液に浸漬などによって、ガラス基板を接触させることにより、ガラス基板中の小さなイオン半径の金属イオン(典型的には、NaイオンまたはLiイオン)が大きなイオン半径の金属イオンと置換される。
化学強化処理は、例えば、300〜550℃の硝酸カリウム溶液中にガラス板を5分〜20時間浸漬することによって行うことができる。イオン交換条件は、ガラスの粘度特性や、用途、板厚、ガラス内部の引っ張り応力等を考慮して最適な条件を選択すればよい。
化学強化処理を行うための溶融塩としては、例えば、硝酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化ナトリウムおよび塩化カリウム等のアルカリ硝酸塩、アルカリ硫酸塩およびアルカリ塩化物塩などが挙げられる。これらの溶融塩は単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態において、化学強化処理の処理条件は、特に限定されず、ガラスの特性および溶融塩等を考慮して最適な条件を選択すればよい。
本実施形態の方法によりトップ面およびボトム面におけるイオン交換量を均等化することにより、化学強化後のガラスの反りを改善できる。ガラスの反り量は、接触式表面形状測定器[例えば、株式会社東京精密製サーフコム(商品名)]で測定することができる。反り量は、接触式表面形状測定器で測定した際、測定開始点と測定終了点が同レベルになるようにベースライン補正を実施後、最高点と最下点の差として測定する。トップ面凸方向に反った場合はプラス、ボトム面凸方向に反る場合はマイナスとして表現する。
化学強化前後におけるガラスの反り量の変化(Δ反り量)は、下記式により測定する。
(式)Δ反り量=(化学強化後反り量)−(化学強化前反り量)
Δ反り量は、板厚0.7mm、50×50mmのガラスの場合、15μm以下であることが好ましく、12μm以下であることがより好ましい。Δ反り量を15μm以下とすることにより、ガラス基板に金属配線をパターにングする際に不具合が生じるのを防ぐことができる。
また、本実施形態の化学強化ガラスの製造方法は、ガラス基板のトップ面に上述した少なくとも1層の膜を形成する成膜工程と、この膜を形成させたガラス基板を上述した化学強化処理する化学強化工程とを有する。なお、成膜工程に用いられるガラス基板は、フロート法により成形されたものであって、硝酸カリウム溶融塩により420℃にて150分間化学強化処理した時の圧縮応力層深さが20μm以下となるものである。
膜は、ケイ素からなる酸化物並びに複合酸化物を少なくとも1種類以上含み、膜厚が17nm以上となるように成膜工程で膜を形成させる。これにより、化学強化工程にて発生するガラス基板の反りを低減させた化学強化ガラスを製造することができる。
また、本実施形態の化学強化ガラスは、ガラス基板に、ケイ素からなる酸化物並びに複合酸化物を少なくとも1種類以上含み、膜厚が17nm以上の膜を形成させたのち、化学強化処理を施したものである。なお、ガラス基板は、フロート法により成形されたものであって、硝酸カリウム溶融塩により420℃にて150分間化学強化処理した時の圧縮応力層深さが20μm以下となるものである。
本実施形態の化学強化ガラスは、化学強化処理後の膜とガラス基板との関係において、ガラス基板の断面方向において、膜の表層からの深さが5nm位置から膜の表層から膜厚の80%の位置までのK量の平均値(Aとする。単位:atm%)を、ガラス基板と膜との界面を基準として、そこからの深さが20nm位置から30nm位置までのK量の平均値(Bとする。単位:atm%)で割った値が0.2以上、または膜の表層からの深さが5nm位置から膜の表層から膜厚の80%の位置までのNa量の平均値(ANaとする。単位:atm%)を、ガラス基板と膜との界面を基準として、そこからの深さが20nm位置から30nm位置までのNa量の平均値(BNaとする。単位:atm%)で割った値が0.2以上となる。すなわち、A/B≧0.2またはANa/BNa≧0.2である。なお、A/B≧0.2かつANa/BNa≧0.2であることが好ましい。
化学強化処理前のガラス基板のトップ面の膜中には、NaとKはほとんど存在していない。化学強化処理を開始すると、ガラス基板のNaが膜への侵入を開始し、Hとイオン交換しながら硝酸カリウム溶融塩との界面まで移動する。移動してきたNaとKNOがイオン交換し、Kが膜中に侵入する。膜に侵入したKは、NaまたはKとイオン交換しながらガラス基板と膜との界面まで移動する。移動してきたKは、ガラス基板のNaまたはKとイオン交換してガラス基板に侵入し、ガラス基板に膜が形成されていても化学強化処理が可能となる。
このとき、膜中にKやNaが侵入しているため、膜がないときと比較して、ガラス基板のNaとイオン交換されるK量は減少することになる。この膜中のKまたはNaがガラス基板中のKまたはNaに対してそれぞれ一定量存在する、すなわち、A/B≧0.2またはANa/BNa≧0.2とすることで、ガラス基板の化学強化を弱めることになり、反りの抑制になる。反りの抑制効果を高めるには、A/B≧0.4またはANa/BNa≧0.4であることが好ましい。また、A/B≧0.4かつANa/BNa≧0.4であることがより好ましい。
本実施形態で得られた化学強化ガラスにより、化学強化ガラス基板の表面に機能性膜を有する化学強化ガラス製品を得ることができる。このような化学強化ガラス製品としては、例えば、タブレットPC、ノートPC、スマートフォンおよび電子書籍リーダー等の携帯情報機器に備えられたタッチパネルディスプレイのカバーガラスおよびタッチセンサーガラス、液晶テレビおよびPCモニタ等のカバーガラスが挙げられる。ディスプレイ装置またはデバイス中に組み込まれるガラス基板にも適用することができる。
以下に本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(1)フロートガラスの製造
以下の組成の硝材を、板厚0.7mmになるようにフロート法で製造し、100×100mmに切断してフロート板ガラスを製造した。
(硝材A)質量%表示で、SiO 71.5%、Al 1.8%、NaO 13.5%、KO 0.26%、MgO 4.64%、CaO 7.83%、ZrO 0.03%
(2)ガラス基板の作製
大気圧CVD法で用いるインジェクタ10を用いて、図2に示す模式図のようにして、(1)で製造したフロート板ガラスの表面に、モノシラン(SiH)、酸素(O)を含むガスを供給し、ガラス基板表面でモノシランと酸素を反応させて、SiO膜が形成されたガラス基板を得た。
すなわち、図2に示す中央スリット1から、100%SiHを0.045SLMと窒素(N)53.8SLMを混合したガスを580℃に加熱して流速95.9Ncm/秒で、外スリット2から酸素45SLM及び窒素8.9SLMを流速48.0Ncm/秒で、吹きつけて、SiOが71nm着膜したガラス基板を得た。
ガスは基板20上を、流路4を通じて流れ、排気スリット5ではインジェクタに導入した全ガス流量の2倍量を排気した。ガスの温度と流速の計測には、熱線風速計(カノマックス社製、クリモマスター6543)を用いた。
ガラス基板は前記硝材Aからなるガラス基板(厚み0.7mm)を使用した。ガラス基板は580℃に加熱して、速度1.96m/分で搬送した。ガラス基板の温度は、ガスを吹き付ける直前に放射温度計を設置して測定した。
(3)ガラス基板の膜における膜厚および膜密度の測定
(2)において得られたガラス基板の表面上に形成した膜における膜厚および膜密度をX線反射率法により測定した。
(4)ガラス基板上膜の膜厚、密度の測定
(2)ガラス基板の表面上に形成したシリカ膜の膜厚、密度をX線反射率法(X−ray reflectance:XRR)により測定した。分析条件を以下に示す。
・装置:リガク製ATX−G
・X線源:Cu−Kα線
・X線出力:50kV−300mA
・光学系:Ge(111)非対称ビーム圧縮光学系
・スリット:S1=1×10mm、S2=0.1×10mm、RS=0.2×10mm、GS=0.2mm
・スキャンスピード:0.1°/min
・サンプリング幅:0.001°
・測定範囲:0〜2°
・解析方法:拡張フーリエ解析により得た値を初期値として、非線形最小二乗フィッティング法により全反射角から表面密度(膜密度)、干渉パターンのフーリエ変換から膜厚を算出した。
(5)化学強化処理
(2)において得られたガラス基板を、硝酸カリウム溶融塩により、420℃にて150分間化学強化処理した。
(6)表面応力および圧縮応力層の深さの測定
化学強化後のフロートガラスについて、表面応力の平均値(CS、単位はMPa)、圧縮応力層の深さ(DOL、単位はμm)を測定した。表面応力の平均値(CS)および圧縮応力層の深さは、折原製作所社製表面応力計(FSM−6000LE)を用いて測定した。その結果を表3に示す。
(7)イオン交換量(KO質量%)
化学強化後のイオン交換量は蛍光X線法で定量した。分析条件を以下に示す。
・装置:リガク製ZSX PrimusII
・X線源:Rh
・X線出力:50kV−60mA
・測定線:K−Kα
・フィルタ:OUT
・アッテネータ:1/1
・スリット:S4
・分光結晶:LiF(200)
・検出器:PC
・PHA:100−300
・ピーク角度:136.650°
・測定時間:30秒
・定量方法:KO質量%が既知の標準試料との相対強度比から試料中のKO質量%を算出した。イオン交換量は、(化学強化後のKO質量%)−(化学強化前のKO質量%)として求めた。また、K−Kα線を用いる蛍光X線分析により測定した値の分析深さは典型的には10μmであり、ガラス面上の膜による影響はほとんどない。
(8)Δ反り量(計算値)の算出
ヤケの程度(NaO濃度)が異なる硝材Aからなる複数のガラス基板(厚み0.7mm、50×50mm)を420℃にて150分間化学強化処理して、Δ反り量とΔイオン交換量(KO質量%)との相関関係を調べたグラフを図1に示す。その結果、Δ反り量とΔイオン交換量とは相関関係にあることがわかった。図1に示すグラフおよびΔイオン交換量からΔ反り量(計算値)を算出した。ここで、Δイオン交換量とはトップ面のイオン交換量からボトム面のイオン交換量を減じたものである。
(9)反り変位量(計算値)の算出
(8)において得られたΔ反り量において、SiO膜を形成させなかったときのΔ反り量を基準とし、そのときの反り量に対してどれだけ反りが変化したか、すなわち、各例のΔ反り量からSiO膜を形成させなかったときのΔ反り量を減算して求められる反り変位量を算出し、膜厚との相関関係を調べたグラフを図3に示す。その結果、膜厚と反り変位量とは相関関係にあることがわかった。
Figure 2014200097
表3に示すようにSiOの膜を形成したガラス基板を化学強化することにより、トップ面のイオン交換量を抑制することで、化学強化前後におけるガラス基板の反り量を抑制する方向にガラス基板を変位させることが可能である。すなわち、トップ面とボトム面のイオン交換量の差を少なくすることが可能であることがわかった。また、トップ面とボトム面のイオン交換量差を少なくすることで、SiOの膜を形成しなかった場合と比較した反り量を抑制する方向の変化量である反り変位量を大きくすることができる。また、この反り変位量をコントロールすることにより化学強化前後におけるガラス基板の反り量の差であるΔ反り量が低減し、化学強化後の反りを低減できることがわかった。
また図3から、SiO膜を形成しなかった場合に対してガラス基板を反りとは反対側の方向に変位させる力(反り変位量)を発生させるには、膜厚は17nm以上必要であることがわかった。
ガラス基板に金属配線をパターニングする際に不具合が生じるのを防ぐ観点から、Δ反り量は15μm以下であることが好ましい。SiOからなる膜(膜密度2.03g/cm、膜密度2.12g/cm)をガラス基板表面上に71nm、97nmの膜厚で各々形成したガラス基板を化学強化した例1および例2のΔ反り量(計算値)は15μm以下であるのに対し、33nmの膜厚でSiOからなる膜(膜密度2.08g/cm)をガラス基板表面上に形成して化学強化した例3、通常のガラス基板を化学強化した例4のΔ反り量は15μm超であった。
さらに、表3に示すように、SiOを97nm製膜した例2においてはΔイオン交換量が負の値となった。この結果から、ガラス基板上に製膜する膜の厚みを調整することにより、トップ面とボトム面のイオン交換量差をコントロールして、化学強化後のガラス基板の反り量をコントロールできることがわかった。
なお、表3に示すように、例1、例2および例3における該膜を形成した面の応力値と、例4とを比較したところ、同等の応力値が付与されていた。
この結果から、SiOからなる膜厚17nm以上である膜をガラス基板の少なくともトップ面に形成することにより、化学強化による応力を小さくすることなく、トップ面とボトム面とのイオン交換量差を低減して化学強化後のガラス基板の反りを低減できることが分かった。
また、SiOを97nm製膜した例2の化学強化ガラスにおいて、SiO膜中およびガラス基板中のNa量の平均値とK量の平均値を測定した。SiO膜中のNa量の平均値とK量の平均値は、SiO膜中の濃度を示しており、SiO膜の表面(表層)からの深さが5nmからSiO膜の表層から膜厚の80%の位置までに存在するNaおよびKの平均濃度である。ガラス基板中のNa量の平均値とK量の平均値は、ガラス基板の濃度を示しており、ガラス基板とSiO膜との界面からの深さが20nmから30nmまでに存在するNaおよびKの平均濃度である。
NaおよびKの量は、X線光電子分光法によりNaおよびKの濃度プロファイル(濃度分布)を測定し、求めた。スパッタイオンはC60 を用いて、スパッタ角度は45度に設定した。スペクトル取得の際は、Pass Energy:117.4[eV]、Energy Step:0.50[eV/step]とし、測定角度は75度、測定間隔は2minとした。測定後試料のクレーター深さをアルバック社製Dektak150で測定し、測定時間を深さに変換した。測定の結果を表4に示す。
Figure 2014200097
この結果から、SiO膜中に一定量のNaとKが存在することがわかる。よって、例2の化学強化されたガラス基板は、トップ面とボトム面とのイオン交換量差を低減し、反りが低減された化学強化ガラスであることが確認できた。
本発明を特定の態様を参照して詳細に説明したが、本発明の精神と範囲を離れることなく様々な変更および修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。
なお、本出願は、2013年6月14日付けで出願された日本特許出願(特願2013−125789)及びに基づいており、その全体が引用により援用される。
1:中央スリット
2:外スリット
4:流路
5:排気スリット
10:インジェクタ
20:ガラス基板

Claims (17)

  1. フロート法により成形され、成形時に溶融金属と接するボトム面と、該ボトム面に対向するトップ面を有するガラス基板の少なくともトップ面に少なくとも1層の膜を形成することにより、その後の化学強化処理によるガラス基板の反りを低減する方法であって、
    前記ガラス基板は硝酸カリウム溶融塩により420℃にて150分間化学強化処理した時の圧縮応力層深さが20μm以下となるガラス基板であり、
    前記膜は、ケイ素からなる酸化物並びに複合酸化物を少なくとも1種類以上含み、膜厚が17nm以上である方法。
  2. 前記膜は、膜密度が1.9g/cm以上である請求項1に記載の方法。
  3. 前記ガラス基板は化学強化温度がT(単位:K)、化学強化時間がt(単位:時間)である化学強化処理に用いられ、且つSiOを含有し、SiO、Al、MgO、CaO、SrO、BaO、ZrO、NaOおよびKOの各質量百分率表示含有量を用いて次式で求められるdolが20以下である請求項1または2に記載の方法。
    dol=−0.13×Al−1.88×MgO−2.41×CaO−1.85×SrO−1.35×BaO−1.59×ZrO+1.50×NaO+2.42×KO−129359/T+9.28×t0.5+182.88
  4. 前記ガラス基板は酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを60〜80%、Alを0.01〜8%、NaOを8〜22%、KOを0〜7%、MgOを0〜17%、CaOを0〜22%、SrOを0〜8%、BaOを0〜8%、ZrOを0〜5%含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記ガラス基板は酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを60〜80%、Alを0.01〜8%、NaOを8〜22%、KOを0〜7%、ZrOを0〜5%含有し、MgO、CaO、SrOおよびBaOの少なくとも1種を含有する場合MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計が5〜25%であり、NaOとKOの含有量の和およびAlの含有量の比(NaO+KO)/Alが1.5以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記(NaO+KO)/Alが10以下である請求項5に記載の方法。
  7. 前記ガラス基板はCaO、SrOおよびBaOの少なくとも1種を含有しCaO、SrOおよびBaOの含有量の合計が酸化物基準の質量百分率表示で1〜10%である請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記膜が常圧CVD法により形成された膜である請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. フロート法により成形され、成形時に溶融金属と接するボトム面と、該ボトム面に対向するトップ面を有し、硝酸カリウム溶融塩により420℃にて150分間化学強化処理した時の圧縮応力層深さが20μm以下となるガラス基板に対して、該ガラス基板の前記トップ面に少なくとも1層の膜を形成する成膜工程と、前記膜を形成させた前記ガラス基板を化学強化処理する化学強化工程とを有する化学強化ガラスの製造方法において、
    前記成膜工程で、ケイ素からなる酸化物並びに複合酸化物を少なくとも1種類以上含み、かつ膜厚が17nm以上となるように前記膜を形成させることにより、前記化学強化工程における前記ガラス基板の反りを低減させることを特徴とする化学強化ガラスの製造方法。
  10. 前記成膜工程では、膜密度が1.9g/cm以上となるように前記膜を形成させる請求項9に記載の化学強化ガラスの製造方法。
  11. 前記ガラス基板は、SiOを含有し、
    前記化学強化工程では、化学強化温度をT(単位:K)、化学強化時間をt(単位:時間)として、前記ガラス基板のSiO、Al、MgO、CaO、SrO、BaO、ZrO、NaOおよびKOの各質量百分率表示含有量を用いて次式で求められるdolが20以下となるように処理する請求項9または10に記載の化学強化ガラスの製造方法。
    dol=−0.13×Al−1.88×MgO−2.41×CaO−1.85×SrO−1.35×BaO−1.59×ZrO+1.50×NaO+2.42×KO−129359/T+9.28×t0.5+182.88
  12. 前記成膜工程では、常圧CVD法により前記膜を形成させる請求項9〜11のいずれか1項に記載の化学強化ガラスの製造方法。
  13. フロート法により成形され、成形時に溶融金属と接するボトム面と、該ボトム面に対向するトップ面を有し、硝酸カリウム溶融塩により420℃にて150分間化学強化処理した時の圧縮応力層深さが20μm以下となるガラス基板に対して、該ガラス基板の前記トップ面に少なくとも1層の膜を形成し、前記膜を形成させた前記ガラス基板を化学強化処理することによって得られる化学強化ガラスにおいて、
    前記膜は、ケイ素からなる酸化物並びに複合酸化物を少なくとも1種類以上含み、かつ膜厚が17nm以上であり、化学強化処理後の前記膜の表層からの深さが5nmから前記膜の表層から膜厚の80%の位置までに存在するK量の平均値(単位:atm%)を、前記ガラス基板と前記膜との界面からの深さが20nmから30nmまでに存在するK量の平均値(単位:atm%)で割った値が0.2以上、または化学強化処理後の前記膜の表層からの深さが5nmから前記膜の表層から膜厚の80%の位置までに存在するNa量の平均値(単位:atm%)を、前記ガラス基板と前記膜との界面からの深さが20nmから30nmまでに存在するNa量の平均値(単位:atm%)で割った値が0.2以上であることを特徴とする化学強化ガラス。
  14. 前記ガラス基板は酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを60〜80%、Alを0.01〜8%、NaOを8〜22%、KOを0〜7%、MgOを0〜17%、CaOを0〜22%、SrOを0〜8%、BaOを0〜8%、ZrOを0〜5%含有する請求項13に記載の化学強化ガラス。
  15. 前記ガラス基板は酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを60〜80%、Alを0.01〜8%、NaOを8〜22%、KOを0〜7%、ZrOを0〜5%含有し、MgO、CaO、SrOおよびBaOの少なくとも1種を含有する場合MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計が5〜25%であり、NaOとKOの含有量の和およびAlの含有量の比(NaO+KO)/Alが1.5以上である請求項13または14に記載の化学強化ガラス。
  16. 前記(NaO+KO)/Alが10以下である請求項15に記載の化学強化ガラス。
  17. 前記ガラス基板はCaO、SrOおよびBaOの少なくとも1種を含有しCaO、SrOおよびBaOの含有量の合計が酸化物基準の質量百分率表示で1〜10%である請求項13〜16のいずれか1項に記載の化学強化ガラス。
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