JPWO2014181456A1 - 絶縁組成物、硬化物およびそれを用いた絶縁電線 - Google Patents
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Abstract
本発明の目的は、耐熱性、可とう性、耐電圧性に優れた絶縁組成物、硬化物およびそれを用いた絶縁電線を提供することにある。絶縁組成物は、分子量1000未満の低分子量ビスマレイミドと、分子量3000以上の高分子量ビスマレイミドと、硬化剤を含むことを特徴とする。絶縁樹脂組成物には、さらに、架橋成分として硬化性ポリフェニレンエーテル、樹脂成分としてフェノキシ樹脂を含有することもできる。
Description
本発明は、絶縁組成物、硬化物およびそれを用いた絶縁電線に係り、特に、モータや変圧器等のコイル用として好適な絶縁組成物及びそれを用いた絶縁電線に関する。
回転電機や変圧器などの電気機器のコイルに用いられる絶縁電線(エナメル被覆絶縁電線)は、一般的に、コイルの用途・形状に合致した断面形状(丸形状や矩形状等)に成形された導体の外周に単層または複数層の絶縁被覆が形成された構造をしている。絶縁被覆を形成する方法には、樹脂を有機溶剤に溶解させた絶縁塗料を導体上に塗布・焼付けする方法と、予め調合した樹脂組成物を導体上に押出被覆する方法がある。
近年、電気機器への小型化の要求により、コイル巻線工程において絶縁電線を高い張力下で小径のコアに高密度で巻くようになってきており、絶縁被覆には過酷な加工ストレスに耐えられる機械的特性(例えば、密着性や耐摩耗性など)が求められている。また、電気機器への高効率化・高出力化の要求からインバータ制御や高電圧化が進展している。その結果、コイルの運転温度が以前よりも上昇傾向にあり、絶縁被覆には高い耐熱性も求められている。それらに加えて、インバータサージ電圧などのより高い電圧が電気機器中のコイルに掛かることから、部分放電の発生によって絶縁被覆が劣化・損傷することがあるという問題が生じていた。
部分放電による絶縁被覆の劣化・損傷を防ぐために、部分放電開始電圧の高い絶縁被覆の開発が進められている。絶縁被覆の部分放電開始電圧を高くする手段として、絶縁被覆に比誘電率の低い樹脂を用いる方法や、絶縁被覆の厚さを厚くする方法が挙げられる。しかし、通常、使用される樹脂ワニスの樹脂の比誘電率は、ほとんどが3〜4の間のものであり、比誘電率が特別低いものが無く、耐熱性、可とう性、耐溶剤性等といったエナメル層に求められる他の特性から、必ずしも比誘電率が低い物を選択できるという訳ではない。従ってエナメル層の厚さを厚くすることが不可欠である。エナメル層の場合には、製造工程において焼き付け炉を通す回数を増やせば厚さを厚くすることが可能であるが、導体である銅表面の酸化銅からなる被膜の厚さが成長するため、導体とエナメル層との接着力が低下することがある。これに対して、押出被覆では一度の成形で厚さ50μm以上のエナメル層が得られる。
耐熱性の高い樹脂を得る方法として、ビスマレイミド化合物を含む樹脂組成物を用いる方法が開示されており、通常、このビスマレイミド化合物の分子量は1000以下である。分子量1000以下のビスマレイミド化合物を用いると耐熱性の高い硬化物が得られるが、その硬化物は硬くて脆いために、可とう性が必要とされる用途に適用するのは困難である。このため、通常、ポリイミドやエポキシ樹脂等の他の樹脂を併用して使用されている。
特許文献1には、熱硬化膜形成用樹脂組成物について、ポリイミド前駆体、ビスマレイミド化合物を含む樹脂組成物が開示されており、芳香族ビスマレイミドについては、より高い平坦性を得るために分子量1000以下のものが好ましいと記載されている。
また、特許文献2には、電気積層板の製造に有用な均質ビスマレイミドートリアジンーエポキシ組成物が開示されており、エポキシ樹脂、少なくとも1種のビスマレイミドを含むマレイミド成分、及びシアネートエステル成分を含む均質な溶液が開示されている。
特許文献1に記載の方法によれば、熱硬化膜形成用樹脂組成物について、より高い平坦性を得るために、ビスマレイミド化合物のうち、分子量1000以下の芳香族ビスマレイミドが好ましいと記載されており、他の成分として特定の構造単位を有するポリイミド前駆体を併用している。
また、特許文献2に記載の方法によれば、エポキシ樹脂と少なくとも1種のビスマレイミドを含むマレイミド成分について、シアネートエステル成分を併用した組成物である。
また、特許文献2に記載の方法によれば、エポキシ樹脂と少なくとも1種のビスマレイミドを含むマレイミド成分について、シアネートエステル成分を併用した組成物である。
そこで、本発明の目的は、耐熱性、可とう性、耐電圧性に優れた絶縁組成物、硬化物およびそれを用いた絶縁電線を提供することにある。
本発明の絶縁組成物は、分子量1000未満の低分子量ビスマレイミドと、分子量3000以上の高分子量ビスマレイミドと、硬化剤を含むことを特徴とする。
本発明の絶縁組成物によれば、低分子量ビスマレイミド(分子量1000未満)、硬化剤、高分子量ビスマレイミド(分子量3000以上)よりなるため、耐熱性と可とう性を兼ね備えた絶縁硬化物が得られる。さらに絶縁電線に用いることで耐熱性、耐電圧性の良好な絶縁電線が得られる。
本発明者らは、高分子量ビスマレイミドに低分子量ビスマレイミド、硬化剤を配合することで、耐熱性と可とう性を有する硬化物が得られることを見出した。すなわち、本発明の絶縁組成物は、低分子量ビスマレイミド(分子量1000未満)、硬化剤、高分子量ビスマレイミド(分子量3000以上)を含む組成物である。これらの絶縁組成物を導体上に押出被覆する方法によって絶縁被覆を形成すると、エナメル層の場合のように、焼き付け炉を複数回通す必要がないため、導体とエナメル層との接着力が低下することなく、押出被覆では一度の成形で厚さ50μm以上の被覆層が得られる。
以下、本発明の絶縁組成物の各構成について詳細に説明する。
高分子量ビスマレイミドとしては、分子量が3000以上であり、構造中にマレイミド基を有し、さらに構造中にイミド骨格を有すると、耐熱性に優れているため好ましい。このような高分子量ビスマレイミドとしては、例えば、BMI−5000、BMI−3000(Designer Molecule社製)が挙げられる。
低分子量ビスマレイミドとしては、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’−ジメチル−5,5’ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、ポリフェニルメタンマレイミドなどが挙げられる。これらは、上記のものに限定されるものではない。テトラヒドロフラン等の有機溶媒に可溶であると、他の成分と混合する際に溶解し混合できるため、相溶性が向上するため好ましく、3,3’−ジメチル−5,5’ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、ポリフェニルメタンマレイミドが特に好ましい。これらは、単独または2種以上の成分を併用することが可能である。
低分子量ビスマレイミドの添加量は、全固形分に対して5〜80重量%、さらに好ましくは5〜50重量%が、耐熱性、可とう性の点から好ましい。低分子量ビスマレイミドの添加量が多くなると硬化物が硬くて脆くなるため、可とう性が低下する、ワニス塗料で低分子量ビスマレイミドが析出するなどの問題を生ずるため好ましくない。
本発明では、硬化剤を用いることで、耐熱性を有し、良好な可とう性が得られることから好ましい。用いる硬化剤としては、ビスマレイミドと硬化反応するものであればよく、例えば、2,2'-ジアリルビスフェノールA、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン等が挙げられる。これらは、上記のものに限定されるものではない。また、これらは、単独または2種以上の成分を併用することが可能である。
本発明では、硬化性ポリフェニレンエーテルを用いることで、高い耐熱性が得られる。なかでも末端スチレン変性ポリフェニレンエーテル誘導体を用いると、耐熱性が向上するとともに可とう性を両立でき、また、溶媒溶解性の点から好ましい。このような末端スチレン変性ポリフェニレンエーテル誘導体として例えば、OPE2St(三菱ガス化学(株)製)が挙げられる。
本発明では、有機過酸化物を重合開始剤に用いることができる。用いる有機過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化安息香酸 t−ブチル過酸化安息香酸、t−アミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−アミルパーオキシイソブチレート、ジt−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキシド、ジ(s−ブチル)パーオキシカーボネート、メチルエチルケトンパーオキシドなどが挙げられるが、特に制限されるものではなく、これらを1種単独もしくは2種以上を混合してもよい。
本発明では、無機フィラーを添加することも可能である。無機フィラーとしては、一般的なシリカ、アルミナ、酸化チタン、窒化ホウ素、窒化ケイ素などを用いることができる。無機フィラーにはカップリング剤により表面処理して用いることが、機械特性、電気特性などを改善する観点から好ましい。用いるカップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等、公知のものを使用できる。
本発明では、必要に応じて公知のフェノキシ樹脂を併用することが可能である。フェノキシ樹脂を併用することで、可とう性の良好な硬化物が得られる。フェノキシ樹脂とは、ビスフェノール系化合物とエピクロルヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂のうち、分子量が大きい樹脂をいう。フェノキシ樹脂のなかでもビスフェノールA型フェノキシ樹脂やビスフェノールS型フェノキシ樹脂を用いることができる。ビスフェノールA型フェノキシ樹脂とは、ビスフェノール系化合物として、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」という)を用いたビスフェノールA骨格を有するフェノキシ樹脂(ビスフェノールA型フェノキシ樹脂)である。ビスフェノールS型フェノキシ樹脂とは、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂の耐熱性を高めるために、ビスフェノール系化合物の一部に、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン(以下、「ビスフェノールS」という)を用いたビスフェノールS骨格を有するフェノキシ樹脂である。すなわち、ビスフェノールS型フェノキシ樹脂は、通常、ビスフェノールS骨格とビスフェノールA型骨格を有している。これらは市販のものを用いることができ、例えば、新日鉄住金化学(株)製の品番YP−50、YP50S、YPS007A30などが挙げられる。フェノキシ樹脂の添加量は、全固形分に対して、3〜80重量%、さらに好ましくは3〜50重量%が、耐熱性、可とう性の点から好ましい。
[絶縁電線およびその製造方法]
本実施の形態に係る絶縁電線10は、図1と図2に示すように、断面が丸形状、あるいは四角形状の導体1の表面に、上述した絶縁組成物(塗料)を塗布、焼付けして形成した絶縁被膜2を有して構成される。上記で説明した絶縁塗料で形成された絶縁被膜2の膜厚は、20μm以上であることが好ましい。膜厚が20μmより小さい場合、耐熱性や耐摩耗性といった特性に優れるものの、部分放電開始電圧の高い絶縁被膜を形成することが困難となる。本実施の絶縁組成物を押出し成形することで、1回の工程で100μm程度の膜厚を形成することが可能となる。
[絶縁電線およびその製造方法]
本実施の形態に係る絶縁電線10は、図1と図2に示すように、断面が丸形状、あるいは四角形状の導体1の表面に、上述した絶縁組成物(塗料)を塗布、焼付けして形成した絶縁被膜2を有して構成される。上記で説明した絶縁塗料で形成された絶縁被膜2の膜厚は、20μm以上であることが好ましい。膜厚が20μmより小さい場合、耐熱性や耐摩耗性といった特性に優れるものの、部分放電開始電圧の高い絶縁被膜を形成することが困難となる。本実施の絶縁組成物を押出し成形することで、1回の工程で100μm程度の膜厚を形成することが可能となる。
本実施の形態に係る絶縁電線10は、導体1と、絶縁被膜2との間の密着性を向上させるための密着性付与絶縁被膜や、可とう性を向上させるための可とう性付与絶縁被膜などを、導体1と絶縁被膜2との間に形成してもよい。また、本実施の形態に係る絶縁電線10は、絶縁被膜2の周囲に潤滑性を付与するための潤滑性付与絶縁被膜や、耐傷性を付与するための耐傷性付与絶縁被膜などを形成してもよい。これらの密着性付与絶縁被膜、可とう性付与絶縁被膜、潤滑性絶縁被膜、および耐傷性付与絶縁被膜は、絶縁塗料を塗布、焼付けすることによって形成してもよいし、押出機を用いた押出成形によって形成してもよい。
また、本実施の形態に係る絶縁電線10においては、導体1と絶縁被膜2との間に、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、あるいはH種ポリエステル等からなる樹脂を溶媒に溶解させてなる絶縁塗料を塗布、焼付けして形成される有機絶縁被膜を単層又は多層で設けてもよい。
本実施の形態に係る絶縁電線10に用いられる導体1は、銅導体からなり、主に無酸素銅や低酸素銅が使用される。なお、銅導体はこれに限定されるものではなく、例えば、銅の外周にニッケルなどの金属めっきを施した導体も使用可能である。また、導体1として、断面が丸形状、あるいは四角形状などの断面形状を有するものが使用できる。なお、ここでいう四角形状とは、図2に示すような角部が丸みを有する略四角形状の断面からなるものも含むものとする。
以下、実施例を説明する。
(実施例1)
末端スチレン変性ポリフェニレンエーテル誘導体(OPE2St、三菱ガス化学(株)製:分子量2200)10重量部と、BMI−5000(Designer Molecule社製)80重量部、BMI−5100(大和化成工業(株)製)5重量部、2,2'-ジアリルビスフェノールA(DABPA、大和化成工業(株)製)5重量部をテトラヒドロフラン100重量部に溶解し、ワニスとした。固形分100重量部に対し、n−ブチル4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)酪酸(日油(株)製のパーヘキサV)2重量部を加え、絶縁組成物とした。
(実施例1)
末端スチレン変性ポリフェニレンエーテル誘導体(OPE2St、三菱ガス化学(株)製:分子量2200)10重量部と、BMI−5000(Designer Molecule社製)80重量部、BMI−5100(大和化成工業(株)製)5重量部、2,2'-ジアリルビスフェノールA(DABPA、大和化成工業(株)製)5重量部をテトラヒドロフラン100重量部に溶解し、ワニスとした。固形分100重量部に対し、n−ブチル4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)酪酸(日油(株)製のパーヘキサV)2重量部を加え、絶縁組成物とした。
絶縁組成物をPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)シート上に流延し、室温にて一昼夜乾燥した。次に、温風循環式恒温槽にて、120℃/60分、次いで、160℃/60分加熱したのち、180℃/60分加熱プレスし、厚さ0.5mmの硬化物を作製した。得られた硬化物を、長さ3mm×幅3mm×厚さ0.5mmに切断した後、ティー・エイ・インスツルメント社製の熱重量測定装置Q500を用いて、昇温速度、5℃/分、10℃/分、20℃/分の各条件にて、100℃から500℃まで熱重量減少を測定した。耐熱温度指数は、5%重量減少温度および5%重量減少時の活性化エネルギーから算出した。可とう性の評価は、縦30mm×横30mm×厚さ0.5mmに成形した硬化物について、塗膜にクラック等の異常が見られず、伸びがある場合を○、塗膜に若干クラックが見られる場合を△、塗膜全面にクラックが発生して、硬くて脆い場合を×とした。また、硬化物の耐電圧は、縦30mm×横30mm×厚さ0.5mmに成形した硬化物を、室温、油中で絶縁破壊試験器により、昇圧速度2.0kV/secにて絶縁破壊電圧(kV)を測定し、絶縁破壊強度(kV/mm)を算出した。絶縁破壊強度が、30kV/mm以上を○、30kV/mm未満を×とした。
(実施例2)
DABPAに代えて、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)を用いた以外は、実施例1と同様に硬化物を作製し加工した後、諸物性を測定した。
(実施例3)
BMI−5000、BMI−5100、BAPPの配合量を変えた以外は、実施例2と同様に硬化物を作製し加工した後、諸物性を測定した。
(実施例4)
DABPAに代えて、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(BAPPF)を用いた以外は、実施例1と同様に硬化物を作製し加工した後、諸物性を測定した。
(実施例5)
BMI−5000に代えて、BMI−3000を用い、配合量を変えた以外は、実施例1と同様に硬化物を作製し加工した後、諸物性を測定した。
(実施例6)
n−ブチル4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)酪酸に代えて、クメンヒドロペルオキシド(東京化成工業)を用いた以外は、実施例1と同様に硬化物を作製し加工した後、諸物性を測定した。
(比較例1)
末端スチレン変性ポリフェニレンエーテル誘導体、BMI−5100、DABPAを使用せず、BMI−5000を使用した以外は、実施例1と同様にして硬化物を作製し加工した後、諸物性を測定した。
(比較例2)
BMI−5000を使用せず、BMI−5100、DABPAを使用した以外は、比較例1と同様にして硬化物を作製し加工した後、諸物性を測定した。
(比較例3)
BMI−5000に代えて、BMI−3000を使用した以外は、比較例1と同様にして硬化物を作製し加工した後、諸物性を測定した。
(実施例2)
DABPAに代えて、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)を用いた以外は、実施例1と同様に硬化物を作製し加工した後、諸物性を測定した。
(実施例3)
BMI−5000、BMI−5100、BAPPの配合量を変えた以外は、実施例2と同様に硬化物を作製し加工した後、諸物性を測定した。
(実施例4)
DABPAに代えて、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(BAPPF)を用いた以外は、実施例1と同様に硬化物を作製し加工した後、諸物性を測定した。
(実施例5)
BMI−5000に代えて、BMI−3000を用い、配合量を変えた以外は、実施例1と同様に硬化物を作製し加工した後、諸物性を測定した。
(実施例6)
n−ブチル4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)酪酸に代えて、クメンヒドロペルオキシド(東京化成工業)を用いた以外は、実施例1と同様に硬化物を作製し加工した後、諸物性を測定した。
(比較例1)
末端スチレン変性ポリフェニレンエーテル誘導体、BMI−5100、DABPAを使用せず、BMI−5000を使用した以外は、実施例1と同様にして硬化物を作製し加工した後、諸物性を測定した。
(比較例2)
BMI−5000を使用せず、BMI−5100、DABPAを使用した以外は、比較例1と同様にして硬化物を作製し加工した後、諸物性を測定した。
(比較例3)
BMI−5000に代えて、BMI−3000を使用した以外は、比較例1と同様にして硬化物を作製し加工した後、諸物性を測定した。
以上の実施例1〜6と比較例1〜3の結果を表1にまとめて示す。
実施例1の絶縁組成物について、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)シート上に流延し、室温にて一昼夜乾燥した。次に、温風循環式恒温槽にて、120℃/60分、次いで、160℃/60分加熱し押出被覆用絶縁組成物を得た。次いで、導体として外径1.25mmの銅線を用い、該銅線に押出被覆により厚さ100μm被覆層を形成し、図1に示す絶縁電線を作製した。絶縁電線の可とう性の評価は、無伸長のときの長さから20%伸長させた絶縁電線を、表面が滑らかで絶縁電線の導体径の1〜10倍の丸棒(巻き付け棒)に5巻き分を1コイルとして5コイル分巻き付け、光学顕微鏡を用いて絶縁皮膜に亀裂の発生が見られるかどうかで判定した。その結果、亀裂の発生はなかった。
(実施例8〜12)
実施例7と同様に実施例2〜6の絶縁組成物について、絶縁皮膜に亀裂の発生が見られるかどうかを判定した。その結果、亀裂の発生はなかった。
実施例1〜6における硬化物の耐熱性は、比較例1〜3と比べていずれも同等以上であり、可とう性も良好であった。これは、高分子量ビスマレイミドに低分子量ビスマレイミドを添加したことにより、可とう性を維持しながら、耐熱性が向上したためである。また、実施例1〜6における絶縁組成物を用いた実施例7〜12の絶縁電線は、亀裂の発生はなく、良好であった。
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施例は本発明を詳細に説明することを目的とするものであり、これら実施例の構成には限定されない。実施例の構成の一部を他のものに置き換えることが可能であり、実施例の構成に他の構成を加えることも可能である。
1…導体
2…絶縁被膜
10…絶縁電線
2…絶縁被膜
10…絶縁電線
Claims (6)
- 分子量1000未満の低分子量ビスマレイミドと、分子量3000以上の高分子量ビスマレイミドと、硬化剤を含むことを特徴とする絶縁組成物。
- 請求項1において、前記硬化剤が、2,2'-ジアリルビスフェノールA、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする絶縁組成物。
- 請求項1または2において、さらに、架橋成分として硬化性ポリフェニレンエーテルを含有することを特徴とする絶縁組成物。
- 請求項1乃至3のいずれかにおいて、さらに、樹脂成分としてフェノキシ樹脂を含有することを特徴とする絶縁組成物。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の絶縁組成物を硬化してなることを特徴とする硬化物。
- 請求項5において、前記硬化物が絶縁電線であることを特徴とする硬化物。
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
PCT/JP2013/063109 WO2014181456A1 (ja) | 2013-05-10 | 2013-05-10 | 絶縁組成物、硬化物およびそれを用いた絶縁電線 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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