JPWO2014163016A1 - キシリレンジカルバメート、キシリレンジイソシアネートの製造方法、キシリレンジイソシアネート、および、キシリレンジカルバメートの保存方法 - Google Patents

キシリレンジカルバメート、キシリレンジイソシアネートの製造方法、キシリレンジイソシアネート、および、キシリレンジカルバメートの保存方法 Download PDF

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Abstract

キシリレンジカルバメートは、下記式(1)〜(4)で示される不純物を、それらの総量として質量基準で100ppm未満の割合で含有する。【化1】(上記式(1)〜(4)中、Rは、1価の炭化水素基を示す。)

Description

本発明は、キシリレンジカルバメート、そのキシリレンジカルバメートを用いるキシリレンジイソシアネートの製造方法、そのキシリレンジイソシアネートの製造方法により得られるキシリレンジイソシアネート、および、不純物の含有量を低減できるキシリレンジカルバメートの保存方法に関する。
従来より、キシリレンジカルバメートなどのカルバメート(ウレタン化合物)は、医薬、農薬などの原料として、また、各種ファインケミカルズの原料として、さらには、アルコール類の分析試剤などとして、広範な用途を有する工業原料として、有用な有機化合物である。
また、このようなカルバメートは、近年、ホスゲンを用いないイソシアネートの製造原料とすることが種々検討されている。
すなわち、イソシアネートは、イソシアネート基を含む有機化合物であって、ポリウレタンの原料として広く用いられており、工業的には、アミンとホスゲンとの反応により製造されている(ホスゲン法)。
しかし、ホスゲンは毒性および腐食性が強く、取り扱いが不便であるため、近年、ホスゲン法に代わるイソシアネートの製造方法として、ウレタン化合物(カルバメート)を熱分解することによってイソシアネートを製造する方法が検討されている。
具体的には、例えば、ホルムアミド化合物と炭酸ジメチルとをメタノール共存下で反応させ、生成するギ酸メチルを蒸留により系外に抜き出すとともに、得られたウレタン化合物を熱分解して、イソシアネート化合物を得る方法が提案されている。
また、このようなウレタン化合物の熱分解反応装置では、ウレタン化合物の貯留槽(原料槽)を窒素雰囲気とすること、また、得られたウレタン化合物が常温固体である場合には、熱分解反応装置に輸送する際の作業性の観点から、加熱溶融させて貯留することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、ホスゲン法に代わるイソシアネートの製造方法としては、上記の他、例えば、ジアミンとアルコールおよび尿素および/または尿素誘導体との反応によりジカルバメート(ウレタン化合物)を合成し、その後、得られたカルバメート(ウレタン化合物)を熱分解することによりジイソシアネートを製造する方法も検討されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開平10−7641号公報 特開2005−68146号公報
一方、このようなイソシアネートの製造において、カルバメート(ウレタン化合物)を加熱状態で貯留すると、カルバメートの変質などにより不純物が生成する場合がある。
とりわけ、芳香脂肪族ジイソシアネートであるキシリレンジイソシアネートは、その他のジイソシアネート(例えば、脂環式ジイソシアネートなど)に比べて不純物を生じやすいという性質がある。
そして、多くの不純物を含有するキシリレンジカルバメートを熱分解すると、得られるキシリレンジイソシアネートの収率が低下するという不具合がある。
この点、例えば、特許文献1に記載されるように、カルバメートの貯留槽を窒素雰囲気とすることにより、不純物の生成を抑制することも検討されるが、このような方法では不純物の生成を十分に抑制できない場合がある。
本発明の目的は、不純物の含有量が低減されたキシリレンジカルバメート、そのキシリレンジカルバメートを用いるキシリレンジイソシアネートの製造方法、そのキシリレンジイソシアネートの製造方法により得られるキシリレンジイソシアネート、および、不純物の含有量を低減できるキシリレンジカルバメートの保存方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のキシリレンジカルバメートは、下記式(1)〜(4)で示される不純物を、それらの総量として質量基準で100ppm未満の割合で含有することを特徴としている。
(上記式(1)〜(4)中、Rは、1価の炭化水素基を示す。)
また、本発明のキシリレンジイソシアネートの製造方法では、上記のキシリレンジカルバメートを熱分解することによりキシリレンジイソシアネートを得ることを特徴としている。
また、本発明のキシリレンジイソシアネートは、上記のキシリレンジイソシアネートの製造方法により得られることを特徴としている。
また、本発明のキシリレンジカルバメートの保存方法は、50〜180℃の加熱下において、下記式(1)〜(4)で示される不純物を、それらの総量として質量基準で100ppm未満の割合で含有するように保存することを特徴としている。
(上記式(1)〜(4)中、Rは、1価の炭化水素基を示す。)
また、本発明のキシリレンジカルバメートの保存方法では、キシリレンジカルバメートを容器に充填したときに空間部に内封される酸素量とキシリレンジカルバメート中に溶存する酸素量のキシリレンジカルバメートに対する合計酸素量を100ppm未満とすることが好適である。
本発明のキシリレンジカルバメートでは、上記式(1)〜(4)で示される不純物の含有量が、質量基準で100ppm未満であるため、各種用途における品質に優れ、とりわけ、熱分解により収率よくキシリレンジイソシアネートを生成することができる。
また、本発明のキシリレンジイソシアネートの製造方法では、本発明のキシリレンジカルバメートが用いられるため、本発明のキシリレンジイソシアネートを、収率よく得ることができる。
また、本発明のキシリレンジカルバメートの保存方法では、加熱下においても、上記式(1)〜(4)で示される不純物の含有量が質量基準で100ppm未満であるため、溶融状態を維持し、輸送時における作業性を確保することができ、さらに、その保存されたキシリレンジカルバメートは、各種用途における品質に優れ、とりわけ、熱分解により収率よくキシリレンジイソシアネートを生成することができる。
液体クロマトグラムにおいてリテンションタイム[4.587]に現れたピークのマススペクトルを示す。 液体クロマトグラムにおいてリテンションタイム[6.328]に現れたピークのマススペクトルを示す。 液体クロマトグラムにおいてリテンションタイム[8.588]に現れたピークのマススペクトルを示す。 液体クロマトグラムにおいてリテンションタイム[10.187]に現れたピークのマススペクトルを示す。
本発明において、キシリレンジカルバメートとしては、例えば、1,2−キシリレンジカルバメート、1,3−キシリレンジカルバメート、1,4−キシリレンジカルバメートおよびそれらの混合物などが挙げられ、好ましくは、1,3−キシリレンジカルバメート、1,4−キシリレンジカルバメート、より好ましくは、1,3−キシリレンジカルバメートが挙げられる。
このようなキシリレンジカルバメートは、特に制限されないが、例えば、キシリレンジアミンをジアルキルカーボネートでカルバメート化する方法(カーボネート法)、例えば、アルコール存在下においてキシリレンジアミンを尿素やN−無置換カルバミン酸エステルなどでカルバメート化する方法(尿素法)など、公知の方法により得ることができる。
このようなキシリレンジカルバメートは、例えば、下記式(5)で示される。
(上記式(5)中、Rは、1価の炭化水素基を示す。)
上記式(5)において、Rで示される1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アリール基などが挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、iso−オクチル、2−エチルヘキシルなどの炭素数1〜8の直鎖状または分岐状の飽和炭化水素基、例えば、シクロヘキシル、シクロドデシルなどの炭素数5〜10の脂環式飽和炭化水素基などが挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、ビフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリルなどの炭素数6〜18の芳香族炭化水素基が挙げられる。
これら1価の炭化水素基は、単独使用または2種類以上併用することができる。
1価の炭化水素基として、好ましくは、アルキル基、より好ましくは、炭素数1〜8の直鎖状または分岐状の飽和炭化水素基、さらに好ましくは、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状の飽和炭化水素基、とりわけ好ましくは、炭素数2〜6の直鎖状の飽和炭化水素基が挙げられる。
また、このような1価の炭化水素基は、置換基を有することができる。そのような置換基としては、例えば、例えば、ヒドロキシル基、ハロゲン原子(例えば、塩素、フッ素、臭素およびヨウ素など)、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどの炭素数1〜4のアルコキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基など)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオなどの炭素数1〜4のアルキルチオ基など)およびアリールチオ基(例えば、フェニルチオ基など)などが挙げられる。また、炭化水素基に置換される置換基は、単数(1つ)であってもよく、また、複数(2つ以上)であってもよい。1価の炭化水素基に対して、上記の置換基が複数置換する場合には、各置換基は、互いに同一であっても、それぞれ異なっていてもよい。また、1価の炭化水素基として、好ましくは、置換基を有しない1価の炭化水素基が挙げられる。
このようなキシリレンジカルバメートは、単独使用または2種類以上併用することができる。
そして、キシリレンジカルバメートは、下記式(1)〜(4)で示される不純物を含有している。
(上記式(1)〜(4)中、Rは、1価の炭化水素基を示す。)
上記式(1)〜(4)において、Rは、上記式(5)と同様の1価の炭化水素基を示す。
これら上記式(1)〜(4)で示される不純物は、例えば、上記したキシリレンジカルバメートが酸化されることにより得られる化合物(酸化物)であると推察される。なお、上記式(1)で示される化合物は、ホルミル−ベンジルカルバメート(アルデヒド体)と称される。また、上記式(2)で示される化合物は、カルボキシル−ベンジルカルバメート(カルボン酸体)と称される。また、上記式(3)で示される化合物は、カルボニルカルバメート−ベンジルカルバメート(イミド体)と称される。また、上記式(4)で示される化合物は、カルバモイル−ベンジルカルバメート(アミド体)と称される。
キシリレンジカルバメート中の上記式(1)〜(4)で示される不純物の含有割合は、それらの総量として、質量基準で100ppm未満、好ましくは、80ppm以下、より好ましくは、40ppm以下、とりわけ好ましくは、10ppm以下であり、通常、1ppm以上である。
不純物の含有量が上記範囲であれば、キシリレンジカルバメートの各種用途における品質の向上を図ることができ、とりわけ、熱分解によりキシリレンジイソシアネートを生成する場合の収率の向上を図ることができる。
すなわち、キシリレンジカルバメートが多くの不純物を含有する場合、そのキシリレンジカルバメートを熱分解すると、得られるキシリレンジイソシアネートの収率が低下するという不具合がある。
一方、上記したキシリレンジカルバメートは、不純物の含有量が上記範囲であるため、熱分解により収率よくキシリレンジイソシアネートを生成することができる。なお、キシリレンジカルバメートの不純物の含有量は、後述する高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などにより求めることができる。
そして、このようなキシリレンジカルバメートがキシリレンジイソシアネートの製造原料として用いられる場合には、例えば、まず、貯留槽に保存されたキシリレンカルバメートが、熱分解装置などに圧力輸送され、次いで、熱分解装置において加熱および熱分解される。このような場合、熱分解前のキシリレンジカルバメートは、常温固体(融点が、カルバメート基中の炭素数などにもよるが、例えば、50〜150℃)であることから、輸送時における作業性の観点から、貯留槽において所定の温度に加熱され、溶融状態(流動状態)で保存される。
しかしながら、キシリレンジカルバメートが加熱下において保存される場合、その保存条件によっては、キシリレンジカルバメートの変質などにより、上記式(1)〜(4)で示されるような不純物が生成する場合がある。そのため、加熱下において保存する場合に、不純物の生成を抑制し、キシリレンジカルバメート中の純物の含有量を低減できる保存方法が、要求される。
以下において、不純物の生成を抑制できるキシリレンジカルバメートの保存方法について、詳述する。
すなわち、このキシリレンジカルバメートの保存方法では、キシリレンジカルバメートが、下記式(1)〜(4)で示される不純物を、それらの総量として質量基準で100ppm未満の割合で含有するように、保存する。
キシリレンジカルバメートの加熱条件としては、例えば、50℃以上、好ましくは、70℃以上、より好ましくは、90℃以上であり、例えば、180℃以下、好ましくは、170℃以下、より好ましくは、160℃以下である。
加熱条件が上記範囲であれば、キシリレンジカルバメートが熱分解されない範囲において溶融状態を維持し、輸送時における作業性の向上を図ることができる。
また、このキシリレンジカルバメートの保存方法では、キシリレンジカルバメートを容器に充填したときに空間部に内封される酸素量とキシリレンジカルバメート中に溶存する酸素量のキシリレンジカルバメートに対する合計酸素量を100ppm未満とする。
より具体的には、キシリレンジカルバメートを容器に充填したときに空間部に内封される酸素量とキシリレンジカルバメート中に溶存する酸素量のキシリレンジカルバメートに対する合計酸素量は、100ppm未満、好ましくは、50ppm以下、より好ましくは、20ppm以下、さらに好ましくは、10ppm以下であり、通常、1ppm以上である。
酸素量が上記範囲であれば、キシリレンジカルバメートの酸化を抑制することができ、上記式(1)〜(4)で示される不純物の生成を抑制することができる。
キシリレンジカルバメートを容器に充填したときに空間部に内封される酸素量とキシリレンジカルバメート中に溶存する酸素量のキシリレンジカルバメートに対する合計酸素量を上記範囲とする方法としては、特に制限されないが、例えば、キシリレンジカルバメートの貯留槽を不活性ガスで充填する方法や、例えば、キシレンジカルバメートの貯留槽を減圧処理し、真空化する方法などが挙げられ、好ましくは、キシリレンジカルバメートの貯留槽を不活性ガスで充填する方法が挙げられる。
不活性ガスとしては、例えば、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガスなどの希ガス、例えば、窒素ガスなどが挙げられ、好ましくは、窒素ガスが挙げられる。
不活性ガスの純度は、例えば、99.99体積%を超過、好ましくは、99.999体積%以上であり、通常、100体積%以下である。
不活性ガスの純度が上記範囲であれば、空間部に内封される酸素量とキシリレンジカルバメート中に溶存する酸素量のキシリレンジカルバメートに対する合計酸素量を上記の範囲に調整することができ、不純物の生成を抑制することができる。
すなわち、不活性ガスの純度が上記下限以下である場合(例えば、純度が99.99体積%の工場用窒素ガスを用いる場合)には、貯留槽を不活性ガスで充填した場合にも、空間部に内封される酸素量とキシリレンジカルバメート中に溶存する酸素量のキシリレンジカルバメートに対する合計酸素量を十分に低減させることができず、キシリレンジカルバメート中に多量の不純物が生成する場合がある。
なお、一般的に工場などの工業生産設備において不活性ガスとして用いられる窒素ガスは、通常PSA(Pressure Swing Adsorption:圧力変動吸着)法により工業的に生産される。しかし、この方法により得られる窒素ガスは、純度が99.99体積%以下であるため、貯留槽の充填に用いても、空間部に内封される酸素量とキシリレンジカルバメート中に溶存する酸素量のキシリレンジカルバメートに対する合計酸素量を十分に低減させることができない。
一方、不活性ガスの純度が上記範囲であれば、貯留槽を不活性ガスで充填することによって、空間部に内封される酸素量とキシリレンジカルバメート中に溶存する酸素量のキシリレンジカルバメートに対する合計酸素量を十分に低減させることができ、キシリレンジカルバメート中における不純物の生成を抑制することができる。
また、キシリレンジカルバメートの貯留槽を不活性ガスで充填する場合、不活性ガスの通気速度や圧力などは、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
また、このようなキシリレンジカルバメートの保存方法では、貯留槽におけるキシリレンジカルバメートの保存時間は、例えば、72時間以下、好ましくは、48時間以下、より好ましくは、24時間以下であり、通常30分以上である。
また、このようなキシリレンジカルバメートの保存方法により保存されるキシリレンジカルバメートの上記不純物の含有割合は、それらの総量として、質量基準で100ppm未満、好ましくは、80ppm以下、より好ましくは、40ppm以下、とりわけ好ましくは、10ppm以下であり、通常、1ppm以上である。
そして、上記したキシリレンジカルバメートの保存方法によれば、加熱下においても、上記式(1)〜(4)で示される不純物の含有量を質量基準で100ppm未満にできるため、溶融状態を維持し、輸送時における作業性を確保することができる。さらに、その保存されたキシリレンジカルバメートは、各種用途における品質に優れ、とりわけ、熱分解により収率よくキシリレンジイソシアネートを生成することができる。
そのため、上記の保存方法により保存されたキシリレンジカルバメートは、熱分解によりキシリレンジイソシアネートを製造するための製造原料として、好適に用いられる。
具体的には、キシリレンジカルバメートの熱分解では、キシリレンジカルバメートに対応するキシリレンジイソシアネート(1,2−キシリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネートおよびそれらの混合物など)、および、副生物である下記一般式(6)で示されるアルコールが生成する。
R−OH (6)
(式中、Rは、上記式(1)〜(4)のRと同意義を示す。)
この熱分解は、特に限定されず、例えば、液相法、気相法などの公知の分解法を用いることができる。
気相法では、熱分解により生成するキシリレンジイソシアネートおよびアルコールは、気体状の生成混合物から、分別凝縮によって分離することができる。また、液相法では、熱分解により生成するキシリレンジイソシアネートおよびアルコールは、例えば、蒸留や、担持物質としての溶剤および/または不活性ガスを用いて、分離することができる。
熱分解として、好ましくは、作業性の観点から、液相法が挙げられる。
このような方法において、キシリレンジカルバメートは、好ましくは、不活性溶媒の存在下において、熱分解される。
不活性溶媒は、少なくとも、キシリレンジカルバメートを溶解し、キシリレンジカルバメートおよびキシリレンジイソシアネートに対して不活性であり、かつ、熱分解時に反応しなければ(すなわち、安定であれば)、特に制限されないが、熱分解反応を効率よく実施するには、生成するキシリレンジイソシアネートよりも高沸点であることが好ましい。
このような不活性溶媒としては、キシリレンジカルバメートの炭素数や圧力条件などにより適宜選択されるが、例えば、芳香族系炭化水素類などが挙げられる。
芳香族炭化水素類としては、例えば、ベンゼン(沸点:80℃)、トルエン(沸点:111℃)、o−キシレン(沸点:144℃)、m−キシレン(沸点:139℃)、p−キシレン(沸点:138℃)、エチルベンゼン(沸点:136℃)、イソプロピルベンゼン(沸点:152℃)、ブチルベンゼン(沸点:185℃)、シクロヘキシルベンゼン(沸点:237〜340℃)、テトラリン(沸点:208℃)、クロロベンゼン(沸点:132℃)、o−ジクロロベンゼン(沸点:180℃)、1−メチルナフタレン(沸点:245℃)、2−メチルナフタレン(沸点:241℃)、1−クロロナフタレン(沸点:263℃)、2−クロロナフタレン(沸点:264〜266℃)、トリフェニルメタン(沸点:358〜359℃(754mmHg))、1−フェニルナフタレン(沸点:324〜325℃)、2−フェニルナフタレン(沸点:357〜358℃)、ビフェニル(沸点:255℃)、ジベンジルトルエン(沸点:391℃)などが挙げられる。
また、このような溶媒は、市販品としても入手可能であり、例えば、バーレルプロセス油B−01(芳香族炭化水素類、沸点:176℃)、バーレルプロセス油B−03(芳香族炭化水素類、沸点:280℃)、バーレルプロセス油B−04AB(芳香族炭化水素類、沸点:294℃)、バーレルプロセス油B−05(芳香族炭化水素類、沸点:302℃)、バーレルプロセス油B−27(芳香族炭化水素類、沸点:380℃)、バーレルプロセス油B−28AN(芳香族炭化水素類、沸点:430℃)、バーレルプロセス油B−30(芳香族炭化水素類、沸点:380℃)、バーレルサーム200(芳香族炭化水素類、沸点:382℃)、バーレルサーム300(芳香族炭化水素類、沸点:344℃)、バーレルサーム400(芳香族炭化水素類、沸点:390℃)、バーレルサーム1H(芳香族炭化水素類、沸点:215℃)、バーレルサーム2H(芳香族炭化水素類、沸点:294℃)、バーレルサーム350(芳香族炭化水素類、沸点:302℃)、バーレルサーム470(芳香族炭化水素類、沸点:310℃)、バーレルサームPA(芳香族炭化水素類、沸点:176℃)、バーレルサーム330(芳香族炭化水素類、沸点:257℃)、バーレルサーム430(芳香族炭化水素類、沸点:291℃)、(以上、松村石油社製)、NeoSK−OIL1400(芳香族炭化水素類、沸点:391℃)、NeoSK−OIL1300(芳香族炭化水素類、沸点:291℃)、NeoSK−OIL330(芳香族炭化水素類、沸点:331℃)、NeoSK−OIL170(芳香族炭化水素類、沸点:176℃)、NeoSK−OIL240(芳香族炭化水素類、沸点:244℃)、KSK−OIL260(芳香族炭化水素類、沸点:266℃)、KSK−OIL280(芳香族炭化水素類、沸点:303℃)、(以上、綜研テクニックス社製)などが挙げられる。
また、不活性溶媒としては、さらに、エステル類(例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、フタル酸ジドデシルなど)、熱媒体として常用される脂肪族系炭化水素類なども挙げられる。
このような不活性溶媒は、単独もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
不活性溶媒の配合量は、キシリレンジカルバメート1質量部に対して0.001〜100質量部、好ましくは、0.01〜80質量部、より好ましくは、0.1〜50質量部の範囲である。
また、熱分解においては、例えば、不活性溶媒をキシリレンジカルバメートに配合し、キシリレンジカルバメートを熱分解した後、その不活性溶媒を分離および回収し、再度、熱分解においてキシリレンジカルバメートに配合することができる。
熱分解反応の反応条件は、適宜設定されるが、熱分解温度が、通常、350℃以下であり、好ましくは、80〜350℃、より好ましくは、100〜300℃である。80℃よりも低いと、実用的な反応速度が得られない場合があり、また、350℃を超えると、キシリレンジイソシアネートの重合など、好ましくない副反応を生じる場合がある。また、熱分解反応時の圧力は、上記の熱分解反応温度に対して、生成するアルコールが気化し得る圧力であることが好ましく、設備面および用役面から実用的には、0.133〜90kPaであることが好ましい。
さらに、この方法では、必要により、触媒を添加することもできる。
触媒は、それらの種類により異なるが、上記反応時、反応後の蒸留分離の前後、キシリレンジカルバメートの分離の前後の、いずれかに添加すればよい。
熱分解に用いられる触媒としては、キシリレンジイソシアネートと水酸基とのウレタン化反応に用いられる、Sn、Sb、Fe、Co、Ni、Cu、Cr、Ti、Pb、Mo、Mnなどから選ばれる1種以上の金属単体またはその酸化物、ハロゲン化物、カルボン酸塩、リン酸塩、有機金属化合物などの金属化合物が用いられる。これらのうち、この熱分解においては、Fe、Sn、Co、Sb、Mnが副生成物を生じにくくする効果を発現するため、好ましく用いられる。
Snの金属触媒としては、例えば、酸化スズ、塩化スズ、臭化スズ、ヨウ化スズ、ギ酸スズ、酢酸スズ、シュウ酸スズ、オクチル酸スズ、ステアリン酸スズ、オレイン酸スズ、リン酸スズ、二塩化ジブチルスズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジラウリルオキシジスタノキサンなどが挙げられる。
Fe、Co、Sb、Mnの金属触媒としては、例えば、それらの酢酸塩、安息香酸塩、ナフテン酸塩、アセチルアセトナート塩などが挙げられる。
なお、触媒の配合量は、金属単体またはその化合物として、反応液に対して0.0001〜5質量%の範囲、好ましくは、0.001〜1質量%の範囲である。
また、この熱分解反応では、必要により、安定剤を配合することもできる。
安定剤としては、例えば、o−トルエンスルホン酸アミド、p−トルエンスルホン酸アミドなどが挙げられ、単独使用または2種類以上併用することができる。
なお、安定剤の配合割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
また、この熱分解反応は、キシリレンジカルバメート、触媒および不活性溶媒を一括で仕込む回分反応、また、触媒を含む不活性溶媒中に、減圧下でキシリレンジカルバメートを仕込んでいく連続反応のいずれでも実施することができる。
熱分解におけるキシリレンジカルバメートの転化率は、例えば、80モル%以上、好ましくは、90モル%以上である。なお、キシリレンジイソシアネートの転化率は、後述する実施例に準拠して求めることができる。
一方、上記の熱分解工程では、キシリレンジカルバメートの2つのカルバメート基が熱分解されることによって、キシリレンジイソシアネートが生成するが、その熱分解液には、さらに、例えば、キシリレンモノイソシアネート(キシリレンモノカルバメート)や、キシリレンジカルバメートが含有される場合がある。
そして、これらキシリレンジカルバメート、キシリレンモノイソシアネートなどのカルバメート基を有する化合物に、キシリレンジイソシアネートやキシリレンモノイソシアネートなどのイソシアネート基を有する化合物が反応することにより、アロファネート化、イソシアヌレート化などを惹起し、熱分解残渣(イソシアネート残渣(タール成分))を生じさせる場合がある。
とりわけ、キシリレンジイソシアネートが多くの不純物を含有する場合には、その不純物を起点として、キシリレンジイソシアネート、キシリレンモノイソシアネート、キシリレンジカルバメート、さらには、アロファネート(キシリレンジイソシアネートのアロファネート変性体)などが高分子量化し、熱分解残渣(イソシアネート残渣(タール成分))を増加させる場合がある。
一方、上記のキシリレンジイソシアネートの製造方法では、上記したキシリレンジカルバメートが用いられるため、熱分解残渣の生成量を低減することができる。
具体的には、キシリレンジイソシアネートの収率は、原料のキシリレンジカルバメートに対して、例えば、80モル%以上、好ましくは、90モル%以上である。
また、キシリレンモノイソシアネートの収率は、原料のキシリレンジカルバメートに対して、例えば、20モル%以下好ましくは、10モル%以下である。
また、アロファネートの収率は、原料のキシリレンジカルバメートに対して、例えば、10モル%以下好ましくは、5モル%以下である。
また、熱分解残渣の収率は、原料のキシリレンジカルバメートに対して、例えば、5モル%以下好ましくは、1モル%以下である。
このように、上記のキシリレンジイソシアネートの製造方法では、不純物の含有量が低減された上記のキシリレンジカルバメートが用いられるため、キシリレンジイソシアネートを、収率よく得ることができる。
次に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は何ら実施例に限定されるものではない。なお、以下に示す実施例の数値は、実施形態において記載される対応する数値(すなわち、上限値または下限値)に代替することができる。
試験例1(不純物の同定)
1,3−キシリレンジカルバメートを耐熱容器に入れ、150℃で16時間加熱試験した。次いで、加熱試験後の内容物を液体クロマトグラフ質量分析(LC/MS)装置によって表1に示す条件で分析し、液体クロマトグラムにおけるリテンションタイム[4.587]、[6.328]、[8.588]および[10.187]に現れた各ピークのマススペクトルから、化合物の構造を同定した。
その結果、リテンションタイム[4.587]に現れたピークに帰属される化合物が、上記式(2)で示されるカルボキシル−ベンジルカルバメート(カルボン酸体)であると同定された。
また、リテンションタイム[6.328]に現れたピークに帰属される化合物が、上記式(4)で示されるカルバモイル−ベンジルカルバメート(アミド体)であると同定された。
また、リテンションタイム[8.588]に現れたピークに帰属される化合物が、上記式(1)で示されるホルミル−ベンジルカルバメート(アルデヒド体)であると同定された。
また、リテンションタイム[10.187]に現れたピークに帰属される化合物が、上記式(3)で示されるカルボニルカルバメート−ベンジルカルバメート(イミド体)であると同定された。
各ピークのマススペクトルを、図1〜図4に示す。
実施例1
<キシリレンジカルバメート>
1,3−キシリレンジカルバメートを耐熱容器に入れ、1,3−キシリレンジカルバメート内の不純物(上記(1)〜(4)で示される化合物)の総量を、高速液体クロマトグラフィーにより求めた。その結果、不純物の含有量は、0ppmであった。なお、不純物の含有量が高速液体クロマトグラフィーによる検出限界未満(1ppm未満)である場合に、0ppmであるとした(以下同様)。
次いで、上記の耐熱容器内を純度99.999体積%の高純度窒素ガスにより充填した。このとき、1,3−キシリレンジカルバメートの容器の空間部に内封される酸素量とキシリレンジカルバメート中に溶存する酸素量のキシリレンジカルバメートに対する合計酸素量は、10ppmであった。
なお、酸素量は、酸素濃度計(セントラル科学社製 DOメーター UC−12−SOL型〕で封入直前に気相部とキシリレンジカルバメート部(液相部)を測定して算出した(以下同様)。
次いで、耐熱容器内において、1,3−キシリレンジを120℃に加熱した状態で12時間保存した。その後、1,3−キシリレンジカルバメート内の不純物(上記(1)〜(4)で示される化合物)の総量を、高速液体クロマトグラフィーにより求めた。その結果、不純物の含有量は、10ppmであった。
<キシリレンジイソシアネート>
上記の保存後の1,3−キシリレンジカルバメートと、不活性溶媒としてのジベンジルトルエンとを、質量比1:1の割合で混合し、原料成分を得た。次いで、得られた原料成分には、安定剤としてのp−トルエンスルホン酸アミドを、キシリレンジカルバメートに対して100ppmとなるように添加した。
その後、攪拌装置、および、上部に還流管の付いた精留塔を備えた内容量500mLのガラス製4つ口フラスコに、上記の原料成分を、供給量が120g/hrとなるように連続的に供給し、255℃、3.33kPa(25torr)の条件で5時間滞留させた。これにより、キシリレンジカルバメートを熱分解し、キシリレンジイソシアネートおよびアルコールを含む生成物を得た。なお、生成物中には、キシリレンモノイソシアネートやアロファネートおよび熱分解残渣(タール成分)が含まれていた。
次いで、上記の熱分解により得られた生成物を、80℃に設定したコンデンサ(凝縮器)に供給し、一部を気化成分として脱離させるとともに、残部を凝縮させ、凝縮液を得た。
上記の熱分解反応において、キシリレンジカルバメートの転化率を、下記式により求めた結果、99モル%であった。
また、キシリレンジイソシアネートの収率を、下記式により求めた結果、原料のキシリレンジカルバメートに対して、95モル%であった。
また、キシリレンモノイソシアネートの収率を、下記式により求めた結果、原料のキシリレンジカルバメートに対して、2モル%であった。
また、アロファネートの収率を、下記式により求めた結果、原料のキシリレンジカルバメートに対して、2モル%であった。
また、タール成分の収率を、下記式により求めた結果、原料のキシリレンジカルバメートに対して、1モル%であった。
・キシリレンジカルバメート転化率=(供給キシリレンジカルバメート量−未反応キシリレンジカルバメート量)÷供給キシリレンジカルバメート量×100
・キシリレンジイソシアネート収率=イソシアネート含有成分中のキシリレンジイソシアネート量÷供給キシリレンジカルバメート量×100
・キシリレンモノイソシアネート収率=反応液中のキシリレンモノイソシアネート量÷供給キシリレンジカルバメート量×100
・アロファネート収率=反応液中のアロファネート量÷供給キシリレンジカルバメート量×100
・タール収率=反応液中のタール量(キシリレンジイソシアネート換算)÷供給キシリレンジカルバメート量×100
実施例2
<キシリレンジカルバメート>
保存時間を24時間に変更した以外は、実施例1と同様にして1,3−キシリレンジカルバメートを保存した。その後、1,3−キシリレンジカルバメート内の不純物(上記(1)〜(4)で示される化合物)の総量を求めた。その結果、不純物の含有量は、40ppmであった。
<キシリレンジイソシアネート>
実施例1と同様にして、上記の保存後のキシリレンジカルバメートを熱分解し、キシリレンジイソシアネートおよびアルコールを含む生成物を得た後、その一部を気化成分として脱離させるとともに、残部を凝縮させ、凝縮液を得た。
上記の熱分解反応において、キシリレンジカルバメートの転化率を、実施例1と同様にして求めた結果、99モル%であった。
また、キシリレンジイソシアネートの収率を、実施例1と同様にして求めた結果、原料のキシリレンジカルバメートに対して、95モル%であった。
また、キシリレンモノイソシアネートの収率を、実施例1と同様にして求めた結果、原料のキシリレンジカルバメートに対して、2モル%であった。
また、アロファネートの収率を、実施例1と同様にして求めた結果、原料のキシリレンジカルバメートに対して、2モル%であった。
また、タール成分の収率を、実施例1と同様にして求めた結果、原料のキシリレンジカルバメートに対して、1モル%であった。
比較例1
<キシリレンジカルバメート>
純度99.999体積%の高純度窒素ガスに代えて、純度99.99体積%の工場用窒素ガスを用いた以外は、実施例1と同様にして1,3−キシリレンジカルバメートを保存した。このとき、1,3−キシリレンジカルバメートの容器の空間部に内封される酸素量とキシリレンジカルバメート中に溶存する酸素量のキシリレンジカルバメートに対する合計酸素量は、100ppmであった。
その後、1,3−キシリレンジカルバメート内の不純物(上記(1)〜(4)で示される化合物)の総量を求めた。その結果、不純物の含有量は、100ppmであった。
<キシリレンジイソシアネート>
実施例1と同様にして、上記の保存後のキシリレンジカルバメートを熱分解し、キシリレンジイソシアネートおよびアルコールを含む生成物を得た後、その一部を気化成分として脱離させるとともに、残部を凝縮させ、凝縮液を得た。
上記の熱分解反応において、キシリレンジカルバメートの転化率を、実施例1と同様にして求めた結果、99モル%であった。
また、キシリレンジイソシアネートの収率を、実施例1と同様にして求めた結果、原料のキシリレンジカルバメートに対して、92モル%であった。
また、キシリレンモノイソシアネートの収率を、実施例1と同様にして求めた結果、原料のキシリレンジカルバメートに対して、2モル%であった。
また、アロファネートの収率を、実施例1と同様にして求めた結果、原料のキシリレンジカルバメートに対して、2モル%であった。
また、タール成分の収率を、実施例1と同様にして求めた結果、原料のキシリレンジカルバメートに対して、4モル%であった。
比較例2
<キシリレンジカルバメート>
保存時間を24時間に変更した以外は、比較例1と同様にして1,3−キシリレンジカルバメートを保存した。その後、1,3−キシリレンジカルバメート内の不純物(上記(1)〜(4)で示される化合物)の総量を求めた。その結果、不純物の含有量は、350ppmであった。
<キシリレンジイソシアネート>
実施例1と同様にして、上記の保存後のキシリレンジカルバメートを熱分解し、キシリレンジイソシアネートおよびアルコールを含む生成物を得た後、その一部を気化成分として脱離させるとともに、残部を凝縮させ、凝縮液を得た。
上記の熱分解反応において、キシリレンジカルバメートの転化率を、実施例1と同様にして求めた結果、99モル%であった。
また、キシリレンジイソシアネートの収率を、実施例1と同様にして求めた結果、原料のキシリレンジカルバメートに対して、91モル%であった。
また、キシリレンモノイソシアネートの収率を、実施例1と同様にして求めた結果、原料のキシリレンジカルバメートに対して、2モル%であった。
また、アロファネートの収率を、実施例1と同様にして求めた結果、原料のキシリレンジカルバメートに対して、2モル%であった。
また、タール成分の収率を、実施例1と同様にして求めた結果、原料のキシリレンジカルバメートに対して、5モル%であった。
参考例1
<キシリレンジカルバメート>
1,3−キシリレンジカルバメートを加熱保存することなく用いた以外は、比較例1と同様にして、1,3−キシリレンジカルバメート内の不純物(上記(1)〜(4)で示される化合物)の総量を求めた。その結果、不純物の含有量は、0ppmであった。
<キシリレンジイソシアネート>
実施例1と同様にして、上記の加熱保存する前のキシリレンジカルバメートを熱分解し、キシリレンジイソシアネートおよびアルコールを含む生成物を得た後、その一部を気化成分として脱離させるとともに、残部を凝縮させ、凝縮液を得た。
上記の熱分解反応において、キシリレンジカルバメートの転化率を、実施例1と同様にして求めた結果、99モル%であった。
また、キシリレンジイソシアネートの収率を、実施例1と同様にして求めた結果、原料のキシリレンジカルバメートに対して、95モル%であった。
また、キシリレンモノイソシアネートの収率を、実施例1と同様にして求めた結果、原料のキシリレンジカルバメートに対して、2モル%であった。
また、アロファネートの収率を、実施例1と同様にして求めた結果、原料のキシリレンジカルバメートに対して、2モル%であった。
また、タール成分の収率を、実施例1と同様にして求めた結果、原料のキシリレンジカルバメートに対して、1モル%であった。
各実施例および各比較例の結果を、表2に示す。
なお、表中の略号の詳細を下記する。
XDC:キシリレンジカルバメート
XDI:キシリレンジイソシアネート
XMI:キシリレンモノイソシアネート
なお、上記発明は、本発明の例示の実施形態として提供したが、これは単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。当該技術分野の当業者によって明らかな本発明の変形例は、後記特許請求の範囲に含まれる。
本発明のキシリレンジカルバメート、そのキシリレンジカルバメートを用いるキシリレンジイソシアネートの製造方法、そのキシリレンジイソシアネートの製造方法により得られるキシリレンジイソシアネート、および、不純物の含有量を低減できるキシリレンジカルバメートの保存方法は、例えば、医薬、農薬などの原料、各種ファインケミカルズの原料、アルコール類の分析試剤、イソシアネートの製造原料など、キシリレンジカルバメートやキシリレンジイソシアネートが用いられる各種産業分野において、広範に用いることができる。

Claims (5)

  1. 下記式(1)〜(4)で示される不純物を、それらの総量として質量基準で100ppm未満の割合で含有することを特徴とする、キシリレンジカルバメート。

    (上記式(1)〜(4)中、Rは、1価の炭化水素基を示す。)
  2. 下記式(1)〜(4)で示される不純物を、それらの総量として質量基準で100ppm未満の割合で含有するキシリレンジカルバメートを熱分解することによりキシリレンジイソシアネートを得ることを特徴とする、キシリレンジイソシアネートの製造方法。

    (上記式(1)〜(4)中、Rは、1価の炭化水素基を示す。)
  3. 下記式(1)〜(4)で示される不純物を、それらの総量として質量基準で100ppm未満の割合で含有するキシリレンジカルバメートを熱分解することによりキシリレンジイソシアネートを得るキシリレンジイソシアネートの製造方法により得られることを特徴とする、キシリレンジイソシアネート。

    (上記式(1)〜(4)中、Rは、1価の炭化水素基を示す。)
  4. 50〜180℃の加熱下において、
    下記式(1)〜(4)で示される不純物を、それらの総量として質量基準で100ppm未満の割合で含有するように保存することを特徴とする、キシリレンジカルバメートの保存方法。

    (上記式(1)〜(4)中、Rは、1価の炭化水素基を示す。)
  5. キシリレンジカルバメートを容器に充填したときに空間部に内封される酸素量とキシリレンジカルバメート中に溶存する酸素量のキシリレンジカルバメートに対する合計酸素量を100ppm未満とすることを特徴とする、請求項4に記載のキシリレンジカルバメートの保存方法。
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